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大河×竜児ラブラブ妄想スレ 避難所2

1まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY:2009/10/29(木) 01:36:02 ID:???
ここは とらドラ! の主人公、逢坂大河と高須竜児のカップリングについて様々な妄想をするスレの避難所です。
アクセス規制で本スレに書けない、とかスレに書けないような18禁のエロエロ話を投下したい時とかに
お使いください。
    / _         ヽ、
   /二 - ニ=-     ヽ`
  ′           、   ',
  ',     /`l  / , \_/ |
  ∧    〈 ∨ ∨ ヽ冫l∨
    ',   /`|  u     ヽ
    ', /          /
    /  ̄\   、 -= /                   __
  / ̄\  `ヽ、≧ー                    _  /. : : .`ヽ、
 /__ `ヽ、_  /  、〈 、           /.:冫 ̄`'⌒ヽ `ヽ、 / 〉ヘ
/ ==',∧     ̄ ∧ 、\〉∨|         /.: : :′. : : : : : : : . 「∨ / / ヘ
     ',∧       | >  /│        /: :∧! : : : :∧ : : : : | ヽ ' ∠
      ',∧      |、 \   〉 、_       (: :/ ,ニ、: : :ィ ,ニ=、 : : 〉  ,.イ´
      ',∧      |′   ∨ ///> 、  Ⅵ: '仆〉\| '仆リヽ:|\_|: :|
      / /     |     └<//////> 、 八!`´、'_,、 `´イ. :|////7: !
    /_/       |、       ` </////>、\ ヽ丿  /. : :|//// : .丶
    ,'          |′         ` <//∧ : > </.: : :////〉: : : . ヽ
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本スレ
【とらドラ!】大河×竜児【アマアマ妄想】Vol17
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1255435399/

707高須家の名無しさん:2011/12/29(木) 19:15:33 ID:???
なぜか本スレ落ちてるから立ててくる
スレタイを竜児×大河にするのはダメ…だろうか

708高須家の名無しさん:2011/12/29(木) 22:38:14 ID:???
今まで通り大河×竜児の方が統一感があって良い

スレタイ案は結構前から残ってる
【とらドラ!】大河×竜児【キュンキュン妄想】が良いと思う

709高須家の名無しさん:2011/12/29(木) 22:40:29 ID:???
三つ目のテンプレのURL修正した
立てられる人使ってください

【※CAUTION※超重要事項!※CAUTION※】

非エロ(ギシアンレベルまで)はここに投下

ガチエロは新避難所に投稿、ここへは告知誘導のみ

アク禁に巻き込まれたなど直接投下できなかった非エロ作品の代理投稿は作者が望んだ場合に可

大河×竜児ラブラブ妄想スレ 新避難所
ttp://jbbs.livedoor.jp/anime/7850/

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710高須家の名無しさん:2012/01/11(水) 23:28:46 ID:???
『あの夏で待ってる』の脇役、山乃檸檬が原作大河に見えて仕方ない。
生姜ーっなんでこのラインで描いてくれなかったーぁっ!と吠えてみる。

アニメ大河は4巻までの機能でデザインされたように思うんで、
後半はしばしばありえない表情にいきなり変わるのが違和感あったんだよね。

711高須家の名無しさん:2012/01/22(日) 00:02:36 ID:???
また堀江と喜多村が男の取り合いをするのか、と思ってみていたら、
キモいぶさ面が間島だった。

712高須家の名無しさん:2012/01/22(日) 07:42:43 ID:???
パパ聞きか。やっちゃんも居るぞ。2話で行方不明になっちゃったけど。
リコランのあつみお姉ちゃんもちょっと気になるw

713高須家の名無しさん:2012/01/22(日) 16:48:26 ID:???
ああ、そうだ。大原さんもいたんだった。
大原さん、ほんとうに優しいお母さん役が板に付いてるな。

714高須家の名無しさん:2012/01/22(日) 19:09:10 ID:???
しかしなんであの部長の作り声がマジーなのやらw
常時イケメン声すぎるのかもしれないな。崩れてもいい男みたいな。

715竜虎のいやらしいまぐわい?:2012/01/26(木) 21:11:32 ID:???
うーん。本スレ104のもの言いに興奮して書き始めたらこうなった。
どう好意的に読んでもいやらしくまぐわってない。駄目だ俺。上級者求む。

****

 ただいまーと鉄製の扉を開けて大河が帰宅した。
 と言っても、高須家から徒歩10分くらいの距離に親元は別にあり、日が変わらないうちには
そこへ帰るのだけれど、まず大学から帰るとここに寄る。竜児・泰子といっしょに夕ご飯を食
べてくつろいだのち、竜児に送られて帰るのが日々の決まりだ。
 大河の母には公認の仲となってはいるが母の再婚相手、つまり義父の手前は実家で夕食を共
にすべきと思ってるらしく、でもさすがに二度目の夕飯を食べるのも無理で、専ら遅くなって
から帰宅する義父の晩酌に付き合っておつまみを出すくらいに落ち着いてると聞いた。

「で、何作ってんだ?」
「ん。ちーちくときゅーちく、が多いかな?」

 要するに棒状に切ったチーズ、もしくは胡瓜を竹輪の穴に詰めて切るだけのこと。

 手抜きっちゃあ手抜きだけれど、季節も温度も湿度も酒の種類も問わずに時間も掛けずには
いっとひと皿出して、テーブルの角越しに頬杖ついて父娘団らんの時を過ごすためには悪くな
いチョイスと竜児は思っている。

「うん。そういうことならな?オボロ昆布の吸い物を覚えていけ」
「おぼろ?なにそれ?」
「これだ。ダシ昆布のキズモノを鉋でかいたやつ。これを適当に椀にとって、醤油と化学調味料軽く振って」
「おお〜」
「熱湯を注ぐだけ。すすってみ?」
「ふー。わ。意外なほど上品な……」
「だろ?わけぎや三つ葉散らして軽く料亭気分。締めにはいいんじゃねえ?」
「うん、いいかも。お義父さん付き合いで外で呑んできても必ずうちで何か食べる人だからねー」
「買い置きがあるから持ってけよ」
「うん」

 高須家での夕餉を終えて、泰子が行ってきまする☆した後の台所での立ち話がひと区切りつく
と、大河はシンク脇に椀を置いてちょっとためらい、竜児の腰に腕を回して抱きついた。

「うん……(はぁと)」
「お……ぅ」

 大河の身長は相も変わらず143.6cmでぴたりと止まっていて、竜児より30cmほど低い。どうし
たって腰周りに抱きつく事になる。反射的にミスター・マリックのような手つきをしてしまう
が、そんな大河の気分を受け止めるのも竜児だって初めてではない。
 少し膝を緩めて華奢な肩を撫でるように、慈しむように抱き返してつむじに顔を落とすとふ
うわり立ち昇る、雨上がりに錆びた鉄のような匂いを、ああそうか、と当たり前のように受け
入れて納得をし、同時に抑えがたい熱が下から上へと昇り始めたのを感じる。

 肩越しに優しく回していた腕を、大河の脇下に差し込んで弓なりに持ち上げると、彼女は抵
抗もせず反りかえってきつく抱かれるままに息を吐き出した。だんだんと力が抜けて腕に重み
を増すなかで、かろうじて竜児は日常を忘れずに、

「お前、着替えは?」
「あ……ないや」

716竜虎のいやらしいまぐわい?:2012/01/26(木) 21:12:36 ID:???
 訊いておきながらその口を塞ぐ。
 好きな女が腕の中で脱力してるのを放って優先する会話でもなく、濡れて光る唇と舌に吸い
つけば当たり前に昆布ダシの味がして、だけれども次第に深くなる大河の息からは甘い匂いを
感じとる。もう逃がしたくなくて、ではなく、力を失う頸を支えるようにより深く挿しこんだ
手で後頭部を支えながら引き寄せる。

 竜児が自分の鳩尾に感じる、小さな大河の胸郭と弾力。硬いものと柔らかいもの。

 互いの喉がごくんと音を立てたのをきっかけに閉じていた目を開き間近に見つめ合ったのだ
が、そこで発せられたのは当然、というか、残念ながらロマンティックが止まらない甘甘で気
の利いた台詞なんかではなく……。

「じゃあ先に脱いどけ」
「うん」

 腕を緩めて、大河が片足ずつ下着を脱ぎ去って、なぜか、はい、と渡すのは妙なズレがある
ような気もするが、まあ検分してくれという意味だろうか。そのシルクの塊を受け取って大丈
夫、汚れてねえと微かな沁みがついてるのを認めつつも、竜児はだらしなく力の抜けた手乗り
タイガーを引きずるようにして浴室前へと移動した。


 したいと一旦意識してしまうともう止められない。
 というのは男性心理特有のように思われているが、実は女性の方が一般的にそうした欲求は
強いとも言われている。ことに大河には心の奥底に厳とした孤独感が相も変わらずふんぞり返
っているものだから、許されてしまって以降はそれを押し留める必要がない。
 ベタに言ってしまえば淫乱な傾向という事になるのだろうが、そこも含めて大河を愛してい
る竜児には、なんらの問題ではなかった。二人の間だけのプライベートな話に過ぎなくて、と
きどきこうなる大河に退くような事もない。


 しわにならぬように着ているものを脱がせてはたたみ、代わって脱がされながら、合間に繰
り返してしっとりとしたキスを交わす。一応外から見えないようなところにだけ、と気を遣い
ながら痛いほど吸いついたりもして、そこそこ手慣れているようであっても惹きあう力に逆ら
う事はできない。それは竜児も、大河も同じようなもので、相手の肌に記す鬱血痕はそれが自
分のものと表現するための刻印だ。

 外は初雪でしんしんと冷え込んでいるのだろうに、そんなことも感じないで、浴室前の脱衣
所となっている廊下でお互い裸になると、またきつく抱きあった。
 直に触れ合わせる肌の感触がふたりのセーフティロックをすべて解除するかのように、体内
の熱が溶けて流れ出すような気がした。


 以前はいちいちこうした恋の営みに際して何か気の効いた言葉を贈らねばならない義務感の
ようなものがあったようだが、そんなものは要らない間柄になったのか、とくに何を話すでも
なかった。ただ変わりゆく息遣いだけで気持ちは通じあい、身体を寄せ合って浴室へと入る。
 バランス釜に火を入れて熱いシャワーを出せば、狭い高須家の風呂場はすぐ温まって、そこ
でようやく大河が言葉にした。

