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【場】『自由の場』 その1

1『自由の場』:2016/01/18(月) 01:47:01
特定の舞台を用意していない場スレです。
他のスレが埋まっている時など用。
町にありえそうな場所なら、どこでもお好きにどうぞ。

151のり夫『ザ・トラッシュメン』:2016/08/15(月) 01:44:50
>>150

やぁ、僕だ。
夏になると色々と活発になるだろう。
つまりは虫が湧いたりや、羽目をはずす輩のことである。
僕は今までそういったものを嫌い、軽蔑し、家の中で涼しげに暮らすのがモットーだったが
今年の夏はなぜだか活動的であった。

僕は海をあまり好まない。
しかし、あまりというだけで心から嫌っているわけではない、といっておく。
でなければ海に来る理由がないのだ。

「しまった……」

僕は炎天下の下、憎々しくも恵みある太陽に照らされ砂浜を歩いていた。
海の家のアルバイトがあると思ったら今日は非番であった。
痛いミスであった。この暑い日に海に来るというのもかなりの体力を使う行為であったが
休みである日に来てしまったというショックが僕の心を一寸法師の如く内側から攻撃していく。
まるで針で刺されるがごとく。

「……」

なにやらテンションの高いものがいるようだ。
一体どんなものであろうか。
いや、私はこの人物を知っているはずである。
その声はもしや

「おねーさん……?」

152イザベル『アーキペラゴ』:2016/08/15(月) 22:01:05
>>151

    「お?」

       キキィーッ

         「っとと」

視界の端に見知った顔を発見。
急ブレーキで一旦停止。
砂が舞い、一瞬バランスを崩すも即座に修正。
身体を揺らし(おっと、前後にの話だ)て動きを止めて、目の上に手をやって見知った顔の方を確認する。
するとやっぱりそれは見知った顔で、少女はニカッと笑って駆けだした。

     Hola  amigo
   「『よぉ、お友達』!」

      「来てたんだなノリオーッ!」

快活な笑みを浮かべ、のり夫の方へと駆け寄る。
ゆさゆさと揺らしながら(おっと、上下にの話だ)砂浜を駆ける姿は、大人っぽいんだか子供っぽいんだか。

153のり夫『ザ・トラッシュメン』:2016/08/15(月) 23:08:14
>>152

地震雷火事おやじ。この言葉のおやじは大山風。おおやじとなり台風などのことらしい。
つまりなにがいいたいかというと、この四つ並みに今僕の目の前に広がる光景は破壊力が高いということだ。
顔が暑いのは気温のせいだと思いたい。

「きっ、来ていたよ。イザベルおねーさん」

「バイトもしているからね」

今日は休みだったが。
今日は来る予定はなかったが。
まぁ、いいだろう。いい出会いがあった。

「相変わらずのようだけれどね」

肩掛けのカバンを持ち直し、僕は彼女を見る。
が、少し視線を逸らす。
なんというか破壊力の高いものは見ない方がいいということだ。

154イザベル『アーキペラゴ』:2016/08/15(月) 23:28:13
>>153

   「おうおうおうおうアタシは相も変わらず絶好調よ!」

てけてけ駆けて行く少女は無暗にハイテンションだ。
夏だからだろう。
あるいは海だからかもしれない。
というか、両方と見て間違いない。
そのままのり夫に駆け寄って……

       「オラッ!」

            ピョンッ

ピョンと砂浜を蹴り、腕を振り上げ首を狙うラリアット――――!
……ではなく、多分肩を組もうとしている。
身長が足りないのでラリアットのような動きになっているのだ!
直撃すれば首へのダメージは深刻だろう。
密着による精神的ダメージも甚大かもしれないが。

     「バイトォ? なんだ、監視員か海の家あたりか?」

       「言えよォ、言ったら顔出したのによォ!」

155のり夫『ザ・トラッシュメン』:2016/08/15(月) 23:45:38
>>154

「……そのようだね」

なぜそのようにテンションが高いのかは恐らく海だからだろう。
僕にはわからない感覚だ。
なにせ彼女ほど海が好きでない。

「ん?」

「な、なにをしているのかな?」

「私はそういう趣味は……」

茹でガエルならぬ睨まれたカエルが如く動けない僕。
いや動く。指も足も動く。そんな気持ちが湧いているのだ。
恐らく、今すぐにでも足を動かせば間に合うだろう。
今すぐにでも腕を伸ばせばストップをかけられるだろう。
しかし、それでいいのか? いや、いいはずだ。こんな日にあんな格好の女性がこのような……しかし……

「はぅッ」

首への一撃だ。痛みというか苦しみが体を襲う。
動けなかった。思考の間隙という訳だろうか。
だが、その……紳士として恥ずべきことだが、それもまたよかったかもしれない。
思えば、わが生涯にこのようなじゃれ合いは存在しなかった。
しなかった……はずだ。
倒れそうになりながら小枝のような足に力を入れる。
が、ダメだ。尻餅をついてしまった。
これは決して当たり負けたのではない。精神的ショックだ。
うら若き乙女との接触は紳士たる僕ですらこうなってしまうのだ。
断じて我が弱さの証明ではない。

「う、海の家だよ……そこの」

指さす僕だ。

「言えと言っても、会えなかったじゃないか……」

偶然だ。だが、そういうこともある。

156イザベル『アーキペラゴ』:2016/08/16(火) 00:10:48
>>155

    「おろ」

           「っと」

   ズダーンッ

      「わぷ」

イザベルとしても踏みとどまるのを想定していたのか、そのままのり夫と共に倒れ込む。
形としてはイザベルが突進してのり夫を『押し倒した』ような形になるな……奇妙な話だが……

     「っつつ……」

のり夫の胸の上に乗せていた上体を起こし、頭を犬のように左右に振る。

    「わりわり、大丈夫か?」

         「っつーかこらえろよなァー。
          別にアタシだってそんな重たいわけじゃねーんだしよォー」

それでも、イザベルは悪気も無しにカラカラと笑っていた。
まぁ、実際砂がクッションになっているだろうから、大した被害は無いはずだが。
ちなみにイザベルは軽い。背丈を考えれば当然の話だ。
……むしろ、背丈の割には重い部類かもしれないが。

ともあれイザベルはのり夫の上から退くと、笑いながら前かがみに手を差し伸べた。

        「海の男にはなれそうにねェな、ノリオは」

       「ま、次からおまえんとこの海の家に顔出してやるよ」

157のり夫『ザ・トラッシュメン』:2016/08/16(火) 00:31:20
>>156

「あ、あああ……」

なんということだ!
こんなことがあっていいのだろうか。
我が肢体に火が付いた。顔だけではない全身が燃えるように暑い。
ゆでだこのように赤い我が身は悲しいかなまた動くことが出来ない。
この時間が永遠に続けば僕はきっと真人間にあって……いや、今も真人間である。
違う。今はこの状況をどうにかせねばならんのだ。

「ご、ごめっ」

「違う。違うくて。僕だってびっくりしてて」

「その、ごめん! おねーさんが重いとかじゃなくて!」

待て、話止め。口を閉じるのだ。
ゆでだこはしゃべらない。
いま、なにかおかしなことを……違う、おかしな話し方ではなかったか?
普段の僕とは違う。いや、ある種普段の卜部のり夫の言葉が出なかったか?

「あっ あぅ……」

「……私は海の男じゃなくていいさ。海の家で働いてるだけで」

男性である僕だ。
自分で立ち上がればいい。
のだが、その、差し出された手はとらねばなるまい。
む、胸は気になるけど。

158イザベル『アーキペラゴ』:2016/08/16(火) 00:51:41
>>157

    「ヒヒッ、なァにテンパってんだよ」

グッ、っとのり夫の手を引いて立ち上がらせる。
視線の高さは再度逆転。
正常に、イザベルがのり夫を見上げる形になる。

       「ま、今のはアタシが悪かったさ。
        ちょいとトバしすぎた。怪我ねェか?
        その調子だと、頭のひとつでも打ってそーだが」

ケラケラと笑ってからかいながら、とん、とん、と二歩ほど下がる。

   「詫びってワケじゃあねーが、おねーさんがなんか奢ってやろーか」

      「別のなんかでもいいぜ。
       なんなら、今日一日デートしてやってもいいケド?」

159のり夫『ザ・トラッシュメン』:2016/08/16(火) 01:12:35
>>158

「! ……テンパってない!」

誰のせいであろうか。責任者はどこか。
自分の胸に手を当てるといい。
ぜひ当てるといい。
当ててみたまえよ。夏の暑さに負けぬように額にはる冷えるやつみたいに。

「頭は打っていないよ。さすがにそこまでドジは踏まない」

さすがに授業で柔道をしている。
受け身はとれた。
倒れはしたが問題はない。

「詫び……?」

さすがおねーさんを自分から名乗るだけはある。
詫びを入れようというのだ。
どうするべきか。あいにく海がそこまで好きでないがゆえに海のものもあまり興味はないのだが。

「で、でーと?」

デート。その言葉に僕の心臓がはねた。
いや落ち着け。彼女は僕をそういう対象とは思っていないだろう。
つまりはデートなどと意識する必要はない。
ないのだ。

「……」

だから、変な気を起こさないほうがいいだろう。
今までそうして失敗してきたはずだ。

「ま、まぁだね。私はお腹は減っていないし、喉も乾いていないんだ」

「デ、デートなんていうのは好きな人とするものだけれど、それしか残っていない手前、しょうがないね」

そうである。僕は間違ってはいない。

「……た、ただ、君が誰にでもこういうことを言ってるのだとしたら、決意も揺らぐというものだよ」

と、僕は呟いた。

160イザベル『アーキペラゴ』:2016/08/16(火) 01:49:46
>>159
           日本人
   「なんでェ、『japones』はお堅いねェ」

        「特別お前さんがガチガチなのかもしれねェけど」

からからと笑う。
半ば冗談……なのは確かだろう。
あくまで『半ば』、なのだろうが。
その辺りは、スペイン人特有の恋愛観によるものかもしれない。

     「そりゃあ、誰にでもってわけじゃあねーさ。
      そこまで尻軽に見えるんなら心外だね」

                     ダチ
      「なにせほら、アタシら『amigo』だろ?」

 「や、別に『そーいうの』はマジで好きな奴としかしねェって決めてんのなら別にいーけど。
  それはそれでいいんじゃねェの」

         「アタシはどっちでも構わんぜ。
          それならそれで『遊ぼうぜ』っつーだけだし」

両手を広げて小首を傾げ、笑いながら眉を吊り上げてそう問うた。

161のり夫『ザ・トラッシュメン』:2016/08/16(火) 02:00:52
>>160

「君が日本人離れしているだけだよ」

僕は標準的な、伝統的な日本人ではなかろうか。
風流を解する雅な男だ。
間違いではないはずだ。

「君が尻軽に見えるとか、そういうんじゃないんだけれど」

さすがにそんな腐った神経も視力も持ち合わせはいなかった。
持ち合わせたくないものだ。
捨ててしまうべきものである。
もっとも、紳士たる僕にそんなものが備わるとは思わないが。

「私は、そういうのは好きな人とするべきだと思う」

「それは曲げられない」

せめてそういう部分は純情でありたい。
恥辱と凌辱で汚れた我が生涯であるが、それぐらいのことは望んでも罰は当たらないはずだ。

「だけど」

「私が君のこと嫌いと思ってるって、君は考えているのかい?」

「ダチだろうとなんだろうと、私は君のことが好きだ。だから、問題はない」

デートで全く問題はない。
なにも気にかけるようなことはない。
そうだろう。

「行くよ。海が好きなんだろう? いいところを教えてもらうよ」

「いいだろ?」

手でも差し伸べておこう。

162イザベル『アーキペラゴ』:2016/08/16(火) 03:29:45
>>161

      「……………………」

少し、きょとんとした顔をする。
それから、呆れたように苦笑して、深くため息。

          ハァ〜〜ッ

    「――――真面目な奴だなァ、オイ」

とはいえその表情や口調は決して非難を含んだものではなく。
むしろ、感心したとでも言いたげなぐらいで。

     「つーかそーいう話の持ってきかたはズルくねェ?
      急にこっちに寄せて来るかフツー。
      それだとアタシが悪いみてェじゃねーの! ヒャハハッ!」

堪えきれない、という風に腹を抱えて笑い出す。
からかう風でもなく、純粋におかしくって、楽しくってしょうがないから。
笑いすぎて出て来た涙を指で拭い、改めてのり夫の目を見る。

