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997なのマギ5話 ◆bv/kHkVDA2:2011/07/04(月) 17:42:16 ID:nmwzFrgQ
 身動きなんて取れる筈もなくて、マミはただ立ち尽くすだけしか出来なかった。目の前
で大口を開く魔女に意志の全てが集中していたマミは、魔女の遥か後方、チョコレートの
闇に覆われたドームの天井部分で、星々が煌めいた事にも気付かなかった。
 魔女の牙がマミの頭を飲み込もうとしたその刹那。夜空に輝く星々の如き輝きの中でも、
一際大きく、そして美しく輝く桜色の星が、人が知覚出来る光量を越えた閃光となって、
地へと降り注いだ。
 閃光は、今まさにマミを食い殺そうとしていた魔女の身体を猛烈な勢いで抉り、その巨
体を地へと縫い付ける。凄まじい轟音は、マミの耳を劈かん勢いで唸りを上げて、閃光が
伴った衝撃波は、マミの身体を吹き飛ばさん勢いでこの身を煽った。
 最も至近距離でその衝撃を受けたマミが感じたのは、痛みさえ覚える程の衝撃。それは
一瞬思考停止したマミの意識を、急速な勢いで呼び覚ましてくれた。

「一体、何が……!」

 見上げたマミの瞳を、眩い輝きが強く刺した。
 思わず目を背けたくなる思いを堪えて、それでも空を凝視する。チョコレートで出来た
闇は、最早夜空ですら無くなっていた。眩し過ぎて白銀にしか見えない夜空は、夜を引き
裂いて訪れた夜明けのようであった。
 やがて夜明けの光の中心から、何かがゆっくりと舞い降りてくる。
 純白の翼は、強い光を伴って美しく瞬いていた。眩しいくらいに輝いて見える白のロン
グスカートは、風に振られてふわりふわりとはためいて見える。優雅に舞い降りるその人
影は、光の天使のように思われた。

「高町……さん?」

 舞い降りた天使は、マミの良く知る高町なのはであった。
 良く見れば、胸元や腕は、機械の装甲のように見える。持っている杖だって、魔道師の
杖というよりは、赤い宝玉を金属の穂で覆い、それを白と青の機械の装甲で武装した槍の
ように見えた。だけれども、なのはが携えるソレの柄には青いグリップと引き金が付いて
いるようだし、それが杖なのか槍なのか銃器なのかは、マミにも検討は付かなかった。
 それ以前に、何故なのはが空を飛んでいるのか。何故なのはが魔法少女に変身している
のか。いくつもの疑問が濁流となって押し寄せて、思わずぽかんと見上げてしまうマミで
あったが、そんなマミの表情を見るや、なのはは満足そうに微笑んだ。

「良かった、マミさんが無事で……本当に良かった!」

 喜びも束の間だ。天使のように笑いかけるなのはの背後で、巨大な魔女がゆっくりと鎌
首をもたげた。魔女の表情は怒りに歪んで居るように見えたが、トゥーンコミック風の白
塗りの顔の所為で、些か滑稽に見える。だけれど、それはある意味では余計に不気味さを
引き立てるスパイスにも成り得る。
 なのはの危機に誰よりも早く気付いたマミは、状況の整理は後回しにして、まず叫んだ。

「高町さん、後ろっ!」

 それから、即座にマスケット銃を取り出し構えるが、マミの出る幕ではないようだった。
 何の警戒も示さないなのはを喰らおうと、魔女は大口を開けて迫る。だけれども、魔女
の牙がなのはに触れるよりもずっと早く、魔女の頭が爆ぜた。それから、胴、尻尾と、爆
発は次々と連鎖して、赤黒い爆煙を発生させた。先程のなのはの砲撃による魔力爆発とは
明らかに異なった、質量を持った兵器による爆発のように見えた。
 魔女は堪らず姿勢を崩し、ぐったりと横たわる。目の前の事実を認識し、なのはの無事
にマミが胸を撫で下ろした時には既に、もう一人の魔法少女がそこにいた。
 なのはの白とは対になる、黒の衣装を身に纏い。艶やかな黒髪を優雅に靡かせて佇む彼
女の名は、暁美ほむら。先程確かに、この手で拘束し動きを封じた筈の女だった。
 なのはは笑顔。ほむらは無表情。表情は全く違っているけれど、背中合わせに並んだ二
人は、同じ目的の為に手を組んだ仲間のように思われた。

「どういう事!? どうして二人が……まさか、高町さんまで!?」
「にゃはは……これには深い訳があって……えーっと、後できちんと説明しますから」
「その必要はないわ。もうこれ以上、巴マミに出る幕はないから」
「もう、ほむらちゃん……そういう言い方は良くないよ?」




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