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エレン「この長い髪を切る頃には」2

1進撃の名無し:2014/07/25(金) 18:53:56 ID:Yeod/N2g0
*続編です。ミカサ「この長い髪を切る頃には」→エレン「この長い髪を切る頃には」の続き。もう1回エレン視点で書いていきます。

*現パロです。現在、エレンの髪がちょっとずつのびています。(ミカサよりちょい長め。小さいしっぽ有り)

*舞台は日本ですがキャラの名前は基本、カタカナのまま進めます。漢字の時もあるけど、細かいことは気にしない。

*実在の人物とかは名前やグループ名等をもじっています。時事ネタも有り。懐かしいネタもちらほら。

*原作のキャラ設定は結構、崩壊。パラレル物苦手な方はご注意。

*原作のキャラ性格も結構、崩壊。原作と比べて「誰だてめえ」と思った方はそっと閉じ推奨。

*レスに対するお返事レスは返せない事が多いかも。体力温存の為。無視している訳じゃないんで、OK?

*感想は毎回有難い。でも自分の妄想話を書くのはNG。読んでいる人が混乱するから。本編と混ぜるな危険。

*雑談は雑談スレでお願いします。雑談嫌いな読者の方もいらっしゃるからね。

*現在、ジャン→ミカサ、ジャン(?)→サシャ、オルオ→ペトラ→リヴァイ←ニファ リヴァイ→ハンジ←モブリット ライナー→クリスタ←アルミン←アニ(?)←ベルトルト イアンリコあたりもちらほら。というか、そのつもりで書いています。

*安価時以外のアイデア・オリジナルの設定等の提案は禁止させて頂きます。(エレン「この長い髪を切る頃には」の時にトラブルが発生した為です)

*その代わり、安価出した時は出来る限り(多少無茶振りでも)採用する方針でやっていますので、宜しくお願いします。

*モブキャラも多数出演。オリキャラ苦手な方もご注意。キャラ濃い目。

*そんな訳で、現在設定しているオリキャラをざっとご紹介。


マーガレット(2年生♀)→大道具リーダー。漫画描ける。腐ってる女子。皆のお姉さん的ポジ。

スカーレット(2年生♀)→大道具。立体造形専門。ロボットもいける。たまに腹黒。

ガーネット(2年生♀)→大道具兼衣装。コスプレ好き。ちょっと大人しめのオタク。

アーロン(2年生♂)→役者。元野球部。高校から演劇始める。

エーレン(2年生♂)→役者。元サッカー部。高校から演劇を始める。

カジカジ(1年生♂)→役者。外見はエレンに似ています。明るい男子。愛称は「カジ」。

キーヤン(1年生♂)→役者。ジャンよりイケメン。歌上手い。

マリーナ(1年生♀)→役者。少年の声が出せる。ナレーションうまい。ほんわか系女子。


*原作のモブの名前が判明すれば……途中加入もあるかもです。

*外伝のキュクロとシャルルも出ています。二人は野球部投手とマネージャー。

*先生方の年齢設定が原作より(恐らく)若干高め設定になっています。

*リヴァイ先生(38歳)というおっさん設定に耐えられない方は御免なさい。

*加えてリヴァイ先生の潔癖症が病気レベル扱い(笑)になっているので、御免なさい。

*リヴァイ先生の性癖(?)も大分、斜めってる設定になっています。ご了承下さい。

*エルヴィン先生(43歳)も相当なオタク設定になっています。リヴァイより更に斜め方向に変態です。本当に御免なさい。

*ハンジ先生(36歳)が昔は美人だったよ設定です。ややモテキャラですが、リヴァイに比べれば蟻の触覚程度です。

*リヴァイ先生がモテ過ぎ設定です。気持ち悪いくらいモテキャラです。愛され過ぎて御免なさい。



*ラスト100レスは完成する迄、レス自重お願いします。レス足りないと書き手としてプレッシャー過ぎる。

*そんな訳で、現パロ(エレン視点編)を始めます。OK?

2進撃の名無し:2014/07/25(金) 18:55:27 ID:xF5NzjVI0
注意書きがどんどん増えているので先にスレ立てました。
続きはもうちょいかかるけど先にスレ立ててみました。
続き投下するまでに>>1の内容をざっと目を通しておいて下さい。

3進撃の名無し:2014/07/26(土) 01:14:51 ID:/LC3LqHE0




10月5日。文化祭2日目が遂に始まった。

9:00から舞台設営だが、オレ達生徒はそれより少し早めに学校に登校して、各自、クラスの出し物の準備をする。

この日はサシャのお父さんも合流して、コスプレ写真館としての本番の日を迎えた。

ミカサとアニはミスコンと演劇部の舞台があるからその時間は写真館には居られないけど、それ以外の時間で写真館に居てお客さんと一緒に写真を撮る撮影会をする事になる。

一応、予定では午前中は11:00〜12:00。

午後は16:00〜17:00までを撮影会の時間として設けている。

クラスの出し物の準備が終わった後、ミカサとアニとクリスタとサシャは10:00からのミスコンの準備の為、会場設営の方の打ち合わせに出ている。

うちのクラスからは4人選出されたようだ。舞台傍で綺麗な女子が集まってエルヴィン先生と綿密な打ち合わせをしている。

オレ達男子は部外者なので内情は知れないが、場所取りの為に早めに会場入りして前列を確保している男子も結構多い。

オレも実はその一人で、現在、アルミンと一緒に前の方の席をちゃっかり確保している。

ミカサ「エレン」

と、その時、女子に輪から外れてミカサがこっちに来た。

今は制服姿だが、ミスコンの時は自分の私服に着替えるらしい。

エレン「なんだよ? 何か忘れ物か?」

ミカサ「いえ、あの……エレンは投票の時に、自分の票を出した?」

エレン「あー悪い。結局、出しそびれたんだよな」

ミカサに出て欲しい気持ちと出て欲しくない気持ちが葛藤して、結局出さなかったんだ。

何だかそれを責められている気がして、ちょっと肩をすくめると、

ミカサ「良かった……では、今、出そうと思えば出せる」

エレン「ええ?! 今、ミカサに出せって事か?!」

と、焦っているとミカサはすぐ否定して、

ミカサ「違う。出来ればハンジ先生に1票、今、入れて欲しいの。緊急事態なので」

エレン「? どういう事だ?」

何かトラブルでも起きたのかな?

ミカサ「出場予定だった子が一人、急病で出られなくなった。出来れば20人、きっちりで予選を行いたいから、9票を獲得している女性の中から出られそうな人を選出したいそう。でも、票が足りない人を出す訳にはいかないので、緊急で今、出して欲しい。これはオフレコになるけど」

エレン「あ、ああ…数合わせにオレの票が必要って訳か」

ミカサ「そう。ハンジ先生は9票だったそうなので、エレンの1票があれば出場できる」

エレン「いいのかな? 本人はなんて言っているんだ?」

ミカサ「まだ確認していない。10票揃っていた。という事にするそうなので、エルヴィン先生が「イエス」か「ノー」か早く決断して欲しいそう」

時間も迫っているしな。しょうがねえか。

エレン「分かった。じゃあオレ、どうしたらいい?」

ミカサ「とりあえず、1度、一緒に裏方に来て」

という訳でオレはミカサと一緒に裏方にひょっこり顔を出す。

するとエルヴィン先生が「すまないね」と言っていた。

4進撃の名無し:2014/07/26(土) 01:15:32 ID:/LC3LqHE0
エルヴィン「名簿と照らし合わせて、投票していない男子の中から選出させて貰ったよ。エレン、今、ここでこっそり書いて貰えるかな?」

エレン「あ、はい」

と、用意されていた紙にささっと記入投票をして、エルヴィン先生に紙を渡した。

そしてエルヴィン先生はハンジ先生に連絡を入れて、数分後、舞台裏にハンジ先生がやってきた。

ハンジ「あー……集計ミスっていたってマジなの? 本当に私に10票入っていたの?」

エルヴィン「うん。ごめんね。こっちのミス。後、人数が1人、急遽足りなくなったから、お願いしたいんだが」

ハンジ「まーじかー! ある意味公開処刑じゃないのこれって」

エルヴィン「リヴァイと同じ事言わない。ハンジ、大丈夫だよ。君は美しい女性だから」

おおっと、さらりとリップサービスでびっくりだ。

でもエルヴィン先生が言うと嫌味には聞こえない。不思議だな。

ハンジ「えーでも、私、私服持って来てないよ? 確かテーマ別の私服の審査があるんだよね?」

エルヴィン「そこはリヴァイに協力して貰って、車でひとっ走り持って来て貰えばいい」

ハンジ「間に合うのかな……ギリギリじゃないの?」

エルヴィン「そこはこっちで調整するから心配要らない。今、必要なのはハンジの「イエス」だけだ」

ハンジ「んもー強引なんだから。分かった。じゃあ出てやろうじゃない。でも、あんまり笑わないでよ?」

と、ハンジ先生は照れている。

エルヴィン「ありがとう。じゃあリヴァイに連絡するから」

と、言ってエルヴィン先生が電話をかけ始めた。

エルヴィン「リヴァイ。私だ。すまない。今、時間あるか? ああ、1組の様子を見に行っていたのか。いやね、ちょっとこっちでトラブルが発生してね。急遽、ハンジにもミスコンに出て貰う事になったから、彼女の私服をいくつか持って来て欲しいんだ。化粧道具も出来れば。分かるよね? 時間は……そうだな。10:20分までなら尺を稼げると思う。それまでに往復できるか? 良かった。リヴァイならそう言うと思ったよ。では、頼むよ。また後で」

と、あっさり交渉は成立したらしい。

エルヴィン「ハンジ。すまないが、今からシャンプーして自分で化粧前の準備をしておけとリヴァイの指示だ。出来るね?」

ハンジ「じ、自分で洗うの? 今から? 乾かすの間に合わないんじゃ……」

エルヴィン「濡れていても大丈夫だよ。シャワー室は使える筈だから。ほら、自分で出来ない訳じゃないんだろ?」

ハンジ「うーん、出来なくはないけど雑だよ。私の洗い方は」

エルヴィン「緊急自体だから構わないよ。ほら、行って」

と、無理やりシャワー室に行かされてハンジ先生は一人でシャワーを浴びに行った。

ミカサ「エレン、ありがとう。ではまた後で」

エレン「おう」

ミカサ「………決選投票は、出来れば私に入れて欲しい」

エレン「あ、当たり前だろ! 心配するなって!」

変な心配するなよな。もう。

オレはミカサの傍を離れてアルミンの隣に戻った。

アルミン「大丈夫だった?」

エレン「おう。急遽、ハンジ先生も出場する事になったぞ」

アルミン「そうなんだ。へーそれは楽しみだね」

と、ざわざわしながら開演を待つ。

一般来場も9:30分から始まるので第一体育館の人の気配がどんどん増えてきた。

おおお。期待感で皆、ワクテカしているのが分かる。男だからな。

女子もちらほら観客の中にいるけど、やっぱり人数的には男子の方が多かった。

そして時間になった。10:00になってエルヴィン先生が舞台に登場した。

こちらも燕尾服だ。エルヴィン先生、体格いいから似合うなあ。

インカムをつけた姿でマイクテストを入れて、エルヴィン先生が舞台中央に躍り出た。

5進撃の名無し:2014/07/26(土) 01:16:59 ID:/LC3LqHE0
>>3
訂正。
ミカサ「出場予定だった子が一人、急病で出られなくなった。出来れば16人、きっちりで予選を行いたいから、9票を獲得している女性の中から出られそうな人を選出したいそう。でも、票が足りない人を出す訳にはいかないので、緊急で今、出して欲しい。これはオフレコになるけど」

トーナメント形式なので16人です。数字ミスです。

6進撃の名無し:2014/07/26(土) 01:18:23 ID:/LC3LqHE0
あ、予選じゃなくて本戦やね。間違えた。
まあ、いいか。とにかく、そういう事です。

7進撃の名無し:2014/07/26(土) 01:19:13 ID:/LC3LqHE0
エルヴィン『男子諸君、男性諸君、そして淑女の皆様方。大変お待たせ致しました』

ざわざわざわ………

エルヴィン『我が校伝統のミスコン、第20回目を迎えるこの記念すべきこの日。天気も味方して快晴となり、美少女達の宴を祝福しているようです』

何だか詩人だな。エルヴィン先生。勿体ぶっているぜ。

エルヴィン『今年も色とりどりの美しさを競い合って貰います。野郎ども! 心の準備は出来ているか?!』


おおおおおおおおお!


会場が一気に轟いた。やべええ! オレもテンション上がってきたぜ!

エルヴィン『ではこれより第20回講文祭ミスコンテストを開催致します! みなさん、拍手をお願いいたします!!』


わああああああ……

パチパチパチ………


エルヴィン『ルールを先に説明させて頂きます。このミスコンはトーナメント形式になっており、抽選で選ばれた女性はテーマに合わせていろんな課題をこなして貰い、一騎打ちをして頂きます。4回勝ち上がれば晴れて優勝となり、景品が贈られる事になります! 会場の皆様は、勝負の際、その都度、メダルを1枚ずつ配布いたします。メダルを一枚、集計籠に入れていただき、天秤が傾いた方が勝者として決定致します!』

おおおおお。単純明快で分かりやすい勝負だな。

エルヴィン『では、まずは第一回戦を行っていきたいと思います。一回戦のテーマはこちら!』

ジャジャン♪


『彼氏と初めての外出デート。その時に着る私服は?』


エルヴィン『初めての外出デートの時にどんな私服を着ていくのか。そのセンスを競い合って頂きます! 外出先の内容は自分で設定してOK! 海でも山でも遊園地でも、自分の想像で私服を選んで頂きます! ではまず、エントリーナンバー1! 1年1組のミカサ・アッカーマン!』

おおおおお?! いきなりミカサが来た! 制服姿のミカサだ。

エルヴィン『対するはエントリーナンバー2! 1年2組マリーナ・イノウエ!』

マリーナもきた! まさかの劇部対決だ!