        「だがまァ――――いいぜ。
         そういうのは、悪くねェ」

ニィ、と鋭い歯が口元から覗いた。
サク、サクと引いた歩幅を歩いて詰める。

       「そんじゃあ『デート』といこーか、ノリオ。
        今日のとこはイザベルおねーさんが手取り足取り『エスコート』してやんよ」

差し出された手を、力強く握った。

           「――――気ィ抜いて溺れんなよ?」

163のり夫『ザ・トラッシュメン』:2016/08/16(火) 09:07:58
>>162

「真面目な方がいいだろう?」

不真面目よりもなによりも。
涙が出るほど笑った彼女を僕は見つめている。
僕も釣られて笑いそうではあるが、僕は口を真一文字に結んでこらえた。
笑ってどうしようか。

「女性に任せるのは少し気が引けるけれど」

「よろしく頼むよ、イザベルおねーさん」

僕は彼女の手を強く握り返した。
離れてはいけない。
離してはいけない。
つまらない世の中のつまらない人間のつまらない人生が
今ほんのちょっぴり華やいでいるのだから。
それにわざわざ海の家のバイトを引き受けてまで海に来るきっかけを
あなたに会うための口実を作ったのだから。
僕の惚れっぽさに免じて、諸君らには僕を許してもらいたい。
今この時だけはいい思いをさせて欲しい。

「あいにく泳ぎに自信はないんだ」

「でもおねーさんも気をつけた方がいい」

「気を抜いてヤケドしないようにね」

164イザベル『アーキペラゴ』:2016/08/16(火) 22:00:06
>>163

    「ハッ! めんどくせェ野郎だよ、おまえは」

                グッ

掴んだ手を引く。
さぁて、どこに連れ回してやろうか。
海と砂浜はイザベルの『ナワバリ』だ。
連れ回す先の候補はいくらでも思いついた。
あるいはこの少年の場合、どこに行くかよりも何をするかの方が大事な気もするが。
それもいいさ。悪くは無い。
今日は一日、この少年を楽しませてやろうじゃないか!


            「んじゃ、行くぜっ!」

165のり夫『ザ・トラッシュメン』:2016/08/16(火) 23:21:48
>>164

「君は豪快な人だよ」

さてどうなるか。
悪いことにはならないだろう。
ただし、疲れることにはなりそうだ。
まぁ、それもたまには悪くはない。
握った手を見てみると、僕は不思議と笑みを浮かべていた。

「あぁ、行こう」

166流星 越『バングルス』:2016/08/30(火) 02:00:00

――――八月末某日。
そう、八月末――――八月末である。
学生にとっては夏休みがそろそろ終わろうというこの時期。
同時に、多くの学生は宿題に追われている時期であろうが……

   「夏……おまえ消えるのか……」

宿題はそこそこ真面目にコツコツやるタイプの流星越にとって、その辺の心配は無用であった。
悲しくも友達が少ないので友達の宿題を手伝う系のイベントも無い。やめろ泣いてなんかいない。
ともあれそうすると浮上してくる問題が……『やべぇ今年海行ってないじゃん』案件である。
これでも流星は16歳のうら若き乙女。
夏の内に一回ぐらい海に行っとかなきゃという考えのひとつぐらいは持ち合わせていた。

   「……というわけで海に来たはいいものの、ノープランもいいとこですね。
    『逆ナン待ちなう』ってキャラでもありませんし」

そんなこんなでぼやくのは、セパレートタイプの水着の上にラッシュガードを羽織り、度入りのサングラスをかけた少女である。
場所は海、夏の最後にと訪れた海水浴客で賑わう砂浜だ。

   「ま、とりあえず泳ぎますか。
    なんで泳ぐのかって? そこに海があるからです。と偉い人も言っていましたし……」

            ザッ

そうと決めると、流星は砂浜の上に足跡をつけ……

              グキッ

      「あぐっ」

……盛大に足首を捻って蹲った。
砂浜は見た目以上に凸凹しているうえに柔らかい場所は足を取られやすいので気をつけよう!

   「………………………!」

            プルプル

流星は痛みに耐えてプルプルと震えていた。

167雑賀 華『イッツ・ショウ・タイム』:2016/08/31(水) 23:35:55
>>166

「しまりました」

「これでは手品の道具が仕込めません」

「泳ぐと流れてしまいますし」

ぶつぶつと顎に手を当てて歩いている。
手にはカバン。体にはパレオ。
さくさくと砂浜の上を歩いていく。
考えることに集中して。

「はぅっ」

砂浜の凹凸に足を取られて転んでしまった。
ぼすりと音を立てながら。

「しまりました……」

「ほ?」

目の前に蹲る人。
声を掛けよう。

「大丈夫ですか?」

倒れたままの姿勢で。

168流星 越『バングルス』:2016/09/01(木) 00:06:31
>>167

   「はっ」

   「ええ、まぁ、大丈夫です。
    ただちに影響はありません」

   「つまりダメそうという話ですが」

蹲ったまま、視線を雑賀の方へと向ける。
サングラスのせいで表情が読みづらいが、それでも無表情なのは見てとれるだろう。

   「そういうそちらは大丈夫でしょうか」

   「私はかなり痛いです」

   「かなり……かなり痛いです」

   「多分今サメに襲われたら逃げ切れずに死にます」

砂浜にいる限りサメは襲ってこない。
……普通は。

169雑賀 華『イッツ・ショウ・タイム』:2016/09/01(木) 00:17:14
>>168

「それはそれは……」

「なんとかしてさしあげたいところですが、あいにく救急箱は持っていないもので」

頭を下げようとするが砂が邪魔で下げられない。
埋まるほかない。
しかし埋まることはできない。

「私はそこまで痛くありません」

「受け身はとれました」

ばんばんと砂浜を叩く。
大地へとリズミカルにビートを刻んでいく。

「サメ、ですか」

「サメとはつまり、このような」

砂浜でバタフライをする雑賀。
畳の上の水練ならぬ砂の上のバタフライ。
全く進まないが砂を後方にはね上げる。
埋まっていく。

「このような生物で?」

170流星 越『バングルス』:2016/09/01(木) 00:25:59
>>169

   「いえ、心配には及びませんかなり痛い」

   「しばらく放っておけば痛みも引くでしょうとても痛い」

   「とても痛い」

とても痛かった(そんな表情は見せないが)。

   「それは……」

なんか砂の上でバタバタしている。
……シュールだ。
それを無表情で見ているのも、大概シュールな図だが。

   「『サメ』というよりも『エイ』っぽいですね……なんとなく……」

浜に打ちあがったなんかっぽくはあった。

171雑賀 華『イッツ・ショウ・タイム』:2016/09/01(木) 00:32:15
>>170

「残念ですが、なにもできません」

「直ちにという意味ですが。しばらくその痛みをお楽しみください」

そういう趣味があるのならばだが。

「エイ。なるほど。これはしまりました」

「よいしょ。さすがにおふざけもここまでにしましょう」

立ち上がる雑賀。
パレオの砂を払う。

「立てますか? おぶるなりなんなりしてどこかに送りましょうか?」

172流星 越『バングルス』:2016/09/01(木) 00:51:46
>>171

   「そうそうこの痛みが段々快感に」

   「なる気配がないのが残念なところですね」

そういう趣味は無いのであった。
ともあれ、流石にそろそろ痛みも落ち着いてくる。
しょうもない雑談で意識を逸らしたのが功を奏したか。

   「ん、しょっ……」

というわけでゆっくり、くじいていない方の足を軸に立ち上がる。
生まれたての子鹿のような危うい有様だが、プルプルと震えながら立つ事ができた。

   「……どうにか立つには立てました。
    これでアルプス在住の少女にいくじなしと言われる心配もありません」

   「まぁ歩けるかというとまた別の話ですが……
    しかし初対面の方にそこまでお世話になる訳にも」

   「頑張って頑張りますのでここはどうか応援のほどよろしくお願いします」

173雑賀 華『イッツ・ショウ・タイム』:2016/09/01(木) 01:18:01
>>172

「おぉ……無理はしないようにお願いします」

倒れそうではないか?
倒れそうなら両腕を出していつでも支えられるようにしておく。

「応援、ですか」

「額面通りに受け取っていいものでしょうか。こう、がんばれ(はあと)がんばれ(はあと)的な」

「……感情表現は少し苦手ですが」

ぽりぽりと頭をかく雑賀。
すぐさま腕を元の位置に戻す。

「一つお聞きしても?」

「お連れ様とかいますか?」

174流星 越『バングルス』:2016/09/01(木) 02:12:13
>>173

幸いにしてというか、足取りは不安定だが動かない限りは転びそうにはない。
……動けばどうなるかわからない、ということでもあるが。
流星は深呼吸を繰り返し、痛みを和らげようとしている。

   「ふーっ……」

   「……心の奥底で練り上げたパッションを情感たっぷりに解放して頂きたいところです。
    ええ、ええ、語尾にハートマークが乱舞するぐらいのを」

   「私も感情表現があまり上手ではないのでアレですが」

視線は遠く、海の彼方を見つめている。
意識を痛みから遠ざけようと必死だ。
言葉の通り、表情からは痛がっているようには見えないが。

   「……むむむ」

   「今鋭利なナイフで刺されましたね……お一人ですが、なぜ?」

問われて、視線を再び雑賀へ。
こてん、と小首を傾げる。

175雑賀 華『イッツ・ショウ・タイム』:2016/09/02(金) 00:01:51
>>174

「ハートマーク……!」

「なんという……私程度では☆がせいぜい」

「頑張れ☆……! 頑張れ☆……! が☆ん☆ば☆れ☆……!」

噛みしめる様に応援を口にする。
苦々し気な表情のまま。

「いえ、純粋にお連れ様がいるならその方を呼んでこようかなと」

「しかしこれこの場においては私がお連れ様となるほかありませんね」

「足、痛みますか? 固定しましょう。包帯やテープはありませんが」

そういって自分の首にかかるパレオに手をかける。
するりとパレオを結び目を解き、その体から外そうとしている。

「布ならばありますから」

176流星 越『バングルス』:2016/09/02(金) 22:21:02
>>175

   「ご声援ありがとうございます。
    これで我が軍はあと10年は戦えるでしょう」

   「あ、別に骨折したとかそういうわけではないのでそこまでしていただかなくても……」

   「ウェイ」

急に脱ぎだした雑賀にはそろそろ余裕ブッコき始めた流星もビビった。
表情筋は相変わらず微動だにしなかったが。

   「待ちましょう。ストップ。早まってはいけません。ウォーウォー争いはSTOP IT」

   「ほら、そろそろ痛みも引いてきましたから」

   「ですからほんとに大丈夫なので。
    まずはその手を止めてゆっくり下ろしてください。OK?」

わちゃわちゃと手を動かしながら説得にかかる。
(そうは見えないが)割と本気で焦っている!