「……したいよ」

 愛しい男の目を見ることなく、その広い胸にぺったり頬を付けたまま言う。

「ここでか?」
「今すぐ」
「じゃあ、取ってくる。温まっとけ」
「うん」

717竜虎のいやらしいまぐわい?:2012/01/26(木) 21:13:26 ID:???
 身体を離されて座らされ、一瞬の喪失感が大河を襲った。
 わがままを言ってる。分かってる。竜児はもっと段取りがきちんとしてる方が好みな性格な
んだけど、聞きいれてくれてる。それがどんなに自分を潤わせてくれるのか、大河にはちゃん
と分かっている。
 ついさっきまで竜児の肌が触れていたところが火傷でも負ったみたいにじんじん疼くのを感
じながら熱いシャワーを出して浴びる。すぐ戻ってくる竜児がまた触れてくれたら、少しでも
温かいと思ってくれるように、湯温の目盛りを上げてみる。

「熱っ!大丈夫かよ?」
「大丈夫!冷たくて気持ちいい〜」

 戻って来た竜児を洗い場に座らせて、火照った身体をぺったり抱きつかせた。身体の奥から
伝わる波動に弾け飛んでしまいそうだった。

「……よし、髪まとめたからな。今日はちょっと焦らしてみるか」
「な、なに言って。あっ」

 腰に回した手を後ろからすっとあてがって、中指と薬指でそろそろと探ってみれば、つるん
と呑みこまれてしまう。

「もうすぐ生理か」
「う、うん。明後日明々後日くらいかな」
「準備早えな……って言うほどじゃねえんだよな。中までほぐすにはこの体勢じゃあな?」

 体育座りに近い格好で洗い場の椅子に座った竜児を跨いで大河が抱きついている状況。たし
かにこれではお互いに自由なエロアクションを、というわけにはいかなかった。ま、正確に言
えば竜児の方はさっきからいつでもOKなのだがここでの問題は大河の方だ。

「こ、これを……ここに」

 そのOKな竜児をむにむに握って、コ難しい顔をして大河は導こうとする。

「生だめだって。分かってんだろ?」
「……うん、そうね。付けてあげる」

 互いの陰毛に根元を挟まれて天を仰ぐ竜児を見下ろして、スキンをかぶせて半ばまで巻き下
ろしてから、やりづらくなったのか、大河は竜児の腿から降りてちょこんと洗い場に正座する。
残りをスルスル……っとしそうな雰囲気のまま、しばし眺めてから、ぱくっと。

「おっ、おいっ、そんな風俗みたいな事っ!」
「あひぇ?ほぉひぃぅのひはい?」
「別に嫌いってことはねえけど……」
「あー。うん。じゃやらない。喜ぶかと思っただけよ」
「あ、いや、悪い。よく考えたら喜んでおいた方が得かもしんねえ……な?」
「……どっちなのよ」
「やってください」

 じゅるるるーっ♪といっきに巻き下ろしたまんまのリズムでんんむんんむ、と大河は頭を上
下させてみる、のだけどその脳天に軽く竜児のチョップ。

718竜虎のいやらしいまぐわい?:2012/01/26(木) 21:14:22 ID:???
「なに?」
「やってくれて申し訳ねえけど、やっぱいいわ」
「あんまり気持ち良くなかった?……よね。なんか段取りっぽい気はしてたんだ」
「お前もどこで聞いてきたのか知らねえが、その、なんかエロくねえな」
「りゅうじはごむふぇら嫌い、と。あとで忘れないようにメモしとこうっと」
「嫌いとは言ってねえ。保留!保留な?」

 軽口を叩きながら、にひひと笑って大河は再び竜児の腿を跨いで座る。ぎゅうっとお互いの
身体を締めつけるように抱き合って、うん、こっちの方がと独り言にも熱がこもってる。そう
してロデオマシーンのように腰を左右に揺すり始める。

「あ、……うん。気持ちいいなこれ」
「でしょ?ちょっと前後にも動いてみたりして♪」

 天を仰いだモノを互いの下腹に挟まれてもみもみされると、竜児は思わず大河の尻を掴んで
動きを止めようとした。ちょっと良すぎる。

「なによ……」
「おう……まあ……なんだ」
「どうすんのよ、これ」

 またくりくりっと苛められて、これじゃどっちが焦らされてるのか分からない。掴んだ尻を
持ち上げれば以心伝心、心もち腰を上げた大河の隙間にするっと滑り込ませて、方向を探れば
ちゅっと先っちょを咥えこまれる。

 狙って捕まえたわけではない証拠に、あれ?といった顔で目を見合わせる。

 そうしたらゆっくり大河が腰を下ろしてくる。少し困ったような笑みで、それでいてはにか
んでいるわけでもない、この時にしか見られない表情。

「ゆっくり、ゆっくりね?……最初はきついんだから」
「おう、支えてるから」

 潤滑の役を果たす液体に包まれても、中はまだ心もち堅かった。少し進めては戻しつつ、で
も大河がコントロールしているからには痛がらせる心配はいらない。

「ふぅ……」
「大河ーぁ」

 収まった。
 愛おしくて、愛おしくて。竜児は大河の背を抱きしめる。自分の腕が大河を抱き、自分のモ
ノが大河に抱かれている感触が同時に在った。この不思議な幸福感は何度味わっても慣れる事
がない。自分が男で、大河が女だと否応なく突き付けられて、そうしてそこから逃げたい気持
ちがほんの少しあって。
 それでも現金なもので、馴染んできたら動き出す。先へ進みたいと思う方がとても強い。
 自分で腰を振るというより、抱きかかえた大河をまるで赤子をあやすようにゆっくりと上下
に揺さぶって行くと、そのたびに大河の喉がくぅーんと高い音で鳴る。これも、この時だけの
もの。もっといろいろやってみたいといつも、いつも竜児は思っているのだけど、大河と繋が
って抱きしめているだけで耐えがたい昂ぶりに襲われる。
 それはもう……どうしても。

719竜虎のいやらしいまぐわい?:2012/01/26(木) 21:15:14 ID:???


 湯に使って芯まで温まり、互いに洗いっこまで済ませてから上がった。
 大河は余韻を味わってるというやつなのだろうか、なんだかグダグダで、ふにゃふにゃで、
なすがままに水滴をタオルで拭われたりしている。これもいつもの事で、美人顔に相応しくな
い子供っぽさだ。かといって眠いわけでもなく、要するに習い性となっている虚勢を張れなく
なってしまってるのだろう。
 一般に女というものがそうなのか竜児には分からないが、セックスしたとたんにしおらしく
ナイーブになってしまうというのは正直、興奮ものだと思っている。くーんだかふぅーんだか、
不思議な鼻声を漏らしながらつきまとう大河は普段にもまして可愛い。

 この頭のどこに独りで誰にも頼らず生きるという決意が詰まってたのか本当に分からなくな
るほどで、思えばそのプライドが確たるものと知ったからこそ、竜児はこの女と生涯をともに
歩みたいと願ったのだった。それも本質、これも本質で飽きるということがない。

「りゅーーーじぃ〜ぃ〜」

 しかし流れでパジャマを着せたら裾を掴んでのこの態度は、いくらなんでもデレ過ぎなので
はないか。だいたい天辺を回る前には親元に帰らねばならないと分かっているくせに、なんの
疑問を呈することなく寝るだけの格好にさせられるまま。たぶんどこかで突っ込みを入れない
と当たり前のように眠りにつくのだろう。
 竜児はおかしくてついニヤニヤしてしまう。が、ちゃんと日々の区切りをつけるために為す
べき事がある。

「も一回?」
「うんー」

 時計をみれば、そのぐらいの時間はまだ残されていた。1回済ませたことで大河にごちそう
さまと言わせるまで徹底的に満たしてやる勝算もある。ならば……。

(省略されました・・・全てを読むにはワッフルワッフルと書き込んでください)





〜おしまい〜

720高須家の名無しさん:2012/01/28(土) 00:19:29 ID:Q9zTxKRA

いやらしくはないなw淡々としてる
ワッフルワッフル!

721高須家の名無しさん:2012/01/28(土) 12:37:48 ID:???
ミもフタもないが、エロメインに書こうと思うと大河の身体的個性の前に挫折してしまう。
竜児はどうやって小宇宙を燃やせたのだろうとマジ考えてしまってね。
妹的感覚ってそうそう都合良く棚上げできないと思うのだが、大河がよほどその辺を読んで的確に煽るのかなあw

722高須家の名無しさん:2012/01/28(土) 16:18:26 ID:???
妹的感覚ってのは、竜児が全力で構築したファイアーウォールだからね。
疑似家族関係を守るために大河の女に見て見ぬふりを決め込んだだけだと
思うよ。キスだけで体中を焼かれてるんだから、その先なんて楽勝、というか
我慢が難しいはずww

723高須家の名無しさん:2012/01/28(土) 17:22:59 ID:???
全力で構築するに至ったのは水着胸が無いからやだよう事件の意外なトラウマからかなw
その後でパッド入れるとき触っちゃったのになんとかなってるのが適応ってやつで。

まあそれは分かるんだけど、脱皮するようにそこから逃げられるのかってことですね。
なんとなく個人的にだけどそこの綱引きを持ち続けてる方が竜児らしい気がするんでね。

724高須家の名無しさん:2012/01/28(土) 18:24:22 ID:???
大河が大事なあまりひたすら我慢の日々、は予想に容易いがw
自分がそういうふうに出来ないってことはないと思うけどな、
原作で書かれている苦悩を見ても。
本当は女としてしか見れないのに、無理やり家族だ妹だって言い聞かせてたわけだし

725高須家の名無しさん:2012/01/28(土) 19:04:36 ID:???
あ、出来ないとまでは思ってない。
所々で例の罪悪感が覗く感じに惹かれるっていうぐらい。

5巻で大河の髪をつかめるつかめないと二度やってるのが好きでw

726高須家の名無しさん:2012/01/29(日) 13:43:41 ID:???
あれはいいシーンだったな。

竜児が大河に罪悪感抱くより、大河が自分の哀れ乳を気にする方が
深刻に思える。つうか、大学時代は不用意にキャンパスを歩いて、
「あ、こいつ俺の彼女なんだ」とか紹介するとえらいことになりそうだな。

妙に真面目な友人とのあいだで

「高須、見損なったぞ。こんな子供に手を出すとはへぐぅぅぅぅ&”(&#”W!…」
「だ・れ・が・子供ですって?返事によっては殺すわよ。一番苦しい方法でね」
「大河……頼むから俺の貴重な友達減らさないでくれ」

等という寸劇がありそうだ。

727高須家の名無しさん:2012/01/29(日) 15:27:38 ID:???
貴重な友達w
まあ数多く友人持てるタイプじゃないな、竜児は。
クラスコンパの幹事とか目立たないけどきちんと仕切って人となりを分かったやつが親しくなるんだろうね。

で、寸劇の前にどうも大河とつるんでるとそいつらがお菓子くれたりとかの罠

728高須家の名無しさん:2012/01/30(月) 01:37:25 ID:???
大河の哀れ乳については血の雨を振らされた写真部の客観視というネタがあるが
そこまで本人も気になっていなかったと取れて、単に川嶋が現れたから表面化したコンプレックスにすぎないのではないか、
と大河の代わりに抗弁してみよう

第一、その辺を最も注視していたと思しき竜児が「貧乳『なのか?』」と疑問形で発言しており
多分に逆説的だが竜児にとって十分魅力的な範囲の乳サイズであったと解釈することもできる
つまり竜児は、「おまえ自分の乳サイズが貧乳だとでも思ってるのか?(いやそんなはずがない)」という
状況を鑑みれば大河を元気づけようと気を遣う余地もない竜児の正直な心情の吐露であって、
普段からちょっとした膨らみをチラ見してはムズムズしていたと解するのが妥当ではないだろうか?

