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大河×竜児ラブラブ妄想スレ 避難所2

1まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY:2009/10/29(木) 01:36:02 ID:???
ここは とらドラ! の主人公、逢坂大河と高須竜児のカップリングについて様々な妄想をするスレの避難所です。
アクセス規制で本スレに書けない、とかスレに書けないような18禁のエロエロ話を投下したい時とかに
お使いください。
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本スレ
【とらドラ!】大河×竜児【アマアマ妄想】Vol17
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1255435399/

347遊園地作戦 ◆fDszcniTtk:2010/08/31(火) 00:55:02 ID:???
母子漫才は終わる様子がないと見たか、大河は困った顔で笑うと話を切り上げて泰子に手を振り、高須家を後にした。二人っきりになった茶の間で、ちゃぶ台の前に座りながら泰子がおおらかな微笑を浮かべる。

「竜ちゃんはぁ、幸せだね。大河ちゃんみたいな彼女が出来てぇ」
「だからあいつは彼女じゃないってんだろ」

プラスチックのポットから麦茶を注ぎながら竜児がいらついた声を出す。ぶっきらぼうなしゃべり口はいつものこと。大黒柱とはいえ、家ではかなり頼りない泰子を支えるため、竜児は幼いときから早く泰子を支えなければと思って育った。
そのせいか、母親に対する口調には、幾分保護者めいた音色が混じる事が多い。だが、そんな竜児の声もどこ吹く風、泰子はにこにこと笑いながらいつも通りとんでもないことをさらりと言ってくれる。

「早く彼女にしちゃえばいいのにぃ」

大河を彼女に…想像して竜児は鳥肌を立てる。

確かに、大河はとんでもない美少女だ。ゴールデンウィーク開けに転校してきた川嶋亜美が何しろプロのモデルなので、学校一の美少女の栄冠が大河の上に輝くかどうかは際どいところだ。だが、ひいき目無しに見ても大河の美しさは際立っている。
目、鼻、口、輪郭といったパーツの作り、それぞれの配置、まったく持って文句のつけようがない。見せびらかすのが目的なら、さぞすばらしい彼女だろう。

だが、なにしろ奴は『手乗りタイガー』だ。傲岸不遜のわがまま大王。気に入らなければ殴る、蹴る。おまけに北村祐作と櫛枝実乃梨と高須家の茶の間以外の世の中のありとあらゆる事が気にいらないらしい偏狭さ。あんな奴を恋人にするだなんて想像できない。
きっと早死にするだろう。死因がストレス性胃潰瘍になるか内臓破裂になるかは神のみぞ知る、だ。それに泰子には言っていないが竜児の意中の人は櫛枝実乃梨だ。
いつも明るく、誰にも分け隔て無くひまわりのような笑顔を振りまく実乃梨と、人皆道を譲る手乗りタイガーを比べるなど、竜児には思いも寄らないことだ。

そりゃ、大河を意識したことがないといったら嘘になる。ただ、それは恋愛感情とは違う。なんというか、大河は放っておけない奴なのだ。乱暴なくせに、傲岸なくせに、わがままなくせに、大河は誰よりも優しくて繊細な心を持っていた。人知れず一人で泣いていた。
毎日のようにドジをかまし、いつもこけては柔らかい膝小僧をすりむいていた。

すりむいたと知ってしまえば、竜児は手当をせずにはいられない。服を汚したと知ってしまえば、竜児はしみぬきせずにはいられない。お腹をすかせていると知ってしまえば、竜児は料理を作ってやらずにはいられない。

一人で泣いていると知ってしまえば、竜児は横に居てやらずにはいられない。

それだけのことだ。竜児は大河と馴れ合っている。駄犬などと言われても取り合わずにかいがいしく世話を焼いている。だが、それは恋愛感情ではない。その証拠に、夜中、勉強の最中に前触れも無く竜児の脳裏に浮かんで苦しめるのは、大河の顔ではなく実乃梨の顔なのだ。

「いいから飲め。ぬるくなるぞ」
「竜ちゃん照れてる。かわいい!」
「もういいから。昨日も言ったけど、なるべく夕飯前には帰る。ただ、遅くなるかもしれないから夕飯は作って冷蔵庫の中に入れてある。もし遅れるようなら電話するからレンジで温めて食えよ」
「はーい。やっちゃん一人でご飯食べられるからぁ、二人でゆっくりしてきてね」

あくまで竜児と大河をくっつけたいらしい。もう一度寝るねぇ、と部屋に引っ込む泰子を見ながら、竜児はため息をつく。

◇ ◇ ◇ ◇

348遊園地作戦 ◆fDszcniTtk:2010/08/31(火) 00:55:39 ID:???
「お前、何なんだよその格好」

時間通りにマンションのエントランスに現れた大河を見て、竜児がため息をつく。まだ朝だというのに、ため息は本日2回目である。ペースが早すぎる。

「何って、何よ」

なんか文句があるの?聞いてやろうじゃない、拳で。と、言った表情で大河がにらみつける。現れた大河はミントグリーンのさわやかなワンピース。色つきのリップが、薔薇の花びらのような唇を美しく強調する。まるで絵画から切り出したよう。
要するに、夏の旅行とおなじ格好だった。

気持ちはわかる。北村とのデートの予行演習なのだ。本番を思って胸ときめくものがあったのだろう。しかし。

「おい、今から行くのは遊園地だぞ。映画館じゃないんだ。雨ざらしの椅子に座ったりするんだよ。そんなきれいな格好で行ってどうする。汚れるかもしれないぞ。だいたいそんなひらひらスカートでジェットコースターとかに乗るつもりなのか?」

たたみかけるように話す竜児の前で、大河の口がピーナツのような形にみるみる開く。何て器用な表情。なんて情けない表情。

「どうしよう」
「どうしようじゃねぇ、着替えろ。まぁ、本番と同じ格好にしてきた点だけは誉めてやる。問題を洗い出すための下見だからな。ぶっつけ本番だったら遅刻だったろう。ほら、そんな情けない顔するな。あらかじめわかって良かったじゃないか」

半泣きになった大河に泣く暇を与えないよう、エレベーターに追い立てて押し込む。やっぱりこいつはだめだ。ドジすぎて、とても一人にしておけない。だいたい泣くような事じゃないだろうに。

パニック状態で新しい服を考えられない大河を説得して、デニムのパンツと濃い緑のTシャツで手を打たせる。

「こんな格好で北村君とデートなんかやだ」

と、だだをこねるがそもそも今日は北村は居ない。それ以前に「こんな格好」でそれなりに格好がつく大河がつくづくねたましい。竜児と来たら、いくら工夫してもさわやか少年にはなれないのに。

「デートの時の格好は帰ってきてから考えてれば間に合うだろう。ほら、すわれ。髪を編んでやるから」
「どうして編むのよ」
「風で乱れるだろう。遊園地の機械に巻き込まれたらどうすんんだよ。大惨事だぞ」
「なによ、わかってるなら先に言いなさいよ」
「さっき思いついたんだよ。行ってみるまでわかんねぇけど、手は打っとくもんだ」
「昨日の晩言ってくれたらちゃんと準備出来たのに。使えない駄犬なんだから」

駄犬なしでは遊園地にたどり着くことすらできそうもないご主人様の髪を編みながら、聞こえないようにこの朝3回目のため息をつく。本当にこのドジを北村に押しつけたまま、実乃梨と遊園地を楽しむなんて事が可能なのだろうか。

◇ ◇ ◇ ◇

349遊園地作戦 ◆fDszcniTtk:2010/08/31(火) 00:56:14 ID:???
行楽日和の良い天気。電車を乗り継いでようやく到着した遊園地の入り口で足を開いて踏ん張ると、つんと顎を上げて、むやみにえらそうに大河が薄い胸を反り返らせた。

「ふん、これが遊園地ね」

いったいどういうつもりで来ているのだろう。と、竜児は首をかしげる。北村とのデートの下見のはずだが、どう考えてもこれから遊園地と一戦交えるような鼻息の荒さを感じる。というか、いまのセリフには少々引っかかるものがある。

「お前、ひょっとして遊園地初めてなのか?」

こっちのほうに驚く。大河は竜児を睨みあげて、一言。

「悪かったわね。あんたはどうなのよ」

別に悪くはない。

いい悪いの話をすれば、大河と親の折り合いが悪いことは知っているし、折り合いが悪い程度の事で大金押しつけて娘ひとりを放り出す悪い親のことも、少しだけだが知っている。
それにしても、あれだけの高級マンション、それもワンフロア貸し切りタイプをあてがえるほど金があるのだ。子どもの頃に遊園地くらい連れて行って貰っていると竜児は勝手に思っていた。

「俺は、あるな。子どもの頃に泰子が無理して連れてってくれたことがある」
「……そう」

大河は気勢を削がれたような相づちを打つ。

疲れた顔の泰子が無理して微笑みながら小さな竜児の手を引いて遊園地の乗り物をまわっている姿でも想像したのだろうか。だとしたら、その想像はかなりあたっている。
スーパーお母さんを自称していた泰子は竜児の喜ぶことなら、どんなに自分が疲れていようと何でもしようとした。それこそ、体を壊してでも。当時わからなくて、今わかるようになったことは沢山ある。
あの疲れた微笑みの記憶一つあれば、竜児は胸を張ってマザコンを自称していいと思っている。

なんにせよ、こんなところで不幸自慢をする必要など無いし、竜児は自分より大河の人生のほうがいろいろと重そうだと薄々思っている。せっかくの遊園地だ。それも快晴。下見とはいえ、お互い縁の薄いところなのだから存分に楽しめばいい。
竜児は気分を入れ変えるように大股で歩き出す。

「よし、切符買うぞ!」
「なにそれ。入場券って言いなさいよ」
「かっこつけんな」
「あんたがダサ過ぎるのよ。ちょっと、待ちなさいよ!」
「早くしろ、置いてくぞー!」
「ちょっと!」

緑のTシャツにちょっとだけアンバランスな、白のつば広の帽子を手で押さえて大河が竜児のもとに駆け寄る。日焼けするからと無理に持ってこさせたものだ。ただでさえ海で焼けているのだ。
この上重ね焼けしてしまうと、デート本番時には腕白小僧のように真っ黒になりかねない。

中身は腕白小僧なんだから、外見くらいは繕っておくべきだろう。

◇ ◇ ◇ ◇

350 ◆fDszcniTtk:2010/08/31(火) 00:56:47 ID:???
今宵はここまでにしとうございます。

351高須家の名無しさん:2010/08/31(火) 01:12:42 ID:???
>>350
そんな殺生な!毎晩0時すぎにリロードしていそうな予感(>_<)。楽しみにお待ちしています。GJでした

352 ◆fDszcniTtk:2010/09/01(水) 06:34:01 ID:???
連日代理投稿ありがとう

353 ◆fDszcniTtk:2010/09/01(水) 06:34:37 ID:???
「ねぇ竜児、どれから乗ろう」
「ちょっと待て、あそこに地図がある」

いきなり乗り物に着手しようとする大河をなだめて、看板に描かれた園内の地図を指さす。大河と来たら、まったく何の計画性もない。目についたものを順番に片付けるつもりなのだろうか。遊園地を計画的にこなしていくのも変と言えば変だが、そもそも今日は下見だ。
無計画に当たっていくわけにはいかないではないか。それに何でもきちんとしておかないと気が済まない竜児としては、あらかじめどんなアトラクションがあるかを把握し、楽しむに当たってもっともよいアプローチは何かを事前に知っておきたいのだ。

