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仮投下スレ2
539
:
Hard Luck Duo
◆5xPP7aGpCE
:2009/07/30(木) 03:12:13 ID:HUBhMMTs
太陽は今尚海と空を紅く染めていたが既に水平線の彼方に半ば以上没していた。
さほど時間を経ずして完全に沈むだろう、そして日中暖められた気温は心地良い程度にまで下がる。
だが例外もある、島の最北部では最も陽が高かった時の気温を更に更新し続けていた。
街とは人類が生み出した可燃物の集合体でもあった。
強風に煽られて火勢は一向に衰えない、何一つ消火活動が行われない無人の街を飲み込み尽くさんと寧ろ勢いを増している。
既にその尖兵は海岸までを制圧し、東西に前線を押し広げていた。
数十分前まで集っていた者達の姿は既に無い。
脱出手段を見つけた者は早々と去り、戦いを選んだ者は命を失った。
今や炎が主人として闊歩する街に残るのは僅か、その中に敗残兵の様に追い立てられる者が居た。
※
―――遠くへ、化け物と災から出来るだけ遠くへ!
一人と一匹の逃亡者はひたすら走っていた。
人間の川口夏子とモンスターのハム。姿形は異なっても危険を避けるという生物的本能は変わらない、僅かでも安全な場所を求めて東を目指す。
だが走っても走っても熱気からは逃れられなかった、市街地全体がオーブンに放り込まれたと錯覚する程に灼熱地獄と化していた。
汗は忽ち蒸発し呼吸の度に喉が痛んだ、風すらも熱せられ天然のドライヤーとして丸干しにしようと吹き付ける。
シンジの地図に合流場所として記したデパートはとうに過ぎ去っていた。
元々期待薄であった上、来ていたとしてもこの大火の前では逃げ去っているだろうと思うしかない。
今は自分達の身の安全が何より優先なのだ。
川口夏子は今の自分が許せなかった。
強者の争いに巻き込まれたのは運が悪かったと納得できる、結果撤退したとしても何ら恥ずかしくは無い。
しかし過程はどうだ、自分は冷静に対処し最善の道を選べたのか?
―――否
では持てる力を振り絞り納得のいく戦いが出来たのか?
―――それも否
『わかるか? これが力の差というものだ。首をへし折られるか、切り落とされるのが嫌なら俺に逆らわない方が懸命だぞ』
何も出来なかった、化け物に呆然とし交渉すら成立せず単なる囮として利用された。
その上涙目で考えた事は現実逃避とも言える力への渇望、最初から最後まで子供同然の有様だった。
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