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【シン】出会ってしまったら【ミーア】

1名無しさんDESTINY:2007/11/08(木) 02:55:36
【シン】出会ってしまったら【ミーア】スレの避難所です。

168名無しさんDESTINY:2008/02/04(月) 22:44:52
>>167
#3


 海中から突然アビスが飛び出し、レールガンの砲門が俺に向く。PS装甲なら何とか耐えられるが、中に居る俺にはとんでもない衝撃が襲う。正直、受けたくない攻撃だ。

『させねぇよ!!』

 ヴェステンフルス隊長が、アビスに蹴りを見舞う。アビスの体制が崩れ、レールガンの軌道は俺を反れる。

『ボーっとしてんじゃねぇよインパルス!死にてぇのか!!』
「くっ…分かってるさ!!」

 ガイアが背後から迫って来る。しかし、それを牽制する様にビームが放たれる。飛行用ウィザードに換装したルナのザクだ。

「遅いぞルナ!」
『仕方ないでしょ!飛行用ウィザードなんて、使うの始めてだったのよ!?』

 これで何とか凌げる筈だ。ビームアックスで、ガイアの斬撃を受けるザク。ガイアはルナに任せよう。俺は……。

『僕は此処だよ!大人しく墜ちろっつーの!!』
「しまった……!」

 再度、海中から飛び出して来たアビスの一斉掃射だ。盾で何とか防いだが、左腕もろとも持って行かれた。

「くそっ!お前はっ!!」

 ビームライフルで応戦するも、すぐに海中に潜られて避けられる。ビームじゃ水中迄は届かない…かといって、水中戦に特化したアビスに水中戦を挑むのは自殺行為だ。そもそも、インパルスに水中用の装備なんか無い。
 次に飛び出して来た時に叩く以外は、手段は無いのか。

「ルナ、大丈夫か!」
『あんまり大丈夫じゃない!早く助けて!!』

 ルナの腕が劣っている訳でもなく、ただ単にスペックの差が出てるだけだ。俺が来た事を察知したガイアが、獣型に変形し、ビームの刃を帯びた翼で両断しに掛かって来た。

169名無しさんDESTINY:2008/02/04(月) 22:46:25
>>168
#4


 盾は吹き飛んだし、ビームサーベルで受け切れる様な容易い武装でもない。

『でええぇぇぇぇぇぇえい!!』
「っ…!?分離!」

 間一髪で上半身とレッグフライヤーで分離する。レッグフライヤーが無惨に両断され、爆散した。
 でも、仕止められなかったのは痛かったな!

「当たれっ!」
『私が…こんなっ!?』

 コクピットは外した。だが、腰の辺り…スラスターを射抜く事は出来た。これで奴のスピードはある程度殺せた筈だ。

『ステラ!…ったく、今行くから待ってろ!!スティング、ガイアはちょっとヤバめだ。退いた方が良いんじゃない?』
『チッ…確かに、数で劣っちまってるからな。艦長、ファントムペイン、これより帰投する!』

 奴等が一斉に此方に背を向けて行く。撤退するつもりか?
 アビスがダメージを受けたガイアを連れて行く。

「逃がすもんか………」
『馬鹿野郎!その状態で深追いするんじゃねぇ!!』
「………っ!?」

 確かに…アイツの言う通りか…。今は突っ切る事が任務だ。
 これ以上は戦闘を続ける必要は無いな。今更気付いた事だが、バッテリーがもう僅かしか残っていない。

『ミネルバより通達、これより戦線を離脱する。MS隊、これより帰投せよ。』
「了解、インパルス…これより帰投します。」

 ひとまず、俺達はミネルバに帰投する事にした。

170名無しさんDESTINY:2008/02/14(木) 22:33:11
2ch書けねぇ…Ⅲorz
いったいどうしたんだろう?

171名無しさんDESTINY:2008/02/15(金) 23:35:33
書けたー
良かったー……

172名無しさんDESTINY:2008/03/18(火) 23:00:55
新シャア、新スレ立てといた

173名無しさんDESTINY:2008/03/26(水) 02:46:55
嘘だろ…また落ちた!?

174名無しさんDESTINY:2008/03/26(水) 09:26:00
スレ乱立の煽り受けた模様
新スレ
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1206491085/

175名無しさんDESTINY:2008/03/27(木) 02:06:35
>>174
あんたって乙はー!

176戦後 シン×ミーア 8:2008/04/07(月) 04:28:53
シンは翌日花を一本買ってから病室に向かった。


女性に花を送るなど、母の誕生日以来でどんな花を選べばいいのか分からなかったが、
何も無い病室には色があった方がいいと思えたのだ。

花の名前はよく知らない。
花屋に入って適当に決めようと思っていたら、案外種類が多くて迷ってしまい、
結局オレンジ色の薔薇を選んだ。

入院中の人に上げるのだと伝えたら切花よりも鉢植えの方がいいと言われて驚いた。
オーブでは鉢植えの方が縁起が悪いといわれていたのだが、プラントでは切花は直ぐに
枯れてしまう事が命の終わりを示唆しているようで縁起が悪いという考え方なのだ。
ものは考えようとはよく言ったものだとシンは思ったが、悩んだ末、結局切花を選んだ。
ミーアはプラント出身の為彼女の常識に合わせるのならば鉢植えの方がいいのだろうが、
一つの花がずっとあるよりも、枯れてしまった時に別の花に変えた方が気が紛れる
ように思ったのだ。

彼女があとどれ位入院の必要があるのかシンにも分からなかったから。



シンが真剣に悩んで一輪を選んだため、店員も気を遣ってくれたのだろう。
丁寧にラッピングされ、更に水色のリボンまでつけて貰えたのを見た時、少し複雑な
心境になった。

一体この店員は俺が誰に渡すつもりで作業してるんだろう・・・・。

勿論、それを尋ねるのはおかしな事なのでシンも何も言わずに花を受け取ると病院に向かった。


ミーアにも何て言われるだろう・・・・・。

177戦後 シン×ミーア 8:2008/04/07(月) 04:30:23
突然の行為に笑われそうで、買ってから病院に到着するまでの間、後悔を繰り返す。
(その前に花はどんな風に持って歩けばいいんだろうと真剣に悩んだが、
結局普通どおりに歩く事にした)

余計な事をしてるかもしれない。
昨日、泣いた事への誤魔化しのように感じられるかもしれない。
(いや、少しはそういう気持ちはあるが)
感謝以上の感情を意識されるかもしれない。


いやいやいやいやいや・・・・。


流石にそれは自分の考えすぎかもしれないと恥ずかしくなりながらノックをし、
病室の扉を開ける。

「おはようございます。シン・アスカです」
「あ、・・・シン」

いつも通り入り口で敬礼してから中に入ると、少しうとうとしていたミーアがはっと
気付いて目覚めてシンを見る。

「・・・寝てたのか?」
「うん・・・。おはよう」

近付いて来たシンが花を持っている事に気付く。
綺麗なリボンまでつけている一輪の薔薇にミーアは小首を傾げた。
シンもミーアの視線を辿り、薔薇を持っていた事を思い出して少し唇を尖らせて口を
開いた。

「・・・・・花くらい、あった方がいいと思って・・・・」

色々と渡す時の言葉を考えていたのだが、結局訳が分からない言い訳じみた物になる。
思わず視線を外してしまうと、ミーアからの返答が無い。

一体何なんだとシンは沈黙に負けてミーアに視線を戻すと、きょとんとした表情を
見せていた。

「な、なんだよ」
「え?」

178戦後 シン×ミーア 8:2008/04/07(月) 04:31:45
ミーアの反応の意味が分からないシンが更に口を尖らせると、ミーアは僅かに首を傾げる。
話が分かっていないようだ。

「あの・・・・」
「シン?」
「・・・・・これ、・・・・俺が買って来たんだよ」
「そうなんだ。誰にあげるの?」


・・・・・・・っ!!!


