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仮投下スレ2

675カッコつけた言葉じゃない強さを見せてくれ ◆NIKUcB1AGw:2009/10/29(木) 21:36:13 ID:Hjfhj94g
◇ ◇ ◇


終わったなあ……。
戦いが終わったリングの上で、僕は試合の余韻に浸っていた。
ギュオーは禁止エリアが解除されるとすぐに、ウォーズマンの荷物を回収だけして大急ぎで走り去っていった。
あいつの身体能力なら、F-5そのものが禁止エリアになる前に脱出できるだろう。
まあ、途中で力尽きなければだけど。さっきの戦いで、ギュオーもほとんど体力を使い切ったはずだからね。
さて、あと2分か……。時刻を確認して、僕は小さく溜め息を漏らしていた。
あと2分で、19時。ここが禁止エリアとなる。そうなれば、檻の中で眠っているウォーズマンの亡骸もスープになってしまう。
僕としては偉大なる超人レスラーの死体ぐらいは残してあげたいんだけど、それは叶わぬ願いだ。
僕の小さな体じゃ、彼の体をタイムリミットまでにエリアの外まで運ぶなんて出来やしない。
僕はもう一度溜め息を漏らす。
その時だった。僕の頭上から、ガタリと物音が響いたのは。

え……?

僕は、自分の目を疑った。てっきり死んだと思っていたウォーズマンが、動いていたのだ。
彼はケージから出ようと、無惨に傷ついた体を閉じた出入り口にぶつけていた。
たしかにもう試合は終わっているのだから、彼がケージから出ても何ら問題はない。
だけど、出たところでどうにもならない。あと2分……いや、1分半でエリア外まで移動するなんでいくら超人でも不可能だ。
たとえ移動できたとして、それからどうする。両手を失い、腹に穴まで開けられた体で、この先のバトルロワイアルを生き抜いていけるわけがない。
そんなこと、ウォーズマンほどの超人ならわかっているはずだ。なのに、なんで。

『どうして君は、こんな絶望的な状況でも諦めないの?』

思わず、僕はそんなことを書いたプラカードを掲げていた。
それにウォーズマンは気づいてくれたらしく、生と死の狭間にいるにもかかわらず答えを返してきた。

「悪に敗れ……ただそのまま黙って倒れているやつなど正義超人とは言えん!
 たとえ生き残る可能性が0.1%だろうと、悪に屈せず最後まで戦い続ける。
 それが……正義超人だろう!!」

僕に向かってそう叫んだウォーズマンは、ボロボロの体だというのにすごく格好良く見えた。
ウォーズマンは、なおもケージに体当たりを続ける。
けど、神様は彼にこれ以上の奇跡をもたらしてはくれなかった。
やがて、時計が19時を示す。それと同時に、ウォーズマンの体はスープとなって溶けた。
それは数々の激闘を戦い抜いてきた伝説超人としては、あまりに静かであっけない最期だった。

もう、ファイティングコンピューターはこの世にいない。だけど、僕は彼のことを忘れない。
彼の最期を見届けた唯一の存在として、僕はずっと彼のことを覚えていよう。
この中トトロが、ウォーズマンという勇気ある超人が生きたという証人だ。
本拠地へ帰還する僕の肩には、黒く輝く金属片が担がれていた。
試合中に砕け散った、ウォーズマンの仮面の破片だ。
これを持ち帰ることに、深い意味はない。
ただ、ウォーズマンを弔うために形のあるものが欲しかった。それだけの話だ。


◆ ◆ ◆


LCLとなりその命を散らす寸前、ウォーズマンは幻を見た。
それは己が伝授した秘技「OLAP」で万太郎を破り、チャンピオンベルトを手にする愛弟子・ケビンマスクの姿だった。
その光景はウォーズマンの願望が見せた、単なる幻覚だったのか。
あるいは運命の女神が気まぐれで見せた、未来の光景だったのか。
それを知る者は、誰もいない。


【ウォーズマン@キン肉マンシリーズ 死亡】


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