で、最終的には竜児がムラムラムズムズ感じるだけのサイズがあるなら大河にとっては当座必要十分なわけで
ごく自然にコンプレックスは解消すると読むものだが、どうだろう?

(大河おっぱい論第三章序説より抜粋)

729高須家の名無しさん:2012/01/30(月) 06:43:27 ID:???
「貧乳、なのか」
発言は、深夜の独占水着ショーより前であることに注意。大河の基本私服ははもこもこであり、
かつ、竜児は三つの理由で大河を子細に観察するのは控えていたと思われる。

- 他人の身体的特徴を取り上げるのは失礼だという礼儀
- 女を意識してはいけないと言う自己暗示
- ガン見すると殺される

ということで、それまで貧乳であることに気づいていなかったのは本当ではないか。

(日経サイエンス誌2月号より)

730高須家の名無しさん:2012/01/30(月) 12:40:02 ID:???
さすが日経サイエンスの分析で、特に3番目の理由には深く首肯せざるをえなかった。
なるほど竜児は大河を子細に観察しなかったであろう。しかし、しかしだ。
『貧乳かそうでないかの認識は見なくても得る事は可能』
という視点がこの論にはなかった。そこが残念でならない。

竜児は深夜の独占水着ショー以前に、少なくとも二度、大河の身体に触れる機会があったとされる。
最初は体育館での鼻血失神タイガーを保健室に運ぶ際、北村にお見せできない顔を自分の身体で隠すように運んでいる。
すなわち抱きかかえているわけだ。
二度目は言わずと知れた電柱リンチ後のおんぶで、表現に気を遣ってはいるが体温が伝わるほど密着していたのは確定している。

いずれも竜児がサイズを想起するのに必要な触覚情報を得るに十分と言え、その前提に立っての「-なのか?」であれば
小柄だから小ぶりだけど普通におっぱいあるなと知っていた。そう解するのが妥当であると思われる。
さらなる研究者の論を待ちたいところである。

(VOW3月号読者投稿欄より)

731 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:48:03 ID:???
突然ですがいきなり投下。

「未来への帰り道」

時期は12月半ば。
まず言っときますが竜虎成分少なめです。というかほとんど皆無。
18禁シーンもないです。

732未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:49:11 ID:???
12月も半ばのころ。

 クリスマスを10日後に控え商店街は相変わらずイルミネーションに溢れている。
 通り過ぎゆくサラリーマンも散歩中のお婆さんも、皆その光に心癒され、
街は何処となく厳かな雰囲気に満ちている。

 そんないいムードを一気にぶち壊す男が一人。

「ねぇ〜カノジョぉ〜暇?暇なら俺とお茶しない?」
「困ります・・・・・・私、人を待ってるんで・・・・・・」
「そんな冷たいこと言うんじゃねぇよ。ほらこんな田舎だし
こういうことされたことないんだろ?な?照れなくていいって」

 ムードブレイカーなその男は見るからに軽薄そうな金髪。ファッションは、
最近流行っているアイドルのをそのまんま模倣。正直イタい。超イタい。
自分がイケメンだと勘違いしている典型的なパターンである。
 田舎扱いしてるがそこでナンパしている人間も相当な田舎者だ、
ということに全く気付いていない、ある意味幸せな人間だった。

 その勘違いオーラ120%な男に絡まれているのは身長150cmあるかないかの
まるでフランス人形が如き超絶美少女。

 周囲の人間は、周りがやらないなら俺もやらないという日本人の気質を裏切らない様子で、
要するに皆見て見ぬふりを決め込んでいる。

 そうしているうちにもチャラ男はどんどん少女との距離を詰め、
もう触れるか触れないか。間近で見る少女の作り物めいた顔を見つめ、
グフフ、とだらしなく、気持ち悪く笑っている。

「ねえ、あれヤバくない?」
「ヤバいよね・・・・・・・・」
「多分あそこの大学の大学生だよね」
「就活とかしなくていいのかな」
「ただでさえここらへんじゃ馬鹿大学とか言われてるのに・・・・・」
「そこの指定校推薦取ったあんたに言われたくはないでしょ」
「偏差値38とかなのに・・・・・」
「Fランク大(笑)とか言われてるのに・・・・」
「もう人生諦めてんじゃない?」

 キャハハとお前らにバカって言われたくねえ、というような
女子高校生に人生を憐れまれてるとも知らず、
人生を諦めてる(と思われている)その馬鹿大生は今もナンパを続けている。

 ところがいつか夢は覚めるもの。この馬鹿大生にも
目覚めの時は必ず訪れる。そう、トラウマ級の目覚ましによって。

「ねえ、あれって・・・・・・」
「ヤバッ!ねえ帰ろ?」

 12月になると日が落ちるのも早い。この日も辺りは急に暗くなりはじめ
人の歩みも速くなってゆく。馬鹿な男はこの時もまだ、
己に振りかかろうとしている災難に気づいていなかった。

733未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:50:17 ID:???
 カラスが一斉に飛び立ち辺りの一瞬空を黒く染める。
それと同時に一人の男が商店街に足を踏み入れた。
 「そいつ」は他の人間には見向きもせず
大股に、スタスタと、速足に美少女と馬鹿大生のところへ向かっていく。

そして馬鹿大生の5メートルくらいで立ち止まると、

「・・・・・・・・・・・・・おい」
「あ、俺。そこの大学生、え?大学生にこういうのされたことないの?」
「・・・・・お前だよ、馬鹿大生」
「あん?」

馬鹿呼ばわりされた男(実際本当に馬鹿だが)はむっとした様子で顔を上げ、

「ひぃぃぃぃぃぃッッッッ」

すぐさまそれを後悔する。

 馬鹿大生の前に立っている男は顔つきこそまともだったが
その眼は軽く常軌を逸していた。
 ギュッと眇められた目、異常なほどに釣り上ったそれは完全な三白眼。
何より全身から立ち上る怒りのオーラ。
「喰ってやる」とばかりに乾いた唇を舐めるその仕草。
それはまるで羊の前の狼のよう。
これはヤバい。非常にヤバい。こうなったら手段は一つ。

「すっ」
「・・・・・・・酢?」
「すみませんでしたぁぁぁぁぁ!!!」
 それはいわゆる逃避行動。
喰われる前に牧場へ帰ろう羊飼いという名の冷たい現実のほうがまだマシだ、
と言わんばかりに羊という名の馬鹿大生は走り去り、そして見えなくなった。

「さて・・・・・・・」

 残された男と美少女。傍から見ればさらに状況がヤバくなったように見えるが
なんてことはない。実は二人、家族なのだ。

「なんで電話で助けを呼ばないんだよ。乱暴されたらどうするんだ。」

目つきの悪いこの男の名は、高須泰児。

734未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:50:57 ID:???
「だってぇ〜、見たかったんだもん。お兄ちゃんを見たときの反応。」

美少女の名前は、高須竜河。

要するにこの二人、血のつながった兄妹なのである。


 『未来への帰り道』


「ねえ〜今日の晩御飯は?」
「ブリ。今が旬だからな」
「どうやって食べるの?」
「塩」
「焼きかあ〜」

 夕飯の献立を話しながら、2人は人が多い商店街を歩く。
目指すはそこのスーパーだ。

「ほんとはトンカツの予定だったんだけどね、誰のせいだろ」
「俺のせいじゃないだろ。強いて言うなら親父のせいだ。
それにブリだって安いわけじゃないんだぞ」

どこか疲れたように泰児はボヤく。

 実は泰児は竜河と会ってから一回程、職質をかけられたのだ。
実際泰児は学ランを着ているため、今までこの時間に職質をかけられたことはない。
 ではなぜかけられたか、それは父親から遺伝したこの目つきと、そして
「お前のせいでもあるんだけどな、竜河・・・」
「なんで?」

 お前と一緒だから、とは言えない。というか妹にそんなこと言いたくない。
そもそもこいつは言ったって理解出来やしないのだ。この俺の悩みを。

 そうこうしているうちにスーパーに入る。
タイムセールが終わった今、泰児に肉を安く買う術は残っていなかった。
 魚売り場からブリをふた切れ取り出して買い物かごにそっと入れる。

「ねえ〜お肉ぅ〜」
「無い」
「牛肉は?」
「無い」
「豚・・・・・」
「無い」
「じゃあ」
「鶏も無い」
「なんも言ってないじゃん」
「言おうとしただろ。文句あるなら食わんでよろしい。作るのは俺だ」
「う、うぐぅぅぅぅぅぅ」
「勝手に唸ってろ、行くぞ」
拙い、このままでは晩飯に肉が一切れも入らなくなってしまう。

 実際大したことではないのだが竜河にとっては大問題だ。何か策は・・・・・・

735未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:52:38 ID:???
1、泣くと脅す。泰児が周りからなんと思われようが知ったこっちゃない
2、大声を出すと脅す。
3、その他。

と一瞬で鬼のような選択肢と立て、
仕方ないここは2で、と泰児に話しかけようとしたその時だった。

「あれ?高須君?」
「の、能登!?」


  *  *  *


「へ?」
振り返ったその場にいたのはやや髪を茶色に染めた竜河達と同じ
高校の制服を着ている女子校生。校章の色から見て泰児と同じ3年生。

 とそれまで落ち着きはらっていた泰児が急に挙動不審になる。
それを見て竜河は確信する。やはりこれは・・・・・・・。

 泰児はもともと母親や妹のせいか背の低い女性に興味を示さない。
かといって父親譲りの堅い性格のせいか今風の女の子は非常に敬遠するきらいがある。
とはいっても大人しい性格だと会話が続かないから嫌とも言っていた。

要するに泰司の好きなタイプは、
背はそこそこあって、それほどケバくなくて、そんでもって性格が明るい、
今ちょうど目の前にいるような女性だったのだ。

 それに加えて豹変した兄の態度。これは・・・・・使える!。

「ねえお兄ちゃん、お肉ぅ〜」
「だからしつけえって、おう!」
振り返る、と同時にのけぞる。

 一瞬のうちに竜河は上目使い。儚げに肩を縮こまらせて目には涙まで溜めている。
ただでさえ美少女である竜河。こんなことをされて胸に来ない男
なんていないし、もちろん泰児だって例外ではない。

