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【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その1

1名無しさん:2016/01/18(月) 01:58:24
短編、単発のミッションなどにお使いください。
長編やシリーズものの予定でしたら、自分のスレで行うことをお勧めします。

555鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2018/05/26(土) 01:56:54
>>554

「……なるほど」

賭けではない。
賭けではないのか。

(じゃあなんでお金を……?)

(厳密には、かぁ。やから近くあるはずなんよね)

もう少し深く掘るべきか。
他に目を向けるべきか。

「じゃあ『お金を相手に渡してるのは罰?』」

556『街角のS』:2018/05/26(土) 15:37:19
>>555

賭けというのは、勝った側が得をするようにできている。
『得』の反対は『損』だ。
それを考慮すると、罰として渡すというのは賭けに近い発想と言えるだろう。

  《答えは『イエス』だ。しかし、それだけで正解とするのは物足りないな。
   最初に言った通り、二人は一万円札を交互に指で押している。
   そうなるに至った『経緯』を説明してもらいたい》

『罰』という点は当たっていた。
あとは、その背景を推測しなければならない。
質問は、まだ『六つ』残っている。

557鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2018/05/26(土) 23:17:52
>>556


「正解とは言えんっちゅうことは……その先が見つかれば王手、やね?」

罰というのは分かった。
では罰になった背景の確認だ。
合っているかいないか。

「『二人は禁煙しようとしている?』」

一番罰として成り立ちそうな理由だがどうか。

558『街角のS』:2018/05/27(日) 00:49:54
>>557

タバコ、そして罰。
この二つから推測できる最も可能性の高いものは、やはり『禁煙』だろう。
鈴元少年の出した答えを聞いて、ロダンは軽く唸って見せた。

  《――『イエス』だ。君は、こういった分野が得意らしいな。
   二度も続けてあっさりと解かれてしまうとは思わなかった》

結果は正解――『王手』だ。
ロダンが、ぱちぱちと目を瞬かせた。
その反応から、連続での早解きが意外だったことが分かる。

  《概ねは君の言う通りだ。二人の男は互いに禁煙を誓い合った。
   そして、それを破ったら一本につき一万円を相手に支払う取り決めをしていたのだ。
   しかし、片方の男が我慢できなくなり、タバコに火をつけて一万円札を相手の方に押しやった。
   だが、それを見たもう一人の男も誘惑に負け、タバコに火をつけ一万円札を相手に押し返した。
   あとは、その繰り返しだ。『寸劇のワンシーン』といったところだろう》

  《涼、君は賢い少年だ。見事なものだ。
   次で最後――私も、この締めくくりに相応しいものを出すとしよう。
   準備はいいかな?》

ロダンは言葉を切り、薄く目を細める。

  《――では、『最終問題』を始めさせてもらう。
   君には、ある屋敷で起こった『殺人事件』の謎を解明してもらおう》

559『街角のS』:2018/05/27(日) 01:08:03
>>558

  《――最初に、概要を説明しよう。
   ある屋敷の一室で、主人が死体となって発見された。
   現場は地下にある書斎だ。主人は胸を一突きにされており、ほぼ即死の状態だった。
   凶器として用いられたのは一本のナイフ。そのナイフは死体の傍に落ちていた。
   そして、一つしかない部屋のドアには鍵が掛けられており、その部屋の鍵は室内で見つかった。
   つまり、世に言う『密室』ということになる。これが事件の概要だ》

  《容疑者は『三人』いる。
   主人の妻、屋敷の使用人、主人の友人であるマジシャン。
   そして、涼――君が『第一発見者』だ。
   では、詳しい事件の流れを順を追って話そう》

ロダンが説明を始める。
それは次のようなものだった。

まず、主人の友人である二人――マジシャンと鈴元少年が屋敷に招かれた。
夜になり、使用人以外の四人は、リビングルームでトランプに興じていた。

十時になった時、主人が書き物をすると言って一人で書斎に向かった。
その際、主人の妻は、主人に夜食はいつもの時間でいいかどうかを確認した。
主人は夜の十一時に軽い夜食を摂る習慣があったのだ。
主人は『その時間でいい』と答え、部屋を出て行った。
それ以降は誰も彼の姿を見ていない。

十時二十分頃、マジシャンが一度部屋を出て、数分後に戻ってきた。
事件後に彼が語った証言によると、電話を掛けていたという。
個人的な内容なので、聞かれたくなかったから部屋を出たそうだ。
しかし、それを見たものがいないため、この証言を裏付ける人間はいない。

そして、十一時になった時、ゲームに熱中していた主人の妻が、
夜食を届けなければならないことを思い出した。
だが、今は勘が冴えてきているため、場を離れることに対して愚痴を零した。
それを聞いた鈴元少年が、代わりに自分が行くことを申し出た。
彼に頼むことにした妻は、少年に書斎の鍵を渡した。
書斎に篭る時、主人はドアに鍵を掛ける癖があったのだ。
そして、仕事に没頭していると、ノックしても気付かないことがあるのだという。
少年は妻から鍵を受け取ると、キッチンに向かった。

キッチンでは、使用人が夜食の準備をしていた。
皿にはサンドイッチが乗っていて、グラスにはトマトジュースが注がれている。
鈴元少年は、その二つが乗せられたトレイを持って、地下の書斎に下りていった。
しかし、ノックをしても応答はなく、ドアには鍵が掛かっている。
仕事に没頭しているのだろうと考えた少年は、妻から預かった鍵を使ってドアを開けた。
室内に入ると、中は真っ暗だった。
慎重に足を踏み出した少年は、何かに躓いて倒れてしまった。
手探りでスイッチを見つけて電気をつけると、胸から血を流した主人が倒れているのが目に入った。
少年が躓いたのは、主人の死体だったのだ。

凶器のナイフは、すぐ近くの血だまりの中に落ちている。
そして、その傍で書斎のドアの鍵も見つかった。
その鍵は主人が持っていたもので、少年が妻から預かった鍵は、その合鍵だった。
このドアの鍵は取り替えたばかりで、これ以外の合鍵はない。
また、妻は鈴元少年以外の人間に自分が持っていた合鍵を貸したことはなかった。
つまり、現場は『密室』だったということになる。

その後、容疑者である三人のアリバイが調べられた。
主人が最後に目撃された十時から、事件が発覚した十一時までの間のものだ。
マジシャンは前述の通り、一度席を立っている。
使用人はキッチンで夜食の準備をしていたと言った。
妻はゲームを続けており、一度も席を立っていない。
これが、事件発生時の三人の行動だ。

  《図らずも第一発見者となった君は、この事件の犯人ではないかと疑われている。
   この嫌疑を晴らすためには、事件の真相を解き明かさなければならない。
   『真犯人の特定と、犯人が使ったトリックの解明』――それが私からの『最後の謎』だ》

560鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2018/05/27(日) 01:25:15
>>558-559

「さいですか……」

早解きに関して過度の喜びはしない。
嬉しくないのではなく、そうするように無意識化でしている。
はしたなくないように、振る舞えるように。

「相性が良かったんやと思うわ」

謙遜。それから微笑み。
そして、最後の謎に取り掛かる。

「なんや、今までとは雰囲気がちゃうけど」

「そやね……」

この場合、席を立っている以上マジシャンが怪しい気もするがそういう単純なものでもないだろう。

「『主人の死体、その死亡時刻』」

まずはそこを確認しておこう。

「『僕が発見した時はまだ死んで間もない状態やった?』」

561『街角のS』:2018/05/27(日) 01:47:42
>>560

鈴元涼は、過剰に喜ぶようなことはしなかった。
それが尊ぶべき美徳であると考えていたからだ。
和装の少年の殊勝な振る舞いは、それを前にした相手にも何かしらの影響を与えたらしい。
その相手――ロダンも、心なしか姿勢を正したように見えた。
人ではなく猫であるため、やはり分かりにくい部分はあるが。

  《その答えは『ノー』だ。『たった今』という感じではない。
   少なくとも、死後三十分以上は経っているようだ。
   それ以上経過しているかどうかは分からないが、それ以下ということはない》

まず死亡時刻を確認するというのは妥当な判断だ。
それと各々のアリバイを照らし合わせれば、何かが見えてくるかもしれない。
あるいは、他の場所に探りを入れるのもいいだろう。

質問の残りは『八つ』。

562鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2018/05/27(日) 23:11:11
>>561

「三十分以上」

マジシャンが部屋を出たのは十時ニ十分ごろから数分の間だ。
三十数分前の出来事。まぁ一応殺せないこともない。

「じゃあ次『僕らの部屋からその書斎に行くまでの時間は数分で済む?』」

「それと『全員はその時になにしてたかを見てた人……アリバイ? の保証が出来る人がおる?』」

563『街角のS』:2018/05/27(日) 23:51:30
>>562

まず疑わしいのは、主人の退出後に席を離れたマジシャンだ。
時間的にも、それほど無理はない。
思考を進ませながら、次の質問に移る。
現場までの時間とアリバイの確認だ。

  《まず最初の答えは『イエス』だ。遠い距離ではない。
   数分あれば、君達のいた居間と書斎を往復できる。
   急いで行けば、もっと短縮することも可能だろう》

  《『アリバイの裏付けがある人間がいるかどうか』という質問なら、答えは『イエス』だ。
   主人の妻が、それに当たる。
   彼女は事件が発覚するまでの間、一度も席を立たなかった。
   主人が退出した後は君が一緒にいた。
   君が夜食を持っていく時には、マジシャンが同じ場所にいたことになる》

現場までは、そう離れていないようだ。
そして、事件発覚までの妻のアリバイは、鈴元少年自身によって裏付けられた。
これで妻の容疑は相応に薄くなったことになる。
残る質問の数は――『六つ』。

564鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2018/05/28(月) 00:43:27
>>563

「……」

一瞬思いいたる。
見落としていた低い可能性。
つまりは主人の自殺という終わりの形。
不自然なく密室を行う一手だ。

「じゃあ『書斎には扉の他に出入りできるような場所がある?』」

「『使用人のアリバイを証明できる人間がいる?』」

565『街角のS』:2018/05/28(月) 01:24:30
>>564

鈴元少年は考える。
もしかすると、犯人は主人自身ではないだろうか。
つまり、他殺に偽装した自殺という可能性も有り得るのだ。
絶対にないとは言い切れない。
それを否定するような大きな矛盾も、今のところは見当たらない。

  《最初の答えは『ノー』だ。初めに説明した通り、書斎は地下にある。
   窓はなく、出入りができるのは入り口だけだ。
   つまり、君が入室したドアのみということになる》

  《次の答えも『ノー』だ。使用人のアリバイは、本人の申告によるものだった。
   君がキッチンに行くまで、誰も彼の姿を見ていない。
   従って、彼のアリバイを裏付けることのできる人間はいないことになる》

書斎には他の出入り口はない。
よって、犯人が逃げたとすれば、そこから出るしかない。
しかし、部屋の中に鍵が残されていたという問題が残る。
席を立ったマジシャンも疑わしいが、使用人も同様だ。
誰も見ていないことを考えると、マジシャン以上に疑わしいとも言えるだろう。

残る質問の数は、『四つ』。
およそ半分だ。
出す質問も、慎重に吟味する必要があるだろう。

566鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2018/05/29(火) 00:02:05
>>565

「……」

他の移動手口はない。
正面突破のみ。密室であるという事実が強固になった。
次の手はどうするか。

「『死体は胸に傷がある以外、他の場所に傷や血がついたりはしていなかった?』」

567『街角のS』:2018/05/29(火) 00:36:46
>>566

殺人の現場は密室状態だった。
犯人が外から鍵を掛けたとすれば、中に鍵を残すことはできない。
また、中から鍵を掛けたとしたら、外へ出ることができなくなってしまう。

しかし、現に犯人は部屋の中にはいなかった。
今しがた考えたように、自殺という線も確かにある。
しかし、はっきり自殺だと断定できる根拠がないのも、また事実だ。

  《それは『イエス』だ。他に外傷はなく、傷口以外に血が付着している様子はない》

  《それから、主人の死体は入り口付近に横たわっていた。
   鍵とナイフも近くに落ちていたが、より正確に言えば、
   床の血だまりとナイフは、死体や鍵よりもやや奥側だった。
   つまり、ドアの前から見て手前に死体があり、その少し奥にナイフと血痕があったということだ》

死体には死因となったもの以外の傷はなかった。
そして、死体と血だまりの位置には、ややズレが存在するようだ。
これが何を意味するのだろうか。

残りの質問数は――『三つ』。

568鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2018/05/29(火) 23:20:41
>>567

「んー……」

そこ以外に傷がないというのは中々の状態だ。
半狂乱で襲われたとしたら他に傷がありそうだし。
そうでなかったとしても胸を刺されるという事は相手と向き合っていることだ。
刃物に気付いていればもみ合いになって他に傷もつきそうなものだが。

「……」

気付かなかった可能性はある。
もしくは気付いたが対処しきれなかったか。

「『死体……えっと、ご遺体に引きずられた跡とかはあった?』」

569『街角のS』:2018/05/30(水) 00:22:36
>>568

死因となった傷以外の傷が見当たらない。
決め手はないが、可能性は幾らも考えられる。
問題は、それが密室の謎を解く上で必要なのかどうかだ。

  《『イエス』だ。よく観察すると、そのような痕跡が見受けられた。
   つまり、死体が入り口付近に移動させられた形跡があったということだ。
   死体が本来あったらしい場所は、もう少し部屋の中心寄りだった》

  《仮に……死体が動かされていなかったとしたら、君は躓かなかったかもしれない。
   繰り返すが、死体は入り口の手前に横たわっていて、
   部屋は明かりが消えて真っ暗な状態だった。
   ――だから、君は死体に躓いてしまったのだ》

死体に引きずられた痕跡は確かにあった。
それが真犯人の仕業であることは、まず間違いない。
では、何のために動かしたのか。
何の意味もなく動かすはずはない。
重要なのは、その目的だ。

残る質問の数は――『二つ』。

570鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2018/05/30(水) 01:16:33
>>569

「遺体の移動……」

動かした理由だ。
完全に移動させ切ったわけではない。
密室を作れる計画性があるのなら移動させる必要はないはずだ。

「『ご遺体が移動したのは何かを隠すため?』」

571『街角のS』:2018/05/30(水) 02:07:04
>>570

犯人は、何かを隠すために死体を動かしたのではないか。
鈴元少年は、そのように推理した。
『可能性』はある。
それを確かめることは全くの無駄にはならないはずだ。
この質問で事件の核心を突くことができれば、より最良だろう。

  《答えは『ノー』だ。しかし、死体の移動が密室を作り上げる上で重要だったと考えて構わない。 
   その位置――ドアの手前に死体を置く必要があった。
   補足すると……『死体が動かされた理由』は『明かりが消えていた理由』と大きな関わりを持っている》

死体の移動は何かを隠すためではなかったが、それが重要な行為であったことは間違いない。
しかも、『その位置』に置いておく必要があったとのことだ。
部屋の明かりが消えていたことも、それと関係しているらしい。

  《――ところで、覚えているかな。死体を発見した際、君は『夜食』を運んでいたことを。
   そして、死体に躓いて倒れてしまった。
   その時、君は『夜食の乗ったトレイ』を持っていたわけだが……。
   君が倒れたということは、当然それらは床の上に投げ出された状態になっている》

