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デジモン02 回るメリーゴーランド

34みけ:2008/10/08(水) 19:39:25


まるでテレビの電源が落ちたかのような出来事に、タケルは呆気にとられて立ち尽くした。


やっと意識が目覚めてきて、パニックに陥りそうになったそのとき、聞き慣れた羽音と疲れきった声がタケルの意識を救った。


「ターケールー!!」


「パタモン!!」



すっかりその存在を忘れていた黄色いデジモンが、白い帽子を手によたよたとその持ち主の腕の中に飛び込んだ。

その激しい疲れ方に、タケルは目を厳しくして理由を尋ねる。もしかして敵と遭遇したのか??


「うーうん、でも僕疲れちゃった..あの射的の屋台の中だよ...」


その反応に首を傾げるも、パートナーを抱き抱えたままスタスタと示された屋台まで歩く。


母の幻影がずっと覗いていた屋台だ。二丁のおもちゃのゴム銃が置いてある木の台と、その奥に景品が並べられた四段ほどの棚がある。


でも別におかしな点は見当たらない。



「これがどうかしたの??」

「一番上の、右から二番目の景品をみて..」


言われたとおり目をやったタケルは、げっと顔をひきつらせた。あまりの疲労にまぶたをとじながらパタモンは残念そうに言う。

「僕、何か音がするなぁって思って、タケル達が闘ってたけどちょっと様子を見に来たんだ。頑張ったんだけど、僕の手じゃうまくいかなくって..」














そこには体中に可愛いリボンをつけられたアルマジモンが、もごもご言いながら体を自由にしようと棚の上で奮闘していた。



笑ってはいけないと心に念じながら、パタモンを手前の台のそっと下ろすと、アルマジモン救出のために屋台の中に踏み込んだ。






















「ーーーーーふわあ〜助かっただぎゃ〜」

「大変だったね、アルマジモン」

「一体何が起こってるの??」


三人は、椅子もないので射的の台の上に腰を下ろした。


霧の中でイオリを見失ったヤマトとアルマジモンは、イオリを見つけ出そうとあちこち歩いてみたのだが、かえって自分達の歩いている場所も分からなくなってしまったらしい。


「その時だぎゃ、空から赤い馬みたいなデジモンが飛び降りてきたのは」


アルマジモンが声をひそめる。


そいつの体の模様が光ると、射的の屋台からリボンがのびてきてアルマジモンの自由を奪い、ヤマトを連れ去ってしまったらしいのだ。


「屋台の中からじゃよう見えりゃーせんかったが、あいつはまっすぐ右上に向かって跳んでったがや」


話に引き込まれてタケルとパタモンがそろって屋台から空を見上げると、ちょうど『右上』の方向の先に霧に囲まれた高い丘があるのが見えた。


「あそこがそいつのねぐらってわけか」

「手がかりなのに間違いないだろうね。それに話をきくと、その赤いデジモンはこの遊園地のものを自由に操れると思った方がよさそうだ」


そう言ってタケルはDターミナルをポケットから取り出して、メール画面を開いた。大体の話の 全貌はアルマジモンから聞いて分かったし、太一さん達に報告しておいた方がいいだろう。あと、ヒカリちゃんにも。




「大輔には知らせないの〜??」

「大輔くんはミミさんとデジタルワールド捜索のはずだからね。連絡したらそっちを放り出してきちゃいそうじゃない??」

「まあ連絡しても大輔はメールを見なそうだがや」


あははとタケルは渋い顔のアルマジモンに笑いかけながら思った。

確かにヒカリちゃんからならまだしも、僕からのメールはすぐに見ようと思わないかも知れないな。

まあ、送らなかったときの大輔くんの方が怖そうだし。



「ーーしょうがないか」

カタカタと宛先に『本宮大輔』を追加する。次いでタケルは『送信』にポインターを合わせてENTERキーを押した。


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