エルヴィン『二人には3分以内に私服に着替えて貰います。私服の内容は予め自分で決めて貰っているので、それに着替えて貰います。時間が過ぎた場合はポイントが秒数毎に1gのマイナスポイントになるので、時間は厳守するように。では、早速着替えタイムに入って頂くよ! それでは、スタート!!』

持ち時間3分?! 相当な早着替えだな! 間に合うのか?!

ああ、でもその辺も考えて直感で私服を選ばないといけないのか。

着替える時間のかかり過ぎる私服はNGって事なんだな。

そしてあっという間に3分が過ぎて二人の準備が整った。時間はオーバーしなかったようだ。

エルヴィン『では先行はミカサ! 入場!!』

ちゃらららら〜♪

それっぽい音楽と共にミカサが舞台に出てきた。

8進撃の名無し:2014/07/26(土) 01:21:00 ID:/LC3LqHE0
おおおおおお!!!

麦わら帽子(ピンク)と、シンプルな白っぽいフレアスカートのワンピース。サンダル。夏のお嬢さんスタイルキター!!!!

これはアレだ。どう考えても「海」を想定した外出服だな。超可愛い。

エルヴィン『何故、この私服にしたのかな?』

ミカサ『エレ……んん、彼氏と海に行くならこの恰好かと』

エルヴィン『いいねー今年の夏、彼氏と海に行ってきたとか?』

ミカサ『皆、とですけど。海にはいろいろと思い出があります(ポポポ)』

うわああああ恥ずかしいなあ!! あの時の事を思い出しちまうぜ!

エルヴィン『いいねー青春しているねー。続いては後攻! マリーナ登場!』

ロングスカートとフリルのブラウス。全体的にフェミニン系の女の子らしいスタイルだ。

手にはバスケットを持っている。これは恐らく『ピクニック』を想定した外出服だろう。

エルヴィン『何故、この私服にしたのかな?』

マリーナ『やっぱり初デートは自分で作ったお弁当を彼氏に食べて貰いたいので、ピクニックを想定しました』

と、言うと、男子は一気に「おおおお」と感心した。

しまった! 女子力アピールをされちまった!

ミカサも女子力(料理)なら負けてねえのに、これはちょっと不利か?

そしてすぐに集計が始まった。皆、どんどん大籠にメダルを放り入れている。

オレもすぐにミカサ側にメダルを1枚入れた。結果は………

エルヴィン『んん〜天秤が微妙だけど、どうやら3グラム差でミカサの勝利のようだね! 1回戦の勝者はミカサ・アッカーマン!』

ミカサ『よし! (ガッツポーズ!)』

僅差で勝った! これは名勝負だったな。

エルヴィン『マリーナも惜しかったね。でも、気を落とさないでね』

マリーナ『はい。勝負は時の運ですもんね』

9進撃の名無し:2014/07/26(土) 01:23:28 ID:/LC3LqHE0
エルヴィン『では続いては………』

と、少し進んで1回戦、第3組目。

エルヴィン『エントリーナンバー5番! 1年1組クリスタ・レンズ!』

エルヴィン『エントリーナンバー6番! 3年1組ペトラ・ラル!』

選ばれたのは、何とクリスタとペトラ先輩だった。

おおおお! 小柄な女子対決になりそうだな。

3分間の早着替えののち、2人が出てきた。

先攻はクリスタ。クリスタは意外や意外。ジーンズにキャミソールに薄手の上着。スポーティな帽子を被っていた。

エルヴィン『おや? 思っていたより活動的な格好だね。デートの場所は?』

クリスタ『外出デート、という事だったので、外出先にどこでも対応できる格好にしました。あ、スポドリも持参です』

エルヴィン『なるほど。相手に合わせて想定したんだね。相手の色に染まるタイプか』

リヴァイ先生と同じだな。なるほど。

クリスタ『はい。あ、でも、キャミソールはボタンの前開きタイプなので、そこがオシャレのポイントです』

と、言い出したので男子が一斉に生唾を飲み込んだ。

クリスタ、策士だな。あいつ、男の心を掴むのが上手いタイプと見た。

所謂、あざとい感じだな。天然小悪魔系って奴なのかな。

でもオレにはどうもそれが「演技」に見える時があって、ちょっと苦手だ。

あいつ自身、自分の気持ちが見えなくなってねえか心配になるけど。

エルヴィン『なるほど。オシャレのポイントを絞った訳だね。素晴らしい』

エルヴィン『では続いては後攻! ペトラ・ラル!』

ペトラ先輩も下はジーンズだった。ただしこっちは脹脛が半分見えるタイプだ。

上はベアトップの服に上着を重ね着して、髪を少し束ねて上にあげて、項を見せている。

ちょっと大人っぽい感じになっている。普段はおかっぱだから、ギャップがあっていいな。

エルヴィン『ペトラも似たようなスタイルで来たね。想定はどこかな?』

ペトラ『ドライブです。出来ればオシャレなカフェに連れて行って貰いたいのでこのスタイルにしました』

もうそれ、リヴァイ先生とのデートを想定しているようなもんじゃ……いや、まあ、妄想だからいいんだよな。うん。

エルヴィン『なるほど。食事の時にベアトップでいくとは、胸の谷間をチラ見せする気満々だね?』

ペトラ『い、いえ! そ、そういうつもりでは……(赤面)』

エルヴィン『いや、いいんだよ。むしろそれくらいの戦略が出来ないとダメだよ。では集計に参ります!』

という訳で集計に入った。結果は………>>10になった。

(*どっちが勝つか。安価とった方に委ねます。勝者を指定して下さい)

10進撃の名無し:2014/07/26(土) 01:49:10 ID:EOnkwLVs0
ペトラ
先輩の意地で勝利
後にハンジ先生と対決でもいいw

11進撃の名無し:2014/07/26(土) 02:11:46 ID:/LC3LqHE0
エルヴィン『んん〜10グラム差でペトラの勝利だね! おめでとう!』

ペトラ『よし!』

エルヴィン『クリスタ、残念だったね。マニュアル通りでは男心は落とせない事もあるよ?』

クリスタ『勉強になりました……(がっくり)』

あ、やっぱり。あいつ、そういう読本を参考にして衣装を決めてきたんだな。

自分の意志が反映されてないんじゃ、男の方もそれに気づくよな。

もしそれに気づかないような男と付き合ったら、多分、幸せになれねえぞ。クリスタ。

1回戦4組目。アニが出てきた。相手の女子は知らない子だった。

アニの圧勝だった。あいつの私服、アーミー風の、ボーイッシュな格好いい衣装だったけど、アニの雰囲気に合っていて凄く良かった。

1回戦5組目。リコ先生と保健医のアンカ先生だった。大人対決だ。

リコ先生は明るめの淡い薄紫色のスーツとタイトスカートだった。普段はジャージ姿が多いから新鮮だな。

この恰好なら飲み屋もOK。コンサートや野外活動もある程度こなせるからそれにしたそうだ。

対するアンカ先生は、黒のワンピース姿だった。結婚式で着るような感じの装いだ。想定は『夜のバー』だそうで、大人の色っぽさがある。

エルヴィン『では、集計に入ります! 大人の色気対決は果たしてどちらに軍配があがるか?!』

という訳で集計に入った。結果は………>>12になった。

(*どっちが勝つか。安価とった方に委ねます。勝者を指定して下さい)

12進撃の名無し:2014/07/26(土) 02:43:26 ID:EOnkwLVs0
アンカ先生
分かりやすいお色気に男子高生の票が入ると予想

連取すまん
次は自重する

13進撃の名無し:2014/07/26(土) 07:27:41 ID:/LC3LqHE0
エルヴィン『20グラムの差でアンカ先生の勝利です! おめでとう!』

パチパチパチ……

エルヴィン『残念だったね。リコ先生。ちょっとスーツのデザインが硬かったのかもしれないね。胸をチラ見せしたらまた結果が違ったかも?』

リコ『?! そ、その発想はなかった……すまん』

エルヴィン『そんな真面目なところがリコ先生のいいところでもあるけどね(ウインク☆)』

リコ『そ、そうか……(困惑顔)』

エルヴィン『うん。私はリコ先生の衣装も嫌いじゃなかった。今度飲みに行こうか』

男子生徒「エルヴィン先生ーナンパしないで先に進めて下さいー!」

エルヴィン『おっとそうだった。ごめんごめん。では続いては1回戦6組目!!』

ニファ先輩とサシャがきた。おおお。ここも好カードがきたな。

ニファ先輩も髪を上にあげて項を見せてきた。暗めの赤色のハイネックのワンピースだ。

対するサシャは……おおおお? 珍しく髪をおろしている。美少女ごっこをした時のサシャだ。

しかもこっちもワンピース姿だ。薄いピンク色の、ちょい肩見せのワンピースだ。

膝丈は……どっちも膝が丁度隠れる程度だ。いいな。上品な感じだ。

これが膝上になると、途端に下品になるから不思議だよな。黄金の比率だぜ。

エルヴィン『ここはワンピース対決になったね。ニファの想定は?』

ニファ『私もドライブです。ただし、目的地は演劇鑑賞とかコンサートですね。能や歌舞伎でもいいですけど』

エルヴィン『おおっと、なかなか渋い趣味をしているようだ。いいねー』

エルヴィン『サシャはどこを想定しているのかな?』

サシャ『はい! 当然、ケーキバイキングです! バイキングの時はお腹が苦しくないワンピースが必須です!』

あちゃーサシャ。完全に趣味丸出しにしやがった。これはまずい。

男はケーキバイキングなんか行かねえぞ。いや、アルミンなら行くかもしれんけど。

サシャ『あ、ケーキじゃなくても、普通のバイキングでも構いませんよ。というか、食事ならどこでもいいです。北海道まで日帰りで行って帰ってきても私、ついていきますからね!』

どんだけ行動派だよ。すげえなサシャは。

エルヴィン『ふふ……こういう素直な子は好感度高いね。では集計に行こうか!』

という訳で集計に入った。結果は………>>14になった。

(*どっちが勝つか。安価とった方に委ねます。勝者を指定して下さい)

14進撃の名無し:2014/07/26(土) 08:13:20 ID:SslvlA5I0
次の衣装も食べ物に絡むのか気になるから
サシャ!

15進撃の名無し:2014/07/26(土) 15:34:30 ID:/LC3LqHE0
エルヴィン『5グラム差でサシャの勝ちだね。おめでとう!!』

サシャ『あざーっす!!』

エルヴィン『残念だったね。ニファ。僅差だったか』

ニファ『ですね……しょうがないです(がっくり)』

エルヴィン『そう、気を落とさずに。私でよければ今度歌舞伎に連れて行こうか?』

男子生徒「エルヴィン先生、犯罪臭がしますよー!」

どっと笑いが起きて会場が轟いた。

エルヴィン『おっと、危ない危ない。捕まるところだった。では続いては……』

7組目は知らない女子だったので省略する。

そして8組目。遂に1回戦の最後の対決だ。

エルヴィン『エントリーナンバー15! イルゼ先生!』

エルヴィン『エントリーナンバー16! ハンジ先生!』

二度目の先生対決だ。イルゼ先生はチュニックタイプのゆったりとした、でもそれでいて色気のある衣装を着ていた。

下がレギンスだ。足のラインが綺麗だなあ。

髪の毛もちょっとふわっといじっていて、可愛い。

やっぱり女性って衣装やメイクや髪型で大分印象が変わるんだな。

エルヴィン『この感じだと、居酒屋飲みかな?』

イルゼ『はい。居酒屋の飲みって、基本みたいですよね。ハンジ先生に習って勉強しようと思って』

エルヴィン『ハンジのは、あれは自分の趣味だからね。まあでも勉強するのは悪い事じゃないよね』

エルヴィン『………おや? 着替え終わっているのにハンジの方が出てこないね』

と、エルヴィン先生が一回、舞台袖の方に声をかける。

エルヴィン『準備は終わっているんだろ? 早く出て来て』

ハンジ『えええ……本当にこれでいくの?』

エルヴィン『似合っているんだからいいじゃないか。ほら、早く』

ハンジ『とほほ……』

そして出てきた、ハンジ先生の衣装はなんと………




ざわっ………




予想の斜め上を行く完成度に皆、度胆を抜かれた。

ハンジ先生は眼鏡を外して軽い化粧をして口紅だけつけている。

髪の毛は上にアップして、毛先を遊ばせている。

そして、体の線に沿ってキラキラ輝く深緑色のドレス。

そう。社交ダンスをする時のような煌びやかなフィットしたドレスを着て来たのだ。

16進撃の名無し:2014/07/26(土) 18:06:02 ID:/LC3LqHE0
これ、声がハンジ先生じゃなかったら完全に別人だと勘違いするレベルだ。

海で声かけられた時の比じゃない。もう誰だお前レベルで別人だった。いい意味でな。

エルヴィン『気合入っているね。想定は何処かな?』

ハンジ『うーん、多分、ダンスパーティーとかかな? 創立記念パーティーとか。結婚式とか、セレブな方の誕生日会とか? もうその辺のレベルの衣装だよね。初デートとかに着る服じゃないってあれほど……(ブツブツ)』

エルヴィン『いや、それは相手次第だよ。ハンジ。もしお金持ちのご子息とデートするのでればそれで間違っていない』

ハンジ『ああそうか。いやでもね、これは幾らなんでも気合入り過ぎじゃない?』

エルヴィン『いいんじゃない? たまにはこういうハンジ先生もいいよね?』

男子生徒「いいと思いまーす!」

と、すぐに返事がやってきた。会場は拍手喝采だった。

ハンジ『あ、そう? うーん。でもこれ買ったの、もう8、9年前くらいになるのよね。リヴァイが三十路になった時に買ったから、デザイン古くない? 大丈夫かな?』

おおおお? 会場がどよめいた。まさか、まさかだけど。

男子生徒「買って貰ったんですかー?!」

ハンジ『あーうん。ちょっといろいろあって、ね。押し付けられたの。こっちは「要らないってば!」って何度も突き返したんだけどね。実は私、ダンスの講師の免許を持っているんだ。その資格を取った時に一緒にこれ、貰っちゃったのよ』

