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仮投下スレ2

633それは、侵してはならない「領域(ライン)」−−。 ◆igHRJuEN0s:2009/09/02(水) 20:10:49 ID:YrRABrO.
怒鳴りつけるように正体を問うが、向こうは答える素振りを見せない。
ただ、静かにうごめいているだけなのである。
スエゾーの見たところ、裂け目の中にいるのはまるで虫のようであり、流石に草壁や長門ではなかろう。
気配を感じた時から少しばかり立ったが攻撃などはしてこない。
だが、攻撃をしてこないからといって、無害とも限らない。
スキを見せれば襲いかかってくるかもしれないし、主催者が用意した罠の可能性だってあるのだ。
何より部屋の暗さが手伝って、正体が掴みづらいのだ。
これらのことを踏まえて、スエゾーは警戒を一瞬でも怠るわけにはいかなかった。

しかし、相手が何もしてこないことも返って不気味だ。
何かを企んでいる可能性も十分ある。
そういうことから、スエゾーは逆に自分から相手を刺激して見ることにした。

「『ツバはき』!!」

スエゾーは口から唾の塊を、例の隙間に向けて放つ。
遠巻きから放ったため、何かの攻撃や罠があった場合でも、それなりに対処できるだろう。
ちなみに唾を吐いただけのようにも見えるが、これはれっきとした技である。
そして唾は壁に当たり、『何か』は反応を示した。


ぶわーーーっ!!


「うわあ!?」
「!!」

刺激したためか、黒い物体が隙間の中から物凄い勢いで飛び出し、滝が逆流するかの如く、上へと昇っていく。
それによる見た目のインパクトはスエゾーの神経を尖らせ、小トトロをびっくりさせるほどだった。

・・・・・・しかし、黒い『何か』はスエゾーたちを攻撃するでも無く、逃げるように裂け目から天井へと昇っていき・・・・・・やがて消えていった。

いや、一つだけ、『何か』が降りてきた。

「な、なんやコレ?」

『何か』は黒くて小さい、ケサランパサランのように毛むくじゃら、さらにつぶらな眼が二つついている、謎の物体あるいは生物だろうか?
それが重さを感じさせないように、ゆっくりと宙を漂うように降りていき、やがてスエゾーの足元の近くに落ちた。

「ほんと・・・・・・なんなんやコレは?」

うごめいていた『何か』の姿を確認したものの、その生物(?)の不可解さに余計に首傾げるスエゾー。
一見、害の無さそうな姿形から、こんな形状をしたモンスターがいただろうか、それとも異世界の生物なのだろうかと悩む。


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