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【個】『アポロン・クリニックセンター』

1『星見町案内板』:2016/01/24(日) 23:47:23
『城址学区』の北部に位置する『総合病院』。
近年、大規模な『増築工事』が行われた結果、
『八階建』の『クリニックセンター』へと変貌を遂げた。

クリーム色の外壁が特徴の『新病棟』は清潔感が漂い、
カラフルなインテリアは患者達を勇気付ける『明るさ』を演出する。
治療に取り組む医師達の真摯な態度、朗らかな看護師達の笑顔、
『最先端』の医療、福祉、心配りで貴方を癒す場所。

---------------------------------------------------------------------------
                 ミ三ミz、
        ┌──┐         ミ三ミz、                   【鵺鳴川】
        │    │          ┌─┐ ミ三ミz、                 ││
        │    │    ┌──┘┌┘    ミ三三三三三三三三三【T名高速】三三
        └┐┌┘┌─┘    ┌┘                《          ││
  ┌───┘└┐│      ┌┘                   》     ☆  ││
  └──┐    └┘  ┌─┘┌┐    十         《           ││
        │        ┌┘┌─┘│                 》       ┌┘│
      ┌┘ 【H湖】 │★│┌─┘     【H城】  .///《////    │┌┘
      └─┐      │┌┘│         △       【商店街】      |│
━━━━┓└┐    └┘┌┘               ////《///.┏━━┿┿━━┓
        ┗┓└┐┌──┘    ┏━━━━━━━【星見駅】┛    ││    ┗
          ┗━┿┿━━━━━┛           .: : : :.》.: : :.   ┌┘│
             [_  _]                   【歓楽街】    │┌┘
───────┘└─────┐            .: : : :.》.: :.:   ││
                      └───┐◇      .《.      ││
                【遠州灘】            └───┐  .》       ││      ┌
                                └────┐││┌──┘
                                          └┘└┘
★:『天文台』
☆:『星見スカイモール』
◇:『アリーナ(倉庫街)』
△:『清月館』
十:『アポロン・クリニックモール』
---------------------------------------------------------------------------
『入院』、『治療』のシステムについては>>3へ。

75平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2019/03/22(金) 23:47:23
>>74
「お待たぜじぢゃって」

 ゴホン

「失礼」

傷めた喉のせいで発音が濁った。
ライターを差し出す。ふつーの100円ライターだ。

「たばこ?」

疑問というよりは確認という意味だ。

76スミノフ『デマーケイション』:2019/03/22(金) 23:52:37
>>75

「別に構わねぇよ、病人引っぱってるしな」

そう言って首を鳴らした。

「煙草だよ」

「ライター持ってるんだ、お前もやるんだろ?」

「一緒に行くかい?」

77平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2019/03/23(土) 00:00:33
>>76
「そうだな…」

持ってきたくせに、喉の怪我が気になる。

「……」「(吹かすくらいなら、いいよな。平気平気)」

結局のところは欲に負けるわけだが。
最初から分かっていたことだ。そーいうものだ。

「行こう」

喫煙所でも、外のすみっこの灰皿でもいい。タバコの吸えるところへ向かおう。
脇も痛む。庇いながらだ。

78スミノフ『デマーケイション』:2019/03/23(土) 00:08:34
>>77

「あぁ」

向かうのは喫煙所だ。
偶然なのか人は少なかった。
平石に歩調を合わせつつ、男が笑う。

「随分派手にやったみたいだなぁ」

「締められたり蹴られたりって感じか」

79平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2019/03/23(土) 00:19:56
>>78
慧眼だ。
慣れているのか? つまり、絞められたり蹴られたりって感じのことに。
さすがに訊くのは気が引けた。

「実は」

「『ゾンビ』に掴みかかられて」

言ってみて、そんなに面白い字面ではないなと思った。

「……つまり、そのくらいしつこい輩に、って意味だ」

面白くない補足だ。
喫煙所に着いたなら、ライターを渡し、タバコを取り出し、返してくれるのを待とう。

80スミノフ『デマーケイション』:2019/03/23(土) 00:47:16
>>79

「ゾンビね。まぁ、そんなもんだ」

小さなタバコの箱。
サンプル品らしく、箱には四本しかタバコが入っていない。

「こっちだって本気で相手するけど、殴っても殴っても起き上がる」

あの時もそうだった。
猫を巡る騒動。
レインコートと現代の忍。
思い返せば厄介で手強い相手。

「痛てぇしな」

タバコに火をつけ、ライターを返す。

81平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2019/03/23(土) 01:45:59
>>80
「君は割と、殴るとか蹴るとか、慣れてる感じだな」
「好き好んでってわけでもなさそうだけど」

気が引けたことだが、具体的に『殴る側』であることを告げてくれたので、指摘した。
火をつけて、吸い込み…

「げほっ」

むせた。吹かすだけにしようとしても、クセになっている。逆にムズカしい。

「…ああ。そうだな。」

楽しかった、が、痛い。
痛い、が、楽しかった。微妙なニュアンスが異なる。オレはどっちだ?彼は?
いや、彼は単なる『ケンカ』について喋っているのだろう。普通はそうだ。
何がどうってわけじゃないが、殺し合いと比較するべきではないだろう。
そういえば今ふと思ったことだが、ゾンビと喋る生首を車から突き落として、それは『殺した』うちに入るんだろうか。

「……」
「(そういえばごく自然にやって、『やれやれ終わった』くらいに思っていたが、考えてみれば相当なアレだよな)」
「(どう話をする? いやいや、言えない言えない)」

「見ての通りオレは喉と脇腹を特にやられたし、ロクでもないな。」

82スミノフ『デマーケイション』:2019/03/23(土) 02:31:20
>>81

「殴るのも蹴るのも、殴られるのも蹴られるのもお手の物だよ」

「そればっかりを考えて生きてる」

むせる平石のせを軽く叩く。

「喧嘩を楽しみだしたらヤバいけど、あんたはまだ大丈夫かねぇ」

遠くを見つめて煙を吐いた。
肺に空気でないものが満ちる。

「まぁなんでそうなったのかは知らねぇが、生きてる以上はロクでもないって訳でもねぇよ」

「で、何したんだ? 喧嘩にしては随分じゃねぇか」

「喉が潰れるほど強く締められた。普通じゃねぇよ」

「この世には普通じゃねぇ喧嘩ってのがあるんだ」

83平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2019/03/23(土) 03:11:53
>>82
「そればっかり? 」

マジか。いろんな人がいる。
心配してくれているということは、いきなり襲いかかってくるヤツじゃない。
それだけで充分だ。

「何、って」「さっき言ったじゃないか」

「ゾンビに掴みかかられた」「って」

冗談めかした繰り返しだ。彼の言う『普通じゃないケンカ』に、これは含まれるのだろう。多分。
なんとなくだが。そんな気がした。

84スミノフ『デマーケイション』:2019/03/23(土) 23:06:46
>>83

「野球少年はずっと野球してるだろ。それと同じだよ」

「まぁ学問に目覚めた時期ってのもあるから殆どっつってもそこまでだが」

それでも多くの時間を闘争に費やしたのは確かだ。

「ゾンビね。まぁ、それでもいいが」

「話したくないならいい。分かる奴には分かるに落ち着く」

ぼーっと煙を吐き出す。

「人間じゃねぇものか、ゾンビぐらいしつけぇやつとやったってだけの話で済ませてくれていい」

85平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2019/03/25(月) 00:27:07
>>84
「済ませると言うか、うん」

本当のことなのだが。
まあ、『本当なんです!』と主張するつもりはない。
どう話せばいいか分からないという理由もあるが、それ以上に――
……闘争に費やした時間は比較にもなるまい。
彼が『どんな』『何を』やるのかは、想像もつかない。
そんな相手に、初心者が自慢げに話すのも笑われそうだ。要は恥ずかしい。

「『そういう話』だよ」「…ン」

時計を見ると診察の時間が迫ってきている。

「もう診てもらう時間だから、行くよ」「あ、『ライター』いる?」
「オレのはこれ予備だから、持っててくれていいし」

押し付ける感じになるかもしれないが、グッと渡して先に喫煙所を出よう。

86スミノフ『デマーケイション』:2019/03/25(月) 01:13:53
>>85

「貰っとくぜ。今度会った時に返す」

そう言って相手を見送る。

(あいつもそうなんだろうなぁ)

ぼんやりとそんなことが頭に浮かぶ。

(ゾンビってのはどんなものか)

(柔けぇなら、一発でぐちゃぐちゃだわな)

緩やかな思考と共に紫煙が浮かんだ。

87平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2019/04/08(月) 21:33:40
>>70
『退院』

88鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/06/15(土) 23:37:16
【ミ】『想貌』
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1547738761/349
『全治三週間』
──────────────────────────────



「何とか納得はしてくれたが」「・・・・・」
「三人とも…悲しい顔をしてたな…」



鉄 夕立『シヴァルリー』→『入院』

89鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/06/24(月) 22:49:36
「・・・・・・・・・・」グルグル

病院の外庭にあるベンチ。そこに一人の青年が腰かけていた。
入院着に身を包みながら、何か考え事をしているようだ。
ちなみに左手にはボールのようなものが握られており、それを手首を動かして回している。

90竜胆『ブラックシープ・シンドローム』:2019/06/24(月) 23:27:43
>>89

「あっはっはっは」

笑う女がいる。
何がおかしいのか、けらけら笑っていた。
傍には腕を吊った男性がいて、彼の背をバシバシと遠慮なしに叩いていた。
何か二、三言の言葉をかけたと思えば、手をあげて別れた。
ふぅ、と息を吐いて女がかつかつとベンチの方に近づいてくる。

「座っていいかな、少年?」

にこやかな雰囲気で女はそう言った。

91鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/06/24(月) 23:36:31
>>90

>「座っていいかな、少年?」

「ッ─────?!」

思案を巡らせている所に話しかけられ、ハッとして声の方を向き、そして慌てて逆の方を見る。
声の主は、女性だった。それも、初対面の。
緊張して上擦る声を抑えつつ、手をベンチに向け、示す。

「どっ、どうぞ」

92竜胆『ブラックシープ・シンドローム』:2019/06/24(月) 23:54:27
>>91

「?」

どっとベンチに腰を掛ける。
隣に座る君の顔をじぃっと見つめている。
それからにっと歯を見せて笑う。
悪い笑顔だ。

「なにどもってんのさ?」

「お姉さんが悪い人に見えたわけ?」

ずりずりと傍に寄ってきていた。

93鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/06/25(火) 00:01:49
>>92

「あっ、いえっ」「決してそういう、わけではっ」

女性がずりずりと傍に寄る度に、俯いて同じだけ距離を開ける。
我ながら彼女に大変失礼だと思うが、なかなか一朝一夕には治らないようだ。
これ以上距離を詰められるとうまく話せそうにないので、別の話に切り替えよう。