地図によると、園内はおおよそ4つの区分からなる。ジェットコースターなどの絶叫マシン、コーヒーカップのようなおとなしいマシン、射的のようなゲームコーナー、それからショッピングコーナーやらレストランやらがごちゃごちゃと集まった区画。

「全部まわるのは無理ね」
「おう。ショッピングは無視していいだろう。北村は行けば楽しみそうだけど、遊園地に引っ張ってきてまでウィンドウショッピングにいく必要はねぇよ。レストランだけで十分だ」
「そうよね。ショッピングセンターなら地元にもあるものね」

地元のショッピングセンターはそれほど華やかでもないが、そもそも遊園地にまできてショッピング自体無理して行かなければならないものでもない。最後の最後に楽しかった一日の思い出の品を一つ買えばいいのだ。やっぱりショッピングコーナーは除外でいいだろう。
ウィンドーショッピングは、大河と北村が仲良くなったら勝手に二人で行けばいい。

そうすると残りは三つだが。

「とりあえず、あれから片付けるか」

と、竜児が指さしたのは定番のジェットコースター。青空を背景に優美な曲線を描く巨大構造物の上には、頂点まで上り詰めた列車が見える。レールに沿って緩やかに体をたわめたコースターは、ちょうど下へと向きを変えるところ。
大きなクレッシェントで盛り上がる悲鳴を轟音とともにまき散らしながらコースターは曲線をなぞって疾走していく。これぞ遊園地。おあつらえ向きというか、わざとそうしているのだろうが椅子も2列。カップルが到着そうそう遊園地気分を盛り上げるには最適だろう。

しかしそんな竜児の計画も大河には通じない。右から左に駄犬の提案を聞き流したご主人様は、まったく明後日の方を指さして

「あれにしよう」

特に感心もなげにつぶやいた。

「おう、そうするか」

提案を無視されることなど、既に慣れっこだ。痛み一つ感じずに息をするようにスルーできるようになった。これも大河によるトレーニングのおかげだ。4月以来与えられた言われなき罵倒、侮辱、名誉毀損の数は、数えなくとも数百を超える。
今では軽い侮辱くらいなら何の傷も残さずにスルーできる。竜児は将来大河以外の人間にどんな屈辱を与えられても平気の平左で乗り越えていけるだろう。

それはともかく大河の小さな手が指さす先にはコーヒーカップがあった。超特大のそれでコーヒーを飲んだら、確実に胃を壊すこと請け合い。しかし、実乃梨と竜児がアベックで乗るにはちょうどいい大きさだ。

◇ ◇ ◇ ◇

354 ◆fDszcniTtk:2010/09/01(水) 06:35:13 ID:???
男である竜児の視点で言えば、コーヒーカップというのは決して楽しそうな乗り物ではない。これに乗ってクルクルと回る事に何の愉快があるのか、冷静に考えれば考えるほど不安になる。とはいえ、もちろんそれは相手相手次第だ。たとえば、能登と二人で乗ったとしよう。
いやいや待てと竜児は思う。想像するだけで面白くなさそうだ。もちろん相手が男だからというのが大きい。しかしそれだけではない。たとえば春田。なんだかあいつはコーヒーカップの上でアハハハハと意味もなく楽しげに笑っていられそうに思える。
それはそれで楽しそうなのだ。

とはいえ、やはり一緒に乗って楽しそうなのは、なんと言っても櫛枝実乃梨だろう。普段からニコニコと微笑みを絶やさない天使のような実乃梨の事だ。
こんなたわいもない乗り物にだってさえ、「高須君、これって何が楽しいんだい!」と、満面の笑みで笑いながら一緒の時間を過ごしてくれることだろう。やっぱりコーヒーカップは相手が重要なように思える。

じゃあ、相手として大河はどうなのだ?

と、思い至ったのは丁度二人の順番が回ってきた頃で、即座にその答えはもたらされた。

「なぁ、大河。何か不満でもあるのか?」

楽しげなアコーディオン音楽がスピーカーから流れる晴れた空の下、大河はにこりともせずに仏頂面でコーヒーカップに座っていた。正面に座った竜児としては居心地の悪いことこの上ない。おまけに動いているコーヒーカップからでは言い訳をして逃げるわけにも行かない。

「なによ。あんたまた私の気持ちを勘ぐって怒らせようってわけ?どんだけマゾなのよ」
「いや、そうじゃなくてよ」

わずかに目を眇めて殺気を放つ大河に、冷や汗を流しながら話を継ぐ。遊園地って楽しいところだよな、と思わず自問する。なんだか夏の終わりなのにこのカップの上だけ寒々しいのだが。

「お前、遊園地にデートの下見に来てるんだぞ。その仏頂面ぶら下げて北村とこれに乗るつもりか?」

想像して、思わず笑いそうになるのを必死でこらえた。笑ったら確実に殺されるだろう。それにしても、大河の暴虐に日頃から耐えている竜児ならともかく、北村にこの重苦しくも寒々しいコーヒーカップが耐えられるかどうか。

355 ◆fDszcniTtk:2010/09/01(水) 06:35:48 ID:???
「別に北村君と乗るときに不機嫌になる気はないわよ。ないけど…」

と、大河はそこで言葉を探すような表情。ふと、その顔を見て竜児は思い当たった。そうか。そういうことか。相手が自分じゃ気分が乗らないわけだ。そういうことなら、仕方が無いと思う。
日頃散々優しくしてやっているはずの自分と居て楽しくないなど、少々腹が立たないわけでもない。とはいえ、ついさっきまでその竜児本人が「乗るなら櫛枝と」と考えていたのだ。
大河が「乗るなら北村君と」と考えていたとしても、竜児にそれを責める筋合いはない。そもそも、これは大河と北村のデートの下調べなのだし。

しかしながら、大河は

「ねえ竜児、これって何が面白いのかしら」

と、予想も付かないことを言ってのけた。いや、それはまさに竜児が抱いた疑問ではあったが、よもや大河の口から発せられるとは思いもしなかったのだ。

「何が面白いって……ええ?」

聞かれても竜児は困る。こういう乗り物は女の子向けのはずだ。それに大河が乗りたいと言ったのだ。大河は雑で乱暴だが、決して男っぽいわけじゃない。その証拠にファッション雑誌ばかり読んでいるし、おしゃれにも関心がある。
関心どころかこだわりと言っていい。選ぶのはまるでお人形のような服ばかりで、それはつまり自分の容姿に一番似合うのが何か考えているしわかっていると言うことだ。そう、パンチ力、キック力、言葉の暴力いずれも竜児の数倍という大橋高校の女王虎は、紛れもない少女なのだ。

その女の子に「コーヒーカップって何が楽しいの?」と聞かれても、こちらが困る。
想像の中で実乃梨も同じ事を聞いていたが、そもそも実乃梨は少々変な子だし、そこが実乃梨のかわいらしいところだ。向き合う他人を常に真っ正面から食い殺そうとしている手乗りタイガーにそんなことを聞かれても、何のかわいげもない。

「いや、その……」

険しい目を一層険しくして考えているうちに、コーヒーカップは止まってしまった。竜児の思考も止まったままである。

◇ ◇ ◇ ◇

356 ◆fDszcniTtk:2010/09/01(水) 23:58:43 ID:???
本スレ >>411 修正ありがとう。面倒かけて申し訳ない。

>>412 感想ありがとう。延々と長い枕が続いて退屈させちまったかも。

357遊園地作戦 ◆fDszcniTtk:2010/09/02(木) 00:01:07 ID:???
◇ ◇ ◇ ◇

続く女の子向けのファンシーなアトラクションでも大河の浮かない顔は変わらなかった。空飛ぶゾウに乗って宙をふわふわ漂うアトラクションも、カバに乗ってぷかぷかと水路を進んでいくアトラクションでも、大河の表情は緩まなかった。

表情が変わってしまったのは竜児のほうである。一体何なんだよと般若の表情で愚痴の一つも言いたくなる。当たり前である。
デートの下見に行くからついて来いと言われてついてきたのは良いとしても、残暑の強い日差しにあぶられながら何を好き好んで、仏頂面の手乗りタイガーと歩かなければならないのか。
あまり気の利かない設計のこの遊園地は植え込みが少なく、強い日差しに気温は上がるばかり。周りの人も汗だくで、気温に引きずられるように竜児の脱力指数も青天井だ。

いや、脱力だけではない。実のところ、結構フラストレーションがたまっている。どうしてお前はそんな顔してるんだと言ってやりたくて仕方ないのだ。

手乗りタイガーである大河に表情の話をするなど自殺行為だ。水泳の授業のころ、いらいら状態の大河の気持ちを読もうとしたために竜児はとてつもない精神的苦痛を何日も負うことになった。放っときゃいいのだ。
こんな勝手な奴の気持ちなど読めるはずもないし、推し量ってやる必要もない。
そりゃ、竜児はいつも大河と一緒にいるうちに同じ釜の飯を食った仲間のような気持ちを抱くに至っているが、じゃぁ大河がそれに応えてくれるかというと、その答えは幾分、いや随分微妙だ。

大河はどうやら竜児のことを仲間としてちゃんと認めてくれている。竜児は確かにそう思っている。しかしながら、じゃぁそれがいつも表に出てくるかというと、その確率は非常に低いのだ。
ひねくれているのか、どうなのか、大河の竜児に対する態度は常に横柄だ。だからこの女との間に重要なのは距離感であり、その距離感を正しく保つ努力を竜児は常に心がけている。下手に手を突っ込めば手を食いちぎられる。

竜児は1日24時間、大河という歩く地雷が装備している見えないスイッチを踏みぬかないよう、気をつけて生きていかなければならない。

358遊園地作戦 ◆fDszcniTtk:2010/09/02(木) 00:01:43 ID:???
「ねぇ竜児、つぎはあれに乗りましょう」

そういって大河が指さした先には古びたメリーゴーラウンドがあった。だがしかし、竜児はすでにそんな気分ではない。このまま不機嫌タイガーと歩くなんて冗談じゃない。殴られるのは嫌だが我慢も限界になってきた。

「乗るのは構わねえけど、お前一体どういうつもりなんだ?さっきからニコリともしないじゃねぇか」
「はぁ、あんた何言ってるの?私に愛想笑い振り巻けとでもいうの?」
「言ってろ。そもそも遊園地に行くと言い出したのはお前だぞ」

重苦しい雰囲気に負けてとうとう竜児が核心を突く。

大河に「お前不機嫌そうだな」などと言うべきではないのだが、それでも竜児は状況に負けてしまった。もう我慢できない。

「私がどんな顔して生きていこうと勝手でしょう。それともなに?あんたは私が一番嫌いなことがまだ覚えられないの?あれだけ私の心を勝手に解釈するのは止めろって言ったでしょ。それとも…ちょっと、何してんのよ」

唸り声をあげ始めた大河に腰が引けつつも、竜児は黙って携帯を取り出すと問答無用でパシャリと一枚写真をとる。とっさにどう反応していいのか戸惑っている大河に、写った顔を見せてやる。

目を眇め、唇の端を醜くゆがめている肉食獣の写真がそこにあった。

「な、何よ。勝手に写真なんかとったりして」
「これがお前の顔だ。お前は北村とのデートの下見に来て、こんな顔をしている。大河。悪いことはいわねぇ。面白くないなら帰ろう」
「面白くないなんていってないじゃない」
「いや、言ったね。はっきり言った。お前が遊園地を楽しんでいるなら俺も付き合ってやる。でも全然楽しんでないじゃないか。こんな調子じゃ勇気をだして北村を誘ってきても、お前があいつに見せられるのはこのツラだ」

