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【場】『自由の場』 その1

1『自由の場』:2016/01/18(月) 01:47:01
特定の舞台を用意していない場スレです。
他のスレが埋まっている時など用。
町にありえそうな場所なら、どこでもお好きにどうぞ。

528リカオン『アタランテ・オーバーチュア』:2019/09/20(金) 01:03:57
>>527

「へ〜〜ぇ! いや、凄いな。そんなに良く色々経験出来るよ」

素直な感嘆と感想しか出ない。いや、実際よくそこまで色んな出来事に
巡り合える。そう言う女神に彼女は愛されてるのかも知れない。

「ほぅほぅ、デートねぇ。・・・・・・! こ、これは」

「まさか・・・・・・!」

「そ そんなぁ」

目を見開き、肩を震わせて。



「――全くの見ず知らずの他人だ」

うん、少しだけ溜めて法螺を吹いてみた。この娘なら
オーバーリアクションにも良い反応を返してくれそうと言う期待こめて。

「はは、御免。お詫びに私の彼氏の写真見る?」

そう、財布にお守り代わりに同封している写真を差し出す。
自然公園で撮ったものだ。余り写りは良くない 彼は写真嫌いなんだ。

因みにヴァージンも既にプレゼントはしている。
私の内緒の一つかな。

529夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/09/20(金) 01:18:53
>>528

「なんだよなんだよ〜〜〜、ミョーなキタイもたせやがって〜〜〜。
 てっきりリカオンのオトウトかとおもったぜ〜〜〜」

まぁ、いいや。
ショウくんがリカオンのオトウトなワケねーしな。
いや、たぶんだけど。
だって、いかにも『ひとりっこ』ってカンジだし。
アリスも『ひとりっこ』だから、そこらヘンはなんとなくわかる。

「せっかくだから、みてやろうじゃないか!!
 『くるものこばまず』が『アリス』のモットーだからな!!
 なんかオモシロイものでもうつってるかもしれないし!!」

素直に写真を覗き込む。
そのカレシがオモシロイってカノウセイもある。
カレシが『ニンゲン』だとはヒトコトもいってないしな。
もしかすると、かわったイキモノってコトもかんがえられる。
アレはいつだったか、『ミズウミ』でのチョウサでみつけられなかった『ほしみUMA』のサイライか!?

530リカオン『アタランテ・オーバーチュア』:2019/09/20(金) 18:29:26
>>529(次レスで〆させて頂きます)

>てっきりリカオンのオトウトかとおもったぜ

「……ぁ〜 うん」 ポリポリ

耳下腺のある場所の皮膚を小指の爪で掻きつつ、曖昧に同意する。

――おとうと か……。

「そうだったら、奇妙な面白さがあったかもね。
けど、現実はそこまで愉快じゃないかなぁ」

夢見ヶ崎が見た写真には、軽く手を振るリカオン 横向きで億劫そうな顔つきの
『ウツボカズラ』のヘアバンドをした大体成人なり立てか未満に見える男が居る。

「出会いはフッツ―なんだけどね。てきとーに今日見たいに野草探しして
てきとーに休んでる時に知り合って。誰かに迷惑なナンパされたのを助けられたとかの
ラブロマンスは一切無いから」

手を軽く振りつつ苦笑い。私が理想とする『群れ』とはズレている。

「けど、まあ傍にいても煩わしくないし。隣が寂しい時に居てくれると
しっくり来るんだ。アリスも、そー言う男を捕まえて囲まないとね」

それでも惚気は聞いて頂こう。これ位、奇妙に知り合った使い手に対し
ちょっと馴れ馴れしくしても罰当たらないだろう。
 それに恋バナ出来るスタンド仲間とか、結構希少な気がするし。

531夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/09/20(金) 22:12:34
>>530

「ほうほう、まぁなかなかイイんじゃない??
 ワルくないワルくない。リッパなもんだ」

自分から話を振ったワケだが、正直『顔の良し悪し』はよく分からない。
そういった価値観は、幼少期に養われる部分が大きいと思う。
自分は、ごく最近まで『見えない』人間だった。
だから、『その手の審美眼』が足りないというか欠けている。
そのせいで、どう返事していいものか困ったというのは事実だ。

「その『ヘアバンド』はイケてるな!!スゲーおもしろいセンスだ。
 うんうん、コレはイイな」

むしろ、顔よりもヘアバンドの方に興味を引かれた。
こんなのつけてるヤツみたコトない!!
コレ、どこにうってんの??

「でも、『わたしのカレシ』もイケてるんだけどね!!
 いつもいつも『ちがうカオ』をみせてくれるんだ!!
 ソレをみつけるのがサイコーにタノシイよ。
 『フシギのくに』っていうナマエのカレシでさぁ〜〜〜」

この世界は『見たことのないもの』で溢れている。
見えるようになった時から、私はそれに『恋』している。
だから、私の恋人は『この不思議な世界』そのものだ。

「イマは、『ヒトリのオトコ』にしばられてるヒマないんだよね。
 だって、わたしは『アリス』だから!!
 いろんな『フシギ』が、わたしのきをひこうとしてくるからさぁ〜〜〜。
 ソッチのあいてをするだけで、『ていっぱい』!!」

だから、カレシを作るとかいう気はない。
『見てみたいモノ』が『星の数ほど』あるから。
『アリス』は、いそがしいのだ。

532リカオン『アタランテ・オーバーチュア』:2019/09/21(土) 21:59:49
>>531

「『ちがう顔』・・・アリスは私に似てるね」

御山もそうだ。入る度に私の愛する場所は違うものを見せてくれる。
だからこそ『群れ』を作りたくなる。もっと違う獣と巡り合いたくなる。

『飢え』は未だない。『狩り』をするには何て穏やかな月光だろうか。

「私もこれから『色んなモノ』に出逢って、見て 感じて
出来ればそれを味わったりしたいんだ」 二ヤッ

「だからアリス。もし、その道中で再び会う時は私もご同伴させてよ。
リカオンは帽子屋程に盛り上げるのは上手くなくとも白の騎士程には
手助け出来る筈だからさ」

「それじゃあアリス また夜の散歩道や それ以外で」

(彼女は『群れ』には入らぬだろう)

(リカオンは女王に関心ない。多くの兵隊達も要らない。
ただ、心から寄り添える 手の指で数えられる程度の『群れ』があれば良い)

リカオンは月を見る
 何時かの晩に起き得るだろう『狩り』を想い

533美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2019/10/14(月) 21:57:54


                  〜〜〜♪

町のどこかで『ラジオ』が流れている……。

「――今日も、あなたの隣に『電気カナリア』の囀りを」

「『Electric Canary Garden』――
 この時間は、パーソナリティー・美作くるみがお送りしますッ!」

「最近ますます秋めいてきましたねえ。
 紅葉が見頃を迎えるのも遠くない感じですよねぇ〜」

「秋っていうと、チョットしんみりした雰囲気がありませんか?
 夏の次だからっていうのもあると思うんですけど。
 こう……しっとりした印象ですよね」
 
「それが良いと思うんですよ。『侘び寂び』っていうか。
 エネルギッシュな季節の後で、ホッと一息つかせてくれる感じで」

「秋というと、色々な言葉がありますよね。
 『芸術』・『食欲』・『スポーツ』……。
 『ハロウィン』なんてのもありますよねえ〜。
 リスナーの皆さんは、どんな『秋』がお好きでしょうか?
 本日は、このような話題で皆様とお喋りしていきますよぉ〜」

「っと――早速リスナーの方(>>534)から『コール』を頂けたようです。
 お電話ありがとうございます!こちらは美作くるみですッ!」

534蝶名林ルロイ紗英『ボブモ』:2019/10/18(金) 23:40:08
>>533

「もしもーし」

「あれ、これ繋がってます?」

男性の声だった。

535美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2019/10/19(土) 00:03:58
>>534

「はい、もしもし!大丈夫ですよぉ〜。バッチリ繋がってますからッ!」

『カナリア』を思わせる高く澄んだ声で、電話に応じる。
この瞬間は、いつも胸がときめく。
どんな話が聴けるのだろうか。
しかし、ただ聞き役に徹するだけでは『パーソナリティー』は務まらない。
次の言葉を発しながら、頭の中で考えを巡らせる。

「早速ですが、お名前もしくは『ラジオネーム』を教えて頂けますか?」

性別や年齢や性格など、声から読み取れる事は意外に多い。
相手が男性である事は分かった。
次は、大体の年齢が分かればいいのだが。
話をする事と話を聴く事が、『パーソナリティー』の仕事だ。
相手の事が分かれば分かる程、それに合わせた会話をしやすくなる。

536蝶名林ルロイ紗英『ボブモ』:2019/10/19(土) 01:22:06
>>535

「あぁ��よかった、こういうのよく分かんなくて」


丁寧だがどこかラフな印象の言葉遣いだった。

「名前……は長いからラジオネームであー……『マラドーナ』でいいや」

軽い雰囲気でそう告げる。
マラドーナのままで通すつもりらしい。

「秋の話すればいいんだっけ?」

537美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2019/10/19(土) 01:50:36
>>536

「――ありがとうございます!『マラドーナ』さんですね!」

(声の雰囲気から判断すると……年齢は私より少し上みたいね)

『名前が長い』という部分が気になってはいた。
だが、そこを突っ込んで聞くのは止めておいた。
状況によっては『話題作り』のために尋ねてもいいが、今はしない。

「はいッ!おっしゃる通り、今回のテーマは『秋』です!
 『秋』にまつわるエピソードや、『秋』と聞いて思い浮かぶ事など、
 『秋』に関する事なら何でもオーケーですよぉ〜」

第一印象から、既に興味を引かれた相手だ。
この放送を聴いている他のリスナーも、
同じような感想を抱いているだろう。
自分としても楽しみだし、『番組を盛り上げる』という意味でも有り難い。

538蝶名林ルロイ紗英『ボブモ』:2019/10/19(土) 09:08:42
>>537

「そう、マラドーナ。ディエゴ・マラドーナ」

からからと笑う声が聞こえた。

「あぁ、秋の話だな。うん、分かってる分かってます」

ほんの一拍だけの間があって、再び話し始める。

「よく、何とかの秋って言うじゃないか。秋は過ごしやすい、みたいな話」

「それで、行楽シーズンとかも言うけど、おかしくないかと思って」

539美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2019/10/19(土) 20:30:09
>>538

「はいはいッ、この時期になると必ず耳にするフレーズですよねえ。
 『風物詩』といいますか『時事』といいますか……。
 ある意味では、『標語』みたいなものかもしれませんねぇ〜」

特に不思議な事だとは思っていなかった。
昔から何度も聞いてきた言葉だからだ。
だから、疑問など持つ事なく納得してきた。

「かくいう私も使ってますからねえ。
 というか――今さっき使っちゃいましたねッ!
 いやはや、アハハハハ…………」

思わぬ不意打ちを食らったが、番組の雰囲気を壊す訳にはいかない。
ここは、冗談交じりの苦笑いで場の空気を和らげる事にした。
確かに言われて見れば、昔から聞く言葉が正しいとは限らない。
彼は、どんな理由で『おかしい』と思うのだろうか?
自分としても、それは大いに興味を引かれる部分だ。

「『マラドーナ』さんは、どんな所に疑問を感じておられるんでしょうか?
 これは是非お聞きしたい所です!
 今まで、そんな人に出会った事がなかったですからねえ」

540蝶名林ルロイ紗英『ボブモ』:2019/10/19(土) 23:36:22
>>539

「疑問というか、正直なところ美作くるみさん、あんただってそれを感じられると思う」

「その他の人も同じように」

そう言った。
なんて事ないように言葉を吐いている。
強調することも意地になる事もない。

「行楽シーズンでなくとも、皆出かけてるじゃないか」

「むしろ、イベントごとで言えば夏の方が多いでしょ?」

それが男の主張だった。

「過ごしやすい、出かけやすいなんて言いながら、皆クソ暑い夏にフェスに行ったり祭に行ったりする」

「あるいは、クソ寒い冬にイルミネーションを見に行ったりする」

「紅葉狩りだって、結局は花見をリフレインしてるだけじゃないか」

一つ一つ、言葉を繋いでいく。

「だから、秋を行楽シーズンっていうのは適切じゃないでしょって話」

541美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2019/10/20(日) 00:14:42
>>540

「はい……はい……なるほどぉ〜ッ!
 言われてみれば…………。鋭いご指摘ですねぇ。
 確かに、どんな季節でもやっている事ですもんね」

「私も真夏の野外フェスは好きですし、イルミネーションも……。
 うん、とても納得ですね。
 含蓄があって、すごく興味深いお話だと思います」

言葉と同時に、深く頷いた。
当然、音声だけを伝える『ラジオ』では届かない。
しかし、動作を入れる事によって声色の説得力が増す場合もある。

「『マラドーナ』さんは、
 ユニークな着眼点をお持ちでいらっしゃるんですねえ。
 あ、変な意味じゃないですよ。
 こう――独自の切り口を感じるというか」

「それじゃ、『いつでも行楽シーズン』って事ですねぇ〜!
 というよりは、
 それぞれの季節の良さを楽しんでいると言う方がいいでしょうか?
 『秋』だけ特別扱いじゃあ不公平ですもんね!」

身近な話のようで、なかなか考えさせられる内容だと思う。
それに、彼自身にも興味が湧いた。
彼の語り口からは、
周囲に流される事のない『強い意思』のようなものを感じたからだ。

「――――『秋』の話題からは外れるんですが、
 『マラドーナ』さんは、お好きな季節はおありですか?」

542蝶名林ルロイ紗英『ボブモ』:2019/10/20(日) 00:32:12
>>541

「いつでも出歩いてる以上はどの季節も行楽シーズンだ」

「年がら年中ね」

美作の言葉を補強する様に言葉を復唱していた。

「好きな季節?」

「うーん……」

静寂、悩んでいる。
即答ではない。
その割には迷っている気配はない。

「どの季節もそこまで?」

「正直、どの季節っていうのがなくて、どれも好きで嫌いだな」

「美作さんは?」

543美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2019/10/20(日) 01:13:50
>>542

