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連載中スレの楽屋裏避難所

1名無しさん:2008/06/12(木) 14:52:10 ID:???
楽屋裏の避難所としてお使いください

■現行スレ
連載中スレの楽屋裏 第26幕
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1209028846/

826 ◆aoV/Y6e0aY:2010/12/07(火) 21:36:42 ID:???
確認しました。3スレに転載手間かけさせてすみません。ありがとうございます。

827覚悟スレに転載お願いします:2011/01/12(水) 22:04:27 ID:rGO06Msc
「ににに人気あるなー貴様〜〜! だがこの人気、一秒後には全部悶十郎様のもの!
 我 こ そ 天 下 一 な り〜〜〜〜〜〜 っ !! 』

無数の腕で拍手しつつ巨大化し、一層怪物と化す悶十郎!その正体は、戦術鬼の生き残りだった!

戦術鬼と化した悶十郎を見て悲鳴を上げる女生徒に、早くも人気絶好調とのたまう悶十郎。
『否! 獅子は獅子である事を吠えたりはせぬ!』
零式防衛術・破邪の構えで立ち向かう覚悟に怖気ずく悶十郎。  ――――が。
『絶頂天狗剣――――ん! いちばーん!!』
鼻を伸ばし巨大化させ、覚悟を叩きつけようと襲い掛かる!

『 未  熟  者  !!』

しかし覚悟は因果一撃で鼻をへし折り、悶十郎の巨体を吹き飛ばした!南無!
(おまえの名は俺の胸に刻んでおいてやる!)
覚悟の勝利に駆け寄る生徒達。
『すげーぜ葉隠!』 『場外ホームランよ!』 『やっぱ葉隠さんは天下一っス!』
覚悟はヘルメットを外し、眼鏡をかけつつぴょん助の言葉を拒否する。

「違う あのような者に挑戦される私こそが未熟者 ――禁酒するぞ、零」
《了解!》

…と言ったものの、酒がほとんど飲めなかった零はうっすらと涙目でした。      <終>

828ダイ大あらすじ僧正参りました!:2011/01/12(水) 22:20:31 ID:???
>>827
転載しました。

829名無しさん:2011/01/12(水) 22:42:31 ID:???
お、転載してくれたのはダイあらすじさんでしたか!ありがとうございます!

830覚悟スレに転載お願いします:2011/01/16(日) 22:04:13 ID:???
そしてついに203号の一撃は―――― 覚悟の体を貫いた!!

致命傷を受け吐血する覚悟。

(と…殺った! 絶やしたぞ、悪鬼葉隠!悲願達成!
 ――嗚呼 思い出した!俺の! 俺の! 俺の!  名 前 ・・・・・・・・)

悲願成就し、203号―――― 老人はうれし涙を流しつつ雪の上に倒れ逝った。
その死に顔は、これまでの憎悪に満ちた表情が嘘のように思えるほど安らかな死に顔だった。



死にゆく老人に敬礼をし、礼を尽くす覚悟。
(お前の受けた傷に比ぶれば… 我らの受けた傷の何という軽さよ…)
《案ずるな覚悟!同胞は安らかに眠っている!! いつか我々と固く手を結びあう日が来るであろう》

覚悟はマフラーの中から血濡れの“雫”を取り出し眺める。
(雫… 昨日もらったばかりなのに、今日はもう血まみれ…
 やはり俺には愛は似合わぬらしい… 俺が触れれば美しいものはみな汚れてしまう
 ――了解! 遥けき彼方より君の幸せを見守らん!)
そう決意すると同時に、覚悟の手からヘルメットがポロリと落ちる。

                   ( メ リ ー ク リ ス マ ス ! )


                                                  <終わり>

831ダイ大あらすじ僧正参りました!:2011/01/16(日) 22:06:47 ID:???
>>830
転載しといたのぜー。
ここでの名前消し忘れてたんで素性バレチャッたけどもうこのままでいいやー。

832名無しさん:2011/01/16(日) 22:07:40 ID:???
転載早ッ!w ありがとうございます!
もしかしてダイあらすじさんも覚悟スレ読んでくれているのだろうか?

833ダイ大あらすじ僧正参りました!:2011/01/16(日) 22:29:12 ID:???
覚悟はRED版を揃えてあるし、覚悟目当てに銃声の子守唄も買った。
スレにも最初から参加しているのだ。楽しませてもらって感謝してます。

834名無しさん:2011/01/16(日) 22:31:05 ID:???
いえいえ、こちらこそいつもレスをもらって感謝してます。
レスが無きゃ、定期的に話が進んじゃう連載中スレはつまらなくなるからね…

835ゴッドサイダー 6/7:2011/01/17(月) 21:56:34 ID:???
「大日輪行仁様、お久しぶりですね」
「おお… やはりラマ寺院の阿太羅君か!」

「戦車砲弾を跳ね返すとは… やはり出おったか “神の側の人間(ゴッドサイダー)”!!」

行仁殺害を邪魔されたはずなのに、聞きとして喜ぶ魔道院。
それもそのはず、神と悪魔は表裏一体、光と影。悪魔が居る所に神も必ずいるのだから。
「きさまら… 何をしようとしている? 世界各地に現れ一斉に行動にうつるとは…」
「そろそろ貴様らとケリをつけろというご命令なのだ」
「命令?  ――――!!  ま、まさか!? それは魔王(サタン)か… 魔王の命令なのか!?
 しかし奴は黙示録の戦いで大天使ミカエルによって地中深くに封じ込められたはず!!』

「フフ… だが魔王様は生きていたのだ、そして我々に心波(パルス)を送ってきた…
 ノストラダムスが人類滅亡を予言したその時1999年までに 地上を我々のものとし、
 その全ての力によって地中より自分を解放して欲しい、と…
 そして全宇宙をおさめる絶対者を決めるため、再び神々に最後の黙示録戦争を挑むのだ!』

『そんな事は絶対にさせん! 正義の名にかけてな!』
「フフ… だからカタをつけるのよ…」
ふと、行仁が気がつくといつの間にかすぐ側にいた霊気がいなくなっている??
――すると魔道院の背後に突如霊気が現れ、彼の頭部に鉄パイプの一撃を入れた!!

「わ… 私に悟られずに背後に忍び寄るとは、キサマ一体…?
 それに叫び声で自衛隊員達を金縛りにする力… やはりキサマも神の側の人間か?
 ククク… それではキサマから血祭りにあげてやる!!
 この悪魔の側の人間、ドゥーイン自らの手によってな!!』

魔道院は頭蓋にめりこんだ鉄パイプを引き抜くと、デビルサイダーとしての正体を現した!
ドゥーインは周辺の瘴気(※)を集めると、戦車と一体化した下半身の砲を使って撃ちだした!
(黒魔術大全 その① ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110117214404.jpg)

『くらえ、瘴気砲弾!!』

836ゴッドサイダー 7/7:2011/01/17(月) 21:56:54 ID:???
――至近距離の霊気は避けられず、直撃を食らってしまった!
……が、なんとおぞましい瘴気は霊気の体に吸い込まれていく!!??

阿太羅が驚愕する中、霊気の体に変化が起き始めた。
霊気の出っ歯が抜け、突風が彼の前髪を舞い上げると、そこには凛々しい青年の顔があった。
「彼が昔話した、鬼哭霊気じゃよ!」
『えっ!? あ… あの… 行仁様が密かに育てたという、いまわしい宿命の子!!』

「そうじゃ、しかし彼は目覚めてしまった…
 神の側の人間と、悪魔の側の人間の間の子という、自らの宿命と戦う為に!!」

――霊気の体はたくましい筋肉質の体となり、あの知能の低そうな以前の姿はどこにも無かった…
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110117214605.jpg     <続く>

837ゴッドサイダー 5/7:2011/01/17(月) 22:04:22 ID:???
戦車部隊は山門の前に止まり、指揮官らしき者が拡声器で呼びかける。
《キサマが日本仏教界を取り仕切る、大日輪行仁というたぬき坊主か!?》
その言葉を聞いた僧は激怒して反論する。
『行仁様に向かってなんということを! さがれ下郎!!』

「フフフ オレは下郎などではない、ちゃんとした名前がある
 ――魔道院裂火!! 自衛隊内では魔道院一佐と呼ばれているがな」

ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110117214007.jpg
行仁は只ならぬ気配を感じ取り、周りの自衛隊員が魔道院によって操られている事を見抜いた。
「フッ さすがだな、行仁… ただちにオレの正体を見抜くとは…
 その能力、十分に我々の行動の邪魔になる…  だから生かしちゃおけないのだ!!』
――言うが早いか、戦車の機銃を乱射する魔道院!
咄嗟に2人の僧が行仁をかばい、致命傷を負ってしまう!
魔道院の命令で自衛隊員もマシンガンを乱射、流れ弾が小鳥に当たってしまう。
階段に落ちた小鳥の死体を見て、霊気は――――大声で泣いた。

その瞬間、霊気の泣き声を聞いた自衛隊員達は一斉射撃を止めてしまった???
魔道院は部下を一喝するが、気を取り直し自分の戦車砲を叩きこもうと照準を合わせ始めた。

小鳥の死体を手にし、泣き叫ぶ霊気を必死になだめようとする行仁。
「興奮してはいかん、霊気! 生きているものはいつかは死ぬのじゃ!
 それがこの鳥は早かっただけなんじゃ!!」

霊気は泣きやんできたが、その一方では戦車砲の照準が行仁に合っていた。
「フフ… 山門ごと吹き飛ばしてやる… 死ね――――っ!!」
戦車砲が発射され、文字通り山門に命中、爆発した!!

…爆煙が晴れると――――2刀流の鎧武者が行仁と霊気の前に立ちはだかり、2人を守っていた!
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110117214050.jpg

838ゴッドサイダー:2011/01/17(月) 22:05:03 ID:???
1回投下ミスがあってそれがカウントされたのか、5レス目で連投規制くらったorz

839覚悟スレに転載お願いします:2011/01/19(水) 21:09:10 ID:OlTlU75c
《古の名を白田玄兵衛、現(いま)の名は武鬼とでも申そうか!》

鎧武者… 武鬼はそう名乗ると、2m程もある大刀を抜き放つ!
のぶ達はやべぇ、逃げようと覚悟に叫ぶが当然、敵に背を見せる覚悟ではない!
その時カバンから異音が響き、英霊達が刀に血痕がある事を見抜く。
「昨晩剣士四名を斬ったのは貴公だな!」
《我ら古の侍が刻苦練磨せし剣の術理は 現代剣士の棒振りとは似ても似つかぬものであった!
 まともなる剣の後継者は皆無! その無念が墓場から我を蘇らせた! 我は無念なり!!》
武鬼はそう叫ぶと2mはあろうかと思われる刀を抜き、のぶ達もこいつが犯人だと理解する。
覚悟はカバンを下に置き身構える。
「米英との戦争に敗れた時、我が国の剣も柔も眠りについた
 されど時の流れに身をまかせる事なく、眠ること許されなかった獅子の一族も……!
   瞬  着  !  」
拳をカバンに振りおろし、周囲に閃光が走る!

「我こそは現代の侍! 牙なき人の剣なり!! 武道試合申し入れる!!」

零を身にまとった覚悟を見てたじろぐ武鬼、変身したと騒ぐのぶ達。
《うぬぬ… 瞬く間の甲冑支度見事! 相手つかまつる!》


――こうして、零対武鬼の戦いが始まった   ……が、傾斜にいる為地の利は武鬼が有利だった。
(重力を味方にしたあの位置からの突進、左腕一本で受け切れるか?)
《昇華弾で一閃しよう!》
(相手は侍!飛び道具は非礼にあたる!)
《ならば推進剤噴射で奴の上空に舞い昇り……》

(それは絶対に出来ぬ! 俺がここを動けば、武鬼の太刀先が級友達に向いてしまう!)

背後にはのぶ達がいる。覚悟は破邪の構えを解き、仁王立ちになって彼らを守る!
《少しは自分の事も心配しろ!》
英霊達がそう叫んだ瞬間―――― 武鬼が仕掛けてきた!

840覚悟スレ 7/7:2011/01/19(水) 21:09:49 ID:OlTlU75c
 《 い ざ ! 》 『 応 ! 』



                  撃    真


                  突    向


『零式 因果双拳!!』 ――武鬼の懐に飛び込んだ覚悟のダブルパンチが武鬼の胴を貫いた!
直後、覚悟は追い打ちをかけずにその場に座し祈り始めた??!!

『南無八幡大菩薩! 剣の行く末を憂う余り、
 現代(うつつ)に転生せし古の武人の霊魂に今一度、安らかな眠りを運びたまえ!!』

最後に南無、と祈ると武鬼は鎧ごと砕け散った。
(玄兵衛どの、安らかに!)


――戦いが終わるとのぶ達が駆け寄ってくる。
『メガネー! えんぴつさ名前書いでだっせー奴ど思ったげっど、
 めちゃくちゃすげーなーっちゃよう!!』
すると覚悟はマスクを外し微笑んだ。
(普段は謹んで鞘に納めていても、いざと言う時はカチッと芯が!)

…夕日を浴びながら帰る覚悟達を、武鬼… いや、玄兵衛の亡骸は彼を本物と認めていた。

                                       <終り>

841アウトロー・マン:2011/03/20(日) 21:16:07 ID:???
荒野。
蛇に襲われた鳥が、間一髪空へと飛び立つ。
その下で、一人の男が馬を駆っていた。
右腕にケガをしていて――まだ血が止まっていない。
彼は、追われている。

目前の木に、男が縛り首にされている。
「やあ!どんな気分だい?死にごこちは」と、銃を構えて話しかける。
地面に一人分の足跡しかない以上、これは待ち伏せだ!

吊るされたスキ間歯(マッパ)の男はいきなり銃を抜くが、それよりも早く男の45口径が火を吹く。
胸を狙ったはずだが、ケガのせいで縄に命中してしまった。
そして、スキ間歯が体勢を整えた時には……既に男は逃げ出している。

男は「逆尾行」されていた。
鏡や動物の鳴き真似で、後ろにいる尾行者とスキ間歯が連絡をとっていたのだろうが…
男の腕を狙撃したことといい、相当な腕の集団だ。

スキ間歯に合流した男たち3人は、相手を徒に警戒させたと殴りつけ、ツバを吐く。
激昂して銃を抜くスキ間歯だったが、投げナイフにやられてしまった。
これは「正当防衛」だ。

一方、男は足跡の残らない岩盤地帯へとたどり着いていた。
崩れやすい岩山だったが、なんとか切り抜ける。
さらに、においは川で消し、足跡は川原の石で蓋をする。

だが、尾行者たち―ピンカートン探偵社―は葉のホコリが落ちていること、枝が折れていること、
そして川底の水ゴケを手がかりに追跡する。
「足跡を完全に消すことはできない!消えるのはヤツが死んだときだけだ!」

842アウトロー・マン2:2011/03/20(日) 21:16:18 ID:???
岩山で毛皮帽子の男が再びライフルを構える。
真上から弾薬を装てんするため、やや左斜めに傾いたスコープが付いている。
装弾数5発、射程距離約700メートル。

追われる男は違和感を覚えていた。
鳥が飛び立ち、それは確信に変わる。
しかも、スコープの反射が!?

銃弾は避けたものの、彼の馬「キャメロン」に命中!
うかつに出てはいけないと身を隠した男は、岩陰から苦しみながらキャメロンを打ち抜くのだった。

尾行者たちは男の足跡を見つける。
右足の内側に力が入っている――ヤツの右ワキ腹に命中した証拠だ!

