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大河×竜児ラブラブ妄想スレ 避難所2

1まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY:2009/10/29(木) 01:36:02 ID:???
ここは とらドラ! の主人公、逢坂大河と高須竜児のカップリングについて様々な妄想をするスレの避難所です。
アクセス規制で本スレに書けない、とかスレに書けないような18禁のエロエロ話を投下したい時とかに
お使いください。
    / _         ヽ、
   /二 - ニ=-     ヽ`
  ′           、   ',
  ',     /`l  / , \_/ |
  ∧    〈 ∨ ∨ ヽ冫l∨
    ',   /`|  u     ヽ
    ', /          /
    /  ̄\   、 -= /                   __
  / ̄\  `ヽ、≧ー                    _  /. : : .`ヽ、
 /__ `ヽ、_  /  、〈 、           /.:冫 ̄`'⌒ヽ `ヽ、 / 〉ヘ
/ ==',∧     ̄ ∧ 、\〉∨|         /.: : :′. : : : : : : : . 「∨ / / ヘ
     ',∧       | >  /│        /: :∧! : : : :∧ : : : : | ヽ ' ∠
      ',∧      |、 \   〉 、_       (: :/ ,ニ、: : :ィ ,ニ=、 : : 〉  ,.イ´
      ',∧      |′   ∨ ///> 、  Ⅵ: '仆〉\| '仆リヽ:|\_|: :|
      / /     |     └<//////> 、 八!`´、'_,、 `´イ. :|////7: !
    /_/       |、       ` </////>、\ ヽ丿  /. : :|//// : .丶
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本スレ
【とらドラ!】大河×竜児【アマアマ妄想】Vol17
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1255435399/

101しあわせの逢坂タイガー伝説2 ◆x6jzI2BeLw:2010/01/29(金) 01:33:44 ID:???

「大丈夫だって・・・きゃん!」
そう調子よく返事した大河は言い終えるや否や入り口の段差につまずいて派手にこける。
「失敗、失敗」
それでもすぐに立ち上がり、照れくさそうに番台の向こうに消える大河を見送り、ホントに大丈夫かよと竜児は心配になる。
さすがの竜児も女湯までは大河のドジをフォローしてやれないからだ。
なるようになるか・・・と竜児は諦めにも似た境地で脱衣所へ向かった。

中へ入り、大河はもの珍しく周囲を見渡す。
「ねえねえ、やっちゃん、どうするの?」
銭湯の作法を泰子に問う大河。
そんな大河に泰子は微笑むとあれこれ教え始めた。
「この籠に脱いだお洋服を入れるの・・・入れたらあの棚に置いて・・・」
うんうんと大河は頷く。
一通り説明を終えた泰子がブラウスのベルトに手を掛けるのを見て、大河も後に続く。
大河が長めの靴下を脱ぐのに手こずっている内に泰子はさっさと身軽な状態になっていた。
「・・・わっ!」
「どうしたの?大河ちゃん」
大河の視線は泰子の豊かなお胸に注がれていた。
「やん、大河ちゃんのエッチ」
大河の食い入るような視線に、ひょうきんに応じる泰子。
その昔、箸でつんつんしてしまったくらいあこがれる豊年満作な世界を目の当たりにして大河は目が点になる。
そして脱ぎ掛けていた自分のインナーのホックを外す手が止まる。
その下に隠れた飾りの無いありのままの自分があまりにもみすぼらしく感じてしまったからだ。
シュンとしてしまった大河の心の中を優しく包むように泰子が言う。
「きれいだと思うよ。大河ちゃんの」
思い掛けない泰子の言葉に大河のうつむいていた顔が持ち上がる。
「きれい?私のが?」
「そう・・・とっても・・・服を着ててもやっちゃんには何もかもお見通しだよ」
だから、安心してと付け加えられた泰子の声に後押しされて、大河は止めていた手を動かす。
小さな衣擦れの音と共に大河の女の子を象徴する小高い頂が外気にさらされる。
「・・・変じゃない?」
頬を薄いピンク色に染めながら大河が聞く。
「全然・・・思ってた以上にきれい・・・自信持っていいからね」
力強く言う泰子に大河は勇気付けられる。
「でも、ちっちゃい・・・」
自分の手のひらで覆い隠せてしまえそうなカップサイズ。
大河は両手でそれぞれのふくらみを押さえる。
「やっぱり・・・小さいよ」
泰子にきれいと言われて気を良くしたものの、大きさの不足をどうしても大河は感じてしまう。
「そうね・・・今はまだだけど・・・大河ちゃんのこと、本当に大事にしてくれる男の子が現れたら、きっと愛情を込めて育ててくれると思うの」
「・・・愛情込めて?」
「そう」
今、自分が押さえているふたつのふくらみ・・・いつか、自分以外の手が触れる時が来る。
自分はどんな顔でその時を迎えるんだろうと大河は思う。
それは遠い未来なのか、近い将来なのか、そして・・・誰が・・・。
そこまで思い至った大河の脳裏に浮かぶ竜児の顔。
なんでここに竜児がと思ったものの、もう止まらなかった。
あれこれ想像した大河は首から上が熱したニクロム線みたいに赤くなる。

102しあわせの逢坂タイガー伝説2 ◆x6jzI2BeLw:2010/01/29(金) 01:35:47 ID:???

「竜ちゃんにはもったいないくらいかも」
このひと言に大河が激しく反応する。
「な、なんでそこに・・・り、り、竜児があ・・・」
たった今、想像してたとも言えず、あわあわとうろたえる大河。
「あらあ、大河ちゃん、竜ちゃんのこと嫌い?」
悪戯めいて聞く泰子。
「・・・少なくとも、キライじゃない」
少し間を置いて大河は真面目に答えた。
「だったらいいこと教えてあげる」
「いい事?」
「そう・・・竜ちゃんはね・・・あんまりお胸の大きな娘は好みじゃないんだあ」
「何でやっちゃんがそんなこと知ってるの?」
「何でかなあ」
不思議そうな顔をする大河に笑ってはぐらかす泰子。
その昔、竜児が隠し持っていたHな本をこっそり見ちゃったからとは竜児の名誉のため伏せる泰子だった。



一通り髪も体も洗い終えて、カランの前から立ち上がった大河を泰子が呼び止める。
「何?やっちゃん」
「髪、やってあげる」
長いままじゃ、湯船に入れないでしょと泰子は言い、大河を再度座らせると手早く髪留めを使い大河の髪をアップにした。
「ありがとう、やっちゃん」
「どう致しまして。でも、大河ちゃんの髪、きれいね」
ほとんど枝毛も無くてうらやましいと泰子は大河の髪を誉める。
「全然、そんな風に思ってなかった・・・今日、竜児に言われるまで」
ぼさぼさになった髪を竜児が直してくれたと大河は打ち明ける。
「竜ちゃん、なんて言ったの?」
「やっちゃんとおんなじこと言った・・・きれいだって」
ちょっとは女心が理解出来るようになって来たのかしらねえと、泰子は息子の精神的な成長を嬉しく思った。

103しあわせの逢坂タイガー伝説2 ◆x6jzI2BeLw:2010/01/29(金) 01:37:33 ID:???

浴槽へ飛び込もうとした大河の足が止まる。
「どしたの?」
泰子の問いに大河は疑問を口にする。
「お風呂がふたつあるんだけど・・・」
同じ大きさの浴槽が仕切りを隔てただけでふたつ並んでいる。
どう違うのかと大河は言う。
この質問に泰子は右が熱いお風呂で左がぬるいお風呂だと簡潔に答えた。
「ふ〜ん」
そう言われて大河は浴槽の隅っこに温度計があるのに気がついた。
右は43度左は39度を示している。
「やっちゃんはぬるい方がいいかな・・・大河ちゃんもそうする?」
・・・ん、そうすると大河は言い掛けて既に熱めの浴槽に肩までどっぷり浸かったお婆さんと目が合う。
その目は「若いのお、お主」と言っているように大河に見えた。
「熱いのにする」
意地っ張り大河の面目躍如なのだが、泰子が心配そうに言う。
「大丈夫?熱いわよ」
「平気だって」
家でも熱いのに入っていると経験者の余裕をかまし、慣れた素振りで浴槽へ足を入れる大河。
つま先から伝わる想像以上の熱気が大河のこめかみをひくつかせる。
「こ、これくらい・・・全然・・・ぬ、ぬるいくらい」
どうにか両足を浴槽に入れたものの、そこから先は恐る恐ると言った感じで大河は体を湯に沈めて行く。
体と湯が触れる面積が増えるたび、あまりの熱さに大河は身をよじる。
「へ、平気よ・・・何よ、これくらい・・・何だっての・・・えい!!」
最後は掛け声と共に一気に全身をお湯に浸した大河。
「ぬるいわ・・・ふへへ」
・・・と、勝ち誇った様子で余裕のあるところを見せて居られたのは1分に満たなかった。
「・・・釜茹での刑・・・げ、ん、か・・・い・・・」
額に大粒の汗を浮かべ、真っ赤な顔をしてすっかり茹で上がった大河が浴槽を飛び出す。
そしてそのまま片足を浴槽の縁に引っ掛け、見事おでこから床のタイルにダイビング。
「きゃあ、大河ちゃん!!」
泰子の悲鳴を耳に大河は己の浅はかさを呪った。
・・・つまんない意地は張るもんじゃないわ。


天井近くにある男湯と女湯の境の開口部から聞こえて来る喧騒に混じって聞き慣れた声の悲鳴。
湯船で寛いでいた竜児は頭に載せたタオルを取り落としそうになる。
・・・何、やってんだ、あいつら。
続いて聞こえる声に竜児は思わず湯船の中で立ち上がり、大声を出す。
「たいが〜!、大丈夫かあ!!」
・・・りゅうちゃああん・・・たいがちゃああんが・・・ころんだああ・・・
泰子の声が反響して聞こえる。
あれだけ言ったのに・・・ドジめ・・・・。
竜児は湯船の中で頭を抱えた。

104しあわせの逢坂タイガー伝説2 ◆x6jzI2BeLw:2010/01/29(金) 01:39:25 ID:???

「お待たせ」
銭湯の外へ出た大河は待ちくたびれた様子で立っていた竜児に声を掛ける。
「遅いぞ・・・いつまで入ってるんだよ」
「だって・・・仕方ないじゃない。いろいろあったんだから」
言い難そうに大河は竜児に言う。
「まったく・・・怪我とかしなかったよな」
仕方ないと言う口調に心配さをにじませて竜児は大河を気遣う。
「おでこ、ぶつけた」
「どれ、見せてみろ」
そう言うと竜児は大河の前髪をかき分けおでこを顕にする。
少し赤くなった痕が残る大河の白い額。
「もう少し気をつけろ、後に残ったらしゃれにならねえ」
ぶっきらぼうの中にも竜児の真剣な真情が読み取れて大河はただ「うん」とだけ答えた。
少し遅れて泰子が銭湯から出て来たのを確認すると竜児は帰宅を宣言する。


「持ってやるよ」
半分怪我人なんだからと竜児は大河のバッグを奪い取る。
触れた竜児の手の冷たさに大河ははっとする。
「竜児・・・」
「何だよ?」
「ずいぶん・・・待った?」
「ああ、15分くらいな」
「え〜、竜ちゃん、そんなに待ってたの?外じゃなくて中で待ってれば良かったのに」
「中で待ってたら、ふたりとも出て来たのが分からねえだろ」
泰子の声に竜児は大河と泰子を待たせたくなかったと言った。
「・・・ごめんね」
「何で大河が謝るんだ」
「私が・・・ドジしちゃったの・・・お湯に上せて倒れた私をやっちゃんが介抱してくれたから」
だから、出るのが遅くなったと大河は竜児に詫びた。
「いいんだ」
気にすることじゃないと竜児は空いた右手で大河の頭の天辺を軽くポンと叩いた。
「・・・竜児」
大河は竜児を見上げ、申し訳ない気持ちが込み上げて来るのを抑えられない。
「・・・手袋」
そう言うと大河は両手でたった今、頭を叩いた竜児の手を包み込む。
「ちょっとは暖かいでしょ?」
「ああ」
大河がしてくれた人肌の手袋は竜児にとって心地よさ満点だった。
「良かった」
そう微笑んだ大河だったが、ふとさっきのことを思い出し、竜児の手を包む指先に神経が集中してしまう。
・・・もしかしたら、この手が・・・私の・・・。
大河は顔が火照るのを止められなかった。
「・・・何だよ大河。上せたのまだ引いてないのか?」
赤ら顔の大河を見て竜児は言う。
「・・・違うわよ」
大河は竜児から顔を背けるようにして小声で聞こえないように付け加えた。
・・・上せてるのはお風呂じゃなくて、竜児、あんたによ・・・・・・。

105 ◆x6jzI2BeLw:2010/01/29(金) 01:43:35 ID:???
以上です。

106高須家の名無しさん:2010/01/31(日) 00:35:31 ID:Mf.zk6.M
クリームソーダの人のサイトにスレに投下しなかった作品が発表されてるな。

107 ◆x6jzI2BeLw:2010/02/01(月) 00:55:24 ID:???
未だ規制中・・・

代理投稿ありがとうございます。
代理投稿の呼びかけもありがとうございます。
それからコメントなどもありがとうございます。

ひたすら、ありがとうを連呼するのみですが(汗

週明けに解除されてなかったら長くなりそうな悪寒・・・。

しかし、今の銭湯ってどんな感じなんだろう。
近所にはもう一軒も無いしね。

108高須家の名無しさん:2010/02/01(月) 01:19:23 ID:???
番台さんがいるような銭湯は最近ほんと見なくなったよね
ウチの周りもスーパー銭湯ばっかりだ。風情が無いよなー

109高須家の名無しさん:2010/02/02(火) 12:52:13 ID:???
また規制だー

うちの近所にはまだ普通の銭湯が点在してるよ
田舎だから

110喫茶店に入るには微妙な勇気がいる:2010/02/02(火) 19:09:55 ID:3nGOqFd2
ちいさな喫茶店にて
「カランカラン」と入口の鈴が鳴り1人の青年が入店してきた。
 
「いらっしゃいませ」
「今日は冷えるねマスター、もう暦の上じゃ春だってのに」
「ほんとですね、今夜は雪でも降るんじゃないですか」
「全くだよ、俺の懐も冷える一方だ」
「コーヒーでも飲んで暖まってください、レギュラーでよろしいですか?」
「ああ、それとケーキかなにかある?疲れた時には甘い物を摂りたくなるからな」
「そういえば、お客さん、大分疲れてるみたいですね、そんなに険しい眼をして」
「目つきが悪いのは生まれつきだ、でも他人から見ても疲れているのは判るか・・・」
「何か悩み事があるならここで愚痴をこぼしていったらどうですか」
「はっ?」
「男は見栄張ってナンボの生き物、学校でも家庭でも愚痴はこぼせない、赤の他人だからこそ話せることもあるんですよ」
「・・・別に悩みなんてねーけど、・・・大体読者の目があるからな」
「大丈夫です、うちはお客さんのプライバシーは完璧に守られるんで、読者からは誰か判りません」
「ああ、そうなんだ」
「はい、このSSは全編こんな感じです。誰だか全然わからないので何でも喋れますよ、ちなみにここでは顔見知りと出会っても知らないフリをするのがルールです」
 
そこまで言うとマスターはカウンターの中から一枚のボードを取り出し青年に見せる
 
1 好きなだけ愚痴を言ってください
 
2 1人で来店してください
 
3 知り合いに会っても知らないフリをしてください
 
4 ここで聞いた事は他言しないで下さい
 
「このようなルールになっています。何のしがらみにもとらわれず愚痴を吐ける場所、それがこの店なんですよ」
「愚痴ねえ・・・いつも愚痴ってるからな俺、そんなに溜まっては・・・」
 
「カランカラン」とドアの鈴が鳴り別の客が入店してくる
 
「チャオ〜、マスター」
「いらっしゃいませ、いつものカフェオレでよろしいですか?」
そして青年の隣に座るが新たに入店したモデルのような美しい女と青年は目が合うと互いに黙り込んでしまう
 
「どうしましたお2人とも急に黙り込んじゃって、まさか・・・」
そう言ってマスターは再びボードを掲げ2人の客に見せる
 
1 好きなだけ愚痴を言ってください
 
2 1人で来店してください
 
3 知り合いに会っても知らないフリをしてください
 
4 ここで聞いた事は他言しないで下さい

111喫茶店に入るには微妙な勇気がいる:2010/02/02(火) 19:10:37 ID:3nGOqFd2
奇妙な静寂を破り、青年はもう1人の客に話しかける
「あの・・・結構この店には来るんですか?さっきいつものカフェオレって・・・結構愚痴とか溜まってるんですか」
「いやいや、ちょっとね、ほんの2・3回ぐらいかな、ウン」
「50回ぐらい来てますね」
「あ、ちょっとマスター、余計なこと言わないで、お願い」
「え、では今日も愚痴をこぼしに来たんですか?」
「いやいや、今日はただお茶を飲みに・・・」
再び会話に割り込むマスター
「また、クラスの恋愛がらみの揉め事のことですか?」
「マスター!余計なこと言うなって言ってるだろ!やめてエエエエ」
「へっ、へえ〜、クラス内の恋愛での揉め事ですか、大変そうですね、そりゃ愚痴も出ますわ」
引きつった笑みを浮かべる青年
「いやいや、違うのよ!泥沼化が眼に見えてるけど別に悪口とか言ってるわけじゃなくてね・・・」
「そうですね、ネチネチ悪口って言うか、毎回簡潔に「死ね」って言ってるだけですもんね」
「マスター死ね!お前が死ねエエ!」
血相を変えて叫ぶもう一人の客
「いやいや、聞いて下さいよお客さん、このモデルさんのクラスである男子生徒と女子生徒がいつも一緒にいるのに付き合ってないと言い張ってるのがうざくて仕方ないそうなんですよ」
「ゲッ、ゲホ・・・それは本人達の言うとおり付き合ってないんじゃないかな?」
「その割にはモデルさんが男の子にちょっかいだすとすぐにやきもち焼いて手に負えないそうです」
「それの何処が愚痴なんだ?」
「男の子は本命がいるいるのに、いつまでも女の子の父親のように振舞っていて、本命と女の子が親友なのにそんな事続けてたら悲惨な事になるとの忠告を無視してるそうです」
「マスター!例のボード出して、この人にちゃんと読ませて!特に4番目を」
もう1人の客に頼まれ、青年にボードを見せるマスター
 