エルヴィン『という事は、社交ダンス用の衣装って事で頂いたんだね』

ハンジ『そうそう。だから踊ろうと思えば、今でも踊れるよ♪』

おおおお……それはぜひ見てみたいけど。

エルヴィン『ふふっ…それは是非見てみたいけど、ちょっと時間がないからまた今度にしようか』

ハンジ『そうだね。ま、いつか機会があれば披露してあげるよ』

エルヴィン『という訳で、集計をお願いいたします!』

という訳で集計に入った。結果は………>>17になった。

(*どっちが勝つか。安価とった方に委ねます。勝者を指定して下さい)

17進撃の名無し:2014/07/26(土) 19:26:11 ID:2yPwH95k0
うーん…迷うけどイルゼ
イルゼたんかわいいよ

18進撃の名無し:2014/07/26(土) 19:58:22 ID:/LC3LqHE0
エルヴィン『ん〜これは微妙だね。2グラム差かな? 僅差でイルゼ先生の勝利だね。おめでとう!』

イルゼ『あ、ありがとうございます…(困惑)』

ハンジ『おめでとうー! (拍手)』

エルヴィン『惜しかったね。ハンジ』

ハンジ『いや、むしろ大健闘じゃない? 私、頑張った方じゃない? 十分だよ』

ハンジ『票を入れてくれた子達、ありがとうねー!』

と、ニコニコしながら手を振って舞台から去っていた。

しかしその後、音声のミスなのか、舞台裏の音が漏れて……

ハンジ『リヴァイー! 頭外してーこれ重いんだけどー』

リヴァイ『ああ、ちょっと待ってろ(ゴソゴソ)』

ハンジ『んもう、何でこの衣装持って来ちゃったの。もうちょっと普通ので良かったのに』

リヴァイ『ああ? デート場所の設定は俺に任せるって言っただろうが』

ハンジ『いや、初デートだからね?! 初めてでこれって、ちょっと豪華絢爛過ぎるよね? 皆、びっくりしていたよ? 初デートで社交ダンスってどこのセレブ設定なのよ私は』

リヴァイ『………………すまん。そう言われれば確かにそうなんだが』

リヴァイ『ハンジには、その色の、深い緑色が一番似合うと思ってな。つい、それを咄嗟に選んでしまった』

ハンジ『ん〜……まあ、そういう事ならしょうがないけどさ。うん、でもありがとう。協力してくれて』

リヴァイ『ああ……無事に終わったなら良かった。………ハンジ』

ハンジ『何?』

リヴァイ『服を持ってきた俺が言うのも何だか、その服は確か俺が三十路になった年に買った物だったよな』

ハンジ『そうだよ』

リヴァイ『お前、その頃から体型全く変わってないんだな。よく考えたら、凄い事じゃないのか?』

ハンジ『あーそう言われればそうだね。体型変わってないね』

リヴァイ『普通はそのくらいの年齢から少しずつ、身体のバランスが崩れてきてもおかしくはないと思うが』

ハンジ『ん〜本当だね。珍しいよね。私、あんまり体重が変動しないんだよね』

ハンジ『やっぱり、ずっと、リヴァイのご飯を食べさせて貰っていたからじゃない?』


ざわざわざわ……?!


会場が一気にざわめいた。まずい。これ以上は、音を拾わない方がいい。

音声さん、まだかよ?! 早く遮断しろよ?!

リヴァイ『…………そうか。だとすれば、飯を作り与え続けた甲斐があったな』

ハンジ『ん〜でも、もういいよ。リヴァイ』

リヴァイ『え?』

ハンジ『もう、私、あんたにこれ以上、甘えるの、やめる事にするからさ』


ざわざわざわ……?!


リヴァイ『え…………』

ハンジ『今まで、ありがとうね。本当に感謝している。でも、もう、あんたとはちゃんと線引きしないといけないって、分かったんだ』

リヴァイ『…………』

ハンジ『…………ごめ…(ブツ)』


音声が途中で途切れた。やっと回復したのか。

会場が何が起きたのか分からずずっとざわざわしている。

エルヴィン先生もさすがに冷や汗を掻いていて、この事態をどう収集するべきか途方に暮れているようだ。

19進撃の名無し:2014/07/26(土) 20:12:48 ID:/LC3LqHE0
エルヴィン『えー……2回戦に向かう前に5分間の休憩を入れたいと思います。皆様、もう暫くお待ち頂きますようお願いいたします』

と言い捨てて慌てて舞台裏に走って行ったエルヴィン先生だった。

会場が、どよめいている。

今のって、どう聞いても、なんか、その…。

アルミン「ハンジ先生の方から別れ話を切り出したような感じだったね」

エレン「あ、アルミンもそう思ったか?」

アルミン「うん………今のはきついね。昨日の今日で、急転直下過ぎるよ」

どうすんだよ。リヴァイ先生。午後から舞台もあるっていうのに。

こんなに精神的にしんどい事を抱えながら舞台に立てるのか?

ざわめきはまだ止まない。皆、このまま待っていていいのかどうか迷っているようだ。

どうしよう。裏方の様子が分かる奴に話を聞きたいけど、首突っ込むのもダメだよな。

あ、裏方から白衣に着替えたハンジ先生が先に出てきた。

その眼鏡の奥は悲しげに沈んでいて、少しだけ涙の跡が見えた。

いかん。観客がもう、ハンジ先生の方に釘づけだ。

ミスコンよりもハンジ先生の様子が気になっている。

オレはすぐさま席を立って、ハンジ先生のもとへ駆け寄って観客の視線から庇うように会場を脱出した。

もし根掘り葉掘り聞いてくる奴が現れたらバリケードになってやらないと。

するとアルミンも後からこっちに追いかけて来て、オレ達2人は逃げるようにハンジ先生をそこから脱出させた。

とりあえず落ち着かせる場所を探さないと。どこがいいかな。

20進撃の名無し:2014/07/26(土) 20:45:30 ID:/LC3LqHE0
エレン「アルミン、とりあえずどこに連れて行こうか」

アルミン「うーん、あんまり人目につかないところがいいよね。あ、占い館ならどう? あそこは個室あるし。逃げようよ」

エレン「そうだな。一回そこに逃げるか」

マーガレット先輩の2年1組に急いで移動する。占い館の中は人も少なめで、暇そうにしている占い師がいた。

マーガレット先輩本人じゃなかったけど、多分クラスの人だろう。

取り敢えずそこの占いの個室席に座らせて、暫くそこで落ち着かせる事にした。

占い師「………ハンジ先生、どうかされたんですか?」

ハンジ「ううん、何でもないの」

占い師「何でもないって顔じゃないですよ。あ、良かったら悩みに合わせて占いましょうか?」

ハンジ「占い?」

占い師「はい。1回100円ですけど」

ハンジ「私、あんまり占いって信じない方なんだけど……」

占い師「まあまあ、気休め程度で聞いて貰えれば。暇つぶしにやってみて下さいよ」

ハンジ「………分かった」

良かった。とりあえず、ハンジ先生の顔が上がった。

占い師「12星座でいいですかね? 誕生日は……」

ハンジ「……9月5日」

占い師「乙女座ですね。分かりました……(パラパラ)」

マニュアルが一応あるからそれになぞって占いを始める。

オレ達2人はそれを後ろで見守っていた。

占い師「そうですね……乙女座の方が不安になりやすいのは『相手に合わせ過ぎようとして疲れた時』とありますね。ここ最近、相手の要望に応えようとし過ぎて振り回された経験はないですか?」

きっくー! ある。あるぜ。リヴァイ先生絡みでな。

スカート事件だとか、キス(ガムテ越し)事件とか。さっきのミスコンもそれに入るかも。

ハンジ「んー? んー……合わせようという意識はないけど、なんかいつの間にか合わせている事はあるかもしれない」

占い師「では、心当たりは一応あるんですね」

ハンジ「んーあると言えばあるけど……」

占い師「だとしたら、今は我慢しないで全て吐き出して下さい。不安を解消するには『泣きたい時は思い切り泣いて』とあります。自分を大切にする事が、これから先、生きていくのに必要な儀式であると、そう出ていますよ」

ハンジ「!」

その直後、ハンジ先生は硬直して、プルプルと震えだした。

ハンジ「今、泣いてもいいの……?」

占い師「泣かないとダメです。占いにはそう出ていますよ」

ハンジ「じゃあ、今、ここで、泣いてもいい? 泣いても、いいよね?」

占い師「大丈夫です。ハンカチとティッシュは準備万端ですから」

そしてハンジ先生はその直後、本当に崩れたように泣き出した。

大人だから、声は出さない様に殺しているけど、ぽろぽろと溢れているその涙を見ると、

こちらまで貰い泣きしそうになる。

21進撃の名無し:2014/07/26(土) 21:10:31 ID:/LC3LqHE0
ハンジ「ごめん……ごめん……リヴァイ、本当に……ごめん…………」

ずっと、リヴァイ先生に謝っていた。罪悪感からずっと、涙が止まらないようだ。

ハンジ「私が、ほっぺならいいなんてリヴァイに言わなければ……良かったのよ。私は彼女達のリスクを知っていたのに。舞台の空気に酔って、しまったせいで……あの子達は、私のせいで殺してしまった……」

懺悔の念。後悔の念に囚われてハンジ先生は泣き続けた。

ハンジ「もう、私はリヴァイの傍に居られない。あいつの友達としても、もう………」

大事な物をズタズタにされた恐怖からハンジ先生は怯えていた。

愛の恐怖を。実際に体験して初めて、震えているんだ。

ハンジ「ごめん……リヴァイ………うっ………ううう………」

ハンジ先生は一通り嗚咽を吐き出すと、少し落ち着いてお金を差し出した。

ハンジ「ありがとう。少し泣いてすっきりしたよ。500円玉しかないからこれでいい? お釣りは要らないから」

占い師「え? ああ……ありがとうございます」

ハンジ「エレンもアルミンもありがとう。2人とも、ミスコンに戻っていいよ」

エレン「でも……」

ハンジ「折角、彼女が出ているんだから応援してあげないと。ね?」

ハンジ先生の涙の跡が痛々しかったけど、オレは首を横に振った。

エレン「ダメです。今のハンジ先生を一人にしてはおけないです」

アルミン「エレン…(首振っている)」

エレン「でも、アルミン」

アルミン「一人の方がいい場合もあるよ」

エレン「…………」

ハンジ「もう大丈夫だよ。うん。こういうのは時間が解決してくれるって、分かっているから」

と、ハンジ先生はそう言って席を立った。

するとそれを入れ替わる様に、

モブリット「あ、ハンジ先生。探していました。あの……少しお話ししたい事が」

ハンジ「え? 何?」

モブリット「大事な話なので、2人きりになれるところでお願いしていいですか」

ハンジ「分かった。いいよ。じゃあね、エレン、アルミン」

モブリット先生がハンジ先生についていった。モブリット先生が傍にいるなら大丈夫かな。

気にはなったけど、オレとアルミンはミスコン会場の第一体育館の方に戻った。

もう、場所を取っていた前の席には戻れない。しょうがないから後ろの方で立ち見だ。

一応、ミスコンの方は再開していたようだ。2回戦に入って、ミカサは順調に勝ち上がり、次はペトラ先輩とアニの対決に入っていた。

22進撃の名無し:2014/07/26(土) 21:44:46 ID:/LC3LqHE0
2回戦のテーマは『ドキ☆ 彼氏の突然の訪問! 慌ててコーディーネートしたその私服は?』という物だった。

2回戦2組目は僅差でアニが勝ち上がり、準決勝1組目はミカサとアニの直接対決が決定した。

2回戦3組目はアンカ先生とサシャが対決して、ここも無難にサシャが勝ち上がった。

2回戦4組目の方はイルゼ先生が勝ち上がった。これで4ベストが出揃った。

エルヴィン『3回戦のテーマはこちら!』

ジャジャン♪


『彼氏との初めての夜デート♪ もしかして……の時に着る私服は?』


という何とも色っぽいお題だった。

ミカサは薄い水色のゆったりめの長袖シャツ、ややタイトなミニスカートで登場した。

ミカサ、足長いからすげえ映える。でも腕は隠すのか。不思議なバランス感覚だな。

手首のところはふわっと絞ってある。髪型はいつものおかっぱだ。

対するアニは黒をベースにしたフリルのシャツにやはりこちらもミニスカートだ。

ただしこっちはチェックの制服風だ。アイドルがよく着ているスカートに近い。

エルヴィン『……という訳で、皆様、集計をお願いいたします!』

という訳で集計に入った。結果は………>>23になった。

(*どっちが勝つか。安価とった方に委ねます。勝者を指定して下さい)

23進撃の名無し:2014/07/26(土) 23:12:04 ID:I9JkDQb60
ミカサ!!

24進撃の名無し:2014/07/27(日) 01:04:01 ID:K2mZFeb.0
ハンジ切ない…
うるっときてしまった
続き楽しみにしてます

>>23
よくやった!

25進撃の名無し:2014/07/27(日) 02:00:38 ID:8RA2FW3I0
ハンジせんせー(T-T)
リヴァイ先生男を見せてください!!

ミカサ優勝してくれ

26進撃の名無し:2014/07/27(日) 03:18:08 ID:3.u7L/RE0
エルヴィン『おおおっと! これは奇跡に近い。1グラム差でミカサの勝利だ! 大接戦だね!』

会場が轟いた。これは名勝負だった!

エルヴィン『紙一重だったね。アニ、惜しかった』

アニ『ここまでこれただけでも十分です。ミカサ、後は優勝するんだよ』

エルヴィン『おおっと、健闘を称えたった握手です。皆さん、拍手を!』

パチパチパチパチ………!

エルヴィン『3回戦2組目にいきます!』

サシャとイルゼ先生の対決だ!