(殺らなきゃ殺られる…おれはひとりだ。ひとりってのは楽じゃあないが、ひとり以外のなにものでもない)

ガサリと動く茂みに、尾行者たちの銃弾が命中する!
しかし、それは縛られたウサギ…ワナだ!!
慌てて隠れる尾行者だが、男は跳弾を利用してをかたずける。

男はアウトロー・マンだ。
その足跡は消せないし、それを知っている。
目的もなく、逃げるだけの人生。
彼は孤独なアウトロー・マンだ。

よろめきながら歩く男の上で、鷹が蛇を捕まえていた。

843ゴッドサイダー 1/3:2011/04/08(金) 21:48:24 ID:z5S2BQU6
  〔第38話『守護神結集!!』の巻〕

カラーページ・ゴッドサイダー一覧:ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110408211611.jpg


              その者 六つの翼を持ち 聖なる剣を持てり
            その心は与えられし 育まれし大いなる愛で満ち満ち
              その光が身体を包む時 その者は冠を与えられ
              新しき名で呼ばれたり 神の側の人間 と……

                               ―超人生誕 第十二章―

神々しい力と威圧感を放ちパズスに迫る、ゴッドサイダー・梗。
「てめぇ… 一体…?」
「私は…… 梗…… ゴッドサイダー・梗…!」

「ゲゲッ そうか… 梗の血の中に神の血が混じっていたってわけか
 それが彊良の死で目覚めたのか!」
「今までの罪滅ぼしの為にも… いくわよ、彊良」
新しい仲間の誕生に、霊気と流璃子は悦びを隠せないでいた。

すると鳴蛇が割り込み、裏切り者の処刑を任せてほしいとパズスに志願する。
パズスはそれを承諾し、今、ここに殷の四騎士同士の戦いが始まった。

――鳴蛇がジャンプして天井に貼り付くと同時に、床から巨大な熱帯植物が生えだす。
だが梗は動じず、瞑想しつつ真言を唱え―――― 何かが発動した。
同時に、熱帯植物が梗を包み込み、辺り一面が熱帯植物のジャングルと化した!

844ゴッドサイダー 2/3:2011/04/08(金) 21:48:54 ID:z5S2BQU6
 ―ジャングル内部―
立ち尽くす梗の頭巾がドロリと溶け始める。するとどこからともなく鳴蛇の声が聞こえる。
「この亜熱帯植物の檻の中の温度は30℃前後 最もオレ達が活動しやすく出来ている
 そしてこの湿った霧はオレの身体から噴き出す腐敗毒! じき、お前の身体は腐り落ちる!』
『腐ってるのは貴様の心だ鳴蛇! 我々殷の四騎士の使命を思い出せい!!』
『男の声色作っていきがるんじゃねぇ!
 そんなものは崇高なパズス様の使命の前ではゴミクズ同然よ――――っ!
 念仏でも唱えろ梗――――ッ!!』
鳴蛇は蛇の頭巾と身体を一体化させ、巨大な大蛇となって頭上から襲いかかった!
だが、梗は動じず鳴蛇は梗の胴体に巻き付き絞めつけトドメの一撃を放とうとすると……

「殷皇帝がお嘆きだぞ、鳴蛇」
そう呟きながら梗が振り向くと―――― その顔は、死んだはずの 彊 良 ??!!

『な なぜだ! 死んで消え去ったはずの貴様がなぜここに!?』
「そうだ… 確かにオレは死んだ しかし、オレの“気”はいつまでも梗と一緒に存在する…
 一つの身体の中でこの心はいつまでも一緒… それがオレ達の守護神、両杜羅天の力なのだ」
彊良はそう説明すると、霧となって消えてゆく。すると頭上から梗の声が聞こえた。
「そう言う事よ、あんたは実体である私が離れた後の気体の彊良を相手にしていたのよ」

――見上げると、そこにはヤケドの後が一切消えた、美しい裸体の梗がいた!
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110408211712.jpg

ヤケドの後が消えている事に、同性である流璃子も思わず喜ぶ。
「こ… これもみんな彊良のおかげ…
 消え去った彊良の身体の皮膚が、私のヤケドの皮膚とすり替わってくれた…」
梗は涙ぐみ、この事態を説明すると、どうした事かジャングルが消えてゆく。
同時に、梗の身体に螺旋状の黒い霧が覆いかぶさり、鎧を再装着すると剣を鳴蛇に突き付ける。

『鳴蛇! 民衆の為、殷の四騎士の誇りにかけてお前を殺す!』

845ゴッドサイダー 3/3:2011/04/08(金) 21:49:14 ID:z5S2BQU6
鳴蛇は自らの鱗を無数のカッターの様に飛ばすが、梗はそれを凌ぎ大きな翼を生やした。
翼の羽ばたきで鱗を押し戻し、鱗は鳴蛇の身体を切り刻む。
『鳴蛇お前には決して私は殺せない!  猛 禽 変 化 !! 』
梗は大きな梟と化し、梟が蛇を引きちぎったかと思うと… 鳴蛇の身体は両断されていた。


「蛇の天敵は猛禽類(フクロウ)なのよ、鳴蛇」
梗の勝利に思わず駆け寄る霊気と流璃子。同時に、マリガン・ジェミニー・阿太羅も現れる。
「ハッハーッ 次はおめえの番だぜ、パズス」
「断末魔の用意でもするんだな」
「これで終わりにしようぜ、パズス」
6人のゴッドサイダーに取り囲まれ、さしものパズスも歯ぎしりする。
霊気が梵語を唱えると、霊気達の身体から守護神のオーラが発生し、一体の守護神へと融合してゆく。

『 フ ォ ー ム ! 』

阿修羅と明王が融合した様な姿になった、合体守護神はパスズ目がけて巨大な斧を振り下ろす!
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110408211726.jpg


我が子の危機に蘇聴は悲鳴を上げるが―――― 倒れたのは霊気達だった!
「ゲゲゲゲ てめぇら雑魚にやられるオレ様じゃねぇや!」
第2段階に成長したパズスは、これまでと違いトサカと翼を生やし、強大な瘴気を放っていた。
                                       <続く>

846名無しさん:2011/04/22(金) 22:11:58 ID:5eXHId9s
月刊少年ジャンプ2002年4月号より『冒険王ビィト』という漫画が連載されました。
この漫画について語ろうじゃないか。
尚、この漫画は作者の知的でクールな作戦により、2日に1〜1/2話ずつの速度で連載される様だ。
たまにキレてダンゴールに八つ当たりする為変な時期に合併号になる事もあるが気にしないでくれ。
ちなみに今日は月刊少年ジャンプ2002年4月号の発売日だ。

※注意※
連載中スレとは連載終了した漫画作品を第1話〜最終話まで順々に、
『現在連載されているもの』つまり現在進行形で語り合うスレです。
ネタバレ発言はご法度。現在明かされてる情報のみで語り合いましょう。
連載中スレにそぐわない話は楽屋裏スレで行いましょう。
次スレが立ったら or 連載終了して合図があったら楽屋裏! 現代に戻って好き放題に語り合え!


なお、粗筋王マロンはなぜかこれまで関わったあらすじのほとんどが最近、何らかの動きを見せている。
(文庫版が出たり、新作が連載開始したり、フィギュアが出たり等)
粗筋王マロンのこの奇妙なジンクスを信じて、稲田氏の復帰に賭けてみようじゃないか!



連載中スレの楽屋裏 第32幕
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1293543652/

※規制の巻き添えで書き込めない人は代理スレを利用しよう!誰かがレスを貼ってくれるぞ!
【代理スレ】連載中スレの楽屋裏避難所
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/comic/5124/1213249930/

847ビィトスレ 7/8:2011/04/26(火) 23:04:51 ID:Z4S4w2a2
戦いはザン暗黒の騎士の騎士同士の一騎打ちとなる…が、やはりザンには分が悪い!
『同じ騎士でも貴様などとは格が違うわぁっ!!』
片手であっさり投げ飛ばされ、巻き添えを食ったボッカ共々激しく倒れるザン。
気絶から覚めたパタタはあの鎧さえぶち抜ければと愚痴るが―――― ふと、名案が浮かぶ。
『そ… そうだ! ボッカ!ピュー!例の奴だ!!』
『ええっ!? で でも あれ…痛いよ…」
『死んだらもっと痛ぇぞ!! オレがサポートするから… ぶっぱなせぇ!!』
パタタは渾身の火炎を吐くと、騎士の鎧が溶け始める。
『今だっ!』
パタタの合図にピューは覚悟を決めるとボッカの右手の平に乗る。

対するボッカの左腕はブロックが配列を変え―――― 『 黄 金 の 弓 』 へと変化した!!

              ゴールドマン・ボッカは分子の配列を変える事によって
               自らの身体の一部を武器に変える事ができるのだ!

ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110426224429.jpg
ピューを矢の変わりに放ち、騎士の溶けた鎧をぶち抜いた!
ぶち抜かれた大穴から魔力が放出され、暗黒の騎士はただの鎧へと戻り崩れ落ちた!
「ほ… ほんなっ…! 暗黒の騎士が…! おにょれ〜〜〜!!
 次こそ必ずやっつけてやるからにゃああっ! 覚えとれよ〜〜〜〜っ!!』
捨て台詞を残し、キメラの翼で撤退する竜貴妃。

『ざまあみろ! おととい来やがれってんだ!!』



勝利を喜ぶバリバリ隊をよそに、竜王の城では――――
「…おのれ、バリバリ隊の奴らめ! だが、今に見てろ!!
 必ず光の玉を奪いこの地上を再び暗黒の世界へと変えてやるわ…!!」
姉がやられた事と、出番がここだけしかなかった怨みに歯ぎしりする竜王がいたのでした。

848ビィトスレ 8/8:2011/04/26(火) 23:05:52 ID:Z4S4w2a2
  <エピローグ>
ラダトーム城にかかる朝日を見上げるバリバリ隊。
「なんとか光の玉を守れただな…」
「ああ、だが油断はできん 奴ら、次はどんな手で来るかわからんからな」
「そういや、パタタの野郎 またどっかに消えちまったぜ!」


…当のパタタはあの池のほとりでラミを探していたが、もはや彼女の姿はどこにもなかった。
ふと、しげみがガサガサと鳴り、その方向に目をやると―――― 1匹のウサギが現れた。

・・・・・そのウサギの首には・・・・ 見覚えのあるネックレス??!!

『ま… まさか… ラミ…!?』
驚いたパタタは思わず声をかけるが、ウサギは逃げずにただじっとパタタを見つめる。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110426224448.jpg
「おーい! どうしたんだ、パタタ!」
探しに来た仲間達の声が聞こえ、パタタは何でもないとごまかし、もう一度チラリとウサギを見る。
「……なんでもねぇよ……」
そう悲しそうにつぶやくと、パタタは仲間の元へと向かって行った。
そんなパタタ達を、ウサギはいつまでも、いつまでも見送っていたと言う……。


        ――そのウサギが本当に少女・ラミだったのか…? 真実は誰にもわからない
                    ただ、パタタはそう思えてならなかった…

           ラダトームを舞台にした光の玉争奪戦は まだ始まったばかりだ
                力を合わせて頑張れ! 5人の怪物戦士達よ…!!


                                          <竜王バリバリ隊・終わり>

849ビィトスレ 6/7:2011/05/24(火) 23:04:47 ID:1R/WmedE
「…いいだろう、おまえがあの5人を上回っているとでもいうなら…
 …こいつからまた生き延びてみせろ!!
 ファントムエクスプロージョン!! あの5人に致命傷を与えた奥義だ!!
 小 僧 に は 過 ぎ た 技 だ が 地 獄 へ の 土 産 だ !!
 亡者にでも自慢するのだなァッ!!!!』

黒い炎が無数の鞭状になり、ビィトへと襲いかかる!
ポアラがビィトの名を呼ぶ中、ビィトはサイクロンガンナーを具現化した!!
「…バカめが! 自ら禁を破ったな! 今更他の才牙に頼ってどうなる!! お前の負けだ小僧!!』
――しかしビィトはCガンナーを明後日の方向に向けて撃った??!!

Cガンナーの狙いはベルトーゼではなく・・・・  C シ ー ル ド の 側 !!

衝撃でCシールドをこちらに吹き飛ばしたのだ!!
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110524223457.jpg
Cシールドをキャッチしたビィトは鉄球を盾形態に戻し身構える。

「だから言ったろ! おれが選んだ才牙は…… このクラウンシールドだってな!!
 お前のその一番冥力の強い攻撃をっ…!! 待 っ て た ん だ あ ぁ ぁ ぁ っ !!!!』

なんとCシールドがベルトーゼの全冥力を吸収しハネ返した!!
さしものベルトーゼもこれは避けきれず、直撃を受けついに崩れ落ちる!!
(…どうだ! これがクラウンシールドの力だ!
 あの時だって…おれが邪魔をしなければ… おれを救う為にクルスが陣形を乱さなければ…!
 ゼノン戦士団は負けたりしなかった… こうやって勝っていたんだっ…!!)
…勝利と後悔を胸に、ビィトはその場で吠えた。

850ビィトスレ 7/7:2011/05/24(火) 23:05:14 ID:1R/WmedE
そして闘いを見守っていたポアラと爺さんも、あのベルトーゼに勝った事に喜びを隠せない。
…というか爺さん、年甲斐もなくはしゃぎすぎだ!
ポアラは思わずビィトに抱きつくが、この闘いを木の上から見ていたシャギーはその場を後にした。



 ―暗雲立ち込める不気味な場所―
「いや―――― 生で拝見してきましたよ、素晴らしい闘いでしたぁっ!!
 まさか殺されてしまうとは思いませんでしたがね…
 あなた程のお方が……です    ベ  ル  ト  ー  ゼ  様  ……!!」
シャギーがにこやかに報告したのは―――― 倒したはずのベルトーゼ!!
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110524223510.jpg

「…全くだ オレの“分身体(ファントム)”を倒す奴がいるとは嬉しい限りだな」

シャギー曰く、分身と言ってもベルトーゼの場合、その強さは五ッ星・六ッ星にも匹敵するそうだ。
「末恐ろしい子ですよね! わざわざベルトーゼ様がつついてみた価値もあったというものです」
「…あの小僧… なんと言ったかな…」
するとシャギーはこれまでと違い、邪悪な笑みを浮かべながらビィトの名を教える。

「フッ …今度は忘れんようにしよう…
 …オレがここを動けるようになるまで… 他の魔人に殺されんでくれよ、ビィト…!!」

水晶玉にポアラと共に喜ぶビィトの様子を浮かべ、将来を楽しみにするベルトーゼだった…。
                                     <続く>

851ビィトスレ 6/8:2011/06/11(土) 23:09:02 ID:qQzZuCRQ
…男2人を拘束し、事情を話すミルファ。
「ふふふ! あたしねぇ、一度キミに会ってみたいと思ってたんだぁ!
 こ〜んな所で会えた上に、手配中の窃盗犯グレスト・バドゥ組を捕まえるのを手伝ってくれるなんて…
 ドラマチックよねぇ!!」
(…なぁ〜にがドラマチックよ! なんなのこの人!どーゆー性格してんのかしら!?
 …それにっ…!! )
「ハハハ! よくわからねぇけど、お前面白いな! なんかイイ奴みたいだし!」
「うんうん! とーぜんいい奴よん!」
(のっけから意気投合してんじゃねーよ、おめーもッ!!)
いきなり仲良くなったビィトにヤキモチを焼くポアラ。
ちなみにミルファがビィトに会いたいと思ってたのは、彼女もまたゼノン戦士団を憧れてたからだ。
特にゼノン“ 様 ”の大ファンだったそうで…。

…この辺、ミルファの「ゼノン様ラブラブ♥」なセリフなので少々飛ばそう。


「(前略)LV40以上ってホントなのか?」
「んふ♥ 見たい?」
そー言ってミルファは服をはだけ、少々恥ずかしそうに胸の刻印を見せる。
確かに巨にゅ… もとい、LV41の刻印があった。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110611224202.jpg

