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大河×竜児ラブラブ妄想スレ 避難所2

1まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY:2009/10/29(木) 01:36:02 ID:???
ここは とらドラ! の主人公、逢坂大河と高須竜児のカップリングについて様々な妄想をするスレの避難所です。
アクセス規制で本スレに書けない、とかスレに書けないような18禁のエロエロ話を投下したい時とかに
お使いください。
    / _         ヽ、
   /二 - ニ=-     ヽ`
  ′           、   ',
  ',     /`l  / , \_/ |
  ∧    〈 ∨ ∨ ヽ冫l∨
    ',   /`|  u     ヽ
    ', /          /
    /  ̄\   、 -= /                   __
  / ̄\  `ヽ、≧ー                    _  /. : : .`ヽ、
 /__ `ヽ、_  /  、〈 、           /.:冫 ̄`'⌒ヽ `ヽ、 / 〉ヘ
/ ==',∧     ̄ ∧ 、\〉∨|         /.: : :′. : : : : : : : . 「∨ / / ヘ
     ',∧       | >  /│        /: :∧! : : : :∧ : : : : | ヽ ' ∠
      ',∧      |、 \   〉 、_       (: :/ ,ニ、: : :ィ ,ニ=、 : : 〉  ,.イ´
      ',∧      |′   ∨ ///> 、  Ⅵ: '仆〉\| '仆リヽ:|\_|: :|
      / /     |     └<//////> 、 八!`´、'_,、 `´イ. :|////7: !
    /_/       |、       ` </////>、\ ヽ丿  /. : :|//// : .丶
    ,'          |′         ` <//∧ : > </.: : :////〉: : : . ヽ
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本スレ
【とらドラ!】大河×竜児【アマアマ妄想】Vol17
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1255435399/

562123 ◆n0CyHpL66I:2011/05/10(火) 00:49:40 ID:???
「おい、能登っち。動きがあったぞ」
「春田…盗聴してたのかよ…」
「えーだって気になるじゃん、高っちゃんと大河の様子」
「気になるけど流石にそれは…」
「いや、だって高っちゃんが大河になにかされたらすぐ助けないとヤバいじゃん?」



「ねえ春田見てよ。アイツ必死に壁に耳つけて何やってんだろ」
「さあ?でもさっきからずっとそうしてるね」
「高須君と大河ちゃんの熱〜い夜を観戦したいんじゃないの」
「能登もかなり引いてるよ」
「まあそりゃ誰でも引くよね」
「でも二人とも仲良くてうらやましいね」

563123 ◆n0CyHpL66I:2011/05/10(火) 00:59:53 ID:???
「竜児、早く脱がしてよ。パ・ン・ツ・も」
「おっおう…」
「ねえ竜児…目、逸らさないで。ちゃんと私を見て」
「…」
「アンタのその鋭い目つきは変わらないのね」
「…なんだよそれ。褒めてんのかバカにしてるのか」
「褒めてるのよ、その目で見られると私…」
「お前のその平らな胸も変わらねーよな」
「そう思うなら揉んで…大きくしてよ」
「おう…こんな感じで良いのか?」
「んっ…気持ちいいわ。ねえ、舐めたりしてくれないの?」
「そうだな、舐めるだけじゃなくて吸ってやるよ」
「あんっ、うふふ。竜児、赤ちゃんみたい」
「かっ、からかうなよ」
「だって〜夢中で吸ってるんだもん」

564123 ◆n0CyHpL66I:2011/05/10(火) 01:00:23 ID:???
「なあもう良いか?」
「何?あんたのも弄って欲しいの?」
「ああ、そろそろ頼むよ」
「何これもうカチカチじゃない、私の触ってたら興奮しちゃった?」
「…そうだよ。そういうお前もすごい洪水になってるじゃねえか」
「うるさい、エロいにゅ。もういつでも準備OK、挿れられるって事よ。」
「い…挿れてもいいか?」
「アンタがそうしたいなら別に良いわよ」
「んじゃやっぱやめた」
「…なによ…我慢しなくて良いって言ってるのに」
「我慢してるのはお前もだろ?」
「私は別に…その…でもここまでやってるからには最後までやらないと不完全燃焼っていうかその」
「何だよどうしたいんだよ」
「な…なに上から目線になってるのよ。は早く挿れたいなら挿れなさいよ」
「早く挿れてほしいのお前だろ?さっきよりも顔も赤いし下も濡れてるぞ」
「うるさい。もう良い、私が上で動くわ。竜児、早く仰向けになりなさい」
「おうっ、いきなり速すぎる。もう少しゆっくり」
「んあっ…何よ、私から挿れてやったんだから私が決めるわ」
「待て、大河。本当にもう少しゆっくり…だめだ、イク!!」



「出し過ぎよ竜児、それでもう終わりとか言わないでしょうね」
「ちょっと休憩、もう少し待ってくれ」
「うるさい、私はまだイってないのよ早く勃たせなさいよ」
「ちょっと…無理やりやめろって」
「分かったわ…じゃあ手でいいわ…手でしてよ」
「さっきのお返しだ、高速でいくぞ」
「んっああああダメッもうイク、んあああああああ」

565123 ◆n0CyHpL66I:2011/05/10(火) 01:01:21 ID:???
「タイガーの悲鳴が…ついに手乗りタイガーを仕留めたのか高っちゃん!」
「逢坂さん、やっぱりこんな感じで毎日ヤってるんじゃないのかな」
「俺、高っちゃんの所行ってくる。能登っちも行こうぜ、タイガー討伐を祝して乾杯!とか」
「いや、行かねーから。」
「じゃ俺一人で行ってくるよ」
「おい、行くなって。気まずいぞ…ああ行っちまった…」

「おーい高っちゃーん」
「あれ?鍵開いてんじゃん」
「おわっ春田、おまえ何いきなり入ってきてんだよ」
「Let's記念写真だぜ」パシャ「…あれ?二人とも裸?」
「ちょっと…写メるなこの変態アホロン毛!後で覚えてろ」
「うわー助けてー」




「なんか大河と高っちゃんが裸だったよ見てよこの写メ」
「春田…お前、そういう趣味があったのか」
「春田君さすがにそれはまずいんじゃないかと…」
「え?あ、あれ?高っちゃんしか写ってない!
いや俺は別に男の裸に興味とかそんなのは…」
「高須くんの黒いわか…め…」バタッ

566123 ◆n0CyHpL66I:2011/05/10(火) 01:02:29 ID:???
「ねえ竜児」
「なんだ?」
「さっきは一緒にイけなかったじゃない?だからさ、後で続きしよっ」
「おう」

翌朝二人は朝食の席に顔を出さなかった
「お二人さん、どうしちゃったんだろね?」
「昨日の疲れが溜まってるんじゃない?」

二人は昼過ぎまで裸で絡まりあったまま眠っていた


-END-

567高須家の名無しさん:2011/05/10(火) 02:40:40 ID:???


568高須家の名無しさん:2011/05/10(火) 22:25:34 ID:???
乙!
春田……無茶しやがって……(AA略

569高須家の名無しさん:2011/05/10(火) 22:49:44 ID:???
お互いイクの早すぎだろwww
だから高速回転なんですね、分かります

570とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero:2011/05/20(金) 06:10:41 ID:???
お題 「荷物」「声」「力いっぱい」



「……ねえ竜児、話があるの」
 いつもなら夕食後はお茶を飲みながらのまったりタイム。
 だが今日の大河はなぜか神妙な表情で。
「おう、何だ?」
「あのね、私……夏休みになったらアメリカに行くから」
「おう? ……ひょっとして、最近時々狩野の兄貴からエアメールが来てたのはそれでか?」
「うん」
「海外となると、一泊二日ってことはねえよな……三日か? 四日か?」
「……短くても一ヶ月、以上」
「何!? なんだよそりゃ?」
「竜児、私が通訳目指してるのは知ってるでしょ」
「おう」
「通訳や翻訳ってのはね、単に言葉を変換すればいいってもんじゃないのよ。そこに込められたニュアンスとか意味をきちんと理解して伝えなきゃいけないの。
 そのためには、やっぱりある程度生の英語に触れた経験が無いと……」
「そりゃわかるけどさ、そんな渡米までする必要があるのか?」
「竜児が言ったんでしょ、虎と竜は並び立つんだって」
「おう。だけどそれがどう関係するんだよ?」
「いくら将来竜児のお嫁さんになるのが決まってるっていってもね、通訳って仕事をそれまでの腰掛けにしたくはないのよ。
 竜児のお荷物とかおんぶに抱っこじゃなくて、ちゃんと自分の足で立って、胸を張って結婚したいの、私は」
「金はどうするんだ? いくらなんでも海外で一ヶ月暮らす程の蓄えはねえぞ」
「狩野すみれのツテでね、住む所と短期のアルバイトを紹介してもらえることになってる」
「……わかった。だけど一つ聞かせてくれ。どうしてこんな大事なことを今まで相談してくれなかったんだ?」
「それは、その……もし竜児に反対されたり、引き止められたりしたら……決心が鈍っちゃいそうだったから……」
「……あのなあ、どんなものであれ、大河がきちんと考えて決めた事に俺が反対するわけがねえだろ。力いっぱい応援するに決まってるじゃねえか」
「うん、そうよね……ごめんなさい」
「さて、そうすると急いでパスポートを用意しねえとな」
「いや、それはもう……」
「大河のじゃねえ、俺のだ」
「ふぇ?」
「……何頓狂な声あげてやがる」
「だって……行くの私なのよ? なんで竜児のパスポート?」
「そりゃ、俺も行くからに決まってるじゃねえか」
「えええ!?」
「本場で英語修業ってのはいいアイデアだよな。俺も将来必要になる可能性は高いし」
「ちょ、ちょっと待って!」
「何だよ、一緒に行くのが嫌か?」
「そんなわけないじゃない! だけど、それこそお金とか……」
「おう、そうだな。兄貴に二人分の働き口を頼むのもなんだし、俺は北村にどっか良い所がねえか聞いてみるか」
「竜児、本気!?」
「おう。なあ大河、俺はこうも言ったよな、『ずっと一緒だ』って」

571 ◆Eby4Hm2ero:2011/05/20(金) 06:14:33 ID:???
規制中なのでこちらで。
よかったら転載お願いします。

大学二年の頃のお話。
大河が通訳を目指しているというのは、「シンデレラなんかになりたくない」から頂きました。

572まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY:2011/05/20(金) 23:20:07 ID:???
あなるのかわいさに、こかんがあつくなるな…

573高須家の名無しさん:2011/05/21(土) 01:27:13 ID:???
俺はつるこ(幼少)が可愛いってスレを見てしまって・・・。

574高須家の名無しさん:2011/05/21(土) 01:28:42 ID:???
スレじゃなかったこの画像がああぁぁぁ!
ttp://blog-imgs-44-origin.fc2.com/o/t/a/otajyuu/s-24_1_20110516104007.jpg

575123 ◆n0CyHpL66I:2011/05/21(土) 01:50:11 ID:???
ttp://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira001322.png
ttp://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira001323.png

576 ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:07:57 ID:???
新作投稿します。いままでになくエロなのでここに帰って参りました。

タイトル:お姉ちゃんにまかせろ!

内容:ガチエロコメですので少々詳しく内容を記します。趣味に合わないと思われる場合はご
注意ください。生理中えっちで、本番はしませんが、フェラ、ごっくん、手コキ、レイプ妄想、
オナ告白がメニューとなります。また、竜虎ともどもかなりのエロ惚け状態に見えるかと思わ
れます。キャラクター改変は最小限に留めたつもりでおりますがそこは読まれた方にご判断い
ただきたく思います。あ、あとオチもしょうもないです。手乗りタイガーは伊達じゃないです。
……なんだかこれじゃ面白くなさそうに聞こえますが。47KB

↓宜しくお願いします

577お姉ちゃんにまかせろ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:12:00 ID:???

【これまでのあらすじ】親元で一年を過ごし進学した逢坂大河は大橋の町に帰ってきた。高須
家から徒歩3分のワンルームマンションで独り暮らし。ぶじ嫁入りのその日まで!などと大げ
さな話は置いといて瑣末事を綴ったエロコメディ(要するにアニメ版アフターです)

 高校を卒業して、別々に進学した竜児と大河は結婚という遠大な目標に向けて鋭意努力をし
始めていた。他人であったふたりが奇しくも出逢い、惹かれあって、ずっといっしょに居たい
と願った以上、そしてふたりが同性でなかった以上は、当然の帰結と言えた。
 19歳になった逢坂大河と、もうすぐ19歳になる高須竜児は、めでたく恋人以上夫婦未満
といった関係になっている。
しかし、やることはとっくに済ませていても、いまだ親がかりなふたり。
 やはり毎日エロエロアマアマに惚けてるわけにもいかない。そういう甘美な数日間がたまに
はあっても、社会に巣立って、いつかは自分たちだけの家庭を持つための準備を怠るわけには
いかないのだ。したがって、のべつまくなしにイチャついていないで学生の本分を全うしろ!
という自律的な制約を、どちらからともなく課している。
 それは“したくなっちゃうようなエロい行為を平日は自重する”ということ。

 とある日曜日。
 さんざんおためごかしを書いておきながら、日々のつとめをこなしたら制約を解放してもよ
いとふたりが暗黙に決めている休日がやってきて、この話は始まる。


「りゅうじおっはよーーーぉぅっっ!」

 ばあん!と扉が破壊されるような勢いで開けられた。“元手乗りタイガー”逢坂大河が機嫌
よく高須家を訪問した合図だった。
 朝7時。
 かつての大河なら、休日は昼前になってからようやくメシを求めて顔も洗わず寝癖だらけの
ロングヘアをほやほやとぶら下げヨダレを垂らしながら半笑い(愛想のつもり)で訪れていたも
のだが、高校を卒業した今となっては違う。
 淡くけぶって腰まで届く薄い茶髪をきっちりおさげに編み込み、目覚めもさわやか、うっす
らと年齢相応のナチュラルメイクまで済ませて、満面の笑みは開きかけた薔薇のよう。扉を壊
すような粗忽ぶりだけは変わらないものの、竜児の彼女であり且つ婚約者である自覚を十分に
纏っていた。
 左手には先だっての誕生日に贈られたペアリングも光っている。
 基本は美しく貧乳で可愛い女。そして態度は現在もそれに見合ってはいない。

「おう大河、お早う!……もうちょっと静かに開けろよ。泰子起きちまうだろ」
「あ、ああごめん。つい。なんかつい。……もうっ!」

 エプロン姿で手を拭き拭き出迎える竜児に、靴を脱ぎ散らかして駈け込んだ大河は思い切り
のタックルを決めた。あ、まあ抱きついた、ということだ。小柄で軽い大河の激突を受け止め
きれないほど竜児も非力ではなく、しっかりと抱きとめてしばしの一体感を味わう。

 身長差が30センチ以上あるカップルらしく、大河は竜児の鳩尾に顔を埋めて、胴周りに腕
を回し込んで抱きつく。竜児は大河の頭から肩を上から包み込む。
 ふわっと立ち上るなんかの花の香りもして、コロンかトワレを仕込んでいるらしい。以前は
甘いバニラの香りだったから、なんだかずいぶん洒落っけが増したな、と竜児は思う。
 そうして少したったら、最近ふたりで開発した体位(「体位って言うな!」逢坂大河:談)
に移るのがこのところのお約束だった。

 それは、大河を立たせたまま竜児が膝立ちになる。というもの。
 そうすると、竜児の目線は大河の顎の下あたりに来ていつもと真逆、見上げる竜児を大河が
見下ろす。見下ろしながら目をふにゃぁ〜っと糸のように細めて、竜児の頭を抱きかかえたり、
でこちゅーやら瞼ちゅーやら普段はできない愛情表現を、この際は存分に楽しんでいる。

 嫌なら蹴るか殴るか爆発するか頭突きするか逃げるかなにかするだろう、思いついたらやっ
てみる。互いにウケたら次からお約束。という名称未設定メソッドによって、ふたりの愛情表
現は日々新規に開発され続けていた。つまり、これがバカポークォリティというもの。

578お姉ちゃんにまかせろ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:15:10 ID:???
 もっとも、竜児にとってのこれは、大河に一方的なサービスをしているばかりでもなかった
らしい。

 この体勢になれば彼女の華奢な背中にごく自然に腕を回すことができた。スレンダーであっ
てもきっちりと筋肉の付いたかたちの美しい背中や脇腹の、とくに締まって魅力的なくびれの
辺りを触りまくれる、という。どうひいき目に見たところでエロい目的があったのはまあ間違
いなかろう。なにしろ胸に頬を埋められる位置でもあるし、ちょっと手を下げればきゅっと小
ぶりな尻や意外なボリューム感をもつ太ももを撫でられるわけで。
 その辺はお互いに分かってはいてもギブ&テイク。多少相手がはぁはぁしようと誰かに見せ
るわけでもなければ、何か困るわけでもない。ということで、竜児はおあずけ解禁の今日、日
曜日の朝。遠慮会釈なく大河の背中を撫でまわしていた。

 ――あれ?無え?

 小っこくて貧乳なのは事実であっても、それがどうした。俺はこいつのエロくて可愛いとこ
ろをたくさん知ってるぞ。誰にも教えてやらんがな。――と思っているかどうかは竜児本人し
か知らないことだが、まあ、鼻の穴の広がり具合を見れば当たらずとも遠からじ。
 親愛の情から劣情へといきなりスイッチが切り替わり、ぶくぶく別府温泉のように湧き出し
ているのも想像に難くない。その途中で竜児の手が止まっている。

 ――ねえよな?やっぱり。

 ないのだった。手触りが。ブラの。

 近頃すっかりラフな格好が板に着いた大河は、今日もジーンズ姿であった。
 いま着ている、竜児と出かけたときお揃いで買ってきたプリントTシャツは、一番小さいサ
イズなのにぶかぶか。結局は身体の線など出ない可愛いばかりな格好で、アンダーに何を着て
いてもバレようもないのだが、きっちりハグしてしまえばそれはちゃんと分かる。

 その、ニコライ・A・バイコフが旧満州の森の主たる、とあるシベリアンタイガーの一代記
を書いた『偉大なる王(ワン)』の主人公を模したと思われる、額に「王」の字の紋様を描かれ
た虎のイラストをプリントしたTシャツは、竜児が冗談半分に買ってやったら、大河が意外に
もネタと思わずに気に入って着ているものだ。
 お返しとばかりに大河は某ジャンプの人気漫画に出てくる神龍のTシャツを贈ってくれたの
だが、まあそんな過日のエピソードはどうでもよく、どこがお揃いなのかも本人たちが納得し
ていればいいこと。
 ともかく竜児は迫力満点の虎の顔に頬ずりしながら元虎と呼ばれた女の背中を撫でまわして
いるうちに、無い、と気づいたのだ。

 ノーブラなのだろうか?と凶眼を眇めてつらつら考える。
 そう言えば最近女子の間では流行っていると聞く。アンケートをとると27%がどこまでも
ノーブラで外出するよと答えるとか。そのぐらいの情報なら竜児といえども知っている。とい
うか大河が彼女になってから妙に気にするようになった。27%の大半がAAカップ&Aカッ
プの女性であるという細かいところまで。
 しかしそのアンケートは大手下着メーカーが行ったもので、対象は25〜54歳の女性に対
してのものだったはずだ。19歳は違うんじゃねえか?と思う。
 形くずれたりとか、心配しないのか?
 
 とかなんとか考えていたら、頭上で、ふふん?と笑う声がする。
 エロりゅうじ、ノーブラだと思ったでしょ?相変わらず朝っぱらからあんたの性欲にはほん
っと頭が下がるわねー。ま?

「はぁはぁされると嬉しくなっちゃう私がどうこう言えることではないけど?」
「……俺はそんなのより。……その、形くずれちゃったりしねえかな?って」

 な?心配してただけだよ。……すまん嘘。やっぱり興奮した。お前の色仕掛けにまんまと乗
せられちまった。くそう、こんなに無い乳に!と、ふにょんとした膨らみにぎゅーっと顔を押
し付ける。

579お姉ちゃんにまかせろ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:17:23 ID:???
 あれ?「ふにょん」?
 これっていつもよりワンサイズ大きくねえ?どうせなにか盛ってるだけなんだろうけど、そ
れにしてもどういうことよ?気になる。気になるじゃねえかあーっ。
 その竜児の頭を抱え込みながら、ある意味で酷い罵倒をやり過ごした大河は、あ、あんたも
なかなか口車が巧くなったもんだわ、持ち上げて、落として、態度で締めるなんてと、まった
く意に介さず。

「まあ、正解はヌーブラ」
「ノーブラでなく、ヌーブラか?」

 そうそう、と身体を離して腰を屈めた大河が、ぶかぶか虎Tシャツの襟口を押し下げて見せ
た。隙間から臍まで見通せてしまった中に、確かにベージュ色に張り付いてる。努力のすえに
作られたわずかな谷間も見えた。

「ほうほう……盛ったもんだ」
「ワキ肉とかあったらもっと盛れるらしいけどね。いまはこれが精一杯」

 というわけでね。どうよ!?腰に手を当てて、傲岸にフンッと胸を反らせてみる、お馴染み
のポーズ。確かにプリントされた虎のほっぺたがふにょんと盛りあがってはいた。いたけれど
も、その態度が男のエロ心を刺激するかと言えば、そんなことは欠片もない。
 とは言え、そこは好きな女がやってること。大河が竜児のなんかのスイッチを、ポチっと押
したのも、また間違いはなかった。


「……」
「……」
「……おかわりは?」
「……ちょうだい。ていうか、そんなに見て。いい?」
「え?……お、おう。まあ」

 ふたり差し向かいで朝ご飯の午前8時。日曜日というのは近所の生活音も穏やかで、静まり
返って、天気もよく風もないとくれば、住宅街はほんとうに静かなものだ。
 そんな中で鋭い目の周りをぐるりと朱に染めて、ちらちらと彼女の胸元に視線を投げる竜児
の気、というかオーラ、もしくは期待感、のようなものが大河にも伝染して、爽やかに春から
初夏へと移りゆく気候に似つかわしくない若干しけった空気を醸し出している。

 上目遣いに凶眼を眇めて、描かれた虎を睨みつけては赤くなる彼氏というのも何に興奮して
るのか傍から見たら分からないよね……と思いながら大河が話しかける。

「私、一日空いてるけどどっか行く用事ある?付き合うよ」
「おう……俺も空いてるが。とくに用事は……ねえな」
「じゃ、さ」

 お休みの日とはいえ、やっぱり高須家では昼間っからイイコトはできない。竜児の母、泰子
にもふたりが既にそういう関係であると知られてはいたが、在宅中に事に及べるかとなるとさ
すがにそれはなかった。羞恥心という以前にそんなことで気を使わせたくはない。
 かといって泰子が出勤する夜から深夜にかけてというのも、翌日へ残す影響を考えたらでき
れば避けたい。諸々の状況に適応したら自然と、昼間、大河の部屋で、となる。

 当然ながら、きちんとした性格の竜児もそういうつもりでいるからこそ朝っぱらから劣情を
隠さないわけで、あんまり焦らすの可哀想。私も焦らすの得意じゃないし。

「午前中に家事すませたらさ、私の部屋でえっちしよ?」

 ……したくなかったらしなくてもいいけどいっしょに居て?と大河は大きな鳶色の瞳をくり
くり光らせてねだる。お、おう。なんだか悪びれずに積極的だなと思いながらも、その誘いに
逆らうつもりもない竜児。盛ったらサカった、という分かりやすい構図。

 かくして、昼過ぎには飲み物やお菓子などを買いこみ、ふたりはいそいそと大河の部屋があ
るワンルームマンションへと向かったのであった。

580お姉ちゃんにまかせろ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:19:29 ID:???