鈴元少年が運んでいた夜食のサンドイッチやジュース。
ロダンが話したように、それらは倒れた時に投げ出されて散乱しているらしい。
この点については、改めて確認の質問をする必要はないように思える。

  《さて……推理の調子はどうかな?
   次が『最後の質問』――最後の問題の最後の質問だ。
   その後は『この事件の犯人』と、『犯人が使ったトリック』に関する君の見解を聞かせてもらう。
   涼――ここまで私の遊びに付き合ってくれた君に敬意を表し、
   君の出す『最後の解答』を楽しみにさせていただこう》

残った質問の数は――あと『一つ』だけ。
次が最後の一手だ。
その後は、この密室殺人の謎を解き明かさなければならない。

572鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2018/05/30(水) 23:33:21
>>571

「……罠にかけるためやろねぇ」

動かして電気を消す。
光が消えた状態で動けば自分のように死体にけつまずくことになる。
それで第一発見者となり、密室状態が判明すれば罪をなすりつけられる。
自殺の線は完全に消えている。他殺。では誰がやったか。
妻は暫定的にシロだ。
怪しいのはマジシャンか使用人。
問題はこの主人が部屋にこもるのをあらかじめマジシャンが知っていたかだ。
知らなかったのなら犯人は消去法的に使用人になり、手口を考える段に入る。
しかしこれを質問するとその手口を考える質問が打てないのが事実だ。

「……んー」

「『書斎の鍵穴もしくは鍵に何か付着されたり細工をされた痕跡はあった?』」

573『街角のS』:2018/05/31(木) 00:22:00
>>572

真っ暗な室内で足元に死体があれば、それに躓いて体勢を崩し、倒れてしまう確率は高い。
それで事件が発覚すれば、第一発見者に真っ先に疑いが掛かることになる。
死体が動かされている以上、自殺ではない。
アリバイがある妻を除くと、考えられるのはマジシャンか使用人だ。
そのどちらが犯人なのかを特定しなければならない。

  《それは――『イエス』としておこう。
   鍵穴には特に何もなかったが、鍵は『濡れていた』。
   鍵は赤い液体で濡れている。
   血ではなく、『トマトジュース』だ。
   君が夜食として運んできて、躓いた拍子に落としたものだ》

  《補足すると、今の質問は良いところを突いている。
   トリックの解明において、かなり重要な部分だからだ。
   君が言ったように、電気を消したことと死体の移動は『罠に掛けるため』という点は当たっている。
   それで君は第一発見者となったのだから》

  《しかし……ここには、もう一つ『重要な意味』が隠されている。
   君を死体に躓かせたのは、君に罪をなすりつけるためだけではない。
   このトリックを成立させるためには、それが『絶対に必要』だったのだ》

一通り話し終えると、ロダンは少しの間を置いた。

  《さて――これで質問は終了したが……最後に少しヒントを出そう。
   今まで出てきた情報だけで、密室のトリックを推理することは可能だ。
   そして、そのトリックが解明できれば、同時に犯人も特定することができる。
   そのトリックを仕込める人間は一人しかいないからだ》

ロダンが言うには、現在までの情報だけで、トリックを推理することは可能らしい。
そして、それが分かれば犯人も特定できるという。
この謎を解くには、手口を突き止めてから犯人を特定するという順番が適切かもしれない。

  《では、考えてみてくれたまえ。
   犯人の使った『密室トリック』と『犯人は誰か』――その二つを推理して欲しい。
   そして、君の解答を聞かせていただこう》

574鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2018/05/31(木) 01:21:11
>>573

「……」

もう一度考える。

・死体は死後30分以上経過している
・居間と書斎は数分で移動できる
・妻のアリバイは立証されている
・書斎は地下にあり他に移動できる場所はない
・使用人のアリバイを立証するものはいない
・死体に他の外傷はない
・死体を動かした痕跡がある
・死体を動かしたのは何かを隠すためではないが、明かりが消えていたことと関係している
・鍵にトマトジュースが付着していた

「……鍵にトマトジュース?」

血ではないのか。
ナイフが死体の近くにあるのは偽装の為だとは思うが、鍵が死体の近くにある理由はなんだ。
血だまりが出来ているという事は恐らく主人はが死んだあと、動かすまではそこに死体があったという事だ。

「マジシャンは多分シロ……奥さんも……」

マジシャンが犯人だとして、数分でことを済ませられるだろうか。
たしかに急げば書斎までの時間は短縮できるが、密室の仕込みが出来るほどの時間があるかという事だ。
最も、密室の種が分かっていないためそうは断定でいないが。

「ちょっとだけ待ってもらえる?」

575『街角のS』:2018/05/31(木) 16:42:24
>>574

鍵には『トマトジュース』が付着していた。
『床の上にあった鍵に鈴元少年が落としたトマトジュースが掛かった』とも考えられる。
現場の状況を見れば、それは不自然な解釈ではない。
しかし、それが必ずしも間違っていないとは言い切れない。
見方を変えれば、そこに別の意味があるとも思える。

床の血だまりは、最初は死体がその位置にあったことを示している。
ナイフが死体の近くにあるのは、それを誤魔化すための偽装である可能性が高い。
では、なぜ鍵が死体の傍にあるのか。
あるいは、それはトマトジュースが鍵に付着していたことと関係しているのかもしれない。
『死体』と『鍵』と『トマトジュース』――この三つの関連性が明らかになれば、推理の助けとなるだろう。

アリバイのある妻が犯人である可能性は限りなく薄く、時間を考慮するとマジシャンにも難しい。
そうなると、残っているのは使用人ということになる。
仮に使用人が犯人だとすれば、どのようなトリックを使って密室を作り上げたのだろうか。
使用人にはアリバイがないが、事件が発覚する前に、鈴元少年は彼に一度会っている。
その時に、使用人が『どこで何をしていたか』を思い返せば、何かが見えてくるかもしれない。

  《――分かった。考えがまとまったら声を掛けてくれたまえ》

ロダンは待つ姿勢のようだ。
考える時間は十分にある。
その時、不意に店の扉が開き、一人の客が来店した。

「いらっしゃいませ」

店の主――スティーヴン・ステュアートが挨拶する。
やって来たのは、二十歳前後の若い女性客だった。
見たところ大学生だろう。
スティーヴンに軽く会釈し、彼女は席に着いた。
メニューに目を通し、注文する。

「何にしようかなあ……。ええっと……それじゃカプチーノで」

「はい、かしこまりました」

注文を受けたスティーヴンが、カウンターの奥へ向かう。
女性は、鞄を膝の上に乗せ、何かを探していた。
なかなか見つからないらしく、しきりに手を動かしている。

「わっ――」

ふと、勢いよく手を引き抜いた拍子に鞄が引っくり返り、逆さまの状態で床の上に落ちてしまった。
その際に、鞄の中に入っていたものが、床の上に散乱する。
鈴元少年の足元にも、その内の一つが転がってきた。
銀色に光る金属製の小さな物体――『鍵』だ。
おそらく自宅の鍵か何かだろう。

「あぁ、またやっちゃったぁ」

言葉から察するに、よく同じようなドジをやるようだ。
そそっかしい性格なのかもしれない。
女性は席を立ち、散らばったものを拾い集めている。

576鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2018/05/31(木) 23:33:14
>>575

鍵。死体。トマトジュース。
トマトジュース……トマトジュースか。
血の偽装になるかは微妙だが。
しかし死体の傍に置く必要は無い。
この鍵さえなければ密室の証明にはならなかった。
この鍵がこの場になければ鍵を持ち出した誰かがいたということなのだから。

「落ちましたよ」

思考の隙間、入ってきた外からの刺激。
迷わずに鍵を拾って女性に手渡す。

(鍵、かぁ……)

悩まされているものだ。

「他になんか、落ちてないです?」

「鞄から……なんか……」

鞄からこぼれた。鍵が、落ちた。

(トマトジュース……あれは……)

(初めからついてたん……?)

「答え、ええ?」

577『街角のS』:2018/06/01(金) 00:15:07
>>576

現場には『鍵』が落ちていた。
その事実が、殺害の現場が密室状態であったことを示している。
しかし、『逆に言うと』、その鍵さえなければ現場は密室とは呼べなくなる。

たった一つの鍵が、密室か否かを隔てる唯一の物的証拠なのだ。
それが死体の傍にあり、『トマトジュース』が付着していた。
そこに、この謎を解く大きな手掛かりが隠されているのかもしれない。

「あっ、ごめんなさい。ありがとう」

女性は感謝の言葉を述べ、鈴元少年から鍵を受け取った。
床には、もう何も落ちていない。
どうやら、他の物は全て拾ったようだ。

和装の少年は、落ち着いて思考を巡らせる。
鞄から鍵が落ちた。
『鍵』というのは、少年が取り組んでいる謎との共通点でもある。

「――えっ?」

鈴元少年の声を耳にした女性が、小さく聞き返した。
自分に対して何か言ったのかと思ったらしい。
その時、カウンターの方からスティーヴンが歩いてきた。

「お待たせ致しました」

「え?あっ、はいっ」

「――どうぞ、ごゆっくり……」

女性のテーブルの上にカプチーノの入ったカップとソーサーが置かれる。
それをきっかけにして、彼女は自分の席に戻っていった。
それを見送ってから、ロダンは口を開いた。

  《ちょっとしたアクシデントがあったが……推理はまとまったようだね。
   では、君の解答を聞かせてもらおう》

鍵に付着していたトマトジュースは、本当に後から掛かったものなのか。
あるいは、そうではない可能性もある。
そして、そうでないとすれば、それは何を意味するのだろうか。

犯人はどのようにして現場を密室に仕立て上げたか。
そして、その犯人は誰か。
解明しなければならないのは、この『二点』だ。

578鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2018/06/01(金) 01:20:02
>>577

「うん……」

席に着き直す。
それから髪の毛をかきあげる。
癖のある黒髪が揺れた。
しかし瞳は揺れずまっすぐに前を見ている。

「はじめに手口やね?」

「結論から言うと『これは密室でなかった』」

「鍵にトマトジュースがついてた。僕はそれを僕がこぼしたせいやと思ってた」

だが逆転の発想だ。

「『鍵はジュースの中にあった』トマトジュースは色が濃ぉて中に何が入ってるか分かりにくかったんやと思う」

トマトジュースが鍵についていて当然だ。
中にあったのならば、だが。

「暗い中で遺体に躓いてジュースをこぼす。中の鍵が部屋に落ちたら二つしかない鍵が室内にひとつあったことになる」

「ほんなら、奥さんが鍵持ってるから密室に思わせられる。やから、僕なこけてもらう必要があった」

そのために電気を消したのだろう。
運がよかったのは先に電気がつけられなかったことだ。

「それで、僕が書斎に行く時までにその鍵を隠す仕込みができるんは一人」

「使用人さんが犯人やね?」

579『街角のS』:2018/06/01(金) 02:14:58
>>578

結論を得て、少年は再び席に戻る。
テーブルを挟んだ向かい側には、先程までと同様の姿勢で猫が座っている。
二人――正確には一人と一匹の視線が、空中で交差した。

そして、鈴元少年は自身の推理を語り始める。
鍵は、あらかじめ『トマトジュースの中』に仕込まれていたのだ、と。
犯人は死体を移動させ、室内の明かりを消した。
それは、部屋に入ってきた人間を躓かせるためだったのではないか。
そうすれば、鍵はグラスから飛び出して床の上に落ちる。

  《ふむ……》

その後で電気をつければ、鍵は既に部屋の中に存在していることになるのだ。
鍵がトマトジュースから飛び出る瞬間を見られていない限り、これは密室だと思わせることができる。
トマトジュースが鍵に付着していたとしても、それは『後から掛かったのだ』ということにしてしまえる。
しかし、鈴元少年が言うように、これは実際には密室ではなく、そう見せかけていただけのことだ。
死体の傍に鍵が落ちていたのも、死体に躓いた際にトマトジュースから零れたからだと考えれば納得できる。

  《なるほど――》

使用人はキッチンで夜食の準備をしていた。
『トマトジュースの中』に鍵を隠せるのは、使用人以外にはいない。
必然的に、『犯人は使用人である』という推理が成り立つ。

  《涼――君は私が出した『最後の謎』を解き明かした。
   文句なしに『正解』だ。『トリック』と『犯人』の両方とも当たっている。
   実に、お見事だった》

満足げに告げると、ロダンは一際深く頷いた。
鈴元少年の出した答えは紛れもなく『正解』だったのだ。
最後の謎は、こうして終わりを迎えた。

  《拍手を送りたいところだが……生憎と私の体では少々難しい。
   代わりに、こちらから拍手を送らせていただこう》

そう言うと、ロダンは自分の傍らに視線を向けた。
そこに座っているスフィンクスのスタンド――『ストーン・エイジ』が前足を軽く突き合わせ、
鈴元少年に拍手を送る。
やがて、ロダンは再び少年に向き直った。

  《さて――これにて『謎解き』は終了だ。いかがだったかな?》

  《私の『ささやかな遊び』に付き合ってくれたことに、改めて感謝する。
   君のお陰で、私は非常に有意義な時間を過ごすことができた。
   願わくば、君も同じように感じてくれていたなら幸いだ》

ロダンが少年に語りかける。
……ふと、『ストーン・エイジ』の尻尾が動いた。
その先端が丸まっている。
そして、その丸まった内側に何かがある。
どうやら、尻尾の先で何か小さな物を掴んでいるようだ。

580鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2018/06/01(金) 22:20:39
>>579

「おおきに」

軽く頭を下げる。
今回も運に恵まれた。
あの時、この場所でカバンの中身がひっくり返っていなかったらたどり着けなかっただろう答えだ。

「けっこう、難しかったわぁ……普段使わん頭の所を使っとる気ぃがして面白かった」

素直にそう答えた。

「えっと、それは」

視線が尻尾の方に動いた。

581『街角のS』:2018/06/01(金) 23:50:31
>>580

幸運でもあったかもしれない。
しかし、鈴元少年が思考を止めなかったからこそ、正しい答えに辿り着けたのだ。
だからこそ、これは少年が自分自身の力で得た結果と言えるだろう。

                                    プ  ラ  イ  ス  レ  ス
  《それは良かった。頭脳を駆使する遊びは、私にとって『何者にも変えがたい楽しみ』だからね。
   それを君と共有できたことは真に喜ばしいことだ》

  《ああ、これは――私からのささやかな贈り物だ》

『ストーン・エイジ』の尻尾が掴んでいたものがテーブルに置かれる。
それは何の変哲もない小石だった。
店に入る前に拾っていたようだ。

    ――スッ

その小石に、スフィンクスの翼が覆い被さる。
一瞬の後に翼が離れると、テーブルの上にあった小石は消え、代わりに黄緑色の宝石が現れた。
中央に光の筋のようなものが見えている。

  《『鉱物を変化させる』――それが『ストーン・エイジ』の能力だ》

              キャッツアイ
  《そして……これは『猫目石』と呼ばれているもので、宝石の一種だ。
   私にとっては綺麗な石以上の価値はないが、君達の世界では、それなりの値打ちで扱われている。
   これを君に進呈しよう》