『 何 や っ と ん じ ゃ い ゴ ラ ァ !! 』


見かねたポアラはビィトを強奪し、急いでいるからと立ち去ろうとする。
「おい… 急ぐって言っても、キッスを待って…」
『行くわよ!!!』
ミルファはポアラがご機嫌斜めになっている理由をすぐ察した。

852GSスレに転載お願いします:2011/06/20(月) 06:42:08 ID:jc/A6ibU
>残る『慧』を司る一人は
すっかり忘れてたがまだ明かされてなかったっけ?
少年誌的には若くてかっこいいアスタロトだろうけど、
そうなると長い事生き残って、それもかなりの実力派の行仁様は何者なんだという事になるけど。

853エレル最終話 1/3:2011/06/20(月) 21:23:17 ID:OZRc2xzM
 Vision.16 <終幕>


(追ってくるのは大体5・6人…… シャッターが閉まるのに約1分――――)
現在7階だが、その差は一向に開かなかった。
「も もういいよ シャッターなんか… このまま外まで逃げ出しちゃえば、何とかなるよ きっと…」
『バカゆってんじゃねぇべ! んなコトしてあいつら外へ連れ出して見ろ
 日本中あいつらだらけになっちまって、それこそオレら逃げ場所なくなっちまうべ!』
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110620212010.jpg
身勝手な豚の発言は腹が立つが、もう一つ問題がある。
今はまだ陽があるから、どのみちルナは外へ逃げられないのだ…。
『知ったこっちゃないよォ、そんな他人の事なんか…!』

「ムリだって、ポンチョ
 さっきも言ったろ、あいつらとボクらは今下り階段だからなんとか追いつかれないでいるんだ
 平地の追っかけっこになったら、キミなんかあっという間に追いつかれちゃうよ」

『だ……だけど……! じゃ、じゃあどーすんのさ、一体!!』
うるさい自己中ブタに説明するのも疲れ、一行はついに2階までたどり着いた。
『1階へ降りちゃダメだ! 絶対2階で食い止めなきゃ!!』
一行は身近な部屋へと逃げ込むが、廊下に着いた途端感染者の速さが上がる!
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110620212023.jpg
かろうじて鍵をかけるが……あっさりドアは破壊され、感染者がなだれ込む!
光成達は逃げるが、そのはずみでガスコンロのスイッチが入り、火がともる。
(逃げた場所は調理室だったのだ)

飛びかかる感染者  ――――だったが、ありえない動きで飛びのいた??!!
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110620212037.jpg

感染者達は壁に貼りつき、ビクビクと痙攣している……??
一瞬何が起きたのかわからなかった光成達だが、周りを見渡して何が起きたのか理解した。

854エレル最終話 2/3:2011/06/20(月) 21:23:36 ID:OZRc2xzM
奴らの弱点は――――――“火”だ!!
それがわかれば、まだ助かる可能性はある!光成は仲間にありったけのタオルや布を集めろと叫んだ。



手製の松明を作り、調理室から出る一行。
感染者達は誰も彼もが大きく飛びのく。明らかに火を恐れている!
『よし!いけるぞ! 絶対火を放すな!』
ハルトと光成は感染者達を松明でけん制し、残りのメンバーが先行してシャッターを下ろす。

……だが、松明の煙に反応したスプリンクラーが作動、放水で松明が消えてしまった!

『コーセー!ハルト!!早くこっちへ!!』
シャッターの向こう側に渡ったサイモンはそう叫ぶと、何かの薬品をシャッターの向こう側へ撒く。
そこに火をつけると炎の壁が現れ、追いかける感染者達を退け、その隙にシャッターを閉めた。

一息ついて、光成は何をやったのかと聞く。
実はこれ、アルコールランプ用のアルコール。さっき松明を作った残りを持ってきたのだ!
「おいおい、それ盗人だべ 今度こそママさんに叱られるべよ」
――助かったのもあり、ハルトの冗談に一行は笑い出した。



 ―エントランス―
「オレはルナと夜までここに残る…
 閉じ込めたって言ったって、シャッター一枚向こうにあいつらがいるんだ
 みんなは先に安全なトコまで逃げて――――…」
「スタンドプレーは無しってんべ、コーセー」
「室長としてそんな危険な状況、見過ごすわけにはいかないね」
コロは同意するようにルナの足にピトッとくっつき、ブタも同意する。
「ひ 一人で帰ったらボクだけしかられるじゃん! つ、つきあってやるよ しょーがないから」

855エレル最終話 3/3:2011/06/20(月) 21:23:54 ID:OZRc2xzM
ふと、外を見ていたハルトが何かに気付く。
「お おいアレ! 誰かこっちやって来んべ! あの人にさ、助け呼んできてもらおうよ!!』
ハルトが指さす方を見ると、そこには一人、坂道を上ってくる人影(院長)の姿が見える。
『お〜〜い!』 『こっちだべ、こっち!!』

院長は突如這いつくばると同時に、院長の後ろからも無数の人影が現れ這いつくばり……
0号病棟目指して、感染者の群れが向かってくるではないか!!
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110620212051.jpg

「そ……そんな…」 「もう……おしまいだべ……」
――まさかの事態に愕然とするハルトとポンチョだったが、光成はまだあきらめていなかった。



「まだ…… オレ達は全員生きてるだろ?
 日本中の―――――― オレ達以外の全員が感染してたとしたって、オレ達はまだ生きてる――――
 まだ―――― 終わりじゃない」


ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110620212102.jpg
                                  ―エレル/完―

856 ◆aoV/Y6e0aY:2011/06/20(月) 23:59:10 ID:OZRc2xzM
エレル代理投下ありがとうございます!

あと、すみませんが↓も楽屋裏に投下お願いします。

ゴッドサイダー、ビィトスレ、ぷらら規制が解けるまでお休みします。

857ビィトスレに転載お願いします:2011/06/21(火) 06:18:55 ID:???
>>569
>どうもこの世界の登場人物を駒にしてゲームを楽しんでる上位存在が居そうな
GB「魔界塔士SaGa」の神みたいなもん?

858BMスレに転載お願いします:2011/06/21(火) 14:36:58 ID:???
>>589
物語終盤で、生き残った人間によってルナの生首が晒される訳ですね、わかります!

859名無しさん:2011/06/22(水) 16:17:31 ID:???
>>857-858
済み。できればスレURLも一緒に貼ってくれると誤爆とか心配せずに済んで助かります

860名無しさん:2011/06/22(水) 21:35:07 ID:???
ありがとうございます&すみません、以後そうします

861ビィト新スレ用 1/9:2011/07/21(木) 22:31:08 ID:???
   <第28話:嵐を呼ぶベカトルテ!!>


         ベカトルテ――――――
         その黄金期には世界最大の工業都市として名を轟かせた国である
         だが、魔人の度重なる襲撃によってその工業群は壊滅寸前だった
         長きに渡って燃え続けてきた炉の炎も、今や門の中にのみ残されていた…!


街中では鉄騎貝の群れとバスターが交戦中だった。
『アークさぁん! あれ誰なんスかね!? あっちで戦ってる2人…!』
アークと呼ばれたリーダーが仲間の視線の先を見ると、魔物と戦うビィトとキッスの姿を見る。
「…わからん! この付近では見ない顔だが… なかなかいい度胸だ!」

やがて魔人の身体が塀に吹き飛ばされる。
「き…貴様ら…! このベカトルテ近海最強の魔人、“鋼鉄の角”エルダー様に…よくも…!」

「…おいおい、前にもおんなじようなセリフを聞いたぜ…!
 何人いるんだよ、“最強の魔人”がさ!!」

ツッコミを入れたのはもちろんビィト(盾の鉄球装備)だった。
雑魚をキッスに任せ、ビィトとアークは見事エルダーを倒した。 この辺あらすじ書くの楽だ。
無事魔物を撃退し、アークの仲間はキッスをよくやったと褒めてくれた。


「ビィト… ビィト戦士団か、協力ありがとう!」
「いやぁ、海から上がってきたらたまたま戦ってたからさ!」
互いに才牙をしまい、自己紹介するビィト戦士団をアーク戦士団。
アークの仲間は紅一点のショートヘアの女性・シグサにクッキングパパ似のレンドと言った。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110721211222.jpg

8622/9:2011/07/21(木) 22:31:34 ID:???
街中を進みながら話を聞いていると、アーク達はミルファの顔見知りだそうだ。
「彼女と…もう一人の仲間はどこに?」
そういえばミルファとポアラ、女2人の姿がさっきから見当たらない。
「…それがさ、ちょっとはぐれちゃって…」
「“はぐれた”って言わないよああいうの! 勝手に飛行機から飛び降りたのは誰なのさ…!」
そのやり取りを聞いたシグサは行き当たりばったりチームみたいだ、とアークに耳打ちする。

そう言う訳でビィトはアークに近海魔人の大掃除を手伝わせてもらえないかと尋ねる。
「…それならまずこの国の領主、メルマーデさんに紹介しよう
 ミルファも上陸したら必ずここを訪れる筈だし、それまで我々と同じ施設が使える様に頼んでみるよ」
「その人がこの国の王様なんですか?」
「っていうか、国一番の資産家です」
「行政も崩壊しちまったんでね、
 工場地帯を支配していた一族がそのまま領主を兼ねる様になったってぇ訳よ」
「今では稼働している工場は門の中だけになってしまっているけどね…」
「……確かに… どこもかしこもボロボロだもんなぁ…」
周囲を見渡すビィト。ベカトルテは予想以上に荒廃していた。


機械的な目をした門を開けると、そこは雪国… ではなく、ちゃんとした町並みがあった。
「…ほら、あれがメルマーデさんの屋敷だ」



現れたメルマーデは、眼鏡をかけた知的な女性だった。
「…いいでしょう、戦力は多いに越した事は無いですから 当国での滞在を許可します」
キッスは女性だったとは予想できず、ビィトはきつそうなオバサンだと小声で話す。
…そのやり取りを耳にしたシグサとレンドはシーッ!と口封じ。禁句のようだ。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110721211240.jpg
「…でも大丈夫? アーク戦士団は総勢10人! LV40のアークを中心とした強者揃いよ
 まだLVが20代の君達では足手まといになりはしない?」

8633/9:2011/07/21(木) 22:32:00 ID:???
「心配ご無用です 聞けばあのバレアスや黒の地平のグリニデをも倒しているらしいですから
 LV以上の実力は持っていると見ますよ」
「そうそう! そういえば彼ら、あの有名なゼノン戦士団の意志を受け継ぐチームなんですって!
 すっごいですよねっ!」
胸躍らせながら言うシグサだったが、不意にメルマーデは「ゼノン戦士団」という言葉に反応した。

――と、その直後横の扉が開き風と共に葉っぱが数枚入り込んでくる。
庭では男性が絵を描いているようだった。
「…天気が荒れそうよ、そろそろ部屋に戻った方がいいわ」
「…ああ、失敬 お客人…でしたか…
 でも少しだけ時間を下さい、花々が最も美しく咲くのは、本の一瞬だけにすぎませんから…
 今… 描いておきたいんですよ…」
――聞き覚えのある声と後ろ姿にビィトの顔色が変わり、思わずその場を駆け出す。
思い切り扉を開き、男性のすぐ後ろに立ち止まる。ビィトの気配に気づきふりむく男性。

その顔は―――― かつてのゼノン戦士団の一人、クルスそっくりだった!!

(やっぱ生きて…生きてたんだ!! こんな所で会えるなんて…! 夢でも見てんのか、おれ…!)
「ク…」 嬉しさのあまり涙目になり、クルスの名を呼ぼうとする     ―――……が。

「やあ…! はじめまして!! 新しく入ったバスター君…ですね?」
……笑顔ではじめましてと挨拶され面食らうビィト。
「な… 何言ってんだよ…! ひ…久々だからって… おれの事からかってんのか?」
乾いた笑いを浮かべるビィトだったが……からかっている訳ではなかった。

「…すみません、ボクは… 覚えてないんですよ この屋敷に来る以前の事を… 全部ね」

――――申し訳なさそうに記憶喪失だという事を打ち明け、ビィトは激しいショックを受ける。
も、もしかするとあの時のベルトーゼとのダメージでこんな状態に…!?
「う… 嘘だろ……」
「君は本当に… ボクの過去を…?」

8644/9 代理依頼ここまで:2011/07/21(木) 22:32:33 ID:???
「ほ…本当に何も覚えてないのかよ…! あんたの名前はクルス!
 ゼノン戦士団の守りの要で… おれの命の恩人じゃないかっ!!」

「…他人のそら似… というやつではないかしら…?
 彼はカイン… この屋敷のおかかえの画家よ」

メルマーデの言葉に沈黙してしまうビィト。
そのビィトの気持ちを表すかのように黒雲がどんよりと広がり始めてゆく。
シ「そ… そうですよねぇ…」
レ「屋敷の絵描きがあのゼノン戦士団の一人だったなんて… んな事…」
「バカ言うなっ! おれがクルスを見間違えるわけがあるかっ…!
 だって! だって…クルスはおれにっ…!」
言うなり突如クラウンシールドを具現化するビィト。

『見てくれクルス! コイツを忘れたなんて言わせねぇぞっ!!
 クラウンシールド!! あんたの才牙だ!!
 おれの生命を何度も何度も救ってくれたっ… 地上最強の盾だよ!!
 さあクルス! こいつを手にとってくれ! あんたにこの盾を返す時がついに来たんだ!
 これで…また昔のクルスに戻るんだ…! なっ!』

Cシールドを見せても無反応のクルス… いや、カインはそっと手を伸ばし取っ手を掴む…
その瞬間、カインの腕に激痛が走りCシールドを落としてしまう!
「ク… クルス…?」
「…仮にこの才牙が君の言う様に、ボクの物だとしても… 今のボクには持つ事すら無理の様です…
 過去に何があったかは知りませんが、ボクの全身にはひどい傷があるんです 特に両腕がひどい…」

そう言ってカインは両袖をめくると…… 螺旋状の無残な、大きな傷がしっかり刻まれていた!
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110721211253.jpg

「…絵筆や紙ですら… 最近持てるようになったんですから…」

8655/9:2011/07/22(金) 00:10:39 ID:???
(昔の記憶だけじゃなくて… 両腕まで…!! 大陸一の盾使いと言われていたクルスが…!
 もう二度と盾を持つ事も… 戦う事もできなくなっちまったっていうのかよ…!
 おれのっ… おれのために…!!)
クルスの腕を取り、激しい絶望感と後悔の念に襲われるビィト。
ビィトの心が空に反映されたかのように、雨が降って来た――――……。



…その後、一行は屋敷から立ち去る最中だった。
キ「…ひどいですよ…!
  “アークに協力するのは勝手だが、二度と屋敷には立ち入らせない”なんて…!
  他人のそら似かどうかもハッキリしていないのにっ…!!」
「それは… そうだが…」
キッスはそっとビィトを見ると、ビィトは泣くでもなく、ただ無言だった。



 ―カインの部屋―
「なぜなんです、メルマーデ… なぜあの少年に会ってはいけないのです!?」
「…あれは彼の思い違いよ、これ以上側でわめかれるとあなたの身体に障ります
 去年ぐらいまでは半死人のようだった事を忘れないで…」
「君には言葉に言い尽くせないくらい感謝しています
 瀕死だったボクが今、生きていられるのは君の献身的な看護のおかげですから… でも…!」
――そう言ってカインはシャツをはだけると、その胸にはバスターの刻印があった。
「これが何を意味するのか…ボクにだって分かります ボクは昔バスターだった…!
 もし、あの少年の言うとおり“クルス”という男だったとしたら…」
メルマーデはそこまで聞いて踵を返す。
「…今のあなたはカインよ 過去なんか… もう必要ないでしょう…!」
…ふと、メルマーデはカインがまた気味の悪い絵を描いた事に気付く。
「なんなの、これは…?」