日陰にいるものの、風は結構熱い。湿度が低いからいいようなものの、重苦しい雰囲気で向き合ったまま立っているのは苦痛以外の何物でもなかった。
大河のほうは竜児に噛みつきたくてたまらない風情だが、突き付けられた自分の顔に文句も言えず、せっかくのバラの蕾のような唇を真一文字に引き結んで何か言葉を探している。そしてようやく言葉を見つけたようだったのだが、

「でも私は…」

切りだしたところで、どぎゅるるるるる、と盛大に腹を鳴らす。出物腫れ物ところ構わずと言うが、こいつは腹の音だな。そう思いつつ竜児は天を仰ぐ。大きくため息をついて再びつば広帽子の大河を見降ろす。
大河はというと、不機嫌そうな表情のまま、顔を赤らめて背けている。まぁ、いいか。

「なによ」
「飯食おうぜ。考えるのはそれからでいいだろう」

そう言ってくるりと向きを変えるとレストランに向かって歩き出す。勝手に仕切らないでよ、と言いつつも、大河も駆け寄って黙って横を歩く。

◇ ◇ ◇ ◇

359遊園地作戦 ◆fDszcniTtk:2010/09/02(木) 00:02:18 ID:???
「つまらないってわけじゃないのよ」

カツカレーのカツをスプーンの先で本当につまらなさそうにぶつ切りにしながら、大河がぼそりとつぶやく。
飯の食い方に関して一家言ある竜児としては、「そんなまずそうな面してご飯を食べるんじゃない」、と小言の一つも言うべきシーンだが、残念ながら本当においしくないのだから竜児としても怒る気があまりしない。

カレーとトンカツの魅惑のコンビネーションを前に、大河はサンプル・ケースの前で散々悩みぬいた。辛口だったらどうしようと考えていたのだ。
「ここは遊園地だから子供客が多い。カレーが辛口なんてことはあり得ねぇ」と竜児に太鼓判を押してもらってようやく注文するまで実に10分。
別段こだわりのない竜児も付き合って同じカツカレーを頼んだが、出されたモノのを口にして、二人とも、もともと浮かない顔が一層暗くなってしまった。
まぁ、日ごろから竜児手製のスペシャルスパイス・カレーだの、柔らかジューシー・トンカツなんぞを食べて舌が肥えてしまったこともあるのだが、それにしても(これで1180円は詐欺だろう)と竜児も思わざるを得ない。
肉は薄いくせに妙に固くて衣もべちゃべちゃ。カレーだって全然煮込みが足りない。

そういうわけで二人ともぼそぼそと消化の悪そうな食事を続けていたのだった。先の大河の発言は、食べ始めて10分ほどたってからのことである。
竜児はまだ半分ほど残っているが、大河はあらかたカレーライスをかたづけ、残ったカツも1/3ほどだ。

「じゃぁ、どうしてあんな浮かない顔するんだよ」

と、竜児。最初は北村ではなく竜児が相手だからだろうと思っていたが、大河の言葉を信じるならば、どうやらそうではないらしい。
聞かれた大河はしばらくスプーンの先でカツをつついていたが、どうつついても走り出さないと納得したのか、仕方なさそうに、質問に質問で返す。

「竜児はさ、あれ、面白いって思う?」
「あれって、コーヒーカップとか、空飛ぶ象か?」
「うん」

結局その質問が来たか。と、思う。別に隠すことじゃない、ため息交じりに竜児はさっき考えたことをそのまま口にする。

「正直言って、すげえ楽しいとはおもわねぇ。まぁ、俺だけじゃねぇだろう。男はみんなそう感じると思うぜ。北村も」
「そっか」

と、大河は妙にしおらしい。ほんとに気落ちしているのかもしれない。

「北村君、誘ってもつまんないって思うかな」

360遊園地作戦 ◆fDszcniTtk:2010/09/02(木) 00:02:53 ID:???
意気消沈する大河に、竜児は言おうか言うまいかと逡巡する。お前次第なのだ、と。遊園地なんぞ、所詮は女子供のための場所なのだ。絶叫マシンを除けば、男が喜んでくるような場所ではない。
では、なぜ世の男連中が来るかというと、結局のところ、一緒に来る女の子の笑顔を見るのが楽しいからだ。そのくらい、竜児にだってわかる。
想像の中の櫛枝実乃梨は実に楽しそうに笑っていた。その笑顔さえあれば、女子供のための遊園地だろうがなんだろうが、竜児にとっては楽園に等しい。

だから、お前も笑え。竜児はそう思う。思うのだが、それを言ったところで解決するかどうか。解決しなければ単にこの猛獣の機嫌を損ねるだけかもしれない。しばらく迷った挙句、結局竜児は

「お前次第だろ」

口にしてしまった。こんな意気消沈した大河を前に言うべきことを言わないでおくなど、所詮竜児には無理なのだ。竜児は根っからのお人好しであり、落ち込んでいる大河を前に手を差し伸べないなんてことは、できるはずもなかった。

「私次第って?」

弱々しく見上げる大河に、なるべくゆっくりと噛んで含むように言ってやる。

「お前が仏頂面していれば、北村だってつまらないし、お前が笑えばあいつだって楽しいさ」
「そんな……」

とってつけたようなセリフ、とでも言おうとしたのだろうか。しかし、竜児はさえぎる。

「聞けよ。俺も男だからわかるけどさ、目の前で女の子が楽しそうに笑っていて、それで楽しくならない男なんていないって。好きかどうかなんて関係ない。特に北村は明るい奴だ。
周りが楽しそうにしていればあいつだってハッピーな気分になるにきまってる」
「そうかな」
「絶対そうだ。あいつはそういう奴だ」

俺もそうだ、とは言わないが、竜児だって目の前の大河が楽しそうにしていれば、自分も楽しくなるのだ。いつもそうなのだ。櫛枝実乃梨という歴とした想い人がいても、目の前の大河が笑えば竜児もうれしかった。他の奴も同じに決まっている。
大河を恐れている能登や春田だって、大河が目の前で楽しそうに笑えば、きっと楽しくなるに違いない。

黙っているところをみると、どうやら大河は不承不承竜児の言葉を信じることにしたようだった。だが、それでも表情は晴れない。当たり前だ。結局「どうしてお前は楽しめないんだ」という、最初の問いに戻ってしまったのだから。

◇ ◇ ◇ ◇

361遊園地作戦 ◆fDszcniTtk:2010/09/02(木) 00:03:29 ID:???
平らげた皿をテーブルに残して、二人はレストランの外で食休みをすることにした。幸い木陰に手ごろなベンチがあいており、大河を留守番にして竜児は自動販売機で飲み物を買う。竜児はブラックの缶コーヒー、大河にはヨーグルトドリンク。

「ほら」

差し出してやると、大河は素直に受け取って上目遣い。ちいさく「ありがと」とつぶやく。

「あのさ」
「おう」

しばらく黙って各々の飲み物を飲んだ後、大河がようやく口を開く。

「なんだか、自分でも変だと思うんだけどさ」
「……」
「こんな子供だましに乗せられてたまるかって、思っちゃってるみたい」

えええええぇぇぇぇぇぇ?!そりゃお門違いだろう逢坂大河!!とんでもない告白に竜児は盛大にため息をつく。

「なんだよそりゃ」
「やっぱり変かな。変だよね」
「変だ。つーか、ほんっっっと、なんなんだよ。お前が遊園地に行きたいって言ったんだぞ」

木陰だというのに竜児は頭がくらくらしてくる。熱中症ではない。途方に暮れているのだ。

「そうなんだけど……」

その憎たらしいつむじに地獄の底まで食い込むくらい突っ込んでやろうかという気分だし実際そういう顔なのだが、うつむいてつぶやく大河に竜児も突っ込んでいる場合ではないと言葉を呑む。全く面倒な奴だ。
どこの世界に「こんな子供だまし」なんて思う子供がいるのだ。確かに大河は17歳だが、体のサイズも精神年齢も正真正銘子供だ。疑う奴がいるなら連れてこい、俺が保証する。そんな気分だ。

362遊園地作戦 ◆fDszcniTtk:2010/09/02(木) 00:04:05 ID:???
「あのな、遊園地って、子供だましなんだよ。そういう風に作ってあるんだよ。それにまんまとのっかってだまされるためにみんな大金払って入場してるんじゃないのかよ」
「でも竜児だってつまんないんでしょ」
「だから男は別だって。ここは女の子とか子供が楽しめるように作られてるんだよ。いいか、お前が主役なんだ。お前が楽しむようにって何もかもあつらえてあるんだよ」
「そう……だよね。たぶん。でもさ、なんだか作った人の思惑にまんまと載せられるって、癪じゃない?」

知るかっ、このあほ!と叫んで後ろ頭を思いっきりどつけたらどれほどすっきりするだろうか。このひねくれ小僧のねじれ曲がった根性を何とかしない限り、どう考えてもこの遊園地作戦は失敗だ。大河にしては名案などと喜んだ自分の愚かしさが恨めしい。

どうやら意識的にか無意識にか、「喜んだら負け」だと構えてしまっている大河を前に竜児は目をすがめる。こうなったらぐるぐる巻きにして観覧車のてっぺんから放り出してやろうという顔だが、そうではない。最後の手段を考えているのだ。

「まぁ、何となくわかったぜ。つまり、お前は決して遊園地が嫌いなわけじゃねぇけど、楽しんだら負けだと思ってるんだ」
「別に負けだとは思ってないけど……うん、そうかもね」

相変わらずローテンションの大河を前に、遊園地に似つかわしくない三白眼をぎらりと光らせて竜児が決意を固くする。

「よし。わかった。もうこうなったらあれしかない」
「あれって…」

立ち上がった竜児がビームでも発しそうな目をすがめて見る方向を大河も見、そして口をつぐむ。その方向には最初に竜児が提案してあっさりと却下された絶叫マシンが青空を背景に巨大な体をくねらさせている。

「…ジェットコースター?」
「ショック療法だ」
「どうするのよ」
「ようするに、おまえは自分でも認めているように生半可なアトラクションで楽しんじゃいけないんじゃないかって思ってる。だから、ジェットコースターでがつんとやろうってわけさ」
「そんなのでうまくいくの?」
「ああ、心配するな」

半信半疑の大河に竜児は自信満々に答える。

だが、面の皮一枚内側では竜児だってこんなとってつけたようなショック療法が絶対うまくいくだなんて思っていない。だって、へそを曲げているのは大河なのだ。こいつのへそ曲がりは骨身にしみている。
ジェットコースターに乗ったくらいで「わーい!」と機嫌を直して遊園地を楽しんでくれるなら、これから毎週だって連れてきてもいい。

◇ ◇ ◇ ◇

363高須家の名無しさん:2010/09/11(土) 00:20:23 ID:???
カウンターがwww
なにがあったんだ?

364高須家の名無しさん:2010/09/11(土) 22:03:42 ID:???
今日もすごいなw
壊れてるんでないなら新作の影響とか…?

365◇fDszcniTtk:2010/09/13(月) 12:10:01 ID:7/WxfeR2
その新作を買いそびれている俺が通りますよ。

どこ行っても置いていない。ダチョウ犬呼ばわりされても仕方ないな。

366高須家の名無しさん:2010/09/13(月) 23:18:23 ID:???
え、何のカウンターのこと?w
新作は尼でポチった。
楽しみでもあり、怖くもあり、だな。

367高須家の名無しさん:2010/09/14(火) 19:03:24 ID:4IvF2Gt6
俺、出張から帰ったら新作読むんだ

368高須家の名無しさん:2010/09/16(木) 01:09:59 ID:???
おいいいいいいい!!!!!
新刊はどこ行ったら買えるんだよクッソオオオオオオ!!!!!!