  《私の能力によって変えられたものは、私がもう一度変えない限りそのままだ。
   君に渡した瞬間に石ころに変わることはないから、その点は安心してくれたまえ》

黄緑色の『猫目石』が、鈴元少年の前に置かれている。
どうやら、これがロダンが最初に言っていた謝礼のようだ。
受け取っても問題ないだろう。

  《私は町の中にいることも多いが、大抵の場合はここにいる。
   君さえよければ、お茶を飲むついでに、またいつか遊びに来てくれると嬉しい》

お茶は飲んだ。謎は解いた。
ふとしたことから始まった『街角のスフィンクス』との邂逅にも、これで幕が下りる。
会計を済ませて家に帰るか。それとも、もう少し残るか。
それは鈴元少年の自由だ。

582鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2018/06/02(土) 00:32:15
>>581

「ん。おおきに、はばかりさん」

猫目石を手に取り、光に当ててみる。
綺麗な色が光を通って見えるだろう。

「うん。また、相手してもらおかな」

「あんさんが良ければ、やけどね」

そう言って鈴元が微笑んだ。

「……そろそろ時間やから、僕帰るね?」

583『街角のS』:2018/06/02(土) 01:09:55
>>582

『猫目石』を光に翳すと、美しく光り輝いた。
アーモンドのような丸みを帯びた楕円形の中に、白い光の筋が通っている。
その様子は、名前の通りに『猫の瞳』のようだ。

  《『はば』……?私にも、まだまだ知らないことが多いようだ。
   君から一つ学ばせてもらった》

鈴元少年の発した言葉は、彼の知らない言葉だったらしい。
ほんの少し小首を傾げつつも、ロダンという名の猫は鈴元少年を見送る。

「――ありがとうございました」

会計を済ませた少年に、スティーヴンが微笑と共に軽く頭を下げる。
後は、家路に就くだけだ。

  《さようなら、鈴元涼。君の名前は覚えておこう。
   では――またいつか》

少年が入口の扉に手を掛けた時、ロダンの声が背後から聞こえてきた。

584鈴元 涼『ザ・ギャザリング』:2018/06/02(土) 01:58:52
>>583

「恐れ入ります、ぐらいの意味やわ」

はばかりさんだ。
彼の故郷の言葉であった。

「はい、またいつか」

鈴元涼は家に向かって歩き出す。
今日の事はしばらく忘れられないだろう。
この非日常を胸に鈴元は生きていく。
今日も明日も明後日も。
覚え続けている限りはずっと。
ずっとだ。

585『街角のS』:2018/06/02(土) 02:33:24
>>584

     ――カランカラン

扉を開けて、店の外に出る。
それは、この小さな非日常の終わりを意味していた。
夕焼け空の下を、鈴元涼は歩いていく。

それにつれて、和装の少年は普段通りの日常の中に戻っていく。
今日の出来事は、少年の長い人生の中の、ほんの一ページだ。
しかし、それでも記憶の一部であることには変わりがない。

遠くの方で、鳥の鳴き声が聞こえた。
空を見上げれば分かるだろう。
きっと、明日も良い天気だ――。

                   『街角のS(スフィンクス)』⇒完


鈴元 涼『ザ・ギャザリング』⇒『十万円相当の猫目石』Get!!

586『街角のS』:2018/06/02(土) 02:48:04

街角のスフィンクス『ロダン』のスタンド

『ストーン・エイジ』Stone Age

人間の女性の上半身・獅子の胴体・鷲の翼を併せ持つ知恵の獣『スフィンクス』のヴィジョン。
有機的ではない石像のような質感を備えた姿は、
伝説上の怪物スフィンクスと実在する石造りのスフィンクス像のハイブリッドを思わせる。

翼で触れた『鉱物』を別の『鉱物』に変化させる能力を持つ。
一度変化させた『鉱物』は、スタンドを解除しても元に戻らず、変化後の状態が保たれる。

破壊力:C スピード:B 射程距離:D
持続力:A 精密動作性:A 成長性:C

587『注文の多い独居房』:2019/07/08(月) 00:00:18

「梅雨はまだ明けないというが……
  いやはや、さすがにもう暑いね」

 ―――初夏。

額にうっすら汗を滲ませ歩くのは、
栗色ソフトモヒカンサマージャケットの不動産屋、『門倉良次』。

そのすぐそばに居るのは『日下部虹子@セブンティーン』。
『門倉』に舞い込んできた『引きこもり男子を外に出してほしい』
という依頼を共に解決する事となり、歩いているのだが―――

『星見駅』からバスで20分ほど。
『郊外』の閑静な住宅街に降り立ってから更に10分ほど歩いたか。
時折、『門倉』が『タブレットPC』で目的地を確認している。

 「もうそろそろ着くと思うんだけどね―――」

『門倉』のその言葉は当てになるんだかならないんだか………

導入のやりとり
(ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453647631/724-752n)

※『プロフィール』『能力詳細』『持ち物』
 『外見』『エロとグロについてどう思う?』を提示・返答しつつ、レス下さい※

588日下部『アット・セブンティーン』:2019/07/08(月) 23:40:02
>>587

日下部虹子について、前に見た時と大きく変わっていたのは髪の色だった。
なんでも『10万円貰えるから』と散財し、その際に染めたらしい。
バニラフレーバーのアイスクリームのような色で、匂いもそれに近かった。

「ね、ね、良次さ〜ん、着いたら『飲み物』とか出ると思う?」

          「自販機で何か買おうか、迷うんだけど〜」

    トコッ トコッ

日下部が歩くのは、門倉の少し後ろだ。
こいつは『門倉により生まれる日陰』に身を潜めて歩いている・・・

「『10万円』もくれるお家なんだし、
 『ペリエ』とか出してくれないかなあ〜」

「『ペリエ』・・・別に好きじゃないけど、お金持ちの家にありそうじゃなあい?」  

カバンから出した『冷感タオル』で顔を拭きつつ、周囲の家宅をせわしなく見まわして歩く。

「あ、それでね、確認なんだけど〜……その『依頼主』って『どういう人』なんだっけ?」

               「着く前に改めて聞かせてよ〜、良次さぁん」

『プロフィール』
17歳を自称し、実際それくらいの年齢に見える、欲深い少女。
目に見え、数値化できる『価値』にこそ人生の真理を見出しているようだ。

『能力詳細』
肉体内部に発現する何匹もの『ベニクラゲ』のヴィジョン。
本体の細胞と同化しており、負傷を『若返り』によって治療する。

『アット・セブンティーン』
破壊力:C スピード:C  射程距離:E
持続力:E 精密動作性:B〜C 成長性:B

●URL●
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453050315/113

『持ち物』
スマートフォン、カバン。手に長めの冷感タオル。
カバンの中はハンカチやティッシュ、化粧ポーチ、メモ帳とペン。

『外見』
バニラホワイトの髪をボブヘアにしている。垂れ目気味で、童顔。体格は小柄。
服装も髪と同じく白を基調にしており、フリルの付いたマントブラウスが特徴的。
全体的に、どこか『カイコガ』を彷彿とさせる、名前に反して真っ白な姿の少女。

『エロとグロについてどう思う?』
18禁については、17歳なのでノーコメント。
(これは嘘。本当はエロは『目に見える愛』として理解を示し、グロにもおおむね抵抗は無い。『死』は忌避する)

589『注文の多い独居房』:2019/07/10(水) 00:02:16
>>588(日下部)

「『飲み物』ね………まあ、普通に考えれば出るんじゃあないかな。
 『ペリエ』―――おそらくあるだろう。おそらくね」

  『門倉』は曖昧に答えつつ、チラリと『日下部』を見やる。
  その髪の色の変化がやはり気にはなるらしい。
  郊外の『住宅街』は『高級住宅』とまではいかなかったが、
  一般的な一軒家が立ち並んでいる。

「そして、『依頼主』。
 そうか―――そうだね。
 じゃあ『依頼内容』を改めて伝えておこう。」

   『門倉』は『タブレットPC』を操作し、『情報』を『日下部』に伝える。

「依頼としては『引きこもりの男の子を外に出してほしい』という事。
 『依頼主』は『飛江田 伶子(ひえだ れいこ)』―――『引きこもりの子』の母親らしい。

 ひきこもり本人の名前は『飛江田 昌也(ひえだ しょうや)』、現在『17さい』。
 去年、高校に入ってすぐに『不登校』になり、今に至るというわけだ。

 同居する家族構成は父親・母親、兄、妹、そして当人―――」

   ここまで話す間に、二人は『自販機』の横を通り過ぎようとしている。
   何か買っておくなら今のタイミングか。

590日下部『アット・セブンティーン』:2019/07/10(水) 01:16:24
>>589

「良次さん、黒は『熱』を吸収するんだよ? 知ってる?」
「でねえ、白はその逆の色だからきっと『夏』に向いてる」
「そう思うんだよね〜」

           ニコッ 

知性に欠ける発言をしつつ髪をかき上げる日下部。
ともあれ、説明に耳を傾けてはいて、時折相槌を挟む。

「ふ〜ん、これで『ヒエダ』って読むの〜?」
「『同年代』だけど・・・」「知った名前じゃないね」
「『不登校』の『引きこもり』くんか〜〜〜」

「ねえ、ねえ、その家族たちはこの時間、家にいるのかなぁ」
「お母さんは、いるんだろうけど」「その辺の事情は聞いてる〜?」

「っと、自販機自販機〜」

自販機に向かい、『缶ジュース』を2本ほど買っておく。

「飲み物出るとしても〜、今暑いしやっぱ買っとこう」
「良次さん、私ね、『10万円』もらえるから1本奢ってあげてもいいよぉ」

591『注文の多い独居房』:2019/07/11(木) 22:46:45
>>590(日下部)
「なるほど……だから本日は『白』を基調としているってわけかい?
 じゃあ『冬』になったらカラスみたいな『黒一色』に?
 いやまあ、それも面白いけどね―――」

  『門倉』は『日下部』の言葉に応じていく。

「今日は『日曜日』だから子供たちは居るんじゃないかな。
 父親は………仕事が忙しいとの事だから、居ないかもしれないが」

 多分に推測を交えた『門倉』の返答。
 『情報』にはそこまで細かい特記はないようだ。
  ちなみに今は、午後四時少し前、天気は晴れ。

 ………

自販機で『缶ジュース』を二本買っておく『日下部』。

 「いいのかい? むしろ俺がおごろうか?」

『日下部』が買ってしまってから、『門倉』がそんな事を言い出す。

592日下部『アット・セブンティーン』:2019/07/12(金) 16:17:19
>>591

「あとはね、私、『白』がなじむんだよねえ」
「んふふ、似合うでしょ」「似合うよね〜」

         ゴソッ

「髪まで白くするのは初めてだけど」
「『新しい私デビュー』って感じかなあ」
「そうだね、冬になる頃にはまた違う色にするかもね」

缶ジュースの片方をカバンに入れて。

「なるほどね〜。『仕事が忙しい』のはしょうがないよねえ」
「日曜にお仕事……『休日出勤』っていうやつか」「そういう仕事なのか」
「まあ、これ以上は実際見てみないと分かんないかな」

門倉に押し付けるようにしてもう1本を渡す。笑いながら。

「ね、良次さん、このお仕事終わったらねぇ。ご飯奢ってよ」

        「超安いのでもいいからさ」    「それでお返しにして〜」

そろそろ到着するだろうか――らしき家が見えたら髪や服のしわを直す。

593『注文の多い独居房』:2019/07/17(水) 00:00:06
>>592(日下部)
「ご飯―――いいね! 実にいい!
 むしろこっちからお願いしたいくらいだよ。

 少し気の乗らない仕事だったが、
  終わった後のお楽しみが出来たな―――」

『門倉』もまたジュースをビジネスバッグにしまい込みながらそんな事を述べる。

 「そして………だ。
     たぶん、アレが目当ての家だね」

ほどなくして、『門倉』がそう告げる。

このあたりは『建売住宅』というヤツだろうか、
同じような一軒家がズラリと軒を連ねている。
『門倉』はそのうちの一軒を指している。
少し遠目からだが『飛江田』という表札が掲げられているのが見えた。

二階建てで、少し細めの、どこにでもありそうな家―――

594日下部『アット・セブンティーン』:2019/07/17(水) 01:35:03
>>593

「私はね〜、『10万円』も楽しみだし」
「ご飯も楽しみだしさ〜」
「全部楽しみだよ」「あるものは全部ね」

       キョロッ
             キョロッ

「ふ〜〜〜んほんとだ、『飛江田(ヒエダ)』って書いてるねえ」

なるほど、何処にでもありそうな家だ。
窓が割れてるとか、そうした異常もないだろうか。
もちろん、『原因』があっても外からは見えないようにするだろうけども。

「良次さぁん、家の周り見て回ってもいい?」
「それともお呼ばれしてる時間にけっこうぎりぎりだったりする〜?」

窓の位置なども調べておきたいので、許可が出れば家の外周を一回りしたい。
昼間からカーテンを閉めている窓などあれば、特に記憶しておきたいのだ。
塀などでそれが出来ない並び方をしているなら、色々な角度から見るだけにとどめておく。

595『注文の多い独居房』:2019/11/13(水) 19:34:50

―――当ミッションは『打ち切り』―――

   以下、ご自由にお使い下さい。

596『注文の多い独居房』:2019/11/13(水) 19:35:02

―――当ミッションは『打ち切り』―――

   以下、ご自由にお使い下さい。

597『注文の多い独居房』:2019/11/13(水) 19:35:53

―――当ミッションは『打ち切り』

       以下、ご自由にお使い下さい―――

598『火はなくとも煙る』:2020/05/06(水) 23:57:41

>中務PC


 清月学園。
 二年棟にて。


「……真相の究明。手伝ってもらえますか?」


 『見覚えのある同学年の生徒』が貴女のもとを訪れたのは、金曜日の昼休みのことだった。
 ここ数週間、学園を俄かに騒がせている『飲酒』騒動について、相談事があるという。

 何故、貴女を頼りにきたのか?
 そう尋ねると、『演劇部』に所属する知人から紹介された、と応えた。

 『脚本』に『大道具』、更には『舞台』に上がることもあるという、器用な部員―――『中務千尋』のことを。

 事実として、陰ながら頼りに思われているのか。
 或いは、単に厄介ごとを押し付けられたのか。
 知人とやらの名前を聞きそびれた貴女は、知る由もなかった。

「……今日の放課後。『図書室』で待っています。詳しい話は、そこで」


>白町PC


 清月学園。
 校門前にて。


「……真相の究明。手伝ってもらえますか?」


 『西洋人と思しきブロンド髪の生徒』が貴女のもとを訪れたのは、金曜日の早朝のことだった。
 ここ数週間、学園を俄かに騒がせている『飲酒』騒動について、相談があるという。