「で、来させちゃってからで悪いんだけど……ね?」
「ん?どうした?」
「実はさ、昨日……来ちゃったのよ。いま二日目」
「おう、そうか。じゃあ今日は無理だな」

 いいさ、気にすんな。どのみちいっしょに居るつもりだから。ベッドわきのラグに寄り添っ
て座り、優しい目をして笑いかける。

 気分を盛り上げられた後にだめを食らってこの切り替え、というか聞きわけのよさ。お年頃
男子としてはがっかりしているのもまた事実なのに、これが竜児という男。
 腹いたくねえ?さすっててやるぜ?などと気も遣う。
 大河としてはこんな反応が予想通りではあっても、思いやりを向けられるとじんわり嬉しく
なってきて、ふひ、と頬が緩んでしまう。
 けど。

「大丈夫、そんなに重くない。それに、無理ってこともないんじゃない?」
「なに言ってる。俺だってそういう事ちゃんと調べてあんだから」

 生理中は傷つきやすいし感染症にもかかり易い、と指折り数えて教え諭す竜児に、ここで少
しでも辛そうな顔を見せでもしたら、そのまんま抱きあげられてベッドに寝かされそうだった。
 それも悪くはないけど、今日考えているのは別のこと。

「うん。汚れちゃうだろうし。竜児はそういうの気にするかな?するよね?」
「そういうことじゃなくてだな」
「私の体調を気づかってくれてるのも分かってる。そうじゃなくてさ?」

 やれるえっちが他にもね?たっくさんあると思うのよ。出来ないことは出来ないでいいから、
それはそれとして竜児をきもちよくしてあげる。気が向いたら私にもして?っていうのがね?
本日のシェフのおすすめランチっていうわけよ。
 いかがっすか?と寄りかかった肩と頭を受け止められて、耳元にちゅっとされる。キス魔の
竜児はすっかり平日モードになってて、このまんま午後いっぱいを過ごしてもお互いになにも
不満はない。けれどね?

「なんでお前が一方的にサービスするんだ?いいよ別にこうしていれば」
「だって……だってさー」

 ちょっとネタっぽくお気軽尻軽に言ったのはマズかったのかな?竜児は人並みにエッチでは
あっても人一倍繊細だからね。
 ま、小細工はやめて正直に言ってみよ。
 りゅうじ私が引っ越してきてから、その、ひとりえっちって……してないでしょ?そのぐら
い分かるもん。ほんとは週一回じゃなくてもっとしたいよね?お年頃だもんね。

「だから私もおつとめ頑張るから……って言い方じゃ竜児も呑めないか。そうねえ?」
「そんなの結局は同じことだろ?俺はほんとに……」
「そう……お姉ちゃんの言うこと聞けない?」

 きょとん、としてから。うわその話まだ続いていたのかよ?と竜児が笑いだした。
 竜児は私より誕生日がひと月遅い。先に19歳になった私は竜児のお姉ちゃん、という口実
でこのところじゃれついているのがふたりのブーム。竜児も私に手を引っ張られるのは少なか
らず楽しいらしくて、お姉ちゃん振りをするとけっこう乗ってくれる。
 分かった分かった、と可笑しそうに提案を受け入れてくれた。

「その代わり、よーーっく見てるからな。具合悪そうだったら即、打ち切りな」
「だーから別に体調は悪くないって。ちゃんとふたりでイイコト探そう?」

 おう。と声が弾んでるのが分かる。そうでしょ?いろいろ考えてたでしょ竜児も。お休みの
日が来たらあんなことやこんなことしたいって。

「ま、お姉ちゃんにまかせろ!いかせまくってやるから」
「あほか。いつもよりスローペースでいいんだよ。つか下品だろっ」
「下品で悪いかこのエロ犬野郎!とっとと独りでシャワー浴びて来いっ」
「いっしょに……は、そか、無理だよな」

「私は今朝きっちり済ましておいたから抜かりなし。ちゃんとキレイにしておいで♪」

581お姉ちゃんにまかせろ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:21:59 ID:???

 シャワーを済ました竜児が所謂パンイチで出てきて、お?と感嘆の声をあげる。大河が肩丸
出しのチューブトップとハーフパンツに着替えていたから。
 ぶかぶかTシャツから身体にぴったりの薄いニットに変わって、ヌーブラ盛りの胸が強調さ
れている。髪は星柄のシュシュで止められてツインテールに上げていた。
 どこがお姉ちゃんだ、むしろ妹っぽさ全開じゃねえの?と竜児は思ったが。

「姉ちゃん夏っぽいな。いい感じだな」
「あんたの好きそうな感じにしてみた。……好きそうにしたら燃えないかな?」
「そんなことはねえ。寒くないか?」
「ん。大丈夫」

 実際、午前中に差しこんでいた日射しで部屋は少し暑いくらいでもある。

 どうやって竜児をきもちよくさせようか?っていうのは普段からいろいろ考えてる。考えた
ことの大半は空回りだったり、竜児の気持ちより私がしたいだけだったりするのもよく知って
る。だから綿密に計画したりしない。竜児をよく見て、よく感じて寄り添いたい。

 竜児をベッドに座らせて髪を乾かしてあげる。ドライヤーをわざと逆手に持って風を自分た
ちの方に向ける不自然な体勢でね。だってこうするとぴったりくっ付いたりもできる。隙を盗
んでむちゅっとキスしたりして。どうかな?こういうの?
 暑苦しいなあとか苦笑してた竜児がなんか黙っちゃった。
 と思ったら、お?背中にすーっと手を回してきたよ?やった!?やる気でた?

「ちょっとー。じゃまでしょー?もう、ステイもできないの?」
「……だ、だってよ。お前が」
「な、なによ?私のせい?」
「その格好……年下っぽいし、盛ってるし……おれだって……」

「んん?そうなんだ?なんか来た?来ちゃったっ?」
「だぁーーっ、もう、なんだよ!?な、なんかお前らしくねえっ!」
「あ、あれ?……あれれ?」

 あら遺憾な。いきなり空回り?竜児カオ覆って屈みこんじゃったよ。恥ずかしかったのかな?

「ねー」
「……」
「ねーごめんー。恥ずかしかった?」
「……そうじゃねえ」

「もしかして、お姉ちゃん振りムカついてた?」
「ちげえって。……すごく、その。したくなって」
「してもいいよ?気持ち悪くなければだけど」
「それはぜってーやらない。でも、したいって思うと……な?」

「うんうん。男子のおしべと女子のめしべが引きあうんだよねー?アンビバレンツだ?」
「……」

 ていうか、この格好って『らしくない』かな?自分ではけっこー似合ってるかもって、いま
までの経緯からしてもあんたも好きそうだなって思ったんだけど。

「……その態度だよ。甘えるんでなく脅かすんでなく、まるで同い年の女みたいで」
「なに言ってんの?同い年の女だよ。休みの日にあんたとえっちしたい婚約までした彼女だよ」
「なんだか妙な抵抗感があんだよ」

 なんで腰が引けてんのかいまいちよく分からない。でもまあ、私の小細工なんて巧くいった
ためしはないし、嫌ではないだろうから、手を引っ張るだけよね。

「心配いらないよ竜児。ふつーに抱き合ってふつーにイイコトしよう。ね?」

582お姉ちゃんにまかせろ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:23:53 ID:???
 竜児ががまんできなくなったら、お、おお、おふぇ、おふぇんす……は攻撃。あ、まあ攻撃
なのは確かだわ。おふぇ……、ああもう!ここにブサ鳥がいればちゃんと「ら!」って受けて
くれるだろうにっ!
 はぁっ?と大口開けて驚く竜児に向かって、パッカーっとこっちも大口開けてからすぼめて
みると。うわ!色白でもないくせに胸元から真っ赤になってくわ!そ、そんなに恥ずかしかっ
た?ああ、また引きこもっちゃったよ?

「下品……。てかそんなのやらせたくねえ」

 あら。また空回りしちゃった。これもヤなんだ?……ほんとに?

「……そか。ねえりゅーじぃ。私が下品だったりエッチだったりするのは、いや?」
「え?」
「そんなにいやならやめるけど。……せっかくのお休みだしね。楽しく過ごさないと」
「お……おい?そんなことは」

 やがて竜児は、言い難いことをちゃんと言葉にして私に告げる。お前が下品なのは置いとい
ても、エッチなのは……その、全然嫌いじゃねえ。いや……好きだ。しかも俺、けっこう好き
みたいだよ。つまり、驚いてるんだよ。
 うん。恥ずかしいのに言ってくれてありがとね。私もちゃんと目を見て答えた。

 じゃあ分かったから、と。座っていた竜児を押して仰向けに寝かせて。その上に寝転がって
みるとお腹に固いものが当たって、押しつぶさないようにちょっと腰を浮かせる。
 案ずるより生むが易しってことよ。慣れよ、慣れ。ほうら、嫌がんない。

「ふふふ。そか。いつも竜児が上になってる時はこんな気分なんだね?」
「わかるか?……ちょっと違うんじゃねえの?」
「ちょっとの違いなんかいいじゃない。私は今日初めて知ったよ?」

 ちゅ……ちゅ……ちゅ……と。竜児の広い胸を吸う。きもちいい?と聞くと、くすぐってえ
と答える。少しずり上がって、顔にも、口にも吸いつく。
 別に私がしたがるから合わせてくれてるんじゃないよね?身体だけじゃなく気持ちでもこう
したいって思ってくれてるよね。

 ぎゅう、と抱きしめられるから分かる。これは、したい、という男の子の意思。目の前にい
る、したい女の子を逃したくなくて、こうしてきつく抱きしめてると分かる。
 したい男の子は、竜児。したいと思われてる囚われた女の子は、わたし。この息苦しさはそ
の証拠。女の子もされたい、と思っているし、したい、とも思ってる。
 今はこの拘束から逃れるのなんて、いやなら身を引き離すのなんて、簡単。でも下から上に
場所を変えただけで見えなかったものが見えてくる驚き。それが私を離さない。
 いつも上から来るのは、彼がやっぱり男の子だから。どんなに優しくてもね。

 逃がさないよう抱きしめていた竜児の手がするっと差しこまれて背中を直に触られた。薄い
チューブトップを少しずつ、くるくるめくり上げられていってお腹とお腹がぺったり触れる。
私は半身を浮かせて脱がせやすく協力してあげる。

「ヌーブラは剥がしちゃうともう一回着けられないからね?いちおう警告」
「そうなのか?……じゃ大事にしねえとな」

「あはは♪大事ってなんだ。好物はとっといて後で食べる性格かー?」
「おう、俺はそうだよ?」

「私は逆だね。だから竜児のおかずは最後にはいっつも私にとられちゃうってわけ」
「なに言ってんだよ。食べ足りないお前のためにとっといてる優しい気持ち分かんねえ?」

 ふふ。知ってるよ。私の棘をぜんぶ受け止めてくれる男の子が好き。私を捕まえて蹂躙した
いと思う男の子も好き。どっちも竜児。竜児のぜんぶが好きだよ。

583お姉ちゃんにまかせろ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:25:50 ID:???
 竜児の目をじっと見ると瞬きもせず見返される。竜児の視線が時折りつっと泳いで見るもの
は私の唇?また動いた。やっぱり見てる。じゃあ、あげるね。
 くちゅ……ぴちゃ……ごくって、いろんな水の音が聞こえてくるこんなキスはお休みの日だ
けの特別なコト。こればかりは上に乗ったからといってそう変わるものでもない。それでもす
ぐに力が抜けて行っちゃうような感じが、今日はずいぶんと薄い。

 竜児の手がまた私の背中をぎゅうと捕まえて、けどいろんなとこ触りたいらしくて落ち着か
なく動きまわる。腕を支えにして、ぴったり付けていた半身を浮かせてあげると、出来た隙間
にすぐ滑り込んできた。寄せてあるから、今日はちょっとだけ揉める。
 掌がすっごく熱くて、それが胸に当てられて焼かれるような錯覚さえしてくる。むにむに揉
まれるのって、実は今までになかった。なんかいい。しびれる感じ。
 でもエッチな手は同じところに留まっていてはくれない。パンツ越しにお尻をやわやわ揉ま
れたりもして。ん……じわじわお腹の中に熱い塊が生まれてきてきもちいい。
 う……ん……今日は、頑張らないと。

 生理中は、いつもこうだ。普段の倍は敏感になってしまって、そのかわりいつまでもじわじ
わ燃える。いつものように急に跳ね上がったりしないで、くすぐったく、もどかしく、いつま
でもじわじわ暖かい。
 ……けど、登りつめる感じだけは、遠い。
 竜児の手は頬にも当てられ、ツインテの髪を指に絡めて遊んだりもする。したい、だけじゃ
ない竜児の気持ちも、だからこうして感じとれる。

 ようやく唇を離して、はふ、と身体を預ける。落ち着かなかった竜児の手がまた背中に戻っ
てきて、でも力を込めはしない。いたわるように撫でてくれる。いい。これすごくいい。私も
シーツとの間に腕を差し入れて竜児の背中を弄ってみる。ちょっと休憩。

 でもこれじゃいつもとほとんど同じなんだよ。位置が変わっただけ。私を登りつめさせて、
それを見て感じた竜児がいくっていう。
 今日は違うことをしてみたい。
 目の前にある竜児の乳首にちゅっと吸いついてみる。男の子だってここはきもちいい。ゆっ
くりと、優しく、唇と舌と歯を使って刺激する。いつもはあんたが私にしてくれることを感じ
てみてね。


 きもちいいよね?がまんしてるね?何度も腕に力がこもるから分かるよ。お腹に当たってる
固いものがときどき跳ねてるし、もうしたくてしたくてたまんないんだよね?それが分かっち
ゃうと恥ずかしいから、そんなに腰をひねって逃がそうともするんだよね?
 なんて、いちいち問い詰めて遊ぼうなんてつもりまではないから。最後まであんたの死にざ
まを看取ってあげるから。

「別にあんたをいじめてるんじゃないからね」
「おう……。なんか俺も妙な気分だ。されるがままっていうの」
「お姉ちゃんに……まかせろ!大丈夫!……その、くちではしないから、さ」

 お、おう……。と自分の前髪をぐりぐり弄って恥ずかしそうな竜児を見て、かわいい、と思
っちゃった。いちど思ったらそれはわぁっと広がってきて、なんだろう?この気持ち。もう、
なんでもしてあげたい、って思う。
 少しずつずり下がりながら、竜児のお腹にも同じように丁寧にキスをする。薄い皮膚の下に
ある腹筋がときどきぴくっと動くのはきもちいいから?手が届かなくなるのが寂しいのか、半
身を起き上がらせて私の頭を抱え込んでくる。
 ……のはいいんだけど。
 け、けっこう背中がきついっ。あんまり我慢してると攣っちゃうかも?りゅうじ両手後ろへ
ついて?こうか?腰浮かせて?こ、こうか?
 きりきり指示して、がばぁっと。トランクス脱がした。


「……」
「……」
「……す、すごいね?」
「すごいって……見たことも触ったこともあんだろ?」
「明るいとこでじっくり見たことないもん」

584お姉ちゃんにまかせろ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:28:11 ID:???
 こんなおっきなの、いつもよく入るもんだわ。そういうふうに出来ているんだから不思議は
ないけどさ。それよりも驚いたのは水の量。

「がまん汁……っていうの?こんなにたくさん出るものだったの?」
「まあ……な。知らなかったか?知らねえか。でも今日はすごく多いな」

 『潤滑の役割を果たす』って知識くらいはあるけど。そんなのは女の子の方が受け持ってる
もので、男の子の方は申し訳程度って思ってた。
 それがどうだろ?頭はぬらぬら光って、半ばにも回ってて、先からは続けて水滴が零れ落ち
てる。脱がしたばかりでまだ手に持ってた竜児のトランクスにも、柄物で気づかなかったけど
いっぱい滲みて光ってた。
 思わず匂いをかいじゃったり。

「おいおい、下品だろそりゃ?ちゃんと替えも持ってきてるからその辺置いとけ」
「いいじゃないよ別に。あんただって同じことしたことあるじゃん?」
「え?……ああ。そうか。そういやしたな?……おうぁっ!」

 握ってみた。
 ぬるっという感触は女の子のと変わんない。ちょっと濃いかな?あんまり話し込んで竜児の
やる気が減るのはもったいないし、少しずつでもね?進めないと。
 握った手を開いてみると糸を引いてる。手の中で竜児が魚みたいにびくんって跳ねて、新た
に水滴の球が絞り出されてる。それを指で拭いとって、塗りつけて、ぬるんって滑るのをまた
握って擦ってみた。
 どう?こうしてるときもちいい?竜児の顔を見上げると。

「も、もうちょっとその、優しくしねえ?」
「あっ痛かった?ごめん」
「い、いや……痛いんじゃねえよ。指……きもち良すぎるんだよ」
「わかった。こんな感じ?」
「おう、それそれ」

 擦るのは刺激が強すぎるらしいから、力を込めずに握って開いてお遊戯みたい。それでもき
もちいいらしく、竜児の息が荒くなってくる。肩で息をし始めて、もうどこでもいいから私の
身体に触りたいって感じで手を伸ばしてきてる。
 そういうの分かると、私の方も変になってくる。触られてるわけでもないのに、胸に貼り付
けたヌーブラがもどかしく感じられて。

 何度も見たことある、あの竜児の表情は、たしかもうそろそろマジっていう気分のとき。
 かわいい……かわいいっ、もうっ。もっとこの時間を長引かせたいと思い、この気持ちのま
ま弾けさせてほしいとも思う。
 だから握るのをやめて、竜児の腰骨と内またにキスをした。吸いついたり、軽く歯を立てて
みたりする。固くておっきいのを頬に当てながら、竜児に与える刺激を分散する。
 これならきもちいいのが長く続くよね?
 