売れてるのは喜ばしいけども

369高須家の名無しさん:2010/09/16(木) 18:40:27 ID:???
あるところにはあるぞ、新刊。昨日ゲットした。
駅前大型書店とかは全滅だけどな、街外れの道路沿いの書店なんか穴場だ。
DVDやCDレンタルがメインの本屋も狙い目かも。

ちなみにそこは5冊残ってたww

370 ◆fDszcniTtk:2010/09/17(金) 01:36:51 ID:???
俺はあきらめてamazonで買った。

371高須家の名無しさん:2010/09/20(月) 21:38:47 ID:???
よし、BD化まで一歩前進
ttp://ameblo.jp/bdmeister/entry-10649692186.html
サイトでの投票、週刊トロステーションでの投票、アニメージュでの投票と、これまで全部とらドラ!が
一位だ。次の媒体はアニメが低調らしいけど、総合で1位はとれるだろう。前回やたら冷たかった
キングレコードに目にもの見せてやる。

372高須家の名無しさん:2010/09/22(水) 00:09:33 ID:???
寝る前に"Startup"とか「優しさの足音」を聞くと安らかな気分で眠れる。

373高須家の名無しさん:2010/10/14(木) 00:44:41 ID:???
初の規制でショックだ・・・ってことで

本スレ>>270
いやいや普通にGJ!超GJ!
これからも書いて欲しいものだw

374高須家の名無しさん:2010/10/31(日) 08:39:41 ID:???
クリスピークリーミーは偽物のほうだぞ!

375ms07b3:2010/11/01(月) 22:46:16 ID:???
規制の為、本スレへの転載を希望します。
「クリスマスは誰にでもやってくる⑤」
俺がグレもせずに生きて来られたのは、早く大人になって独立する事を夢見ていた
からだろう。一刻も早く母親から逃れたかった。
母親が俺の事が邪魔であると同様に、俺にとっても母親は邪魔な存在だった。
昼夜逆転の生活を送る母親と、学生である俺の生活は滅多にクロスしなかった。
毎日、キッチンのテーブルに1,500円が置かれていた。朝・昼・夜の3食を賄うには
充分な金額。学費や、急に金が必要になった場合には、夜、キッチンのテーブルに
メモを書いて残しておく。そうすれば翌朝には必要な金額が置かれていた。
中学を卒業して、地元の高校に進学すると、俺はバイトに明け暮れた。
そうすると、母親と接する機会は全くなくなった。
月に一度、偶然顔を合わせる。そんな関係だった。
幸い、俺はバイトに明け暮れる生活を送っていても、学業の成績は良かった。
高校卒業後、大学に進み、中堅どころのイベント運営会社に就職すると、寝食を忘れ
たように仕事に打ち込み、30歳を過ぎる頃には、大きなイベントを取り仕切る立場
になった。


ティーン向けの雑誌のイベントは、随分と華やかな雰囲気だ。
雑誌の看板モデルが勢揃いして、バレンタインデーのチョコを手にしてフラッシュの
放列に向かい笑顔を振りまく。
観客の多くは小学校の高学年から高校生までの女の子。カメラ小僧も紛れ込んではい
るが、制服・私服の警備員が一定の距離以上には近づけないよう見張っている。
「亜美ちゃーん!」「こっち向いて〜!」と言った黄色い声に混じって
「亜美さま〜。」「こっち向いてくださ〜い。」という野太い声も混じる。
ケミカルウォシュのデニムは色褪せ太い。何年巻いているんだ?と聞きたくなるほど
草臥れたようなチェックのバンダナにカメラマンベスト。川嶋亜美の事務所の人間か
ら、要注意人物だと伝えられた男は、カメラ小僧達の真ん中に陣取り、高そうなカメ
ラでモデルの女の子を狙う。
手元のトランシーバーで舞台袖に配置された警備責任者に注意を促した。

イベントが終わり、出演者達は帰って行く。ただ1人、川嶋亜美を除いて。
「おつかれさま。まだ帰らないのかい?」
俺が聞くと、川嶋亜美は営業用の笑顔を見せた。
「ええ、マネージャーが迎えに来てくれる筈なんですけど、来ないんです。」
困っちゃいますよね〜。川嶋亜美は明るい声で言う。
「次の仕事は?」
「今日はこれで終わりなんです。」
いくら人気モデルとは言え、ティーンズ雑誌のモデル程度に専属のマネージャーなど
いるはずもない、例えそれが、有名女優の川嶋杏奈の娘でもだ。
時計を見るとすでに5時半過ぎ。辺りは暗くなっている。
「俺も帰りだ。途中の駅まで乗っていくかい?」
「でもマネージャーも来るし。」
「そうか、じゃあ気をつけてな。さっき警備の無線聞いていたら、バンダナ巻いた男
が楽屋口の歩道をウロついてるそうだ。」
俺がそう言うと、川嶋亜美は表情を曇らせた。
ポケットから車の鍵を取り出して、歩き始めると、黙って川嶋亜美もついてきた。

車が大橋駅のロータリーに着くと、川嶋亜美はお礼を言って降りていった。
さて、これからどうしようかと考える。
家に帰っても、今日は妻はいないはずだった。
去年のクリスマス以来、妻は毎週のように徳生学院に出かけている。

徳生学院の生徒達の半分には、土曜・日曜を過ごす週末里親がいる。
年明けから、みらいと姉妹のように仲の良いきょうこちゃんが、毎土日、週末里親の
元に預けられるようになると、必然的にみらいはひとりぼっちになってしまった。
時折、訪れる里親候補者に対して、激しい人見知りを示すみらいは、難しい子供とし
て扱われてしまい、早々に里親達の興味の対象から外れてしまう。
しかし、妻だけには、思慕の態度を示すのだった。

376高須家の名無しさん:2010/11/02(火) 00:51:05 ID:???
「せっかくの亜美ちゃんの出番なのに規制とか信じらんない!」
「おちつけ川嶋、転載しておいたぞ。まったく大河といい>>375といい世話が焼けるったらありゃしねぇ」

377高須家の名無しさん:2010/11/02(火) 19:00:24 ID:???
本スレ規制食らってた。

---

>>357
最後の大河の台詞ににやり。やっぱこの作者は才能あるわ。

>>359
押さえた一人称の文体がすばらしい。最初は時期がわからなかったが、だんだんわかってきたな。
そのへんもうまいわ。早く次が読みたい。

378高須家の名無しさん:2010/11/03(水) 15:42:49 ID:???
クリスマス・イブに2-Cの面々が竜児の家にやってきて大騒ぎするって
同人誌があったはずなんだけど、なんだっけな。エロくない話のはず。

379高須家の名無しさん:2010/11/03(水) 19:45:06 ID:???
「腕の中のタイガー」かな?
いやあれは忘年会だったような…

380高須家の名無しさん:2010/11/05(金) 17:29:55 ID:???
それだ!ありがううううう!

381高須家の名無しさん:2010/11/10(水) 10:17:05 ID:???
規制続行中

本スレ >>387
最近のeroさんは神がかってるな。みのりんへのプレゼントは思いつかないくせに
大河へのプレゼント即答の竜児に笑った。大河もこっそり確認しているし(w

382高須家の名無しさん:2010/11/10(水) 22:35:29 ID:???
本スレ 369

乙&GJ 楽しく読ませて貰ったが、あくまで竜虎スレだと言う事をお忘れなく。
こういう変化球は、小説投稿スレでやってくれ。

383高須家の名無しさん:2010/11/12(金) 07:48:53 ID:???
ワロタ
ttp://yunakiti.blog79.fc2.com/blog-entry-7235.html

竜児は彼女持ちじゃないよな。

384高須家の名無しさん:2010/11/12(金) 19:18:31 ID:???
婚約者持ちだな

385高須家の名無しさん:2010/11/12(金) 19:25:07 ID:???
妻帯者だろ

386高須家の名無しさん:2010/11/12(金) 23:44:48 ID:???
ちなみにこの中で大声張り上げて堂々と「好きだ!」と言ったのは竜児だけ。さすが。

387高須家の名無しさん:2010/11/13(土) 07:53:08 ID:???
本スレまだ規制中だ。

>>395

eroさんのSSのうまさの一つに、凝縮されたオチがある。この形式のSSの代表作は「三題噺『顎』『見せる』『花びら』」だろう。ttp://tigerxdragon.web.fc2.com/index/SS19/888a.html 暖かい落ち着いた話が淡々と進められ、最後の一行で、
二人の体温が上がるのが感じられるようなオチがもたらされる。

今スレだと

>>233
>>299
>>357

などがこの型。ほのぼのとした会話主体のストーリーのが紡がれて、最後の2,3行、たまに1行くらいでガツンと破壊力のあるオチが来るパターン。ぷっと笑うこともあればニヤリとしてしまうこともある。
こういうのは文章の組み方だけ覚えていてもできない技でオチを考える発想力に加えてそれを凝縮するテクニックも必要になる。

>>299 なんかは、この人のもう一つの得意パターン「お前らもう無意識に惚れ合ってるだろう!」型のストーリーと凝縮型のオチが組み合わさっている珍しい例になっている。

ネタの取得方法として原作からランダムにキーワードを選んでいるらしいが、もはやストーリー構築能力は三題噺の範疇を大きく超えている。
しっかりと守られた形式美もいいんだけど、たまには掌編小説や短編小説も読みたいなと勝手に期待する次第。

長くなったけど、いつも惚れ惚れしながら読んでいるぜ!

388高須家の名無しさん:2010/11/13(土) 14:57:02 ID:???
同じく規制中。
eroの人はほんとどう表現したらいいかわからないけど否応無しにニヤニヤさせられるね。
1スレ内の短い文章であれだけ表現できる技術がすごい。
以前のシリーズの昔話パロも面白かったし気が向いたら書いて欲しいな。



あと全然関係ない話だけど久しぶりにメジャー読んだらそういやこいつも大河だったなと。
しかも典型的なツンデレだなと。

389高須家の名無しさん:2010/11/17(水) 01:05:27 ID:???
まだ規制中だ。

本スレの流れ見て、竜児が大河に口移しで食べさせるSS思い出した。

390高須家の名無しさん:2010/11/19(金) 08:09:33 ID:???
俺のお隣さんがこんなに可愛いわけがない

391高須家の名無しさん:2010/11/20(土) 01:01:56 ID:???
と思っていたら

392高須家の名無しさん:2010/11/20(土) 09:22:27 ID:???
恋愛相談を受けることになってしまった。

393高須家の名無しさん:2010/11/20(土) 16:28:13 ID:???
なんだかんだやってるうちに

394高須家の名無しさん:2010/11/21(日) 06:46:51 ID:???
そいつの親友と急接近。

395高須家の名無しさん:2010/11/21(日) 18:13:40 ID:???
問題あるか?無いよな。だってあいつは俺のことなんて何とも思ってないし。

396高須家の名無しさん:2010/11/22(月) 16:40:48 ID:???
だが何かが引っ掛かる……

397高須家の名無しさん:2010/11/23(火) 00:40:04 ID:???
なぜお前はそんな顔をするんだ?