シンが顔を真っ赤にし、息を呑む。
怒ったような反応にミーアはそこで初めて自分にと、シンが買って来てくれたのだと
気付く。

「え!?あ、あたしに!?」
「他に誰が居るんだよ!!」
「・・・・えっと・・・・病院に綺麗な人が居たとか・・・・?」

このフロア以外動いた事がないミーアには階下がどうなっているのか分からない。
どれくらいの規模の病院なのかは窓からの景色で何となく分かるが、此処が何階の病室
なのかもミーアは知らなかった。

大きな病院であれば綺麗な女の人だって居る事だろう。

シンは心臓を鷲掴みにされたような気分になって奥歯を噛み締める。
昨日の感謝の気持ちだと勘違いされないかと先程まで心配していた自分が馬鹿みたいに
感じた。

どうしてこんなに胸がぎりぎり痛いんだろう。

無性に悔しくなって背を向ける。


「いらないなら・・・・いい」


ゴミ箱にでも捨ててやる。

179戦後 シン×ミーア 8:2008/04/07(月) 04:33:25
ゴミ箱目指して歩き始めたシンにミーアも気付いて慌てて声を上げる。

「ごめんね!貰う!貰うから!」
「いいよ!」

自棄になってゴミ箱の前に立った時、背後で大きな物音がした。
驚いて振り返るとミーアがベッドの脇の椅子にぶつかってから落ちたのか、椅子が変な
方向を向いていて、床にはミーアが倒れていた。
これには流石にぞっとしてシンが駆け寄ると、ミーアは痛みに顔を歪めている。
薔薇を放り出して椅子を動かすと、ミーアを抱き上げる。

「おい!・・・おい!」
「ごめんね・・・?」

シンに抱き上げられた事で気がついたミーアがシンを見上げて謝罪する。

「・・・・・此処までする事ないだろ!」
「此処までしないと止めてくれないでしょ!」

まさか大声で怒られると思っていなかったシンは、うっと言葉に詰まる。
しかし、直ぐにそっぽを向く。
言い返したいが、自分が強引な事をしたのも確かなので何も言えない。

「気付かなかったのは本当にごめんなさい。・・・・でも、それで花を捨てるのは
いけないと思う。シンはずっと地球に居たって言うから知らないかもしれないけど、
プラントで切花って高いんだから!」
「・・・・は?」

なんだか怒っている方向が違うような気がすると、シンは呆気に取られて思わず聞き返すと、
ミーアは怒ったままで話を進める。

「プラントでは道端の花も摘んじゃいけないのは知ってるでしょ?プラントで道端に花が
咲くってすごい事なんだから」

生き物一つ育てる事が難しいプラントで、切花一つ捨てるのがいかに酷い事か。

言われて。

シンはぐっと声を詰まらせてからゆっくりと息を吐き、頭を垂れ、ミーアの肩に頭を乗せる。

180戦後 シン×ミーア 8:2008/04/07(月) 04:35:22
「・・・・ごめん」
「あたしも、ごめんね」
「・・・・・・俺、あんたの護衛なんだけどな・・・・・・」

ベッドから落ちるなんて反則だ。

情けないと弱音を吐きそうになるが、直ぐに気を取り直して顔を上げ、
ミーアを抱き上げてベッドに戻す。
ミーアも手伝ってシーツをかけると、ミーアが「お花、頂戴」と、手を伸ばす。

思い出して放り投げた薔薇を拾うとミーアに渡し、椅子を戻して腰掛ける。

「ありがとう。オレンジの薔薇・・・・・。どういう意味なのかな?」
「・・・・花言葉とかだったら俺知らないよ」
「あたしも。そんなに詳しくないなぁ」

嬉しそうに、じっと薔薇から目を放さずミーアが笑っている姿を見ると、
それだけでシンも嬉しくなった。

暫く薔薇を見つめていたミーアがふと、眉を顰めた。
その変化に気付いたシンも少しだけ首を傾げる。

「どうかしたのか?」
「・・・・・え・・・・。あ、うん・・・・。だ、大丈夫」

戸惑った返事はどう考えても「大丈夫」には聴こえない。
シンは明らかに眉を顰めると、咎める視線をミーアに向ける。

「大丈夫じゃ、ないだろ」

強く断言すると、ミーアは更に動揺して困ったように笑うと、恥ずかしそうに俯いて
口を開いた。

「思い出せないなぁ・・・って、思って。前に月でアスランに貰った花の色が、
思い出せないの。この間は思い出せたのにな・・・。その前にコンサートで貰った花の色は
ピンク色が中心だったなぁって思い出せるのに・・・・。で、でもまた暫くしたら
思い出せると思う!」

でも、今日貰った薔薇の色、忘れたら、ごめんね。

181戦後 シン×ミーア 8:2008/04/07(月) 04:37:02
悲しみを堪えた笑顔で謝罪され、シンは思い出す。
これまでミーアは過去の事、記憶の事に付いて何も言わなかったから。

医師の報告は毎日のように受けていたため、カウンセリング中の話を聴く事はあっても
その時のミーアの様子までは特に気に掛けた事が無かった。
まるで記憶が消えてしまう事など自分は気にしていないと振舞おうとするミーアに、
シンは無言で立ち上がった。

「シン?」
「・・・・・良く考えたら花瓶が無かった。買ってくる」
「うん」

時間を確認して医師や看護士がやってこない時間である事を確認すると、
シンは鍵を掛けて病室を出ると、院内にある小さな店に向かう。
病院内で必要そうな物は大抵揃っている。
勿論、花瓶も此処に売られている事をシンは知っていた。

購入する物は花瓶も勿論だが、店内をざっと見渡して他にも必要な物を集める。
帰り道は携帯である場所に電話をしながら戻る。

ミーアはてっきり花瓶のみ買ってくるかと思っていたので、ベッドの上のテーブルに
色々物が置かれていく事に驚く。

「これは・・・・・?」
「日記帳。・・・・・・・・忘れたくなければ、書いて置かばいいだろ。それと・・・」

シンは自分の携帯付属のカメラを構えてミーアと薔薇を一緒に撮影する。

「へ!?」
「俺が撮るなら、写真は撮って良いって上に連絡したから」

カメラをミーアに渡す事は出来ないが、ミーアの代わりに撮影する事は出来る。

これで今日の薔薇の色をミーアは忘れない。

シンの言葉の裏に隠された意味に、ミーアはくしゃりと顔を顰め、嬉しそうに、
困ったように笑った。
一瞬泣かれるかと思ったが、それは堪えたようだ。

ミーアは替わりに掠れた声で小さく「ありがとう」と、搾り出すように呟き、
シンはその表情がとても可愛らしく思えて、もう一度、写真に収めた。



<続>

182戦後 シン×ミーア 8:2008/04/07(月) 04:44:35
前回もGJありがとうございました。

本スレが人多すぎ状態に2週間なっているのですが(現在進行形)
これは自分のPCに問題があるのか・・・・。

遅くなりまして申し訳ありません。
今後の流れを考えていて、暫く悩んでました。

出すメンバーはアスラン、ラクス、メイリン、ルナマリア、イザーク、ディアッカ、シホになりそうです。
(まだ迷ってますが)
レイは生きてるのか死んでるのか考えてません。どっちでもいいです。