「アハハハッ――『マラドーナ』さんはトコトン平等な方なんですねえ。
 人でも何でも、見かけだけで判断しちゃあいけませんもんね!」

「――――私ですか?そうですねえ…………」

こう聞かれると、少しばかり悩んでしまう。
何しろ、彼の話に納得した後なのだ。
季節に対する考え方も、話を聞く前とは多少変わってくる。

「普段ならビシッと答えるんですけど、
 改めて考えてみると、
 『マラドーナ』さんと同じような気がしてきますねぇ〜」

「スキな所やイヤな所は、それぞれにありますもんね!
 そう思うと、なかなか決めるのは難しくなりますねぇ〜。
 自分で言い出しといて、こんなんじゃダメダメですね!」

「でも、一つだけ決めるとしたら『夏』ですかねぇ〜。
 派手というか賑やかというか、
 『夏』特有のエネルギッシュな雰囲気が好きなんですね。
 ヘンな言い方ですけど、暑さと張り合ってるみたいな感じで」

きっと自分は、明るく陽気な雰囲気が好きなのだろう。
だから、『夏』と答えた。
大きなイベントが多いのも理由の一つかもしれない。

「それで熱中症にでもなってたら大変ですけどねッ!
 そういう心配がないのは『秋』のイイ所だと思います!」

544蝶名林ルロイ紗英『ボブモ』:2019/10/20(日) 02:09:03
>>543

「平等というか……まぁ、平等と言えば平等か」

頷いてみる、見えないけど。

「夏が好きなんだ。そうなんだ。なるほどな」

なにか納得した様子だった。
そんな雰囲気であるわ

「秋はね、熱中症にはならないけど」

「急に秋めくからな」

545美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2019/10/20(日) 02:50:54
>>544

「そうそう、そうなんですよねぇ〜。
 昨日まで残暑だったと思いきや、
 次の日には急に冷え込んだりしますからねえ」

「日によって気温がコロコロ変わっちゃうんですよね。
 昨日は夏物、翌日は秋物、その翌日はまた夏物!って感じで。
 こう、季節に翻弄されるというか。
 体調を崩しやすいですし、その辺りは『秋』の困る所ですよね!」

「ちなみに、くるみの困る所は『ドジ』をやる所ですかねぇ〜。
 イイ所は、それを気に病まない事ですねッ!
 いえ、もちろん反省はしますよ!」

一番いいのが失敗しない事なのは言うまでもないが、
最も良くないのは失敗を気にして前に進めない事だろう。
失敗しない事も大事だが、失敗にめげない事も大切だ。
だからこそ、どんな時でもポジティブに明るく振舞う事で自分を鼓舞する。
自分を一番応援してあげられるのは、他ならぬ自分自身なのだから。
それが、『美作くるみのスタイル』だった。

「くるみから見た『マラドーナ』さんのイイ所は…………
 『意思』がしっかりしていらっしゃる所でしょうか?
 あまり大きな事は言えないんですが、
 今回お話を伺ってみて、そんな風に感じましたねえ」

話の『纏め』に入るには、丁度いい頃合になってきた。
そのように考えて、通話を締めくくり始める。
もし何もなければ、そろそろ『生電話』もお開きに向かうだろう。

546蝶名林ルロイ紗英『ボブモ』:2019/10/20(日) 23:19:42
>>545

「ありがたい」

「意志は大きい方がいい」

そう言ってまた笑う。
くっくと内に落とすような笑い方だった。

「あぁ、うん。そんなことを言いたかっただけだ」

これ以上彼からも言う事はないのだろう。
だったが、ぽとりと一言。

「あ、切る前に落としたいことがあって。もちろん、これを言ったら切るんですけど」

「秋だけ、英語での表現が二通りあるのはなんでなんだろうねってこと」

そう言い切ってから、じゃあね、と言う。
もう通話を終えるつもりらしい。

547美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2019/10/21(月) 01:03:16
>>546

「『秋』というと……『autumn』と『fall』ですよねえ。
 ああッ、確かにぃ〜ッ!」

「何でしょうね?
 『アメリカ英語』と『イギリス英語』の違いでしょうか?
 『subway』はアメリカでは『地下鉄』の事ですけど、
 イギリスでは『地下道』を指すそうですし――」

「これは気になりますね!
 次回の放送までに調べておきたいと思います!」

「『マラドーナ』さん――
 今日はお電話いただき、どうもありがとうございましたッ!!
 是非、この後も放送をお楽しみ下さい!」

「後日、『番組特製クオカード』をお送りしますので、
 そちらの方もお楽しみに!
 それでは、いつかまたお話いたしましょう」

「――――『See you again !!』」

挨拶を述べて、通話を切る。
ユニークで個性的な相手だったと感じた。
こういう出会いは、自分にとって『プラス』になる。

「さて、次のコーナーに入る前に一曲お届けしましょう。
 ハロウィンにもピッタリな『Shakira』の『She Wolf』です!!
(ttps://m.youtube.com/watch?v=booKP974B0k)」

後日、『マラドーナ』に一通の封書が送られてきた。
中身は『Electric Canary Garden特製クオカード』だ。
それと一緒に、『メッセージカード』が同封されている。

『先日は、お電話ありがとうございました!
 今まで考えた事もなかった話題で、すごく考えさせられました。
 とっても興味深かったです。
 よろしければ、またお気軽に電話してきて下さいね!
 待ってます!』



蝶名林ルロイ紗英『ボブモ』⇒『番組特製クオカード(500円分)』Get!!

548斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2019/12/29(日) 21:28:18
年の瀬と言うのは忙しいものであるが
それとは関係のない話。

 ――カキィン!

 「いやー……」

半身を開いて体を山のように動かさず
ヒッコリーのバットを構え、見様見真似で振る。

 ――カキィン!

甲高い音と共に白球が空を舞う 
目指せ今日だけべーブルース

 ――カキィン!

『バッティングセンター』甲高い音と共にボールを飛ばす爽快感は何事にも代えがたい快感が有る
ストレス解消には最適である。

 「僕のバット当たらないんですけどぉ!なぁ隣のオッサン打ちすぎじゃない?元プロ?」

……あたれば。
 
 「違う?腰が引けてる?」

 「ちゃうわい飛んでくるボールの腰が引けてるんだよ(?)」
 「見てろ元プロ次はかっ飛ばすからな!」

すぐ傍の装置でボールの軌道を変更できる事を
彼は知らなかった。

549斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/01/01(水) 16:53:39
>>548

カキィン

 「シャオラ!当たったぜ見たか!」

ピーヒョロ〜

 「……うっわ、すっげぇしょっぱいファンファーレ。」

(まあ、勝手に期待して勝手に裏切られるのは、未だに変わらぬ人間の悪癖だよなァ)

 「だからだろうな、あまり良い事には思えないのは」

バットを元に戻して背を向ける
まだ、見つからない。

550百目鬼小百合『ライトパス』:2020/02/07(金) 00:22:48

『地下アーケード』――その場所は、何処かアングラな匂いが漂う。
何気ない視線をショーウィンドウに送りながら、女が歩いている。
外見は四十台程であり、決して若くはないが、
軽快な足取りは年齢を感じさせない。
白いパンツスーツ、ベリーショートの黒髪。
口元にホクロがあり、
両方の耳には『白百合』を象ったイヤリングが揺れていた。

「相変わらず愉快な場所だねえ」

「――『この辺』は」

かつて、ここに出店していた違法な店に、
『警察』として踏み込んだ事があった。
もっとも、今は違う。
そういった店は見える範囲には見当たらないし、
今の自分は『警官』でもない。
しかし、身に付いた癖というべきか。
特に欲しい物がある訳ではなくとも、
つい無意識に『探るような視線』を向けてしまう。

551鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2020/02/10(月) 21:42:49
>>550

        ギィ ・・・ ――――

重いドアが開く、独特の軋んだ音が聞こえた。
看板の出ていない店から出てきたのは少女か、
女性というべきか、曖昧な背格好の女だった。

「…………?」

「ええと」

その女と、目が合った。

「何かお探しですか? それともその、失礼なんですけどね、
 ボクってもう、お姉さんとはお知り合いなんでしたっけ―――――?」

探るような視線の意図を、そう捉えていた。
レトロな意匠のコートに合わせたマフラーが、傾げた首に合わせて揺れた。

552百目鬼小百合『ライトパス』:2020/02/11(火) 00:03:24
>>551

若く見られてはいても、『お姉さん』と呼ばれる年齢は越している。
そういう言い回しがポンと出てくるという事は客商売か。
『何かお探し』と言ったのなら、客ではなく従業員かもしれない。

「ん?ああ、いや――赤の他人だよ」

「そこの店、看板が出てないだろ?
 『どんな物』を扱ってるのか気になってねえ」

「出入りする人間を見てれば、
 何かしら分かるんじゃないかと思ったのさ」

目の前の女から怪しい気配は感じなかった。
単に変わった店というだけか。
そう思いながら、やはり気にはなる。

「分かったからって、別にどうって事は無いんだけどねえ。
 もし気分を悪くさせちまったんなら謝るよ。
 すまないね」

「――――もののついでに聞くんだけど、そこは『何屋』なんだい?」

だから直接尋ねる。
女が客か店側の人間かも分かるだろう。
それから入ってみればいい。

553鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2020/02/11(火) 00:30:06
>>552

「でしたねぇ。覚えは無かったんですケド、
 もしそうだったら申し訳ないな――――と」

         フ…

鳥舟は微笑を浮かべ、振り向く。
今出てきた扉にも、『表札』等はない。

「気を悪くなんてとてもとても。
 こちらこそ、急に話しかけてすみません。
 視線を感じたもので――――と、まあ、
 自意識過剰だったみたいですケド。
 ふふふ、お恥ずかしい限りで……」

「それでええと、このお店は――――」

        ガサッ

「『骨董品店』っていうんですかね、アンティークショップ?
 何かの『専門』ってわけでもないんですが、色々売ってますね。
 アンティークはお好きですか? ボクは、結構好きなんですケド」

袋の中身を見せる。
・・・『木箱』にしか見えないが、中身は『食器』だ。

「それにしても……なんだか、『張り込み』みたいですねえ。
 ホラ、刑事ドラマとか、探偵モノとかの。
 ……まぁーでも、確かに、この店は『何屋』か分かりづらいですよね!」

           「看板もないし、ネットにも出てないし」

554百目鬼小百合『ライトパス』:2020/02/11(火) 00:53:20
>>553

「なるほど、『知る人ぞ知る』ってヤツだねえ。
 世の中には珍しい店もあるもんだ」

「お陰様で疑問が解けたよ。ありがとねえ」

顔を近付けて木箱の中身を覗いた。
確かに食器だ。
『食器の形をした何か』って訳でもあるまい。
もっとも、本気で仕込もうと思えば何にだって仕込める。
そうはいっても、そこまで疑う理由も別にないのだ。

「ハハッ、『張り込み』ねえ。そんな風に見えたかい?
 でも生憎だけど、アタシは『刑事』でも『探偵』でもないね」

「まあ、体を張る仕事ではあるけどねえ」

今の職業は『警備員』。
近くはないが、そこまで遠くもない。
少なくとも、体力を使うという点では同じだ。

「嫌いじゃあないけど、詳しくはないよ。
 その、アンティークってのはね」

「アタシが持ってるもので、『それらしいの』って言ったら……」

    ゴソ

「――これくらいだね」

スーツの内ポケットから、『オイルライター』を取り出して見せる。
かなり年季が入っていて、あちこち傷が付いていた。
数十年は使われていそうだ。

555鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2020/02/11(火) 01:44:43
>>554

「そうですね、隠れ家的っていうのかな。
 骨董屋は別にもあるんですけど、
 隠れてるだけあってこっちも面白いのが多くって」

木箱の蓋の中は、本当にこのこじんまりとした『食器』でしかない。

「歴史的価値があるかは、まぁ怪しいとは思うんですがね」

いつの時代の物かもあいまいだが、
間違いなくただの、実用品としての食器だ。

「ただ、そのライターもですけど……いや。
 そのライターの方がずっと『そう』だと思うんです。
 つまり、『歴史』があるっていうのは、その分『ロマン』がある。
 そういうところが、アンティークってやつの、好きなところですね」

「例えば、どうして傷がついたのか、とか。
 どうしてこういう模様にしたんだろう、とか。
 分からない事ですし、暴きたいわけでもないんですけどね。
 そういうのを考えるのが、ボクは好きなんですよねえ」

       ニコ・・・

「とまあ、自分語りをしちゃいましたけどね。ふふふ……」

そこまで言い終えてから、箱のふたを閉じた。
箱の中の食器にも、そのようなロマンを感じていた。

「それにしても、良いライターですねえ。もうずっと……使われてるんです?
 ボク、アンティークは好きなンですけど……『鑑定眼』がお恥ずかしながら今一つでして」

556百目鬼小百合『ライトパス』:2020/02/11(火) 02:11:15
>>555

「ははあ、素敵な話だねえ。
 何十年も何百年もかけて、
 人から人へ渡っている物だってあるだろうしさ。
 そんな風に考えた事なんて、あんまり無かったよ」

「アタシは『キチンと使えるかどうか』っていう方を気にするタチでね。
 そういう細やかな感性にまでは気が回らないんだ」

「『全部が全部』――って訳でも無いんだけどねえ」

    カキンッ

親指を滑らせると、金属の蓋が勢いよく跳ね上がる。
同時に、耳に心地良い音が手の中で響く。
数十年の間、慣れ親しんだ音だ。

「これはね、『昔の仲間』に貰った物さ。
 部品を交換したり点検したりしないと、よくヘソを曲げるんだ。
 いい加減で買い換えてもいいんだけど、
 なかなか手放す気になれなくてねえ」

          フッ

「ただ、そんな大層なロマンはありゃしないよ。
 ずっと使ってるからガタが来てるだけだし、
 傷が付いてるのはアタシの使い方が荒いからさ」

「『コレを胸ポケットに入れていたお陰で弾を防げた』――
 なんて話の一つでもあれば面白かったんだけどねえ」

557鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2020/02/11(火) 02:33:28
>>556

