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仮投下スレ2
548
:
Hard Luck Duo
◆5xPP7aGpCE
:2009/07/30(木) 03:19:13 ID:HUBhMMTs
改めて決めた事を確認する。
・今後は安全に接触できるパソコンも活用しつつ他者と積極的に交渉する。
・足手まといは特殊技能の持ち主は別として殺す事も厭わない。
・万太郎との合流には拘らない、合流の意志は有るが成り行きに任せる。
・有用な支給品を手に入れる、特に武器を優先する。
窓の外を見れば先程よりも炎が迫っていたがまだ遠い。
地図や名簿を仕舞い終えたその時だった、突然真昼のような明るさに続いて耳を劈くような爆発音と衝撃が診療所を震わせた。
窓が一斉に飛び散り夏子とハムは直ちに伏せる。
そして爆発が遠いとみるや割れた窓から慎重に外の様子を窺った。
立ち上る煙の中でも一際目立つ建物がある、窓という窓から黒煙を吹き上げる高層建築。
デパートだ。
遠目でも屋上が大破したと解るデパートが爆発の中心地に間違いなかった。
化け物同士の争いかと先程の二人を思い浮かべる、だとすれば巻き添えを喰わないうちに退避すべきかもしれない。
だがパソコンを一度も調べもせずにここを去るのも惜しい気がする、とにかく状況を見極めようともう一度外を眺めた。
「ムハ〜、何ですかあの光跡は?」
夏子もハムが指し示すものにすぐ気付いた。
デパートの屋上から空高くに上昇してゆく何かがある。
怪物にしては小さすぎる、ロケットだとすぐに気付く。
恐らく決着が付いたのだろう、軍人としての勘がそう告げていた。
「何かを曳いているわ……南の方に向かっている。どうする、ハム?」
一方のハムはロケットなど初めて見る。
最初は驚いていたが夏子からそれが物を飛ばす道具だと教えられて考え込む。
あれを追うか、ここに留まってパソコンを調べるか。
二兎を追うもの一兎を得ず、だが二手に別れる方法も有る。
いずれにせよここが焼けるのも時間の問題、すぐに決めなければならない。
そんな彼等の悩みを他所にロケットは尚も飛び続ける。
夕日を浴びて輝きながら一人の男の想いを込めて。
繋がっているのは一つのバッグ、意志を持つものが中には入っている。
更に高く。
更に速く。
更に遠くへ。
下界の喧騒を見下ろしながらロケットは南を目指す―――
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