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仮投下スレ2

599キン肉万太郎は燃えているか ◆5xPP7aGpCE:2009/08/26(水) 01:38:44 ID:HUBhMMTs


               ※       



「ムグーッ! 待っていろ悪魔将軍めーっ!!」

同じ頃、湖面をミズスマシの様に動く影があった。
小さなボートを操っているのはキン肉星の王子、万太郎だった。

一目見て満身創痍と解る。
だが闘志は全く衰えていない、むしろ一層強く燃えている。
湖畔で偶然発見したボート、それはリングを利用する者の為に用意されていたもの。
自らが信じる正義の為、若き超人は強大な敵に挑まんとする。

モーターが唸る、ボートは一直線に孤島の如きリングを目指す。
やがてそのシルエットが闇に浮かぶ、接岸と同時に正義に燃える男がその中へと着地する。

「待たせたなーーーっ!! 悪魔将軍、何でお前が生きてるのかは知らないけど僕が必ず……って、あれ???」

カッコ良くポーズを決めたと思ったのも束の間、万太郎は一人目をパチクリさせた。
確かにここはさっきまで戦っていたリングの筈、しかし悪魔とその仲間は影も形も無い。

「誰も居ない……ひょっとして僕、置いてきぼり?」

空しくファイテングポーズをとり続けてるとピュ〜と寒い風が吹き抜けた。
どうやら来るのが遅すぎたらしい、万太郎は肩透かしを食らって脱力する。
同時に戦わずに済んで良かったという安堵も沸きあがるがそれは何とか押し留めた。

「ぐずぐすしてる場合じゃない、早く奴の後を追わないと大変な事になる!」

すぐさま気を取り直して対岸を見渡すが陽が落ちてすっかり暗くなっている。
人影はおろか岸が何処なのかも殆ど見分けが付かない状態だ。
キョロキョロと焦る万太郎は知らなかった、今対岸に味方となりえる存在が居た事を。

そして―――彼が今何をしようとしているのかを。



               ※       



古泉が見つけたもの、それはリングの起動スイッチだった。
話には聞いていたものの直接目にするのはこれが初めてだ、ただそれだけで今の彼には意味など何もない物体。
確かめた直後で立ち去っても良かった、しかし古泉の胸には燻るものがあった。


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