1 好きなだけ愚痴を言ってください
 
2 1人で来店してください
 
3 知り合いに会っても知らないフリをしてください
 
4 ここで聞いた事は他言しないで下さい
 
「ちょっと!四番目を肝に銘じときなさいよ!」
「おっ、おう・・・、わかったよ」
 
そのとき女性の声が店内に響く
 
「ちょっとマスター!せっかく来たのに何であたしに気づかないのよ!」
 
カウンター席の後ろに立っていたのは小さな体とはアンバランスな美しい顔をした女の子だった。そしてその目は虎のように鋭かった 
「申し訳ありません、カウンター席でよろしいですか?せっかくですからこの二人の愚痴を聞いてあげて下さい」

112喫茶店に入るには微妙な勇気がいる:2010/02/02(火) 19:11:14 ID:3nGOqFd2
「そんなことよりマスター、もっと面白い話は無いの?・・・かっ片思いの相手の攻略法とか・・・」
「すいませんねタイガーちゃん、ここで聞ける話は平凡な愚痴ばっかりなんですよ、ところで、さっきの話を聞いてました?」
「別に何も聞いてないわよ!」
そう言って二人の客を睨みつけるタイガーちゃん、手には木刀が握られている
 
「そうですか、ところでタイガーちゃん、今日も三白眼の男の子の話ですか?」 
テンションの高くなったマスターとは対照的にお互い顔を会わすと黙り込んでしまう3人
 
「・・・あれ、どうしました皆さん、血の気が0で顔色が真っ青ですよ、モデルさん口から泡吹いてますけど・・・」
「どうしたの大丈夫?」
とか言いながらモデルさんをボコボコにするタイガーちゃん
「わっ、私、忘れ物したから帰るわ!マスターお代は今度払うわ!」
そういい残し店からダッシュで逃げ去るモデルさん、
「おい、待てエエエ!俺を怒り狂う狂虎の隣に1人残して逃げるつもりかアアア!」
必死に叫ぶ青年
 
「ああ、タイガーちゃんはこの人がお気に入りですか、いいですね中々お似合いですよ、例の男なんてやめて乗換えたらどうですか?」
顔を真っ赤にして黙りこくるタイガーちゃん
「マスター、このタイガーちゃんは良く店に来るの?」
「そうですね、去年の五月あたりからですから、かれこれ半年以上ですね」
「色々悩みがあるんだな…」
「クラスメートで隣に住んでる男子生徒のことが気になって困ってるって愚痴をいつも聞かされてますよ、」
「マスター!嘘言わないでよ!そいつとは別に好きな人がいるって言ったじゃないの!」
「ですが、いつもこの店で話すのはその男子のことばっかりではないですか」
「どんな話なんだ?」
「結構重い内容でしてね、いつも自分を見守ってくれる男子には好きな人がいて、しかも相手は自分の親友、2人が付き合い出したらもうその人の傍に自分が居てはいけないのが辛いとのことです」
ブホッっと思いっきりコーヒーを噴出す青年
 
急に席を立つタイガーちゃん

113喫茶店に入るには微妙な勇気がいる:2010/02/02(火) 19:11:46 ID:3nGOqFd2
「マスター!あたしちょっと友達に電話してくるわ」
 
そう言って店から出てゆく
 
そして青年も慌てて
 
「マスター!俺ちょっと急用思い出したから帰るわ!代金はここに置いておくぞ」
「ちょっと待って下さいお客さん」
「なんだよ!」
 
「ひとつ、言っておきたいことがありましてね、私は何十年も人の愚痴を聞いてきました何千何万の愚痴を聞き続けてきました
人の悪口、仕事の不満、気の滅入る話ばかりです。ですがそんな愚痴を何故何十年も聞き続ける事ができたのか
 
愚痴の裏には愛情があるからですよ
 
こんなに一生懸命やってるのに思い通りに行かない、こんなに大好きなのにどうしてこの人は思い通りにならない、さっきのモデルさんもそうだったでしょ
愚痴って言うのは全て思い通りにならない愛情からくるただのぼやき
ただのノロケ話とかわらないんですよ」
 
しばしの沈黙の後
 
「・・・ここまで言えばわかりますよね、お客さん、いや、「三白眼」さん。タイガーちゃんの事、ヨロシクお願いしますね、今日はもう閉店します」
 
店が閉まりドアの前で立ちすくむ三白眼の前にタイガーちゃんが現れる
 
「あれ?もう閉店しちゃったの?」
「あ・・・ああ、急用があるとかで」
「・・・そう、残念ね、コーヒー飲みたかったのに」
「飲みにいくか?」
「・・・えっ?」
「コーヒー飲みたいなら、・・・付き合ってやってもいいって言ってんだよ」
「いいの?」
「え?」
「朝まで愚痴に付き合ってもらうかもしれないわよ」
「・・・フッ、構いやしねーさ」
 
三白眼はタイガーちゃんの手を取って2人で走り始める
 
 
「だって俺はもう、愚痴の本当の意味を知っているから・・・」
 
 
 
 
その時喫茶店の向かいにある狩野商店から買い物袋を持った竜児が出てきて手を繋ぎ走って行く三白眼とタイガーちゃんを見て一言
「誰だアレは?」
終わり

114高須家の名無しさん:2010/02/02(火) 23:05:13 ID:qK.86EI6
これ、いいのだろうか。
丸々銀魂のパクリっぽいんだけど。

115高須家の名無しさん:2010/02/02(火) 23:13:03 ID:???
あんまり潔癖な流れはやだな
出典を明らかにすればいいと思うんだけど
書いた人も一言断ればいいのにな

116高須家の名無しさん:2010/02/03(水) 18:06:46 ID:???
規制巻き込まれたorz

『恵方巻』

「う〜ん……」
「竜児、どうしたのよ?」
「いや、恵方巻の具をどうしようかと思ってな……」
「そんなに悩むことなの?」
「おう、なにせ七福神に因んで七種類って話だからな。定番のやつはともかく、オリジナルで考えるとなると味のバランスとかもあるし……」
「それなら私にいいアイデアがあるわ」
「おう、何だ?」
「バラ、ヒレ、もも、かた、ロース、ハラミ、サーロインで七種類」
「全部肉じゃねえか!」

《定番はかんぴょう、キュウリ、シイタケ、卵(だし巻)、うなぎ(あなご)、でんぶとあと一種ということらしい》

117高須家の名無しさん:2010/02/03(水) 21:27:37 ID:???
「ん……竜児……」
「大河……いいか?」
「あ、ちょっと待って」
「え?」
「え〜っと、北がこっちだから……」
「おい大河……こんな時に方位磁石とか持ち出して何やってるんだよ?」
「そりゃもちろん、竜児の恵方巻を食べる用意に決まってるじゃないの。ちゃんと西南西を向かないと」
「……こりゃまたド直球なネタで来やがったな……」
「はい、準備OK。途中で向き変えちゃ駄目だからね」
「よしわかった、それなら大河も終わるまで声出すんじゃねえぞ」

ギシギシンッ!ンッ!

118高須家の名無しさん:2010/02/04(木) 01:23:10 ID:???
潔すぎてフイタwwww

119高須家の名無しさん:2010/02/04(木) 18:31:21 ID:BYeFhqhc
どっちも直球だw
ワロタwww

120 ◆Eby4Hm2ero:2010/02/06(土) 01:55:34 ID:???
只今規制中……
代理投稿歓迎です。

121とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero:2010/02/06(土) 01:56:02 ID:???
お題 「向けて」「落として」「竜児」



「大河ちゃん、どうしちゃったんだろうね〜……」
「おう……」
 卓袱台の上には虚しく冷めゆく料理が一人分。
 大河が三日前から突然食事を食べに来なくなったのだ。それだけではなく昼の弁当まで拒否をする始末。
 理由を聞いても『そんな気分じゃない』とかなんとか、はっきり言ってわけがわからない。
 一応コンビニ飯やインスタント、惣菜等で食事はしているらしいのだが……
「あいつ、ちゃんと栄養とれてるのか?野菜食ってないんじゃねえかな……」
「心配だねぇ〜……」
「おう……」


 翌日。
「おう……しまった」
 今日は泰子は早出なので、夕食は竜児一人だけ。だが皿の上には揚げたてトンカツが二枚。
 大河の分は下拵えまでにしよう思っていたのだが、気がついたらいつもの癖で揚げてしまっていたのだ。
「冷めたのを暖めなおすと味が落ちるしなあ……。しかたねえ、明日カツ丼にするか弁当にまわすか……」
 竜児が呟いた時、どばぁん!と久しぶりに響いたのはドアの音と、
「竜児ーっ!おなかすいたーっ!」
「た、大河!?」
「ごはん何?あ、とんかつ!やった!ほらグズ犬、さっさと用意しなさいよ!冷めちゃう!」
「お、おう……」

 ぱくり、とトンカツを一切れ口に入れ、もぐもぐ、ごっくん。
 たちまち大河は相好を崩し、
「……っくぅ〜〜!これこれ、この味!やっぱ竜児のごはんは美味しいわ〜」
「……それじゃ、何でここんとこ食べに来なかったんだよ」
「んとね、ちょっと再確認したくなったのよ」
「……何を?」
「私、毎日当たり前のように竜児の料理食べてたけど、考えてみればほんの何ヶ月か前までは手料理そのものに縁が無かったのよね。
 それを思い出しちゃって、そしたら、ここでごはん食べてることの意味っていうのかな、考えちゃって……
 で、一度ちょっと離れてみようかなって」
「おう、そうだったのか……心配したんだぞ、俺も泰子も」
「ごめんね、上手く説明できなくて」
「まあいいさ、こうやって戻って来たんだし。さ、冷める前に食っちまえよ」
「うん。ねえ竜児」
「おう?」
「離れてわかったのはね、竜児のごはんが食べられて、私やっぱり幸せなんだってこと」
「おう……」
 竜児の頬に、つうと流れる一滴。
「……あれ?何でだ?」
「何よ竜児、泣いてるの?」
「いや、わかんねえ。わかんねえけど……うん、多分俺も今幸せだから……だと、思う……」
「……よっしゃ!」
 大河が小さくガッツポーズ。
「……え?」
「まさかこんなに上手くいくなんて思わなかったわ。感激のあまり泣き出すなんてね」
「え?え?」
「本で読んだのよ。男の子の気を引くのには『落として上げる』のがいいって。
 竜児にこんなに効果があるなら、北村君にだってきっと……!」
「……おう、そうだな!これなら北村もイチコロだぜ!実際に体験した俺が言うんだから間違いねえ!」
「でしょでしょ!早速北村君用に向けてのシチュエーションを考えないと!」
「ところで大河、お前そもそも北村に冷たい態度がとれるのか?」
「……ゔ」
「それに落とした時、上げる前に完全に気持ちが離れちまう可能性もあるよなあ」
「うう……」
「……憶えとけ、これが『上げて落とす』ってやつだ」
「ううう……」


「ねえ竜児」
「おう?」
「さっき話したのも、嘘じゃないから」
「……おう」

122高須家の名無しさん:2010/02/07(日) 22:28:57 ID:???
これはニヤニヤが止まらないw

123 ◆QHsKY7H.TY:2010/02/17(水) 20:54:52 ID:???
新作投下しようと思ったらまたアク禁だった。

なのでこっちに投下します。
代理投稿歓迎、というかしてくださってる方いつもありがとうございます。

124ゲームは一日一時間〜一時間目〜 ◆QHsKY7H.TY:2010/02/17(水) 20:56:45 ID:???
「ねぇ竜児、これ聞いてみて」
「おぅ?」

大河はニコニコしながら竜児にプレイステーションポータブル、通称PSPを近づける。

『だーいすき!!』
「おわっ!?」

唐突に聞こえて来たのはここに居るはずの大河の声での大音量による告白。
思わず胸がドキドキしてしまった。

「あー驚いてる驚いてる」

大河はしてやったりとしたり顔。

「な、何だよ今のは」
「竜児『Routes』ってゲーム知ってる?これ結構面白いんだよ」

大河がそう説明していると、何故か発してもいない自分の声がPSPから聞こえて来た。

「ちょっと待て!!何でゲームから俺の声が聞こえてくる!?」
「ああこれ?えっとねぇ、なんとヒロインと主人公の声優が私たちと一緒なのだ!!」
「いや、だからってお前これは……」

PSPから流れてくる大河のバリバリストロヴェリィボイス。

「ああこれ?一旦落ちると甘々になるみたい……って何耳塞いでるのよ竜児」

竜児は耳を塞いで何やらブツブツ言っている。

「これは大河じゃないこれは大河じゃないこれは大河じゃない、そもそも俺にこんな甘い声を大河は出さない」

それを見た大河はニヤリと笑うと差し足抜き足忍び足。
竜児の耳元に近寄ると、小さく小さく、甘く甘く、呟く。

「りゅうじぃ?」
「ひゃー!?」

途端、竜児は大河のような叫び声を上げる。
それを見て大河は大笑いした。

「な、何だよ!!」

竜児は気分を悪くしたのか、そう言い捨てて何処かへ言ってしまう。
一人になった大河はふっと表情を消すと、PSPにポケットから出したイヤホンを繋ぎ、

「竜児の声、聞こえるよ」

トロンとした笑みを浮かべてゲームを再開し出した。

125ゲームは一日一時間〜二時間〜:2010/02/17(水) 20:59:25 ID:???
「うう、わかる、わかるよぉ」

ふと竜児が気付くと、大河はいつの間にかプレイステーション2、通称PS2をやっていた。
また何か変なゲームをやっているのかと竜児が訝しがりながら見たパッケージ。
それは、

「Fate/stay night?ああ、結構人気出たビジュアル伝記ノベルか」

しかし、そうなると大河が涙ながらにわかると言っている意味がわからない。

「竜児、私この人の英語の授業なら真面目に受ける気がする」
「一気に謎が解けたな、っていうかつまりお前は担任の授業は真面目に受ける気がねぇとそういうことか」

Fate/stay nightには英語教師として藤村『大河』という女性が出てくる。
これがまた冬木の虎と呼ばれているキャラで、しかも大河という自身の名前を気に入っていない。
だというのに、

「虎を深く憎み、同時に深く愛しているなんて……なんて素晴らしいのかしら」
「まぁ確かに似てる部分はあるわな、虎って呼ばれたり、そういや剣道も強いんだっけ」
「そう、そうよ!!この人こそ私の指標となる人物よ!!そうだ、竜児アンタは料理が上手いから士郎よ!!」
「でえっ!?俺そんなに強くねぇよ!!」
「いいのよ!!無駄に細かいし」
「それに俺が士郎でお前が藤ねぇになったら物語的に恋愛要素絡まねぇぞ」
「あ……」

忘れてたとばかりに大河はコントローラーを取り落とす。
瞬間画面では、

『ソコツものがー!!』

とタイガー道場よろしく藤ねぇのデンドエンドった後の画面になっていた。
大河しばし悩んだ後、ポチリと電源を落とす。

「もうやんないのか?」
「ん、ここにエコエコ大魔神がいるから、あんまりゲームやってると電気代云々って文句言われるし」

本当に理由がそれだけなのかはわからない。
わからないが、

「じゃ、買い物にでも行くか」

竜児も大河に習ってゲームの事は頭の隅に追いやった。
ちなみに……あと十分大河がゲームを続けていたら大河の考え通りの事を竜児が言っていたのは言うまでも無い。

126ゲームは一日一時間〜二時間目〜:2010/02/17(水) 20:59:40 ID:???
「うう、わかる、わかるよぉ」

ふと竜児が気付くと、大河はいつの間にかプレイステーション2、通称PS2をやっていた。
また何か変なゲームをやっているのかと竜児が訝しがりながら見たパッケージ。
それは、

「Fate/stay night?ああ、結構人気出たビジュアル伝記ノベルか」

しかし、そうなると大河が涙ながらにわかると言っている意味がわからない。

「竜児、私この人の英語の授業なら真面目に受ける気がする」
「一気に謎が解けたな、っていうかつまりお前は担任の授業は真面目に受ける気がねぇとそういうことか」

Fate/stay nightには英語教師として藤村『大河』という女性が出てくる。
これがまた冬木の虎と呼ばれているキャラで、しかも大河という自身の名前を気に入っていない。
だというのに、

「虎を深く憎み、同時に深く愛しているなんて……なんて素晴らしいのかしら」
「まぁ確かに似てる部分はあるわな、虎って呼ばれたり、そういや剣道も強いんだっけ」
「そう、そうよ!!この人こそ私の指標となる人物よ!!そうだ、竜児アンタは料理が上手いから士郎よ!!」
「でえっ!?俺そんなに強くねぇよ!!」
「いいのよ!!無駄に細かいし」
「それに俺が士郎でお前が藤ねぇになったら物語的に恋愛要素絡まねぇぞ」
「あ……」

忘れてたとばかりに大河はコントローラーを取り落とす。
瞬間画面では、

『ソコツものがー!!』

とタイガー道場よろしく藤ねぇのデンドエンドった後の画面になっていた。
大河しばし悩んだ後、ポチリと電源を落とす。

「もうやんないのか?」
「ん、ここにエコエコ大魔神がいるから、あんまりゲームやってると電気代云々って文句言われるし」

本当に理由がそれだけなのかはわからない。
わからないが、

「じゃ、買い物にでも行くか」

竜児も大河に習ってゲームの事は頭の隅に追いやった。
ちなみに……あと十分大河がゲームを続けていたら大河の考え通りの事を竜児が言っていたのは言うまでも無い。

127ゲームは一日一時間〜三時間目〜 ◆QHsKY7H.TY:2010/02/17(水) 21:01:44 ID:???
「なんだ、またゲームやってるのか、大河」
「ん」

大河はこちらにパッケージを見せる。

『龍が如く』

「おぅ、これって結構人気のあるゲームじゃねぇか、確か極道になるゲームだよな」
「そう主人公が堂島の龍って呼ばれるの、これは1だから遥って女の子に出会って……って感じね」
「ほぉ、こういっちゃ何だか珍しく俺たちに絡みのないゲームじゃないか」
「そう?」

竜児がそう言った時、

『おじさん、あれあれ』

画面からは大河の声が聞こえて来た。

「……まさか」
「えへへ」

遥という少女の声は竜児の直感通りだった。
中の人が同じなのだ。
しかし、それだけだ、それだけ。

「これは遥が桐生に護ってもらうんだよ」
「桐生ってのが主人公なのか」
「そう、堂島の龍」
「……ん?龍?」

嫌な予感がする。
龍→竜。
極道→目つき悪い、というか恐い。
護られる少女→大河と同じ。

「全然関係無くねぇじゃねぇか!!」
「そ、そぉ?」
「目を逸らすな!!お前わかっててやってるだろ!?」
「べっつにぃ……あ、そうだ竜児」
「別にって……なんだよ」
「ほら、今画面で遥が桐生に聞いてるじゃない?『ソープって何?』って」
「うぉぉう!?」
「ここで桐生は風呂だって言った後誤魔化しちゃうんだよね、ねぇソープって何?銭湯?」
「さ、さぁ?」

ジトーっと横目でしばらく大河は竜児を睨む。
惚けてないで早く教えろということだろう。

「黙ってないで何とか言うのだこのエロ犬!!」
「エロ犬ってお前絶対意味わかって言ってんだろ!?」
「さ、さぁ?」
「俺と同じ惚け方してんじゃねぇ!!」

128 ◆QHsKY7H.TY:2010/02/17(水) 21:08:22 ID:???
間違って二時間目を二回も投下してしまった。
すいません。

今回はちょこっとネタの新シリーズ開拓してみた。
今度はアニメも書いてみるつもり。

ゲームもそのうち四時間目以降を思いついたら書くかも。
他の方で思いついたら方がいたら書いて下さっても結構です。

129まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY:2010/02/21(日) 16:32:53 ID:???
まとめサイト更新しました。

うおおお…携帯で狐ぽをゲットしてお試し●をもらおうとしたらキャンペーン終了で2000Pしかもらえなかった…ッ!
チクショウ!早く規制解けやがれ!