 クッソこれ絶対、亜美小母さんの差し金だよなあ。
あの人親父に加えて最近俺まで誘惑するもんなあ。
なにが「亜美ちゃんって呼んで・・・・・・・いいんだ・・・・・・・・よ?」だよ。
もうあんた4■歳じゃねえか。
しかも俺のことは「泰児(はあと)」って呼び捨てだし、そんで俺はちゃん付け?
どこの65点クラスの奴隷だよ、俺は。いや呼び捨てなんて出来ねえけど。

 そうこうしているうちに竜河はどこからか持ってきた
牛肉(100g298円税別)を買い物かごに入れようとしている。
口パクで「・・・・いいでしょ?」と、その魅惑的な表情に泰児は、

736未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:53:28 ID:???
「・・・・・・・駄目だ」

 頷かなかった。

「え?ええ〜〜!?」

 当り前である。たしかに可愛いと思ったりはしたがそれも所詮妹、
誘惑されるほど落ちぶれちゃいない。そんなことで覆る
MOTTAINAI精神(泰児ver)ではないのだ。

こうして竜河の作戦は完全に、

「ねえ高須君、ここまで言ってるんだし買ってあげればいいじゃん」
「なにぃっ!?」

 成功した。


  *  *  *


 そう、元から竜河は泰児を落とそうなんて思っちゃいない。
泰児の父親譲りの固い性格からして、親から与えてもらった大切な金を
妹のために使おうなんて思うわけがないのだ。
 じゃあどうすればいいか?簡単である。別の人間に説得してもらえばいいのだ。

 人を射んとせばまず馬を射よ(杜甫「前出塞」より)

 その言葉通り竜河が狙っていたのは泰児ではなく
そこにいる能登という名の少女だったのである。

「ねえ、いいじゃん買ってあげなよ。今時いないよ?こんな可愛い妹さん」
「・・・・・・・いや、あの・・・・・・・・ですね?能登・・・・・・さん?
こいつは今猫を、いや虎を被っているわけでして・・・・・・」
「訳わかんないこと言わないで、ほら!」
そう言うと少女は竜河の持っていた牛肉を取り上げ
泰児の籠に入れていしまい、
変わりに入ってたブリを自分の籠に入れてしまった。

「・・・・・ああブリが、俺のブリが」
「ねえ妹さん?名前なんてゆうの?私麻衣、能登麻衣ってゆうの。よろしくね」
「たかするか・・・・・です。簡単な方の竜に河原の河です」
「竜河ちゃんかぁ。今何年生?」
「一年生です。お兄ちゃんと同じ高校です」
「ええ〜!?同じ学校?全然知らなかったよ、ねえ高須君なんで言ってくんなかったの?」

 女どもはまさにorz状態になりかけている泰児を完全に無視。それに対して泰児は、
「ブリ・・・・・・・塩焼き・・・・・・・いや俺は照り焼きのほうが実は・・・」

737未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:53:56 ID:???
 今だ立ち直れないでいた。
「えー・・・・・・・とぉ〜、高須君?」
「ああ〜〜〜!!ブリ〜〜〜!!って何だ?」
「いやだからなんで妹さんがいること言ってくんなかったのかなって」
「話すことでもないだろ。それより能登もここによく来るのか?」
「たまにだけどね。うち親が共働きだし」
「何やってんだ?親」
「お父さんは音楽関係のフリーライターで今週は出張中。
お母さんは雑誌の編集者で忙しいから今日は少し遅くなるって、
高須君のところは?」
「いや・・・・・・・俺の親は・・・・・・・」

 拙い。これは言っていいものか。
正直恥ずかしい。向こうがまともなだけに滅茶苦茶恥ずかしい。
しかしこっちだけ言わないというのもアレだし、

 そう、泰児の両親は息子の大学入試を直前に控えたこの時期に、
「うちの親は毎月恒例のデートです」
「そうそうデ・・・・・・・・てお前!」
「何で隠すの?嘘じゃないじゃん」

 そういう問題ではない。一体どこ結婚20年目になって
毎月デートに出かける夫婦がいるのだろうか。
 小さいころ友人たちにからかわれた苦い思い出が蘇る。
ああ、俺の初恋もこれで終わりか・・。

「へえ、うらやましいなあ」
しかし泰児の耳に入ってくるのは侮蔑でもからかいの声でもなく純粋な羨望。
「え゛!?」
「お父さん達から聞いてたんだけどホント仲いいんだね」
「え・・・・・。、ああ、そういえば能登のご両親はうちの親の知り合いだっけか?」
「そうみたいだよ?高校の時二人とも友達だったって、
うちのクラスの集合写真見てすぐ『この男の子、ひょっとして苗字高須?』
って言ってたし・・・・・・・そっちは聞いてないの?」

 一応そのことは泰児も両親から聞いていた、が

「すまん、聞いてない」 
「え?お父さん達言ってたよ普通に。ひょっとしてお兄ちゃん忘れた?」
「あ〜〜と・・・・・いや、覚えてるけど。そこは忘れるふりをするところじゃないかと・・・・・」

 泰児が忘れた振りをする理由、それは・・・・・・

「あ、いいよ、お父さんたち『どうせ悪く言ってんだろうな』って言ってたし
何て言ってたの?」
「えと・・・・・

『ふん!カワウソとギャル女の娘か。母親によく似てる・・・・・・・。
父親に似てないでよかったわ。
あんた、タイプの女だからってデレデレすんじゃないわよ』

って」
「「・・・・・・・・・・・」」
「え?似てなかった?」

738未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:54:32 ID:???
 似てるよ!超似てるよ!「ふん!」のところなんて魂入ってんじゃねえか!
元々見た目も声も似てるから一瞬入れ替わったかと思ったぞ!

「・・・・・ていうか本人の前で言うか、普通」
「いや、いいよ高須君。うちの親もほぼ同じこと言ってたし、
タイプの女ってとこだけ予想外だけど。
高須君にも好みのタイプっているんだね・・・・・・・・なんか意外」
「そこは聞かなかったことにしてくれ、頼むから」
「え?別に悪い気しないよ?高須君って割と女の子に人気あるし」
「冗談はよせ、そんな訳ないだろ・・・・・・」
「そうですよ。うちの兄こんな犯罪者面なのに」
「お前に言われるとなんか腹立つな」
「・・・・・・まあ、二人ともそう思ってんならそれでいいけど」

 麻衣は複雑な気持ちになる。実際、泰児は本当に女子人気が高かったのだ。

 きっかけは家庭科の調理実習の時間、
泰児の班は彼以外全員手際が悪く、他の班に比べ相当遅れていた。
時間も半分が過ぎたとき、一人の女子生徒が
包丁で怪我をしたのをけっかけに今まで大した事をしてなかった
泰児は全員から包丁を取り上げ、班員5人分の料理全てを
少ない時間であっという間に作り上げたのだ。
 怪我をした女子生徒の治療や気遣いにも余念がなく、
後日彼女の両親は彼の家にお礼を言いにいったという。

 それだけではない。裁縫ではクラスで女子全員を差し置いて一番最初に仕上げ、
分からないから教えてくれと言った生徒には
先生でも裸足で逃げ出すほどの分かりやすさで丁寧に対処した。
 もちろん性別に関係なく。

 また常に友人の無駄遣いに対して「MOTTAINAI!」
と叫んでいたため付いたあだ名が
「般若の仕立て屋」とか「鬼の倹約家」とか「地獄の料理人」とか。
 
とにかく泰児は運動神経は人並み、身長も平均だったがその優しさと
目つきとのギャップもあってそれを知ってる女子からの人気はかなり高かった。

 まあ誰かさんからの遺伝のせいか本人は全く気づいていないようだが。


 *  *  *


 麻衣が泰児と知り合ったのは一年生の最初、入学したばかりのころ。
いや、それよりも前、高校入試の試験当日。会場が分からなかった麻衣を
わざわざ回り道までして案内してくれたのは泰児だった。

739未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:55:28 ID:???
 目つきに怯えてた麻衣だったが、無事時間前に会場入りしたことに着いてから気がつき、
そこで自分がこの犯罪者面な男に助けられたことを知った。

 要するに、泰児がいなければ麻衣は現在の高校に通うことは出来なかった。

 特徴的なあの目つきを持った男は入学後すぐに見つかった。というか
自分と同じクラス。しかも斜め前の席だった。

 高須泰児。それが入学後、彼女が一番最初に知った男子生徒の名前だった。
親が友達同士ということを聞いた時は驚いたものだった。

 周りの人間が心無い噂をする中、何度か会話するうちに麻衣は
やはり彼はヤンキーなんかではない、という確信を強めていた。
 友人が無意味な注意を喚起するなか不快な気持ちにはならず、むしろ優越感に浸っていた。
最近では彼の本性に気づいた何人かが彼に好意を抱いているとは聞いたが。

 彼女がその最初の一人、要する泰児に恋心を抱いてもう結構な時間がたっていた。

 もう卒業まであと少し、受験も大詰めを迎えている。手を打てる時間は刻一刻と
少なくなってきている。

「じゃあ、俺たちはこれで」
「さようなら、麻衣さん」

 でも、と考え直す。でも今はこれでいいのだと彼女は思う。
卒業まで残り少ないといってもまだ時間はある。それまでにどうするか考えよう。
 今はそれよりこの予想外のブリをどうやって調理するか、そのほうが重要なのだから。


 *  *  *


 午後7時

 閑静な住宅街の一角にある一軒家が彼らの家だった。

 泰児は家に着くなり早速調理を開始していて現在のところ、
作業もひと段落し鼻歌なんかを歌いながら次の作業の準備をしている。

「若さだと〜♪言われようと〜関係ない〜yes♪」
「ねえ〜まだぁ〜?」
「はあ・・・・・・・まだだっての。何回言わせるんだよ」
「何回言っても出来ないから催促してるんじゃん・・・このダケン!!」
「その言葉母さんの専売特許だろ。文句があんなら少しでも手伝ったらどうだ」
「私、勉強で忙しいの。お兄ちゃんと違って」
「俺受験控えてんだが・・・携帯いじってることのどこが勉強だよ」

740未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:56:20 ID:???
「ねえ、原子番号36番って何?」

 いきなりな質問。どうやら竜河はそれっぽいアプリをしてるようだ。

 理系の泰児はそれに対し淀みなく答える。
「Kr・・・クリプトン、だろ?希ガス原子だ」
「じゃあ炭酸ナトリウムの製造法は?」
「アンモニア・ソーダ法、またの名をソルベー法」
「エタノールに濃硫酸を加えて130度から140度で加熱すると?」
「分子間脱水が起こってジエチルエーテルができる。
理系舐めんな、もっと難しいのもってこい」
「ぬぅぅぅ・・・調子乗って。そんなに好きな女の人と喋れたのが嬉しかったの?」

 えっ?何でこいつ俺が能登のこと好きって知ってんだ?