8666/9:2011/07/22(金) 00:11:03 ID:???
「…わからない… けど… 多分…… これは 悪 魔 だ…!」

――――その絵はおぼろげながら、“惨劇の王者”ベルトーゼのシルエットに酷似していた。


――その夜……。
海辺では鉄騎貝に救出されたエルダーがビィト達バスターに対し悪態を突いていた。
…と、その目の前にガロニュートが現れ、彼が腕を伸ばすと… エルダーの悲鳴が響き渡った。

そして同時刻、宿屋では寝つけず、悲しそうな顔で外を見つめるビィトがいた。



 ―翌朝、門の前―
キッスにこれからどうするのかと問うアーク達。
「仲間を待たなきゃいけないし、どの道しばらくはここを動けない
 せめてみんなを手伝って戦うよ、…ぼくは… ね…」
キッスが振り向くと、丁度ビィトが宿屋から出てきた所だった。

「さぁーて!始めようぜ、近海魔人の大掃除!!」

…てっきり塞ぎこむかと思いきや、いつものビィトだった。
「いつまでもクヨクヨしてられねぇしな! とにかくクルスは生きててくれた… 今はそれだけでいいや!
 おれは医者でも薬屋でもねぇ… “ヴァンデルバスター”だ!!
 今、クルスのためにおれができる事は戦って街を守る事…!
 アーク達と力を合わせて魔人共をブッ倒す事だけだもんな!!」
ビィト思考の切り替えの速さを感心するキッス。もし自分だったら、きっと三日三晩クヨクヨしてしまう…。
「…でも… 4日目には立ち直るんだろ? キッスも!」
…ビィトもよくキッスの性格を分かっている。

8677/9:2011/07/22(金) 00:11:32 ID:???
――直後、門の外から火薬が破裂する音が聞こえた!これは魔人襲来の信号弾だ!
《港の方だ…》
「わかった、開けてくれ!」
アークの合図の元、一同が港へ向かうと…… そこには戦士団を倒したガロニュートが佇んでいた。
周囲には壊れた才牙が無残に転がっている…。
キ(才牙を持ったバスター4人が… こんな短時間でやられるなんて…!)
ふと、レンドが魔人の左腕の七つの星に気付き警告を発する。
「…七ッ星だ…!」「と… とんでもねぇ化物のお出ましみてぇだぜ…!」
アークが誰何するとガロニュートは背を向けたまま名乗り、アークはその名を聞き戦慄する。
「知ってるんスか、アークさん…?」

「はるか西方の砂漠地帯を主戦場とし、いかなる人間の攻撃も全く受けつけぬ事から
 “不動巨人”と異名されるという、伝説の魔人…! 噂でしか聞いた事が無いがっ…
 こいつがっ…!」

アークのセリフと同時に振り返るガロニュート。
ブロックがいくつも積み上がって出来た様な、強固そうな身体からはすさまじい威圧感が放たれていた。
その威圧感と強さを感じ取り、ビィト達に緊張が走る。
「…無茶はダメだよ! 用心して、ビィト!」
Bランスを身構えるビィトに警告を発するキッス。
…ガロニュートはその名に聞き覚えがったのか、懐を探りビィトの写真を取り出し確認する。
(…こんなっ… こんな事がっ…!)
ガロニュートは心の中で驚くと、次第に体が震え…… 笑い出した?!
「な… 何笑ってんだ、お前…! 何がおかしいんだよ…!」

「ウヘヘッ… ……すごいや…! ボクが一番乗りだよ…!」

口の両端を上げ、ニンマリと笑うガロニュート。その風体で「ボク」なのか?!
「…さぁて、どうしようかなぁ…?
 ちょっとオイシすぎてにわかには飲み込めない状況になっちゃったぞ
 予定通りの狙い目で行くか…? ビッグボーナスに飛び付くか…? 迷っちゃうねぇ…!」ウヒヒ
口元に手をやり何やら悩むガロニュート。一番乗りだの、ボーナスだの一体何の事なのか…?

8688/9:2011/07/22(金) 00:11:51 ID:???
見かけとは裏腹に、ややひょうきんそうな性格にさすがのビィトも少々戸惑う。
「何故わざわざ砂漠の果てからこの国までやってきた…?」
「……知りたい?」
「…ああ!」
「…どうしても…?」
『さっさと言えっ!!』
アークの問いに勿体付けつつ、ビィトをチラリと見て話し出す。

「……ゼノン戦士団… って知ってる?
 知らないバスターなんてあんまりいないよねぇ… かつて大陸最強と言われた連中さ
 そいつらが数年前、ボク達魔人の間で最大の標的になった事があった
 理由はよく知らないけど、将来的に魔人界の大きな障害になる可能性が高かったらしい…
 そこでね、連中を倒したら無条件で星一つもらえるって事になった訳なのさ
 それって凄い事なんだよ? 本来なら星の数は増えれば増える程、次の星がもらいにくくなる…
 君らのLVとかいうのと同じさ 七ッ星と八輝星の間は気が遠くなる程長いんだ
 当時…… すでに七ッ星だったボクや他の魔人達は当然沸いた訳!
 戦士団一つ倒すだけで、一発で八輝星になれちゃうんだから!
 ………ところがさ…… バカがいたんだよね
 まだ五ッ星のくせにボク達を差し置いて、連中を倒しに行っちゃったバカが…!」

そこまで聞いてビィトはベルトーゼの事だと気付く。奴が言っていたのはそう言う事だったのだ。
「まぁ…
 結局両者の戦いは生死不明の痛み分けに近いものになり、そいつも星をもらいそこなったけどね
 あの時はガックリきたっけ…
 だからさ… もしまだこの世に生きているんだったら、会ってみたいと思ってたんだよナ ずっと…
 星一つに相当したという、伝説の戦士団… 君達は… 興味沸かない…?」
…まずい…! どう考えても、奴はこの街にクルスがいる事を知っている!

(ククッ…この反応… どうやら間違いないね!
 この国にいる記憶喪失の画家がゼノン戦士団のクルスだという情報が大当たりだったって訳だ!
 全員が完全に消息を絶ったと思われていた中、こいつだけがボクの情報網に引っ掛かって来た!
 デマも多かったが… いやぁ、地道に見てみるもんだ!)

8699/9:2011/07/22(金) 00:12:23 ID:???
ビィトはクルスを、そしてこの街を守るために身構える。
(…健気だねぇ、大事な人を守ろうと必死になっちゃって…
 よもやこの子は夢にも思わんだろうがなぁ…
 ボクの本当の目当てがクルスではなく“自分(ビィト)”だ… なんて…!
 いずれ直接戦う時の手札としてクルスを手に入れに来ただけだったのに…
 こうなっちゃうと話違うよなぁ…)
相変わらず口の端を上げたまま、にんまりと笑っているガロニュート。


アークはシグサとレンドに作戦を伝える。合図で一斉攻撃、スピードで勝負だ、と。
ビィトとキッスもその作戦を了承し、5人は散開するが……
「…まぁまぁ、この場は手を出さない方が利口だと思うよ こっちは観光気分なんだからさ
 こいつらだってボクを攻めてこなきゃやられる事はなかったんだよ
 ボクとしてはケンカする気はないんだから…」
戦意が無い事と馬鹿にしながらアピールし、倒れた戦士の右腕をわざと踏み潰すガロニュート。
アークは激昂し、一人ガロニュートに突撃する!

「……かかってくるんじゃ…… しかたがない… か!!」

ガロニュートは身構えいたずらっぽく微笑むと、急激にビィト達の身体が重くなり動けなくなる!
キッスは気付いた。これは“ 重 力 ”を操る能力! これでアークの仲間がやられたのだ!
超重力のプレッシャーで身体の動きを封じられ、そして…!
「…確かにボクは魔人の中でも動きが速い方じゃないかもしれない… でもねぇ…!」
――ガロニュートは動けないアークに歩み寄ると、巨大な石の拳でアークを殴りつけた!

「…相手を自分よりノロくしちゃえばいい… それだけの話でしょ…?」

そう言ってガロニュートはウヒヒ、と意地悪く笑うのだった。          <続く>

870名無しさん:2011/07/22(金) 00:41:30 ID:???
なんだこいつ

ブロックの質実さとマキシマムの貫録を兼ね備えてるかと思いきや
マキシマムのダメキャラ部分を色濃く受け継いでいる残念キャラじゃないかw
むしろ性格的にはキルバーンに近いか

871第5話 負け犬の勝鬨(1/2):2011/07/25(月) 17:28:52 ID:???
華やかなパーティの裏側は、目もくらむような忙しさの厨房。
ジャンは弥一から青椒牛肉絲(チンジャオニューロースー)を作るように指示された。
まだ見習いなのにと、動揺が広がる。
「ただ単に、オレの腕がはるかにすぐれているだけじゃないか。ハハハハーッ」

宴会料理は初めてだが、50人前は5人前が10倍に増えただけのことだと料理を始める。
均一に火が通るように、同じ大きさに切った牛肉と3色の派手なピーマン。
10倍の調味料と、刻んだ豆鼓(ドウチィ:乾燥納豆)で極上の味と風味を出す!
それを見て、キリコは顔を心配を隠せない。

ジャンは味見をすると…作り直し始めた!?
再び味見をするが、目を剥いて顔を歪める。
弥一も味見をすると、「お前の舌は飾り物か!?」と叱りつけ、キリコに代わりを命じるのだった。
すれ違いざまに、「10倍じゃだめなんだ」とキリコは耳打ちするが……

872第5話 負け犬の勝鬨(2/2):2011/07/25(月) 17:29:03 ID:???
ジャンは体を震わせ、外で泣いていた。
(失敗した!失敗した!このオレが…「秋山」が料理をしくじった…)
「ボクなんか失敗はしょっちゅうだよ」と、小此木が慰めに来た。
(おまえと「秋山」をいっしょにするな)

それでも小此木は、なぐさめようと話し続ける。
「アメリカで、サンダルの値段を聞いたんだ。サンダル/3ドル」
これには隠れていたキリコもずっこけた。
「お釈迦さまがやっていたスポーツはシャッカー。
 薬局で風邪薬を勧められた。ルルがええじょ〜」

「おまえ…いいヤツなんだな…」
小此木は自分の失敗、野菜炒めで水が出た話をジャンに語る。

「分かった!わかったぞ ハハハーッ」
ジャンは再び鍋に向かう。
野菜を炒める時の水がどうなるかがポイントだった!!
ジャンは小此木に最高の青椒牛肉絲をふるまう。

キリコはそっと、料理法が書かれたメモを捨てたのだった。

873第10話 毒を御する者(1/2):2011/07/29(金) 22:27:22 ID:???
「お前は今世紀最高の発明、XO醤ってものを全然わかっちゃいない。
 そんな最高のソースを作っていながら、こんなものしか作れないのか!?能ナシのハゲめ」

五番町飯店のXO醤を使えば良いと小此木が提案するが、ジャンは自分専用のものを取り出す。
しかも、肉専用だ――いったい何種類用意しているのか?
作るのは「竹葉牛柳(ツーイエニューリュー:牛ヒレ肉の竹の葉包み焼き)」。

まず、すりおろした玉ネギを牛ヒレ肉に漬けこむ。
これを見て、総料理長は驚きの声を上げる。
XO醤を使っているからではない。玉ネギを使っているからだ。

玉ネギにはたん白質を分解する酵素があり、肉を柔らかくする。
作るのは「シャンピリアンステーキ」
当然、小此木の知らない料理だ。

ソビエトのオペラ歌手、イワノビッチ・シャンピリアンが好んだ、玉ネギのスライスを乗せた柔らかなステーキ。
中華風に塩・コショウで味付けしXO醤をのせる!
後は竹の葉で包み、オーブンで焼くだけ。

874第10話 毒を御する者(2/2):2011/07/29(金) 22:27:33 ID:???
出来あがった料理は唇で噛み切れるほど。
それだけではなく、竹の葉と玉ネギの香りがいっぱいに広がる…
これが、ただXO醤を使っただけの料理との差。
XO醤は、素材の味を壊すほどにうますぎる、悪魔のような調味料。
「これを使いこなすには10年早いぜ!ハハハハハーー」

負けてしまったリュウジを、路地裏で大谷が打ち付けている。
(あのガキ、あのガキ、あのガキ!秋山め、みとれよ〜〜っっ)

一方、キリコはジャンが使ったXO醤の材料を確かめていた。
確かに、油葱紅酥(ユーチョンホンスー)が使われている!
赤小玉ネギのみじん切りを油であげたもので、肉料理の旨みを倍加させる――

キリコはジャンの知識に感歎し、一方ジャンもキリコの味覚にも感心していた。

875第17話 弾かれた空気:2011/08/05(金) 21:10:35 ID:???
第一試合の課題は「牛肉料理」!
沢田が選んだのランプ、イチボー、フィレにサーロイン。
どれも柔らかい部分ばかりだ。
(オレは最高の肉を最高にうまく食べれる料理をやってやる!)

一方ジャンが選んだのは、なんとスネ肉!!
安くてかたい肉……
小此木は慌てるが、弥一とキリコはなにやら考え込んでいる様子だ。

沢田は「ホウッ!」と気合を入れると、あっという間に玉ネギをみじん切りにし、
踊りながら「ロックンソース」を作りだした。
そして1mはあろうかという長い金串を取り出し、食材を鉄板焼きにする!!

これを見た審査員は、華やかだがキチンと下味も付けているし、油通しも抜かりなくしていると評する。
舞台のような彼の料理に会場は釘付けだ!!

ところがジャンは、地味にあんかけを作っている。
弥一は「秋山の料理は魔法だ」というジャンの言葉を思い出していた。
「ただし、その魔法が解る審査員が何人いるか――……」

沢田の料理は「無敵の鉄板焼(ティエンパンソー)」!!
特製ソースと肉が織りなす、炎と煙の芸術だ!
高温の鉄板と金串の輻射熱でジューシーにできている。

審査員に褒められた沢田は、「すごい汗だね〜地味な料理を一生懸命作ったんだね、クスクスクス」とジャンに話しかける。
「地味なのはおまえのほうだろう。オレは汗をかくだけのものは作った!
 『中華の真髄』をな――」

バチバチバチバチ!!

突然割れるような拍手が響く。
(オレの料理で審査員どもの舌を確かめてやる!)

876名無しさん:2011/08/06(土) 00:08:34 ID:???
ジャンといえばウジ虫トリックは肉が黒くなる→白くなる→赤い のとこで分かったな

877グリーンアイズテスト:2011/08/18(木) 22:38:15 ID:???
週刊少年ジャンプ1989年(平成元年)40号 「ザ・グリーンアイズ」連載開始


   第1話:密林に眠る異変 の巻

              地球上の1/3の作り出していると言われる、大アマゾン川…
         ここは人類にとっても、世界中の全生物にとってもかげがえのない大自然である
      また、それと同時にここは世界に残された、唯一の人類の未踏の地… 「緑の地獄」でもあった


18年前、アマゾン上空。
赤ん坊を連れた若夫婦と生物学の権威・ダーズリー教授が乗る飛行機がミサイルによって撃墜された。


そして18年後の現在、初老の老人・蘭妙頼裳率いる探検隊がこの地にやってきた。
彼は毎年この地に息子夫婦を探しにやってきていたのだ。

やがて一行は尾翼が見つかったという場所に通じる、吊り橋へとたどり着いた。
蘭妙はガイドにここで帰りなさいと言うが、ガイドは帰らない。
「ガイドがいなくてどうするんですか? それとも私を気遣っているんですか?  …私が女だから」
ガイドが帽子を脱ぐとつややかな挑発が露わになる。ガイドは女性だったのだ!