 何故、貴女を頼りにきたのか?
 理由を聞かずとも、その内容を聞けば察せるだろう。

 風紀委員会の奇人、是正の鬼。或いは――――『白町千律』。

 その噂に自覚的であるかどうかは、本人のみぞ知ることだ。
 ともあれ、その肩書を頼ってきたのであれば、用向きにもだいたい想像がつくというものだろう。

「……今日の放課後。『図書室』で待っています。詳しい話は、そこで」

599『火はなくとも煙る』:2020/05/07(木) 00:01:44

>両名


       キーン            カーン
              コーン             コーン・・・


 『放課後のチャイム』が鳴り響く中、貴女は『図書室』の前に佇んでいる。
 どうやら隣にいる『女生徒』も、似たような用件で呼び出されたらしい。

 『図書室』の入り口には、『利用禁止』の張り紙が貼られている。
 件の『飲酒』騒動があって以降、図書の貸出等は行われていないらしい。

 だが、扉の奥からは、人の気配が伝わってくる……。

 さっさと用件を済ませるため、足を踏み入れてもいいが……

       チラ

 袖振り合うも他生の縁。
 呼ばれたもの同士、軽く言葉を交わしてみてもいいのかもしれない。


----------

『告知スレッド』にて提示していた、【ミッション用 簡易プロフィール】の記入をお願いします。
また、ミッション開始前にPC同士の交流や挨拶などがあれば、どうぞ。

600白町 千律『ハード・タイムス』:2020/05/07(木) 21:31:08
>>598-599(GM)
>中務

 
              スゥ ― ・・・


その少女は――――張り紙を見て、大きな目をわずかに細めた。

「対応が早い。『素晴らしい』…………わたくし、感心です!」

                  ピッ

それから、指を『ドア』に向けた。
より正確に言えば、『ドアの奥の気配に』向けていた。

「こんにちは」

そして。

「あなたは、『風紀』や『生徒会』では見かけないお顔なのですが、
 わたくしと同じく……今回の『事件』の『是正』に携わる方ですね?
 なんて『素晴らしい』正義感なのでしょう……好きに、なれそうです」

言葉は、『女生徒』に――――『中務』に向けていた。 

「ああ……中で『待っている』ようですので、『手短』に自己紹介を。
 わたくし、『白町 千律(しろまち せんりつ)』は……『風紀委員』の、一人なのです」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

1、白町 千律(しろまち せんりつ) 【高3】/女
2、跳ね気味のショートカット。見開いたような大きな目。華奢な体躯。
  参考:ttps://download1.getuploader.com/g/hosimi_001/42/Siromachi.png
3、薄手のブランケット(羽織済み)、手帳ケースのスマホ、ハンカチ。

4、『YES』
5、『家庭の事情』で、飲まされた事がある。

601中務千尋『エイミー・ワインハウス』:2020/05/07(木) 21:49:37
>>598-599
>>600

横目に隣の女生徒を見る。
なんとも言えない感覚だ。
確か風紀委員会の人間ではなかったか?
そうこうしているうちに自己紹介されて、こちらも言葉を返す。

「あぁ、どうも……」

「ボクは高等部二年、演劇部の中務千尋ッス」

なにやらヤバそうな雰囲気を感じる人間だ。
行動や言葉選びから微妙ににじみ出る感覚というのがある。

1、中務千尋、高二、女性
2、着崩していない学生服、眼鏡。
3、500mlペットボトル
4、yes
5、「子供の頃に親戚にジュースって言われて……(あとは酔った演技の勉強に)」

602『火はなくとも煙る』:2020/05/07(木) 23:04:22
>>600(白町)

 『図書委員会』による自粛か、それとも教師や経営陣による措置か。
 いずれにせよ、その対応の早さに感心しつつ、隣の女生徒にも丁寧に挨拶をする。

 眼鏡をかけた少女は、言葉少なに白町の挨拶に応じた。
 中務 千尋、という名らしい。


>>601(中務)

 記憶を辿る限り、『風紀委員』と思しき女生徒。
 扉の張り紙を見て、なにやら感じ入っている様子だ。
 警戒心を抱いている中務とは対照的に、どうやらこちらに好感を持って……いや、持ちかけている、らしい。

 やや跳ねている髪と、大きな瞳が印象的な少女だ。
 白町 千律、と名乗っている。


>両名


   セイゲーツ!!

           ファイ     ファイ      ファイ
              オッ      オッ       オッ・・・


 窓向かいの学校の外周を、ジャージ姿の部活生が走り込んでいる。
 先程までは大勢の生徒でごった返していた廊下も、今は疎らだ。

 『放課後』。校舎内から、少しずつ生徒の数が減っていく。
 『図書室』の扉の向こうには、相変わらず人の気配はあるが……物音は、ほとんどしない。
 まるで、二人が自ら扉を開けて、部屋に入ってくるのを待っているかのようだ。
 とはいえ、もし他に交わす言葉があれば、多少時間に遅れるくらいは許されるだろう。

603白町 千律『ハード・タイムス』:2020/05/08(金) 00:33:06
>>601(中務)
>>602(GM)

「演劇部、文化的ですね。素晴らしい!
 演劇とは『集団』によって成立する芸術。
 『個人技』を磨くのももちろん素敵ですが、
 わたくし、『個』より『集』が好きなのです。
 中務さん、どうぞ、よろしくお願いしますね」

             ニコ ォ

白町は、笑みを浮かべる。

「さて……」

それから、ドアに手を掛ける。

「それでは入りましょうか、中務さん。
 『是正』は、早ければ早いほど良いのですから」

『中務』さえよければ、図書室に入るつもりの動きだった。

604中務千尋『エイミー・ワインハウス』:2020/05/08(金) 01:08:04
>>602
>>603

「あぁ……どうもっス……」

どうにもやりにくい。
ほんの少し言葉を交わしてみてそう思った。
距離感というか、なんというか。
中務千尋が相手をしてきたタイプとは違うズレ。

「はい、是正っスね」

それだ。
是正だ。
役割柄、中務は言葉に多少敏感だ。
隣の彼女は短期間に二度その言葉を発している。
口癖なのかなんなのか。
自然にその言葉を選んだのか?
それとも、意図的にそう言っているのか?

「入っちゃいましょうか……あんまり長引かせるのも悪いっスから」

中に入ろう。
少なくとも彼女は今回の件を解決するのに乗り気なのだから、早く乗ってもらおう。

605『火はなくとも煙る』:2020/05/08(金) 01:49:32
>>603(白町)

 中務に感じた好印象に笑みを浮かべ、ドアに手をかけた。
 彼女の反応は変わらないが、室内に入ることには同意のようだ。

>>604(中務)

 やりにくさを感じながらも、言葉を返す。
 と、白町がドアに手をかけた。中に入るつもりらしい彼女に追従する。


>両名

     ガラ   ラ  ラ ・・・


 『図書室』は、本来そうあるべき静寂を保っている。

 壁一面の本棚。
 一定の距離を保っている自習机。
 本を日焼けさせないためだろうか、カーテンの布地は分厚く、窓も他の教室と比べて小さい。
 木製の家具と、古い紙の匂い。苦手な人は苦手だろう。

 時計が針を刻む音、そして換気扇。それ以外には、何の音もしない。
 学園モノのドラマや、舞台セットなどで見るような、『一般的な学校の図書室』だ。

「…………」 チラ
                 パタ ン

 入口の真向かいにある貸出カウンターには、一人の女生徒が座っている。
 相談事を持ち掛けてきた、あの『金髪の西洋人』だ。

 『ハードカバーの書籍』を読んでいたようだが……

 二人の声と、扉を開けた音に気付いたのだろう。
 本を閉じ、顔を上げて視線を寄越している。

「……自分で頼んでおいて、なんだけれど」
「無視して帰っても、よかったでしょうに。人が好いのね、二人とも」

 ……皮肉めいた口ぶりだが、あざ笑うような色はない。
 むしろ、どこかホッとしたような表情だ。

 女生徒は貸出カウンターから出てくると、手近な椅子を二つ引っ張ってきて、その前に並べた。

「……どうぞ、腰かけてください。先ずは、『弁明』をしなくちゃ」
「例の、『飲酒』の騒動について……」

606白町 千律『ハード・タイムス』:2020/05/08(金) 03:35:56
>>604(中務)
>>605(GM)

『是正』――その言葉を確認するように、中務に頷き、入室する。

そして白町は図書室内を見渡す。
ここで『よからぬこと』が起きているとは、とても思えない光景。
そう思える環境は『図書委員』や教員の不断の努力で築かれ、
そして、今、不届き者によって脆くも破れようとしている。

――――『是正』を、しなくてはならない。それを確認する。

「安心なさい。『約束』は、守るものです。
 ――――お待たせを、いたしましたね。
 『風紀』の白町千律、『是正』に参りました」

                ペコリ …

「お気遣いをどうも。失礼、いたしますね」

        ストン

頭を下げて、椅子に座る。

「さて……委員会やせんせい方を通さず、
 『直接』わたくしを頼ったこと。『弁明』という言い方。
 なにか『やましい』思いが、あるのですね。
 風紀として耳に挟んではおりますが、
 図書室は『巻き込まれた側』でしょうに、
 なんという責任感なのでしょう……素晴らしい」

「ぜひ、お話しください。そうしたらわたくし、心して聞かせていただきます」

607中務千尋『エイミー・ワインハウス』:2020/05/08(金) 10:45:54
>>605-606

(安心するなぁ……)

図書館にはよく来る方だ。
何かと世話になる場所だからこそ、今回の騒動の解決を引き受けたところもある。
この匂いこそは本を愛するものにとっての玉露の香り。
なんともかぐわしい。

「図書室閉鎖されてるとボクも困るので……どうも、演劇部の中務っス」

別に演劇部の部分は要らなかったな、と思った。
白町に引っ張られてしまったのだろう。
彼女は風紀委員なのだからそれを名乗るのは場に合っているのだ。
演劇は関係ない。
中務もまた、椅子に座る。

「弁明ってまたまた……」

「あー……何か落ち度でも?」

608『火はなくとも煙る』:2020/05/08(金) 21:04:42
>>606(白町)

 使命感に駆られながらも、恭しく頭を下げる。

「……『噂通り』ね。だからこそ、貴女を頼ったのだけれど」
「……そして、『図星』。先生方には、頼れない『事情』がある」

 女生徒は、やや緊張した面持ちだ。

 年上の風紀委員である貴女の前では、行儀よくしないといけない、と、気を張っているのか。
 或いは、年下だからといって舐められたくない、と、肩肘を張っているのか。
 いずれにしても、表情は硬い。

「……でも、あまり褒められたものではないんです。
 責任感というよりも、もっと『個人的な』感情だから」

「……それに、どちらかというと。
 私が、貴女たちを『巻き込んでいる』。
 それについては、申し訳ない、と思っているわ」


>>607(中務)

 慣れ親しんだ匂いに、気を解す。
 同学年と思しき『図書委員』の女生徒は、貴女の顔を一瞥した。

「中務さん、って名前だったのね。
 カウンター越しによく顔を見かけてはいたのだけれど」

 中務としても、貸出カウンターにいる彼女を、もしかしたら見かけたことがあるかもしれない。

「『落ち度』……どうかしら。
 私は、『図書委員』の落ち度だとは思っていないわ」

「責任逃れの『言い訳』、というよりも……そうね。『無実の証明』がしたい、というコト」


>両名

「……エヴァレット・ローレンス。二年、図書委員」
「もう知っているかもしれないけれど、一応。『礼儀』は大事よね」

 二人の自己紹介に応じるように、女生徒も名前を明かす。
 『ハードカバーの書籍』を机の片隅にずらすと、エヴァレットは居住まいを正した。

 ちら、と、入り口付近の掛け時計に視線を送る。

 高等部の三人は、今日は六限目の授業を終えての放課となった。
 現在、時刻は『15:47』。
 夕方というには、やや早いだろうか。

「……先ずは『飲酒』騒動について、事実を共有するわね。
 特に、『風紀委員』の白町さんは、詳細までご存知かもしれないけれど……」

 物語を読み聞かせるように、とつり、と、語り始める……。

609『火はなくとも煙る』:2020/05/08(金) 21:09:38

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 およそ、一か月ほど前。

 私立清月学園の高等部に通う一人の男子生徒に、謹慎処分が下された。
 学園の敷地内で、「未成年飲酒を行った」という疑いがあるためだ。


 時間帯は、『金曜日の放課後』。

 『千鳥足』で廊下をふらついていたところを、通りかかった教師に発見されている。
 教師曰く、顔は『赤らんでおり』、『呂律』も回っておらず、相当な『アルコール臭』もしていたが……
 当人は、飲酒の疑いをかけられて、相当に動揺していたという。


 その翌週、やはり『金曜日の放課後』。

 同じような時間帯に、未成年飲酒を行ったと思しき女生徒が現れた。
 彼女の場合は、急激な『体調不良』を訴え、保健室に駆け込んできたとのこと。

 『激しい動悸』や『吐き気』を訴えており、自力で立つことも難しいほど。
 やはり『アルコール臭』がひどく、傍目に見ても、明らかに『泥酔』していたが……
 飲酒の疑いをかけられると、取り乱し、泣きわめいて否定したそうだ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「…………それから、同じような『騒動』が立て続けに起きたの。
 最初は、その生徒個々人の問題だと思われていたみたい。
 けれども、何度も続いてしまったせいで、学園の偉い人がカンカンに怒ったみたいで……」

「……先生方も、最初の頃は、他の生徒への注意に留めていただけだったんだけど。
 これ以上の再発は防がなきゃいけない、というので、対策のために色々と動いているみたい」


 ……二人は、今週のホームルームが、普段よりも長かったことを思い出した。

 もし、教師の話を真剣に聞いていたのであれば……
 『飲酒』という具体的な単語や、謹慎処分を受けた生徒の話は避けていたものの、
 未成年の犯罪リスクに関する話や、素行についての説教をしていたことも、覚えているだろう。


「……ここまでが、『事実』ね」

「PTAの会報なんかには、しっかり載っているわ。
 騒ぎにならないように、生徒にはあまり知らされていないけれど……
 『風紀委員会』では、既に問題になっているかもしれないし、
 情報通の生徒が近くにいれば、詳しく知っていたかもしれないわね」


「……一息に話してしまったけれど。分かりにくい説明や、不明な部分はあったかしら?」  チラ

 エヴァレットは、『時計』を気にしている……。

610白町 千律『ハード・タイムス』:2020/05/08(金) 23:40:18
>>607(中務)
>>608-609(GM)

「『礼節』と『礼儀』は『社会』を円滑にするのです。
 それを弁えていらっしゃるあなたは『素晴らしい』
 わたくし、そういった『心遣い』が好きです。
 どうか『自罰』し過ぎず……そして包み隠さず話しなさい」

         パサ

緊張する様子と、『申し訳ない』という言葉。
羽織っていたブランケットを膝掛にしつつ、
そのように言葉を返した白町は静かに話を聞く。

「……成る程」

そして一通りを聴き終えると、小さく頷いた。

「『エヴァレット』さん、お話ありがとうございます」

               ペコリ
 
「それにしても、なんて、お話がお上手なのでしょう。
 『噂』はもとより、『先生の話』以上に『要点』が掴めました。
 やっぱり『本』を読んでいると、『語彙』が増すのでしょうね。
 ふふ……わたくし、すっかり聞き入ってしまいました」
 