あーBD化しないかナー
消失面白かったナー

130高須家の名無しさん:2010/02/21(日) 23:13:23 ID:???
>>129
乙です。
いつも、ありがとうございます。

と、規制中の自分も言ってみる。

131高須家の名無しさん:2010/02/23(火) 03:22:05 ID:???
今日の「フェアリーテイル」でハッピーとエルザの人格が入れ替わってた。
……えーと、中の人的に大河とやっちゃん?w

132 ◆x6jzI2BeLw:2010/03/01(月) 00:46:53 ID:???
新作投下しようと思えば規制中。
規制解除はいつでしょう(笑)

そんなわけでお世話になります。
代理投稿歓迎と言うかお願いします。

以下、新作「超しあわせの逢坂タイガー伝説」
たまにはタイトル付けよう・・・って本スレ>>322の意見のままじゃないかw
ちなみに前作と余り関係はなかったりする。

ではいきます。

133超しあわせの逢坂タイガー伝説 ◆x6jzI2BeLw:2010/03/01(月) 00:48:49 ID:???

「高須、呼んでるぞ」
クラスメートに呼ばれた竜児が声のした方へ振り向くと、教室の入り口にちょこんと立っている大河の姿。
竜児を認めるとお弁当が入った袋を軽く振り回しながら、早くしろと急き立てる。
「おう、今行く」
昼休みが始まったばかりの教室は授業の緊張から解放された緩い空気が漂う。
立ち上がった竜児は既に机を合わせ島を作ってお弁当を広げていた女子生徒から声を掛けられる。
「相変わらず、仲いいのね」
「まあな」
「前みたいにここで食べれば?わざわざ外へ行かなくてもいいんじゃない」
「そうしてもいいんだけどな・・・あいつがさ」
竜児が目線を流す先で仁王立ちしている大河。
あんな小柄な体の何処にこんな存在感を示せるのかと言うくらい目立っている。
「ああ、相当怒ってたもんね、逢坂さん」
くすくすと可笑しそうに笑う。
「りゅーじ」
何、のんびりしてるんだと催促の声をあげる大河に女子生徒は肩をすくめる。
「お待ちかねみたいよ」
「わりい」
ひと声掛けてから竜児は大河の側へ駆け寄る。
「遅い。昼休み終わっちゃうじゃない」
あんたは悠久の時を生きているのかと数十秒の遅刻をした竜児を責め立てる大河。
「怒るなよ」
「怒ってなんかないわ」
その台詞とは裏腹に口調に表れる大河の不快指数。
「何なの?・・・あの女?」
「クラスメートだろうが」
「ホント、面白くないクラスね・・・ああ、不愉快」
そのままぷいっと身を翻すと大河はスタスタと竜児より先に歩き出す。
「大河」
竜児は慌てて大河の背中を追い掛けた。

134超しあわせの逢坂タイガー伝説 ◆x6jzI2BeLw:2010/03/01(月) 00:50:15 ID:???

このところ屋上へ続く階段の踊り場が大河と竜児のランチ会場になっていた。
三年生になり、クラスも別れてしまった竜児と大河だが、お昼を一緒に取る習慣は二年生の頃から変わっていない。
あの頃は竜児が大河のために弁当を用意していたが、母親と暮らし始めた大河の昼食を心配してやる必要が竜児には無くなっていた。
それでも世話好き竜児のこと。
いつも小さなタッパーに大河用のおかずを用意するのを忘れない。
なにせ、新学期、間もない頃に竜児は大河に弁当を取られているのだ。

「たまには竜児の作ったの、食べたい」
じっと大河に己が作った弁当を見つめられ、竜児としては嬉しくないわけが無いのだが、そこは心を鬼にして断固拒否の姿勢を見せた。
「お袋さんに悪いだろ、ちゃんと自分のを食え」
「・・・うん」
しょぼんとする大河にたちまち鬼の竜児は仏の竜児に早変わりする。
「・・・食え」
弁当箱ごと大河へ差し出す。
「その代り、ちゃんとお袋さんの作ったのも食べるんだぞ」
「いいの?」
「ああ、男に二言はねえ」
「それじゃ、遠慮なく」
以前の大河ならいただきますとそのまま竜児の弁当をきれいに平らげただろう。
だが、目の前の大河はそんなことをしなかった。
自分のお弁当箱のふたへ竜児の弁当を半分移し変えると、隙間が空いた竜児の弁当箱へ自分の弁当の中身を半分入れた。
「これで万事解決」
そう言うと大河はおいしそうに竜児が作った物から箸を付け始めた。

その翌日からだ、ランチの席に大河用の小さなタッパーが付く様になったのは。

135超しあわせの逢坂タイガー伝説 ◆x6jzI2BeLw:2010/03/01(月) 00:51:43 ID:???

階段の段差をベンチの椅子代わりにして並んで座る竜児と大河。
不機嫌そうなのもお弁当箱を開く頃にはすっかり影を潜め、食欲の旺盛さを見せ付ける。
「あ、それちょうだい」
竜児のお弁当箱へ箸を伸ばし、おかずを掴み取ると大河はさっそく口元へ運ぶ。
「おま、ちゃんと用意してあるだろ」
「お弁当はお弁当箱から食べてこそおいしいのよ」
「なんだそりゃ」
「その代り、これあげる」
そう言うと大河は自分の弁当箱の中から厚焼きたまごを一切れ、箸でつまんで竜児の口元へ持って行く。
「はい、竜児」
「はいって・・・なあ」
ちょっとためらう竜児に大河はじれったさを隠さない。
「いいから食べて」
「お、おう」
遠慮がちに小さく開いた竜児の口中へ大河はたまご焼きを押し込む。

もぐもぐと咀嚼する竜児を大河は見つめる。
「ど、どう?」
ごっくんとたまご焼きが竜児ののどを通過した頃合を見はらかって大河が訊ねた。
「甘すぎるんじゃねえか・・・砂糖が多すぎだ・・・」
お袋さんへ言っておけと続けようとした竜児はどよんと落ち込む大河にうろたえる。
「ど、どうしたんだよ?」
「・・・いいの・・・まだまだだって・・・分かったから」
「まだまだって・・・?」
ここまで言い差して竜児はあっと声を上げそうになった。
大河の落ち込んだ原因に思い当たったからだ。
「なあ、大河・・・もしかして、今のたまご焼き・・・」
こくんとうなづく大河に竜児は自分の予想が当ったことを確信した。
そして同時にデリカシーが足らなかったことを痛感した。
・・・きっと、何回も焦がして、失敗したんだろうな。
キッチンで奮闘する大河を想像して竜児はちょっとだけ胸が熱くなった。

「もうひとつ、もらっていいか?」
「いいのよ、無理に食べないで」
「いや、急にたまご焼きが食べたくなったんだ、ぜひ、食わせてくれ」
大真面目に竜児は大河に頼んだ。
竜児を見つめた大河はややあってぷっと噴き出した。
「し、仕方ないわね・・・食べたいって竜児が言うなら」
これまた大河も崩した顔を再度引き締め、真面目くさってまた同じ様に竜児の口元へたまご焼きを運んだのだった。

136超しあわせの逢坂タイガー伝説 ◆x6jzI2BeLw:2010/03/01(月) 00:53:25 ID:???

2年C組でこんなことをやっているなら竜児と大河のバカップルめとクラスメートは生暖かく見守ったことだろう。
なにせ、手乗りタイガーとして恐れられていた逢坂大河とヤンキーとして一目置かれていた高須竜児のふたりが、最終的には駆け落ちもどきのことまでやって結ばれるのを逐一目撃して来た当事者なのだ。
多少のことで動揺などするはずが無い。
しかし、クラス替えがあり、必ずしもその辺りの事情を詳しく知らないクラスメートの中にあってふたりのラブラブ振りは行き過ぎた物として一部のクラスメートの反感を買ってしまったのも事実だった。
大橋高校と言う進学校の中でも特に竜児がいる国立理系選抜クラスは受験に対する意識が違う。
昼休みも惜しんで参考書を開いている手合いも無きにしも非ずで、そんな連中から他所でやれとクレームを付けられたのだ。

「ふうん・・・この程度で気が散るなんて・・・成ってないわね・・・そんな脳みそじゃ、おぼつかないんじゃない、志望校」
冷たさの権化の様に大河はクレーム相手に言い放った。
不遜ともいえる顎を上げた姿勢で低い位置から相手を見下す大河にしまったと言う顔をするクラスメート。
すっかり丸くなっていた大河に油断しきって本来、大河が持っている本質を忘れてしまっていたのだ。
まさに虎の尾を踏んだに等しい自殺行為だった。
おまけに学力と言う点から言っても大河は成績上位で、下手をすれば文句を言った奴の方が順位が下でもおかしくないくらい。
進退窮まったと立ち尽くすクラスメートの危機を救ったのはさっき竜児に話し掛けていた女子生徒だった。
立ち往生するクラスメートに言い過ぎたことを謝りなさいと言う一方で大河へも釘を刺して来た。
「逢坂さんも、もう少し控えめに・・・ね」
「・・・帰る!」
ズバリ言われて真っ赤な顔で立ち尽くした大河はそう叫ぶと食べ残したお弁当をそのままにして竜児のクラスを飛び出した。

「言い過ぎたかしら」
大河の去った扉を見ながらつぶやく女子生徒。
さっきの危機に突っ立ているだけで何も出来なかった竜児はこの問いに助かったと素直に頭を下げた。
「しかし、あの大河に良く言えたよな」
驚きを隠さない竜児。
「あら、逢坂さんて正当な理由もなくいきなり何かする人?」
「いや、それはねえな」
「でしょ」
何でそんなに詳しいんだとの竜児の疑問に、元C組にいた竜児のクラスメートの名前を挙げ、自分の親友だからねと種明かしをしてみせる女子生徒。
「逢坂さんが机投げて暴れたとか、クラス中で腫れ物にでも触るみたいにしてたとか・・・」
ネタはいろいろ知ってるわよと楽しそうに笑った。

その日以降、絶対に大河は竜児のクラスに足を踏み入れないようになった。
不愉快千万というわけだ。
「こっち来てよ」
自分のクラスへ来いと言う大河に竜児は首を振った。
「何?来るのが面倒なの?」
「いや、大河のところへ行ってもいいんだけどさ、川嶋がいるだろ」
「ああ、ばかちー。腐れ縁で同じクラスになったのよね」
冷やかされるのがどうもと言う竜児に大河は同意した。
「そうね。ばかちーごときに貴重な昼休みを邪魔されたくないわ」
そんなわけで階段の踊り場でランチタイムを過ごす事になったのだが、これはある意味、貴重な時間ともなっている。
以前は竜児の家に行けば嫌でもふたりだけの時間と言うのがあったのだ。
しかし、母親と暮らし始めた大河にとって、二年生の頃みたいな竜児とだけ一緒に居られる時間と言うのが取り難くなっている。
それがここに居れば誰も来ないので遠慮なくふたりだけの世界を構築出来るのだ。

137超しあわせの逢坂タイガー伝説 ◆x6jzI2BeLw:2010/03/01(月) 00:54:44 ID:???

「ごちそうさま。今日もおいしかった」
満足気にお弁当箱を片付ける大河。
「たまご焼き、また作ってくれるか?」
「がんばってみる・・・けど上手く行かなくても文句言わないでよ」
「言わねえ、大河が作ってくれるなら」
「そんな風に言われるとプレッシャー感じちゃうけど、少しくらいはお料理、上手になりたいし」
「あせんなくていいんだぜ」
「・・・いつか、やってみたいんだ」
「何を?」
「はい、お弁当って・・・竜児に手渡すの。全部、自分の手作りで・・・それで竜児がおいしそうに食べてくれるの。今の私じゃ全然、無理だけどね」
「一歩ずつ、やってけば夢じゃなくなるさ」
「本当?」
「ああ、今日のたまご焼きだって、味付けさえ間違ってなかったら結構いけたぜ」
「お世辞でも嬉しいよ、竜児」
「世辞じゃねえ、本気で言ってるんだ」
「ありがと・・・竜児」
言い終えると大河は竜児の肩へ自分の頭をそっと載せた。

「大河」
「なんか・・・ものすごく幸せな気分」
目を細くして夢見心地な表情を見せる大河。
「お腹、いっぱいになったからだろ」
「竜児」
ムードないなあと大河は竜児の背中を軽く叩いた。
「おう、わりいな・・・でも、俺もそんな気分だ」
「でしょ」
我が意を得たりと大河は笑う。
そして小さなあくびを漏らす。
「何だか、眠くなっちゃった・・・ねえ、竜児」
「何だ?」
「枕・・・借りるね」
そう言うと、大河はずるずると竜児に沿って体を倒し、膝の上へ上半身を預けた。
「大河、おい」
「予鈴、鳴ったら・・・起こして・・・・・・」
本当に眠かったらしく大河はそのまま寝息を立て始めた。

膝の上で子供のように丸まって眠る大河を竜児は見下ろす。
・・・夜中にミルクをあげる為、何度も起きるって言ってたっけ、大河は。
・・・赤ちゃんの世話も大変だよな。
優しい目で竜児は大河を眺める。
嫁にする・・・一生、添い遂げると誓った少女が全幅の信頼を寄せるみたいにして自分の手の中でまどろんでいる。
竜児は感慨深く、大河を見つめる。
わずか一年前だよな、傷ついた猫みたいに牙をむき出して襲って来たのは。
木刀を振り回した挙句、倒れた大河を思い出す竜児。
大河との二人三脚があれから、始まったんだと竜児は過去を振り返る。
足並みが乱れて、転んだりしたけど、こいつがパートーナーで良かったって思う。
そんなことを考えながら竜児は寝ている大河の柔らかな頬を指先で軽く突付いた。
寝息が少し乱れて、甘えたような声を大河は上げる。

予鈴が鳴っても起きない大河をいたわる様に竜児は本鈴寸前までそのままでいた。

138超しあわせの逢坂タイガー伝説 ◆x6jzI2BeLw:2010/03/01(月) 00:56:22 ID:???

「・・・ふぇ、朝?」
寝ぼけた声で起き上がった大河はそこに竜児が居るのを認め、不思議そうな表情を浮かべる。
「・・・竜児?ああ、朝ごはんの時間・・・早く起してくれればいいの・・・・・・に?」
パジャマを脱ごうとする動作を見せた大河は途中で手が止まる。
なんで自分が制服を着ているのかと怪訝そうに首を傾け、それから、竜児をまっすぐ見た。
その大河の顔が急速にカラーピンクで侵食されていくのを竜児は黙って見守る。
寝ぼけて以前に住んでいたマンションで竜児に起された気でいたのだ、大河は。
「目、覚めたか?」
「さ、覚めてるわよ、とっくに」
強がりを言う大河だが、顔の火照りはまだ消えていない。
そして、今の時間が本鈴ギリギリだと知り、怒り出す。
「なんで、もっと早く起さないのよ」
少し乱れた髪を気にするように大河は竜児へ洗面所へ寄る暇も無いと文句を言う。
「・・・いや、大河の・・・寝顔があんまりかわいくて」
ずっと見てたと竜児は言う。
「起すのもったいなくて・・・その、悪かった」
女の子の身だしなみまで気を遣ってやれなくてと竜児は大河へ謝る。
「寝顔って・・・ずっと?」
「ああ・・・」
大真面目にかわいいと言う竜児に大河の顔は真冬の電気ストーブさながらに赤みを増す。
やがて、顔の熱さに耐え切れなくなったかのように大河はうつむく。
「なんか知らないけど・・・ありがと」
ぼそぼそと話した大河だが竜児にはしっかり伝わった。



とりあえず、ここまで。

139 ◆Eby4Hm2ero:2010/03/02(火) 04:57:04 ID:???
2chが鯖落ち中なんで、とりあえずこちらに。
復活したら転載します。

140とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero:2010/03/02(火) 04:57:44 ID:???
お題 「千円」「寄る」「自習」



 五時間目の授業が自習となれば、クラスの大半は友達と駄弁る、雑誌を読む、寝る等々で真面目に勉強しようというのはむしろ少数派で。
 竜児としてはその少数派でありたい所だが、それを許さないのが目の前に一人。
「ねえ竜児、やっぱり晩ご飯はすき焼き食べたい」
「駄目だ」
「すき焼き〜、すき焼き〜、すき焼き〜、すき焼き〜」
「今日は魚の特売日だからサバミソだって言ったじゃねえか」
「竜児だって昨日のテレビ見たじゃない。美味しそうだったじゃない。食べたいじゃない!」
「ああいうのは百グラム千円以上するような高い肉使ってるから美味いんだよ。今のうちの予算で使える肉じゃ、期待外れでがっかりするのがオチだぞ」
「うう〜……それじゃ……せめてお肉!お肉食べなきゃこの衝動が治まらないから!」
「お前なあ……」
「お肉お肉お肉お肉お肉お肉お肉お肉……」
「ああもう、わかったわかった。帰りにスーパー寄るから、安くなってるやつでいいな?」
「わ〜い、竜児ありがと〜!」
「しかたねえ、鯖は明日の弁当に使うか……」
「ほら竜児、四時から豚バラ薄切りがタイムサービスだって!生姜焼き!」
「大河……お前はなんでチラシとか持ってきてるんだよ……まさか最初から!?」
「んん〜?なんのことかしら〜?」

141まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY:2010/03/03(水) 01:41:34 ID:???
要望があったため、全SSをひとつにまとめたページを作成しました。
かなりの量なので携帯で開こうとするとエラーで途中で止まるかもしれませんので注意。
検索等にお使いください。

そして本スレは規制どころか鯖落ち中で近づけやしないデス。

142高須家の名無しさん:2010/03/03(水) 02:09:46 ID:???
>>141
おおおおおお疲れ様です
検索が楽になります

143高須家の名無しさん:2010/03/14(日) 13:17:03 ID:Gz551/dI
本スレ、アゴの方、GJ!した。感想投稿しようとおもったら、500KB超えてた!
すまん、所用で新スレ立てられないが、誰か頼む〜!!

