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【第一級魔法学園】

1名無しさん(荒しさん?):2016/07/29(金) 16:31:02

【第一話 入学式 前編】


緩やかな春の風に、桜は舞い散るーーー



少女、天川 灰音(あまかわ はいね)は、【第一級魔法学園】に入学する為、学園の校門を潜っていくーーーー…



と、その時。


『きゃっ…!』


灰音の肩に、何者かがぶつかる。

その事に、小さな怒りを覚える。すると。


「…ああ、すまん。驚いたかな?」

ーーーーぶつかった者、ボサボサの黒髪に、少し怖い印象の顔立ちをした、十六夜 朧(いざよい おぼろ)が優しく声をかけてきた。


しかし、灰音は元々気の強い性分。
ふんっ、と鼻を鳴らしながら、かつかつかつ、と。わざと足音を強くさせ、校舎へと向かっていく。

灰音の姿は直ぐに見えなくなった。

その途端、もう一人の二年生の少女が、憎たらしい様な笑みを浮かべて、朧の隣にパッ、と現れる。


「あ〜あ・・・・朧ってば〜♪何々、一年生をナンパですかぁ〜?」


うざったい口調に、ニヤニヤとした笑みを深めるその仕草ーー間違いない、二年B組所属である、赤羽 真昼(あかばね まひる)、だ。

焦げ茶色の髪をポニーテールに結い、パッチリとした真紅の二重の瞳と、健康的な色白の肌が特徴的なその姿は、何とも可愛らしい。可愛らしい、のだが。

その憎たらしい笑顔と、うざいとしか言いようがない口調で、その可愛さが丸潰れだな、なんて内心、朧はそう思って、ついつい、苦笑してしまう。

「・・・むー。何か、ありそうだねっ?w」


真昼は悪どい笑みを浮かべ、朧の方を思いっきりつねる。すると朧は悲痛な声で、けれど楽しそうに、止めてくれ、と言う。


その時、この学園の七不思議の一つ、「摩訶不思議塔」のベルが鳴った。


このベルは、入学式と卒業式しか、何故か鳴らない。

人の手を使っても、絶対にびくともしないらしい。
と言うかその前に、塔には限られた人以外は、入ってはダメなのだとかでーーー


さて、時を同じくして、“生徒会室 テラス”にて。


すぅ、っと念力魔法で紅茶をカップに注ぎ、此方に持ってこさせた。

それをした少女、生徒会長、三年A組の雛川 桃(ひなかわ もも)だ。

そしてそのカップを、ようやく手に取り、先ずは香りを楽しんでから、優雅に紅茶を飲む。


『………今日は、入学式…』

なんて呟き、桜の形のクッキーを口に含み、食す。塩気と甘さが丁度良かったらしい、小さな笑みを浮かる。


ちなみに。
“生徒会”とは。
この学園に置いて、絶対服従、全校生徒憧れの存在である。


一年生でも実力さえあればなれる、正に完璧な生徒のみが所属するのだ。



そろそろ、生徒会は壇上で一年生に話をせねばならない。

そんな事を忘れていた桃は、直ぐに立ち上がり、小走りで第一体育館へと急いで行く。


…そんな所を影から見ていられたのは、唯一人。生徒会副会長、神崎ノア(かんざきのあ)。


テラスにフッ、と姿を現すと。
風で真っ黒な短髪がなびいて、太陽で赤黒い瞳は妖しげに輝いた。


「………新入生…期待しているよ…??」

そう呟いてから、桃がもう一人分用意していた紅茶が注がれたカップに口付けて、妖しげに笑うのだった。

2姫華 ◆FjOpeTE2Ts:2016/07/29(金) 16:31:34
ふぁっ、ごめんさっきの私だわ。すまん。

3姫華 ◆FjOpeTE2Ts:2016/07/29(金) 16:39:56

【第ニ話 入学式 中編】 




ーーーー程無くして、第一体育館にて、入学式が開かれた。



新一年生は、扉から入ってきて、進級したばかりの二年生の園芸委員が真っ赤な花弁を蒔く…此れが、『第一級魔法学園』の伝統的な入学式である。

ちなみに三年生は、一年生を暖かな目で見る事くらいだ。


そんな中。
灰音はずっと先程の事を気にしながら、歩いていた。


『…何なのよ………あの人……失礼にも程があるでしょ………』

ぶつぶつぶつぶつ独り言を喋って俯いていると、前が見えなくなる。
すると、当然前の人にぶつかる訳で。


「きゃぁ…」


人にぶつかった衝撃。

きっと、逆方向に歩いていたのであろう。何故か。

デジャヴな展開に、灰音は頭に来たらしく、つい、大きな声を出す。


『ちょっと!何で逆方向に……って、え…?生徒、かいちょー………?』

前に立っていた人物は、紛れもない。
生徒会長の桃であった。

灰音は昔、この学園の噂で聞いた事があった。
生徒会、風紀委員会は何年も何十年も居座り続けているらしい……と。


あくまで噂。されど、この学園の噂だ。侮れない。


しかし、目の前に居る人物にもう一度目を向けてみる。
間違いなく、完璧な年頃の美少女。


何年も、はともかく。
何十年も、なんて事は有り得ない。
不老不死の薬は、未だ研究中なのだから。

「…あ、あの……私、急いでるから…」


『え、あ…っ』

灰音がじっ、と見ていたのが嫌だったのだろうか。
はたまた、本当に急いでいたのか。


怯えた様な表情をしながら、桃は小走りで何処かへ消えてしまった。

桃の方へ伸ばした、灰音の手は。
虚しく、下ろされた。

4姫華 ◆FjOpeTE2Ts:2016/07/29(金) 16:42:30



さて、桃が向かった場所は、体育館休憩室。
壇上へ上がる前の所にある、小さな部屋だ。


「ごめんなさい、遅れてしまって……」

しゅん、と落ち込んだような表情をしながら、そんな言葉を小さく刻む。

「も〜も〜・・・?覚悟は、出来てるよね・・・・?」

赤羽 真昼。
彼女はこういった事に、とても厳しい。
ニヤニヤとした黒い笑みを深め、桃に詰め寄ろうとする。

しかし、それを止める者が居た。
十六夜 朧だ。彼は、何かと皆の歯止め、お兄さん役である。


「まあまあ……このまま説教してると、ほら…入学式も始まっちまうし、な?」


許してやれ、と言う優しげな目線を真昼に送る。仕方ないなぁ、という感じで、その騒動は終わった。


「・・・ところで、ノアは〜?まだ、来てないみたいだけど・・・・また、遅刻?w」

腕を自身の胸の前で組みながら、けらけら、と笑う。


と、その時。



「…呼んだか??」


突如現れた。
いやらしい笑みと共に、そんな言葉を述べる。


「お前ってホント、神出鬼没だよな……」

苦笑しながら、朧が言う。

呆れたような、乾いたような、そんな空気。


しかし、それは直ぐにぶち壊される。



「ノ〜ア〜・・・・?」

やはり、真昼が、完全にキレた口調で、愛用の光魔法で改造した二丁拳銃を両手に持ち、構える。


「…良いだろう、かかって来い。」

ノアは、笑みを深め、此方は魔法発動の準備を始ながら、構える。


一方。

「………紅茶、美味しい…」 

「…俺にも、くれ。」


いつもの如く始まった喧嘩を見ないようしながら、いつの間にか紅茶を淹れ、ほのぼのと飲んでいる桃と朧。
いつもの事なので、ただただ現実逃避していた。



さて、いつになったら入学式は始まるのだろうか…


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