「もちろん『完璧』ではありません!
 ですがそこは、『是正』すればいいのです」

             ピッ

そして、手を挙げた――――『挙手制』ではないのだが。

「話していただきたいのは『同じような騒動』について、なのですよ。
 それもまた『金曜日の放課後』……あるいは、『16時以降』でしたか?」

611中務千尋『エイミー・ワインハウス』:2020/05/08(金) 23:49:39
>>608-609

「はぁ、なるほどっスね……」

そう呟く。
まぁなんとも不思議な話だ。
何がどうなってそうなったのか気になるところである。
また、弁明という言葉の意味も理解した。

「……」

質問はひとまず白町に任せる。
彼女が時計を見ていたし、自分もそこが気になるところだったからだ。

612『火はなくとも煙る』:2020/05/09(土) 18:42:35
>>610(白町)

「……あまり、褒められたものでは、ないです」

 白町の褒め殺しに、エヴァレットの頬がじわりと赤くなる。
 居心地悪そうに視線を泳がせていたが――――

「……そんなに、分かりやすかったかしら。
 それとも清月の『風紀委員』は、そんなところまで把握しているモノなの?」

 手を挙げて推論を述べた白町に、目を丸くする。

「……ええ、ご名答。いずれも、『金曜日の放課後』に起きている」
「時間については、……そうね。もう少し後で、説明をさせて」


>両名

「……ここからは、虚実の入り混じった『噂』。その境界線がどこにあるのか、私には分からない」

 時刻は、『15:49』。

 分針が進むたび、エヴァレットの表情に焦りが浮かぶ。
 まるで、『時間制限』でも設けられているかのように。

「……けれど、私だけが知っている情報もある。
 そして、私はソレが、『弁明』をするための『鍵』だと思っている」

「……『図書室』が『利用禁止』になったのには、理由があるの」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 『飲酒』騒動には、奇妙な点がいくつかあった。

 その一。

 『飲酒』疑惑の学生たちが摂取したと思しき、『アルコール飲料』の痕跡が見つかっていない。
 校内の『ゴミ箱』や敷地周辺を探しても、空き缶のひとつさえ出てこなかったという。

 このため、彼らに下された処罰は、『退学』や『停学』といった公的な罰則ではなく……
 あくまで素行不良による『謹慎』として、その内容には触れずに留まっている。
 明確な証拠がないため、警察沙汰などにもなっていない。この辺りは、私立校の閉鎖体質だ。

 その二。

 『飲酒』疑惑の学生たちは、いずれも放課後に『図書室』を利用していた。
 うち二人は『図書室』の中、それも自習席で、酩酊状態にまで陥っていたという。

 ……もしも、これが『連続した類似の事件』でなかったならば。
 それは『偶然』だとか『見落とし』といった言葉で、片付けられてしまっただろう。
 しかし、並列に揃えたことで、『共通点』というひとつの繋がりとなってしまった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

613『火はなくとも煙る』:2020/05/09(土) 18:44:19
>両名


「……先生方のうち何名かは、『図書委員会』の怠慢だ、と思っている」


     たかが、学校の委員会。
     そうやって侮って、手を抜いていたのではないか。

     もし、真剣にやっていたのなら。
     図書室内で、生徒が酒を飲んで悪ふざけをしていたのに、気付けたのではないか。
     気付いていれば、未然に防ぐことも出来たのではないか。


「……、的外れだとは言わないわ。でも、よほど自分たちが責任を被るのが、怖いみたいで」

 エヴァレットは、わざとらしく、大きな溜息を吐いた。
 平静を装って見えるが、言葉の端々が震えている。

「……むしろ、『図書室』こそが事件の温床だ、と睨んでいる先生もいるの。
 『利用禁止』になっているのは、そういうコト。
 担当をしていた生徒が、……彼らに、手を貸していたんじゃあないか、って」

「……そして、金曜日は、私が当番だった」

 その瞳には、暗い炎が宿っている。
 雪辱。その感情を薪木として燃える、粘性の炎だ。

「……『イギリス人は日本人と比べて、真面目に仕事をしない』んですって」

「……私は、日本生まれじゃあないし、日本の人々の勤労精神は、心から尊敬している」

「問題を解決するために、疑わしくなってしまう気持ちだって、理解しているつもり」

「…………でも。犯してもいない罪の汚名を被せられるのは。とても、悔しい」

 ふと、エヴァレットが時計を見上げる。
 時刻は、『15:51』。

「…………ごめんなさい。少し、感情が乗ってしまった。
 どうでもいいコトね、少なくとも、今は。
 大事なのは、『16時ちょうど』に何が起きるかと……私が、犯人の目星がついているということ」

「あと少しだけ、説明が続くわ。長くなってしまったけれど、今のうちに確認しておきたいところはある?」

614白町 千律『ハード・タイムス』:2020/05/10(日) 01:54:16
>>611(中務)
>>612-613(GM)

「褒め過ぎてしまいましたか。わたくし自制しますね」

泳ぐ視線に、笑みを僅かに抑え、挙げた手を降ろす。

「わたくし、『完璧』ですので。
 すべての風紀委員がわたくしのようではないのです。
 もちろん、そうなれば、いいのですけど」

それは『良くない』気はするが……
白町にはそれくらいの自負がある、のだろう。

「さて、お話の続き、お聞きしましょう。
 わたくし、褒め過ぎないようにしますが、
 内心は褒めてますので、『機嫌を損ねた』わけではないです」

両の手を膝の上に置いて、
再びエヴァレットの話に聞き入る。
そうして、『確認』を取られたときに改めて口を開いた。

「そのような『濡れ衣』は『是正』すべきですね。
 『文化』の違いは事実としてあっても、
 『人種』の違いだけで物事を決めるのは、 
 わたくし、とても、間違っていると思うのです。
 日本人とて、『さぼり』に走る者も多いですし……」

「『中国人』『インド人』『アメリカ人』『インドネシア人』
 『パキスタン人』『ブラジル人』『バングラデシュ人』
 『ロシア人』『メキシコ人』……勿論『日本人』も『イギリス人』も、
 『人類』は、77億皆等しく、『是正』するべき存在なのです!」

やや熱の入った口調だった。
自覚があるのか、少女は次の句の前に呼吸を挟む。

「『説明』を続けなさい。確認する事は、今は無いです。
 それと……わたくしは、あなたの『感情』、好ましく思っています」

褒め殺しを控えてはいても、白町は付け加えるように、エヴァレットを『肯定』する。

615中務千尋『エイミー・ワインハウス』:2020/05/10(日) 20:46:01
>>613-614

(やっぱりこの人、ヤバいって……)

白町の言葉に絶句していた。
七十七億総是正だ。
褒め殺しするほどの肯定感を持ちながら、同時に全てを是正する感覚を持つ。
彼女の中でどういうバランスが生まれているのかが中務には分からなかった。

「ボクも特には……」

「ていうか、その、もしかして……ここに酔っ払った生徒が来る、とか思ってるっスか……? なんて」

彼女が時計を見ているのを確認してそう呟いた。
いや、まさか。
だってここは立ち入り禁止の場所なのだから。

「ま、まぁ……続けてくださいっス」

犯人に目星がついているらしいのも気になるが、とにかく話の続きを聞こう。

616『火はなくとも煙る』:2020/05/10(日) 23:35:35
>>614(白町)

「ええ、そうね……。ちょっと、心臓によくないから……」
「私も、気分を害した訳ではないわ。気を悪くしないでくださいね」

 褒め殺しにブレーキをかけつつ、貴女は『是正』の信念を高らかに主張した。

 エヴァレットは、そのスケールの大きさに少し身じろいだが……
 『濡れ衣』とはっきりと言い捨てた貴女に、微かな笑みを向ける。

「……ありがとう。他人にそう言ってもらえると、少し……楽になる」
「……ちょっと、『度が過ぎている』とは思うけれど」


>>615(中務)

 白町の主張は、貴女にとっては常識の埒外だった。
 言葉を失いつつも、ひとまずは話の続きを促す。

「……いいえ。私の狙いは、少し違う」

 話の本題を思い出したかのように、真剣な表情でエヴァレットが応じる。

「生徒たちの身に何が起きたのかは、私も分からない。
 けれど、何かが起きたのだとしたら……それは、確かに『図書室』の中だと思うの」


>両名


 そこまで話すと、エヴァレットは大きくひと息をついた。
 表情が曇り、僅かに逡巡する。

 しかし、意を決したように力強い目つきで、二人と視線を交わす。

「…………今から、私の話が少しでも『胡散臭い』だとか、
 『信用に値しない』と思ったら、すぐに『図書室』を出て行ってかまわないわ」

「……そうではなくて、『身の危険』を感じたりだとか……
 『どうしてそんなことに付き合わなくてはいけないんだ』、と理不尽に思ったら、そう教えて」


「――――但し、『16時』よりも、前に。それを過ぎてしまうと、間に合わないかもしれない」


 時刻は、『15:53』。
 彼女の示した『時間制限』まで、あと『7分』。

「…………『金曜日の放課後』。『16時ちょうど』」

 その耳が、再び赤く染まる。
 緊張か、それとも羞恥か。


「この『図書室』には、『幽霊』が出る。私は、それが、悪さをしているんだと……思って、る」

617白町 千律『ハード・タイムス』:2020/05/11(月) 01:26:23
>>615(中務)
>>616(GM)

「わたくし、それくらいで気を悪くはしませんよ。
 むしろそのお気遣い……素晴らしいものです!
 ……おっと。失礼しました、『自制』という『是正』をせねば」

『度が過ぎている』という言葉や中務の反応には、
白町も『無視』を決め込むことは無い。が、響いたかは謎だ。

そうして話を聞き続けていたが――――

「『幽霊』――――――ふふ。……とても、興味深いです」

白町は笑みを絶やさない。
が、嘲る笑みではない。
意図の読めない笑みは、
あるいは『素』の顔なのだろうか。

興味深い――――その言葉は『他意』を帯びていない。

「たしかに『この図書室の中』に『原因』があり、 
 なおかつ、それが『何も見つからない』以上は、
 目に見えないところにこそ答えがあるのでしょう。
 それは『幽霊』を疑う気持ちも、分からなくはないのです。
 ……ですが、それ以外にあり得ないという、程ではない」

「あなたも分かっているはずなのです」

             シュル ・・・

「その上で、恥じてまで可能性を口にした。
 ……何か、あなたなりの『根拠』があるのですね。
 それがとても、興味深いのです。よければその続き、わたくし達に聞かせなさい」

膝掛けにしたブランケットを、片手で僅かに持ち上げながら、促した。

618中務千尋『エイミー・ワインハウス』:2020/05/11(月) 03:19:51
>>616

中務は持ってきていたペットボトルに口をつけて中の水を飲む。
視線は前にいるエヴァレットから外さない。
胸の中の内側が痒い。
なんとはなしに、嫌な予感がしている。

「幽霊っスか」

引っかかる。
あるいはモヤモヤする部分。
この場に酔った人物が来るのでは無いのなら……いや、そもそもアルコール飲料の痕跡がないのなら、なにかカラクリがある。
そのアルコールの出処はどこだ。

「……まぁ、信じない訳じゃないっスけど」

「耳、赤いっすよ」

619『火はなくとも煙る』:2020/05/11(月) 18:49:38
>>617(白町)

「…………」

 貴女の笑みの真意を探るように、エヴァレットの視線が値踏む。

 しかし、ややもせず、息を吐いた。
 どうやら、その表情からは意図は読めなかったらしい。

「『根拠』」

 その言葉の重要性を強調するように、はっきりと呟いた。

「……今、貴女たちに提示できるような『証拠』のようなものは、ないわ」

「というのも、すべて私の『主観』に過ぎないから。
 『16時』まで待ってもらえたなら、向こうから勝手に現れてくれる」

「……そういうコトではなくて。
 私自身が『幽霊の仕業』だと確信した理由について、というコトなら……

 一つ、『他の人にはまったく見えていないようだった』。

 二つ、『それが見えるようになった時期と、飲酒騒動の始まりが重なる』。

 ……こんなところかしら。
 悪霊のいる場所で、不思議と具合が悪くなる、なんて、よく聞く話でしょう?」


>>618(中務)

「……ええ。現実味のない荒唐無稽な話というのは、私も理解している」

 エヴァレットに視線を合わせたまま、ペットボトルに口をつけた。
 まだ冷たさの残る液体が、乾いた喉を滑り落ちる。

 貴女の指摘に促されたかのようにして、エヴァレットは自分の耳を触る。
 冷たい指で、火照りを冷まそうとしているようだ。

「……本当にこっそりお酒を飲んでいた、というオチのほうが、まだ現実味がある」
「私が貴女の立場だったら、疑うもの。鼻で笑われないだけでも、ありがたいわ」



>両名

「……話は、ここまで。
 要は、『飲酒』騒動の真相について、一緒に解き明かしてほしいということ。
 そして、あの『幽霊』が、きっとその真相に深くかかわっているはず。
 そのうえで、『飲酒』騒動がもう起きないように事態を解決出来たら、御の字といったところかしら」

「……今まで私にしか見えていなかった『幽霊』が、二人にも見えるのかは分からないけれど」

「私の叔母は、『霊感』の強い体質だった。
 そして、私も。
 他の家族や親戚には、『見えないもの』が見えたり……
 ちょっと変わった人や、奇妙な体験ばかり引き寄せてしまう」

「……だから、『誰か』を頼ろうとして、貴女たち二人に行きついたのも、偶然じゃないと思ってる」

620『火はなくとも煙る』:2020/05/11(月) 18:55:40
>両名

「……私は、『無実の証明』がしたい。
 謂れのない罪で、もう責められたくない。
 ……けれど、相手が幽霊なら、私一人にはどうにもできない。

 だから、せめて真相を解き明かしたいの。
 原因は何なのか。どうやったら解決できるのか。
 そもそも、本当に幽霊の仕業なのか。

 ……とはいえ、もし私一人で解き明かしたとしても、なんの慰めにもならないわ。

 【エヴァレット・ローレンスは、飲酒騒動とは無関係だった。】

 その真実を共有している、『誰か』が必要。
 口だけの慰めじゃあなくって、それが真実だと知ってくれている、『誰か』。

 そうじゃないと、納得はできない。
 もしかしたら、頭のおかしくなった私が、自分に都合のいい妄想をしているだけかもしれないもの」


   『15:55』。

   彼女の示した時間まで、残り『5分』。
   エヴァレットの口調が、いよいよ捲くし立てるかのように早足になる。


「……もう一度だけ、繰り返すわ。
 私の言っていることが、荒唐無稽なホラ話だと思ったら、席を立って構わない。
 或いは、そんなことに付き合わされたくない、と思ったら、『16時ちょうど』までに『図書室』を出て」


   自ら突き放すような口調だが、その視線に込められた思いは、言葉とは真逆のように思える。


「……それでも、残ってくれるなら。
 私は今度こそ、本当に、貴女たちを巻き込んだことになる。
 『幽霊』になんて、何をされるか、分かったものじゃあないわ。
 その危険を承知で、手を貸してくれるなら……『お礼』なんて、温(ぬる)いコトは言わない」

「……『貸し一』。貴女たちが困っているときに、無条件で手を貸す。それで、どうかしら」

621白町 千律『ハード・タイムス』:2020/05/11(月) 19:59:13
>>618(中務)
>>619-620(GM)

