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闘争の系統 〜ネタバレノートⅡ〜

143凱聖クールギン ◆COOLqGzyd.:2019/11/05(火) 18:20:08
***オーブ連合首長国・ヤラファス島***

ソロモン諸島に浮かぶオーブ連合首長国の本島・ヤラファス島。
その郊外に建つ一軒のアンティークな南国風の木造住宅は、
それまで空き家になっていた古い家屋を、
ある二人の科学者が買い取って住むようになったものである。

ショージ「よし、完成だ!」
チナツ「こっちもできたわ!」

屋根裏部屋を改装して作られた研究室に籠もって、
人工知能(AI)のチップを徹夜で製作していた二人の科学者は、何とまだ子供。
チナツ・リベイロとショージ・リベイロは、
14歳の中学生と11歳の小学生の姉弟であった。

チナツ「ロボットにも心の温かみを持たせる、
 新タイプの良心回路と」
ショージ「ロボットの咄嗟の判断力を高める、
 最新式の戦闘回路!」
チナツ「この二つが合わされば、
 今まで以上に凄い正義のヒーローロボットができるわね!」

チナツとショージがそれぞれ開発したのは、
ロボットの考えを司る電子頭脳の回路である。
高度に複雑な思考をし、人と変わらぬ心を持ったロボットは、
これまでにも数多く製造されているが、
二人は独自の発想から、今までとは一味違ったシステムで新AIを設計し、
ロボット工学の更なる新境地を開いたのであった。

ショージ「なあ姉ちゃん。
 これで天国の父さんと母さんも喜んでくれるかなあ…」
チナツ「そうね。コーディネイターとして生まれたからには、
 自分の力をどんどん発揮して世の中の役に立ってほしいって、
 パパは言ってたもんね…」

チナツとショージは、南米の小国フェルコーナ出身の日系人で、
二人とも遺伝子調整によって生まれたコーディネイターである。
姉弟で髪や瞳の色などの外見が全く違うのも、
この歳で既に大人の一流科学者も顔負けの高い知能を持っているのも、
遺伝子をそのように人為的に操作されたからという面が大きい。
だが、ロゴス派の国家であるフェルコーナではコーディネイターは迫害されてしまい、
幼くして両親を失った二人はコーディネイターを受け入れているオーブへ亡命。
今はオーブ政府に科学者としての才能を認められて国の保護を受けながら、
ここで様々な研究に打ち込んでいる。

ショージ「でもやっぱり難しいよな。
 一応形にはなったけど、正直まだ課題はあるし…」
チナツ「いきなり完璧にはできないのは仕方ないわ。
 一度スミス博士に見てもらって、
 もっと良くするにはどうしたらいいかご指南をいただきましょう」

二人の師匠は、アメリカ人の天才科学者で、
日本の戸隠流忍者とも以前から交流のあるスミス博士。
いくら先天的な素質があってもまだ子供で学ぶべきことの多い二人は、
科学界の大御所であるスミスから色々な教えを受けながら成長しているのである。

スミス「やあチナツ、ショージ。
 前に言っていた新回路がもう完成したのかい?」
チナツ「ええ。でもまだ足りない点がいくつかあって、
 博士に教えていただきたいと思いまして」
ショージ「近々、また会いに行ってもいいですか?」
スミス「OK。私は今、学会でベルギーのブリュッセルにいるんだが、
 学会が終われば予定は空くからね。
 君たちもベルギーまで来れるかな?」
チナツ「はい! すぐ行きます」

TV画面を使ったビデオチャットでスミス博士とやり取りしたチナツとショージは、
完成したばかりの新回路を持ってベルギーへ向かうことにした。

アナウンサー「次のニュースです。
 太平洋戦争で撃沈された旧日本軍の軍艦・丹波が、
 フィリピン沖の海底で発見されました」

スミスとの通話を切って通常の放送に替わったTVでは、
発見された日本海軍の軍艦が陸に引き揚げられる様子が生中継されている。
日系の移民が多いオーブでは、こうした日本関連の報道も少なくない。

リポーター「ご覧いただけますでしょうか。
 丹波は一部が砲撃で破損していますが保存状態は極めて良く…きゃっ!?」
ショージ「な…何だ!?」
チナツ「どうしたのかしら?」

女性リポーターの突然の悲鳴と共に、
急に画面が暗転して中継が途切れてしまった。


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