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【シン】出会ってしまったら【ミーア】

1名無しさんDESTINY:2007/11/08(木) 02:55:36
【シン】出会ってしまったら【ミーア】スレの避難所です。

2名無しさんDESTINY:2007/11/08(木) 03:04:17
即落ち回避

3名無しさんDESTINY:2007/11/08(木) 05:21:18
PHASE01―邂逅―
#01

「………わざわざ済まないね?シン・アスカ君」
「い…いえ、俺…じゃなくて自分に何か?」

 俺はシン・アスカ。今をときめくザフトのエースパイロットだ。 ミネルバに配属される事になって、色々と手続きや準備をしている矢先に、プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルに呼び出された。それも、どういう訳か俺一人で来い…と。

 そして、議長の部屋に来るなり俺は議長と、その隣にちょこんと座るラクス・クラインと対面する事となった。

「えーと…ラクス様がミネルバの補給先の基地でライブをするから、そのラクス様の護衛を自分がやれ…という事ですか?」

「あぁ、その通りだ。」

「何故自分なんです?自分なんかより優秀な人材なんて、腐る程居ますけど…。」

 そう、何故俺にそんな話を振るのか理解出来ない。ラクス・クラインは要人なんてレベルじゃないだろうに…ひょっとしてこれはドッキリなのか?

「レイ、居るんだろ?これは新手のドッキリなんだろ?
 議長やラクス様までグルになってのドッキリとは…」

「シン、とりあえず落ち着きたまえ…。私は、本気で君にこの話をしている。」

「それなら…何故自分なんです?」

「それはだね…ラクスが決めたからだよ。」

「はい?」

 ますます訳が分からん。ラクス様が俺を?何故だ?
 俺の視線に耐え切れなかったのか、さっきまでずっと大人しくしていたラクス様が口を開く。

「えーと…ほ、ほら?あなたが優秀なパイロットだって聞いてたから…」

「優秀なパイロット…ですか?
 それなら、同期のレイ・ザ・バレルの方が遥かに優秀ですよ?」

 そう、俺を優秀だと言うなら、その上のレイはどうなる?
 普通に考えて、護衛にするならレイだろう。ミーハーなルナはもっての他だが…誤射るしな。

「兎に角、これは命令だから受けてもらうよ。シン」

「……横暴ですよ…議長。」

 どうやら、このワカメはどうしても俺に受けさせたいみたいだ。どうにも納得いかないが、受けるしか無さそうだ。

4名無しさんDESTINY:2007/11/09(金) 04:26:39
>>3
#2


「分かりました。命令とあらば…」

「そうか…。引き受けてくれるか……」

 いや、アンタが半ば強制で引き受けさせたんじゃないか!!
 なんてツッコミを入れる訳にも…いかないよな、やっぱ。
 ふとラクス様に視線を移すと、「ホッ」と胸を撫で下ろしている。

「さて、話もまとまったところで…だ。君には、もう一つ伝えておかねばならない事が有ってね?」

「……?伝えなければならない事?なんです?それ。」

「彼女は“ラクス・クラインではない”んだよ。」

 …………はい?

「議……議長…!!!?」

 突然のカミングアウトに、流石のラクス様(?)も度肝を抜かれた様だ。
 わたわたと取り繕うとした様だが、流石に諦めたらしく、溜め息混じりに肩を落とす。

「議長…どういう事ですか?ラクス様じゃないって…」

「彼女の名はミーア・キャンベル…二年前のヤキン・ドゥーエ戦を境に突然姿を消したラクス・クラインの替え玉として、私が仕立てた。」

「何故です?議長程の力が有れば、人一人…それも、ラクス・クラインを捜す事…。」

「………しかし見つからない。この二年間の間だ。
 故に、私は彼女を…と、こういう訳だよ。全く…我ながら小賢しい事を…。
 兎に角、ラクスが見つかる迄の間だ。頼むよ、シン・アスカ君?」

 自嘲気味に笑い、議長はそれだけ言うと立ち上がった。

「ハッ!!了解しました。」

 俺も一足遅れ立ち上がり、敬礼した。

「さて、後は若い者同士つもる話も有るだろう。」

「お見合いじゃないんですから………。」

 議長って、何か話してると疲れる人だな…。
 とりあえず、俺とラクス様…いや、ミーア様?は、議長の部屋を後にした。

5名無しさんDESTINY:2007/11/09(金) 11:49:21
GJ!
のっけからミーアをカミングアウトするというのも面白いですね。

6名無しさんDESTINY:2007/11/09(金) 14:03:47
スレが立てられない。2chで新スレ立てるなら誰かお願い。

7名無しさんDESTINY:2007/11/09(金) 21:06:38
クソ

8名無しさんDESTINY:2007/11/09(金) 22:19:13
いきなり埋め荒らしにスレ潰されて職人・住人の離散が起きているのかな。
スレの住人で見てる人いたらレスしてくれ。

9名無しさんDESTINY:2007/11/10(土) 02:00:02
避難所あるの知らなかった

10名無しさんDESTINY:2007/11/10(土) 04:20:50
>>4
#3


 俺とラクス様(?)は、長い廊下を歩いている。もう夜中を過ぎている為か、人通りは全くない。
 話長過ぎだよ議長。

「あー………緊張したぁー…」

「あら、あなたも?」

 ラクス様…いや、ミーア様?どっちで呼べば良いんだ?

「あ、はい…ラクス様もですか?」

 そう言うと、彼女(今のところはこれで行こう!!)は笑いながら、

「二人きりの時はミーアって呼んで。それと、“様”は別にいらないわよ。
 なーんか堅っ苦しくて、あんまりいい気しないのよね。」

「わかりまし―――」

 そう答えようとすると、急に不機嫌そうに頬を膨らませ、

「もう、敬語も禁止。」

 唇を尖らせてそれだけ言うと、俺の先を歩き始めた。
 なんて言うか……よく分からない娘だな…。コロコロ表情変わるし…。

「はいはい、わかったよ。ミーア…これで良いのか?」

 そう言うと、此方に振り向き

「そう、それで良いの♪
 よろしくね。シン。」

 そう言うと、手を差し述べて来る。握手か?
 それに、また笑顔に戻ってる…。俺より歳上…だよな?笑うと、まだあどけない顔だけど。
 まぁ…とりあえず、

「あぁ、此方こそ。」

 ミーアと握手を交わすと、

「そういえば…もう、こんな時間なのに大丈夫なのか?」

「……ああぁぁぁ!!!?
 明日早いんだった…。」

「おいおい…まぁ、送ってくよ。
 家は何処だ?」

 議長…こんな迂濶な娘がラクス・クラインの代理で大丈夫なんでしょうか?
 俺は、激しく不安です。

11名無しさんDESTINY:2007/11/10(土) 04:29:54
>>5
ありがとうございますm(__)m
ただ単に、正体隠しておくのが面d(ry


>>6
俺は無理っぽいです。


>>8
一応住人です。
埋められちゃいましたねorz


>>9
ヨコソデス

12名無しさんDESTINY:2007/11/11(日) 09:27:17
GJです

13名無しさんDESTINY:2007/11/11(日) 15:11:02
>>10
#4


 二人で暗い夜道を歩いている。電灯が有るから真っ暗という訳でもないが、それでも薄暗い。
 因みにミーアは、帽子とサングラスとマスクという滅茶苦茶怪しい装備に、ロングコートを羽織っている。
 頼むから誰も通るんじゃないぞ?

「私の家…?」
「あぁ、ミーアの家だよ。何処に在るんだ?」

 それを聞くと、表情が見る見る曇っていく。一体、どうしたっていうんだ?

「どうしたんだよ?」
「あそこには…帰りたくない」
「いや、何でだよ?自分の家だろう?」
「泊・め・て♪」
「な!?…なに馬鹿な事言ってるんだよ!!駄目に決まってるだろ!!!!」

 ニヤニヤと、非常に嫌な笑顔を浮かべ

「あれ?シンは何を想像してたの♪」
「う…うるさいな。ほら、家は何処だよ。」
「こ〇ん星♪」
「生まれて初めて女の子に手を挙げそうになったぞ?」
「もう…分かったわよ。」

 あくまで嫌そうに答え、トボトボと歩き出す。
 暫くすると、ラスボスでも棲んでそうな馬鹿でかい建物にたどり着いた。

「でっか……何だコレ?」
「此処が私の家よ…。独りで住むには大き過ぎるわ。」

 何処か哀しそうに、建物(マンション)を見上げ。
 急に何か思い付いたかの様に俺の手を引っ張る。

「ちょ…!?…ミーア…何のつもりだよ!!!?」
「シンの家に泊まっちゃ駄目なら、シンが私の家に泊まっちゃえば良いじゃない♪」
「待てぇぇぇぇ!!その理論は間違ってるから!!年頃の女の子が、野郎なんかを泊めちゃ駄目だから!!!!」

 しかし、その細い腕からは想像もつかない程のパワーで俺を引っ張って行くミーア。
 女の子に…腕力で負けた俺は一体………orz

14名無しさんDESTINY:2007/11/11(日) 20:49:51
>>13
#5


「結局連れてかれたな…。」

 マンションの最上階…それも、窓から下を見ると街並みが模型みたいに見える程高い。
 内装は、やたらめったらピンクの物ばっかりだ。テレビ、テーブル、スリッパから食器類までだ。お世辞にも良い趣味だとは言えないな。
 というか、ミーアは何処に行ったんだ?さっき「ちょっと待ってて♪」なんて言ってたけど…

「それにしても…何か落ち着かない部屋だな…。」

 確かに、一人でこんな広い部屋っていうのもな…。
 ソファーに腰掛け、携帯を取り出す。ディスプレイに映し出されたのはマユ。

「……マユ………」
「誰?その娘?」
「うおわぁぁぁぁっ!?い、いきなり後ろから現れるな!!」

 キョトンとした表情のミーアが、ディスプレイを見つめている。手には食器を持っている。

「だって、さっきから呼んでるのに返事が無いんだもの。
 それで、誰なのよ♪恋人って事は無さそうだけど♪」
「……俺の…妹だよ…。二年前に死んだ…。」

 そう、俺の妹マユは…二年前のオノゴロ島での戦いに巻き込まれて死んだ。父さんや母さんと共に…。

「あ…ごめん…。」
「いや、気にしないでくれ。ミーアは別に悪くないよ。
 それで、さっきから良い匂いがするんだけど?」
「シンはまだご飯食べてなかったでしょ?だから、ちょっと作って来たの♪」

 嬉しそうにピンクの食器を並べていく。
 その中には、料理がこれでもかという程盛られている。
 量多いな…。

「俺よりもミーアは大丈夫なのか?明日早いって…」
「あ、別に仕事とかじゃなくて買い物行きたかっただけだから♪」

 なんだ、心配して損したよ。
 とりあえず、俺はミーアの料理をたいらげる事にした。

15名無しさんDESTINY:2007/11/12(月) 22:31:29
>>14
#6


 翌日、結局俺はミーアの家のソファーで寝た。ソファーでなんて、寝るもんじゃないな。
 身体のあちこちが痛む…。
 ともあれ、俺は今日も軍に行かなきゃならない訳で、いつまでも居る訳にはいかない。
 そんな訳で、今ミネルバの中に居る。ついでに眠い。

「シン…どうした?顔色が余り良くない様だが?」
「なぁに?まーたシンは夜更かししてたの?懲りないわね」

 「大丈夫か?」と気遣ってくれるレイに、ルナの小言。いつも通りの日常…。まるで、昨日の事が夢みたいだ。

「違うっての…。そうだな、さしずめ嵐にでも遭ったんだよ。昨日の俺は。」

 二人は顔を見合わせ、頭に疑問符を浮かべている。

「何だか知らんが大変だったな…シン。とりあえず、俺はこれから議長の元に行くが…お前はどうする?」
「少し休ませてくれ…本当に疲れたんだ。」
「そうか…まぁ、しっかり休めよ?ミネルバが出航したら、休む暇など無いからな。」
「そうよ、シン。自己管理くらいしっかりしなさいよ。」

 お前に言われたくねぇよ!!
 しかし、今の俺には言い返す気力すら無い…。
 二人が退室した後、俺はブリッジに向かった。

「よう、メイリン。ついでにアーサー」
「僕はついでか…orz」
「どうしたの?シン。何か顔色悪いけど…。」
「実は……――――」

 その瞬間、轟音が鳴り響く。
 そして、黒煙が立ち上ぼる。場所は六番ハンガー。

「っ……!?何だ!!!?」
「ろ…六番ハンガーの方で、新型…カオス、アビス、ガイアが強奪されたみたいです!!!!」
「何だって!!!?くそっ…メイリン!!インパルスは出せるか!!」
「は…はい!!」

 コアスプレンダーに乗り込み、OSを起動させる。

「コアスプレンダー!!シン・アスカ…行きます!!!!」

16名無しさんDESTINY:2007/11/13(火) 20:30:13
>>15
#7


 コアスプレンダー、チェストフライヤー、レッグフライヤー、ソードシルエットが合体し、装甲が紅に染まる…。背負った対艦刀を引き抜き、舞い降りる。
 俺のMS、インパルス。

『くっ…!?新型がもう一機居やがっただと!!!?』

『話と違うじゃねぇかよ!?ネオの奴……!!』

 しまったな…ちょっと目を引き過ぎたなこりゃ…とてもじゃないが、新型を三体同時に相手をするのは無理だ。
 それに、俺の後ろには片腕のザクウォーリアが居る。中に乗っているのは誰だか分からないが、見捨てる事は出来ない。
 兎に角、状況は不利だ。ソードシルエットの装備は元々、対MS用の装備でないし、何より俺はインパルスに乗ってからの日は浅い…本来の性能を発揮するなんて、とてもじゃないが難しい。
 しかし、敵も考える暇はくれない様だ。ガイアが四足獣型に変形し、俺に一目散に飛び掛かって来る………!!

『はああぁぁぁぁぁあ!!!!』
「くそっ…!!また戦争がしたいのかよ!!!!アンタ達はッ!!!!」

 エクスカリバーで真横に薙払う様に一閃を放つが、此方の得物の振りが大きすぎたのか、易々と避けられる。しかし、相手との距離を離す事には成功した。
 すかさずフラッシュエッジで追撃を狙い、投げつける。だが、これも若干かすめただけで、体制を崩すには至らない。

「ハッ…!!いきなりピンチかよ…くそったれ…!!!!」

 こうして、インパルスでの初の実戦を迎える事になった。


PHASE01―fin

17名無しさんDESTINY:2007/11/13(火) 20:34:29
とりあえず、これでPHASE01は終わりです

やっぱり自分には、文章力がまだまだ必要ですねⅢorz

何か、シンや他みんなのキャラが違う気も…もしおかしな点が有った場合は、御手柔らかにお願いしますm(__)m

18名無しさんDESTINY:2007/11/13(火) 23:26:15
age

19名無しさんDESTINY:2007/11/14(水) 21:54:47
>>16
PHASE02―強奪―


 相変わらずガイアが俺の周りを飛び回る。薙払いたいのはやまやまだが、エクスカリバーが直撃させるのはまず無理だ。
 仕方なくビームライフルを引き抜き、三射放つ。すると、運良く脚をかすむる。

『くうっ……!?』

「そこだッ!!!!!!」

 バランスを崩したガイアに、エネルギー切れのビームライフルを投げつける。
 そして、次に目に入ったのはカオス。アビスはザクウォーリアが引き付けてくれているから、まだ安心出来る。

『調子に乗るなよ!!新型!!!!』

 カオスの脚に着いたビームクローに、左肩のアーマーを跳ね飛ばされる。

「………っ…ぐっ!?やられる訳にはいかないんだよ!!!!」

 エクスカリバーをもう一本引き抜き、思いっきり投げ付けた。目眩ましにはなるだろ。
 そして、この状況でどうやって三機を相手にしようか…それを考えた時、急に三機の様子がおかしくなった。

「なんだ…?…まさか!?」

 一気に飛翔し、視界から消えようとしている。つまり、逃げる気だ。

「逃がすかよ!!メイリン、チェストフライヤー。それと、フォースシルエットだ!!!!」
『は、はい!!チェストフライヤー、フォースシルエット…射出します!!』

 ダメージを受けた上半身と、ソードシルエットを破棄して、新たな上半身…そして、フォースシルエットを装着する。
 フォースシルエットは高機動凡用型の装備で、ソードの様に高い格闘能力こそ無いが、それを補う機動力は有る。それに、飛行能力…これが一番大きい。
 俺が飛び経とうとすると、ザクウォーリアも着いて来ようとしていたが、この状況だと足手まとい以外の何でも無い。

「アンタはそこに居ろ!!奴等は俺が追い掛ける!!!!」

20名無しさんDESTINY:2007/11/15(木) 08:45:31
避難所見つけた・・・
新作書いてる人GJです!

21名無しさんDESTINY:2007/11/15(木) 21:02:54
>>19
#2


「あそこか!!」

 外壁に、大きな穴が開いている。おそらく、奴等の脱出経路は此処だろう。
 追いかけようとした俺に通信が入る。

『待て、シン!!追撃の許可はまだ出ていない。』

 頭に血が登った俺をたしなめる様な声。レイだ。

「レイ…でも!!今行かなきゃ逃げられるだろ!!」
『落ち着け、無闇に飛び出すのは危険だと言っているんだ。敵がインパルスを狙う可能性だって、十分にあるんだからな?』
「ゔ………!?……わ、分かったよ。指示を待つよ。」

 と、数分経った後に議長からの通信が入る。

『シン、私だ。』
「議…議長っ!!!?」
『三機を奪われた件は、いかんともしがたい事だ…。しかし、我々は放っておく事は出来ない。
 ついては…ミネルバ隊には逃げた三機を追ってほしい。』
「…あれ?そうなるとミー…じゃなくてラクス様はどうすれば良いんですか?」
『安心したまえ。既にミネルバに乗せているからね。
 私も乗るがね。君がラクスに手を出さない様―――』
「誰が出すかぁぁぁぁ!!!!」

 ハッ!?つい勢いで通信を切ってしまった。ヤベッどうしよう?

『シン…どうしたんだ?議長がお前に「冗談だ」と伝えておいてくれと言っていたが?』
「気にするな。俺は気にしない。」
『俺の台詞だ…それは。』

 まぁ、さっき議長に言われた事をレイにも伝える。

『成る程な…。すぐにミネルバは追い付いて来る…か。追うか?シン。』
「当たり前だ…。逃してたまるか…。」

 とりあえず俺とレイは、逃げた三機の反応を追って行く事にした。

22名無しさんDESTINY:2007/11/15(木) 21:06:25
読み返すと誤字多いな俺orz
誤字については、脳内変換での対処をお願いしますm(__)m


>>20
ありがとうございます。
ちまちまペースですが、頑張って更新していきたいと思います。

23名無しさんDESTINY:2007/11/16(金) 21:56:33
>>21
#3


「………。おかしいな…此処の辺りに反応が出てたのに。」

 プラントからかれこれ十分以上進んで来たが、突如三機の反応が消えた。俺とレイはその宙域を探索したが、見つかる気配はまるで無い。

「おかしいな…いきなりレーダーに映らなくなるなんて…。ミラージュコロイドでも使ってる…訳は無いよな…。」
『無駄口を叩くな。そんな暇があるなら真面目に探せ。』
「はいはい分かった。分かりましたよ。」

 刹那、レーダーに一機反応する。コレは…?MSじゃない。

『シン、敵が近付いているぞ?
 油断するなよ?この反応は…MAだな…』
「分かってるよ。……それに」
『あぁ、不味い餌に付き合う必要は無い。さっさと片付けて行くぞ。』

 そして、MAが姿を現す。そいつは、連合のメビウス0に似た姿のMAだ。一応、アカデミーのシミュレータでは戦った事が有る。
 確か、オールレンジ攻撃を得意としたMAだったな。

『不味い餌…ね?言ってくれるじゃないの。ザフトのエース君?』
「通信して来た?何のつもりだ?」
『なぁに、ほんのご挨拶ってやつさ!!』

 警報が鳴り、背後からエネルギー反応が感知される。すかさず回避した。
 その後、一筋の光熱波がインパルスの脚をかすめる。

「チッ………!?」
『ボーっとするな!!動かなければただの的だ!!!!』

 レイのザクがMAに向かってミサイルを放つ。しかし、MAは易々と回避して俺とレイを的確に狙い射って来る。

「コイツ……ッ!?強い!!!?」
『厄介な奴だ……!!』

24名無しさんDESTINY:2007/11/17(土) 11:24:42
GJです!

25名無しさんDESTINY:2007/11/17(土) 15:48:46
GJ!!!

26名無しさんDESTINY:2007/11/17(土) 21:29:04
>>23
#4


「くそっ!!シミュレータの奴なんか比べ物にならない!!!!」
『あぁ、的確にこちらの死角を突いた攻撃…そして、こちらの攻撃を全て紙一重で回避…。
 ぐっ………!?』
「レイ!!大丈夫か!!!?」

 ザクの左腕がビームで斬り落とされる。俺のインパルスも、既に右足、左翼が無い。
 ヤバい…!!こんな……!!

「しまった……!!!?」

 一機のガンバレルが、インパルスのコクピットを狙っている。死ぬ…のか…?