398 ◆fDszcniTtk:2010/11/23(火) 00:58:59 ID:???
永久規制かもしれん。代理投下よろしくたのむ。

新作:「夢の中」

399夢の中 ◆fDszcniTtk:2010/11/23(火) 00:59:39 ID:???
高須竜児が目を覚ましたのは、まだ部屋が暗い時間だった。耳を澄ませてみるが、町は夜の底にあるようだ。ほんの少し首を回して時計を見る。午前4時。

軽く深呼吸する。部屋の空気に触れている顔は少しひんやりしているが、布団の中は暖かい。左隣に妻の体温を感じる。いつものように自分より少し高めの体温に安心して、もう一度深呼吸。まだ十分な睡眠をとっていない体は再びの眠りへとゆっくり沈んでいく。

だが、

『…北村君…』

妻が呟いた言葉に、いきなり頬を張り飛ばされたように目が覚めた。

◇ ◇ ◇ ◇

400夢の中 ◆fDszcniTtk:2010/11/23(火) 01:00:14 ID:???
高校時代に知り合った妻の大河とは、大学卒業後仕事についてようやく結婚することができた。プロポーズから長い月日を経て迎えた結婚生活は、つきあいが長かったにもかかわらずいくつもの驚きに彩られていた。

二人は知り合って最初の一年間、事情があって半同棲生活を営んでおり、竜児は大河の生活に関して相当知っているつもりだった。なにしろ生活能力皆無の大河を半ば引き取ってしまった竜児は、掃除、洗濯、ご飯の用意、後片付け、栄養状態の管理まで行っていたのだ。
手出ししなかったのは睡眠、入浴とトイレ、あと下着の洗濯くらいで、もしそれに手を出していたら完全に同棲だった。

しかし当時二人にはそれぞれ片思いの相手がいたし、何しろその頃の大河は学校で「手乗りタイガー」などというニックネームをもらうほど凶暴だったから、竜児は大河に手を出すなど想像したこともなかった。

それが急転直下、たった一年で二人は婚約に至るのだが、それでも実直きわまりない竜児は高校時代キスまでしか手を出さず、大学に進学してそれなりに深い仲になったものの、とうとう二人で朝を迎えることがなかった。
そんな竜児に大河は幾分あきれ気味だったが、そういった堅さまで含めて竜児のことが好きだったのだから、大河がぐずるということもなかった。

だから、本当に朝まで同じベッドで過ごしたのは新婚初夜がはじめてだったのだ。そして、結婚して竜児をおそった驚きの一つは、人々が深い眠りについた後にやってきた。

最初に気づいたのは新婚旅行から帰ってきて二週間ほど経ってからのことだ。夜中眼をさました竜児は布団の中で首をかしげた。普段体調管理を万全に行っている彼には、夜中目を覚ますなど滅多にないことだった。

部屋の気配を探ってみるが特に不審なこともなく、もう一度寝ようとした竜児は、隣で妻の大河が呟いた言葉に思わず笑い出しそうになった。

『私ハンバーグ』

◇ ◇ ◇ ◇

401夢の中 ◆fDszcniTtk:2010/11/23(火) 01:00:50 ID:???
それから何度も、竜児は夜中に起きて妻の寝言を聞くことになった。大河は恐ろしく寝言が多い女だったのだ。たまに、布団を派手に引っぺがされて寒さに驚いて起きることもあったが、ほとんどの場合、目が覚めてしばらくすると寝言を聞かされた。
おそらく直前に寝言を聞いて目が覚めていたのだろう。

たった一言聞いて終わることもあれば、延々と断片的な話を聞かされることもあった。そして、それは竜児にとって苦々しい事態となった。睡眠不足になるほど長い寝言は滅多になかったが、かなりの確率でどんな夢を見ているのかはっきりわかったのだ。
言い換えれば、高須大河は夢の中でプライバシーをだだ漏れにしていた。

竜児は堅い男である。結婚しているからプライバシーはいらないなどとは考えない。親しき仲にも礼儀あり。慎ましく、きちんとした生活にこそ、魂の安らぎがあると考えている。その竜児の上に、大河はバケツをひっくり返すように自分の小さな脳みその中身をぶちまけてきた。

夢の内容はその時々によって違っていた。

全くとりとめのない冒険話を聞かされることもあれば、食べ物の話のこともあった。一番好きな食べ物はとんかつで、二番目はカレーライスだと言うこともわかった。大河は何を食べたいか聞くと、いつも頭の中が肉でパンクしてはっきりしない答えになるのだが、
寝言の数から統計的にとんかつが一番好きだと言うことがはっきりした。これはまあ予想通り。そして意外にもカレーライスが二位だったわけだが、きっと竜児特製のスパイスのおかげだろう。
普段食べたいと聞かなかったから、やや後ろめたさがあるとは言え、自分のスパイスが認められたのはうれしいかった。

大河の夢は、最近の自分たちの話題はあまりなくて、それよりも少し先の話や親戚、友達の話が多かった。夏休みがとれたらどこそこに行こうとか、おじいちゃん元気かなとか、子供何人ほしい?などという話も何度も聞かされた。それから、昔の話をなぞる寝言も良く聞いた。
一番多いのは、二人が知り合った高校二年生の時の話。それ以降の話は、竜児と一緒の時の話だったり、あるいは竜児が知らない友達の話であることもあった。
どの話も、夢らしくとりとめのない情景が断片的につながっていて、しかも多くの場合突拍子のない方向へと物語は進むようだった。

竜児が一番聞きたくなくて、だけど聞かずにはいられない、二人が知り合う前の話もあった。切れ切れの寝言はだんだんと悲しそうな声色に染められていき、終いには夢の中で泣き出した大河をたまらずに起こしたこともある。
闇の中で「何?」と涙声で問う妻に、「お前、泣いてたぞ。嫌な夢見たのか?」と聞き返した。夢の内容を聞いたなどとは口が裂けても言えなかった。

寝言を聞いているとは、とても言えなかった。そんなことを言ったら、夫婦とは言え気まずくなるだろうし、何より大河が竜児と寝ることに不安を覚えるかもしれない、そう考えただけで竜児は暗い気持ちになった。
つらい少女時代を送った大河を幸せにしてやるというのが竜児の目標であり、大河に自分と寝ることを不安に思わせるなど論外だった。夢のことは竜児が口をつぐんで墓場に持って行けば済むことだ。

◇ ◇ ◇ ◇

402夢の中 ◆fDszcniTtk:2010/11/23(火) 01:01:26 ID:???
『北村君…どうして?』

夢の中で妻は高校二年生の頃をなぞっているようだった。竜児の友達である北村祐作、大河の友達である櫛枝実乃梨。互いの想い人との仲を共同で取り持とうとしていたあの頃。やがて竜児は大河のことを誰よりも大切に思うようになり、
大河も同じように竜児を大切に思うようになった。

ベッドに入るときにはいつも竜児の腕にしがみついて寝る大河だが、今は猫のように丸くなって、つらい夢の中、誰の助けも得られずに孤独に耐えているようだった。学校で手乗りタイガーと恐れられながら、誰も寄せ付けず、
好きな男に声もかけられずに独りで泣いていたあのころの夢をさまよっているのだろうか。

大河は今でも北村のことが好きなのだろうか。それは友達としてだろうか、それとも昔抱いたような恋心を今でも思い起こすことがあるのだろうか。あるいは、夢とは知らずあの頃のつらい片思いにもう一度胸を痛めているのだろうか。

横で竜児は目を見開いたまま、見えない天井を凝視している。優しく起こしてやり、どうした、怖い夢でも見たのかと抱きしめてやればいいのか。何も言わずにそっとしてやればいいのか。今胸が痛むのは、妻を助けてやれないからか、それとも嫉妬なのか。

◇ ◇ ◇ ◇

403夢の中 ◆fDszcniTtk:2010/11/23(火) 01:02:02 ID:???
結論のでない逡巡は、妻が漏らす弱々しい寝言とともに続く。心の中に手を差し入れることはできない。昔のことを思い出すなと言うこともできない。思い出していい。ただ、楽しかった思い出として思い出してほしい。
そして願わくば、「竜児を一番愛している」と夢の中でも言ってほしい。

涙声混じりの寝言に心を揺さぶられながら、何年たっても無力な自分に苦い思いをかみしめる。

『…竜児、助けてよ…』
「おう」

寝言に、思わず応える。いつもそうだった。唐突に助けを求めてくる大河に何度手をさしのべたことか。

未だ夢をさまよっているのか、それとも竜児が漏らした声に起きたか、大河が身じろぎしてしがみついてくる。寝たふりをする竜児の横で、再び規則的な寝息を立て始める。

腕に絡みついてきた体温に、われ知らず安堵のため息を漏らす。つかの間迷路をさまよった竜児の意識も、もう一度眠りへと落ちていく。

(おしまい)

404高須家の名無しさん:2010/11/23(火) 02:18:57 ID:???
>>398-403
GJ!
これもまた少し切なくて、でも暖かいのがいいね。
思わず「おう」って応えちゃう竜児がすごく好きだw

405高須家の名無しさん:2010/11/25(木) 07:30:43 ID:???
>>404
本スレ >>443-447
感想サンキュー。竜児と大河にはホントしあわせになってほしいわ。

406高須家の名無しさん:2010/12/02(木) 21:38:44 ID:???
竜児があの時点で言っていた「いわないこと」は、九巻で語られている自立への渇望だと思う。
あまりにも個人的で、そして竜児の潔癖性に照らしあわせて、とてもその理由を他人に話すわけには
行かないことだ。

407高須家の名無しさん:2010/12/18(土) 18:16:35 ID:???
クリスマスが近づいてきたが、大河は今でも施設の子供達にプレゼントを贈っているのでしょうか?。

408高須家の名無しさん:2010/12/21(火) 00:52:33 ID:???
もちろん。そして今頃竜児の夢を見ている。




竜児はもちろん、明日の献立の夢を見ている。

409高須家の名無しさん:2010/12/21(火) 00:54:04 ID:???
ttp://toki.2ch.net/test/read.cgi/moeplus/1292145177/
だそうな。

410高須家の名無しさん:2010/12/22(水) 07:26:26 ID:???
竜児も立体化してくれー 大河と並べたい

411高須家の名無しさん:2010/12/26(日) 01:49:45 ID:???
昨日はお楽しみでしたね

もげろ!とは言わないよこの二人に限っては
むしろ反り返れと

412高須家の名無しさん:2010/12/27(月) 23:20:39 ID:???
クリスマスSSのリスト作ろうとして挫折。改めてまとめ人さんの大変さがわかった。

413高須家の名無しさん:2011/01/11(火) 03:37:28 ID:???
なにやらサーバーエラーが出るのでこっちに。
本スレ>>157
このスレには守護神(まとめ人様)や書き手や描き手の他にも新しいジャンルの神も降臨するようになったのか。

>>164
GJです。描写が細かくて情景を思い浮かべながら読めるのがさすが。
アフターの話もいいけどこの時期の話の微妙な心境の話もいいもんだ。


しかし例のアニメの破壊力が想像以上だった。
甘え目のくぎゅボイスでしゃべるセリフがほぼ「りゅうじ」のみって…
バカップルモードの竜虎妄想してたら内容がほとんど頭に入らなかったよw

414高須家の名無しさん:2011/01/11(火) 21:34:55 ID:???
例のアニメって何だ?w

415高須家の名無しさん:2011/01/11(火) 22:23:34 ID:???
本スレでもちょいちょい話題出てたドラゴンクライシスだよ。昨日1話目やってた。
メインヒロイン役が釘宮さんで主人公の名前が竜司
そんでやたらと「りゅーじ、りゅーじ」と連呼してた、というかそれ以外しゃべってない。
ついでに次回予告も釘宮さんだったんだが、これがまたとらドラMADに使ってくださいと言わんばかりのシロモノw

416 ◆Eby4Hm2ero:2011/01/16(日) 10:37:08 ID:NvvAIVgg
業務連絡
回線不調につき2ch(というかネット全般)にアクセスできません……

AA早くきちんと見たいよう。

417414:2011/01/16(日) 11:25:53 ID:???
㌧クス

三題噺の人頑張って><

418とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero:2011/01/16(日) 12:02:53 ID:NvvAIVgg
お題 「広まって」「掴んで」「だるい」