恐る恐る吊り橋を渡っていると、マリア(ガイド)の手がチクリと痛んだ。
掌を見ると、蟻が手の平に牙を突き立てていた。
…と、言う事はこの橋の綱は食い荒らされてボロボロに…
マリアはとっさに橋にしがみつくよう叫ぶが、反応が遅れたポーター(荷物運び)が一人墜落死した。

なんとか橋を登ると、マリアの目の前に奇妙な石像があった。
この像の名は“緑の目(グリーンアイズ)”。言われてみれば目にエメラルドがはまっている。
これだけ怖い思いをしたし、いい目を見てもいいかなと太ったメンバー・佐古田はつぶやく。
…が、後ろにいた生真面目の垣谷にさとされた。

878グリーンアイズテスト:2011/08/18(木) 22:38:33 ID:???
この緑の目、本来ならばアマゾンの守り神で敬わられていたが、今では恐怖の対象なのだそうだ。
なぜならばインディオがほとんど都市に出て、森林伐採の手伝いをしているからだ。
その証拠に、生き残ったポーターは腰を抜かして恐れおののいている。
そのガイド以上の知識に、蘭妙はマリアが只者ではないと感じた。

ふと、緑の目から何か大きな物がボタボタと落ちてくる。
佐古田の背中にも落ちたそれは―――― 赤ん坊程もある巨大な“ヒル!”
誰か取ってくれとパニックになる佐古田達を、緑の目の上から笑う者がいた。
「フフ… そんなもん、服を脱げばいいじゃないの」
見上げると、前髪をおろしサングラスをかけた、少々ガラの悪そうな青年が腰かけていた。
「あんた一体?」

「オレか… オレの名は… そう…“I”、アイと呼んでくれ ヘヘ」

アイと名乗った妙に日本語がうまい青年は自分をガイドに雇わないかと交渉、蘭妙は承諾する。
不思議な事にアイは、蘭妙達が飛行機の跡へ行きたい事を知っていた。


昼頃になり、近くの池で水浴びするマリア、そしてそれを覗き見る蘭妙。
佐古田に「会長も好きですね、キシシ」と笑われるが否定する。
…それはともかく、蘭妙はマリアに亡き娘の面影を見て、せめて遺骨だけは持って帰ろうと誓った。

ふと、マリアは水辺に生えた、花びらの形が1枚だけ違う花を見つける。よく見るとあちこちに生えている。
すると水中から猿の顔が覗き―――― いや、猿じゃない! 猿の頭に蛇の胴体をもつ怪物だ!
異変を知った垣谷は銃を構えるが、怪物はこちらに向かってくる!
しかし大丈夫だとアイは銃を取り上げる。 見ると、怪物は寸前で止まりその体は崩れてしまった。
「こいつらはほとんど生きてられない、そういう風に生み出されちまったんだ…
 こいつらはきさまらの歪んだ文明が生み出した子供だよ」
アイの言葉にマリアも同意する。これは“突然変異”に違いない、と。

879グリーンアイズテスト:2011/08/18(木) 22:38:45 ID:???
すると逃げ出した佐古田の悲鳴が聞こえてきた。
一行が後を追うと、そこには腰を抜かした佐古田の姿。

その視線の先には―――― 植物と生物、飛行機が融合した奇妙な、そして不気味なオブジェ!

一行が呆然と見つめていると、不意に突風が吹き始めアイの前髪を吹き上げた。
「あんた達をここまで連れてきたのは… 身をもって知ってもらうためだった」
サングラスを外し説明しだしたアイ。その時マリアは気づいた。アイの瞳が“ 緑 ”である事に!

「大自然の痛みの声をな…」

持っていた櫛で髪をオールバックに整えるアイ。彼は… 伝説の“緑の目(グリーンアイズ)”!?
                                      <続く>

880第30話 粉の重み(1/2):2011/08/19(金) 09:39:21 ID:???
タイムアップ、決勝戦「麺料理」の調理終了!!
大谷は決勝戦にジャンが残ってしまったことにいら立っていた。
しかし、まだ叩きのめすチャンスがあるはずだと考える…

まずは楊の料理から。
韓執水晶麺(カンシンスイチンミェン:ラビオリの韓国風ソースかけ)!
色どりも盛り付けも新しいく、西洋料理のように食べられる花も添えられている。
また、食前酒「チャイナ・ジェラシー」も用意されている。

その透き通った麺は、でん粉7・そば粉2・小麦粉1と、でん粉が多いため。
そして、黒い麺にはイカスミが混ぜられている。

「これだけ透けてこの弾力!」
「ラビオリのようだが、生地の質は韓国の冷麺のようだ。実に面白い食感だ!」
「海の香りがするイカスミ麺、エビのすり身のほのかな甘み、コチジャンベースのソースが、海鮮とこんなにシャープに合うとは!!」
「色も形も味も、実に全く新しい――明るくて陽気な料理。まさに「国境を越えた新しい中華」というヤツだ!」
審査員は手放しでほめている。

続いてジャンの刀削麺。
三種類のあん「肉片滷(ロービェンルウ:豚のショーユ味のあん)」、「炸醤(ジャージャン:甜麺醤の味噌あん)」、
「三鮮滷(サンシェンルゥ:鳥とカニとエビの塩味のあん)」を付けて食べる!

刀削麺は温度、湿度、練り方で麺の腰や味がガクンと落ちてしまうが、見事な出来栄えだ。
「麺の長さ、太さはきちんと均一になっている!あの若さでこの麺が作れるとは、たいしたもんだ!」
また、それぞれのあんは薄い部分に絡みつき、厚い部分では腰を楽しめる!

ところが、「ケッ!ダメだよおまえら、やはり全然わかってない」とケチを付ける!?
「これは麺対決――つまり「麺の旨み」を競いあってるわけだろう」と続ける。
そして、麺に何か黒いものをかける…

881第30話 粉の重み(2/2):2011/08/19(金) 09:40:31 ID:???
それを見たある審査員、昌はフラフラと近づき「こ…この香り」と魅入らたように椀を手にする。
「そうだ、この香りだ…!!思い出した…私は思い出したぞォーーっっ!!
 この麺には中国の大地の香りがする…!!ああああああああ…」

がつがつと貪る昌を見て、大谷が解説する。
「黒酢や!この刀削麺には山西省の黒酢がかけてあるんや!」
山西省出身の昌の記憶が、五十年ぶりに呼び起された!

しかも、秋山秘伝の百年(ビンテージ)ものの黒酢だ。
「これぞまさに伝統の味…!山西省の風と大地が口いっぱいに広がる!!」
「深いコク!まろやかな酸味!」

(粉の甘みと旨味を最大に引き出すのが黒酢なのさ!)と、審査員を前にジャンはニヤリと笑う。
「麺――すなわち「粉」!その旨みを最大に味わわせる、それがオレの「刀削麺」だ!ケッケッケケケケーーッ!」

「キリコ、おまえの「心の料理」ってのを見せてもらおうか」

882 ◆aoV/Y6e0aY:2011/08/19(金) 19:16:38 ID:???
どなたか楽屋裏スレに代理投下お願いします。
 ↓

ぷららまたも全域規制の為当分投下はお休みしますorz

883名無しさん:2011/08/20(土) 00:50:38 ID:???
自分のジンクスでビィト停滞を打破したいのに

むしろビィトの停滞の方に飲み込まれてる感があるな

884舞台裏に代理投下お願いします:2011/08/20(土) 21:43:17 ID:???
>粗筋の覇王さん
恐らく今のぷらら全域規制が関係しているのではないかと。
また新潟の馬鹿が暴れて、無能な運営が全板の書き込み文字数を変えたからだと思われます

885ジャンスレに代理投下お願いします:2011/08/20(土) 21:48:00 ID:???
弥一が言ってたように、「独創性」を競うのが目的だとしたら、不利なのはジャンだろうな。
だってジャンだけ特にオリジナリティあふれたのを出していないし。

そうなると少年誌的にはデザートで逆転優勝とかしそうだが、問題はこの麺料理でジャンが何点取れるかだな。
展開が読めん

886粗筋の覇王 ◆oLq26uHjHI:2011/09/05(月) 19:57:01 ID:???
トリップの証明用

望月は文句を言いながら炒飯(チャーハン)を作っている。
まるでジャンが五番町に来た時の再現だが……
料理を出しに行ったウェーターが、厨房に転がり込んできた!?
続いて、サングラスをかけた客も入ってくる。
彼に殴られたらしい。
「誰だよ、こんな出来そこないのクソ炒飯を作ったヤツは――
 油っぽすぎるし、卵が炒めすぎ!味が均一に入っていない!とにかく全部お粗末だぞ!
 これで料理のつもりかよ!」
男は炒飯を床にぶちまけると、「てめえどこのどいつ…」と文句を言ってきた望月を平手打ちする。
サングラスを取り、「やっと中国から戻ってきたのに、オレのことを忘れちまったのか。そいつあ悲しいぜえ!」
「あ…あんたは、ひ…ひっ…ひっひ…蟇目壇!蟇目兄(あに)さんだァーーっ!」
皆歓迎ムードだったが、蟇目は内心(クズどもが…!)と苛立っていた。
そしてまかないに箸を伸ばす…
一口食べると、蟇目の顔に黒い陰がさす。
「自分が作りましたァ!」と暢気に言ってきた小此木に向かって、口の中身を吹き出す!?
(舌をダメにする気か!?食っちまったじゃねえか、犬のえさにも劣る!)
蟇目は小此木の胸倉を掴み、殴る!蹴る!
キリコは唖然としている。
(あんな人じゃなかった!昔は厳しさに心があった……)
皆うろたえている中、「いいかげんにしろよ!バカヤロウ」と止めたのはジャンだ。
「その「青椒牛肉絲(チンジャオニューロースー)」はオレが教えたんだ!
 旨いかマズイかは、まずオレに言え!さっさと帰んな!このタレ目野郎」
蟇目はジャンの腕をつかむと、ベキポキゴキンと指を折る。
「元気いいなあ、山ザルが…人間様に向かって、指をさしちゃいけないよ」
たまらず抗議するキリコたちに「どうせ見習いだろ」と蟇目は返す。
「ケッ、バーカ見習いだっておまえより料理はうまいぜ!なんなら今勝負してやろうか!?
 オレは右腕くらい使えなくたって誰にも負けねえんだよ!ハハハハハハハ」

887第57話 デコポン(1/2):2011/09/15(木) 21:54:31 ID:???
調理場に残った4人の中で、最初に完成したのは楊だった。
階段で落ち込み、「若い者の試みを理解しない」とオーナーを批判する料理人達に出会う。
「……ふぅん、そんな事ですか、ハハハーッ!自分の未熟さを棚にあげてなにを言っているんですかあ!?」
あっさりと睦十の下へと歩いていく。

部屋の中では、望月が弥一の杖に打ちつけられていた。
弥一と李は黙ってうつむいている。
(なるほど、かなり厳しそうなオジサンやな)
だが、楊は物怖じせずに料理を並べる。

「福如東海(ロッニョイトンホイ)」と「寿比南山(ジュピナンザン)」!!
美しく飾り付けられた料理に驚く弥一たち。
そして、一口食べると「あ…甘い!!?」と喉を鳴らす!
「こりゃ驚いたァ、なんとこれは甜点心かい!」と頭を叩く。

(…あれは「デコポン」!)と望月の顔が青ざめる。
本当に旨い物を食べた時にしか出ないクセ――デコポン一つがミシュランの星一つに匹敵するほど!!!
睦十は望月に皆を集めさせ、楊の料理を解説する。

888第57話 デコポン(2/2):2011/09/15(木) 21:55:15 ID:???
一つ目は旬の苺を使った中華風カスタードクリームの春巻。
そして皮は「パートフィロ(小麦粉を薄く焼いたフランス料理の材料)」を使っているから、揚げてもくどくない。
二つ目もパートフィロで中華あん・クルミのクラッシュ・松の実・クコの実を包んでいる。
小さければ食べたいだけ食べられるし、甘い物も食べやすい。

料理人達も手を伸ばして殺到する。
「フッファハハハハハ!!わかったか、これくらいの大胆さが必要なんじゃ。
 中華の伝統に縛られて、春といば春タケしか使わん。情けないぞ、ワシは!!(春巻の春は春タケを意味する)」
皮を変えても、中身が変わりばえしなくてはおもしろくないと叱りつける。

そして、楊に向かって褒め始めるが――(こ…このオジヤン目が笑っとらんで!)と楊はヒヤリとする。
負けん気を隠せない、鷹の目をしている。
だが、「ところでおまえ誰じゃ」と楊のことを、面接したことまですっかり忘れていた。

そして、厨房ではジャンの春巻が完成していた……


以上、「鉄鍋のジャン!」9月16日分の粗筋です。

889粗筋の覇王 ◆oLq26uHjHI:2011/09/28(水) 17:56:49 ID:???
28日分

第69話 静と動!
小此木がネボウしたため、楊と小此木は大きな胸を揺らしながら走っている。
ちょうど会場に着いた時、スクリーンいっぱいに高笑いするジャンが映し出された。
魔王のようなイカレた衣装は、小此木が選んだものらしい。
なんと、背中に「醤」と染め抜かれている。
しかし、楊はもちろん、大谷が呼んだ客たちには不評のようだ。

ジャンはブーイングを浴びせられるが、全く動じる気配がない。
それどころか、むしろ楽しそうだ…
「オレは勝負が出来ればそれでいいんだ、カカカカカーーーーーッ!」
しかも、五行道士の“魔法”が解るとあっては嬉しさ倍増!

第一回戦は「胃に効く料理」バトル!
ジャンはあっというまに材料・道具をそろえ出す。
観客は驚嘆をの叫びをあげ、五行も目を細める……

ジャンが取りだしたのは、ぶよぶよするような、握り拳大の白い塊。
一方五行は封のされた壺を蒸し器に入れる。

「血に飢えた魔物、秋山醤!対する五行道士は高僧の構え、まさに動と静!激しい刺殺戦だァァーーー!」

890粗筋の覇王 ◆oLq26uHjHI:2011/09/29(木) 23:08:19 ID:???
30.日分
第71話 超常の仏跳牆(フオテャオチャン)

嗅いだだけで胃が動き出す、仏跳牆の匂い…
これはフカヒレ、アワビ、ナマコ、貝柱といった高級乾物と生薬を長時間蒸したもの。
紙で封をしているのは、匂いを閉じ込めるため。

そして、その匂いにつられて会場の外から人が集まってくる!
なんと、坊主まで柵を越えてやってきた!
集まった人々を背に、五行が高笑いを上げる。

なんとか収集をつけた司会者が審査を始める。
審査員は以下の5名。
相撲よりも飯が好きな横綱の玉海山関;芸のためならガラスもゴキブリも食べる、芸人のボナパルト辰吉;
なにを食べても太らない、女優の千川あかね;中華の本場、中国大使館次官の江明輝;
大阪心斎橋調理師学校長の畑野悦山。

だが、ジャンは審査を無視して五行の仏跳牆が入っていた壺を調べ出す。
フカヒレ、ナマコ、アワビ、貝柱、浮き袋、鹿と牛のアキレス腱、鴨肉、鶏肉、豚のスネ肉、鳩の卵、栗、
ナツメ、桂皮、丁子、山木査子(サンザシ)、海馬(ハイマー:タツノオトシゴ)…
ジャンの舌で解るのはそこまで……

そこにやってきた五行が、「実力に差がありすぎて勝負にならない!」とジャンを諭す。
あげくに味を盗もうとするとは…

しかし、ジャンはこの料理に疑問を感じていた。
(なんでこの材料であの匂いがでる!?)
そもそも普通の料理人ならば、もともと胃に効く仏跳牆に、わざわざあの匂いを出そうとは思わない…

「おまえ普通(ただ)の料理人じゃないな!?聖人ぶったすまし顔は仮面だろ?」

891粗筋の覇王 ◆oLq26uHjHI:2011/10/08(土) 09:13:55 ID:???
第79話 二重衝撃(ダブルショック)!