「あ、あの」「あなたも、ここに入院しているんですか?」

94竜胆『ブラックシープ・シンドローム』:2019/06/25(火) 00:19:10
>>93

「そう? ならいいんだけど」

視線は外さない。
相手の反応を楽しんでいる目だ。
だからずっと見続けている。

「いんや、お姉さんは元気いっぱいいっぱいだから入院はしてないよ」

「少年の方はどうかな? 入院かな? 服みりゃ分かるけども」

「……そのボールは?」

95鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/06/25(火) 00:31:31
>>94

「…あぁ。そうなると、お見舞い、ですか」「…ご親族の方ですか?」

自分に家族が会いに来てくれたように、お見舞いといえば親族が一番多いだろう。
兄弟姉妹か、あるいは両親だろうか?誰にせよ、その人も早く良くなってくれればいいが。
その人も自分と同じで、周囲に心配をかけてしまった事をきっと悔やんでいるはずだ。

>「少年の方はどうかな? 入院かな? 服みりゃ分かるけども」

「オレは…その、少し『肋骨』をやってしまいまして」「『全治三週間』…とは言え、残りは二週間ないくらいですが」

>「……そのボールは?」

「これは、スナップボールと言って…手首を使って回転させる事で、筋力を鍛える道具ですね」

病院であまり身体を動かせないからといって、鈍ってしまっては困る。ので家族に持ってきてもらった。
流石に人と話している時には回したりはしないけれど。

96竜胆『ブラックシープ・シンドローム』:2019/06/25(火) 00:50:06
>>95

「いや?」

「お姉さんの知ってる人なんて誰もここにいないけど?」

笑みが消えた。
細められた目が見据えている。

「肋骨かぁ……辛いねぇ。息するたびに痛む?」

「どう、そこんところ」

宙に彼女の人差し指が円を描く。
くるくる、ゆっくりと円を描く。

「トレーニング! いいねぇ健全で健康で優良だよ少年」

「何かスポーツでも? 野球? ハンドボール? それともサッカーかな?」

「お姉さんの予想だと、少年は中々やるタイプだけどどうかな?」

97鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/06/25(火) 01:00:25
>>96

>「いや?」

>「お姉さんの知ってる人なんて誰もここにいないけど?」

「・・・・・・・・・・?」

予想しなかった答えに、思わず女性の方へと振り向いた。すぐに目線は斜め下の方に外してしまうが。
健康である、そしてお見舞いではない。しかしこの病院に来た、となると。
他に考えられるものは。

「なら…お仕事、でしょうか?」「この病院と、何らかの取引をしている、とか」
「あるいは、勤務先…ですとか」

彼女の格好は看護師には見えないが、休日に職場へ来たりすることもあるかもしれない。

「激しく動かなければ、今はある程度は大丈夫です」「怪我をした当日は、動くのも中々辛かったですが」

あの戦闘後は別のことに意識を取られて痛みが気にならなかったが、落ち着いた途端に激痛が走り出した。
やはりアドレナリンのようなものが出ていたのだろうか、と考えていると。
おもむろに人差し指を動かす彼女に、今度は視線を指先へと向ける。何か意味合いがあるのか、それとも癖なのだろうか。

「『スポーツ』と言うよりは、『武道』ですね」「『剣道』をやっています」「一応、今はレギュラーに入らせて頂いてますが…」

98竜胆『ブラックシープ・シンドローム』:2019/06/25(火) 01:33:37
>>97

「んーん。お仕事もこういうとこのじゃないね」

「それがどうかしたの?」

あっけらかんとそんなことを言っている。
さもここにいるのが当然という感じの顔だ。

「ふぅん、大変だったねぇ。それにして剣道か」

「汗臭いイメージがあるけど、少年結構可愛いし、モテるんじゃないのォ?」

「どうどうどう?」

99鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/06/25(火) 01:38:45
>>98

「・・・・・?」「それでは、あなたは何の目的でこの病院を訪れたのですか?」

単刀直入に訊ねる。
今のところ、彼女の言葉を統合すると、ただ理由なくこの病院を訪れたことになってしまう。
しかしそれが公園や海岸ならともかく、病院をただの物見遊山目的にする人間がいるとは思っていない。

「モ、モテ…いえ、自分は、そういうものとは
全く縁が遠い人間、でして…」
「そもそも、女性というものに対して、なかなか苦手意識がありまして…」

色恋沙汰の話には疎い。どころか、基本的に触れたことがない。
そもそも、女性に対して物理的に触れたことすらほぼない。再び視線を落とす。

100竜胆『ブラックシープ・シンドローム』:2019/06/25(火) 12:48:33
>>99

「お姉さんが病院好きって言ったら信じる?」

それも、さも当然という感じだった。
ここに来るのは彼女の趣味である。
時々こうしてやってくる。
病院が好きなのだ。
消毒の匂いも、そこにいる人も好きだ。

「えー勿体ないなぁ」

「でも苦手意識か……うーん、生まれだとか育ちだとかそういうのもあるからなぁ」

何が勿体無いのだろうか。
どうにも思考が自分の中だけで巡っている。
外部に出力されない分は当然わからない。
余程察しがいいか、心を読む力でもなければ。

「お姉さんで練習してみる?」

101鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/06/25(火) 22:08:23
>>100

「・・・・・・・・・・」
「なるほど」「いえ、納得できました」

どうやら、本当にただ病院を見に来ただけのようだ。
自分には理解できないが、世の中の人の趣味嗜好はそれだけ様々なのだろう。
例えば病院の清潔な感じが好きとか、消毒されてアルコールの匂いが好きとか、そういったものかもしれない。
ただ失礼ながら、少し変わった人だな、とは思ってしまったが。

「練習…ですか」「何か、効果的な特訓方法をご存知なのですか?」

治そうとしてくれる申し出はありがたいし、方法を知っているのならば是非ご教授願いたい。
今すぐ恋人を作りたいとかは考えたことはないが。いずれは、そういう大切な人間が増えていってほしい。
身体を真横へ向けつつ、目線は地面を見ながら問い尋ねる。

102竜胆『ブラックシープ・シンドローム』:2019/06/26(水) 06:19:08
>>101

「ふぅん、そっかそっか」

「分かってくれたかぁ」

口許が弧を描く。
にんまり、という感じだ。

「効果的も何も少年、こういうのは何事も慣れなんだぜ?」

「苦手だなんだって遠ざけてるといつまで経っても慣れないんだ」

「だからね」

ずずいと女が寄ってくる。
視界の中に収まる彼女の足の面積が広くなった。

「まず、お姉さんの目を見なさい」

103鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/06/26(水) 22:19:30
>>102

「っ」

視界に入ってくる女性の足に、目線を反対方向、ベンチの背側に向ける。名も知らぬ植物の茂みが見えた。

>「まず、お姉さんの目を見なさい」

「それ、は…」

『Lesson1』という事なのかもしれないが、初回から難易度が高い。
個人的には、その辺りは『Lesson4』くらいだ。いや、具体的に内容を考えたことはないが。
『Lesson1』を自分で作るなら、女性へLineを送るくらいだ(鳥舟さんへは半日かけて内容を考えた)。

だが、せっかく自分の為にこの女性が協力してくれているのだ。しかも、彼女には何の得もないというのに。
ならば男として、この申し出を無下にはできまい。深く息を吐き、勢いよく視線を合わせる。

「──────────ッ!!」

鉄の灰色の瞳が、女性の瞳を見つめ返した。

104竜胆『ブラックシープ・シンドローム』:2019/06/26(水) 22:45:05
>>103

「よし」

思わず背中に走る感覚を味わう。
背骨を伝わる冷たいが熱いもの。
これは喜びというものだ。
女は楽しい。

「逃げるな? 目線はお姉さんに合わせなさい」

その声は脳に響く。
鼓膜を通ってそこにたどり着く。

「お話して?」

ゆっくりとまた距離を詰める。

105鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/06/26(水) 22:56:10
>>104

目線が合う。
やはり女性という生物は、自分とは、男とは違う。
身にまとっている雰囲気もそうだが、こう、何というか、柔らかいものがある。
それは骨格的なものなのだろうか。それとも肉感的なものだろうか。
剣道の試合ならば、立会いから取るべき行動は分かる。相手の行動に対して次に何をすべきかも。
だが、完全に未知の生命体で、しかも男と比べて美しい相手には、何をしていいか分からない。
何を話すべきかも分からず、迂闊に動けば傷付けてしまうのではないかとも思い、
そしてその動揺を感じとられているようで─────。

「無理、です」

ギブアップした。目線を外し、再びベンチの端に下がって距離を置く。
これ以上は、身体を休める前に心がやられてしまいそうだ。

106竜胆『ブラックシープ・シンドローム』:2019/06/26(水) 23:07:18
>>105

「早えー!」

そう言ってけたけたと笑った。
愉快そうだった。

「ごめんごめん、刺激が過ぎた。ふふっ、あははっ、ほんとに苦手なんだねぇー!」

手では謝罪しつつも笑いは止まらない。

「ま、仕方ないね。少年ごめんごめん」

「でも、ここまでとは思わなくってさ。最終的には首に腕回したりおでこくっつけるとこまで行く予定だったんだけどさぁー」

今のレベルだと茹だってしまいそうだ。
君のことを考えているようで考えていなかったのかもしれない。

「ごめんね?」

107鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/06/26(水) 23:23:24
>>106

「・・・・・・・・・・いえ」

絞り出したような、小さな声になった。
これならまだ部活動の合宿の方が、優しく思える。剣道の試合が男女混合でなくて、本当に良かった。
そして、自分は本当に女性が苦手なんだな、と改めて実感する。
何度か会えば多少はマシになるが、初対面だと目を合わせられて数秒だ。

「至らないのは、オレの未熟さ故であって、あなたは何も悪くないと言いますか」
「そもそも、オレを見兼ねて助けようとしてくれたあなたに対して、自分こそ何もできずに、申し訳ありません…」

己の不甲斐なさに肩を落とす。
と、そういえばこの人の名前を聞いていなかった。

「そういえば、お名前を聞いていませんでした」
「オレの名前は鉄 夕立(くろがね ゆうだち)です。お手伝い頂き、ありがとうございました」

一礼をする。

108竜胆『ブラックシープ・シンドローム』:2019/06/26(水) 23:38:31
>>107

「いんや? こっちも楽しんでたからお互い様ってことで」

まだ笑みの抜けきらない顔で言った。

「夕立くんね、おっけーおっけー」

「お姉さんは竜胆。竜胆お姉さんでも竜胆お姉ちゃんでもお好きなように」

「あ、そーだ。君に準備が出来たらまたトレーニングしてあげるよ。連絡先、交換しよっか?」

スマートフォンを取りだした。

(君みたいな子は目をつけておきたいしね)

109鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/06/26(水) 23:48:22
>>108

「竜胆さんですね。了解しました」

名前を記憶しておく。
竜胆。確か植物の種類だった気がする。花の形や花言葉までは知らないが。
名字だろうか、それとも名前だろうか。とはいえ片方しか言わないというのは
恐らくそちらの呼称が好ましいのだろうと判断した。竜胆さん、だけで十分だろう。

>「あ、そーだ。君に準備が出来たらまたトレーニングしてあげるよ。連絡先、交換しよっか?」

そう言ってスマホを取り出した竜胆さんに、申し訳なさそうに首を振る。

「その、実は自分のスマホを人に預けたままにしていまして…」
「もしよければ、オレの電話番号とLineのIDを書かせて頂きますが」

メモは持ってきてないが、竜胆さんのスマホのメモ帳にでも書かせてもらおうか。
しかし、早いところ塞川さんからスマホを返してもらう必要がある。
とはいえまた会える保証などない以上、新しいスマホを買うべきなのかもしれないが。
臨時収入があったとはいえ、無駄遣いはしたくない。

110竜胆『ブラックシープ・シンドローム』:2019/06/27(木) 00:06:07
>>109

「え、人に預けてる?」

「貴重品だぞ? 何考えてるの少年」

ちょっとびっくりだ。
目をぱちぱちさせていた。

「んー、じゃあお姉さんの電話番号とLINEのIDを教えてあげよう。手元に戻ってきたら君から連絡して」

ポケットからメモ帳とペン。

「仕事柄ね、いるんだ」

「ほら、あげる」

111鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/06/27(木) 00:22:53
>>110

「いえ、その、成り行きと言いますか」
「渡した後で、少し火急の用ができてしまいまして…」

竜胆さんの言葉はごもっともである。
今にして思えば『警察署』に行く前に返してもらえば良かったのだが、あの時は冷静さを欠いていた。
自分はそこまでスマホを使ってないと思っていたのだが、失くしてからその重要さに気付いた。
いや、それは流石に言い過ぎだが、やはり連絡をするという点でスマホの電話帳機能は必要不可欠だった。
今、自分は家族以外の人間に電話をかけることができないのだから。

「ありがとうございます」「仕事上…記者、なのですか?」

と、病院の方から看護師の人に名前を呼ばれた。どうやらそろそろ病室に戻る必要があるらしい。
渡されたメモ帳の一ページを胸ポケットにしまうと、立ち上がって再度礼をする。

「ご協力頂きありがとうございました」「またお会いしましょう、竜胆さん」

最後に少しだけ目線を合わせて、背中を向ける。ほんの少しだけ、女性に対して慣れられたかもしれない。
この人は病院が好きだと言っていた。入院中は、もしかしたらまた会う機会があるかもしれない。

112竜胆『ブラックシープ・シンドローム』:2019/06/27(木) 01:01:06
>>111

「ふふ、お姉さんのお仕事が知りたかったらもっと仲良くなることだねぇ」

意味ありげに笑ってみせた。

「さようなら夕立くん、また今度」

(……実はID、嘘なんだよね。電話番号だけが本当)

書いたIDは適当な企業の公式アカウントのものだ。
つまり、連絡を取るためには電話をしないといけないわけで。
別にショートメールでも大丈夫なのだけれど。

「次はもっと楽しいことができるといいね」

その背を見送る。
満足そうな目がずっと背中を見ていた。

113鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/07/01(月) 23:12:56
>塞川『クリスタライズド・ディスペア』

電話越しに伝えられた病室番号。それを確認し、ドアをノックする。
年上で、しかも女性だ。この程度の礼儀はわきまえている。

「こんにちは、鉄(くろがね)です」

114塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2019/07/01(月) 23:32:55
>>113
「ああ、入んなよ」

告げられた病室は『個室』だった。
ノックの後に、部屋内から返答がある。

「久しぶりだなァ、『夕立』。
元気そうで、何より。ってな」

ドアを開いた『夕立』を、ベッドから上半身を起こして迎えた。

115鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/07/01(月) 23:40:56
>>114

「失礼いたします」

ドアを開けて、一礼をする。チラリと視線を合わせて、すぐに病室の窓へと向けた。

「病院の中で元気というのも、妙な感じですけどね。少なくとも命があって良かった、という所でしょうか」
「オレは全治『3週間』でしたが、塞川さんも似たようなものですか?」

傍らの椅子に腰掛けながら、訊ねる。

116塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2019/07/01(月) 23:55:37
>>115
「ああ、私もそんなもんだよ。
ただ、もうほとんど治っちゃいる気はするがな。
大袈裟なんだよな。ほらよ」

椅子に腰かけた『夕立』に、『スマホ』を軽く放って渡した。
ベッド脇は、見舞い品と思わしき果物や書籍など、
雑多な品で埋まっている。

「そして、まずは礼を言わせてほしい。
奴の『スタンド』―――『スロウダイヴ』。
あれほどの戦闘能力を持っているとはな。
あんたがいなきゃ、マジにやばかった。私の見立てが悪かったぜ」

117鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/07/02(火) 00:09:54
>>116

「確かに、もう大分身体は動くようになってきましたね」
「患者に万が一の事があれば、病院側の責任になってしまうからでしょうか」
「…塞川さんは、こういった事態は手馴れていますか?」

放られた『スマホ』をキャッチしつつ、ふと訊ねる。
怪我に対して物怖じしないというか、大した事ではないと言い切るのは、こういった荒事に慣れているのだろうか?
そういえば、自分は塞川さんが普段どんな仕事をしているのか知らない。
差し入れらしき物を見る。彼女にそれらを持ってきたのは、職場の友人なのだろうか。


>「そして、まずは礼を言わせてほしい。
>奴の『スタンド』―――『スロウダイヴ』。
>あれほどの戦闘能力を持っているとはな。
>あんたがいなきゃ、マジにやばかった。私の見立てが悪かったぜ」

「いいえ、一人では危なかったのはオレも同じです」
「『ガラス化』という脅威があったからこそ、オレの刃も通じたわけですし」
「そもそも塞川さんの推理がなければ、犯人に辿り着けなかったと感じています」

「…『新聞記事』はご覧になりましたか?」

118塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2019/07/03(水) 19:59:22
>>117
「スタンド使いとのトラブルって意味なら……経験はないな。
だがまあ、面倒なヤツってのはどこにでもいるからなァ。
お、どれでも食べな。 見りゃわかるだろうけど、余ってんだよ。
ドカドカ持ってくる連中がいるからな」

鉄の視線に気づき、ベッド横の洋菓子のセットを乱暴に破いて、
中身を1つ取って残りを『鉄』に差し出す。
置いてある『果物』もだが、目の前のものも随分と『高級』に見える。
少なくとも、『同僚』が持ってくるようなものではなく……種類も豊富だった。

「ふーん、ま、そういう事にしとくか。
あんたがそーいうならな。
………『新聞記事を見たか、だと?」

鉄の言葉に表情を変え、
ベッド脇の書籍の一冊を掴んで、乱暴に『鉄』へ投げてよこす。
――『時雨蛙』だ。

「見てるに決まってるだろーが!
死んでるじゃあねーかよ、『切江』が!
どーなってんだ、一体!」

怒鳴った勢いのままベッドから起き上がり、
『鉄』の襟首を掴んで顔を近づける。

「あの後何が起こった?
時系列的に、私たちがあのビルに向かった頃には、
『立石』は襲われていた可能性は高い。あんたが『襲撃』について関係がある、とは思わねーが。
それでも、あんたは確かに何かに『気づいた』………そうだな?」

119鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/07/03(水) 21:21:45
>>118

(家族…あるいは、恋人だろうか?)

「ありがとうございます」

礼を述べながら、洋菓子の内の『プレッツェル』を手に取り、食べる。
持ってくる『連中』と言うからには、一人ではないのだろうが。家族と恋人、あるいは恋人たちの可能性もあるのだろうか。
あまり深くは突っ込まない方がいいかもしれない。

「─────」

と、投げられた漫画本を受け取る。これが『時雨蛙』か。結局、まだ読んではいなかったが。
入院中の間、塞川さんに貸してもらおうか。など考えていたら、襟首を掴まれた。

「その通りです」
「それでオレは『切江』に事情を訊きに行ったんですが、既に『立石』さん共々
 『通り魔』らしき人間に襲われてしまっていたようで、後はご存知の通りです」
「不可思議なことに、『切江』は襲撃者に対して一切抵抗はしなかったようですね。死を受け入れたかのやうに」

襟首を掴まれたまま、塞川さんの瞳を見ながら淡々と述べる。

120塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2019/07/03(水) 22:09:51
>>119
「ちっ……」

真っすぐな『鉄』の瞳から目を逸らすように、
乱暴に手を離す。

『切江』が何を考えたかは、私にはわからん。
推理ごっこをするのにも、材料不足だ。
だが……立石がついていながら、みすみす襲撃を許したというのは、
『普通』なら考えにくい。そうだな?」

「あんたの『気づいた事』とは何だ?
それが聞きたい」

121鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/07/03(水) 22:24:09
>>120

>「あんたの『気づいた事』とは何だ?
>それが聞きたい」

「数ヶ月前、オレの妹が『通り魔』に襲われました」
「犯人は恐らく『スタンド使い』です」
「そして『時雨蛙』の最終話」「その登場人物の一人は、オレの妹の『鉄 朝陽(くろがね あさひ)』でした」

「…『立石』さん達を襲った人間も、恐らく『スタンド使い』です」
「『切江』をブン殴ってでも、事情を聞くつもりだったんですけれど」

122塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2019/07/03(水) 22:51:07
>>121
「はぁ〜〜〜?なんだそりゃ?」

「……と、言いたいとこだが。
あんたの見ていた『頁』は、私も見ていたぜ。
確かに、腕を『切られた』、女がいたな。
そして、『他人の空似』ではないんだな?」

長い髪をかき上げて、窓の方を向いてぶつぶつと喋り出す。

「フン、これも『曳船』のスタンド能力……その一環か?
あるいは、こんな言葉を使ってやるのはシャクだが、『運命』なのか。
確かに、『切江』を殺ったのも、刃物ではあったな」

そして、鋭い目を『鉄』に向ける。

「事情はわかった。
で、現状、あんたはどうする気なんだ? 『夕立』。
その『通り魔』を見つけたいのか?」

123鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/07/03(水) 23:23:18
>>122