「―――――いいえ」

「提示できる『証拠』は、ありましたね。
 今の話が『根拠』たりえるのです。
 わたくし、その話、信じましょう。
 『わたくしに声を掛けたのは正解です』」

            シュル

「『冤罪』の証明――――
 そして『真相』の究明。
 それすなわち、学園の是正!」

「わたくし、手を尽くさせていただきます。
 それは、是正のためというだけではなく」

膝掛を膝から完全に持ち上げ、
最初そうしていたように『羽織る』。

「『貸し一つ』――――くふ。
 『風紀委員』の『役目』を引き合いに出して、
 無条件に協力させることも、できたでしょう」

             「ククッ」

「そうしなかった――――そこが『素晴らしい』
 わたくし、やはり、あなたのことも……好きなのです」

笑みを一段と深め、うなずく。それから『中務』を見て、彼女の答えを待つ。

622中務千尋『エイミー・ワインハウス』:2020/05/11(月) 22:21:00
>>620-621

「……ボクにも信条ってものがあるので」

そう、言葉を返した。
荒唐無稽と思うかどうかは中務自身が決める。
そしてそうは思わないと決めたのだ。

「貸しは別にいいっスよ。ボクは図書室にお世話になってるので、もう一度使えるようになるのがお礼で」

正直、手を貸してもらうような状態になるかどうかが分からない。
だからそういう貸し借りを作るのはちょっとばかり面倒だ。
なぁなぁにしても仕方ないのだけれど、学生間のことに関してそこまでビジネスライクにもなれない。

「……なんでこっち見てるっスかぁー」

白町がこちらを見ているのに気づいてそう言った。
照れくさいのかなんなのか微妙そうな顔をして眼鏡をいじった。

623『火はなくとも煙る』:2020/05/12(火) 18:35:40
>>621(白町)

 膝掛を肩に羽織る貴女に、エヴァレットが笑いかける。

「……貴女、笑い方がちょっと怖いわ」

 手酷いコメントが飛んできた。
 或いは、信頼の証なのかもしれない。

「……『善意』にどれだけの値札を付けるかで、その人の価値も決まるでしょう」

「……汚名を雪ぐというのは、私にとっては大切なこと。
 そのために危険を冒してくれるなら、当然報いなくてはならないわ」

「『風紀委員』という肩書があったから、貴女を頼ったのは事実だけれど……
 その『役目』や『善意』を盾にして気楽に取り戻せるほど、安っぽい名誉ではないつもり」

「……とはいえ、『貸し一』が限界。学校で、金銭のやり取りもできないものね」


>>622(中務)

「……そう。『無欲』なのね。いえ、『達観』というのかしら?」

 自身の心情に則って返答する。
 『貸し一』にも首を振ると、エヴァレットは感心したように頷いた。

「……分かった。
 それなら、私が勝手に『借り』だと思っているわ。
 貴女は、何とも思わなくていい。それで、納めてもらえるかしら」

「……図書室も、ね。
 早いうちに再開するように、掛け合ってみる。
 ……当然だけれど、これは『貸し一』には含まないわ。」


>両名

 『15:57』。
 いよいよ、『残り3分』を切った。

 学園の是正という大義を掲げながら、エヴァレットを肯定した白町。
 慣れ親しんだ居場所、という一片の恩に報うために応諾した中務。

「……ふたりとも、ありがとう」

 小さな声だったが、その感謝の言葉は、はっきりと貴女の耳に届いた。

 ……コチ、と、軽い音を立てて、掛け時計の分針が揺れる。
 特に行動を起こさなければ、このまま『16時』を迎えることになるだろう。

624白町 千律『ハード・タイムス』:2020/05/13(水) 01:14:12
>>622(中務)

「失礼、わけなく見ていたわけでは無いのです。
 どう返事をするのか、気になっていました。
 事態はわたくしの『想定』を超えておりますし、
 あなたは『風紀委員』でも、生徒会でもない。
 断ったり、謝礼を釣り上げても、不思議はない」

「ですが……その『奉仕精神』ときたら!
 ああ、なんて素晴らしいのでしょう……
 手を組む協力者が、あなたのような方で良かったです」

どうやら、白町側では『組む』準備は万端らしい。
深い笑みを浮かべる表情は、少なくとも今は純粋に笑っている。

>>623(GM)

「ふふ……それは『是正』を、せねばなりませんね」

       グイ

指先で口角を軽く押さえる仕草。
真に受けてはいない、という事かもしれない。

「『貸し一つ』……それだけで『十二分』なのです。
 それを差し出してくれる、そのなんと尊い事でしょう!」

そして、席から立ち上がった。
その見開いたかのような双眸が、図書室全体を見渡す。

それは、この部屋の『窓』の位置を探っていた。
扉以外の出入口であり……『カーテン』を備える。

「…………わたくしに。いえ。わたくし達に、任せなさい!」

感謝の言葉には、よく通る声で、はっきりとそう返した。
中務という『仲間』を、白町は『信頼に値する』と考えていた。

625中務千尋『エイミー・ワインハウス』:2020/05/13(水) 21:23:32
>>623-624

「ここまで話聞いてやめたってのはなしっスよ」

白町に言葉を返す。
その笑みは彼女らしい笑みだと受けとった。
かなり純粋な子なのだろう。

「無欲でも奉仕精神でもなんでもいいっス」

「ボクにはボクの理由ってわけで」

ペットボトルのキャップを閉め、立ち上がって伸びをする。

「そろそろっスね?」

その時を待つ。

626『火はなくとも煙る』:2020/05/13(水) 22:17:06
>>624(白町)

 中務の『奉仕精神』に感じ入りつつも、立ち上がって『図書室』を見渡した。

 私立一貫校である清月学園の『図書室』は、【東西】に広い。
 【南】の壁の両端に入口の扉があり、向かいとなる【北】の壁の中央に貸出カウンターがある。
 壁一面に敷き詰められた本棚以外は、自習用の机が等間隔に並べられている。

 『カーテン』を備えた窓は、すぐ近く。
 【北】の貸出カウンターの左右にあった。日照の悪い、北向きの部屋ということになる。


>>625(中務)

 白町の賛辞を受け流し、ペットボトルのキャップを閉める。
 立ち上がって伸びをした。少し、身体が解れたかもしれない。


>両名


   コチ・・・    コチ・・・   コチ・・・

                         ビィィィン・・・


 『分針』が、ひときわ大きく震える。


       キーン            カーン
              コーン             コーン・・・
  

 『16時ちょうど』。

 放課を知らせる、いつものチャイムが鳴り響く。

627『火はなくとも煙る』:2020/05/13(水) 22:18:08
>>624(白町)


   「…………、見え、ますか」


 エヴァレットの強張った声が耳に届くよりも、一足先に。

 『図書室』を見渡していた貴女は、『ソレ』を視認した。



      『ズ』

                『ズ  ズズ  ・・・ 』


 『図書室』の中央。


 西洋風の顔立ちをした、男性の姿。
 或いは、『絶世の美少年』とも呼ぶべき、黄金比の美貌。

 現代においては、やや時代錯誤的にも思われる、その衣裳。


          『 ド ド ド ド ド  ・・・ 』


 直感する。これは、『幽霊』ではない。『スタンド』、そのヴィジョンだと。


>>625(中務)


   「…………、見え、ますか」


 貴女の正面に座っているエヴァレットの顔から、血の気が失われる。
 恐ろしいものでも目の当たりにした、と言わんばかりの表情の硬直。

 その視線は、貴女の後方。

 横長に広い『図書室』の、ちょうど中央辺りに注がれている……。

628白町 千律『ハード・タイムス』:2020/05/14(木) 15:16:35
>>625(中務)
>>626-627(GM)

部屋の位置関係を。そして中務やエヴァレットを。

「ふふ……『理由』がなんであっても、
 その『結果』の行動が素晴らしい――――」

    スッ
 
              「――――ああっ!」

 
「エヴァレットさん、わたくし、見えます。
 ――――『あれ』が『そう』なのですね!」

巡った視線は、最終的に、『それ』に止まる。
大きな目が、いつも以上に見開かれる。
指をさし、『自分にも見える』事を二人に示す。

「なんて、綺麗なお顔なのでしょう。
 素晴らしい……まるで『絵画』のよう!
 是正すべきところを探すのが、難しいくらいです」

ブランケットの端を持ち上げ、口元を覆いながら褒める。
『アルコール』を散布するような『能力』を警戒する。

「中務さん、そのまま後ろを向きなさい。
 あなたに、見えるかは、分からないのですが」

「わたくしには『見えます』。
 エヴァレットさんと同じものです。
 もし見えないならすぐに逃げなさい」
 
「あれは、『見えない』者には、どうにも出来ないものなのです」

   「ですが『見える』わたくしには、『どうにかできる』でしょう」

『生まれついてのスタンド使い』である『白町千律』は――――動揺しない。

629中務千尋『エイミー・ワインハウス』:2020/05/14(木) 21:56:10
>>626-628

「大丈夫っスよ」

「ボクの予想が正しいなら、後ろの正面に立ってるそいつが何なのか」

「分かっているはずっスから」

白町の言葉に呼応するように肩越しに後ろを確認する。
それと同時、中務の足元にはうずくまるような像。
体を丸めて、そこにいる。

「『エイミー・ワインハウス』」

ペットボトルを手放し、顔を上げさせたスタンドにキャッチさせる。
『エイミー・ワインハウス』にそこにいるだろう存在と自分たちの距離を測る。
接近しているようならこちらも何とかしないといけない。

630『火はなくとも煙る』:2020/05/14(木) 23:14:49
>>628(白町)

「え、えぇ。そう」
「……見えるのね、白町さん」

 まさしく、宗教的な『絵画』のような美しさの男性像を褒め称える。
 ……エヴァレットからは、困惑したような声音が返ってきた。

 ブランケットで口元を覆い、中務にも警告を発し――――、


         『  ニ ィ ・・・  』
                           フッ…

 ……そこで。

 貴女の視界から、『スタンド』のヴィジョンが消える。


           『  ピ タ ・・・ 』


 ……僅かほど遅れて。
 『何か』が、片頬に触れた感触を覚える。

 刺激のした方向へ、反射的に視線を向けると――――、


 『いる』。


 先程まで、視線の先に居たはずの、その『彫像』的な美しさを誇るヴィジョンが。
 貴女の、すぐ隣に。
 その『細腕』を伸ばし、『小枝』のような指先で、貴女の頬に触れている……。


       『   ニ ィ ・・・  』


 ……ひどく、『自己陶酔的』な笑みだ。

631『火はなくとも煙る』:2020/05/14(木) 23:15:35
>>629(中務)

 白町の言葉に応じ、振り向きながら『スタンド』を発現する。

 『エイミー・ワインハウス』。
 貴女が手放したペットボトルを、先ずは難なくキャッチした。


         『  ニ ィ ・・・  』
                           フッ…


 振り返った貴女の視界の端に、男性像らしきヴィジョンが映ったが……

 それも、『一瞬』のこと。
 完全に後ろを振り向く頃には、貴女の視界に『スタンド』のヴィジョンはなかった。

 ……しかし。

 しゃがみ込んだ姿勢から顔を上げていた、『エイミー・ワインハウス』の視覚は。
 それを、しっかりと捉えている。

 貴女自身が振り向くのと前後して、姿を消したはずのヴィジョンが――――


 『いる』。


 今度は、はっきりと視認できる。
 まるで神話の『挿絵』でも見ているかのような、肉体美を兼ね備えた『美少年』が。
 ほんの『一瞬』のうちに。
 貴女と、白町。そのちょうど間に姿を現している。


           『  ピ タ ・・・ 』


 気付けば、その華奢な手が貴女の頬に触れていた。
 目で追うのも困難なほどの所作。コイツ、恐ろしく速い――――!(スA)


       『   ニ ィ ・・・  』


 ……なんとなく、『気障ったらしい』印象を受ける笑みだ。

632『火はなくとも煙る』:2020/05/14(木) 23:20:05
>両名

                フッ…


 『触れられた』。

 それを知覚すると、ほぼ同時に、ヴィジョンが再び視界から消える。


「ふ、二人とも……」


 目の前の出来事に圧倒されていたのか。
 かなり遅れて、エヴァレットの引き攣った声音が耳に届く。


「……無事、よ、ね?」

「…………中務さん、その、ソレ」

「………………、何……?」

 どうやら、中務の足元に出現した人型のヴィジョン――――『エイミー・ワインハウス』について、問うているらしい。

633白町 千律『ハード・タイムス』:2020/05/15(金) 01:54:52
>>629(中務)
>>630-632(GM)

「ああ、『速い』……とても見切れない速力、素晴らしいです。
 触れるだけという事は、『触れて発動する』能力なのですね。
 わたくし、あなたのことを、もっと理解していきたいです。
 良い所をたくさん見つけさせてください。『是正すべきところも』」

「まずは……フフッ。その笑いは『是正』すべきですね」

触られた頬に、指先で触れる。
何か『触れてわかる変化』が無いかを確かめるためだった。
見た目の変化がないかは――――『中務』の顔を見て判断する。

「中務さん、『それ』は、アレより速いですか?
 わたくしの『それ』は、アレに追いつける速度はありません。
 それと……あなたの『それ』について、ぜひ説明してあげてください」

白町の『ハード・タイムス』は、速力にも、膂力にも長けていない。
『エイミー・ワインハウス』はどうだろうか。取り得る戦略は彼我の戦力で決まる。

「エヴァレットさん、わたくしは無事です。
 御心配いただいて、わたくし、嬉しいです。
 そして……もし荒唐無稽に感じても、『信じなさい』」

「今起きていることは、『心霊現象』などではないのです。
 ほぼ間違いなく、『人心』が引き起こす――――『人災』」


                    ―――  シュピン


        わたくしの手
「ゆえに、『ハード・タイムス』で、是正可能なのです」

『ハード・タイムス』を、発現する。
その手で自身の両肩に触れ、一つずつ『刻印』する。

説明は質問を受けた中務に任せ、白町は視界を巡らせ『ヴィジョン』を探す。
『神速で触れてくる』――――そこに『泥酔』の謎があるのは、間違いないだろう。

問題は『発動条件』だ。一度触れられた、現時点でも『酔い』は感じるだろうか――――?