『もう終わりかい?それじゃ、止めを―――』

 だが、そのガンバレルを極太の光熱波が貫く。レーダーに反応しない辺り、超長距離からの狙撃。

『ほう?』
『何やってんのよ二人共?だらしないわねぇ。』

 コクピットのモニタに見知った顔が映る。

「ルナか?」
『二人共帰投しないで…特にレイ?あなたまでシンと一緒になって何やってんのよ。』
「どういう意味だ!!」
『そういう意味よ。』

 俺とルナのやり取りを見て、溜め息をついたレイが。

『お前達……何をゴチャゴチャ話している。敵はまだ居るんだからな?』

 とは言っても、流石に三対一では分が悪いと思ったのか、相手は急に背を向ける。

『そろそろ時間…か。じゃあな。ザフトのエース君?』
「待てッ!!」

 追い掛け様とする…が、急に高エネルギー反応が感知される。そして、僅かに目の前の風景が揺れる。

「嘘だ…ミラージュ……コロイド……?」
『戦艦だとッ!?』
『シン!レイ!!すぐにそこを離脱して!!!!』

27名無しさんDESTINY:2007/11/18(日) 15:44:48
>>26
#5


『シン!此処は危険だ!!
 すぐに離脱するぞ!!』
「あ…あぁ。」

 何で…ミラージュコロイドを使っているんだ?今は禁止された技術だぞ?それにアレ…連合の戦艦だ。
 腹立たしいが、今の装備と状況では手も足も出ないだろう。
 俺達は全速力で、ミネルバの方向へと逃げる事にした。
 きっと…あの三機もあの戦艦の中に有るに違いない。覚えてろ…いずれケリは着けてやる。


「お疲れ様。シン、レイ。」
「あぁ、サンキューな。あの時ルナが居なかったらヤバかったよ。」

 ミネルバに帰投した俺達。
 MSドックで、インパルスとザクの修理状況を見ていた。多分、少し時間が掛かるだろう。
 そして、さっき俺と共に戦ったザクウォーリア。

「ん?あのザクウォーリアも回収されたのか?」
「そうみたいなのよ。何でも、オーブのアスハ代表とお付きの人が乗ってたみたいで。」
「……アスハ…?」

 かつて、俺の家族はオーブに…いや、アスハに殺された。何でそんな奴が乗ってるんだ!!
 と、沸々と沸き上がる怒りを必死に抑えようとしていると、

「シンー♪やっと見つけましたわ♪」
「ミ……じゃなくてラクス様!?何しに来たんだ…じゃなくて何かご用ですか?」
「シンの帰りがあまりにも遅かったもので…心配していたのよ。」

 苦笑いしか出ない俺に抱き着き、輝く瞳で俺を見つめる。
 ルナは、突然のラクス登場に絶句している。ミーア、今のうちに逃げておけよ?ルナに捕まるとロクな目に遭わないぞ?
 唐突に口論が聞こえてくる。視線を送ると、議長と…アレはアスハか?口論というよりは、アスハが一方的に何か言っている。

「何アレ?」

 顔をしかめ、ルナが嫌悪するかの様にぼやく。因みに、俺も再度怒りが沸いて来た。

28名無しさんDESTINY:2007/11/20(火) 02:44:04
>>27
#6


 俺の怒りは、最早頂点に達していた。

「流石…綺麗事はアスハの御家芸だな!!!!」

 全員がギョッとした表情で俺に視線を送る。レイが俺に駆け寄って来て、

「シン!!お前………」

「ふんっ…」

 これ以上、アスハの顔を見るのが嫌になり、俺はMSハンガーを出ようとした。その時、ミーアに耳を引っ張られて無理矢理外に連れて行かれた。

「いててて!?な…なにすんだよいきなり!!」

 ミーアが半眼で俺を睨み、口を開く。

「シン…あなた、私の護衛になったのよ?分からない訳じゃないわよね?」

「あぁ、分かってるさ。」

「分かってないでしょ!!あなた、私の護衛って言う事はね?あなたがさっきみたいな事を言うと、私や議長までそんな風に考えてると思われるのよ?
 これ、どういう意味か分からない?」

 そこで、クールダウンした俺の頭脳が冷静に考える。

「あ………。」

 冷静になってみれば、向こうに非があったとしても、さっきの一件で俺の非になったんだ。

「分かった?アスハ代表と何があったのかは知らないけれど、さっきのあなたの態度はいただけないわ。」

「わ…悪かったよ…。ごめん。」

 説教モードからノーマルモードの顔に戻ったミーアが、ニヤリと笑い、

「謝るのは私にじゃないでしょ?シン。」

「それだけはマジで勘弁してくれよ…いっそ、殺された方がマシにさえ思える。」

「駄ー目♪自分で悪いと思ったなら、しっかり謝らないといけないわ。
 ほら、私も一緒に行ってあげるから。」

 細い腕からは想像もつかない程の馬鹿力で、俺を引っ張って行くミーア。

「待って!!耳千切れる!!!!痛いからマジでやめてくれ!!!!」

29名無しさんDESTINY:2007/11/20(火) 18:47:23
GJ!!
完璧尻に敷かれてるw

30名無しさんDESTINY:2007/11/20(火) 20:37:58
GJ!!

31名無しさんDESTINY:2007/11/21(水) 03:00:05
>>28
#7


「先程は失礼しました…。アスハ代表。
 ほら、シンもちゃんと頭を下げなさい。」
「分かったから。ちゃんと下げるからやめろよ。」

 ミーアに無理矢理連れて来られたアスハの部屋で、俺は頭を下げている。何をやっているんだろうか?俺は…。

「いえ、気にしないで下さい。事の発端はカガリが悪いんだ。頭を上げて下さい。」

 アスハの護衛…たしか、アレックス・ディノとか言っただろうか?そいつが苦笑いしながら俺達にそう言い、アスハに視線を移し…。

「カガリが悪いんだからな?」
「う…わ、悪かったな!!まぁ、確かに私の態度も良くなかったみたいだ。すまん。」
「これで一件落着ですわ♪」

 納得いかねぇ…。まぁ、もう終わった事だし…ウダウダぬかすのも馬鹿馬鹿しい。俺とミーアが部屋を出ようとしたその時、

「失礼かもしれないが…君、ラクスじゃないだろう?」
「いきなり何を言い出すんだよ。アンタは。この人は…」

 そう言い掛けた俺を遮る様に、ミーアが、

「はい、私はラクス・クラインではありません。」
「ちょっ!?ラクス様!!!?」
「大丈夫よ、シン。だって、この人アスラン・ザラだもの。
 そうでしょ?アスラン。」
「え?ア…アスラン・ザラって…あのヤキン・ドゥーエ戦の英雄のか!?」

 アレックス…もといアスランは、溜め息をつき、

「やっぱりバレバレか…これだと議長にもバレてるんだろうな…。まぁ、それはおいておいて、何故君がラクスの真似事を?」
「それは………」

 ミーアとアスラン、アスハが話を始める。正直、俺にはさっぱり着いて行けない為に、窓から外を眺める事にした。
 どうやら、本物のラクス・クラインは、アスハとも知り合いだったらしく、議長の偽ラクス作戦00「未来への遺産」は早速失敗していた様だ。


PHASE02―糸冬

32名無しさんDESTINY:2007/11/21(水) 22:27:26
今回もGJでした。ミーアのおかげでなんかほのぼのな雰囲気だw
正体はやっぱいきなりバレたか…w

33名無しさんDESTINY:2007/11/22(木) 03:11:27
>>31
PHASE03―ミネルバ隊―


 ハーイ♪勇敢なるザフト兵の皆さーん♪ラクス・クラインでーす♪

「何してんだ?ミーア。」
「ほら、議長も仰ってたじゃない?補給先の基地でライブをやるって。その時の練習してたのよ。」
「ふーん?何だか知らないけど、大変そうだな?」

 今、私達はミネルバの食堂で意味も無く時間を潰している。連合の戦艦が見つからなくて、出撃は無いみたい。
 相変わらず興味無さそうにシンが頬杖をつきながら私の話を聞いている。でも、もう少し興味持ってくれても良いんじゃない?
 あ、あくびした。

「シンって音楽とか聴いたりするの?」
「何だよいきなり?まぁ、これといって聴いたりはしてないけど…どうかしたのか?」

 はいー話題終了。

「趣味とか無いの?」
「趣味…かぁ。そうだな、うーん………シミュレータは趣味っていうより訓練だし…。特に無いかもしんないな。」

 はいー話題終了。

「シンに聞いても無駄ですよ?ラクス様。」
「あら、ルナマリアさん。」

 ルナマリアさんが呆れた顔でシンを見ながら、

「シンってばアカデミーに居た頃からこんな感じで…“話題殺しのシン”なんてあだ名つけられてたくらいなんですよ。」
「何だよルナ。人をつまらない奴みたいに言うなよな。」

 流石にムッと来た様で、

「ルナだって俺の事言えないだろ?アカデミーに居た頃、隣のクラスの奴がアホ毛のミーハーのスペシャル様なんて言ってたぞ?
 プライバシー保護の為、名前は伏せておく。」
「いや、何よそのスペシャル様っていうのは。ていうかそれ明らかに言ったのシンでしょ?」
「俺じゃないから。な?レイ」
「いきなり振るな。それと、俺まで巻き込むな。」

 まぁ、何て言うか…はたから見たら仲良し三人組よね?これ
 いつの間にやら私は蚊帳の外にされてるし。

「そうよ、レイ。シンに今こそバシッと言ってやりなさい。」
「だから俺を巻き込むな。」

34名無しさんDESTINY:2007/11/22(木) 03:17:40
GJを下さった皆様
ありがとうございますm(__)m


本編は見てないのでキャラが合ってるかが不安ですorz
もし、「これは違くない?」とかありましたら、お願いします

35名無しさんDESTINY:2007/11/23(金) 23:44:48
>>33
#2


 うーん……暫くは三人共取り込み中だし、方っておきましょ。
 「触らぬ神に祟り無し。」なんて言うものね。食堂を出ようとすると、見覚えのある顔が…確か、メイリンさんだったかしら?

「あ…ら、ラクス様。」
「ごきげんよう。メイリンさん。」
「あっ…こ、こんにちは。今日も大変良い天気ですね?」
「宇宙では天気は無のではありませんか?」
「あぁ…!?す…すみません!!」

 どうやらすっかり緊張しちゃってるみたい。あ、そっか…今は私、ラクス様なんだ。

「そんなに堅くなる事はありませんわ。どうか、肩の力を抜いて下さい。」
「は、はい!!あ…あの、お姉ちゃ…姉を見かけませんでしたか?」
「ルナマリアさんなら彼処にいらっしゃいますわ。」

 私の指差した先には、相変わらずシンと言い合ってるルナマリアさんが居る。レイは我関せずと言わんばかりにそっぽ向いて座っている。

「あ…居ました。ありがとうございます。ラクス様。」
「いえいえ、ルナマリアさんに何かご用だったのですか?」
「個人的な事で少し…。すみません、失礼します。」

 ペコリと頭を下げて、パタパタと走って行っちゃった。
 シンとルナマリアさんも、流石に疲れた様で、口論はもう終わっている。

「ハァ…折角の休憩なのに、何で俺はこんな疲れてんだ?」
「それは、シンが……」
「もう!!お姉ちゃん、ちょっと来てよ。」

 そんなやり取りを見守っていた私に、背後から急に、

「何してるんだ?ミー…じゃなくてラクス?」
「ふぇっ!?あ、アレックス。急に驚かさないでよ。心臓が止まるかと思ったわ。」

 アスランは笑いながら、

「それは済まなかったな?だが、君が食堂を覗き込んでいたからね。まぁ、通してくれるか?」
「今からお食事?」
「あぁ、カガリが腹を空かせててね?」

 そう言って、アスランは食堂に入って行った。

36名無しさんDESTINY:2007/11/24(土) 08:07:00
>>35
GJ!!

37名無しさんDESTINY:2007/11/24(土) 22:57:14
>>35
#3


 何だか退屈。そう思うのは不謹慎だと思うけど、シンもアスランも構ってくれないし。
 ちょっと気分転換に、自販機コーナーまで歩いて行くと、シンが渋い顔でコーヒーを飲んでいる。なんだか、「マズイけど癖になる味」みたい。私にはいまいち理解出来ないわ。
 声を掛けようとしたその時、

「シン。此処に居たのか。」

 来たのはアスラン。そっか、さっきの食堂から出てきて一時間も経ってるし、流石に食べ終わってるわね。

「何ですか?アレックスさん。」
「アスランで構わないよ。少しだけ気になる事があってね?君と話したいと思ってたんだ。」

 なになに?何の話かしら?
 ………って立ち聞きなんかしちゃ駄目よ、ミーア。私はそんな娘じゃないのよ!!

「アスハの事ですか?」
「あぁ…議長から聞いたよ。君が元々オーブの出身だっていう事も…。
 どうしてあんな事を…」

 アスランがそう言った途端に、シンの表情が険しくなる。

「どうして?決まってるじゃないですか…。俺の家族がアスハに…アイツの親父に“殺された”からだ!!!!」
「………。」
「綺麗事ばかり並べて…それで自己満足して…最後の最後にアイツ等の選んだ道のせいで!!」

 その時のシンの顔は怖かった。
 アスランは押し黙って、シンの言葉を聞いている。

「そうか…済まない…。変な事を聞いたな……。」
「別に…構いませんよ。アスランこそ、どうしてアスハの護衛なんかやってるんです?」
「………俺は、アイツを…カガリを守りたい。そう思ったからかな?
 まだまだポカも多いし、まぁ…あの通りの奴だけど…誰よりもオーブを思ってるから…今のオーブをきっと変えてくれるさ。」
「………気持ちで国は変えられませんよ。それに…俺はそんな曖昧なものなんて信じたくない。」

 そう言って紙コップを握り潰して、ゴミ箱に投げる。

「手厳しいね?君は。」
「誰だって…誰だって大事なものを失くせばそう思いますよ…。」

 シンは立ち上がって、ズカズカと歩いて行った。
 アスランは一人、苦い表情を浮かべていた。

38名無しさんDESTINY:2007/11/25(日) 18:58:49
職人さんGJです
ミネルバ3人組が好きだ!
規制も始まったし、そろそろ戻ってもいいころかな

39名無しさんDESTINY:2007/11/25(日) 21:53:51
>>37
#4


「………何でしょう?」
「あ、いえ、何でもありませんわ♪」

 アスランは声掛け辛かったし、ちょっと歩き回ってたらまたもやターゲットが見つかったから良いかな?なんて♪
 でも、ちょっと視線がキツイわね。この子…。隙が無いっていうかなんて言うか。

「レイはシンの事は何かご存知でしょうか?趣味とか、好きなものとか。」

 とりあえず、ちょっと話題を振ってみる。少し考える様にして、

「シンは、自分の事はあまり話したがらないので、自分には何とも言えません。
 ですが、そうですね…いつも妹の携帯電話を持ち歩いています。」
「あの携帯…シンの妹さんの物なのですか?」
「唯一の形見…だそうです。」

 そっか、妹さんの物だったんだ。確かに、男の子が選ぶ色じゃないものね。ピンクって。

「そうですか…。あなたは普段何をなさっているのです?」
「自分ですか?自分は…報告書の作成等で自分の時間は取れないもので…、オフの日は、ミネルバのクルー達と出掛けたりはしていました。」
「クルーの方々ですか♪個性的な方々がいらして、とても賑やかそうですね♪」
「えぇ、賑やか過ぎて逆に疲れるのが二人居ますが…。」
「誰の事だよ。誰の」

 シンが素敵な笑顔を浮かべて、レイの背後に立っている。何だか殺気を感じるわ。

「お前とルナマリアだ。」
「スッパリ言うなよ!!」
「俺は嘘を吐かないのを信条に生きて行こうと思ってな。自分に嘘を吐いたらいけないだろう?」
「本当…ああ言えばこう…。」

 手をわなわなと奮わせて、シンのボルテージが段々と高まって来た…と思ったら、何かを思い出した様に、

「ったく………。
あ…そういえば、議長が血相変えてみんなを呼んでたんだ。至急ブリーフィングルームに来て欲しいってさ?
 早く行こうぜ?レイ。」
「それを早く言え。」
「うるさい。いらん話をしてるから悪いんだろ。」
「私は?」
「ラクス様も一応来て下さい。」

 という訳で、私もブリーフィングルームに行く事になった。ところで、ブリーフィングルームって何室?

40名無しさんDESTINY:2007/11/26(月) 17:45:32
GJ!!
新シャアに帰還するならスレ立てしますけど、職人さんや他の人の意見もヨロ

41名無しさんDESTINY:2007/11/26(月) 21:52:01
>>39
#5


 ミーアの解説だと、いまいち要領を得ないだろうから、此処からは俺が…。

「あー!?シンずるい!!(小声)」
「うるさい、いいから議長の話をちゃんと聴けよ。(小声)」

 議長の話によると、ユニウスセブンの軌道がずれ始め、このままだと地球に墜ちる…というものだった。
 既にジュール隊がメテオブレイカーでの破砕作業に向かっているらしいが、謎のテロリスト集団が襲撃して来て作業がなかなか進まないそうだ。
 流石にクルー達も緊張した面持ちで話を聞いている。

「………という事で、ミネルバ隊にはユニウスセブンへと向かってもらう事となった。
 だが、一つ問題も有る。グラディス艦長…頼む。」
「はい、所属不明の連合艦が、その通り道で我々を待ち受けています。ですが、回り道をしている余裕はありません。」
「つまり…突っ切るという事ですか?」
「そうなるわね。そうしないと、とてもじゃないけど間に合わないわ。」

 成る程ね、笑って出来る話じゃないな。ミーアはちんぷんかんぷんな顔をしてるが、今は無視するしかない。
 レイもルナも、既に殺気立っている。此方の準備はもう出来ている。
 が、突然アスハが立ち上がり、
「済まない、デュランダル議長。アレックスも是非参加させてくれないか?」
「議長…自分もお願いします。」
「協力してくれるかね?」
「他人事では済まないからな…」

 相変わらずアスハにはイラっと来るが、アスランも参加してくれるのは心強い。

「では、パイロット諸君。戦闘配置に着いてくれ。」
「ハッ!!」

 そして、俺達はMSハンガーへと走って行った。

「………え?」

 一人、話に置いて行かれたミーアを置いて…。

42名無しさんDESTINY:2007/11/26(月) 22:00:46
>>38
ありがとうございますm(__)m
ミーア、シン、レイ、ルナは何とか活躍させたいですね。考えながら書いてるので、どうなるかは分かりませんがw
俺個人の意見としましつは、戻ってもらき☆すけスレや女難スレみたいになるのが少し恐いですね(^_^;


>>40
ありがとうございますm(__)m
返事は>>39さんにしたものでお願いします。

43名無しさんDESTINY:2007/11/26(月) 22:01:58
ぐふぁ…誤字……Ⅲorz
しまして…ですね。

44名無しさんDESTINY:2007/11/27(火) 23:32:23
>>41
#6


 コアスプレンダーに乗って、待機していると、ミーアがパタパタと走って来た。

「ミ…ラクス様!?どうしてこんなとこに!!」

 正直、この場には全然似つかわしくない。俺の頭が混乱気味になっていると、目を伏せて、どこか悲壮感すら漂う表情を浮かべている。

「シン…お願いね?私、何も出来そうにないから…。分かってても、やっぱり辛い…。」
「………大丈夫だよ。ミネルバは俺が守るし、あんなものを地球に墜とさせるつもりもない…俺達がさせない。
 あと、こんなとこに居たら危ないだろ?もしラクス様が怪我しました…なんて言ったら、俺の首が飛ばされる。」

 実際、俺の首云々はどうでもいい。ただ単に、怪我されたりするのを見るのが嫌なだけだ。

「さ、早くブリッジに戻るんだ。議長やみんなが心配してるんじゃないか?」
「そ…そうね♪心配掛けちゃいけないわね♪
 頑張ってね?シン。」
「あぁ、任せろ。」

 そう言うと、ミーアが元来た道を戻って行く。

「ふぅ。期待大ってか?プレッシャーキツイなぁ…。」
「どうしたーシン♪愛の語らいはもう終わりか?」
「ヨウラン…とりあえず、後で新必殺技の餌食にしてやるからな?」
「すみませんでした。」

 何か最近変な目で見られてると思ったら…お前かヨウラァァァァァァァン!!!!
 変な噂ばっか流しやがって…あれ?涙が出ちゃう。…って落ち着け俺。俺はクールな男だ。

「ったく…。シン・アスカ。コアスプレンダー…行きます!!」

 今回の装備はブラストインパルス。砲撃戦に特化した装備だが、ビームランスも搭載されている為、接近戦も少しは対応出来る。
 欲を言えば、ビームサーベルが欲しいのは内緒だ。

『シン…。カオス、アビス、ガイアの三機が現れた。砲撃での支援を頼む。』
「あぁ、任せろ。」

45名無しさんDESTINY:2007/11/29(木) 04:58:05
>>44
#7


――ミネルバ艦内

『……ウ…デュランダル議長。いらっしゃいますか?』
「あぁ、私だ。状況の方はどうかね?イザーク。」

 デュランダルが、ジュール隊隊長イザーク・ジュールと通信している。

『ハッ!!状況は悪化の一途を辿っております。それと、一つ気になる事も…』

 イザークの表情に若干怒気が現れる。

「気になる事…かね?」
『テロリスト共の使用しているMSですが…アレはザフトの物です。』
「……何だと?」
『何者かが滷獲した物かもしれませんが…詳細は不明です。』

 モニターに映し出されたMSを見つめる。

「ふむ…分かった。引き続き頼むよ、イザーク。たとえ何者であろうとも…卑劣なテロリストからメテオブレイカーを守り抜いてくれたまえ。」
『ハッ!!』

 イザークが敬礼し、通信が切れる。

「……我ながら情けないものだな。まだ私はプラントを掌握出来ていない…か。」

 苦笑し、天を仰いだ。


――デブリ帯
『押し通る…!!邪魔をするな!!』『舐めるなこの野郎!!!!』


 アスランのザクがカオスを相手に、一方的に圧している。レイのザクもアビスと対等にやり合っている。

『…っ!?デブリが多すぎて、狙いが…!!シンはどう?』
「こっちもだよ!!ていうか、そんなに邪魔なら薙払えば良いだろ!!」

 俺は、ガイアと取っ組み合いの喧嘩状態だ。相手もブラストシルエットの弱点を突いて来ている。
 ビームランスでビームサーベルを受け止めているが、そんなこのままだと真っ二つにされる。