177雑賀 華『イッツ・ショウ・タイム』:2016/09/02(金) 23:32:10
>>176

「? なにか、ご不満でも」

「ウォーウォー愚かさ消え去りし」

なぜ目の前の人物が焦っているのかわかっていない様子だ。
くっと眉が歪む。
ほんのちょっぴりだけ感情が表に出た。

「ところで、本当に下してもよろしくて?」

「というか、なにを焦っていらっしゃる?」

178流星 越『バングルス』:2016/09/02(金) 23:42:54
>>177

   「不満と言いますか」

   「公衆の面前で『クロス・アウト(脱衣)』はマズいのでは」

パレオの構造上、そのクロス・アウトがどの程度致命的かは場合によるが。
いずれにせよ、そこまでしてもらうほど致命傷と言うわけでもなし。

   「御覧の通りもう歩けるには歩けるので」

そう言って、軽くその場でジャンプする。
……まだちょっと痛かったが、幸いポーカーフェイスには自信があった。

   「お気持ちだけありがたく頂戴してスイス銀行に送っておきます」

   「どうもご心配おかけしまして」

            ペコッ

179雑賀 華『イッツ・ショウ・タイム』:2016/09/03(土) 00:17:54
>>178

「クロス・アウト。ソーシャルアウトキャストみたいなところはありますが」

「まぁ、あなたがそういうのであれば」

首の後ろで手をごねごねと動かした。
どうやらすでに解いていたらしい。
そのまま手を下げれば瞬く間にその体は白日の下にさらされたであろう。

「いえいえ。私は何も」

「異性には優しくしろと教わったものですし」

180流星 越『バングルス』:2016/09/03(土) 00:43:12
>>179

   「繰り返しになりますが、お気持ちはありがたく」

ほっ、と胸をなでおろすジェスチャー。

   「紳士なんですね、ミスター」

   「今フリーハンドなもので、特にお礼が出来ないのが心苦しいところですが……
    なんかこう、こちらもお気持ちだけ受け取って頂ければと思います」

今度はろくろを回すジェスチャー。
……なぜこのタイミングでろくろを回したのかは、流星にもよくわからなかった。

   「……ええと」

   「それでは本当にご心配おかけしまして……」

   「私は肉体以上にハートのダメージが深刻なのでこのまま帰宅しようかと思います」

そう言って、視線を陸の方へ。
足首の痛みはすぐに引くだろうが、なんというかこのまま海にというテンションではなくなってしまった。

181雑賀 華『イッツ・ショウ・タイム』:2016/09/03(土) 00:54:33
>>180

「紳士? ははは、いえ私は破戒僧」

「えぇお気持ちだけで十分です」

こちらはピザ生地をまわして延ばすジェスチャー。
特に意味はない。

「そうですか」

「無理をしてまた足を負傷しては元も子もありませんしね」

「私は雑賀華。サイカでもハナでも好きなようにお呼びください」

「それとまた足が痛みましたらお力になります」

そういって視線を海へとむける。
雑賀自体は海に行くつもりらしい。

182流星 越『バングルス』:2016/09/03(土) 01:04:20
>>181

   「……『流星越(ながれぼし・えつ)』、です」

   「どうぞまたお会いした時には、お気軽にエッちゃんとお呼びください」

            ペコッ

再度、深くお辞儀をする。

   「では今夏最後と思わしき海を、私の分までお楽しみください」

   「私は二度と足を痛めないことを誓いつつ雑賀さんにお別れを告げるのでした。まる」

そう言ってひらひらと手を振ると、微妙に不自然な足取りでその場を去る。
流星越、夏の悲しい思い出の一ページであった。

183雑賀 華『イッツ・ショウ・タイム』:2016/09/03(土) 01:24:14
>>182

「いい名前ですね」

素直な感想であった。

「お気をつけて」

「そして、海への思い引き継ぎました」

ひらひらと手を振り返して見送る。

「……男の体など」

しゅるりと首で結びなおしたパレオを解く。
下半身には男性用の水着をはいていた。

「衆目に晒したところでなんとなりましょう」

海へと雑賀は歩いていった。

「まぁ、パレオがあったほうがいいのはいいんですけどね」

184小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/09/20(火) 22:44:51

やや暑さも引き始めた初秋の海辺を一人歩く。
真夏の間は大勢の人々で賑わっていた場所も、今では静かなものだ。
どこか遠い瞳で、打ち寄せる白い波を見つめ続ける。

ここに来たのは、単なる散歩のつもりだった。
ただ、海で喪服に黒い帽子――見る人によっては、これから入水でもするかのような、
どこか不穏な雰囲気が漂っているようにも見えるかもしれない。

185朝山『ザ・ハイヤー』:2016/09/20(火) 23:37:37
>>184

 ザァ…と波が引き上げ、下がる。

磯の香りと、共に夏の終わりを告げる肌寒い風が貴方の傍を通り過ぎ
貴方の衣服のように心に去来する悲しみを暗示させるかのようだった。


    ……が。


 「――うおおおおおおおぉぉぉ!!
パワフルっス! パワフルっス!! パワフルっスよぉ〜〜〜〜!!!
 権三郎!! 1…2…3ッ!! パ――ワ――フ――ルゥおおおおぉ!! スッ!!」

 『パゥ〜〜ワゥッッ!!!』

 パワフルっス!! 北風小僧が何のその!!! 秋の風にも負けずに
パワフルに今日も権三郎とランニングっス! ジョギンクっス!!!

 「うぉおおおおおお!!! フンっ! ホ――ーッス!!」

 クルクル シュッ タンッ 

 海辺で同じように歩いてる人を発見!! ならばする事は一つ!!

「どうも!! 良い天気っス!! こんにちわっス!!」

 シャキーンッッ!!

 『パゥ――フッ!!』

 シャ ッキーンッ!

 権三郎と一緒に元気にご挨拶!  パワフルっス! 
何だが悲し気に見えるおねーさんっスけど、パワフルに挨拶すれば
きっとたちまちパワフルに挨拶を返してくれるはずっス!!

186小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/09/20(火) 23:58:15
>>185

ふと、声が聞こえ、そちらに向き直る。
彼方から、小柄な少女が力強く走ってくるのが見えた。
そして、次の瞬間には、目の前に彼女の姿があった。
それほどの勢いだった。

   「――こんにちは」

頭を下げ、こちらも挨拶を返す。
その表情には、どこか陰りのある微笑をたたえていた。
続いて、少女の傍らにいる犬に目線を合わせる。

   「こんにちは」

言ってから、犬の頭を優しく撫でた。

   「……かわいい犬ね」

自然と頬が緩む。

187朝山『ザ・ハイヤー』:2016/09/21(水) 00:12:28
>>186

 >――こんにちは

「うんっ! こんにちはっスお姉さんっ!
自分、朝山 佐生と言いますっス! 中学二年生っス!」

 シャッキーンッ!!

 何だがパワフルさに欠ける笑顔っス! こりゃーもう私が
もっと更にパワフルにポーズを決めるしかないっス!

 そして、権三郎もお姉さんに頭を撫でられたっス!

『パゥッ!』シュタッ

「権三郎も、ありがとうっ! って言ってるっス。
ふっふっふ! 権三郎はとっても可愛いだけでなく
とってもとっても頭も良いっス! 例えばっス、権三郎は
算数に関しても、他の犬より一際冴えてるっス! いくっス!!
 権三郎! 100たす19は幾つっスか!?」

 『ワン(1)ッ! ワン(1)ッ!! …キュゥ(9)〜〜ンッ!』

    「――見たかっ  ス!!」

 シャキーンッッ!!

 真顔で、ポージングを決めると共に 天才犬権三郎の神髄を
お姉さんに見せつけるっス! このサイコーのパワフル頭脳には
誰であろうと、太刀打ちできないっス!!!

188小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/09/21(水) 00:41:00
>>187

   「はじめまして、朝山さん。私は小石川――小石川文子よ。」

そして、目の前では、先程から少女が活発に動き回っている。
『とても元気な子』というのが第一印象だった。
まるで真夏の太陽を思わせる眩しさだ。
その言動から、自分とは正反対といった感じを受けた。
こういった溌剌とした姿を見ていると、こちらも元気を分けてもらえる気がする。

       パチパチパチパチ

   「――本当にとっても賢いのね。凄いわ」

権三郎の見せた芸に素直に感心し、拍手で応じる。
どのようなものであれ、両者の間で意思疎通ができていなければ、芸はこなせない。
それができるということは、やはり賢いということなのだろう。

   「それに、とっても仲がいいのね。なんだか羨ましいわ」

意思疎通を行うためには、お互いの心が通じ合っていなければならない。
この一人と一匹の間には、確かな絆が感じられる。
不意に、自分にも、そんな相手がいたことを思い出す。
一瞬、表情に陰が差したようだった。

189朝山『ザ・ハイヤー』:2016/09/21(水) 19:27:15
>>188

悪の首領並び、パワフルな少女朝山は褒められて鼻高たかだ!

 「ふっふっふ! 権三郎は生まれた頃からずっと私と
一緒なんっス! 一緒に御飯を食べて、そして一緒に眠った頃もあるっス!
今でも冬とかは一緒に寝るっス! あんまり、布団で一緒に寝るのは
お行儀よくないから、他の季節では犬小屋で寝るっスけどね」

「だけど、そう言う事を抜きにしても権三郎と私の絆は鉄よりも固いんっス!
パワフルっス! うおおおおぉぉ!! 権三郎!! 大好きっスぅぅぅうう!!」

 ごろごろごろごろごろっ!!

 『パァァアゥゥウッ!!』ゴロゴロゴロ!!

 権三郎に抱き着いて、地面をゴロゴロするっス! 権三郎もパワフルにゴロゴロっス!

砂がいっぱい体にくっつくけどパワフルの前にそんなのは無問題なんっス!!

 ―ピタ。

 と、ゴロゴロと砂浜を転がるのを止めて、起き上がるっス。

「……大丈夫っスか? なんか、おねーさん辛そうっス」

そう、朝山は野生の勘なのか小石川を真顔で見つめて言った。

「あっ! お腹が痛いとかなら権三郎を抱いてみるといいっス!
 あったかいから、多分お腹のズキズキにも効くっスよ!
私も食べ過ぎた時、権三郎をぎゅーっと抱きしめると苦しいのが薄れてくるっス!」

 何だか、目の前のおねーさんが少し痛そうな顔をしてたのを見逃さなかったっス!
きっとお腹が痛かったりとかしてるっス! 悪の首領の目は誤魔化されないっス!
 正露丸とかないけど、そー言う時は権三郎をぎゅっと抱き着くと痛いのも薄れるっス!

 権三郎を抱きかかえて、おねーさんのお腹の場所に近づけさせてあげるっス。
権三郎も、優しい奴っスから。痛がってる人にはちゃんと大人しく抱きしめられるっス!!

190小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/09/21(水) 21:56:33
>>189

   「――ありがとう。……いい子ね」

権三郎を受け取り、両手で抱きかかえる。
無垢な温かさに、胸の中にある痛みが引いていくようだった。
顔の上に差した陰も、徐々に和らいでいく。
しばらく触れ合ったのち、権三郎を地面に下ろした。
その表情は、いくらか明るくなっている。

   「本当はね、身体が悪いわけじゃないのよ」

   「私にも、あなた達のように一緒にいた人がいたんだけど……お別れしちゃったの」

   「それで……少し寂しくなってたんだと思うわ……」

そう言って、海の方を見つめる。
まるで、その先に別れた相手がいるかのように。
やがて、再び一人と一匹の方へ顔を向けた。

   「でも、ありがとう。朝山さんと権三郎のおかげで、元気になれたから」

最初に見た時と比べると、少し明るくなった微笑が、その顔に浮かぶ。

191朝山『ザ・ハイヤー』:2016/09/21(水) 22:22:15
>>190

>あなた達のように一緒にいた人がいたんだけど……お別れしちゃったの

「ふ〜む、そうなんっスか。遠いところなんっスか? ブラジルとかだと
日本に戻ってくるのも大変っスよねぇ……」

 『パゥーゥ……』

 小石川おねーさんが海を見てるので、こっちも背伸びをして海を見るっス。
権三郎も私と一緒に首を伸ばして海を見てるっス。まぁ、誰かが海から来る事はないっスけども。

 朝山 佐生には、隣の彼女がどのような悲しい離別を体験したかは露とも知らない。
だから、発言通りに海の向こう側の外国にでも行ったのだろうと思った。

>朝山さんと権三郎のおかげで、元気になれたから

 「ふっふっふっ! こんな事で良ければ何時だって私は
小石川おねーさんの為に権三郎をっ、手を貸してあげるっスよ!」

 シャキーンッ!