144高須家の名無しさん:2010/03/14(日) 19:31:19 ID:c88fdrnQ
【とらドラ!】大河×竜児【ハラハラ妄想】Vol20 でよろしく

145高須家の名無しさん:2010/03/14(日) 22:41:51 ID:gZgUS2rY
アゴの方、いい作品だ。

ソワソワ妄想で新スレ立てようとしたら、弾かれた。

146高須家の名無しさん:2010/03/14(日) 23:21:54 ID:???
三題噺の方もアゴの方もよかったよ〜
乙です!

新スレたててきました
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1268576015/

147高須家の名無しさん:2010/03/28(日) 21:56:56 ID:CIW9Nrvk
銀魂最終回。神楽(CV釘宮)がナレーションから何からこなすクリスマス回。
おもいっきり大河思い出した(w。釘宮の声でクリスマスにちょっと寂しい
物言いされると、しばらくトラウマに苦しみそう。

148高須家の名無しさん:2010/03/31(水) 04:08:58 ID:???
>>147
>おもいっきり大河思い出した(w
俺もだw

149高須家の名無しさん:2010/04/01(木) 19:42:57 ID:???
何でかわからないがアク禁になった。(荒らしはしてませんよ)
ハラハラ妄想の人がエイプリルフールネタはないか?という方がいたため
作って投下→書き込めねえ、なぜだ?(ハラハラ妄想>>86の作者ですのでまだ初心者)→仕方がないからこっちへ投下

エイプリルフールネタは?という方がいたので試験投下 ちなみに86でギシアンを試験投下した者です、
駄文&読みにくい&粗悪&変態?かもしれませんがよければ是非どうぞ
ちなみに「秋になったら畑に行こう」がベースです。 年齢設定は大学1年生

「りゅーじ、私たちって結婚するんだよね?」
大橋高校でつい最近まで危険度レベルMAXに降臨していた彼女、手乗りタイガーこと逢坂大河はいつものように
遊びに来て、高須家の居間で食後のごろごろタイムを貪っていた。(さしずめ食後の野生の
トラのように…、すなわちそれだけ彼女にとって高須家は安心できる場所でもある。)
そして食器洗いをしながら「おう!」と答えたのは某指定暴力団○×組に所属し
「自宅にならトカレフの2丁や3丁、他にも小麦粉に似た何かやチョコに似た何かならたくさんあるぜ…」
という顔をした男子、高須竜児である。
最も外見だけであり根の性格はヤーさんとは正反対どころかお人好し。
(その性格ゆえに大橋高校の美少女3名を悩ませたと言う伝説が高校に残ってるとか残ってないとか…。)
そしてこの二人が付き合ってから約一年弱が過ぎたある日のこと…

「ってことは結婚式もやるんだよね?」
「おう!もちろんそのつもりだ。俺が『18になったら嫁に来いよ』
とは言ったものの、やはり状況が変わってるし、それに俺がちゃんと稼いだお金で
お前にウェディングドレス着せたいしな。そういや大河、お前はどんなドレスがいい?」
「う〜〜ん」と考えてから三分は経過した時に彼女はあることを思いついた。そして
「私は竜児の中学時代の緑色のジャージがいい!!」
「はい?」
「だ〜か〜ら、2年生の秋に竜児とみのりんとイモ掘りした時のジャージよ。」
「ああ、あの時の… ってかお前普通結婚式に着るか?」
「はあ〜」
「なんだよ…、そのいかにも呆れてますっていうため息は。」
「これだから…、いいわ犬にちゃんと説明してあげる。あの時あんたは
『お前を守る守護ドレスだ!嫁に行くときにも是非着てほしいな』って言ったのよ。」
「ああ!そう言えば確かに俺言ったけな、そんなこと。でもお前本気か?」
と、大河に聞いたら笑ってやがる… 、一体何なんだ?と思った矢先に大河が口を開いたため思考を中止した。
「じゃあ竜児、今日は何月何日?」
「質問に質問で返すな。え〜と4/1だけど…、あーっ」
「わかった竜児?今日はエイプリルフール、本当に着るわけないじゃん、
まあ私はそれでも構わないけど世間から見ればちょっとね…。
でもこれは本当、竜児ありがとう。
あの時の私たちって自分で言うのも難だけど変な関係だったじゃん、
それなのに竜児は私のこと心配してくれて…」
「おう!気にするなって」
「ふぁ〜あ、ごめ…竜児眠くなっちゃった。」
「それは仕方ないな、弟の世話で疲れてんだろ?ふぁ〜あ、やべ俺も眠くなってきた、一緒に寝ようぜ大河。」
「うん!」
そして卯月の心地よい風に抱かれ竜虎は夢の中へ。いつかするであろう自分たちの結婚式の夢を見ながら…

150高須家の名無しさん:2010/04/02(金) 06:19:15 ID:???
>>149
GJ!
大河のイタズラっぽい笑みが見えるようだ。


アク禁に巻き込まれるのは2chでは珍しくないことだから気にせずにw
運営系の規制情報板板や雑談系2の批判要望板あたり見ると状況がわかるかも。

151 ◆Eby4Hm2ero:2010/04/03(土) 04:09:40 ID:???
規制巻き込まれた……というかメッセサンオー祭の影響で大手ISP軒並み全滅らしい。
地域絞り込み無しでocn丸ごと規制とか。

152とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero:2010/04/03(土) 04:10:39 ID:???
お題 「秘めて」「あたり」「ぶつけた」


「どうしよう……」
 逢坂大河はとぼとぼと帰り道を歩く。
「どうしよう……よりにもよって、あいつに……」
 高須竜児。
 北村君の友達。
 初対面、始業式の日にぶつかった時は失礼な奴だと思ったけれど、よく北村君と話している様子を見れば悪い人間じゃない様ではあった。
 だが、だからこそ、アレを北村君に渡してしまうのではないだろうか。
 ずっと秘めてきた想いを綴った手紙を。

 そもそも、書きはしたものの渡すつもりは……そんな勇気は無かったのだ。
 それが、たまたま北村君の机に鞄が置いたままなのに気がついて。教室には他に誰も居なくて。
 千載一遇のチャンスだと思った。でも決心がつかなかった。鞄を開けたまま迷って……丁度その時にあのバカが来て……思わず放り込んでしまった。
 それが、あいつの鞄だとは気づかずに。

 結局手紙はそのまま、高須竜児の鞄の中で。
 『高須竜児』の事をほとんど何も知らない以上、取り返す事は極めて難しい。
 連絡網のプリントを見れば電話番号ぐらいはわかるだろうが……そこまでだ。
 家に帰れば、あいつは手紙を見つけるだろう。
 ラブレターだと気づくかもしれない。中身を読んでしまうかもしれない。
 思い返せば自分でも恥ずかしくなるような内容だ……笑うだろうか。バカにするだろうか。
 それをもし北村君に伝えられてしまったら。クラスに広められてしまったら。
 ……そうなったらもう、生きてはいけない。

 と、その時。
「……あれは!」
 見覚えのある後姿。どこかにぶつけたのだろうか、後頭部のあたりをさすりながら前を歩くのは間違い無く高須竜児。
 咄嗟に物陰に隠れる。幸いこちらに気がついた様子は無い。
 なんという天の配剤。このまま後をつければあいつの家がわかる。そうすれば、手紙を取り戻すことだって出来るかもしれない。
「……あれ?」
 ぶつかったり、転びそうになったり、それでも見つからないように、見失わないように必死に尾行を続けて。
 気づけばなんだかよく知っている道を歩いている。というか、いつもの登下校のルートをそのままに。
 やがて辿りついた終着点は。
「……嘘」
 高須竜児が入っていったのは、大河の住むマンションの隣……ボロい木造一戸建ての二階。
 今まで隣人など気にした事も無かったが、それがまさかあの男だったとは。

 そして、夜。
 大河は木刀を手に、寝室の窓から塀の上を経由して隣家二階のベランダへ。
 手紙の事を知られてしまったのは間違い無い。それを無かったことにするためには高須竜児の息の根を止めるか、せめて記憶を飛ばさなければいけない。
 正面から行けば当然あいつは抵抗するだろう。ならば、寝込みを襲うのが一番確実だ。
 降り立った目の前の窓をそっと開ける。鍵はかかっていない。
 中を覗けば、人の気も知らずに安らかに眠る高須竜児。思わず睨み付けるが、ここからでは上手く殴れそうにないし、中に入ろうとよじ登れば気が付かれるかもしれない。
 横を見れば、おそらく居間に入るための大きな窓。こっそり侵入するならこちらからだろう。
 靴を脱ぎ、木刀を握り締め、サッシに手をかけ……
 いざ、参る。

153高須家の名無しさん:2010/04/03(土) 20:30:40 ID:???
>>152
乙です!こういうのもいいね
本スレ109の人も乙!
続きが気になるw

規制早く解けるといいな…

154高須家の名無しさん:2010/04/04(日) 00:06:33 ID:???
149の作者です。152の方がメッセサンオー祭で…ということでwikiで「メッセサンオー」
と検索したらその会社の個人情報がネットで閲覧可能状態になり、
これを利用して2ちゃんねるに個人情報を広めた馬鹿がいるらしい。
道理で本スレに書き込もうと思ったら解除されない訳ですよwwww

155高須家の名無しさん:2010/04/04(日) 03:19:41 ID:???
>>まとめ人さん
毎度毎度、更新おつです。またタイトルで遊んでるww

>>152
GッッJ!
なんて違和感のない襲撃ビフォー。
一巻読むときは頭の中でこれをねじ込むことにするわ

携帯も使えなくなってけっこう経つけど、巻き添えはマジかんべん

156高須家の名無しさん:2010/04/05(月) 21:02:28 ID:6fdUMDW6
本スレが妙に過疎ってると思ったらこういうことだったのね。
かくいう私もアク禁でしてね……。

>>149
乙!
(・∀・)ニヤニヤ

>>152
乙!
大河の尾行にすら気づけない辺りが流石ミスター鈍犬ですねw

157 ◆Eby4Hm2ero:2010/04/07(水) 07:09:10 ID:???
まだ規制中。通報は行ってるらしいんで早く対応してくれocn。

代理投稿ありがとうございます。

158とらドラ!で三題噺 ◆Eby4Hm2ero:2010/04/07(水) 07:09:44 ID:???
お題 「春田」「姉」「思い当たる」



「ただいま〜」
「……竜児、ちょっといい?」
「お、おう?」
 買い物から帰ってきた竜児を出迎えたのは、妙に固い表情の大河。
 卓袱台を挟んで向かい合わせに座り、大河は真剣な顔で竜児を見つめる。
「ねえ竜児、何か私に隠してることない?」
「はあ?」
「隠してることがあるんじゃないかって聞いてるのよ!」
「……特に思い当たる事はねえぞ」
「ふうん……じゃあ、これは何?」
 言って大河が取り出したのは、一冊の本。
 半裸の女性と『お姉さんが教えてア・ゲ・ル♪』等の扇情的なセリフが表紙を飾る、それはどう見ても十八禁なシロモノで。
「……っ!お前、それ……どうして……」
「シャーペンの芯が切れちゃったのよ。で、竜児の借りようと思って引出し探してたら……。
 私という恋人がありながら、どういうことなのかしらねえ?」
「ま、まて大河。それは俺のじゃねえ、春田のだ」
「誰のだろうと一緒よこのエロ犬!」
「違うって、頼まれて買ってきたやつなんだよ。だからその本、袋も開けてなかっただろ」
「は?なんでロン毛虫があんたにエロ本なんかを頼むのよ?」
「それはだな、その、買う時にだな、俺なら私服で行けば年齢確認されねえから。それで、偶にな」
「ふん……ま、いいわ。信じてあげる」
「ほっ……」
「で、こいつはエロ毛虫のだとして……竜児はこーゆーの持ってないわけ?」
「うっ……そ、それは……」
「……持ってるのね……この浮気者!」
「浮気じゃねえ!俺の心は大河一筋だ!」
「じゃあなんで他の女の裸なんて見てるのよ!」
「仕方ねえだろ、男ってのは生理的にある程度、その、処理しないといけねえんだから」
「……それはその、いわゆる……オカズがどうのって……やつ?」
「……お、おう……」
「……それなら……わ……わわ……わた、わたしを見ろ!そして使え〜ぃ!」
「ちょ、ま、待て!おい大河、脱ぐなーっ!」

159高須家の名無しさん:2010/04/07(水) 18:45:00 ID:???
エイプリルフールネタの作者です。三題噺の方のは面白く投稿する前から読んでました。
代理投稿してくださった方、本当にありがとうございます。

160 ◆QHsKY7H.TY:2010/04/07(水) 20:01:18 ID:???
お久しぶりです。

まとめ人様いつも乙です。

三題噺さんはほんと定期的で尊敬しますね。
このスレが今だ廃れないのは間違いなくまとめ人様と氏の力が大きいと思う。

エイプリルフールの方の最後の一緒に寝ようぜを別の意味で捉えた俺はきっと汚れてる。

さてパンツネタがはやっていた時に、思いついたネタが纏まってきたので数日に分けて久々に投下します。

代理投稿大歓迎。

161逢坂流高須大河の子作り計画 ◆QHsKY7H.TY:2010/04/07(水) 20:03:53 ID:???
※十八禁ではありません

◆side大河

「おはよぉ」
「おぅ」

大河は目を覚ますと、寝ぼけ眼のまま居間へと足を踏み入れ、ぷんと漂うおみそ汁の匂いに反応した。

「今朝は……大根ね」
「おぅ、よくわかったな」

竜児は昔と変わらぬECOと入ったエプロンをしたまま卓袱台にみそ汁とご飯を置いていく。
これまた変わらぬような朝の風景。
しかしこれらは主婦顔負けの家事スキルを持つ高須竜児によって栄養のバランスが取れるよう考えられたメニューだった。

「あんたも飽きないわねぇ、たまには私がやってもいいのに」

結婚して三ヶ月。
お互い仕事をする身である為、家事は分担が基本だが竜児は暇があれば大河の分もやってしまう。
だってそこに家事が残っているのだ、やらねば失礼ではないか。
そこに埃が落ちていれば拾い、ついでにカビチェックをして、料理の仕込みをする時間があれば料理しておかねば失礼ではないか。

「誰に失礼だってのよ」
「おぅ!?口に出ていたか?」
「顔に書いてんのよ」

大河はいつも通り「いただきます」をすると食事を始める。
高校生の時から殆ど変わらないこのやり取り。

「2DKって言っても二人で住むんだったら案外十分よね」

さらには借りているアパートの広さまで一緒だった。
竜児の母、泰子は「新婚生活の邪魔はしないでがんす〜♪」と和解した両親、竜児にとっての祖父母と住む旨を言いだし、竜児と大河も仕事の関係から元のアパートからは離れざるを得なかった。
それでも似たような場所はあるもので、ここにしようと決めた場所が“あのアパート”と中がそっくりだったのだ。

「そうだなぁ、泰子と二人の時もあんまり手狭感は無かったかなぁ……っと、もうこんな時間か」

竜児も思い出しながら時計を見、

「悪い、先行くぞ」
「ん、あんたもそんなに時間無いなら朝の洗濯は私に任せても良かったのに」
「いや、大河にあんまり負担かけたくねぇし」

そう言い残すと竜児は慌てて飛び出していく。

162逢坂流高須大河の小作り計画 ◆QHsKY7H.TY:2010/04/07(水) 20:07:11 ID:???
ぽつんと残される大河。
別に寂しいとかじゃない。
今までにも似たような事はあったし、一人分しか食事が卓袱台に乗っていないあたり竜児は先に食べたのだろう。
時刻は七時十五分。
自分の出勤時間は八時半までだが竜児は七時四十五分まで。
場合によっては早出で七時までとかの日もある。
お互い社会人になったのだからそこに文句を言うつもりも無い。
普段は一緒にいようとする時間も作ってくれるし、自分の為を思って無理に早く起こさず、寝かせておいてくれるのも悪いとは言わない。
だが、

「何で竜児は求めてこないのよ」

最近の大河の思いはその一言に尽きた。
本当に変わらないのだ。
高校生の時と態度、対応が。
これでは高校生の時の生活の延長のようなものだ。
別にそれ自体にも文句を言うつもりは無いが、

