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仮投下スレ2

656Monster(反逆者の結末) ◆5xPP7aGpCE:2009/09/12(土) 10:38:27 ID:HUBhMMTs

(もしかして誰かが助けを求めているのかもしれません、俺が行って開けてみます)
(声も出せない程重傷って訳か〜? お前さんの好きにしな)

都合良く自ら先鋒を買って出た晶の背後に雨蜘蛛は続く。
ドアノブに手を掛けて一気に開け放った次の瞬間、世界から時が消えた。

またしても空気が変わる。
鉛の様に重かった空気は凍えるように凍りつく。

誰も見ていない映像は尚も空しく流れ続けていた―――





『第二幕:罪と罰』




おお、何故我らはこれ程苦しまねばならぬのだろう。
因果はあるのか、我らが一体何をしたというのか、神は死んでしまったのか―――


晶の予感は当たっていた。
そこに居たものは確かに助けを求めていた。
『彼』が、声を出さなかったのもやはり体調が原因であった。

だが何故晶は『彼』を励ましたり手当てしようともしないのか。
何故これ程までに驚き、畏れ、立ちすくんでいるのか。
何が―――晶と雨蜘蛛の元へやって来たのか。

それは、来訪者を知っていたからこその反応。
それは、あまりにも予想だにしない展開だったからこその驚き。
静寂が、暫くの間続いた。

扉が開け放たれた途端、ゴロリと室内に転がり込んできた毛むくじゃらの存在。
蛍光灯の直下に晒された生き物の姿に晶のみならず銃口を突きつけた雨蜘蛛ですら絶句した。

『彼』がずりずりと床を這う。
やがて、ガイバーの脚に触れるとそれが何かを確かめるように肌を擦り付けてくる。
恐らくそれで理解できたのだろう、『彼』が上向くと混濁した単眼が晶を見上げた。

「ス……エゾー……? お前、なのか?」

震える手でその肌に触れる、斑に生えた毛の感触が感じられる。
そうであって欲しい、欲しくないとの相反する願いが晶の胸中で交錯する。

”スエゾーであって欲しい、また会えて良かった”
”スエゾーの筈が無い、こんな事ってあんまりだ”

彼もどう受け止めていいのかわからないのだ、あまりにも―――救いの無い結末に。


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