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仮投下スレ2
603
:
狼少年の午後
◆qa9kJ2E3OY
:2009/08/29(土) 06:41:52 ID:DJQC8KhE
仮投下します。
2人の魔道師を乗せ、木々の合間を縫うように駆ける2頭の獣。
森の主、トトロの背には、傷付きながらも他者を守ろうとした、熱き二等陸士。
青き狼、ライガーの背には、仲間と共に現状の打破を目指す、不屈の一等空尉。
この島でたった2人の分隊は、獣達の背に乗せられ仲間の待つ地へと突き進む。
『――これが、この島に来てからの出来事です』
その背の上で、長い報告を今まさに語り終えたのは、杖型のインテリジェントデバイス、レイジングハート。
聞き手にまわっていたのはその長年にわたる使用者。
身体は子供、頭脳は大人。魔法少女なのはだ。
「そっか。そんな事が……」
この島で、最初期からレイジングハートと行動を共にした自分の部下、スバル・ナカジマの身に降りかかった出来事を聞き終え、なのははそんな一言を漏らす。
艱難辛苦の連続と言ってもいい数々の戦いは、スバルの負った傷に顕著に現れている。
そんな中でも自分を見失わず、信じる道を突き進んだスバルに驚きと賞賛の思いを抱くなのは。
『なのはさんも色々と大変だったみたいですね。……まさかそんな姿になっているとは思わなかったです』
やはり、一番目立つところからツッコミが入る。
融合型デバイス、リインフォースの言葉に、なのはは苦笑いを浮かべる。
(――まったく、若返ったり巨大化したりと、この島に存在する魔法はとんでもないものがそろっている。
しかも、魔力の有無に係わらず引き金を引くだけで発動すると言うのだから驚きだ。
――いや、そもそもそれは魔法なのだろうか。
高度に発達した科学は魔法と同義であるなどという言葉をどこかで聞いた事があるけど、もしかすると――
って、今はそんな事考えている場合じゃなかった!
まずはスバルの治療と――)
脱線しかけた思考を軌道修正し、差し迫った問題に頭を巡らす。
スバルの容態はかなり悪い。体の各所に見える傷跡はもとより、内臓にも吐血するほどのダメージを負っている。
なのはとリインフォースが全力で治療を行ったとしても、快方に向かうかどうかは判断がつかない。
一刻も早く、温泉に着き次第手当てを初めなければならない状態である事は一目瞭然だ。だが――
思案顔で前方を見つめるなのはの横で、リインフォースが呟きを漏らす。
『それにしても……あいつはどこに逃げやがったんですか。変な気を起こさないでくれればいいんですが……』
(――そう。キョン君のことも何とかしなくっちゃ……)
もう一つの問題、危険人物とリインフォースに評され記憶喪失と自らのことを語った男。
0号ガイバー、キョン。
果たして彼は黒か白か――
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