「邪魔なんだよ……このワン公があぁぁぁ!!」

 ミサイルポットを展開させ、ありったけぶっ放す。PS装甲に実弾はあまり意味を成さないが、中のパイロットには関係無い。

『ぅっ…!?お前…お前えぇぇぇ!!』

 ガイアが獣型に変形し、再度俺に迫って来た。


――PHASE03…糸冬

46名無しさんDESTINY:2007/11/29(木) 06:01:45
「デスティニーちゃんねるー♪」


ミーア「おはらっきー☆勇敢なるザフト兵の皆さーん♪ラクス・クラインでーす♪」
シン「嘘吐けよ。ミーアだろーが。
 俺はアシスタントのシン・ア…」
ミーア「はい、このコーナーはですねー♪種に出てきた様々な方々と触れ合って、殺伐とした世界を救済しようというコーナーです♪」
シン「俺の自己紹介は無視かよ!?
 アンタって人は―――!!」
ミーア「もう、静かにしてよ。ゲストの方もいらっしゃってるっていうのに。」
シン「お前…どのツラでそんな事抜かして…まぁいいや、ゲストって誰なんだよ?」
ミーア「うん、まず第一回にふさわしい人を呼んだわ。前作ラスボスにして、変態仮面等の様々な称号を持つベスト・オブ・ドラグーンこと、ラウ・ル・クルーゼさんでーす♪」
シン「わー…ぱちぱち」
ラウ「ラウ・ル・クルーゼだ…。随分と失礼な紹介だった気がするのだが…まぁ良い。」
シン「いや、すみません…この司会者は後でシメておきます。」
ラウ「あぁ、頼むよ。アスカ君」
ミーア「酷いわ…そうやって…そうやってシンは私を“てごめ”にするつもりなのね!!」
シン「人聞き悪い事言うなよ。然るべき制裁ってやつさ。」
ラウ「全くだ。しかも、ゲストの私は早くもハブられそうになっているときた。」
ミーア「案外寂しがり屋なのですね♪クルーゼ隊長は。ですが、このコーナー…フェミニストの書き手が書いてますから、野郎は目立てませんわ♪」
シン「これは酷い」
ラウ「フェミニストは、本来の意味だと性差廃絶主義なのだが…
 時に、ラクス嬢のイメージが随分と変わった気がするのだが?」
シン「だってパチも…ブッ!?」
ミーア「お…おほほほ♪何を仰っていらっしゃるのかよく分かりませんわ。」
ラウ「振りかぶった一撃がアスカ君の後頭部に…全く、厄介な奴だよ!君は!!」
ミーア「それがラクス・クラインですわ!!」
ラウ「なんと!?いやはや…二年のうちに手強くなったものだ」


シン「……もう、やっとれんわ…また…来週……(ガクッ)」

47名無しさんDESTINY:2007/12/01(土) 00:29:05
>>45
PHASE04――火急
#01


『ごめんねぇ?強くてさぁ!!』

『チッ…!?敵ながら…やる!』

 レイのザクのシールドが吹き飛ばされる。しかし、レイも負けてはいない。
 ビームアックスを投げ、アビスの肩に食い込ませ…

『貰った……!!』
『何ィィィィ!?』

 食い込んだビームアックスに踵落としを見舞い、アビスの腕を斬り落とす。


 そして、アスランとカオスの戦いも全て紙一重で攻撃を回避するアスランと、徐々に追い詰められていくカオス。コレばかりは相手が悪いんだよ。

『クソったれ!!何故だ!!戦闘力で負けてる…だと!?』
『何だ…この感じ…?…いや、あの時のパイロット達は…そんな訳は無いか。』

 迫るガンポッドを撃ち落とし、炸裂弾を思い切り投げつける。

『ぐわぁぁ……!!?』

 ザクでカオスと…対等以上に…強いな…アスラン・ザラ。

 と、俺もガイアの相手をしなきゃいけないな。翼に内蔵されたビームサーベルでビームランスを斬り落とされ、状況はやや不利に傾いている。その上ガイアは細かく動き回り、下手に撃てばその隙に俺は叩き斬られる。
 ルナも援護してくれてはいるが、散らばるデブリのせいで、狙撃が難しくなっている。

「くそ……!!こうなったら!!」

 インパルスを分離させ、コアスプレンダーで立ち回る事にした。機動力には機動力だ。

『何だ!!分離出来るのか!?』
「このっ……!!喰らえっ!!」

 デブリの間をかい潜り、バルカンでチマチマとダメージを蓄積させていく。PS装甲に無意味だと思われがちだが、バッテリーを削るには有効だ。

『ちょこまかと………!?』

 再びMS形態に戻ったガイアが、ビームライフルで俺を執拗に狙ってくる。相手はある程度平気だろうが、こっちは一撃でも受ければ即、天国行き。ハッキリ言って弱い者いじめ此処に極まれりである。

『ちょっとシン!?大丈夫なの!?』
「大丈夫な訳あるか!!至急援護頼む!!!!」

48名無しさんDESTINY:2007/12/02(日) 02:38:20
>>47
#2


「メイリン!!フォースシルエットは出せるか!?」
『フォースシルエットだね?分かった。少し待ってね?』

 フォースシルエットが来るまで逃げ切れるかな?俺…。いや、後ろ向きに考えるな俺。
 ルナが頑張ってくれてるし、まだ何とか余裕が有る。

『このっ!このっ!!』

 ビームライフルを乱射してくるガイアに、ルナのザクがタックルする。ガイアはバランスを崩しはしたものの、転倒はしなかった。
 とはいえ、今まで乱射していたのが効いたのか、バッテリー切れを起こした様だ。

「よし!!今だ!!!!」

 バルカンで蜂の巣にしようと思った瞬間、遠くの方で信号が発光した。すると、三機は一斉に撤退を始める。
 帰投の合図なのか?

『な…なんだったのアレ?』

 ルナがぶつくさと独り言を言っているが、俺は全身からくる安堵感に身を委ねた。
 生きている…良い事だな。



 ミネルバに帰投すると、ハンガーにはミーアが居た。俺の姿を見るや否や、いきなり掛け寄って来て、

「シン、お疲れ様。怪我とかはしてない?」
「見ての通りさ。ていうか、一応みんな居るんだし、口調気をつけろって。」

 小声で注意すると、「しまった!?」とでも言わんばかりの表情になり、

「あ…あら私とした事が。」
「まぁ、誰も気付いてないみたいだから良かったな。」

 ミーアと共に、ハンガーから出ようとすると…ヴィーノが寄って来た。

「シン、お疲れ様。いやーびっくりしたよ。いきなりコアスプレンダーで戦いだすんだから。」
「あぁ、あのままだと身長を半分にされてたしな。それで…何か用か?」
「あぁ、ごめんごめん。いや、議長からお話があってさ?フォースシルエットより、ブラストシルエットの整備を頼むって言われちゃって…多分、暫くはフォースを使えないと思うから。
 一応それだけ伝えておこうと思ってね。」
「やっぱ、ユニウスの事でか?」
「うん、最悪の場合はブラストで細かい破片を吹っ飛ばして欲しいって。」

 まいったな…フォースが使えないのか…。まぁ、なんとかするしかない…か。

「どうしたのです?シン」
「や…やれやれって事ですよ。」

 疑問符を浮かべるミーアに、内心溜め息をつきながらそう答えた。

49名無しさんDESTINY:2007/12/03(月) 03:03:59
>>48
#3


 とりあえずは状況を確認しないとな。俺達はブリッジに向かう事にした。

「グラディス艦長。ジュール隊の状況はどうですか?
 というより、後何分で辿り着けそうですか?」
「状況は良くないわね。正直、押され気味みたい。
 着くには…そうね、大体十分から…最悪二十分は掛かるわ。間に合うかしら?」

 深々と溜め息をつきながら、状況を嘆いている。まぁ、そりゃそうなんだよな。
 あんなものが地球に墜ちた日には…ぞっとしないな。
 でも、艦長…溜め息ばっかついてると老けますよ?

「何か言った?」
「何も言ってません。」

 エスパーかこの人!?今、俺の心を読んだよ!?つーか目がめっさ怖いです!!

「まぁ、コーヒーでも飲んで休憩してて頂戴。あなた達には、後で沢山働いて貰うから。」
「了解。」

 かくして、俺達は細やかな小休止へと向かった。

「シン…随分疲れてんな?大丈夫なのか?」

 げんなりしている俺に、ヨウランが話しかけて来る。正直、さっきの戦闘がキツかった。

「あぁ、大丈夫大丈夫。俺も一応赤だしな。」
「大丈夫じゃないでしょう?目の下がクマだらけですわ。」
「あぁ、ラクス様の相手が極端に疲れるのが原因ですかね。」
「どういう意味です?」

 ゴゴゴゴゴ…という効果音が聞こえて来る。やべ…遂、本音が出ちまった。
 ヨウランは既に遠く離れている。逃げ足早いな…。

「少しお話が有るので…向こうまで来て頂けますか?」
「いや、既に引っ張ってる!!またこれかよ!!」

 俺はズルズルと、耳を引かれて連れられる。疑問に思うんだが、護衛なんか要るのか?ミーアに…

「……ラクス様って…案外武闘派なんだね。お姉ちゃん。」
「そ…そうね……。」
「ラクスはあんなじゃない…ラクスはあんなじゃないぞ…。」

「どうしました?アレックスさん。」
「なんでもない……。」

 何故か、アスランの抗議する視線が突き刺さった。


それは筋違いだ…アスラン。
そして助けて…マジで。

50名無しさんDESTINY:2007/12/03(月) 09:27:53
GJ!
シンは尻にしかれてるなぁ……

51名無しさんDESTINY:2007/12/04(火) 01:52:53
GJです〜
続きにwktk

52名無しさんDESTINY:2007/12/04(火) 03:32:19
>>49
#4


 ミーアに拉致されて数分、俺はようやく解放された。
 ミーアは不貞腐れて、部屋に戻ってしまった。とはいえ…口は災いの元だな…アスハの時といい、今回といい。

「シン…大丈夫?耳赤いよ?」
「うん…多分大丈夫。」

 メイリンが苦笑しながらコップを口に運ぶ。

「迂濶な発言だったな。流石に俺でもフォローは出来なかったぞ。シン」
「いや…俺が悪いのかよ。」
「そりゃシンが悪いでしょ♪」

 俺の味方はメイリンだけかよ!?

「まぁまぁ、彼にだって悪気が有る訳じゃないんだ。それくらいにしてやったらどうだ?」

 おぉ…アスラン…アンタもフォロー……って目が怖いんだけど!
 目は口程にものを語るって、本当の事なんだな…。

「そ、そんな事より、ユニウスの件って大丈夫なのかな?」
「どうかな…大分厳しくなると思うぞ?ジュール隊ですら苦戦する相手なんだ。良くてギリギリ…じゃないかな?」
「あぁ、テロリスト達は相当出来る奴等の様だからな。」
「でもさ?落ちても仕方ないんじゃないかな?それって不可抗力だろ?」

 ふと、ヨウランがそんな事を言った。本人は別に本気で言った訳でもないだろうが、今はタイミングがまず過ぎた。
 アスハがそこに居たからだ。

「よくそんな事が言えるな!?お前達は!!」

 魂でも抜けそうなくらい跳ね上がったヨウランが引きつった顔で振り返る。

「仕方ない…不可抗力だと!?
 自分達が助かれば……」
「カガリ!!」

 アスランが止めに入るも、アスハは止まる気配が無い。そして、俺の怒りもまた頂点に昇りつつある…でも、押し殺さないといけない。

「言葉が…過ぎたのは確かですが…ヨウランだって…別に…本気で言った訳では…ありませんよ…。」

 声が震えてるのが自分でも分かる。正直、このままアスハをぶん殴った方が数百倍楽だし、スッキリもする。
 でも、それは出来ない…。
 俺の今の形相はよっぽど酷いのだろうか?ルナもメイリンも、俺を見て放心状態になってる。

「シン…。ほら、カガリももうやめろ。」

 アスランが諭す様にアスハをなだめている。
 何だか疲れた…もう、此処に居る気はしない。
 飲みかけのコーヒーを飲み干し、食堂を出て行く事にした。

53名無しさんDESTINY:2007/12/04(火) 03:38:47
>>50
ありがとうございますm(__)m
書いてると、何故かミーアの尻に敷かれるシンしか思いつかないので、いつもこんな感じに…(^_^;)


>>51
ありがとうございますm(__)m
ちょびちょびとしか更新出来ませんが、何とか書いていきたいと思います。

54:2007/12/04(火) 14:49:55
真心の・・・いじめ撃退法

55名無しさんDESTINY:2007/12/05(水) 03:11:39
うp出来ない…Ⅲorz

56名無しさんDESTINY:2007/12/05(水) 09:57:00
>>52
#5


 うーん……さっきはシンにやり過ぎちゃったかな?ううん、アレはシンが悪いのよ。でも、反省してるだろうし、そろそろ許してあげようかな?…なんて考えてると、シンが向こうから歩いて来た。でも、ちょっと様子が変だけど…どうしたのかな?

「くそっ………!!」

 びっくりした…いきなり壁を殴るなんて…。

「シン?どうかしたの?」

 恐る恐る声を掛けてみると、

「別に…どうもしない。」
「嘘…顔に出てる。」
「うるさいな…何でも無いって言ってるだろ?」

 何でもないのに何で怒ってるのよ?全く、最近の子ってわからないわね。

「もしかして…またアスハ代表と何かあったり?」
「ちーがーう。しつこいぞ?」

 絶対に図星だわ。コレ。本当に…シンもアスハ代表も血の気が濃いっていうか何ていうか…。

「此処に居たのか、シン。」

 問い詰めようとした時、アスランが後ろから現れた。とことん心臓に悪い現れ方ね…。

「あ、アスラン…またシンが何か粗相を?」
「いや、今回は何も…ただ、カガリが迷惑を掛けてしまってね?」「え…?シンは何も?」
「シンは、むしろフォローしてくれたよ。済まないな…シン」
「別に…アスハのフォローなんてしてませんよ。俺はただ、ミーアにまた耳引っ張られるのが嫌だっただけです。」

 そう言って、ズカズカと歩いて行ってしまった。
 アスランはそれを見て、苦笑しながら、

「不器用な奴だな…彼は。」
「そうですね…事の経緯は分かりませんけど…。」
「君…随分根に持ってるな…」

57名無しさんDESTINY:2007/12/05(水) 09:58:06
良かった…書けた…

58名無しさんDESTINY:2007/12/06(木) 22:56:58
>>56
#6


「………という事が有ったんだ。これで満足か?」
「そんな事が有ったんだ?
 それと、何故か引っ掛かる言い方なんだけど…。」
「気のせいじゃないか?」

 いや、目を反らして言われても…説得力無いし。何だか、シンもアスランも私を邪険にしてない?

「まぁ、彼のお陰で正直助かったよ。………ハァ。」
「どうしたの?」
「いや…色々ありすぎて、流石に疲れたよ。……と、そろそろ時間だな。」

 そう言って、アスランは準備に行った。そっか、アスランもこの作戦に協力するんだっけ?
 シンも…行くのよね?
 ………それなら、




「…何しに来たんだよ?」
「これから戦いに行くんでしょ?少しでも役に立てればな…って思って。…でも、私は戦う事なんて出来ないから…せめて、勇気付けれればなぁって。」

 パイロットスーツを着たシンが、半眼で私を見てる。

「まぁ…気持ちは有り難く受け取っておくけど、俺なら大丈夫だよ。いくらテロリストが手強い連中だとしても、こっちにはアスランにジュール隊の人達が居るんだ。負けやしない。」
「買い被り過ぎだよ、シン。俺はそんな大層なものじゃない。」
「ゲッ……!?アスラン!!」
「ゲッ…って…君なぁ……。」
「ふふ…何だか、これから戦いに行く人達とは思えない。」

 苦笑しながらアスランが、

「気負い過ぎてどうなる…というものでも無いしな。やるからには全力で行くが、無理に自分を追い込むのは正しくない。」
「でも…アイツ等は許しちゃいけないんだ。ユニウスを…あんな事に使おうとするなんて。」

 シンの顔が険しくなる。手にもかなり力が入ってるみたい。

59名無しさんDESTINY:2007/12/07(金) 21:02:18
 |:::::::::::::::::::::::::::ヽ ゜ ゜ /::::::::::::::::::::::::::/
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  〔:::::::::::::::::::::/  ノ~ヽ  ヽ::::::::::::::::::|
  ヽ:::::::::::::::::/ /::::::::::::\ ):::::::::::::::::::ゝ

60名無しさんDESTINY:2007/12/07(金) 23:41:40
>>58
#7


 私がブリッジに戻ると同時に、シン達が出撃した。どうやら、墜落を止める事は最早不可能みたい。
 だから、被害を最小限に抑える事しか出来ないんだって…。

「ラクス様…。」
「あ…はい。なんでしょうか?グラディス艦長。」
「議長が御呼びです。ラクス様も要人ですので、念の為に救命ポッドの辺りに来る様に…と。」
「…分かりました。では…」

 そうね、私が此処に居ても、艦長やみんなの邪魔になってしまうだけだものね。
 議長が御呼びになってるし、早く行かなきゃ。



「やぁ、遅かったじゃないか…ラクス。」
「はい、少しばかり用事が…」

 議長とアスハ代表、そして私が救命ポッドの有るフロアに居る。いざとなれば、私達は逃げないといけないから。

「浮かない表情だね?まぁ、それも無理は無いか…。」
「い…いえ、その様な事は…」
「君の気持ちも分かるさ…だが、我々に戦う力は、残念ながら無いのだ。彼等を信じる以外に道は無い。」
「そうだな。アスラン達ならきっとやってくれるさ。」
「アスハ代表…。」

 そうは言ってるけど、アスハ代表も苦い表情…。そうよね、オーブの命運も掛かってるのだものね…。
 シン……それにみんな…頑張って。

「ユウナの奴…ちゃんと避難勧告を出してるかな?オーブ軍の皆は、民を避難させているだろうか?」

 ブツブツと、頭を抱えながら何かを呟いているアスハ代表を見ながら、議長は渋い表情をつくる。


PHASE04――END

61名無しさんDESTINY:2007/12/08(土) 14:51:25
GJです〜
更新早いなーw

62名無しさんDESTINY:2007/12/08(土) 23:10:33
「デスティニーちゃんねるー♪」



ミーア「種らっきー♪みんなのアイドルミー…ゲホッゲホッ…ラクス・クラインでーす♪」
シン「何だよ種らっきーって…
俺はアシスタントのシ…」
ミーア「はい♪今日のゲストはですねー♪」
シン「またかよ!?…ていうか、ブーイングが来ない内にやめた方が良いんじゃないか?この企画」
ミーア「種の本当のヒロインは私なの!!フレイ・アルスターさんでーす♪」
シン「無視すんな―――!!」
フレイ「ギャーギャーうるさいわよ。あんた。折角この私が来たっていうのに、つまらない事話して…帰るわよ?」
シン「チッ…こんばんは。」
フレイ「ちょ…!?何で舌打ちしてるのよ!?」
ミーア「難しい年頃なんですよ。彼は。」
シン「いや、ミーアとも一つしか違わないだろーが。」
フレイ「難しい年頃ねぇ…ってあれ?あんた…ラクスじゃないの?」
シン「コイツは偽も――――――――デベロッパー!!!?
…ま……マイクで…殴られ………」
フレイ「偽…?」
ミーア「彼の妄言ですわ。」
フレイ「そう?まぁ別にどうでも良いけど。それより、キラは何処に行ったのよ?折角だから、一度くらいは会いたいわ。」
ミーア「そう仰ると思い、現在の彼を調査しておきました。」
フレイ「あら、ラクスのくせに気が利くじゃない♪」
ミーア「シン、報告を。」
シン「ハァ…えーと、現在のキラ・ヤマト氏は、ニートです」
フレイ「……そ…そんな…私の想いは、ニートには無効なのよ!?キラがニート……orz」
シン「現実は残酷なんですよ。まぁ、呑んで忘れましょうよ。良い店知ってますから。」
フレイ「いや、私は未成年だから…ていうか、あんた等も未成年でしょ。」
ミーア「黙ってれば問題ありませんわ♪」
フレイ「いや…あんたが言ったらおしまいじゃないの。もうやめさせてもらうわ。どうも、ありがとうございましたー」
ミーア「と、今日のゲストはフレイ・アルスターさんでしたー♪」




シン「因みに、この企画は独断と偏見と狂気で構成されています。苦情等は、そこのピンクヘッドにお願いします。
それでは皆さん、また来週ー」












シン「あ、母さん?俺、何か帰りたくなってきた…。」

63名無しさんDESTINY:2007/12/08(土) 23:37:29
>>60
PHASE――05 世界の変わる日
#1


「くっ…!?コイツ等…っ」
『大丈夫か!?シン!!』
「はい、何とか……」

 ユニウスは地獄と化していた。あちこちに、テロリストのものとザフトの機体の残骸が落ちている。
 くそっ…向こうはブラストインパルスの弱点を的確に突いてくる。レイとアスランが俺を援護していてくれるが、数で圧されているこの状況ではやはり厳しい。

『我等の邪魔はさせぬぞ!!』
『こちらも…こんなものを落とさせる訳にはいかない!!』

 テロリストの機体…黒いジンの斬機刀を、ビームアックスで受け止め、その隙にミサイルポッドの中身を一気にぶちまける。
 これでまた一機撃墜。

『大丈夫か?シン…』
「あぁ…。それにしても…随分な数だな…。」
『そうだな…。それにしても、メテオブレイカーとインパルスは連中に大人気みたいだしな…。』
「嬉しくない限りだよ!!……っと。」

 ケルベロスを展開させ、薙払う様にビームを放つ。当たれば恩の字だが、当たらなくても構わない。奴等に恐怖さえ植え付けれれば良いんだ。

『ミネルバも大人気よ?群がって来て…うざったいのなんのって!!』
『ミネルバは大丈夫そうか?』
『数が数だもの、キツイに決まってるでしょ?でも、ジュール隊の人達が援護してくれてるから大丈夫よ。』
『分かった。健闘を祈る。』
『アレックスさん…シンの援護は俺一人で十分です。あなたは、メテオブレイカーをお願いします。』
『了解。そうしよう。シン…死ぬんじゃないぞ?』
「誰に言ってるんです?これでも、まだまだいけますよ。」
『ふっ…たくましい事だ…』

 アスランのザクが飛び去る様を見やり、俺はテロリスト達に視線を戻した。

64名無しさんDESTINY:2007/12/09(日) 00:08:30
>>61
ありがとうございますm(__)m
早い…ですか?
それは多分、俺が暇じ(ry

65名無しさんDESTINY:2007/12/09(日) 22:16:58
>>63
#2


 それにしても…次から次へと!!うっとうしい限りだな!!