 はぁはぁ私の息も荒くなってきていたことに、でも、気がついてしまう。
 本当はさっきから熱い塊がお腹を下りていってすごくもどかしい。専用ショーツに夜用を着
けてガードしてるから漏れ出したりはしないだろうけど、私の方だってきゅっと締めてみると
するんするん滑る感じがしてる。こんなのびっくり。きっと大変なことになってる。

 いま、頬にくっ付いてびくびくいってるこれで貫かれてしまいたい。息が止まるほど抱きし
められて、思い切り体重をかけられながらいっしょにいってみたい。
 ここでおねだりしたら、と何度も浮かんできてしまう。きっと竜児は。
 でもそれじゃいつもと変わらない。いつもならそれで良くても、今日生理中なのにえっちに
誘ったのは竜児に楽しんでもらうためだから。私がエッチなお姉ちゃんでなくちゃいけない。

 行きたい、留まりたいの綱引きにちょっとぼうっとしていたかも。
 不意に、頬に竜児の水が垂れてきて、思わずぺろんと舐め取る。と同時にびくんっと跳ねる
竜児の肉と、微かな塩気を感じて。
 ……そうしたら夢中で咥えこんでいた。焦らすもなにもなかった。皮を剥いたバナナにかぶ
りつくように根元を握って、ぱくん、と。
 えっ?と驚いたような声に我に帰り、握ったまま慌てて口を離す。ご……。

585お姉ちゃんにまかせろ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:30:24 ID:???
「ごごごごごごめんっ。くちでしないって言ったのに」
「お、おう……そんなことは」
「その……ちょっと夢中になっちゃってて」
「顔、真っ赤だな。お前も……したいんだろ?」
「え?あ、まあ。ちょっとだけ。ちょっとだけだから」
「だったら……俺も」
「だめ」
「え?」
「……生理中のあそこなんて、竜児に見られるの、本当は絶対にいや」

 俯いて、ひと芝居打った。竜の目に見抜かれちゃった以上は通じるかどうか分からないけど、
女にだって意地やこだわりはあるよ。竜児がいやなことなんかさせない。

「……そうだよな。じゃあ、くちでしてくれるか?」
「え?それはいいの?」
「俺だってもうたまんねえんだよ。そのかわり、あとで俺にもまかせろ」
「うん。わかった。商談成立」
「商談じゃねえよ。せっかく好きなやつとえっちしてんだからさ」

 相互主義(キリッ)ってやつだよ。と笑う。

「あは、あ、そうだね。じゃあちょっと起き上がってよ」

 竜児をベッドに浅く腰掛けさせて、私は下に降りて膝立ち。これで互いに手も届く。もうち
ょっと膝開いてね。こうか?そうそう、その間にわたしが入り込むから。

 で、こうなると困った。いまさらだけどくちでするってどうやれば?そりゃ思い切り妄想し
たことは何度もあるけど具体的なイメージが思い浮かばないとこは早送りしてたから。
 やった事ないし、やり方を教えてもらった事もない。竜児に訊いても詳しくは知らないって
言う。……まあ、もし知ってたらいろんな意味でお茶の間ドッカンだし訊くまでもなかった。

 じゃあ、と提案。いろいろやってみるから、きもちよくなかったら1回、よかったら2回、
痛かったら連打、頭か肩を叩いて知らせろ。ということにして始めてみた。習うより慣れろっ
て言うし、没頭していれば私の方の熱も増えないだろう。

 しばらく中断していたからか、ちょっと柔らかくなった竜児をぱくん。歯を立てちゃ痛いよ
ね。舌と上あごで挟んで押したり緩めたりしてみる。さっきのお遊戯と同じはずで、ぽんぽん
と2回。くちの中でむくっと膨れてくるのが分かるから、叩かれるまでもない。
 次は舌を前後に動かして擦ってみた。ぽんぽんっ、ぽんぽんっ、と2回を2連続。ん?すご
くいいってこと?上目遣いに見たら、うんうんと頷いてた。そのまんま固定して頭を使って引
っ張ったり押したりしてみると、ぽんと1回。これは良くないらしい。念のため歯を立てて見
たらやっぱり連打。

「実際にはそんな痛いわけじゃねえけど。……ちょっと怖いんだよ」
「ん。わらっら」
「あ、喋るな喋るな。ひっ」

 ひっ、とか言ってるよ。少し可笑しくなりながら、きもちよいと判定された動きを組み合わ
せてしばし専念。ときどき竜児を見上げるとさっきのような表情になってきて、やっぱり切な
さが伝染してきてしまう。

 竜児が私の肩や背中に手を置いて、ときどき力を込めてつかむのは、たぶんきもちいいって
知らせてくれてるんだろう。私も竜児の腿を浮き輪みたいにして、腰に腕を回して抱きついた。
竜児のお尻をわしづかみにして、私にも訪れる波を伝えてしまっている。
 息継ぎをかねてソフトクリームみたいに舐めてみたら、またぽんぽんっ、ぽんぽんっ、と2
回を2連続で叩かれる。あ、こういうのもいいんだ?なんか分かってきた。うまく緩急をつけ
るのがコツなのね。

 よーしわかってきた。ちゅるっ。あーん。ぱくっ。挟みこんで前後に……。竜児の手から知
らされるきもちいい信号をベースに。乗せて私のきもちいいもメロディにして返してる。
 本当は返しちゃいけないのかもしれなかった。私がいい感じになるからあんたも感じるって
いうんじゃないなにかを欲しいのなら。
 でも、なっちゃった。
 そうならないように、注意深くしてきたのに、そうなっちゃった。だって。
 欲しいんだもの!力いっぱい竜児の腰を抱きしめる。

586お姉ちゃんにまかせろ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:32:33 ID:???
 ごんっ!痛っ!
 竜児が背中を丸めて真上から頭突きを落としてきた。かなり痛いっ。どうしたっ?いったい
何があった?抱え込まれたうしろ頭をせわしなく撫でられてると声が降ってくる。

「たいがっ、や、やばいっ!」

 おおっ、そうか!まかせろ!お姉ちゃんに。元手乗りタイガーは伊達じゃないっ!もちろん
このままアクシズの落着を受け止めてやるわよっ。もういちど腰に抱きついて、尻をわしっと
つかんで、咥えた竜児が今までになく膨れ上がって来るのを舌で擦る。
 すごい、こんなにおっきく?
 びくんっ!と大きく竜児の腰が痙攣した。後から、何度も。

 私の頭に額を付けて、はぁはぁ大きく息をしてる竜児を感じる。初めて感じる言い表しよう
のない……なんだろ?達成感?そういうのといっしょに湧いてくる愛おしさも、また。
 抱きかかえた竜児の痙攣の波が去って行くのを感じて、それからだんだんと小さくなるくち
の中の竜児を吸って、竜児の遺伝子を一滴も残さないように舐め取って。ごくんと飲みほした。

 喉の鳴る音が聞こえたのか、ば、ばかっと竜児が言う。飲むなんてお前!と慌ててるみたい
だった。何で慌てているのか分かんない。飲まないのなら、どうするの?他に?と思う一方で
みるみる私の顔が歪んでいく。な、なにしろっ。

「まっっずぅ〜〜〜いっ!不味い不味い不味い生臭いっ!うっわぁ〜〜!」
「ほ、ほらみろ。早く吐いてこいっ」
「は、はあっ?何言ってんのあんた。もったいないじゃんっ」
「え?」
「でもこれは酷い。酷過ぎる。うがいだけはしてくるっ」

 洗面のあるバスルームへだっしゅ!ガラガラガラガラ……。


「はあ、落ち着いた。……なにさ。どん引き?」
「ちょっと引いた」
「なんでよ?あんたから出たものじゃない?汚いものでも身体に毒なものでもないでしょう?」
「だってよ。飲むものでもねえだろ?」
「そうだけど。そうだけどさ。……味も最悪だし」
「じゃあ何で?」
「私にとっては……大事なものだもん。吐きだして棄てるような汚物じゃないよっ」
「……あ」
「いつかはあれが……って、どうしても思っちゃうもんっ」

 ちょっと涙目になってた。変なことしたのは分かってる。竜児が引いちゃうのも当たり前と
は思う。男の子にとっては重くてウザいだけのことだろう。でも。でも、分かってもらえなく
ても竜児には言わなきゃならないこと。

「あんたには棄てるものでしかなくて、キモいだろうけど」
「……それは。そうだよ」

 私はちょっとずつだけど、いつも棄ててるのは寂しかったんだ。いつかあれがっていうのと、
あれが身体の中に入らなかったっていうのとあって。

「だから、飲むんなら、って。思っちゃったんだよ」

 竜児が突っ立ったままの私の手を引っ張ってベッドに座らせた。悪かったな、と言いながら
ハグしてくれた。さっきまでの抱きしめと全然違う手の感触が心地いい。でも私が泣いてるか
ら受け入れてくれたとしても、何の意味もないこと。

「気を使わなくていい。わがままなのも分かってる」
「俺から出たものだし、汚くも毒でもねえ。それはそうだ。でも……分かんねえ」

 いまお腹の中だよ。消化されちゃうから。だから本当にはぜんっぜん価値がない。分かって
るけどそれでもね、初めて私の身体に入ったっていうのが嬉しいことなんだ。
 それが嬉しいっていうのを……本当に分かるのは難しいかもしれねえ。

587お姉ちゃんにまかせろ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:34:55 ID:???
「きっとね、こういうのをわだかまりなく分かった頃にさ……私たちもさ」
「ああ、そうか。そういうふうに思うのか。お前は俺より先にそこ越えたんだ?」

「次飲むかっていったら私だってね、微妙ではあるよ……」
「ああ。分かるようになる。そう思ってるお前に引くのもやめる。そこは謝る」
「うん、わかった」
「ちょっと時間くれ」

 エッチな事しない関係のときだって分かりあうのは大変だったけど、こうなってもまだまだ
あるもんだね?と、向けてみた。
 そうだな、でも全部お前と越えていく。と、答えてくれた。


 抱きしめられてるうちに、もっと竜児にくっ付きたい気持ちになっていく。
 間が空いて、というよりもごっくんでエッチな気分がパァっと飛んでったけれど、んしょ、
っと竜児の腿をまたいで向き合って座ってみた。少し悲しかった反動で、竜児に甘えたい気持
ちばかりが生まれてくる。今日はもうこうしていよう。

 甘かった。
 ちゅ……ちゅ……と軽いキスを交わしただけなのに。なんかもう切なくてたまらなくなって
いる。そんなことするつもりなんてないのに、竜児に胸を合わせてすり付けてしまう。さっき
にも増してもどかしい気分が帰って来てしまった。
 いちど入った火は身体を引き離さなくちゃ消えてくれない。でも離れるのいや。さっき竜児
の火を消しちゃったのに、もう竜児にどうにかしてもらうしかない。ああもうっなんだ?自分
の身体なのに。

「どした?休憩済んだなら約束どおりきもちよくしてやるぞ」

 気配を覚った言葉が嬉しくて、返事の代わりに、ぎゅーーっと抱きついてやった。今度はし
たい女の子が、わたし。したいと思われてる男の子が、竜児。

 首筋から鎖骨、胸へと竜児の唇が這うと、いつもと段違いに感じる。いつもならウォーミン
グアップみたいな、火を起こすための軽いちゅっちゅなのに。うっ……、んっ……、といちい
ち声までもれてしまうの、恥ずかしい。思わず手で口を塞いだ。

「……聞かせろよ、大河」
「んっ……あんたっ……面白がってるっ?」

「面白いに決まってる。最初からこんなになるなんてな」
「さ、最初じゃ……ない……もんっ……ううっ」

 続きだもん、ずっとだもん。そう言おうとする前に、腕を挙げていたから、脇をちゅうっと
吸われた。いつもならくすぐったいだけでここを遊ばれるのは相当あとになってから。それな
のに肩ぜんたいに電流が走ったような衝撃にぶるぶる震えも起きてしまう。
 耳元を吸われ耳朶を噛まれ、そのたびに大きく息を呑んで、気配を竜児に読まれてしまって、
今さらながらお姉ちゃんの面目も丸つぶれ。でもいい。いい。いいの、とっても。

 そろそろ剥がしてもいいかーと、のんびり竜児が訊く。さっきから手の感触を隔てていたヌ
ーブラのこと。……うん。もう直に触ってほしい。ま、剥がしちゃうといつもの控えめなもの
でございますが。と思いながらも大きく頷く。
 ホックを外されて左右一つずつゆっくり剥がされる。剥ぐときの刺激でさえびりびりと響い
てきてきもちいい。ちゃんと粘着面を上にしてローテーブルに置いてくれる竜児は、こんなと
きにもきちんとしてる。

 ちゅるっと竜児がくちに乳首を含んだら、あっ?あっあっ?えっ?なにこれ。背中が攣った
ように伸びて後ろへ反り返ってしまった。
 息ができない?伸びないと、だって。なにかが弾ける。慌てたように竜児が支えてくれる。
 まさかいった?こんなんで?と驚いた竜児が訊くので、かろうじてかぶりを振る。いっては
いない……はず。こんな感じじゃなかった。何が起きたのか私にも分からない。

「わ……分かんないよ。なんか違うと思うけど……分かんない」

 じゃあ、と続けて竜児は胸にこだわる。あまりびくんびくん私が跳ねるので少しずつ柔らか
なタッチに変えては見ている。それで、ちょうどきもちいい当たりをつけてくれた。

588お姉ちゃんにまかせろ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:37:08 ID:???
「上半身だけいってる……のかな?分かんないけど」
「へえ、そんなこともあるんだ?」

 ほんとに分かんない。衝撃、というより波紋がわっと広がるんだけどお腹まで届いてはいな
かった。程度の差はあってもいつもは直通回線?が通じていたのに今は途中で切れている。

「竜児ぃ……わたし、もう。……そのー、あのー」
「おう。そろそろなんだな?」

 私を抱え上げて身体を入れ替え、ベッドに寝かしてくれる。竜児は添い寝して、直に触られ
るのも嫌だろうし、やっぱ衛生面がなと呟いたりしてる。結局、ハーフパンツ越しに掌を置い
て揉んでみる事にしたらしい。私も片手が入るだけ膝を開いた。

 うあぁっ、って感じだった。掌が置かれて重みを感じただけで。思わず跳ね起きて竜児に抱
きついてしまったくらい、気づかなかったけど、じんじんした切なさがたまりまくっていた。
 すごいことになってるなと驚かれてもしょうがない。揉み始めようとしたらいきなりずるっ
と滑っちゃったんだから。まさに集中豪雨で地滑り寸前の丘、という感じ。

「これって、……本気汁?っていうんだよな?」
「い……いちいち口に出さないでいいから。それよりさ」

 ぜってー俺のより多いだろと恥ずかしいこと言われて返す言葉もないが無視する。漏れは大
丈夫と思うけど、滑ってずれてしまうとちょっとした惨事になるかもしれないからずらさない
ように頼んだ。
 分かった、まかせろと竜児は前向き。


 はぁっ、はぁっ。きもちいいか?うんっ……うんっ!可愛いな、大河。はぁっ、あ?……こ、
言葉責めってやつっ?……なんでだよ?言葉責めってのは、そうだな?『大河、お前ってやつ
はなんていやらしいんだ』とかそういうんだろ?

「そ、そうよ。……私いやらしいよ。エッチなことよく考えてるよ……はぁっ」
「ずいぶん素直に認めるんだな?」
「だってさ……私をこんなにしたのって……竜児だよ。あんたしか知らないもん」
「おま……まあ、それはそうか」

 擦るとずれちゃうなら、じゃあ、押すか叩くしかない。キスされながら探されて、ていうか
直に触ったこともあるんだから探し当てるのは簡単なはず。見つけたら指で叩いて押して、あ
とは私の反応を楽しく見ながら竜児が遊んでる。

「……竜児といろんなえっちするのよく妄想するよ。夢でもみるよ。あっ」
「ごめん、きつかったか?」
「大丈夫……あっ」
「俺も……そうだよ。大河とのことよく妄想してるよ」
「えっ?かわいい、りゅうじ。あっ!あっ!」
「もうすぐか?すぐだな?」

 竜児の首にかじりついて、もうすぐ来る。
 腕枕してくれて、敏感なところを探して指いっぽんで刺激されて、身体をぴったり付けて、
耳元でエッチな事ささやいてくれて。
 もうさっきから何度か波が来てはいた。お腹がぴくっと引き攣れたり、ざわっと鳥肌が立っ
たり。巧く乗れるきっかけがあればすぐにでも来てしまいそうだった。
 竜児がパンツの上から当てた指をくりくりする。乳首を含んで、舌でとんとん叩く。それで
また弾かれたように背中が伸びちゃったけど、やっぱりお腹と連動しなかった。いろいろ探し
ながらしてくれてるけど、やっぱり生理中の私はいきにくい。

「大河、俺さ。独りでいるとお前とのえっちをいつも思い出してる」

 またささやき戦術?……でも?これ効く!?ええっ?触られるのより言葉が効くの!?

「さすがにおかずにするまではなかったけどさ、今度してみようかって思うんだよ」

 そ、そんなこと?面と向かって彼女にお前をおかずにするぜ発言てあんた……あ、ぶるっと
来た。ぞわっと来た。感じるのはやっぱり脳、ってこと?……なん……だね?

589お姉ちゃんにまかせろ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:39:45 ID:???
「りゅ、りゅうじ、して。今度してみて。どんなか教えてっ」
「ああ、するとも。今のお前のいきそうな顔、よく見せろ。それでしてやる」
「え、ええっ?やっ、やだあっ」
「それか。よく覚えとかないとな。そのエロくて可愛いーい顔をな」
「やだぁ、そんなのやだよう」
「もう見ちゃったもんな。しっかり覚えたし。どんだけ可愛いと思ってるか教えてやるよ」

 竜児は私の手をとって、自分の股間に導いた。触ってみろという。……さっき出したばっか
りなのに、インターバルに最低1時間要るって言っていたのに、握りしめてみた。思いっきり
固かった。おっきかった。
 ど、どうだ分かったろ?と、いじめる竜児の声も震えてた。いきそうな私を感じたから竜児
も興奮してる?はぁはぁしてる?だからこんなに固いの?ぬるぬるになってるの?
 かわいい、りゅうじかわいいっ、もう……もうたまんないようっ!
 分かったとたんに、まるでスイッチが切り替わったみたいに、私は急坂を登りだしていた。

 登り始めたと思ったらすぐ。あ、竜児!私もう!と、出ない声で最後の別れを告げる。竜児
はそれを聞くなり半開きの唇を吸ってくれる。キスされながらいくの私がすごく好きだって、
もう知ってるから。

 間近で落雷を見たように視界が白くフラッシュして、一瞬音が聞こえなくなって、身体と身
体の外の区別がつかなくなって、時間が止まったように。
 声なんかもちろん出やしない。息もできなくなる。止まった時間が動き出して、息を吐きき
ったのか吸いきったのかが分かって、ゆっくりと音が聞こえてきて、一杯に入った力で痙攣を
し始めてるのが分かるまで。

 やがて最初に声が聞こえてきた。見たぜ、しっかり覚えたからな。大河。お前めちゃくちゃ
可愛いな。最初に見たのは優しく笑いかける竜児の顔。
 その言葉を理解したら……もう一度来た。


「……おはよ、竜児。ていうか寝てはいないけど」
「おう。今日は長かったな」
「そんなに?どのくらい?」
「2回合わせて30秒くらいいってたかな」
「ふーん。そんなもんか。いつも息止まってて死ぬんじゃないかって思うけどね」
「だから逝くって言うんじゃねえの?……まさかな」
「あーでも。なんか今日のはすごく深かった」

 ふぅーーーっと長いため息をついていたら、ところでよ?そろそろ離さねえ?と竜児。
 ふと見れば私、股間の竜児を握りしめたままだった。あ、ごめん。と言いつつ、その固いま
んま大量の水滴といっしょに握り込んだぬるぬるの竜児をゆっくり擦りだしてみた。お?とい
った感じで見つめる目に笑いかけてみる。

「竜児……もしかしてこのままきもちよくいけそうだったり?」
「ん?……ああ。たぶん」
「じゃあ、私の上に乗ってよ?それでお腹の上に出して」

 さっき見た顔を忘れないうちにね。私があんなによかったんだから、あんたもさぞ心穏やか
ではなかったでしょうよ。したくてしたくて、もう、たまんなかったでしょ?

「……おう。……もう、すぐいっちゃいそうだけどな」
「いっしょにいくって、思ってよ。いっしょに行こう?」
「大河……」

 仰向けの私の肩口に腕を滑り込ませて、竜児が頬を合わせてくる。きもちよくなるよう丁寧
に両手で握って、擦ってあげる。
 もうゆっくり楽しもうとか、そんな雰囲気ではなかった。一秒でも早くいっしょにいきたい
と思っているのだろう。忙しく胸をもまれたり吸われたり、ぎゅうっとされたり、こんなに獣
っぽい竜児を初めて見る。……これも、かわいい。
 私の手の動きがもどかしいのか、竜児の腰が勝手に動き出すのをみて、あ、頭はもういきか
けてるのに身体はまだ次が装填されてないんだって分かる。じゃあ、助けてあげる。

「竜児、私ね。妄想するだけじゃないよ?」
「はっ?そうなのか?」
「うん……寝る前とか……指でしたりも……するよ」
「どんな……妄想……したりする?」
「恥ずかしいこと。ねえ、いつも優しい竜児がね?私を……むりやり犯すの」
「そんなこと……しねえよ」

590お姉ちゃんにまかせろ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:42:07 ID:???
 しないのは分かってるよ。妄想だから。
 頬を合わせていてどんな顔をしてるのかは分からない。けれど、抱きしめてくる腕の力も、
頬に伝わる熱も、いまの竜児の気持ちを伝えてくれる。どこでお前は俺に犯されるんだ?と続
きも訊いてくる。

「いろんなとこだよ。昔いたマンションで水着みせたときとか」
「……お」
「あんたのうちで寝てたときにとか」
「……」
「でも、いちばんいいのは……ここだよ。この部屋」
「そんなことを……」
「やだって言ってるのに、あんたは無理やり私をひん剥いてね、獣のように犯すの」

 ……今みたいな感じで。やだやだって暴れてるうちにね。でも私はよくなってきちゃうの。
 ……あんたにぎゅっとされて、上から思い切り押さえつけられて逃げられなくて。でもすご
くいいの。屈辱だって思ってるのに、どうしようもなく、いいの。
 手の中の竜児がすごく膨れてきた。このシチュエーションはいいらしい。実際にはあり得な
いしする気もないっていうのに、なんていう不思議だろ。

「そんな私を見たあんたもよくなって、こんなふうにすっごい固くなるのよ」

 それを感じた私がまたよくなって変な声も出ちゃって。それを聞いたあんたがさらに興奮し
て乱暴にするのよ。……そうしてるうちにね、私、いっちゃうの。そんなふうにされるのなん
て死んでもいやで、屈辱だって思ってるのに。涙ぼろぼろ零しながらいっちゃうのよ。

「さっきあんたがしっかり見たような顔をしてね」

 くっと竜児の身体が震えた。しっかり握った方の竜児もびくびく跳ねた。お腹に飛び散った
熱いものは溶岩だろうか。何度も、何度も震えてる。ちゃんと抱きとめてあげる。きもちよか
ったでしょ?竜児。


 代わる代わるシャワーと着替えを済ませて、私たちは寄り添って座った。いつもと同じよう
に頭を肩に預けて、指を絡ませて。
 少しけだるくて、残り火が温かくて、気持ちが穏やかに帰ってくこの時間はとっても幸せ。
ぽつ、ぽつ、となんの虚飾もなしに竜児と話すのがすき。

「挿れなくてもえっちって出来るんだな。教えてくれてありがとな、姉ちゃん」
「あー。途中からお姉ちゃんなの忘れてたよ。ていうかこんななるなんて思ってなかった」

「……計画的犯行に見えたけどな」
「わたしゃエッチな女で実行力には自信あっても、騙し続ける器用さはないわー」
「ああ、そっか。ただ姉ちゃん振りしたかっただけか?」
「そうなの。生理になっちゃってやばいと思ってさ、ただがまんさせるのも悔しくてね」

「言葉責めっていうのもいいよな。すっげえ新鮮だった」
「へ、変態だ。……ねえ。ほんとに私のこと思いだしておかずにする?」
「する。つか、わりと当たり前のようにしてる」
「ああいうシチュエーションでか。強姦魔」
「言い訳はしねえけど、ひとりでしたいときはお前に対して我慢できないときだからな」
「やっぱ男の子だよね、そういうとこは。まあ妄想だし好きなだけ犯すがいい」

「お前の方こそどうなんだよ」
「ほんとにするよ。実は先週もした。でも竜児とは逆パターンだね」

 一年も離れていたんだもん。ずっと逢いたくて、ずっとしたかったもん。だからいまこうし
てるような雰囲気のまんまでいつのまにかつながってる、ていうのがほとんど。

「意外でしょ?」
「おう、意外だな?もっと体育会系な感じだと思っていたけど。やっぱ女の子なんだな」
「これはこれで女の都合ってやつなんだけどね」

 じゃあ今は?と追い討ちをかけられたので、平日できないから寝る前にちょっと、と答えて
おく。すると、なんだ、じゃあ離れていてもいっしょにいてもするんだな。同じだな、と。
 そうね。それは同じ。

591お姉ちゃんにまかせろ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:44:50 ID:???
「けど今は実際にしたことを思い出して……するよ」
「へえ?」
「妄想より良かった現実があるのに、代用は要らないでしょ?」
「思い出だと何度でも再現できるってわけか?」

 ううん違うの。思い出しても、そのとき現実に受けた感じまでどうしてもいかない。こうだ
ったはず、って思いながらするのよ。それで、だから、次の機会にはこんなことしたいなって
思えてくる。

「……ね。でもさ?今日のはお互いにいいおかずになると思わない?刺激的だったし」
「思うかよ。お前どんだけアホなんだよ?」
「えー?なんでよ?」
「ひとりでするよりいっしょが良いに決まってるだろ。俺はもう来週が楽しみだ」
「なんだその掌返し?空前絶後の浮かれポンチ具合だわ。ついに私を強姦するつもりか?」

 アホか。と竜児が呆れる。まあ、呆れる振りでも優しい顔してるんだけどね。
 俺はもうちょっと自分の抵抗感とかを省みて、もうちょっとお前の冒険心に同調しようと思
ってるだけだ。と言ってくれた。
 嬉しくて、フヒヒ……といやらしい笑い方をしてしまう。時間をみて、もうちょっと経った
ら買い物に行こうぜって誘う竜児に、それじゃあ冒険にもつきあってもらおうと思う。

「ね?今夜。夕食後に冒険、しよ?」
「さっそくだな?まあ復習ってのは大事だが。うーん」
「軽ーく」
「軽ーくか?」

 だってさあ。と手近な小物置き棚から例のメモ帳を取ってめくりながらもったいをつけて告
げてみる。今日これで終わったら、竜児に黒星付いちゃうよ?

