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ネ申記事書き起こしスレ

188駒込:2007/08/25(土) 22:43:39
沢村光次は子供のころから改造をするのが好きだった。小学4年生の夏休みの自由研究では、父からもらった懐中時計に車輪とモーターを付けた「自走時計」を提唱したが、担任およびクラスメートの理解は得られなかった。沢村としては、時という概念の持つ強力な不可逆性を示し、それを捕らえようとする人間の滑稽さを浮き彫りにした痛快でシニカルなアートのつもりであったが、担任の「真面目にやれ」の一言が沢村の自尊心を深く傷つけ、大衆的で下世話な感覚しか持ち合わせない人間社会への痛烈な不信感をつのらせる結果となった。沢村はその後高校に進学。在学中に、歯ブラシのブラシ部分を全て光ファイバーで製造した「飲み込まれる情報〜人間の進化の副産物としての精神的汚濁あるいは浄化への哀れな懇願〜」を制作。技術家庭の時間にクラスメートがはんだづけにいそしむさなか、全く独自のカリキュラムから成し遂げられたその授業成果に対し、教師は鉄拳というごほうびを見舞った。この時点で完全にふてくされた沢村は、心の光をそのままに世界に投影することに絶望し、そこにプリズムをおいて光を分解していくことを決意。バイクの修理工として小さなバイク屋に就職した。黙々と油にまみれて実直に仕事をこなしていく毎日。「これは、ゆるやかな自殺である」という詩を毎日日記につづった。そんななか、沢村は改造バイクという存在にぶつかる。これは、改造といえるのか。たしかに通常の機構とは異なるが速度と威圧感ばかりにこだわるその方向性に対して疑問の念を禁じえなかった。真の改造とは何ぞや。真の改造とは、神に与えられた枠組みの中でもがきながら己の存在を叫び続けるという魂に他ならないのではないか。とすれば、この改造バイクなるものは断じて「改造」バイクなどと呼べる代物ではない!何年かぶりに心の底からわきあがる熱情に沢村は文字通り体を震わせた。沢村はバイク屋をやめて自室にこもり、ネット上にサイトを立ち上げて店を構えた。「改造屋」。 だか案の定、説明不足な沢村のサイトには、アクセスこそあれど、仕事依頼は皆無だった。貯金を食いつぶし、21世紀日本にレアな餓死へと一直線。まだ見ぬ子、孫、面倒な未来よさらば。そう思われた矢先、一通の仕事依頼メールが届いた。「僕を改造してください。」その依頼主は、名を「大久保慶太郎」といった。


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