[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
闘争の系統 〜ネタバレノートⅡ〜
26
:
凱聖クールギン
◆COOLqGzyd.
:2017/12/01(金) 17:46:38
翌日、遂にエフェリーナは子を産んだ。
夫のアディラスはこの時、地方で起きた反乱の討伐のため急遽出陣して都を離れており、
我が子の誕生には立ち会えなかったのだが、
幸いにも帝王切開での出産は成功し無事に健康な子供が生まれたのであった。
(妊婦の腹を切って子供を取り出す帝王切開は、
地球では医療技術が発達する近現代になるまでは妊婦の死亡率が高い上に大変な苦痛を伴う危険な出産方法であったが、
魔法が存在するアセーリアでは睡眠魔法と回復魔法の組み合わせにより、
地球の中世に近い文明レベルの時代でありながら安全に施術を行なう事が可能であった)
モルゲグ「お生まれになったか!?」
家臣A「はい。王妃様によく似た、とても美しい姫君です」
モルゲグ「そうか…」
エフェリーナが生んだのは王女であった。
王子でなかった以上、モルゲグの娘との将来の縁組は残念ながらお流れである。
しかし王家の外戚となって権勢を振るう大望をどうしても諦め切れなかったモルゲグに、
ここで悪魔の囁きをする者達が現れる。
マザロン「王室と姻戚の間柄になられるという貴家のご悲願、
決して諦める事はありませぬぞ、ヒルガノス卿」
モルゲグ「これは怪僧とご評判のマザロン大僧正ではないか。
諦める事はないとはいかなる意味だ?」
マザロン「よくお考えあれ。幸いにも国王陛下は出陣中でご不在、
王妃様は未だ魔法による麻酔が解けずお眠りになられたまま…。
今はまだ、お子様の性別をお二方ともご存じあそばしませぬ」
モルゲグ「ま、まさか…!」
マザロン「もうお分かりでしょう。
今の内に赤子を密かに別の子と取り替えてしまえば、
誰も気付かずめでたく王子ご誕生という運びとなるわけです」
怪僧と呼ばれる宮廷呪術師のマザロンは失意のモルゲグに近付き、
子供を密かにすり替えるという恐るべき陰謀を持ちかける。
しかし産室にいる産婆や侍医らの目をどうやって盗むのかと疑問を呈するモルゲグだったが、
マザロンは人間に擬態する能力を持つワームのネイティブをここで彼に紹介する。
モルゲグ「な…何じゃこの怪人どもは!?
マザロン大僧正、斯様な化け物の集団を従えておるとは、
そなたは一体何者なのだ?」
マザロン「ヒヒヒ…。驚かれたかヒルガノス卿。
我らは別の次元宇宙より遣わされ、
この世界を支配せんとする者よ」
ネイティブA「ヒルガノス卿は今までご存じなかったでしょうが、
既にメルヴィオンの宮廷内にも我らの仲間は少なからず潜伏しているのです」
ネイティブB「産室にいる侍医などは我々が斬り捨て、
擬態してなり代わってしまえばよいだけの事」
モルゲグ「むむ…なるほど…」
こうしてモルゲグを唆したワームのネイティブ一味は、何と出産直後の産室を襲撃。
魔法による全身麻酔がまだ解けずに眠っていた王妃以外の者を全て殺し、
産婆や侍医らに擬態して素早く死体を処理しすり替わった。
そして彼らは、前日に城下の教会でモルゲグが出会ったあの身元不明の男の赤ん坊を、
エフェリーナが産んだ娘と密かに交換してしまったのである。
クロックアップによって一瞬の内に実行されたこの世紀の陰謀劇に気付く事のできた者は、
王宮には誰一人としていなかった…。
エフェリーナ「まあ、何て可愛い男の子でしょう」
シャヴィ「弟が増えて、我らも嬉しゅうございます」
エリス「とても綺麗な翡翠色の目をしているわ。
我が一族には珍しい色の瞳ですけれど、どの方からの隔世遺伝かしら」
瞳の色が父親とも母親とも違う翡翠色というのがやや気になる点ではあったが、
元々メルヴィオンが全土を統一するまでは無数の人種・民族の小国に分かれていたロサレダ大陸では、
昔に混じり合った違う人種の血が他の家族とは異なる外見的特徴を子供に発現させる事は珍しくはない。
何も知らないエフェリーナは麻酔による眠りから覚めると男の子を抱き締めて喜び、
数日後、出征から戻ったアディラスはこの赤ん坊にラウールという名を授け我が子として認知した。
こうしてメルヴィオン聖王国の第四王子ラウール・エル・アディラスは「誕生」したのである。
モルゲグ「(これで我が一族の栄達も叶おうというもの…。
あのネイティブどもを味方に取り込めばこの国はわしの思うままじゃわい)」
マザロン「(キヒヒ…愚か者めが。
お前など所詮、我らの操り人形に過ぎぬわ)」
王家の縁戚となって権力を振るおうとするモルゲグの野望と、
そのモルゲグを利用してメルヴィオンを意のままに操ろうと考えるマザロンやネイティブの企みが、
平和だった王国をこの時期から徐々に侵食するようになって行くのであった。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板