「おまっ、対戦成績ずーーっと付けてたのか?」
「うんっ」
「なあ、それ勝利条件てどうなってんだ?」
「竜児いき>私いきなら負け。=なら引き分け。私を多くいかせたら勝利」

「誰の勝利?」
「私の。で、私が勝ったら場合には当然、自動的に、竜児の勝利でもあるわけ」
「もう何と戦ってるのかさっぱりだな」

 ともかく今日は、せめて引き分けを目指すことにするか!

「じゃあはやいとこ洗って陰干ししとかないとな?貸せ。手洗いだろ?」
「何を?」
「ヌーブラ。予備持ってないよな?どうせ」
「……あんた、これそんなに良かったの?そんなふうには全然見えなかったけど?」
「大河、お前って女は男の心を全っ然、分かっていないな?」

 得意げに人差し指を立てて、目の周りをうっすらと染めて、竜児は力説し出した。
 いいか?どうして剥がさなかったか、どうして付けたまんまで俺が我慢していたかを考えて
くれ。もうほとんど、これさえ剥がせば半裸になるというそのギリギリのところで視覚的にも
触覚的にも踏みとどまる。これがいいんだ。何も考えず欲望のままチューブトップをとっとと
脱がしてしまったのもあとで気づいて実は相当に後悔した。あれも合わせて残すべきだった。
いやお前の俺を煽るためのコーディネイトセンスにも今だから言うが敬意を表するぞ?あの姉
ちゃんと言いながらの妹っぽさは犯罪的にツボだった。やはり意外性、非日常性の持つ誘惑に
は抗い難く云々かんぬん。

 喜んでいいのか呆れた方がいいのか。とにかく分かるのは、こいつぁ相当にマニアだという
こと。大河は微妙な笑みを浮かべて、口元を引き攣らせてハイになってる竜児を眺めてはしみ
じみ思うのだった。なんてトラップだったのだろう、と。

 スイッチがあるからとむやみに押す前に考えよう。これからは。




――END


※竜虎の誕生日設定は、原作記述から大河4月上〜中旬、アニメから竜児おうし座というのを
都合よくあてはめました。

592 ◆0/FKyHtS2M:2011/05/21(土) 03:48:33 ID:???
以上です。↓の『休日編』といった感じですが、ストーリー上のつながりはほとんどありません。
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1302817738/137-148

593高須家の名無しさん:2011/05/21(土) 08:02:53 ID:???
エロい…、パコパコカ―ニバルじゃあ無いけど、2828しながらがまん汁オンパレード(≧∇≦)♪ GJ!

594高須家の名無しさん:2011/05/21(土) 13:49:49 ID:???
甘くてエロイ!GJだ、超GJ!

595高須家の名無しさん:2011/05/22(日) 23:35:59 ID:???
>>592
エロエロラブラブ最高すなぁ…
竜児の力説にワロタw心の底から同意するぜ!
マジでGJっした!!

596俺にまかせとけ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/24(火) 22:50:41 ID:???

【これまでのあらすじ】親元で一年を過ごし進学した逢坂大河は大橋の町に帰ってきた。高須
家から徒歩3分のワンルームマンションで独り暮らし。ぶじ嫁入りのその日まで!などと大げ
さな話は置いといて瑣末事を綴ったエロコメディ(要するにアニメ版アフターです)

 高校を卒業して、別々に進学した竜児と大河は結婚という遠大な目標に向けて鋭意努力をし
始めていた。他人であったふたりが奇しくも出逢い、惹かれあって、ずっといっしょに居たい
と願った以上、そしてふたりが同性でなかった以上は、当然の帰結と言えた。
 19歳になった逢坂大河と、もうすぐ19歳になる高須竜児は、めでたく恋人以上夫婦未満
といった関係になっている。
 しかし、やることはとっくに済ませていても、いまだ親がかりなふたり。
 やはり毎日エロエロアマアマに惚けてるわけにもいかない。そういう甘美な数日間がたまに
はあっても、社会に巣立って、いつかは自分たちだけの家庭を持つための準備を怠るわけには
いかないのだ。したがって、のべつまくなしにイチャついていないで学生の本分を全うしろ!
という自律的な制約を、どちらからともなく課している。
 それは“したくなっちゃうようなエロい行為を平日は自重する”ということ。

 とあるどっかの、またも日曜日。
 さんざんおためごかしを書いておきながら、日々のつとめをこなしたら制約を解放してもよ
いとふたりが暗黙に決めている休日がまたもやってきて、このくだらない話は始まる。


「はっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ!あっ、あっ、あっ、ああああっ、ああっ〜」
「はっ、はっ、はぁっ。……3回目だな……」
「う……、うんっ、うんっ!……りゅうじは?」
「ああ。まだ大丈夫だ」

 竜児はきもちよく逝った(ワラ)大河を優しく抱きしめて波が去るのを待っている。
 男は一度いったらいわゆる賢者モードの時間が訪れて、場合によってはこうした行為を継続
するのがバカバカしくなることもあるが、女は何度でもいけるもの。
 パワフルにスタミナあふれる男によってひと晩に何度もいかされるのが女にとっては他に得
難い幸福。そうした価値感は、やりたい盛りの竜児にも当然のごとくもたらされていた。

 というわけで、今日は一種のドーピングをしてみたのだ。
 詳細は、ttp://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/tomorrow/1252792801/ を参照してみれば分
かるだろう。フェミ○ーナ軟膏を使って、男の子側の感受性を麻痺させて、早漏を防ごうと言
うメソッド。これはオカルトでもなんでもなく、本当に効くらしい。ていうか、筆者の体験か
らいって副作用もなく効く。この先を読み進めるよりリンク先の方が楽しいかもしれない。


 もちろん大河はそんなことを知らない。
 いつも早漏で(「早漏って言うんじゃねえ!」高須竜児:談)2回戦以降に真価があると信じ
て疑わなかった竜児――抑えの守護神、と崇めていた――が、今日に限って最初から耐久力抜
群で一体どうしたのか、と少なからず驚き、そのシャイな心が“う、うわぁ、かぁっこいいぃ”
と感動で震えていたのもまた事実。

 惚れ直した、という表現がまさにぴったりくる。
 女として自分を愛していてくれるとこんな奇跡も起こせるのか。という感動。
 感動ゆえに2回目以降がいきやすくなってしまったのもまた事実で、もちろんその自身の変
化も繊細な大河はしっかりと自覚していて、このうえない幸福感を感じていたのだった。
 曰く、愛って素晴らしい、などと。
 愚かしくも。

 でも、がんばる竜児を、4回目が迫った頃に気になりだす。

「はっ、りゅっ、りゅうじ?あんたは……?」
「んっ、んっ、大丈夫。まだっ」
「……?いっ、いくらなんでも、がんばりすぎっ!……じゃないっ?」
「はっ、まかせろ!お前はなにも考えずに気持ちよくなれ」
「えっ?はっ、そ、そんな?のって?あっ、あああっ!?」

 はい4回目。
 でも肩で息をしながらも大河は、さすがに違和感を感じ始めたのだった。

597俺にまかせとけ! ◆0/FKyHtS2M:2011/05/24(火) 22:51:48 ID:???
「ちょっ、あんた。竜児。……抜け」
「ん、なんだ?」
「抜いたら、そこに座んなさい」
「おう……なんだよ?」

 行為の途中で、……いやまあひと区切りついてはいたが、全裸で正座させられる男ほど情け
ない存在もそうは無いだろう。また、全裸で正座して問い詰める女というのもあまりカッコの
いいものとはいえない。

「あんた、どう考えてもおかしい。……なんでいかないの?」

 いかないのにこのカッチカチの小白龍(シャオパイロン)のままっておかしくない?などと大河はむ
にむに握りながら詰問。あっやめてっ!

 仕方なく、というよりも待ってましたと言わんばかりの得意げで、竜児は種明かしを始める。
ネットで目にしたこのメソッドによって、持久力が増すんだよ、と。
 どうしてそんな魔法のようなことが?と問う大河に、これこれと理屈を説明する。主成分の
リドカインってのがさあ?麻痺効能をもっていてさあ。

「な、なんだそれっ!!」

 大河はいきなりキレた。ぼろぼろ泣き始めた。なんだよ泣くこたないだろ?お、おい?と竜
児が驚いて慌てる。

 私たちはそんなこと気にする間柄なのかっ?私が……あんたのその……いわゆる……世間的
な用語でいう“そうろう”を一度でも責めたことあるかっ?バカにしないでよっ!!

「あんたにいかされたくてえっちしてるんじゃないよっ!」

 あ、ごめんごめんとキレたはずの大河がすぐ謝る。ごめんうそ。いかされたくないなんてそ
んなことない。あんたにいかされるのすごい好き。タンカ切ったけどそこだけ取り出して言い
返さないでね、と不思議な折れ方をする。

 あー、まあ。ようするに。

「薬物効果でいかされても、そんなの嬉しくないの。……あ、知らなきゃ嬉しいかな」

 微妙よねっ!?あんたどう思うっ?どっちなのかよく分からない。
 どう思うって言われてもな、いいのか気に入らないのか決めてくれよと竜児は困る。そりゃ
困るだろう。どこに線引きゃいいんだ?と思うから。

 イイコトしてる最中に、しかも4回もいかされた女がキレてるというのも普通はない。それ
で相対して、ベッドのうえで正座して文句が出ると言うのも。
 だがそれを言うのが大河と言う女であるし、それを聞くのが竜児と言う男。ふたりは絶対に
なぁなぁで流さない。だからこそ後に毛の先程も未練も遺恨も残さない。合意した以上は、死
んでも誠を貫くのだ。そのためにこそ、争う時は真剣勝負。……こんなエッチねたでさえも。

「お前、気持ち良くてなんの文句があるんだよ?」
「きもちいいことに文句なんてない!……麻痺効能ってのは……あんたがいきにくいわけじゃない?」
「でも累積していけばそのうち俺だっていけるわけだろ?互いになんの損もないだろ?」

 涙目の大河が、ようやく思いをまとめた。理屈ではいつも竜児にかなわない、情を理解して
もらう他にない。だが、今日のこの問題では、理屈で押す事が出来る。

「私はねっ、あんたといっしょにいくのがいちばん幸せなのっ!いっかいで、いいのっ!」

 竜児はそれを聞いてふにゃふにゃと負けを認めた。軍扇を一振りすれば全軍で大河の一味を
数分で蹂躙できる戦力を擁しながら、撤退した。
 しかし、それは敗走ではなかった。

 そうか。そうなのか。俺が悪かった。つか、だったら、もっと早く言えよ。気にしてたんだ
よ、俺がヘタだとお前は不満なのかって。……エロ虎。可愛い、俺の大河。

 わ、分かればいいのよ。ちょっとキレすぎて悪かったわよ。言い過ぎた。
 ね……いっしょにいけるように、もう一回してくれる?
 ああ、そろそろ薬効も切れるだろう。でもうまく合わせられるか保証できねえ。頑張るけど。
それでもいいか?いいだろ?

 いいよ。でも合わなかったらもう一回ね?私は4回いったけど、あんたは2回目になるんだ
から無理はないよね?
 おう、できるかぎり頑張るからな。

「ふふふっ、竜児。好き」
「おう、大河。俺も好きだよ」


 晩酌をしながらこんなの書いていたら俺(筆者)も心底ばかばかしくなってきた。そのあたり
はどうか理解をしてほしい。こんなオチでほんとうに済まないと思っている。


――END

598高須家の名無しさん:2011/05/25(水) 07:54:04 ID:???
いか〜ん!いかんぞぉ!ドーピングわっ!(え〜とメモ、メモ…)
確かに。でも、それが読みたいのです。
GJ!

599まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY:2011/05/28(土) 02:11:20 ID:???
アニメスタイルでハプニングセッ…ハッスルしたのでまとめサイト更新しました。
ねんどろいどぷちの大河が可愛いしブルーレイのアプコン情報も公開されるしあなるはかわいいし
もりあがってまいりました!!!

600高須家の名無しさん:2011/05/28(土) 08:23:51 ID:???
>>599
おつです!

アニスタ買い損ねました orz

601高須家の名無しさん:2011/05/28(土) 10:31:41 ID:???
いつも乙!
BD情報来てるのかぁ、俺も知りたかったw
いいんだ、絶対買ってやるし!

602まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY:2011/05/28(土) 16:42:35 ID:???
BD情報はこっちっす
ttp://ameblo.jp/bdmeister/entry-10904049017.html

特典はすごいのか…(;゚д゚)ゴクリ

603高須家の名無しさん:2011/05/29(日) 13:26:03 ID:???
まとめ人様更新乙です
BD特典……ねんぷち竜児だったりして

604123 ◆n0CyHpL66I:2011/05/29(日) 13:33:11 ID:???
豪華って言う位だから竜児、北村、櫛枝、亜美とかだろ

3体セット
①竜児、櫛枝、亜美
②木原、能登、独身
③春田、香椎、北村

とかでもいいかな

605高須家の名無しさん:2011/05/29(日) 15:10:06 ID:???
いやいやこっちでw

3体セット
①竜児、櫛枝、亜美
②木原、香椎、泰子
③田村、松澤、相馬

606◇oLWU/inCrU:2011/06/03(金) 02:51:45 ID:???
一言あとがき書こうとしたらバイさるくらったでござる…
すみません、他職人さんへのレスなども次回以降に。
まとめ人さま、お手数ですが、ミスしたレスは削除してまとめてくださると助かります。
いつもありがとうございます!
では後日ー

607まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY:2011/06/07(火) 00:04:25 ID:???
本スレ>>320を見て、ついムラムラしてやった。今は反省している。

608高須家の名無しさん:2011/06/07(火) 12:58:57 ID:???
ずれてるずれてるw
下2行上1行削って竜児の顔をほんの少し弄ってみました。

             /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
           /:::::::::::::::::} ::::::::::::::::::::::::::::::::トゝ
           /::::::::::::::::、::ヘ::::::::::::::::::ィ:::::::::',
          ノイ:::::::::/厶トハ:::::::::/厶」::::|:ト|
           | lヘ /V-。ミヽ:ハ //。--}ハN
           Vトハ{ `ー‐'  ` ー ' .|リ
            {ヘハ :::::    }   ::::: l'
              }:.、   、    ,   ,′
               N个 、  ̄   イl
              r<|   > < |‐- 、
              |  `ー‐┐ r‐'~ ̄}    _
             ,.人__    {  }  _ L 、 /´: : :\
           /     ̄`  く_ノ '´ , < {__: : : : : : ヽ
      _ .. -<           ○  /r :⌒: : : \⌒ヽ : : :\    
    r‐'                  { /: : : :i: : : : : : : : : :\:: : :}
   .}  ∧               |/: : : ,: :|: : : : : : : : : : : : : : {       
   |   ∧   !          /: : ::/厶|_: : : :∧:ヽ : , : : : :.|
   |     ヘ  |          }: :|: Ⅳ=、|: ! : :|⌒V、: }: : ! : |
   |      '  i          (_|: : !{"芹代ィ: : {ィ示ミy: : ::| : |
   |      } }  ,          {: .:r.{l ヾ= ' \jゞツY: : |: :| : |
   |      リ/          .∧: |: :ゝ:::::  '  :::::∠ イ: |: :} : |
    }      |          /: :.V ::::>  ` '  , イ l}:ノレ: : :ヽ
    |  :.    |          /:/: : : .:::,:⊥| `¨ {_:::::. : : : : : : : 八
    |   \  |          /::ル--っ: \〈    ノ`):: : r‐ 、: : : : : :、
    |    \人        /:// 二つミ: :r)ヘ ∠//7フ7二ヽ:_: : : ::\
    |   __` }       〃/ ,仁二) )乂ミl彡': : {  _ト┬ } ∨:::ト、: \
    | / ――L____ ノ// / r―'’v: : ゝV (: : : |三彡} と |  }: :| 〉: : }
   〔            //¨{  /  y _)ノY_入_/ V礀  ハ | l ∧ ∨: : /
     ト           /:′ !  }  |    厂「 } {Ⅹl    ',|./ /  }: : : /
    |          /: |  |___/|  l   , ′ | '、 ̄ !     }|_/ /: : :(
    `ー‐---=≧_(|: :{_O| /: :|  ! /   ,j  ', ∧   ハ: }/: : : : : :}
       |       ∧: :\「: :|  | /   / |   ', |\   〉: : : : :/

609高須家の名無しさん:2011/06/07(火) 13:06:06 ID:???
ttp://labo.koishikawachan.net/aatest.html
ここで問題がなかったから表示環境の方でずれてるのかなと。

いや、しかし大河は肩が熱くてたまらんだろうなあw
実乃梨あたりに「写メとるからもっと笑えーっ」とか言われてるところかな。

610高須家の名無しさん:2011/06/07(火) 19:01:14 ID:???
自分もトップページ、ずれてるなぁ。
ググったら、フォント指定されて無い様なので下記タグでAAを挟めばいいみたいっす。
<div style="font-size:16px;line-height:18px;font-family:'Mona','mona-gothic-jisx0208.1990-0','MS PGothic','MS Pゴシック',sans-serif;"> AA </div>
12px、14pxでもサイズ小さめ&ズレ僅かでいいかも。
ttp://momijiaoi.blog110.fc2.com/blog-entry-69.html
まとめ人様、いつもお疲れ様です!

>>609
そして二人はどんどん真っ赤になるとw

611 ◆x6jzI2BeLw:2011/06/08(水) 02:14:57 ID:???
本スレに上手く投下出来ないのでこちらへ。
転載してもらえると助かります。

612シンデレラなんかになりたくない9 ◆x6jzI2BeLw:2011/06/08(水) 02:16:14 ID:???