「うう?……眠い、だるい……」
「大河、ここんとこお疲れ気味だねえ……高須くん、気持ちはわかるけどあんまり頑張り過ぎちゃいかんよ」
「何でだ!? ひょっとして最近妙な噂が広まってる原因櫛枝じゃねえだろうな!?」
「ほほう……妙な噂とは、どんな?」
「ぐ……そ、それは……」
「冗談は置いといて?、また夜泣き?」
「うん……それにでっかくなってきたもんだから抱っこしてると重くて」
「いや、重いったって……赤ん坊だろ?」
「竜児……あんた今度うちに来なさい。寝つくまでずっと抱っこしてるのがどんだけ大変か思い知らせてあげるから」
「お、おう……」
「起きてる時は起きてる時でやたらと動きまわるし。なんでもすぐに口に入れようとするから気が抜けないし」
「あー、そりゃ一番大変な時期だねえ……」
「おんぶしてたら、いきなり髪の毛掴んで引っ張ったりするのよ。あやうく首の筋傷めるところだったわ……」
「……本当に土曜にでも大河の家に行くか。飯のリクエストあったら言ってくれよ、材料用意してくから」
「おー、さすが高須くん。こりゃ将来はイクメン間違いなしだね!」
「? みのりん、『いくめん』って何?」
「育児に積極的に参加する旦那さんのことだよ。いい予行演習になるんじゃない?」
「予行演習ってことは……そ、そうだよな、いずれは……」
「りゅ、竜児と私の……赤ちゃん……」
「ひゅーひゅー、あっついぜお二人さ?ん。でもそこで揃って赤くならないようにね?」

419 ◆Eby4Hm2ero:2011/01/16(日) 12:10:51 ID:NvvAIVgg
携帯から手打ちコピーでもなんとかなるもんだw

ただ、波線での長音が?で表示されてて、きちんと投稿できてるのかどうか……

420高須家の名無しさん:2011/01/16(日) 13:03:37 ID:???
大丈夫です。GJ! 流石のタイガ―も、かなわねーw

421高須家の名無しさん:2011/01/16(日) 13:11:17 ID:???
いや、ところどころ?に化けてるよ

>>418
妙な噂を詳しくだな

422高須家の名無しさん:2011/01/21(金) 21:05:30 ID:???
何か、BD化の噂が流れているが本当な のか?

423高須家の名無しさん:2011/01/21(金) 22:05:34 ID:???
http://ameblo.jp/bdmeister/entry-10774783236.html

424高須家の名無しさん:2011/01/22(土) 18:41:22 ID:???
なんかしょっちゅう規制食らうな。
それにしてもBDついに来たのか!奮発してテレビとレコーダー買ったのはこのためだった・・・!
交渉頑張ってくれた方々ほんとにありがとう!

ここ見てるかわからんけど本スレ>>209

アニメ見たら原作はむしろ読むべき。相互補完できるから。
映像や声を思い浮かべながらより細かい心理描写を堪能するといい。特に7巻とか8巻が個人的にはお勧め。
あと10巻はアニメ版がかなりすっ飛ばしたから新鮮な気分で読めると思う。

425まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY:2011/01/23(日) 16:39:00 ID:???
まとめサイト更新しました。
規制中なのでこちらでお知らせー

それはともかく、とらドラ!BD化おめでとうううううう!!

426高須家の名無しさん:2011/01/24(月) 00:11:13 ID:???
まとめ乙です!イヤッホオオオオウ!!!!

427 ◆fDszcniTtk:2011/01/24(月) 00:18:20 ID:???
まとめ人さん、いつもありがとうございます。どうやら、こっちは永久規制らしいです。

BD化に関してはとらドラ!そのものがSD画質なんで云々と言われていますが、地デジでも十分綺麗なので、
やっぱりBD BOX化はうれしいです。買います。

おまけがつくんじゃないかと言われていますが、どうでしょう。スピン・オフから一作つくなら万歳ものですが、
難しいかな。もし、スピン・オフからなら「とらドラ!の雨宿り」か「ラーメン食いたい透明人間」希望です。
後者は原作エンドでもアニメ・エンドでもOKなストーリーなのがみそ。

428高須家の名無しさん:2011/01/24(月) 21:44:33 ID:???
>>425
いつもお疲れ様です、ありがとうございます!

AA崩れてるの私だけかな

429高須家の名無しさん:2011/01/31(月) 01:24:40 ID:???
原作3巻のクライマックスの「竜児は私のだぁぁ!誰も触るんじゃなああああい!」だけど、
実は28ページで亜美に同じことを言い放っている。もちろん、肩すかしありで。

クライマックスのセリフばかりが取り上げられる3巻だけど、こういう伏線の埋め込み方が
ゆゆこのうまいところだと思う。

430高須家の名無しさん:2011/02/11(金) 07:19:18 ID:???
規制に巻き込まれたんでこちらで。

>本スレ301
GJ!
やはり竜虎はハッピーエンドでなければ!

431 ◆Eby4Hm2ero:2011/02/13(日) 12:23:20 ID:???
本スレ規制中……転載よろしくです。

432とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero:2011/02/13(日) 12:24:22 ID:???
お題 「ちょっと」「妙な」「あった」


 ぴと。
「おうほぉうっ!?」
「……ちょっと竜児、いきなり妙な声出してるんじゃないわよ」
「お……おまえが不意打ちで首筋に冷たい缶なんか当てるからじゃねえか!」
「ふーんだ、恋人の接近に気付かないあんたが悪いのよ。罰ゲームとして冷たいコーヒー一気飲みの刑」
「まさか、そのためにわざわざ買ったのか?」
「ううん、あったかいのと間違えたの」
「……おう、そうかそうか」
「だけどほんと、何をボーっとしてたわけ?」
「大した事じゃねえよ。クリスマスの料理とプレゼントを何にしようかなって考えてたんだ」
「……今から?まだ11月なんだし、早過ぎない?」
「受験の本番も近いし、忙しくなってから慌てるより余裕があるうちに決めておいた方がいいだろ」
「んー、それもそうね……それじゃ、今日は予定変更してプレゼント買いに行く?」
「駄目だ。今日は図書館で勉強」
「ぶー、竜児の糞真面目犬ー」
「大河はまだ何も考えてねえんだろ。だったら来週にでも、ある程度候補絞ってから行くほうがいいじゃねえか」
「むー……仕方ないわね、お楽しみはそれまでとっておくとしますか」
「おう」
「じゃ、今日はお勉強デートってことで、行きましょうか」
「いや、それデートって言うのか?」
「場所や内容が問題じゃないのよ。こうやって竜児と二人っきりでお出かけするのはみんなデートなの」
「……お、おう」

433とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero:2011/03/05(土) 10:51:34 ID:???
お題 「お喋り」「大河」「手」



「ねえ竜児、手見せて」
 大河がそんなことを言ってきたのは、日曜の夕食の片付けが済んだ後。
「おう」
「……むー、やっぱりちょっとカサついてるわね……」
「なんだ、どうした?」
「今日昼にみのりんとお喋りしてた時にね……」


「しかし、大河の手は綺麗だねー」
「え、そう?」
「手タレでもできるんじゃないかってぐらいだよ。どんなケアしてるのさ?」
「……ケアって?」
「……え? 何もしてないの?」
「……手に何かするの?」
「……うわ、あーみんの気持ちが少しわかった気がする……」
「え? ええ?」
「普通はさ、洗い物とかしてると嫌でも手の皮膚が荒れてくるもんなんだよ。洗剤で皮脂が落ちて乾燥しちゃうから。それを防ぐために保湿クリーム塗ったりするわけ」
「へー……」
「ファミレスでバイトしてた頃は、冬場のあかぎれにずいぶん泣かされたもんさ……」
「そ、そうなんだ……」


「……って」
「おう」
「でね、竜児はいつもご飯の片付け手伝ってくれるし、どうかすると洗い物全部一人でやっちゃうじゃない。だから手が荒れてるんじゃないかって思って」
「そりゃまあ多少はな。でも飲食業みたいに大量に扱うわけじゃないし、大した事はねえよ」
「でもきちんとケアしとくにこしたことはないでしょ。クリームっての買ってきたから塗ってあげる」
「おう、そうだな、頼む」
 大河はチューブを取り出して蓋を開け、竜児の掌ににゅるるるんと。
「あ」
「……大河」
「ちょっと、出しすぎちゃったわね」
「ちょっとってレベルじゃねーぞ。どうすんだこれ」
「余計な分はちゃんと拭き取るわよ」
「それもMOTTAINAIな……そうだ、大河もクリーム塗ればいいか」
「え?」
「大河が俺の手に塗るのと一緒に、俺が大河の手に塗ればクリームも無駄にならねえだろ」
「あー、そうね。えと、擦り込むようにすればいいのね?」
「おう」
「…………ねえ竜児」
「……おう」
「これ……ヌルヌルした指絡ませあってるのって……なんか……」
「お、おう……」

434 ◆Eby4Hm2ero:2011/03/05(土) 10:58:56 ID:???
回線不調につき、携帯から手打ちコピペでこちらに投下です。
本スレへの転載をお願いします。

435とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero:2011/03/09(水) 08:34:54 ID:???
お題 「逃げて」「激しく」「食べよう」
 
 
 
「あちゃー、並んでるねえ」
 実乃梨の言葉通り、竜児と大河の目の前には洋菓子店のテナント前からずらりと伸びた人の列。
「テレビで紹介されるってすげえな……こんなに人が集まってるとは」

「ま、私達もそのテレビに釣られた人間の一部なわけだけどね」
「釣られたのは主に大河じゃねえか。食べたい食べたいって大騒ぎしやがって」
「なによ、竜児だって乗り気だったじゃないの」
「まーまーお二人さん。で、どうする? ずいぶん時間かかっちゃいそうだけど」
「そうだな……とりあえず俺が並んでるから、大河と櫛枝は先に昼飯食べてこいよ」
 
 
「!」
 突然スプーンの動きを止め、目を白黒させながら喉元を激しく叩く大河。
「大河、ほら水!」
 実乃梨に手渡されたコップを一気に飲み干し、大河は大きく息をつく。
「あ、ありがとみのりん」
「慌てて食べようとするからだよ。何をそんなに急いでるのさ?」
「んー、早く食べて竜児と並ぶの交代しようかと思っ、ひっく!」
「大河?」
「あらやだ、ひっく」
「ありゃあ、しゃっくりかね。ほら、この水をコップの向こう側からだね」
「ごめんなさいみのりん、ひっく、私それできないのよ」
「そうなの?」
「うん、昔竜児に、ひっく、教えてもらったんだけど失敗しちゃって、ひっく」
「それじゃ、ご飯を噛まずに丸呑みにするとか」
「それやったら、ひっく、また喉に詰まっちゃって」
「えーと、砂糖をスプーン一杯食べる」
「それも、ひっく、効かなかったの」
「……大河、ひょっとしてしょっちゅうこんな風にしゃっくりしてる?」
「そんないつもじゃないわよ、ひっく……まあ、たまに、ひっく」
「豆腐の原料は?」
「大豆でしょ、ひっく、それがどうかした?」
「むう、これも駄目か……いつもはどうやって止めてるわけ?」
「自然に止まることも、ひっく、あるけど、だいたいは竜児が驚かせて、ひっく、くれるのよね。ばかちーが結婚、ひっく、したとか」
「でもそれってすぐにネタ切れにならない?」
「うん。紙鉄砲、ひっく、鳴らしたりとかもあったん、ひっく、だけど、それも慣れちゃって、最近はもっぱら不意打ち、ひっく、かしら」
「不意打ち?」
「後からこっそり忍び寄って、背筋撫でたり、ひっく、とか耳に息吹きかけたりとか。この間なんていきなりキ、ひっく」
 