『シン、無闇やたらに撃つな。エネルギーが持たないぞ!!』
「それでも、撃たなきゃ撃たれるだけだろうが!!いざとなったら、ソードで戦う!!」

 次々と押し寄せるジンの群れを撃ち墜としながら、俺はメテオブレイカーを守っている。
 キリが無いが、それでもやるしかない。

「それにしても…あの人達…凄いな。あれが…ヤキン戦を生き抜いた人達の力か…」
『あぁ…凄まじいな…。』

 アスランとイザーク隊長が前衛を務め、後衛のディアッカさんが的確に狙撃している。

『イザーク!!ディアッカ!!遅れるなよ!!』
『俺に指図するな!!一般人が!!』
『やれやれ…ま、そう突っ掛かるなよ。イザーク。
 グゥレイト♪また一機墜としたぜ。』
『黙ってやらんか!!ディアッカ』
『おー恐い恐い。そんなカッカすんなよイザーク。調子崩すとどうにも上手くいかないんだよ。俺の狙撃って。』

 本当に…化物だな。あの人達。
 俺も確りと守らないとな…

「くそっ…!?」
『どうした?シン』
「ミサイルが切れた…エネルギーも半分切ってるし…ちょっとまずいな。」
『仕方ない…シルエットを変えて来い。少しの間なら、俺が受け持っておこう。』
「悪い…すぐ戻る!!」

 実際、シルエットを飛ばして貰えば楽なのだが、ブラストシルエットのスペアが今は無いから、わざわざ艦に戻る必要が有る。

「メイリン!!ソードシルエットを頼む!!」
『うん、わかった。待ってて』

66名無しさんDESTINY:2007/12/10(月) 22:26:36
>>65
#3


「インパルス、着艦します!!」
『急いで、時間もあまり無いのだから。』
「分かってます。ブラストシルエットに補給をお願いします。」

 補給を頼み、今度はソードインパルスで出撃する。正直…厳しくなるが、この際は贅沢は言えないな。
 レイのところに戻る途中、メテオブレイカーを守っているルナを見つけた。ジュール隊の人が増援に来てはいるが、数で圧されている。
…行かなきゃまずいな。

「レイ、まだ耐えれるか?」
『厳しいところだが、少しくらいならな。どうかしたか?』
「ルナの方が圧されてるんだ。これから援護に回ろうと思ってな…すぐに行くから待っててくれ。」
『分かった。出来るだけ早めに頼む。』

 ザクに斬り掛かっていたジンを両断し、着地する。

『インパルス…?』
「大丈夫か、ルナ?これから援護に入る。」
『本当?助かったわー。しんどかったのよねー…。ま、インパルスが来ればこっちのもんよ!!』

 俺はフラッシュエッジとエクスカリバーで、次々とジンを墜として行く。ルナは、遠くのジンを狙撃している。

『ぬ…!?小癪なっ!!』
「襲い!!」
『何!?ぐわあぁぁぁあ―――』

 一機撃墜…まだまだウヨウヨしてるな…。暫くすると、青いザクが此方に来る。

『そこの小僧、大丈夫か?』
「イザーク隊長…?は、はい…大丈夫です。」
『よし、なら良い。此処は俺達が引き受けた。貴様は持ち場に戻れ。』
「分かりました。お願いします」

 よし…ルナも何とかなりそうだな。早くレイの方に戻らないといけないな。



「レイ、待たせた。大丈夫か?」
『何とかな…。そこそこ被弾はしたが、まだまだだ。』
「よし、守り抜くぞ!!」
『ふっ…言われなくても、最初からそのつもりだ。』

 今度は数機のジンが此方に向かって来る。だが、やらせる訳にはいかない。

67名無しさんDESTINY:2007/12/11(火) 01:48:27
GJです。いつも更新wktkしてますw

68名無しさんDESTINY:2007/12/11(火) 19:52:49
>>66
#4


「来たな…。レイ、援護射撃…頼んだぞ?」
『あぁ、突っ込むんだな?』
「斬った方が早いからな。この装備だと。」

 迫り来るジン達の先頭に居る奴を両断しようとエクスカリバーを走らせる。しかし、潜り抜ける様に避けられた。

「何っ…!?」
『ふんっ…遅いわ!!」

 体当たりされ、吹き飛んだところにビームライフルで追撃して来るジン。一、二発かすめたがまだいける。

「コイツ…動きが違う!?コイツが隊長機か!」
『MSの性能だけで勝てると思うなよ!!」
『シン…!!その敵は手強いぞ!!』

 レイの忠告が耳に入る頃には、既に懐まで入り込まれていた。握られた刀の柄で打たれ、体制を崩される。
 更に最悪な事に、エクスカリバーを一本奪われた。

「うわっ…!?しまった!!エクスカリバーが…」
『勝負有りだ新型!!』

 振り被り、一気にインパルスを叩き斬ろうと刃を走らせる。
 武器は…武器は無いのか!?
 シールドで受けるが、紙の様に斬り裂き…更に左腕まで持って行った。
 戦艦の装甲すら容易くブチ抜けるのがエクスカリバーだ。シールドで防げる訳は無い。

『ほう?凌いだか…。運動性に救われたという事か。』
「まだまだぁ!!」

 腰のサイドアーマーにナイフが有った事を思い出した。
 フラッシュエッジなんか投げる余裕は無いし、エクスカリバーはさっきの二の舞になるだろう。でも、これなら…!!
 コックピットを狙って突きを繰り出すが、当たったのは右肩。くそっ…反らされた!!

『…ふん、少しばかり油断し過ぎた様だな。ともあれ、私に一撃を入れるとは大したものだ。
 だが………』
「また来るか…!!」

 今度は、“斬り”ではなく貫かんと“突き”を繰り出して来る。動作は丸見えなのに、何故か回避が追いつかない。

『幸運は二度も続かん!!』
「っ………!?」
『避けろシン!!』

69名無しさんDESTINY:2007/12/11(火) 19:58:20
今更気付いた…。戦闘中はミーアが絡めない…orz


>>67
ありがとうございますm(__)m
励みになります。

70名無しさんDESTINY:2007/12/13(木) 06:05:55
>>68
#5


『もらったぁぁぁぁ!!』

 ヤバい…死ぬ…ぞ?動け…動けよ!!こんなとこで…俺は死ねないんだよ!!!!

「……おおおぉぉぉお!!」
『何だ?急に…動きが…?』

 急に、頭の中で“何か”が弾けた。ブチ切れたとか、そんな単純なものじゃなくて…頭の中が真っ白になる感覚。
 頭の中がクリアに…感覚が研ぎ澄まされてシャープになって行く。

『動きが…変わった!?』

 迫るエクスカリバーを、屈んで避けて懐まで迫り…タックルで体制を崩す。コイツは生かしておいてはいけない…。
 消えちまえ………………。
 消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ!!!!!!

「うおおおぉぉぉぉお!!」
『シン!!どうしたんだ!?』

 通信が入るが、今は知った事じゃない。構っていられるもんか。 今すぐにでも…コイツは倒さなきゃいけない。
 落ちたエクスカリバーを広い、でたらめに投げる。当たる事なんて期待しちゃいない。

『くっ…だが…まだ甘い!!』
「………………」

 胴を狙って蹴りを放って来たが、みすみす当たる訳にもいかない。咄嗟に分離してやり過ごし、フラッシュエッジを投げる。

『ククク…成る程な、これ程までの実力を隠していたか。だが、私は此処で撃たれる訳には行かぬ。
 者共、退却するぞ!!いずれユニウスは墜ちる!!我等が手を出す必要など、もう有りはしない!!』
『シン!!テロリストが逃げるぞ!!みすみす逃がすな!!』
「分かってる…。」

 先程の隊長機らしき機体だけでも墜とさないと…。しかし、速度が早く追い付けない。
 フォースシルエットが使えれば違ったのだろうが、今は使えない。追撃は無意味だ。
 ユニウスを砕く事だけを優先しよう。

71名無しさんDESTINY:2007/12/14(金) 03:31:19
>>70
#6


 メテオブレイカーで、大体は砕けたのだが…それでも大きな破片が幾つも残っている。
………こうなったら…。

「メイリン!!ブラストシルエットはどうなってる?」
『エネルギーの方は殆どフルだよ。でも…もう時間が無いよ!?シン。』
『そう、早く脱出しなさい。タンホイザーで、大きな破片を砕くわ。』
「いえ、それでも…一個でも多く墜とさないと…地上が大変な事になってしまいますよ。
 だから…お願いします。」

 グラディス艦長が、呆れた表情で溜め息をつく。

『シン、あなたね?それで離脱出来ずに落ちれば、死ぬわよ?
 自分の役目…忘れてるんじゃない?』
『シン…艦長の言う通りだ…。俺達は、止める事が出来なかったんだ。それに、お前には役目が有る…ラクス様をお守りするという役目が…。』
「…了解、これより帰投します………。」



 結局、ユニウスの破片は地上に落ちた。そして…数多の被害が出た。後に、“ブレイク・ザ・ワールド”と呼ばれる様になったこの日…俺達は………。
 ベッドで寝そべっていると、部屋に誰かが入って来る。

「シン…。」
「ミーアか…俺、守れなかったよ。くそっ……。」
「そうね…。地上の被害…酷いみたいよ。」

 苦しそうな表情で、ミーアがそれだけを言う。下手な慰めよりはマシだけど、それでも結構キツイ。

「あのテロリストの人達…どうしてユニウスを墜とそうだなんて考えたのかしら…?」
「分からない…。でも…どんな理由が有ったって…許される事じゃない…許しちゃいけない。」
「そうね…。」

 でも…止められなかった。
 いつまでも悔いたところで何も変わりはしない。それは分かっている…だから、少し気分を変えに行かなきゃな…。

72名無しさんDESTINY:2007/12/15(土) 04:37:45
>>71
#7


 気分転換する前に、議長に呼び出された。何かあったのだろうか?

「ミーア。先に食堂に行っててくれないか?俺は、議長に呼び出しされてるから。」
「うん、分かった。早く来ないとシンの奢りにしちゃうから♪」
「いや待てよ。何でそうなるんだよ。」

 ミーアが微笑みながら食堂に向かって行く。切り替えが早い…と思ったら、そうでもないみたいだ。
 少し距離が離れると、重い足取りに変わった。気を遣わせてた…のかな?俺。



 議長の部屋の前、ノックしようとすると、何かが聞こえる。

「話し声?」
「あら?シンじゃない。」
「あれ?…ルナ?どうしたんだよこんなところで。それに、レイも。」
「議長に呼ばれてな…。なんでも、今後について話したい事が有るそうだ。」
「今後?でも…今入って大丈夫なのかな?」
「何かあったのか?」
「いや、話し声がするからさ?」
「スキャンダルの匂いね♪」
「何処のマスコミだ。お前は」

 と、いきなり扉が開いて、出てきたのはアスランだった。

「アレックスさん?」
「シン?それにみんな…そうか、議長に呼ばれたんだな。議長がお待ちだぞ?早く入った方が良いんじゃないか?」

 アスランは、何処か追い詰められた様な表情だった。何かあったんだろうか?
 まぁ、余計なお世話だな。ルナじゃあるまいし。
 議長をあまり待たせるのは良くない、早く入るか…。



「いきなり呼び出してすまないね?諸君」
「いえ…。何かありましたか?」
「あぁ、実はね………レイ、君にはジュール隊に転属してもらいたいのだよ。」
「自分がジュール隊に…ですか?」
「強奪された新型を追ってもらいたいのだよ。奴等は、まだこの辺りの宙域に居るからね。」

 おいおい、それじゃあこっちはどうなるんだ?ルナと俺だけだと、流石にミネルバの守りが薄くなるぞ?

73名無しさんDESTINY:2007/12/15(土) 09:24:15
GJです〜
レイがジュール隊行きとは新展開ですね〜
続きに期待w

74名無しさんDESTINY:2007/12/16(日) 02:47:05
>>72
#8


「あの…議長?今の状況でレイが欠けてしまうと、ミネルバの守りが薄く……」
「シン…私も考え無しに言っている訳ではないのだがね?」
「し…失礼しました!?」

 議長が笑いながら答える。しかし、議長オーラに圧されてつい謝ってしまった。

「確かに、パイロットが二人だけなんていう状況は放置出来ない問題だ。そこで…だ。まだ到着はしていないが、地球降下後のミネルバには…とっておきのエースを隊長として迎えてもらいたい。」
「とっておきのエース…ですか?」
「うむ。フェイスだ。」
「なっ……!?」

 フェイス…話には聞いた事が有る。ザフトのエース中のエースで構成され、議長の切り札とまで言われている特務隊だ。

「それなら安心だろう?シン」
「はっ…はい!!」
「よし、そろそろ時間だ。レイ…我々はエターナルで一度プラントに戻る。早めに準備を頼む。」

 一応補足…二年前のヤキン戦以降、エターナルとフリーダムはザフトに返却されている。フリーダムは二度と使われる事の無い様に破棄され、エターナルはジュール隊の物として運用されている。

「了解。」
「議長はプラントに戻られるのですか?」
「先程、アレックス君から気になる事を聞いたものでね?それに、プラントを束ねる者としてあまり長く席を外すのも良くないからね。
 さて…長話になってしまって済まないね?歳は取りたくないものだよ…全く。それでは諸君、軍務に戻ってくれたまえ。」
「ハッ!!」



 議長の部屋を出て、俺達は食堂へ戻る事にした。

「えー?レイ…ジュール隊に行っちゃうの?」

 すっとんきょうな声を上げ、メイリンが驚いている。ヨウラン達も同様だ。

「仕方ないだろ?あの三機については、俺やルナよりレイの方が詳しいんだ。それに、新しい隊長も来るっていうしさ?」
「シンの言う通りだ。それに、二度と会えなくなる訳でもないからな。……そろそろ時間か。それでは…また会おう。みんな」

 正直、レイが居なくなるのは寂しいさ。でも、レイならあの三機をどうにかしてくれるさ。
 かくして、レイはジュール隊へと向かったのだった。


PHASE05―END

75名無しさんDESTINY:2007/12/17(月) 03:14:08
>>74
PHASE―06 世界の傷痕


 う…僕は……。そうだ、戦災復興支援をしてて…そこで、空から何かが落ちて来て…。
 目を開けると、そこには地獄の様な光景が広がっていた。

「お母さん?お母さん?何処に行っちゃったの?」
「痛ぇ…痛ぇよ……誰か…助けて…くれ……。」

 パッと見て、生存者はあまり居ないと思う…。あちこちにクレーターが出来て、仮設住宅やテントからは火が上がっている。

「誰が……誰がこんな事をしたんだ……!!」
「キラ兄ちゃん…」
「あ…どうし―――」

 言葉を失った。その子は、瓦礫の破片が目に刺さっている。…失明している。

「お父さんとお母さんを捜したいんだけど…目が見えないの…それに…凄く痛いの……」
「……分かった。僕が君のお父さんとお母さんを捜してくるから、君は…そうだ、ちょっと着いて来て?」
「うん……。」

 ひとまずこの子は安全な所に連れて行かなきゃ。

「よし、此処に居てね?僕が来るまで動いちゃ駄目だよ?」
「うん…。」
「大丈夫。僕が君のお父さんとお母さんを連れて来るから。だから安心して?…ね?」

 ……捜せるだろうか?この状況だ…多分…もう……

「後ろ向きに考えちゃ駄目だ!とりあえず、生存者を早く避難させないと!!
 皆さん!!あのテントまで避難して下さい!!」
「キラさん…ちょっと手を貸してくれ!!此処に生存者が居るんだ!!」
「っ…!?分かりました。今行きます!!」

 生存者が見つかったみたいだ。一人の男性が瓦礫をどかしている。僕も手伝おうとした時、腕に鈍い痛みが走った。

「っ………!?」
「キラさん!?アンタ…その腕折れてるじゃねぇか!?アンタは救護班の方に行って治療して来い!!」
「それだと間に合いません!早く助けないと間に合わない!!」

 腕は動かす度に悲鳴を上げるけど、今は構っていられない。生存者を助けて、あの子の両親を捜すんだ!!

76名無しさんDESTINY:2007/12/17(月) 03:18:04
地上編(かな?)突入です。


>>73
ありがとうございますm(__)m
本編のままだと何かアレなので、少し(かなりかな?)違う流れにしてみました。

77名無しさんDESTINY:2007/12/17(月) 15:52:26
いつも更新お疲れ様&GJです。
クロスオーバー倉庫に作品登録させてもらいました。
作者名は仮に3氏としておきました。その他ツッコミ所あったら指摘よろです。
これからも作品期待してます。

78名無しさんDESTINY:2007/12/17(月) 21:55:41
GJ!
キラがニートじゃないなんて……しかも戦後復興作業してるとは
レイがジュール隊行きに続き変化があっていいですね。

79名無しさんDESTINY:2007/12/18(火) 00:54:27
GJ!!
一話から一気に読ませていただきました。
書くごとに、段々と文章力が上がっている感じがしました。

キラがニートじゃないのは意表を衝かれました。
でも、こっちのほうが元主人公らしいですよね。

80名無しさんDESTINY:2007/12/18(火) 22:05:53
>>75
#2


「せー………の!!」

 瓦礫をどけると、中年の男女が倒れている。男性の方は、女性を庇う様に倒れている。だけど、酷い怪我をしている。
 見覚えの有る顔だ。この人達はあの子の両親だ。

「大丈夫ですか!?」

 声を掛けても返事が無い。意識を失っているのか!!

「早くテントの方に運ばなきゃ!!」
「キラさん!その腕じゃ無理だ!!もうじきオーブの救護班が来るから大丈夫だ!!」
「でも…約束したんです…。この人達を…あの子に……絶対に会わせるって……!!」

 父親を背中におぶる。でも、腕で支えられない上に、体格が良いから重い。

「……ったく、言い出したら聞かねぇなぁ。まぁ、こっちの人は俺が運ぶよ。」
「助かります。」

 呼吸は有る。まだ大丈夫だ。
 絶対に死なせない。



 テントまで辿り着くと、怪我をした人や小さな子供達で溢れかえっていた。
 オーブ軍も動いている様で、怪我人を治療したり、救命活動に励んでいる。

「キラ様!?怪我を……」
「僕は大丈夫です。腕が折れただけですから。それより、この人達の治療をお願いします。まだ助かる怪我です。」
「ハッ!!」

 あの子の両親を救護班に任せて座り込む。

「……そうだ、早くあの子に伝えなくちゃ。ご両親が無事だって…。」

 居た、あそこだ。

「やぁ、お待たせ。」
「キラ兄ちゃん?お父さんとお母さんは?」
「救護班の人に任せたよ。大丈夫、少し怪我はしてたけど、ちゃんと助かるから。」
「本当…?」
「僕が君に嘘を吐いた事は無いでしょ?さ、行こう。」
「う、うん……。」



 あの子を両親の病室に連れて行った後、僕は廊下に有った椅子に座って休んでいた。

「疲れた………。もう動けそうにないよ…。」
「キラ様…?お疲れのところ申し訳無いのですが、ユウナ様が至急オーブへお戻りになるようご命令が…。」
「え…?」
「あからさまに嫌そうな顔をなさらないで下さい。」

 ユウナさん…僕に何の用だろう?