「間違いなく、あの子はオレの妹です」「まるで本人を見て描いたかのようでした」
「…オレの思い過ごしでなければ、切江はオレを知っているようでした」
「オレの妹も、もしかしたら何らかの形で見ていたかもしれません」

もっとも、覚えている限りこちらには面識はないが。
剣道の大会にでも来たのだろうか。

>「事情はわかった。
>で、現状、あんたはどうする気なんだ? 『夕立』。
>その『通り魔』を見つけたいのか?」

「もちろんです」「オレはその為に『スタンド使い』になりましたから」

「…ご馳走様でした」

プレッツェルを食べ終えた。

124塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2019/07/03(水) 23:53:32
>>123
「わからないか? 『夕立』。
もはや『切江』はいない……答え合わせをすることはできねーが。
あいつが偶然にも、あんたの妹を、
そして『通り魔』を繋ぎ合わせ
偶々『現実』に近い絵を描いたと考えるよりも、
もっとわかりやすい答えがあるじゃあねーか」

「つまり、奴は『見た』んだ。
その『通り魔』の瞬間を!
あんたがその場所に『居た』ってんなら、
『切江』があんたを知ってるって事も腑に落ちるが、それは多分違う。そうだな?
真実はもっと複雑だろう」

冷静に見える『鉄』を観察しながら話す。

「『切江』が見たって事は、その逆も然り。
そう考えるなら、今回の『襲撃』が出来た理由……というか、因果もうっすらと見えてくる。
切江が通報しなかった以上は、『口封じ』という訳ではなさそうだがな」

>「もちろんです」「オレはその為に『スタンド使い』になりましたから」

「聞きたいのはその先だ。
『通り魔』を見つけて………そしてどうするんだ?
私に言わせれば、あんたは危なっかしいんだよ。
一見すると、『生真面目なヤツ』って印象だったが………決定的なところが、危なっかしい。
『危険』だ。
それは、あんたのスタンドを見てもわかる」

125鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/07/04(木) 00:38:00
>>124
>「つまり、奴は『見た』んだ。
>その『通り魔』の瞬間を!
>あんたがその場所に『居た』ってんなら、
>『切江』があんたを知ってるって事も腑に落ちるが、それは多分違う。そうだな?
>真実はもっと複雑だろう」

「…その場合、この最終話に出てきた他の人間も『通り魔』の犠牲者の可能性もあるわけですか」
「オレの妹の事件が、最初で最期の目撃だったのかもしれませんが」

『通り魔』にインスピレーションを受けたということか。
だが、それが『スタンド』による犯行ならば切江には見えなかったはずだ。
しかしあそこまで『漫画』に人生を費やしてきた切江ならば、何かを感じ取ることができたのだろうか。

「…やはり」「塞川さんにこのことを相談して良かった」

自分の予想の更に先を推測してくれる。これが犯人を追い詰める手がかりになるかもしれない。
もちろん決め付けるわけにはいかないが、視野が広がるというのはありがたいことだ。

「…アレが何かの間違いであったなら、数発殴る程度で終わらせますが」
「もし意図的に行ったのであれば、『再起不能』にします」
「そう思っていたのですが、どうやら後者で決まりのようですね」

126塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2019/07/04(木) 21:05:00
>>125
「……そういうとこが危ないんだよ。
あんたは、どこか『行き過ぎ』の部分がある。
思い当たるところはないか? 自分の『暴力性』に………」

ベッドから立ち上がり、表情を隠すように、
『鉄』から背を向けて窓の方を見る。

「『立石』を襲ったのは、犯人にとっても計算外の筈。
警察の捜査も、更に厳しくなる。『身内』をやられたからにはな。
あんたは大人しくしとけ。『夕立』。
わざわざあんた自身の手を下さずとも………
犯人が捕まりゃそれで良いだろう。違うか?」

127鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/07/04(木) 21:59:23
>>126

「・・・・・・・・・・」

「『正しさ』や『優しさ』はとても大事なことですし、皆なるべくそう生きるべきでしょう」
「ただ、それだけで何事もなく生きられるなら、朝陽は『通り魔』に傷付けられることなどなかった」
「そういった事をしてくるようなヤツらには、同じ手でやり返さなくちゃあいけないってことです」


鉄を案じる塞川の言葉にも、耳を傾ける気はないようだ。
普段なら女性と目も合わせられない男だが、この件に関する時は、誰に対しても目を逸らさない。
ちょうど今、背中を向けている塞川に対しても、真っ直ぐすぎる瞳を向けているように。


「…無論、犯人が捕まり正統な裁きを受けるのであれば、オレはそれが最善だと思っています」
「ですが、もし犯人が『スタンド使い』なら」
「それは立証することは難しくなる…そもそも、ただの暴漢なら、『立石』さんが捕まえていたかもしれません」
「そういう想定で、オレはこれからも動くつもりです」

「…貴重なご意見、ありがとうございました」

立ち上がり、塞川さんの背中に向かって一礼をする。

128塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2019/07/04(木) 22:16:19
>>127
「礼を言うような事は何もないだろ。
あんたは…………」

窓から離れ、つかつかと『鉄』の傍へと近づく。
何かを言おうとして、ひと呼吸の後、ため息をつく。

「………ま、いいかァ。
年寄りの説教ほど、うざったい事はねーからな。
おう、好きにしな。ただ、私もかませろ」

諦めたような表情で、にやりと笑う。

「私は正義も信念も、別に持っちゃいねーが。
このままじゃあ『加佐見』も、『切江』も。誰も救われないぜ。
私は私の方で『通り魔』の情報を探る。
そして、なにかあったらあんたにも教えてやる。どうだ?」

129鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/07/04(木) 22:54:40
>>128

「塞川さんは、年寄りとは全く思えませんが…」
「いえ、それよりも」「オレの個人的な行動に付き合う必要は…」

と思ったが、切江らの事件について、塞川さんも思う所があるようだ。
自分のせいで危険な事件に首を突っ込ませてしまうのは気がひけるが、
それが塞川さん自身の目的もあるならば、止める権利などない。
むしろ、こちらとしてもありがたい。

「ならば、承知しました」
「オレも『通り魔』の件で分かることがありましたら、すぐにお伝えします」
「…『共同戦線』というヤツですね」

塞川さんの笑顔に合わせて、こちらもニヤリと笑った。
連絡先は現金盗難事件の時に交換しておいた。いつでも連絡は取れるだろう。

「まぁしかし、ひとまずは安静にして傷を治さなければいけませんね」
「スマホも預かって頂き、ありがとうございました」「またいずれ、お会いしましょう」

そう言って、病室を去る。
戦力的にも、そしてそれ以外の面でも、ありがたいと味方ができた。
例え捜査自体が進展していなくとも、犯人を捕まえる為の準備としては大きな前進だ。
静かに拳を握りしめ─────そのために部屋に帰り、一日も早く傷を治さなければ。

130塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2019/07/08(月) 20:01:08
>>129
手を上げて見送った。

「しかし、あいつ……『やり返す』だと?
やはり、危なっかしいぜ。
先走って動かなきゃあいいが………」

暫く、病室の扉を見て考え事をしていたが、
頭を振ってベッドに戻り、雑誌を読み始めた。

131鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/07/12(金) 20:10:59
「お世話になりました、ありがとうございました」

>>88『退院』

132神原 幸輔『ストロンガー・ザン・アイアム』:2019/12/10(火) 23:32:24
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1534589466/894

神原 幸輔『ストロンガー・ザン・アイアム』⇒『全治二ヶ月』

『肋骨骨折』
『脛骨にヒビ』
『両足にⅡ度の火傷』
『顔・胴体・両手にⅠ度の火傷』
『全身打撲』

133神原 幸輔『ストロンガー・ザン・アイアム』:2020/06/21(日) 01:23:27
退院

134宗像征爾『アヴィーチー』:2020/07/29(水) 21:25:31
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1592147795/127

『左肩刺傷』『左肩筋断裂』『全身に噛み傷』
『全治七ヶ月』

『入院』

135宗像征爾『アヴィーチー』:2020/08/02(日) 20:15:16

中庭のベンチに男が座っていた。
おもむろに右手を伸ばし、左肩を掴む。
そこには『銛』で貫かれた傷跡が残っている。

「『中務真尋』――」

『エクリプス残党』だった『下村右京』の仲間。
そいつの事は何も分かっていない。
分かっているのは『女』であるという事だけだ。
『妖甘』と『道具屋』によると、残党は他にも存在する。
下村も中務も、その一部に過ぎない。

「――『入院中』を狙ってくるかとも思ったが」

俺の能力は既に割れているが、俺は中務の能力を知らない。
今後もし戦う事になれば、こちらが不利になるだろう。
厄介な条件が一つ増えた事になる。

136宗像征爾『アヴィーチー』:2020/08/05(水) 22:11:35

『エクリプス残党』の存在は、確実に脅威となる。
そして、奴等を排除する為に『アヴィーチー』は役に立つ。
多少でも利用価値があるなら、それを活かした方が効率的だ。
『アヴィーチー』の能力は、傷付けるか殺すしか能が無い。
それ以外の事に向かない以上、尚更だろう。

「『先』は長そうだな」

立ち上がり、静かに歩き出す。
『必要な時』に備えて、今は治療に専念しなければならない。
やがて、その後姿は病院内に消えていった。

137青山 流星『ルイゾン』:2020/08/09(日) 20:48:35
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1592147795/127
『右脚筋断裂』
『全治四ヶ月』

138『その夕立に雨傘を』:2020/11/20(金) 01:12:54
【ミ】『念然』
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1604323728/

氷山『エド・サンズ』 → 『額を含めた三十二ヵ所の裂傷』。『全治二週間』
               ……『夕立エピローグ』の期間を差し引き、『全治一週間』。

朝山『ザ・ハイヤー』 → 『鎖骨骨折』、『顎下部骨折』、『全治三週間』
               ……『夕立エピローグ』の期間を差し引き、『全治二週間』。

一抹『インダルジェンス』 → 『頭蓋骨骨折』、『眼窩負傷』、『全治三週間』
               ……『夕立エピローグ』の期間を差し引き、『全治二週間』。

斑鳩『ロスト・アイデンティティ』 → 『両肩脱臼』、『両脚に裂傷』、『喉部貫通痕』、『全治三週間』
                   ……『夕立エピローグ』の期間を差し引き、『全治二週間』。

塞川『クリスタライズド・ディスペア』 → 『額部裂傷』、『重度の頭痛』、『全治二週間』
                      ……『夕立エピローグ』の期間を差し引き、『全治二週間』。