 
「おう、いたいた。大河ー、櫛枝ー」
「りゅ、竜児っ!?」
「いやー、あの後列が一気に動いてな。思ってたより早く買えたぜ」
「竜児、逃げて!」
「え?」
 大河の言葉を理解するより早く、竜児の腕をがっしと掴むのは実乃梨の掌。
「高須くん、ちょーっと聞きたいことがあるんだけど」
「おう? な、何だ?」
「高須くん流のしゃっくりの止め方について詳しく」

436 ◆Eby4Hm2ero:2011/03/09(水) 08:41:52 ID:???
前回転載ありがとうございました。

まだ回線不通……というか、アパートの回線切り替えの都合で、最悪三月終わり頃までネット繋げないという状況ですorz

437とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero:2011/03/13(日) 10:11:39 ID:???
お題 「丁寧」「しばらく」「食って」
 
 
 
「竜児、どう?」
「まあまあ美味いな。初めてでこれなら十分じゃねえか?」
「よかった。それ、明日の朝竜河に直接言ってあげてね」
「おう。盛り付けもずいぶん綺麗だったけど、大河が手伝ったのか?」
「ううん、全部竜河よ。丁寧にやりすぎて時間がかかったもんだから、泰児が痺れ切らしちゃってねー」
「おう、それは……竜河らしいな……」
「だけど、人に料理を教えるのがこんなに大変だとは思わなかったわ……」
「竜河はまだ小学生だしな」
「今更だけど、やっと竜児の苦労がわかった気がするわー」
「いや、それはどうだろう」
「……何よそれは」
「何しろそれまで食ってばっかでまともに洗い物もしようとしなかった上に、いつドジをするかわからねえ奴に教えるほど大変なことってのはちょっとなあ……」
「な、なによ、昔の話じゃない」
「その話題を振ったのは大河じゃねえか」
「そうだけど……」
「ま、俺はまだしばらく仕事が忙しいし、よろしく頼むぜ、大河」
「ん」
「土日とか、できるかぎりの手伝いはするからさ」
「あ、それじゃ早速一つ頼んでいい?」
「おう、何だ?」
「昔の話も出たことだし、私の復習も兼ねて、あのチャーハン作ってみせて欲しいの」
「おう、わかった」

438 ◆Eby4Hm2ero:2011/03/13(日) 10:20:19 ID:k2Q1O1ks
転載と素敵イラストありがとうございます。

回線繋がるの早くて28日なのが確定……o...rz
原因が管理会社と大家さんの手違いとか、もうね、アホかと(ry
しかたないんで手打ちコピペ頑張ります。

439とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero:2011/03/17(木) 07:30:53 ID:???
お題 「あんなの」「今更」「橋」
 
 
 
「そうだ、お父さんお母さん知ってた? 今度大橋で工事があるんだって」
「あー、そういや予告の看板立ってたよな。橋の改修とかなんとかって」
 竜河と泰児の言葉に、竜児と大河は顔を見合わせて。
「なに、大橋無くなっちゃうわけ?」
「んなわけねえだろ。改修ってことは車線増やすとか歩道が綺麗になるとかじゃねえかな」
「何にせよ、今とは変わっちゃうわけよね……ねえ竜児、その前に写真撮ってこない?」
「おう? 何でだ?」
「あんたねえ……本気で言ってる? 二人の記念の場所だからに決まってるじゃないの」
「そりゃそうだけど……今更じゃねえか。あれから何年経ったと思ってやがる」
「時間の問題じゃないの。竜児がプロポーズしてくれた場所を残しておきたいのよ」
「おう……だけど、後から見たらただの古い橋の写真でしかねえんじゃねえか?」
「それもそうね……じゃ、プロポーズの時の状況を再現した写真にするとか」
「誰がそれを撮るんだよ。それに、あんなのは二度とごめんだぞ」
「何よ、まさか私にプロポーズしたのを後悔してるってわけ!?」
「んなわけねえだろ! 問題はその前だ!」
「その前って……ファーストキスなんてそれこそ記念じゃないの!」
「それでもねえ! 大河の勘違いで冬の川に突き落とされたことを言ってるんだ、俺は!」
 
「ねえ、お兄ちゃん……お父さんのプロポーズってどういう状況だったわけ?」
「知らね。だけど普通じゃなかったのは確かだよな……」

440 ◆Eby4Hm2ero:2011/03/17(木) 07:39:16 ID:???
前回も転載ありがとうございます。

回線繋がるまであと十日ちょい……
手打ちコピペにもちょっと慣れてきましたw

ゴールデンタイム2買ったけど、読む暇が無いよう……
挟んであるチラシにとらドラ!BD化が載ってたのは嬉しいね。

441高須家の名無しさん:2011/03/17(木) 20:58:25 ID:???
転載しました。
俺も読みたいんだが、落ち着くまで注文を控えてる。
BD発売日決まってたらイイなぁw

442高須家の名無しさん:2011/03/19(土) 06:14:39 ID:???
こんにちは。今年になってとらドラ!にハマった新参です。
まとめサイトでたくさんSSを読ませていただきました。
自分でも書いたのでこちらにうpさせてもらいます。全部で55KBです。
ガチガチの性描写はありませんが、竜虎が最後まで済ましてるのを前提としているので
本スレではいけないかなと思いました。

□□【タイトル】 虎、帰る
□□□□【内容】本SSに過剰な性描写は含まれませんが、竜虎の関係が既に
□□□□□□□□最後まで済んでいる事を前提に書いており、また若干生々しさ
□□□□□□□□を想起させるであろう内容を含んでおります。

では↓から宜しくお願いします。

443虎、帰る:2011/03/19(土) 06:15:42 ID:???
あれから1年が過ぎている。

賃貸契約を済ませたばかりのワンルームマンションに、逢坂大河はいた。
部屋はがらんとして、まだ家具のひとつもない。引越しの予定は数日先で、後から届く事になっている。
産まれたばかりの乳児がいては、一家そろっての転居などとてもできる相談ではなく、
母も義父も渋々ながら独り暮らしを認めてくれた。

帰って来たのだ。この街を旅立った夜と同じように手荷物だけで。
もちろん竜児にも、友達にも引越しの予定は既に知らせてある。けれども今日来てしまった事は内緒だった。
それがサプライズってもの。
地元で一年通った女子高の卒業式を終えてすぐ、バイトで貯めた旅費をはたいて飛んできた。
なぜなら、今日は大橋高校の卒業式だから。
もちろん式に出席する事はかなわない。けれどもその日、その場所に居たかった。
だから式次第をやっちゃんに教えてもらったら、すぐに上京しようと決心した。きっと内緒にしてくれてるはず。
終わった後に竜児と逢いたい。みんなと再会したい。
ぜったいまたね!と約束したんだもの。ぎりぎりにはなったけど、ようやく果たせる。

大河は自前の制服に着替えて、ちょっと悩んで素足にニーソックスを履いてみた。
地元ではストッキングでないと校則違反だったけれど。
――おかしくないかな?
セーラー服だから、ひょっとしたら毘沙門天国業界の人に見えてしまうかも知れない。
その点が心配と言えば心配ではあった。
けれども、まあいいかと思う。ちょっとでもここにいたときの装いを再現したい。
腰まである長い髪もそのままで、1年分だけ伸びた。

扉を開ける。
オートロックでもなくそれなりに年季の入ったマンションだけれど、これから何年か過ごすあろう自分のうちだ。
しっかりと戸締り確認を済ませて歩き出した。
春の訪れを感じさせるうららかな日。
大河は目をつぶっても行き着ける通学路を歩いて、だんだん早足に、
ついには白いタイをなびかせて小走りになる。坂を駈け上がれば、懐かしい校舎が見える。
校庭には誰もおらず、体育館で式進行中のよう。
通用門から入って、事務の受付に声を掛ける。事情を話し、式終了まで校内で待たせてほしいと願い出た。
事務の人は大河の顔を覚えていた。が、名前は忘れていたようだ。
あーえーと、〜さんだっけ?と誤魔化していたから、“手乗りタイガー”と呼ばれた元生徒よと
薄い胸を反らして傲岸に構えてみた。
ああそうそう、そうだったねと来客バッジを渡してくれた。

しんと静まった校内。
スリッパをぱたぱた鳴らして、懐かしい場所をたずね歩いてみる。
朝に夕に通った昇降口。北村くんを見つめていたネット裏。
非常階段の脇は特別……告白の場所。そして竜児に初めて名前で呼ばれたところ。
思いが湧きあがってしばしの間佇む。
まだ案外とトラウマなプールはちらりと横目で。
砂糖と塩を間違えた家庭科調理室。未来が見えなくて気分がささくれていた進路指導室。
階段を登った踊り場には、変わらずに自販機が並んでいる。
ちょっとずつ足を止めて、それぞれの場所で過ごした日の思い出を記憶から紡いでは歩く。
廊下を進めば、2−C。後扉を開けて、無人の教室に入った。
歩み寄って、窓を開け放つと微風が流れ込んでくる。
大河は振り返って、ゆっくりと机の間を歩く。
ここが私の席。みのりんの席。
腰を下ろして頬杖をついて、ちょうど目線がいく所に竜児と北村くんの席。
つと立ち上がって再び窓際に移動する。ここがばかちーの席。へへ、座ってやれ。ぽすんと机の上に。
目の前には掃除用具を収めたロッカー。あれからもう二年近く経ったのか。

――式が終わるのはまだ先ね
足をぶらぶらさせて、旅立った日を思い出していく。

444虎、帰る:2011/03/19(土) 06:16:46 ID:???


ちょっと着替えてくる、とだけ竜児に告げた。
昨日の雪化粧がいまだ消えぬまま日が傾いてまもなく夜になろうとする頃。
私はママが待つはずのマンションに帰る。だけど、もういなかった。
留守電を聞いて、子供じゃないとうそぶいてみる。
赤いマフラーを巻いたまま、部屋を片づけ荷造りをし直し始めた。
もそもそと手を動かしているうちに、持って行くものが駆け落ちと違う冬物
だと気づいて、まなじりに雫がたまってくる。

ふと開け放した寝室へと通じる扉ごしに、北向きの窓を振り返った。
あのカーテンを開ければ、長いときを過ごした家がある。ずっといて良いん
だよと許されたうちがそこにある。
いま走り出せば数十秒であそこに行ける。
いや。窓を開け、名を呼び、差しのべられた両手に向かって、気合いを入れ
て跳ぶだけでいい。
少し驚いて、無茶するなと怒り、全力で抱きとめてもらえるはずだ。
そうしたい。今すぐに。

でも、と思う。
そこはやっちゃんが作って竜児が守ってきた家なのだ。
守る手伝いくらいはできるようになるだろう。けれど自分が捨て子のままと
いう現実は変わらない。10年後、20年後でもまったく変わらない。
あいつの前で、みすぼらしい自分を見ないようにして生きて行けるのか。見
ないようにしてきたものが見えてしまったのに?
だからこそ、私はもう逃げない。私は変わる。総てを受け入れて。

ぐすっと、にじみかけた涙を拭って立ち上がる。
2年間を過ごした部屋や調度品のひとつひとつを眺めて、少なからぬ愛着が
湧く事にも驚いて、自ら隠れていた迷宮の扉を開ける。