サシャは今度は御団子頭にしてアップにしている。紺色のベースの水玉のシンプルなワンピースだ。

イルゼ先生はハイネックのオレンジがかったワンピースだ。柄はないけど、レースがあって綺麗だ。

エルヴィン『またもやワンピース対決だね。ワンピースが好きみたいだね。サシャ』

サシャ『あ、はい。私服はほとんどワンピースで、たまにロングスカートですかね』

エルヴィン『やっぱりウエストがゆったりしている方が好きなのかな?』

サシャ『それもありますけど、脱ぐのも着るのも楽なんですよ。ファスナーで一気にがっとしゃっとやればすぐ着脱できるので』

おおおお。サシャにしてはいいことを言っている。

エルヴィン『ふふ……なるほど。それはいい装備だね。対するイルゼ先生もワンピースで来たね。オレンジ色が良く似合ているよ』

イルゼ『厳密に言うと、サーモンピンクになるんですけどね。薄いオレンジだと思います』

なるほど。いやでも、どっちも似合っていて、どっちに投票したらいいんだこれ。

ジャン『………………』

あ、良く見たらジャンがオレの前の方の席に居た。あいつ、耳を赤くしてやがる。

やっぱりサシャの事、気になっているんじゃねえのかな。素直じゃねえよな。

エルヴィン『……という訳で、皆様、集計をお願いいたします!』

ここでミカサの決勝戦の相手が決まる。果たしてどちらになるか……。

エルヴィン『おおおっと! またまた奇跡が起きた。1グラム差でサシャの勝利だ! 今年は本当に激戦だ! おめでとう!』

サシャ『ありがとうございまああああす!!!』

サシャが飛び跳ねた。これは若さの勝利かな。

エルヴィン『ついに決勝のメンバーが揃いました。エントリーナンバー1! ミカサ・アッカーマン対エントリーナンバー12! サシャ・ブラウス! 2人の決選投票は3分の休憩後、行いますので皆様、今しばらくお待ちくださいますようお願いします』

という訳で3分間の短い休憩が入る。

ミカサがやっぱり決勝まで残ったか。でも何気にサシャも生き残ってすげえな。

あ、ジャンが頭を抱えだした。ここはもう、誤魔化しきかないからなあ。

27進撃の名無し:2014/07/27(日) 03:32:43 ID:3.u7L/RE0
エレン「おい、ジャン」

ジャン「うああああ?! 誰かと思ったらエレンかよ?!」

エレン「お前、さっきの投票、サシャに入れたんだろ?」

ジャン「んなわけねえだろ?! イルゼ先生に入れたよ」

マルコ「嘘ばっかり……サシャに入れたでしょ。ジャン」

ジャン「うぐっ……! ま、マルコ、ばらすなよ(眉歪める)」

エレン「サシャ可愛いじゃねえか。何が不満なんだよ」

ジャン「か、可愛くねえよ。ミカサに比べたら月とスッポンだろうが」

アルミン「でもサシャはスッポン食べそうだけどね」

ジャン「うっ……そういう意味じゃねえよ。その、全然タイプが違うだろうが!」

エレン「そりゃそうだけど、それとこれは関係ないだろ? お前、何でそこまで頑なになるんだよ」

ジャン「うー……」

ジャンが頭を抱えている。

ジャン「分からん! そもそも、他の女に目配っている場合じゃねえし!」

アルミン「やっぱりアレ? サシャが美少女ごっこした時にギャップにやられたとか?」

マルコ「ああ、確かにあの時のジャン、面白かったよね。まっさきに動揺していたし」

エレン「ああ、うちに皆で集まった時のアレか。あの美少女サシャバージョンに堕ちたのか」

ジャン「うぐっ……!」

ジャンは本当に面食いだな。いや、オレもある意味そうなんだけど。

ジャン「違う違う違う! 断じてオレは!」

エレン「はいはい。まあ、どっちでもいいけどな。あ、そろそろ決選投票始まるみたいだぞ」

ざわざわざわ……

ドラムロールが始まって照明がクロスし始める。

おおお。盛り上がってきたな。どうなるんだろう。

28進撃の名無し:2014/07/27(日) 04:08:54 ID:3.u7L/RE0
エルヴィン『お待たせいたしました。決勝戦のテーマを発表いたします。決勝にふさわしいテーマはこちら!』

ジャジャン♪


『彼氏との初めての一泊旅行デート。もう迷わない夜に着る寝間着は?』


寝間着?! 寝間着で勝負って、ちょっと刺激強すぎるだろ?!

誰だよこのテーマ考えた奴。天才過ぎる。御捻り投げ入れてえ。

エルヴィン『ついに迎えた2人の夜。その時に着る服こそが最も気を遣うべき服だと私は考えます。あ、勝負下着姿で出てくる訳じゃないから勘違いしない様に。あくまで寝間着だからね』

どっと笑いが起きた。つまりパジャマ対決って事だよな。うん。

エルヴィン『では、準備が出来たようです。まずは先攻! ミカサ!』

普通のパジャマかな。まあもう、それだけでオレは十分なんだけど。

…………とか思っていたら、オイオイ! まさかの浴衣キタあああああ?!

え? 何で? これって、あ! そっか!

旅館に泊まった時のイメージなのか。あの夏の続きを、もしかしてミカサは……。

そう想像したら、オレの息子はびくっと反応しかけてマジでヤバかった。

くそおおおお………アレ思い出すと今でも恥ずかしい。

エルヴィン『浴衣とは、なかなか渋いね』

ミカサ『旅館に泊まるのであれば、こちらの方がいいと思ったので』

エルヴィン『うんうん。いいねー。着付けもうまいね。自分でやったの?』

ミカサ『はい。出来ます。母に習っているので』

エルヴィン『現代の大和撫子がここに生き残っていたね。これは国で保護しないと』

と、言うと皆「異議ナーシ!」と笑っていた。

対するサシャは、またまたピンク色だった。おおおお? フリルのネグリジェだ!

髪もおろして寝る準備万端って感じだな。こっちもこっちで可愛い。

エルヴィン『こちらはネグリジェか。普段からこれなのかな?』

サシャ『はい! これだとお腹だけ冷やす事が少ないので、この恰好で寝ますね。パジャマだと、しょっちゅうお腹がつっと出て、冷やしちゃうんですよ』

つっと出るは「はみ出す」という意味だ。ちょっと分かりにくいかもしれないが方言だな。

エルヴィン『うむ。健康にもいい寝間着だね。さて、両者が出揃ったところで最終決選投票を行います!』

という訳で集計に入った。結果は………>>29になった。

(*どっちが勝つか。安価とった方に委ねます。勝者を指定して下さい)

29進撃の名無し:2014/07/27(日) 04:51:37 ID:kjI3M8a20
これはミカサだな

30進撃の名無し:2014/07/27(日) 05:38:24 ID:0y.thDvg0
エルヴィン『おおっと、5グラム差でミカサの方が重いね! これは浴衣の方に軍配が上がった! という訳で、第20回講文祭ミスコンテストの優勝者は1年1組ミカサ・アッカーマンに決定いたしました! おめでとう!!!』

わあああああ!

BGMが変わって一気に会場が盛り上がった。アシスタントの女性がトロフィーを持ってくる。

それを受け取ってミカサは綺麗にお辞儀をした。うーん。所作も完璧だぜ。

オレ、改めて見るとすげえ幸せな男だなと思った。

だってこんなに可愛い子を彼女にしているんだぜ? 自慢しか出来ねえだろ。

ジャンも拍手をしていた。そういえばこいつ、結局どっちに票を入れたんだろ?

エルヴィン『さて、優勝者であるミカサには記念にくまもんのお米10キロが贈呈されます。美味しいお米だから是非食べてね』

サシャ『お米えええええええ?! (涙目)』

サシャががくっとorzの状態になった。余程景品が欲しかったらしい。

するとミカサはサシャに駆け寄って、

ミカサ『サシャ。一緒に食べよう。お米10キロもあるので、後でおにぎりを作ろう』

サシャ『い、いいんですか?!』

ミカサ『後夜祭までに炊き上げるように準備すれば間に合うと思う。調理部に交渉しよう。炊飯器を借りられるかどうか』

サシャ『女王様ああああああ!!!! (がばちょ!)』

あ、クリスタが女神だから、ミカサは女王様なのか。なるほど。

ミスコンの女王様トロフィーと一緒に記念撮影をする事になった。

ラストはミカサ、サシャ、アニ、イルゼ先生の四人が並んで自由に記念撮影だ。

そして時間が来て、ミスコンはようやくお開きなった。

ミスコンが無事に終わると次はイントロクイズの準備に入った。

ミスコンが終わったメンバーがぞろぞろと舞台裏から出てくる。その中に浴衣姿のミカサがいて、すぐこっちに来た。

ミカサ「エレン!」

エレン「お疲れ。ミカサ」

ミカサ「ハンジ先生は……」

エレン「モブリット先生といっちまったよ。2人で何か話す事があるらしくて、何処かに行った」

ミカサ「そ、そう……(シュン)」

あれ? 予想していた反応と真逆だな。どうしたんだ。

ミカサ「エレン……どうしよう」

エレン「ん?」

ミカサ「勘違いしていたの。私はてっきり、リヴァイ先生の片思いなのだとばかり思っていたけれど、そうじゃなかったのね」

エレン「ミカサ………」

ミカサ「舞台裏で2人のやりとりを直接見たの。その時のハンジ先生の反応を見て、気づいた。ハンジ先生、リヴァイ先生の事を本当は………」

エレン「ああ。まあ、多分そうだろうな」

オレがそう答えるとミカサはもっとシュンとした。

ミカサ「ハンジ先生に悪い事をした。相思相愛なら、例え相手があのクソちび教師でも、ボタンを掛け違えるの程辛いものはない………」

ミカサが以前と打って変わって態度を改めた。どうやら2人の事を応援してくれるみたいだ。

31進撃の名無し:2014/07/27(日) 05:57:13 ID:3.u7L/RE0
ミカサ「クソちびが、舞台裏の椅子に座ったまま動かないの。叩いたり、殴ったりしたけど反応が全くなくて、動かなくなってしまった。まるで電池の切れたロボットみたい」

エレン「そうか………でも次の準備もあるからずっとそこに座らせている訳にはいかねえよな。迎えに行くぞ」

オレとミカサは一度舞台裏に戻る事にした。アルミンもアニもジャンもマルコも気になって後からついてきてくれた。

そろっと舞台裏を覗いてみると、奥の端の方にあるパイプ椅子に一人座っているリヴァイ先生が居た。

本当だ。ミカサの言う通り、死人みたいな顔している。

その傍でエルヴィン先生がしゃがんで「リヴァイ、立って」と声をかけている。

エルヴィン「次の準備がある。ここにずっと居られると邪魔になるよ」

リヴァイ「あ、ああ……そうだったな」

と、やっと我に返ったのか、目に光が戻った。

そして立ち上がろうとしたけど、うまく立てずにエルヴィン先生にもたれかかってしまった。

リヴァイ「………すまん。足にうまく力が入らない。身体が自分の物じゃない様に重い」

エルヴィン「分かった。肩を貸して貰おう。私とでは身長差が大きすぎるから……アルミン。君に頼んでいいかな」

アルミン「分かりました」

アルミンはリヴァイ先生に肩を貸して取り敢えず外に連れ出したのだった。

リヴァイ先生もとりあえず、人目につかない場所まで移動させないといけないな。

でもリヴァイ先生自身が歩くのが苦痛のようなので、とりあえず第一体育館の外に連れ出す事にした。

途中で女子生徒に大分注目されたけど、今はそれどころじゃない。

遠目にしてこっちに来ないだけ有難いが、ひそひそ声がうっとおしい。

何だかイラッとしたけど、今は自重した。今はリヴァイ先生を優先だ。

エルヴィン先生に頼まれてアニが自動販売機に走る事になった。

ミカサの方が足早いけど、今は浴衣だから転ぶと危ないからな。

その点、ミニスカのアニは本気で走るとガチで早かった。

数分で缶入りの紅茶を数本買って来て、それをリヴァイ先生に持たせたのだった。

紅茶を無理やり喉に押し込んでリヴァイ先生がずるっと座り込んだ。

ヤンキー座りをもっと崩したような座り方だ。天を仰いでいる。眩しそうに。

32進撃の名無し:2014/07/27(日) 06:39:02 ID:3.u7L/RE0
リヴァイ「………………昨日、謝ったんだがな」

エルヴィン「うん。キスした事だね?」

リヴァイ「ああ。準備が全部終わってから、ハンジを捕まえて、少し話した。でもあいつはずっと「あんたが悪い訳じゃない」って言って、笑っていたんだ。だから、許してくれたんだとばかり、思っていたんだが、手遅れだったんだな」

エルヴィン「……………」

エルヴィン先生もさすがに何も言えず黙り込んでいる。

リヴァイ「俺はハンジに縁切りされたんだよな。友人としても、もう付き合えない。そういう事なんだろうな」

エルヴィン「リヴァイ。それは少し考えすぎだよ」

リヴァイ「だが、そうとしか思えなかった。ハンジに拒絶されることがこんなに、堪えるとは思いもよらなかった」

と、言ってリヴァイ先生は静かに両目を閉じた。

リヴァイ「エルヴィン。前に言った事を覚えているか?」

エルヴィン「前に?」

リヴァイ「ああ。俺が前に、ハンジにはキスもセックスもしたいと思った事は1度もないと言った、アレだ」

エルヴィン「覚えているよ。はっきりと」

リヴァイ「すまん。アレ、よく考えたら記憶違いだった。正確に言えばたった一度だけ、昔、あった。かなり昔だが」

だろうと思った。多分。相当昔の話だろうな。

リヴァイ「俺が三十路になる年の2月頃だったかな。突然あいつが「ダンスの講師の資格が取りたいから、パートナーとしてつきあって!」と無理難題を言い出した。それから10か月程度の時間をかけて、ハンジと社交ダンスの練習をした。その時の事を、覚えているか?」

エルヴィン「ああ。良く覚えているよ。私も練習指導につきあったしね」

リヴァイ「俺はあいつとコツコツ練習を重ねて、12月にT都で行われるダンス大会に出場する事になった。そこで優勝すれば成績が認められて資格も得られるという大会だった。俺達は初出場にして、初優勝を果たして無事にお互い、資格を得る事が出来た」

あ、なるほど。という事は2人とも、社交ダンス出来るんだ。すげえな。

でもハンジ先生は何で社交ダンスやろうと思ったんだろ? ちょっと意外だな。

リヴァイ「俺は資格を得てからハンジに聞いたんだ。そもそも何で社交ダンスをやろうと思たのかと。そしたらあいつ、何て言ったと思うか分かるか?」

エルヴィン「いや……分からないな。見当もつかないね」

リヴァイ「俺の三十路に間に合うように、俺の三十路の誕生日プレゼントに、ダンスの講師の資格を俺にあげたかったそうなんだ。社交ダンスはペアじゃないと大会に出場できないし、つまりあいつなりの、サプライズだったんだよ」

うおおおおおなんだそれ。なんて粋なプレゼントだよ。

資格がプレゼント、だなんて。そんな発想、ハンジ先生にしか出来ねえな。

リヴァイ「それを聞いて俺は『それを早く先に言え!』と怒鳴ってしまったが。でも、嬉しかったんだ。ハンジは『私は家事とか女らしい事は殆ど出来ないし、プレゼントを買ってあげるのも下手だし、でもこれだったら、一生、体育教師のリヴァイの役に立つプレゼントになるかと思って』と言ってくれたんだ。確かに体育教師の俺にとってはこういう資格はないよりはあった方がいい。もしダンスを指導する立場になれば、そういう知識も経験も必要になってくる。でも、あいつは生物教師だ。必要があるのは俺だけで、あいつはただ、それに付き合ってくれただけなんだよ」

ぐはああああ何だもう、そのエピソード!!!

