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ネ申記事書き起こしスレ

246品川:2007/11/26(月) 08:13:08
慶太郎は激痛に悲鳴をあげながら、夢を見ていた。それは正確には夢ではないのかもしれない。幻覚だったのかもしれない。とにもかくにも見ていた。
円形の部屋。円筒形といおうか。天井は高すぎてよく見えない。ぐるりと取り囲む壁に13のドアがある。ここはどこなんだろう。生温かい空気が心地よくもありながら、少し嫌悪感も覚える。
ここはどこだ。ふと気づくと、上品な赤いシルクハットをかぶり黒い毛皮のコートを着たウサギがこちらを見て、立っている。二足歩行のウサギだ。ずいぶんと、偉そうだなと感じた。なんだあいつは。ウサギは何か言っている。よく聞こえないが、おそらく何かを言っているのだろう。
そんな力を持った覚えはないが、不思議と理解できる気がした。どこかのドアを開けろと言っているのだ。なるほど。なるほどドアをね。とそこで、自分が何かを探していることを思い出した。ウサギに、どこにあるのか聞いてみたが、聞きながら自分でも何を探しているのかわからずに聞くことの矛盾は感じた。ウサギは答えない。
しかたがないのでどれかドアを選んで開けなくてはいけないなと思った。そういうルールなのだなと。そして、どれを開くかがおそらく大事なのだ。ドアにはプレートが張ってあり1から13のドアまである。4…。4のドア。はどうだろう。4は好きな数字だからな。いや、でもなんだか違うか。どれだろう。1からずっと見ていくと13のドアだけ少し雰囲気が違うか気がした。何が違うのか。違和感。乱雑な部屋の一部分だけが妙に片づいているような、違和感。あるはずのものがないような。ないはずのものがあるような。そんな違和感にひきずりこまれるように、そのドアの前に立っていた。
ドアノブをつかむ。手にびっしょりと汗をかいていることに気づく。なんだっていうんだ。おそるおそるノブをひねり、少しずつ、あくまでもゆっくりドアを開ける。そのドアの先に何があるのか。隙間から覗き込んでやろう…と思ったその時だった。
「アアッ!!」
体が恐怖で反射的にそこを飛び退いた。その隙間から、そのドアの向こう側から同じように覗き込もうとする顔と、目があったのだ。息が上がる。誰だ?誰だったんだ今のは。息が上がる。今至近距離で僕を覗き込んだのは…。冷静になれ。そうだ。冷静になって思い出しわかった。覗き込んだのは、自分自身だった。そう。なんのことはない。ドアを開けたところに鏡があっただけだ。


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