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仮投下スレ2

593 ◆qYuVhwC7l.:2009/08/16(日) 07:57:45 ID:v1uzORM6
カットカットなので、途中からの投下になります。

※ ※ ※



異変が、起きた。


音が、消えた。
視界から、色が消えた。
断続的に自分の体を襲っていた、振動が消えた。
先ほど夏子と話していた時と全く違う、灰色の空間がハムの事を出迎えた。

「こ……これは……いったい……!?」

扉を開ける直前まで、あれほど良く聞こえていたあの怪物の挙げていた奇声すらもこの部屋の中では一向に聞こえない。
まさか良く出来た防音、と言う事もないだろう。なぜならば、窓ガラスは先のデパートの爆発以来そのほとんどが割れている。
明らかに、異常な空間が診察室の中を覆っていた。
しばし混乱しながら周囲を見渡していたハムだったが、やがてその視線は一か所に固定される。
見つめているのは、今から自分が調査するハズだったパソコンの画面。
なぜかほとんどの物が灰色に覆われているこの空間の中で、唯一そこで輝く『SOS』マークのみがサイケデリックな輝きを放っていた。
ゴクリ、と自分が唾を飲み込む音がやけに大きく聞こえる。
ドクンドクン、と自分の中の鼓動が速くなっているのが感じられる。
だが、いつまでもそうしてぼーっと立っている訳にも行かない。
ハムはゆっくりとパソコンの前に近づくと、マウスを手に取った。

何が起こったのかはさっぱりわからない。だが、この原因、もしくは解除法はこのパソコンにあると見て間違いないはずだ。

半ば祈るような気持ちでしばらく画面のマウスカーソルを移動させる。
が、ゴルフ場のパソコンを操作した時のように、kskネットにアクセスする事が出来ない。
そもそも、アクセスする為にクリックするアイコン自体が見つからない。
デスクトップに映っているのは、目に悪く気味も悪いマークのみ。スタートボタンすら、そこには存在していなかった。
ムハ〜、と弄りながら当て所も無くカーソルを動かしていたハムだったが、事態の解決は意外に早く訪れた。

ピコン、というアラームと共に突然画面にダイアログが表示されたのだ。
kskネットでkskにアクセスしようとした時、夏子が言っていたようなキーワード入力画面にそれは酷似していた。
だが、それはハムの知る物とは決定的な違いがいくつか存在している。
その中の一つ、見なれぬ文章の幾つかを思わず読み上げる。

「プログラム……それに、鍵、ですと……?」

そこにはこんな文章が書かれていた。


<!-プログラム起動条件・鍵をそろえよ-->
鍵1…複数回の訪問  Clear
鍵2…一定時間の操作 Clear
鍵3…SOS団の正式名称  ?


最後の文章、『鍵3』と書かれたそれの下には、文章が入力できるフォームが存在していた。
試しにそこをクリックし、適当な文章を入れてみるがなんの問題もない。
とりあえず、この設問に答える権利はあるようだと結論づけた所で、ハムは渋い顔で顎に手をあてた。

「ムハ〜〜〜……正直言って、何がなんだかさっぱりですな…そもそもプログラムとは何なのかが……」

元々、パソコンが一般的に普及していない世界からやってきたハムにとっては、基礎用語自体を理解する事が出来ない。
それでも、分かる範囲で一つ一つの要素について考察していく事にする。
まず、『プログラムの起動条件』とは何か。
プログラムと言う物が何かはわからないが、ともかくその条件を満たせば『何か』が起こるという事。
現在進行形で自分を覆っているこの灰色の空間がそのプログラムではないかと一瞬だけ予想するが、未だに『鍵』の入力についてが終わっていないのでそれも違うだろう。
次に、『鍵1…複数回の訪問』について。
読んで字のごとく、『何回かこのパソコンの前に訪れる事』、だろうか。
実際、ハムは夏子との会話をこの部屋で行い、その後で見送りに行くためにこの部屋を退室したため、ここを訪問したのはこれで二度目だ。
そういう意味では、確かに条件は満たされているといえる。
次に、『鍵2…一定時間の操作』について。
これはパソコンの操作の事だろう。なんのアイコンも存在せず、クリックする場所もない画面上ではあるが、諦めずにマウスを動かし続けろという事か。
特に操作の指定がない所を見れば、キーボードを適当に打ち続けていても条件を満たせるのかもしれない。


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