花のような、香水のようないい香りのもとは、五行が入れた「勝つための答え」!?
秋山を罵る望月達だったが、「なにを言ってもあとの祭――アフター・フェスティバル」だと李は呟く。

いよいよ審査が始まる。
まずは先に運んだ五行の「棗泥桂魚(ザオニークエイユイ:魚厥魚のナツメ巻き揚げ)」から。
魚の上には白い粉が……しかも、ところどころに赤っぽい物が混じっている。
一口かじると、ズオンと衝撃が走る――「あ…甘い!」
かかっている砂糖と、ナツメあんでできた甘い魚料理!?

そして、香りを放つ赤っぽい物とは、「王攵瑰糖(メイクイタン:ハマナスの花の砂糖漬け」!
バラ科の高貴な芳香の利用は、日本ではなじみがないとはいえ、中華料理では珍しくない。
甘さと香りのダブルショック!!
もっとも、ドーナツのように揚げものと砂糖は実によく合うのだ。

この料理は消化機能を高め、血液を補って活性化させる!
砂糖は素早く吸収されて、エネルギーに。
だが、五行の狙いはそれだけではない。
甘い物による満腹感で、ジャンの料理を食べられなくなるはずだ!

だが、ジャンは「それで終わりか!?」と笑いだす。
五行を突き飛ばして、「補髄湯(プースゥイタン:スッポンと豚の脊髄のスープ)」を並べる。
ズズッと飲む、審査員は驚きの叫びをあげる――「ほわぁお!」

892粗筋の覇王 ◆oLq26uHjHI:2011/10/13(木) 20:42:34 ID:???
第85話 如意瑞鳳!
五行の料理とは、鶴と亀と人参からなる三位一体の伝統的不老長寿料理、100%力を開放した五行膳!
鶴と亀を「鳳凰」と「端」に見立て、それぞれの彫り物をそえている――正統派で上品な見た目だ。
五行は黒い笑みを浮かべつつ、この「如意瑞鳳」を審査員に差し出す。
その香りは審査員たちの食欲を誘う。

その海亀の肉は煮込んでいるため柔らかく、臭みも消えている。
また、「八珍」の一つでもある鶴の肉はかめばかむほど味がしみ出てくる。
また、滋養のある朝鮮人参と合わせて、海・山・陸の三味がまとまっている。

だが、審査員はただ食べ続けるだけで、何も批評しない…?
なんと、手が止まらない!
「手が…手が勝手に口の中に料理を詰め込む……!!」
唖然とする一同。

「シャッシャッシャッシャーーッ!」と五行は哄笑し、自身料理を解説する。
これは、香りで食欲を支配した一回戦の仏跳牆(フオテャオチャン)のように、
味覚が脳を刺激して強制的に不足している栄養を補う料理!!
「本人の意思とは無関係にな!!!シャッシャッシャッシャーーッ!」

突然、審査員達の手が止まる。
ボナパルトはまだ食べ続けているようだが…
十分な栄養が取れれば、手が止まるらしい。
だが、この料理は人体実験の薬のようだとキリコは否定的だ。

ジャンの料理を食べても、不足しているものがまだあったと五行は宣言する。
「真の不老長寿料理とは、誰がどう食っても長生きしてしまう料理のことさ!」

(あかんでえ!!冷静なフリはしていても、ブチ切れていたんや。
 あれでは100%どころか150%…いや、200%の五行膳やんか!!!)と、大谷は狼狽する…

893粗筋の覇王 ◆oLq26uHjHI:2011/10/22(土) 10:01:47 ID:???
第93話 ガマの油!
ジャンは観客からゴミを投げつけられてしまう。
五行にハメられたと、歯噛みする…が、気を取り直してとある食材を探し出す。
「秋山の魔法を見せてやる!」と宣言して取り出したのはガマガエル!
なんと、玉海山関の口の上で、絞り出した!?

白い体液を注ぐと、ガハァッと横綱が目を覚ました!
「オレが使ったのはアジア・ヒキガエル!強心剤「蟾酥(せんそ)」の原料となる耳腺を持っているカエルだ!!」
成分は強心性ステロイドのシノブフォタンとブファリンで、強心・鎮痛・解毒の特効薬!

「う〜やっぱ料理の審査なんか引き受けるんじゃなかった〜相撲取は相撲を取っているのが一番だ」
そう呻く横綱の口に、ジャンは気つけ薬だとカエルを突っ込んだ!
秋山が助けたのか?だが、あの酒は五行も飲んでいた――観客たちは混乱し出す。

ジャンはヒキガエルを五行に付きつける。
「上等じゃねえかオレの料理に泥をぬった事を後悔させてやるぜ!!!」

894粗筋の覇王 ◆oLq26uHjHI:2011/10/29(土) 12:08:59 ID:???
第100話 一喜一憂!(1/2)

「一本の包丁で十分だ」と言っている中華の料理人は、頭が古い――
そう言いはなったスグルは、自身の特注ツールナイフの威力を見せ付ける。
鋭利な刃でノドを裂き、肛門から内臓を抜き去る。
次にノコギリの刃で骨を切り取り、骨抜きを行う。
最後に、柔軟な刃で筒抜き、あっというまに下ごしらえが終了する。

「ホー」とジャンは目を見開くが――
「フフン!バカ坊ちゃん、覚えておくんだな。料理は道具で作るもんじゃない。
 ククククッ、中華包丁の真髄を見せてやるぜ!」

ギュルルルッと包丁を回転させ、シャーーッと一閃。
鋭く丈夫な刃で腹を掻っ捌き、厚く重い付け根部分で骨をたたき割る。
逆に先端は薄く、細かい作業もこなす事ができる。
「一本の包丁で全てをさばける刃を自分で研いでこそ、一人前の中華の料理人や!」と、楊はほくそ笑む。

895粗筋の覇王 ◆oLq26uHjHI:2011/10/29(土) 12:11:16 ID:???
「まあまあだね……」とスグルは言うが、(刃を十本仕込んでいるツールナイフが、君にかかっては一本分かあ)と汗を流す。
「おまえは道具に使われてるだけだ!」と追い打ちをかけるジャンは足で器用に刺叉を持ち上げ、子豚に突き刺す。
ジャンは「火考乳猪(カオルウチュウ:広東式の子豚の丸焼き)」を作るようだ。

伝統的な高級料理――開いた豚の内側に、五香塩(ウーシャンイェン:香料入りの塩)や、
柱候醤(デゥウホウジャン:みそにおろしにんにくや酒を混ぜたもの)を塗り、
糖水(タンスイ:麦芽糖と白酢をまぜてとかしたもの)をかけながら炭火でこんがり焼くだけ。
作業は簡単だが、糖水でツヤを出す加減、こんがりした色の出し方、回転させながらムラを作らずに焼くために、熟練の腕が必要だ。
「なにより大事なのは焼けた子豚の皮の旨さ!サクサクパリッとした皮に仕上げられなければ失敗ですね」と、李は解説する。
                                 ++
一方、スグルはもち米、こうりゃん、粟、ひえ、えん麦、欠実(けんじつ)を蒸したものを用意していた。
それに咸魚(シェンユイ)、鶏肉、干しエビ、そして干し貝柱を入れ、豚の腹の中に詰め出した。
豚の詰め物を五穀で作る工夫にと付いた五番町の料理人達は、ただの素人じゃないと感嘆する。
詰め物にすれば五穀が豚の旨味を吸う事を知っているからだ。

ジャンは皮を食べさせる丸焼き、スグルは腹の詰め物を食べさせる丸焼きと、好対照な料理を作っている――

豚を丸ごと蒸したスグルは、「では、これを油に入れる!それでいいね、狩衣さん」と確認する。
「焼くんじゃないのか?」と驚くギャラリーたちをしり目に、スグルは豚に油をかける。

「子豚の丸焼きは皮の旨さを味わう料理という事ぐらいボクも知ってるよ!
 これで皮もパリッとなるはずだ。この丸焼は皮の旨さと詰め物の旨さをダブルで味わえる料理なんだ、ハハハハーーッ!!」

896粗筋の覇王 ◆oLq26uHjHI:2011/11/05(土) 09:49:49 ID:???
第107話 深遠なる謎!
哄笑しながらジャンが取りだした肝は、カワハギのそれではない!?
「これは「白レバー」ってヤツさ!!」
赤褐色の鶏レバーと異なり、あまり運動しなかった鶏の肝臓――自然にフォアグラ化したものだ。
人工的ではないので、あまり出回らないらしい。

「ちょっと〜カワハギの肝を使うって話じゃなかったの?」
「ケケッ、スグルお坊ちゃまはお人よしだなぁ。すぐに人の言う事をうのみにする!」
だが、白レバーの濃厚さ、香り、味、舌ざわり――どれをとってもフォアグラには敵わない!!

「フォアグラに負ける物をどうしてわざわざ使うんだ!?」と言われ、ジャンはそっぽをむく。
「失敗をゴマ化すためにことさらハッタリをかましてきたんだ!!そうだろ、ハハハハハーーーッ」
そう笑って膝を打つスグル。

「そんなあ、ウソだろ!?カワハギの肝はどうしたのさ」と小此木はすがりつくように尋ねる。
その回答は意外なものだった。
カワハギの肝じゃフォアグラに勝てない。
そして、白レバーでもフォアグラに勝てない!
「でも心配はいらねえよ!!勝てない物を使って勝つ!!!それが秋山醤の魔法だぜ!!」

そこに、前回登場した中国人観光団がやってきた。
中国に帰る前にもう一度――という訳だが、なんと同じホテルのフランス人も連れてきてしまった。
「ちょうどいいギャラリー」と歓迎しつつ、二人は料理を続ける。

「でもカワハギの肝、どこで使うつもりだろ」とキリコは呟く。
カワハギでは勝てないから、なんてことは考える訳ない……

897粗筋の覇王 ◆oLq26uHjHI:2011/12/02(金) 17:03:49 ID:???
第134話 三択!
司会者のドリアン家津が、参加者を「ふるいにかける」ために三択が始まる。
「え〜〜!?ザンコクゥ〜〜」とアシスタントは三村屋ゆうこが茶化す。
小此木は迷いつつも、ジャンたちの後に付いていくことにした。

第一問、中国五大料理といえば、北京・上海・四川・広東料理。あと一つは?
①香港②湖南③台湾、どれだ?
ジャンは苦虫を噛むような顔をする。
分かって当然の嫌がらせのような問題。

とはいえ、分からない料理人も結構いる。
正解は②の湖南料理。
「簡単すぎる問題でしたね。それでも100人ぐらいは減りましたが…」と、バカにしてるような司会者。
この先、ジャンが引っかかるような問題が用意されているらしいが……

第二問、紹興酒の原料は、①米②麦③コーリャン、どれだ?
答えは①のもち米。
500人ほど脱落してしまった。

898粗筋の覇王 ◆oLq26uHjHI:2011/12/02(金) 17:04:28 ID:???
次の問題は炎を扱うのと同じくらい難しい、「蒸(ヂオン)」について。
本場の料理店には“蒸番”という役割の人までいる。
問題は1個25g、豚肉と玉ネギが同量、肉の1〜2割のエビが混ぜてあるシューマイの蒸し時間。
これを50センチの蒸篭で蒸す訳だが――その蒸し時間は①7分②10分③13分のうち、どれだ?

ジャンは知識ではなく腕で料理を覚えているから、数値を言われてもピンとこないだろうというのが大谷の魂胆。
だが、ジャンはニヤリと歩みを進める。

選んだ時間のシューマイを食べるように勧める意地の悪い司会者。
7分では短すぎで、生の玉ネギがジャリジャリする。
13分では長すぎて、肉がかたくなってしまった。
正解の10分なら、具のジューシーさも失われていないし、玉ネギの甘味と歯ざわりが残っている。

失格者は押し出されるが、その中になんとジャンが混じっていた!?
だが、押し出そうとする係員を殴り飛ばし、宣言する。
「蒸し時間が10分だと!?それじゃ未完成だ!!!オレならばもっと旨くすることができるぜ、カカカカーーーーッッ」

899粗筋の覇王 ◆oLq26uHjHI:2011/12/03(土) 10:57:09 ID:???
第135話 予選落ち!?
どの選択肢も選ばなかったジャンは予選落ち…と思いきや、係員を殴り飛ばすと、10分では未完成だと証明するらしい。
“正解”の10分は香港の料理店の蒸番がはじき出した数字だと、大谷はジャンの挑戦を受けて立つ。

ジャンは10分蒸したシュウマイを冷凍庫に入れると「おしまい!あとは取り出して蒸すだけだ」
単なる冷凍シューマイより、作りたてのほうが旨いとけなされてしまうが、キリコ・楊はふと気付く。
(肉と玉ネギ…冷凍…生の玉ネギ!!)

ジャンがさらに7分蒸したシューマイは、「ブッチギリで旨い!」と皆を驚かせる。
冷凍により玉ネギの細胞を破壊すると、そこから甘みたっぷりの水分(エキス)があふれ出るからだ!
「あのヤロ〜まだあんなマネを…」と呟くキリコ。
「おい大谷よ!ハンパな知識でいい加減な問題を作るな!迷惑するのはこっちなんだからよ、カカカカーーーッ!!」

900レギオン 3/4:2011/12/19(月) 21:16:36 ID:0bSCbEUM
…その後、4人は毛布に包まり、麻切は華音と龍斗に絵本を読み聞かせていた。
しかし、恐ろしい寒波により龍斗はカタカタ震えている。
あらゆる災難から逃れてきた4人を待ち構えていたのは、暖房器具が使えない状況での寒波だった。
「いいよ、もうそんな事どうでも… それより… もっと―――― 近づこう――――」
華音の言葉に、生き残るために4人は身を寄せ合った。

      人間の弱さに絶望していた――――
      他の生き物達に比べて何一つ、勝てるものなどない――――って
      だけど―――― あったんだね、ネズミにも――――
      アリにだって負けない人間だけの強さ――――

物思う華音、そして外は猛吹雪になり大雪が病院を包み込んでいった。



…それからどれだけの時間が経ったのか…。
4人が目を覚ますと、院内の天井のあちこちにつららが出来ていた。
4人は廊下に出ると、ネズミの親子が横切り廊下の角でこちらを見てブルブル震えていた。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20111219210804.jpg

      全てを失って、なお――――私達人間に出来る事、それは…
      身を寄せ合って――――寒さを耐え忍ぶことだけ――――
      この光景が終わりなのか、始まりなのか――――
      それは全てこれからの私達次第なのだろう――――

外に出た4人が見た風景は……辺り一面、雪以外何もない銀世界だった。
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901レギオン 4/4:2011/12/19(月) 21:16:57 ID:0bSCbEUM
…一方、鷹田はというと…しぶとくもまだ生き残っていた。
「くそっ、く…来んな あっちへ行けっつんだよ、この…
 に…人間様をナメんじゃねえぞ、ちくしょぉ…
 てめぇらが思ってるより、こちとらよっぽどしぶてぇんだよ!! 死んでたまるかくそったれ――――ッ!!』
流氷浮かぶ岩場の上で、フナムシに囲まれながら鷹田の涙の叫びがこだました。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20111219210904.jpg        
                                 <レギオン:完結>

902粗筋の覇王 ◆oLq26uHjHI:2012/02/03(金) 22:36:41 ID:???
第198話 見つけた!
素手でサメを油の中に押し込む、『断末ザメ油地獄の舞い』!
「なんてダイナミックで豪快な料理なんだ!!」と審査員たちは感動する。
暴れ死にゆくサメのグロテスクな美しさ、生きたまま揚げて尿素の分解を阻止し、水っぽさを防ぐ手法も評価されている。

心臓だけ残して生かし続け、暴れてもいいように巨大な鍋を用意していた――「行きあたりばったりの様で実に計算されつくしておる!」と感心する睦十。
だが、もやしはなんなのか?
仕上げは油通しした野菜・水溶き片栗粉を加え、「鯉の丸揚げ甘酢あんかけ」のようにして完成!

