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闘争の系統 〜ネタバレノートⅡ〜

40凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2018/02/11(日) 16:20:52
百瀬「停まれ!」
絵梨奈「…!」

一方、必死にミニバイクを走らせて逃げる絵梨奈の前には、
白い学生服を着たいかにもキザな風貌のスマートな青年が立ち塞がった。

百瀬「栄光あるラッキークローバーの一員に選ばれておきながら、
 なぜそれを拒もうとする?
下等な人間としての自分になどさっさと見切りを付けて、
 オルフェノクとして生きる運命を受け入れたらどうなんだ」
絵梨奈「さっきから皆…そのオルフェノクって一体何なのよ!?」
百瀬「分かるはずだろう? こういう事さ…!」

その青年――百瀬は虎のような凶悪な形相のタイガーオルフェノクに姿を変え、
戸惑う絵梨奈に唸り声を上げて襲いかかる。

絵梨奈「だ、誰か助けてぇ〜っ!」
タイガーオルフェノク「早くお前もオルフェノクに変身しろ!」

タイガーオルフェノクの手に生えた鋭い鉤爪が絵梨奈の腕に掠り、
彼女が左手に巻いていたリストバンドを切り裂いた。
破れたリストバンドが外れて地面に落ち、露出した絵梨奈の左手首に街灯の白い照明が当たる。
すると、絵梨奈の手首には金色の光を放って眩しく輝く、
蜂を描いたような不思議な紋様が浮かび上がったのである。

タイガーオルフェノク「…? 何だ、その手に光る模様は」
絵梨奈「さあね…。自分でもよく分からない。
 出来ればこっちが教えてもらいたいくらいだわ」
タイガーオルフェノク「ふざけるな!」

激昂したタイガーオルフェノクは掌から光弾を発射して絵梨奈を攻撃。
死ぬ! と絵梨奈は思わず覚悟して目を瞑った。
しかし次の瞬間、何と絵梨奈の全身は白い光に包まれ、
まるで伝説上の人魚姫を思わせるような、
神秘的な美しさを纏ったオルフェノクの姿に変貌したのである。

タイガーオルフェノク「やっと正体を現わしたか。
 それが人類の進化形態――オルフェノクの姿だ」
マーメイドオルフェノク「これが…オルフェノク…?」

自分の身に起きた超常的な変化に困惑する絵梨奈。
ただ、戦い方はなぜか本能的に知っていた。
下半身を覆う鱗の一枚を剥がして掌に乗せエネルギーを注ぐと、
鱗は大きく膨らんで変形し白い大型のロングソードになる。

タイガーオルフェノク「見せてもらうぞ。お前の力」
マーメイドオルフェノク「っ…!」

タイガーオルフェノク対マーメイドオルフェノク。
新たに選ばれたオルフェノクを統べる四天王・ラッキークローバーの候補同士の戦いは、
夜の暗闇の中に火花を散らしながら激しく展開されてゆく…。


***異世界アセーリア・ロサレダ大陸***

その頃、アセーリアと呼ばれる異世界では、
地球から襲来したサラジア共和国の侵略部隊・黒三日月隊と、
ラウール王子が率いるメルヴィオン聖王国の軍勢とが熾烈な大戦争を繰り広げているところであった。

キクマル「申し上げます!
 敵は三方から我らを半包囲して激しく攻め立てており、
 お味方は劣勢にございまする!」
ナレイン「ボーダンの別動隊が敵の背後へ回り込むまで、
 死力を尽くして耐えるよう全軍に申し伝えるのだ!」
キクマル「されど、これ以上堪え続けるのは無理にござる!」

兵力でも物量でも軍事技術でも劣るメルヴィオン軍は大苦戦を強いられながらも、
粘り強い戦いぶりで必死の抵抗を見せている。
その原動力となっているのは、総大将を務めるラウールの高い人望であった。

ラウール「このままではボーダンの隊が敵の背後を突く前に総崩れだ。
 ナレイン、こうなったら僕が前線に出て兵を鼓舞する。
 馬印を高く掲げて本隊を押し出すんだ!」
ナレイン「心得ました。殿下!」

角笛が吹き鳴らされ、メルヴィオン王家の紋章が描かれた軍旗が高らかに上げられて、
ラウールの本隊が猛攻を仕掛けてくる敵軍の正面へと前進を開始する。

ラウール「勇気を出してくれ! 
 かつて神君アディラス一世公が掲げられたこの旗を、
 必ずもう一度王都に打ち立てるんだ!」

メルヴィオンの騎士ならば、この由緒ある王家の家紋を目にして闘志が奮い立たない者はいない。
美しい黄金の女王蜂の姿を描いたその紋章は、
絵梨奈の手首に刻まれたあの謎の光を放つ焼印となぜか全く同じものであった。
果たして、時空を超えたこの符合が意味するものとは…!?


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