そんないい話があるのに何でつきあってねえんだこの2人?!

と、思いつつも皆で静かに話の続きを待つ。

33進撃の名無し:2014/07/27(日) 06:56:46 ID:3.u7L/RE0
リヴァイ「ダンス大会が終わったその日の夜は2人でツインのホテルに泊まった。あの時、俺は初めて、ハンジをいい女だと思った。でもあいつはその後『これからもずっと、友達でいようね。あんたは私の最高の親友だから』って言ってきてな。その言葉に対して俺はずっと約束を守ってきただけだったんだよ」

旅行先のツインのホテルに泊まったのに手、出さなかったんだ。

オレの時(夏のアレ)より酷いお預けじゃねえか。もう何か、リヴァイ先生が可哀想過ぎる。

リヴァイ「大会の時に借りたドレスを買い取って、ハンジにあげたのはせめてもの礼のつもりだった。だけどあいつは、ずっと「要らないから!」って跳ね除けていたんだが、俺もそこは折れなかった。あいつのクローゼットの奥の方に無理やり押し込んで、ずっと仕舞わせていたんだ。それを今朝見つけて、全部一気に思い出したよ」

エルヴィン「なるほど。だからあの深緑色のダンス衣装を持ってきたんだね」

リヴァイ「ああ。俺にはもう、アレしか思い浮かばなかった。初めて2人で旅行した時の、思い出の衣装だったからな」

ジャンが凄い顔になっていた。

アレだな。リア充死ねを通り越して呪いそうな顔になっている。

リヴァイ「沈んでいた筈だ。地下深く、自分の気持ちが眠っていたのも、ただ、そう考えない様にしていただけだったんだ。俺は………」

リヴァイ先生はそう言って自分の気持ちを徐々に整理しているようだった。

リヴァイ「俺はハンジの事が好きだったんだ。恐らく、あの日の、三十路になった誕生日のあの日から、ずっと……」

すげえ遠回りな恋愛だなと思った。こんな事って、あるんだな。

だって8年……いや、もう9年近くか。ずっと気持ちを封印していたんだぜ?

その上で一緒に風呂入ったり、料理やら洗濯やら買い物やら。

一緒にいる時間は恋人と大差ないのに、でもキスとセックスだけはして来なかった。

単に我慢していたという話じゃなくて、それすらも感じない様に自分にそうさせていたなんて。

無意識って言うのは、案外馬鹿に出来ねえなとつくづく思った。

リヴァイ「ハンジは俺が三十路を越えてからはしょっちゅう「三十路〜おっさんおめー」とか「三十路っていいよね! なんか響きがいいよね?」とか何とか言ってよくからかってきたりしたな。ハンジの中では恐らく三十路がひとつのステータスだったのかもしれんが、特別なものにしたかったんだろう。俺もあいつが三十路を越えた時は同じように「三十路を越えたから早く嫁に行け。結婚しろ」と言い放っていたが、よく考えたらそうやって言い合う事を楽しんでいただけだったんだな……」

エルヴィン「うん。そうだね。君達のそれは、ただの夫婦漫才だったよ」

リヴァイ「ははっ……今頃、気づいちまって、本当に俺は、馬鹿だ」

と、自嘲しているリヴァイ先生が唇を噛んでいた。

34進撃の名無し:2014/07/27(日) 07:17:44 ID:3.u7L/RE0
リヴァイ「これが恋愛感情って奴なのか。俺は今、初めてそれを感じているのか………」

そう言えば以前、仮面の王女の時に「恋愛感情は良く分からんが」とか何とか言ってたなリヴァイ先生。

分かってなかったんじゃなくて、遠ざけていただけだったんだな。恐らく。

そうだよな。じゃねえと、よく考えたら、ラストシーンに「砂糖が足りない」なんて言わねえよ。

感覚的にそういう感情を全く知らないなら、分かる訳がねえんだ。

リヴァイ「自覚した途端にまさか振られるとは思わなかった。ははっ………はははっ……」

リヴァイ先生がストレスを紛らわす為に笑い始めた。

乾いた笑いだ。力がない。ただ、紛らわす為の笑いだ。

エルヴィン「リヴァイ。まだ振られた訳じゃないだろう」

リヴァイ「振られたようなもんだろう。もう、世話しなくていいと言われたんだからな」

エレン「それは違いますよ、リヴァイ先生」

オレはそこで思わず言ってしまった。

エレン「振られるっていうのは、ちゃんと自分の気持ちを相手に伝えて、相手から「ごめんなさい」と言われる事です。その過程を得てない状態ならまだ「振られた」とは言い切れないですよ」

リヴァイ「何で、そう言いきれる」

エレン「オレの時がそうだったからです。オレも危うく「振られた」と思い込んでしまいそうになったから。なあミカサ?」

ミカサ「う、うん……あの時は、誤解させてごめんなさい」

エレン「だから、リヴァイ先生はまだ、やるべき事をちゃんとやってないんだから、諦める必要はないんですよ」

リヴァイ「……………」

リヴァイ先生の視線が揺れていた。迷っているのがバレバレだ。

リヴァイ「しかし、ハンジにはもう、モブリット先生とか……」

エレン「だったら尚更急がないと、手遅れになりますよ。リヴァイ先生。モブリット先生とハンジ先生が付き合いだしてもいいんですか?!」

リヴァイ「……………分からない」

と、リヴァイ先生は頭を左右に軽く振った。

35進撃の名無し:2014/07/27(日) 07:41:47 ID:3.u7L/RE0
リヴァイ「ハンジが決める事に俺は口を出せない。それはただのエゴの押し付けだ。あいつの判断に俺の感情は関係ない……」

ミカサ「だからクソちび教師なのね。最低」

エレン「!?」

何だいきなり。ミカサがキレだしたぞ?!

ミカサ「このヘタレが。やっぱりハンジ先生にはリヴァイ先生には勿体ない」

エレン「ミカサ?!」

アルミン「あーごめん。僕も同意だ」

エレン「アルミンまで、何言ってんだよ!」

アニ「うん。異議なし」

エレン「アニも?!」

ジャン「はーさすがにオレもそれはないと思ったわー」

マルコ「だねえ」

皆が口々にキレだした。最低だのヘタレだの、無茶苦茶言い出している。

エレン「お前ら?! 言い過ぎだろ?! リヴァイ先生は教師なんだぞ?」

エルヴィン「うーん、教師である以前に、まず一人の「男」なんだけどねえ」

と、エルヴィン先生がくすっと笑っている。

エルヴィン「皆がキレるのも分からなくはないよ。ただ、リヴァイはもともとこういう性格だからね。自分の判断や感情を殺して、相手のやりたいように出来るだけやらせる。昔からそうだから、今更どうしようもないんだよ」

ミカサ「でもそれでは、相手が動かない場合は自分から動かないって事ですよね? ずるい」

アルミン「ずるいよねえ。確かに」

アニ「指示待ち人間?」

ジャン「そうかもな。受け身過ぎるんだよ」

マルコ「時と場合によるよねえ」

と、口々に言いたい放題だ。お前ら……。

エレン「あのなあ。一応言っておくけど、この中でカップルなのはオレとミカサだけ何だからな! 恋愛ってもんは、そう定規みてえにまっすぐうまくいくもんじゃねえんだよ!!」

と、一人だけリヴァイ先生を庇ってみる。

36進撃の名無し:2014/07/27(日) 07:53:46 ID:3.u7L/RE0
ミカサ「ではエレンは何故、私と付き合いたいと思ったの? 好きだと自覚したのはいつ?」

エレン「ええ? オレの場合はアレだよ。夏の海で、その……ミカサがヤキモチっぽい素振りを見せた時、なんかすっげえ浮かれちまって。何で嬉しいんだろ? って自己分析してみたら、やっぱりミカサの事が好きだからとしかと思えなくて……」

ミカサ「本当に? それ以前に私にヤキモチは妬かなかったの?」

エレン「それ以前? あージャンとかミカサの中学時代の金髪の先輩とか? その辺は妬いていたよ。今思うと」

ミカサ「ほらやっぱり。ヤキモチ妬いている。ヤキモチを妬いたらそれはもう、相手を独占したい証拠」

エレン「まあそうだけど、え? 今、その話、何か関係あるのか?」

イマイチ訳分からん。でも皆はニヤニヤしている。

ジャン「つまり、リヴァイ先生はヤキモチ、妬かないんですか? って皆、言いてえんだよ」

エレン「あー………」

そういう事か。回りくどいんだよ皆!

リヴァイ「ヤキモチ……だと?」

ミカサ「ヤキモチも妬かないような男は最低。度が過ぎるとダメだけど」

アニ「うん。同感。やっぱりそこは、女としては少しは妬いて欲しいよね」

リヴァイ「………………」

アルミン「でも、さっきモブリット先生、ハンジ先生と何か大事な話があるって言ってたよね」

エレン「あーなんか深刻そうな顔はしていたよな」

リヴァイ「!」

エルヴィン「2人が何処に行ったか分かるか?」

エレン「いえ、そこまでは。オレ達もすぐこっちに戻ってきたんで」

アルミン「もしかして、モブリット先生の方が先に告白しちゃうんじゃないの? このままだと」

リヴァイ「?!」

リヴァイ先生が胸を抑え始めた。よしよし。あと少しかもしれねえ。

37進撃の名無し:2014/07/27(日) 08:11:41 ID:3.u7L/RE0
煽ってみるか? でも煽り過ぎたらまたヘタレるかもしれないしな。加減が難しいな。

と、皆が考えていたその時、突然、誰かの携帯が鳴った。

リヴァイ先生のものだった。

リヴァイ「リヴァイだ。………何だって? マーガレットがそう言っているのか? 分かった。すぐそっちに行く」

え? またマーガレット先輩関連で何かあったのか?

リヴァイ「エルヴィン。ミスコンの病欠の辞退者っていうのは、マーガレットで間違いなかったよな」

エルヴィン「ああ。なんか少し体調が悪くて今、保健室で休んでいるそうだが」

え?! それってまずくないか。本番前なのに大道具チーフが倒れていたのかよ。

なんでこう次から次へとトラブルばっかり起きるんだ?

リヴァイ「どんどん熱が上がってきているらしい。でも、裏方に入ると言ってきかないとスカーレットが困惑して電話してきた。ちょっと保健室に様子を見に行ってみる」

と言ってリヴァイ先生が教師の顔に戻って駆け出したのでオレ達も心配になって保健室についていく事にした。

すると保健室のベッドの上で寝ているマーガレット先輩と周りにスカーレット先輩とガーネット先輩がいた。

リヴァイ「具合はどうだ?」

マーガレット「38.3度ってところですけど、大丈夫ですよ。本番までに下げれば…」

スカーレット「下げられる訳ない癖に何言ってるの。今日は休むしかないじゃん」

マーガレット「だああって今日は本番なんだよ? 休める訳ないじゃん! 大道具、今回先輩で入れるの私だけじゃないの」

スカーレット「そうだけど……リヴァイ先生からも言ってやって下さいよ。この子、親子ともども馬鹿なんですよ」

マーガレット「うちの血筋よ。しょうがないじゃん」

と、開き直られてもなあ。

リヴァイ「微妙な熱だな。動けない訳じゃないが、冷静な判断は無理だろ」

マーガレット「そんな事ないですよ。うちの親は肺炎で40度越えても原稿描いてましたからね」

エレン「あの、それはあんまり人としてやっちゃいけない事ですよ?」

マーガレット「まあ、そうだけど。でも40度はいってないから動けるよ。大丈夫だって」

リヴァイ「うーん、俺も似たような事はしょっちゅうやらかすから、なあ」

と、悩んでいる様子だ。えええ? そうなのか?