「わ、私達はふ、夫婦であるからにして、そ、その“ふふう”の営みと申しますか、その、ほら、“ふうう”らしい“性活”……じゃなかった、生活は無きにしもあらずなわけでいて……」

自分にいろいろ言い訳をしている内に携帯が鳴り出し、そろそろ着替えないとマズイ時間だと気付く。

「あ、ヤバッ!?」

慌ててご飯をかきこみ、きちんと「ごちそうさま」をしてから慌ただしく着替えて大河も家を出て行く。



***



「お疲れ様でーす」

仕事が終わり、大河は帰路についていた。
今日も忙しくはあったが、このまま行けば家には七時半位には着くだろう。
竜児もよっぽどの事が無い限り夜はそんなに遅くならない。
今日は竜児の夕飯当番だし、遅くなる旨のメールも無いことから既に夕飯の仕込みをしている可能性も考えられる。
そこまで竜児のことを思って、ふと大河は今朝考えていた事を思い出した。

「私、やっぱり“そういう魅力”は無いのかしらね」

竜児が自分を好いていてくれていることは伝わって来る。
しかし何故かそれは“好き”という枠の中にのみ収まっていて、いわゆる青年思考へとは発展していかない。
小学生の恋愛、と言われれば反論できないような、そんなストイックな関係が続いていた。
嫌というわけではないが、竜児も男だ。
我慢しているのではないか、もしくは自分にはそういった魅力が不足しているのではないか。
そんな疑心暗鬼に陥りそうになってしまう。
何せ学生時代、“哀れ乳”として蔑まれた経験があるのだ、虚勢でもスタイルに自信があるとは言えなかった。

「はぁ……馬鹿竜児」

疲れていた体が、さらに疲れたような錯覚を伴ってガックリと肩を落とす。
気付けば歩いているのは商店街。
もうあと5分ほどで家には着くだろう。
と、商店街の一角にあるランジェリーショップに急に目が行った。
最近は嗜好の凝った物も多く大河も女なだけに興味は深い。
このまま帰ればあと5分で家に着くが、寄り道して悪いわけでも無い。
少し迷い足をしていた大河だが、ついには足をランジェリーショップへと向け、帰宅を十分ほど遅らせた。

163逢坂流高須大河の小作り計画 ◆QHsKY7H.TY:2010/04/07(水) 20:08:42 ID:???
***



「ただいまー」
「おぅ、おかえり……ん?何か買ってきたのか?」
「うん」

予定より若干遅くなった大河は別に悪びれもせずよいしょと既に料理が乗っている卓袱台の前に座る。
別に小さいテーブルでも良かったのだが、慣れてしまった上に前の家のを使えるのに捨てるのはMOTTAINAIという事で、そのまま使用していた。

「おい、着替えてからにしろよ、制服汚れるぞ」
「あんたねぇ、私もいつまでも高校生じゃないんだから」
「そりゃそうだけど飯の時くらい仕事のことは忘れようぜ」

竜児のもっともな言い論に、う〜と少し大河は唸ったあと、「わかったわよ」と着替えに向かう。

「おーい大河ー?これ食べ物かー?何が入ってるんだー?冷蔵庫入れとくかー?」

大河は着の身着のまま部屋に戻った為、買ってきた袋をその場に起きっぱなしにしてきてしまっていた。

「なんだと思うー?」

戸を隔てた先で大河は特段気負いも無く、着替えながら謎かけのようにして返事をした。


「わからーん、開けてもいいのかー?」

綺麗好きで家事大好きの竜児のことだ。
その辺に置いておくことが許せず、食べ物ならきちんと冷蔵庫などに入れておきたいのだろう。

「別にいいけどーそれって私のー……」

ショーツだよ、という前に竜児の竜児らしくないドタバタという騒々しい音が聞こえた。

着替えを終え大河が居間に戻ると、竜児は正座して卓袱台に着き、大河が買ってきた袋は壁際、それも竜児から最も遠くなるような位置に置いてあった。

「あんた何してんの?」

大河は不思議そうにしながら袋を持ち上げる。

「い、いや何でも無い!!さぁさっさと飯を食っちまおうおぜ!!」
「?うん」

大河は不思議そうに頷きながら席について食事を始める。
袋にはテープで封がしてあった筈だが、その封が切れていた。
異変はその後、三日後に訪れる。



***

164逢坂流高須大河の小作り計画 ◆QHsKY7H.TY:2010/04/07(水) 20:09:58 ID:???
◆side竜児

大河が洗濯し、畳んで置いておいてくれた洗濯物。
大河もかなり家事が板につき、洗濯程度ではまごつかなかくなったので最近の竜児は安心、もとい油断していた。
部屋の入り口付近に置いてある洗濯物を竜児は自分のクローゼットに仕舞おうと洗濯物を手に取る。
白いシャツを仕舞い、トランクスを仕舞い、靴下を仕舞い、白いショーツを仕舞……、

「ん?」

竜児は目を擦り、何度も今自分が手に持っている物を凝視する。
柔らかいシルクの手触り。
それは男性用の物とは全く違う三角形を模していて。

「……こ、これは……っ!?」

それは洗われたとはいえまず間違いなく大河の……ショーツだった。
しかも見覚えがある。

「あの晩に買ってきてた奴じゃねぇか……!!」

竜児はあの日、どうせ食べ物か何かだろうと思いこんで袋を開けてしまい、そこに輝く真っ白の園を見てしまっていたのだ。

「や、やばい……いやこれは大河のミスなわけで俺に責任は……」

そう自分に言い聞かせながら手に持つ真っ白なショーツを見やると、喉がゴクリと鳴る。

これは大河が身につけた物であり、ある意味自分なんかよりも大河に近しいというか大河そのものというか……。
悩めば悩むほど混乱し、頭を抱え込み、頭にシルクがファサと乗ってしまい「ぎゃあ!!」と転げ回る。

「何やってんだよ俺……これじゃ変態だ」

今度は冷静にショーツを離してから頭を抱えるが、先程まで触っていた手が温もりを覚えているかのような錯覚を起こしまた自己嫌悪して部屋を転がり回る。

「お、落ち着け、いや落ち着こう、たかがパンツじゃないか」

たかがパンツ、されどパンツ。

「〜〜〜っ!!」

無茶で無謀で無理だった。
そもそも大河という嫁は無神経、無遠慮、無防備と無が三つ揃っている。
風呂上がりは胸元がはだけているし、裸足は色っぽいし、スカートは似合うしフリフリは似合うし何着せても似合うし!!
普段から一線を越えようとする内心を抑えるのに一体どれだけの労力を必要としているのかわかっているのだろうか。
男の安っぽいプライドだが、それでも欲情に身を任せてがっつくような真似はしたくないのだ。
だというのに……これだ。
竜児はその凶眼でもってギロリと純白の三角形を睨み、

「ねぇ竜児」
「うわぉう!?」

どうやったらそんな発音ができるのかというような奇声を上げてばっと背中にそれを隠す。

165逢い坂流高須大河の子作り計画 ◆QHsKY7H.TY:2010/04/08(木) 23:47:54 ID:???
代理投稿ありがとうございます。続きいきます。


「ん?今何か隠さなかった?」
「べ、別に何も。それよりお前入ってくるならノックくらいしろといつも言ってるだろ」

急に部屋に入ってきた大河に、内心汗をだらだらと掻きながら竜児は平静を装った。

「ふぅん、まぁいいけど」
「いいやよくない」
「あーはいはいノックねノック。なんならやり直す?」
「いや、別にそこまでしなくてもいいが……」
「でしょ?細かいこと気にしすぎなのよ竜児は。で例のドラマ始まっちゃうわよ?一緒に見るんじゃなかったの?」

気付けば時間は結構経っていて、確かにもうすぐ二人で楽しみにしていた連続ドラマの放送時間だ。

「おぅ、すぐ行くよ」
「ん、お茶淹れとく」

大河はすぐに踵を返し居間へと向かい、再び竜児が一人になる。
咄嗟に背中に隠した白いショーツ。
皺が着いてしまったそれは竜児の掌でくしゃくしゃに丸まっている。
竜児はしばし逡巡し、自分のベッドの枕、その下にショーツを隠すと居間へと向かった。



***



時刻は既に夜中の二時。
真っ暗な部屋の中、アイロンを動かす黒い影が一つ。

「よし」

影……竜児はそう言うとうっすらとした布を手に取った。
それは先程のショーツ、ではなくただのあて布だ。

「シルクをアイロンかけるにはあて布をしねぇとな」

あて布の下には、例の純白ショーツ。
皺一つ無い真っ白なショーツに満足した竜児は早速行動を開始した。
スラリと静かに襖を開け、ゆっくりとばれぬように大河の部屋の前へ。
一度深呼吸すると、スーッと自身の部屋の襖を開ける時よりも慎重に襖を開ける。
すっと鼻に大河の香りが入ってきて、思わずドキリとしながら大河が寝ているであろうベッドに視線をやると、案の定大河はベッドで丸くなっている。
使っているベッドはかつてと違い天蓋付ではなく、竜児とお揃いで新たに買いそろえたものだ。
以前のアパートで使っていた物もまだ使えたが、それを居間のアパートに持って行く時の運送費を考えると新しく買った方が安上がりと言うことで、この際お揃いにした。
竜児は素早く周りを見渡し、クローゼットに近づいていく。
あとはこれを仕舞えば終わりである、そう思った時、その辺に散らばる……否、今日回収していった洗濯物群がクローゼットの前に仕舞わずに畳んだまま置かれている事に気付いた。
悩み所である。
これが明日使う、もしくは仕舞うと決めているものならここに一緒に置かなければならない。
しかしそうでないなら引き出しを開き、パンツの園を拝む必要がある。
……急に罪悪感が湧き出てきた。
いくら夫婦間と言えど相手の下着の引き出しを開けていいものか。
特に男から女のというのは……。

「う〜む」

散々竜児は悩み、決断した。



***

166逢坂流高須大河の子作り計画 ◆QHsKY7H.TY:2010/04/08(木) 23:49:36 ID:???
◆side大河

「……ふわぁ」

目が覚め、今日も一日が始まるんだと体を起こす。
竜児に起こしてもらうのは悪いからと自分から起きる努力をしてはいるが、週に一回くらいは起こして貰っているのが現状だ。
まぁ、起こして貰いたいという欲求もあるので、このくらいがベスト、とは思っている。
身を起こし、ぼやけた視界で昨日クローゼットの傍に置いておいた今日の着替えをみやる。

「……あれ?」

ぱっと目が覚めた。
何故か一番上にショーツがある。
これは昨日仕舞わなかっただろうか……いや、そう言えば仕舞っていない。

「仕舞い忘れかな、でもなんでこれが一番上に?」

手に持ってみて……違和感。

「何か、買い立てっていうか……アイロン、かしらこれ」

随分とピンッと綺麗になっている。
経験上、一度使用して洗濯したあとだと、少しは皺、というか使用感というものが残るものなのだが。

「えっと、もしかして竜児?」

考えられる可能性はそれぐらいしかない。
あの万年家事大好き夫のことだ、彼ならばショーツ一つにここまでぴっしりとしたアイロンがけをするに違いない。
普通はあんまりショーツってアイロンかけないけど。
まぁそれはおいておいて、問題は理由だ。

「なんで竜児が私のショーツ持ってたのかしら?」

そこでハッと昨晩のことを思い出す。
昨晩、竜児は何か背中に隠すような素振りを見せていた。
まさか……。

「夜な夜な私に見つからぬように私の下着をオカズにしてたってコト?」

わからないが、現状考えられる可能性が大河にはそれしか思い当たらない。
もしそうならば心境複雑である。
下着をオカズにしていたのならば自分にもそういった魅力がある、ということになる。
まぁ、竜児が自分よりも下着に興奮する、などと言い出す変態で無ければだが。

「それは無い……わよね?」

イマイチ夫の性癖に自信が持てないが、そこはまぁ竜児を信じるコトにした。
さて、そうなると竜児は我慢していることになる。

「こ、これは妻として、甲斐甲斐しく、いやいや慎ましく?ああもう何て言えば良いのよっ!?とにかく竜児のその気に気付いてあげなきゃダメってことよね、うん」

混乱気味な大河だが、やることはきちんと定まっていた。
そう思うとこれから竜児に会うのがとても勇気のいることのような気がした。



***

167逢坂流高須大河の子作り計画 ◆QHsKY7H.TY:2010/04/08(木) 23:51:13 ID:???
「お、おはよぉ」
「おぅ」

いつもと変わらぬ声で竜児は挨拶をし、いつもと変わらぬ様で朝食の用意をしている。
それでも今朝は結婚した次の日の朝くらいに緊張しながら大河は挨拶をした。

「きょ、今日もい、良い天気ね!!」
「はぁ?」

竜児は窓の外から空を見上げる。
かつてのアパートと違うことはお隣に日を遮る大きなマンションが無いことだ。
そこから見える空はどんより曇り空だった。

「今日は曇りだぞ?大丈夫か大河?」

あまりに普通で普通な反応。
大河は肩透かしを喰らった気分だった。

「さっき天気予報でも降水確率80%だったし傘忘れんなよ?」

ぱっぱっと手の水を切ると竜児はECOエプロンを外して玄関へと向かう。

「悪い、今朝も早いんだ。飯は用意しといたから、それじゃ行ってくる」
「あ、うん。いってらっしゃい」

バタン、と玄関の扉が閉じてポツーンと一人取り残される。
いつものことではあるが、今日は力みすぎていただけに一気に脱力した。
ペタン、とその場に座り込み、ボーッと竜児が出て行った玄関を見つめる。

「普通、だったわね……」

さっきまでの自分の緊張を返せと言いたくなるほど竜児は普通でいつも通りに感じた。
こうまで普通だと、自分の考えがただの勘違いや思いこみの類では無いかと考え直す。
竜児のことだからたまたま落ちていたショーツを見つけて親切にもアイロンがけをしておいたとか。
そんな親切は大きなお世話でもあるんだが。

「まぁ、昔はやっちゃんもいたんだし今更下着くらいでどうこうってのは無い、かも」

パタリ、と横に倒れ、グゥとお腹が鳴る。
こんな時でもお腹が空く自分に少々呆れながらよいしょと起きあがり、竜児が用意してくれた食事に手をつけ……、

「……ん?」

違和感に気付いた。

「薄い……」

味が若干薄いのだ。
こんなことは過去、高校時代に竜児が病気に気付かず無理していた時以来だと記憶している。
あの時ほど酷くは無いが、どうにも今一歩味が足りていない。

「……?体調でも悪いのかしら?」

今日、帰ってきてみたら注意深く竜児を観察してみようと大河は決めた。



***

168逢坂流高須大河の子作り計画 ◆QHsKY7H.TY:2010/04/08(木) 23:52:48 ID:???
「な、何だ?俺の顔に何かついてるか?」

晩、お互い帰ってきてから向かい合って食事している最中、大河は竜児の顔を注意深く見つめていた。
竜児は酷く熱心に見つめられる視線に羞恥と焦りの色が濃く現れていた。
大河は身を乗り出し、念のために竜児の額に額をコツンとぶつけてみる。

「お、おい!?危ないだろ!?」

卓袱台の上にはまだ食事が乗っており、その上に浮くようにしている大河はとても不安定で“危険”だった。

「今朝ね、あんたの作ったおみそ汁が少し薄かったのよ、それでアンタ体調壊してるんじゃないかと思って。ほら、高校の時にもあったじゃない」
「だったら口で言え口で!!お前は口よりも先に行動が多いぞ!!」
「はいはい、熱は無いみたいだからもういいわよ」

大河はぱっと指定位置に戻り、箸を持つと、竜児が真っ赤になっているのがわかった。

「?アンタやっぱ熱あるんじゃ?」
「いや無い!!全く無い!!っていうかお前それ俺のシャツ!!」
「あ?ああ、コレ?そういやお風呂上がりに着替え忘れたから借りてそのままだった」

大河は下はハーフパンツ、上は竜児のシャツだった。

「いいじゃない別に、減るもんじゃないし」
「お、お前という奴は……いや、いい。わかったから後でちゃんと着替えろよ」
「はいはい」

大河は竜児の言葉を話半分に聞き流して食事を続けた。



***



◆side竜児

カポーン。
湯気漂うお風呂場の中、文字通り竜児は風呂に入っていた。
バシャバシャと湯を顔にかけてしつこいぐらいに洗う。

「あの馬鹿……!!」

竜児の顔は依然真っ赤だった。
だが決してのぼせたわけでも風邪をこじらせているわけでも無い。
竜児は額に手の甲を当てて天井を見つめる。
先程この額には嫁の額が重なっていた。

「っ!!」

思い出してまた顔をバシャバシャする。
あの体勢は大河にとって不安定で危険であり、竜児にとっても不安定で“危険”だったのだ。

169◇fDszcniTtk:2010/04/09(金) 22:29:07 ID:6Q0IsbCw
.TY氏、ナイスです。楽しみにしています。




しばらく消息を絶ちます。

ってのは、ガンガン作品を発表していた時には少しはおかしみもあったろうね。
いまはだめだ。だめだけど、ちょっと現実世界から離れてくるよ。







「ジョジョーッ!!おれはスピンオフ三巻を読むぞォ!」

170逢坂流高須大河の子作り計画 ◆QHsKY7H.TY:2010/04/09(金) 23:39:07 ID:???
避難所>>169
お久しぶりです。ありがとうございます。
氏の帰還を切に待っておりますw

代理ありがとうございます。ラスト一気にいきます。



額に額を重ねられた竜児は必然と視界が限られるハメになった。
まず大河の顔。
シャープな顎を持つ彼女の顔を間近で見ていると、あまりの美しさに恥ずかしくなり、自然と視線をズラしてしまう。
上を見れば視線が合う。
であれば視線は下降せざるを得なく、必然的及び必要的に竜児は視線を若干落とした。
滑らかな白い首、そして肩。
これが失敗だと誰が思おう。
彼女が着ていたのはなんと自分のシャツ。
気付いていなかったわけでは無いが、それくらいでどうこう言う間柄では無い。
問題は彼女の体勢だった。卓袱台から身を乗り出し額を重ねている以上、竜児の視線が下降すればそれはもはや一点に収束される。
普段ならそこまで気にしないが、今回は彼女が竜児のシャツを着ているのがまずかった。
ぶかぶか。
この一言で彼の体験した桃源郷は誰しもが理解出来よう。
そう、大河には竜児のシャツは大きすぎたのだ。
サイズ的にも肩幅的にも。
必然、彼女の着ているシャツはニュートンが発見した万有引力の法則によって下へと引き寄せられ、ぶかぶかの余っている部分に空白が生まれる。
……幸い、彼女は小さいながらもBRASSIEREをしていた為、竜児は防波堤決壊寸前で踏みとどまれたわけだが、問題はそんなコトではない。