そしてまとめサイトに自分の話が追加されるのを見るとどきどきします。
ありがとうございます。

183名無しさんDESTINY:2008/04/08(火) 23:23:30
GJ!!
続きを期待してます

184戦中 シン×ミーア:2008/04/09(水) 00:04:19
注)ラクス=ミーアとして読んで下さい。


ミネルバにラクス・クラインがやって来た。

アスランが所属する艦に暫く滞在したいという我侭を言った彼女の願いは最高評議会議
長の快諾によって実現された。
この決定に最初に抗議の声を上げたのはアスランだったが、アスラン以外の皆は歓迎し
たので彼の反論の声は大きな歓声によって掻き消されてしまった。

それから毎日のようにアスランはラクスに振り回され、次第に疲れた表情を見せ始める。
ラクスは何かと「アスラン、アスラン」と、まるで親鳥にくっつく雛鳥のように後ろを
離れず、仕事の話をしていても途中で邪魔されること等いつものようにあるのだ。

時々そんな様子を見かけたシンは「婚約者を持つって大変なんだな」と、思いつつ我関
せずの態度をとっていた。
実際、アスランに近付きたいと思わないし、アスランに近付かなければあの大胆で元気
なお姫様にも気に掛けられる事はない。

しかしシン以外には被害者が多く居るようで、食事の度にルナマリアが「ラクス様って、
こんなに非常識な方だと思ってなかった!」と、頬を膨らませていて、隣のメイリンが
「お姉ちゃん、アスランさんと打ち合わせしてたの邪魔されて機嫌悪いの」と、
こっそり耳打ちしてくれた。
アスランの機体も担当しているヴィーノとヨウランは喜んでいたが。

とんでもない事になったのは確かかもしれないとシンも漸く思い始めた時に、今日も疲
れたアスランに呼び止められた。
隣にはアスランの腕にしっかりとしがみ付いたラクス・クライン。

185戦中 シン×ミーア:2008/04/09(水) 00:06:57
近くで見ると確かに可愛いと思う。
健康そうな笑顔を向けられると恥ずかしくなってどういう表情を返せばいいのか悩んで
しまう。


「なんスか?」


なるべく素っ気無く応えると、アスランが自分の腕にしがみ付いているラクスを引き剥
がし、申し訳なさそうにシンを見た。

「今夜、ミ・・ラクスの相手をしてやってくれないか?タリア艦長には話を付けている
から」
「は!?」
「えー!!」

驚いたシンに、不満そうなラクス。
本当に困った表情のアスランは更に眉尻を下げてラクスを見る。

「ミ・・・い、いやラクス。今夜中に仕上げなければならない書類がありますから。話
し相手にはシンがなってくれます」
「ちょ・・・!何勝手に決めてるんだよ!」

ラクスには丁寧な態度のアスランに不満そうにシンが声を上げると、アスランはシンに
も申し訳なさそうに目を伏せる。

「本当に悪いと思っている。しかし、ラクスを一人にする訳にも行かないだろう?勝手
にふらふら歩き回って迷子になられても困る。機密区域に迷い込まれても困る。更に変
な事態になっても困る。お前なら、信用出来ると思って」

信用されていると言われると嬉しくなるのは当然の反応か。

日頃アスランとは対立する事が多いが、素直に、恐縮そうに頼みごとをされ、更には
「信用している」といわれれば悪い気はしない。
確かにラクス・クラインが艦内にいるという事で、日頃は口に出さないような下世話な
会話をする人間も出てきているような気がする。
そんな原因の彼女を一人にする訳にもいかず、だからといって仕事も疎かに出来ないの
だろう。

186戦中 シン×ミーア:2008/04/09(水) 00:09:05
少し浮き上がった気持ちを抑えるようにそっぽを向くと、ちらりと横目でラクスの様子
を確認する。



目が合った。



ラクスはじっとシンを見つめていたかと思うと、アスランの傍から離れ、シンを髪の毛
の先から爪先までじっくりと観察すると、シンの真正面に回ってにっこりと笑い、アス
ランを振り返った。

「アスラン。この子とっても綺麗ですわね☆」
「・ラ・・ラクス・・・・それは彼にとって褒め言葉ではないと思います」
「そう?でも彼だったら話し相手でもいいですわ☆」

アスランはラクスが納得した事に安心したのか、ほっと息を吐く。

「ちょっと!」
「えっと・・・シン?わたくしがお話し相手では・・・・ダメ?」

左手を両手で掴まれ(更に指まで絡めてきた)見上げられるとシンは真っ赤になって思
わず後退りする。

「アスラン!あんたの婚約者でしょ!この人!」
「・・・・・すまん。ミ・・・ラクスが迷惑を掛けると思うが、今晩だけの辛抱だと
思って耐えてくれ」

俺は本当に仕事があるから!

アスランが逃げるようにその場から立ち去り、ラクスはそんなアスランの背に手を振って
見送る。

いきなり渡された荷物(それも強制的に)の大きさに驚き、固まったシンがラクスを
見下ろす。
シンの視線に気付いたラクスがシンを見上げる。

目が合うと、また、彼女は笑う。

187戦中 シン×ミーア:2008/04/09(水) 00:10:37
「あの・・・ラクス・・・様?」
「はい?」
「これから何処に行くつもりですか?」
「わたくしのお部屋に行きましょう」
「は!?」
「人が多いところでは目立ってしまいますもの」


さぁさぁと、シンはラクスに手を引かれ、半ば強引に彼女の部屋に招待された。
士官クラスの部屋が彼女には与えられていて、部屋全体の広さ自体がシンとレイの部屋
よりも大きい。
応接セットの二人がけのソファに座るように言われて座ると、ラクスが飲み物を用意し
(どうやら彼女の部屋には冷蔵庫まであるらしい)シンに渡すと直ぐ隣に座る。

てっきり向かいに座ると思っていたシンは彼女のこの行動に硬直し、「あ、あの!」と、
声を上げるが彼女は気にした風も無かった。

「いいんですか!?婚約者が居るでしょう!?」
「ねぇ、シン。話し方フランクにしてもいい?」
「・・・いいですけど・・・」

話が噛み合わないとヤキモキしているとラクスは「ありがとう」とにっこりと笑うと更
に身を乗り出してシンに顔を近付ける。
女性の顔がこんなに接近してきた事など初めてなシンは、ソファの上ギリギリまで逃げ
るように背を逸らすと、次第に顔を真っ赤にさせていく。

「な、なんですか!」
「シンの瞳の赤が綺麗だなぁと思って。どんな風になってるんだろう・・・・・」

赤い瞳の子は初めて見るの。

じっと覗き込む視線にシンは耐えられない。
僅かでも動くと二の腕にラクスの豊潤な胸が触れる。
彼女が僅かでも顔を動かせば、甘い香りが鼻腔をくすぐる。

女の子特有の。
甘くて溶けてしまいそうな、香り。

188戦中 シン×ミーア:2008/04/09(水) 00:12:40
シンにしてみれば、ラクスの深い蒼の方がずっと綺麗に見える。
透き通った深海に眠るサファイアのような瞳。
シンの左右の瞳を見るたびに動く瞳が光彩を変えて揺れる。

潤んで見える瞳はキラキラとしていてシンは息を呑むしかなかった。

この人はアスランの婚約者、この人はアスランの婚約者、この人はアスランの婚約者・・・・。

念じる事でこの甘い匂いと魅惑的な瞳から逃れようとするが、鼓動までは抑えきれない。
口から音が漏れそうな程どきどきしていると、彼女がふっと笑ってシンにだけ聴こえる
ように(二人しかこの部屋には居ないのに、だ)小さく口を開く。

「・・・・・・・まるで、キスする直前みたい」
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

もうこの人どうにかしてくれ!!!!

