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仮投下スレ2
547
:
Hard Luck Duo
◆5xPP7aGpCE
:2009/07/30(木) 03:18:27 ID:HUBhMMTs
「夏子さん、我輩には気になる事があのです。ゴルフ場で見たパソコンの画面にあのモンスターが写っていた事を覚えておいででしょうか?
ああそういえば夏子さんは背中だけしか見ておりませんでしたね、ともかく我輩が見たモンスターと画面のモンスターは同じでした」
「その動物ならモールのパソコンにも出てきたわ。特に気にしなかったけど参加者をそんな形を見せるなんて確かに不審に思えるわね」
即ち、あのモンスターは特別扱いされている。
ハムは夏子がこの事実を共通認識として受け入れた事を確認して話を続けた。
「これから語る事は我輩の考えすぎかもしれません……ですが思い至った以上夏子さんには話しておくべきだと思ったのです。
そもそも我輩達がここまで追い詰められたのはシンジさんが引き起こした災害の結果なのは夏子さんもご存知と思います。
そのシンジさんを我輩達に押し付けたのがあのモンスターなのですぞ、あの時山小屋にもモンスターが居座っていましたがおかげでその場から動くことが出来ませんでした」
その結果シンジの手引きで悪魔将軍に追いつかれた、とまでは口に言わずとも理解できる。
夏子はハムの言いたい事を悟って反論した。
「つまり、あの獣は私達の不利になるように導いたという事? 結果論過ぎるわ、シンジ君をモールに運んだのは万太郎君と貴方だし動かないと決めたのも私達自身よ?」
「その通りです、しかし我輩にはどうしても気になるのですよ。あのモンスターは近くに居たにも関わらず悪魔将軍から我輩達を助けてはくれませんでした。
それにシンジさんの時は偶然ではないのです、我輩とマンタさんが北へ向かう事を決めた直後にモンスターが出てきたのですよ」
頬をかきながらハムが淡々と事実を述べる。
もし会話が主催者に漏れていたとすれば、主催者からモンスターに情報が伝わったとすれば―――偶然では有りえない。
パソコン画面に登場したというだけで主催者との関係を疑うのは早計かもしれない、だからこそハムも慎重な物言いなのだろう。
「……」
夏子は思わず沈黙した。
ハムもまた自分と同じく盗聴の可能性に気付いていたのだ。
そして筆談という方法を取らないのは先程の放送を聞いたからだろう、反抗の末の死を残念と語る草壁ならこの程度で罰するとは思えまい。
尤もそれ以前に正解かわからない、罰せられればそれが答えという事になる。
有り得なくは無い、そういった殺し合いをコントロールするゲームマスター的な存在が参加者に混じっていても不自然では無い。
だとすれば―――あの獣は、敵だ。
ギリッと夏子は歯を軋ませた。
今迄の屈辱と無念を思い出す、自然と腕が拳銃に触れる。
「ま、あくまで可能性が有るいうだけですよ。とにかく今後あのモンスターとは出来るだけ接触を避けるべきでしょう。その上でお尋ねしたいのですが」
ハムが夏子を宥めつつ更なる問いを投げかける。
夏子も怒りに我を忘れる事無くハムの言葉をじっと待つ。
「夏子さんは冷静な判断が出来ると我輩は買っているのですが……もし今後シンジさんみたいに混乱した人が現れたらどうなさいますか?」
予想だにしない質問であったがその答えは既に夏子の中で決まっていた。
弟と重ねて甘くした結果がこの有様だ、誓った以上二度と過ちを犯す積りは無い。
「殺すわ。そんな弱い奴なんか生かしたところでロクな事にならないってこれ以上無い程良く解ったから。
もし他の誰かと一緒なら気付かれないように始末する。腐ったものは早く取り除かないと取り返しが付かなくなるものよ」
不敵な笑みを浮かべながら銃を構える。
それこそがハムの望んだ答え、満足して大きく頷いた。
「だとすればますますマンタさんとは合流しづらくなりましたね、あの人なら絶対に止めるでしょうしむしろ別行動の法が都合が良いと思います」
「やっぱりアンタは油断ならない考えの持ち主だったわね、案外うまくやっていけそうな気がするわ」
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