「メリークリスマス!!パンパン」
竜児が携帯電話に出るや否や、テンションの高い大河の声が返って来る。
「いきなり何だ?」
思わず携帯から耳を離した竜児はそう大河に問う。
「鈍いわね。楽しい、楽しいクリスマスに決まってるじゃない」
ちなみにパンパンはクラッカーの音だと大河は付け加えた。
「竜児、クリスマスのおめでとうは?」
「ああ、メリークリスマス」
大河に催促され、竜児はしぶしぶと言った感じで答える。
「何よ・・・その盛り下がったクリスマスは」
「仕方ねえだろ・・・おまえと一緒じゃねえんだから」
ぐじぐじという感じで竜児は現況を嘆く。
世間一般ではクリスマスと言う一大イベントで高揚していると言うのに、共に祝いたい相手は遥か彼方にいる。
竜児じゃなくても気分が落ち込むと言うもの。
「せっかくのイベント、そんな気分じゃ楽しくないよ」
盛り上がって行こうとあくまでもハイテンションを維持する大河。
そんな大河の声を聞いているうち、竜児も少しずつテンションが上って来るから、気分とは伝染する物なのかもしれない。


「ちゃんと用意した?」
「ああ、ばっちりだ」
そう答えた竜児の前にはクリスマスケーキを始めとしてごちそうが並ぶ。
そして電話を掛けている大河の側もまったく同じ構図が展開されていた。
「じゃ、行くわよ、竜児?」
「おう」
電話越しにお互い、グラスに注ぐコポコポと言う水音を聞く。
竜児はふたつあるグラスにシャンパンを等分に注いでいた。
大河も同じ様に目の前にあるグラスと、その向こうに置かれたグラスへシャンパンを注ぐ。
「それでは・・・かんぱ〜い」
大河はグラスを宙へ持ち上げる。
「かんぱい」
竜児も1000キロ離れた場所で大河と同じポーズをする。
竜児も大河も自分が持つグラスを目の前に置いたもうひとつのグラスに軽く触れさせた。
カチンと言う甲高い音がほぼ同時に聞こえ、お互いに相手が今していることを知る。

コク・・・コク・・・。
ゴクン・・・ゴク、ゴク・・・。

のどを通るシャンパンの音が大河にも聞こえ、竜児にも聞こえた。
その瞬間、ふたりは同時に相手の姿を目の前に思い浮かべる。
例え体は離れていても、確かにこの時間、心は相手の部屋にあった。

「・・・ふう・・・げっぷ」
「竜児・・・ムード台無し・・・うぷ」
「大河こそな」
炭酸入り飲料の一気飲みで、げっぷを漏らすふたり。

613シンデレラなんかになりたくない9 ◆x6jzI2BeLw:2011/06/08(水) 02:16:52 ID:???

クリスマスパーティをしよう。
そう言い出したのは大河だった。

「思えば・・・あんたとまともなクリスマス・・・過ごしてないのよね」
「ああ、確かにな」
「鳥どーんのはずが、竜児ってばインフルエンザで倒れるし」
「し、仕方ねえだろ、かかっちまったもんは」
お互いに笑い話にしているが、お互い心の中で別のことを思っていた。

大河がいないって気が付いて、大橋高校主催のクリスマスパーティを抜け出した竜児。
着ぐるみ姿になって大河の部屋を訪れて、そしてそのまま、大河に送り出されて櫛枝実乃梨の元へ駆け出してしまったあの時。
今、思い返せばどんな気持ちで大河は居たのだろうと竜児は悔悟の念が胸を過ぎるのを止められない。

これでいいんだと竜児を見送った大河。
でも、心は安堵とほど遠くて、どれだけ待っても安寧はやって来なかった。
それどころか、湧き上がる感情の奔流に大河は揺さぶられた。
そして、気が付けば竜児の名前を叫びながら駆け出していた。
あの時ほど、掴み取りたい物が掴み取れないもどかしさに身を焼かれたことはなかったと大河は記憶の断片をなぞる。


だから、今年こそは素敵なパーティを・・・と言うわけでごちそうを持ち寄り、それぞれ自分の部屋でケーキなどを突付いているのである。
「今、部屋の中を誰かにのぞかれたら、寂しい風景に見えるだろうな」
竜児が苦笑いしながら言う。
「・・・それは言わない約束」
大河も自覚があるだけに、ふたりでしている行為が寂しい部類に入ることを認めざるを得ない。
一人ぼっちでケーキを食べている光景なんて・・・人に見られたいもんじゃないと大河は思う。
だけど、そんなものでも大河はしたかったのだ。
竜児とてそれが分かっているから、大河の提案を拒んだりしなかった。

「ホントは竜児が作った物・・・食べたかった」
ローストチキンにフォークを突き刺し、大河は言う。
「おう、ここにあるぜ」
竜児の前に並ぶ料理の量は明らかに一人前を越えていた。
いないはずの大河の分も竜児はしっかり作っていたのだ。
「・・・竜児」
食べられないでしょ・・・と文句を付けられると竜児は思ったのだが、大河は違うことを伝えて来た。
「食べさせて」
「お、おう」
「何があるの?」
「何でもあるぞ」
「じゃ、チキンナゲットちょうだい」
「ああ、待ってろ」
竜児はお皿からチキンナゲットをスティックで突き刺し、そっと目の前の空中にかざす。
「ほら、ナゲット」
口を開けろと言う竜児の声に大河は「あ〜ん」と言いながら小さく口を開けた。
「味はどうだ?」
「ん・・・ちょっと塩味が足んない」
大河が口にしたのはローストチキンだったが、大河の舌には竜児が作ったナゲットの味が広がっていた。

614シンデレラなんかになりたくない9 ◆x6jzI2BeLw:2011/06/08(水) 02:17:37 ID:???


「そうだ、荷物着いたか?」
「うん、昨日」
「サイズとか、大丈夫だったか?」
「ぴったり」
「なら、良かった」

昨日、学校から帰宅した大河は竜児から宅配便が来ていると知らされ、うがいもしないで部屋に駆け込んでいた。
調味料の空き箱を利用した入れ物が大河には宝箱に見えた。
竜児らしく几帳面に梱包された箱を空けると中から出て来たのは手編みのセーターだった。
大河はそれを取り出すと、衝動的に胸元で抱き締めていた。
まるでセーターが竜児であるかのように頬を寄せ、大河は目を閉じる。
・・・竜児。
ベッドの縁に背中を預け、大河はセーターをぎゅと抱いて、しばらくそのままの姿勢で動かなかった。

「普通、逆でしょ」
大河としてはそう言うしかない。
「そうか、俺は気にしないぞ」
「私は気にするの」
彼氏に手編みのセーターを贈られる彼女ってどうよと大河はもう笑うしかないのだが、素直に感謝の気持ちは竜児へ伝える。
「ありがと、竜児・・・大事に着るね」
そう言った大河は今もそのセーターを着ているのだ、わざわざ部屋の暖房温度を下げて・・・。

「大河からのプレゼントももらったぜ」
「あいにく、手編みじゃないけどね」
「暖かそうな手袋じゃないか・・・大河が選んだんだろ、これ?」
「そうよ・・・時間が無くて適当に選んじゃったけど」
「これなら、手が凍えないで済むな・・・ありがとな、大河」
「・・・うん」

良かった・・・気に入ってもらえてと大河は胸を撫で下ろす。
竜児には適当に選んだと言ったものの、本当はお店を何軒も回って決めた物だった。
プレゼント用と聞いてラッピングしますかと言うお店の勧めを断って大河はそのまま手袋を持ち帰った。
自分の手の平よりふたまわり大きいサイズの手袋。
大河はそれを手にはめて、両手で自分の頬にそっと触れた。
そうするとまるで竜児の手が伸びて来ている様な錯覚に大河は襲われる。
そのまま大河は両手を頬から下げると胸元で交差させた。
ふっと小さな息を漏らした大河。
やがて大河は自分の腕に力を入れ、自分で自分を思いっきり抱き締めた。

そんな大河はひとつだけ竜児に内緒にしていることがある。
竜児へ贈ったクリスマスプレゼントの手袋がペアルックだと言うことを・・・。

615シンデレラなんかになりたくない9 ◆x6jzI2BeLw:2011/06/08(水) 02:18:42 ID:???


「まだ、大事に持ってるよ、竜児のセーター」
「いい加減、ぼろぼろじゃねえのかよ」
「ちょっとほつれてるけどね」
「そう言えば俺もあるな・・・大河からもらった手袋」
「・・・少しは練習したから・・・今度手編みにチャレンジしてみる」
「大河がくれる物なら何でも嬉しいぜ」
「竜児、さっきから口数が多い・・・」
「そういう大河こそ」
「・・・き、緊張してるのよ」
「いよいよ・・・だもんな」
ドレス姿の大河は少しだけ固い表情で竜児を見る。
「・・・竜児」

式場の係員がスタンバイOKと伝えて来る。

「大河・・・深呼吸」
そんな大河に竜児は落ち着けとアドバイスする。
「うん・・・すう〜すう〜すう〜・・・うぎゅ」
「息、吸い過ぎだ、ドジ」
吸い込み過ぎた息をゲホゲホと言いながら大河は吐き出す。
「あ〜もう」
この大事な席で何やってんだろと大河は自分の頭をポカリと小突く。
「でも、リラックス出来たじゃねえか」
「あれ?ホントだ」
さっきからバクバク言い出していた心臓の鼓動が落ち着いて居る事に大河は気が付いた。

・・・高須様、どうぞ。

タイミングよく、ゴーサインが出る。
ガチャと音を立てて木製の扉が大きく開け放たれる。
一歩、踏み出した大河と竜児にきらめく陽光が降り注ぐ。
建物の階でまぶしさに大河と竜児は立ち止まる。
スピーカーを通して聞こえて来る司会進行の川嶋亜美の声。

・・・新郎、新婦の入場です。みなさま、拍手でお迎え下さい。

パチパチと手を叩く音が前方から竜児と大河へ届く。

「行こう」
「うん」
竜児の声に大河は小さくうなづくと手を竜児へ伸ばした。
竜児はそんな大河の手を取ると短い階段をゆっくりと降り始める。
そこは屋外にあるガーデン形式の会場・・・竜児と大河の進む真正面に見える式台。
その式台へ向って階段下から敷き詰められたレッドカーペットが大河と竜児の歩みを待っている。
カーペットの両脇に並べられた椅子に座っていた人々が一斉に立ち上がり、ふたりがやって来るのを待つ気配。

階段を下まで降り切った大河と竜児はそこで一度立ち止まり、ふたり揃って前方で待つ人々に深々と腰を折った。

・・・今日を迎えられたのは・・・ここに居るみんなのおかげだ、そうだろ、大河?
・・・そうね・・・みんなで幸せにって誓ったよね・・・みんな居るよ・・・ねえ、竜児。

大河は押し寄せる高揚の精神波に世界中でいちばん幸せな気分を味わっていた。


今回はここまでです。

616 ◆Eby4Hm2ero:2011/06/09(木) 13:17:02 ID:???
本スレに大作が続々と……皆様方GJ!

そして私は規制中orz

617とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero:2011/06/09(木) 13:18:06 ID:???
お題 「へえ」「違う」「うまく」



「たっだいま〜」
「おう、お帰り大河」
「はい竜児、おみや〜」
「おう、サンキュ。ホテルのレストランなんて、そうそう行く機会ねえからなあ……」
「ぷっくくく……」
「な、なんだよ」
「だって、竜児へのおみやげがドギーバッグなんて……ぴったりすぎて……ぷぷっ……」
「ほっとけ。で、どうだった?」
「んー、みのりんもばかちーも元気だったわよ」
「おう、そいつはよかった」
「ばかちーってば、今度映画の主役やるんだって」
「何!? マジか?」
「マジ」
「へえ……あいつはどんどん凄くなるなあ……何かお祝いでも贈るか」
「あ、それならうちでホームパーティでもやらない?」
「おう? なんでだ?」
「普通のプレゼントなら、もうあちこちから貰ってそうじゃない? それに、今ならスケジュール調整の関係でちょっと暇があるんだって」
「なるほど……そいつはいいアイデアだな」
「でしょでしょ。みのりんもばかちーも久しぶりに竜児に会いたがってたしね」


「櫛枝、川嶋、ちょっとこのテリーヌも食べてみてくれねえか?」
「どれどれ、いっただきま〜す」
「……! ひょっとして、これって……」
「おう、この間大河が持ってかえってきたやつをさ、自分なりに再現目指してみたんだけど……実際に食べた事ある二人から見てどうだ?」
「うっまあぁぁい! でも……」
「んー、そうね、再現というにはちょっと味が違うかしら」
「おう、そうか……やっぱそう簡単にうまくいくもんじゃねえか」
「あー! みのりんとばかちーばっかりずるーい! 私もそれ食べるー!」
「おう、大河……ほれ、どうだ?」
「んー、美味しい! この間のホテルのやつよりこっちの方が好きかも」
「……ねえ、高須君」
「おう川嶋、何だ?」
「ひょっとしてさ……殆ど無意識に大河好みの味付けに変えちゃってるんじゃないの?」
「!」

618 ◆oLWU/inCrU:2011/06/21(火) 20:32:29 ID:???
数レスお借りします。
気になると言ってもらえたので、ボツにした能登バージョンこちらに置かせてくださされ。
大筋は本スレの話とまったく同じです。


『永遠の昼(能登かわいくないよ能登Ver.)』


 風爽やかな初夏の校舎裏、ベンチで仲良くお食事中の影が二つ。
 やがて長身の影が手際よく弁当箱をしまうと、小柄な影がぺそっと肩にもたれ、そのまま彫像のように動かなくなる。
 それから、しばし。


          # # #


「どした?」
 図書室からの帰り道。校舎裏の角に下級生が溜まっているのを見つけ、能登久光は何気なく声をかけた。
 するとあっという間に囲まれて、「物置きから備品を取りたいんですが……」「お邪魔するのが怖くて」「もとい悪くて」「恐れ多くて」などと口々に言い募られる。
 どうも要領を得ないので、指差された方向を覗きこむと、そこには。

「──うひゃー。」

 ヤンキー高須こと高須竜児と、手乗りタイガー逢坂大河が、まるでペイネの絵のように寄り添う後ろ姿があった。
 普段あからさまにベタベタしない分、こういう所で補っているらしい。
 こっそりイチャつくのは結構だが、うっかり見てしまった時のダメージたるや。
 ──ちくしょー、高須羨ましいよ高須!
 リア充を爆破すべく、能登は危険を承知で本を盾にベンチへ歩み寄り──
「……!」
 とっさに声を飲んで、そうっと前に回りこむ。

 ちょいちょい、と手招きをすると、下級生たちは恐る恐るこちらに近づいてきた。
「……寝てる……。」
 誰かが思わずそう呟き、慌てて口元を覆う。
 片手の指を絡めて握りあったまま、二人はぐっすりと眠りこんでいた。
 竜児はまるで宝物を手にした少年のような表情で。大河もめったに見られない柔らかな表情で──ただしいかにも昼食後らしく、竜児の学ランに涎のしみをくっつけて。
 そこには、かつて“大橋高校の魔界コンビ”などと称された面影は微塵もない。

619 ◆oLWU/inCrU:2011/06/21(火) 20:35:24 ID:???
 能登が「今のうちに済ませろ」とジェスチャーをすると、下級生たちは我に返ったように数メートル先の物置きへ、物音を殺して入ってゆく。
 彼らが製図用の大道具を担いで立ち去るまでの間、能登はシャッター音で驚かさぬよう、少し距離をとってから二人の姿を携帯カメラにおさめた。
 すぐさま悪友たちに『爆睡カップル:略してバカップル@校舎裏』なるタイトルで一斉送信。
 昼休みは残り10分ほど。他の誰かがやってきたら、早速起こして一緒にいじり倒すつもりだ。リスク分散、賢い投資。
 それまでもう少しだけ、二人に穏やかな微睡みを。

 斜向かいのベンチに寝転がると、能登は持っていた短歌集を日除け代わりに開いた。
 ぺらぺらとめくるうち、とある歌に目を止めてクスッと笑う(かわいくない)。
「……『プレンソーダの泡のごとき唾液もつひとの傍に昼限りなし』……ねぇ。」
 刹那の恋を詠んだ歌だが、目の前のこの二人には、“昼”のような明るさと暖かさが、永遠に続くことだろう。
 何故なら、高須は本当に良い奴で──タイガーはその良い奴に惚れた女の子なのだから。
「……でもさ、妬けちゃうよ高須。妬けちゃうよ。」
 いつかは自分も、こんなふうに誰かさんと手を取り合ったりできるのだろうか。
 気の強い澄まし顔がちらっと脳裏に浮かび、思わず溜め息をつく。
 どうやら先は長そうだ。

「あっいたいた! 能登っち〜〜〜!」  校舎の裏窓から、メールを見たらしい春田が空気を読まない大声でこちらに手を振ってくる。
「高っちゃんとタイガーまだ寝てる〜!?」
 ──馬鹿!シーッ!シーッ!!
 慌てて合図をするも既に遅し。竜児が煩そうに肩を震わせて。
 仕方なく冷やかしの文句を考えながら、能登はその目蓋が上がるのをニヤニヤと待ち構えた。


        《了》


叙情性がなくなっちゃうのでボツにしましたが、能登のままでも良かったかな…?すまん能登。
気になると言ってくれた方に捧ぐ。ありがとうございます!

620高須家の名無しさん:2011/06/21(火) 21:13:02 ID:???
おおお、能登ver.ありがとうございます。
確かにこの短さだと文学少女・香椎という方がモチーフには合っていて完成度は高いかな。
でも個人的には能登の思いにリレーして少々の泥臭さあるこちらが好きです。
先は長そうだって(能登にしては)前向きなとこや春田が1番ギャラリーなとこもね。
乙でした!

621高須家の名無しさん:2011/06/21(火) 22:12:10 ID:???
うわぁ、言ってみるもんだ。ありがとう。私は能登verに一票ね。

能登がらみの(かわいくない)とか、「高須、心配だよ高須」とかは、やっぱり「能登かわいいよ能登」から来ているのかな。

622高須家の名無しさん:2011/06/21(火) 23:28:04 ID:???
同じく能登verに1票!スピンオフ3に繋がるところに、
2828しました。

623高須家の名無しさん:2011/06/22(水) 21:50:25 ID:???
おお、能登verも読めるとは…!
優しさに満ちた奈々子様verも素敵ですが、こちらは能登自身のドラマも絡み、より瑞々しくていいなあ。能登がんばれ能登
寄り添い寝てるだけなのに竜虎カップルの幸福オーラたるや。本当にかわいい。写メ送ってほしいw
ドタバタな締めもとらドラ!らしく。GJでした!

624 ◆0/FKyHtS2M:2011/06/22(水) 23:52:26 ID:???
ラブラブセックルしてるのに前よりエロ度ゆるめの変なのを投稿させて下さい。

【タイトル】秋への brilliant road
【内容】ガチエロコメです。本番あり、というかメイン。例によって竜虎ともども重度の浮か
れポンチ状態でコメディ寄りです。他では大河のおっぱいにこだわってみました。趣味に合わ
なそうと思われる場合はご注意ください。
タイトルが内容にそぐわない清々しさですが、虎の重さこの手に抱いてgo far away な竜児を
気に入ってもらえれば幸いです

↓7レスほどいただきます。宜しくお願いします。

625秋への brilliant road ◆0/FKyHtS2M:2011/06/22(水) 23:54:20 ID:???

【これまでのあらすじ】親元で一年を過ごし進学した逢坂大河は大橋の町に帰ってきた。高須
家から徒歩3分のワンルームマンションで独り暮らし。ぶじ嫁入りのその日まで!などと大げ
さな話は置いといて瑣末事を綴ったエロコメディ(要するにアニメ版アフターです)
 恋人以上夫婦未満。19歳になった逢坂大河と、来月19歳になる高須竜児。
 “平日はエロごとを自重しましょう”という制約を解放しても良いとふたりが暗黙に決めて
いる休日がまたもやってきて、今回のブリリアントバカップル話が始まる。

****

 掃除掃除大掃除〜。午後はあっちに行ってるからな〜。と竜児は泰子に告げて、大河の暮ら
すワンルームマンションを訪れていた。
 嘘ではない。もちろん道具を持ってきて実際に掃除(部屋の)をする。
 するのだが、近頃では部屋の主が前日辺りまでに掃除(部屋の)を済ませているため、さほ
どの時間はかからない。それでも竜の目は見つけて、なにかと綺麗に掃除(部屋を)をする。
しまいにはベランダの排水溝辺りにまで目を付け掃除(排水溝の)を始めたりして、半笑いの
大河に「あんた何しに来たの?」と。
 そんな、こんなで、大型連休前。ぼやっと薄曇りな休日の昼下がり。
 いっしょに出かける用はなく、朝食昼食家事とひととおり済んで、夕方の買い物まではふた
りっきりとなっていた。
 竜児は胡座、大河はちょっと伸びて正座。寄り添ってすわり、淹れたお茶を飲んでいろんな
話を。日々の暮らしのことや、学校でのこと。お互いが離れていた間に何があったかを思い出
して。もちろんくだらないネタトークだってする。
 それがいつものように将来の夢の話へとつながっていくと、本当の家族になりたい思いはた
くさん湧くのに、まだそれに見あう具体的な姿までは描けなくて少しの不安も呼び覚ましてし
まうから「ねえ?」「ん?」「ほら……」「おう……」会話が短くなる。
 それが途切れるたび、手を握りあって。指を絡ませて、顔を寄せる。
 視線をあわせずに頬と頬をつける。満たしたいと思う。
 もっと、もっと触れたくなって、空いた手で互いの髪や耳に、肩や胸に触れあう。
 頬に唇で触れて、唇で瞼にも触れ、次第、次第に座っていた脚が崩れて、唇が唇を求めて触
れ始めると、おもしろいぐらい気持ちが高ぶりだした。
 つまらない不安が消えていき、お前が、あんたが、ここにいると。刻みつけられていく。
 着ていたものを交互に脱がし始めて、きょうはどちらから駈け出すのだろう?
 大河の身体からうっすら花の香りが立ってきて、竜児の意識からも、大河の意識からも、今
だけは家族のように思う気持ちを追い出した。
 息を熱く感じあいながら、脱がされて、舌を絡ませて。喉を鳴らし手を差し込んで肌に触れ
て、その感触に後押しされるようにまた脱がして。何度めかの。頬に掌を当てて、互いをしっ
かりとつかまえて、いつまでも貪るようなキス。
 やがて濡れた唇を離し目があうと、もう止まらない。
 彼氏は彼女を、半身を預けていたベッドに抱え上げて、そっと横たえる。
 口の端をついっとあげた竜児は、んっふ、と息づかい。
 ――掃除……しねえとな?
 眉の端をくいっとあげた大河は、ふひゅっ。
 ――ばぁーか……

 竜児は前戯が割と念入りなほう。
 とはいっても、性格に少し偏執的傾向があるのとは関係なかった。単にいちゃいちゃするの
が好きで、大河とも好みがぴったり合っているだけ。