「無防備すぎなんだよ……!!」

竜児にとってそれは問題だった。
自分の我慢が利かなくなる、というのもあるが何よりも。

「もし、人前でそんな格好してたら……」

いくら大河と言えど分別はあると理解しているが、生来からの彼女のドジさ加減を竜児は痛感している。
今のようなヴェストアングルを誰か他の男にも見せやいないかと冷や冷や……ヤキモキする。
そう思って、意外と自分は大河に依存……独占欲が強いんだなぁと意外な自分の一面に軽く驚く。
取り越し苦労だとわかっていても、心配になってしまうあたり、それだけ大河は特別な存在なのだ。

「ふぅ……」

考えても仕方が無いことだと思い、竜児は浴槽から出ると脱衣所に向かいバスタオルで体を拭く。
さぁ着替えようとして、

「……あれ?」

自身の用意していたシャツが無い事に気付いた。

「あ!!」

そこで思い出す。
そう、大河は竜児のシャツを着ていたのだ。
食事の前に入ろうと準備したシャツだったが、急に大河が自分から入ると言いだし、大河が入った後すぐに食事にしていしまっていた。
その為、竜児は食事を終えた後に入浴となり、大河のヴェストアングルのせいであまり冷静では無かった為に着替えのシャツを新たに持ってくるのを忘れていたのだ。
オマケに代わりとばかりに洗濯籠の傍には大河のシャツが落ちている。

「あいつ……よく探せよ、あるじゃねぇか……!!」

大河はシャツを忘れたわけでは無かった。
ただ落としたコトに気付かず、忘れた物だと思いこんでたまたま目に付いた竜児のシャツを「とりあえずこれでいいや」と代用したのだ。

171逢坂流高須大河の子作り計画 ◆QHsKY7H.TY:2010/04/09(金) 23:40:21 ID:???
ここで困ったコトになる。
まさか自分も仕返しとばかりに大河のシャツを着るわけにもいかない。
サイズが違い過ぎる為だ。
いや、決してサイズが合えば着ていたとかそういうことは無い、多分。
かといって風呂上がりにシャツも着ないで出たら大河に何を言われるかわからない。
正直に忘れたと言ってしまえばそれで済むかもしれないが、食事の時、くどくどと忘れたコトへの説教をかましてしまった手前、言い出しずらい。
そんなコトを思っていると、

『竜児ー、私ちょっとアイス買ってくるからー』

大河がそう言って玄関から出て行く音が聞こえてきた。
助かったとばかりに脱衣所を飛び出し、竜児は自分の部屋でシャツを着る。
大河はすぐに帰って来ていて、今晩もいつも見ているバラエティーの番組を一緒に見ながら更けていった。



***



「……しまった」

気付いたのは夜遅く。
お互い見る番組も終わり眠くなって部屋に戻った後の事。
竜児は自分の部屋にある一枚の小さめのシャツに頭を悩ませていた。
それはつい、脱衣所から持ってきてしまっていた大河のシャツだった。
……どうしたものか。
悩み所である。
ショーツで無い分、いくらか普通に返し安いものではあるが、相手は大河である。
近年言われなくなったが、『エロ犬』呼ばわりされたら目も当てられない。
自分は大河が好きであって、その、欲求に身を任せたいわけではないという竜児の紳士としての安っぽいプライドが大河にだけは『エロ』呼ばわりされたくないと訴えていた。
とすれば方法は限られてくる。

「もう1回同じように返すか……」

昨日は上手くいったのだから今日も大丈夫だろう。
そんな何処にも根拠の無い自信が竜児を突き動かし、部屋に置いてあるアイロンへと手を伸ばした。



***

172逢坂流高須大河の子作り計画 ◆QHsKY7H.TY:2010/04/09(金) 23:41:26 ID:???
◆side大河

「また……?」

今朝目覚めて大河が着替えようとすると、今度はシャツが綺麗にアイロンがけしておいてあるではないか。
意味がわからない。
何故竜児は自分の下着を持っているのか。
何故夜な夜なアイロンがけまでしてから返すのか。
まさか本当に下着に興奮する危ない人なのか。
竜児に限ってそれは無いと思うが、こうも綺麗にされた下着を見ると疑いが完全に晴れない。
“使用”した故に誤魔化しとして綺麗にした。
そんな裏の裏の裏、結局裏を読んでしまう。

「……ちょっと調べてみようかしら」

この日から大河は実験を開始することにした。



***



◆side竜児

「またか……?」

大河より渡された乾いた洗濯物の中に、またもや大河のショーツが混ざっていた。
今回は特に皺を作ってもいないので、夜、ドギマギしながら掴んだショーツをコッソリとそのまま返すことにした。
次の日、

「おいおい」

またもや洗濯物の中には大河のショーツが入っている。
最近は高校時代に比べてドジは減ったと思っていたが勘違いだったのだろうか。
今回も特に皺を作ってもいないので、夜、ドギマギしながら掴んだショーツをコッソリとそのまま返すことにした。
次の日、

「嫌がらせか?わざとか?わざとなのか?」

またもや洗濯物の中には大河のショーツが入っている。
それも二枚。
一枚はちゃんと洗っているようだが、もう一枚は……、

「これ、まだ洗ってねぇんじゃねぇか……?」

そこらへんのにわか主婦ならばわからない衣類の洗濯の有無も、長年続けてきた家事スキルを持つ高須竜児の凶眼は誤魔化せない。
だがそこに気付いてから急に緊張。
自分が今手に持っているのは使用済未洗濯の大河のショーツ。
決して自分は変態では無いが、無性にドキドキしてしまうのも事実。

「や、だめだ。何考えてんだ俺は。せ、洗濯しなきゃ」

はじっこをツマむようにして竜児はショーツを掴み、竜児は部屋を出た。



***

173逢坂流高須大河の子作り計画 ◆QHsKY7H.TY:2010/04/09(金) 23:42:55 ID:???
◆side大河

初日はそのまま返ってきた。
二日目もそのまま返ってきた。
これはあからさまだったかと思い、少し勇気を出して決心し、今度は脱ぎたてのショーツを混ぜてみた。
夜、ここ最近こっそり竜児の動向をチェックしている大河は、今日も襖の隙間から竜児の部屋の襖を見つめている。
流石に中は覗いていない。
もし覗いてショーツに興奮している夫を見たらきっと立ち直れないからだ。
だが、ここで張ってればいずれは現行犯逮捕できるはずだと大河は張り込みを続ける。
警察でも探偵でも無い彼女だが、気分はシャーロック・●ームズだった。
もし今晩もそのまま返ってくれば彼は真人間。
同時に自分にそういった興味を持っていないことが照明されるが、変態趣味を知るよりは幾分良い。
いつでもベッドに戻って寝たふりが出来るよう、短距離走のスターティングのように腰を落として状況を見守る。
と、今夜も竜児が部屋から出て行き……洗濯機の方へと向かう。

「?」

不思議に思いつつもばれぬよう忍び足で後を付けると、洗濯機の前にで腕を組み悩む竜児の姿があった。
洗濯機の蓋は開けられておらず、蓋の上には大河のショーツ。

(洗う気……?もしかしてもう使用済みとか?それは無いか、静かだったし)

大河とて伊達に長く竜児と一緒にいるわけではない。
それぐらいの機微は読み取れた。
とすると……、

(未洗濯なのに気付いて洗濯しようと思ったけど、一つだけ洗うのは水道代やら電気代やらがMOTTAINAIと)

大河は正確に竜児の脳内をトレースし、やれやれここまでかと出て行こうとして、

ガッ!!

突然竜児がショーツを鷲づかみにするのを見た。

(!?)

大河が驚いてそのまま見ていると、竜児はお風呂場へと向かう。
竜児は風呂場にある洗面器にお湯を張ると、そのショーツを手洗いしだした。
眼はギラリと釣り上がり、口元は横に裂けるようにうっすらと開いて、見る人が見れば変態以外の何者でも無い。
大河は頭を抱えた。まさか手洗いするとは。
しかもそれはそれは楽しそう?に。
オカズにされるよりかはマシだが、トコトン自分は女の魅力が薄いんだと実感する。

「はぁ……」

つい、口に出してしまった溜息。

「!?」

それが竜児をビクッとさせ、大河の存在に気付かせた。



***

174逢坂流高須大河の子作り計画 ◆QHsKY7H.TY:2010/04/09(金) 23:44:33 ID:???
「た、大河?こ、これは……」

竜児は慌てていた。
何せ嫁とはいえショーツを手洗いしていたのだ。
言い逃れをするにも分が悪い。

「良い、何も言わなくてもわかってるから」

大河は諦めたかのようにその場から背を向け、

「お、おいちょっと待て!!」

竜児は何か勘違いされていると思い、必死に大河の腕を掴む。

「アンタは私よりも洗濯に興奮する、大丈夫、ちゃんとわかってる」
「い、いや全然わかってねぇよそれ!!」

大河の言葉になんだそりゃと竜児は言い返すが、

「じゃあアンタは私のショーツに……その……ム、ム、ムラムラ来てたの?」

言葉に詰まる。
ここでそれを認めてしまえば今までの苦労は水の泡。
何のために自制心を抑えてきたのかわかりゃしない。
かといって、自分が大河よりも家事を優先しているように言われるのも納得は出来ない。

「ほぅら、やっぱりそうじゃない。アンタは私より家事に魅力を感じるのよ」
「あ、いや違う、俺は……」

違う、と言いつつも決定的に反論も肯定も出来ない。
安っぽくても、譲れない思いが、それを許さない。

「お、俺はただ、大河を大事にしたくて……そういうのは抑えなきゃって思ってて、だからお前に魅力がないとかそういうのは……」
「……抑えなきゃ?」
「あ、いやそれは……」
「……今抑えなきゃって言った?」
「あ、だからその……」

痛い所を突っ込まれ、本心を見透かされそうになるが、それでも竜児は今一歩言葉にすることは出来ない。
そんな竜児に、

「……シたいの?」
「っ!?」

大河は艶めかしい声で振り向きながら尋ね、笑った。

「エロ犬」

笑われて、久しぶりにそう罵られて、けどさっきまでの嫌な空気は無くて。
一番言われたく無かった筈の言葉なのに、今はそう軽く言われたことが、竜児の心を軽くした。


この三ヶ月後、大河が懐妊している事に気付くのは、偶然……いや、きっと、



──────そういうふうに、なっている──────

175 ◆Eby4Hm2ero:2010/04/14(水) 02:25:18 ID:???
※三題噺で、一つのお題から二つ思いついちゃったんで片方を先行投下。

※なんで今、避難所でなのかというと、スピンオフ3の不幸のバッドエンド大全に触発されたシロモノだから。

※鬱展開注意。

176とらドラ!で三題噺・番外 ◆Eby4Hm2ero:2010/04/14(水) 02:28:12 ID:???
お題 「実乃梨」「そっち」「マイク」
     〜不幸のバッドエンド偏〜



 ニュースはスポーツコーナーに移り、画面の中でマイクを握るのは昔よりはるかに垢抜けた、しかしよく見知った顔。
 彼女が――櫛枝実乃梨が――太陽のような笑顔を取り戻したのはいつ頃なのだろうかと、ふと思う。
 高二の終盤には一度も笑う事は無かった。クラスが変わってからは顔を見る機会そのもの少なくなった。そして、卒業してからは会う事も無くなった。
 テレビの電源を消し、竜児は一枚のメモを手に立ち上がる。
「あ、兄貴、お出かけですかい?」
「おう、ちょっと野暮用だ」
「それじゃ、すぐに車を」
「いや、今日はいい。ちょいと一人で歩きたい気分なんでな」
「ですけど、気をつけないと鳳のところの若い連中がなんか騒いでたって話が……」
「鳳か……連中は確かに馬鹿だけど、流石に今事を起こしたらどうなるかぐらいはわかるだろうさ」
「はあ……」
「遅くなるかもしれねえから、何かあったらそっちで上手く処理しとけよ」


 実乃梨と亜美が教師に連れていかれた後、竜児は雪の中に小さな輝きを見つけた。
 ケンカの最中に外れ、踏みつけられたのだろう。無惨に折れ曲がってガラスビーズもいくつか取れてしまったヘアピンは、もうどうやっても直すことが出来ない事が明らかだった。
 そんな最悪の修学旅行から帰ってきて暫らく後……学校への届けだけを残して大河が姿を消した。
 捜そうにも手掛かりも心当たりも無く、悶々としていた時にやってきた一人の男。
『隣のマンションに住んでた娘の行き先を知らないか?』
 そう尋ねた男に必死で食い下がり、竜児は初めて逢坂陸郎が莫大な負債を抱えて逃亡したこと、大河もまた関係者として追われている事を知った。
 そして、その瞬間竜児は大河を捜すために裏の世界に足を踏み入れることを決意した。
 男――水地という名前だった――の勧めで時折『仕事』を手伝いつつ大学は経済学部へ進み、卒業後すぐに杯を交わし、思い知ったのは父親から受け継いだのが目つきだけではなかった事。
 その世界でメキメキと頭角を表わした竜児は今や27歳の若さでいっぱしの経済ヤクザ、若頭と呼ばれる身分である。
 だが、母親と共にアメリカに渡った後の大河の足跡だけは、どうしても掴むことが出来なかった。
 つい先日までは。

177とらドラ!で三題噺・番外 ◆Eby4Hm2ero:2010/04/14(水) 02:28:46 ID:???
 メモに示されたその店、『吉祥天国』は予想以上に小さなスナックだった。
 準備中の札を無視して扉を開けると、カラカラと鳴るベルの音と同時に飛んできたのは懐かしい罵声。
「ちょっとあんた!表の札見えなかったわけ?そのサングラスの下に開いてるのは節穴?まだ準備中よ準備中!」
 流石に多少雰囲気は変わりつつも、その美貌は衰えず。
 思わず笑みを浮かべながら、竜児は構わずにカウンターに座る。
「おう、すまねえ、どうにも腹が減っちまってな。チャーハンでも作ってもらえねえか?」
「はぁ?あんた目玉だけじゃなく脳味噌まで腐ってるわけ?ウチは定食屋じゃなくて……」
 そこまで一気に言い募った大河の言葉が止まり、その目が驚愕に見開かれる。竜児はくっくっと笑いながらサングラスを外して。
「よう……久しぶり」

 臨時休業になった『吉祥天国』で、二人は並んでグラスを傾ける。
「へえ……やっちゃんまだ働いてるんだ」
「もう必要も無いから止めろって言ってるんだけどな」
「何よ、あんたそんなに稼いでるわけ?」
「おう、まあな。大河が住んでたあの部屋が今や俺の家だって言えば、多少は予想が付くか?」
「へえ……そうだね、もう十年だものね……そりゃ色々変わるか」
「なあ、大河」
「ん?」
「……帰ってこねえか?泰子も喜ぶし、今の俺ならお前を守ってやれる。大河が望むならこの店を続けてもいいし」
「……駄目だよ」
「あのクソ親父ならとっくに捕まって、借金は自分の体で清算済ませてる。もう逃げ隠れする必要はねえんだ」
「そうじゃなくて……私は結局ママとも折り合い悪くてさ、二十歳前に家飛び出して……ここにくるまでに随分汚れちゃったもの」
「汚れたっていうなら俺の方がよっぽど上だ。なにせヤクザだぞ、ヤクザ」
「私は竜児を捨てたんだよ?それを今更……」
「俺はそんなこと気にしねえ。昔の色々を無かったことにして一からやり直すってのは、確かに無理かもしれねえさ。だけど、それも全部ひっくるめて改めて始めることなら出来るんじゃねえか?」
「……少し、考えさせて」
「おう、わかった。それじゃとりあえず帰るけど……そうだ、今日の勘定はツケといてもらえるか?」
「何よ竜児、あんた稼いでるんじゃなかったの?」
「おう、この店のボトル買い占めるぐらいは出来るけどな。金で大河に負い目つくらせてOK貰うってのは嫌だし、何よりまたここに来る理由ができるじゃねえか」
「まったくあんたは……変わったんだか変わってないんだか」

 別れ際の大河の苦笑を思い出しつつ、竜児はほろ酔い気分で夜の街を歩く。
「俺は諦めねえぞ、大河。毎日でも通って、必ずうんと言わせてみせるからな」
 と、その時突然背後からの衝撃。同時に脇腹に生じる灼熱感。
「え?」
 ぐらりと倒れながら目に映ったのは、赤く染まった刃を手にした若い男。
(こいつは確か、鳳の所の……)
 猛烈な痛みに手をやれば、ぬるりとした感触が流れ出していて。
(そうか……刺されたのか……)
 体が冷えていくのがわかる。同時に視界が昏くなっていく。
「大河……すまねえ……」
 それが、高須竜児の最期の言葉となった。
                              〜END〜

     ***

「いってぇ……」
 頬には机の冷たい感触。腰には鈍い痛み。
「おい大河、何するんだよ!」
「あんたが居眠りしたままうなされるなんて器用な真似してるから起こしてあげたんじゃない」
「だからっていきなり蹴るか普通?」
「仕方ないでしょ、両手が塞がってるんだから」
 その言葉の通り、大河は両腕に洗濯物を抱えていて。
「ああくそ、なんかすっげー嫌な夢を見てた気がする……」
「休みだからって昼間からぐーすか寝てたりするからバチがあたったのよ」
「あのなあ……何で俺が居眠りなんぞしてたと思ってやがる」
「あら、言い訳とは見苦しいわね」
「一昨日まで仕事で徹夜続きだった俺を、久しぶりだからって朝まで寝かせなかったのはどこの誰だよ!?」
「そっ、それは……いいじゃない、あんたも楽しんだんだし」
「それは否定しねえがな、最後の方はありゃ命の危険を感じると肉体が勝手に反応するってやつだったぞ、絶対」
「あ、思い出したらなんかまた……ねえ、竜児」
「待て!せめて夜まで待て!」
 騒ぐ竜虎の傍ら、机の上には一通の手紙。
 二枚の招待状が同封されたそれは、富家家・狩野家の結婚式の報せだった。

178 ◆QHsKY7H.TY:2010/04/14(水) 22:47:10 ID:???
皆さんたくさんの感想ありがとうございます。

その後(大人)を書くのは何気に初めて(のはず)だったのですが、気に入って頂けて良かったです。

◆fDszcniTtk氏お待ちしておりました!