 「私はいっつもパワフルっス! 海は綺麗だし見てるとすっごく
パワフルになれるっス! そして、今日は小石川おねーさんとも
出会えたっス。  むむっ!? ちょっと待って欲しいっス…いま、私は凄く重要な事に気づいたっス」

 両目の端のくぼみに、両手の人さし指を当てるっス。そして二秒ほどして
パンパカパーン! と両手を上げるっス。そうっス! これは気づかなかったっス!

「いま、私は気づいたっス! 我が愛犬にして相棒かつ無二の家族である権三郎は
小石川おねーさんに抱き上げ、抱き上げられた関係になったっス。
 そして私もたびたび権三郎を抱きしめ、抱きしめられる関係っス。
 ―つまり、こりゃーもう小石川おねーさんと私は友達の関係に収まったと言う事っス!
大発見っス! 私と小石川おねーさんは友達のようだっス!
 おお! 改めて友よ!! 友達の悩みは私の悩みっス! もし今が悩みあるならば
この朝山 佐生に話してみるといいっス。何でも解決してあげるっス!」

 シャキ シャキーンッ!

 どうやら、貴方と朝山は既に友達のようだっ!
悪のポーズと共に、貴方の悩みを聞く準備を整わせている。

192小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/09/21(水) 22:59:44
>>191

   「ありがとう……。朝山さんと友達になれて、とても嬉しいわ」

それは、単なる社交辞令などではなく、心からの言葉だった。
失った絆を取り戻すことはできない。
しかし、新しい繋がりを作っていくことはできる。
それが自分の心の傷を癒し、生きる糧ともなってくれる。
生き続ける道を選んだ今の自分にとっては、それが何よりも大切なことだ。

   「そうだわ……。友達の記念に――」

   「これをどうぞ」

バッグから取り出したのは、ガラスの小瓶だった。
その中には、ドライフラワーとなったラベンダーの花が詰っている。
蓋を開ければ、芳しい香りが周囲に漂うだろう。

   「いつも持ち歩いているのよ。この香りがあると、気持ちが落ち着くから……」

小瓶を差し出して、にこりと微笑む。

   「悩み……。そうね……。実は凄く悩んでいることがあるの……」

そう言って、深刻そうな表情をしてみせる。
そして、おもむろに口を開いた。

   「今夜の夕食のメニューが決まらないの……。
   これから買い物に行こうと思うんだけど、何を買えばいいか……。
   良かったら、一緒に考えてもらえないかしら?」

自分の心に纏わりつく死の衝動――それを打ち明けるには、彼女は純粋すぎる。
そう思い、考え出した悩みが、これだった。
実際、メニューが決まらずにいたのは事実であり、嘘ではなかった。

193朝山『ザ・ハイヤー』:2016/09/21(水) 23:17:50
>>192(かしこまりました。では、此処らへんで自分は〆させて頂きます。
お付き合い有難う御座いました)

 「わぁ! 有難うっス! ん――ッ! とっても良い香りっス!!
いつも枕元に置いて眠る事にするっス! 小石川おねーさん有難うっス!
今日は良い夢が見れそうっス! 今度会った時、私も素敵なプレゼントあげるっス!」

 小瓶を大事に持って、跳ねつつお礼を言うっス!
ラベンダーの胸がすーって癒されるような香りが素敵っス! パワフルっス!!

 「今日の夕飯のメニューっスか!
ふふんっ! ならば私が良い魚屋で秋刀魚を安く勉強して貰うようにしてあげるっス!
 あと良い秋ナスと柿が売ってる所も知ってるっス! 秋刀魚を焼いて
ナスを焼くか浸して、柿を切ってサラダにすると美味しいっスよ!
 それじゃー レッズ ラ ゴ―ッ ス!!」

 『パァ〜ウゥッ!』

 朝山の無垢さに、大人の彼女はあえて深い部分の傷を出す事はなかった。
それは、きっと今日の出逢いの中では賢良な考えであっただろう。

 貴方を導くように、駆け足で朝山は貴方を置いていかない速度で走る。

 きっと、今もその先も 朝山は明るい世界が広がってると信じてるから。

194小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/09/21(水) 23:38:49
>>193

   「力になってくれてありがとう。とっても助かるわ」

砂浜を踏みしめて、少女の後に続く。
きっと、本当に人を幸せにできるのは、彼女のような人間なのだろう。
実際、今の自分がそうなのだから。
願わくば、彼女――朝山佐生には、いつまでもその輝きを失わないで欲しい。
少女の背中を追いながら、そんなことを考えていた。

     ザァァァ……

                 ザァァァ……

波が寄せては引いていく。
いつも通りの変わらない光景。
しかし、今は、立ち去っていく二人と一匹を見送っているようにも思えた――。

195小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/10/15(土) 22:45:18
――AM6:00――

カーテンの隙間から差し込む朝日を受けて、ゆっくりと目を開き、静かにベッドから起きあがる。
寝間着である薄手の白いワンピースの上に、まとめていない長い黒髪が垂れ下がった。
簡単に髪を括ってからガウンを羽織り、二階の寝室から一階に降りていく。
家の中には、自分以外に誰もいない。
時々まだ寂しさを感じることはあるが、一人きりの生活にも、今はだいぶ慣れた。
キッチンに立ち、簡単な朝食の支度に取り掛かる。

「――いただきます」
今朝の朝食のメニューは、クロワッサンとスクランブルエッグとコールスローサラダだ。
このクロワッサンは、昨日の夜に成型まで済ませて冷蔵庫に入れておいた生地を、
今朝オーブンで焼いたものだった。
天気予報によると、今日は一日を通して快晴のようだった。
今日は、これから出かける予定がある。
天気に恵まれたのは、とても有り難いことだった。

食事と後片付けを済ませた後で、出かける準備に取り掛かる。
着慣れた喪服を身に纏い、髪を丁寧に整え、黒いキャペリンハットを被った。
そして、一枚の写真を懐に忍ばせ、郊外にある自宅を出て行く。

196小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/11/19(土) 22:46:30

H湖の岬に位置する天文台。
その展示室に、黒い帽子と喪服に身を包んだ人影が、静かに足を踏み入れる。
夜空をイメージした薄暗い照明の下で、各所に配置された惑星のオブジェが、仄かな光を放っている。
今は『隕石』の展示をやっているようだ。
ガラスケースに視線を落とし、その中にある『隕石の欠片』を鑑賞する。

宝石のように美しい訳でもなく、貴重な資源になる訳でもない。
言ってみれば、『ただの石』だ。
それでも、宇宙から来たと言われれば、なんとなく不思議な魅力があるように感じられた。
それは物質的な価値ではなく、それを見た人間の心の中に、何かを生じさせる精神的な価値なのだろう。
そうした力が天文学を発達させ、ロケットを飛ばせ、人間を地球の外まで行かせたように思える。

  「――不思議ね」

物思いに耽りながら、小さく呟いた。

197雑賀 華『イッツ・ショウ・タイム』:2016/11/19(土) 23:41:36
>>196

「?」

「隕石……?」

あなたの隣で隕石の欠片に釘付けになっているものが一人。
サイズの大きな服を着ている。

「……不思議」

198小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/11/20(日) 00:04:30
>>197

いつから隣にいたのだろうか。
傍らに立つ少年に気付き、静かに顔を上げる。

  「こんにちは」

微笑と共に挨拶したのち、再びガラスケースに目を向ける。

  「そう――不思議……ですね……」

  「なんでもない石かもしれないけど――」

  「何か……不思議な魅力があるような気がします」

幸い、今は人も多くないので、ゆっくりと展示を鑑賞することができる。

199雑賀 華『イッツ・ショウ・タイム』:2016/11/20(日) 00:39:24
>>198

「あぁ、どうも。こんにちは」

礼をする。
それから顔を上げて。

「えぇ、不思議、です」

「この石があった場所になにがあるのか、とてもとても」

200小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/11/20(日) 21:00:16
>>199

  「そう……ね……」

何があるのか――その言葉を心の中で反芻する。
この欠片が、どこか遠い星の一部だとしたら、そこには何があるのだろうか。
それは砂や石しか見当たらない不毛の土地かもしれないし、
高温の気体に包まれた灼熱の世界かもしれない。
あるいは、そこには豊富な水がたたえられ、新鮮な空気と豊かな自然があるのかもしれない。
もし、そんな場所だとしたら、そこに住む生き物だっていないとは言い切れない。

  「もしかしたら――そこには、誰かがいるのかもしれませんね」

  「この欠片が、その誰かから届いたメッセージだとしたら、素敵なことだと思います」

  「あなたは何があると思いますか?」

201雑賀 華『イッツ・ショウ・タイム』:2016/11/20(日) 22:46:28
>>200

「この石のある場所……ですか」

むむむと悩んで顎に手を当てる。
ただし顔はにへらと笑っている。
それから少ししてくるんとその場で一回転。
指パッチンの要領で指を鳴らせばそこから花が現れる。

「綺麗な花畑、というのは素敵、でしょうか」

「……宇宙を旅する根性のある石ならもっと荒れた土地の生まれかもしれませんが」

「あ、花いります?」

202小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/11/20(日) 23:11:13
>>201

突如として現れた花を見て、目を丸くする。
やがて腕を伸ばし、その花を受け取った。
その後、手にした花を胸に挿した。

  「ありがとう」

  「あなたは……魔法使いなのかしら?」

  「もし、あなたが手品師でなければ、ね」

控えめながら、やや冗談めかした口調だった。
そして、くすりと笑う。
その顔に奥ゆかしい微笑が浮かぶ。

203雑賀 華『イッツ・ショウ・タイム』:2016/11/20(日) 23:24:00
>>202

胸に右手を当て、左手はスカートをつまむジェスチャーで礼。
もはやどちらか分からない。

「残念ですが、私は魔法使いでなく手品師。でなければ奇術師、ペテン師、もしくはそれら全てです」

ふふっと声を漏らすが顔は無表情。

「もしくは学生」

「ところでどうしてここに?」

204小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/11/20(日) 23:43:30
>>203

  「そのどれだったとしても――」

  「あなたが手品が上手なことだけは変わらないでしょうね」

胸にある花に手をやりながら、そう返した。

  「まだ来たことがなかったから、かしら」

  「この町のことをよく知りたいから」

  「だから、できるだけ色んな場所へ行きたいと思っているの」

言いながら、ほんの少し目を伏せる。
そして、再び少年に向き直った。

  「あなたは?」

205雑賀 華『イッツ・ショウ・タイム』:2016/11/21(月) 00:22:08
>>204

「おほめいただき、少々照れます」

「照れ照れ」

と言いつつ両手をほおに添える。
微妙な笑みを口に浮かべながら。

「この町を。それはそれは」

「いいですね。地元愛、いえ街への愛」

「……私、ですか?」

両手で顔を挟みながら小首をかしげる。

「強いてあげるなら、暇だったからですか」

「もしくは寂しかっただけです」

206小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/11/21(月) 00:54:12
>>205

  「私も時々そんなことがあるわ……」

ため息をつくように言葉が口から出る。
少年の言葉には、少なからず共感を覚えた。
思わず陰りが差す表情を隠すように、顔を伏せた。

  「――でも、今は違うわね」

まもなくして、顔を上げる。
その表情は先程と同じに戻っていた。

  「こうしてお話させてもらっているから」

ふと、先程の花に視線を向け、続いて隕石の欠片を見つめる。

  「なんだか……似ているような気がするわ」

誰ともなしに、ぽつりと呟く。

  「違う星同士と違う人間同士――」

  「そして、その間を繋ぐものがあって……」

  「ごめんなさい。変なことを言って」

207雑賀華『イッツ・ショウ・タイム』:2016/11/21(月) 23:51:06
>>206

「そうですか。それは良きこと」

二三度頷き、花を見る。

「変なことなど」

「いえ、私の感覚が人と同じかはわかりませんが」

また指パッチンのような仕草。
今度は花は出ない。

「人と人をつなげるのなら私はいくらでも出しましょう」

「雑賀華。私の名にある花をいくらでも」

208小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/11/22(火) 00:20:02
>>207