81名無しさんDESTINY:2007/12/18(火) 22:18:24
>>77
ありがとうございますm(__)m
倉庫…ですか?よく分かりませんが、よろしくお願いします。



>>78
ありがとうございますm(__)m
こっちの方が良いかな?と思ったので、個人的なキラのイメージで書いてみました。



>>79
ありがとうございますm(__)m
文章力…向上出来てますか?出来ていれば嬉しいです(^_^;)

82名無しさんDESTINY:2007/12/19(水) 02:14:13
今回もGJです。
まとめ倉庫はここですね。
つttp://arte.wikiwiki.jp/
新シャアのクロス物とifものはだいたい収録されてます。

83名無しさんDESTINY:2007/12/19(水) 20:10:33
>>80
#3


 でも、僕が此処を離れて大丈夫なんだろうか?他人に任せるのもなんかなぁ…。

「行ってこいよ。キラ」
「そうだぜ。俺達が居るんだから、俺達に任せろよ。」

 僕の肩を叩いてそう言うのは、サイにカズイ。

「でも……。」
「帰って来ない訳じゃないんだろ?それに、お前…その身体で無理されたくないしな。」
「ゔ………。」
「はい、行った行った。早く治して、ついでに用事も終わらせて帰って来い。」

 サイが僕の背中をグイグイと押しながらそう言う。

「そんな顔すんなよ。お前みたいに色々出来る訳じゃないけど、それでも少しは手伝えるんだからさ?」
「…分かったよ。ごめん」
「馬ー鹿。こういう時は、ありがとうって言うんだよ。」
「うん、ありがとう。二人共」

 そうだね…今の僕に出来る事はあまり無いし…。行くしかないかな。

「キラ様…準備の方は?」
「大丈夫です。行きましょう。」

 こうして、僕はオーブへ向かう事にした。




―ミネルバ館内―


 青い空、白い雲…この空を眺めるのが懐かしいな。今までは気にもしなかったけど、改めて見ると綺麗だ。
 俺達(というか俺とルナ)は、甲板で射撃訓練をしていた。ミーアは扉の辺りからこっちを覗き見ている。銃声のする度に目を丸くして驚く様を見て、少し笑いそうになった。あぁ、やっぱミーアは一般人で、俺達とは違うんだ…とつくづく実感する。

「ねぇ…シン?」
「ん?」
「ラクス様は何してるの?目から構って光線出してるけど。」
「言うな。アレをスルーしないと、連れ去られるぞ?」
「連れ去られるって何処によ?そういえば…レイ、大丈夫かしらね?ジュール隊の隊長って、すごい恐いみたいよ?」
「まぁ、レイは何でも普通にこなす奴だし、大丈夫だろ?」

 レイが新型のMS貰ったのを滅茶苦茶悔しがってたのは敢えて追求しないでやろう。それと、昨日まで嫌がらせのメールを送っていた事も。
 そんな事を考えていると、アスランがいつの間にか此処に居た。

「まだまだだな?シン」
「そりゃ…アンタに比べたら誰だってまだまだだろーが…」
「ん?」
「何でもありません…ていうか足踏むな!!絶対に聞こえてただろアンタ!?」

84名無しさんDESTINY:2007/12/19(水) 20:17:10
>>82
ありがとうございますm(__)m
分かりました。今度覗かせて頂きたいと思います。


携帯で見れます…よね?(^_^;)

85名無しさんDESTINY:2007/12/20(木) 22:19:09
>>83
#4


「そういえば…後、数日でオーブに着くそうですよ?」
「グラディス艦長に聞いたよ。オーブに着けばカガリももう安心だ…。」

 溜め息混じりにそう呟いて、アスランは手摺に背を預ける。
 因みに、ルナは一足先に訓練を終わらせ、ミーアを連れて食堂まで連れて行った。

「戻るんですか?オーブに」
「あぁ、戻らないといけない。」「そこであなたは…何をするんですか?」

 アスランが押し黙る。俺から視線を反らし、背を向ける。

「……何をするんだろうな?何をすれば良いのか…あの時から、その答えがまだ見つからない…我ながら情けないな。」

 自嘲する様に笑いながら銃を握る。これ以上この話はしない方が良さそうだ。
 俺は、どうしても聞きたかった事を聞く事にした。

「ザフトには戻らないんですか?」
「……一度ザフトを裏切った俺が戻れる訳が無いだろう?議長にも戻ってくれと言われたが…それだと俺自身が納得出来ないよ。身勝手な理屈だけどな。」
「…そうですか。」
「それに、オーブにもユニウス落下の被害が出ている筈だ。俺に何が出来るって訳じゃないが、それでも…何かはしないといけないしな。」

 風が出てきた。話も終わったし、そろそろ行くか。

86名無しさんDESTINY:2007/12/21(金) 21:50:06
GJ!
キラがニートじゃないならアスランは凸じゃなくてちゃんとまともに考えてるアスランだ。
キラがカズイ、サイとともに行動してたり、アスランが自分したことを省みて安易にZAFTには戻れないといったり
それぞれの元主人公たちが自分の出来ることのために考えて行動してるところがいいですね。

87名無しさんDESTINY:2007/12/21(金) 23:02:52
>>85
#5


 食堂に着くと、みんながモニタを見たまま固まっている。
 ミーアにルナ…メイリンやヨウランまでもが固まっている。

「みんなどうし―――!!!?」

 モニタの映像を見て、俺の頭は真っ白になった。アスランもただ呆然としている。
 モニタの中では、エターナルが…ジュール隊が、連合軍の放った無数のミサイルを撃ち落としていた。
 また一つ…ミサイルを撃ち落とす。ミサイルの爆発は半端なものでは無い…そして、ミサイルに刻まれた刻印…。
 核ミサイルだった。

「そんな…どうして核なんか!?連合がどうして撃って来るんだよ!!」

 モニタには、更にニュースが流れた。映ったのはユニウスを落とそうとするテロリスト達のMS。
 ザフト製の…MS……。

「ユニウスが落ちたの…ザフトの所以になってるのかよ?」
「そんな…私達だって必死に…」

 こんなの…こんなのって…!!
 今のところ、ジュール隊が核を全て撃ち落としているけど、数が数だ。一発でも撃ち漏らせばそれこそ…。
 くそっ…!!俺は…俺はまた何も出来やしないのかよ!!

「シン…。」

 ミーアが俺に駆け寄って来る。そして、俺の手を握る。
 今更気付いた…。手に力が入り過ぎていたのか、爪が突き刺さって血が出ていた。

「あ、あぁ…大丈夫。」
「大丈夫じゃないでしょう!血が出てるわ!!ほら、医務室まで行かなきゃ!!」
「シン、ミ…ゲホッゲホッ!!ラクス様もそう言ってるんだ。早く治療して来い。」

 みんなの視線が俺を捉える。ミーアは全然気付いてないし、アスランは苦笑しながら俺の肩を押す。

「…わ、分かりました。行きますから手を離して下さい。」
「はい、では参りましょう♪」
「俺の話聞けよ!!」

 結局ミーアに引っ張られて俺は食堂からフェードアウトする。
 ……ミーアの手を握って分かった。微かに震えている。

88名無しさんDESTINY:2007/12/22(土) 15:50:50
age

89名無しさんDESTINY:2007/12/22(土) 22:14:40
>>87
#6


「はい、これで治療終わり。これからは力み過ぎ注意よ?」
「アハハハ…気をつけます。」

 そう言って医務室を出る。俺の手には包帯が巻かれている。なんと大袈裟な…。

「いくらなんでも、これは大袈裟じゃないか?」
「………。」
「ミーア?」
「え?あ……何?」

 話聞いてないな。全く…。

「どうかしたのか?」
「うん…ほら、さっきのニュース。連合軍の人達がプラントに核兵器を撃って、ユニウスが落ちたのがプラントの所以になってて…。」
「“戦争が始まるんじゃないか”…か?」
「うん…。」

 ……ミーア…そりゃ恐いよな。戦闘経験も無ければ、ただの一般人なんだから。それに、今居る場所も…。

「大丈夫。俺がミネルバを守り抜いてみせるさ。ルナだって居るし、まだ来てないけど…新しい隊長の人なんかフェイスなんだぜ?
 プラントの方だって、あのジュール隊が居るんだ。だから大丈夫だよ。」
「うん…ありがとう。駄目だなぁ私って。この艦に乗るって決めた時から、こうなるかもしれないって分かってた筈なのに…。」
「ミーアは今の今まで一般人だったんだから、それは仕方ない事だと思うよ。…実は、俺も出撃前とかになると結構な…。」
「そうなの…?」
「そりゃそうだよ。多分、みんなそうだと思う。だから、気にする必要なんか無いって。」

 少しだけミーアの表情が明るくなった。
 しかし、我ながら不器用だと思う…。フォローに向いて無いのかな?俺。

「どうしたの?何か考え込んでるみたいだけど。」
「ん?あぁ、慣れないもんだなーって思ってさ?」
「……?」

 ミーアが疑問符を浮かべながら首を傾げた。

90名無しさんDESTINY:2007/12/22(土) 22:19:55
>>86
ありがとうございますm(__)m
カズイやサイは、氏種に出ていない様なので出演させてみました。
アスランとキラは、自分なりに変えてみたらあんな感じになってしまいました。

91名無しさんDESTINY:2007/12/23(日) 19:28:28
>>89
#7


 食堂に戻ると、ルナがニヤニヤしながら俺を見つめている。

「何だよルナ?ニヤニヤして…何か気持ち悪いぞ?」
「いやーシンがラクス様と何をしてたのかなーって♪で、どうなの?」
「は?ただ医務室行って、包帯巻いただけだけど…。」

 ミーアも首を傾げている。何か勘違いしてないか?
 俺の手を引っ張り耳打ちする。

「シン…あんたそれでも男なの?駄目よ。男は奪ってなんぼよ。」

 やめてくれ。アスランと議長に殺される。

「何を言ってるんだよ。俺はやましい気持ちで受けた訳じゃないっての。」
「怪しいもんだなー。」

 ヨウランまでもが変な事を言い出した。なんだってんだ?

「ルナ、ヨウラン…いい加減にしないと、ハゲるまで苛めるぞ?」
「はいはい、分かったわよ。」
「恐い恐い…。」

 やれやれだ。いつから変な誤解受ける様になったんだ?
 そんな事を考えようとした瞬間、館内に警報が鳴る。

『コンディションイエロー発令!!コンディションイエロー発令!!パイロットは至急ハンガーに集まって下さい。』
「な!?敵襲かよ!!」
「うわぁ…私とシンしか居ないわよ?ヤバいわね。」

 そう、レイはジュール隊に居るし、実質は二人のみだ。フェイスの隊長は何をやってるんだよ!!

「三人だ…俺も出るよ。艦長に頼んでみる。」
「アレックスさん…。」

 三人…か、相手の数や装備によっては、かなり厳しい戦いになりそうだ。

「シン…頑張って下さい。」
「大丈夫です…ラクス様。さっき言った通りですよ。」
「ほら!早く行くわよシン!!」
「分かってる!!アレックスさんは艦長の元に…」
「あぁ、任せてくれ。」

 そう、この時はまだ知らなかった。この海域では、連合の新型MAが配備されている事に。



PHASE―06 END

92名無しさんDESTINY:2007/12/24(月) 04:29:20
番外編
PHASE―? 聖夜


 俺がミーアの護衛になって数週間、季節はすっかり冬真っ盛りになっていた。とは言っても、雪が降る訳じゃないし、取り立てて寒くも無い。プラントだからかな?
 そんなある日、俺とミーアは議長に呼ばれる羽目になった。

「やぁ、ミーア。それにシン。よく来てくれたね。」
「いえ、ご命令とあれば…その、特別指令というのは?」

 そう、議長のメッセージは、
『ミーア、シン。君達にどうしても受けてもらいたい仕事が有るのだ。休暇中のところ済まないが、来てもらえないかね?』
………というものだ。

「うむ。明日は何の日か知っているかね?」
「クリスマス…ですか?」

 答えたのはミーアだ。それを聞いた議長が笑みを浮かべる。

「馬鹿!?議長がそんな事で呼ぶ訳無いだろ!!」
「えー?だってそれ以外思いつかないもの。」

 唇を尖らせ、不貞腐れた様にミーアがそう呟く。

「いや、ミーアの言う通りだよ。明日はクリスマスだ。」
「え?えぇ!?」
「実はね…前大戦で家族を失った子供達に、細やかなプレゼントを…と思ってね。約束してしまったのだよ。『今年のクリスマスは、ラクス・クラインを連れて行く。』とね。」
「まぁ、そうだったのですか。」

 成る程な、そういう事か。その護衛で俺も呼ばれたと。
 すると、議長が真紅の衣装をミーアに手渡す。

「議長…これは?」
「クリスマスと言えばサンタだろう?ミーア、君にはプレゼントも配ってもらいたい。」

 続いて、俺にも衣装が手渡される。ブラウン系のタイツだ。ついでに角付き。

「君はトナカイ役で。」
「ちょ!?何故にトナカイですか!!」
「サンタのソリを引くのはトナカイだろう?オーブの方は違うのかね?」
「そうじゃないですけど…!?って笑うなミーア!!」
「アハハハ♪……お、お腹痛い…や、やめてシン。に…似合わな過ぎるわ!!」

 この時、議長に初めて殺意を抱いたのはまた別の話だ。

93名無しさんDESTINY:2007/12/24(月) 15:11:21
>>92
#2


 議長の部屋から出た俺達は、明日の打ち合わせも兼ねミーアの部屋へと向かう事にした。

「はぁ……。」
「はい、もう泣かないの。男の子でしょ?」
「泣きたくもなるだろ。タイツだぞタイツ!!そりゃ、普段からそんな衣装着てるミーアには分からないだろうけど。」

 物凄く睨まれた。っていうか気にするなら着るなよ!?

「この衣装…議長が…。」
「俺が悪かったよ。だからもう何も言うな。」
「まぁ、最近は慣れたから大丈夫なんだけどね♪」
「待てよオイ!?慣れちゃ駄目だ!!
それにしてもクリスマスか…」

 思い出すのは、家族との思い出。マユとケーキのチョコレートを取り合って母さんに怒られたり、夜遅くまで起きて「サンタの正体を見破ってやる。」なんて意気込んでたら、サンタは結局父さんだった…なんてのもあったっけ?今はもう戻れない…俺の守れなかったもの。

「シン?どうしたのよ。さっきからボーっとして。」
「あ、悪い…何でもないよ。
 そういやさ?ミーアの家はどうだったんだ?」
「どうって?」
「クリスマスだよ。いや、なんとなく気になってさ。」

 唇に指を当て、考え込む。

「うーん、普通だったと思うわよ。私が居て、パパが居てママが居て…友達も呼んで普通に騒いでた気がする。あ、カラオケやった時なんて、私があんまりマイク離さなかったから、みんなにすっごく怒られた事もあるわ♪」
「そっか、やっぱ何処でも同じなんだな。」

 楽しそうに話してるミーアだったが、ふと気付いた様に俺の顔を覗き込む。

「顔色悪いわよ?大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だよ大丈夫。」
「そんな感じに見えないわ。」
「随分と噛みつくな…んじゃ大丈夫じゃない。」
「それなら…って引っ掛かる訳無いでしょ!!」
「いや、引っ掛かる寸前だっただろうが。」

 結局、こんな感じで打ち合わせなんか進まずに、ぶっつけ本番になってしまった。

94名無しさんDESTINY:2007/12/25(火) 00:00:22
>>93
#3


 本番…というかクリスマスだな。議長の陰謀でトナカイと化した俺が、ラクスサンタの乗ったソリを引いて颯爽と登場。
 戦災孤児の子達はラクスサンタに夢中で、俺には一切ノータッチだ。

「わーい♪ラクス様だー♪」
「はい♪押さないで下さいね♪プレゼントは皆さん全員にお渡ししますから♪」

 それにしても、ラクス・クラインが必要だと言った議長の気持ちも分かるな。ラクスを見た瞬間の子供達の顔を見たら…。

「ふっ…君の出番は無さそうだね。」
「俺の出番なんか無い方が良いですよ。俺の出番が有れば、それだけミーアが危険に晒されますからね。」
「確かにそうだね。それにしても…始めは君が引き受けてくれるとは思わなかったよ。」
「半ば強制だった気がするのですが…。」
「はて…何の事かな?」
「あ…アンタって人は……。」

 怒りに震えるこの拳を、どうやってこのワカメに喰らわせてやろうかと考えていると、議長がどこか自嘲する様な笑みを作った。

「シン…それにミーア。君達には本当に感謝しているよ。これまでの生活を捨ててまでラクスになってくれたミーアに、パイロットと護衛…それを引き受けてくれたシン…君達にね。
 私の力はまだまだだ。ラクスに頼らなければ何も出来ないし、そのラクスを守る為には君が必要だ。全く…我ながら。」
「議長……。」
「いや、済まない。少し感傷に浸り過ぎてしまった。」
「……ミーアは俺が守り抜きます。絶対に。」

 ミーアは子供達に囲まれて、幸せそうに笑っている。あぁ、絶対に守ってみせるさ。ミーアの命も、あの笑顔も。

「はい♪これで皆さんにプレゼントは回りましたね♪」
「本当…馬鹿みたいに笑いやがって。こっちの気も知らないで。」
「その割に…君も楽しそうに見えるのだが?」

 議長が意地の悪い笑みを浮かべて俺に言う。

「き…気のせいですよ。」
「ふむ。ではそういう事にしておこうかね?」
「何ですか!?その引っ掛かる言い方は!?」
「ほら、歌が始まるぞ?」

 ぬぅ…まぁ、みんな楽しそうだし、これで良いか。

95名無しさんDESTINY:2007/12/25(火) 01:30:35
>>94
#4


「静かなー♪この夜にー♪あなたをー………」

 ラクス・クラインの詩。歌っているのはミーアだけど、綺麗な歌声だ。本物の方は聴いた事が無いけど、多分…遜色無いんじゃないかと思う。
 さっきまで賑やかだった子供達も、今は目を閉じて聴き入っている。

「綺麗な歌声だ…そうは思わんかね?」
「え?あ…はい。何だか不思議ですね。落ち着くと言いますか心が鎮まると言いますか…。」

 歌声だけじゃない。歌っているミーアは、何だか幻想的な美しさ(って言うのかな?)で、知らぬ間に見入っていた。
 そして、気付くともう歌は終わっている。
 歓声を上げる子供達に手を振りながら、深々と頭を下げる。
 これで今日のイベントは終了だ。



「ラクス様ラクス様♪来年も来てくれるの?」
「皆さんが良い子にしていれば…またお伺いさせて頂くかもしれませんね♪」
「本当♪それなら、僕良い子になる♪」
「私もー♪」
「ふふ♪ちゃんと先生方の言うことを聞くのですよ?」
「はーい♪」

 相変わらず子供に人気だな。

「シン…。」
「あ…何ですか?」

 議長に外まで連れて行かれる。何の用だろう?

「君にミーアの正体を教えたのはね…?彼女の為なのだよ。」
「ミーアの為…ですか?」
「うむ、彼女はラクス・クラインという役割を必死で演じてくれている。それは良い。
 だがね…彼女は必要以上に頑張り過ぎる。私はそれが不安でならないのだよ。」
「どういう事ですか?」

 難しいな…何でだろう?

「彼女があまりにも“ラクス”に成りきろうとするあまり、本来の“ミーア”が消えてしまうのではないか…とね。
 ラクスが見つかれば、彼女がラクスになる必要は無い。だが、その時にミーア・キャンベルとして生きていけるのだろうか?それを考えるとね…。こんな道に引き込んでしまった手前、私には彼女を守る義務が有る。それこそ、彼女の命であり彼女の心を…。
 だからこそ、身近に彼女を“ラクス”としてではなく、“ミーア”として接する事の出来る人間が欲しかったのだよ。」

 そっか、それが俺の居る理由なんだな…。

96名無しさんDESTINY:2007/12/25(火) 02:08:37
>>95
#5


 ミーアが孤児院から出てきた。やや名残惜しそうに手を振りながら俺達の元に来た。

「お待たせしました。」
「いや、今日はご苦労だったね。ミーア、シン。」

 俺は何もしちゃいないんだけどな。でも、今日は此処に来て良かったな。

「シン…何ニヤニヤしてるの?」
「や…何でもないよ。」
「さて、もうすっかり暗くなってしまったね。今日は本当にありがとう。二人共。」
「いえいえ、ラクス様として当然の事ですわ。」

 笑顔でそう答えるミーアに、議長は苦笑した。不思議そうに首を傾げるミーアの頭を軽く叩く。

「ミネルバの件、頼んだよ?ミーア。」
「はい、お任せ下さい♪」
「うむ、ミーアの事を頼むよ?シン。ただし、手を出したら銃殺刑だ。」
「しつこいですね…議長も。」

 本当…掴めない人だな。議長って。まぁ、あんまり深く関わるとロクな目に遭わないだろうな。




 俺とミーア。二人で夜道を歩いている。ミーアはサンタの衣装が余程気に入ったのか、まだ着たままだ。

「ふーんふーん♪」
「なぁ…まだ着てるのか?早く着替えた方が良いと思うぞ?」
「良いじゃない♪今日の私はサンタクロースなの♪」

 やれやれ…言っても聞かないなこりゃ…。

「そういや、あの子達。ミーアを見てからいきなり凄い笑顔になってたな。本当に嬉しそうだったよ。」
「本当?私、実はいっぱいいっぱいであんまり良く覚えてないの…。」

 舌を出して苦笑している。

「そうなのか?」
「うん、実はあがり症なのよ。ライヴの前とか、もう心臓がバクバクいって…大変なのよ。」
「ははは♪何か分かるかもしれないな。俺もカラオケで歌う前とか結構緊張するし。」
「カラオケとは違うわよ。」
「そうなのか?」
「当たり前でしょ?」

 そう言った後、小さく肩を震わせる。もうすっかり暗いしな、冷え込んできたからか。

「ん?寒いか?」
「大丈夫大丈夫。寒さには強いのよ♪って…あ……」

 俺が着てた上着を着せる。

「これで少しは大丈夫だろ?」
「う、うん…ありがとう…」

97名無しさんDESTINY:2007/12/25(火) 02:43:05
>>96
#6


「ミーア、顔赤いぞ?大丈夫か?」
「え…だ、大丈夫よ!!」
「そうか?まぁ、辛くなったら言えよ?」
「大丈夫。暖かいから…。それより、シン…今日は空いてる?」
「あぁ、何も予定は無いけど?」
「それなら、私の部屋で打ち上げでもしない?今日の反省会も兼ねて。」

 長い髪を揺らしながら俺に振り向き、ウィンクしてそう言う。

「打ち上げか…面白そうだな♪」

 二人でミーアの部屋に向かう。近くのスーパーで、適当な飲み物なり食べ物を買って。



「ねぇ、シン。あの時、議長と何話してたのー♪」
「うわっ!?酒臭っ!?酒なんか買ってないのにどうして!!!?」

 頬を赤らめて、しつこく俺に抱きついてくるミーア。議長に殺されるから離れてくれ。
 ビニール袋の中には、チョコレートの箱が入っている。……………まさかな?
 “ウィスキーボンボン”…成る程、どうやらミーアは極度に酒に弱いようだ。そういえば、マユもそうだったな…。

「シンー聞いてるのー?」
「あぁー聞いてる聞いてる。」
「むぅー……聞いてないわよーそういうのはー」
「はいはい、分かった分かった。話すから離せ……ってもう寝てるし……。」

 間抜けな寝顔で、ミーアは寝息を立てている。とりあえず、ベッドまで運んでそこに寝かせる。

「ったく…酒に弱いって自覚が無いな?こりゃ…」
「ん……。パパ…ママ……私………」
「……………。」

 眠ったミーアの目尻に涙が…そっか、自分の意思で家族を切り捨てたんだったな…。ミーア、どんな気持ちだったんだろう?