三題噺の方のヤクザ竜児、大河の為ならヤクザになるのも有りと思った俺は末期。

179高須家の名無しさん:2010/04/16(金) 01:28:34 ID:VT/0dTwI
>>三題噺さん
こういう湿っぽい場末の雰囲気の竜虎もよいですな。
個人的には夢オチじゃなくてもよかったかなwなんてねwGJでした!

180高須家の名無しさん:2010/04/18(日) 16:36:15 ID:???
三題噺の方のはまとめが方がスゴイ。BIGLOBEは規制解除されてないんでこちらに投下


「エイプリルフールネタ」作者です。代理投稿ありがとうございました。

話題が約1年前の三鷹市ポスターネタとギシアンネタです、駄文ですがよければどうぞ

「ねえ竜児、なぜかわからないけど三鷹市のポスターに私が描かれてるんだけど…」
「おう、本当か?それ?」
「本当よ、ほら竜児。」
「おう、これは…、原作で俺たちを描いてくれたヤス先生の絵だな。なんでも市の方が[三鷹市は猫バス、魔女、
俺たちと同じ電撃文庫から出版されてる『とある魔術の禁書目録』の舞台になっている
多摩地区での狸と人間の争いやら…etcを描いた、アニメ制作会社『スタジオジブリ』の所在地だから
『三鷹市はアニメの街』ということをアピールするために自治体のポスターにアニメキャラを使おう。]と、いうことらしい。」
「しかし遺憾だわ…」
「ん?大河なんでだ?前の写真部の写真みたいに悪口は書かれてないだろう…」
「そりゃそうだけど違うの…、ほらここ!」
「ん?何々…『あなたの家の安心を守る完了検査を受けましょう』ね」
「私理系じゃないのに何で住宅の検査なのよ、遺憾よ遺憾。」
「まあ、大河は可愛いし、ポスターに描かれるのはいいんじゃないのか?」
「ま、ままま、まあそうねそれに私も検査できるものがあるし」
「それってなんだ?大河?」
「竜児の健・康・具・合…」
 ジー
「ちょっと大河?なぜおまえはファスナーを開ける?」
「当然よ、検査するんだから…」
「ちょ、まっ」
「ほらやっぱり硬くなってる…」
「た、大河〜〜〜〜」
ギシギシアンアンギシギシアンアンギシギシアンアン
「よかったね竜児は今日も健康だよ」
「あのなあ…」

終了〜www

181高須家の名無しさん:2010/04/21(水) 00:23:49 ID:???
勝手な想像でスミマセン 三題噺「垂らし」「見てやって」「座らない」の続編(3次創作)
「KKコンビの逆襲」

櫛枝 「ひょっとして2人が夜中に我慢できずにギシアン→当然大河は汗をかいて熱が下がる、
    でもって高須君は汗をかいて体温が下がる→風邪をひいたってところじゃないの?大河?」

大河 「ち、ち、ちちち、ちがうってみのりん!!」

川嶋 「あ〜ら、そういう割に顔が真っ赤かだけど、チ・ビ・ト・ラ」

大河 「ななな、な!ばかち〜いたの?」

櫛枝 「おっはよ〜、あ〜みん。」

川嶋 「おはよう実乃梨ちゃん、ヒソヒソ(ねえ?あの反応って一体?てか実乃梨ちゃん大河を
    高須君が世話するまで見てたからわかるでしょ?」

櫛枝 「ヒソヒソ(おうよ、あ〜みん。あれはあ〜みんの言うとおり照れ隠しだぜ〜、
    ところであ〜みん、ごにょごにょ)」

川嶋 「(いいね、それ。乗ったわ。)」

大河 「みのりんとばかち〜何ヒソヒソ話してたの?」

川嶋、櫛枝 「別に〜、なんでもないよ〜。」

大河 「??」

182高須家の名無しさん:2010/04/21(水) 00:24:45 ID:???
放課後の高須家にて

大河 「竜児〜大丈夫?」

竜児 「おう、大丈夫だ。だいぶ熱も下がったしな。」

ピンポ〜ン

竜児 「すまないが大河、出てくれるか?」

大河 「うんわかった。この優しいご主人様に感謝しなさい。」

竜児 「確かに去年と逆だな…、とりあえず待たせると悪いから開けてやってくれ。
    (宅配便か?それとも郵便か?)」

大河 「はいは〜い、ってみのりんとばかち〜!!」

櫛枝 「おじゃましま〜す、いや〜朝の質問だけど大河が
    答えてくれなかったから高須君に聞こうと思って。」

川嶋 「そういうこと〜、じゃ上がるね高須君。」

大河 「え?え?ええ〜?」

櫛枝 「じゃ、さっそく尋問タ〜イム。高須君は昨日大河とあ〜んなことやこ〜んなことをしたのかね?」

川嶋 「たとえば〜『タイガ〜のない胸に興奮しちゃったり』とか『不毛地帯を見たとか』あ、ちなみにドラマじゃない方ね。」

竜児 「なな、なななにを…」

櫛枝 「あれれ〜?高須君顔真っ赤だぜ〜超真っ赤だぜ〜!!」

川嶋 「もっと例えて言うなら〜『タイガ〜のあわびを食べた』とかさ〜、ね?高・須・君。」

竜児 「あうあう…」バタッ

大河 「竜〜児〜」

櫛枝、川嶋 「じゃあおいらたち(わたしたち)は帰るから〜、どうぞごゆっくり〜」

大河 「え〜〜、ちょっと!昨晩竜児とは何もしてないからね。」

櫛枝 「大丈夫、高須君の反応で実はしちゃったってことはわかってるから〜」

大河 「な!な!」ボン

その後竜は1日ほど風邪と熱の回復が遅れたとか。一方…

川嶋「さすが実乃梨ちゃん。」

櫛枝「おうよ、あ〜みん。」

川嶋「ま、タイガ〜には悪いけど私のことを見なかった逆襲としては成功ね。」

櫛枝「そうだね〜」
と帰路を共に歩む学生がいたとかいなかったとか。

おしまい

183高須家の名無しさん:2010/04/22(木) 21:09:36 ID:???
ちなみに181、182を書いたのは三題話の方とは別人です。

184ms07b3:2010/04/25(日) 01:03:30 ID:09K.B1dQ
「 幸せのかたち 」

施主への引き渡しを明日に控え、竜児は引き渡し前の最終的なチェックをしていた。
専門業者による引き渡し清掃は終わったが、シンクを舐められるほど拭き上げてこそ、真の完成と考える竜児にとっては、この程度の清掃では我慢出来なかった。夕方から既に3時間、手には高須棒、腰には雑巾を装着して、死体安置所に置かれたの死者の屍肉を漁る悪鬼の様な表情で、厨房の隅々まで、一片の汚れもないよう確認していた。
「竜児君、いい加減になさい。」
厨房に響く凛とした声に振り返ると、竜児の師匠であり、大切な妻の実母である、女性が立っていた。
「あなた、昨日から全然眠ってないでしょう? 明日の引き渡しは13時。すぐに帰って身体を休めなさい。」
苛立ちが含まれた声には、地獄の獄卒さえも従うであろう響きがあった。
「先生、ですが後もう少しだけ・・・・。」
「黙れ。早くしろ。」
「はい。」
竜児はおとなしく従い、厨房の照明を落として店を出た。

1年前から進めてきたレストランの設計・施工は明日の引き渡しを持って完了する。
発注者である有名シェフも、実際に腕を振るう厨房スタッフも、先日下見に来て、料理人の導線や調味料置き場、冷蔵庫の使いやすさ等を褒めていた。
実際に使う立場の人達に賞賛されるのは、建築雑誌のデザイン賞を貰うより嬉しい。竜児には一仕事やり終えた充実感があった。

水平対向エンジンの独特の響き、身体を固定するシート。先生の車に乗る時は、未だに緊張してしまう。大河をつれて逃げた2月の寒空。まさか、あの時、自分から大河を奪おうとした人の設計事務所のスタッフとして、働くことになるとは思いもしなかった。
あれから12年か・・・。ふと時の流れを感じてしまう。

「竜児君。あの話の結論はでたかしら?」
寝不足の頭に問いかける声。
「いえ、まだ迷っています。」
「そう。確かに、この業界で30歳と言ったら、ひよっこだけど、大学の頃から手伝ってくれている事を考えると、キャリアとしては充分だと思うの。人気の料理研究家の台所。カリスマと呼ばれるフランス人シェフの店の厨房。独立するには充分なキャリアだわ。」
「・・・・・。」
「うちの事務所には、どんどん貴方を指名した仕事も来ている。独立しても、仕事上のパートナーで有ることは変わりません。いい加減に覚悟を決めなさい。」
あなたも疲れている。明日の引き渡しが終わったら有給休暇を取りなさい。母虎は、そう言って命令を下した。

竜児が、大河の母親の建築設計事務所に入社したのは、大学を卒業した年だった。
元々、インテリア雑誌を買って、セレブな暮らしを想像して楽しむような男だ。大河が母親と暮らす家に遊びに行く度、リビングに置かれた建築設計の専門雑誌を借りて帰り、読んでいるうちに、建築士の仕事に進む決意を固めたのだ。
大学受験は、大河の母に勧められた美大系の建築学科で学んだ。奨学金と祖父からの援助はあったものの、課題制作や専門書などの購入に金がかかる。
困っていた竜児に手をさしのべたのが、大河の父だった。

185ms07b3:2010/04/25(日) 01:04:59 ID:???
設計事務所の経営と営業は大河の父親が、実際の設計と施工管理は母親が。事務所はそんな風に分業されていた。竜児に与えられた仕事は、依頼された仕事の模型を作る事。
手間は掛かるが、割のよいバイトだった。
 大学を卒業すると、大河の母に弟子入りする形で、建築設計事務所に入社する事になった。
 竜児の計画では、25歳までに2級建築士の資格を取得。30歳までに一級建築士を取得する事だった。
 大河と結婚したのは、25歳の春だった。大河は、大学卒業後、幼稚園の先生になった。
高校3年から弟の面倒を見てきた大河は、大学時代に弟を幼稚園に送り迎えしている間に、その幼稚園の園長先生と仲良くなった。園児達に慕われ、園児達を慈愛に満ちた眼差しで見つめる園長。その姿に理想の姿を見いだしたのだ。


 走り去るポルシェ。竜児はマンションの階段を上がる。部屋の灯りは既に消えている。大河は寝てしまったかも知れない。
 鍵をあけて家に入る。リビングにつづく廊下も、リビングの灯りも点いていない。大河はどこへ行ったんだ?
 「遅いんじゃ〜、この馬鹿犬!」
叫び声とともに振り下ろされる木刀は、竜児の鼻先を掠めて、床にぶち当たる。
 「こっ殺す気か〜!」
見ると、浴室の扉が開け放たれていて、手乗りタイガーと化した嫁が血走った眼で己を見つめていた。
 「大丈夫。殺さないわよ。ただ、2・3日動けないようにするだけじゃ〜。」
 「まて、それは明日の引き渡しが終わってからにしてくれー!」
 「問答無用!」
大河が落ち着くまで、竜児は30分、家の中を逃げ回った。
目が覚めたのは午前8時だった。昨日、大河に殴られたり蹴られたりしたところが痛むが、何とか引き渡しに出かけられる程度のダメージですんだ。
今日は平日。大河は既に出かけたらしい。
リビングのテーブルの上には、茶碗とお椀が伏せられ、目玉焼きとキャベツの油炒めが乗せられた皿が置いてあった。添えられたメモ書きを読む。

竜児へ。
トドメをさせなくて残念だったわ。今日は弟が来るから、すき焼きの予定。
早く帰って来い。駄犬。

 引き渡しの後には打ち上げがあるのだが、参加したら木刀の餌食になりそうだ。

 出かけるまで時間があるので、久しぶりにキッチンの掃除をする。大河の掃除の腕も上がってきているが、達人の域にはまだまだだ。充分に堪能する事が出来た。

 引き渡し物件には電車で向かう。車内はがらがらだ。昨日の夜の、先生との会話を思い出す。独立に踏み切れないのは、資金不足の懸念が拭えないからだ。

 一級建築士は取得済み。仕事の依頼も内容も充分。だが、独立するにもスタッフと事務所は必要だ。
 スタッフについては目処が付いている。同じ大学の後輩が手を挙げてくれている。だが事務所については、条件に合うような物件が無いのだ。
 自宅のアパートの家賃。必要な広さの貸事務所。独立の為の資金は潤沢ではないから、不動産に関連する経費は抑えたいのだ。
 大河の通勤の事を考えると、大橋市内からは、そう遠くに引っ越しも出来ない。悩みところだ。

186ms07b3:2010/04/25(日) 07:47:21 ID:???
「高っちゃん、元気〜。」振り返ると春田がいた。
学生の頃の長髪はバッサリ切り、少し長めのオールバックにバンダナが、今の春田のスタイルになっている。
「よお、お疲れ。」
「いや〜、参ったよ。さっき大河の母ちゃんに捕まっちゃてさ、南側の廊下の壁紙、注文 と違うとか言われちゃったんだよね〜。ちゃんと指定された色使ったんだよ。」
「ああ、あれは、最初の設計と違う照明器具を取り付けたからだろう、電気設備屋さんに LEDの色味を変えてみて貰え。」
「了解。あとでやってもらうよ。」
「おう。」
春田とは、高校以来ずっとつるんでいる。特に、竜児が施工管理する物件の内装は、春田の親父さんが経営する工務店が担当する場合が多い。親父さんも堅実な経営をする人だったが、今、経営を実質的に切り盛りしているのは、春田の奥さん。口元に黒子のある女性だった。まあ、この奥さんがいるからこそ、春田は仕事が出来ていると言えなくもない。「そういえば、高っちゃんの住んでたアパート、来週中に取り壊されるよ。」
思い出したように春田が言った一言に、竜児は軽いショックを受けた。
「取り壊し? なんで? 」
「相続税が払えなくて、あの土地を売るんだってさ。」
「そうか。」
小学校から、大河と結婚するまで、あのアパートには20年近く住んだ。大河との思い出深い場所が取り壊されてしまう・・・・。そう思ったら、身体の一部を無くしてしまったような喪失感があった。
引き渡しが始まってからも、その感覚は拭い去ることが出来ずなかった。

「 It is thanks to you. We wish to express our gratitude 」
施主が握手を求めてきた。
「 We wish to express our gratitude for only here 」
竜児も手を差し出して、固い握手を交わす。一つの仕事が終わった。
肩をポンと叩かれて、振り返ると社長がいた。
「おつかれさん。シェフは君に感謝していたよ。友人に、この厨房を自慢すると息巻いていた。」これから依頼が一段と増えるぞ。社長はそう言って笑った。
「ありがとうございます。さっき先生に、明日から7日間の休暇を命じられました。」
「そりゃそうだろう。この半年は、まともに休んでないだろう。ゆっくりしたまえ。」
「はい。休み中にトラブルが発生した時には、携帯に連絡を・・・・。」
「休むときには、仕事を忘れろ。君のフォローぐらいは、スタッフでも十分出来る。」
「はい。」
「今日は、大河達とすき焼きパーティーなんだろ。もう帰りなさい。」
今朝、大河からビデオメールが届いて、竜児を夕飯迄に返さないと親子の縁を切ると脅かされたんだよ・・・。社長はそう言って笑った。

明るいうちに、自宅に帰るのは何ヶ月ぶりだろう。内装工事が始まってからは、夜中近くまで現場にいる事が多かったから、4ヶ月ぶりか。回らない頭で考えた。
玄関を開けると、黒い運動靴。大河の弟は、すでに来ているようだった。
洗面台で手を洗い、うがいをする。鏡の中の自分は、頬がこけていた。ゆっくり休もう。仕事が終わった実感が湧いた。

「お帰り。竜児。」
洗面所の入り口から、大河が覗き込んでいた。
「おう、ただいま。レストランの仕事終わったぞ。明日からは7日間休みだ。」
「へー良かったじゃない。お疲れさまでした。もうじきご飯よ。」
昨日の夜、俺をモルグに葬り去ろうとした妻は笑っていた。

大河の弟は、既に中学1年生になっていた。身長は165センチ。大河と20センチの差がある。
中学男児の食欲は旺盛だ。しかし大河も負けてはいない。100グラム 630円 確か700グラム用意されていた筈なのだが、既に跡形もなく消え去り、鍋に残った肉片を掠う始末だった。
「ふ〜、食べた、食べた。」
「食べてすぐに横になるんじゃありません。」
久しぶりに、突っ込んだ気がする。

187ms07b3:2010/04/25(日) 12:17:31 ID:???