両手を胸に当て、少年の言葉を噛み締める。
心の中に何か温かいものが生じるのを感じた。
物質的なものではなく、精神を満たしてくれる何か。
もしかすると、それは隕石の欠片を見た人が感じるものと、少しだけ似ていたかもしれない。

  「ありがとう――」

  「私は小石川文子」

  「もし、よかったら、少しご一緒しませんか?」

  「ご迷惑でなければ」

生憎こちらには渡す花はない。
その代わり、花が開くような微笑みを、彼に見せた。

209雑賀 華『イッツ・ショウ・タイム』:2016/11/22(火) 00:28:48
>>208

「いえ、私はお礼を言われることなんてしていません」

開いてた手を向ける。
そして、微笑みに少し赤くなりながら。

「……えぇ」

「もちろん……です」

「よろしくお願いしますね。えぇ、えぇ」

そういって彼もまた笑った。

210小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/11/22(火) 00:43:22
>>209

  「こちらこそ、どうぞよろしく」

そう言って、彼の傍らに立つ。
ふと先程の隕石の欠片が脳裏を掠める。
偶然地球にやって来た石と同じように、こうして偶然出会って同じ時間を共有している。
そのことを改めて意識した。

  「……不思議ね」

そんな台詞を思わず呟いていた――。

211?????『??ー?・??ー?ー』:2016/12/17(土) 19:47:01
「『窓用振動センサー』」
「『防犯砂利』」
「『窓に貼るだけ防犯フィル厶』」

「個人レベルではここまでですか…
 俺が『不法侵入』できる程度のセキュリティである必要もありますからね」


若い男が何十個もの防犯グッズが入った袋を持って歩いている。

212朝山『ザ・ハイヤー』:2016/12/17(土) 22:32:05
>>211

 ぴくっ

「んんっ!?? いま、不法侵入って言ったっスか!?」

『パゥっ!』

 権三郎の散歩してる最中っス。
不法侵入されないようにって言うなら、わかるっス…
 けど、不法侵入するって言うと 今から空き巣でも決行しようと
してる見たいに聞こえたっス!

振り向いて、声のほうこうを見るっス! こりゃーきっと
悪い事を企む人間の筈っス!! 悪の組織に入るべき人間かも知れないっス!

213?????『??ー?・??ー?ー』:2016/12/17(土) 23:27:01
>>212
「えッ俺ですか」

その時、男は所謂『オフ』であった。職場を離れていて、そのため数少ない私服を引っかけて歩いていた

そのため朝山の目に入ったのは、
長髪を邪魔にならぬよう後ろにまとめ、
ポケットがたくさんついてて物がいっぱい入るジャケットと黒のカーゴパンツ、安全靴を履く、
『仕事用具』の詰まった巨大なバッグを背負っている…

…という、男がむかし『事情有って不法侵入とかに明け暮れていた』ときの装備のままである。

特筆事項として、目に眼帯を当てている。男の姿は、見る人が見ればアヤシイと思うだろう。


 「………ハイ俺です!!!!!!!!」
 「でも俺の防犯意識ゆえですよ
   見てくださいこの防犯グッズぅ!!!!!!!」

ビニールに入った、とても一人用とは思えない量の防犯グッズを見せびらかす!

214朝山『ザ・ハイヤー』:2016/12/17(土) 23:36:13
>>213

朝山は私服だ。今は冬の時節だから厚着はしてるものの
比較的動きやすいコートと冬のズボンを、同色の明るい色で統一させ纏っている。

 「うわーーー!! 凄いいっぱいの防犯グッズっス!
むむむ…成る程、成る程。おにーさんは防犯グッズの
マーケティングを行ってる人っスね!」

 ビシッと、指して告げるっス!

朝山からすれば、まさか泥棒が防犯グッズを見せびらかすとは露とも知らない。

「けど、こんなに一杯あると言う事は売れ残ってるって事っスね。
可愛そうにっス……これ程売れ残ってなら、上司さんにも怒られるっスよね」

『パウゥンッ』

同情の眼差しを、朝山+権三郎は男を見上げて呟く。
 悪の首領は、素直な感性で男を哀れんだ。

215?????『??ー?・??ー?ー』:2016/12/17(土) 23:51:59
>>214
もちろんそんな事はないので否定する。

「職場のそばに不審者が出るとの噂なので俺が自費で買ったんです!!」

「俺は売りませんよ買うんだったらむこうの店で買ってきてください」
「そこの二番目の信号の、左に曲がって、脇の大きな看板のあるビルの3階です」
「俺がこれだけ買ってもまだ余ってましたよ」

丁寧に店舗の場所も教えちゃう。

 >『パウゥンッ』
「何です?」

216朝山『ザ・ハイヤー』:2016/12/17(土) 23:59:47
>>215

「いま、権三郎は『そうだねぇ』って言ったんスよ!
私の言葉に同意してくれたんっス」

『パウッン!』

「いまのは、『そうだよっ!』って同意の相槌っス
権三郎は、とっても頭の良い犬なんっス。私ともお喋り出来る
スーパードッグなんっスよ。まぁ、信頼あっての賜物っス」

権三郎がいかに天才であるかの紹介を終えて、話を戻すっス!

「フッフッフ! 自分、以前は恐ろしき敵をもパワフルに倒した
実績があるっス! 防犯グッズに頼るような甘さはないのっス!!」

 クルクル  シュッ  タンッ シャキーンッ!

決めポーズと共に、力を自慢するっス。

「けど、お店を教えてくれたのは有難うっス。いまの世の中
何があっても可笑しくないっスからね。私の友達にも、お店のほうは
紹介しておくっス! その防犯意識の高さに対し、私もパワフルに敬意を抱くっス!」

シャキーンッ!!

 今日は調子が良いので、更にパワフルにポーズの二回目も決めるのだっ!

217?????『??ー?・??ー?ー』:2016/12/18(日) 00:22:54
>>216
「…犬かこれ」「犬?」「これスタ……」


> クルクル  シュッ  タンッ シャキーンッ!

 「防犯意識なんてそんな」
 「『俺が不法侵入できる程度』の防犯設備に留めてますからハハハ」
 「入れなくなったら困っちゃいますからねえ」

>シャキーンッ!!

「ハハっ何ですかそれ変なポーズですね」

218朝山『ザ・ハイヤー』:2016/12/18(日) 22:12:03
>>217

 貴方は、権三郎を見て首を傾げた。
権三郎の見た目は、比較的柴っぽい白色の犬だ。
良くCMで活躍してるお父さん犬と同種の、ちょっと雑種が
混じってる感じだと想像して貰えれば早い。スタンドを使えそうな気配は余りない

「……?? 不法侵入できる程度、っスか。
ん〜〜〜、もしかしてももしかしなくても……わかったっス!
 ――ズバリ、そっちは泥棒っスね!」

 いま、私は看破したっス。この目の前にいる人はきっとドロボーっス!

「ドロボーならば容赦しないっス……
我が、必殺技を喰らうが良いっス!! いざ――!!」


      ――エクリプス ダンス!!

219朝山『ザ・ハイヤー』:2016/12/18(日) 22:24:36
               ∩___∩
                / ⌒  ⌒ 丶|     エクリプス ダンス♪ エクリプスダンス♪
                 (●)  (●)  丶        ダンスダンス♪ エクリプス♫
              ミ  (_●_ )    |
             ミ 、  |∪|    、彡____
                 / ヽノ      ___/
                〉   〉 /\    丶
                 ̄   \    丶
                      \   丶
                       /⌒_)
          } ヘ /
                 ♪  J´ ((

 ――――――――――――――――――――――――

説明しよう! 『エクリプス・ダンス』とは、悪の首領モーニングマウンテンが
発案した必殺技の事である!
 目前の相手に対し、かつて星見町を侵略せんと大いなる恐怖を起こした
エクリプスの力を僅かにでも感じさせる舞いを披露するのである!
 この恐ろしき技は、かつてエクリプスと相対したものや、そうでないものにも
決して拭いきれぬ衝撃を与える事であろう!!

 尚、この必殺技によって相手に及ぼす身体的ダメージは皆無である。

220?????『??ー?・??ー?ー』:2016/12/18(日) 23:40:35
>>219

  エクリプス♪   ダンス♪   エクリプスダンス  ダンスダンス♪   エクリプス♪
   Λ_Λ     /´)_(`マ      Λ_Λ       Λ_Λ      _Λ_Λ_ 
   (´・ω・`)   (( (´・ω・`) ,,    (´・ω・`)     (´・ω・`)     ) )・ω・( ( ,,
  (( /つこ/ ,,     /   /     ((  ( ∩∩ノ "     と   ノつ  ((  `/   /´
   しーJ       しーJ        しーJ        しーJ        しーJ


朝山は攻撃的ダンスを繰り出した



       / ̄ ̄ ̄ ̄\
      /;;::       ::;ヽ
      |;;:: ィ●ァ  ィ●ァ::;;|
      |;;::        ::;;|
      |;;::   c{ っ  ::;;|
       |;;::  __  ::;;;|
       ヽ;;::  ー  ::;;/
        \;;::  ::;;/
          |;;::  ::;;|
          |;;::  ::;;|
    / ̄ ̄ ̄      ̄ ̄ ̄\
    |;;::              ::;;|

男は困惑している。

221朝山『ザ・ハイヤー』:2016/12/18(日) 23:50:56
>>220

 「ふぅー 良い汗を掻いたっス!」

軽く額から流れた一筋の汗を拭い去り、やり遂げた顔をする朝山。

 「さて、これでドロボーさんの泥棒をする気持ちも
少しは薄れたと思うっス。
 悪事をしたいのなら、もっと世界征服などの大きな事を目指すっス!」

 と 本人はいたって大真面目に男に対し言葉を投げかける。
そこで、はたと朝山は気づいた。

 「……そう言えば、まだ名前も何も聞いてなかったス。
どろぼーさんって言い方だとみんな吃驚するっス!
 名前を教えるっス! 私は朝山 佐生っス!」

 シャキーンッ! とポーズを決めて自己紹介するっス。

エクリプス・ダンスを披露した今。目の前のドロボーさんも
私の言葉に服従するに決まっているっス!!

222常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2016/12/19(月) 00:09:32
>>221

 「…まだこの俺をドロボウと思っていらっしゃるのですか」
 「……ならば自己紹介をしますよ!!!!!!」

大きなカバンから取り出したるは、
……黒のワンピース!フリルのたくさんついた白いエプロン!!
リボン!!!ツヤツヤの革靴!!!
それらを目にも止まらぬ速さで纏う!

 「俺は常原マコト…『家政婦』です!!!!!」

何という事か!常原マコトと名乗る男は、その性別でありながらメイド服を着用している!?
男が。メイド服。なんたる非現実的な光景。

 「俺もシャッキイイイイ―――イイイン!!!泥棒でない事が分かりましたか!!?!?」

見栄を切った!。誇らしげな顔つきである!

223朝山『ザ・ハイヤー』:2016/12/19(月) 00:27:36
>>222


 「あ    あ    そ  その姿は」


「仮〇のメイド〇イっス  本物っス―――!!」

ド―――ン!!

 朝山は、その姿を直視すると共に悟った。

彼、常原こそアニメに出てきた伝説のメイドガイ その人だとっ!

「うわーーーすごいっス! 生のメイドガイっス!!
空を飛んでみて欲しいっス! 超能力や催眠術も使ってみて欲しいっス!
付けてる褌で戦って見て欲しいっス! あっ! サイン欲しいっス!!」

 ピョンピョンと興奮しつつ、常原ことメイドの左右を跳ねつつ喋りかける。

すっかり、常原を伝説のメイドガイであると認識したようだ。

224常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2016/12/19(月) 01:00:20
>>223
「はははははは凄いでしょう!!!!」
「メイドガイ・幽波紋!!!」

気をよくした常原はヌイグルミ様のスタンド『ドリーム・ウィーバー』を発現!