マンションを出て、路地の角。見やれば慣れ親しんだ家。そういえば黒豚だ
と言ってた。お腹がぐぅと情けない音を立てる。
いつしか暮れた街路を踏みしめるように、大河はゆっくりと歩き出した。
自分に誇りを持って、竜児を愛したい。分かってよ、りゅうじ。

地元の駅から電車に乗ろう。その前に連絡をしよう。
「行くよ。これから。うん、最終便に乗れるから」
「いい。住所知ってる。行き方も分かる」
「遅くなるけどちゃんと今日のうちに着ける。大事な時期だし、行ったり来
 たりしないでよ」
「……うん、うん。いっぺんには無理だと思うけど着いたらちゃんと話す」

空港に着き、チェックインを済ませ、搭乗案内に従って機内へと歩み入る。
アップグレード席でなくてもシートが余裕っていうのは、ちびの得なとこよ
ね。出張か、帰りか、隣のメタボサラリーマンが苦しそうに腰を収めている
のを見てちょっと思う。

定刻を10分ほど過ぎて機は駐機場を離れた。
ベルトを締めて、目を閉じて、上を向いて。
タクシーウェイから滑走路へ、いったん止まって、フルパワー。
加速のGでシートに押しつけられる。たまった雫が小さな耳に向けてひとつ
線を描く。飛行機の中は乾燥しているから、すぐに乾くだろう。
――あのマフラー、カシミアの。貰ってきちゃえば良かったかな。
もうほとんど自分の匂いしかついていない。
それに、あれは竜児のだ。

1時間が過ぎた。
シートベルトサインが灯って徐々に高度が下がるにつれ耳にツンと痛みが走
ってくる。やがて足下に着陸のショック、逆噴射の轟音。
空港の地下からJRに乗換え、駅に降り立つと、頬に触れる空気がピリピリ
と痛くて茫然とした。
瞼や鼻まで少々痛みを感じる。
近くのビルに大きく掲げられた電光の文字が氷点下だと教えてくれている。
客待ちのタクシーに乗り込み携帯を取り出して住所を告げる。
15分ほどで着くそうだ。

445虎、帰る:2011/03/19(土) 06:17:42 ID:???
時刻は半日ほど遡る。

「う……うぅうく……うえっ……」
旅支度を解く間もなく、リビングのテーブルに突っ伏して低く嗚咽を上げて
いる。明日からは出勤せねばならない。ただでさえ近いうちに産休を取る事
になっている。
自分はしくじって、連れ帰る事がかなわなかった。
「もういいわよ!あなたが何しようがどこに行こうがもうっ知らないっ!
 お母さん帰るからっ!好きにすればいいじゃないっ!!」
駄々っ子のような留守電を残してしまった。
臨月を間近に控えたお腹をそっと両手で抱え込んでみる。
「たいが……」
かつて、どうしようもなく壊れてしまった夫との関係。巡り会ってしまった
最愛のひと。三十路などとうに過ぎ去ろうとしているのに惹かれあった。
14歳の娘の事は、2番目の事だった。
ただ目の前にある幸せが何より大事で、それを見ないようにした。だから見
えなかった。
穏やかな愛を得て暮らしも落ち着き、その結晶たる二番目の子を授かって、
そうして初めて、大河を思う事ができた。
ようやく向き合えるようになったのに、今は分かってしまった。自分があの
子とどんなに遠く離れたのかを。

親権を持たない自分に、怪我をして入院したと連絡があったのは異常な事だ
ったろう。迎えに行くまでの僅かな時間で心当たりに問い合わせ、大体の事
情を把握した。
別れた元夫には憤りを覚えもしたけれど、反面チャンスと思ってしまった。
なし崩しに、迷う暇も与えぬまま、できるだけ短期間で今の自分の家庭に引
きずり込む。そして新しい生活を始めさせる。
普通の家庭で普通に暮らす方が良いに決まっている。そのぐらいすぐに受け
入れる子だとも思っていた。
なのに。
あの子は、東京のホテルで粘った。頑強に、必死に、今は行けないと言い張
った。触れたら噛み殺すと言わんばかりの目をしていた。
一週間、途切れながらの対話の中で、ともかくも付き合ってる相手がいるら
しいと分かる。
3年も独りでほったらかしにされていたのだ。
大河が何をしていても、今さら自分がどうこう言える立場ではない。そんな
資格を既に失ったと分かっていても、なお譲るわけには行かなかった。
転居や編入の都合もあるのだからと強引に2月一週目までと切った期限を平
然と無視して、大河は独り暮らしを続けていた。
迎えに行って、力ずくで手を取ろうとした。
母親なのだから。

あの子は……つかもうとする私の手を払った。すがるような瞳で傍らの男の
子の手を取り、そして行ってしまった。
そう、詰まるところまたやらかしてしまったのだ。あんたの彼氏や友達なん
て2番目のこと、と。
捨てたから、捨てられるということ。これが……報い。

テーブルに涙がぽたぽたと落ちる。悲しくてやりきれずに、肘をついても止
まらない震えにただただ耐え続けるしかない。
リビングの窓から見える空は鉛色に染まり、風はほとんどなく、大量の新雪
を落としている。
やがて帰宅した夫が妻の様子を慮り、暖房を入れ、なにも言わずに夕食の支
度を半ば済ますまで、気づかずに彼女は泣き続けた。
凍りついたような足許に吹き付けた暖気にはっとして顔を上げ、自らのつと
めを思い出した彼女がキッチンの夫と代わる頃には雪はやんで雲が切れ初め
ていた。
夜空が晴れ渡るようだ。今夜は痛いほどに冷え込むだろう。

そして、電話が鳴った。
「お金は足りるの?じゃあキャッシングであんたの口座に振り込むから」
「即時反映だから空港でおろして」
「こっちはバス終わってる頃だから。タクシーをひろいなさい」
「そう。すごく冷える。探しながら歩いてくるなんて無理。いいわね」
つい先刻までの泣きっ面と、この毅然とした仕切りの落差はどうだ?夫は安
堵を覚える。この感情と理性の瞬発力にいつも恐れ入って憧れをいだいてき
た。傍らでずっと見ていたい気にさせるのだ。
聞けば、彼女の娘もそうした性質をより鮮明に受け継いでいるとか。会える
のが楽しみだ。
3時間ほどで着くみたい。前々から言ってあるようにあの子はものすごくわ
がままで気難しい。だから悪いけど今夜は顔を見せないで。刺激しないで。
指図する妻に、夫は分かってるよと頷く。

夜も更けた。
家の前にクルマが止まったような気配がした。
ぼんやりと待っていた母は、灯をつけっぱなしにしておいた玄関へと急ぐ。
インターフォンを押されるより早く扉を開けて迎える。
と。
「おわぁっっ?!」
うちの娘は、降りたタクシーから僅か数メートル先の玄関にたどり着く前に、
盛大にすっ転んでいた。
「大丈夫?相変わらず迂闊ね」
「遺憾だわよ……」

446虎、帰る:2011/03/19(土) 06:18:26 ID:???
はーーーーっあったかい。
ぶちまけた荷物を拾い集めて、芯まで冷え切る前にうちの中へ退避できた。
全室に灯油暖房システム完備が普通で人が居る時間は常時運転。窓や出入り
口は二重。外は氷点下ふたけたでも屋内はどこも20℃以上。それがここで
の冬の過ごし方らしい。
「ごはん……食べてないわね。いま温めるから」
「うん」
コートを脱がせて、切れ切れにぐぅとかきゅぅとか聞こえてくる小さな身体
をテーブルに着かせて、母は表情も変えずに仕切る。
「お茶が欲しければ自分で淹れなさい。あんたの湯のみはそれ。紅茶やコー
 ヒーが良ければそこの戸棚」
「ありがと」
リビングとひとつながりのキッチンで支度を始める。
娘は慣れた手つきで急須を扱い、熱いお茶をすすっている。
「なーに?とんかつ?」
水滴で曇ったラップがかかる皿を電子レンジに入れようとしている手元を見
つめて、はしたなくもおかずを訊いてくる。
「あんた、ブタ肉好きでしょ。十勝豚の脂身がサシではいっているところ。
 美味しいわよ」
「あ……えーと、あの。とんかつはちょっと。ダメ……なの」
涎がタラーっと垂れてるように見えるけど?

こんなに食べる子だったかしら。
成長期?それはいくらなんでも過ぎてたはず?
小さく痩せっぽちで大きな瞳だけが印象的だった、という娘の容姿に関する
記憶を、この短時間で改める。
頬も腕もずいぶんふっくらとし、肩から脇腹から腰にかけて柔らかなライン
を描いて、化粧っ気もないのにそこはかとない女っぽさを漂わせている。
17歳にもなればそういうものか。と思う事にする。
とんかつを食べられないというこの子に、ベーコンの欠片で炒め物を作って
やり、後は常備菜を並べたら、まあ食べること食べること。
炊いておいたご飯では足りなくて、冷凍庫のひやめしまで在庫一掃した。
食後のお茶をすすりながら、大河は押し黙っている。
今日はもう遅いし、眠そうだし。明日からゆっくり話をしようと思った。
じゃ、あんたの部屋へ……、と立ち上がりかけた。
「ん、まだ大丈夫。最初にね、ママには言っておかなくちゃならない」
尋問みたいにならないよう、向かい側でなくななめ向かいに座り直す。
「私はここに交渉に来たわけじゃないの。ここんちの……ママと、ママの旦
 那の子供になりにきた」
眠気を払いながらだけれど、嫌々でもなく、気負うでなく、耽々と言った。
耳を疑った。
「そ、それは願ってもないことだけど。でもあんた彼氏とか、友達とか言っ
 てたのは……」
「それはちゃんとあるよ。これからもある」
捨てるとかそういうんじゃないんだよ。
ちゃんと分かってもらいたいのだと言う。
「私ね。普通のうちの普通のいいこになりたいの。そうすれば、竜児にも他
 の大切な友達にもまっすぐ目を見て会える」
「ううん、今でも竜児はまっすぐ見てくれる。でも私がそれじゃだめなの。
 苦しいからちゃんとなりたいの。……だから、手を貸してほしい」
ママには責任感があるから私のこと良かれと思ってくれてるのは分かる。そ
れだけじゃ足りないなんて言わない……足りないけど。じゃなくて、その範
囲内でいい。具体的な事は――いまはまだ分かんないけど。これから考えて
いくから。
一息に喋って、伝えられたかどうか自信を持てずに俯きかけている。

それは、ふざけているんでも嘘をついているんでもなく、もちろん甘えてい
るのでもなく。
自分の欲しいものが分かって、その距離を見て困難さに惑い、援けを求めて
いる顔だった。
いろいろな不安がすっと消えて行くのを感じ取っていた。
母親としてなすべき事をしなかった罪は残っても、被害が残ることはないの
だ。抑圧と強制をもって躾ける必要はなく、ただ倍生きた人生をこの子に伝
えられば多分それでいい。
そんなふうに分かった。

同時に、ひとりの女としての理解を求められている事に理解が至る。
つい先日自分に向けられた、怯えと怒りと恨みを映していたあの瞳の面影は
今はもうない。それは、間違いなく小さな駆け落ちを間にはさんでこの子に
起きた変化。
そういう事なのか。
この子は、あの男の子から力を授かったのだろうか。
もちろんこの身にも覚えのある、そうした決意のみなもとに考えがめぐる。
が、今はよそう。

「だいたいのところは分かったわ。今日は遅いし、あんたはもう寝なさい」
舟を漕ぎ始めた娘を急かし、用意した部屋に連れて行く。
問題が表に出てくるような事がもしあっても、それが分かるのは当面は先の
話だ。今はこの子に、不安に耐える小さな女にでき得る限り手を貸してやろ
うと。そう思えた。


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