「みんな幸せ」
 暑い。重い。寝苦しい。不快感に目を覚ますと、三重苦の原因が目の前にあった。
ナツメ球の微かな光源に照らされて、大河の七分袖のパジャマが見える。
竜児の腕を枕にして横向きになり、胴にまわされた腕。小振りだが形の良い胸が、竜児の右脇腹に当たっている。大河、お前ブラしてないだろう。
 枕元の時計を見ると午前5時30分。室温表示は29℃を示している。
只でさえ高い室温と隣で寝息をたてる熱源。そりゃ寝苦しいはずだ。しかも右腕は痺れている。
 大河を起こさないよう、細心の注意を払って、腕を引き抜く。上布団はすべて大河に掛けてやった。

 久しぶりに朝食を作る。大根を10センチ程輪切りにして、皮をむく。それを半分に切って、一方は短冊切りに、もう一方は食感が残るように乱切りにする。
 冷蔵庫から、鰹節と昆布で取った出汁がたっぷり入ったペットボトルを取り出し、小鍋に注ぐ。煮立ったところで大根の乱切りを投入し弱火で煮る。
 残った大根の短冊切りは、ボウルに入れてゴマ油を少しとスリ胡麻とシラス干しを投入して和風ドレッシングであえる。
 大根に火が通ったあたりで油揚げと豆腐を投入して、軽く一煮立ちさせたら火を消して味噌を少量加える。味噌汁で余った豆腐半丁にネギとゴマにポン酢を掛ける。
今日の朝食はこれにて完成。調理時間は25分だ。

 大河が起きてきたのは午前7時。竜児の家で、半居候のように暮らしていた頃は、竜児がお越しに行かない限りは、絶対に目を覚まさなかった大河も、幼稚園の先生になって以来、休みの日でも、普段通りに起きるようになっていた。

「あんた、何を勝手にベッドを抜け出してんのよ。」
「暑くて目が覚めちまったんだよ。仕方ねえだろう。」
「うるさい。久しぶりにゆっくり寝ようと思ったのに・・・・。」
「大河。ブラはして寝た方がいいぞ。年取ると崩れるって、泰子が言ってた。」
「うるさい。余計なお世話だ。」
何ヶ月ぶりかの、大河と2人の朝食。会話は相変わらずだが、穏やかな朝だ。

「大河。あのアパート。今週中に建て壊されるんだってさ。」
「竜児のアパートが?」
「ああ。去年、大家のおばあちゃん亡くなっただろ。相続税の関係で土地を売るから、更地にするらしい。」
「うそ。」
「春田が言ってた。天気も良いし、散歩がてらにお別れしに行かないか?」
「・・・・・・。」
「・・・・・大河?」
「嫌だ。竜児とやっちゃんとの思い出が消えちゃう!」
大河が突然泣き崩れた。大河の涙を見たのは、2人の結婚式以来だった。
「思い出は消えねえよ。だけど、最後を看取ってやろうぜ・・・。」
大河の肩を抱く。こいつにとっては、あのアパートこそが本当の家だったんだろう。

 竜児が大橋駅に降りたのは1年ぶりだった。高校時代より駅前は発展していて、見違えるよう発展していた。
 大河と一緒に買い物に行っていたスーパーも健在。スドバも本家に訴えられることなく営業していた。
 この角を曲がるとアパートがある。7年前に引っ越して以来見ていないアパート。どんな風に変わっているか不安だった。
「・・・・竜児。」
不意に立ち止まってしまった竜児を、大河が不思議そうに見つめた。
「悪い。久しぶりだからよ。」
大河が手を差し伸べてきた。小さな手を竜児もにぎる。2人で歩き出した。

アパートは何も変わっていなかった。既に築40年を超えているが、長年風雨にさらされた壁面は、良い色合いになっていた。
「変わってないね。」
「ああ。変わってない。」
全てが懐かしかった。

188ms07b3:2010/04/25(日) 17:56:01 ID:???
 敷地の入り口には有刺鉄線が張り巡らされ、工事を知らせる看板が立っていた。
この跡地には、新しくワンルームマンションが建つらしい。
「入れなっかたね。」
有刺鉄線が張られた門扉を見て、大河が寂しそうにつぶやく。
「ああ。残念だったな。」
淡い期待は裏切られてしまった。
「竜児は、ここに何年住んだんだっけ?」
「19年だったかな・・・・。」
「私は、7年しかいられなかった・・・。」
「最初の1年は、半分同居だったしな。」
でも、濃密な時間を過ごせたよ・・・・・。」
「竜児がいて、私がいて、やっちゃんがいて、ブサ鳥がいて・・・。」
「インコちゃんを悪く言うな。」
「私は、ここで家族になれた・・・。ここが私の生まれた場所なんだ・・・。」
小さな身体を震わせて、大河は泣いていた。
並び立つ虎が悲しみに鳴くとき、竜は何が出来るのだろう。
ふと足下を見る。アパートの入り口のブロック塀の陰に、1本の小さな木が生えていた。竜児と大河が出会った年の台風の翌日、風で折れてしまったケヤキの枝を、大家が接ぎ木して、根付かせたものだった。
「大河。あれ。」
むせび泣く大河の肩を抱き、小さなケヤキの木を指し示す。
「高須農場の芋ほりの時の台風を覚えているか?」
「・・・う・・うん・・・覚え・・・てる。」
「あの小っちゃい木は、あの台風の時に折れた枝を接ぎ木した木なんだ。このアパートに住んだ証に、うちで育てないか?」
「育てられるの?」
大河は半信半疑だった。
「ああ、育つ。植木鉢を買って、窓際の日当たりの良い場所に置いとけばいい。」
「でも、勝手に引っこ抜くわけにいかない・・・。」
「看板に書いてある連絡先に電話して、解体工事を始める前にもらいに来るさ。」
そういって竜児は、携帯電話に連絡先を登録した。

せっかくここまで来たのだから、大河の実家に寄っていこうという事になり、2人は久しぶりに実家のマンションのインターフォンを押した。
社長である親父さんは不在だったが、母親は家にいた。

「まったく、貴方という人は、1日ぐらい朝寝坊が出来ないのかしらね・・・。」
せっかく7日間の有給をあげたのに・・・・。
ぶつぶつ言っている義母に、昔住んでいたアパートが取り壊される事を伝えた。
「あら、あと10年もしたら近代産業遺産にでも登録出来たのに残念ね。」
お義母さん。あの建物は明治・大正期の建物じゃありません。声に出せない突っ込みを入れた。

「ついでに隣の建物も壊して更地にすれば良いのよ・・・。」
不機嫌そうに手渡されたのは、この地域の不動産業者がまいたチラシだった。
「31畳のリビングなのに寝室は2つしかない。私が設計したなら、もっと使い易い作りにするわよ。建築家なんて崇め奉られた馬鹿の設計なんでしょうけどね。」
チラシの図面を見てみると、2LDKの1世帯がマンションの2階フロアをぶち抜いている作りになっている。たしかに一般人が住むには無駄の多い設計だ。しかし、この部屋の配置どこかで見たことが・・・・。
「逢坂が購入した時は一億円ちかくしたけど、使い勝手が悪くて住む人がいないから、今となっては3500万以下よ。」
そうだ、これは大河の部屋の間取り図だ・・・。3500万以下か・・・。
「竜児君。有給期間中の宿題よ。あなたならこの部屋、どうリフォームする?」
うちの事務所の卒業試験だと思いなさい。
母虎は、ニヤリと笑った。

189高須家の名無しさん:2010/04/25(日) 20:51:40 ID:???
>>421
少ない小遣いの中から節約して、毎月1巻づつ購入しているぞ。

190ms07b3:2010/04/25(日) 23:26:47 ID:???

「で、あんたは何をやってる訳?」
リビングのテーブルにチラシを広げて、三角スケールと電卓を片手に、何かしら書き込んでいる竜児をみて大河が言った。
せっかくの日曜日。しかも久しぶりに2人で迎えた休日なのに、竜児は、実家から帰って以来、チラシを前にして悩んでいるのだ。
本来なら、2人で甘まーい時間を過ごせる筈なのに。馬鹿犬と来たら・・・・。
「おう、お義母さんから、宿題出されたんだ。」
「どんな宿題?」
「いや、企業秘密に関わる事だから内緒だ。大河にも言えねえ。」
「へ〜。愛する妻にさえ言えない事なんだ。へ〜。企業秘密なんだ。」
「おう、守秘義務って奴があってな・・・。」
「そんなに大切な秘密なら、外でやれ!」
手にしていたダスキンのモップを、カンフースターのように振り回す大河。命の危険を感じて、竜児は道具だけ持って家から逃げ出した。

「・・・・また、やっちまった。」
マンション前の道路から、2人が暮らす部屋のベランダを見つめる。
竜児の作業着の横には、大河のエプロンが並んで干されている。本当なら、今日は1日、大河の隣で過ごすつもりだったのに。自然と溜息が出た。

 大河にとって、父親に買い与えられたあのマンションは、ひとりぼっちだった頃の象徴だ。孤独。父親への怒り。自分を捨てた実母への憎しみ。そして悲しみ・・・。
例えチラシでも、大河にあのマンションの事を思い出させたくなかった。
ちゃんと理由を話せば、大河も理解してくれていたのに・・・・。

虎と竜は並び立つもの。対等のはずなのに。俺はどうしても、大河に悲しい思いをさせたくないと思って、独りよがりの行動をして、結果的に大河を傷つけてしまう。
高2の文化祭以来、何度それを繰り返して来たのだろう。
ミス大橋コンテストの時の、孤独だった大河の顔を思い出す。
やっぱり俺は、大河の隣にいないといけねえ。
竜児は、今出てきたばかりのエントランスに戻った。

「なぁ、大河聞いてくれ。さっきの事。お前に謝って、全部話したいんだ。」
大河は、寝室から出てこない。返事もしてくれない。
「さっきのチラシは。大河が暮らしていたマンションの、あの部屋の売り出しチラシなんだ。お義母さんに、アパートが壊されるって話をした時に、これを渡されて、リフォームプランを考えるように言われたんだ。」
大河の反応はないが、扉のむこうにいる気配はある。すべて語って謝る以外に、竜児に出来る事はなかった。
「なぜ、お義母さんがこのチラシを渡したかはわからねぇ。ただ、大河にはあの部屋の事を思い出して欲しくなかったから、隠したんだ。大河にとっては、あの部屋は良い思い出がないと思ったんだ・・・・。」
扉の中から微かな気配がした。
「子供扱いするな。私がいつ、あの部屋には良い思いでがないって言った・・・。」
小さな声だが、大河の声だ。
「あのマンションは、嫌な思い出も沢山ある。でも竜児が朝起こしに来てくれた。掃除しに来てくれた。選択も。熊のサンタで来てくれた事もあった。私にとっては、あのマンションも、竜児の部屋と同じくらい思い出が詰まっているのよ!」
大河・・・・・、ごめん。俺は、何度おなじ過ちを繰り返せばいいんだろう。


寝室から大河が出てきたのは、日もとっぷりと暮れてからだった。
竜児は寝室前の廊下に座り、大河が出てくるのを待っていた。自分に出来る事はこれだけだと。

「竜児。チャーハン食べたい。」
竜児を見つめる大河の瞳は、泣きはらして真っ赤だった。
「具は何にする?」
「あの時のチャーハンがいい。あの時の味が再現できたら、許してあげる。」

191高須家の名無しさん:2010/04/26(月) 03:46:30 ID:???
「幸せのかたち」、なかなかの良作。
大河が幼稚園の先生というのは斬新ですな。

192ms07b3:2010/04/26(月) 11:18:14 ID:???
あのチャーハンの材料は、カブの葉と茎を除けば揃っていた。カブの代わりとなるようなものはホウレンソウくらいか・・・。
ニンニクと玉葱・ホウレンソウ・浅葱をスライス。その間に冷凍ごはんを解凍する。フライパンは、あの襲撃の夜にチャーハンを作ったもの。竜児と共に戦をくぐり抜けた友だ。
 中華鍋を充分に熱して、軽く煙が出始めたら、ゴマ油を入れて全体になじませる。玉葱を投入して透明になるまで炒め、卵を投入。ここから先は時間との戦い。冷や飯と残った具材を入れる。おたまの腹を使い、飯粒をほぐし、鍋をあおる。味付けは塩胡椒と中華味の素・隠し味のオイスターソース。完成した。
 大皿に盛りつけてリビングに行くと、大河が臭いにつられてこちらを見た。
「おまたせ。蕪がなかったからホウレンソウをいれた、それ以外は、あの時と同じだ。」大河の前に大盛りチャーハンとスプーンを置く。
「腹へったんだろ。食えよ。」
「・・・・・・食べさせて。」
「えっ?」
「あの時と同じように、食べさせてって言ったの。」
大河は、パプリカのように頬を染め上げて言った。
「おっ、おう。」
 スプーンにチャーハンを山盛りに乗せる。それを大河の口元に運ぶ。スプーンの先端が大河の唇にあたる柔らかな感触を感じた。
大河が口を開ける。大口でスプーンにかぶりついた〜?
竜の手からスプーンを奪い取り、親の敵とばかりに大盛りチャーハンを攻撃する大河。これはあれが必要だな。竜児はキッチンに戻り、湯飲みを手にして、温めの茶を淹れた。
 茶を淹れた竜児が食卓に戻ると、すでにチャーハンは3分の1以下。フライパンの中にはお代わり分が控えている。
「お代わり!」「おうっ!」中華鍋の中身を全部さらえてやった。
「あれ、これ?」
「おう、お前の湯飲みだ。」
白磁器のなめらかな白にピンクの肉球のイラスト。大河が高須家で食事をとるようになってすぐ、泰子が大河の為に、買ってきた食器のなかの最後の生き残りだった。
茶碗は、結婚してすぐに、大河が割ってしまった。この湯飲みも、縁が欠けているので普段は水屋の奥にしまってある。
「そうか、まだ思い出残っていたね。」大河がしみじみと言った。

「なあ、大河。お前、あの部屋でもう一度暮らしてみる気ないか?」
「あの部屋で? この部屋でも竜児がいないと寂しいのに、あんな広い部屋だと・・。」「俺が独立する話は、この前したよな。どこかに事務所を借りる必要があるんだが、金がそんなにない。有ると言えばあるが、無理して借金するより、自分の身の丈にあった場所からスタートしたいんだ。」
「それと、あのマンションと関係があるの?」
「職住合体なんてどうかなって考えてる。あの広いリビングの半分を事務所に使い、もう半分は、俺達のリビングにする。そうすれば最小限の金で済む・・・。」
「つまり、竜児が一日中家にいるってこと?」
大河の声が弾んだ。
「おう、もちろん現場に出る時間もあるから、ずっとと言う訳にはいかねえが、朝飯と夕飯は一緒に食べられるぞ。」
勿論、居住スペースと、事務所スペースを分けるためのリフォームをしなければならないが、独立して経営が軌道に乗ったら、事務所を別にすればいい。
「それが出来るなら、あの部屋に住みたい。出来ればやっちゃんも一緒に。」
そうすれば、もう一度家族全員が揃う。大河が笑った。

193ms07b3:2010/04/26(月) 11:23:21 ID:???
「で、これがリフォームプランなの? 図面見た限り、変わった点はあまりないけど?」義母である師匠は、竜児が徹夜して書き上げた図面を見ていった。
「ええ、リフォームの中心は、31畳のリビングダイニングを2部屋に分け、既存の納戸部分にトイレを設置するだけです。そして18畳の新しい部屋は事務所として使用し、もう1部屋は、13畳のダイニングキッチンとします。」
「俗に言う、SOHOにするの?」
「いえ、事務所への入り口は、屋内階段を使用します。つまり1軒の家でありながら、同じ敷地内に独立した事務所を持つようにするのです。」
「マンションの管理会社がそれを認めるかしら?」
「居住者と、事務所の使用者が同一の所有者であれば問題ないという事です。」
「でも、家族としては、職住合体は嫌がるんじゃないかしら。」
「大河は、職住合体を喜んでいます。」
「・・・・・。もうすでに購入者も決まっている訳ね。」
「ええ。」
「まあ、独立したての建築士の事務所としては充分ね。」
「はい。」
「銀行の保証人は、うちの社長がなってくれるわ。安心しなさい。卒業試験合格よ。」
竜児は、何も言わずに頭をさげた。

半年後
18時になると、高須一級建築士事務所の終業時間を告げるメロディーが流れる。
「お先に。」社長である竜児は、メロディーが鳴り止むと同時に、居住スペースへと消えた。
パテーションの向こうからは味噌汁の香しい臭い。スタッフの嗅覚を刺激する。
「社長は今日も、残業なしっと。」
「高須さん、先生の事務所にいた頃は、月の残業150時間超えはザラだったのに。」
2人のスタッフは、声を揃えて笑った。

大皿に盛りつけられた豚キムチ、飴色に煮込まれた大根。豆腐のサラダ。
食卓には3人分の食器が並べられた。
竜児は、仕事から帰って来たばかりの2人に声をかける。
「大河、泰子。メシができたぞ〜。」
竜児にとって、この瞬間が一番幸せだった。
「遅いのよ、駄犬。」
言葉とは裏腹に、大河は満面の笑みだ。やっと家族がそろった。


「幸せのかたち」は以上です。入院中で暇なので、初めて作ってみました。
大河の部屋の間取りは、「とらドラの全テ」の設定資料に基づき考えました。

194高須家の名無しさん:2010/04/29(木) 01:40:09 ID:???
>>193
乙!
面白かったよ。とても初めてとは思えない。
是非次は本スレにも。

195高須家の名無しさん:2010/04/29(木) 08:33:25 ID:???
>>194
193です。
本スレに投稿しようとしたら、iPhoneは
規制中。困ったものです。
3週間の入院ですが、とらドラのおかげ
で、随分と気が紛れました。

196高須家の名無しさん:2010/04/29(木) 12:01:40 ID:???
>>193
面白かった!乙!
竜児の進路的にとらドラP!の大河エンド後っぽくて良いよー!

197◇fDszcniTtk:2010/04/29(木) 15:07:17 ID:Jps4jq9.
まとめにんさん、覚えてくれていてありがとう!!
そして更新お疲れ様。

198高須家の名無しさん:2010/04/29(木) 17:46:40 ID:Jps4jq9.
>>195

入院中?! えらいことだ。早く退院できるといいな。

199高須家の名無しさん:2010/04/29(木) 18:18:22 ID:6wGNAGDY
≫193 GJ!!お大事に。
まとめ人様お疲れ様です。m(--)m。
今回ハラハラ妄想から参加した者です。今後もSSを投下する予定ですので
ご迷惑おかけしますがよろしくお願いします。

ちなみにBIGLOBEはまた規制喰らいました。

200ms07b3:2010/04/29(木) 18:46:19 ID:???
>>198
 ご心配をおかけいたします。
 入院している病院はパソコン持ち込み厳禁。
 iPhoneでちまちまと入力していました。退院まで、あと1週間
 なので、まとめサイトで過去作品を読み、とらドラポータブル
 をクリアしたいと思います。

 まとめ人様。あなた様のおかげで、入院生活が楽しかったですよ。


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