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リリカルなのはクロスSS木枯らしスレ2

13 ◆jiPkKgmerY:2013/06/03(月) 21:03:35 ID:yNAUiMQM




 ―――瞬く間に混迷を極めた戦線。


 戦場は、これまでのものとは一線を画したものとなっていた。
 闇の書の守護騎士達は明確な敵意を持てど、明確な殺意をもって戦闘はしていなかった。
 今は、違う。
 明確な殺意をもって、人体の急所のみを狙ってシグナムは剣を振るっている。
 おそらくは殺さずに仕留められるだろう格下の相手に対して、それでも必殺の心持で剣を振るう。

(良い兆候だ)

 そんなシグナムを、ナイブズは小さな笑みを携えて見詰める。
 戦場から少し離れたビルの上。
 『不殺』の枷を取り払い、魔導師を斬殺してまわるシグナム。
 空から降り滴る、鮮血の雨。
 赤色に染まった地面は、ナイブズの心中に僅かな昂ぶりを覚えた。
 虫けらが数十や数百死んだところでナイブズが感慨を覚える事はない。
 あれだけ『不殺』を信念としていた守護騎士が『殺人』を犯したという事実。
 その一つの事実こそが、ナイブズを昂ぶらせる

(……甘い奴等であったがようやく懐柔が出来た、か)

 一度、殺人を犯せば後はもう止まらない。
 たかが外れた烈火の将は、坂を転げ落ちるように躊躇を喪失していくだろう。
 主を守る為にと、主の幸福の為にと、立ちはだかる敵を殺していく筈だ。
 実力は一級品。
 かつて集めた異能殺人集団に劣らぬだけの力もある。
 闇の書完成までの尖兵として扱うには充分だ。

(事態は上々。まぁ長くは持たんだろうがな)
 
 視線の中では管理局の魔導師とシグナムとが戦闘に入っている。
 雰囲気からして、これまでの有象無象とは違う。
 今のシグナムであっても余裕の勝利とはいかないだろう。
 そもそも、ナイブズはシグナムが全ての魔導師を排除できるとは思っていなかった。
 『不殺』の枷を外そうと元の実力が向上する訳ではない。
 勝利には大きく近づくだろうが、それでも数が数だ。
 シグナムと渡り合える魔導師も複数人いる以上、例え『不殺』を捨てたとはいえ勝利は困難だろう。

(さて、あとは―――)
 
 本命は、違う。
 空中でぶつかり合う青と赤の光から視線を外して、ナイブズは宙に身を投げた。
 力尽き倒れる守護騎士達には見向きすらしない。
 用があるのはただ一人。 
 これまで何も知らず、何も知らされず安寧の日々を送ってきた少女。
 闇の書は主―――八神はやて。
 お膳立ては済んだ。
 回りくどい道を取ったが、結果としてはより効率的に人類を滅亡できるだろう。
 何も知らずに昏々と眠り続けるはやてを見下ろし、ナイブズは邪悪な笑みを浮かべる。
 高揚感を抑えることができない。
 先程感じたもの以上の高揚感であった。
 ついに、ついに手に入るのだから―――数々の次元世界を滅亡させてきた飛び切りのナイフが。



 自分を止める者いない戦場で、ナイブズは進んでいく。
 そう、もはや彼を止める者などいやしない。
 唯一の可能性を持ったヴァッシュ・ザ・スタンピードは、管理局自ら脅威として拘束してしまったのだから。
 全てがはナイブズの思うがままに進んでいく―――、


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