 そろそろかな?と思った竜児は、結構な時間、オモテウラと念入りにちゅっちゅレロレロし
ていた大河に密着させていた身体を起こした。
 はっふはっふ息を荒くして仰向けに横たわる小柄な彼女は、でもまだ1回もいかされてはい
なかった。ひとりだけはつまんない。いっしょにいきたいという嗜好を、竜児は何度も肌を合
わせるうちに分かって、大河が切なくてつらく感じる直前でちゃんと留めている。
 傍らに置いたスキンを手に取り、準備も済ませたこのとき。

626秋への brilliant road ◆0/FKyHtS2M:2011/06/22(水) 23:55:55 ID:???
 大河のすらりと伸びた脚をM字にたたみ、折り曲げた膝を抱えて自分の肩に宛て……という
ときに竜児は、シンメトリなMの真ん中を凝視して動きを止めた。
 そろーり……と後退して、土下座をするように背を屈め、大河の恥っずかしいその部分を、
凶悪な目をこらして眺めている。なんだろ……?も一回お掃除するの?と、いい具合に高まっ
た大河が首だけ起こして股間を見やると、それはこんなタイミングに似つかわしくない、びみ
ょーぉな表情と目が合った。その竜児の口が動いて。
「なあ……?」
 なにっ?なんかやばいっ!?大河の勘はよく当たる。悪ければ悪いほど。
「ここの毛、こんなに薄いんだっけ?」
 ……とか。ふと気になってよ。
 大河は眉を八の字にして困惑する。なに……言い出す気なのか。
 薄いと言われれば、それは確かに薄かった。
 髪の毛はいわゆる猫毛で細く、それに応じて細い。密度も薄い。加えてやはり髪と同じく色
も淡い。ぽやぽやっと覆っている程度で、生えている範囲も狭かった。実はムダ毛処理という
行為を大河はこれまでの人生において一度もしたことがない。
 だけど。竜児は何度も見たことがあるはずだった。この生え方が好きだと言われた。なぜ今
日になっていきなり気にしてるの。
「ほら。前にこのへんが『ぼーん!』とか言ってた……よな?」
 急に思い出してさ。と竜児は真顔。
 よりにもよってこんな時に何てことを。しかも半端に思い出すのよ?
 大河は全貌が見えて、ああ、と納得しながらも内心でボヤいた。仕方なく仰向けに寝たまま、
脚をM字にしたまま。ひざの間に竜児の顔を挟んだままで動作に及ぶ。
 ささやかな膨らみの右乳の辺りで右手を開き「ぼん!」
 同じく、ささやかな左乳の辺りで左手を開き「ぼん!で、」
 竜児の顔の真ん前に両手を持っていって重ねて丸めて、思いっきり開いて見せた。
「っっぼぉんっ!」
 おおうっ!?
 それで竜児の深層記憶は正確にデフラグ完了。
「すまん。馬鹿なこと訊いちまった。悪かった……」
「……私ゃなんでこんなときに他の女の股間を想起せしめられねばならないのか」
「ごめんな。ほんとに錯覚しちまってた。あれ?大河の言い分だともっと毛深くなかったかって」
「あんたの脳裡に見たことないばかちーの股間イメージが今あると思うと死にたいわっ」
「そ、そりゃ考えちゃうけどよ、心配すんな。映像の元データはお前しかないし」
 そんなのさらに酷いじゃんよっ!うおっと!そうだった。悪りぃ悪りぃ悪りぃっ!
 なんという墓穴。
 もうほとんど浮気バレ亭主。
 瞳孔を開いて黒目がちにして拗ねる、横を向こうとする大河をずり上がって優しく抱きなが
ら竜児は必死に謝っていた。
 ただ、拗ねまくる大河を目の当たりにしても、挿入直前のタイミングではあったから、男と
しては謝るより先にすることがある。大河を蕩かせる重要攻略拠点はとうに知っている。労を
惜しまずもう一巡してお互いの平和と幸福を取り戻さないといけない。
 ていうかこれが好きだから、労だなんて竜児は全く思っちゃいない。
 なあ〜?ちゅっちゅっちゅ〜のちゅっ。
 なあ〜?ちゅうちゅうちゅう〜のちゅう〜。
 指も……吸っちゃうぞ?手ーちっちゃいなー。
 その次は、脇なー。乳も揉むぞー。
 もう〜、しょーがないなあ〜♪と、中指をちゅぽぉん!と思いっきり吸われた辺りで、大河
が黒目がちな瞳を元に戻すまで約120秒。
 すねてしたっていいじゃない。とらだもの。たいが。

 また念入りにちゅっちゅレロレロされて、ほどなく大河の息が荒くなってくる。途中だった
し。やっぱりいいものはいい。切ない気持ちがたまっては自然に腰がくねる。
 好きな男の子が嗜好を分かっていてくれて、ディナーコースを味わうみたいに、よく見なが
ら、手を引いてじっくり合わせてくれてる。それが義務感ではなくて、好きでやってくれるの
も分かるから……。

627秋への brilliant road ◆0/FKyHtS2M:2011/06/22(水) 23:57:48 ID:???
 だからこの時間は好きなのよ。
 ゆっくりゆっくり高められて、追い立てられたりしない、こんな時間が。
 そうしているうち、もっと好きな時間もやって来る。入口でくりくり馴染ませられて、急に
がまんできなくなってくる。
 でも、あんまりきもちいいよ!って知らせちゃうと竜児の方もがまんできなくなってしまう
から、出来るだけ普通に。そうやって抑えているとどんどん、どんどん自分の中に切ない圧力
がたまっていく。
 うっんっ!?
 ずにゅるってカンジで、入ってきた。
 いつものように、挨拶代わりな意味で、きゅっと締めつけてみる。最近はもう驚かないのか
「おうっ!?」って言わなくなった。ゆっくり、浅いとこを進んだり引いたりしている竜児と
目をあわせて、どーぞ、と。緩めてやって奥に迎え入れる。
 ぴったりと収まって、お互いにふーーっと息を継いで。目があうとしぜんに頬が緩んでくる。
大河が笑みとともに伸ばす両手の間に竜児は身体を沈める。 

 入ったとき一瞬だけ、大河は泣きそうな顔をした。
 最初の何回かは痛いのかと思っていちいち訊いた。たとえ痛くても言わないでがまんするや
つだから。そのうち泣き顔なんかしていないっ痛くもないっいちいち訊くんじゃないっとキレ
られた。単純にそういうクセかもしれねえ。
 俺はその顔が好きなんだ。
 かと言って、まさか泣かせて見るわけにいかない。そもそも近頃の大河はめっきり泣かなく
なって、それは良いことだが、「あ、泣く?」って顔を見て刷り込まれた俺にとっては、こん
な時にでも見られるのはひそかに楽しみだ。ただ、腰をあわせると、それを抱きしめながらは
見られない。身長が違いすぎて大河の顔は俺の胸元に来てしまう。
 見たくていろいろとやってみて、いまはこれかなと思う。
 落ち着いたら、ぴったり合った胸を離して、大河の肩や頭でなく、もっと下。肩まわりより
もずいぶん細い腰に手を回す。その華奢なつくりに触れるたび、本当に同い年なんだろうかと、
ちょっとした罪悪感も湧く。けどだいじに触るからな。許してくれな。
 腰を抱いて少し起こすようにすれば背が弓なりに反って表情を見られる。
 大きく動くよりも浅いところを小刻みにいじめられる方がいいみたいで、その方がやり易い
というのもあった。そんなふうにいじめていると俺も保つし、ちょっとずつ大河も良くなる。
上体がフリーだから、どんなリアクションをするのか見ることもできる。

 竜児が私の腰を抱えて遊んでる。
 浅いとこを攻められてるとジワジワきもちいい。……ほんとは思い切りのしかかって、押し
つぶすように重みをかけてほしい。ぴったり包み込んで、ぎゅうっと抱きしめてほしい。そう
されたら、深いところもじんとしてきて、たぶん、すぐ。
 でもそれじゃつまらない。竜児も、やっぱりそんなのだけじゃつまらなく思って、急いでし
なくなったんだと思う。
 どんなふうにいじめて気持ちよくしてやろうかって考えた。どんな感じにいじめられるのか
想像してわくわくした。怖くて緊張するだけと思っていたのに、いちど橋を渡ってしまうとこ
んなにおもしろいなんて。
 ゆっくりいっしょに山を登って行くような感じのこういうのも好き。腕も自由で竜児にさわ
り放題の吸い付き放題、よくなってきたらそのまんま休めるのも。
 そうなんだけど。
 ゆっくりとは言ってもちょっとずつは登ってるわけで。も……もどかしくなって……きちゃ
うのよ。いずれ。この切なさに耐えても、それは見つけられてしまう。
 意地悪されてじっくり眺められてしまうのか、乗って、いっしょにペース上げてくれるのか
は竜児の気分ひとつ。どっちに舵を切ってもいいから、い、いいんだけど。いいけど。
 ずん、といきなり奥を突かれて、喉から悲鳴が出そうになった。
 それを抑えて、夢中でしがみついた。広い肩ごしに手を回し切れなくて、肩甲骨のくぼみに
指をひっかけてつかむ。爪……整えてあったっけ?刺さらないよね?って考えもすぐに飛んで
いき、汗がじわっと浮きかけた薄い胸板を引き寄せる。ぴとっと頬をつけ、口をつけてちゅう
うっと吸いついてみたら、んんーっとくすぐったそうに唸る。
 いつもは考えない、考えたくないことがこんな気持ちになるとどうしても浮かぶ。
 なんできもちいいんだろう?好きだから?竜児だから?

628秋への brilliant road ◆0/FKyHtS2M:2011/06/22(水) 23:59:49 ID:???
 他の誰でも、いいの?ママみたいに?こんなに好きなのに、嫌いになる?
 私はこうだ。幸せでも、きもちよくても、喪う怖さを先に感じてしまう。奪われるならまだ
戦おうと思えるだけいい。自分から棄てようと思えるときが来るのが……怖い。まだ。
 少しだけ怖くて、でもこうしていれば……だいじょうぶ。お願いだから。
 ぎゅっとしがみついて、瞼に当たる骨の感触。ここにいる現実。
 竜児の鎖骨。
 上を向いて、夢中でちゅうちゅう吸うとかすかに塩の味がして、欲が抑えられなくなる。
 牙を打ちこんで、引き裂いて、食べちゃいたい、という欲。私のものになってよ、お願い。

 最近になって、大河は噛むようになった。
 まさか食べることはできないが、高まりのたび思わず竜児を噛んでしまう。やばいおかしい
と本人も思ってはいて、かぷっとあま噛みのつもり。
 それでもときどきは力の加減を間違えてしまうらしく。
「……っ!」
 竜児が痛がる。
「……ご……ごめっ。痛かっ……た?」
「気にすんな。噛め噛め。いくらなんでも食いちぎりまでしねえだろ?」
 ずん。
 かぷっ。
 ……っっ!
 ぐぐっ!!
 ん?
 ぐぐっ。って……なに?
 痛くないように気をつけてあま噛みしてもそうはならない。竜児ははぁはぁ言って、また予
期しないタイミングで、ずん!ああぅっ!って感じで思わず、今度は肩に噛みついてしまった。
かぷっ、じゃなくがぶっっ!と。
 うわ、相当痛かった?
「あっ……つっっ!」のあと少しの間があって来た。ぐぐっ!!と。私の奥を広げる感じに竜
児が大きくなりながら、びくん!と大きく震える。
 間違いない。連動してる。こんなのって?
「いっ……いくの?」
「いや……ま、まだだけど?」
 すーーっと引いて、また浅いとこで遊んでる。よーく見ると目の周りを染めてマジ顔だ。
 きもちいいんじゃん?なんでごまかすの?
 これは確かめてみないと!とムラムラしてくる。ごまかされるのはいや。隙をみて、がぶっ。
ぐぐっ!!と入口が広げられて、あ、おっきいっ。
「ちょっと……!もしかして、あんた。噛まれると……いいの?」
「……へ」
 なんだろう?なんでそんなに決まり悪そうな顔に。
「へ?」
「変態だとか言うなよな?……おう、そうだよ。いいよ」
 ……変態じゃん。まごうことなき。
「い、痛いんでしょ?それなのに?……まさかド」
「ドMじゃねえ。そんなんじゃねえって」
 竜児は、仕方ねえ、というふうで、ちょっと恥ずかしそうに語り出した。
 俺は、乱暴者だった頃からお前のことが好きだった。乱暴で凶暴だけど他がいいから、じゃ
なくな。でも、近頃はすっかり角が取れて素直で可愛くてさ、それももちろん好きだぞ?でも
凶暴なお前をなかなか見れなくなったなあとか。さ。
「すこし寂しく思ってた」
「そ、そうなんだ……だって暴れる理由なんかもうないし……こ困るわ」
「理由もなく暴れられたら俺だって困るわ。そうじゃなくてよ」
 よくなるとガッと噛まれる、ってのがさ。その……凶暴さが消えたわけじゃないって分かっ
てからさ。……俺には……いいんだよ。なにかと言えば暴れていた頃のお前と……こんなこと
してるみたいな気分にちょっとなれて。
 分かるような分からないような。
 こんな時に微妙な話を始めるべき?とも思うけど、どうにも気を削がれて、聞きたくなって
しまった。

629秋への brilliant road ◆0/FKyHtS2M:2011/06/23(木) 00:01:26 ID:???
「変態とはちょっと違うみたいだけど……別の危うさを感じてきたね?」
「なんでだよ?」
「だってあんた……あの頃こんなことしたいって。妄想してたってことに、なる……じゃん」
「おう!……し、してたよ。悪いかよ。……もし本気でしようとしてたら、お前だってさ」
「あ、開き直った。……噛んだかも、ね。本気の力じゃかなうわけないから……ね」
「ただ、思うのとできるのは別だからな。お前だって気づかなかっただろ?」
「そうだけど……おっそろしいカミングアウトだわ。なんか心臓バクバクなってきたよ」
 あの頃の私の貞操って、あんたの性欲ひとつに左右されていたわけか。うわっ!怖ぁっ♪
 なんてね。
 そんなこともね。べったり縋っていたら、いつかそうなるかもしれないのかなぁくらいはね。
考えてたよ。そしたら……。教えないけど。
「そう……だよな。そういえばいちいち釘刺されてた気もするな、俺」
「怖いってのは半分うそだけど……ところでさ?」
 話し込んでる場合じゃないよ?ときゅいきゅい締めてみた。ふひっ♪
 ふにょふにょになっちゃってるよ?
 うぉっ、やべえ!漏れ出てねえだろうな?我慢汁だって妊娠することあるらしいからな!と
慌てて竜児が抜き去った。あー、馬鹿な質問しちゃったから、また中断。
 でもいいや。これも、あれも、竜児といっしょにすることはぜんぶね。大好き。さっき怖い
って思えたことも飛んでった。ただ、大好き。

 お互いいきかけだったから、もう一度抱き合っていたらすぐに竜児の準備はできた。スキン
着け直して、さっきのつづき。今度は余計なこと考えないでしようねと申し合わせて。
 でもやっぱり大事なことがひとつ。
 よくなってるのを悟られると、竜児の方がもたなくなっちゃう。これは、どうしても慣れな
い、我慢できないことらしい。
 だから、最後には体重を預けてもらって、押しつぶしてもらえていっしょにいける、いつも
のやり方を期待して、私はできるだけ普通にしていよう。その辺を気取られないように。
 ……それでも、今日はずいぶんと竜児の方が早そうな気配。
 二度も中断したせいなのか、さっきもう限界だったのか。噛みついたのがいけなかったのか。
とにかくつながったままちゅっちゅしてくれたりの余裕は全然ない感じで、私の方から何かす
るとトリガーになりそうで、どうしよう?
 大河……今日はどうしたんだ?といきなり竜児が訊く。
「どうしたって、どういう意味?」
「妙によさそうで……そんなの見せられると俺、我慢できねえ」
「かっ……変わんないと思う……けど?」
 いろんな、余計なことをやっぱり考えてしまう。顔に出てるんだ?と大河は思う。さっきの
もしも、の話のせい。竜児も同じように興奮してるんだろう。
 二年前、出逢ったのもこの季節だった。
 私、そのときと同じ貌(かお)をしている。同じ貌に見えている。おそらく。
 私の目にも竜児がそう見えてしまっていた。そばに居るぞ、と告げられたあの顔がすぐそこ
に見える気になってる。
 こんなことをされる、恐怖と、予感と。教えられない、伝えられない心も混じり合った、現
実の貌とあの時の区別が曖昧になってる。
 それをいいって、よさそうって思ってくれる。
 あの時ちぎれそうだった気持ちは、綺麗に縫い合わされて、今は痕すら残っていない。
 だから……今こうしてるんだよ。めんどくさいよね?私ってさ。
 大好き。
「がまんすんな……エロいにゅ。心配いらないよ」
「もうちょっと、ゆっくり頑張るからよ……」
 大好きだよ。
「いい……んだよ。わ、私とえっちできて……嬉しいでしょっ?竜児っ」
 でも、とまだ男のメンツにかけて言い淀む竜児の前で、抑えるのをやめた。
 見てよ。
 見ればすぐに分かるでしょ。あんたにこんなことされてどんだけ幸せか。
 好きなとき、好きなようにいけっ!背中をつかんだ指に力を込めると、ようやく。おうっ!
と返事されて、肩越しに頭ごと抱かれて上体に竜児の重みがかかってくる。
 きっつい。きつくて……いい。

630秋への brilliant road ◆0/FKyHtS2M:2011/06/23(木) 00:03:17 ID:???
 同時に深く挿しこまれて奥を強く突かれる。お腹に響いて、波が頭にまで駈け上がってくる
よう。うん、私も……。追いつける……かも。
 ふっっ!んあっ!って首が上に反って、声も漏れる。これが竜児にとってもトリガーになる。
もう意識もしていないのにお腹が震えて、脚をくるんと竜児の腰に回して、つかんで、自分か
ら押しつけてしまうのも止められない。
 ふっ、もうちょっとっ、んくっ、どっちが先か。ギリギリな今日は運まかせ。うまく合わせ
られるか、誘導?もういいっ、集中、集中!んっ!
 っんぐ、と竜児の息が止まって、どっくん、どっくん。そのすぐあと、私にも……来た。
 きっつい、重い。息ができない。……でも。でもいっしょにっ!
 ……いいっ、りゅうじぃ。
 がぶっ、と肩口を噛んだ。私のもの。今だけでもいい、私のだから。

 背中見せて……うん、跡は付いてるけど大丈夫。引っかいてない。爪まるめておいて良かっ
たわ。でもこっちは。
「ごめん、ほんとに食いちぎるとこだったわ」
 くっきり半円の跡を付けてしまった肩をぺろぺろ舐めて謝る。
 めでたく円満に事を終えたふたり。いつものように竜児にきれいに拭いてもらってから起き
上がった大河は彼氏のボディーチェックをして、そのまんまぴったり寄り添って、ベッドに腰
かける。
 大丈夫、大丈夫。しみてねえし、傷になってねえだろ?と、竜児も裸のまま彼女を横抱きに
して膝の上に座らせる。
 解れて頬に張り付いている長い髪を掬っては背に落としてやると、気持ち良さそうに大河が
目を閉じる。それならもうキスするしかない。
 腰に回した手で引き寄せて、賢者モードらしくちゅっちゅ可愛らしくついばむ。少し強面の
竜児が、頬を火照らせてそんなキスをしている姿は傍目にどう見えるのだろう。
 そんな目なんかここにないからいいけど、と大河は思って、この体勢なら身長差をほとんど
補えるからと、竜児の両肩に自分の肘を置いて背に腕を回した。そしてキスのお返しを……と
考えた矢先に竜児の唇は喉へ移動する。
 顎を反らせて受け取りながら、んー?このまんま2回目かな?と思った。一度いっしょにい
けたから自分としてはなんら不満はない。竜児が食べ足りないならご馳走してあげる、といっ
た満ち足りた気分だった。
 だからすっかり気を許していて、首筋にそっと歯を立てられると。
「ひぇあっ!?」
 びっ……くりした。こっ、ここここ、怖いじゃんよっ、吸血鬼かっ!
 確かに、面相から言ったら竜児の場合はそのものだ。あれ?そんなに怖かったか、ごめん
な、とニヤニヤ笑っている。
 肩に回した腕は外さないけど、お返しだよというそのツラから伸ばせるだけ距離をとって、
もー、と睨みつける。じゃれつきはするけど、されるのには慣れてないんだから。それでな
くともあんたは私より身体大っきいんだから急に驚かすんじゃないよ。
 と、照れかくしで心にもない説教をする。
「え?あ、そうかー。済まねえ、平気だと思ってた」
「そ、そんなに気にしなくてもいい……。別にダメとは言ってない」
「俺だってお前にじゃれつきたいから、少しずつ慣れてくれよ」
「わ、分かったっ。あっ、ちょ!?」

 密着していた身体を離してしまったのが運の尽き。じゃれるぞーと宣言して、腰を支える手
を片方離して、竜児は大河のおっぱいを揉み始める。
 これは、じゃれる、というのとは少し違うんじゃないだろうか。えっちに至るためのマイル
ストーンとしてではなく、こう嬉しそうな顔で触られるのは変な気分。
「な、内心『大っきくなーれー』とか念じてるんじゃないでしょうね?」
「でかい小さいの話はもういいだろ。何度もこれが好きだって言ってるじゃねえか」
☆ 大っきくなくてもちゃんと膨らんでるからこうして揉めるし、柔らかいし、形は綺麗だし、
乳首はピンク色だし、色っぽくて可愛くて文句のつけようもねえ。神が与えたもうた唯一無二
の乳と言ってもいい。
「あ、あんたの語りは……こっ恥ずかしいから、かかか勘弁して」
「お、おう……じゃ、やめとく」
「……片手だけじゃなく両手で触ったらい、いいんじゃない?」
 そんなに好きなら……と、大河は膝に座ったまま向きを変えて、竜児に背中を向ける。少々
支えが危なっかしくなったが、今度は胸に回した手でホールド。心おきなく、後ろからおっぱ
いもみもみ。