 泰児よ、見りゃわかるに決まってるだろ、と画面の外から言うことはできない。

 まあここは落ち着いて、ポーカーフェイスで、否定しようじゃねえか。
友達には感情のない男と呼ばれてるしな・・・え?褒めてない?うるせえ。

・・・・すうぅぅぅ・・・・・・・・はぁぁぁぁ・・・・・・・・よし。

「べべべべ別にすすす好きとかじゃねえぞ!?」
「すごい噛んでんじゃん、間を取った意味ないじゃん。」
「あれ?何でこんなことに?」
「ま、いいけどね。お兄ちゃんが何処の誰とハアハアしようが私には関係ないし」
「あ・・・・・・れ?なんか既視感が・・・・・」
「で、まだ?」
「何が?」
「ば・ん・ご・は・ん!」
「おう!そうだった。もう出来るから茶碗とか出してくれ」
「やだ」
「あのなあ・・・」

 仕方なく泰児は一人で二人分の茶碗を用意し始める。
まあいい。この女は一度決めたらてこでも動かない。
むしろむりやり動かそうとしたらてこが壊れる。
こんなくだらないことで無駄な体力を使うわけにはいかないのだ。
飯を作ってそれで泰児の一日が終わるわけではない。

「ほら、出来たぞ。お待ちかねの晩飯だ」
「ん」

 結局、夕飯は泰児が一人で作ってしまった。メインは竜河の好物であるトンカツ。
普段なら踊りだすくらいなのだが、何か様子がおかしい。
 強いていうと、異様なほどに不機嫌だ。

「なあ。なんでそんなに怒ってるんだよ」
「怒ってないって言ってんじゃん。変なお兄ちゃん」
このやり取りを先ほどから何度も繰り返している。

741未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:57:06 ID:???
 こういう意固地なところはほんと母さんそっくりだよな、と泰児は心の中で呟く。
 基本的に竜河は自分達の祖母(見た目30代実年齢50代)
の性格を強く引き継いでる。基本的にのんびりした性格は間違いなくその影響だろう。
 ただそれが不機嫌になると一気に母親の性格に変わる。
怒っている、と言っても怒ってないの一点張り。
これは彼らの両親が夫婦喧嘩した時と同じパターンだ。
 両親の場合、結局は母親が暴れるか、父親が土下座するかそのどちらかで
戦争は終わるのだが、いくらシスコンの泰児でも理由なしに土下座はできない。

 とはいってもこのまま、というわけにはいかない。
人間誰でもあんな不機嫌面で自分の作った飯を食われるのは嫌なものだ。
 何か、何か手立てはないものか、と思考ループに入りかけた
泰児をすんでのところで引きとめたのは、

「ねえ」
「おう!?」

 他でもない竜河だった。


  *  *  *


 竜河自身は自分がいらつく原因に気づいているわけではない。
そのことが彼女の不機嫌をさらに加速させる。
 いや、全く気付いていないわけではないのだ。うすうす感づいて
いることはいるのだが、竜河自身の心がその考えを拒絶する。
 
 そしてまた無限のループに入り込む。

 そう、それは完全な嫉妬。やきもちという絶対的な感情。
昔から竜河はずっと泰児に頼りっきりだった。
 そして泰児も当たり前のように忙しい両親に代わって、小さいころから
竜河から目を離そうとしたことはなかった。

中学生のころから竜河は次第と泰児のことがうっとおしくなっていき、
邪険に扱った時期もあったものの、最終的に困った時助けてくれるのは
いつも泰児だったのだ。

 だから竜河にはある自信があった

『兄にとっては自分が一番なのだ。自分のことだけを見てくれるのだ』

 これからもそうに違いない、と密かにそう思っていた。
 自慢できる特技もなく、内気でいつも兄の影に隠れていた竜河だったが
それに対しては絶対の自信を持っていた。

 その自信が今夜、撃ち落とされた。

742未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:58:02 ID:???
 十中八九泰児と麻衣は両想い。目の前にある肉だって麻衣が無理やり
泰児に押し付けたようなものだ。おそらく竜河が同じことをしても泰児は
決して受け付けないだろう。

 万が一泰児と麻衣が付き合い始めたらもう竜河は泰児のそばにいられなくなる。
彼女より妹を優先する奴なんていない。
 要するに、そうなったら竜河はそれ以後何かあっても泰児を頼ることはできない。

 考えてもいなかった。次第に泰児から自立していく・・・・・という未来をおぼろげながら
想像していた竜河にとって「泰児が自分から離れていく」なんてことは眼中になかったのだ。

 そして懸念材料はもう一つあった。それは、

「ねえ」
「おう!?」

 竜河がこれから投げかける質問は自分がこれからどれだけ泰児に依存できるかを
占うようなものだったのだ。

「お兄ちゃんの行きたい大学ってどこにあるの?」

 言いかえれば
「この家を出ていくのかいかないのか、あとどれくらい自分は傍にいていいのか」
泰児の返事によっては竜河は覚悟を決めなければならない。



「おう岡山だけど」
「・・・・・・・・・・・・え?」

 答えは最悪だった。頭のいい兄のことだ。必ず志望校に現役で受かる。
そしたら自分は兄と離れ離れ。月に一度の手料理も金輪際食べることはできない。

 そのことに悟ると同時、急激に目の前がぼやけて見えてくる。

「おか・・・・・・・やま?」

 ああ、私は泣いているのか。その事実は意外とすんなり頭の中に入ってきた。

「お、おい。竜河?」

その様子は目の前にいる泰児もちゃんと気づいていた。
いきなり目の前で泣かれ始めたら困る。ただでさえ竜河は母親譲りのフランス人形のような
容姿をしているのだ。その泣き顔はそんじょそこらの泣き顔とは一線を画している。

 よく女の泣き顔は武器、とか言われるが竜河の場合は武器を通り越して兵器なのだ。
泰児にはちょっと刺激が強すぎる。

743未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:59:38 ID:???
「お前、なんで泣いて」
「くっ・・・・・だって・・・・・すんっ・・・・・おかやまって、そしたら・・・・・っ・・・・・そしたら
もういっしょにごはんもたべられないし・・・・・おとうさんとおかあさんがいないひに
・・・・・ひっく・・・・つくってくれるひともいなくなっちゃうし・・・・・」
「・・・・・・・・竜河」
「おにいちゃん、あのひとのことすきなんでしょ?・・・・・・つきあったりして、
もうわた、ひくっ・・・・・・わたしのことなんて、かまってくれなくなっちゃうし、
ぐすっ・・・・・・・これから、どうやって・・・・・・」
「あのな、竜河・・・・・・・」
「うっ・・・・・・・なに?」
「お前は2つ、大きな間違いをしている」
「・・・・・・ふぇ?」
「まず俺の大学があるのは、岡山じゃない」
「え?でもさっき『おう岡山だけど』って」
「『おう岡山』じゃねえ、大岡山だ。東京都目黒区大岡山。ここから電車で1時間少し
だろ。家を出るのは大学を卒業してからだ。」


 ・・・・・・・・・・


「・・・・・・え゛?」

「あと、能登とは違う大学だぞ。まあ同じ都内だけど、あいつは新宿区だ」
「ど、どこ?」
「W大の文学部。親と同じでマスコミ関係になりたいんだと・・・。
要するに卒業したら離れ離れ、そもそも付き合う保証もねえだろ。」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「それ以前にお前みたいなのを残して家を出れるか。大学入ってから卒業するまで基本的な家事
は全部仕込んでやるから覚悟しろ。まあ親父とかも協力してくれるだろうけど。
あの人、お前にやたら甘いからなあ・・・。
とにかく、お前が一人でも大丈夫になるまで家は出ない。あとそれとは別に

俺が誰と付き合おうとお前が俺の妹だということはずっと変わんねえぞ?
なんたって俺にとっては世界でたった一人の妹だからな。

・・・・なんかこっ恥ずかしいな、この台詞。てか気持ち悪い?
や、やっぱり忘れてくれ、ていうか忘れたい・・・・・・・・おい竜河?聞いてんのか?」

「・・・・・・・・・・・・・・」

 聞いていなかった、いや聞いていることは聞いているのだが
さっきまで蒼白だった竜河は数秒の後に達磨も裸足で逃げ出すほどの真っ赤か。

「お・・・・・・おい、竜河?あ、あのな別にこんな勘違い気にすることはないぞ?
よくある間違いだし、お前に頼られてるって分かって悪い気はしないし逆に嬉しいっていうか、
だからそんなに顔真っ赤にすることねえぞ?」

744未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 13:00:41 ID:???
 もちろんこの結末は竜河の勘違いが招いた結果であって、泰児に責任はない。
いわば自業自得なわけだがここでフォローしない、という選択肢は初めから泰児にはない。
なぜならそれは兄である泰児の義務であり、また責任でもあるのだから。

「と、とにかく!この話はこれで」
「わっ」
「・・・・・・倭?てこれ今日2度目じゃ」
「わ、わ・・・・・ぅ忘れろお〜〜〜〜い!!」

 咆哮と共に竜河が懐から取り出したのは、なんと・・・・・・・・

「え・・・・って、え゛?ぼ、木刀!?」
「死にたくないなら・・・・・記憶全部なくせ〜〜〜〜!!」

 フォロー失敗。
結局竜河をなだめることは出来ず、結局彼女が空腹でぶっ倒れるまでの約10分、
泰児は掛け値なしに恐怖の絶頂を味わったのだった。


  *  *  *


「ねえ、お父さんたちいつ帰ってくるの?」

 なんやかんやあっての晩餐会も終わり、
すでに入浴を済ませ、二人は夜の勉強会を開いていた。

 というよりも実際は竜河が勉強道具を持って
泰児の部屋に勝手に上がりこんでるだけなのだが。

 これについてはいつものことだから、と泰児も黙認している。

「さあ?もうすぐだろ。いくらなんでも朝帰りは無い」
「本当?」
「ああ」
「賭ける?」
「・・・・・・・・・・・・・・・賭けない」

 その間にも泰児は計算を進め、
「ほら、分かったぞ。お前最初のとこでいきなりミスってんじゃねえか。
だから最後まで導けないんだ。ほらここ、式を2倍したらルートの中は4倍じゃねえか。
展開の進め方は悪くねえけど、そこであってたら答え整数なんだぞ?」
「あっちゃ〜遺憾だわ〜」

 何回目だよその台詞、とは今さら言う気にはならない。
勉強会とは名ばかり。その実態は竜河の押しかけ生徒なのだ。

「少しは真面目にやれよな。お前はもともと頭はいいんだから・・・・・」
「あれ?」
「・・・・・・・・・・・・なんだよ」
「お父さん達の・・・・匂いがする」
「はあ?・・・・・・・あ、本当だ」
「ね?」
「匂いはしねえけど足音なら聞こえるな」
「うわ・・・・・つまんない」
「お前は俺に何を求めてんだ?ほら行くぞ」
「どこに?」
「手伝いにだよ。どうせ母さん酔いつぶれて親父におんぶされてんだから」

