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仮投下スレ2

620I returned ◆5xPP7aGpCE:2009/08/31(月) 03:03:20 ID:HUBhMMTs

「でも悪魔将軍がここにいるって事はボクしか知らない、あいつを止めるのはボクにしか出来ないんだ!」

強い決意を胸に万太郎は叫ぶ、それきり振り返らずに前だけを見る。
今、彼はたった一人で悪魔の将に戦いを挑もうとしていた。
だがコンディションは最悪だ、オメガマンとガイバーⅢ相手の連戦で肉体は悲鳴を上げている。

万全で無い身体で戦うだけならばノーリスペクト戦を始め過去に幾度もあった。
しかし今は適切なアドバイスで支えてくれるミートは居ない。
劣勢からの逆転を後押しするギャラリーの熱い応援も存在しない。

数の上でも4VS1、しかも相手は最強の将。
これ程悲観的な条件を突きつけられながら操船する万太郎に迷いは無い。
全てを承知の上でただ決戦の場を目指す。

「ボクは地球で六十億もの人間を守らなくちゃいけない……けど、今生きている二十数人も助けられなくちゃ帰る資格なんて無いよ!」

全てが自分の責任で無いにしろ、みすみす他人が死ぬのを止められなかった。
それが万太郎には堪らなく悔しい、これ以上の後悔はしたくなかった

「ミート、凛子ちゃん、農村マン、キッド……そしてケビンマスク。ごめん、もう少し待ってて」

拉致される直前の万太郎は超人オリンピック決勝のケビンマスク戦に向け特訓中であった。
リングから落下するイリューヒンを庇って入院中のミート。
数々の場面で声援を送ってくれた今時のギャル、二階堂凛子。
スパーリングパートナーとして手を差し伸べてくれた農村マン。
友情という固い絆で結ばれた親友、今頃は自らの失踪を逃亡と馬鹿にしているかもしれない対戦相手に一人一人詫びてゆく。

「必ずボクは帰るから。一人でも多くの人を救って帰らなきゃ決勝のリングに上がる資格なんて無いんだから……」

偉大な父親がかって巻いていたチャンピオンベルト、正義超人としての役目を果たさなければ勝っても胸を張って受け取れない。
誰も見ていないからといって逃げるという卑怯なマネはしたくない。
ハンゾウの襟巻きが励ますように風に揺れる、今はそれだけが味方。
だが、万太郎は遠く離れた中間達と確かな絆で繋がっている。

「見えてきた、でも妙だな〜。プレッシャーとかが全く伝わってこないんだよね〜」

ぼんやりとシルエットが見えてきた。
進路を修正しつつ万太郎は不審がる。
タッグ戦の最中で一番プレッシャーを感じたのはガイバーでも赤毛の少女でも無かった、セコンドとして控えていた悪魔将軍がその場の空気を支配していた。
あの威圧感を今は残り香程度にしか感じない、胸中に一つの懸念が芽生えてゆく。
やがて疑問は確信に変わった。

「遅かったーーーっ!! 既にここはモヌケの空じゃないかーーーーっ!!!」

上陸したそこは抜け殻でしかなかった。
悪魔の将もビームで自らを撃ったガイバーⅢも消えている、プラカードを掲げた小さな審判は影も形も見当たらない。
さては気絶している間に去ったのか。放送まで寝ていた事が悔やまれるが今更後の祭りだ。
同時に戦わずに済んで良かったという安堵しかけたがそれは何とか押し留めた。


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