リヴァイ「ただ、裏方に入る奴は体調管理出来てないと足手まといだ。もし万が一、途中で抜けられたり、倒れたら本当に邪魔になる。それを分かっていて言ってるのか?」

マーガレット「はい。倒れないから大丈夫ですよ。新人3人だけに任せる訳にはいかないし」

カチン……

なんか信用されてないようでちょっとムカついたな。今のは。

38進撃の名無し:2014/07/27(日) 08:28:14 ID:3.u7L/RE0
リヴァイ「俺が役者に入っていなければ裏方に入るんだがな……エルヴィン。この後、お前予定有ったか?」

エルヴィン「いや、ミスコンが終わった後は特に何も。私が代わりに入ってもいいのか?」

リヴァイ「この場合は仕方ねえだろ。確かにマーガレットの言い分も分かるしな。新人3人だけで裏方をやらせるほど俺も鬼畜じゃない。経験者は絶対一人は必要だ。マーガレット。お前は裏には入っていいが、裏方はするな。裏で待機して何かあったら細かい指示だけをしろ。それでいいな? 寝転がってでも出来る仕事だ」

マーガレット「まーしょうがないですね。それで手を打ちます」

リヴァイ「そうと決まれば本番まで仮眠を取れ。俺もついでに寝て行こうかな」

エレン「リヴァイ先生?!」

リヴァイ「すまんが、俺も少し頭が疲れた。1時間でいい。寝かせてくれ」

と、本当にマーガレット先輩の隣のベッドに潜り込んでグーグー眠ってしまったのだった。

えええええ。マジか。俺はさすがにこういう行動は出来ないな。

本当にいいのかな。モブリット先生とハンジ先生の事を放っておくつもりなのかな。

エルヴィン「しょうがないね。マーガレット。裏方プランを今から頭に叩き込むからプラン表、私に見せてくれ」

マーガレット「分かりました」

と、すっかり気持ちを切り替えたのかエルヴィン先生も忙しい。

エルヴィン「今回、裏方に入るエレン、アルミン、マルコ。君達も一緒に話を聞いてね」

と、何故か保健室で打ち合わせを始める事になってしまった。

一応、大体の引継ぎを終える頃には本当に1時間経ってしまった。

あ、もうすぐお昼休みだ。昼飯食べないと…。

39進撃の名無し:2014/07/27(日) 08:41:33 ID:3.u7L/RE0
一旦、休憩します。お昼は何食べさせようかな。うーん。

40進撃の名無し:2014/07/27(日) 13:48:48 ID:nOJ4oxjY0
ペトラたちのカレーはもう食べたんだっけ?

41進撃の名無し:2014/07/27(日) 14:02:18 ID:3.u7L/RE0
そういやまだ前売り券使ってなかった。使いましょうかね。

42進撃の名無し:2014/07/27(日) 14:44:20 ID:3.u7L/RE0
ミカサ「エレン。前売り券、まだ使っていないので今日、使ってしまおう」

浴衣から制服に着替えてしまったミカサがそう言った。

エレン「そうだった。忘れていたぜ。じゃあ買いに行くか」

エルヴィン「あ、エレン。ついでに私の分も適当に買って来てこっちに持って来てくれないか。マーガレットと打ち合わせしながら食べるから」

エレン「あ、分かりました。カレーでいいですか?」

エルヴィン「任せるよ。頼んだ」

という訳でオレ達は一旦席を離れて昼飯を買いに行った。

カレーのところにはオルオ先輩がいた。あ、ペトラ先輩もエプロン姿に戻って働いている。

エレン「すんませーん。カレー下さい」

オルオ「はいはい。やっと来たな」

エレン「すみません。昨日はヤキソバ食ってました」

オルオ「いや、別にそれを責めている訳じゃないんだが。使い忘れる奴がたまにいるから、そうじゃなくて良かったと思っただけだ」

エレン「あ、なるほど」

オルオ「大盛りだったな。ちょっと待ってろ。トレーも1枚ずつ用意する」

という訳でオルオ先輩にカレーを貰って、ついでに話をしてみる事にした。

エレン「オルオ先輩はリヴァイ先生とハンジ先生の事、気づいてました?」

オルオ「ああ? んなもん、当たり前だろ。昔からあんなんだったよ」

エレン「そうですか……」

オルオ「リヴァイ先生大丈夫なのか? ミスコンでハンジ先生にふられたって、噂が流れまくってるぞ」

エレン「あ、やっぱりそうですか。まあ、今、仮眠取って寝てますけどね」

オルオ「そうか。寝られるんだったらまだマシか。あ、福神漬け忘れていた。いるか?」

エレン「あ、頂きます」

ミカサ「頂きます」

エレン「あ、エルヴィン先生の分もお願いします。大盛りでいいのかな」

オルオ「そうだな。まあ同じ量でいいだろう」

という訳でトレーを二つ頂く事になった。

43進撃の名無し:2014/07/27(日) 14:59:37 ID:3.u7L/RE0
オルオ「リヴァイ先生、まだ飯食ってないよな」

エレン「はい……食えるのか心配ですけど」

オルオ「カレーだと冷えると味がまずいからな。うーん。あ、福神漬けだけ持たせるか。これ、リヴァイ先生用な」

と、追加で小皿で福神漬けを持たされた。

エレン「ありがとうございます」

オルオ「いや、俺も何かしてやりたいんだがな。こっちの仕事もあるしな。すまん」

エレン「ペトラ先輩の方は大丈夫ですか?」

と、奥の方で仕事をしているペトラ先輩を気に掛けると、

オルオ「ああ。まあ、表面上は元気だよ。ただ、内心は複雑だろうな」

ペトラ「何? 私の噂話してんの?」

と、ひょいっとこっちの声が聞こえたのか、顔を出してきたペトラ先輩だった。

エレン「あ、すんません。勝手に話して」

ペトラ「別にいいけど……リヴァイ先生、大丈夫?」

エレン「今、仮眠とっているところです。大分、精神的に参ってはいましたけど」

ペトラ「はー……だよねえ。私も正直、舞台裏であの現場見ていたけど、アレはないわーと思ったよ」

エレン「ああ、そっか。ペトラ先輩も見ていたんですよね」

ペトラ「うん。敗者も勝者も舞台裏で待機だったからね。声漏れ起きていたのも酷いけど、アレは舞台装置を使い慣れてない子がやらかしたみたいね。文化祭実行委員の、えっと、背の高い、ベル何とか君が、ミスやったみたいで、後で怒られていたけど」

ベルトルト、お前何やってんだよ…。

ペトラ「ったく……ハンジ先生と別れた噂が流れた直後に、キャッキャ言い出すファンの子達もイライラするわ。あの子ら、人の事を何だと思っているのかしら」

エレン「ペトラ先輩はファンクラブの存在をご存じだったんですか」

ペトラ「ああ。3年の女子で知らない子はいないわよ。でも私は入ってなかった。だって『2人きりで話したりしたらダメ』とか『リヴァイ先生は皆の物』とか何とか訳分からん誓約書を誓わされるんだよ? アホ過ぎるわよ。私、そこまで頭悪くないし」

と、苛立った様子で先輩が答えた。

44進撃の名無し:2014/07/27(日) 15:19:22 ID:3.u7L/RE0
ペトラ「生物室の事件も後で生物部の子から聞いたわ。私、事件やらかしたあの子とは以前、話した事あったけど、ちょっと情緒不安定な感じだったんだよね。両親に放置されているっていうか、構ってくれる人が誰もいないような家庭環境で育ったみたいでさ。それをリヴァイ先生が定期的に家庭訪問していたから。それでグラッといっちゃったんだろうね。だから、あの子の事は私も責める事は出来ないけど…」

と、同じクラスの女子を同情的な目で見るペトラ先輩はやっぱり優しいんだなと思った。

俺はあんまりそこは共感出来ねえけど。やっぱり同じ女性同士だからかな。

ペトラ「でも、私も正直言って、目の前でリヴァイ先生のキスは、精神的にきつかったわ。アレ、台本か何かあったの?」

エレン「いえ………完全にアドリブです」

ペトラ「そうなんだ……じゃあ余計にしんどいわ。リヴァイ先生、ハンジ先生と付き合ってないってずっと言ってたけど、やっぱり大人の嘘だったんだね」

エレン「うーん。厳密に言うと、嘘ではないんですけどね。リヴァイ先生、あの時のあの瞬間まで、自分の気持ちに自覚なかったみたいで。時間差でそれに気づいて自分でびっくりしてましたよ」

ペトラ「…………リヴァイ先生、どんだけ自分の感情に鈍感なのよ」

と、ずーんと落ち込んでしまうペトラ先輩だった。

ペトラ「じゃあリヴァイ先生、今やっと、恋愛のスタート地点に立ったようなものなのね」

エレン「身も蓋もない言い方になりますが。その通りですね」

ペトラ「準備運動が長すぎる…。でもしょうがないのかな。友人の期間が長すぎたのよね」

オルオ「だろうな。近くに居過ぎて気づかないって奴だったのかもしれん」

と、2人はしみじみ言っている。

ペトラ「どうにかして元気づけてあげたいけど、今は回復を待つしかないかしら」

オルオ「とりあえず仮眠はとってるらしいからまだマシじゃないか? 本当にきつい時は不眠症になるだろ」

ペトラ「だよね。何回眠れない夜を越えたかしら。私も………」

と、恋愛片思い歴が長いペトラ先輩が先輩面を見せるのがちょっと面白かった。

エレン「タフですね。ペトラ先輩」

ペトラ「恋する乙女は強くなるのよ! メンタル強化しないとやってらんないわよ!」

ミカサ「同感です…」

エレン「ミカサ? え? 何? お前も何かあったのか?」

ミカサ「………教えない」

エレン「ミカサー?!」

また例の<●><●>の顔で言ってきたから焦った。

何だよ! 隠さなくたっていいじゃねえか!

45進撃の名無し:2014/07/27(日) 15:39:01 ID:3.u7L/RE0
オルオ「はは! ま、この後の舞台もあるし、あんまりごちゃごちゃ考えている場合じゃねえけどな。リヴァイ先生が担任したOBとOGの方々がそろそろ会場入りする頃だろうしな」

ペトラ「なんか今回、規模が凄いらしいわね。300人超えそうとか何とか。海外から帰ってくる卒業生もいるとか」

オルオ「ああ。らしいな。リヴァイ先生が舞台出るっていう情報を聞きつけて、卒業生が一堂に集まるらしいぜ」

エレン「え? それマジっすか? さ、300人超えるって……」

オルオ「そりゃリヴァイ先生も教師生活長いんだから、卒業生が遊びにくらい来るだろう」

エレン「え、でも、数が多すぎませんか? そんなになるんですかね?」

ペトラ「一クラス35人くらいでしょ? んで教師生活が27歳からスタートで、今38歳だから11年越えてるし。12年目だっけ? 今年で」

オルオ「単純計算で385人の卒業生がいる計算になるな。そのうちの300人くらいがリヴァイ先生の舞台を見に来るって言ってるんだから、そうなるよな」

エレン「リヴァイ先生、人気あり過ぎですよね?! え? もうそれ、芸能人のレベルじゃないですか!!」

オルオ「んな事言われても事実だからしょうがないだろ。第一体育館のキャパ足りるか心配だな」

ペトラ「そうだよね。保護者だって来る筈だし。超満員御礼になるんじゃないかな」

ミカサ「プレッシャーかけないで下さい(ガクブル)」

あ、やべえ! そういえば大事な事を忘れていたけど、ミカサのあがり症、まだ完全には治ってなかったんだった。

だ、大丈夫かな。入学式を越える人の数が来たらミカサ、パニックになるかもしれん。

ペトラ「ふふふ……でも楽しいわよ? 超満員御礼の中でやる演劇は。なかなか経験できないし」

オルオ「だな。リヴァイ先生目当てで見に来る奴らが多いんだろうが、それでも、満員はいいよな。席が空いてないっていうのは、凄く嬉しいもんだ」

と、先輩達はあまり気にしていない。

あ、そっか。先輩達はミカサのあがり症をそこまで深刻に思ってないんだ。

あーどうしよう。これはまずい前情報を聞いちまったな。

エレン「ミカサ、とりあえず保健室戻るぞ」

ミカサ「う、うん……」

オルオ「ん? ここで食えばいいじゃないか」

エレン「あー実はかくかくしかじか」

と、マーガレット先輩の件を伝えると、

ペトラ「え? それマジで? 嘘……辞退者ってマーガレットの事だったのね。知らなかった」

エレン「はい。今、エルヴィン先生が急遽、引き継ぐことになったんで、昼飯を持っていかないといけないんですよ」

ペトラ「大変ね。何だか今年の文化祭は波乱万丈だわ」

オルオ「確かにな。でも、頑張れよ。ここを乗り切れば、絶対いい経験になるからな」

エレン「はい。頑張ります」

と、ぐっと拳を合わせてオレ達はカレー屋から離れてアルミン達と合流した。

アルミンは別のメニューを購入していた。たこ焼きとミックスジュースだけでいいらしい。

46進撃の名無し:2014/07/27(日) 16:14:45 ID:3.u7L/RE0
エレン「あ、そういやオレもたこ焼きとミックスジュースあったんだ」

ミカサ「一緒に買って戻ろう」

という訳でそれぞれの買い物を済ませてオレ達は保健室に戻った。

ジャンとマルコも後で戻ってきた。こいつらはお好み焼きを選んだらしい。2人で一緒に食うようだ。

んで、保健室でマーガレット先輩と打ち合わせを終わらせると、マーガレット先輩も横になって眠ってしまった。

リヴァイ先生はまだ起きねえな。もうすぐ13:00になるんだが。

エレン「起こした方がいいよな。劇部は人形劇の次だし……」

エルヴィン「そうだね。着替えの時間も必要だしね。リヴァイ、そろそろ起きろ」

リヴァイ「んー……」

と、軽い睡眠をとったリヴァイ先生がようやく起きた。

リヴァイ「……………」

エルヴィン「まだ、頭が起きてないな。水でも飲むか?」

リヴァイ「頂こう」

エルヴィン「了解」

コップ一杯の水を飲んでリヴァイ先生はようやく少し落ち着いたようだ。

目の感じが元に戻っている。まだ完全回復って訳じゃないだろうけど。

少なくとも、先程よりは大分マシになっていた。

エルヴィン「少しは元気になったかな?」

リヴァイ「大分な。今、時間は?」

エルヴィン「ちょうど13:00だね。あと1時間後だよ。準備に入らないと」

リヴァイ「そうだな。考えるのは舞台が終わってからにしよう」

エルヴィン「ああ。舞台が待っている。やるしかないよ」

という訳で、オレ達はマーガレット先輩だけを保健室に残して、それぞれの準備に取り掛かった。

もしかしたらマーガレット先輩はこのまま起きて来ないかもしれないけど、その時はしょうがない。

エルヴィン先生にある程度、引き継いだし、後はもう残されたオレ達で頑張るしかねえ。

47進撃の名無し:2014/07/27(日) 16:32:23 ID:3.u7L/RE0
第一体育館に劇部メンバーが全員揃った。舞台裏から人形劇を覗き見る。

どうやら桃園の誓いのところでクライマックスらしい。

三国志は話が相当長いから劇でやるならここまでになるよな。

無事に人形劇も終わったようだ。カジ達が一斉に舞台裏にはけてくる。

カジ「いやー! 緊張した! 人形動かすだけなのに緊張した!」

と、笑いながらこっちに来た。

カジ「連荘きついね! でもまあいっか! 衣装ある?」

アニ「はい。こっちに用意しているんで着替えお願いします」

マリーナ「私のもお願い! ジュリエットの衣装頂戴!」

舞台裏はバタバタだった。片づけと準備を同時進行にやるんだからな。無理ねえ。

準備が終わったミカサの顔色が悪い。やっぱり緊張しているんだな。

オレは後ろからミカサを抱きしめて、後ろから「大丈夫」と言ってやった。

ミカサ「え、エレン……」

エレン「大丈夫だ。今度はオレがミカサを支えてやる。だから安心して行って来い」

ミカサ「………うん」

ジャン「そこ! イチャつくのは後にしろ! 円陣やるぞ!!」

という訳で恒例の円陣だ。舞台幕が上がる前には必ずこれをやる。

全員が輪になって手を揃えた。ジャンの合図で掛け声をするんだが、掛け声の前には必ず部長の気合の挨拶が恒例らしい。

オルオ先輩がやっていた、アレだな。ジャンは一生懸命考えているようだ。

ジャン「あーもう、なんか今年の文化祭はいろいろ波乱万丈だけど、絶対成功させるぞ! 怪我すんなよ! 皆、いくぞー!」

一同「「「「「「おー!!!」」」」」」

さあ、手を押し込んで、ひとつになった後は駆け出すぜ!