634中務千尋『エイミー・ワインハウス』:2020/05/15(金) 23:44:24
>>630-633

「うわぁ……そういうのは横のお嬢様たちにやって欲しいっスね」

辟易したような顔でそんなことを言う。
消えてしまったから聞こえたかどうかは分からないが。

「これはあれほど早くないっスよ」

『エイミー・ワインハウス』の速度について言及しつつ、エヴァレットの方を向く。
そして、なるべくゆっくりと落ち着かせるように言った。

「えぇっと……これは『エイミー・ワインハウス』っていうっス」

「ワインハウスっスけど、酔いとは関係ないんで、安心していいっスよ」

触れられた頬に触れてみる。
何とも言えない感覚が残っている。

635『火はなくとも煙る』:2020/05/16(土) 00:50:54
>>633(白町)

 先ず、触られた頬に指を伸ばした。
 ……特に、触れて分かるような変化はない。少なくとも、今は。

 次いで、中務の顔に視線を移す。
 こちらも目立った変化はないが……なんとなく『血色』がいいような気がする。

「…………『人災』? あの幽霊が、人の手で作られたモノ、とでも……」

 エヴァレットに心構えを説くも、目の前の光景に、まだ困惑している様子だ。


 そして、『ハード・タイムス』。

                          ―――  シュピン

     ビクッ
         「 !! 白町さん、の、隣にも…… 」


 羽織るようにしていた『膝掛』の上から両肩に触れ、『Φ』を刻印した。


             『 スッ 』
                          「白町さんッ!」

 ……しかし、それより僅かほど先に。
 貴女の隣に、再び『美少年』のヴィジョンが現れる。

 その『細枝』のような手指が、今度は貴女の右手を掴もうとしている……


>>634(中務)

 今は何もない空間にむけて、ぼやいてみる。


        『 ・・・・・・ 』


 答えは返ってこない。
 ただ、あの『熱に浮かされた』ような笑みの残像が、どうも頭に残っている。

 自身の『スタンド』についてエヴァレットに説明しながら、頬に触れる。
 撫でられたような感覚が、まだこびりついている……ということは別にないが、
 そんな気分にはなっているかもしれない。『残穢』のようなものだろう。

「……『エイミー・ワインハウス』……?」

 名を告げたものの、エヴァレットは困惑したままだ。

「……関係ない、のは、いいんだけど……」

「…………あまり、深く聞くべきでは、ないのかしら。
 だって、あの『幽霊』……のような、アレと、似たようなものに感じる、」


             『 スッ 』
                          「白町さんッ!」


 言葉を途中で区切って、エヴァレットが叫んだ。
 反射的に視線を向ければ、白町の隣に、再びあのヴィジョンが佇んでいる――――!

636白町 千律『ハード・タイムス』:2020/05/16(土) 14:55:45
>>634(中務)
>>635(GM)

「エヴァレットさん、わたくしの『これ』は『わたくしのもの』です。
 『わたくしはこれを操れる』のです。中塚さんは『それを操れます』」
 
「『あれを操れる誰か』も、いるのでしょう」

状況が状況――白町の『説明』は、核心にだけ触れるようなものだ。

「中塚さん、お答えありがとうございます。
 『策』を考え、是正していく必要がありますね。
 安易に行くなら、『触れに来る瞬間』を狙う――――」

              「例えば『今』です」

白町は、羽織の裾を掴む。
それに並行し――――両肩のマークから『引っ張る』。
左側からは『パスBB』で、右側からは『パスEB』。
『張力』をどう調整しようが、結果は『繊維が真っすぐになる』だけ。

だが、『不均衡』な力は『片側への強いひっぱり』を生む。
『繊維はそれでも真っすぐになる』……そういう能力だから。

「ああ、『視界』の外から一瞬で、ここまで!
 あなたの動作は、とてつもなく『速い』。
 手の動きだけでなく、恐らく『移動速度』も!
 素晴らしい『スペック』に、わたくし感嘆しています。
 もしくは……それ自体が『能力』なのでしょうか?」

重要なのは、引く力が不均衡な場合、『布は引く勢いで、強い力の側へと動く』。
その『動く力』が人を超えた物であれば……『布に付属する物』も、また動くだろう。
それにより、『ブランケット』で覆った自分自身の体を『左側』へと無理やり動かす。
足で動くのではなく、それをやると『思考』した、その瞬間に『動きを発生させる』。

「では……『反応速度』は、どうでしょう。
 『本体』が人間であれば『反応』は人間並みのはずなのです。
 『あなた自身』の意志で動くならば、話は変わってくるでしょうが」

「――――わたくしの考え、ぜひ、超えてくださいね」

掴む動作を、空振らせたい。
もし最悪、上記の動作が『掴まれてから』になっても、
それはそれで『掴んだものがいきなり動く』ことになる。
あの細い腕を考えれば、十分『意表』を付けるだろう。『中塚が攻撃する隙を生ませる』。

637中務千尋『エイミー・ワインハウス』:2020/05/16(土) 23:12:45
>>635

「安心していいっスよ」

「ボクのはそんなにヤバくないっスから」

頭に残像が残る。
なんとも言えない気持ちを残しながら。
残穢、明らかな違和感。

「んぁ……ストーカーっスかぁ��!」

白町の隣にヴィジョン。
あの速度を考えれば『エイミー・ワインハウス』では間に合わない可能性の方が高いか。
だが、投擲だともっと届かないだろう。
だから中務はそのまま突き進む。

『エイミー・ワインハウス』は相手に向かってタックル気味に攻撃する(パス精CBB)
しゃがんだ状態で発現したはずなので、いちいちしゃがむ必要は無いはずだ。
上半身が動いている以上、下半身は多少は疎かになっていると思いたい。

638『火はなくとも煙る』:2020/05/17(日) 15:42:16
>>636(白町)

         『 ピン ! 』


 両肩に羽織った膝掛の裾を引っ掴み、能力を発動した。

 刻印された2つの『Φ』……『留め針』のような小さなマーク。
 その両端が、不均衡に引っ張られる。


              『 グ  ン ッ ! 』

      ビリッ…
                            『 ピ ト ・・・ 』

 人の腕力を優に超える、布の張力。
 『膝掛』ごと、貴女の身体は左方向に吹っ飛んだ!


       『  ニ ィ  』
                  フッ

                     ガ タ ァァアン !


 布が伸び、わずかに破れたことで、その『猛獣のような力』は減衰する。
 しかし、強制的に体を動かすほどの強い力であることに変わりはない。
 急に真横に吹っ飛ばされ、『自習机』に腰を強く打ち付けてしまった。……鈍い痛みが走る。

 ……だが、見合う『収穫』もあった。

 白町の認識通り、『スタンド』の速度はあくまで行動の速度。
 任意によって操作しているのであれば、反射神経はあくまで発現主の意識に依存する。
 (『星見板』における【スピード】:ttps://wikiwiki.jp/stand0wiki0/%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%89%E3%81%AE%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%AB#m9d76e8e)

 しかし、『美少年』は。
 ノーモーションで突然吹っ飛んだ貴女の『右小指』にも、難なく触れてみせた。

 もし、この『スタンド』の主が任意で操っていたのであれば……
 初めて見るはずの貴女の動きを、『予測』や『警戒』もなしに反応することは可能だったろうか?

       『 ドッ 』
                 『 ドッ ドッ ドッ ドッ ・・・ 』

 ……自分の体の『酔い』を気にかけていた白町(>>633)は、心臓の『動悸』に気づく。


>>637(中務)

 白町の隣に執拗に現れる、『美少年』のヴィジョン。
 その『スタンド』に向けて、貴女は突き進んだ。

 ……しかし、一歩踏み出すよりも早く、『美少年』は姿を消す。


          『 グ ォ ッ ! 』
                          フッ…


 『エイミー・ワインハウス』のタックルも、空振りに終わった。

 ……攻撃を仕掛けた中務は、『美少年』が『躱した』のではなく、『消えた』のだと感じる。

 それも、貴女の『タックル』を回避するために、ではなく。
 『目的』のために出現し、その『目的』を終えたので消えた……そんな感じだ。

 いずれにしても、ほとんど『一瞬』でいなくなってしまった。
 そして、両者のスピードにも圧倒的な差がある。
 攻撃をブチ当てるのには、かなり苦労しそうだ……。

639『火はなくとも煙る』:2020/05/17(日) 18:04:20
>両名

 『ハード・タイムス』の繊維を操る力で、緊急離脱を試みた白町。
 『エイミー・ワインハウス』のヴィジョンで、攻撃を仕掛けた中務。

 しかし、いずれも『気取ったような笑み』を浮かべた『美少年』の犯行を妨げることはできなかった。

 姿を見せてから、白町の手に触れて、再び消えるまで。
 ほとんど『一瞬』とも呼べるほどの、超速の出来事だったといえる。


      「白町さん……!」


 やや遅れて、急に吹っ飛んだ白町を心配してか、エヴァレットが傍に近寄ってくる。


                『  ニ ィ ・・・  』


 しかし、彼女が辿り着くよりも、もっと早く。
 『自習机』と衝突した白町の隣に、『美少年』が佇んでいる――――!

 ……どうやら、『目に見えぬほどの高速で近づいてきた』というよりも、『急に現れた』ような感じだ。

640白町 千律『ハード・タイムス』:2020/05/17(日) 22:51:36
>>637(中務)
>>638-639(GM)

「――――素晴らしい。『超えてきましたね』」

               ニタァ ・・・

吹き飛んだ先で、自習机に手をついて立ち上がる。
真っすぐ立てない可能性が、あったからだ。
自覚する――――『酔っている』。

「わたくしも、もっと『現状理解』を『是正』しないと、
 あなたに応えられません。わたくしなら、出来ますけどね。
 ……・エヴァレットさん、心配はいりません。わたくしに任せなさい」

――――佇む『美少年』。『佇んでいる』……『触れてこない』。

「中務さん。わたくし、ここまでで『気になった』事があるのです!」

白町には、ふと、それが気になった。
『まだ動いて来ない』だけなのだろうか?
今すぐ触ればさらに『酔わせる』事が出来るはずなのに。

「アレの『攻撃』は、とても、ほれぼれするほどに『速い』ですね。
 わたくしの『回避』を上回る速度、しかも『迷い』が無かったです。
 わたくし、感嘆せざるを得ません、素晴らしい『スペック』です!
 ――――それなら、なぜ、その場で『連打』をしないのでしょう?」

「あるいは、なぜ、『全員を攻撃しない』のでしょう。
 わたくしはコレで3回。中務さんは1回、エヴァレットさんは0回です。
 『エヴァレットさんだけ0回』なら、『貶める意図』があるのでしょう。
 『中務さんやわたくしだけ』なら、『一人ずつ戦力を削る』のでしょう。
 あまりに多すぎる『是正の余地』は、『正解は別にある』事を示すのです」

「『消えて現れる』ような行動。攻撃の不可解さ。『認識』を是正すべきは今!」

立ち上がれたら、羽織ったブランケットを『ハード・タイムス』に手渡す。
『謎が解けない限り、美少年の犯行はどうせ防げない』。

「『遠隔自動操縦型』――――中務さんは、出会った事がありますか?」

「もちろん『仮説』ではありますが、 この敵は『操作はされていない』のです。
 『条件を満たした時に、満たした人間だけを攻撃する』――――『ルールで動いている』
 つまり、『ルールさえ把握すれば、発現を誘導する事も出来るかもしれない』のです!」

それは、事件ともつじつまが合う。
『自動操縦型のスタンド』であることはほぼ間違いない。『エヴァレットを襲わない理由』は、何か。

641中務千尋『エイミー・ワインハウス』:2020/05/17(日) 23:56:16
>>638-640

「くぁー!」

鳥のようなよく分からない声を出す。

「自動操縦! あぁ、そういうパターンっスね。なんか、それっぽいっすね」

「急に消えるの、普通に考えたらおかしいっス」

「ただ、なんで白町さんが狙われてるかが問題っスけど!」

白町に向かって言葉を投げる。
条件を見切らねば駄目だ。
攻撃して迎撃しようなどという欲をかくな。

「この場合、エヴァレットさんはしてなくて、ボクらがしてることを当てないといけないっス」

「ボクもワンタッチ……あぁ」

スタンドにペットボトルを白町へと投げさせよう(パス精CBB)

「それ飲んだら酔いはマシになるっすかね」

「接触系っスよね? 触りに来てるんだから?」

642『火はなくとも煙る』:2020/05/18(月) 20:29:12
>>640(白町)


       『 ピ ト ・・・ 』
                       フッ…


 『美少年』は白町の膝小僧を撫でると、やはりすぐに消える。
 あの『自己陶酔的』な笑みが、やけに残像に残る。

 負けず劣らずの笑みを浮かべ、貴女は立ち上がった。


                『 ぐらっ 』
     『 ぐらっ 』


 ……真っすぐに立てない可能性を危惧して、机に手をついた判断は『正しかった』。
 立ち上がった時点では感じていなかったが、今は『ふらつき』を感じる。


         『  ニ ィ  』


 立ち上がって間もなく、再び『美少年』が現れた。
 この『スタンド』、しつこい――――!


      『 ひゅっ 』 
                カロ ン


 と、貴女の足元に、『ペットボトル』が転がった。
 先ほどまで、中務が口をつけていたものだ。中身がまだ残っている……。


>>641(中務)

 白町の推論に納得する。

 せめてもの助けに、『エイミー・ワインハウス』。
 掴んでいた『ペットボトル』を、白町に向けて投げ――――


       『 ひゅっ 』
                カロ ン


 ……わずかに、的が逸れた。

 傍から見れば、『ペットボトル』を問題なく投げたように見えただろう。
 しかし、貴女が想定していた『放物線』よりも、誤差程度に軌道が低かった。

 いつもの『エイミー・ワインハウス』の動作性と比べると、微かに『鈍い』ような気がする。

643『火はなくとも煙る』:2020/05/18(月) 20:30:21
>両名

「……つまり、そうなのね」
「……『アレ』が。『アレ』を動かしている『誰か』が、みんなを酔わせていた」

 白町の推論を掻い摘んで、エヴァレットもようやく現状を理解したらしい。
 とはいえ、その言葉のすべてを理解したワケではなさそうだが……

「!」

 中務が『ペットボトル』を投げたのを見て、エヴァレットが貸出カウンターに戻る。
 そして、自分の『学生鞄』を漁ると、『水筒』を持ち出した。

「……『水分補給』」


   キュ キュ キュ       カ ポ!

