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仮投下スレ2

611狼少年の午後 ◆qa9kJ2E3OY:2009/08/29(土) 06:51:01 ID:DJQC8KhE



再び俺が目覚めたとき、ちょうど何人かがここを出て行くところだった。
倒れる前に冬月さんと一緒に会話をしていた女の子(どうもなのはちゃんというらしい)は、

「用事が終わったらすぐに戻ってきます。
 ですから、あとでお話しましょう」

と俺に声を掛けてくれた。
実にいい子だ。よく出来ている。
俺の妹なんかとは――
……今さっき頭がズキンと来たのは気のせいだろうか?

俺が倒れる直前まで口論を繰り広げていたあのちっこい女の子(たしかリインフォースとか呼ばれてたっけ?)は

『……さっきはちょっと言いすぎたですぅ』

と一言残すと外へ行ってしまった。
あいつが言っていた内容からするに、俺が記憶を失った間に、何か致命的な事をしてしまったのだろう。
本来だったら俺が誤るべきだったのかもしれない。
……俺は一体何をやったんだ? あいつとの口論の、最後の言葉だけはどうしても思い出す事ができない。

最後の離脱者は、俺が考え込んでるうちに俺のすぐ真横まで来て俺を眺めていた。
心配して見に来てくれたのかもしれんが、あいにく俺はそいつの姿を見た瞬間再び意識が飛ぶかと思った。
……あいつを見たら、もうそのほかの人ならざるものを見ても大して驚かなくなったのだから、悪いことばかりでもなかったのかもしれない。
だが、無音で間近に寄るのだけは勘弁してくれ。

全員が去った後、俺はさまざまな事を聞くべく冬月さんの後を追った。
まだ混乱は続いているが、それよりも俺は数々の疑問を解消したかった。
たとえば――俺の夢の中に出てきた、ゴツい装甲のようなものをまとった怪物の正体なんかを。



キョンの身に起こった症状。
それは冬月が想像するように己の凶行を再認識したからでは当然無い。
最後の拠り所としていた長門という存在に芽生えた不信と、被害者となった妹に対する感情。
それらがこの島に来てから彼の心に生じたさまざまな傷をついに押し破ったが為に生起したものだ。

この事態は偶然起きた事なのか、何らかの作為が介入していたのか。
キョンが聞いた数々の心の中の声は、全て彼が自己防衛の為に生み出したものだったのか。
それは当人たるキョンにも判断できないだろう。
神と呼ばれた少女。
ガイバーユニット。
不確定要素を数多くその身に寄せる少年は、不完全ながらリセットされたこの状況で、どの道を歩むのだろうか――


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