夕立『シヴァルリー』 → 『右腕骨折』、『臓器裂傷』、『全治三週間』。
                ……『夕立エピローグ』の期間を差し引き、『全治二週間』。

音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』 → 『全身打撲』、『肉体の衰弱』、『胸骨半壊』、『全治四週間』。
                                ……『夕立エピローグ』の期間を差し引き、『全治三週間』。

139一抹 貞世『インダルジェンス』:2020/11/20(金) 02:00:20
「『何か』を失った気がする。これは…?
 あぁ、そうか。もう二度と『夢』には…」

一抹『インダルジェンス』→『頭蓋骨骨折』『眼窩負傷』『全治三週間』……『夕立エピローグ』の期間を差し引き、『全治二週間』。

「イダダッ…宗像さんに会いに行く前に傷を治さないと。
 『特別診療』のお医者さんァン〜! 居ますかー!」

一抹の所持金:『九十万』

140クスノキ『???』:2020/11/20(金) 02:22:37
>>139(一抹)
「あー、アンタこれ、『霊障』だわな」

無精ヒゲを生やした痩躯の男が『一抹』を一瞥し、やる気なさそうに肩を竦めた。

「寝て起きるでしか治らんよ。
 それとも『霊媒師』でも探してみるか?」

「んじゃ、『診察料』は『五万円』な」

141一抹 貞世『インダルジェンス』:2020/11/20(金) 02:39:06
>>140
「本当に存在するんですね…『霊障』って…」

寝て起きる。『魂』そのものが傷ついてる的な方向の怪我なのかもしれない。
診察料の『五万』をクスノキに渡す。

「流石に『霊媒師』は冗談キツイですよ。『悪霊』が
 実在するからって居るわけないじゃないですかァ〜」

冗談を軽く受け流して『入院』するとしよう。
寮から義父母へ連絡が行かなければ気づかれないだろう。

142クスノキ『???』:2020/11/20(金) 02:44:31
>>141(一抹)
「毎度あり」

ズゾゾゾゾ・・・

『クスノキ』は何の遠慮もなく『五万円』を受け取ると、
カップラーメンを食べながら『一抹』を見送った。

143一抹 貞世『インダルジェンス』:2020/11/20(金) 03:21:32
「斑鳩先輩にも教えておかないと。
 それはそうと宗像さんを呼び…公衆電話って使える
 かな…?」

一抹『インダルジェンス』→『2週間の入院』

144氷山『エド・サンズ』:2020/11/20(金) 19:11:43
氷山『エド・サンズ』 → 『額を含めた三十二ヵ所の裂傷』。『全治二週間』
               ……『夕立エピローグ』の期間を差し引き、『全治一週間』


「流石にずっと入院は飽きてきましたね・・・・」

入院からしばらく、病室で持ち込んだDVDを鑑賞して時間を潰していたが、飽きが来ていた
・・・・あの『戦い』から一週間
お見舞いに来てくれた友達の話で『鉄先生』がコンクールの『準優勝』を取ったという話を聞いた
自分の事のように嬉しかったが・・・・会場に行けなかったのが残念だ

「・・・・っ! いたたた・・・・流石にまだ痛い・・・・」

暇を持て余し、廊下やホールをふらふらと歩いている
包帯が巻かれた頭が痛むのか、時折額に手を当てながら、椅子に座って休んだりしている
そんな事を繰り返しながら院内をふらふらと放浪していた

145斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/11/20(金) 22:11:59
車椅子に乗せられた赤いスカーフを首に纏う少年が
待合室の大型スクリーンの前で『スマホ』を弄っている。

 「……嘘だろう。」

見る限りに解るような負傷は無いが、口角を動かすたびに顔をしかめ
その不機嫌そうな表情は少なくとも『健康』の二文字からは縁遠そうであった。

 「後輩はぼったくられるし、夏ごろのメールが今頃届いてるし、金で治るから此処にいるのに…」

『霊障』とはどういう事だこの野郎、アダージョの不快な笑みが思い起こされる、寝て治すしかないなら家でも治るんちゃうの?いる意味ねぇじゃん
なんなら『夕立』の奴に…アイツは多分嫌がるだろうが…妹さんにバレないように『金を貸す』まで考えていたというのに
想定はすべてパアである。

1週間ならまだしも3週間! 一週間なら友人に言いくるめれば何とかなるかもしれなかったが、三週間では教師から祖父母に連絡が飛ぶだろう その時点でアウトである。
祖父母にバレたら僕は確実に殺されるであろう。いや、死ぬ。

 (いや頑張っただろ皆、頑張ったよな僕?あんな新選組みたいに囲んでぐちゃぐちゃにするしかないような相手に致命傷まで引きずったよな?)

自身の身体を見やる、気持ち悪いほど清潔な衣服とスカーフの下で解らないが
脚部に刺し傷多数、肩に脱臼、首には見事に貫通跡。生きているのはあれが夢だったからで、現実なら今頃死んでいる。――別に構わなかったかもしれないが。

 (その結果がこれだよ!これだから努力っていうのは酷薄な信じるに値しない物なんだよ…!なんか後輩も運よく助けたと思ったらついでみたいに死んでるし。割にあわねーっ)

オマケに舌を回そうとするたびに喉に激痛が走る。
こんな苦痛はあの期待していた映画が大コケかました時以来だ。『ハリウッド』で『実写化』なのがなにもかも悪い。
がっくりと肩を落とす。

精々良い事といえば最近悪夢をさっぱり見ない事だ。あの場面を延々と見せられないだけマシかもしれないが。あんな場面でも両親の顔がまともに見れるシーンなのに。

 「ハァー……飛びてェー…ッ」

146氷山『エド・サンズ』:2020/11/20(金) 23:11:07
>>145
しばらく病院内をうろうろしていたら見知った顔を見つけた
見た目には怪我人の様には見えないが、実際の所、自分以上に重症のはず
『スマホ』を弄り、メールか何かを打っている『斑鳩』に近づき、声をかける

「こんにちわ、斑鳩先輩 なんだか、元気がなさそうですね」

声を出すと、まだ少し額の傷が痛む
少しだけ顔をしかめながら、言った

「まあ、無理もないですよね、『夢の世界』とはいえ、本当に殺されるような痛みでしたから
 私の方もまだあと一週間は入院してなきゃいけないみたいで・・・・」

147斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/11/20(金) 23:53:43
>>146

 「……あ、聞いてたぁ?」

車椅子を向ける、確か……そうだ 『氷山』だったかな。

 「いやぁ、いいのさ後輩。 痛いのは慣れたし 入院期間も2週間だし そう変わらない。」

――俺としてはアルコール漬けにした毬栗を飲み込んでるような感じだが。

 「悩んでるのは祖父母に説明がさ。 『夢の中で殺し合いしてました』でこの怪我は信じないだろ?
 あんまりあの人達に心配かけたくないんだよ。」

俺としても自分のミスで他人が気遣うなんてのは御免被る。
他人を頼らなかったのは『俺だけの責任』だからだ……結果的に死んだが、じゃあ他人を盾にして殺すのはいいのか?と言われたら、やはり御免被る。
他人の責任など持って歩くのは真っ平御免だぜ。俺は。

 「まあこれは僕の事情だから関係ないとして……君は大丈夫か?色々。」

夢の中とはいえ殺したろう。と言う所を此奴は言葉を濁した。

148氷山『エド・サンズ』:2020/11/21(土) 00:25:18
>>147

「聞いちゃってました・・・・ というか、見た目でわかりますよ!」

少し大きな声を出すと、頭に痛みが響いた
いたた・・・と小声で言いながら、その辺にあった椅子に座る

(そういえば、斑鳩先輩ってどんな人なのか全然わからないんですよねー
 あの時は・・・・・初対面のままなし崩し的に色々ありましたし)

「まあ、家族に説明するのも難しいですよね
『スタンド』や『夢の世界』の話なんてしたら別の病気を心配されそうですし

 ・・・・・斑鳩先輩って意外と『家族思い』なんですね」

『あの時』は皮肉気な口調で言葉を投げる姿ばかり見ていた
そのせいで氷山の中では『ドライで冷たい人』なイメージが出来ていたのだが・・・・
どうもそれは『斑鳩』という男の一面にすぎなかったらしい
心の中で少し反省する

>「まあこれは僕の事情だから関係ないとして……君は大丈夫か?色々。」

「あー・・・・ まー・・・・ そうですね、まあ、大丈夫な感じにやってますよ」

行間に隠された意味を察し、少しだけ目を伏せる
意識的に口元を上げて、弱い微笑みを浮かべながら言う

「気にならないと言えば、嘘になりますし、
『やってしまった責任』を取るために生きる、とか言おうものなら
『あの人』に『何、わかったような口をきいてんだ』ってキレられそうですけど・・・・

まあ、それはそれ、これはこれ、で生きていくしかないですからね」

149『ニュー・エクリプス』:2020/11/21(土) 00:25:21
>>146-147

――ガラガラ

「もがもがもがもがもが」

城生「佐生ちゃん。何言ってるかわかんないよぉ
この人達、知り合い?」

エッ子「災難だよねー。なんか傾斜のある階段とかで足を踏み外して
大転倒するなんて。寿命が縮んだよー」

ムーさん「顎を動かさないように言われてるんだから、喋ろうとしちゃ駄目だぞ」

「……もが」

そんな会話をする中で、ニュー・エクリプスの首領こと
モーニングマウンテン! ……の、表の姿でもある朝山が
女子高生三人組に車椅子で押して貰いつつ颯爽とは言えないものの参上する。

鎖骨が折れてるので上手く歩くのに支障が出来てるし、顎も割れてるので
今は包帯を巻いて固定して喋る事は難しいのだ。

150斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/11/21(土) 00:47:13
>>148-149

落ち着くように手で促す、俺?俺はいいのよ
男には意地と根性で痛みを耐える権利と義務がある。

 「――わかっちゃうんだなぁ 聡い後輩は。」

――物分かりが良いのも考えもんだ。
ホントに家族思いなら、そもそもこんな事件に首を突っ込まないだろうと俺は思うがね。
『此処』にその『家族』がいるしな。パパとママが今の俺らを見たらどう思うんだか。

        コロセタラ
 「……俺ができたら良かったんだがよ、やらせちまったな。」

あの戦いは多々有るが、そこが一番……いや。
 
 「止めとこう。言い出したらキリが無いんだ僕は…で、家族思いで思い出した。」

 「ほら、夕立の奴も 妹さん。家族思いだろ?そういうところで仲良くなったんだよな、多分。」
 「で、何とか妹さんも無事に帰ったし アイツも生きてるし 僕達の勝ちさ、誇ろうぜ。それに――……」