きっと彼女は無意識なのだろう。
言葉の後の唇が少し開いていて、まるで誘っているようにも見えるのも、きっと無意識。

シンはただじっとラクスを見つめ返し、しかし彼女の無意識の誘惑に堪え切れずに
コクリ・・・と、喉を鳴らした。

「シンは・・・・キス、したことある?」
「へぇ!?」
「無いの?」
「な、何で答えなきゃならないんですか!」
「どんな感じなのかなぁと思って」

考え事をし始めた彼女はそこでシンへの興味が薄くなったのか、前のめりになっていた
体勢を戻す。
シンもそれにより漸く普通どおりに腰掛けると、ほっと安心する。

そして隣をそっと盗み見ると、ラクスがシンを上目がちに見つめている。


女の子のこの仕草は本当に反則だと思う。
そのままでも可愛い女の子が、更に甘えるような視線で見上げてくるのだ。


どきどきが、止まらない・・・・!!!

189戦中 シン×ミーア:2008/04/09(水) 00:14:34
シンはこの無言の空気に堪えられず、思わず反射的に口を開く。

「・・・・キスくらい、してるでしょ?婚約者なんだし・・・・」

アスランと。

こんな事聞いてどうするんだろうと思いながら、発した言葉は戻せない。
これからの話の展開に少し後悔しつつ返事を待つと、ラクスはシンの予想とは違って
ぷっくりと頬を膨らませた。

「したこと無いわ。アスランってばお固いんだもの。頑張って、せいぜいハグくらい」
「・・・・そ、そうなんですか?」

こんなに可愛い婚約者が、四六時中あれだけくっついているというのに、キスの一つも
していないとなると、余程アスランの頭が固いのか、それとも不能のどちらかとしか考
えられない。

「ねぇ、どうしたらキスして貰えると思う?」
「・・・・・・・さ、さぁ」

経験のないシンとしては、聞かれても困る。

「じゃあ、シンだったら、女の子のどういう仕草を見たらキスしたくなる?」
「自分は・・・・・」
「自分は・・・?」

聞かれている内容が内容のため、シンも恥ずかしさで赤くなる。
体温は急上昇しっぱなしで心臓は落ち着く暇も無い。
男同士で聞かれているのとは訳が違う。
日頃ありえないような状況を冗談で語って、笑い飛ばすような雰囲気でもない。

どう逃げ切ればいいんだろうと、ラクスを振り返った時。



彼女は、目を閉じて顎を少し上げ、唇を強調する仕草をしていた。

190戦中 シン×ミーア:2008/04/09(水) 00:16:16
そう。

キスを催促するような、仕草。



「あ、あの!?」
「キス、して?」

胸を撃ち抜かれたような衝撃が心臓に走り、シンの体中の血液が沸騰しているのかと
勘違いするほど体が熱くなる。


プラント中の人間が認めるアイドルが。
自分の目の前で目を閉じて唇を差し出している。

おまけに「キス、して?」だ。

甘ったるくゆったりと響いたその声で。
プラント中の人間が癒されるその声で。

自分にだけ囁く響きで。




催促されて、断れる男が居るかコノヤロ―――――――――――――!!!
アスランあんた馬鹿ですか!
こんな可愛い催促されてなんでやってないんですか!
アンタがキスしてないから俺が今こんな事言われてるんですよ!
いいんですか!
問題じゃないんですか!?
アンタがこの人の欲求不満解消しなくてどうするんですか!!!




思い切りアスランに対する暴言を心の中で駆け巡らせ、シンは恐る恐る彼女の肩に手を
置く。

細い肩。
強く握り締めたら折れそうで思わず触れた手を引いてしまいそうになる。
しかし、完全に離すには勿体無くて。

191戦中 シン×ミーア:2008/04/09(水) 00:18:04
シンもまた目を閉じ、僅かに顔を傾け、近付き・・・・・・・。



ラクスの体を押すことで引き離した。



「シン?」
「か・・・・かなりぐらぐら来ました。・・・・それでアスランに迫ればいいんじゃ
ないですか・・・・・?」


自分の理性の辛勝に、シンは心の中で涙した。
安堵の涙でもあり、悔し涙でもある。
今の顔だけはどうしても彼女に見られたくなくて俯いて告げると、ラクスからの返答が
無い。

笑われるかもしれない。
怒るかもしれない。

ラクスが何を思ってそんな事をしているのかよく分からないシンには返事が怖い。

沈黙が続いても顔だけは上げられない。
もう肩に置いた手は放した方がいいだろうかと、恐る恐る手を放して自分の膝の上に
置くと、空気が動いたのを感じた。


視界が陰り、頬に、何かが触れた。


思わず反射的に顔を上げると、ラクスの笑顔がすぐ近くにあって、無意識に頬に手を
当てると、ラクスは更に小首を傾げて微笑んだ。

「ありがとう。シン」

ソレは、お礼。

シンが押さえている頬を指で差しラクスが微笑むが、シンは直ぐには反応できなかった。

192戦中 シン×ミーア:2008/04/09(水) 00:19:13
やはり、先程頬に触れたのは彼女の唇だったのだ。


「・・・・・え?」
「偉いなぁと思って。手が汗で濡れてたから。・・・緊張した?」
「・・・・・かなり」
「ごめんね。困らせるような事して。凄い悩んでくれたんだって分かったから、
嬉しかった」
「いえ・・・」

恥ずかしさで目を伏せると、軽やかなラクスの笑い声。
思い切り自分に経験が無いのだと教えてしまったシンは今すぐにでも帰りたかった。
しかし、シンの考えとは別に、ラクスがシンに抱き付いてきた。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「シンってば、可愛い♪」


キスをしなかった事で彼女の信頼を勝ち取ってしまったシンは、すっかり彼女に気に入
られ、振り回される一人となるようになるのは、この直ぐ後の話である。



<終>

193戦中 シン×ミーア:2008/04/09(水) 00:27:51
いつもGJありがとうございます。
まずは前回の訂正

>>181
 ×「日記帳。・・・・・・・・忘れたくなければ、書いて置かばいいだろ。それと・・・」
 ○「日記帳。・・・・・・・・忘れたくなければ、書いて置けばいいだろ。それと・・・」

 ×「俺が撮るなら、写真は撮って良いって上に連絡したから」
 ○「俺が撮るなら、写真は撮って良いって上に連絡して許可貰ったから」

いつも以上に間違えが激しかったので・・・。

今回は戦中です。
シンがラクスをミーアが演じているという事が分からない設定だった為、
文章が面倒な事になってしまいました。
読みにくくてスミマセン。

これは戦後の話とは関係ないです。
単発で書きたかったので書きました。

ミーアが攻めの方が書きたかったんです。


まとめもすぐに更新されていて驚きました。
掲載ありがとうございます。

194名無しさんDESTINY:2008/04/09(水) 01:51:54
GJ!
シンすげぇ頑張ったなwww

195名無しさんDESTINY:2008/04/09(水) 07:34:02
GJ!!

