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【個】『学生寮 清月館』

77黒羽 灯世『インク』:2019/10/10(木) 03:44:00
>>76

「――――『動物性食品』? フフッ。心配無用よ。
 お酒が好きなおじさんじゃないんだから、
 お菓子って言って『イカ』を持ってきたりはしないのだわ」

そういう経験があるのかもしれない。

     「あっそうだわ」

「置いてあるノートとか、勝手に触ったら、嫌よ!
 記者としての『マル秘情報』とかもあるから……」

三枝の要望を聞き届けて、
今度こそ黒羽は部屋から出て行った。

・・・部屋の中を眺める。

机には彼女の懸念らしきノートや手帳、ファイル、他に教科書など、
それなりに量がある紙の類が……パソコンの周囲に積まれていた。
紙そのものが置かれている事は無い。すべてファイルに綴じているらしい。

アルバムや日記帳など、大いに『プライバシー』であろうものもあるが、
そうしたものは『鍵付き』を選んでいるようで、望んでも見る事は難しそうだ。
小さなアロマディフューザーらしきものもあり、香りの発生源はあれだろう。

壁にはいくらか『表彰状』などがあり、その規模は大小問わない。
『書道』のコンクール、『塾』の物らしきテストの優秀賞、
『新聞大会』の『入賞』……由来不明の、『手作りの表彰状』……
どれも額縁に収まっていて、壁に取り付けられたフックに掛かっている。

中身の見えない棚や、クローゼットらしき棚など、調度品は高級感があり、
清月館の備え付けではない。本棚もそうだが……小遣いで買える範囲ではあるまい。

                         コポポポポポ……

奥からは茶を注ぐような音が聞こえてくる。もうじき戻ってくるのではないだろうか?


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