631秋への brilliant road ◆0/FKyHtS2M:2011/06/23(木) 00:06:55 ID:???
 竜児の思い入れというのも、そこそこに複雑だった。
 母親が若くて巨乳だから、でかい乳なんざ見慣れていて、自分はその方面に耐性があるんだ
と思っていた。大河に逢うまで。
 乱暴にすんな、急に驚かすな、と。向こうっ気の強い割には臆病で繊細な、この小柄な彼女
の要望どおりに優しく、掌にすっぽり収まる柔らかなふくらみを撫でる。
 そう言えば、互いに離れていた高三の間に大河の乳は1サイズ育っていたな。
 ちょっと肉付きがよくなったせいかなと思うが、確かいつぞやの秋、小デブに育ったときに
はそうじゃなかったはずだ。見ても触ってもいないから断言まではできないが。
 竜児はまたフッと変な思い出しを始めた。
 揉まれリズムが単調に変わって気になったのか、大河が振り向いてキスをねだる。お互いに
首を曲げて、ちょっと苦しい姿勢。それでもちゅっと。
 親元の方が栄養状態は最適なのかと思うと、少しの屈辱を感じるが、それでもあの軽肥満状
態のときはどんな乳だったのだろう?と、気になりだしたら気になって気になって。そして見
て触って確認できる立場になった今年は、上手いことおだてて、旨いものをたくさん食わせて
やったら再現も?などと、ひそかに余計な事を思いついた。
 はううぅ、と抱かれた大河が可愛いため息をついている。が、竜児の妄想は続く。
 俺はあのふくよかなツラ、実はかなり好きだった。だからなかなかデブってることに気付け
なかったんだよな。あの頃は基本が不機嫌ツラだったが、今年はにこやかな時が増えたから、
あれでニッコニコしてくれたらどんだけ可愛いことか。想像するだけでもう、たまんねえ。
 そんな想像と共にもみもみ動作に込められた愛おしさの波動たるや半端なかった。
 面と向かっては到底言えないがなー。などと思う竜児のふところで、大河は身をよじらせる
寸前。あんたはランジェリーメーカーに就職したらこの才能発揮できるんじゃないのっ?など
と。こっちはこっちで悩ましい。

「竜児ぃ、竜児ってば……」
 はっと気がつくと、抱え込んだ彼女は半身で振り返り、はぁはぁ肩で息をして、頬を薔薇の
色に染めていた。延々と揉みしだいていたおっぱいの真ん中にはこりっと硬くなった乳首。
 どうやら無意識のうちに指でいじめてもいたらしい。
「おう大河。夢中になってて悪いな。痛くしてないよな?」
「痛くない。謝んなくていいっ。竜児ぃー」
 りゅうじりゅうじりゅうじーっと。大河は向きを変えて首に腕を回し込む。く、苦しいっ。
 ねえっ!と耳元で。
「もう一回しよう!とか。考えてるよねっ?」
 わ、私はね?一度いけたから今日はもういいけど。でも、りゅうじがしたいんならつきあっ
てもいい。ほ、ほら、私あんたよりお姉ちゃんだし別にわわわがまま言わないから。
「したいよね?ねっ?するって言えっ」
「おうっ、したいとも。いい「うんっ!!」か?」
 言うが早いか、かぶさる返事。竜児は大河をお姫さま抱っこで持ち上げて、くるっと回って、
そーーっとベッドに置く。
 この40kgを42kgくらいにしてやればいいのか。
 ある意味そんな悪辣なことを考えているとは、さすがの大河にも計り知ることはできまい。
 一旦デブらせたら、今年は強制ダイエットに協力してくれる紙袋覆面チームなど召集はかな
わぬはずなのだが。浮かれた竜児にそこまでの考えは巡っていない。

 2回目の申し入れを快諾してもらった大河は、目を細めてひゃほー、などと小さく歓喜の声
を上げている。傍らに添う竜児に回した腕を外さずに、ちゅっちゅちゅっちゅ、もうオープン
リーチで、幸せいっぱい。
 好事魔多し。フィギュア体型、ぴんち。

 だがこのお話は、なんの心配も要らずにここで終わる。
 なぜかって?
 美味しくたくさん食べまくり、あんたのせいよ!どうしてくれる!?という罵声の飛ぶ季節
が訪れたとして、竜児も、大河も、かつての秋とは違うのだ。

 ふたりで運動するに決まっているのだから。



――END

632 ◆0/FKyHtS2M:2011/06/23(木) 00:41:32 ID:???
以上でございます。失礼いたしました。

まとめ人様へ。
レス番>>630の下から9行目、ミスしてしまいました。

>「でかい小さいの話はもういいだろ。何度もこれが好きだって言ってるじゃねえか」
>☆ 大っきくなくてもちゃんと膨らんでるからこうして揉めるし、柔らかいし、形は綺麗だし、
>乳首はピンク色だし、色っぽくて可愛くて文句のつけようもねえ。神が与えたもうた唯一無二

行頭の☆は単にマーカーで打ったものです。もしまとめていただける機会がございましたら消去のうえ詰めていただければ幸いです。
お手数掛けてもうしわけございません。いつもありがとうございます。

633高須家の名無しさん:2011/06/23(木) 00:55:22 ID:???
>>632
ありがとうございました。楽しめました。
ガチエロなのにほのぼのとはこれ如何に?
って感じでした。

634高須家の名無しさん:2011/06/23(木) 08:38:56 ID:???
ああっ!俺もラブラブな運動がして〜。GJ!

635高須家の名無しさん:2011/06/23(木) 22:05:04 ID:???
>>632
ほのぼのイチャイチャラブラブでたいへんご馳走さまです。しかもそれだけじゃなくて、
>自分から棄てようと思えるときが来るのが……怖い。まだ。
っつードキッとする描写を入れてくるところはさすが。
氏の作品にあった"竜児のデコちゅー"のように、大河の心についた傷も(本人は綺麗に治ったと言ってはいても)まだ時々痛むんだろうなあと感じました。
ますますラブラブにしてやりたくなる話を乙でした。

636632:2011/06/24(金) 12:48:14 ID:???
レスありがとうございます。噛みつき引かれちゃうかなと心配でした。
>>635
竜虎はお互いの傷を癒して貰い合うだけでなく、びびりながらも自分の傷を見て向き合うカップルになると思います。
自分の想像の中では、竜児の方は初めての彼女に夢中っぽく、大河は女として少しだけ先を夢想する感じです。
互いに少し違う事を考えてることを受け入れていって、ふたりの子供が生まれて、いつのまにか望みがかなっていたとある日気づく。
そのときは恋心なんて欠片も残っていないのが可笑しくてお互い笑っちゃうかも。
そこに至る浮かれポンチな日々に幸あれかしと。

637高須家の名無しさん:2011/06/24(金) 23:35:47 ID:???
あちこちでツボを突かれたけど、噛みつきエピソードに一際萌えた自分が通りますよw
あの頃があるから今がある。とわかっていても、思っちゃいそうだよなぁ。
ほのぼのエロエロなんて最高です、GJ!

638 ◆0/FKyHtS2M:2011/08/03(水) 16:57:49 ID:???

【タイトル】ねむとら!
【内容】夏のパン○祭りまたまた参加だぜヒャッハー。3レスもらうぜイヤッピー。8/2が“パンツの日”だなんて気づかなかったぜorz
でも気を取り直して暑苦しい竜虎イチャイチャを妄想!エロスじゃありませんが規制のためこちらに投稿させて下さい。

****

「あれ?」
 麦茶のグラスをふたつ、盆に載せて居間に戻って来た高須竜児は呟いた。早えな、もう落ち
たのかよ。

「ご飯がおいしいのよね」
「そりゃ良かったな。夏バテ知らずで」
 婚約者にして彼女の逢坂大河が例によって健啖家ぶりを見せつけた遅い朝食が終わり、ぷう
と息をつきながら仰向けに寝転がったのを見て竜児が後片付けに立ったのがたしか10分ほど
前だった。
 溜め水でちゃちゃちゃっと食器を洗い、ゆすいで、水切りかごに並べて埃よけの布巾を掛け、
ついでにシンクとガスコンロを磨き上げてから、この季節はすぐ腐ってしまう生ゴミを詰めた
袋を冷凍室に収めて、麦茶を注いで、さあ大河とウダウダすんべーと戻ってきたら、あらどう
したことでしょう、定位置の窓側で二つに折った座布団を枕代わりにした、白いほわほわフリ
ルの塊となってすでに落ちたあとだった。

 居間と竜児の部屋のサッシは全開で、真夏とはいえ風通しがよい日だから満腹感も相まって
気持ちよく寝入ってしまったのだろう。大学生になっても、夏休みの過ごし方はさほど変わる
ものでもない。
 竜児はちゃぶ台に麦茶のグラスを置くと、しょうがねえなと向かいに座り込んだ。母の泰子
も自室で寝てるし、家族ふたりが起きるまでは掃除を始めて物音をたてるわけにもいかなかっ
たから。ただ、ひとり暇を持て余して、幸せそうな寝姿を眺めるのも時にはいいかもしれない
と思い直した。

 今日の大河は、白いフリフリワンピースで白ソックスの折り返しにもフリル、暑いのか白い
カチューシャでサイドを背に流していて、それを肩の辺りで軽く絞るようにまとめたリボンも
白。正確には少しアイボリーがかっていて、天然茶髪の淡い色合いと服の輝く白さとをきっち
りと繋ぎとめる品の良さ。そういえば履いてきたサンダルもエナメルな白で、つま先を眩しく
締めていた。
 白白白でキメた純白のお嬢。色素の薄い肌が対比でとても健康的に映り、こんな一発芸や罰
ゲームみたいな装いでも可愛らしく見せるのは、やっぱり中身が洒落にならぬほど綺麗だから
だろう。
 そうだ、こんなの見れる機会はめったにねえ。写メとか撮っといた方が良いかなと竜児が腰
を浮かしかけた時、窓から強めの風が吹き込んだ。薄いワンピースの裾がまるでヨットのセイ
ルのように南風をはらんでふうわり、まくり上げられて。
 めでたくというか、眩しくというか。色白の腿が晒された。

 ちなみに白ワンピは今朝ドアを開けた時に差し込んだ逆光に短時間ながら透けて見え、下着
もおそらく白であろうと、偶然ながらも竜児は確認を済ましていた。それがコットンかシルク
か細部までは分からないが、興味はあるから後で聞いてみようかなくらいは考えた。男子のた
しなみ、というやつも分かってくれるはずだから怒ったりしないだろう、とも。

 数秒間、竜児は大河の腿チラを見ながら固まった。チラというよりはモロだ。もももろ。カ
タカナで書けばモモモロ。ダマレコゾウ!いやそれは関係ないか。ひざ下のすらっと伸びた印
象とは違ってそれなりに肉づきはあるけど、ぴったり合わせても僅かにすき間があるところが
なかなか……いやどうして。素早くいろいろと考えが浮かぶものだ。
 そうして竜児は、布巾を取り出すとちゃぶ台を拭き始めた。それはすぐに終わり、今度はち
ゃぶ台の脚を拭き出した。まあ、要するに掃除だ。たまにはこういうところも綺麗にしないと
な、という設定で頬を畳に擦り付けるほど腹這いになってちゃぶ台の下に潜り込んだ。

639ねむとら! ◆0/FKyHtS2M:2011/08/03(水) 16:59:32 ID:???
 う〜ん。残念だが角度的に惜しいところで見えない。まあ脚は4本あるのだし、色んな角度
から掃除しても別におかしくねえだろうと思い直し這い出ようとして、ごん!と頭をぶつけた。
と、背中に冷たいものがばしゃーーっっ。
 ああ。麦茶だよそう言えば。こんな時にほんとにもうっ!

 あわてて畳を拭いて、ちゃぶ台の上ももう一度拭いて、足音を忍ばせて風呂場へ行き、ぐし
ゃぐしゃの、先日安売りだったのでまとめて何枚か買ってきた、『乾坤一擲』なる変な熟語が
プリントされたアーミーグリーンのTシャツを脱いで簡単に水ですすぐ。
 こぼしたのが麦茶で惨事にならずに良かったと思いつつ、洗濯は後廻しにして自室へと向か
う。居間通過の際ちらっと見やれば現状維持、まだ間に合う!今度は同じ由来の『隔靴掻痒』
とプリントされている白いTシャツに急いで着替えて元の場所に戻った。
 以上、麦茶をこぼしてからわずか1分間。

 なぜこんな事で俺は息を切らしているのだろう?と少し思いながらも竜児はもう一度先ほど
の“掃除”を続行しようとした。と、そこに風が。ワンピの裾が再びふうわりと……ラストパ
スが通ったそこにフリーのストライカー!1対1!邪眼もきらめいて!みたいな高揚感。
 しかし。う、うう〜ん。大河は寝がえりで横向きになる。

 ――大河ァァァ…………まじめにやってくれェェェっ

 いや、言いがかりではない。決して、断じて。
 この時の竜児が心中呟いた、血を吐くような叫びを否定できる者が居ろうか。絶望の断崖で
竜児は必死に考える。まだだ、まだ終わっちゃいねえ、そうだ!あのときだってかすかなオレ
ンジ色の光を頼りに大河を見つけられたじゃねえかっ。なぜか真夏の真っ昼間というのに竜児
の心象風景は吹雪の雪山。

 まだめくれている。危うくドリクラしそうになった弱い心を必死に抑えて、竜児はちゃぶ台
の“掃除”に戻る事ができた。そうだそうだ。ちゃぶ台をちょっと斜めに向きを変えればいい
角度を取れると気づいて手を掛けて、はっとする。駄目だ、その状態だと見つかった時に掃除
をしていると強弁しにくい。
 どうしたものかと思案顔で見やると、寝転んだ大河の腰の脇に落ちているものが目に入る。
 なんだあれ?と這い寄って拾い上げたそれは、薄いパールピンクで丸く固まった布。生地は
シルクであろうか。輝く光沢に目を奪われる。
 ああ……これぞ念願のパンツ。

 寝がえりをうったときにこぼれ落ちたのだろうけど、なぜ大河は替えのパンツをポケットな
んぞに入れておいたのか。ポーチとかバッグに……と考えて竜児は思い至った。

 大河は高須家に手ぶらで来ている。もうずいぶん前から。
 だって身の回りのものはぜんぶここにあった。タオルだって着替えだってシャンプーだって
スキンケア用品だって専用のものがちゃんと置いてある。
 ないのは下着だけだった。それだけは分けて自分ちで洗っていた。ずっと。

 そうかそうか。こんなに仲良くはなったけどやっぱり女の子なんだ、そういうのは恥ずかし
いんだよなあ、と気づいて、竜児はピンクパンツを自分のポケットに仕舞った。落としたまま
放っとくわけにはいかないし、いま気づかれないように元の場所に戻すのは難しい。

 背中側からそーっと覗きこんでみれば、前面はまくれ上がって白いパンツがちょっとだけ見
えていた。よし、当初の希望とは全然違うがひとまずミッションコンプリート、と起こさぬよ
う裾を戻してやる。
 その際に大河の膝が目に止まった。転んだり、ぶつけたりで歴年の古傷がいっぱい。竜児は
何の気もなく、いつも見ればそうしているように、ここでも膝小僧をつるんと撫でた。

「あ?……ん?……りゅうじ……?」
「お、おう。起こしちまったか。悪かったな」

640ねむとら! ◆0/FKyHtS2M:2011/08/03(水) 17:00:34 ID:???
 背を向けて寝ていた大河が首だけ起こして見上げる。眠りがちょうど深いところだったのだ
ろう、醒めきらぬままこどものような、あどけない表情をしていた。
 あ、しまったと竜児は思った。写メも撮ってねえし、パンツなんかより寝顔をよく見りゃ良
かったか、と、少しばかり後悔する。

「ん……んーー、ははっ、竜児ぃ〜」

 仰向けになって、両手を竜児の方に差し伸べる大河は、そんな葛藤を何ひとつ知らない。
 その手は吸い寄せられるように顔を近づけていった竜児の首に回された。竜児も大河を抱っ
こして身体を起こして、座り込んだ。小さくて、華奢で、柔らかく熱い。真夏になってから、
こんなふうにくっ付くのは、そういえば久しぶりだった。

「……ねむいぃ……ふわふわして……気持ちいいの」

「おう。じゃまた横になるか?」
「ううん。ちょっとこうしてる……」
「そのうちじわじわ暑くなっちまうけどな、ま、それまでな」

 まだ半分眠っていてぐにゃぐにゃな大河の姿勢を楽にしてやろうと抱き直す間に、竜児はさ
っきのパンツをこっそりとワンピのポケットに戻すのも忘れなかった。スケベで、だけど優し
い男だから。
 その耳にちゅっと唇をつけて、大河が変な声でぐふぐふ笑う。

「りゅーうじ……えっちなこと……するうぅ〜?」
「ばぁーか、すぐそこに泰子いんだぞ?真昼間だぞ?」
「あー、はぁー、そっか……。そうね。うー」

「ん〜〜。……りゅーうじ♪」
「おう、なんだ?」
「呼んだだけー。りゅーうじっ?んふ、んふふふふ……おう?」
「……あごしゃくって恥ずかしい要求するんじゃねえよ……たーいが」

 仕方ねえなという振りをしてみるけど、カチューシャでサイドの髪を背に流してさらけ出し
た、少し桃に染まった大河の耳元で、竜児も同じようにささやいてみる。

「いいじゃん……ぶぁーか。……ぐふ、ふふふふ。……もいっかい」
「たーいが」
「りゅーうじ……りゅーーぅじっ」
「おう。たーいが♪」
「ぷっくくっ、ひるまっから……何やってんの……あんた」

 言えと促しておきながら何がそんなにツボだったのだろう、くっくっくっ、っと身体を震わ
せている大河をきゅっと抱きしめながら、半覚醒の虎、というのもめちゃめちゃいいもんだな
あと、竜児は思った。

 ああっ、はんかくせえ!(津軽弁)

 ちなみに、この日の夕食は締まり屋の竜児が珍しくローストビーフを焼いたという。かのう
屋で塊肉のトレーを手に取った時、ぴょんと小さく跳ね、オーブンモードのレンジで焼き上が
った時には思わずバンザイをしたという一日中ゴキゲンさんな大河の姿を見た者は、そうは多
くなかったが。



〜おしまい〜

641高須家の名無しさん:2011/08/03(水) 22:26:51 ID:???
>>638
>たまにはこういうところも綺麗にしないとな、という設定で頬を畳に擦り付けるほど腹這いになってちゃぶ台の下に

竜児さん何やってるんすかw頭ぶつけてるしwwww麦茶wwwwwアホスw
すがすがしいくらいの男子っぷりですなあ!
そう、自然にめくれてこそエロス!あっさり自分でめくるなどロマンが無いのです!ビバふんわり!ビバ白シルク!
もうおねむの大河かわいすぎて飯が三杯食えるわ。乙乙乙でした!

642高須家の名無しさん:2011/08/03(水) 23:28:33 ID:???
いいねいいね!
いちゃえろ成分っつーか、あなたの作品のそこが好きだw

643高須家の名無しさん:2011/08/04(木) 22:10:39 ID:???
パンツ返すのかwさすが竜児
てっきりお宝ゲットだぜ!かと

644 ◆oLWU/inCrU:2011/08/26(金) 02:13:30 ID:???
レスの流れで思いついて、いざ書き込もうとしたら全鯖落ちてたでござるorz
>本スレの282
間違えちまったてwwいいなあ、顔がにやけたまま戻らなくなりますな…

新生児への数時間おきの授乳で目の下真っ黒にした大河、それをやたら心配する竜児、
手伝うべくやっちゃんが泊まりに来て、的な妄想がむくむくと。
以下数レスお借りします



「お〜よちよち、世界一かわいいでちゅね〜♪」
「……ねえ、やっちゃん。」
「なぁ〜にぃ、大河ちゃん?
 やっちゃんがちゃ〜んと見てるからぁ、休んでていいんだよ〜?」
「うん、ありがと。
 あのね、やっちゃんが竜児を……。
 ──やっぱ何でもない。」
「竜ちゃんがぁ、このくらいちっちゃかった時はぁ〜、」
「!」
「やっちゃんには竜ちゃんしかいなかったんだ〜。世界で二人っきりだったんだよ〜。
 だからぁ、ちょ〜っと大変だったけどぉ、ち〜っとも嫌じゃなかったよお!」
 ちょっとどころじゃなかっただろうな、と大河は思う。自分には安心して住める家があり、収入があり、家族みんなに祝福され、何より愛する伴侶が傍にいるのだ。
 大河は唇を噛んで、相変わらず年齢を感じさせない義母の柔和な笑みを見つめた。
 この人は、一体どれほどの寂しさを、苦しみを、ひとりで──。
「私……。やっちゃんにとても、とてもひどいことをしたんだね。」
「え〜?」
「やっちゃんの大事な竜児を。やっちゃんから奪おうとしたよ。
 ずっとずーっと長い間会えないような遠くへ、連れて行こうとしたよ……。」
 子を持って初めてわかる親心。
 涙声でうつむいたつむじを、赤ん坊を抱いていない方の手が優しく撫でた。
「大河ちゃんは〜、竜ちゃんを奪ったりなんかしてないよ〜。」
「だって、バレンタインのあの夜……!」
「大河ちゃんは竜ちゃんを連れて帰ってきてくれたんだよ〜。
 もしあの時大河ちゃんが一緒じゃなかったらぁ、竜ちゃんとやっちゃんはあのまま、二度と会えなかったかもしれませ〜ん。」
「そんなこと……!」
 あり得ない、と叫ぼうとした大河を遮るように、泰子は小さく首を振った。
「あるんだよ〜。
 それにぃ、前も言ったけどぉ。大河ちゃんがず〜っと竜ちゃんと一緒なら〜、やっちゃんはそれでいいやって思ったよ。
 だからぁ、やっぱり大河ちゃんにはいっぱいい〜っぱい、ありがとうなんだよ?」

645 ◆oLWU/inCrU:2011/08/26(金) 02:25:02 ID:???
 こんなにかわいい天使ちゃんにも会わせてくれたしぃ〜、と孫のふくふくほっぺに頬ずりする姿は、大河にかつて見た聖母のイコンを思い出させる。
 その時、その腕の中の小さな命がむずかるように声を上げた。
「や〜ん、すぐおっぱいの時間がきちゃう〜!
 やっちゃんは残念だけどもう出ないから〜、今のうちに寝ちゃわなきゃ〜。」
 いやんいやんとかぶりをふるたび、その大迫力の膨らみがゆさゆさ揺れて、説得力が無いこと甚だしい。
「──ありがとう。じゃそうさせてもらうね。
 お休みなさいやっちゃ……、“おかあさん”。」
 一瞬だけきょとんとして、すぐに破顔し。泰子は“娘”の少し痩けた頬を、手のひらで優しく包みこんだ。
「お休みなさい、大河ちゃん。」
 ──かわいいかわいい娘ちゃん♪
 歌うようにそう囁かれ、大河はこみ上げる感情を堪えるように、深々と頷いた。

      おわり。

646 ◆oLWU/inCrU:2011/08/26(金) 03:23:53 ID:???
↑注意書き忘れてました、エロ無しほのぼの、やっちゃんと大河の会話です
エロイチャスレに親心の話を混ぜてすんません!萎えた方まじすんません!!