196名無しさんDESTINY:2008/06/05(木) 15:58:30
本スレどうにかならんかねぇ

197名無しさんDESTINY:2008/06/07(土) 18:44:05
戦後読みたいなぁ(´・ω・`)

198戦後 シン×ミーア 20:2008/06/12(木) 23:36:18
イザークはずっと窓の外を眺めていた。
まるでミーアを見ないその姿は彼女を拒絶しているようにも見えて、ミーアから話しか
けるのは少々憚られた。
その為イザークからの言葉を待っていたのだが、いつまでも彼からの言葉は無い。
イザークが暇ではない事もミーアは何となく予想はつくので思い切って声を掛けてみた。

「・・・・あの。アスランとは・・・お話しできたんですか?」

変な質問をしているという自覚はあったが、だからといって他の質問も思い浮かばない。
振り返ってくれるかと思ったが、イザークは依然窓の外を見たままだ。

自分の声が聴こえたのだろうかと、不安に思う頃になってイザークが一度眉間の皺を深
くして口を開いた。

「貴女の事は、家族だと思っていると言っていた」

苦々しいその声音に、イザークもまたアスランとミーアの関係を理解していないのだと
示されていてミーアは何となく俯いた。
アスランとの関係は誰かに認められたいと思っている訳ではない。
そもそもアスランとも自分たちの関係を確認した訳ではない。
「こうであればいい」という願望を、アスランもまた同じように持ってくれていた、と
いうだけなのだ。
それをたった今イザークの言葉によって確認できたというのに、他人にどう思われるの
か、という事にまで気を配る事など出来ない。

ミーアはそのまま顔を上げずに頬を膨らませた。
密かなイザークへの対抗心だが、口に出すつもりは無いらしい。

再び訪れる沈黙。

忙しいのではなかったのか。と、ミーアが不平を漏らそうかと思ったその時、イザーク
が再び口を開いた。


「悪いが、気を配るような言葉は思い浮かばん。遠回しに尋ねるのも性に合わん。だか
ら率直に尋ねる」

199戦後 シン×ミーア 20:2008/06/12(木) 23:38:01
此処で一度言葉は切られ、一呼吸置いてからイザークは再び口を開いた。

「貴女は何を企んでいる?」

話しかけられている最中からイザークを見上げていたミーアは、思いつめたように吐き
出された最後の一言を聞いて、頭の中で反芻し、眉間に皺を寄せて小首を傾げてから徐
に笑い始めた。

「笑うな!」
「だ、だ、だって・・・!それって、貴方が何かを企んでいるって言ってるのと一緒で
しょう?」

いきなりイザークが己の手の内を一部晒して来るとは思っていなかったミーアは、その
率直さが可愛らしく感じて笑いが止まらない。
しかしひとしきり笑うと、窓に向けたイザークの雰囲気が若干柔らかくなっているのを
感じる。
ギルバートの背中ばかりを見つめ、そして背中の様子でその心を探っていた頃を思い出
し、ミーアは少し懐かしく思う。

ギルバートは中々振り返ってくれなかった。

ミーアを見つめてくれる時は真っ直ぐに見つめてくれたが、自分が必要無い時には一切
振り返らず、他の者と話していた。
それだけ忙しかったのも事実だが、後で思えば自分はたったそれだけの「駒」だったの
だろう。
いつの間にか人の背中で雰囲気を読む術を覚えてしまっていたなぁと、ミーアはとうと
う笑うのを止めて再びじっとイザークの背中を見た。

もしかすると、今の言葉はイザークなりの気遣いだったのかもしれない。
恐らくイザークが何かを企んでいる、というのは間違いない。
この時期に、それも昨日はディアッカで、続けて病院に訪れるのが不自然だからといっ
てイザークが時間を割いてやって来るにはそれだけの理由が必要だ。
ある程度問わなくても分かりそうな情報を先に提示し、場を和ませるという彼の戦略に
はまったかもしれないとミーアは困ったと思いつつ、楽しくなる。

200戦後 シン×ミーア 20:2008/06/12(木) 23:39:27
ミーアがこう思えるだけの心の余裕があるのには理由がある。

大してミーアには隠し事は無いのだ。
企みと言ってもミーアが行いたい事はアスランに会って話したいという願望のみで、そ
の意向は既にイザークも知るところである。
後、イザークが知りたい内容としては「アスランと会って何を話すのか」という内容く
らいだろう。
それを何が起きたのか、と、更に深く勘繰っている時点でイザークはこの状況を深く考
えている、という事である。
流石にそれが何かを推測するには情報が足りなさ過ぎるが、ミーアはミーアが持ってい
てイザークが知らない情報を渡すか渡さないかだけを考えればいい。
逆にミーアがイザークから情報が貰えれば儲け物だと思うが、そこまで口が達者ではな
い自覚があるので、余り欲張らない方がいいだろう。


「なにも、企んでいないわ」
「・・・そのようだな。アスランは今回貴女との対面の日時を決めなかった。日時が決
まるのは明後日」
「アスランが?」


てっきり日時が決まったからこそイザークが訪れたのかと思えば、決まっていないとい
う。
これに驚いてミーアがイザークの背中を見たが、そこに何の感情も無かった。
ただ事実を告げている雰囲気にミーアは伏せ目がちになる。

「らしくないだろう?」
「え、えぇ・・・」

動揺が明らかに音になってしまったことも気にせず、ミーアは眉間に皺を寄せる。
そしてその音を聴いてイザークは一瞬背後のミーアに視線を向けようとして直ぐに窓の
外に視線を戻す。
此処でイザークは一つの確信を得て更に言葉を続ける。

「貴女はアスランが今何をしているのかご存知か?」
「何を・・・って?」
「オーブでの活動内容」

201戦後 シン×ミーア 20:2008/06/12(木) 23:41:22
ミーアは言われて記憶を辿る。
しかし、自分の記憶は色々と欠陥があり、今思い出せる範囲の記憶が正しいとも言えない。
それでも思い出せる範囲では何も知らない。

「あたしの記憶は・・・・・」
「・・・そうだったな。今は、分かるか?」

ミーアは直ぐに首を左右に振り、その後イザークはこちらを見ていないのだと思い出し
て声に出して「いいえ」と、否定した。
そして次の瞬間には顔を上げ、イザークの背中をひたと見る。

「あたしの言葉を信じていいの?」
「貴女が心配する事ではない。それを判断するのが俺の仕事だ」

ミーアの言葉が正しいか、正しくないか、嘘をついていないか本当の事を語っているのか。
それは全てイザーク自身で判断する事なのだと言われ、ミーアは軽く目を見張る。

「・・・だから、さっきから窓の外を見ているの?」

言葉、声音でミーアの言葉の正否を判断する為に。
彼女の言葉を聞いて、イザークは眉間の皺を深くし、小さく舌打ちをした。
その声を聞いて自分の想像が正しいのだと気付いたミーアは困ったように微笑んだ。