「参考になったなら、光栄ですね。
 マアでもボクも全部が全部、
 『ロマン』を求めてるわけでもないんですよね。
 連絡手段とかは、実用性重視してますし!」

「使い方も、実用品ならまあ、荒くはなっちゃいますねえ」

ライターを眺める。
使い、古されている。

人に歴史あり……歴史は人が紡ぐものだから。
全部が全部、紐解かなければならないものではない。
『昔の仲間』の物語も、暴くつもりはない。

「それにしても――――『弾』とはまた。
 や、確かに映画なんかじゃお約束ですケド。
 現実中々、『撃たれる』シチュエーションもありませんからねぇ」

「それこそ、『刑事』や『探偵』でもなくっちゃあ」

弾という言葉に、どこか真実味を感じた。
それが何を意味するのかも――――
今ここで暴き立てるのは、あるいは危険かもしれない、とも。

「……そうなると、お姉さんがこのあたりに来たのも、
 ライターの替えのパーツを買いに来た、とかなんです?」

          「どこで売ってるかは、見たことは無いですケド」

558百目鬼小百合『ライトパス』:2020/02/11(火) 22:00:11
>>557

「それもあるけどね。
 ちょっとブラブラしてみたくなったのさ」

「この辺りは、昔はちょくちょく来てたんだけどね。
 最近は、あんまり来る機会が無くてねえ」
 
「だから久しぶりに来てみたんだよ。
 相変わらず見ていて飽きない場所だね」

    パチン

軽く笑いながら、ライターの蓋を指で閉じる。
それから周囲に視線を走らせた。
どこか怪しさの漂う空間。
歓楽街の周辺とは、また毛色が異なる。
もしかすると、『良くない輩』が潜んでいないとも限らない。

「おっと、随分と話し込んじまったね。
 これ以上お邪魔をしちゃあ悪いし、アタシは行くよ」

「アンタのお陰で興味が出てきたからね。
 『アンティーク』ってヤツに」

向けた視線の先には、『看板のない店』があった。
骨董品に関心が湧いたというのはウソでは無い。
本当に真っ当な店かどうか確かめておきたいというのもあるが。

「それじゃあね、親切なお嬢さん。
 色々と教えてくれて助かったよ。ありがとねえ」

          ザッ

「――ああ、そうだ。最後に一つだけいいかい?」

559鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2020/02/12(水) 19:09:57
>>558

「そうですねえ、表通りや歓楽街には無い雰囲気ですよね。
 よくわかんない店もあるんだけど、それも楽しいっていうか」

「あ、いや。お邪魔なんてとんでもない。
 お話しできて楽しかったですよ。
 アンティークにハマってくれたら嬉しいです」

             ニコ…

「ここ以外にもその手のお店は、
 事欠かないですんでね、アーケード街なら」

屈託のない笑みを浮かべた。
同好の士が欲しいという訳ではないが、
自分の話で興味を持たれるのは気分が良い。

同じく店に視線を向ける。
その意味合いが異なるのには気づいていない。

       クル

足音に振り向く。
立ち去るなら呼び止める気はない、が。

「――――ん、なんですか?
 ボクに答えられる事でしたら、なんでもどうぞ」

その前に質問に応じる事にした。道案内か何かだろうか――――

560百目鬼小百合『ライトパス』:2020/02/12(水) 23:14:28
>>559

「いや、大した事じゃあないよ。
 アンタの言う通り、ここらは変わった雰囲気があるからねえ。
 もしかしたら、中には『妙なの』も混じってるかもしれない」

「――なんて思ったのさ
 昔、そういう『噂』を聞いた事があったもんでね。
 本当かどうかは知らないんだけど」

「もしも『妙な場面』にでも出くわした時は、
 『ケーサツ』に知らせた方がいいかもねえ」

    フッ

そこまで言って、口元に笑みを浮かべる。
表面的には、あくまで冗談めいた言い方だった。
しかし、目の奥には何処か真剣さもあった。

「ま、それだけだよ。世の中には迷惑な連中もいるからね、
 こういう所でお嬢さんの一人歩きを見ると、
 つい余計なお節介を焼きたくなっちまうのさ」

「――――それじゃあねえ」

ひらひらと小さく手を振って、ゆっくりと店の中に入っていく。
さて、『アンティーク』とやらを拝ませて貰うとしよう。
他意が全くないとまでは言わないが、別に疑ってはいない。
ただ、こういう場所にはいてもおかしくないだろう。
この辺りは、『そういう事』には事欠かないのだから。

561鳥舟 学文『ヴィルドジャルタ』:2020/02/13(木) 03:46:31
>>560

「――? そうですねぇ、妙な場面。
 ひったくりとかが出たってハナシは聞きますから、
 被害に遭ったら、泣き寝入りはしないようにしときます」

「勿論見かけたら、それは通報しますしね」

言葉の真意は掴みかねたが、否定するような内容ではない。
そう、真意だ。何かが裏に秘められた、そんな言い方に感じる。

(やっぱり『何かを調べてる』ように見える。
 まァ、ボクに関係のある事じゃないんだけども、
 『何となくぶらぶらしてるだけ』にしては……
 『何か』の確信がある、そんな感じが、するんだよね)

「ええ、それじゃあまた!
 骨董にハマったらぜひ情報交換とかしましょう」

           「ボクはこの辺に、よく来ますんでね」

が、いずれにしても深入りの必要は感じなかった。
重厚な背景を辿るのはロマンがあるが、
見知ったばかりの生の人間する事でもない。

店の中に入った背中が扉に遮られる頃には、その場を去った。

562美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2020/03/02(月) 22:31:38

ある日――――。
星見町の何処かで『ラジオ』が流れていた。
この町の誰かが、それを聞いている。

         〜〜〜♪

    「今日も貴方の隣に『電気カナリア』の囀りを」

         「『Electric Canary Garden』」

  「『パーソナリティー・美作くるみ』がお送りしまぁ〜すッ!」

「少し前の放送では、『バレンタイン直前企画』として、
 『恋のお悩み相談室』をお送り致しましたッ!
 リスナー様の恋の悩みを、
 私くるみが解決しようという企画でございます!
 皆様、『今年の結果』は如何でしたでしょうか?」

「以前の放送で相談をお寄せ頂いたリスナーの方々から、
 番組宛に沢山のメッセージを頂戴しておりますッ。
 皆様、ありがとうございましたぁ〜ッ!」

「ちなみに、私は誰に差し上げたかと申しますと……。
 いえいえ、これはちょっと言えませんねぇ〜。
 かなり『プライベート』な内容になってしまいますので……」

「でも、せっかくなので、思い切って言っちゃいましょう!
 ハイッ!『スタッフ一同』でございますッ!
 日頃の感謝を込めまして、
 『それなりに良いお値段の品』を配らせて頂きました!」

「そろそろ私も『本命』を渡す相手が欲しい所ですが、
 そこは気にせずにッ。
 一度気にし始めるとキリがないですからねぇ〜。
 あはははは……。
 しっかりと『未来』を見据えて、
 『次』に向かって邁進していきましょう!」

「バレンタインが終われば、次はホワイトデー。
 先日たまたま買い物に行った時に、
 『ちょっと面白いもの』を見かけまして。
 バレタインの後だったんですが、
 もうホワイトデーの売り場が出来てたんですよ」
 
「それで、何気なく一つ手に取ってみたんですね。
 そしたら、『妙な事』に気が付いた訳です。
 何故か分からないんですが、
 その商品に『見覚え』があったんですよ」

「『どこで見たんだろう?』と思って、少し考えまして。
 そしたらピンと来て、その答えが分かっちゃいました」

「実はそれ、『バレンタイン商品の再利用』だったんですよ!
 私も同じ店で買いましたからね。
 だから見覚えがあったんですねぇ〜」

「『バレンタインの売れ残り』を安売りしてなかった訳も、
 これで分かりました!
 いやぁ〜、上手い事やってるもんですねえ。
 もらった側としては、ちょ〜っと『複雑』かもしれませんが……。
 バレンタインを通じて、
 『世の中の仕組み』が少し分かったような気がしましたねぇ〜」

「さてさてッ――
 ここでリスナーの方(>>563)と電話が繋がったようです。
 『バレンタイン』・『ホワイトデー』・『恋愛』・『未来の目標』・
 『意外な場所で分かった意外な真実』などなど、
 今日はこのようなテーマでお話していきたいと思います!」

              pi

    「もしもし、お電話ありがとうございます!
     こちらは美作くるみでございます!」

563美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2020/03/11(水) 20:57:29
>>562

「――はいッ、ラジオネーム『ハルちゃん二号』さんでしたぁ〜!
 いやぁ〜、とっても興味深いお話でしたねえ。
 まさか『間違って渡したバレンタインチョコ』が、
 そんな事になるなんて……。
 この世の中、本当に何が起こるか分かりませんね!
 さてさてッ、それでは次のコーナーに参りましょうッ!」

「ここからは、私くるみが町のホットな情報をお届けしていきます!
 まず最初にご紹介するのは『地下アーケード』!
 ちょっとアングラというかマニアックな場所なんですが、
 中には意外な掘り出し物もあるようで……。
 表通りとは違った刺激を求める方にもオススメです!
 特に、くるみのイチオシなのは――」

564花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』:2020/03/24(火) 22:13:32

打ち捨てられた廃工場の中で人影が動いた。
全身を『レザーファッション』で統一した男が歩いている。
髪の色は鮮やかな赤色だ。

  コツ コツ コツ

コンクリートで固められた床に、革靴の音が響く。
当然だが、他には誰もいない。
その筈だった。

         ズギュンッ

男の右手に、一丁の『拳銃』が現れる。
回転式拳銃――『リボルバー』。
両腕を構え、狙いを定める。
銃口の先には、幾つかの空き缶が並べられていた。
射撃用の『ダミーターゲット』だ。

           ガタッ

「――――ッ!」

不意に物音が聞こえ、拳銃を手にしたまま反射的に振り返る。
そこには一匹の『野良猫』がいた。
ここを住処にしているのか、たまたま入り込んだか。

「脅かしやがって……」

「だがまぁ、なかなか悪くねえ『スリル』だったぜ」

「……いや、待てよ」

ダミーに向き直ろうとした時、『一つの考え』が浮かんだ。
おもむろに右手を上げ、銃口の先を猫に向ける。
野良猫は、積み上げられたガラクタに興味を移していた。

「動かない的より、『こっち』の方が良いかもしれねえなァ」

               ――――チャッ

呟くように言いながら、猫に照準を合わせる。
指は引き金に掛かっている。
ほんの少し力を込めれば、『銃弾』が発射されるだろう。

565リカオン『アタランテ・オーバーチュア』:2020/03/24(火) 22:30:00
>>564

 多分、彼は先客だったのだろう。
私も偶には、人知れず狩の欲求や腕を錆び付かせない為に
狙撃の訓練は行う。そう言う私と同質の輩が一人か二人いても不思議でない。

ただ、彼が次にとるであろう所業は私には『禁忌』だ。

   ヒュッ……タンッ パララッ

猫と彼(花菱)の間に割り込むように、スリングショットで使用される
ラバーボールを彼女(アタランテ・オーバーチュア)に発現して貰い
投擲する。乱雑な軌道で跳ねるゴム製のボールに、猫も驚いて見えぬ方角に
逃げていくだろう。
 それで良い、少なくとも悪戯に的となって良い生き物など存在しないのだから。

「こんにちは、と言って良い時刻かな?」

スタンドを傍らに出しつつ、愛想のよい口調は醸しつつ邪魔をしたばかりの
彼へと声をかける。ただ、目元まで楽の感情を形成する自信はもてない。

「……で、見ず知らずの方の遊びを邪魔しては悪いんだが」

「――今、君は何を撃とうとして。そして何故撃とうとした?」

質問を投げ掛ける口調には冷ややかさが多分に含まれている。

566花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』:2020/03/24(火) 23:14:09
>>565

唐突に転がってきたボールに視線を向ける。
リカオンの思惑通り、野良猫は逃げていったようだ。
それを見て拳銃を下ろし、何もせずに猫を見送る。

「なに、構わねえさ。別に俺の家って訳でもねえしな。
 もしアンタの家だったら悪かったけどよォ」

「こんな寂れた場所に、
 俺以外の人間がいるとは思わなかったぜ」

「――しかも『スタンド使い』と来たもんだ」

         ザ ッ

人型スタンドを従えた女に向き合う。
右手には相変わらず拳銃が握られている。
リカオンには、それがスタンドである事が分かるだろう。

「順番に答えるぜ。一つ目の質問の答えは『猫』だな」

「そこに空き缶が置いてあるだろ?
 それを使ってたんだが、ふと思ったのさ。
 『これだと上達しないんじゃないか』ってよ」

「そいつが『二つ目の答え』になるだろうなァ」

冷ややかな口調に、緊迫感を覚えた。
同時に、胸の内に『心地良さ』を感じる。
一種の『スリル』と呼んでもいいだろう。

「――丁度その時に、アンタが来たって訳だ」

目を逸らす事なく女を見つめる。
『スウィート・ダーウィン』に心を読む能力はないが、
女の言わんとしている事は大方の予想がついた。
だが、それを敢えて口に出す事はしなかった。

567リカオン『アタランテ・オーバーチュア』:2020/03/24(火) 23:32:38
>>566

「あぁ、私の家で無い。それに、私は動物愛護団体とかでないし
どちらかと言えば真逆の方面に立つ側の人間だ」

彼の手に握られている拳銃がスタンドである事は理解出来る。
だからと私の態度は変わらない、変えれもしない。

言葉には真実があると思った。浮付いているような口調に眉が片方
自分自身が上がるのを感じつつ、次の言葉は流れ出るように紡がれていた。

「そうか、君の答えはわかった。
なら、次に聞く事は重要だが。君は、先程逃げた猫を私が邪魔せず
見事に撃ち仕留めたとして、だ」

「――君は、その猫を食そうと決めてたか?」


「もし、そう思っていたのなら。私は君の『狩り』を邪魔したのを詫びる
だが、私の常識に当て嵌めるなら。猫を撃って食そうと言う悪食をなそうと
する人間には今まで巡り会った事はない。
 なら、君は私の世界観では悪戯半分に生き物を殺生する人物だと捉えられる」