745未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 13:01:24 ID:???
 この時午後11時。いつものように最終バスに何とか乗れたようだった。


  *  *  *


「ただいま〜・・・・・・・・・ふう」
「おかえり・・・・・うわ、完全にダウンしてんな」
「ああ・・・・・元からそんなに強くねえのにワインがばがば飲みやがって」

 高須竜児はそういうふうにいいながらも全く嫌そうな素振りさえ見せず、
そのままリビングに上がりソファに彼の妻を横たえる。

「じゃあ俺、風呂入ってくるから」
「あ、温度下がってるかもしんないからそのときは追い炊きしてね」
「わかった。ありがとうな、竜河」
「うん」
「ああそうだ。泰児、大河に水やっといてくれ」
「おう」

 竜児がシャワーを浴びているあいだ、リビングでは新たな問題が発生していた。

「ほらよ水だ、って寝てんのにどうやってやるんだ?」
「さあ?起こせば?」
「マジで?」
「マジ」
「はあ・・・・・・・・おい母さん、水だ!っておう!?」

 起こそうとしたその瞬間、泰児の母である高須大河は見た目にあわない馬鹿力で
彼を抱き寄せ、

「うみゅ〜〜〜、りゅ〜〜〜じ〜〜〜〜」
「うわ!すげえアセトアルデヒド臭、ていうか竜児、じゃねえ!泰児だ、泰児!」
「た〜〜〜い〜〜〜じ〜〜〜!!・・・・・・・・ん?」
「うぐぐぐ、離せ!ってうわ!」

 思い切り蹴り飛ばして

「なんだ、泰児か」

 つまんね、とばかりにため息をつく。

「・・・・・・・・・・・・」
「ふう、喉乾いちゃったわ。どっちか水持ってきて」
「・・・・・・・・・・・・」
「えっと、さっきお兄ちゃんの持ってきたのがそこにあるけど」
「あら、ほんとだわ・・・・ってかいつまでそこで寝っ転がってんのよ、泰児」
「・・・・・痛くて・・・・・・声が・・・・・出ない・・・・・」
「出てんじゃない。あ〜あ〜軟弱だこと」

746未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 13:01:56 ID:???
 そう言うと大河は水を飲み始め、
コップに注がれた水はあっというまにその口に吸い込まれていく。

「くう〜〜〜〜!うんま〜〜〜い!!泰児!おかわり」
「・・・・・・・・・・もう自分でやれんだろ」
「へえ〜〜〜?か弱い女性にそんなことさせるんだ?
あ〜〜〜いやだいやだ。いつからそんな子になっちゃったのかしら。
竜児はいつだって何か頼んだらすぐやってくれるのに」
「分かったよ、持ってくるからそこで大人しく待ってろ」
「あ、あと晩御飯残りあるならチンして持ってきなさい。ありったけ全部よ、全部」
「レストランで食わなかったのかよ」
「量少ないのよ、イタリアンってのは。どれも高いから追加注文も出来ないし」
「少し時間かかるけど・・・・・」
「いいわよ、そのほうが好都g・・・・・じゃなくて・・・・・あっ竜河はここにいなさいよ」

 泰児が冷蔵庫の中身を取り出している間、リビングでは微妙な内緒話が始まろうとしていた。

「さてと、邪魔者はいなくなったことだし、ゆっくり話を伺おうかしら」
「えっと・・・・・・何の話?」
「惚けんじゃないわよ。今日スーパーで能登麻耶の娘に会ったらしいじゃない」
「何で知ってるの、その話」
「一時間くらい前にメールがあったのよ。
『もしものときはうちの娘をよろしくおねがいしま〜す』
ってね。
早めに帰ったら頼んでた献立が急に変ってたらしいし、雰囲気がおかしかったから
問い詰めたら白状したらしいわ。ちなみに竜児はこのことをまだ知らないわよ」
「お兄ちゃんに直接聞けばいいじゃん」
「泰児がそう簡単にゲロするわけないじゃないの、で?どうだったのよ、うちのバカ息子は」
「付き合ってるわけじゃないみたいだけど・・・・・」
「そんなの女ができたらすぐわかるわよ、母親なんだから。
そうじゃなくて、もっとこう・・・・・・・おしべとめしべが・・・・・・」

「何を話してるんだ?」
「ふぇっ!泰児?もう出来たの?」
「いや、その事なんだけど・・・・・ご飯以外だとこれだけしかないんだが・・・・・」
「なにこれ」
「・・・・・・・・・野菜・・・・・・ですけど・・・・・・殴らないでね」
「肉は?少しは残しとけってメールで言わなかったかしら」
「その分も含めて竜河が全部食っちまった。一応多めに作ったんだけどな」

 ・・・・・・・・・・・・・・

「ねえ・・・・・・どういうこと?竜河」
「ど、どういうことだろうね・・・・・・あはは」
「・・・・・・・寝ぼけてんじゃないわよ!ちょっと面かしなさい」
「ひぃぃぃぃ!!ゆ、ゆるしてぇ!!」

 しー・・・・・・・・・・・ん。

747未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 13:02:58 ID:???
「なんだよ・・・・・やっぱり動けんじゃねえか」

 どこぞへと引きずられていく竜河をただ見つめることしか出来なかった泰児だった。


  *  *  *


 竜児がシャワーからあがったのは竜河が大河に引きずられて消えたそのすぐ後だった。

「あれ?大河と竜河は?」
「どっか行った。晩飯を残さなかったのが逆鱗に触れたらしいけど」
「ったく。あの二人は・・・・・」

 そう言いながら竜児は冷蔵庫から缶ビールを取り出し泰児の隣に座る。

「あれ?飲んでこなかったのか?」
「大河がいるからな。結局ほとんど飲まなかったな」
「よくやんな。親父はよ」
「そうか?」

 まんざらでもない様子で缶のプルトップを開ける。
会話は弾まない、けど仲が悪いわけではない。それが彼ら二人の日常なのだから。

「今日の晩御飯は何にしたんだ?」
「トンカツ、まあほとんど無理やりにな」
「そうか・・・・・・・悪いな、いつも」
「なんだよ。藪から棒に」
「いや・・・・・・・なんとなく、な・・・」

 そう言いながら、ちびちびとビールを喉に流し込んでゆく。

 この前冬は寒いからビールは飲みたくないって言ってたばっかりじゃねえか。
酒をあんまり飲まないあんたがこうして飲むってことは、
どうせ俺との会話の機会を設けるつもりだったんだろ?お見通しなんだよ、息子舐めんな。

 竜河のつまらないことでうじうじ悩むのは親父の遺伝だったか、と今さらながら認識する。

「いいって、そんなこと。料理するの嫌いじゃねえし」
「でも・・・・・・」
「いいんだよ、ほんとに。だって・・・・・・・」

 俺達は、家族だろ?

 そのたった一言で竜児は何かが吹っ切れたように、
その恐ろしい顔で恐ろしい笑顔を浮かべる。
そのうちに大河と竜河が戻ってきて、高須家も団欒の空気に包まれる。

748未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 13:03:51 ID:???
この世界の誰一人、見たことのなかったものは

確実に存在していて、

それは必ず次世代へと受け継がれていく。

親から子へ、子から孫へ。

無限に続くリレーのように見えるけど、

一度その手でつかんだら、二度と離すことはない。

行先はただ一つ。

先の見えないけど愛が咲き乱れる

光り輝く、「未来への帰り道」なのだ。



[fin]

749 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 13:05:33 ID:???
以上です。

竜児と泰児の性格が被るため、若干苦労したけど
お楽しみいただけたでしょうか?

最後のほう収集がつかなくなって意味不明になってしまったのは
ここにいる皆だけの秘密ですwww

ちなみに次回作の話も現在構想中です。
まだ書いてすらいないから、投下するのはいつになるやら^;

その時はよろしくお願いします。では。

750 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 18:30:55 ID:???
あと、このSSを投下する場所について本家大河×竜児サイトの人に意見をもらったので、
できればどなたか報告お願いします。

規制に巻き込まれて自分で出来ない・・・

751 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 18:33:09 ID:???
間違えました。本家大河×竜児サイトの人ではなく本家大河×竜児スレの人たちでした。

752高須家の名無しさん:2012/02/26(日) 22:53:22 ID:???
シスコン泰児GJ!! そうか〜能登の娘か〜。たいへん楽しめました! 続き気長に待っております!

753 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/27(月) 13:19:01 ID:???
>>752
感想有難うございます。
ちなみに次回作というのはこのSSの続編というわけではなく単純に次に作ろうと思ってる作品
ということです。分かりにくい説明ですみません。

まとめる時に間違いがないように一応報告しときます。

754高須家の名無しさん:2012/03/10(土) 01:28:15 ID:???
長井龍雪監督は名前を変えるべきだ。長井キス雪が適切だと思う。

755高須家の名無しさん:2012/03/10(土) 01:37:10 ID:/x5bOlTw
いや、長井監督よりも生姜氏が田中キス賀を名乗るべきではないだろうか。

ちなみにあんなにメガネ率が高いのはなぜかを考えたとき
レンズ越しはうたかたの恋というのを表現するプランではないかと思ったw
とらドラ!が向き合って近いのに窓越しの遠さを描いたごとくに

756高須家の名無しさん:2012/03/11(日) 06:44:15 ID:qwGrnWEA
鋭い!鋭いよ!メガネにそこまで深読みするか。

俺は単に「イチャイチャ」じゃないよ!って言うためのガジェットだと思った。
「俺と先輩はイチャイチャしてないよ!俺達ウブだもん!」を暗示するための
カチャカチャ。

あと、ゴールデンタイム4読んだ。もう、読むのやめようと思っていたけど、
いきなりゆゆこ節全開でビビった。なにこの引き千切られるような痛み。
あらゆるものが不吉な暗喩。この悲痛さをセットアップするために3巻
使ったのかと改めて呆然。

757高須家の名無しさん:2012/03/11(日) 18:35:26 ID:???
>>756
5はもっときつそうな気がする。

758高須家の名無しさん:2012/03/14(水) 02:56:53 ID:???
カチャ♪を3話連続でやってるのはしつこいw
やはり赤とモジャはもうひと波乱というか、お姉ちゃんというワードに集約される
家族的な思慕からのグローイングアップなんだろうなあ

なんか他作品の事ばかり書いて申し訳ないが、哲郎と柑菜があり得たかもしれない竜虎のifに見えて仕方ないんですよ
竜児も大河も普通の家庭で育っていて隣同士の幼馴染だったら?というね
10話のみはらし庭のシーンでの引きちぎられ感はちょっと良かった

ちなみにイチカの髪型どっかで見たどっかで見たと思っていたのだがようやく思い出した
『おジャ魔女』のぽっぷだwww

759高須家の名無しさん:2012/03/15(木) 00:54:59 ID:???
そう言われると哲郎と柑菜を応援したくなるじゃないですかー
ボーイミーツガールでありながら幼馴染感もある竜虎たまらんなぁ

