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仮投下スレ2

598キン肉万太郎は燃えているか ◆5xPP7aGpCE:2009/08/26(水) 01:38:07 ID:HUBhMMTs

リーリー、リーリー

草むらの中で虫が鳴く。
人口密度を更に減らした島内でも小さな命は数多く存在していた。
彼らは島の出来事にも何ら関心も抱く事なく気ままに動いている。

その小さな音楽会が無粋な乱入者によって中断する。
闇の中から突如現れた異形の怪人が茂みを踏み締めて会場を荒らしたのだ。

闇そのものの様な漆黒の体躯が歩いていた。
虫の鳴き声など何ら意に介さずガサガサを草を掻き分けて進んでゆく。
彼は―――古泉一樹という名前だった。

「くっ……!」

古泉の足が乱れる。
本気ではなかったとはいえ悪魔将軍の技は易々と回復するようなものではない。
骨が粉々に砕けたような激痛を気力で耐えてきたが遂に休まざるを得なくなる。
表情は窺えないが、ガイバーの下では脂汗がポタポタと流れていてもおかしくはない。

本来ならガイバーの回復力を期待して動かずにいるのが賢明だろう。
制限されているとはいえ時間が有れば脳髄や腕の欠損さえも治癒に至るのだ。

「こんな事をしてる場合ではありません、急ぎませんと……」

だが古泉はそれを良しとせずに立ち上がる。
激しい頭痛を堪えつつ何とか両足を踏み締める。
これは時間との戦いだ、万太郎が追いつける場所に居るうちに動かなければならない。
重傷を負った彼はそう遠くに行ってない筈、そう信じて古泉は再び歩き出す。

目の前で細かい何かが蠢いている。
無数の羽音、それは巨大な蚊柱であった。
構わず突っ込む、忽ちヤブ蚊が群がるがイバーの皮膚に口吻は通らない。
それでも執拗にまとわり付くそれを古泉は振り払おうとしなかった。
いや、振り払う程の余裕が無かった。

痛みが増して再び膝を突く。
荒い呼吸を繰り返しながら朦朧としがちな意識を覚醒させようと古泉は頭を振った。
気が付けば真っ直ぐ歩けているのかさえ怪しかった、何時の間にか岸から大分離れてしまっている。

禁止エリアに突っ込んでしまっては後悔してもし切れない。
目印が乏しい闇の中でしっかり方角を確かめようと周囲を見渡す。
すると視界の端に違和感を感じた。

夜目の効くガイバーの目を凝らす、明らかに人工物と解るものが草の中に置かれている。
一見して投棄された冷蔵庫、気になって近寄った古泉は軽い失望を味わった。


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