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闘争の系統 〜ネタバレノート〜
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ラウール「…とは言え、具体的にはどうしたらいいんだろう。
できるだけ早く兵を集めて黒三日月隊に戦いを挑みたいところだけど…」
ナレイン「ひとまず、いつまでもこのような所にいては危険です。
敵は恐らく捕虜の尋問などから、
殿下がこのカレブ山におられるという情報を掴んだと思われます。
差し向けた刺客が倒されたとなれば、今度は軍勢を大挙送って来るかも知れません」
キクマル「ここへ来る途中で通った村では、
殿下の首に多額の賞金をかけるという告知が人々にされており申した。
黒三日月隊のみならず、金に目が眩んだ不埒者による落武者狩りも警戒せねばなりませぬ」
ラウール「こんな少人数で野外にいたんじゃ、
いつ敵に襲われてもおかしくない。
まずはどこか近くの城か砦に入って安全を確保して、
そこで味方を募るようにしないといけないな」
ナレイン「仰せの通りですが、
遺憾ながらこの亡国寸前の状況では寝返って殿下を敵に売り渡す者が現れぬとも限らず、
どこへ身を寄せるかは慎重に考えなければなりません」
黒三日月隊の強さがここまで圧倒的で、国の総大将たる国王も既に敗死しており、
しかもラウールを捕縛すれば黒三日月隊から報酬が貰えるという状況では、
逃げて来たラウールを匿うどころか、捕らえて敵に差し出してしまう者が現れてもおかしくはない。
各州の領主や騎士や役人らはこれまで忠実に王家に仕えてきた家臣達ではあるものの、
絶望的な窮状に陥った今のラウールを皆が絶対に裏切らずに守ってくれるという性善説を迂闊に信じるのは、
この場合には危険性が高いと認識しておくべきだろう。
ラウール「レミーナなら、例えどんな状況でも僕を裏切るはずがない。
ラプエンテ家の領地に逃げ込んでレミーナの助けを借りるのはどうだろう?」
キクマル「確かにレミーナ殿ならば安心ではありまするが、
ここからイマレス州へ向かうとなると、
最初に決戦があったトリスタン平原の付近を通らねばなりませぬ。
あの辺りは既に黒三日月隊の占領地となっておりますれば、
敵の真っ只中を突っ切る事になりあまりに危険かと…」
ラウール「う〜ん、駄目か…」
ラウールの従姉のレミーナが中心となって束ねているラプエンテ家は、
海を挟んでクレプス大陸と対峙し、東の国防の最前線を担ってきたメルヴィオン屈指の有力貴族である。
兵力も申し分なく、レミーナとラウールの個人的な絆を考えても十分に信頼できるが、
黒三日月隊との位置関係上、レミーナの元へ行くには敵の目と鼻の先を通過せねばならず、
途中で敵に捕らえられてしまう確率が非常に高い。
リンディ「…あっ、そうだわ!」
ラウール「どうした? リンディ」
果たしてどこへ逃げるべきかと皆が考え込んでいたその時、
ずっと黙っていたリンディが、急に何かを閃いたようにぽんと一つ手を叩いた。
リンディ「ねえラウール兄様! 絶対に信じて大丈夫な人が、
レミーナ姉様の他にもう一人、もっとこの近くにいるわ。
ほら、ネムスの森にいるエスメラさん!」
ラウール「あっ…!」
ラウールもナレインもキクマルも、
これには虚を突かれた様子で一斉に顔を見合わせた。
リンディが「エスメラさん」と親しみを込めて呼ぶのは、
アディラス十六世の側室で、リンディの生みの親でもあるエスメラ・アルストンの事である。
ラウール「そうだ…そうだよ!
この近くのネムスの森に、ちゃんと味方になってくれる人がいるじゃないか!」
キクマル「確かに、王女様のお母上様ならば万が一にも間違いはござりますまい。
いやはや、これは名案にござるな!」
ナレイン「私も全面的に賛成です。
ネムスの森ならば敵軍に占拠された王都とは逆方向な上、
ここから二日もあれば辿り着ける距離。
まずはエスメラ様にお願い申し上げてしばらく匿っていただき、
その間に今後の策を練りましょう」
ラウール「よし…。ネムスの森へ急ごう!」
人間とエルフ族のハーフであるエスメラはリンディを産んで間もなく王宮を退き、
今はこのカレブ山の南西にあるネムスと呼ばれる深い森の中に庵を結んで、
俗世とは距離を置きながら静かに暮らしている。
こうしてカレブ山を後にしたラウール達はネムスの森を目指して急いだのであった。
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