静かに、幕が開いた直後、オレは度胆を抜かれる。

オルオ先輩の言っていた事は嘘じゃなかった。本当に超満員御礼の舞台だったんだ。

遠くの席の方から「リヴァイ先生ー!!! 元気ー?!」とかいろいろ声が聞こえる。

その声を聞いて、リヴァイ先生が舞台袖でびっくりしていた。

あ、親父達がちゃっかり前列に座っている。やべえ。失敗出来ねえな!

リヴァイ「…………あいつら、来ていたのか」

あ、うるっときているみたいだ。ちょっとレアなリヴァイ先生だな。

オレ達の文化祭は、いよいよクライマックスを迎えた。

そしてお馴染みのマリーナのナレーションが始まり、オレ達はその「異空間」に身を投げ出したのだった…。

48進撃の名無し:2014/07/27(日) 16:33:35 ID:3.u7L/RE0
キリがいいので一旦、ここまで。続きはまたノシ

49進撃の名無し:2014/07/28(月) 00:14:06 ID:dpkqebIY0
なんかいちいちオルオが格好良く見える不思議

OBOGの方々、
まだハンジ先生と結婚してないんですかー
くらい言ってもいいのよw

50進撃の名無し:2014/07/28(月) 01:12:39 ID:ejLXkbZ60
いよいよ舞台!
楽しみだー
続き超絶期待!!

51進撃の名無し:2014/07/28(月) 03:05:10 ID:Oz2Etvso0
あ、舞台のエンディングソングはどれがいいか安価取ります。
るろ剣風なので、一応候補としては、

1.HEART OF SWORD -夜明け前-
2.1/3の純情な感情
3.The Fourth Avenue Cafe

あたりかなーと思うんですが、どれが一番人気あるんでしょうかね?
ちなみにエンディング曲中に皆で1〜3人ずつ舞台に出て踊ります。

52進撃の名無し:2014/07/28(月) 09:42:42 ID:tkQ18GTA0
1

53進撃の名無し:2014/07/28(月) 13:03:54 ID:Oz2Etvso0




マリーナ(ナレーション)『今から約140年前黒船来航から始まった『幕末』の動乱期』

マリーナ(ナレーション)『渦中であった京都には沢山の維新志士達がいた』

マリーナ(ナレーション)『血刀を以て新時代『明治』を切り開いたその男達の中には、当然、歴史に名を残さぬまま命を散らした者もいる』

マリーナ(ナレーション)『そして生き残った者の中にも、歴史に名を残さず自ら表舞台を去った者もいた』

マリーナ(ナレーション)『闇の世を駆け、修羅さながらに人を斬り 新時代『明治』を切り開いたその男達は、動乱の終結と共に人々の前から姿を消し去り 時の流れと共に『最強』という名の伝説と化していった』

マリーナ(ナレーション)『そして浪漫譚の始まりは 明治十一年へと移りゆくーーー』



そして、BGMが一気に変わる。

必殺シリーズの、あの、音楽だ。人を仕置きする時の、あの音が会場に響く。



神谷(リヴァイ)『ふー………』

疲れた風の男がひと仕事を終えて風呂に入るシーンから物語が始まる。

男は風呂に入る為に、自分の衣服を脱ぎ棄てて、褌姿になる。

さすがにオールヌードという訳にはいかないので、ここは褌姿で風呂に入ると言う設定だ。

リヴァイ先生がいきなり舞台上で脱ぎだしたもんだから、会場が一瞬、ざわめいたけど。

舞台中はおしゃべり厳禁(合いの手は有りだけど)なので、皆、動揺を押し殺しているようだ。

実際、水をかけるわけじゃないけど、かけ湯したり、体を布で洗ったりする仕草はお手の物だった。

すげえうまい。所謂パントマイム的な感じなんだけど、本当に風呂に入って身体を洗っているような錯覚を覚える。

リヴァイ先生自身の風呂好きがよく分かるシーンだ。

そして体を洗った後は、大きな桶の中に入って、湯につかる。

音だけタイミングに合わせて水音を流している。

神谷(リヴァイ)『………(手で湯をすくう仕草)』

なんか色っぽいな。いや、男が男に色っぽいというのも変な話だけど。

手の動かし方がとても綺麗だった。ただ、湯を掬っているだけなのに。

神谷(リヴァイ)『…………あの男、只者ではないな』

神谷(リヴァイ)『今日は仕留め損ねたが、次は必ず………奴を殺す』

月夜に誓う様に呟いて、暗転となった。

54進撃の名無し:2014/07/28(月) 13:05:22 ID:Oz2Etvso0




そして一気に世界観が変わる。今度は西洋チックな舞台だ。

マリーナ(ナレーション)『昔々、ヴェロナという街にキャピュレット家とモンタギュー家という2つの旧家があり、この両家は代々、お互いを仇だと思っていがみ合っていました』

マリーナ(ナレーション)『キャピュレット家にはジュリエットという一人娘がおり、モンタギュー家にはロミオという一人息子がいましたが、この2人は舞踏会で出会い、お互いが仇の家の出身だと分かっても、思いは変わらず、両家の仲直りを願うロレンス上人に秘密の結婚式をあげてもらい、夫婦となりました』

マリーナ(ナレーション)『しかし2人はとある誤解から、お互いがお互いに死んだと思い込み、自ら命を絶つ事になるのであった………』

めっちゃ端折ってる! ロミオとジュリエットを3行で説明しちまうという荒業だな。

まあここは、ダイジェスト的な感じで説明するだけだから、台詞もないし、いいけどな。

舞台上では内側に明治バージョン、上から前世バージョンで重ね着して、説明が終わったら一気に脱いでしまうという方法を取っている。




月夜のシーン。明治時代。街道で野宿していた2人の男女が目を覚ます。

ジュリエット(マリーナ)『…………また、あの夢だわ』

ロミオ(アルミン)『夢? 僕も同じ夢を見たよ。君が目の前で死んでいて、僕も後追い自殺する夢だ』

ジュリエット(マリーナ)『私もです。貴方が目の前で死んでいて、自ら服毒自殺をする夢でした』

ロミオ(アルミン)『もう何度目になるだろう? 同じ夢ばかり見ている。この夢は、僕達に何か関係あるのだろうか?』

ジュリエット(マリーナ)『分かりません。でも……もしそうであれば、きっと、前世という物が存在するのかもしれない』

ロミオ(アルミン)『では僕達は前世は結ばれずに、この時代に生まれ変わったのかもしれない。この明治という世に……』

ジュリエット(マリーナ)『ロミオ様……』

ロミオ(アルミン)『この世に巡り合えた奇跡を、今度こそ、離さない。ジュリエット。僕と共に、地の果てまでついてきてくれる?』

ジュリエット(マリーナ)『はい。ロミオ様……(うっとり)』

追手1(アーロン)『おっと、そういう訳にはいかねえな、ご両人』

ここで裏方メンバーが追手の悪者役で総出演だ。オレも後ろの方で準備している。

追手1(アーロン)『探しやしたぜ。2人とも。随分遠くまで逃げていたもんですねえ』

ロミオ(アルミン)『くっ!』

追手1(アーロン)『名家の跡取り同士が駆け落ちなんざ、本当に出来ると思っているんですか? さあ、2人とも。おうちに帰りやせんか』

ジュリエット(マリーナ)『嫌です! 私は家を捨てました! もう実家には戻りません!』

ロミオ(アルミン)『僕達の事は死んだことにして、見逃しては貰えないか』

追手1(アーロン)『そいつは出来ない相談ですな。ま、本当に殺して差し上げる事は出来ますが? (ニタリ)』

ロミオ(アルミン)『!』

ここでオレ達、裏方メンバー(エレン、マルコ、エーレン、カジカジ、キーヤン、スカーレット、ガーネット)が一斉にロミオ(アルミン)とジュリエット(マリーナ)を襲おうとするが。

しかし、その時、

三村(ミカサ)『ふああああ………』

と、場の空気を読まない声が茂みから聞こえてくる。

三村(ミカサ)『折角、いい月見酒日和だというのに、無粋な奴らが邪魔してきたでござるな』

よいしょっと、表に出てくるその男。三村だ。

追手1(アーロン)『てめえ! 誰だてめえは!』

三村(ミカサ)『名乗る者の程ではござらんよ。さて、これは一体どういう事なのでござるか?』

追手1(アーロン)『邪魔する気か?』

三村(ミカサ)『邪魔をしているのはそちらでござろう? 人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られると良くいうではござらんか』

追手1(アーロン)『邪魔立てするなら容赦はしねえぞ。野郎ども!』

一同『『『『『『は!』』』』』』

55進撃の名無し:2014/07/28(月) 13:07:30 ID:Oz2Etvso0
と、ここから一斉に三村(ミカサ)に襲い掛かるんだけど、そこを全部一気に倒しちまう殺陣シーンだ。

オレは所謂、やられ役だな。三村(ミカサ)にばっさり切られて倒れたらそれでOKだ。

全員を屠った後、お客さんの拍手喝采が起きた。鮮やかな殺陣に見惚れたようだ。

やっぱりミカサはすげえな。本当、こういうのやらせると様になる。

追手1(アーロン)だけは一人逃げていくけど、それを追いかける事はしない。

三村(ミカサ)『大丈夫でござったか?』

ロミオ(アルミン)『あ、ありがとうございました…』

ジュリエット(マリーナ)『ありがとうございます(ぺこぺこ)』

三村(ミカサ)『大した事ではござらんよ。して、ご両人はいずこへ向かう予定で?』

ロミオ(アルミン)『とりあえず、港まで向かって、国外の何処かに2人で逃げようと思っていました』

三村(ミカサ)『ふむ……では拙者も途中まで送って差し上げようか?』

ロミオ(アルミン)『え…でも、そこまで甘えるのは……』

三村(ミカサ)『遠慮しなくても良いでござるよ。拙者は流浪人。三村万心。暇ならいくらでも持て余しているでござる故、道中を一緒に旅するのは問題ないでござるよ』

ジュリエット(マリーナ)『では、東京の街まで、送って頂けたら……』

三村(ミカサ)『なるほど。東京は拙者の庭みたいな街でござるよ。道も分かる。出来るだけ近道を通って送って差し上げるでござるよ』

ロミオ(アルミン)『あ、ありがとうございます……なんとお礼を差し上げればいいか』

三村(ミカサ)『礼など要らぬでござるよ。では、一緒に行くで……(ぐるるる…)』

お腹の虫が鳴る。

三村(ミカサ)『………何か、食べ物を分けて貰えれば、それでいいでござる』

と、顔を赤くする三村(ミカサ)だった。

おおおお! 今のところ、特にとちったりもせず、うまくいってるじゃねえか!