760高須家の名無しさん:2012/03/15(木) 20:59:30 ID:???
竜児は妹(的な存在)が欲しかった、というのは原因と結果が逆ではあるけど
存在の不安に抗うために自分が保護できる相手を必要としてたし
大河は大河で、竜児とは逆に保護される自己に幸福を覚えつつそれは嫌だというw
そういう背比べ感が個人的には幼馴染っぽく見えるんだよね

7巻まで実乃梨や亜美と三角関係に至らない理由がそれですんなり分かるし
本当の△はやっちゃん-竜児-大河だよねw

761高須家の名無しさん:2012/03/27(火) 21:49:31 ID:???
本スレ落ちてる……なんでだ?
前の時も、もっと勢いのないあーみんやみのりんスレは大丈夫なのに…

文芸キャラ板に引っ越すのはどうだろう

762高須家の名無しさん:2012/03/27(火) 21:58:48 ID:88ixfAUo
落ちてるねぇ……

763高須家の名無しさん:2012/03/27(火) 23:58:19 ID:???
圧縮基準はよくわからんが、ロムが多すぎるのは確かだよなあ…

764高須家の名無しさん:2012/03/28(水) 02:42:39 ID:???
文芸キャラ板、超過疎板だけど、頻繁に落ちるよりはマシかなと思う
アニキャラ板から移動してるラノベキャラスレも結構あるし
竜虎スレはなぜか圧縮に巻き込まれやすいのがな…今回は一日書き込みがなかったせい?と思うけども
意見待ち

765高須家の名無しさん:2012/03/28(水) 10:22:39 ID:???
真面目な話の最中にすまん。死ぬかと思った。
ttp://smallassassin.blog67.fc2.com/blog-entry-1488.html

766高須家の名無しさん:2012/03/28(水) 10:51:40 ID:???
ぜったい死なない覚悟で見てったのに水着でフイタ

>>761の意見に反対すべき理由が個人的には何もないので賛成だけど
ROMの人がスレ廃れたと思わないかな?ここは告知場所としてオフィシャルなの?

767高須家の名無しさん:2012/03/28(水) 19:39:22 ID:i80S0eLk
検索やまとめサイトで見たい人は気づくんじゃないかなと思うけど…レスが少ないからわからないね…
落ちたらやっぱり萎えるしなー
もうすぐ春アニメ開始の時期だからまた落ちそうだし

あと、テンプレは>>3の避難所誘導まででいいんじゃないかと思う。まとめwikiも消滅してるし
なあなあになってたスレタイ、どうしましょうか
竜児×大河派だが・・・

768高須家の名無しさん:2012/03/28(水) 22:49:03 ID:uaRAa5EM
過疎板でもいいじゃない
皆の妄想が集まるんなら────インコ

スレタイは任せます
よくわからんしw

769高須家の名無しさん:2012/03/29(木) 00:28:59 ID:???
というか文芸キャラ板ってローカルルール決まってないのな。総合スレはあるからカプスレもOKなんだろうか
検索しやすいように 【とらドラ!】高須竜児×逢坂大河 Vol28 にするとか?
おkなら立ててくるけど、もう少し待ったほうがいいかな
終了してる作品だし、まったり続けていければ幸せだな

770高須家の名無しさん:2012/03/29(木) 19:31:53 ID:???
立ちました
http://uni.2ch.net/test/read.cgi/litechara/1333016695/

771高須家の名無しさん:2012/03/29(木) 21:00:07 ID:???
「ふーん、今度は竜児が前なんだ。犬なのに」
「お前その話引っ張るのやめろよ」

アクセス規制食らった orz

772高須家の名無しさん:2012/03/29(木) 21:55:41 ID:???
>>770
乙です
高須竜児×逢坂大河・・・史上初の大河受けスレだあw
みwなwぎwっwてwきwたwww(すまん)

773高須家の名無しさん:2012/03/30(金) 00:03:13 ID:???
ニヤニヤしながらキッズステーションで24話視聴中

774まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY:2012/03/30(金) 00:18:18 ID:???
>>770
乙!
とりいそぎ、まとめサイトのTOPリンクの張替えと、過去ログの収納を行いました。

この避難所スレも容量が900K超えてるけども、新スレ立てたほうがいいのかしらん

775高須家の名無しさん:2012/04/01(日) 14:08:11 ID:???
スレ立て&まとめサイト更新乙です!
親スレに書こうとしたら規制中だったorz

『高須家のエイプリルフール・その1』

「……ねえ竜児」
「おう?」
「コレは、一体……何?」
「何って……見ての通りの鯖の煮つけだ」
「今日はとんかつだって言ってなかったっけ?」
「ああ、それは嘘だ」
「はぁ!?」
「ほら、今日はエイプリルフールじゃねえか」
「…………ああ、そうね。エイプリルフールじゃ仕方がないわね。許してあげる」
「おう、すまねえな。とんかつは明日」
「っていうのは嘘」
「……え?」

776高須家の名無しさん:2012/04/01(日) 14:11:06 ID:???
『高須家のエイプリルフール・その2』

「泰児、竜河……実はあんた達はうちの本当の子じゃないのよ」
「「んなわけないじゃん。見た目的に」」
 終了

777高須家の名無しさん:2012/04/02(月) 01:26:40 ID:???
>>774
いつもありがとうございます!

>>775-776
このあとはお仕置きという名のチュー地獄ですね!
二人とも冷静だww竜児と大河の遺伝受け継いだらそうなるよねw

なんか数日前に大規模規制があったみたいですね。
早く解除されるといいな…

778 ◆fDszcniTtk:2012/04/05(木) 23:43:22 ID:???
なんかちょっと違う気がしたので。こっちに。大規模規制も食らってるし。

タイトル:文化祭の夜に

779文化祭の夜に ◆fDszcniTtk:2012/04/05(木) 23:44:12 ID:???
「そんで、竜児。アイデアは浮かんだの?」
「つーか俺に振るなよ。お前が引き受けたんだろうが」
「何言ってるのかしら。あんたは私の犬なんだから私に仕えるのが当然でしょ。ほら、考えなさい」
「まったくよう。自分で考えつかないならやるなんて言うなよ」

小さな借家の狭いリビング。畳の上に置いたちゃぶ台をはさんで、竜児と大河がいつものようにいがみ合う。この小さな家ではおなじみの光景である。本人達は決して認めないだろうが、既にホームドラマとして成り立つほどのコメディっぷり。

第何話かすらわからないほど繰り返されているコメディだが、今夜の話はちょっと毛色が違っている。なんと文化祭の出し物のシナリオを大河が引き受けてきたのだ。その場にいた竜児は当然止めたが、竜児ごときの意見を聞く手乗りタイガー様ではない。
わ・た・し・が・や・る・の!と大声でクラス全員の前で竜児に噛みついて、で、帰ってきたら全部竜児に丸投げである。

「ったくよう。何が嬉しくてこんなもの引き受けるんだよ」
「嬉しくないわよ。仕方ないでしょ。夢に見たんだから」
「夢?…また予知夢かよ」
「まあね、独身が勝手なことしてプロレスにしたって所もあってたし、ロン毛虫が勝手なシナリオ作ってきたのもあたってた」
「お、おう」
「これは北村君に私の悪印象を与えないために必要な回避措置なの。ついでに毛虫のシナリオ見たら、恐ろしいことにそれも夢の通りだったわよ」
「どんな話だったんだ?」
「私が悪の魔王で、あんたが手先」
「手先って何だよ!」
「知らないわよ。とにかく、あんたの手先役も回避してやったんだから感謝しなさい。ほら、考えて」
「ったくよう」

ほら、考えてと言われてさっと話が出るほど竜児には文才はない。国語の成績がいつも飛び抜けていい能登あたりには、あるいは造作もないかも知れないが、竜児の国語の成績は他の教科と横並び。
そもそも成績はいいのだから国語も悪くないが、ちょっとテストに出ないあたりに実は落とし穴がある。創作だ。

竜児の創作能力がかなり残念なものであるのは、4月のラブレター騒ぎで光が当てられた詩集を読めばある程度想像が付く。

なのに、考えよ!と手乗りタイガーは仰せである。そこで、なるべく自分の智恵を絞らずに済む方向に誘導などしてみようと竜児は考える

780文化祭の夜に ◆fDszcniTtk:2012/04/05(木) 23:44:47 ID:???
「仕方ねぇなぁ。別に金取るんじゃないからみんながよく知ってる題材でいいんじゃないか?」
「たとえば?」
「童話なんかどうだ?劇にはぴったりだろ」
「童話?はっ、『童話なんかどうだ?』?だじゃれのつもり?」
「別にだじゃれじゃねぇよ。話しが単純だから演じやすいし、脚本に少々まずいところがあっても、見る奴は筋を知ってるから大丈夫だろ」
「ふん。確かにそうね。竜児にしては上出来だわ。で、どんなのにするの?」
「まぁ、みんなが知ってれば何でもいいだろう。『マッチ売りの少女』とか」
「暗っ。却下。他は?」
「『かちかち山』。楽しそうだろう」
「駄目。次」
「じゃぁ『花咲かじいさん』」
「あんた……それ全部誰かが死ぬ話じゃない。少し『死』から離れなさい」
「なんだよそれ!」

ぶーたれても駄目である。

「ほら、早く次」
「じゃぁ、『赤ずきん』。誰も死なねぇぞ」
「狼が死ぬわ。まぁ、いいか。竜児、次からは不吉な話は無しよ」
「はいはい」
「それで、話が決まったから後は脚本なんか無いも同然よね。で、配役は?あんた狼やる?」
「死にたくねぇよ」
「でも、目つきとかぴったり。ぷぷぷ」
「俺はやりたくねぇ」
「まぁ、つまらないクラスの出し物の練習で私に出す夕食の質が落ちるのも考え物よね。いいわ。竜児は勘弁してあげる。狼はロン毛虫にしましょう。私をネタにした変な脚本を作った罰よ」
「春田か。あまり迫力ねぇな」
「はぁ?あんた『赤ずきん』で迫力って何言ってるの?現代版にしてやくざ対幼稚園児でもやる気?」