「メイドガイ・ソーインググッズ!!」
スタンドの手から裁縫道具を出した。

「メイドガイ・手芸用品!!!」
スタンドの手から裁縫用具を出した。

「えっと……メイドガイ・裁縫用具!!!!」
スタンドの手から裁縫用具を出した。

225朝山『ザ・ハイヤー』:2016/12/19(月) 19:06:25
>>224

 「うおぉ――! 凄いっス!!
メイドガイはスタンドも出せるっス!!」

 グンッ!!

朝山も勢いに乗ると『ザ・ハイヤー』を小脇に発現させた。
 更に一つの球体を片手に発射して自分に命中させる。

 「うおおおぉぉ!! 私もニュー・エクリプス・ダンスを舞うっス――!!」

〜〜〜♬🎵!!

 常原の周りで、高速で手やら足やら動かしつつ踊りっぽい動きを始める。
権三郎もその周りを疾走しつつ、段々と混沌が立ち込めてきた。

226常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2016/12/19(月) 23:51:23
>>225
悪の頭領が謎のダンスを踊っている!犬がくるくる走る!
手品が種切れを起こしたメイドガイも困ったのでとりあえず踊り出す!!!
あまりの光景に見世物とおもった観衆が集まる!

  
  ♪  ∧_∧     ♪     ∧_∧
     (´・ω・∧_∧    ∧_∧´・ω・`) )) ♪
   ∧_(,∧つ(´・ω・`) ))(( (´・ω・`)と∧_),∧
(( (´・ω・`) ( つ  )    (つ   )(´・ω・`) ))
   ( つ  ヽ  とノ ♪    〉と/ つ )
    〉 とノ )^(_)     (_)(   とノ
   (__ノ⌒(_)          (_)⌒ヽ__) ♪

   
                 (^ω^∪ )三=

   `∧_∧∧_∧ ∩_∩`∧_∧∧_∧ ∩_∩
   (   )(   ) (  )  (   )(   ) (  )
  (∧_∧ (  )∧_∧(∧_∧  ( )∧_∧
   (   )∩_∩(   )(   )∩_∩(   )


混沌は『加速』しているッ!!

227朝山『ザ・ハイヤー』:2016/12/20(火) 13:14:00
>>226

 『運命』とは 常に不規則であり予測回避などし得ないものであるッ!

朝山と常原の織り成す『混沌』のビート! それもまた星見町の破滅に
繋がり得ない熱情の坩堝の波紋が広がっていく!

 キャー! ワ―ッ  キャー!  ワー! 

 まるでライブ会場の如く、見物客達も遂に御捻りを投げ始めてくれた!

 ………………

 …………

 ……

「いやーっ、すっかり盛り上がったスねぇ」

十数分後、踊り終わった暁には手の平に収まる程度の小銭が二人の前に募っていた。

きっと、ジュースを三本程度買うには十分な額だった筈だ。

 「喉も渇いたっス! みんなでジュースを飲むっス!
権三郎は、爽やか魚座の真水を渡すっス。自分は元気モリモリ ダバデュアジュースにするっス。
常原おにーさんは何にするっス?」

 近くの自販機で飲み物を買う事にした。

228常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2016/12/20(火) 15:21:46
>>227
「要りませんそんなの」 
 「運動後の疲労回復には、
  ビタミン豊富な100%ジュース、カテキン豊富なお茶、タンパク質豊富な牛乳がオススメです」
 「そして体調管理にも気を遣うメイドの俺はそれら全部をカバンに入れてるんですね!!!!!」

 「全部この場で混ぜ合わせてその他体に良さそうな物をいっぱい入れて!!!」


      ドボドボドボドボドボ
                             ブヒー
              ゴポゴポゴポゴポゴポ      

    常原は『熱しやすく冷めにくい』人物である…
    でなければノリノリで悪の頭領と踊ったりなどしない…
    でなければ、『メイド』なんて気の迷いみたいな生業に就いていない…
    …つまり、熱狂的なテンション…常原マコトの混沌の渦は萎えきっていない、という事だ…

   「イヒ、イヒヒヒヒヒヒヒ」
 
  「さあ飲んでください!!!俺と一緒に飲みましょう!!!!!!!!!」



           _ ,,,,,,,,,,,_
        r ニ,,..,  ,,,  ニヽ
       τ.::ll l U ;;;;;;;,,,,,,,l
       . `.J~ i。 .::::::i:::::l. l  
         l .!。゚・;。 o 。゚ ! l,
         l .i ! 。 ゚ .! ci. l
         l {l。´・ω・` l}.l  <オイシイヨ(裏声)!!
         l .l  。 ゚   l. l
         l .l  。  ゚  l. l
       .  l└  ゚-  ┘l
         `"'ー--‐‐''"

 なんかどう考えても飲んじゃいけない感じのを押し付けてきた。
 逃げるんだ朝山!!(とりあえずお金は貰ってもいい感じだ)

229朝山『ザ・ハイヤー』:2016/12/20(火) 19:03:30
>>228(区切りも良いのでここら辺りで〆たいと思います。
お付き合い有難う御座いました)

 「ぬ

  ぬお〜っ゛ な、何て冒涜的な飲み物なんス。。。」

思わず悪の首領だが慄きを感じてしまうモーニングマウンテンこと朝山。
だが、彼女も決してそのまま退くわけにはいかない!

「メイドとは『おもてなし』の心!
 その心意気を受け取らずして、ちゃんと首領も出来ないっス!

うお〜〜〜〜〜!!!

 ふるえるぞ胃腸!! 燃えつきるほどイートッ!!」

 カッ!!

「飲むぞ!! ヤマトのヴィット(※見た目白ビールぽっかたので)!!!」


       グイィ―――ンッ!!


 そして一気に飲み干…

230朝山『ザ・ハイヤー』:2016/12/20(火) 19:06:16
>>229続き


              まず    ご  バッ!!!!??!

                                   -‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
                                 /   、       \
 ━━┓┃┃                          ∠/  / \ 、     ヽ
     ┃   ━━━━━━━━           ノ// /ノ   \ヽ、 ヽ |
     ┃               ┃┃┃         イ / 从○    ○ |  |、|
                       ┛       |ハ {⊃ 、_,、_, ⊂⊃/ノ /
                               ゚ 。゚ 三 ≧     ゚'ゝ/⌒i
                             -== 三       ≦。  /
                               。 -=≦        ,ァ-._ ∧
                       ゚ ・ ゚。  三<       、,Jト    ノ
                            ≦ ッ       ッV´≧
                          。 ゚ 。 ミ´    、、 ハト・。\゚。



 「ぎゃああああ 退散っス〜〜〜〜〜!!!」


 余りの不味さに、権三郎と共に朝山は逃げ出した。

おめでとう! 常原は悪の首領の脅威から抜け出す事が出来たのだ!

だが、忘れるべからず……第二第三の悪の手はいずれ再び星見町に咲き返る可能性があるのだから

231小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/01/04(水) 23:36:46

年明けの早朝。
星見町郊外にある神社の境内を一人歩く。
辺りには多くの初詣客が見受けられる。

服装はいつも通りの喪服姿で、その上から黒いコートを羽織っていた。
しかし、洋装ではなく和装になっていて、帽子も被っていない。
どうやら、これが新年の装いのようだ。

一旦コートを脱ぎ、賽銭を投げ入れ、静かに鈴を鳴らす。
それから頭を下げ、手を合わせ、そっと目を閉じた。

  ――『治生さん』……。

  ――去年は大きな事故もなく、こうして無事に一年を終えることができました。

  ――今年も一年を何事もなく過ごし、あなたとの約束を守ることができるよう、どうか見守っていて下さい……。

神様ではなく、死に別れた『彼』に対して、心の中で祈りを捧げる。
それが済むと再び一礼し、参拝を終えてコートを羽織った。

やがて振り向き、境内の方を眺めながら、しばらく立ち止まる。
出店が出ていることもあって、とても賑やかだ。
もしかすると、この中のどこかに見知った顔もいるかもしれないという考えが、不意に頭を掠めた。

232ニュー・エクリプス:2017/01/05(木) 22:33:08
>>231


     ――カラン カランッ カランッ!!

チヤリチャリチャリチャリチャリンッッ!

 パン!! パン!!!

 「神様!今年もいっぱい友達を作るっス! 家族の健康無病息災も祈るっス!!
ニュー・エクリプスにも、いっぱいいっぱい部下を設けるっス!!
 あっ! オムライススターも皆がたくさーん奢ってくれると嬉しいっス!
ひえっチがもっとパワフルになるように祈るっス! 
天津飯の友が親友になるようにも祈るっス!!
 レイヴン・ゼロに、今度は完勝するようにも祈るっス!!!
伝説のメイドガイのサインも欲しいし、えーっと、それにそれに……」

 ポカッ!

ムーさん「欲張りすぎだろ( `ー´)ノ」
エッ子「出たっ! ムーさんの手刀っ。新年一発目だねっ!」
城生 乗「あははは…。まぁ、いっぱい今年の目標があるのって、素敵な事だよね」

 貴方の耳にも、聞こえてくるのは。つい、この間に聞き覚えがあるかも知れない
とても元気な少女の声。そして、三人の馴染みない高学年の女子含む姦しい声だ。

「んー、わかったっス!! じゃあ他の願い事は、また明日にでも祈るっス」

ムーさん「神様も、そんなに沢山お願いする子は無視すると思うぞ?」

「大丈夫っス!! 五円玉も沢山用意したっスからねっ!
 神様も、きっと聞いてくれるっス。
もし、聞き届けられないなら、自分で叶えるっス!! パワフルっス!!」

 さよか、と茶髪の長身の女の子は気怠い様子で返答する。
仲の良い先輩達と、可愛がられている後輩と言った所が。

そんな和気藹々とした集団は、貴方のほうに近づいてくる。声をかける前に
四人の中で一番背丈が低く、それでいて一番活発な娘は貴方を視認すると大声をあげた。

「あ――!! 小石川おねーさんっス!! 
明けましておめでとうっス!! 今年も一年宜しくお願いするっス!!」

  クルクルクル シュッ タン!! シャキーンッッ!!!

 厚着で、雪の中でも目立つオレンジのコートと、黒いマフラー。白いフワっとした
耳あてをした朝山は、貴方へと元気の良いポージングと共に新年の挨拶をする。

『こんにちはー』

貴方に駆け寄った朝山に続くように、高等部の女の子達も
新年あけましておめでとう御座いますと、社交辞令と共に
各三人とも自己紹介をしつつ挨拶をかわす。

233小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/01/05(木) 23:39:50
>>232

  「――明けましておめでとう、朝山さん」

図らずも見知った顔と出会い、思わず表情が綻ぶ。
こちらも年始の挨拶を返しながら、深々と頭を下げた。
この元気の良い小柄な少女は知っているが、他の三人とは初対面だ。
先程のやり取りから考えて、同じ学校に通う先輩達なのだろうと思った

  「明けましておめでとうございます――」

そこで言葉を切り、三人の顔を順番に見回す。
そうして間を置いたのち、挨拶を続ける。

  「はじめまして」

  「小石川文子という者です」

  「朝山さんとは以前にもお会いして、楽しくお話させていただきました」

  「もし町でお会いすることがあれば……その時はよろしくお願いしますね」

それが終わると、再び頭を下げて締めくくった。

234ニュー・エクリプス:2017/01/06(金) 19:05:45
>>233(レス遅れましてすみません)

「城生 乗(しろお のり)と言います。清月の高校二年です」ペコッ…

「佐々木 江南(ささき こうなん)でーす! 
みんなからは、エッ子 またはエッちゃんって呼ばれてまーす!」シュパ!