もしかすれば、君が初めて出会うその人物かも知れないが。と言葉を続ける。

彼の腕を磨くと言う発言には、首を傾げかねた。

「……射撃を磨きたいのは、何故なんだ?
それは一分一秒でも長く、糧となる生き物の苦しみを少しでも短くさせると
言うような理由か?」

568花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』:2020/03/25(水) 00:08:33
>>567

「俺も、猫を食うようなヤツは今まで見た事がねえ。
 『俺自身』も含めてな」

「さっきの猫が俺の撃ったタマで死んだとして、だ。
 俺はソイツを食おうとはしなかったろうなァ」

もし邪魔が入らなかったなら、猫は撃たれていたかもしれない。
しかし、そうだとしても『死ぬ』事はなかった。
装填されていたのは『偽死弾』だ。
それは、『偽りの死』を齎す能力を持つ弾丸。
だが、傍から見れば撃ち殺そうとしたようにしか見えないし、
安全である事を差し引いても、
生き物に狙いを付けていた事には変わりない。

「言い訳になっちまうが、『殺す気』はなかったぜ。
 まァ……『生き物に銃を向けた』ってのは本当だからな。
 客観的に見て、アンタの言い分は正論だ」

『命』に対する相手の意見は筋が通っている。
ただ口先だけではなく、
経験に裏打ちされた『根拠』のようなものを感じた。
『動物愛護と真逆の立場』という言葉からも、
それが察せられる。

「『何故』――か。その質問は、ちっと難しいな。
 言ってみりゃあ、より『スリル』を味わうためか」

「研ぎ澄まされた強さを持ってるヤツ程、
 『そういう機会』にぶつかる回数ってのが、
 多くなるんじゃねえかと思ってよ。
 そのために腕を磨いてるって所か」

「少なくとも――
 『アンタの理由』とは全く違うって事だけは分かるぜ」

569リカオン『アタランテ・オーバーチュア』:2020/03/25(水) 00:53:57
>>568

「あー……そう言う手合いか」

頬を掻く。多分だが『わかりあえない』のが目の前の相手だ。

世の中には色々な思想の人物がいる。
命を尊び、生き永らえる為に奪う命に対して礼と謝を重んじる者もいれば
ただただ、その奪い合う事に対しての興奮に囚われる者もいる。

彼は圧倒的な後者で、私はその真逆に位置する前者だ。

別に私はその事に対し非難をする気は無い。釈明でもなく、これは確かだ。
 狩人として、私は山の掟に従い生きていく事を決心した事と。
目の前の彼が『スリル』の為に危ない場所に歩みを入れてる事に対して
何の関連性もないのだから。

 ふーっと細くも長い溜息を吐く。

「…………別に長く会話してる訳では無いが。君と私では恐らく
どちらの主義思想主張をぶつけても、相互理解は難しそうだな」

「少なくとも、結果的に命を奪うか奪わなかったとしても。君がしようと
した行為は私にとって『禁忌』に当てはまる出来事だったし。
 私の願いや祈りといったものは、君の望むものにかけ離れてるだろう」

「……アタランテ ――私達の『信義(能力)』を見せよう」

彼自身が『銃(スタンド)』を見せているのなら。私も既に
アタランテは姿を現してるものの、彼に自身の意思を見せるべきだと思った。

 ――キィン

 アタランテの手元に『村田銃』が発現され、それを私が受け取り
垂直に銃口が天井に向かうように構えて持つ。決して彼に対し向けるような
愚かな真似はしないし、アタランテも許しはしない。
 祖父が、倒れ伏すまで愛用していたものだった。

「これが、私。いや、私達の意志だ。死するまで、この先奪うであろう命に
詫びて感謝し、私の血肉とする為に扱う」

「……君の向かう道と、私の進もうとする道は。
多分交わらない。だけど、知って欲しくて見せた」

ただ、ただ言葉で訴えるよりも。これが一番彼に伝わると思い
能力を、アタランテ・オーバーチュアを見せた。

570花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』:2020/03/25(水) 01:29:06
>>569

「――だろうなァ。お互いに分かり合える部分があるとすりゃあ、
 『意見が合わない』って所だけだろうよ」

目の前の相手は、自分とは全く違うタイプの人間だ。
短いやり取りの中で、そのように感じた。
一つの命が別の命を生かす。
それが、この女の考えなのだろう。
『猟師』か何か――勿論そこまでは知らない。

「……コイツは驚いたな。いや、マジに予想外だったぜ。
 こんな辺鄙な場所でスタンド使いに出くわしただけじゃあなく、
 『銃』まで持ってるとはよォ」

「そいつぁ……『ライフル』か?『本物』なんざ初めて見たぜ。
 それを『本物』と呼んでいいのかどうかは分からねえけどな」

発現された『村田銃』をまじまじと見つめる。
『拳銃』と『小銃』――型は違うが『銃器』には違いない。
それらが同じ場に存在しているという事実がある。
そのせいか、何処か奇妙な親近感を覚えた。
もっとも、さっき言われた通り、『歩む道』は真逆なのだろうが。

「なるほどな……。何となく分かったような気がするぜ。
 『銃』に対するアンタの価値観ってヤツがよ」

  スッ

心の中で納得し、視線を『ダミー』に移す。
おもむろに拳銃を持ち上げ、空き缶の一つに狙いを定めた。
そのまま引き金を引く。

      ガァァァァァ――――ンッ!

発射された弾丸が、勢い良く『ダミー』を弾き飛ばす。
床に転がった空き缶には、穴が穿たれていた。
それを見下ろして、銃口を下ろした。

「ちっと狙いがズレたか?まだ『練習』が足りねえなァ」

「ところでアンタ、ここに何しに来たんだ?
 俺も人の事は言えねえけどな」

「散歩しに来たって訳じゃあねえんだろ。
 見て楽しいようなもんは何もない場所だからな。
 だが、『練習』するには丁度いい場所だ」

「――そう思わねえか?」

571リカオン『アタランテ・オーバーチュア』:2020/03/25(水) 18:04:30
>>570(寝落ち失礼しました。宜しければ次レスで〆ればと)

>ところでアンタ、ここに何しに来たんだ?

「理由は違えど、多分君と似たものだろうな。
欲求を晴らしたいから、此処に君はいて。
私は逆に欲を抑えたくて人目につかない場所に行く事にした」

もっとも、君が居た事で破綻したけど。と呟き廃屋の窓から
射す月光に目を向ける。

こう、淡くも強い光が照らす夜空の時は。無性に体の奥底が
何かを狩れと訴えかける。獣であれ、人であれ何であれと無差別な咆哮を。
 そう言う時は、静かに誰も寄り付かない孤独だと実感出来る場所に
ただ一人で居たくなる。

今は小さいし、聞く耳をもたぬ事も出来る。けど、いずれ日増しに
増える心の中の獣を満たすには。何かを狩る事でしか鎮める術は無いのだろう。

「……思えるか思えないかで言えば、理性では頷きがたいけど
本能では首を縦に振っても可笑しくない。
 確かに、君と同じで表に出さないようにする我欲がある。
それを私は抑え込んでるし。君は程良く吐き出しているんだろう」

だが……と、発現した小銃を消して手を銃の形で彼に向けて言葉を紡ぐ。

「忠告するまでもないと思うが……君が進む方向には
切り立った崖が聳え立っている。私の進むべき場所に立つ崖とも異なる
危うい傾斜を作る、いつ転落しても可笑しくない山道だよ、その道は」

「こうして、出逢えたのも奇縁であり山の計らいなのかも知れない。
釈迦に説法では無いが……くれぐれも、使い方を見誤らないでくれ」

軽はずみに、あの猫に銃を向けた横顔に。確かに私は暗い笑みが覗いたと
廃屋の暗がりの中で視たのだ。

彼の言う『スリル』が、今よりも深い暗がりの中を求めれば
その胸に飼っている獣の為に、いずれ彼は喰われるだろう。

「私は尾月 李下
そして別称はリカオンだ。山と生きて死する事を誓った者だ
狩人の担う物を、用途は異なれど持つ君に
その目指す道が明るい事を私は望もう」

572花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』:2020/03/25(水) 20:29:31
>>571

「へえ?てっきり俺はアンタも『撃ち』に来たのかと思ったぜ。
 こんな場所でやる事なんて、他になさそうだからよォ」

「だがまぁ、言われてみりゃあ一人になるには絶好の場所かもな。
 俺のせいで台無しになっちまった訳だがよ」

さっき猫に銃を向けた時は、俺の方が邪魔されちまった。
そして、俺自身もアイツの邪魔になってたって訳だ。
俺達は『同じ得物』を持ってる。
それなのに、お互いに邪魔し合うってのは妙な話だが、
何となく納得も出来る。
どうやら徹底的に『ウマが合わない』って事らしいなァ。

「『花菱蓮華』ってのが俺の名前だ。
 似合わない名前だって言われる事もあるがよォ。
 自分じゃあ悪くないと思ってるぜ」

「花みてえにパッと咲いてパッと散る。
 『刺激的』ってのは、大抵そういうもんだからな。
 そして、そういうヤツほど『早死に』する」

「だが、死んじまったら意味がない。
 『スリル』は生きてる間しか味わえねえからよ。
 アンタとは違うが、
 俺にも『越えちゃあいけないライン』ってのはある」

『危険』に近付く程に興奮が増す。
だからこそ、自ら『デッドライン』に歩み寄ろうとする。
しかし、そのラインを越えてはならない。
『デッドラインギリギリ』のスリル。
それこそが、花菱蓮華の追い求めるものだ。

「『練習』してるのは、そのためでもあるなァ。
 いざ危険に踏み込んだ時に、うっかり死なねえようにな」

         ――――チャッ

己の精神の象徴である『スウィート・ダーウィン』を両手で構える。
そして、再び『ダミー』に照準を合わせた。
『5m』なら外さない自信があるが、
それ以上の距離になると『動かない的』でも不確定になる。

「忠告は有り難く受け取っておくぜ。
 尾月――アンタも、抑えすぎて暴発しねえようにな。
 銃は『メンテナンス』が大事だからよ」

「ま、それこそ『釈迦に説法』かもしれねえなァ」

       ガァァァァァ――――ンッ!

軽く笑い、引き金を引くと同時に銃声が響いた。
転がる空き缶には、先程と同じように穴が開いている。
今度は『ド真ん中』だった。

573リカオン『アタランテ・オーバーチュア』:2020/03/25(水) 21:24:42
>>572

ガァァァァァ――――ンッ!

背後で銃声が鳴る。もう話す必要が無いと理解すれば、自然と軽い別れの
言葉を除いて会話はいらない。
 慣れ親しんだ音を背後に、罅割れた建物から出て道なりに足を前に出す。

「蓮華……か」

随分と奇妙な巡りあわせだ。泥のような中で美しく咲き誇る花の名を持つ男子
李下瓜田といわれるように、疑われるような所業するなかれと言う語句を含む
スモモ(李)の名を冠する自分と彼が出逢い、そして似た力も備えてた事。

「月が……今日の月は、随分と妖しく輝いてるな」

彼の蓮の華は、微温湯のような生を突出する極限の中でしか咲かないのだろうか?
 実は彼の向けてる先を、少しだけ上向きになれば。また違った美しい花が
頭上に咲いていると気付けるのではないのだろうか?

フゥー……。

「なぁ、アタランテ。私は間違ってるのかな」

「……いや、間違いや正しさで区別できるものでは、そもそも無いんだろうな。
彼も、私も……同じ命だ」

574斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/04/13(月) 20:06:57
――鋼の心臓が狼の遠吠えのような唸り声をあげて時速150km以上で疾走する
眼前の光景はまるで黒いピラミッド、すぐ下のタコメーターはついている針をせわしなく降り続ける

 「――ハッ」

バイクの上には漆黒の体躯を持った髑髏が一つ
ハンドルを握り締め、その体からバイクまでもを大量の『鎖』が枷のように締め付けているソレは
その眼窩から『炎』を撒き散らしながら疾走していく

 「ハハハハハ!ハハハハハ!ハッハハハーッ!!」

後に残る轍が炎の線を刻み、次の瞬間儚く消える
まるで悪夢のように、アスファルト上に残されたのは火傷しそうな熱のみだ。

 キキィーッ
               VvOoo…… ガチン

鋼の馬が人気のない夜の側道にて足を止める
髑髏が銀色に輝く歯の隙間から吐息を漏らすと、懐から携帯を取り出して耳に当て、喋り始めた

 「――おい、どうだよオトモダチ、『ゴーストライダー』になった気分は。」
 「ああ?この町をグルグル回るのが必要か?俺達にはとっても必要な事さ、オトモダチ。」

 「又聞きだが……人の出会いは『重力』だとよ、『運命』って呼び変えてもいい」
 「スタンド使いっていうのはその『重力』が他人より大きいんだ、故にお互いが引かれ合う」
 
 「本来なら飛んでいく筈のお月様を、周辺に回して留めて置くみたいにな……自覚した奴ァ、更にそれが大きくなる」
 「良い物も悪い物も全ては『重力』!どちらも相応に引っ張ってくるが、なあに、『たかがその程度のリスク』だ」
 「俺達にはその『重力』が必要だ、当たり引くまで少しでも確率を上げるためなら何でもするべき理由があるッ!」

 「――……で、なんだった? おお、そうそう この町の外周をグルグル『ゴーストライダーごっこ』してる理由だろ?」

 「『回転』だよオトモダチ、すべては『回転』だ」
 「月、地球、太陽、太陽系、銀河……大きな『重力』を持ちながら、全ては『回転』の中にある。」
 
 「俺達はスタンド使いだ、俺達にも重力があるが、人間一人じゃちっぽけなもんさ」
 「だが……この町を、この町に住んでいるスタンド使い全てを『星に見立てて周囲を回ってみたらどうだ?』」
 「本来なら遠くの運命が、俺達の重力に引っかかるかもしれねぇ……そのままここに来るコースに入るかもしれねぇ」

 「丁度、大気圏で燃え尽きずに突入する隕石みてーにな……星をみあげるばかりじゃ掴めない物だってあらぁよ。」
 
 「だ か ら スタンドのパワー全開にして走り回ってんじゃねーか」
 「ついでにチンピラ共がビビッてこの辺り静かになるしなァ!安心安眠!カッハハハーッ!」

鋼の骸骨が笑い声をあげ
漏れ出すそれは本物の炎として、今が実に愉快だと言うかのように燃え上がる。

 「あ?……そっちも解ってるよ『切り裂き魔』だろ? ……そっちはほぼ収穫がねえ、既に倒されたって話も聞いたが……」
 「それじゃ犯人が違う……勘だがな ずっと追い続けて未だに尻尾がつかめない だいぶ用意周到なのか、天性の勘なのか。」

 「――それよりオトモダチ、お前アレだよ、ガッコーの『ウェーブ』はどうすんだ?仕込み終わったんだろ?」
 「『人が争うには理由は要らぬ、ただ線を一本引けばいい』よく言ったもんだぜぇ……?」

 ズッ
            …………
 
 (――ふん?咄嗟にケータイ仕舞っちまったが……気のせいか?誰か近づいてんのか?)

575斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/04/15(水) 23:46:28
>>574

  「――っていう夢を見たんだけど、どう思う『スリープ・トゥギャザー』。」

 ナーオ(何言ってんだこいつ)

 「やはり問題あるだろうか?ちょっとあの理科の講師を後押しして、他者を排斥しながら成長するファシズム体制を作り上げ」
 「学園に不和の種をまいて其処のスタンド使いに試練与えて成長させようという試みなんだけど。」

 マーオ(え、何で出来ると思ってるの?バレるよ?)

 「だってPTAの書類にOBの親だけに通達する様に一部書き換えたり、寮生と通学生というだけでもいじめが起こるし」
 「気弱で授業に集中させる事の出来ない教師が試行錯誤して、勝手にそれに扇動された生徒たちがファシズムを広げる分には…」
 「――誰も僕が起点だなんて、思わないだろ?」

 「スタンド能力なんざなにひとつ使わない、ただ背中を押すだけで、かつて現実に引き起こされた事件を再現できる。」
 「そしていじめや排斥の対象になる子が、『スタンド使い』ならなお良い、ってか、そう誘導するし それが『ウェーブ』なんだ。」

 「『信頼』がいい、『まさかそんな、あの人が』そう言わせながら信頼はヒトの眼を曇らせる。」
 「『信頼』は『犯罪』の隠れ蓑に素晴らしい道具なのさ。」

 「……その誘導の為の証拠品がまさかゴミごと跡形無く消されると思ってなかったけどね、あんな子いたんだなー。」 コワーイ

  ムキムキ  
      モムモム

 「ところで、こたつでみかん食べてると、みかんの白い筋とか気にならない?どう思う?」

 ナーオ(近づけないでね下僕。その匂い嫌いだから。)

576花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』:2020/05/05(火) 14:22:54

閉鎖された廃工場に人影があった。
全身を『レザーファッション』で固めた『赤毛』の男だ。
積み上げられたガラクタを椅子代わりにして、男が腰を下ろす。
男の右手には『拳銃』が握られていた。
回転式拳銃――『リボルバー』。

             カラララララララララララァァァァァァァァァァ――――ッ

『シリンダー』が勢い良く回る音が、無人の廃墟に響く。
徐々に回転は弱まっていき、やがてシリンダーが停止した。
それを見届けてから、おもむろに男が右腕を持ち上げる。

  ガァァァァァァァァァァ――――――ンッ!!

           ――――ド サ ッ

引き金が引かれると同時に、銃口から飛び出した『弾丸』が、
男の側頭部に命中した。
大きく傾いた男の体が、スローモーションのように、
ゆっくりと後ろ向きに倒れていく。
そのまま地面に倒れ込んだ男は、ピクリとも動かない。

577花菱蓮華『スウィート・ダーウィン』:2020/05/11(月) 20:14:58
>>576

「――――ハハッ」

「ハハハッ、いつもながらブッ飛んじまうぜ。
 コレだから『コイツ』はやめられねェな」

「最高に『スウィート』だ」

         ム ク ッ

『死の淵』から帰還し、何事もなかったかのように起き上がる。
そして、自らの精神の象徴である『拳銃』を見下ろした。
『スウィート・ダーウィン』――『ロシアンルーレット』のスタンド。
回転するシリンダーに装填されているのは、
『偽りの死』をもたらす五発の『偽死弾』と、
『死』をもたらす一発の『実弾』だ。
ついさっき、自分の頭を打ち抜いたのは、
当然『偽死弾』だった。

「しかし、何だなァ――」

「この頭に『実弾』ブチ込んだら、
 もっとスカッとするのかもしれねェよな?」

時々、そういう誘惑に駆られる事がある。
だが、その度に踏み止まっていた。
何故なら、死んだら二度と『スリル』を味わえなくなるからだ。

           ザッ

「危うく、もうちょいで試しちまう所だった」

「あぶねえあぶねえ」

               ――――ザッ ザッ ザッ

578美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2020/05/11(月) 22:14:06

         〜〜〜♪
   p i

「はいっ、『お電話』ありがとうございます!
 『Electric Canary Garden』――――
 パーソナリティーの『美作くるみ』ですっ!」

『番組』の収録中、いつものように、
『リスナーから掛かってきた電話』を受け取った。
番組側で『トークテーマ』を用意している場合もあるが、
より気軽に話せる『雑談』的なフリーメッセージも、
随時受け付けている。
さて――今日は、どんな話を聞かせてもらえるのだろうか?

579美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2020/05/19(火) 19:20:15
>>578

「――――そういうのって、スゴく素敵な事だと思いますねえ。
 部活動に打ち込むっていうのは、
 学生の間しか出来ない訳ですから」

「『シルク』さんの目標を、
 私くるみも全力で応援させて頂きますね!
 今日は、お電話ありがとうございましたっ!」

「次のコーナーに入る前に、ここで一曲。
 本日のナンバーは――――」

580今泉『コール・イット・ラヴ』:2020/05/25(月) 01:54:17

アーケード街に来てるんだ。
家具を買いに来たから……じゃなくって。

「……」

           トコッ   トコッ

『カメラ』を、買いに来たんだよね。
写真たてなんか、持ってしまったから。
スマホの写真じゃ、もてあましそうで。

そういう専門道具って、ここにあるって聞いたんだ。だから歩いてる。

581鉄 夕立『シヴァルリー』:2020/05/26(火) 00:43:55
>>580

『骨董品屋』の前にて、竹刀袋を肩にかけた学生服姿の少年が佇んでいた。
顎に手を当て、ショーウィンドウを眺めている。
ふと何かを思い立って辺りを見回すと、そこで見知った女性の姿を見つけた。

「おーい」「こんにちは、今泉さん」

声をかけながら、近付いていく。

582今泉『コール・イット・ラヴ』:2020/05/26(火) 01:16:15
>>581

「あっ」「鉄センパ〜イ」
  
        トトトッ

先輩だ。
こっちからも、近付いた。
けっこう自然な笑顔で、だと思う。

「学校の外で会うの、珍しいですねっ」
「何かお店見てたんです?」「当てていいですか?」

「うーん」
「剣道道具! って推理はフツーすぎますかね。あはは」

実際剣道道具ってどこで売ってるんだろうね。
この『専門店』街なら、売ってそうかなって思ったんだ。

583鉄 夕立『シヴァルリー』:2020/05/26(火) 01:33:47
>>582

>「剣道道具! って推理はフツーすぎますかね。あはは」

「はは、惜しいな」
「確かにこの『専門店』街には武道具屋があって、スポーツ用品店にはない品もあるんだ」

今泉さんの笑顔を見て、いつものように安心し、少し目線を逸らす。
何か少し違和感があったような気もするが、まあ気のせいだろう。

「ただ今日は別の用事でな」
「…いや、用事というほど大したものではないか。そこに並んでいる『刀剣類』を見ていたんだ」

「今泉さんは、そうだな…専門店、化粧品とか、美容の品だろうか?」

女の子の買い物イコール、そういうイメージが勝手にある。
自分の女性の知識などあまりに少ないので、貧困な想像だが。

584今泉『コール・イット・ラヴ』:2020/05/26(火) 01:57:53
>>583

いつも通り目線を逸らす先輩に、私は笑う。

「なるほどっ、刀ですか!」
「お侍さんですもんねえ、鉄センパイは」

刀。ここにはそんなのも売ってるんだ。
美術品ってやつなのかな。聞いたことはあるよ。

「でも、そういうのってお高いんでしょっ?」
「前に友達が、調べてびっくりしてました」
「何万円もするんだ〜って」

剣道やってるの、剣が好きだからなのかな。
やっぱりサムライに、憧れたりするのかな。

「コスメ!」「あは、センパイもハズレです!」
「そういうのは私、ドラッグストアで買ってますね〜」
「あとはちょっと高いけど、モールの百貨店とか」

「そんなにお化粧はしない方ですけどねっ」

全くしないわけじゃないけどね。
フツーにしかしないってこと。

「今日はですねえ」「カメラを探してるんですっ」
「ですけど、お店を探すのに迷ってまして〜」

「鉄センパイは、この辺ってよく来るんです?」
「さっきの言い方的に」「どんなお店があるか、詳しいんですかっ?」

585鉄 夕立『シヴァルリー』:2020/05/26(火) 02:17:36
>>584

「うむ、その通りである。武士たるもの、やはり己が刀には憧れを抱くものよ」

仰々しい言い方をしつつ、自分の胸を拳で軽く叩く。
まぁ実際、自分がこのスタンド、『シヴァルリー』に目覚める前から刀剣類には興味があったのだ。
そもそも、刀剣に興味がない男などいるだろうか?いや、いない(反語)。

「まぁ、気軽に手が出せる金額じゃあないな…」
「オレの『スタンド』、『シヴァルリー』は周囲に刃物があるほど戦闘力が上がる」
「だから、手元に置いておきたい気持ちもあったが…まぁどちらにせよ、持ち歩いていたら捕まるしな」

そう言って小さく笑う。
まぁ仮に警察に見つかったとしても、能力を使って切れ味を落とし、演劇に使う模造刀ですと言い張る事もできなくもない。
とはいえ、あまり後ろめたいことはしたくはない。

「ふむ、普通はそういう場所で化粧品を買うんだな…」
「しかし、『カメラ』は予想外だったな。最近はスマホで写真を撮る機会も多いから」

勉強になった。いつ活きる機会が来るのかは知らない。

「ああ、大体ならどこにどういうものがあるか分かるぞ」「それなら、ひとまず歩こうか」
「しかし『カメラ』はどういった種類のを探しているんだ?」

歩き出しながら、今泉さんに訊ねる。

586今泉『コール・イット・ラヴ』:2020/05/26(火) 02:40:19
>>585

「あはは、やっぱりそういうものなんですねっ!」

その友達は、剣道部じゃないけどね。
侍のキャラクターが好きなんだって。
いや侍のキャラじゃないのかな、刀のキャラ?

「へえ〜っ。スタンドも『侍』なんですねえ」
「それとも騎士?」「かっこよさそうです」

「『シヴァルリー』……」
「『銀』とかそういう感じの意味なんですかね?」

戦闘力、って言った。
鉄先輩は、なんで『戦闘力』が欲しいんだろう。
ユメミンみたいに、『戦う』事があるから?

「……あ」

あ。そういえば。スタンドとユメミンで思い出した。
鉄先輩がスタンド使いだって、教えちゃったことを。
でも、これって……謝った方が、いいのかな。
だってユメミンがスタンド使いなの先輩は知らないよね?
ユメミンなら、教えていいって言いそうだけど。

ちょっと一旦置いとこう。

「あ、えーと!」
「そうですね〜。ドラッグストアで買う子多いですよ」
「私の周りは、ってだけですけどっ」
「100均で揃えてる子とかもいますしね」

もっとオシャレなグループの子達は違うのかもね。

「それでですね」「カメラなんですけど〜」
「写真たてが一つ空いてるので」「それに入れる写真が撮りたいんですよねっ」
「『スマホ』の写真をプリントして入れても、なんだか収まり悪いですし」

「まあ、フツーのインスタントカメラとかでもいいんですけど」
「それでせっかくなら、かわいい感じのカメラがいいかな〜とか」

「たとえば……こういうのとか?」

スマホを出して、ちょっと立ち止まってネットのページを見せる。
ttps://www.expansys.jp/sjcam-funcam-2-lcd-1080p-kids-camera-white-318532/

「『カメラ かわいい』って調べたら出てきたんですけど」

587鉄 夕立『シヴァルリー』:2020/05/26(火) 03:05:13
>>586

「見た目は『騎士』に近いかな」
「『シヴァルリー』・・・・・そのまま直訳するなら『騎士道』らしいが、
 『音仙』さんは、他を守り武を担うもの・・・とも言っていた」

そう言って、『シヴァルリー』を発現する。
自分はその名を背負うにはまだあまりに未熟だが、それでも精進するだけだ。
一応他の『スタンド使い』の目も気になるので、すぐに解除しておく。

「なんと、『百均』にも化粧品があるのか…!」
「色々なものが安く揃うのは知っていたが、化粧品すらも取り扱っているとは」
「ふーむ、恐るべしだな」

腕を組んで頷く。
当然自分も『百均』を利用したことはあるが、用のある場所以外はほとんど見ていなかった。
恐らくその分質もそれなりなのだろうが、あまり拘りのない女性には有用なのだろう。
しかし、これでかなり女性の知識に詳しくなった気がする。帰ったら妹に自慢しよう。

「『写真立て』か、なるほどな」

頷きながら、ちょっと距離を置きつつ今泉さんのスマホの画面を見る。
確かにかわいいデザインだ。角張過ぎない、小さくて丸いフォルムが優しい雰囲気を受ける。
彼女らしいセレクトとも言えるだろう。