ちょっとの失言で酷い言われようだが、この程度なら竜児はため息一つで流せるようになった。

781文化祭の夜に ◆fDszcniTtk:2012/04/05(木) 23:45:23 ID:???
「すみませんね。で、次はおばあちゃんか」
「これは鉄板ね。狼に食われるおばあさんは、ばかちーにしてあげるわ。ぷぷぷ。犬味のおばあさんだって」
「しらねぇぞ後でもめても」
「いいのよ。次、赤ずきんちゃんは?」
「ヒロインか。お前やるか?」
「はっ、私は自分で脚本書いて自分がヒロインやるほど堕ちてないわ。誰かさんじゃあるまいし。具体的にはばかちー」
「おい」
「あんた誰がいい?うちのクラスであと、見栄えがいいのは木原摩耶とか香椎奈々子あたりね。ちっ、うざい3人衆じゃない」
「お前……なぁ、可愛い方がいいんだろ?」
「そりゃそうよ。なにせ『赤ずきん』だもん」
「じゃ、じゃあよう。櫛…枝…とか、どうだ?」
「あんた何顔赤くしてるよ。鼻息まで荒いし。きもっ。まぁ、いいわ。みのりんを持ってきたのはなかなかのセンスね。あとは猟師か。誰でもいいわ。明日じゃんけんさせましょう」
「じゃぁこれで決まりだな。演目は『赤ずきん』。ヒロインは櫛枝。おばあさんは川嶋、狼は春田。猟師は誰か。終わりだ」
「まだよ」

せいせいした顔で笑った竜児を大河が制する。

「なんだよ」
「まったく原作通りじゃつまらないわ。少しいじりましょう」
「はぁ?いいじゃねぇか。どうするんだよ」
「そうね。あまりひねりすぎるのもどうかと思うから、そうだわ。赤ずきんちゃんは山羊って設定がいいわ」
「まぁ、童話ならありかもな」
「それから赤ずきんの友達もいるわね。これはみのりんの親友と言うことで私がやるわ」
「なんだよそれ。結局でたがりじゃねぇのか」
「あら違うわ。私は自分でシナリオを書いてヒロインをやるような図々しい女じゃないの。誰かさんじゃあるまいし。具体的にはばかちー」
「はいはい」

そういうわけで、山羊:櫛枝実乃梨。狼:春田浩次となるちょっと変わった童話のシナリオが完成した。二人とも知らぬ事であるが、その後突然現れる大河の父親による攪乱によって、山羊:逢坂大河、狼:春田浩次なる珍妙な取り合わせが実現することになる。
食う者と食われる者が逆のようでもある。

さて、山羊と狼の間に友情は芽生えるか

(違・う・だ・ろ)

782 ◆fDszcniTtk:2012/04/05(木) 23:48:38 ID:???
ここまで。

今ごろ気付いたんだが、春田役の吉野さんってボッスンなんだな。あと、「四畳半神話大系」の小津もか。
例の新アニメ、絵が気持ち悪いんだが「素直な釘宮」という、妙に貴重な声が聞ける。

783高須家の名無しさん:2012/04/07(土) 02:57:29 ID:???
乙です!
逆行ものかな?
前後の展開が気になる気になる〜。
クリスマスの『予知夢』を見ちゃったりしたらどうなるんだろう……


中の人といえば、「ブラック★ロックシューター」のカガリは見た目大河で中身あーみんだったねw

784高須家の名無しさん:2012/04/08(日) 22:21:12 ID:???
じょしらく、のキャラデザが田中将賀…だと?
原作のヤスさんが描くみのりんっぽいキャラが更にみのりんっぽくなるのか…胸厚

785 ◆fDszcniTtk:2012/04/09(月) 08:08:41 ID:???
>>783
ありがとう。中の人ネタとはいえ、「ifは書かない」とか言っていたことを
恥じておりまする。

>>784
防波亭手寅って、公式では防波堤とテトラポッドって事らしいけど、
手乗りタイガーだね。あと、食べても太らないとか。ちょうどこの漫画が
始まる頃、絶望先生の紙ブログで久米田がとらドラ!をネタにしていた。

786高須家の名無しさん:2012/04/17(火) 04:58:01 ID:???
うーん
男の子声のキタエリと黒いさくらが絡んでる
ここに男の(ry くぎゅが加わるとかどんな大橋高校文化祭なんだよ、という妄想
主人公の親友が北村に似てるし思ったより暮井さんに動きがあっていいな

前の期はリコランの弟か隣家のお兄ちゃんがマジーだったら美味しかった

787高須家の名無しさん:2012/04/17(火) 07:05:56 ID:KK2Lo9Mg
いつもイライラ、あなたの隣家に這いよる猛虎。

788高須家の名無しさん:2012/04/17(火) 14:57:04 ID:???
隣家どころか居間にまで這いよってますがなw

789高須家の名無しさん:2012/04/19(木) 07:34:17 ID:???
そーいやフェアリーテイルには大河とみのりんとあーみんとやっちゃんが居るんだよなw

790高須家の名無しさん:2012/04/19(木) 08:19:47 ID:???
どっかの書き込みのコピペが竜児が書いたとしか思えない件について


301 :名無しさん@お腹いっぱい。:2012/04/17(火) 14:15:07.21
>>300
照れてんだよ察してやれ

というかちょっと聞いてくれよお前ら
一昨日さぁ嫁さんを誘ったわけだよ、やりたいんだけど…と野暮な感じでなw
そしたら軽く膨れて「やりたいじゃなくて抱きたいって言ってみ」と言ってきたんで、
「○○(←嫁の名前)抱きたい」と素直に言ってみたわけだ
そしたら目の前にゆでだこが現れたよwwww
ちょおまwww自分から注文しといてwww乙女かww
まぁそういう俺もゆでだこだったんだけどな
盛大にもげたよw
新婚でもないのにもう何回もやってきてんのにお互い顔赤くしてドキドキしちゃってまーww
ハズカシス

791高須家の名無しさん:2012/04/19(木) 11:11:29 ID:???
デレたら負け、という価値観が根強いのに本心はデレデレ
まさに竜児!

792高須家の名無しさん:2012/04/20(金) 19:16:49 ID:???
竜虎変換余裕です
ゆでだこの二人かわいすぎんよー

793高須家の名無しさん:2012/04/24(火) 23:01:45 ID:ed.B406U
書きかけのファイルの中に「ギシ・アン」ってタイトルがあった。

794高須家の名無しさん:2012/04/26(木) 00:27:52 ID:???
早く完成させるべき

795 ◆Qk6jhPcJQg:2012/04/27(金) 22:06:23 ID:???
春のぱん○祭り参戦に遅刻してしまたorz

ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2909393.png

どなたか代理お願いいたします。
しかし今回規制長い・・・

796795 ◆Qk6jhPcJQg:2012/04/27(金) 22:08:12 ID:???
あれ?トリップ間違えた?

797795 ◆Qk6jhPcJQg:2012/04/27(金) 22:12:12 ID:???
何度もすいません。
2ちゃんとしたらばだとトリップが変わってしまうみたいですね・・・
私は◆mCyFSpkrFSwIです。

798高須家の名無しさん:2012/04/27(金) 23:26:31 ID:???
絵を見りゃ分かる
こんな竜児だけ得なのはけしからんから代理投稿しておいた

さ、晒しものなんだからね!

799795 ◆Qk6jhPcJQg:2012/04/27(金) 23:55:35 ID:???
代理ありがとうございます!

800高須家の名無しさん:2012/05/01(火) 19:12:02 ID:???
大橋駅裏のこじゃれた喫茶店にて

「そういやタイガー?」
「なに?」
「3話にしてやっと登場したらちゃーんと性別不明なお芝居してたじゃん」
「まぁね、そっちの方が実は得意。ばかちーはちょっと女っぽすぎるんじゃない?」
「仕方ないよ。そういうお仕事なんだからさー。でもあんたを誘って良かったわ」
「それにしてもアレね。むかつくわね」
「何が?」
「狩野姉妹の妹の方」
「プッ、それまんまじゃねーの」
「あんたカラまれ相手じゃん。なんか感想ないの?」
「ウザかわいい」
「あらま。そういうの嫌いなんだと思ってた」
「嫌いもなにも仕事だもん。それに嫌いだったらさぁ」
「なによ」
「あんたを別荘なんかに招待しねーわ」
「わっ、私がウザウザ……って?」
「うぜー、なまらうぜーwww。それよりあんたちゃんと台本とか原作読んでる?」
「よ、読んでる」
「先々絡むのマリ姉よ?緊張するでしょー」
「い……」
「い?」
「いあいあ!!」

801高須家の名無しさん:2012/05/04(金) 22:02:05 ID:???
いい感じの中性声だったな。そして今回もキタエリとは身長差コンビかwww

ところで実のところ声優ってあんまり話下欄のだけど、國府田マリ子って怖いの?

802高須家の名無しさん:2012/05/05(土) 02:44:40 ID:???
よく知らないw大河の中の人はべつだん緊張しないだろうと思うよ

リコーダーとランドセルのあつみお姉ちゃんが大河声に近いんだよなー
ちょっと落ち着いてて20代のって感じ
これで相方の弟がマジーだったらお宝音声になるとこだった

803 ◆Eby4Hm2ero:2012/05/15(火) 04:05:32 ID:???
ううう、また規制に巻き込まれた……

804Sweet Flavor ◆Eby4Hm2ero:2012/05/15(火) 04:06:18 ID:???
「おう?」
 不意に顔を上げ、鼻をひくつかせる竜児。微かに漂う甘い香りはどうやらすぐ隣からのもののようで。
「なあ大河、お前……」
「何ー?」
 そっけなく応える大河だが、その瞳は僅かに期待に輝いて。しかし、
「シュークリームでも食べたか?」
 続いた言葉に一瞬で失望に曇る。
「……そうよね、あんたはそういう奴だったわよね……」
「おう、何がだ?」
「何でも無いわよ。
 あのね、香水代わりにちょっとバニラエッセンスをつけてみたの」
「? 何でそんなこと?」
「おしゃれよ、おしゃれ」
「はー、女子の考えることはわからねえなあ……」
「竜児はこういうの、嫌い?」
「そんなことはねえっていうか、むしろ好きだけど……これ、バニラだけの匂いじゃねえよな?」
「え? 別に他には何もつけてないけど」
「いや、バニラとは違う匂いが確かに……」
 くんくんと匂いの元を捜す鼻先は、次第に大河の首元へ。
「ちょっと竜児! 近い、近いってば!」
 ぺろっ。
「ひゃぅっ!」
「……やっぱり甘くはねえな」
「あ、当たり前でしょ! 人間の体が甘い味するわけないじゃない!」
「お、おう、そうだよな。人間に甘い所、なんて……」
 ふと視線を上げれば、そこには小さくて柔らかな唇が。
 そして気づいたのは、竜児を惹きつけてやまないこの香りが、大河自身の――



「そうだばかちー、ありがとね」
「はぁ? 何よ突然」
「ほら、この間教えてくれたじゃない。バニラが昔は、その、び、媚薬として使われてたって」
「ああ、あの与太話……って、まさかホントに試したわけ?」
「……う、うん」
「で、ひょっとして上手くいっちゃった……とか?」
「…………ぇと、それは、その」

805高須家の名無しさん:2012/05/17(木) 22:32:32 ID:???
GJ

ほほう、大河の罠だったか。

806 ◆fDszcniTtk:2012/05/25(金) 07:55:21 ID:???
規制は解除されそうにないな。

だいぶ前から暖めてたアイデア投下「ギシ・アン」


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