「……比嘉 海霧(ひが かいむ)です。愛称はムーさん
……本日のラッキーカラーはピンクのヒトデ」

名乗る貴方に対し、三人も所作は異なれど同様に名乗り返す。
 簡単に三人の特徴を挙げるなら、城生と言う娘は素朴で清楚な何処にでも
いる17程の女の子だが、何処か芯を秘めてるように見え。
 エッ子と名乗る女の子は、何処か朝山と同じく天真爛漫さが秘めており
ムーさん告げる、四人の中で長身の女の子は。何処か浮世離れした雰囲気と
共に、貴方を眠たげながらも少し観察するように見てたのが印象的だった。

  クルクルクル シュッ タン! シャキーン!!

「そして! 同じく朝山 佐生っス!!」

 ムーさん「言われんでも知ってる(-_-)」

「ふふんっ、ムーさんは甘いっス! こうやって何度も名乗ってこその
印象付けが、後に色んな場所で役立ってくるっス!! イッツ、コミュニティっス!」

エッ子「コミュニティだ――!ヾ(@⌒ー⌒@)ノ」

 エッ子と朝山は、両手を掲げて元気に新年の空に声をこだまさせる。

ムーさんは、その様子に肩を竦めて投げやりに相槌をうち。城生は二人の
ほのぼのした、やりとりを見つめ、気づいたように貴方へ声をかけた。

「あっ、えぇっと……小石川さんは、一人で初詣ですか?
他に付き添いが居なくて、時間も空いてましたら。私達と少し
ご一緒しませんか? 佐生ちゃんも、そのほうが嬉しいでしょうし」

 城生の提案に、エッ子と騒いでいた朝山もパッと貴方に振り向き
名案とばかりにコクコクと上下に激しく首を振って告げる。

 「あっ、それは良いパワフルな思いつきっス!
小石川おねーさんも一緒に、神社を見て周るっス! もしかしたら
他にも知り合いに出逢えるかも知れないっス!! みんなで新年の一日を
パワフルに過ごしてみるといいっス!!」

 シャキーンッ! と、貴方に一緒に時間を過ごす誘いをする……。

235小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/01/06(金) 23:15:30
>>234

  「よろしく、皆さん……」

それぞれ個性は違えど、互いに和気藹々とした四人の少女たち。
その光り輝くような光景に眩しさを感じて、思わず目を細める。
こうした場面を目の当たりにすると、つい昔のことを思い出してしまう。

  ――初詣……あなたと来たこともありましたね……。

  ――『治生さん』……。

四人のやり取りを見つめている穏やかな表情が、少しずつ変化する。
どこか遠くを眺めるような、やや寂しさを孕んだものに変わっていく。
頭の中では、記憶の断片が浮かんでは消えていった。
それらは『彼』と過ごした幸せな日々の思い出だった。
そして、自分はそれを失ってしまった。
だからこそ、彼女たちには、今の幸せを失わないでいて欲しいと思えた。

  「――え?あ……ごめんなさい。少しぼんやりしてしまって……」

その時、城生の声が耳に届いた。
彼女の呼び掛けによって、意識は再び現実に引き戻される。
一抹の寂しさを漂わせていた表情も、元に戻っていた。

  「ありがとう――」

  「お言葉に甘えて、ご一緒させていただきます」

思いがけず出された提案に、柔らかい微笑みで応じる。

  「もし、お邪魔でなかったら」

最後にそう付け加えて、くすりと笑った。

236ニュー・エクリプス:2017/01/07(土) 11:49:16
>>235(もし、ご迷惑でなければ。再度になりますが
ミッション時と同じく、暫し『治生』の設定をこちらでも使って良いですか?)

 新年の初詣。どの県 どの地域でも其の日であれば賑わない社のほうが
特殊な場所を除き、少ないであろう。

星見町の神社も、その多いほうに入っており。出店の並ぶ通路では
老若男女様々が冷やかしや、暖かい飲食を求め人の波が作られている。

 「はふっ!(うんっ!) つふふぁはふぁいっふ!!(ツユが美味いっス!!)」

 「ふっぱっ! ひふへふふぁひひふふぁふぁふほふぁへふぁいと
ふぁひぱらふぁひね!(やっぱ! 新年は七草がゆを食べないと始まらないね!)」

「もぅ……二人とも、お行儀悪いよぉ……」

 出店に出ていた星見粥、との銘で炊かれてた七草粥を
美味しそうに口一杯に、朝山とエッ子は頬張りつつ舌鼓を打って感想述べる。
それを、やんわりと諫める城生は少しばかり彼女等の母親のようだ。

 「……」

ムーさんは、彼女ら三人に関心向けるより。貴方のほうに視線を向けていた。
 とは言うものの、貴方を注視してるようでない。貴方の少し横の何もない筈の空間を
どうも、じっ……と静かに見つめていた。 
 
 「んぐんぐ…ごくんっ!
あっ!! 甘酒もあっちで配ってるっス!! よーし!!!
権三郎! さっそく新年の初めの甘酒を頂戴するっス――――!!」

『パウゥッ!』

 「えΣ 何時から、その柴犬居たのっ!?」

ちゃっかりと、朝山の愛犬も気づけば登場して。それに驚きつつ
城生は突っ込む。だが彼女等のパワフルさの勢いに、そのツッコミも雰囲気に呑まれ消える。
 
 人数は大所帯だ。
 更に騒がしさが貴方を包み込む。 自然と貴方の側に暖かい気配が昇っていく。

237小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/01/07(土) 20:17:15
>>236

  「ふふッ――」

朝山とエッ子を嗜める城生を後ろから見守りながら、思わず小さな笑い声が漏れる。
知らない人から見れば、その姿は付き添いの保護者のように映るかもしれない。
しかし、実際に支えてもらっているのは他でもない自分の方だ。
こうして彼女たちと共に過ごすことで、生きる力を分けてもらっているのだから。
そして、それは今だけに限った話ではない。
また彼女たちと顔を合わせることがあるとしたら、きっとその時もそうなのだろうと思う。

  ――少なくとも……今は一人じゃない……。

  ――そう思っていてもいいんですよね……。

  ――『治生さん』……。

その時、四人の中で一番背の高い少女が、こちらを見つめているらしいことに気が付いた。
しかし、こちらを見ているにしては、少し視線が外れている。
自分もその方向に目を向けてみるが、特に何かがあるということもない。

  「あの……何か……?」

不思議に思い、先程ムーさんと名乗っていた長身の少女に呼び掛ける。
思えば、出会った時から何かを観察しているような様子だった。
そういえば、周囲が賑やかなせいだろうか。
ふと、傍らに温かい気配を感じたような気がする。

238ニュー・エクリプス:2017/01/07(土) 20:49:48
>>237(有難うございます)

 貴方はムーさんに、虚空へ向ける視線の理由を尋ねる。

「いえ……大した事じゃ」

 質問に対し、歯切れ悪く彼女は貴方の隣に視線を固定したまま返答する。
その最中にも、朝山と権三郎、そしてエッ子の元気な声が乱入してきた。

「甘酒持ってきたっス! 全員の分があるっス!!
 みんなでパワフルに乾杯っス! 友達杯を組み交わすっス!」

『パウッ!』 

 「友達さかずきー! あっ、丁度あそこの場所空いてるよ!
座って飲も飲もーっ!」

 近くに設置していた組み立て式の机、そして五人分の椅子が目に付く。
ひゃっほぅ! と権三郎を抱えて朝山は椅子につく。エッ子も続けて勢いよく座り
固定されてないから、倒さないでねと軽く注意して城生も続けて座る。
 貴方も、それに倣うなら椅子に座る事になる。だが、一人だけ様子が異なった。

「……? どうしたの、ムーさん」

――海霧は座る事なく、立ったまま渡された甘酒を片手で弄りつつ。変わらず貴方へと
非礼を感じるかも知れないが其の方向を見ていた。何もない空間である小石川の隣を。

城生の不思議そうな問いかけにも返答する事なく、数秒眺めると共に小石川の
テーブルへと甘酒を持った手を伸ばし……。

        コトン     ザッ

 「――どうぞ」


 小石川 文子の隣席……『誰もいない椅子』を軽く引いて
その席の卓上に自分の甘酒を置いて、そして数歩下がった。

 「……ん、あ、はい。遠慮せずに一緒の席に座ってください 
立ってるほうが、どちらかと言えば自分、楽ですんで」

 奇妙な光景は続く。貴方の隣の椅子の後ろに本当に誰かが立ってるかのように
海霧ことムーさんは軽く手を振って、虚空に話しかけてる。

「??? 誰にムーさんは話しかけてるんっスか??」 『パウゥッ??』

 その光景に、当然ながら疑問符を顔中に付け、不思議そうに
ムーさんと貴方の隣の空間を交互に朝山と権三郎は見る。

 「くぅ〜! この一杯が堪らんですなぁーー」

エッ子は、図太いのか鈍感なのか。甘酒の味を堪能し海霧のやってる
奇妙な出来事を視野に入れてない。

 城生 乗だけは、意を得た顔つきになり。恐る恐ると言った調子で
パントマイムのように会話するムーさんへ声をかけた。

 「あの……ムーさん。     ――いるの?」

 その言葉に、ゆっくりと彼女は僅かに首を傾げ向き直り。

「……いるよ
 いま 座ったところ」

 そう   貴方の隣席を指した。

 …………不思議と、真冬であるに関わらず僅かながらも人工的なものでない
春の木漏れ日のような暖かい空気が掠めるような気がした。

239小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/01/07(土) 22:10:27
>>238

三人に倣い、自分も椅子に腰を下ろす。
しかし、海霧だけは座ろうとせず、まるで誰かがいるかのように話しかけている。
眼前で展開する奇妙な光景の意味を、最初は掴みかねていた。
やがて、心の中で少しずつ理解が生まれ始める。
それと共に瞳の奥に光が宿る。

  ――これは……『あの時』と同じ……?

  ――でも、そんなことが……。

  ――いえ……もしかしたら……。

馬鹿な考えかもしれないが、頭の中に浮かんだ考えを消すことができない。
そう思うのには理由があった。
以前、とある『工場』で似たような経験をした覚えがあったからだ。
その時の情景は未だに胸に焼き付いている。
あれは、自分にとって忘れることができない体験だった。

  「――海霧……さん……?」

確信に近い感覚を抱きかけていた時、海霧の言葉が耳に届いた。
その言葉を確かめるように、彼女に向き直る。
それから、ゆっくりと視線を動かし、誰もいない隣席を見つめる。

そこには――確かに『彼』の気配が感じられた。
優しく懐かしい、忘れえぬ感覚だった。

  「は――」

  「『治生さん』……」

心から愛し、もう会うことのできない相手の名前を、小さく呟いた。
身じろぎ一つすることもなく、空席のままになっている隣席を見つめ続ける。
大きく開かれた両の瞳から、一筋の涙が音もなく零れ落ちた――。

240ニュー・エクリプス:2017/01/07(土) 22:50:04
>>239

 貴方は、『治生』の名を紡ぐ。
その言葉を唱えると、不思議と目前に漂う、冬の冷気にそぐわぬ柔らかな
包まれるような空気は、漠然とながらも何処か水面を揺らす波紋のように揺れる気がした。

 厳かになる雰囲気に、朝山も城生も自然と口を噤む。
エッ子だけは、空気をあえて読んでるのか若しくは天性の才か、甘酒の味に没頭している。

海霧だけは、軽く目元の前髪を掻きつつ口を開いた。

「……多分、だけど。貴方に対して微笑んでる。ちょっと、困った感じで」

 「泣かせる気は、無かった。そんな事を、考えてる感じ……」

海霧の説明に対し、朝山は軽く手を挙げて聞く。

「待って欲しいっス! 話が見えてこないっス!
 ムーさんには、幽霊か何かが見えてるっスか? でも、私には目を
皿のようにしても、まーったく見えないっス!!」

 「……視る、見るって言うのとは違う、かな。私 別に霊能者とかじゃないし。
しいて言うのならば…………目の中に入り込んだ映像が脳の中で
輪郭を保っていて。そのイメージを何となく受け取ってる……って言うか」