「……そうだよな。やっぱ辛いんだよな。家族に会えないのって…でもな?きっといつか…会えるよ。お互い生きてるんだからさ?」

 そう、きっと…いや、いつか必ず…会わせてやろう。だから守らないとな…。
 それに…子供達にも約束したんだもんな。「来年も来る」って……。


PHASE―? END

98名無しさんDESTINY:2007/12/25(火) 02:47:14
思い付きでクリスマスネタ(?)を書いてみました。
相も変わらず原作とキャラ違う気がする二人ですが、目立てていれば幸いです。(^_^;)

99名無しさんDESTINY:2007/12/26(水) 04:37:48
>>91
PHASE―07 覚醒
#1


「くそっ…!?数が多い!!」

 俺にルナ、アスランが出撃しているが、押され気味だ。
 連合軍の艦隊に襲われている。戦艦6、MS18機。これに立ち向かう俺達は三機。それに、ミネルバ…正気の沙汰じゃないな。

『シン!あまり出過ぎるんじゃないぞ!?ミネルバの守りが薄くなる!!』
「分かってるさ!!でも…艦隊を墜とさないと、いくら攻撃しても無意味だ!!」
『二人共!口より手を動かしなさい!!私だけじゃキツイんだからね!!』

 ルナとアスランは、ミネルバの上で近付く敵を狙い撃っている。俺はフォースシルエットの飛行能力を駆使して、敵陣に斬り込んでいる。しかし、ミネルバからあまり距離を離せないし、敵の数も数だから迂濶に近付けない。

「くそっ!!くそっ!!離れたところからチマチマと……!!
 薙払ってやる!メイリン!!ブラストシルエットは出せるか!?」
『それが…さっきの攻撃で、カタパルトをやられちゃって…。』
「八方塞がりかよ!!くっ…」

 敵の放ったビームが肩をかすめた。ダメージは何ともないが、回避の際に体制が崩された。
 しかし、ルナの狙撃でビームを放ったそいつは撃ち墜とされる。

『シン!大丈夫か!?』
「何とかな…。ルナ、助かった。」
『ふふん♪私も赤なのよ♪援護は任せなさい。』

 こういう時は頼りになるな。
 でも、ルナに頼ってばかりもいられないな。

「斬り込む!狙撃は任せた!!」
『OK♪狙い撃ってやるわ!!』

 固まっている奴等を狙うのは危険が伴うな…。はぐれた奴を狙う事にしよう。

100名無しさんDESTINY:2007/12/27(木) 02:54:20
>>99
#2


 一機…二機と、徐々に墜とせてはいるが、シルエットを換装出来ない上にエネルギーが残り半分近くしかない。
 デュートリオンビームを受けようにも、敵の猛攻の最中そんな暇は無い。

「くらえっ……!!」

 ビームサーベルで斬り掛かるが、シールドで防がれる。でも、罠には引っ掛かってくれたな。
 スカートからナイフを引き抜き、一気に胴体に突き立てる。これでまた一機か。

『シン、そっちに数機向かったぞ!!囲まれるなよ?』
「チッ…次から次へと…!!」

 三機が迫って来る。ルナは敵をミネルバに取り付かせない為に手一杯だ。援護は期待出来そうに無い。
 一機目が斬り掛かって来る。それはビームサーベルを避け、すれ違い様にナイフを突き立て墜とした。
 二機目と三機目は、少し距離が離れたところからビームライフルで俺を執拗に狙って来る。此方も応戦したいが、エネルギー残料を考えると、無闇やたらには撃てない。
 くそっ!何か無いのか!?

『うっとうしいわね…しつこいのは嫌われるのよ!!っと…。あーもう、くど過ぎだわ!!』
『同感だな…。シン、エネルギーの方は大丈夫か?』
「大丈夫だったらこんなに苦労は…って危ね!?」

 ビームが脇腹をかすめる。長期戦に持ち込まれたらアウトだな。とっとと潰すしかない!!
 フル加速し、距離を詰める。相手はどんどん撃って来るが、それはシールドで何とか対処する事にした。

「いい加減に………しろ!!」

 斬り掛かるも防御される。でも、サーベルは一本じゃない。もう一本で脇腹から串刺しにしてやる。

「次っ……!!」

101名無しさんDESTINY:2007/12/28(金) 04:19:54
>>100
#3


 徐々に数を減らせてはいる。だけど油断は出来ないな。

「っ…!やっと九機目!!」
『いい加減…辛くなってきたな。 ルナマリア、弾幕を張るぞ!!
 シン、俺とルナマリアで弾幕を張る!君は急いでエネルギーを補給してくれ!!』
「分かった…メイリン、頼む!!」
『任せて!!デュートリオンビーム発射用意……』

 その時だった。インパルスの脚が“何か”に掴まれた。そしてそれは海中に引きずりこもうとしている。当然、デュートリオンビームなんか受けていられる状況じゃない。

「何だ……!!!?」
『なっ……!?戦艦がもう一隻…潜水艦が増えました!!どうして…今までレーダーには映ってなかったのに!!!?』

 まさか…またミラージュコロイド…?まさか…連合は…条約を破ったのかよ!!
 くっ…今は考えてる場合じゃない、早く振りほどかないと……。
 インパルスの脚を掴んだそいつは、蜘蛛の様な蟹の様な…何だか気味の悪い奴だった。

「離せ!!」
『ふんっ…連合の猿真似で造った蚊トンボの様なMSなど…粉砕してくれるわ!!』
『シイィィィィン!!!!』
『離しなさいよ!!このっ!!』

 ビーム砲の一撃が直撃した…かの様に見えた。

「なっ……!?」
『嘘っ!?ビームが効かない!!』
『ハハハハハハ!効かぬわ!!所詮コーディネーターの技術等、こんなものだ!!!!』
「離せ…離せよっ!!」

 ビームの盾に全て防がれる。前方しかカバーしていないが、ミネルバの位置からして狙えないし、俺も狙えない。
 撃っても盾に防がれる。

『あの艦を潰せ!!あれを墜とすのだ!!!!』

102名無しさんDESTINY:2007/12/29(土) 03:20:09
>>101
#4


 MAの砲がミネルバに向いた。

「やめろぉぉぉぉぉ!!」

 それを阻止しようとするも、ビームは全て防がれて話にならない。

『てえぇぇぇぇぇ!!!!』
『回避ぃぃぃぃ!!!!』

 放たれたビームは、ブリッジこそ反れたが左翼を薙払って、爆砕させた。

『艦長…大変です!ラクス様が…ラクス様が!!先程の衝撃で頭を打ったそうです!!!!意識も失ったと連絡が……!!』
『なっ…!?至急、医務室に連れて行きなさい!!』

 ……何だって?今…なんて?
 ミーアが…頭を打った?意識が無い……?

『シン!?どうしたんだ!!動け、動かないと墜とされるぞ!!!!』

 俺は…また……“あの時”みたいに何も守れやしないのか?“あの時”と同じで俺は……俺は…………

『シン、今は闘う事だけ考えて!ミネルバが墜とされたら一環の終わりなのよ!!』

 墜とされる…?コイツに?こんな奴等に?

「ハァ……ハァ…―――」
『シン、応答して!!』
『どうしたんだ!?シン!!』

 また奪うのか?お前等は…俺から…また何もかも奪っていこうっていうのか?

「うおおおぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁああ!!!!!」
『シ…シン?』

 また、“あの感覚”……。
 ユニウスの時の…テロリストとの戦いで芽生えた感覚。
 何だかそれは、夢でも見ている様な感覚だった。再びビームを放とうとしていた砲に、ビームサーベルを投げつけ突き刺す。既にエネルギーを蓄えていた砲が吹き飛ぶ。

『ぐわぁぁぁぁ―――!!』

 それと同時に、脚を掴んでいたクローが緩み、俺はようやく離脱する事が出来た。

「メイリン!一瞬で良い!!デュートリオンビーム!!!」
『は…はい!?』

103名無しさんDESTINY:2007/12/30(日) 05:33:04
>>102
#5


 デュートリオンビームを額で受ける。ただし、ほんの一瞬だけだったのでエネルギーが完全に戻った訳でない。でも、今ならやれる。やらなきゃいけない。
 頭の中はすっきりと余計な雑念が振り払われている。

『アレを墜とせば全てが終わるのだ……!!何を今更…あんな蚊トンボ如きに!!!!』

 インパルスを射抜こうと、ビームを放つも当たらない。どういう理屈かは分からないが、全て“見える”のだ。

「無駄だ!!」

 残りの前肢をビームサーベルで削ぎ落とし、ブーストの勢いを利用して背後に回る。
 そもそも、MAが小回りでMSに勝てはしない。サイズの問題も有るし、何よりその型だ。

『何だと……―――』
「……消えちまえ…」

 深々とビームサーベルを突き刺した。これでコイツとの決着は着いた。
 後は雑魚だけだ!!ルナとアスランが奮闘してくれていたからか、敵の数はもう五機まで減っていた。
 俺がMAを墜としたのを期に、撤退信号を撃ち出して退却をはじめた。

「逃がすか……!!」
『その必要は無いわ。もう大幅の戦力は駆逐したし、何より新型MAについても知る事が出来たのだもの。これで十分よ。』
「ですが―――」
『艦長命令よ。』

 俺の言葉はあっさり遮られる。 確かに艦長の言う通りだけど、俺は……。

「……了解、シン・アスカ。帰投します。」

 結局、俺はそのまま帰投する事になった。

104名無しさんDESTINY:2007/12/30(日) 19:18:15
まとめてGJです。クリスマスネタも堪能させていただきました。これからも期待してます〜

105名無しさんDESTINY:2007/12/31(月) 09:26:38
>>103
#6


 ………うん…?あれ?此処は医務室のベッドだったっけ?
 何で私…あ、そっか。あの時ちょっとバランス崩して、頭打っちゃって…。でも痛みとかは無いから大丈夫かな?



「ご心配お掛けしました。すみません、皆様。」
「いえ…ラクス様、もうお身体の方はよろしいのですか?」
「はい、特に痛みも有りませんので、問題はございませんわ。」

 安堵したかの様に胸を撫で降ろすグラディス艦長。結構心配掛けちゃったなぁ…。

「あの…シンは?」

 そう、シンが居ない。艦長が苦笑いを浮かべ、手で指した先にはシンが椅子に座って寝息を立てていた。
 これは新しい発見だわ。寝顔は可愛いのね♪写真撮っちゃおうかしら?…怒られるか。

「起きるまで絶対に離れない。と言って全く聞かなかったので…ずっと傍に居ましたよ。シンは。」
「…シンにも心配を掛けてしまいましたね。」

 そっか、ずっと傍に居てくれたんだ…シン。

「あ、グラディス艦長?」
「なんでしょう?」
「毛布を一枚お借りしてもよろしいですか?風邪でもひかれては困りますので。」

 シンは舟を漕ぎながら、まるで独り言みたいにブツブツと寝言を言っている。

「……ん…ルナ…メイリン……卵掛けご飯……邪道…」

 ど…どんな夢を見てるのかしら?何だか激しく気になるわ。

「ふふ…そうですね。本当、手の掛かる子は困りますね。ラクス様。」

 そう言って笑いながら、シンに毛布を掛ける艦長。何だか、子供とお母さんみたい…。って、グラディス艦長は…そういえば子供が居たんだっけ?

「では、私は軍務の方に戻らせていただきます。何かございましたら、そちらのボタンを押して下さい。」
「はい、お気遣いありがとうございます。」

106名無しさんDESTINY:2007/12/31(月) 09:31:55
>>104
ありがとうございますm(__)m
クリスマスネタは、シン視点のみになってしまったのが私的に残念です(^_^;)


ミーア視点も入れれば良かった。

107名無しさんDESTINY:2007/12/31(月) 11:03:37
本編もクリスマス編もGJです。
それにしてもシンどんな夢見てるのか気になるな

108名無しさんDESTINY:2007/12/31(月) 21:24:21
いつもGJです。大変遅くなりましたが6話とクリスマス編をまとめ倉庫に載せさせてもらいました。
これからも期待しています。

109名無しさんDESTINY:2008/01/01(火) 15:29:06
>>105
#7


 艦長が出ていって数分。今度は、ルナさんとメイリンさんの二人が部屋に来た。シンは眠ったままだけどね。

「失礼します。お身体の方は大丈夫ですか?ラクス様。」
「はい、問題ありませんわ。ご心配お掛けしてしまいましたね。私。」
「いえ、お守りする我々の不備以外のなにものでもありません。」

 ルナさんも平静を装ってはいるけど、やっぱり気にしているみたい。表情が少しそんな感じ。

「ふふ…私は大丈夫ですわ。それに、一度失敗しても次があるのでしたら、次にその失敗を活かす事が大事です。」
「頭だと分かってはいるんですけどね。」

 苦笑いしながら、ルナさんはそう言う。そう簡単に割り切れるものでもないものね。

「メイリン?さっきから黙り込んでどうしたの?」
「は…はい!?わ…私はとても元気です!!」
「メイリン、とりあえず外に出て深呼吸して来なさい。いや、本当に。」
「ふふ…仲が良いのですね。お二人は。」
「あははは…実は、メイリンは凄いラクス様のファンでして…緊張してるのだと…。あ、そういえば…シンがずっと居座ってるみたいで…連れて行きます?」

 シンはまだ寝てる。本当に寝ないで私の傍に居てくれたんだね。

「いえ、大丈夫ですわ。」
「そうですか。それにしても、本当に間抜けな顔して寝ちゃって…しょうがない子ね。」
「そうですわね。」
「後、二日程でオーブに着くみたいなんですが…ただ、当初予定していたライヴは中止になるみたいです。」

 え…?そんな……。

「議長が大事を取ってラクス様を休ませると…。」
「そうですか…残念ですわ。」

 ライヴは無しかぁ…まぁ、議長にも心配掛けちゃったし、仕方ない事なのかな……?
 うん、今は怪我を早く治さなきゃね。



PHASE07―END

110名無しさんDESTINY:2008/01/01(火) 15:38:31
皆さん、あけましたね。


>>107
ありがとうございますm(__)m
シンの見てる夢は、ルナとメイリンが卵掛けご飯にソースを入れるという暴挙を行うという悪夢です。
怖くてうなされますね。



>>108
ありがとうございますm(__)m
多分、そろそろオーブに入る様な入らない…いや入るかもしれません。
レイの出番もそろそろ…

111名無しさんDESTINY:2008/01/02(水) 19:20:15
番外編2
PHASE☆― 正月


「はい、皆さんあけましておめでとうございます。シン・アスカです。」
「シン…もう二日になってるんだけど…大丈夫?」
「ミーア…気にするな。レイは気にしてない。」
「今は居ないでしょ。レイ。ところで、お正月って何するの?ていうか、ストーブの上で何焼いてるの?」

 シンがストーブで何かを焼いてる。白くて四角くて、黒い包み紙みたいなのがついた物。

「あぁ、これ餅だよ餅。」

 餅……?聞いた事はあるけど、これがそうなんだ…。

「何か膨れてきてる…。」
「あぁ、そろそろ焼けるな…。」

 餅をお皿に取り分けて、頷きながら自画自賛してる。端から見たら変な人だよ?
 それに、包み紙(?)ついたままだし。

「…………何か?」

 ずっと見ている私が嫌なのか、シンが半眼で私を見てくる。

「あ…包み紙ついたままなのに食べるのかな?って」

 それを聞いたシンが少し笑いを堪えた様な声で、

「違うよミーア。これは海苔。包み紙とかじゃなくて、これも食べ物だよ。ほら、漫画とかのおにぎりについてるアレ。」
「へー……オーブって、変な食べ物たくさんあるのね。」
「変…か?まだまだこんなもんじゃないんだけどな。他にも、お節料理とか…」
「お…お世辞料理?」
「お節な?お・せ・ち。」
「ほう…何か香ばしい匂いがしたと思ったら、餅を焼いてるのか?」

 あ、アスハ代表。この人もオーブの人…かぁ。

「はい。でもあげませんよ。アンタには絶対に。」
「何!?久しぶりに餅が食えると思っていたのに…」
「シッシッ…向こう逝って下さいよ。」
「お前…漢字違う…焼きすぎて失敗しろ!!この馬鹿!!」
「アスハ代表…何がしたかったの?」
「……分かんね。」

 逃げる様に走って逝っ…じゃなくて行ったアスハ代表の背中を見ながら、シンは黙々とお餅を食べている。

112名無しさんDESTINY:2008/01/04(金) 22:49:55
>>111
#2


「シン、お正月って他にはどんな事するの?」
「うん?あぁ…そうだな、お年玉とか貰えるよ。親とか親戚の人から。」
「ふーん?それって、議長とかもくれるのかしら?」
「議長に言ってみたら?」


「お年玉…かね?」
「はい♪下さい。」

 議長が何故か嫌そうな顔で私を見ている。ひょっとして、何か悪い事しちゃったのかしら?

「あ…あぁ、これで…」
「……MGボール…。」
「これがお年玉だよ。シンに聞かなかったのかね?」

 そう言いながら、議長は私に目を合わせようとしない。何か引っ掛かるけど、まぁいいかな?

「シンめ…余計な事を……後で減俸してやる。しかし…あんなもので騙されるとは…まだまだ青いな、ミーア。」


「……お年玉って、貰ってもあんまり嬉しくないね。」
「いや、それお年玉違うから。明らかに議長に騙されてるから。なんだ、ボールって?馬鹿でも騙され………あ、ごめん。」
「何で謝るの?謝る事なんて…謝る事……うう…」

 何だか泣けてきた。まさか議長がこんなにもケチだったなんて…でもMGのプラモデルくれるあたりが微妙。

「議長に騙されたんだね?私」
「騙すもなにも、議長だって知らないんじゃないか?オーブのマニアック文化なんか。」
「いいえ!!議長の陰謀よ!!!!」
「まぁ、それでどうなるもんじゃないんだけどな。」

 シンが呆れた様にそう言う。

「ところで、本来は何が貰えるの?」
「お金を貰えるよ。ただ、何度も言うけど………って、話は最後まで聞けぇ!!!!」

 シンが私の襟首を掴む。思わず首が締まると思う程の力で。

「何をするの!?死んだらどうするのよ!!」
「大丈夫!!馬鹿は死なないさ!!」



「生まれてきてごめんなさい…………」

 とりあえずシンは倒したわ。さて、議長に本当のお年玉を貰いに行くわよ!!

