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仮投下スレ2
382
:
決着! 復讐の終わり
◆5xPP7aGpCE
:2009/06/30(火) 02:08:01 ID:HUBhMMTs
そこから全ては一秒にも見たぬ時間に起こった。
地下から屋上に至る十数枚の床と天井が紙の様に光のランスが貫いたのだ。
だがその射線の延長にアプトムはいない、ゼクトールもそこまで期待した訳ではない。
建物全体は不可能としても罠を粉砕し最短距離での追撃ルートを開削するのがその狙い。
それのみでも十分成功した、そしてゼクトールも予想しなかった効果をもたらした。
断熱材とコンクリートを粒子と化したエネルギーが行き着いた先に有ったのは屋上の貯水タンク。
ステンレスの皮に蓄えられた数千リットルの水道水、それが全てのエネルギーを受け止めた。
原子の全てが加速する、数千度に熱せられた水は液体の姿を保てず数百倍以上に膨張した。
単純な水蒸気爆発では無い、到達したあまりの高温の為に分子の結合は断ち切られ水は水素と酸素に分解した。
超高熱の金属蒸気を纏ったガスの雲が屋上の半分程度に広がった時、水素と酸素が再結合し大規模な二次爆発が発生した。
これらは全て超獣化兵ですら認識できぬ刹那の間の出来事である。
アプトムとネブラは空中で爆発に巻き込まれた。
彼等の感覚では何が起こったのか理解できなかった、爆風は二人を飲み込み尽くし更に周囲へと拡大した。
衝撃波が建物を伝わる、上階から下へ全ての窓ガラスを粉々に砕きながらデパートを揺るがせる。
地下のゼクトールにもその異変は伝わった。
建物が崩壊するかと思う程の激しい揺れと流れ込む爆風、そして穿たれた穴を大小の破片が落下する。
原因を考えるのは無意味、ここに追撃の道は拓けた。
羽をコンパクトに畳みゼクトールは垂直上昇する。
デパートを貫通した大穴は巨大煙突となり炎と煙を噴き出していた。
上がるたびに羽が燃えてゆく、それでもゼクトールは飛び続ける。
そして視界が一気に開ける、炎に飲み込まれる市街地がそこにあった。
眼下には爆発で瓦礫の山と化した屋上の光景、着地するとそれだけで足元に亀裂が走る。
(アプトムは何処だ? 間違いなく奴は近くに居る筈だ)
空には姿が無い、先程上空から見回した限りでは人影も見当たらなかった。
かといって焼け落ちる建物の中に留まり続けているとも考え難い。
ゆっくりと爆発で陥没した跡地を歩いてゆく、追うものとしての勘が”奴はここに居る”と告げていた。
風の為時折煙が流れて視界を奪う、警戒を怠り無く歩を進める。
ジャリ、と踏み出したその時だった、煙の向こうで何かが動いた。
布切れの身間違いではない、確かに生物の動きで瓦礫の影から影に走っている。
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