詳しい説明は、面倒だし複雑だし、無理。と、ムーさんは話半ばで
自分のスピリチュアル方面の説明を放り投げた。そして
再度無人の席にぼんやりと焦点を合わせる。

 「……あぁ、うん」

「こう言ってる と思う。
     ――何処にも僕は行かないよ    ……て」

「ちゃんとしたメッセージとして、耳で聞いてる訳じゃなく
頭の中に伝わってくる全体的なイメージとして私が受け取った者だから
大まかな感じだけど……そう言ってる、と思う」

 海霧の言葉は、悲しき別離を体験した小石川への優しい虚言か。
もしかすれば、本当に『彼』が新年の呼び起こした一つの奇跡として
実体なく、スタンドの目を以てしても見えないかも知れないけれど
魂としての有り体で貴方の側に現れたのかも知れない。
 
 真実は何処にもない、だが この場で大切なのは
何が真実かを追求するでない、何を真実として創るか と言う事だから。

241小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/01/08(日) 00:19:53
>>240

これは真実なのだろうか。
それとも気遣いから出た優しい嘘かもしれない。
でも――そんなことはどちらでも良かった。
大事なのは自分が確かに『彼』の気配を感じ、それを『魂の触れ合い』だと受け止めていることだ。
たとえ儚い幻影だったとしても構わない。
少なくとも、自分にとっては、それは紛れもなく尊い真実なのだから――。

  「――……!」

何か言おうとするが、胸が詰って言葉が出てこない。
海霧から聞いたイメージが、記憶の中にある過去の思い出を呼び覚ます。
困ったような笑い顔――それは生前の彼がよく見せていた表情だった。
ふと、記憶の中にある彼の姿が、無人の席と重なる。
この時だけは、まるで本当に彼がそこにいてくれているような、そんな気がした。

  「『治生さん』……。ああ……。『治生さん』……!」

  「あなたが傍にいてくれる限り……私も何処にも行きません……!」

  「たとえ引き裂かれようとも、私達は……いつも――どんな時でも……一緒です……!」

祈りを捧げるような形で、胸の前で両手を握る。
指の間では、二つの指輪が小さな煌きを放っている。
それらは、『真実の愛』の証であり、『不滅の愛』の証でもあった。

242ニュー・エクリプス:2017/01/08(日) 20:11:59
>>241(よろしければ、この辺りで〆たいと思います)

 貴方は誓う。神にではなく、いま確かにある形なくも有り続けるものへ。

「……うん、うん」

 海霧は、小石川の挙動に対し反応するでもなく。虚空に対し
僅かに相槌を数度打つと共に、貴方に顔を向け。

 「――ありがとう
それ以外には、貴方に伝えたいものは、彼には無いみたいです。
 ……ん、えぇ、わかってます。
……あと、私達に。よろしく……って」

 バックでは、甘酒を飲み干して今の状況の軽い異変に気付いたエッ子を
意図的に城生が別の屋台へ誘い、場を外していた。

 朝山は、ムーさんの言葉に自分の胸を強めにトンっと叩いて宣言した。

「言われずともっス! 私は誰に命じられずとも小石川おねーさんの
友達を続けるっス!! これからも、よろしくして されての関係を続けるっスよ!」

 魂は不滅。聖書で述べられる言葉であるが、彼を貴方が想う限り
目に見えずとも、その想いは無為にはならない。
 目に見えるものだけが真実ではない。貴方は彼の言葉と共に生きる事を選択して
力『スタンド』を得た。そして、彼の想いを秘めて未来への道を踏みしめた。

 数々の其の選び取った道の途中で、貴方は光を得た……これは、きっとそう言う事なのだ。

「……ぁ」

 ムーさんは、小さく声を上げる。朝山がすかさず、どうしたっスか? と聞く。

「いなく、なったな……」

「えーっ? いま、何処にも行かないって告げたばっかじゃないっスか!!」

朝山のあげる声に、眉を顰め海霧は騒ぐ彼女を見下ろす。その目つきは僅かに険しい。

「そう言う訳にもいかないだろ。あっちの存在には、あちらなりのルールもあるんだ
……ただ、簡潔に何処かに行ったって言う表現で纏められるものじゃないし。
言う成れば、その空間一帯に、同調するような変化になったって時もあるし、完全に
何処から知らぬ場所に行ったって時も、私のチャンネルと合わないし。
……あぁ、たくっ 長々と言っても理解出来ないんだって 普通は」

 「私なら解るっス! 天才っスし!!」

「なら、要約しようか? 消えたけど、消えてない まる。以上」

 「ぜーんぜん解んないっス!!!」

貴方を蚊帳の外に、二人は軽く騒ぐ。
 そんな折に、エッ子と城生が屋台で他に買ってきたのだろう。
湯気の立つ飲み物を持ってきたのを二人は見て、朝山は彼女らに近づき口論は止まる。

ムーさんは、三人が離れてる中で良い機会とばかりに貴方へ告げた。

 「……彼は、貴方の傍にいます」

「永く続くかは、私には把握出来ませんが
……ただ、一つだけ確かな事があります。
  ――彼が望んでいる事を、貴方が今も実現し続けている」

 彼女は、その言葉を最後に四人の輪へ収まると
何時もの気怠く、人を余り相容れない空気を保って出店の変わった食べ物を
咀嚼して外部との交流を軽くシャットアウトする。

 この、新年が過ぎても朝山は変わる事なく貴方を見かければ
子犬のように躍り、貴方との付き合いを変わらず続ける。
 城生、佐々木、海霧も同じく同様に貴方を年の離れた友として
出逢う機会あれば接するだろう。

 その幾多の邂逅の中で、光は舞う。きっと、目に見えずとも 光は。

243小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/01/09(月) 09:16:54
>>242

     スッ

海霧の言葉を聴き、自身の指にはまった二つの指輪に視線を落とす。
『真実の愛』とは、滅びることのない『不滅の愛』――自分自身は、そう信じている。
たとえ『死』によって分かたれたとしても、決して打ち消されることのない『永遠の絆』だと。

『彼』は、私に掛け替えのない愛を与えてくれた。
そして、私も『彼』に無償の愛を捧げた。
だからこそ、私は『彼』の想いに報いたい。

『彼』の最後の望み――『彼』の分まで生き続けること。
甘美な死の誘惑が耳元で囁こうとも、それに屈する訳にはいかない。
それが『彼』に対して自分のできる『真実の愛』の証明になるのだから。

  「ありがとう、海霧さん、朝山さん。ありがとう、皆さん……」

顔を上げて、感謝の言葉と共に、四人に微笑みかける。
その後、元気に前を歩く彼女たちに続く。
ふと一人立ち止まり、空を仰ぎ見た。
頭上には、雲一つない真冬の空が広がっている。
軽く深呼吸すると、凛と澄み切った冷たい空気が、心と体に染み渡っていく。
とても安らかで清々しい気分だった。

  ――あなたは今も近くにいてくれている。

  ――だから、私は一人じゃない。

  ――そう思っていてもいいんですね、『治生さん』。

その時、誰かの視線を感じ、後ろを振り向く。
しかし、目を向けた先には誰もいない。
その無人の空間を見て、何かを悟ったかのように、柔らかい微笑みを浮かべた。
やがて正面に向き直り、再び四人に合流する。
その背中に、微かではあるが、確かな光を感じながら――。

244小石川文子『一般人』:2017/03/05(日) 00:44:02

今――私は町を歩いている。
様々な店が軒を連ねる華やかな表通り。
日曜の昼過ぎということもあって人通りは多い。

  「この辺りは、とっても賑やかですね」

この身を包んでいるのは、白いブラウスに白いスカート、白い帽子。
つい最近、この町のブティックで見つけたお気に入りの装い。
それらは一緒に行った『彼』が選んでくれたものだった。
だからこそ、余計に気に入っていた。
自分の隣に視線を移すと、そこには『彼』がいる。
私が誰よりも愛し、そして誰よりも愛してくれる人が――。

  「今夜は何が食べたいですか?」

話しかけると、『彼』は微笑みながら答えてくれる。
新婚旅行から帰ってきてから一週間が経過していた。
旅行中は、とても幸せだった。
もちろん、それは今も変わっていない。
これからも、この幸福が続いて欲しいと心から願っている。

  「――治生さん?」

ふと気付くと、『彼』がいなくなっている。
辺りを見回しても、雑踏の中に『彼』の姿はない。
いや――見えた。
遠くの方に、『彼』らしき後姿が微かに見える。
早く追いかけなくては。
そうしないと二度と会えなくなってしまうような気がする。

  「待って下さい!待って!!」

叫ぶように呼び掛けながら、急いで駆け出そうとする。
その途端、急速に意識が薄れ始める。
伸ばした手から力が抜けていき、同時に視界から光が消えた。

245小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/03/05(日) 00:53:33

――どこからか、規則正しい時計の音が聞こえてくる。
ゆっくりと目を開けると、見慣れた自宅のリビングが視界に入った。
どうやらソファーに座ったまま眠っていたらしい。

目の前にある机の上には新聞紙が広げられている。
そこには、乾燥させたラベンダーの花と、いくつかのアロマオイルの瓶が乗っている。
それを見て、ドライフラワーの瓶詰めを作っていたことを思い出した。

意識が戻っても、しばらくの間は呆然としたままだった。
さっき見た映像が頭に焼き付いている。
あの中の自分は、とても幸せだった。

  「……夢」

思わず、ぽつりと呟く。

そう――あれは夢。
幸せな夢。
そして、決して叶うことのない夢。

さっきの夢を思い出すと、どうしようもない寂しさが胸の中に込み上げてくる。
その気持ちを慰めるため、無意識の内に自らの肩を抱いていた。
やがて、静かにソファーから立ち上がり、リビングから出て行く。

身支度を整えると、玄関の前に立ち、扉に手をかけた。
喪服と黒い帽子に身を包み、家の外へ出る。
一人でいることが、今は辛かった。
心に生じた寂しさを埋めるために、人のいる場所へ行きたかった。
夢の中で『彼』と歩いた『あの町』へ――。

246薬師丸 幸『レディ・リン』:2017/04/28(金) 07:23:53

「…………ん?」

   バッ

       「あっ」

夢を見ていた。

スタンドを得るより前の事。
朧気な記憶を、夢の中でたどっていた。

「……」

良い夢とは言えない。
魘されていたかもしれない。

あたりを見渡すと、電車内。

「――――わっ!」

星見町に停車していると気づき、
薬師丸は慌ててホームへと駆けだした。

    タタッ

(ついてるんだかないんだか)

そして、改札を出てすぐに立ち尽くしている。
外出から帰ってきたが、これからどうするか。
家に帰るのは当然だが……

    (お腹、空いてるのよねぇ)

 キョロ

          キョロ

白髪赤目、フリルの多い黒いワンピース。
一見すると『コスプレ』じみた格好の少女が、
あたりを見渡しているのは、傍目にどう映るだろう。

247薬師丸 幸『レディ・リン』:2017/04/30(日) 00:01:25

「……ん?」

→『オープンチャレンジin星見町』/『映画スター編』へ
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1459695075/817

248冷泉咲『ザ・ケミカル・ブラザーズ』:2017/08/15(火) 23:56:45
「うーみーは広いな。大きいぃなぁ」

「大きすぎるけど」

砂浜をざくざく歩いている。

249夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2017/08/21(月) 21:40:37
>>248

「その歌の続きなんだっけ?」

同年代くらいの少女がフランクに声をかけた。
白いビキニの水着を着て腰にパレオを巻き、サングラスをかけている。
砂浜にパラソルを立て、シートを敷いて寝転がっている。

250冷泉咲『ザ・ケミカル・ブラザーズ』:2017/08/21(月) 23:35:50
>>249

「ん?」

「月は昇るし、日が沈むっていうんだよ」

この方向へと振り向いた。
耳には黒いリングのピアス。
右手の中指と左手の人差し指にシルバーの指輪。
長く伸びた黒髪は海風で揺れている。
膝丈の海水パンツに白いシャツを着ており、足元はビーチサンダルだ。

「えっと……君は誰?」

「僕は冷泉咲。咲でも冷泉でも好きなように呼んで?」


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