しかしザザビーは旨味成分のアミノ酸は死んでから形成されると否定的だ。
キリコもジャンに気を取られつつも自分の料理に集中する。
そして黄は冷凍庫の中に侵入していた。

そこに残されたバットを見ると、スポンジの上に棒状のものが1本……
「わかった!わかったよ秋山。寄せ集めでこんなすごい料理を作っていたなんて!!」

903名無しさん:2012/08/26(日) 23:19:20 ID:2Z4nAQhI
人が少なくなってるのでここに気づいてくれるかな…
以下のあらすじを「天然戦士G」スレに代理投下お願いします。
http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1343823253/

9041/3:2012/08/26(日) 23:20:16 ID:2Z4nAQhI
  BATTLE26:地球みやげ!?


          超ヒーロー企画の成功により、日本中に巻き起こったヒーローブーム…
         各企業は二匹目のどじょうを狙い、次々とヒーローシーンに参入してきた。

      この状況を打開すべく、超ヒーロー企画社長、佐々木恭子が企画したのが“H-1グランプリ”
        本当のヒーローは誰かを世間に証明する為の、ヒーロー同士の異種格闘技戦である

             目論見は成功し、各企業のにわかヒーローはあっけなく敗退…
                  超ヒーロー企画はバルゼリオンが敗れたものの、 
           ゴキヴリマンとララミーは勝ち残り…本家の実力を証明したかに見えた。


だが…… 次の試合のカードはララミーとバヌエル。ついにケンジが恐れていた時が来てしまった。
「ララミー…」
「わかってます… また棄権しろって言うんでしょ?」
「奴は…危険すぎる…! 今回ばかりは何を言おうと、戦わす訳にはいかない…例え腕づくでも…!」
するとララミーは意外にもあっさり承知した。
「ケンジさんがそう言うなら…」
――あまりに素直な反応に拍子抜けするケンジだったが、ララミーは後ろ手にこっそりステッキを持っていた。


その頃、試合会場ではさすがに解説も悪役同士の決勝なんて見たくない、とボヤいていた。
(ケンち…うまく説得できたかな…?
 興業的には望ましくないけど、壊されたら元も子もないしね…
 バルゼリオンもララミーもやられたらうちはおしまいよ)
観客席で不安になる佐々木、同時にバヌエルが入場…   ――次いで、ララミーも入場してきたではないか!
『出てきちゃったじゃないの!何やってんのよ、ケンちのバカ!止めるって言ったのに…!』
慌てて控室に戻る佐々木をよそに、ララミーとバヌエルは睨み合っていた。

9052/3:2012/08/26(日) 23:20:38 ID:2Z4nAQhI
…その頃、ララミーの脳裏に過去の記憶がよみがえる。
――薄明かりの中、自分の事で頭を悩ませる両親がいた。
「…また断られたのか、ララミーは…これで4度目だ…」
「呪文の調節を間違えて、教室をふっとばしたんですって… もうあの学校では手におえないって…」
「今の世の中…攻撃魔法なんていくら得意でも何の役にも立たんからな…」
「上の子は高等魔法院だっていうのに…どうしてララミーはああなったのかしら…」
そのやりとりを幼いララミーは耳にしていた。
そして周りの人々はあいつに近づくな、とか一緒に遊ぶなとか言って誰も近づかなくなってしまっていた。

…そんなララミーが魔法で怪人を撃退した後、ゴキヴリマンが言ってくれた言葉…
「す…すごいな… 今回勝てたのはキミの魔法のおかげだな… これからもよろしく頼むよ」
そう言ってほほ笑んで握手するゴキヴリマンとララミー。
(ケンジさん… 初めて私を認めてくれた人… 私じゃ勝てないのは分かってる…
 でも…ケンジさんの為なら… 少しでも…ほんのわずかでも、あいつにダメージを与えられるなら… 私は…!)


一方、佐々木が控室に戻るとケンジは爆睡していた。
『何やってんの!起きろコラ!!』
佐々木はケンジを揺り起こすと、頭がはっきりしたケンジは何があったのか思い出した。
「ララミーが何か呪文を唱えたんだ… そしたら急に眠くなって…」
そこで気づいた。控室にララミーの姿が無い事を。ケンジは顔色を変えて佐々木と共に試合会場へと急いだ。


その頃、ララミーは懸命に魔法攻撃を仕掛けるが、バヌエルには一切通用しなかった。
「なかなかのパワーだ、ガタマンがやられるのも無理はない… が…しょせんは地球レベルよ… 死ね」
するとバヌエルは剣をララミーの首にあてがった。
恐怖の顔色を浮かべるララミー、しかしバヌエルはすぐには攻撃を仕掛けなかった。
「ほう… よく見ると、なかなか美しいではないか…」
するとバヌエルは何度も切りつけ剣を鞘に納めると…… ララミーの服がコマ切れになって吹き飛んだ。
「不純物は取り除かんとな…」
バヌエルは懐から宝玉を取り出すとララミーにかざす。すると宝玉は光を放った。
(ケンジさん、ごめんなさい… 私…何もできなかった…)

9063/3:2012/08/26(日) 23:20:56 ID:2Z4nAQhI
ゴキヴリマンと佐々木が会場に着いた時にはララミーの姿が無かった。
しかし、残った服の切れ端とステッキを目にし、ゴキヴリマンはバヌエルに詰め寄る。
『キサマ…ララミーをどこへやった!』
「一足遅かったな…」
バヌエルが差し出した宝玉の中には・・・・・・・ ララミーが入っていた。
「地球みやげにはよいと思ってな… もらっていく事にした」

『 キ サ マ ア ァ ァァ !! 』
――ついにケンジの怒りが爆発、会場にケンジの叫びが響き渡った!
                                     <続く>

907名無しさん:2012/08/26(日) 23:23:55 ID:???
>>903
投下しました

908名無しさん:2012/08/26(日) 23:56:25 ID:???
>>907
ありがとう!
人少なくなってるんで不安で仕方なかった!

909天然戦士G 1/3:2012/08/27(月) 17:13:06 ID:???
  BATTLE27:究極の戦い方!!


「ここか…」
冒頭、H-1グランプリ会場に現れたシグマード軍参謀・ゾエル。
そして会場内ではゴキヴリマンとバヌエルが睨み合っていた。
「バルゼリオンもララミーも…キサマのせいで…」
「フン…弱い奴が敗れるのは当然だ!」
『キサマがッ!!』
一方、観客は事情が呑み込めずざわつきだし、解説達も投げやり気味だった。
《バヌエル対ララミーの準決勝終了後、突然ゴキヴリマンが乱入…
 なしくずし的に決勝が始まってしまいました》
《結局悪役同士…なんかもー、どーでもいいですよ、私は》
それについては観客も同意で、あちこちで帰り支度を始める観客が目立ち始める。
だが――……

《ゴキヴリマン、すごいラッシュだ!! ゴキヴリマン、すごい動きだ!あのバヌエルと互角以上!!》
その白熱する戦いに気づいた解説も解説に気合が入り、観客の目を奪い始めた。
《組み合わせはともかく、試合は決勝らしくレベルの高い内容です!》
その試合内容に、観客は帰るのをやめ、再び着席し観戦しだしたのだった。

一方、いつの間にかセコンドにいたゾエル。
「バヌエル、何をてこずっている…シグマード様はお怒りだぞ!」
「ゾエルか…黙って見ていろ!奴を倒さねば、キサマの怪人など何体作ろうが無駄なのだ!
 とはいえ……このバヌエルもまだ油断があったようだ 奴め…ここまで成長しているとはな…」
するとバヌエルはおもむろに剣を抜刀する。
『 斬 星 剣 !!  星をも断つこの剣…抜かせたか!』
それに応じゴキヴリマンもソヲドを装着するが、突如バヌエルは鞘をゾエルに向かって放り投げた。

「ム…バヌエルが532年ぶりに鞘を捨てたか…
 バヌエルが鞘を捨てた時…… 相手は必ず 死 ぬ ……!」

910天然戦士G 2/3:2012/08/27(月) 17:13:33 ID:0Icvciis
――そして会場にどよめきが走る。
ゴキヴリソヲドが折られ、形勢は逆転、ゴキヴリマンは次第に追い詰められていった!
ならばとゴキヴリマンは「ゴキヴリ1TO30」で分身を作成、分身がバヌエルに向かっていく!
『スパイラルダイヴズ!!』
しかし、バヌエルは高質化した分身すらも切り裂いてしまった!
「小細工でこのバヌエルは倒せん…!」

追い詰められ、次第にケンジに焦りが見え始めてくる。
「くそ…どうしたらいいんだ…このままじゃ…」
{負けるだろうな}
まさかのGOGにすら断言され弱気になるケンジ           ……だったが。
{キミはいつも人対人の戦い方だ、ゴキヴリマンにはゴキヴリマンの戦い方があるはず…}
「!!  そうか… そうだな…」

そのアドバイスを聞いたゴキヴリマンは・・・・・・・・ なんと 土 下 座 してしまった?!

「なんのマネだ… 負けを認めたか…?」
まさかの土下座に解説も困惑する。勝てないからあやまって許してもらうつもりなのか?
しかし、面白くないのはバヌエルだ。こんな情けない奴を警戒していたとはと舌打ちする。
『ならば・・・・・・・・ 死ね!!』
業を煮やしたバヌエルの剣が振り下ろされる!      ……が、そこにゴキヴリマンの姿は無かった。
   ガサッ
物音に振り向くバヌエル、するとゴキヴリマンは床に這いつくばった姿で背後に回っていた。

「ゴキヴリマン・・・・・ クラウチングスタイル…!」

            ゴキヴリマンは体のあらゆる部分で走行が可能だ!
           特にうつぶせの時、その力は最も効果的に発揮される!
       空気抵抗の減少と、より高い安定性により、立った時以上の高速移動が可能なのだ!
              視界の低下と上方警戒は触角でサポート!
        これがッ!! ゴキヴリマンの究極の形・・・・・クラウチングスタイルだ!!

911天然戦士G 3/3:2012/08/27(月) 17:13:51 ID:0Icvciis
…今までケンジはこれを使うのを、カッコ悪いからと、使用をためらっていた。
(自分が心までゴキヴリになってしまう気がしたから…
 でも、もうそんな事はどうでもいい… 勝つ為なら…オレの出来る事は全てやってやる!)

その動きを見た表口はまさにゴキヴリそのものと気持ち悪がるが、広尾は冷静に観察する。
《見て下さい、バヌエルが攻めあぐねているでしょう?
 そもそも、剣術とは人対人の技術ですから…足元の物体は非常に斬りにくいのです
 …とはいえ、ただ伏せるだけではあまり意味がありませんが…
 伏せたまま、あの速さで動けるとなると…剣で斬る事はほとんど不可能です
 まさに、彼ならではの対抗手段と言えますね…》
《…やけに肩を持つようになりましたね、広尾さん…》
《じ…事実を言っただけです!》
広尾の解説の通り、バヌエルは困惑していた。
「く… 長い間戦ってきたが…こんな奴は初めてだ」
――しかし、戦いが長引けばこのクラウチングスタイルも対応されてしまうだろう。
こうなれば小細工は無し、チャンスは一度…一撃必殺でバヌエルの弱点を狙うしかない!
…しかし、バヌエルの弱点はどこだ?
バヌエルの全身を見渡すと、胸にそれらしい球体があるのに気付く。あれが弱点だろうか…?
{確信は無いが…“賭け”だ}
覚悟を決めたゴキヴリマンは、球体を狙い飛びかかった!
バヌエルは足元のゴキヴリマンに剣を突き刺すが外してしまった。
『し… しまった!!』

――直後、ゴキヴリマンの渾身の蹴りが炸裂、見事球体を破壊した!

《や… やった!やりましたよ、ゴキヴリマン!》
攻撃が見事に決まった事に、思わず立ち上がって歓喜してしまう広尾氏だった。
                                      <続く>

912名無しさん:2012/08/27(月) 22:55:33 ID:???
代理投下ありがとうございます!

913名無しさん:2013/01/13(日) 16:25:36 ID:9TMx85m6
楽屋裏スレがまた落ちたね
せっかくやりたいもの告知しようと思ったのに

914黒い天使 1/6:2013/02/24(日) 11:34:14 ID:DruMrAK.
  <ACT,4 黒い誘拐の巻・前編>


冒頭、夜の銭湯・亀の湯。
『洋士〜〜〜〜!!』
脱衣所(男)で作業していた雪藤は番台に座る、体格のいい主人に呼ばれ振り返る。
「おめえ、さっきから見てると男湯の方ばっかりウロチョロしてるじゃねえか!
 まさか18にもなって女の体が怖いって訳でもあるめえ!
 ちったあ女湯の方もきれいにしてさしあげな!」
主人はレスラー並の体を活かし、腕一本で雪藤を女湯へと放り込む!

…雪藤の目の前に飛び込んできたのは、幼女から老婆までの女性のフルヌード!ビバ読者サービス!

「あら〜! 亀の湯さんにも若い子が入ったんじゃね〜!」
「わりかしかわいいじゃないの〜!」
若い娘は体を隠してうずくまるのに対し、デブと老婆は嬉しくないサービスをしてくれる。
「自転車で日本一周だってよ! いい若いもんが定職も持たずにフラフラしてよ、何考えてんのかね
 親の顔が見たいぜ、まったく!」
「へぇ〜、ロマン求めて旅してるってわけ? なかなかかわいいじゃん、あんた〜!
 どう、今晩あたしがかわいがってあげようか〜〜?」
老婆が色気使ってにじり寄り、デブがタオルをはだけて雪藤に接近! オェ
「そんなタワシじゃチンポコがおったたねぇとよ〜〜! ガハハ!!』
下品なジョークをかまし、豪快に笑う主人、他の女性客もそりゃそうだとご同意w
――そんなささやかなギャグシーンも、血相変えて飛び込んできた男性客によってぶち壊される。
『げ 源さん、来てくれケンカだ!!』

男湯の中ではヤクザ2人が客を暴行中だった!
何でも石鹸の泡が少し体に飛んだのを、ケンカを売ったとイチャモンつけてきたようだ。
――そんなヤクザの後頭部を、主人・源さんの必殺の洗面器が一発!
『な 何しやがるんでえー!』
『うるせ〜〜! どヤクザが〜〜!』
源さんはヤクザに出てけと命令するが、逆上したヤクザは剃刀を掴んで襲い掛かろうとする。

915黒い天使 1/6:2013/02/24(日) 11:34:47 ID:DruMrAK.
『ケッ! ヤー公が怖くて…… 風呂屋の番台に座れるけえ――――!!』
あっと言う間にヤクザをノした源さんは、2人を素っ裸のまま外へと放り出してしまう。
『二度とうちののれんをくぐるんじゃねぇ!!』
そんな騒ぎの最中、1人の男の子が寄ってくる。
「おかあちゃん… どうかしたの?」
「あ、俊夫… ハハ…なんでもないよ、また父ちゃんの悪いクセさ」
――ヤクザ2人は捨て台詞を残し、フルチンのまま逃げて行った。
「こらー! 忘れもんだー!」
…が、さすがに武士の情けで源さんはブリーフを放り投げてやる。
尻尾を巻いて逃げるヤクザに、源さん家族も客も大笑いし、雪藤も源さんの強さを思い知らされる。


そして翌日…… 公園で友達と遊ぶ俊夫を虎視眈々と狙う車がいた。
「あのガキか〜?」

 ―亀の湯―
友達がトイレに行った隙に、裏の公園から俊夫がいなくなった事に顔色を変え、源さんに訴える母親。
近所を探してもどこにもいないと言う妻をなだめていると、突如電話が鳴り響いた。
……まさか……。 話を聞いていた雪藤を含め、一同に嫌な予感が流れる。
源さんが電話に出ると、俊夫のすすり泣く声が聞こえる…。

《へへへ… 聞いたか〜〜てめえのガキはこっちで預かってるぜ!
 ガキを無事に返してほしければ、300万! 今夜12時までに山手公園の噴水のベンチに置いときな!》

――誘拐だ!
「おやじさん、警察に…」
雪藤は思わずそう言うが、源さんは受話器を叩きつけながら怒鳴る。
『うるせぇ〜〜〜!! そんな事してみろ、俊夫は…!
 フラフラ遊び歩いてる奴に親の気持ちがわかってたまるか―――!!』
警察に通報も駄目なら一体どうするのかと夫にすがりつく妻。
「心配いらねぇ、おれが必ず助け出す! このおれが必ず…!」

916黒い天使 3/6:2013/02/24(日) 11:35:08 ID:DruMrAK.
そして12時、指定の場所に現れた覆面姿の誘拐犯。
ベンチのバッグを開けると…… 中身は新聞紙!
その隙を狙って、茂みに隠れていた源さんが飛び出し、胸倉をつかんで締め上げる!
俊夫の居場所を吐くように命令し、誘拐犯の覆面をはぎ取る!