113名無しさんDESTINY:2008/01/05(土) 13:06:56
>>112
#3


「議長!!」
「ふふふ…遂に来たかね。ラクス」

 議長と私が居るのは、ザフト軍基地のグラウンド。

「お姉ちゃん…あの、どうして議長とラクス様はRPGのラスボスと主人公みたいな会話をしてるの?」
「それはね、メイリン。話を書き始めてみたけど、思ったよりネタが無くて無理矢理終わらせようとする書き手g―――」
「そういう事言わないでお姉ちゃん!?私も薄々気付いてたけど!!」

 ルナさんとメイリンさんはこの際無視して、話を続行。

「本当のお年玉を貰う為に…今こそ議長!!あなたをこの羽根つきで討ちます!!!!」
「“プラントの羽根つきの彗星”と呼ばれた私に羽根つきで勝負を挑むとはね…いいだろう。望み通り、完膚無き迄に叩きのめしてやろう!!」



試合の結果
ミーア10―0議長



「試合が省略されてる!?ていうか議長弱っ!!」
「議長の顔が、墨で大変な事になってるよお姉ちゃん!!」
「ぐふっ…この私が……羽根つきで敗れるとは…。あ、目に墨が入っ……痛たたた!!」
「さぁ、約束通りお年玉を下さい!!」

 勝負に買った。後は、お年玉さえ貰えば…。

「良いだろう…タリアの息子には三万やったが、君には五十円………」
「少なっ!?」
「だって君、アイドルとして活躍してるし、お金に困ってなんかいないだろう。」

 真っ黒な顔で議長がそう言う。
 言われてみれば、別に貰わなくても困らないんだった。

「……お姉ちゃん…ラクス様が固まっちゃったよ?」
「そうね。そしてようやく気付いたのよ!争いは何も産み出さないと!!」
「お…お姉ちゃん?」



「なぁ、レイ……。」
「どうしたんだ?シン」
「プラントにまともな人って、あんまり居ないよな?」
「………?」

 シンが何を言いたいのかは分からないが、シン…議長を信じろ。そうすれば、お前の望む世界はきっと実現……。

「レイ。羽根つきに付き合ってくれたまえ」
「お断りします。」

 しそうにない……俺もザフトを辞めようか迷った。そんな一日だった。



PHASE☆―END

114名無しさんDESTINY:2008/01/05(土) 13:59:36
>>109
PHASE―08 焦燥
#1


「シン!もうやめろ!!もう何時間経ってると思ってるんだ!!」

 アスランの怒号が聞こえるが、俺にはそれに構ってる暇なんか有りはしない。俺は弱い。このままだと、何も守れやしない。
 シミュレータに入って、かれこれ半日以上は経っている。

「うるさい!俺は…俺はこのままじゃ駄目なんだ!!」
「だからといって、無理して訓練を積んで…それで君は強くなるのか?そんな無理をして、いざという時に君が倒れたら、その時は誰がミネルバを守るんだ?」

 アスランの言う通りだ。それは分かってる…分かってるんだ。こんな無理をしたって、俺は強くならない。でも……。

「だけど………」
「焦る気持ちは俺だって分かるよ。俺も通った道だからね。でも、だからこそ常に万全の状態を作っておく事。それもパイロットの仕事じゃないかな?」
「じゃあ…これで最後にします。一つだけ良いですか?」

 アスランは俺の言いたい事が分かったようだ。

「……君の相手をする…か。良いだろう。それで気が済むのなら俺は付き合うよ。」

 今気付いたけど、頭に包帯を巻いたミーアが、不安そうに俺を見ている。

「………っ!!始めましょう。」
「良いのか?ラクスが…」
「いいから……。」

 今はどんな顔をしてミーアに顔を合わせれば良いのか分からない。逃げる様にシミュレータに入る俺をじっと見つめている。

「さぁ、始めるぞ?………大丈夫か?シン。」
「大丈夫です……。」

 きっと、アスランと手合わせすれば何かが掴める筈だ。じゃないと…俺は……。

115名無しさんDESTINY:2008/01/05(土) 14:07:37
今回もGJ!!
続きを期待してます

116名無しさんDESTINY:2008/01/06(日) 20:00:07
>>114
#2


 シミュレーションスタート。俺はインパルスで、アスランはザクを選んだ。

『容赦はしないからな?シン。』
「望むところだ!!」

 口では何とか言い返せるが、俺の手は既に汗でぐしょぐしょになっている。いざ対面すると分かる…異常な迄のプレッシャー。シミュレータの中だという事すら忘れさせられる。

『さぁ……いくぞ!!』

 いざ戦闘が始まると、俺は一方的に圧されていた。しかし、アスランは明らかに手加減している。止めを刺せる場面はいくつもあったんだ…。

「くそっ!くそっ!!」
『シン、どうした!お前の力はまだまだそんなものじゃないだろう!!』

 ビームライフルは、銃口の位置でバレる。ビームサーベルも同様だ。“マトモ”にやれば、絶対に勝てる筈が無い相手…。それがアスラン・ザラだ。
 エネルギーが半分を切った。

「………アンタはあぁぁ!!」

 ここで“賭け”に出た。
 シールドを投げて、ビームを反射させる。アスランも咄嗟の事で回避出来なかった。ザクの肩をビームが撃ち貫く。

『くっ……!?成る程、考えたようだな。だが…それだけならまだ甘い!!!!』

 グレネードを足元に投げてきた。バランスを崩した俺に向かって、一直線に突っ込んで来る。
 姿勢を立て直そうとするも、目前で既にビームアックスを振りかぶっている。

「……っ!?しまっ…――」
『チェックメイトだ!!』

 真っ二つにされるインパルス。実戦だったら、俺はもう死んでいる。真っ暗になったモニタを見て、ただ呆然とするしかなかった。
 少し本気を出されれば、俺はこんなものなのか?

「……畜生…俺は……くそっ!!くそおぉぉぉ!!!!」

 アスランは黙って俺に背を向けている。その方がありがたいな。余計な同情なんかされるよりは遥かに良い。
気付くと、俺は泣いていた。

117名無しさんDESTINY:2008/01/06(日) 20:17:27
シンが格好良く書いてある事が一度も無い気(ry
い…いつか格好良く書けるさ


>>115
ありがとうございますm(__)m

118名無しさんDESTINY:2008/01/06(日) 21:39:18
アスランやっぱ強いなぁ

それにしても議長……あんた仕事から離れると途端に駄目人間になってないかい?
今回といいクリスマスといい

119名無しさんDESTINY:2008/01/07(月) 00:39:54
>>116
#3


「聞いたわよーシン。アレックスさんに盛大に負けちゃったんだって?」

 ルナが茶化す様に肘でつついてくるが、今は相手にする気力なんて無い。

「あぁ……。」
「……重症ね、これは。」

 わざとらしく溜め息をついて、呆れた様に俺を見て、

「シン…。何か本当に変よ?まぁ、そりゃ色々あったけど、失敗しても次があるなら、次にその失敗を如何に起こさないかを考える方がまだ建設的だわ。そうやって腐ってたって、何にも変わらないわよ?」
「それじゃ駄目なんだよ…。俺が失敗したら…死ぬのは俺だけじゃない。ルナも、メイリンも…ラクス様もみんな死ぬんだ。だから俺は…強くならないと…」
「そうやって自分を追い込み過ぎるのって、シンの悪い癖よ?アカデミーに居た頃からずっとそうだったわね。レイに負けた時に似てるわ。」
「………。」

 ……違う。あの時の俺には何も無かった。でも、今は力が有るんだ。だからこそ失敗なんて許されないし、負けるなんてもっての他だ。

「それにしても…アスランって容赦ないわよね?」
「あぁ、本当………ん?いや、ルナ…アレックスさんだろ?」

 ルナはニヤニヤしながら俺を見ている。それで俺は悟った。

「始めから知ってたのか!?」
「うん、だってアスハ代表がそう呼んでたし、何たってザフトのMSをあんな簡単に操ってみせる人なんて、そうはいないでしょ?
 まぁ、言わない方が良いのかなーとか思って言わなかったけどね。」

 ウインクして、キッパリと言い放った。

「まぁ、そんな事はどうでもいいの。シン、焦るだけじゃ駄目よ?たまには、ゆっくり歩いたって良いと思うわ。」
「ルナ……。」
「はい、そういう顔禁止♪」

 ルナにデコピンされた。細い指からは想像のつかない破壊力で、俺のデコに痣が出来た。

「―――っ!!!?」
「ほら、ラクス様に心配掛けたまんまは良くないでしょ?早く行きなさい。」

 痛かった。でも、ルナのお陰で少し楽になった気がする。
 面と向かって言うのも照れ臭いから、此処で言おう。……ありがとな…ルナ。

120名無しさんDESTINY:2008/01/07(月) 00:42:59
>>118
ありがとうございますm(__)m
アスランはやっぱり強豪キャラかなぁ…と思ったので、あんな風になってしまいました。
議長に関しては…ユースケ・サンタマリアみたいになってますが、ヌルーして頂ければ幸いです

121名無しさんDESTINY:2008/01/07(月) 22:28:15
>>119
#4


 ミーアは甲板に居た。風に髪を揺らしながら、鼻歌混じりに海を眺めている。
 少しの間眺めていると、俺に気付いた様で、俺に歩み寄って来た。

「どうしたの?」

 首を傾げ、問い掛けてくる。

「いや…何かさ……その…頭の怪我は大丈夫なのか?」
「だから大丈夫だって。あ、ひょっとして心配してくれてたりするの?」

 笑いながら俺を見つめて茶化す。

「まぁ…それもあるけどさ…。いや、心配掛けちまったかな…って思って。」
「そうね。すっごく心配しちゃったわ。話掛けようとしても、シンってば無視するんだもの。」

 笑いながらも、結構怒ってるよこの人…まぁ、悪いのは俺なんだけどな…。

「う……悪かったよ。…ミーアをあんな目に遭わせといて、どんな面下げて会えば良いのか分からなかったんだ…。」
「まぁ、それは別にいいわ。それで…アスランと闘ったんだっけ?何か見えたの?」
「正直、次元が違い過ぎて何にも…。」

 う…苦笑いしか出ない。

「そうなの?」
「あぁ…やっぱり強いよ。今の俺なんかじゃ、とても相手にはならない…。」
「………。」

 ミーアは黙って俺の話を聞いてくれている。

「……でも…いつか絶対に超えてやるさ。あれだけの力が有れば何だって守れる筈だ。だからさ…俺……強くなる。
 一歩一歩…遅いかもしれないけど、でも…絶対に強くなってみせる。」
「ふふ…そっか、頑張ってね。シン。」

 そう言って、ミーアは俺の顔をじっと見つめている。

「あぁ…。………って何笑ってんだよミーア。」
「ん?教えてあげない。」
「な…何だよそれ。」

 その時のミーアの顔は、逆光でよく見えなかった。

122名無しさんDESTINY:2008/01/08(火) 00:36:36
>>121
#5


―――――
 エターナル艦内。俺は、ギルに呼ばれてギルの部屋に来ている。暗い部屋の中、モニタだけが光を放っている。

「議長…私に用とは…?」
「ふっ…来たか、レイ。タリアが面白いデータを送ってきたものでね。」

 ギルが指差すモニタに映っているのは、シンの駆るインパルスの戦闘データだ。暫く見てみるが、これと言って面白いものでもない。
 シンは普通に戦っているし、ルナやアレックスさんの援護で敵を何とか墜としている。

「…?私にはよく分かりませんが?」
「そう焦るな。面白いのはこれからだよ。」

 ギルがそう言い笑う。そして、次の瞬間…連合のものと思われるMAが、ミネルバに砲撃を放った直後だった。

『うおおおぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁあああ!!!!』
「此処からだ。」

 その後のシンは異常だった。今まで、手も足も出なかった相手をたったの一瞬で沈めたのだ。

『……消えちまえ…。』
「こ、これは……。」
「“SEED”の力さ…。シンは私の思った通りの逸材だった。それも、こんなに早い段階で覚醒するとはね…。」
「SEED…?」

 ギルは…“これ”を知っていてシンをインパルスのパイロットにしたというのか?

「だが、まだ入り口に差し掛かっただけだ。まだ我々を導ける程の力は無い。」
「………。」

 あのシンに…こんな力が…。

「議長、このデータ…シミュレータに使用する事は可能でしょうか?」
「君も興味が湧いたかね?」
「えぇ、私もパイロットですから…この力がどれ程のものか、確かめてみたいと思います。」

 ギルがデータを渡してくれた。

「ありがとうございます。それでは…失礼します。」

 それに……俺もシンに負けてはいられないからな。イザーク隊長や、ディアッカさんに鍛えられている。苦戦したとしても、負ける訳にはいかないな。




「さて、世界はどの様な未来を望むのか…。ラウ…君は果たしてどう思うかな?」

123名無しさんDESTINY:2008/01/09(水) 23:55:49
>>122
#6


「くっ……!?分かっていながらも避けられんか!!」

 セイバーの機動力を殺す様に、いやらしく立ち回る。バルカンやビームライフルで俺を牽制しながら、確実に退路を潰して来る。そして、サーベルの間合いになると斬られている。
 更に、シールドにビームを反射させるというトリッキーな戦法もとってくる。

「しかし…お前がどれ程強くなろうと……俺が負けて良い道理など無い!!」

 胴を断つべく、一閃するも分離されてビームサーベルは空を斬る。

「……しまっ―――」

 ビームサーベルで貫かれていた。俺の負け…だな。
 シミュレータを終了させる。今更気付いたが、全身からは嫌な汗が噴き出ている。余程神経をすり減らしたのか…。

「精が出るな?レイ。」
「イザーク隊長。」

 立ち上がり敬礼する。

「座ったままで構わん。それよりも…随分と面白いデータが入った様だな?貴様がそんなになるほどの相手…か。」
「シン・アスカです。」
「……何?あの気に食わん赤服の事か?」

 何故かイザーク隊長はシンを目の敵にしている。ディアッカさんの話だと、ラクス・クラインの護衛になれなかったのが、余程悔しかったらしい。当のシンはいい迷惑だろうな。

「………はい。」
「……成る程、ではこれから俺が叩き潰してやる!!貴様はそこをどけ!!!!」
「了解…。」

 俺を押し退け、イザーク隊長はシミュレータに入ってしまった。ディアッカさんが呆れた様に項垂れている。

「ま、災難だったな。レイ。とりあえず…コーヒーでも飲んで一息入れようぜ?あの馬鹿、暫くシミュレータ空けないだろうし。」
「……そうですね。」

 話に聞いた以上の激情家だ。何だかんだで、ラクス・クラインの件が無ければ、シンと気が合いそうだ。

124夢見る名無しさん:2008/01/10(木) 00:17:23
これはアメリカのゲームです。1度やってみてください。
これは、たった3分でできるゲームです。試してみてください。
驚く結果をご覧いただけます。
このゲームを考えた本人は、メールを読んでからたった10分で願い事が
かなったそうです。このゲームは、おもしろく、かつ、あっと驚く結果を
貴方にもたらすでしょう。

約束してください。絶対に先を読まず、1行ずつ進む事。
たった3分ですから、ためす価値ありです。


まず、ペンと、紙をご用意下さい。
先を読むと、願い事が叶わなくなります。


①まず、1番から、11番まで、縦に数字を書いてください。
②1番と2番の横に好きな3〜7の数字をそれぞれお書き下さい。

③3番と7番の横に知っている人の名前をお書き下さい。(必ず、興味の
ある性別名前を書く事。男なら女の人、女なら男の人、ゲイなら同姓の名
前をかく)

必ず、1行ずつ進んでください。先を読むと、なにもかもなくなります。

④4,5,6番の横それぞれに、自分の知っている人の名前をお書き下さ
い。これは、家族の人でも知り合いや、友人、誰でも結構です。

まだ、先を見てはいけませんよ!!

⑤8、9、10、11番の横に、歌のタイトルをお書き下さい。

⑥最後にお願い事をして下さい。さて、ゲームの解説です。

1)このゲームの事を、2番に書いた数字の人に伝えて下さい。

2)3番に書いた人は貴方の愛する人です。

3)7番に書いた人は、好きだけれど叶わぬ恋の相手です。

4)4番に書いた人は、貴方がとても大切に思う人です。

5)5番に書いた人は、貴方の事をとても良く理解してくれる相手です。

6)6番に書いた人は、貴方に幸運をもたらしてくれる人です。

7)8番に書いた歌は、3番に書いた人を表す歌。

8)9番に書いた歌は、7番に書いた人を表す歌。

9)10番に書いた歌は、貴方の心の中を表す歌。

10)そして、11番に書いた歌は、貴方の人生を表す歌です。
この書き込みを読んでから、1時間以内に10個の掲示板にこの書き込みをコピーして貼って下さい。そうすれば、あなたの願い事は叶うでしょう。もし、貼らなければ、願い事を逆のことが起こるでしょう。とても奇妙ですが当たって

125名無しさんDESTINY:2008/01/10(木) 21:02:10
いつも更新お疲れ様です。
7話と正月編まとめて読ませてもらいました。どっちも大変おもしろかったです。
まとめ倉庫も更新しました。
続きも楽しみにしてますね〜

126名無しさんDESTINY:2008/01/10(木) 23:05:16
>>123
#7


 食堂でコーヒーを飲んでいる。ミネルバだろうと、エターナルだろうと、集まる場所はやはり同じ…という事だろう。軍用艦故に娯楽など無いからな。

「しっかし…お前さんも大変だよなぁ。いきなりこんな場所に来ちまうなんてよ。」
「いえ…軍人として――」
「あー駄目駄目!!そうやって妥協しちまうと、次々飛ばされちまうぜ?」

 それは関係無いだろう。

「それに、何かお前…あんま喋らねぇよな?そんなんじゃ 俺 み た い に可愛い彼女が出来やしないぜ?」

 ディアッカさんが、一枚の写真を見せびらかしてくる。正直、うっとうしい。
 しかし、写真に写っているのはなかなかの美人だ。

「おっと!!惚れるなよ!!」
「…………。」

 コーヒーを頭から被せてやりたい衝動に駆られるが、流石にそれは止めておく。

「ディアッカさん…レイさんがうっとうしそうにしてますよ?」

 シホ・ハーネンス。ジュール隊の紅一点のパイロットだ。ルナとは違い、おしとやかな女性だ。
 呆れた顔で、色ボケしたディアッカさんを注意している。

「シホちゃんも、彼氏が出来れば自然と分かる様になるぜ。」
「そんなものいりません。」
「え…まさかそっちの趣味?」
「違います!!」

 凄まじい音が鳴り響く。綺麗に入ったな…平手打ち。何故、こんな人に恋人が居るのか理解出来ないな。まぁ、俺には全く関係の無い事だ…。



 我関せずの姿勢でかれこれ数分経った。警報が鳴る。

『コンディションイエロー発令!コンディションイエロー発令!パイロットは至急、MSドッグに集合して下さい!』
「痛ぇ……また来たのかね?本当、懲りねぇ奴だなー。連合ってぇのは。」
「そうですね。でも、ディアッカさんは懲りて下さい。」
「あれは冗談だって。悪かったよシホちゃん。」

 調子が狂うな…。とはいえ、連合に奪われた機体は回収しなければな…例え大破させたとしてもだ。



PHASE08―END

127名無しさんDESTINY:2008/01/10(木) 23:07:15
>>125
ありがとうございますm(__)m
倉庫の更新、毎度の事ながらお疲れ様です。

128名無しさんDESTINY:2008/01/11(金) 09:25:06
>>126
PHASE09― 感応
#1


『全軍、遅れるな!!今度こそ、三機を奪い返せ!!大破させても構わん。データは取れる。』
『はいはい、りょーかい♪』
『了解。』
「了解…。」

 三機を巡って、敵の艦隊との戦闘になった。しかし、不可解だ。
 敵は、連合の他にザフト軍…ユニウスを墜としたテロリストまで居る始末。テロリストは何故、連合と…いや、“どうやって”連合と手を組んだ?
 公になったニュースでは、ユニウスを墜としたのはザフトの仕業になっている。そして、テロリスト達もまたザフト。
 何をしでかすか分からない連中と手を組む事に、利点など有る筈が無い。

「チッ……考えている場合でも無いか!!」

 セカンドシリーズ最新型のセイバーに、型遅れのジンが性能で勝てる道理は無い。だが、それはパイロットの腕を無視すればの話だ。
 いくら性能で勝っていても、俺の腕が追い着かなければ単なる的に過ぎない。それに、相手はジンで墜ちるユニウスを守りきった精鋭達だ。

『ディアッカ!!エターナルの守り、及び狙撃は貴様に任せるからな!!しっかりやれ!!!!」
『了解。ちっとアツい展開になってきたぜ!!』
「……そこまでだ!!」

 ビームでウィンダムの群れを薙払い、ある程度私が果たしたからなぁ。

「本命はまだ先か…」

129名無しさんDESTINY:2008/01/12(土) 04:21:08
>>128
#2


 カオス、アビス、ガイアまで現れた。ジュール隊の面々の前で不利という事は無いが、現れて嬉しくも感じない。

「……邪魔な奴等だ!!」
『ヘッ…居やがったぜ!!あの赤い奴……!!!!』
『スティング、あんまり出張るなよー?ネオにまた怒られちゃかなわねぇしー。』

 俺がジュール隊に入って、かれこれ三回は越える戦闘。コイツ等にいつまでも付き合ってはいられない。貴様等にどんな意図が有ろうとも、俺達には関係無い。

『今回は墜としてやんよ!!このうざってぇ赤い奴を!!』

 ガンバレルがしつこく追って来る。

『レイ。邪魔者の相手は貴様に委ねる。せいぜい俺の期待に応えろ。』
「了解…。」

 やられはしない。銃口さえ見ていれば、ビームも大した脅威にはならない。ただし、何処から攻めて来るかを読まなければガンバレルを避ける事は出来ない。

『墜ちろォ!!赤いの!!!!』
「やるかよ……!!!!」

 ガンバレルにビームサーベルを投げる。フラッシュエッジの要領で。シミュレータのシンがとった戦法だ。フラッシュエッジとは異なり戻っては来ないが、奇襲するという意味では使えなくも無い。
 ガンバレルは真っ二つに割けて炎を噴き上げる。一か八かの賭けだったが、何とか成功だ。
 次は使えないがな…。

『この野郎!?』
「そう簡単にはやれん!奪われたまま…というのも、性に合わないのでな!!」

 前方からはビームクロー、後方からはガンバレルが俺を狙って来る。

「チッ…!小賢しい!!」

130名無しさんDESTINY:2008/01/13(日) 04:32:58
>>129
#3


 変形して、その場から離脱。
 挟まれたままでは分が悪い、回り込んで…討つ!!

『テメェ!?なんて機動性だ!!』

 F・インパルスすら凌ぐ機動性を持ったセイバーに、そうそう追い付ける筈など無い。

「……っ!?なん…だ…?」

 頭に“何か”がよぎる。

『どうした?レイ。』
「何かは分かりませんが…“来ます”!!」
『何を言って……』

 途端にレーダーに機影が映る。かつて、シンと共に遭遇したあのMAだ。

『チッ…新手か!!全員、気を抜くんじゃないぞ!!!!』
「了解…。」

 何故だ?何故…俺は奴が来るのを予測出来たんだ?本来は有り得ない事だ。レーダーよりも先に…それも、漆黒の宇宙の中でそれを…。
 MAがガンバレルを展開し、俺にその毒牙を向けて来る。

『……?また…あの感覚…やれやれ…ひょっとしたら……あのパイロットがまた居るのかもしれんな。スティング、そこの赤い奴は俺が潰す。』
『っだよネオ!!今更出て来て横取りすんな!!』
『潰されそうになっていた奴の台詞とは思えないな?』

 言い合いながらも、二機のガンバレルが次々と俺を狙って砲撃して来る。

131名無しさんDESTINY:2008/01/14(月) 02:30:02
>>130
#4


 カオスにMA…二機のガンバレルは計六機、その内、カオスの一機は破壊したが、残りのガンバレルは今だ追って来る。カオスの方はともかく、MAのガンバレルは動きが全く読めない。相当な手熟が乗っている。

「不味い…!?このままではいずれ墜とされる……!!」

 その時だった。レーダーに反応有り。ザフト軍の輸送機に、一機のMS…。

『退きな、そこのMS!!』
『何だ?』

 眩いオレンジのMSが割って入って来た。そのMSの右腕から伸びた“何か”がMAのガンバレルを射抜く。

『何っ!?』

 そして、盾から大剣を引き抜くと、カオスのガンバレルを叩き斬りそのままカオスを蹴り飛ばす。

『ぐわあぁぁっ…!?』
『何だ…奴は?』

 たったの一瞬で…。なんなんだコイツは?