――ニヤリと笑う。
そうだ、死んだら何も出来はしない、そういう意味では最初から勝っていたような物だ。

 「死んだら文句の言いようもないだろ? 解ったような口きいてこうぜ ――そら。」

向こうに見える芋虫…もとい首領を指さす。

 「生きてるからああいう……何だろう?見覚え有る気がするんだが。知ってる?」

151氷山『エド・サンズ』:2020/11/21(土) 01:15:17
>>149-150

「あはは・・・そういう訳にもいきませんよ
 それに・・・別に私は後悔しているわけじゃないですからね」


少しの間、目を閉じ、消えていった者達の事を思う
『黙祷』というわけではないが、心を切り替えるために必要な動作だ

「あー、なるほど、鉄先輩達も確かに仲良さそうな兄妹でしたよね!
 なるほどなるほど、そういう縁でお友達に・・・・」

鉄兄妹の話を振られて、先程までの憂いは一気に吹き飛び、笑顔となる
あの『二人』が無事に帰ってこれた事は、かけがえのない『成果』だ
その事を思えば、厳しい戦いだったとはいえ、戦った甲斐があるというものだ

「あれ・・・・?」

ふと、目に飛び込んできたものがある
もごもごとした変な『かたまり』
いつもの元気さは抑え込まれているようだがあれは・・・・

「あさやまさ・・・・首りょ・・・・いえ、朝山さん!」

咄嗟にどちらの名前で呼べばいいのかわからなくなったが
『仮面』もつけてないし、友達と一緒にいるみたいだから、『表の名前』で呼んでみた

152『ニュー・エクリプス』:2020/11/21(土) 01:26:33
>>150-151

「もがもがもがもが……」

ムーさん「二人とも、つい昨日ぶりっス
いかるん先輩も、あきあき先輩も見たところ怪我以外はなんとも
なさそうで安心したっスよ。……と、言ってるぞ」

城生「む、ムーさん。よく言ってる事わかるね」

エッ子「すっごーい」

何やら姦(かしま)しい四人である。中心である朝山は顔の半分は包帯で
両腕も固定のギプスをしてる為に、見た通り芋虫っぽい。

「もがもふぁもがが……?」

ムーさん「あさひー先輩や、そのおにーさんがどうかしたっスか?
と言ってるようだぞ」

朝山は話の途中から割り込んだ為に、どんな話か良く把握してないぞ!

153斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/11/21(土) 02:14:06
>>151-152
 
 (――強いな。)

成程、この氷山という後輩は見かけ以上にタフらしい
少なくとも精神的には。俺達よかよっぽど。でなけりゃあ、あんなスタンドは発現…そうだな、下手すりゃしょっぴかれるか。

 (相手の理解も、余裕がなければできない事か……僕にその余裕は無いんだろうな。)

テメェの事で手一杯、過去の事を引きずり続けて将来なんざ見えていない
そんなヤツが他人を理解したり共感する、というのも難しい話だろ。誰も期待何ぞしてねぇよ。

 「――……朝山?」

そして此方の『事故にあった事になっている』芋虫もとい、季節外れの包帯女は顎が砕けた状態で喋ってるらしい
……いや、俺より重症じゃねぇか つーかよく解るなオイ。普段からそんな事してんのかァ?

 「『アサヤマンガル』…!」

そんなものはねぇよ。

 「あ、どうも高等部2年の斑鳩です。」

 「いやね、偶々運悪くこんな事になってしまって。」
 「思えば同じ学校に通ってても学年違いであまり喋った事も無いし、共通の友人…の兄妹の話題を。」

俺達みたいなのが友人になっても困るたぁ思うが。
それだけアイツも切羽詰まってたんだろう、そういう関係もこの件が解決した以上は終わりだな。

――しかし、流石に夢の中で肩組んで殺し合いした仲ですとは言えねえだろう。
 スタンド使いか解らない相手3人連れてる中で、そういう話題も困る。

 「彼とどう知り合ったとかね……あ、そうだ」
 「寝たきりで僕は聞いて無いんだけど。彼の妹…『朝暘』さん。『コンクール』に出たんだろ?どうなったんだっけ。」

再三言っておくが此奴はこの舌を回すたびに喉奥で焼けた金属製のイガグリが転げまわっている
さっきと例えが違う?細かい事を気にすんな。

154氷山『エド・サンズ』:2020/11/21(土) 11:37:28
>>152-153

「えっと・・・・ 1年の氷山です
 朝山さんとはちょっとした縁で一緒に入院する事になりまして・・・・
 というか、凄いですね、よくこの子が言ってる事がわかりますね」

素直に感心する
それにしても・・・・朝山の病状は大分、酷そうだ
無理もない、あれだけの怪我を負えば包帯をここまでぐるぐる巻きにするのも必要な・・・

(え? 本当にここまで必要ですか!? 誰かの悪ふざけなんじゃあ・・・)

「あ、はい、鉄先生の『コンクール』の話ですよ
 あの後、『コンクール』がちゃんと開催されて、『準優勝』を取ったみたいですよ?
 鉄先輩も痛みを押して見に行ったみたいで・・・」

お見舞いに来た友達からの伝聞のため、詳細はわからないが
聞き及んだ限りの話を二人(+姦しい人達)に伝える

ふと、朝山を囲む人たちに視線を向ける
部外者の前で話していいものかどうか、少しだけ逡巡するが、
まあいいか、と観念した趣で話を続ける

「まあ、色々と酷い目にも遭いましたけど、
 二人が何事もないちゃんとした『日常』を取り戻せて良かったなーって
 ・・・・・まあ、そのせいで色んな人に心配をかけちゃいましたけど」

駆けつけてきた両親や、お見舞いに来た友達の顔を思い浮かべると
少しだけ、悪かったなー、という『罪悪感』が浮かぶ

だが、それ以上に『満足感』の方が大きく、笑みを浮かべる
『誰かの日常』を守れた事への『満足感』・・・・そして

心の奥底にしまい込んだ、『彼との闘い』で得た『感情』
良悪ないまぜになった想いではあるが、その重みを得た事に後悔はない

155<削除>:<削除>
<削除>

156『ニュー・エクリプス』:2020/11/21(土) 19:59:27
>>153-154

エッ子「目を離すと、直ぐに両腕がろくに動けないのに
踊りだそうとするから、大目に包帯で処置したよ!」

斑鳩と氷山の、重傷だとしても流石にやりすぎだろと言う朝山の惨状は
エッ子の仕業、と言うかナイスな判断による拘束のようだ。

自己紹介する彼女達三人は、城生 乗・佐々木 江南・比嘉 海霧と
告げてくれた。尚、斑鳩と同じ『高校二年生』だ……。

城生「斑鳩君、今日の学校での授業の分のノートの写し。どうぞ」

エッ子「斑鳩君も、氷山ちゃんも、サッちゃんも大変だねー
サッちゃんなんて皆勤賞は、これでもー絶望だよー」

「……もがもがもが」

ムーさん「学校に早く戻りたいし、権三郎にも家に帰って元気な
姿を早く見せたいっス。と、言ってるな」

「…………もがもがもがもが」

ムーさん「コンクールの応援行きたかったスね。
今度、クァンカンさんの焼肉パーティの時に改めて
お祝いを言いたいっス。との事だぞ」

エッ子「えっ!!? クァンカンってあの韓流スターじゃ……いやいや
サっちゃんが顔が広いとは言え、それは無いか」ぱし ぱしっ

クァンカンの名前にエッ子は少し驚くものの、似たような名前の赤の他人
だろうと笑って朝山の頭を軽く叩く。

不服の表情を朝山は浮かべつつ顔を揺れ動かす。

157斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/11/21(土) 21:14:05
>>155-156

 「お、サンキュ 3週間も離れるともう置いてけぼりだよなぁ。 …赤点は回避しないとなあ。」
 「この借りは元気になったら返すよ。」

……なんとか縮めたいが、生憎『霊媒師』なんぞ知り合いはまったくいない
精々、胡散臭い占い師が最近歩き回っているとクラスで話題になったくらいだ。

 (『ゴンザブロー』……あのでかいワンちゃんか。)
 (学生寮で見た事は有るけど、流石に病院には来れないしな。)

クァンガン…か
あ、やべぇ映画の失敗を思い出した

畜生、ありゃ名前だけ借りたただのハリウッド映画じゃねぇか
序盤の展開からして少し違うせいで、中盤のストーリの繋がりがもうバラバラ
終盤に至っては完全に別物、ラベルだけ原作に張り替えた単なる別物よ。

 (違う。僕は主人公がカビの浮いたコーヒー片手に主の居ない部屋で一人佇むシーンが見たかったのに)
 (羽を削った斧の化け物は?食堂のプラム対決は?単なる『死に戻り物』だよアレじゃあ。ド畜生が……!)

原作を知らなければ頭空っぽにして見れるハリウッド映画だろうに……。

 「――ゲホンゴホッ」

兎に角あの不快感を必死で飲み込む、あれはあれで成功している作品なのだ
だから原作と展開違うじゃねえかというのは飲み込んでファッキンシット。許さんぞ…!