……が、直後、背後からもう一人の誘拐犯が現れ短刀で源さんの脇腹を深々と刺し貫いた!
『ふ ふざけやがってー! ガキの命が惜しくねえのか―――!!』
源さんは倒れ、重傷を負いながらも覆面を剥いだ方の男の足首を掴む。
覆面を剥がされた男は顔を隠しながら2人がかりで源さんを踏みつけ、やがて源さんは意識を失った。



自宅で夫の帰りを涙しながら待つ妻。傍らには雪藤もいる。
2時20分…… 玄関からガタンと大きな物音がし、行ってみると源さんが血まみれで倒れていた!
「しょ 焼酎と… さらしだ…」
奥さんの声に弱弱しくそう答えると、雪藤は救急車を呼ぼうとするが源さんに止められる。
「ま 待て〜… そんな事したら…警察沙汰になる… そしたら… そしたら俊夫は……」
『し しかし、その傷じゃおやじさんが…!』
「し 死にゃしねぇ… こんな傷じゃ… と 俊夫を助けるまでは…
 あいつはおれ達夫婦の間に… やっと… やっとできた子なんだ…」
「そ そうよ… 俊夫は私達の宝よ…! 私達の手で必ず助け出すわ!
 こ こんな親の気持ち… あんたにゃわかりやしないよ〜!」
――夫婦の涙の訴えに、雪藤はそれ以上何も言えなくなってしまった。

一方その頃、誘拐犯… 昨日叩き出されたあのヤクザ達は俊夫に暴行を働いていた!
『このガキャ――――!
 てめえのおやじはもうちょっとでオレを殺そうとしやがったんだぞ〜〜!! あれでも親かー!!
 下手な小細工しやがってー!! ガキの命より金の方が大事だとよ〜〜〜!!』
源さんに苦しめられた怨みを晴らすかのように、手加減無しの暴行を続けざまに加えてゆく!
壁に叩きつけられ、あちこちから血を流した俊夫は父と母を呼びながら気を失ってしまった。

917黒い天使 4/6:2013/02/24(日) 11:35:25 ID:DruMrAK.
『ブッ殺したる――――!! あのクソ親父に!! てめえのガキのズタズタの死体を!! 叩きつけたるぜ――!!』
気を失ってもなお暴行を続けるパンチヤクザを、もう一人のヤクザがなだめる。
「フッ まあ、焦るなって こんなガキ、殺ろうと思えばいつだって殺れる!
 それよりあのおやじの事だ…あんな傷じゃ絶対にくたばっちゃいねぇ!
 これからだぜ! じわじわいたぶるのは〜〜〜!」


同時刻、源さんは焼酎とさらしで簡易手当をして家に寝かされていた。
「お おれの事は心配いらねえ…
 それより俊夫が… 俊夫がどんな目にあわされているか… そ そいつを考えたら…」
源さんは自分の身を顧みず、息子の安否を気遣い妻もそれに涙した。
――直後、何かが台所のガラスを割って投げ込まれた。
何事かと見に行くと、それは…石を血だらけ、ズタズタになった俊夫の服で包んだものだった!
…さらに脅迫状が同梱されていた。

“もう一度だけチャンスをやる! 今夜12時までに500万を山手公園に持って来い
 今度変なマネをしやがったら、ガキの命は無いと思え!!”

それを読んだ妻はついに決心し、お金を持っていこうと叫ぶ。
『俊夫を助ける道はもうそれしかないのよ〜〜!!
 お願い! もう変な事考えるのはやめて〜! 俊夫が! 俊夫の命が〜〜!!』
源さんも諦めたのか、ただ一言「わかってる」とつぶやく。
……その傍らでは雪藤はただ黙って座りこんでいた。


亀の湯は臨時休業させ、夫婦はやっと500万を用意していた。
…その様子を、雪藤は隣の部屋から黙って見つめていた。


――そして二度目の約束の時間となる。妻に肩を借り、源さんは約束の場所へと向かってゆく。
「大丈夫…?」
「ああ… 家で待ってるよりぁ、こっちの方がずっと…」

918黒い天使 5/6:2013/02/24(日) 11:35:46 ID:DruMrAK.
直後、後ろから誘拐犯の乗った車がやってきて、500万入りのバッグをひったくってしまう!
とっさに源さんは車にしがみつくが、車はなんとか源さんを振り払おうと暴走する!
誘拐犯の抵抗もあり、源さんはついに力尽き振り落とされてしまう。
『ケ――――ッ!ざまぁみやがれ――――!!』

金を奪い取った誘拐犯は、今度こそ本物の金を手にして狂喜乱舞する。
…だが、その背後からは“黒い天使”となった雪藤が自転車で追いかけていた。


やがて雪藤は監禁場所へとたどり着く。中からはヤクザ達の笑い声が聞こえていた。
『あのクソおやじ、ちゃんと500万持ってきてやがるぜ!』
金を手に入れたヤクザは、今度は殺意の目で俊夫を睨む。

そして雪藤はというと… 自転車のサドルを外し、中の細いパイプを取り出していた。

「金さえ手に入れりゃ、こんなガキにもう用はねぇ!」
短刀を抜き俊夫に歩み寄るヤクザ。
だが、割れた窓から雪藤がパイプを用いた吹き矢でヤクザに狙いを定めていた。

ヤクザが短刀を振り上げた瞬間―――― 雪藤はスポークを吹き飛ばす!

スポークはヤクザの耳を貫通し壁に突き刺さる。
もう一人のヤクザは腕を振り上げたまま動かなくなった相棒の肩を掴むと、彼の体はゆっくり倒れてゆく。
続いて雪藤は電球を壊し、辺りは闇に包まれる。
「あんた〜… 親はいるかい……?」
「な なんだと…!」
突如闇から響く声にヤクザは周囲を見渡すが、誰も見当たらない …が、突如後ろから口を押えられる。
「黒い天使‥………………  地獄へ落ちろ……!」
スポークで耳を突き殺し、もう片方のヤクザも息の根を止められた。
……殺しの瞬間、闇の中とはいえ俊夫と雪藤の目があったかどうかは定かではなかった。

919黒い天使 6/6:2013/02/24(日) 11:36:07 ID:DruMrAK.
――――こうして、俊夫君誘拐事件は無事解決し、親子仲良く入院した。
比較的軽傷だった俊夫は頭に包帯を巻きながらも、父親のそばを離れなかった。
「な〜に、大丈夫だ! 父ちゃんはこんな事じゃ死にゃしねぇ!
 それより俊夫…よくがんばった! さすが父ちゃんの子だ!」
「うん!」
涙を浮かべながら最愛の息子を抱きしめる夫婦。
その光景を見て雪藤も親子愛に微笑みを浮かべていた。  
「それじゃ、おれ そろそろ失礼します …お世話になりました…」
「雪藤さん、ごめんね!八つ当たりしてあんな事言って…」
「え? いやあ、そんな…」
「洋士! おめえもいつまでもフラフラしてんじゃねえぞ… ちったあ親の事も考えてみろ」
奥さんが洋士に詫び、源さんもフォローするが、雪藤は去り際微笑みながらこう言った。
「………親はいないっスよ……」
一瞬面食らう夫婦、その後しばらくして窓の下に自転車で走り去る雪藤の姿が見えた。

「おとうちゃん…… 黒い天使ってなんなの?」
「なぬ?」 俊夫の言葉にキョトンとなる源さん。
その頃、お世話になった町を去る雪藤の姿があった。             <続く>

920黒い粗筋 1/4:2013/04/13(土) 15:15:17 ID:F/eWIpAk
  <ACT,52 黒き十字架再び…の巻(前編)>


深夜、廃教会で野宿する雪藤     ……だったが、突如何かに驚き目を覚ました?!
『ジュ…ジュディ…! お前一体何のつもりだ〜〜〜!?』
なんといつの間にか雪藤のすぐ隣にジュディが寝ているではないか!
「だって一人で寝るの寒いんだもん! ね、添い寝して!」
『バ バカ! 何考えてんだよお前は!』
「だって〜! 二人いるんだもん、暖めあって寝る方がいいじゃない」
冗談じゃないと愚痴をこぼし、雪藤は自分から離れた。
「男と女が一緒に寝る事がどういう事かわかってんのか、まったく…」
「ケチ! ただ添い寝するだけなのに…  雪藤なんか地獄へ落ちればいいんだ…」
そう文句言うと、そのままジュディは寝てしまった。


翌朝、雪藤の姿を探すジュディ。自分を残してどこへ行ってしまったのか?
ふと、ジュディはそばに落ちてあった新聞を拾って読み始める。

<電気店経営者屋上から飛び込む! 自殺か他殺か!? 意識不明のまま重体!>
――何かを感じたジュディは、その店へ尋ねてみる事にした。


 ―マルイシ電気店―
「眼鏡をかけた青白い男…? さあ、知らないな…」
店員に聞いてみるが誰も知らないと言う   …が、通りかかった専務が知っていた。
「雪藤くんじゃないのかね?
 彼なら今日からここで働いてもらう事になりましたよ、バイトとしてね…
 裏の倉庫で荷物の整理をしてもらってるけど… お嬢さん、彼のガールフレンドか何か…?」
ジュディはうなずくと、専務に案内されていった。

921黒い粗筋 2/4:2013/04/13(土) 15:15:44 ID:F/eWIpAk
24インチTVを運ぶ最中、突如後ろから目隠しされ転ぶ雪藤!危ないぞ!
『ジュディ、どうしてお前がここに!?』
「フンだ!私を置いてけぼりにしたバツよ!」
雪藤が専務に平謝りしていると、なんとジュディまでここで働きたいと懇願する。
専務は一瞬弱ってしまうが、結局事務の方でバイトする事を認めてくれた。

ジュディがその場から去り、改めて倉庫を見ると在庫がものすごい余っている。
「社長は重体で意識不明って言うしよ…
 その社長にしたって、他殺か自殺かなんて言ってるけど、
 結局経営不振で追い込まれての自殺未遂だろ〜〜!
 それにその社長、金融業者にかなり借金してるって話だぜ!
 若手の専務が一人でがんばってるらしいが、こいつぁホントに危ねえぜ…」
作業しながら社員の話を聞き、情報を集める雪藤だった。


同時刻、売り場にはヤクザまがいの借金取りが集まっていた。
『社長が入院中なら、専務がいるだろうが専務が! そいつを連れてこいってんだよ!!』
ヤクザの責め立てに、専務である奥脇が名乗り出、部屋へと案内する。
部屋の外では社員達がこれからどうなるのか、等不安げにひそひそ話をしていた。
奥脇専務ならきっと何とかしてくれる… そう思っていると、ドアが開いた。
「それじゃよろしくお願いします…」
どうやらひとまず話はついたようで借金取り達は引き上げていく。
社員達は一斉に奥脇に詰め寄りどうなるのかと聞くが、一か月待ってくれる事になったらしい。
「その間におれが銀行を駆けずり回って、何とか金を工面する!
 だからみんなも今まで以上にがんばってくれ!」
経営が赤字状態の時に無理に押しかけてしまったジュディは反省する。
「すいません、こんな時に私みたいなのが転がりこんじゃって…」
だが、奥脇は心配する事はないと笑って答えてくれた。

922黒い粗筋 3/4:2013/04/13(土) 15:16:03 ID:F/eWIpAk
閉店時間となり、次々と店を出る社員達。
「まったくバカ社長のおかげでこっちまでいい迷惑だぜ」
「ああ それにしても奥脇さんはさすがだな! あの人がいればきっと大丈夫さ!」
やがて奥脇も店から出てきて、雪藤は尾行する    ――が、いきなり後ろから頭を小突かれた!
「何 奥脇さんの事見てんのよ〜! まさかあの人に変な事しようってんじゃないでしょうね?
 そんな事したら私が許さないから! どうせ奥脇さんに私を取られた嫉妬心からだろうけどさ」
…勘違い娘・ジュディの台詞に思わず脱力する雪藤。
「言っておくけどね、あの人はホントにいい人よ! 店員さん達の信頼も厚いし」
「お前にどれだけ人を見る目がある…?」
「も〜 えっらそうに! 歳だって私とそんなに違わないのに知ったかぶっちゃって!」
――突如雪藤は胸に痛みを覚え苦しみだした。



その後、黒い天使となった雪藤は磯上病院へとたどり着いた。
廊下には見舞いの花束を持って丸石社長の病室へと向かう奥脇の姿。
奥脇は病室へと入ると、点滴の管を見つめた――――

それからしばらくして、見回りの看護婦が慌てて医者を呼んできた。
「しゃ 社長が突然苦しそうに暴れだして…私にはどうする事もできなかった…
 私のせいで社長が… うう…」
涙を流し悔しがる奥脇に、看護婦は気を落とさないでと慰めた。

見舞いを終え、車に乗って立ち去る奥脇。追跡を始める雪藤。
奥脇は電話ボックスの前で車を止めると、どこかへと電話をかけ始めた。
雪藤はスポークを抜き、忍び寄ろうとした瞬間―――― 鞭が襲ってきた!
「ジュディ…」
「言ったはずよ! 奥脇さんに変なマネしたら、私が許さないって!
 なぜあの人をつけ狙うの!? なぜあんないい人が殺されなくちゃいけないのよ〜〜〜!!』
その時、突如暗雲が立ち込め雷が鳴りだした。

923黒い粗筋 4/4:2013/04/13(土) 15:16:21 ID:F/eWIpAk
「おれだけじゃねえ… おれの傷が… “死の掟”が許さねえんだ!!」
上着を脱ぎ捨て上半身裸になる雪藤。 稲光と同時に雪藤の胸の十字架の傷がはっきり見えた。
(む 胸に十字架の傷… そこから血が…!)
電話を終え、再び走り去る奥脇。 そしてジュディは雪藤の傷に衝撃を受け固まっていた。
                                       <続く>

924黒い粗筋:2013/07/31(水) 18:28:45 ID:thvu6vMM
OCNに続き、比較的マイナーな(失礼)GMOまで規制されたので
しばらくブラックエンジェルズ連載中はお休みします(#'A`)

925名無しさん:2013/08/17(土) 23:45:59 ID:???
また規制かよ
こりゃ連載終了まで書き込めんな


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