死体役の状態で舞台を眺めていたけど、良かった。ミカサ、大丈夫そうだな。



そして暗転が入って、舞台は東京へ移る事になる。



明治の東京。そこで街中をすいすい歩いている三村(ミカサ)を、斎藤(ジャン)が見つけて追いかけまわす。

56進撃の名無し:2014/07/28(月) 13:09:09 ID:Oz2Etvso0
斎藤(ジャン)『こらあああそこおおおお!!!!』

三村(ミカサ)『あ、斎藤殿』

斎藤(ジャン)『あ、斎藤殿。じゃねえよ!! あんた、何回注意したらいう事聞いてくれるんだ?! 廃刀令! 刀を腰に下げて歩いたらダメだって言ってるだろうが!!』

三村(ミカサ)『これは本物の刀ではござらんよ? ほら、刃が逆さまになっているので、人は切れないようになっているでござる』

斎藤(ジャン)『そういう問題じゃねえから!! 新しい国の決まりが出来たんだから、それに従って貰わないと示しがつかねえの! これはメンツの問題なんだよ! ほら、没収!』

三村(ミカサ)『いやん……そう固い事言わず……ね? (ウインク)』

斎藤(ジャン)『うぐっ! (よろめく)』

うわあ! ミカサのウインク、破壊力抜群だな。

やべえ。こっちも余波を食らってドキドキする。

斎藤(ジャン)『だ、ダメなもんはダメだ! そもそも何であんた、わざわざそんなまがい物の刀を腰に下げて……』

三村(ミカサ)『ただの趣味でござる(キリッ)』

斎藤(ジャン)『嘘をつくなああ! 全く、本当、頭痛てえ……』

と、頭を抱えだす斎藤(ジャン)だったが、

斎藤(ジャン)『ただでさえ、最近物騒な事件が多発してるっていうのに、こっちは忙しいんだよ。あんたに構っている場合じゃねえんだよ。本当は』

三村(ミカサ)『何か事件が起きたのでござるか?』

斎藤(ジャン)『ああ。なんか川辺で男女の惨殺死体が浮かんできたらしくてな。そっちの調査の方で今、人が動いていて、オレも捜査中の身なんだよ』

三村(ミカサ)『男女の……死体? (ぴくっ)』

斎藤(ジャン)『ああ。可哀想に。まだ若い2人だったぜ。あれは異国の血が混ざっているのかもしれんが、綺麗な男女だった』

三村(ミカサ)『!』

そして川辺に移動する。野次馬が川辺に集まっている。

この辺の野次馬とかは、裏方メンバーがそれっぽく演じる。オレも出番だ。

ロミオ(アルミン)とジュリエット(マリーナ)が死体役で転がっている。

勿論、顔は青く塗って、死人の色に変えている。

死体の上に御座を被せて、直接は見せないけど、顔だけは観客に見せている。

死体をちゃっかり確認する三村(ミカサ)に斎藤(ジャン)はまた『こら!』と怒る。

57進撃の名無し:2014/07/28(月) 13:34:37 ID:Oz2Etvso0
斎藤(ジャン)『勝手に触っちゃダメだから! 何やってんだよ!』

三村(ミカサ)『死体が発見されたのはいつ頃でござるか?』

斎藤(ジャン)『ああ? 確か、今日の早朝だったかな。まだ発見されてからそう時間は経ってないが……』

三村(ミカサ)『犯人の目星は?』

斎藤(ジャン)『まだめぼしい情報も何もねえよ。何だよ? あんたの知り合いか?』

三村(ミカサ)『昨日の夜まで一緒に居た。国外に出るというので、港まで送ってあげたでござるよ』

斎藤(ジャン)『はあ?! ちょちょ……だったらあんたが一番の容疑者じゃねえか! ちょっと、話を詳しく聞かせろ!』

三村(ミカサ)『犯人は拙者ではござらぬ。刀にも血はないでござろう?』

斎藤(ジャン)『そんなもんは拭けばいい話だろ?! よし、ちょっとお前、一緒に来い』

三村(ミカサ)『その前にもう少し死体の状態を確認させて……(ペロ)』

斎藤(ジャン)『だかーら、勝手に触ったらダメだって…!』

と、その時、野次馬の声が聞こえた。

噂の商人(カジカジ)『これはアレだな。仕置き人が動いたなきっと』

噂の商人2(キーヤン)『ああ、きっと間違いねえ。仕置き人の仕業だ』

その声に三村(ミカサ)は反応して商人に声をかける。

三村(ミカサ)『仕置き人? 何の話でござるか?』

噂の商人(カジカジ)『あ、いやあ……ただの噂なんですがね』

噂の商人2(キーヤン)『ここ最近、やたら殺人事件が多いでしょう? その、仕置き人がやったんじゃないかっていう噂が出ているんで』

三村(ミカサ)『噂の出所はどこでござるか?』

噂の商人(カジカジ)『そこまでは知りやせんよ。私らも、風の噂程度に聞いただけなんで』

噂の商人2(キーヤン)『ただ、今、国の制度がいろいろ変っている過渡期でしょう? 不平不満を漏らす奴も多いんですよね。だから、国が裁けない事を代わりにやってくれる、仕置き人っていう仕事人がいるらしいっていう噂があって……』

噂の商人(カジカジ)『ま、所謂「仇討ち代行人」って感じですかね。昔は仇討ちしても咎められなかったけど、新しい制度ではそれがなくなったから、不満を漏らす奴も多いんですよ』

斎藤(ジャン)『なるほどな……分かった。そっちの線で少し調査を進めてみよう。情報提供ありがとうな。これは駄賃だ。とっとけ』

噂の商人(カジカジ)『へへ〜ありがとうございやす!』

ちゃりちゃりーん♪

お金を渡して商人達を下がらせる。斎藤(ジャン)の後を追う三村(ミカサ)。

58進撃の名無し:2014/07/28(月) 13:54:43 ID:Oz2Etvso0
斎藤(ジャン)『あ、あんたは留置所行きだからな。一緒に来て貰うぞ』

三村(ミカサ)『拙者も調査に協力するでござる』

斎藤(ジャン)『はあ? 第一容疑者が何言ってやがる! あとついでにその刀、没収!』

三村(ミカサ)『(ひょい)この事件、何かきな臭いでござるよ。斎藤殿一人では荷が重いかもしれないでござる』

斎藤(ジャン)『そ、そうかもしれないが、だからってあんたに手伝って貰う訳にはいかねえよ。あんた、ただの流浪人だろうが! ここは警察の領分なんだから、勝手に協力するんじゃない!』

三村(ミカサ)『……拙者の事が嫌いなのでござるか? (ウルウル)』

斎藤(ジャン)『うぐ?! (赤面)』

くそ! このミカサの色仕掛け、マジぱねえ。

これ、落ちねえ奴いねえだろ。ジャンの赤面がガチだ。

斎藤(ジャン)『そ、そういう訳じゃねえけど……つか、あんた男のくせに妙に色気があるな。男色なのか?』

三村(ミカサ)『さあ? どうでござろうな? さて、調査を進めるでござるよ。まずはその『仕置き人』とやらに会う方法を考えるでござる』

斎藤(ジャン)『話を逸らしやがって……』

三村(ミカサ)『ん? (小首を傾げる)』

斎藤(ジャン)『だああもう! 分かったよ! 今回だけだからな! 協力させるのは! このことは内密にしろよ?!』

三村(ミカサ)『かたじけないでござる』

斎藤(ジャン)『仕置き人の存在の裏を取ってくる。本当にそいつが存在するなら、恐らく闇の接触手段がある筈だ。囮捜査が必要になるだろうが……』

三村(ミカサ)『ではその囮役を拙者が請け負うでござるよ』

斎藤(ジャン)『はあ?! あんた馬鹿か?! それって自分の命を仕置き人に狙わせるって事だぞ?!』

三村(ミカサ)『構わんでござるよ。手がかりが掴めない以上、やってみるしかないでござる』

斎藤(ジャン)『な、なんでそこまで協力的なんだよ。何か理由があるのか?』

三村(ミカサ)『んー』

と、息をついて、複雑そうな顔になり、

三村(ミカサ)『やっと新しい明治の世になったというのに、自由に恋愛も出来ないのかと思うと、腸が煮えくり返るでござるよ』

斎藤(ジャン)『いや、あんた自身が恋愛が出来ないならともかく、他人の恋愛だろ? 何でそこまで感情移入するんだよ』

三村(ミカサ)『まあ、そこはほら、性格の違いって奴でござるよ。とにかく、拙者が囮を引き受ける故、準備が整ったら知らせて欲しいでござる。その間、拙者は独自に調査を進める故』

斎藤(ジャン)『はあ………っておいコラ! どさくさに紛れて逃げるんじゃねええ!!!』

と、叫びながら斎藤(ジャン)が三村(ミカサ)を追いかけるが既に遅しだった。

59進撃の名無し:2014/07/28(月) 14:42:48 ID:Oz2Etvso0


そんな訳で数日後。茶屋で合流した三村は斎藤と打ち合わせをする。

ちなみに茶屋の給仕役(ウエイトレス)でオレがまた女装する事になった。

2人にお茶を出すだけの簡単な仕事だけどな。

斎藤(ジャン)『裏は取れたよ。仕置き人の名前は「神谷赤司(かみやあかし)」という名前らしい。小柄で痩せた男らしいが、一応、これがその似顔絵になる』

三村(ミカサ)『ふむ。随分と目つきの悪い男でござるな』

斎藤(ジャン)『証言を合わせて作った似顔絵だからな。多少大げさには描いている。実際見て描いた顔じゃねえから、似てねえかもしれねえが』

三村(ミカサ)『いや、十分でござるよ。では今夜、早速決行するでござる』

斎藤(ジャン)『………本当にいいんだな? 命の保証は出来ねえぞ?』

三村(ミカサ)『やけに心配してくれるでござるな。拙者に気がある?』

斎藤(ジャン)『んなわけねえだろおおおお!? 誤解を招くような事を言うんじゃねえよ!!! オレはそっちの趣味はねえから!!!』

三村(ミカサ)『ははっ……なら良いでござる。拙者も安心して囮捜査が出来る』

斎藤(ジャン)『あーもう、しらねえからな。どうなっても……あ』

三村(ミカサ)『ん?』

斎藤(ジャン)『そういえばずっと「あんた」とか「お前」とか呼んでいたが、名前を聞いてなかったな。名前、教えてくれないか』

三村(ミカサ)『名乗るほどの者ではないと前にも言ったと思うでござるが』

斎藤(ジャン)『いや、囮捜査をやってくれる人間の名前すら知らないってダメだろ。教えてくれ』

三村(ミカサ)『………三村万心』

斎藤(ジャン)『分かった。三村だな。三村、今夜作戦を決行するから、準備を整えておいてくれ』

三村(ミカサ)『了解したでござる』

斎藤(ジャン)『じゃあ、また後でな。あ、ここの茶代はオレが払っておくから』

三村(ミカサ)『ありがたいでござる』

という訳で、2人が別れると………

三村(ミカサ)『斎藤殿に拙者の名前を知られていなくて良かったでござる』

と呟く三村であった。

60進撃の名無し:2014/07/28(月) 14:56:23 ID:Oz2Etvso0





月夜。月の明るいその夜にその作戦は行われた。

夜の人気のない道を一人歩く三村。その背後から、例の気配を感じた。

釣りにかかった魚がやってきた。後は釣り上げるだけ。

三村(ミカサ)『何か用でござるか?』

惚けた声で話しかけると、男は月を背景にして答えた。

神谷(リヴァイ)『あんたに恨みはないが、命を頂きに来た。三村万心で間違いないな?』

三村(ミカサ)『確かに拙者が三村でござるが………そちらも神谷殿で間違いないか?』

神谷(リヴァイ)『(ぴくっ)何故、俺の名を知っている?』

三村(ミカサ)『拙者は神谷殿と少し話がしたいでござる。時間を頂けないだろうか』

神谷(リヴァイ)『断る。俺は頼まれた仕事をこなすだけの仕事人。仕置きをする人間だ。余計な事は話したくない』

三村(ミカサ)『頑固で融通のきかない人でござるな。では、力づくで問わせて貰うしかないでござるな』

じりじり………じりじり………

直後、2人の神がかった殺陣の応酬が始まった……!!!


おおおおおおおお………


観客が見入っている。神谷(リヴァイ)と三村(ミカサ)の剣戟の凄まじさに度胆を抜かれているようだ。

すっげええ! 本番が一番、動きにキレがある。さすがだ!!

皆、裏方も一緒に殺陣に見入っていると、三村(ミカサ)が徐々に劣勢になってきた。

三村(ミカサ)『くっ……!』

神谷(リヴァイ)『なかなかやるな……(ニヤリ)』

だんだん動きが速くなっていく。一騎打ちだ。劣勢の中、それでもアクロバティックな動きを混ぜながら避けて、遂に来た!!!

ミカサの壁伝いだ! 体育館の舞台の壁を伝いながら、横移動をするという大アクションだ!

神谷(リヴァイ)『何?!』

三村(ミカサ)『うおおおおおおおおおお!!!!』


ガッキィィイイイイイイイ!


SEが、轟いた。直後、飛びのいて、神谷(リヴァイ)が汗を浮かべて距離を取る。

お互いに息を荒げて、そして三村(ミカサ)の方から口を開いた。

61進撃の名無し:2014/07/28(月) 15:15:29 ID:Oz2Etvso0
三村(ミカサ)『神谷殿……最近起きた、若い男女が川辺で死体で発見された事件をご存じではないか?』

神谷(リヴァイ)『ああ。その事件なら知っているが……』

三村(ミカサ)『噂では、神谷殿がやったのではないか、という情報を聞いた。何か知っている事はないでござるか?』

神谷(リヴァイ)『何? 俺はその事件については関与していないぞ』

三村(ミカサ)『やはりそうでござったか……(刀を下す)』

息を整えて三村(ミカサ)は言った。

三村(ミカサ)『剣を交えて分かった。神谷殿はあのような卑怯なやり口はしない方でござる』

神谷(リヴァイ)『何故そう言い切る』

三村(ミカサ)『そもそも、こんなに明るい月夜に暗殺を請け負う方がおかしいでござる。闇討ちをするのであれば、新月を狙う。闇の中の方が、仕事をしやすいでござろう?』

神谷(リヴァイ)『ふん……俺は金さえ貰えればいつでも仕事を請け負うだけだが』

三村(ミカサ)『それでも、自分の有利になるように事を運ぶのが普通でござる。神谷殿は犯人ではござらんな』

神谷(リヴァイ)『……………あの事件について追っているのか?』

三村(ミカサ)『(こくり)何か知っている事があれば教えて貰えないでござろうか』

神谷(リヴァイ)『ふん……』

刀を収めて神谷(リヴァイ)が答える。

神谷(リヴァイ)『俺が何故そんな余計な事を話さないといけない。情報を売ると思っているのか?』

三村(ミカサ)『そこを何とかお願いするでござるよ』

神谷(リヴァイ)『無駄だ。俺は仕事をこなすだけだ。貴様の命を取るまでは、この剣を振るうのみ!』

三村(ミカサ)『!』

再び剣戟が起きる。再び凄まじい殺陣が起きるが、そこに斎藤率いる警察官が突入した。

神谷(リヴァイ)『ちっ…!』

慌てて逃げる神谷(リヴァイ)。それを追いかける警官隊。

斎藤が三村に駆け寄って、

斎藤(ジャン)『大丈夫か?』

三村(ミカサ)『大丈夫でござる。しかし困ったでござるな。手がかりが何も掴めなかった』

斎藤(ジャン)『まあ、捜査なんてそんなもんだよ。気落とすな。また別の線から捜査を進めてみようぜ』

三村(ミカサ)『かたじけないでござる(しょんぼり)』

という訳で、その日の囮捜査は結局は失敗に終わってしまったのだった。


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