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仮投下スレ2
672
:
カッコつけた言葉じゃない強さを見せてくれ
◆NIKUcB1AGw
:2009/10/29(木) 21:33:30 ID:Hjfhj94g
「なぜ、か……。偉大なる正義超人の先人は、こんな言葉を残している。
『常識では計り知れない奇跡を起こすのも、ひとえに正義のなせる業だ』とな。
俺の心に正義がある限り、そう簡単に俺は倒れない。まあ、これは奇跡というほどのことでもないかもしれんがな」
それにあいつが起こす奇跡は、こんなものじゃない。
戦友のひょうきんな顔を思い描きながら、ウォーズマンは反撃のミドルキックをギュオーに叩き込む。
ギュオーの顔がわずかに歪むが、すぐにそれは憤怒に飲み込まれる。
「死にかけがえらそうに……! ならばその奇跡とやらで、このリヒャルト・ギュオーを倒してみるがいい!
出来るはずもないがなあ!」
ギュオーの放った重力波が、今一度ウォーズマンの体を吹き飛ばす。
抵抗も出来ぬまま宙を舞ったウォーズマンは、コーナーポストに叩きつけられマットに沈んだ。
「これはおまけだ!」
さらにギュオーは、重力指弾を連射。グロッキー状態のウォーズマンの体を、さらに蹂躙する。
ウォーズマンの皮膚が裂け、肉が抉られる。だが、彼の心には未だ闘志が燃えさかっていた。
痛みなど、苦痛など、心を折る要因にはならない。ウォーズマンはただひたすらに、おのれが勝つ方法だけを考えていた。
(どうする……。やつは強い。俺は傷を負いすぎている。さらに、時間もない。
冷静に分析すれば、俺の勝ち目などないに等しい。だが、ゼロではない。
俺に残された全ての力を、一回の攻撃に込めれば……)
ふいに、ウォーズマンはリングサイドに置いていた自分のデイパックに手を突っ込む。
そして、そこから粒状の何かが入った小瓶を取り出した。
迷いのない手つきで小瓶の蓋を開けたウォーズマンは、取り出した中身をリング外へ放り投げる。
「……どういうつもりだ?」
いぶかしんだギュオーが思わず攻撃の手を止める中、ウォーズマンはさらにペットボトルを取り出し中の水を地面に撒く。
すると、地面から猛烈な勢いで数本の木が生えてきた。突如出現した木は、2メートルほど伸びたところで成長を止める。
そう、ウォーズマンが撒いたのは彼と同じく正義超人であるジェロニモの所持物である、タムタムの木の種。
わずかな土と水さえあれば成長するこの種を、ウォーズマンはリングのすぐそばに育てたのだ。
「わけがわからん……。いったい何を考えている、ウォーズマン!」
「ふむ、この程度の水の量ではたいして伸びないか……。だが、これだけの大きさがあれば充分だろう。はあっ!」
ギュオーの問いかけを無視し、ウォーズマンはタムタムの木に向かって跳躍した。
「トリャトリャトリャトリャー!」
さらにウォーズマンは、蹴りの連射を木に浴びせる。頑丈なタムタムの木もこれには耐えられず、次々と細かく砕け散っていった。
「さっきからなんなんだ……? 死を目前にして、気でも触れたか?」
ウォーズマンの行動が何を意味するかわからず、ギュオーは怪訝な表情を浮かべる。
「あいにくだがギュオーよ、俺はいたって正常だぜー!」
ウォーズマンの奇行は、まだ終わらない。彼は適当な大きさの破片を手に取ると、手刀でそれをさらに削っていく。
やがて、ウォーズマンの手の中には8本の木串が生み出されていた。
そして彼は、その串を自分の手の甲に突き刺す。
「強度に不安はあるが……。これで即席ベアークローの完成だ」
「ベアークロー……? ああ、そうか。貴様はそんな武器を使うのだったな、ウォーズマン。
手元にない武器を、即興で再現したというわけか。まあ、そんな付け焼き刃でこの私に勝てるとはとうてい思えんがな。
さあ、来い。今度こそ引導を渡してくれる」
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