長編投下スレ

19：4/5：2013/06/08(土) 19:47:54 ID:nrXmkyJQ: 41：ヘタレの兄貴：2013/06/08(土) 19:48:12 ID:???

その時、急に、俺は弟は死んだってことに気が付いたんだ。
今更だけど、何か急に、ああ弟は死んだんだ、って。

その途端、部屋に溢れかえってた弟達が、一人残らず消えた。まるで最初からいなかったように消えた。

いや、最初からいなかったんだ。弟なんて。
事故の後から、俺は一度も、生身で笑う弟なんて見ちゃいなかったんだ。
空っぽの家の中で毎日響いてたのは、俺の一人遊びの声ばかりだった。
上手くいった料理の隣に、わざと失敗した料理を並べて一人で食べた。
朝鳴り響く目覚ましの喧しさや煩わしさに弟の声を思い出して、一人でへらへら笑ってた。

何も乗ってない２０枚の朝食の皿の前で、俺は泣いた。
汚れ一つない皿に、弟の人数分戻ってきた悪い出来事に、一人で泣いているという現実に、泣いた。
それは堪らなく辛い出来事だったけど、次の日になっても、次の次の日になっても、もう弟は帰ってこなかった。

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