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154りりかる新人隊員 ◆LtQa/zljtQ:2009/04/26(日) 23:27:33 ID:anR3nOTw

 しかし、今広がる光景とは裏腹に、冬獅郎の心はストレスで曇りに曇っていた。

(やっぱり俺はお人好しか?)

 自己嫌悪で悶絶する冬獅郎。こんな調子では本当にこれからが思いやられる。
――もし、こんな時に何かありでもしたら。



「ん、何だ?」
 それを告げるかのように突然、懐にある伝令神機から、連絡が来た。
嫌な予感がすると分かりつつも、冬獅郎は渋々電話に出る。

「――十番隊 日番谷だが」
「隊長ですか? あたしです!」
「……何だよお前か」
 ただでさえ深い眉間をさらに寄せて、不機嫌を露わに訊く。

「一体今度は何があったんだ?」
「単刀直入に言います、路地裏で少女が大怪我で見つかったんです!!」
そらきた。
また新たに増えた厄介事に、冬獅郎は大きなため息を吐く。

「オイ…テメエまさか、それも俺の手が必要とか抜かすんじゃねえだろうな? それくらいの状況判断ぐらい自分でしやがれ―――」
「少女の持っていた物の中に、レリックと思しき物も見つかりました」


「!!!」
 瞬間、冬獅郎の目が驚きに開かれた。
まさかこんなにむ早く見つかるとは―――。
どうやら、状況というものは、いつもやってきてほしくない時にこそ、起こってしまうものらしい。
冬獅郎は再び大きなため息をつくと、改まった声で訊き直した。

「…場所は何処だ?」





「あ、ここです! 隊長」
 数分後、乱菊達の処に、えらくクールな、昭和風の少年服を着た冬獅郎が路地裏へと行き着いた。
「隊長…その服で来たんですか?」
 勇気があるなあ、という目と、それはないだろう、という珍妙な目で冬獅郎を見る乱菊。
―――どうやら自分がこれを着せたことは遥か遠い記憶の中に置いてきてしまったらしい。

「松本…テメエ後で覚えてろよ」
 そう吐き捨てから、改めて織姫の結界術で治療中の少女と―――隣の鎖に巻かれたケースを見やった。

「………封印は?」
「一応、しときました」
「――そうか」
 冬獅郎の視線は、レリックから再びケースへと移る。
正確には、ケースに繋がれている鎖に注目しているようだった。


「…これは……」
――切れている鎖の先端。
冬獅郎がそこから答えを導き出すのに、そう時間はかからなかった。


「レリックはもう一つある」
「――え?」
「直ぐに動くぞ、松本、準備をしろ」
 あまりの事についていけない乱菊を余所に、冬獅郎はすぐさま懐から丸い丸薬――もとい義魂丸を取り出し、口に入れた。

仮初の肉体から、彼の本来の姿が現れる。




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