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闘争の系統 〜ネタバレノートⅡ〜

93凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2018/09/22(土) 20:49:59
いよいよ運命を分ける決戦の日がやって来た。
原野を覆う朝霧が晴れ、戦闘開始を告げる狼煙が上がるのを今や遅しと待つ両軍。

リンディ「………」

これまでずっと戦には参加していなかったラウールの妹リンディ王女も、
この大事な最終決戦にはぜひ武将の一人として出陣したいと志願し、
鎧を着込んで白馬に跨り、二千の兵を率いて青陽軍の本陣の一角の守りに付いていた。
太陽が昇って朝霧が薄くなり、いよいよ開戦かという頃、
緊張した面持ちのリンディのところにキクマル・サダムネが馬を寄せて来る。

キクマル「王女様、この決戦の先陣を切るのは、
 何としてもメルヴィオンの者でなくてはなりませぬ」
リンディ「えっ? でも昨日の軍議ではエレンさんのライトメリッツ軍が先鋒って…」
キクマル「ジスタートやエレオノーラ殿を決して悪く申すわけではありませぬが、
 メルヴィオンの国運を賭したこの一戦において、
 他国の援軍に一番槍を許したということになるのは少々考えものにござる。
 我が国の名誉に関わるのみならず、
 後々まで恩を着せられ外交上でも不利となる恐れも無きにしも非ず」
リンディ「それじゃ、どうすれば…」
キクマル「拙者にお任せを」

キクマルは鉄砲を装備したわずかな手勢と共にリンディを連れ、
霧の中を潜って敵陣の方向へと馬を駆けさせた。
しかしライトメリッツ軍の騎士ルーリックがそれを見咎めて立ち塞がる。

ルーリック「待てっ! 抜け駆けは厳禁だ!」
キクマル「抜け駆けに非ず。物見でござる」
ルーリック「物見も無用!」
キクマル「ご安心あれ。リンディ姫様は後学のため、
 この大決戦の始まりをぜひ間近でご覧になりたいとのこと。
 不躾ながら何とぞよろしくお取り計らい願いたく存ずる」
リンディ「………」

キクマルの後ろから馬に跨ったリンディが姿を見せたので、
メルヴィオンの王女を前にしてルーリックは強気の態度を崩した。

ルーリック「承知しました。お通り下さい」
キクマル「かたじけない。では王女、こちらへ」
リンディ「ありがとうございます、ルーリックさん。(ごめんね…)」

心の中でそっとルーリックに謝るリンディ。
ルーリックの抗議を上手くはぐらかして敵に接近したキクマルは、
黒三日月隊の姿を霧の向こうに認めると、
突如、鉄砲隊に下知して彼らに銃撃を浴びせさせた。

キクマル「上手く行ったぞ。退けっ!」

この攻撃をライトメリッツ軍からのものと誤認した黒三日月隊は、
ライトメリッツ軍に向けてマシンガンで撃ち返す。
エレンことエレオノーラ・ヴィルターリアは、
突然、自軍が予期せぬ敵の攻撃を受けたので驚いた。

エレン「誰だ仕掛けたのは!?」
ルーリック「メルヴィオン軍のキクマル・サダムネです!」
エレン「あいつめ、やってくれたな…!
 こうなったら仕方がない。全軍、直ちに敵に向かって攻めかかれ!」

味方に一杯食わされたエレンは額に青筋を浮かべて竜具アリファールを抜き、前進を命じた。
こうして世紀の決戦の火蓋は切って落とされたのである。


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