                         ジョロロロロロ……


「白町さん、飲んで。顔色がひどいわ」

 エヴァレットは、『緑茶』の入ったカップを差し出している。

「……私がやっていなくて、中務さんが『一回』。白町さんは、……今の『ソレ』を含めると、『四回』」
「その『条件』を満たせば、自動で攻撃されてしまう。そういう『ルール』というコトね」

「……他に、何か手掛かりはあるかしら?
 貴女たちから見て、あの『スタンド』に感じる違和感だったり、共通点のようなモノ……」

644白町 千律『ハード・タイムス』:2020/05/18(月) 21:15:25
>>641(中務)
>>642-643(GM)

「ふ……ふふ、ふふふっ。『触るたびに酔いが進行する』のですね」

ふらつく脚には、確かな『酔い』がある。白町は笑う。
笑い上戸というわけではない……積み重なる『是正』の悦楽にだ。

「くふ……エヴァレットさん、流石です。理解がお早い。そこで是正をひとつ。
 ――アレや、わたくし達のこれらは『スタンド』と総称されます。
 『そばに立つ者』『立ち向かう者』……『大切な合言葉』なのです」

「ぜひ、覚えておきなさい。あなたの心の役にも立つでしょう……!」

手で机を支えにしたまま、やはり攻撃の回避や防御は試みない。
それは無意味であり、より悪い結果を誘発しかねないと、白町は考えているのだ。

「ふふ……『推論』を重ね『仮定』を立て、『是正』によって『正しさ』を目指す!
 互いのスタンドによる『戦闘』 ああ! 時にはそれも『素晴らしい』」

『美少年』は見ない。『笑顔が気になる』。『ペットボトル』を、しっかり見ている。

「いち。『被害者』たちは、スタンド使いではないはずです。
 スタンド戦を試みるのは言うに及ばず、『アレを視認する』ことや、
 反応すること、触れること、言及! このあたりは『違う』のです」

アレが見えたのは、エヴァレットだけだ。
つまり、見えなければならない『行動』はトリガーではない。

「に。『ごく自然に達成できる』かつ『エヴァレットさんは満たさない』条件。
 偶然か、それとも貶めるための故意か。一度も満たしていないのですから」

また、図書室で異常行動をしていればエヴァレットや周囲が気付くだろう。
異常でなくても、特徴的な行動なら気付く。図書室で自然に出来る事が、トリガーだ。

「さん。『条件を満たした者は、泥酔するまで攻撃を受けている』
 わたくし、現時点ではまだ、倒れるほどの泥酔には至っていません。
 つまり『被害者はこれ以上さらに攻撃を受け続けた』のです」

一度ならず、二度、三度と満たす。『攻撃は偏るもの』らしい。

演説のように、通る声で『持論』をさらに展開していく白町。
酔いで呂律が回らない可能性もある。『早口になりすぎない』ように意識をしている。

「エヴァレットさん。わたくしに『干渉』するのを一旦、止めなさい。
 『被害者がした共通の行動』ではなく『されたこと』の線があるのです。
 全員に共通し、『あなたには当てはまらないこと』は、『あなたによる干渉』」

「いいですね? 『名前を呼ぶ』ことも、してはいけないのです」

『あえて』エヴァレットの厚意を拒否する。
そして……中務の水をスタンドで拾い、飲む。

まだまだ『偶然』の可能性も高いが……白町は常に考えている。
『美少年』の出現や攻撃は、エヴァレットが自分を呼ぶタイミングに近い。
彼女に罪を着せるのが狙いだとしたら、攻撃条件としても『お誂え向き』だ。
とはいえ初回出現は違ったし、『中務が呼ばれたが何もなかった(>>632)』事もある。
まだ断定はしないが、ここは『従ってもらう』…………『是正』のためには、必要なこと。

645中務千尋『エイミー・ワインハウス』:2020/05/18(月) 22:54:41
>>642-644

「あー?」

首を傾げる。
おかしい。
自分が投げたのならば分かるが、『エイミー・ワインハウス』の精密性は人間のそれを凌駕する。
だからこれは『酔い』の影響で間違いないだろう。
たった一度でこれだ。
蓄積された白町はかなり危ういところだろう。

「推論、補強するっスよ」

「一、時間でこのスタンドが動いている謎。
 つまりは、16時にある種の鍵がある可能性は否定できないっス」

「二、もしもそれが図書館に関係のあるものだと仮定すると、会話とかがトリガーになり得るっス
 あとはエヴァレットさんとの身体的な違いとかはありそうっスね」

項目三については沈黙だ。
そこに関しては考えがない。

「それと、個人的な感じっスけど」

「あのスタンドの『熱っぽい笑顔』が気になるっス」

「熱を移すのか、それとも君の瞳に乾杯……みたいな文学的な面からのアプローチなのか」

「まぁこの辺はあんまり気にしないでいいところかも知れないっスけど」

646『火はなくとも煙る』:2020/05/19(火) 02:00:08
>>644(白町)

「…………『スタンド』。傍に立つもの」

 緑茶のカップを手にしたまま、エヴァレットは貴女の言葉を繰り返す。


         『 ピ ト ・・・ 』
                      フッ…

 『四度目』。

 触れられた瞬間、これまでとは比べ物にならない『症状』を自覚した。

 足がたたらを踏む。
 呼吸が浅く、速くなる。
 胃の中から、こみ上げてくるものを感じる――――。

 攻撃や回避、激しい運動を避けたのは、正しい判断だったかもしれない。

「―――――、……」

 エヴァレットは、貴女の指示を受けて、頷いて見せる。
 『条件』がある、そして自分自身がその『トリガー』となる可能性もある。
 その説明を受けて、正しく理解したようだ。

 そして、中務の『ペットボトル』……

 『ハード・タイムス』の手で拾おうとすると、かなりの『ふらつき』を覚える。
 揺れる地面の中、ゆっくりと手を伸ばして、どうにか拾うことが出来た。


       キュキュキュ
                 カロ


     ゴク ゴク ゴク ……


 『蓋』を開いて、口を付ける。

 水が口の中を満たし、喉の奥へと落ちていく……止まらない。
 気付かないうちに、かなり喉が渇いていたようだ。
 そのまま、『ペットボトル』を空にしてしまった。

 …………心なしか、『吐き気』が収まったような気がする。

647『火はなくとも煙る』:2020/05/19(火) 02:08:39
>>645(中務)

 『エイミー・ワインハウス』の不具合に首を傾げる。

 今のところは、修正可能なレベルの『違和感』だが……
 白町の様子を伺う限り、あまり楽観はできそうにない。

 そして、自身の推論を並べた。


 『会話のトリガー』。


 貴女は、自分で呟いたその言葉が、妙に引っかかった。

 思い返してみれば。
 例の『美少年』は、いずれも『話している最中』に現れたような気がする。

 エヴァレットは、貴女から受け取った『ペットボトル』を夢中で飲み干したようだ。
 中身は、あっというまに空になってしまったようだが……
 少しだけ、顔色がマシになったようにも見える。

「私との、身体的な違い……」

 西洋人のエヴァレットは、背はかなり高い方だ。
 しかし、それ以外の身体的な特徴は、貴女や白町と変わりないように見える。


>両名

 『美少年』の浮かべている笑顔が気になる。
 二人は、脳裏に浮かんだ残像、その特徴に思いを馳せた。

 少年のヴィジョンは、息を呑むほどに『芸術的』な美しさではあったが……
 しかし、その『笑顔』には本能的な『不快感』のようなモノを感じる。


 『自己陶酔的』で、『気障ったらしい』。

 『熱っぽい』ようで、『鼻につく』ようで、『舞い上がって』いるようで……自分が『美しい』と分かっている。


「……多少の自信は、誰しもが生きていく上では必要だろうけど……
 あれは、それを通り過ぎている。『自惚れ屋』の笑い方、そんな感じね」


 エヴァレットも、二人と同様の感想を抱いたようだ。

648白町 千律『ハード・タイムス』:2020/05/19(火) 02:39:38
>>645(中務)
>>646-647(GM)

「……ゲホッ。けほ……ふぅ、助かりました」

         「『4回目は不味い』」

         「――――『5回』が限度ですね」

保健室に駆け込めるとすれば『4回目』段階か。
あれより一段酷いとなれば、『動けない』もあり得る。

「……『今は出現していない』。
 とどめをさせたにもかかわらず、『ヒット&アウェイ』に徹する。
 筋が通った『自動操縦』のようです。『律儀』で素晴らしい」

独り言のように、白町は話しだす。

「『図書室』――自習室を使っていて、普通に4〜5回は満たす条件。
 なおかつ、自習も本も関係のないわたくしが『4度』も満たした条件。
 ――――『私語雑談』? 図書委員が『図書室でしゃべらない』のは当然」

「とはいえ、今などしゃべってはいますね」

持論は前提でひっくり返っている。

「あの笑み! 美しい笑みでした。根底を揺らぶられるような。
 ですが『あれ自体』は『一般利用客』に見えない以上、攻撃条件ではないはず。
 気になります。無論、自信は『良い』ことです!しかし、気になるのです」

「『自惚れながら、触ってくる』のは『褒められて気をよくした』から?」
 
「しかし利用者が褒めようにも、姿は見えません。
 『自意識過剰』だから自分宛てでない言葉を拾った?
 ふっ……『遺憾』ですが、わたくし自身、試しに口を閉ざしてみます」

それを最後に、一旦、口を閉ざす。
一言もしゃべらなければ、それでも『美少年』はやってくるのだろうか?

649中務千尋『エイミー・ワインハウス』:2020/05/19(火) 18:47:01
>>646-648

「……私語、あながち間違いでもないかも知れないっスけど」

「身体的な違いってほら、体温とかアルコール分解能力とか、まぁ確かめようないっスけど」

背の高さだけで判断してることはないと思いたい。
会話のトリガー、それを真とするならば、話しているか否かよりも内容に問題があるのかもしれないが。

「自動操縦……自分の意思はあるのか無いのか……うーん……」

「……あぁ、自分に酔ってるって感じっスか? あれは?」

白町が静かにする分、こちらが話す。
これで彼女が狙われるのならばより深く考えないといけない。

650『火はなくとも煙る』:2020/05/19(火) 21:26:32
>>648(白町)

 僅かな時間ではあったが、危機感を覚えるほどの『ふらつき』。
 ひと息つきながらも、推論を止めることはない。
 口に出して、整理し続けるが……今度は、『美少年』は現れなかった。


 ……ふと、貴女は自分の推論の中に、奇妙な『予感』を得る。


 着実に、照準が的へと近づいている。
 もう少しで、『射程距離内』に入りそうな――――そんな、確信めいた『予感』だ。

 正鵠を射てはいないものの、大きく外してもいない。
 『偏差』を修正すれば。或いは、修正せずとも。
 ボタンのひとつ掛け違うだけで、あの不快な『笑顔』の意味に届くような。


>>649(中務)

 身を挺するようにして、自らも推論を述べる。
 私語の有無、或いはその内容、外見だけではない体質の差異。
 様々に思考を巡らせるが……今度は、『美少年』は現れなかった。
 しかし、


 『自分に酔っている』。


 貴女は、ふと口にした『表現』が思いのほか、腑に落ちるのを感じた。
 『自己陶酔』。

 白町は、あの『美少年』を『遠隔自動操縦型』と想定していた。
 そして、定められたルールに従って仕事し続ける、機械的な『スタンド』ではなく。
 あの『笑顔』に見て取れるように、意思や感情を持っているタイプの『スタンド』のように思える。

651白町 千律『ハード・タイムス』:2020/05/19(火) 22:47:50
>>649(中務)
>>650(GM)

(ああ!)

白町千律は……喧伝こそしていないが、『ドールハウス』の作成を趣味としている。
配置に是正を繰り返す内、『理想通り』になる『瞬間』がある……(その後、理想は高まる)

(……『見えてきた』のです。『是正』の先……『正しさの白』が!)

その時に近い、感覚を覚えた。『是正』が『一区切り』される時の、そういう感覚だ。

          チョイ チョイ

白町はエヴァレットを指で招く。改めて『お茶』を、無言のまま要求する。

(『褒めない』ことはトリガーではない……エヴァレットさんは『褒めていない』
 『構わない』ことがトリガーなら、図書室の利用者全員が被害者になる)

(『自己陶酔』をする者が、他者を攻撃するとしたら?)

『それではない』 ……だが遠くない答えがあることを、どこか確信しつつある。
それを、『行動』に変えようとしていた。『白町自身の行動に』ではない。

「中務さん、ぜひ試したいことが。
 あなたの策に差し支えがなければ、わたくしを褒めなさい」

「それとエヴァレットさんも。あなたは、自分自身を褒めなさい」

『協力者の行動に』……だ。白町は『個より集を好む』。

能力が明かされていない今……白町は言葉少なに、中務とエヴァレットに要請する。
『4回目』に至るのは、極めて危険だと理解したのだ。まだ安全域の彼女らに『任せる』。

652中務千尋『エイミー・ワインハウス』:2020/05/20(水) 01:13:55
>>650

(ん、む……)

中務千尋は多くの役割を担っている。
脚本家であり、舞台装置担当であり、演者担当である。
多くのものを発想から作り上げる点は共通している。

「……自己陶酔、自分に酔ってるのは間違いじゃないっスかね」

まだ分からない。
小さな声でそう呟いた。

「褒める……あぁ、いいっスよ」

「そーゆーの苦手じゃないっスから」

そう言って、新たな自分の役割をこなす。

「白町さんって素敵な人っスよねぇ」

「是正の精神は山よりも高く美しい」

「模範的で白町さんみたいな人を『風紀委員』って言うんでしょうねぇ」

言われた通り、褒める。

「あと笑うと特徴的で素敵っス」

653『火はなくとも煙る』:2020/05/20(水) 21:31:10
>>651(白町)

 『是正』の臨界点を目指し、二人に指示を飛ばす。
 まだ多少の『ふらつき』は残っているものの、その程度ならば容易い。


「……」 スッ

 エヴァレットは貴女の意図を察して、先ほどの緑茶の入ったカップを差し出した。
 両手で触れると、まだ温かい……。
 芳しい茶葉の匂い。口をつけたなら、また『ひと息』で飲み干してしまいそうだ。

 中務は、貴女の指示に従って、そつなく誉め言葉を並べているが……、
 『美少年』は現れない。他の条件があるのだろうか?


>>652(中務)

 『美少年』の自己陶酔的な笑みは、まさしく『自分に酔っている』。

 自らの口にした表現に、腑に落ちる感覚がした……ような気がしたが、やはり否定した。
 まだ分からない。見落としや、他の可能性があるかもしれない。

 白町の指示に従って、彼女への賛辞を並べてみるが……
 『美少年』は姿を見せない。他にも、策を試してみるべきだろうか?


>両名

 白町から『自分を褒める』ように指示を受けた、エヴァレットは……

「…………えっと、」

 少し、まごついている。

 演劇で舞台に上がることも多いからだろうか、
 すらすらと台詞を並べ立てることが出来た中務と比べて、アドリブは『苦手』のようだ。

「私は……すごいわ。そう、すごい」
「どうすごいのか、と言うと……………………、『礼儀や礼節を弁えていて、心遣いができる』」


       『   ズ    』

                   『   ズ ズ    ズ  ・・・・・・   』


 その瞬間、

          「!!」
                 『  ニ ィ ・・・ 』


 はたして白町の企図した通りか、エヴァレットの傍らに姿を現した。


 『絶世の美少年』。
 『自己陶酔的』な笑みを浮かべている、西洋人風の衣裳。

 その視線は、攻撃対象となったエヴァレットに注がれているようだ。
 若木のように細い腕を伸ばして、指先で触れようとしている。

654白町 千律『ハード・タイムス』:2020/05/20(水) 22:02:22
>>652(中務)
>>653(GM)

「ふふ……ふ、中務さん、褒め上手なのですね。
 言葉一つ一つが、わたくしの心に響いてます。
 好きになって、しまいそう……ああ、『出ましたね』!」

『ハード・タイムス』の手で、出現した『美少年』を殴打する(パス精DCB)

「素晴らしい! 『期待に応えてくれる』…………ククッ!」

スピード差がある。当たる可能性は殆ど無い。が、『当たらないとも限らない』。
『攻撃される』と分かっていても、始めた動作は止められないはずだから。

「これで『発現』は誘導可能!
 戦況は一つ『是正』されたのです」

「『自画自賛』または『エヴァレットさんを褒める』
 それがこの存在の、攻撃条件と考えていいのでしょう」

重要なのは、『いつ・誰の横に出るか』を、誘導出来るという事。
勿論100%ではない……未知の『要因』が無いとは言い切れない。

「断定は、しません。ですが『出るタイミングを決められる』なら十分!」

お茶を飲み干す。『回数2』に下げておけば、『自分』も択に上げられる。


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