「やはり一眼レフとかではない、普通のデジカメだな」「承知した」

頷き、とある『家電量販店』を目指す。
あそこの店は、フロアの大部分をカメラが占めている階がある。恐らくそこなら見つかるだろう。

「ところで、どんな写真を入れるかは決めてあるのか?」

588今泉『コール・イット・ラヴ』:2020/05/27(水) 00:40:41
>>587

「あっほんとだ、完全に騎士さんですねっ!」
「先生とは全然違う感じ」「当たり前ですけども」

『シヴァルリー』を眺める。
そうだ、『銀』はシルバーだ。関係ない。
シヴァルリー……『騎士道』、かあ。

「『武を担う』」「『他を守る』」
「戦えない人のために戦う、って事かな」
「それって、かっこいいですね!」

鉄先輩の『こころ』が、そうって事なのかな。
だとしたら、それってやっぱり、かっこいいと思う。

「百均、なんでもありますよね〜っ」
「マスキングテープも、色んな種類が置いてますし」
「たまに行ったらつい色々買っちゃいます」
「この前も、小さいお皿とか何枚も」

話しながら、先輩に着いて歩き始める。

「一眼レフ!って言葉だけは聞いたことありますねっ」
「ほんとフツーに写真が撮れたら、それでよくて」
「特別な機能とかは、考えてないんですよね」
「フツーが一番です!」

一枚撮って終わりじゃ、無いとは思うけどね。
難しい機能とかよりは使いやすいのがいいと思う。

「どんな……」「うーん」
「フツーに、友達と一緒に撮った写真がいいかな〜とか」
「なんとなく」「そんな感じで……」

「具体的にこれって決めてるとかは、ないですね〜」

589鉄 夕立『シヴァルリー』:2020/05/27(水) 00:56:50
>>588

>「戦えない人のために戦う、って事かな」
「・・・・・」

今泉さんの言葉に、ゆっくりと頷く。

「自ら争いを引き起こした人間が、それで傷付くのは仕方ないと思っている」
「けれど、そんな事を考えたようなこともない人間が。あるいは戦う力を持たない人間が。
 一方的な力の犠牲になって、その夢や命を失ってしまうのは、あまりに理不尽だ」
「だから、オレはそういった人達を守り、戦いたい」

「…人に言うのは初めてだけど、オレは今『警察官』になろうと思っていてね」
「そういった生き方が、自分には合っている気がするんだ」

そう言って、隣の少女に笑いかける。目を合わせられて1、2秒だが。

「確かに、あると便利だな…と思うものをつい買ってしまうな。所詮百円…というのも買う理由になってしまう」
「しかし、『マスキングテープ』…?今泉さんは、『DIY』とかやるのか?」

ふと疑問に思って訊ねてみる。最近流行しているらしいが、今泉さんも工作をするのだろうか。

「ああ、友人と共にとった写真というのもかけがえの無いものだな」
「オレも部活の仲間たちと一緒に撮った写真は、大切なフォルダに入れてある」
「後は、家族と撮った写真も入ってるな。そういうのも良いんじゃあないか?」

などと喋っている間に到着した。
かなり大きな五階建ての『家電量販店』だ。そのまま中に入っていく。

「ここの三階は、半分以上カメラに関連するものが置いてあるんだ」
「恐らく、キミが探しているようなのもあると思う」

590鉄 夕立『シヴァルリー』:2020/05/27(水) 00:57:19
>>588

591今泉『コール・イット・ラヴ』:2020/05/27(水) 01:50:06
>>589

「………………」

「『夢』があって」「それがみんなのためになるもので」
「フツーに憧れます、そういうの」

「鉄センパイは、すごく立派ですっ」

目を合わせてくれた先輩をまっすぐ見て、そう言った。

私には夢が無い。
『今』を考えるのでせいいっぱいだから。
そうじゃなくても、無いかもしれないけど。

「あ、えーと」「ディーワイアイ?っていうか」
「私『マスキングテープ』を集めるのが好きでして〜」
「かわいくないですか? 『マスキングテープ』」
「お家にたくさん、置いてあります」

買ったのを全部使ってるわけじゃないよね。

「ものをデコったりとか〜」
「まあフツーに、テープ代わりにも使いますしね」
「良いですよ、マスキングテープ!」

スマホの裏面を見せる。
無地のカバーに、テープを貼って飾っている。
マスキングテープが好きなんだ。私は。

そうこうしていると、それっぽいお店に来た。というか電気屋さんだ。
そっか、カメラってフツーに電化製品だった。

「……」「そうですねっ」
「そういう写真も、あれば、いいかもしれませんね」

私は笑う。それがフツーだ。

「いや〜、ご案内ありがとうございますっ鉄センパイ!」
「一人で探してたら、ずっとさまよってるところでした」

                     ペコ

鉄先輩は、凄くいいヒトだ。人にやさしいし、もっと広い、世界にも優しい。

「それで」「あのー」「じつは、私センパイに謝る事がありまして……」

だから切り出す事にした。黙ってるのは、なんだか、不義理だと思うから。
ユメミンにもちゃんと後で謝っとかないと。そうするのが、フツーだと思うから。

592鉄 夕立『シヴァルリー』:2020/05/27(水) 21:47:14
>>591

チラリと目を合わせた今泉さんから、真っ直ぐな視線を返されて、思わず口に出る。

「・・・まぁ、こうも大層な事を口にしていても、オレもまだまだ未熟なんだけどな」
「以前、共に戦った仲間の人に言われたよ。オレには『暴力性』があると」
「確かにオレは、やると決めたら冷静さを失って、一線を超えかねない所があるみたいなんだ」
「人を守るという大義名分で、敵を必要以上に傷付けてしまわないよう、気をつけなきゃな・・・」

これは今後の課題だ。
初めて『シヴァルリー』を発現した時は、その能力の危険性に少し恐れを抱いたものだが。
いざ実戦となると、自分は躊躇なく刃を振りかざしたていた。自らの力に溺れないようにしなければ。
そして、今泉さんに差し出されたスマホを見た。

「・・・・・・・・・・ふむ」
「なるほど、これが『オシャレ』か」

『マスキングテープ』をスマホに貼っている彼女を見て頷く。この『カワイイ』という感覚は難しいが、
本来作業などに使うマスキングテープをスマホに貼るのが、こう、なんか、『ギャップ』があっていいのかもしれない。
また一つ、女性の心理に詳しくなってしまった。今日で相当レベル(何のかはよく分からない)が上がってしまったかもしれない。

「いや、この程度などお安い御用だ」

頭を下げる今泉さんに対し、こちらも軽く会釈をする。礼儀正しい子だ。
友人に対してこれくらい、当たり前だと自分は思っている。そしてカメラコーナーへ歩いていく。
が、その後に切り出されたのは予想外の言葉だ。そんな彼女が、自分に謝罪しなければならない事などあるのだろうか?

「ん?一体、何だろうか」

593今泉『コール・イット・ラヴ』:2020/05/27(水) 23:15:51
>>592

「『暴力性』……ですかっ?」「へー……」
「先輩にぜんぜんそういうイメージは無いですけど」「うーん」
「普段怒らない人だから怒ると怖い、みたいなことなのかな」

「難しいですねっ。『こころ』の問題って」

鉄先輩はむしろ『優しい』印象だ。
気弱とか、暗いとかじゃないけど、激しい感じはしない。
でも、『戦う』ってなると、そうなっちゃうのかな。
先輩にも難しい話なら、私には深い所は分からない。

「あは、おしゃれですよ〜」
「普通のシールとか貼ってる子もいますけどね」
「元からかわいいデザインのケースも多いですけど」

こういうのが『かわいい』事は分かるけどね。
人によって、違うらしいけど、近い所はあると思うんだ。

・・・やっぱり先輩はやさしくて、良い人だと思う。

「じつは」「私の友達にスタンド使いの子がいてですね」
「…………」「その子に、お話の流れで」
「先輩がスタンド使いなの、勝手に教えちゃいまして」

「ごめんなさいっ、もし教えるなら、先輩に確認してからにすべきでしたよね」

594鉄 夕立『シヴァルリー』:2020/05/28(木) 00:11:29
>>593

「ああ、難しいな」「今泉さんには、そういう『こころ』の問題はないのか?」

人当たりが良くて友人も多い今泉さんに、そういうのはあまり無縁かもしれない。
だが、一応訊ねておきたい。
もっとも有ったとしても、悩みに対して解決策をすぱっと言えないかもしれないが。

「…ああ、そういう事か。構わない」
「今泉さんが話していいと思ったのなら、別に隠す必要はないよ」
「ちなみにその子は、なんていう名前なんだ?」

会ったことのない『スタンド使い』か。同い年なのだろうか。今泉さんの友人なら、やはり女性なのか。
…挨拶しておくべきだろうか。少し気が重い。

「お、この『カメラ』じゃあないか?」

彼女にスマホで見せてもらったものと、同じものを手に取って見る。

595今泉『コール・イット・ラヴ』:2020/05/28(木) 01:07:19
>>594

「あは」「私は、ごくごく、フツーですよ〜」

私は笑う。

  ┌─────────────────┐
  │   今泉 未来の『笑み』は『ぎこちない』  │ 
  └─────────────────┘

「それで、えーと」「その」
「その子って言うのが、センパイとも知り合いで」
 
             チラ

スマホを見る。

「……明日美ちゃん」
「『夢見ヶ崎 明日美』ちゃん、ってわかります?」

ユメミンは『誰にも言うな』とは言ってない。
鉄先輩とはフツーに仲良いみたいだし、言っていい、とは思う。

「あの子と話してる時に、つい……ほんと、ごめんなさい」
「あ」「ただ、ユメミン……」「明日美ちゃんは私、『話していい相手』だとは思います!」
「言っちゃったのは、間違えてですけど」「言ったらまずい相手だとかは、無いです」

「そこは、ご安心くださいっ」

ただ、あとでちゃんと連絡はしておこう。
鉄先輩が『知ってる』ってことは伝えとかないと。

ユメミンが『話していい』と思える相手だってことも、ちゃんと伝えておく。

「……あっ! ほんとだ」「鉄センパイ、これですこれ」「写真通りっ」

それから、鉄先輩の持ったカメラを覗き込む。『白』は私の『好きな色』だ。

596鉄 夕立『シヴァルリー』:2020/05/28(木) 01:24:20
>>595

「─────」

先程も垣間見た、彼女にしては少しぎこちない笑み。思わず今泉さんの瞳をじっと見てしまう。
アレは見間違いや気のせいではなかったのだ。
だが、ここで踏み込むことはできない。自分は今泉さんの友人だと思っているが、
だからと言って何でも話してくれるとは思わない。年上で、異性でもある。

「…すまない。詮索が過ぎた」
「オレは確実にキミの力になれるとは言えない。だが、力になりたいと思っている」
「それだけ、言わせてくれ」

彼女と『食堂』で会った時に、とある質問に、ほんの少し変な反応を見せた。
それに関することなら、あまりに繊細な事案だ。手元のカメラに、改めて視線を戻した。

「知り合い?・・・・・『夢見ヶ崎 明日美』・・・」「ああ、『アリス』か」

脳裏に、あの華やかで元気な少女が思い浮かんだ。

「・・・・・・・・・・いや、何となくそんな気はしていた。彼女なら驚かないな」
「しかし、やはりというか…今となっては都合が良いか…ただ、心配でもあるな…」

うーん、と顎に手を当てて唸る。
彼女はオレの行動に協力してくれている。だから、『スタンド使い』である方が
万が一危険に巻き込まれた時でも安心かもしれない。ただ、力があるからこそ危険に飛び込んでしまう可能性もある。
『生兵法は怪我の元』というヤツだ。

「ああいや、大丈夫だ。オレも彼女のことは信頼…いや、信用している」
「何も問題はない、むしろ遅かれ早かれ互いに気付いていたかもしれない」

カメラを覗き込む今泉さんに、そっとそれを手渡す。
今泉さんの方に視線を向けなければ、この程度は容易いものだ。
それに、何回か会えば少しずつ慣れてくるというもの。

「どうぞ。写真も試し撮りできるみたいだな」

597今泉『コール・イット・ラヴ』:2020/05/28(木) 01:55:35
>>596

「なにも」「なにもないですよ、鉄センパイ」
「私は『フツー』、それだけなんですよ」
「信じてください」「本当に、なにもないんです」

私は笑う。
・・・笑う。

┌───────┐
│ 自然な笑いだ。 │
└───────┘

「でも、そうですねっ」
「何かフツーじゃない事が起きたら〜」
「その時は、センパイにも頼らせてくださいっ」

そうすることが私にとって一番いい。
フツーじゃないなんてことは無い。

「そう、『アリス』みたいな恰好の」「あの明日美ちゃん」

都合?心配?そのあたりはよくわからない。
鉄先輩とユメミンの間でも、何かがあるんだろうな。

「ああ、ならよかったです」「良くはないけども」
「でも気を付けますね」
「ヒミツにしてることとか言っちゃわないように」

今回は偶然、ユメミンを鉄先輩が信用してただけ。
あんまり仲良くない組み合わせとかもあってもおかしくない。
フツーにを気を付けよう、と思った。

「試しどり! いいですね」「ちょっと貸してください!」
「ボタン、ここか〜」「レンズ伸びたりするかな?」

先輩から受け取ったカメラを、ひっくり返してみる。
レンズが自分側を向く。カメラってここが伸びるんだよね。

                       スッ
           『パシャッ』

「あっ」
「撮れちゃいました」「あは、ツーショットですよ先輩」

画面を見る。ちょうど先輩も端っこに入っちゃった。
ツーショットとして見るには、ちょっとアンバランスな感じだ。

598鉄 夕立『シヴァルリー』:2020/05/28(木) 02:13:10
>>597

「ああ、よろしく頼むよ」「オレにとって、『将来の夢』の練習にもなるからな」

そう言って、この話題を終わらせる。
少なくとも今は、これが互いにとって一番望ましい形だろう。
ここから先は、『アリス』にも少し話を聞いてみたい。それは今度彼女に出会ってからだ。

「まぁ、アリスに対して特に隠すべき事もないが…」
「いや、もし彼女が『スタンド使い』でなかったら、『スタンド』の事は隠したかったな」
「性格的に、そんな面白そうなモノを耳にしたら、興味津々で突っ込んでいきそうじゃないか?」

今泉さんに同意を求めることで、話題を切り替える。
アリスに対して秘密にしていたわけではないが、面白い出来事を探している彼女に
『スタンド』のことを話さなかったのは、色々と危険かもしれないと思ったからだ。
好奇心を抱いたあの子を止める術を、まだ自分は知らない。