 「クァン…ああ、あの韓流スターだろ、彼も急に消えたからね。ドラマチックなせいで色々言われてるけど。」
 「ファンならそう言いたいかもな……」

当たり障りなく言う他ねぇな
下手についてきてどういう事になったら責任とれねえし。

 「ま、退院後の楽しみが増えたと思おうか。『一抹』と『夕立』と…『朝暘』も誘えないかな?」

霊媒師……それに近い奴なら居たと思うんだが。

158氷山『エド・サンズ』:2020/11/21(土) 21:40:19
>>156-157

「な、なるほど・・・・
 確かに放っておくとすぐに危ない事してますし・・・・」

流石は朝山さんの友人、年季が違う・・・・と、
感心したような敬いの目を向ける

「クァンガンさんかー・・・・
 私はあんまり知らないんですけど、やっぱり有名な人なんですね」

脳裏に思い浮かべるのは若草先生に向けた歯の浮くような台詞の数々・・・・
うん、顔は良いけどあれはちょっとなー・・・・ ないなー・・・

「うん、いいですね、退院したら皆で『焼肉』に行きましょう!
 一抹くんに、鉄先生に、夕立先輩に・・・・それと」

「塞川さん・・・でしたっけ?
 夕立先輩と仲良さそうにしてた女の人・・・あの人も呼んでみたいですね」

その他にも『タダヒト』に『タカ』、『曳舟』、『ピエール』の顔も浮かぶが・・・・
裁判に、事後処理と、色々と忙しそうにしている様子を見ているため、声をかけにくいな、と思う

「そういえば、あの人(塞川)も夕立先輩の関係者なんですよね?
 先輩方は何か知ってます?」

159『ニュー・エクリプス』:2020/11/21(土) 23:01:28
>>157-158
(乱入してすみません、お付き合い有難う御座います。
こちらは、此処ら辺で退散します)

エッ子「おーっ 君達、焼肉パーティするのか!
私も行きたいぞーっ」

城生「もぉ、エッ子ってば図々しいって思われるよ。
けど、佐生ちゃんが退院したら。お祝いに家庭科室で退院パーティで
沢山御菓子は作ろうと思うから。早く良くなろうね」

一人、焼肉にテンション上げて両手を上げてアピールするが。城生が空気を読んで
上手く場の流れが関係が無い女子高生三人が一緒に来るようになるのを防ぐ。

ムーさん「塞川……いや、私達は知らない。ただ佐生が世話になった人なら
今度もし出会えたら。私達も良くお礼はするよ。
因みに、その代わりと言ってはなんだが『烏丸香奈枝』って言う私と同学年の子が
色々と町で調べてる事があるようだから。もし良ければ相談にのって欲しい」

そんな話をしてると、看護師が朝山を呼びに現れた。そろそろ投薬の時間なのだろう

「もがもがもふぁもが……」

ムーさん「それじゃあ二人とも、退院の日まで一緒に辛い病院生活だけど
頑張るっス……と、言ってるようだ」

城生「ムーさん、今度どうやって翻訳してるのか結構真剣に教えてくれない?」

エッ子「秘めたる乙女パワーの力だったりっ!!?」

きゃあきゃあ騒ぎつつ、三人と患者たる悪の首領は車椅子で運ばれつつ去っていく・・・。

160斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/11/21(土) 23:24:42
>>158-159

 「ああ、僕が言うのもなんだけど おきをつけて。」

去って行く朝山達に軽く手を振る
――やはりああいうのが『悪』の首領等と、土台無理な話だろう 喉がいてぇ。

 「そうだな…退院したらやる事は沢山有る これで終わりじゃないし、死なない限りは続きが有るんだよな。」

『他人と自分はまったく違う生き物である』
当たり前の事実だが、我々はとかくこれを忘れがちになる。

 「いったかな……僕も『塞川』という人は知らないんだよな、あの人、最初から中にいたろ?」

 「多分『夕立』とは知り合い以上だと言うのは解るんだけど、どうなんだろうな?」

 「あの性格だから、恐らくモテるだろうしなあ……案外いい人かもしれないぜ。今から聞きに行こうかな!面白そうだし!」

小指をたてる、年上狙いとはやるな夕立(二度目)
俺は娯楽に飢えている。こんな場所に括られていれば猶更。

 「しかしその夕立の妹さん 朝暘ちゃん……『準優勝』か。『2位』と言う事だよな。」

俺の価値観からすれば答えは決まっている
『1位とそれ以下には氷河のクレバスの如き断絶した差がある物だ。』
 
 「夕立や本人に会った時、『残念だ』と言うべきかな。それとも…『おめでとう』と言うべきかな?」

しかしそれを他人に押し付けてまで通す気は無い
自分の信念は自分だけが持っていれえばよいのだから。

 「あ……そうだ、『鳥舟』という『巫女』に連絡がつくかどうか聞きたかったんだが。」
 「一抹が医者に5万とられてこの怪我を『霊障』等というし、割と…藁にもすがりたいからな 『霊媒師』と似たようなもんだと思うんだけど。」

違っても多分ハーケンクロイツと神社のまんじ記号くらいの違いだろう…きっと。
そして喉が痛い。

161氷山『エド・サンズ』:2020/11/22(日) 00:21:55
>>159-160
(※お疲れ様です ありがとうございました! そして、こちらもこれで退散します)

「あれ・・・・? 『烏丸香奈枝』さん?
 そういえば、前に一緒に映画の話をした人もそんな名前だったような・・・
 今度会ったら話を聞いてみますね」

そんな事を話していると、『首領』が病室に呼ばれる時間となったらしい
車椅子に乗せられて去っていく『首領』の後姿に軽く手を振って見送る

「・・・・・・・あまり詮索をしちゃあいけない間柄かもしれないですね
 茶化したりしたら、怒られるかもですよ」

立てられた小指を見て、斑鳩の想像と同じ想像を浮かべる
じとっとした目で斑鳩に視線を向け、悪ふざけのような言い方にちょっとした抗議の意志を伝えた

(た、確かに! 少し話しただけですけど、実直そうな人だしモテそう――
 でも、年上!? い、いえ、年上だといけないわけはないですけど、
 真面目そうな感じに合わないというか・・・・・い、いや!もしかしたら塞川さんの方が!?
 ありえるかも! クールな感じの人でしたけど、夕立先輩の事を本当に思いやってそうでしたし!
 これが・・・・・・『愛』―――――――――――ッ!!)

だが、内心では斑鳩以上にゴシップに敏感だ!
隠そうとしても隠し切れずに好奇の目を輝かせている

>「夕立や本人に会った時、『残念だ』と言うべきかな。それとも…『おめでとう』と言うべきかな?」

「・・・・・私は『おめでとう』って伝えたいですね
 鉄先生がどう思ってるかはよくわかりませんが、音痴な私が偉そーな事言えないですし・・・ははは」

つい一週間前に、自分が『音痴』だと気づかされた事を思い出し、力なく笑う
斑鳩との価値観の『隔意』には気づいたが、とくに気には留めない事とした

「『鳥舟さん』・・・・? さあ、巫女さんに知り合いはいないですし
 あー、でも、『占い師』だったら凄く『良い人』を知ってますよ!
 『ラフィーノさん』っていう人なんですけどね! 凄く親切に色々と相談に乗ってくれて・・・・」

などととりとめのない話をしていると・・・・

「あ! そろそろ『テレビの再放送』が!
 ごめんなさい、斑鳩先輩!この辺で失礼しますね!
 皆が退院したら一緒に焼肉に行きましょう!」

と、言いながら足早に去っていった

162斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/11/22(日) 00:39:17
>>161

 「えー 気にならない? ぼくは気になるんだがなぁ……。」

ニヤニヤとしながらとりとめのない話をしていると
テレビの再放送とやらで後輩は去って行った

去って行く背に手を振って……口元に手をやる。

 「…………ゼヒュ。」

『多重人格』という物が生まれるに至るには、『苦痛』を己の心を切り離して押し付ける事から始まる。
であればこれが必然だろう、『俺』に押し付けた所で痛みそのものが消えたわけではない
『痛み』は身体の危険信号だ、無視して動かせばその分の負荷が飛び出してくる。

 (でも…ここに2週間もいるわけにはいかない、祖父母にもバレたくはない。)

 「おめでとうを…いいたい…か」

 (兎に角…何とか『連絡手段』を探す事だ、例えか細かろうが諦めなければ道は開く。)

おめでとうと言ってくれる人間がいる事は『幸福』なのだ。
取り戻そうとして何が悪い、諦めきれずに何が悪い 自分に出来るのは、どれだけ無様だろうと実行し続ける事だ。

 (電話帳…或いは病院内で話が聞ければなァ)

車椅子を両肩を軋ませながら動かし、探しに行く。
次の為に。

163宗像征爾『アヴィーチー』:2020/11/22(日) 16:37:48

入院してから、もうじき『四ヶ月』が経つ。
病院を歩くのも慣れた。
ここに担ぎ込まれた時と比べると、
体も大分まともな状態にはなっている。
だが、まだ『三ヶ月』は必要らしい。
中庭のベンチに腰を下ろし、見るとも無く周囲を見る。

「――今日も来ないか」

『奴の仲間』が入院中に仕掛けてくる可能性を考えていた。
しかし、今に至るまで何も無い。
見つかっていないのか、それとも機会を窺っているのか。
それさえも分からなかった。
奴らの事について、俺は何も知らない。

164一抹 貞世『インダルジェンス』:2020/11/22(日) 20:13:01
>>163
「いいえ、既に来ていますよ?」

腰を下ろしたベンチの後ろから聞こえる幼い声。
ゆっくりと正面に気配が移動すると…

「お久しぶりですね、宗像さん。
 命のやり取りでもしましたか?」

頭部に包帯が巻かれた白髪の少年の姿が現れる。
元からの幸薄い容姿に眼帯や包帯が加わり余命僅かな重病患者に見えるかもしれない。

「宗像さんを見つけたから後を尾行してみました。
 イタタッ…伏せたり這うのも楽ではありませ…痛っ!」

165宗像征爾『アヴィーチー』:2020/11/22(日) 21:17:40
>>164

連中の事は何も分からない。
向こうから仕掛けてくれた方が楽だ。
そのように考えていた時、背後に気配を感じた。

「いや――」

「大した事はしていない」

正面を向いたまま、背後の声に答える。
待っていた相手と違う事は分かった。
後ろを取ったなら、そのまま攻撃しない理由が無い。

「君も入院していたのか」

「――気付かなかった」

頭に巻かれた包帯に視線を向ける。
四ヶ月の間、この病院を隈なく歩き回った。
それで見つけられなかったという事は、
入院したのは最近だろう。

166一抹 貞世『インダルジェンス』:2020/11/22(日) 21:49:32
>>165
「お隣に失礼しますね。頭が揺れると痛むのです」

ゆっくりと宗像さんの隣に腰を下ろす。
先輩たちに比べると軽傷だが痛むものは痛む。
道中でズレた眼帯の位置を調整しながら宗像さんを見る。

「二日前に『三回目』の死を迎えた代償です。
 お金が有ろうとも治せない異常な傷。歯痒いものです」

「宗像さんの大したことじゃないは大事なんですよ?
 きっと町の裏側のいざこざに巻き込まれたに決まって
 ます」

自信有り気に宗像さんの瞳を見つめる。
身長差で少しキツイが多少の痛みは耐えられる。

「宗像さんは『降霊術』を信じますか? あの世から死者
 の魂を引き寄せるものです」

「もし、死人に会えるなら会いたいですか…?」

『アルモニカ』は『悪霊』のみを現世に降ろしていた。
だが、別の使い方をしていたら? 宗像さんの心の穴を
埋められるのではないかと考えてしまう。
その手段が存在したら宗像さんはどうするのだろうか?