「随分信頼されてないね、あたし」
「されていると思うほうがおかしい」
「・・・そうね」

自分の現在の立場を考えたら信頼して欲しいという言葉はなんとも空々しく聞こえる事
だろう。
でも本当に嘘はついていないんだけどなと、思うと少し悲しい。


しかしきっと、これが現実。


シンは本物のラクス・クラインを知らずに居た人だからミーアを直ぐに受け入れた。
イザークがラクスをどれだけ知っているかは分からないが、プラント育ちの人であれば、
黒髪に変わったとはいえ、ミーアの姿を見れば戸惑って当然。
そして偽物だといわれれば、反感があって当然。

202戦後 シン×ミーア 20:2008/06/12(木) 23:43:07
これが、自分の現実なのだと突きつけられたような気がしてミーアは思わず息を殺しつ
つ吐き出す。


「信頼されるように、頑張る」
「・・・・」


イザークはミーアの小さな小さな呟きを背中で受け止め、居心地が悪そうに肩を揺らした。

「まるで俺は悪役だな」
「えっ!別に・・・・!」

その先の言葉が続かなかったのは、イザークが振り返ったからだ。
まさか此処で振り返られるとは思っていなかった為、ミーアは戸惑いで何度も瞬きを繰
り返した。
イザークはじっと見つめられる視線に耐えられず、ミーアを視界から外すようにそっぽ
を向いてしまう。

「これは俺の推測だ。アスランは現在いまだオーブに軍籍を置いているが、公の場には
出ていない。その代わり、オーブのある人物の下に着いて行動している可能性がある」
「ある・・人物?」
「心当たりが無いのなら貴女が知る必要は無い。とにかく、相変わらずあいつはオーブ
の飼い犬だ」


そしてその飼い犬が執着しているのが、ミーア・キャンベルだ。


段々イザークの言わんとしているところが分からなくなってきたミーアは視線を逸らし
たままのイザークをじっと見つめる。
返す言葉が見つからないからだ。
いや、今言葉を発するには情報が少なすぎるというのもある。

「ラクス・クラインの発言力があるにしても、アスランの一存で貴女をオーブに連れ戻
すなどという事は出来ないだろう。・・・という事は、アスランの上司と思われる人物
が貴女を欲しているという事になる」


だからこそ、今回ミーアの進言に直ぐに日時を決める事が出来なかった。
貴女に、何が出来る? ミーア・キャンベル。

203戦後 シン×ミーア 20:2008/06/12(木) 23:44:51
何を言われているのか、分からない。
言葉の最後、名前を呼ぶ時にはひたと自分を見つめてきたイザークのアイスブルーの瞳
がミーアを射抜く。

ただ、アスランに会いたいだけだった。
そして、今の自分の想いを直接伝えたいだけだった。

今このような状況ではどのような手段でアスランに自分の言葉を伝えようと、アスラン
はきっと疑ってしまうと思ったから。
イザークの瞳の左右を確認する。
言葉の先を促されているように見えるが、何が言えるだろう。

何も知らないのに。

まるでイザークからの言葉を求めるように不安げなミーアの視線に、イザークは一瞬だ
けミーアに視線を向けて直ぐにまた逸らし、間を稼ぐように腕を組んだ。

「・・・貴女がアスランに会って何を言うかは知らない。本当は聞きだそうと思って来
たんだが・・・その必要はなさそうだ。ただ、貴女はどの記憶を無くしても、これだけ
は覚えておく必要がある」



オーブには行くな。



イザークの事を信じていいのかミーアには直ぐに判断できない。
何を考えてイザークが今日顔を出したのかも、その理由がミーアの真意を計るためだけ
と断言していいのかも分からない。

ただ事実は、アスランは日時の即決をしなかった。
改めて時間の猶予を求めるにしても3日は長すぎる。
この時間の長さがあっても改めて計画を実行出来るだけの力はアスランには恐らく無い。

それだけ時間を費やしてでもアスランがミーアを求める理由があるのか。


「あたし・・・・あたしには、何も持ってないの・・・・。あたしが、上げられるのは、
本当にこの体と・・・・・歌だけ」

204戦後 シン×ミーア 20:2008/06/12(木) 23:47:27
しかし、歌ならラクスがいる。
ミーアでなくても良い筈だ。

「・・・・・オーブの鳥は鳴いていない。それも理由にあるかもしれないな」
「え・・・・?」
「推測だ。オーブにもし行ったとしても、待っているのはまた『ラクス・クライン』と
いう器かもしれない」

それは考えられなくも無いと思える自分が居て、それが悲しかった。

この姿がある限り、ミーアは常にラクス・クラインという名前の影に隠れなければなら
ない。
そして、もう元の姿には戻せない程、ミーアは「ミーア・キャンベル」を捨ててしまっ
ていた。

残された道は、贖罪の道、ただ一つ。

それなのに、アスランが用意したもう一つの道が・・・・・。


『ラクス・クライン』という器に再びなる道だとしたら・・・・・・・・。


ミーアは声を立てずに涙を流した。
声を殺す為に体が大きく震える。
全身の力を入れて、ベッドのシーツを強く握り締める。

一瞬は思い浮かんだ言葉を、ミーアは必死に首を左右に振って否定する。

「アスランは・・・!そんな事言わない・・・・・!!」
「言わないだろうな、あいつなら。・・・しかし、生真面目なアイツを『ミーア嬢の救済』
という言葉で操る事はできる。何も全てをアスランが背負っているとは言わない」

ミーアの考えの及ばないところもイザークが考えて話をしているのだという事は分かる
が、ミーアにとっては話が突飛過ぎて、大きくなりすぎていて何処から考えればいいの
か分からなくなっていた。

「あたし・・・最初からオーブには行くつもりなくて・・・・アスランには・・・」

続きは唇の前に翳された掌によって遮られた。

はっと顔を上げると心底嫌そうな顔をしてイザークがミーアにハンカチを差し出していた。

205戦後 シン×ミーア 20:2008/06/12(木) 23:49:34
相変わらずミーアと会わせようとしない目元が赤いのは照れている為なのかもしれない。
受け取れとばかりにハンカチが上下に揺れた。

ミーアは戸惑い、ハンカチを受け取り、目元を、涙を拭う。
ぱりっとしっかりと糊付けされたハンカチは、まるでイザークの性格を現しているよう
で、それが不謹慎ながら少しおかしかった。

「今聞くつもりはない。貴女の想いに応える動きを取るつもりが無いからな」
「・・・あたし、貴方の事嫌いじゃないかも」
「・・・突然何を。理解できんな」

ミーアの脈略の無い言葉にイザークは不審げに眉を寄せたが、ミーアは構わず泣き笑い
を見せた。



生きている世界は・・・・・自分がどんな境遇であろうと、とても、優しい。



ミーアの涙が収まった事を確認してからイザークは「帰る」と短く告げた。
余りのタイミングの良さに待ってくれたのだろうかと思ったが、それを本人には尋ねら
れなかった。
好きなように解釈した方が良さそうだと判断したのだ。

「あの、ハンカチは・・・!」
「捨てろ」
「え・・!だって!」

涙が収まってから確認したら有名ブランドの上質な仕立ての物だ。
ミーアがこれまで持った事の無い物で、捨てるなんてミーアの考えには全く無い代物だ。
もう帰るつもりで半身を翻していたイザークは面倒なのか、振り返りもしない。