>           『パシャッ』

「…む。ツーショットは少し恥ずかしいな」
「いや、まぁ、そもそも家族以外の女性とのツーショット、人生初めてなんだが…」

カメラの方を見ていたため、意図せずカメラ目線になってしまっていた。
まぁ端っことはいえ、女性とツーショットの写真を撮ったのだ。家族と友人に自慢しよう。自分の手元にはないが。

599今泉『コール・イット・ラヴ』:2020/05/28(木) 02:43:40
>>598

「あはは、そうですねっ」「鉄センパイの夢、応援します」
「って、もちろん何も起きないのが一番ですけども」

不思議でも危なくないなら、いいんだけどね。
あの『白い町』の件みたいに。

「そうですね〜、ユメミンって何にでもチャレンジしますし」
「危ないこととかにも」「飛び込んで行っちゃいますし」
「ほんと、『アリス』みたいに」
「不思議の世界に入って行っちゃう」

私なら喋る兎を追いかけるかは分からない。
追いかけても、トンネルに入るかは分からない。

「でも、そこが良い所だとも思うんですよね」

私はユメミンが、ちゃんと戻って来れる先になれたらいい。
『フツーじゃないこと』を『フツーにできる』のがユメミンなんだ。
『不思議の国のアリス』は、『フツーに帰る』までが物語。

「あはっ。そうだったんですか!」
「ごめんなさいセンパイ、記念すべき初ツーショットを〜」
「事故ですし……ノーカウントにしてくださっても、良いですよ」

画面を眺めてたけど、それをやめてカメラを下ろす。

「どっちにしても、このカメラを持って帰るわけじゃないですしね〜」
「買ったら、今度はもっとちゃんとしたの撮りますかっ?」「あはは」

そして買うための、見本じゃない商品を手に取る。よし、これを買おう。

600鉄 夕立『シヴァルリー』:2020/05/28(木) 03:04:18
>>599

「…そうだな。彼女は色々な物事に目を輝かせて、楽しんでいる。
 その姿を見ていると、こちらも何だか幸せな気持ちになってくる」
「だから、その結末までも楽しいものじゃなくちゃあな。
 『ハートの女王』が現れるなら、オレや今泉さんも協力して、追い返してやろう」

アリスの良いところ、という今泉さんに同意する。
三人寄れば文殊の知恵と言うが、この場合は三人もの『スタンド使い』だ。
仮に彼女がどんなトラブルに巻き込まれようと、無事に日常へと帰ってこれるはずだ。

「いや、折角だし自慢しよう」「妹も、これでオレを見る目が変わってくるかもしれない」

己の女性が苦手である点に関して、妹はしっかりと理解している。
だが、学校での友人とツーショット写真を撮ったとなればいつものように馬鹿にはできまい。
ましてや今日は、『百均』で化粧品が売っているという知見も得た。もはや昨日までの自分ではない。

「ああ、そうだな。どうせならアリスも誘って、三人で撮るのもいいかもしれない」
「そうしたら、後でオレにもデータを送ってくれ」

その頃には、問題なく女性と写真を撮れるくらいには強くなっているはずだ。…根拠はないが。
そして今泉さんがお会計を終わらせるのを見届ける。

601今泉『コール・イット・ラヴ』:2020/05/28(木) 03:32:40
>>600

「はいっ。そうしましょう! その時は私頑張ります」
「何も危ない事がないとは、言えないですしね」

ユメミンは現に危険な目にもあってる。
いつか頼られることがあれば、その時は。
それは友達としてフツーのことだ。

「あは」「良いですね、妹さんを見返してやりましょう」
「私、そっちも協力していいですよ!」

鉄先輩の妹さん。どんな子なんだろう。
実は直接話したことはないんだよね。

「ユメミンと私とスリーショットなら、もっと見返せそうですね」
「ぜひ撮りましょう」「このカメラで!」
「写真立てに飾る写真にも、いいかもしれません」

いつになるかは分からないけど、きっと楽しいと思う。
だから私はカメラをレジに持っていくんだ。

                クルッ

「鉄先輩、ほんと今日は着いて来てくれてありがとうございましたっ」

振り返ってお礼を言って、それからお会計に入った。
明日からいろんな写真を撮ってみよう。きっとそれも、『楽しい』んだと思う。

602鉄 夕立『シヴァルリー』:2020/05/28(木) 03:36:03
>>601

603ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2020/05/29(金) 01:14:00

    ザザァァァ……

本格的に海水浴が始まる前の初夏の海。
海岸から少し離れた海面に『何か』が浮いている。
毛むくじゃらの塊のようなものだ。

          プ カ ァ

それは一頭の『ラッコ』だった。
『海獣』――海に適応した『水棲哺乳類』。
そして、霊長類以外の哺乳類の中で、
唯一『道具』を用いる生物としても知られている。

                   ゴソ

脇の『ポケット』から、『石』を取り出す。
ラッコは『お気に入りの石』を持っており、
ずっと同じ石を使い続ける習性がある。
お腹の上に石を乗せたラッコは、
持っていた『貝』を振り上げた。

         ガ ツ ン ッ !

勢いよく貝を石に叩き付けると、
割れた所から器用に『中身』を取り出す。
最近この町で、『野生のラッコ』の『目撃例』が、
チラホラあるらしい。
しかし、そんな事実を『彼』は知らない――。

604氷山『エド・サンズ』:2020/05/29(金) 19:40:37
>>603

  ヒュンッ・・・

    チャプン!  チャプン! チャプン! チャポン・・・・

『ラッコ』・・・が浮かぶ海面の近く
海辺に座りながら、一人の少女が石を投げている
石は何度かの跳躍を行った後に水面に沈む・・・・・『石切り』である

『オイオイ・・・イイ加減ニ元気出ソウゼェ〜〜〜あきはちゃんヨォォ』
「はぁ・・・・そんなに簡単にはいきませんよ、『さんずさん』
結局私は・・・あなたをちゃんと活躍させられなかったんですから
『さんずさん』の力をちゃんと発揮出来ていれば、もっと面白いものが見れたのに・・・」
                ヴィジョン
よく見ると少女の隣には半透明の『 像 』が佇んでいる
―――『スタンド』である

『ハァァァ〜〜〜〜コリャカナリ重症ダナ
・・・・・・・オッ? オイ見テミロヨ アリャア何ダ? 
石ヲ持ッタ変ナ「かわうそ」ガイルゼ?』

「石を持った『かわうそ』?
はは・・・それじゃあまるで『ラッコ』じゃないですか・・・・」


      ジ―――――――・・・

「――――『ラッコ』だ
すごい!あれラッコですよ!」

    ウキウキ
             ウキウキ

突然海面に見えたラッコの姿にうきうきとしながら近づく
はしゃいでいるのだ

605ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2020/05/29(金) 20:58:25
>>604

そういえば、最近この辺りで、
『ラッコを見た』という噂があるとかなんとか。
普通『ラッコ』は何処にでもいる生き物ではないが、
目の前にいるのは『ラッコ』にしか見えない。
少なくとも、十人中十人が『ラッコ』と答えるくらいには。

       ムシャッ
              ムシャァッ

『彼』にとって、この辺りが住みやすかったのは意外だった。
食事には困らないし、強力な敵もいない。
波も穏やかだ。

                 …………ピクッ

貝を平らげたラッコは、つぶらな瞳で周りを見渡した。
急に『人の声』が聞こえてきたからだ。
それも『二人分』。

    グルッ
                ――――ザボンッ

『二人』の姿を認めたラッコが、不意に体勢を変えた。
水の中に自ら頭を突っ込み、そのまま『潜水』していく。
瞬く間に、その姿が見えなくなる。

          ザバァッ

数秒後、ラッコが再び姿を現した。
『人間とスタンド』の2mほど近くに。
見かけによらず、意外と肝が据わっているのかもしれない。
それとも、単に警戒心が薄いだけか。
とにかくラッコは、
『あきはちゃん』と『さんずさん』に興味を抱いたようだ。

606氷山『エド・サンズ』:2020/05/29(金) 21:17:38
>>605
>    グルッ
>               ――――ザボンッ

「あっ!潜っていきました! 驚かせちゃったのかも」
『ア〜〜・・・・惜シイナ逃ゲラレタカ?』

>          ザバァッ

「と思ったらこっち来ましたよ!凄い人懐っこい!」

一瞬、波打ち際近くまで来たラッコに驚くが
次の瞬間には喜色をあらわにする 動物は好きだからである

「ラッコといえば近年では絶滅危惧種に指定されるくらい数を減らした希少動物ですよ
ペットとして飼うなんてありえないし、水族館にいた子が逃げ出したなんて話も聞かないし
北の方から流れ着いたんですかね」

『・・・・・・詳シイナ』

もう少し近づいたら触れそうな距離だ
靴と靴下を脱いでちょっとずつ海に入っていく

「冷たっ」

607ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2020/05/29(金) 21:48:24
>>606

通常、ラッコは冷たい海で暮らしているにも関わらず、
他の海獣と比べて皮下脂肪が少ない。
その秘密は『体毛の密度』にある。
毛の間に空気を保持する機能が高く、
これによって『保温』と『浮力』を維持しているのだ。
一説によると、『ラッコの毛皮』は、
『ミンク』よりも上質だとされている。
そのせいで『狩猟対象』となった事が、
世界的に数を減らした一因でもあった。

         ジィッ…………

だが、彼にとっては関係ない事だ。
今まで人間と近くで遭遇した事がなかった彼にとって、
『あきはちゃん』は非常に珍しい存在だった。
もちろん『ハッピー・スタッフ』以外のスタンドも見た事はない。

         ミャー
                 ミャー

ラッコが鳴いた。
『声』を掛ける事で、
どういう相手か探ろうとしているのかもしれない。
そして、その鳴き声は『猫』に似ていた。
姿を見ていなければ、猫だと思ったかもしれない。
しかし、紛れもなく『ラッコ』だ。

             ミャー

徐々に近付いてくる『あきはちゃん』を見上げる。
逃げ出そうとする気配はない。
手を伸ばしたら触れそうだ。

608氷山『エド・サンズ』:2020/05/29(金) 21:59:45
>>607
「・・・・・ゴクリ」

手を伸ばせば届くところまで来てしまった
上質なラッコの毛皮はかつては高級品としてもてはやされた程だ
その触り心地・・・・如何程のものか

「で、でも、ラッコの毛皮は体温保持・浮力維持の点でも重要な存在で
かつて石油タンカー事故の際には毛が油で汚染されて凍死した子が何匹もいるとか!
そんな大切なものに面白半分で手を出すわけには!
人間社会と野生動物がうかつに関わると双方にとっても悪影響が出るとか言いますし!」

  ・
  ・
  ・
  ・
  ・
  ・

「あははは〜〜〜ラッコちゃんだ〜〜〜〜!」

数分の葛藤の後!
そこには理性とか野生動物への配慮とかそういうのをすべて頭からフッ飛ばした氷山の姿が!
ふわふわの毛皮に手を伸ばす!

609ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2020/05/29(金) 22:26:59
>>608

『あきはちゃん』の心には、真摯な葛藤があった。
種族の垣根を越えて、お互いを尊重しようとする精神は、
とても尊いものだ。
そんな考えを理解しているとは思えない表情で、
『あきはちゃん』を見上げるラッコ。

    ソッ…………

伸ばされた手が毛皮に触れた。
その瞬間、『高級絨毯』を撫でているような感覚が、
指先を通して伝わる。
『ミンク以上』と称された手触りは――――
まさしく『至高』のものだった。

           ミャー

ラッコにとって、毛皮を清潔に保つ事は『死活問題』。
ゆえに、入念な『グルーミング』は欠かせない。
とはいえ、それは自分の手で行う事であって、
こんな風に他人の手に触れられる機会は少なかった。
まだ『幼獣』だった頃は、
『母親』に『毛繕い』して貰っていたものだ。
昔の事を思い出して、
何となく『懐かしい』ような気持ちになってきた。

                  チラッ

そうこうしていると、ラッコの視線が、おもむろに動く。
その先には『さんずさん』がいた。
もしや、『見えている』のだろうか?

610氷山『エド・サンズ』:2020/05/29(金) 22:40:33
>>609

   ふわっ さぁ・・・

「あぁ!」

ラッコの毛皮には1平方cmあたり10万本以上の毛が含まれている
哺乳類の中でも破格の密度を誇るこの体毛は至高のふわっふわっ感を持つとともに
中心部では空気を蓄え、断熱効果を生む


  じわっ・・・・


ゆっくりと手を沈ませると、中心部から細かい空気の泡が滲み出る
それらはラッコの体温で程よく温められ、撫でる氷山の手から多幸感を伝わらせた!


>                  チラッ

『ン? ナア、あきは、サッキカラコイツ俺の事ヲ見テルミタイダガ・・・
「見えて」ルンジャネエカァ?コイツ』
「ん〜〜〜〜〜〜〜・・・? 何かいいましたぁ〜〜〜〜・・・?」

最高の毛皮の質感に目を細める氷山を横目に
さっ さっ と『エド・サンズ』はちらちらと左右に反復横跳びをする
ラッコの視線の方向が気になるのだ

611ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2020/05/29(金) 23:04:44
>>610

ラッコは『地球上で最も毛むくじゃらな生物』とされている。
その全身を覆うのは、二種類の体毛だ。
硬い『ガードヘアー』と柔らかい『アンダーファー』。
前者は身を守るために役立ち、
後者は体温維持や浮力維持において重要な役割を果たす。
そして――今は『あきはちゃん』に極上の手触りを与えている。

          チラッ チラッ

横跳びする『さんずさん』を目で追うラッコ。
『人型スタンド』だ。
それも『意思』を持っている。
『ハッピー・スタッフ』と同じように。
内心そのように思いながら、ラッコは触られ続けている。

            ゴソ

ふと、ラッコが再び『石』を取り出した。
ラッコの脇には『ポケット』があり、とても便利なのだ。
もう片方の手には、
一緒に『ポケット』に入れてあった『貝殻』が握られていた。

612氷山『エド・サンズ』:2020/05/29(金) 23:17:17
>>611
『ヤッパリダゼ・・・・サッキカラ俺の事ガ見エテルミテェダゼ
ソウイエバ、コノ前ノ「喧嘩場」ノ時モ動物のスタンド使いガイタ・・・
マサカ・・・・・コイツモ・・・・「スタンド使い」ナノカ!?』

「へぁ〜〜〜〜何か言いましたぁ〜〜〜?」

>            ゴソ

『!?』
『オイ!何ヲ取リ出ソウトシテヤガルンダァ―――ッ!?』

動物のスタンド使いと勘づいて警戒心を露わにする『エド・サンズ』
それと対照的に氷山はラッコの毛皮の手触り感に骨抜きにされている!

