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【個】『学生寮 清月館』
731
:
赤月『サクソン』
:2021/09/16(木) 01:20:37
>>729
「お前は・・・・そこまで・・・・っ! ・・・・あ」
――ドグシャアァッ!
勝負を分けたのは『冬』に対する感受性の差であり、それは赤月と一抹の経験の違いでもあった
赤月にとって『クリスマス』は特別な日、一生懸命に部屋を飾り付けて、家族の帰りを待った思い出の日々
一抹にとって『クリスマス』は何でもない日、子供らしく遊ぶこともなく、色合いに意味を持たない普通の日
今までに送った人生の違いが、ここに来て現れてしまった結果だ
ドクドク・・・・
拍動するように腿から流れ出る血液を眺めながら、今になってそれを理解した
動脈の一部を傷つけているのだろうか?傷口からは止めどなく血が流れ続ける
人間は全血液の20%を失うとショック状態に陥り、30%以上の流出で死に至るという
本で読んだ知識をもとに冷静に『死』の計算を行う赤月であったが、
それと同時に冷静であり続けてしまう自分に異常を心底恐ろしいと思った
(痛みが・・・・ない・・・・!)
動物は窮地に陥った時に交感神経を更新させる事でその窮地に対処する
『Fight or Flight(戦うか逃げるか)』と呼ばれる反応だ
だが、今の赤月は致死の一撃を受けたにも関わらず・・・・痛みがまったく存在しない
理性で理解する『死の恐怖』と肉体が認識する『無痛の安堵』・・・そのギャップに脳の認識が狂わされる
『インダルジェンス』に吹き飛ばされ、テーブルに背中から激しく打ちつけられる
台所一面に血をまき散らしながら、その真ん中で床に転がっている
痛みはないものの、急激な出血に顔が青ざめていく・・・いずれは意識も混濁してしまうだろう
「ぐっ・・・・ はぁ・・・ はぁ・・・」
>>730
「誰・・・・だ・・・・?」
致命的な一撃を受けたその直後に、何者かが台所に入ってくるのを見た
どうやら、一抹の知り合いの様だが・・・・
「まあいい・・・ 血を・・・止めないと・・・・
ふざけるなよ、一抹・・・ 私はまだ・・・・」
乱入した女性が一抹に抱き着いている間に近くを探す
見つけたいものはタオルや手ぬぐいなど・・・適度な大きさの布だ
台所であれば、近くに布巾があってもおかしくはないはず
適度な大きさの布を見つけて、両脚の傷口を強く縛り付けたい
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