「返す機会が無いだろう。必要ない」
「・・・そういう勿体無い事言うの、駄目だと思う。値段なんて分からないけど、これ
が凄い高い物だっていうのは分かるもの。貴方が働いて買ったものでしょう?大切にし
なきゃ」
「それくらいの物、戻ればまだある」
「替えがあればいいなんて考えは良くない!ちゃんと返すから!」

206戦後 シン×ミーア 20:2008/06/12(木) 23:50:33
しつこく食い下がるミーアに、イザークは心底面倒そうに髪を乱雑に掻き毟り、ミーア
に向き直り、吐き捨てるように怒鳴り声を上げた。

「勝手にしろ!」

それから直ぐに踵を返し、僅かに肩を怒らせてイザークは部屋を出て行った。
アスランの友達は優しい人ばかりだという事が分かって、ミーアは声を殺して笑った。

そして、イザークが出て行った事でシンが戻ってくるのを待っていると、かなりの時間
が経ってから再び病室のドアが開いた。


てっきりシン一人が戻って来ると思っていたのだが、入ってきたのは、二人。


シンと・・・・シホ。


シホはイザークと共に帰ったのだと思っていたミーアはきょとん、と、小首を傾げる。
シンの不機嫌な顔の理由がよく分からない。


シホが敬礼した。



「本日より暫くの間、シン・アスカの代わりに貴女の警護を務めさせて頂きます」




<続>

207戦後 シン×ミーア 20:2008/06/12(木) 23:58:09
大変お久し振りです。
大した長さではないのですが、時間が掛かってしまいました。

本当は駆け引きをするつもりが、互いに手の内をばらし合ってしまいました。
ミーアはその場の感情に流され、イザークもまたミーアの生真面目さに引き摺られてしまいました。
勿論、イザークは全てを語った訳では無いですが。

そしてシンとミーアは引き離される事となります。

シン、ミーア、イザークとディアッカ、アスランが色々動く展開になれば・・・と、考えていますが、
大したものは書けないので出来る範囲で頑張ります。

208名無しさんDESTINY:2008/06/13(金) 07:13:19
GJです!
つづきを書いてくれて本当にうれしいです。
これからもがんばってください。

209名無しさんDESTINY:2008/06/13(金) 22:17:42
続き来てるー!GJ!

210名無しさんDESTINY:2008/06/14(土) 00:27:32
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ちょっとーお?
よおーやくうー本スレがあー使えなくなってーえ安心したと思ったらあー!
こーんなとこでえーコソコソ続けてたのねーえ?
あーんなションベン臭あーいお子ちゃまとなんかあー嫌だってえー言ってるでしょ!
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こんなとこおー!即、刻、たたんでちょうだい!

211名無しさんDESTINY:2008/06/14(土) 00:36:17
いーい?二度とおーこおーんなあーキモSSなんかあー書かないでよねえー!
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もしいーまた勝手にいー書いたりしたらあーこの酒瓶でえー頭カチ割るわよおー?
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いいことーお?わかったわねえー!

212名無しさんDESTINY:2008/06/14(土) 00:41:07
ttp://img131.auctions.yahoo.co.jp/users/3/6/5/3/vmax001zc-img451x600-1210165003rakusu001.jpg
ミーアがあーさ、あ、び、す、するのはーあアスランだけよお!
ttp://img131.auctions.yahoo.co.jp/users/3/6/5/3/vmax001zc-img450x600-1210164945d1000081.jpg
シンとかいう餓鬼はあー精々いーアホ毛赤牝犬のおールナマリア?とか
いうのとおーイチャイチャしてなさあい?クッフフフ

213名無しさんDESTINY:2008/06/14(土) 01:03:29
どうせ書くならあー濃うー厚なあーアスミア話書きなさいよおー!
ttp://img293.auctions.yahoo.co.jp/users/5/6/3/7/himimamirukara-img600x443-1211093496p1whmm45573.jpg
そしたらあーちょっとはあー見直してあげてもおー良いけどおー?
ttp://blog18.fc2.com/s/shibainuhonpo/file/mi007w.jpg

214名無しさんDESTINY:2008/06/14(土) 01:08:28
良いことお!分かったわねえー?
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折角うーミーアってえー超お良いーいキャラをおー登場させるんだからあ!
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お相手もおー相応の殿方にいーしてほしいものだわあ!

215名無しさんDESTINY:2008/06/14(土) 01:11:09
全くうーちーっとも分かってないんだからあー!
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ホおントおー腹立たしいしーい困っちゃうわあー!

216名無しさんDESTINY:2008/06/14(土) 01:15:59
確認しておくけどおー!アスミアじゃなきゃあー許さないからあ!
ttp://img295.auctions.yahoo.co.jp/users/7/1/3/3/a100510130-img484x600-1212031794se1xem59696.jpg
解ってるでしょうねえー?ア、ス、ミ、ア、よおー?
ttp://img241.auctions.yahoo.co.jp/users/7/2/4/4/styletire-img600x510-1205716843p1010089-1.jpg

217名無しさんDESTINY:2008/06/14(土) 01:20:07
シンミアなんてえー某パイ兵のおーオナ馬鹿笑い話とおー同レベルよおー!
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そんなもん書かれたらあー飲まなきゃあーやってらんないわあー!

218名無しさんDESTINY:2008/06/14(土) 01:24:21
いくらネタだってねえー?ミーアにもおー
許せるものとおー許せないものがあるわあー!
ttp://img135.auctions.yahoo.co.jp/users/6/9/0/0/suika678-img450x600-1212127530rijxf028718.jpg
シンミアなんてえー生ごみとおー一緒にいーペッペッぽい!よおー!
ttp://img279.auctions.yahoo.co.jp/users/8/1/5/1/crcmb647-img408x600-1211987758nxx7xg79695.jpg

219名無しさんDESTINY:2008/06/14(土) 01:29:27
と、に、か、くう!アンタ達はあーアスランミーアのおー
ラブラブちゅっちゅなあー話をおー書いてれば良いのおー!
ttp://img131.auctions.yahoo.co.jp/users/3/6/5/3/vmax001zc-img451x600-1210165003rakusu001.jpg
ttp://img131.auctions.yahoo.co.jp/users/3/6/5/3/vmax001zc-img450x600-1210164945d1000081.jpg
シンミアなんてえーアンモニア臭あーいのはあーお、断、りいー!フンっ!

221名無しさんDESTINY:2008/06/14(土) 21:15:14
>>207
続きGJ!!

222名無しさんDESTINY:2008/06/15(日) 01:03:06
>>207
投下乙です!
今回もGJです!

223名無しさんDESTINY:2008/06/30(月) 10:30:57
いつの間にか新シャアのほう落ちてるしorz
荒らしもいるからこっちでやるのがいいのかな?

224名無しさんDESTINY:2008/06/30(月) 22:03:42
そうだと思うよ。

225名無しさんDESTINY:2008/07/06(日) 21:28:32
ここでやるのがイイと思う

226名無しさんDESTINY:2008/07/08(火) 19:00:29
ここの方がいいんじゃないかな?