石を取り出そうとするラッコに思わず声をあげる『エド・サンズ』だったが――――

「もう!この子の前で大きな声を出さないでくださいよ!
ラッコの脇にはぷるぷるにたるんだ皮膚があって、間に物が入れられるんですよ!
それに『石』だってどうでもいいわけじゃないのに・・・・驚いて落としちゃったらどうするんですか!?」

『・・・・・スマン』

613ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2020/05/29(金) 23:39:33
>>612

ラッコにとって、『石』は『最重要アイテム』だ。
うっかり『お気に入りの石』をなくしたラッコは、
とても落ち込んで物凄く悲しい気分になってしまう。
そうならなかったのは幸運だった。

「――――?」

『あきはちゃん』と『さんずさん』を交互に見つめるラッコ。
少し驚いたようだが、
どちらかというと不思議そうな顔をしていた。
やがて、その手に持った『石』と『貝殻』を、
『拍子木』のように打ち合わせる。

       カツンッ 
               カツンッ

軽い『音』が響き、一瞬の静寂があった。
続いて、ラッコの後方に『大きな何か』が出現する。
ラッコの体と比べると、その全容は『かなり巨大』だ。

    ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド…………

現れたのは一隻の『ミニボート』だった。
海であれば特に違和感もない代物。
しかし、それは普通のボートではなかった。
船内には『人型スタンド』が乗っている。
『ボートのスタンド』だ。

614氷山『エド・サンズ』:2020/05/29(金) 23:53:16
>>613
「はぁ〜〜〜 私、野生のラッコの食事風景初めて見ましたよ〜〜」
『ソ、ソウカ・・・ヨカッタジャネエカ・・・』

ラッコが手に持った石で貝を叩くあまりにも有名な1シーン
本物の食事風景を見て、氷山は幸福そうに目を細める

>    ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド…………

『ナ・・・・コレハ・・・・・オイ、コイツ・・・・・「スタンド」ヲ出シヤガッタ!
オイ、お前! マサカあきはヲ攻撃スルタメニワザト近ヅケタンジャ・・・・!?
「何者」ダ、お前―――――――ッ!』

突然、出現したスタンドに再び警戒心を掻き立てられる『エド・サンズ』!
一方、氷山の方はラッコの食事風景を眺めるのに忙しく、『ボートのスタンド』は一瞥するだけだ!

   ブゥゥン・・・

いつの間にか『エド・サンズ』の手には
時代劇で見るような(もっともラッコは時代劇など見ないだろうが)『捕獲縄』が握られていた
何かを縛るわけではないが、両手に握ったまま『ボートのスタンド』を睨みつけている!

615ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2020/05/30(土) 00:12:45
>>614

『さんずさん』の対応は至極当然だろう。
『見知らぬラッコ』が『見知らぬスタンド』を出したのだ。
警戒するには十分すぎる光景と言っていい。

               ブォォォォォォォォォォ…………

          ブォォォォォォォォォォ…………

    ブォォォォォォォォォォ…………

しかし、『攻撃の兆し』は一向に見えてこない。
出現した『ボート』は、
本体であるラッコと近くにいる『あきはちゃん』の周りを、
ただグルグルと旋回し続けている。
乗っている『人型スタンド』は、
『さんずさん』の方には全く注意を払っておらず、
ラッコと『あきはちゃん』の触れ合いを見守っている。
その様子は、まるで『水族館の飼育係』か何かのようだ。
この瞬間――海辺は『ふれあい水族館』と化していた。

           ミャー

向こうが出していたから、『こちらも出してみた』。
ラッコとしては、それだけの考えに過ぎなかったらしい。
本体とは異なる自我を持つ『さんずさん』に、
『自分のスタンド』と似たものを感じたというのもある。

616氷山『エド・サンズ』:2020/05/30(土) 17:24:17
>>615
『オ、オウ!?来ルノカ!? 仕掛ケテクルカ、ココデ!』

息を巻いて『ボートのスタンド』を威嚇する『エド・サンズ』
怪しすぎるやつだ!

               ブォォォォォォォォォォ…………

          ブォォォォォォォォォォ…………

    ブォォォォォォォォォォ…………

しかし、予想とは異なり一向に近づいてくる様子がない
中心部では氷山とラッコのふれあいが続いている・・・・

『ドウイウ事ダ、テメェ!
黙ッテナイデ何トカ言ッタラドウナンダ!?』

相手が攻撃してこない以上、こちらも敵対するわけにはいかない
しかし、とてつもなく怪しい!
ひとまず誰何してみる事とした もっとも、普通はスタンドに話しかけたところで意味はないのだが・・・

617ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2020/05/30(土) 18:27:48
>>616

《『サンズサン』――――》

《モウスコシ オシズカニ オネガイシマス》

《ビックリ シテシマイマスカラ》

《――――『ラッコサン』ガ》

            ブォォォォォォォォォォ…………

『さんずさん』の怒鳴り声に対して、
『人型スタンド』が不意に反応を見せた。
一方、本体は『捕獲縄』に注目していた。
ラッコは『時代劇』を見た事はなかった。
そもそも『テレビ』を見た事がない。
さらに言うと、テレビという言葉が、
『何を意味するか』も知らなかった。

         ブォォォォォォォォォォ…………

《ミンナデ 『ラッコサン』ヲ ミマモリマショウ》

《モット チカクデ ゴランニナッテハ イカガデスカ?》

《『ラッコサン』ハ コワクナイデスヨ》

    ブォォォォォォォォォォ…………

『飼育員』さながらの丁寧な口調で、
『人型スタンド』が語り掛けてくる。
その話しぶりからは、『攻撃の意思』は感じられない。
ただ、片手に『銛』を携えていたが。

618氷山『エド・サンズ』:2020/05/30(土) 21:00:38
>>617
『何・・・ダ・・・・コイツ・・・・・喋ッタゼ・・・!?

 ・・・・
「俺ト同ジ」・・・・「意思を持ったスタンド」カ!?

オイ、あきは!コイツ、不気味ダゼ・・・・・!』

>《ミンナデ 『ラッコサン』ヲ ミマモリマショウ》
「そうです みんなで『ラッコさん』を見守りましょう」

>《モット チカクデ ゴランニナッテハ イカガデスカ?》
「『ラッコさん』の動きが愛くるしくて、近くで見るともっとかわいいですよ?」

>《『ラッコサン』ハ コワクナイデスヨ》
「『ラッコ』さんは 怖くないですよぉ・・」
「うふふふ・・・・あはははははは・・・・・」



       ゾ・・ゾォォ〜〜〜〜〜〜ッ!

『あきは・・・お前、ヤバイゼ!
マサカこの「ボートのスタンド」に頭ヲヤラレタンジャネェダロウナ・・・・』

『ハッピー・スタッフ』とともにラッコの愛くるしさにやられ頭がトリップする氷山
・・・・・それを見て、顔色を青くする『エド・サンズ』(もっともスタンドに顔色などないが)
この状況においてはそれも無理もないことか


不意に『銛』を携えた『ハッピー・スタッフ』を見る

『オ、オイ、お前! その「銛」ヲドウスル気ダゼ!?』

619ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2020/05/30(土) 22:12:16
>>618

『意思』を持つスタンド――決して多くはないタイプだ。
『ボート』に乗った『人型』は、
間違いなく『さんずさん』と同じく『自我』を備えている。
他者の精神に影響を及ぼすような能力を、
このスタンドが持っているかは定かではないが。

《――――『コレ』デスカ?》

《『モリ』ノ ツカイカタハ 『ヒトツ』シカ アリマセン》

         カツンッ
                カツンッ

その時、ラッコが『石』と『貝』を打ち合わせた。
響く『音』が合図であるかのように、
『スタンド』――『ハッピー・スタッフ』が腕を持ち上げる。
腕の先には、鈍く光る『銛』が握られている。

               ――――――ドスゥッ!

素早く精密な動きで、
『ハッピー・スタッフ』が水面に『銛』を突き立てる。
やがて引き上げられた先端部には、
『何か』が突き刺さっていた。
どうやら、小さな『イカ』らしい。

    ポォォォ――――ンッ

             ザバァッ
                   ――――パシッ

『ハッピー・スタッフ』が銛を振り、イカをラッコめがけて放る。
大きく伸びをしたラッコが、
投じられたイカを器用に両手でキャッチした。
当然のように、そのまま食べ始める。

《――――コレガ 『モリ』ノ 『ツカイカタ』デス》

銛を下ろした『ハッピー・スタッフ』は、そのように締めくくった。
ラッコは美味しそうにイカを食べている。
『あきはちゃん』と戯れながら。

620氷山『エド・サンズ』:2020/05/30(土) 22:27:22
>>619
『ソノ「銛」ダゼ! ギラリと尖ッタ穂先・・・俺達ヲ攻撃スルツモリジャ・・・・
何ィィィイイイ――――――――ッ!』

おもむろに『銛』を突き立てる『ハッピー・スタッフ』
その先端に突き刺さった『イカ』を注視する

『餌ヤリ・・・・・ノヨーニ見エルナ・・・・』

余りにも平穏な『銛』の使い方に拍子抜けする
こいつ・・・・・本当に攻撃する気はないのか? 警戒心が少しずつ薄れていく

「妙ですね・・・・・
ラッコは1日に体重の30%も食事を取る動物であり、貝類以外にもイカや海藻なんかも食べるかわいい動物です
でもこんな浅瀬であれほど新鮮なイカが取れるなんて・・・・・まさか!」


   ゴゴゴゴゴ・・・・



「でもかわいいからいっか〜〜っ!」


もはや人間と野生動物の境界とか、遠慮とかそういうのがどうでもよくなった
ラッコを抱きかかえて もっふ と両手でホールド

621ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2020/05/30(土) 22:49:53
>>620

ここは海だ。
しかし、こんな海岸近くで『イカ』は採れない。
そう、『普通』なら。

    ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………

あらゆる『水面』から、『水棲生物の死骸』を得る。
それが『ハッピー・スタッフ』の能力だった。
本体であるラッコは、
『食事に便利な力』程度にしか認識していないが。

          モ フ ッ

ラッコは、いとも簡単に抱き締められた。
『極上の毛皮』の感覚が、『あきはちゃん』に伝わる。
ラッコを抱っこした経験のある人間は、きっと少ないだろう。
ラッコにとっても、人間に抱きかかえられるのは、
初めての体験だった。
でも、まぁ悪くはないかな。しょっちゅうは困るけど――
そんな風に、ラッコは思った。

《ソウ 『エサヤリ』デス》

《コレハ『ヤリ』デハナク 『モリ』デスガ》

一人と一頭を見守りつつ、『ハッピー・スタッフ』が喋る。
『ジョーク』のつもりらしい。
…………今日も、海は至って『平和』だ。

622氷山『エド・サンズ』:2020/05/30(土) 23:05:27
>>621
>《ソウ 『エサヤリ』デス》
>《コレハ『ヤリ』デハナク 『モリ』デスガ》
『アァ・・・・ソウネ・・・・ウン、ナカナカ面白カッタ、カナリ大爆笑』

『平和』でふわふわした時間が流れる中、
唯一張りつめていた『エド・サンズ』の精神もゆるふわに堕ちていく

「あははははははは!」
『ハハハハハハハハ!』

そうして、一人と一体のスタンド使いは
日が暮れるまでラッコと遊んで心が癒されたとさ


めでたし   めでたし




氷山あきは『エド・サンズ』⇒落ち込む事もあったけどラッコと遊んで元気が出た
              『再起可能』!

623ラッコ『ハッピー・スタッフ』:2020/05/30(土) 23:14:08
>>622

624白町 千律『ハード・タイムス』:2020/06/05(金) 02:52:49

アーケード街に、その少女がいた。
短く、流れるように跳ね気味でいて、
頭頂でアンテナのように一層跳ねる黒髪と、
見開いたような印象を受ける、大きな目。

「……………」

       スタッスタッ

清月の『風紀委員』としての活動は、無い。
まず服装自体、制服ではない。私服だ。
今日は休日だからだ…‥では、何を?

歩く彼女の目的地は、どこなのだろう?
どこかメルヘン調の服装は、何を意味するのだろう?

625白町 千律『ハード・タイムス』:2020/06/07(日) 16:57:32
>>624

          ガチャ

やがて『ドール専門店』の戸を開き、その中に消えた・・・

626美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2020/06/07(日) 21:15:55

    ザザァァァ……

           ザザァァァァァ……

初夏の海。
砂浜に立てられたパラソルの下に、
水着姿の女が仰向けに寝そべっている。
スポーティーな雰囲気が漂うセパレートタイプの水着だ。
その上から、前を開いたパーカーを羽織っていた。
しばらくして被っているキャップを持ち上げ、辺りを軽く見渡す。

「……まだあんまり人、いない感じね」

人の姿は『まばら』だった。
休日ではあるが、本格的なシーズン到来には少し早いようだ。
軽く溜息をつきながら、体勢をうつ伏せに変えて海を眺める。

「せっかく新しい水着用意してきたのになぁ」

「――うーん、『残念』」

627稲崎充希『ショッカー・イン・グルームタウン』:2020/06/07(日) 21:45:33
>>626

「【水無月】であるわけだが、我は【水場】にいる。
 【泳人】の姿はあまり見受けられない」

   リョコウ
「【悠久への旅路】は我々【働き蟻】に与えられた愉悦ではあるが、

【葉月】や【弥生】は【種】(コドモ)を連れた【防人】(オヤ)が多過ぎる。
やはり、【ウツツを抜かす】には、【時期】を外した【閑散期】の【水無月】が良い」


美作の横に白衣を着た黒髪の女が立っていた。



「【汝】も、そう思って【星見】に来た【外界】からの【来訪者】か?」


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