167宗像征爾『アヴィーチー』:2020/11/22(日) 22:36:09
>>166

「俺の感覚では、人間の生死というのは分かり辛い」
 
「一見即死したように思えても、息が残っている場合もある。
 元気だった人間が、前触れも無く命を落とす場合もある」

「少なくとも、『三回』も死んだ人間は多くは無さそうだ」

こちらの事情を明かす必要は無いと考えた。
余計な災難を招く可能性が否定出来ない。
自分の行いの責任は自分で取る。

「君が遭遇したなら、あるんだろう。
 『スタンド』が存在するなら、
 そういった力があっても不思議は無い」

その『降霊術』とやらもスタンドの一種かもしれないが。
『死後の世界』があるとすれば、
それらもスタンドの産物なのだろうか。
あるいは、『地獄』も。

「いや――」

一瞬の間を置き、一抹の目を見返す。
瞳の奥には虚無的な光があった。
燃え尽きた跡に残った灰だ。

「――俺は思わない」

『命』は重い。
力があろうとなかろうと、どうこうして良い物ではない。
『生き返らせたいから生き返らせる』というなら、
『殺したいから殺す』のも許される事になる。
どちらにせよ、
力のある者が他人を弄ぶ行為と変わりが無い。
それでは『命』が軽過ぎる。

168一抹 貞世『インダルジェンス』:2020/11/22(日) 23:55:31
>>167
「宗像さんのそういったところが本当に好ましいです。
 唯一性を失った存在を簡単に消耗品とするのが人間
 ですから」

「命を軽んじる死人たちより高潔で生きるに相応しい」

残る片目を嬉しげに輝かせながら宗像さんの眼を見つめ返す。
別の手段で『悪霊』の類いが現世に現れようと宗像さんなら誘惑を断る。そんな気がする。

「『アルモニカ』って聞いたことがありますか?
 奏でる者を天に導くとか演奏を聴いた者たちが暴動を
 起こすと言われる呪われた楽器」

「それを『ピアノ』として復活させた者が町に居たので
 す。『殺意』を研ぎ澄まし『悪霊』を操る。
 彼の思い通りに事が進めば、この町は『悪霊』だらけ  となり望まずスタンドに目覚める者たちがだらけに…」

「実際、敵の計画は成功寸前だったんです。
 『音痴』なスタンド使いが運悪く四人も居残りさせら
 れたり、その中に『悪霊』に対して異様に強い私が
 混ざっていなければ…」

『サンダー』と『アダージョ』の天敵である斑鳩先輩。
スタンドのスペックを自在に操るあさ…『モーニング・マウンテン』さん。
味方だけでなくアダージョの精神にさえ寄り添った氷山先輩と『サンズさん』。
無数の鳩で万物を硝子へと変える塞川さん。
数多の『悪霊』と蛇尾川に一人で打ち勝った夕立先輩。
そして、私の心の支えである宗像さんと小林さん。

「運悪く『エクリプス』なんて犯罪組織の最前線で
 猛威を振るった最悪のスタンド使い二人と遭遇した
 時は泣きそうでした」

「でも、宗像さんの住む町を守りたいと思って頑張って
 きました。それでですね。
 ちょっとお願いがありまして…大丈夫かな…」

実の父でもない宗像さんに頼むのは非常に勇気がいる。
チラッと恐る恐る宗像さんの眼を再び覗く。

169宗像征爾『アヴィーチー』:2020/11/23(月) 00:35:04
>>168

「知らないな。聞いた事が無い」

「常軌を逸した相手である事は分かった」

実際に居合わせた人間でなければ、全ては理解出来ない。
それでも、規模の大きな内容である事は察した。
この街には『エクリプス』の残党達が潜んでいる。
それらは一つ一つが集団であり、
総数は一つや二つでは無い。
連中も脅威だが、一抹の遭遇した相手は、
それ以上の危険性を秘めていたのかもしれない。

「だが、『命』があったのは何よりだ」

『三度死んだ』という言い方に引っ掛かりは感じた。
単なる比喩とも思えない。
『そういう能力だった』と考えるのが自然だろう。
どちらにしても、一つの事実は存在する。
一抹の命が潰えていたとしたら、
今日ここで話す事は無かったという事だ。

「――何だ?」

内容を聞かなければ答えようが無い。
どんな頼み事かは知らないが、話の先を促す。
何度か顔を合わせてはいるものの、
それで心の中を読めるようにはならない。

170一抹 貞世『インダルジェンス』:2020/11/23(月) 01:07:37
>>169
「『エクリプス』って方々に気をつけてくださいね?
 何やら現代版ナチスのような扱いをされているので…」

「宗像さんは無茶するから心配になりますよ。
 私のように『夢世界』なら死んでも大丈夫ですが…」

ただ、気になるのは『夢』を見なくなったことだけ。
スタンドを使った殺し合いの後は悪夢を必ず見る。
しかし、今回は『夢』すら見ない。
この不思議な現象が厄介事を引き寄せなければ…

「えっと、そのですね。今回は奇跡的に生き残れました
 でも、次は本当に殺されてしまうかもしれません」

「そうなる前に頭を撫でて欲しいな、と思いまして。
 私と宗像さんに血の繋がりはありません。
 けど、宗像さんみたいな人が父だったら…良いなぁ…とか…」

「せめて死ぬ前に一度で良いから頭を撫でてもらいたくて…」

一度で良いから父親に頭を撫でて欲しかった。
義父は優しくて良い人だが父親というには歳が違いすぎる。
不思議と宗像さんは父親っぽい感じがして後をついて行ってしまう。
いつ自分が死ぬか分からない。そう思ったら死ぬまでには宗像さんに甘えてみたいと思ったのだ。

171宗像征爾『アヴィーチー』:2020/11/23(月) 01:34:37
>>170

「――分かった」

『エクリプス』という名前を耳にするのは、
初めてでは無かった。
既に交戦し、残党の一派に『能力』も知られている。
報復を待っていたが、まだ気配は見えない。

「それで君の気が済むなら、やる価値はあるだろう」

「だが、慣れていない」

おもむろに腕を持ち上げ、隣に座る少年の頭に手を置く。
それだけの動作をするのに時間は掛からない。
誰でも出来る事だ。

「多少乱暴になるかもしれないが――」

その時、『どうするべきかが分からない』事に気付いた。
忘れてしまったのか、
それとも最初から記憶に無かったのか。
いつの間にか、それすらも曖昧になっていた。
やや間を空けた後、
思い出すかのように『撫でる』という動作を行う。
客観的に見れば、やや荒い手付きだった。

172一抹 貞世『インダルジェンス』:2020/11/23(月) 02:31:14
>>171
もしも、私に父親が居たら今のように甘えることが出来たのだろうか?
血の繋がりは無い。ただ、一方的に懐いてるだけだ。
それでも無限の地獄を強く歩む姿が私の理想とした存在で憧れたから…

「ん…? どうしました?」

「包帯さえ無ければ…いや、でも良かった…
 また宗像さんに会えたし撫でてもらえたから…」

一瞬だけ宗像さんの動きが止まったのが気になる。
宗像さんも子供を撫でるのが初めてで戸惑ったのだろうか?
……私は宗像さんの子供の代わりにはなれないだろう。
そこは唯一無二の席だ。未来永劫に座れない場所だ。

「さては初めてでしたね? やったー?
 そういえば、私も撫でてもらうのは初めでした」

「……宗像さんは『エクリプス』と遭遇したら逃げずに
 戦いますか? やっぱり写真の人と過ごした町を守り
 たいと思いますか?」

「私は彼等の計画を二度も邪魔しました。
 行き場の無くなった悪党の居場所が復活するには充分な
 戦力の蘇生を」

「流石に見なかったことには出来ません。
 あちらも考えは同じでしょう。メンツもありますから」

「もし、仮に私が『エクリプス』のスタンド使いに
 殺されたりしたら…宗像さんは悲しんでくれますか?
 逆に宗像さんが『エクリプス』のスタンド使いに
 殺されたら…」

そいつを追いかけて八つ裂きにしようとする。
宗像さんの『残火』と違う、私の『報復心』は一気に燃え盛り憎悪のままに戦う。
宗像さんは私が死んだら…この人の薪になれるだろうか…?

173宗像征爾『アヴィーチー』:2020/11/23(月) 03:04:56
>>172

「何でも無い。考え事をしていただけだ」

頭に添えていた手を離す。
これが何かの役に立つのなら意味はあるのだろう。
それが何なのかは、俺には分からない。

「過ぎた事は良い。だが、俺には『スタンド』がある」

「俺に大した事は出来ない。
 それでも、使わずに腐らせておくよりは、
 何処かで役立てた方が建設的だろう」

「それだけの話だ」

俺に生きている意味は無い。
だが、ただ死ぬだけでは非生産的だ。
『藤原しおん』が引き出した力を、
街の為に役立ててから死ぬべきだろう。
この世界で死ぬまで足掻く。
『アヴィーチー』を得た事に意味があるとすれば、
それぐらいだ。

「俺からも一つ言う事がある」

「――『死ぬな』」

もし一抹が命を落とせば、
彼の身内や友人が痛みを抱える事になる。
復讐を考える者もいるかもしれない。
その目的を果たせたとしても、果たせなかったとしても、
待っているのは『地獄』だろう。
居心地が良いとは言えない場所だ。
そこに来る人間は少ないに越した事は無い。

174一抹 貞世『インダルジェンス』:2020/11/23(月) 06:18:20
>>173
「私は『エクリプス』のスタンド使いに圧倒されて
 ばかりでした。けれど、『救い』を与えました
 『アリーナ』を裏切り悪に堕ちてまで死闘を求め、
 死後も満たされぬまま殺戮と死闘を望む武人」

「『悪感情』の鎮静と『慈悲の刃』の無痛斬撃。
 しがらみから解放されて彼の満たされた一瞬を
 斬り取るように『インダルジェンス』は首を裂き…」

「『安楽死』を与えました。そして、私を二度も殺した
 男は『インダルジェンス』は悪の芽を摘めると…」

『インダルジェンス』の本質は普通のスタンドとは違う。
『痛み』を消し去ることは出来ない。それを糧として未来に進ませることが本質だ。
どれほど『痛み』に苛まれようと捨て去ることは出来ない
アイデンティティは『痛み』から形成されるのだから。

「宗像さんのように私も強く生きたい。死にたくない…
 『死』という安易な結末を…スタンド使いは選べない…
 私は生きる価値が見出だせないけど生きるしかない…」

「私に生きる『価値』は無い。けど、私のスタンドが
 誰かの役に立てるなら生きなきゃ…宗像さんのように…」

「私のために『復讐』を考えるような人達は居ません。
 義父母は悲しんでくれるでしょう。
 でも、宗像さんが死ぬなって言ってくれて嬉しい…
 本当に嬉しくて嬉しくて…まだ頑張れそうです…」

救われたように宗像さんへ微笑む。
どれだけ傷を負おうと宗像さんの言葉がある限りは生きていられる。
宗像さんの行く末を見届けるまでは死ぬわけにはいかない。


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