227名無しさんDESTINY:2008/08/06(水) 21:26:18
アゲ

228名無しさんDESTINY:2008/09/09(火) 19:44:47
久しぶりに来てみたが人がいないな

229名無しさんDESTINY:2008/10/10(金) 19:21:54
上げ

230名無しさんDESTINY:2008/12/07(日) 16:55:35
人いない

231名無しさんDESTINY:2009/01/01(木) 11:26:35
今日は正月

232名無しさんDESTINY:2009/01/28(水) 08:54:18
ここも終わりだな

233名無しさんDESTINY:2009/02/13(金) 07:54:59
職人、帰ってこないな……

234名無しさんDESTINY:2009/02/28(土) 20:32:49
そもそも人がいない

235名無しさんDESTINY:2009/03/15(日) 18:02:23
俺がいる

236名無しさんDESTINY:2009/03/17(火) 07:41:37
俺もいる

237名無しさんDESTINY:2009/04/24(金) 18:53:14
上げ

238名無しさんDESTINY:2009/04/27(月) 20:41:03
俺が住人だ

239名無しさんDESTINY:2009/05/04(月) 21:39:02
俺も住人だ

240名無しさんDESTINY:2009/05/25(月) 22:59:42
興味本位でまとめサイト除いたら
寝取られあったりでハートブレイクした

241名無しさんDESTINY:2009/08/14(金) 13:34:17
過疎

242名無しさんDESTINY:2009/08/17(月) 11:38:07


243ゆり♪:2009/10/23(金) 16:51:48
潮吹きはコツさえ掴めば簡単♪
↓    ↓    ↓
http://shio-splash.com/aab/?sk4

ユリはコツ掴みました。

244名無しさんDESTINY:2009/12/01(火) 20:00:30
上げ

245名無しさんDESTINY:2009/12/06(日) 18:39:28


246名無しさんDESTINY:2010/05/14(金) 20:35:55
シン

247名無しさんDESTINY:2010/06/18(金) 22:22:13
ミーア・・・

248戦後 シン×ミーア 21:2010/11/12(金) 02:41:03

「どうして?」


ミーアはまずそう尋ねた。
状況が全く掴めない。
シンが不機嫌な表情をしているのなら、彼は納得していないという事になるだろう。

ミーアの動揺を余所に、シホはきっちりとした動きで敬礼を解いた。

「最高評議会の決定です。理由を貴女にお教えする必要はありません」
「そ、そうかもしれないけど・・・。シンはいいの?」

ミーアが直ぐにシンに視線を向けると、一瞬シンは息を詰まらせたが、仕方ないという様子で姿勢を正した。

「FAITHはある程度の権限は持っていますが、最終的に最高評議会の決定に逆らう事は出来ません。・・・ただ、宇宙で俺にしか出来ない仕事が出来たってだけだから」
「余計な事を言わないで下さい」
「・・・失礼しました」

シホは私服だったが、彼女がFAITHではない事は以前FAITHをギルバートから紹介されて知っている。
しかしシンはシホに頭が上がらない様子で、その理由もミーアには分からない。
そしてシンは此処で嘘を吐いた。
先程渡されたのは出撃命令ではなく、休暇申請だったのだから。

「待って、待って!あたし命令とかそういうの良く分からない。うぅん、ラクス様だった時ZAFTの人とか結構見て来たから知ってる部分もあるけど、納得できなくて。シンは命令に従うって事で良いの?」
「・・・あのなぁ。命令に従わない軍人なんて軍人じゃないだろ」

シンが呆れて思わず砕けた口調になる。
シホが直ぐにシンを睨んだが、それくらいの事で目くじらをたてられても困るのでシンは気付かなかった振りを決め込んだ。
ミーアはシンが不機嫌なりにこの命令を受け入れるつもりがあるのだと判断して、ゆっくりと頷いた。

「シンが納得してるなら、いいわ。・・・・いってらっしゃい。身体には気を付けて」
「ありがとう」
「あ。あと、怪我しないようにね」
「・・・あぁ」

249戦後 シン×ミーア 21:2010/11/12(金) 02:42:28
シンはミーアを真っ直ぐに見つめてゆっくりと頷くと、すっと息を吸って姿勢を正し、再び敬礼する。

「では、失礼致します」

ミーアは頷くと、シンは模範的な動きで踵を返すと振り返らず病室を出た。
シホはシンの退室を確認すると、内側から鍵を掛けた。

その音が妙に室内に響き、ミーアはシンの影が見えなくなるまで扉を見つめていたが、
彼の足音も聴こえなくなると視線を落とした。
初対面のシホの目にも落胆しているミーアの姿を遠くでじっと見つめていたのだが、
ハンドバックから再びトランプを取りだした。
別にトランプが得意という訳ではない。
ただ、シホは時間の潰し方というのが良く分からなかったのだ。
トランプであれば色んな遊び方があるので丁度良いと思っただけだった。

ハンドバックをロッカーに仕舞うとトランプをケースから出して手の中でシャッフルし始める。
ミーアがその音に気付いて顔を上げる。

シホは年相応の女の子らしく柔らかく微笑み、その表情にミーアは瞬きを繰り返した。
先程シンを咎めた時とは別人のように見えたのかもしれない。
シホは何度もそう評価された過去をかすめる程度に思い出し、苦笑に変える。

「シン・アスカの報告書に、貴女は堅苦しい事は苦手だとありましたが」

なるべく優しく話しかけると、ミーアは戸惑いつつも頷いた。

「うん。・・・出来ればそんな堅苦しい言葉は止めて欲しいんだけど。駄目?」
「構いません。可能な限り貴女の意向に沿うよう言われてますので」
「ほら、また」

ミーアは素早く注意をすると、シホは一度は目を見開いたが、直ぐに苦笑する。

「分かった」
「良かった。それじゃあ」

ミーアが手を差し出した。
シンが初めて来た時のように、握手を求めて。

シホも直ぐにその意味を察し、トランプをシャッフルしていた手を止めてミーアの握手に応えた。


「よろしく」
「えぇ」


ミーアはシホと握手が出来た事にほっとした表情を見せた。
そして安心する心の片隅で、シンの事を気にかけていた。

イザークがミーアに会いに来た事。
そのタイミングで護衛が交代になった事。

それが何を示すのかが分からなくて、しかし何かを意味しているような気がして仕方なかった。



<続>

250戦後 シン×ミーア 21:2010/11/12(金) 02:47:57
大変お久しぶりです。
投下する時の改行位置も忘れてしまって読みにくくなってすみません。
SSを語ろうスレで、一人の方がこの小説の続きを気にされていたという事を見て、
久し振りに続きを書こうという気持ちになれました。

かなり以前の書き込みでしたが、この場を借りてお礼を申し上げます。
嬉しかったです。ありがとうございました。

251名無しさんDESTINY:2010/11/12(金) 18:28:59
再開キターー!!
続きを楽しみにお待ちしています

252名無しさんDESTINY:2010/11/13(土) 00:25:07
GJ!!

253名無しさんDESTINY:2011/03/04(金) 17:11:28
3Dカメラで撮ったおっぱいエロすぎw
すれ違いおっぱい@ともも
http://oppai.upper.jp

254名無しさんDESTINY:2011/05/10(火) 11:03:44
今日初めてこのスレの存在を知って戦後さんのSS読んだGJ!
頻繁じゃなくてもいいので続き待ってます。

255名無しさんDESTINY:2011/07/08(金) 16:32:58
私も最近このスレの存在を知った者です。
続き待ってますー。

256名無し:2012/06/11(月) 16:47:37
続きはぁ〜まぁだかなぁ〜♩

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