647高須家の名無しさん:2011/08/26(金) 03:35:48 ID:???
ええのうwww
やっちゃん頼まれなくても出動してきそうだ、ってか初手から二世代同居してそうw
園子ばあちゃんも来そうだし、大河ママも出産時は里でとかツンデレ主張しそうだし。
結局赤ちゃんに一番触れ合わせてもらえなさそうなのは竜児かもしれんwww

648 ◆Eby4Hm2ero:2011/08/26(金) 12:48:15 ID:???
よくわからんけど本スレ書けない……

649とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero:2011/08/26(金) 12:48:43 ID:???
お題 「ピンク」「当然」「極道」



「いらっしゃいませー!」
 元気のいい店員の声に迎えられて、ファミレスに入って来たのは地味目の服装に大きめのサングラスで顔の半ばまでを覆った女性。
 だが、隠しきれない美貌とスタイル、何よりオーラとでも呼べばいいのであろうか、かもし出す雰囲気が周囲の視線を惹きつける。
 案内を断わり、その女性が向かった席に居たのは、逆に周りの人間に視線を逸らさせる眼光を振り撒く極道の若頭……ではなく。
「やっほー、久しぶり、高須君。元気だった?」
「おう川嶋、お前も元気そうだな」
「そりゃもちろん。この業界、体が資本だもの」
「だけど、忙しいんだろ? 最近はしょっちゅうテレビとか出てるじゃねえか」
「まあね。実は今日も久しぶりのオフだったり」
「すまねえな、そんなめったにない機会なのに大河の奴熱出しちまって」
「ねえ、それって本当に熱?」
「おう?」
「昨日の夜、休み前だからって頑張り過ぎて、足腰立たなくしちゃったんじゃないの?」
「っ! ん、んなわけねえだろ!」
「どうだかねー。あんた達の『せいかつ』を聞くかぎりじゃあながち外れてもいないんじゃないの? あ、もちろんりっしんべんの方ね」
「……そーゆーことをどこから聞いてくるんだよ」
「当然、タイガーから聞き出したに決まってるじゃない。ま、あたしは半分以上実乃梨ちゃん経由だけどね」
「……おまえらなあ……」
「や〜だ、怒らないでよ。そのぐらいガールズトークの範疇なんだから。あ、そうそう、これお土産ね。高須君にぴったりの選んできたから」


「……で、これ何?」
「ドラゴンフルーツ、だそうだ」
「なにそれ、駄洒落?」
 川嶋亜美の沖縄土産は尖った鱗が生えた赤い大きな卵のような外見で、なるほど竜の卵と言われればさもありなんといった風情。
「なんでもサボテンの果実だとかいう話だけど……」
 言いながら果物ナイフで二つに割ってみると、その中身は……
「うわぁ……」
「おう……」
 思ったより薄い皮に包まれた果肉は、皮よりも薄い赤……というか、むしろピンク。それも蛍光色に近い感じの。点々と散る黒い粒は種だろうか。
「……これ、本当に食べられるの?」
「……そのはずだが……」
ともかく一口大に切って、おそるおそる口に運んで見れば。
「あら、美味しい」
「おう、これは意外に……」
「甘すぎないのがいいわねー。私この味好きかも」
「おい大河、だからって俺の分にまで手を出すんじゃねえ」
「いいじゃない、病人は労わりなさいよ」
「おまえさっき、もう大丈夫だって自分で言ったばっかじゃねえか」
「あー、ところでこれがどうして竜児にぴったりなのかしらねー?」
「おう? ……やっぱ、名前じゃねえのかな」
「あんたが実は、一皮剥いたら頭の中どピンクのエロエロ犬だってことだったりして」
「そうだ大河、おまえ、櫛枝や川嶋に何話してるんだよ」


「んであーみん、正解は?」
「実乃梨ちゃんならわかるでしょ?」
 ドラゴンフルーツをつまみながら、亜美は僅かに微笑んでみせる。
「んー、見た目でちょっと引かれがちだけど、実際の所中身は優しくて甘いってとこかな?」

650 ◆oLWU/inCrU:2011/08/26(金) 15:15:10 ID:???
>>649
>あ、もちろんりっしんべんのほうね
いかにも亜美たんが言いそうだw実際はどうなんだ竜児!
女子だけで何喋ってんだろね本当にww
ドラゴンフルーツの解釈には参りました。確かにあれ、見た目を裏切る優しい甘さっすなー。

すんません、どなたか>>644-645も転載して下さると助かります
やっぱりここには相応しくないような気が。
自分まだ本スレに書き込めないみたいっす

651ms07b3:2011/09/18(日) 20:21:28 ID:OHZ2X3C6
高須夫妻の日常②
竜児は、祖父の金銭的援助のおかげで、大学の建築学科に入学する事が出来た。
これは大河の父母の影響。竜児としては、大学卒業と同時に大河と結婚する為、
大学で学ぶことは将来、自分が生計を立てられるような実学である必要があった。
では何を学ぶべきかと考えたところ、身近なところに2つのお手本があった。
一つは、高須の祖父ちゃんのような公認会計士の道。もう一つが、大河の母のよ
うな建築士という道だった。
高3の夏休みまでは、会計士になろうと考えていたのだが、夏休みに鈍行電車専
用切符を使って、12時間近く電車に揺られて大河に会いに行った時に、大河の
家のリビングで目にした一枚の住宅写真が竜児の運命を変えた。
一組の老夫婦が平屋の玄関先で、満足そうな笑顔を浮かべている。その笑顔は良
く似ていて、二人が重ねてきた年輪のような皺も、同じような深さを刻んでいた。
大河の母親は、大きな建物を造った実績はないが、限られたスペースを極限まで
活用した一般住宅や、女性の視点から考えた建物の設計が得意だった。
この写真の家も、子育てを終え、定年を迎えた2人が、残りの人生を過ごす終の
棲家として注文されたものだった。
注文主にこんな風に満足して貰えるうえに、高価なポルシェを乗り回す事ができ
るのだから、それなりに収入も良いはず。
会計士よりも、人の幸せに直接携わる事ができる建築士という仕事は、竜児に
とって理想的な仕事だった。
2泊3日で大河の家を訪ねたのだったが、初日だけオランダの町並みを模した
テーマパークで大河と過ごしただけで、残り2日は大河の母親に頼み込んで、
建築事務所の見学や現場作業への同行で終わってしまい、大河をむくれさせる
結果になった。
帰りの夜行電車に乗る前に、大河の義父・母と夕飯を共にした際に、竜児は建
築士になる為に、建築学科のある大学に進みたいという希望を伝えた。
大河の母親は、自分の機嫌を取るための阿りと受け止めたのだが、義父の方は、
建築士という仕事が判り易く解説している何冊かの本を読むように勧めた。
正直、高校3年の夏にいきなり建築士になる道を選んだのだから、一浪くらいは
覚悟するのが普通なのだが、竜児は持ち前の粘着質と努力で寸暇を惜しんで勉強
を続けて、晩秋の模試では、合格圏内という判定を受ける事ができた。
竜児が入学した大学は、大河の母親が卒業した多摩地区にある技術系の大学で、
東京の大学に進む為に単身で上京した大河のキャンパスにも近かった。
高校卒業と共に入籍を望む大河と一悶着あったが、収まるところに収まって、2人
の大学生活はスタートした。

652高須家の名無しさん:2011/09/21(水) 04:56:22 ID:???
乙!続きに期待
②になってるが①はどこだろう

653652:2011/09/21(水) 04:59:17 ID:???
まとめサイトにありましたわ

654ms07b3:2011/09/30(金) 21:14:53 ID:???
車のフロントガラスを叩く雨粒は風の加勢を得て盛大な音をたてる。
ワイパーは最速モードで動かしているのだが、雨粒はガラスを滲ませる。
沖縄あたりをウロウロしていた台風が、思い出したかの様に、日本列島を一直線に貫く軌跡を描いて動き出したのは
つい昨日。 三連休を潰して、幾つかの設計事務所が参加するコンペティション用の模型を完成させたのだが、それ
に気を取られている間に、施工物件の台風対策をする時間がなくなってしまった。
会社から支給されている合羽もレインブーツは既にずぶ濡れ。
作業車はビニール製のシートだから、濡れてもあとで拭き掃除をすれば良いのだが、やっぱり良い気分はしない。
台風対策を講じなければいけない物件はあと3件。
家族の送り迎えの車で普段以上に道が混雑しているから、全てが終わって家に帰れるのは日付が変わる頃になり
そうだった。学校に行っている大河は無事に帰れたかな?
自分の事よりも大河の事が心配だった。

池袋で乗った電車はすぐ隣の駅で止まったまま動かない。
吹きっさらしのホームで扉を開けたままでいるから、風に煽られた雨粒が時折、車内に
吹き込んできて、扉の近くのシートに座った大河の膝を濡らした。
大橋まではあと2駅。台風が通過するまでは間違えなく運転再開はしないだろう。
強い風が鋼鉄製の電車の車体をゆらゆらと揺らす。向かい側の窓に広がるのはホテルの
レストラン。風雨を避ける人が多いのか、天気の割には混雑しているようだ。
カバンから携帯を取り出してメールを確認。メール無し・・・。着信なし・・・。
大学を出る前に竜児からメールがあった。
《今日は遅くなりそうだ。しっかり戸締りして先に寝ていろ。風に飛ばされて怪我でも
したら困るから絶対に出歩くな!》
あんたは私の母親かっての。
竜児の優しさが嬉しい半分、いつまでたっても子供扱いする心配性に少し腹も立つ。
今はどうしているんだろ・・・。屋根とか高い場所から落ちなけりゃ良いけど・・。
竜児の事が心配だった。
きっとずぶ濡れで帰って来る。なにか暖かいものを作ってあげよう。

台風は駆け足で関東地方を通過していった。
台風の後始末を終えて事務所に帰り着いたのは午前0時過ぎ。
建物に被害はなかった。
雨合羽のポケットから携帯を取り出す。防水じゃない竜児の携帯は濡れないようにスーパー
のビニール袋にいれておいた。
電源を入れる。ボディーを軽く震わせて電源が立ち上がり、着信やメール受信を知らせる
小さなLEDが点滅を始める。メールの受信件数は15件。2・3通仕事関係のメールが入って
いたが、残りはすべて大河からだった。最初は竜児を心配する言葉が綴られたメール。
返信がないと返信を催促する言葉。最後は返事を寄こさなきゃ殺すという物騒な文章。
でも、大河の愛情にあふれていた。
普段なら勿体無くて乗らないタクシー。でも今日は一刻も早く大河の顔が見たい。
事務所の前の通りを流すタクシーに手を上げて乗り込む。「大橋まで。」

古くて小さなエレベーターを降りてポケットからキーケースを取り出す。
台風が過ぎ去った空には星が光っている。
玄関先に立つと鍵が開く音。勢いよく扉が開け放たれる。
不機嫌さとホッとした気持ちが複雑に絡み合ったような表情で大河が出迎えてくれた。
「ただいま。大河。」そういったら小さく笑った。

655ms07b3:2011/09/30(金) 21:16:20 ID:???
高須夫婦の日常③
車のフロントガラスを叩く雨粒は風の加勢を得て盛大な音をたてる。
ワイパーは最速モードで動かしているのだが、雨粒はガラスを滲ませる。
沖縄あたりをウロウロしていた台風が、思い出したかの様に、日本列島を一直線に貫く軌跡を描いて動き出したのはつい昨日。
三連休を潰して、幾つかの設計事務所が参加するコンペティション用の模型を完成させたのだが、それに気を取られている間に、施工物件の台風対策をする時間がなくなってしまった。
会社から支給されている合羽もレインブーツは既にずぶ濡れ。
作業車はビニール製のシートだから、濡れてもあとで拭き掃除をすれば良いのだが、やっぱり良い気分はしない。
台風対策を講じなければいけない物件はあと3件。
家族の送り迎えの車で普段以上に道が混雑しているから、全てが終わって家に帰れるのは日付が変わる頃になりそうだった。
学校に行っている大河は無事に帰れたかな?
自分の事よりも大河の事が心配だった。

池袋で乗った電車はすぐ隣の駅で止まったまま動かない。
吹きっさらしのホームで扉を開けたままでいるから、風に煽られた雨粒が時折、車内に吹き込んできて、扉の近くのシートに座った大河の膝を濡らした。 大橋まではあと2駅。台風が通過するまでは間違えなく運転再開はしないだろう。 強い風が鋼鉄製の電車の車体をゆらゆらと揺らす。
向かい側の窓に広がるのはホテルのレストラン。風雨を避ける人が多いのか、天気の割には混雑しているようだ。
カバンから携帯を取り出してメールを確認。メール無し・・・。着信なし・・・。
大学を出る前に竜児からメールがあった。
《今日は遅くなりそうだ。しっかり戸締りして先に寝ていろ。風に飛ばされて怪我でもしたら困るから絶対に出歩くな!》
あんたは私の母親かっての。
竜児の優しさが嬉しい半分、いつまでたっても子供扱いする心配性に少し腹も立つ。
今はどうしているんだろ・・・。屋根とか高い場所から落ちなけりゃ良いけど・・。
竜児の事が心配だった。
きっとずぶ濡れで帰って来る。なにか暖かいものを作ってあげよう。

台風は駆け足で関東地方を通過していった。
台風の後始末を終えて事務所に帰り着いたのは午前0時過ぎ。
建物に被害はなかった。
雨合羽のポケットから携帯を取り出す。防水じゃない竜児の携帯は濡れないようにスーパーのビニール袋にいれておいた。
電源を入れる。ボディーを軽く震わせて電源が立ち上がり、着信やメール受信を知らせる小さなLEDが点滅を始める。
メールの受信件数は15件。2・3通仕事関係のメールが入っていたが、残りはすべて大河からだった。
最初は竜児を心配する言葉が綴られたメール。返信がないと返信を催促する言葉。最後は返事を寄こさなきゃ殺すという物騒な文章。
でも、大河の愛情にあふれていた。
普段なら勿体無くて乗らないタクシー。でも今日は一刻も早く大河の顔が見たい。
事務所の前の通りを流すタクシーに手を上げて乗り込む。「大橋まで。」

古くて小さなエレベーターを降りてポケットからキーケースを取り出す。
台風が過ぎ去った空には星が光っている。
玄関先に立つと鍵が開く音。勢いよく扉が開け放たれる。
不機嫌さとホッとした気持ちが複雑に絡み合ったような表情で大河が出迎えてくれた。
「ただいま。大河。」そういったら小さく笑った。

656ms07b3:2011/09/30(金) 21:18:46 ID:???
すみません。題名を入れずに投稿してしまいました。

657高須家の名無しさん:2011/10/10(月) 23:40:47 ID:???
とらドラ! キッズステーション放送第一回を見た。実は初回放送はテレビで見ていない。
Youtubeで見た後、金払ってバンダイチャンネルでもう一度見たりした口。正直、すまん。

アバンで「優しさの足音」が流れ始めたとき、思わずうるっときたわ。

しかしまぁ、大画面はいいね。早くBD来ないかな。

658高須家の名無しさん:2011/10/12(水) 10:12:09 ID:.o36Pw5Q
見て楽しんだらお代を払わねばとは思うけど、再見動機が得られないと正直つらいね。
高解像度で細部見たいとか、繰り返し見て謎を知りたいとかいろいろあるけど、やっぱり作中の時間に何度か浸り直したいっていうのが大きいかな。
とらドラ!はその点申し分なかったから流れるようにDVD買っちゃったなw

クリスマスEDや最終回エピローグ、あと1話メインタイトルカットは本編の一部を成しているのでノンクレジット版が収録されてると疑わなかったのになくて不満。
仕様上で一瞬止まっても連続再生モードを入れておいてほしかったなあ。
BDのスペック表記見る限り今度もなさそうだし(やるなら新規映像特典に表記するはずだから)ノンクレデータがそもそもないのだろう。
2008年制作なのにHDで作ってないとか、ほんと売れると思わずに作ったアニメなんだなあ。

その辺も愛おしいw

659なぜか本スレ落ちてるでござる:2011/10/12(水) 15:07:58 ID:???
立てようとしたがエラー出たのでアイテムだけ置いときますね
AAまずかったら復旧して下さい。スレタイはクスクスに一票


ここは とらドラ! の主人公、逢坂大河と高須竜児のカップリングについて様々な妄想をするスレです。
どんなネタでも構いません。大河と竜児の二人のラブラブっぷりを勝手に想像して勝手に語って下さい。
自作のオリジナルストーリーを語るもよし、妄想シチュエーションで悶えるもよし、何でもOKです。
次スレは>>970が立ててください。 もしくは容量が480KBに近づいたら。
             /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
           /:::::::::::::::::} ::::::::::::::::::::::::::::::::トゝ
           /::::::::::::::::、::ヘ::::::::::::::::::ィ:::::::::',
          ノイ:::::::::/厶トハ:::::::::/厶」::::|:ト|
           | lヘ /V-。ミヽ:ハ //。--}ハN
           Vトハ{ `ー‐'  ` ー ' .|リ
            {ヘハ :::::    }   ::::: l'
              }:.、   、    ,   ,′
               N个 、  ̄   イl
              r<|   > < |‐- 、
              |  `ー‐┐ r‐'~ ̄}    _
             ,.人__    {  }  _ L 、 /´: : :\
           /     ̄`  く_ノ '´ , < {__: : : : : : ヽ
      _ .. -<           ○  /r :⌒: : : \⌒ヽ : : :\    
    r‐'                  { /: : : :i: : : : : : : : : :\:: : :}
   .}  ∧               |/: : : ,: :|: : : : : : : : : : : : : : {       
   |   ∧   !          /: : ::/厶|_: : : :∧:ヽ : , : : : :.|
   |     ヘ  |          }: :|: Ⅳ=、|: ! : :|⌒V、: }: : ! : |
   |      '  i          (_|: : !{"芹代ィ: : {ィ示ミy: : ::| : |
   |      } }  ,          {: .:r.{l ヾ= ' \jゞツY: : |: :| : |
   |      リ/          .∧: |: :ゝ:::::  '  :::::∠ イ: |: :} : |
    }      |          /: :.V ::::>  ` '  , イ l}:ノレ: : :ヽ
    |  :.    |          /:/: : : .:::,:⊥| `¨ {_:::::. : : : : : : : 八
    |   \  |          /::ル--っ: \〈    ノ`):: : r‐ 、: : : : : :、
    |    \人        /:// 二つミ: :r)ヘ ∠//7フ7二ヽ:_: : : ::\
    |   __` }       〃/ ,仁二) )乂ミl彡': : {  _ト┬ } ∨:::ト、: \
    | / ――L____ ノ// / r―'’v: : ゝV (: : : |三彡} と |  }: :| 〉: : }
   〔            //¨{  /  y _)ノY_入_/ V礀  ハ | l ∧ ∨: : /
     ト           /:′ !  }  |    厂「 } {Ⅹl    ',|./ /  }: : : /
    |          /: |  |___/|  l   , ′ | '、 ̄ !     }|_/ /: : :(
    `ー‐---=≧_(|: :{_O| /: :|  ! /   ,j  ', ∧   ハ: }/: : : : : :}
       |       ∧: :\「: :|  | /   / |   ', |\   〉: : : : :/

まとめサイト
ttp://tigerxdragon.web.fc2.com/

前スレ
【とらドラ!】大河×竜児【ナデナデ妄想】Vol25
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1308756083/



449 名前:名無しさん@お腹いっぱい。:2011/06/22(水) 23:59:25.04 ID:rdaKOPK+0
スレタイ案拾ってきました。
【クスクス妄想】
【キュンキュン妄想】
【モエモエ妄想】
【ピカピカ妄想】
【スヤスヤ妄想】
【ヌクヌク妄想】
【ホカホカ妄想】
【モヤモヤ妄想】
【ポカポカ妄想】
【トロトロ妄想】
【ソワソワ妄想】

660高須家の名無しさん:2011/10/12(水) 19:19:11 ID:???
立ててくる

661高須家の名無しさん:2011/10/12(水) 19:26:07 ID:???
次スレ
ttp://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1318414786/

仲良く使ってね!


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