『そのMS…それに…その趣味の悪い色……貴様か!ハイネ!!』

 叫んだのはイザーク隊長。

『おいおい、行き掛けの駄賃とはいえ、助太刀に来た援軍にそりゃねぇだろ?イザーク。』

 若い男の声。ハイネ…?ギルが言っていたミネルバ隊に配属されるフェイスのパイロットか…。

『援軍など頼んでおらん!』
『イザーク…今はんな事言ってる場合じゃねぇだろ?』

 イザーク隊長はテロリスト達を斬り伏せ、ディアッカさんはアビスと激しい砲撃戦を繰り広げながら通信している。
 戦闘中に軽口を叩きながらこれだけの…ハイネといい、イザーク隊長達といい…とんだ化物だ。

『ハハハ、相変わらず苦労してんのな。ディアッカ。ま、とっとと殲滅しちまおうぜ?』
『煩い!そんな事は貴様に言われんでも分かっている!!』
『頼むから静かにしてくれよ…イザーク。』

 俺も負けてはいられない。あのMA…俺の中で“何か”が引っ掛かるアイツを墜とす!!

132名無しさんDESTINY:2008/01/15(火) 04:15:04
>>131
#5


「お前はっ!お前はいったい何者なんだ!!」
『っ…!?コイツ…なんなんだ?この感覚は…。』

 頭痛がする。吐き気もだ。今までこんな感覚は無かった。俺は…どうなっているんだ?
 先程まで見切れなかった相手の攻撃が、今は手に取る様に分かる。

『くっ…またガンバレルが墜とされちまったか!……時間も稼いだし…頃合いか。』

 MAが背を向ける。逃げるつもりか…!!

『撤退信号かよ!まだ暴れ足りねぇってのによ!!』
『ふん、墜とされなかっただけありがたいってもんだ。』
『撤退…。』
『旦那、後は頼むぜ?“予定通り”にな。』
『ふん…ナチュラルの言いなりになるのは癪だが…。仕方ない、我等が大義の為…。』

 連合の機体が次々に戦線を離脱して行く。

『撤退するつもりか!!総員、奴等を逃がすな!!』
『駄目だイザーク!テロリスト共が邪魔で狙撃すら出来やしねぇ!!』

 テロリスト達がしつこく付きまとって来る。くそ…こんな奴等に構っている暇は無いというのに……。

「逃がすものかっ!!」
『行かせはせぬわ!』

 斬機刀の柄で打たれた。ライフルが衝撃で落ちる。

「ぐおっ……!?このっ…売国奴が!!!!」

 ビームサーベルでコクピットを貫くと、力無く腕を垂らし…少しのタイムラグと共に爆散した。
 撃墜こそしたものの、連合の連中は完全に逃してしまった。既に大気圏突入を開始している。
 続いて、テロリスト達も撤退を開始した。

133名無しさんDESTINY:2008/01/15(火) 19:54:48
いつも更新おつです。ジュール隊視点もおもしろいw
ところでそろそろ新シャアに帰還してもいいかと思うのですがどうでしょ?
荒らされてたスレのだいたいのスレは帰還するかアニメ総合とかに移ったみたいですしね。

134名無しさんDESTINY:2008/01/16(水) 19:56:07
更新お疲れさまです。
8話を倉庫にあげときました。
私は帰還してもOKだと思ってますけど作者様次第かな?

135名無しさんDESTINY:2008/01/16(水) 22:20:05
>>132
#6


 エターナル艦内MSドッグ。

「くそっ!!奴等にまんまとやられた!!!!」
「イザーク…落ち着け。奴等はハイネが追ってったんだ。後は…奴に任すしかない。そうだろ?」

 イザーク隊長をディアッカさんが宥めている。
 あの後、ハイネは連合軍を追って地球へと降りた。ジュール隊はテロリストを追え…との指示を受けた。
 イザーク隊長は余程屈辱的だったのか、ずっとあの調子だ。

「レイ、そういや…何か調子悪かったみたいだけどよ、大丈夫なのか?」
「はい、ご心配お掛けしました。もう大丈夫です。」

 “奴”が撤退してからは、あのうっとうしい頭痛も吐き気もすっかり無くなった。
 ギルにその事を話すと、急に口を閉ざし渋い表情になった。ギルはきっと“何か”を知っている。だが、今はそれを問いただす暇は無さそうだ。

「このままでは気が収まらん…ディアッカ!付き合え!!」
「……ひょっとして…またシミュレータか?俺嫌だぜ?もう何回やってると思ってんだよ。」
「次に奴等を墜とす為に、腕を上げる事だ!!不要などとは言わせはせんぞ!!!!」
「うわぁ…すっかりお熱かよ。俺は逃げるぜ!!じゃな!!!!」
「待たんかこの腰抜けが!!」

 ディアッカさんは、付き合いきれずに逃亡した。まぁ…当然と言えば当然だな。

「自分が…。」
「ん?貴様が相手をするのか?良いだろう。では行くぞ!!」
「了解…!!」




「熱いねぇ…アイツ等…」
「ディアッカさん…後で、絞られますよ?」
「うん、どうしよう?」
「私は知りませんよ…」

136名無しさんDESTINY:2008/01/16(水) 22:27:30
>>133
ありがとうございますm(__)m
このままだと、レイが空気になりそうだったので…
レイ自身の因縁等も書きたかったのでこういう形になりました


そうですね。自分もそろそろ戻っても大丈夫だと思います。
戻っても、一応此処も更新しますが。


>>144
更新ありがとうございますm(__)m
お疲れ様です

137名無しさんDESTINY:2008/01/17(木) 01:44:57
>>135
#7


『おーい、マユ。待てよ。』
『ふふ♪お兄ちゃんには捕まってあげないよ♪』

『ったく…。』
『シン、マユ?あまり離れては駄目よ?』
『はーい♪』
『分かってるよ。母さん。』


 楽しかったあの日…。マユも…母さんも…父さんも居た。何も望まなくても…幸せは常に有った。

『シン、マユ。もうそろそろお昼ご飯だぞ?早く戻って来なさい。』
『はぁーい♪へへ…お兄ちゃん、競争しない?』
『競争?』
『うん♪どっちが先に戻れるかだよ♪よーいドン!!』
『あ!?ずるいぞマユ!!いきなりスタートするのは反則だろ!?』
『勝てば良いの♪』
『言ったな?』
『あぁ!?お兄ちゃん速い!!』
『へへ♪マユが俺に勝てる訳なんて無……―――』

 途端に、場所が変わった。

『ハァ…ハァ……。』
『あ!?マユの携帯が…』
『諦めなさい!!今は、逃げる事が先なのよ!!』
『俺が取って来る!!』
『シン!!』

 あ…駄目だ!!みんな…“こっち来なきゃいけない”んだ!!
 だけど…何も変わりはしない…何も……。光の矢が、全てを吹き飛ばした。

『マユ?…母さん?…父さん?………う…うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!』

 “見るかげも無い”俺の家族だった残骸に、空を駆ける蒼い翼の…一機のMS。
 俺には、それが悪魔にしか見えなかった。
 悪魔の残した…質の悪い悪戯にしか見えなかった。

『…ぅ…うぅ……!!……る…殺してやる…殺してやる…殺してやる…殺してやる!!!!』
『ハハハ…お前も“アイツ”と同じ事をするのか?そりゃ良いな、やれよ?きっと“すっきり”するぜ?』
『違う…!!俺は!!!!』
『同じだろ?お前だって…今まで沢山殺してきたろ?大勢死んだ…みんな助けを求めてたぜ?』

『違う!!俺は…俺はっ!!
うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!』

 そこで…俺は目覚めた。



PHASE09―END

138名無しさんDESTINY:2008/01/17(木) 20:53:27
更新お疲れ様です。倉庫に9話上げました。
いいタイミングだと思ったのでスレ立てようと思いましたが失敗orz
テンプレ貼っておきますので誰かスレ立てお願いします_| ̄|○

過去スレ
【シン】出会ってしまったらpart2.1【ミーア】
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1193779848/l50
【シン】出会ってしまったらpart2【ミーア】
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/shar/1142839724/l80
【シン】出会ってしまったら【ミーア】
ttp://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1132696059/l80

避難所
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/anime/1777/1194458136/

まとめ倉庫
ttp://arte.wikiwiki.jp/

139名無しさんDESTINY:2008/01/18(金) 18:59:43
>>137
PHASE10― 始まりの地で
#1


 ミネルバがオーブに着艦した。
 現在、アスハ代表が治めている国で…シンの故郷。そして、家族を失った場所。

「シンのやつ…元気無いわね。まーたウジウジモード全開になってるわね。」
「お姉ちゃん!シンにも色々あるんだから、そういう風に言っちゃ駄目だよ!!」
「………。」

 慌ただしくみんなが補給の準備や外出の用意をしてる中、シンだけが魂でも抜けた様に、ただ呆然と景色を眺めている。
 因みに、アスランとアスハ代表は仕事が溜まってるとかで、一足先にミネルバから降りた。

「おい!シン、手伝えよ!!」
「あ?あぁ…悪い、ヨウラン。今行くよ。」
「大丈夫か?シン。何だか、顔色良くないけど…。」
「何でもない…何でも…。で、どれを運べば良いんだ?」
「あぁ…これとこれかな?ちょっと重いから俺も持つよ。」
「ん、ありがとな。」

 ……それにしても、やっぱり今朝から様子が変。起き上がっていきなり「殺してやる!!」なんて叫んだ時は驚いたわ。

「あの…私も何かお手伝いした方が良いでしょうか?」
「ラ…ラクス様にそのような事をさせる訳には…。」
「いえ、私もこの艦の方々には何かとご迷惑を掛けていますから…。何かお手伝いしないと、私の気が済みません。」

 ヴィーノさんとヨウランさんが「どうしよう?」という表情で顔を見合わせている。

「あ、それならラクス様。私達の方を手伝って下さい。」
「お姉ちゃん!!駄目だよ!!」
「良いからやらせろよ、メイリン。人手多い方が、早く終わるだろ?」
「シン…でも……。」

 駄目って言っても手伝うんだけどね♪うふふ…

「という訳で、お願いします♪
 ルナさん、メイリンさん。」
「はい、ではこれを…。」
「良いのかなぁ…?」

 結局、補給はお昼過ぎまで掛かった。

140名無しさんDESTINY:2008/01/18(金) 19:01:24
>>138
倉庫の更新お疲れ様です。
自分も建てれそうにありませんorz

141名無しさんDESTINY:2008/01/19(土) 00:38:36
>>139
#2


 補給が終わり、前の戦いで破損したカタパルト及び、装甲の修理が行われる事になった。
 どうやら、アスハが手を回したみたいだ。
 修理の間は俺達はやる事が無い。そこで、グラディス艦長が自由時間をくれた。まぁ、ただ邪魔だから追っ払われただけというのが実情だが…。

「自由時間…かぁ、いきなり言われても困るわね。シンはなんか予定あるの?」

 変装したミーアが、首を傾げて聞いてくる。今回の変装は、以前の様に“怪しさ丸出し仕様”ではなく、ルナに服を借りたり、黒髪のカツラを被ったりサングラスを掛けたり…というものだ。
 ルナが「負けた…」とへこんでいたのはまた別の話。

「俺は…そうだな。少し…行きたい場所が有るかな…。」
「私は居ない方が良い?」
「……あぁ、ごめん。俺一人で行きたいんだ。」
「うん、分かった。それじゃ、私はルナさん達と行動するわね。」
「…ん、何か…これじゃ護衛失格だな。」
「大丈夫大丈夫。いつも一緒に居なきゃいけないって訳じゃないでしょ?それに…」
「ん?」
「実は誘われてたの♪『たまには女だけで過ごしましょ♪』って。」
「先に言えよ…。まぁ、変装してるし、ルナも一緒だから大丈夫だとは思うけど、いざって時はコレ…。」
「何?コレ。」

 ミーアに小さなキーホルダーを渡す。しかし、コイツを侮る事なかれ。ザフト軍の緊急ブザーだ。コイツが有れば、半径数十キロに居るザフト兵に呼び出しが掛かる。

「身の危険感じたら、この紐を引くんだ。鳴ったら何処に居ても駆け付けるからさ。」
「へぇ…コレ可愛いのに。まぁ、ありがとね♪それじゃ、別行動頑張りましょ♪」
「あぁ、んじゃな…。」

 実を言うと、予めルナにミーアを誘わせたのは俺だ。ミネルバ食堂名物“タンホイザー定食”と引き替えに。
 少し心と懐が痛むけど…まぁ、仕方ない仕方ない。
 さぁ…行くか…“彼処”に。

142名無しさんDESTINY:2008/01/20(日) 01:39:23
>>141
#3


 俺が来た場所。そこは、かつて俺が住んでいた場所。つまりは俺の家。
 時刻はもう夕暮れ時だ。家では、知らない家族が団欒の時を過ごしている。

「……馬鹿だよな…俺。戻れない事なんて、始めから分かっていたじゃないか…。」

 そうだ。もう、何処にも戻れやしない。
 どれ位の時をそこで過ごしていたのか、家から出てきた子供と母親らしき人が怪訝そうに俺を見つめている。

「あの…?うちに何かご用?」

 ヤバい…明らかに不審者じゃないか俺!!

「あ…知り合いの家を訪ねようと思ってたんですけど、道に迷ってしまって。」
「まぁ、そうなの?そのお知り合いの方は、何処にお住まいなの?」

 人がいいのか、心配そうに尋ねてくる。

「いえ…もう大丈夫です。また明日捜してみます。」
「そう?」
「はい、失礼します。」

 もう…戻れない…。だけど、今はそれで良いんだ…多分。
 バイクに刺さったキーを回し、エンジンを起動させる。此処にはもう用は無い。



「そういや…ミーアの奴、大丈夫かな?うーん…何か心配だ。」

 無線機に連絡を入れる。

『はぁい。どうかしたの?』
「ん?あぁ、そっちは大丈夫かなってさ。」
『なぁに?心配してくれてたりするの?』
「ついこの前まで、怪我してたろ?だから…やっぱ心配っていうか…。」
『あんなの大した事無いわよ。そういえば、用事は終わったの?』
「……あぁ、これから少しうろついてからミネルバに戻ろうかなって考えてた。」
『それなら、こっちに来なさいよ。』
「せっかく女だけで楽しくやってるんだろ?水を差す訳にはいかないさ。」
『ちぇー。まぁ、分かったわ。それじゃ♪』

 通信が切れる。無線機をしまい、俺は再度バイクを走らせた。

143名無しさんDESTINY:2008/01/20(日) 02:09:08
職人にやる気があるようなのでスレ立てといた。

144名無しさんDESTINY:2008/01/20(日) 21:31:04
職人様SS更新乙です。いつも楽しみにさせてもらってます
>>143氏もスレ立てありがとうございます

145名無しさんDESTINY:2008/01/21(月) 01:55:53
>>142
#4


 暫くバイクで流していると、切りたった崖に一人の青年が立っていた。花束を抱えていて、片腕にはギブスをしている。

「何だろう?何か有るのか?」

 何故だか分からないが、俺はバイクを降りて青年の居る方に歩いて行った。
 青年が俺に気付いて振り向く。

「こんにちは。」

「あ…こんにちは。」

 青年が見ていたのは、大理石で出来た慰霊碑。その周りには、花が綺麗に咲いている。

「慰霊碑…ですか?」

「そうみたい。僕は此処に来るのは初めてだからよく分からないけど。
 それにしても…折角綺麗に花が咲いているのに、これだと波を被って枯れちゃうね…。」

 何処か哀しげに青年が呟く。

「誤魔化せない…って事じゃないですか?」

「え?」

 青年は不思議そうに俺を見つめる。

「花がどんなに綺麗に咲き誇っても…人は……また吹き飛ばす………。」

 何だか…これ以上この慰霊碑も、周りに咲く花も見たくなかった。青年に背を向け、歩き出した俺に、

「そうかな?僕は…そうは思わないな。」

 振り返ると、青年が微かに微笑んでいる。

「確かに…君の言う通り、人は吹き飛ばすかもしれない。だけど、人は守る事も出来るって…僕はそう信じたい。」

「そんなの…綺麗事ですよ。みんながみんなアンタみたいな人じゃないんだ!!
 もう…戦争が起こってる…今この瞬間も人は死んでる!!」

 気付いた時には遅かった。驚いた顔をしている青年を見て、自分に嫌悪感が沸いて来た。

「あ……済みません…俺…。」

「ううん、君の言う通りだよ。僕の言ってる事は、多分…馬鹿馬鹿しいくらいの綺麗事なんだと思う。
 実際…僕は、今まで守りたいものを何一つ守れなかったからね。
 二年前も…こないだのユニウス落下の時も…。」

 自嘲する様に笑い、今まで持っていた花束を慰霊碑に置いた。
 この人も…ユニウス落下の…被害者なのか…。それでギブスを…。

「あ…そういえば、自己紹介がまだだったね。
 僕はキラ。キラ・ヤマト。」

「あ、そうでしたね。
 俺はシン。シン・アスカです。」

「よろしくね、シン。」

「いえ、こちらこそ…」

 これが…俺とキラ・ヤマトの出会いだった。

146名無しさんDESTINY:2008/01/21(月) 01:58:21
>>143
ありがとうございますm(__)m
スレ建てお疲れ様です。


>>144
ありがとうございますm(__)m
楽しんで頂ければ幸いです。

147名無しさんDESTINY:2008/01/22(火) 02:44:08
>>145
>>8
#5


 それから暫く俺達は語り合った。キラさんは、復興支援をしながら世界中を駆け回ってる人らしい。様々な国で、様々な人達と協力し合ってる写真を見せて貰った。
 みんな楽しそうに笑っている。俺は…もっと早くにこんな人に出会っていれば、軍に入らずに“こっち側”に居れたんだろうか?

「きっと…世界中があんたみたいな人だったら、戦争なんか起こらないんだろうな…。」
「それは買い被り過ぎだよ。僕は聖人なんかじゃない。僕だって、他人を傷付ける事は有るし、他人を憎む事だって有るよ。」

 苦笑いしながらそれだけ言って、キラさんは腕時計を見る。キラさんの表情が固まった。そして…

「ああぁぁぁぁぁぁあ!!!?まずい、もうこんな時間だ!?」
「だ…大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫!此処から全身全霊を掛けて走れば、一時間で着く位置…遅刻じゃないか!?」
「とりあえず落ち着いて下さい。あの、俺…バイクで来てるんですけど、良ければ乗せて行きますか?」

 そう聞くと、

「で、でも…そんなの悪いよ。初対面の人にそんな事をして貰うなんて…。」
「んな事言ってる場合でも無いでしょう。待ち合わせに遅れる方が大変ですよ。」
「でも…本当に良いのかい?」
「構いませんよ。“困った時はお互い様”…ってやつで。あ、行き先言って下さい。」
「ありがとう…。中心街でお願い。」

 良し、中心街か。って事は、ひょっとしたらミーア達とかち合うかもしれないな。そういや…連絡取って無いけど、きっと大丈夫…だよな?

148名無しさんDESTINY:2008/01/22(火) 23:15:58
>>147
#6


「本当にありがとう。君のお陰で間に合いそうだよ。」
「いえ、気にしないで下さい。」

 キラさんが深々と頭を下げて来る。正直、周りの目も気になってやたら恥ずかしい。

「ほ、本当頭上げて下さい。周りの目もありますし。」
「あ…ご、ごめん。感激のあまりつい……。じゃあ、僕はこれで。」

 少し走り、俺に振り返る。

「まだ…何か?」
「ううん、何だか…君とはまた会えそうな気がする。またね、シン。」
「は…はい。」

 そして、キラさんは人混みの中に走って行った。何だか、不思議な人だったな。
 でも、オーブにもあんな人が居るんだな…もし、また会えるなら、今度はザフトとか…そんなの関係無く、一人の人間として会ってみたいな。

「……あ、ミーアの事すっかり忘れてた。とりあえず連絡連絡っと。」

 無線機で通信開始…と。

『はぁい、シン。どうしたの?』
「いや、連絡取ってなかっただろ?少し心配になってさ。」
『アハハ♪シンってばちょっと心配し過ぎ。こっちは大丈夫よ。』

 そっか…何もなかったか。ひとまず安心していると、不意に背後から目隠しされた。

「それに、此処に居るもの♪」
「まさか気付かないなんて…鈍すぎるわよシン。此処が戦場だったら、『俺…故郷に帰ったら結婚するんです』って言ってる奴みたいな死に方するわよ。」
「お姉ちゃん…例えが物凄く分かりにくいよ?」

 ……居た!?それ以前に、気付けよ俺!!振り向くと、ミーアが“してやったり”的な顔をして笑っていた。
 それにしても…素の状態でルナやメイリンに偽物と悟られないとは…どうやらうまく言いくるめたみたいだな。

149名無しさんDESTINY:2008/01/23(水) 03:42:33
>>148
#7


 結局、行く宛の無い俺達はミネルバに戻る事になった。すっかり元通りに戻ったミネルバを見て、「やっぱりオーブの技術は凄いものだ」と、改めて関心する。
 俺は、一人食堂で遅い晩飯にありついていた。

「それにしても…随分高くついたな。タンホイザー定食って、何であんな高いんだ…。」

 ミーアを押しつける代わりに、ルナにせがまれた代価。ミネルバ食堂の裏メニューだ。というか、戦艦の食堂で裏メニューってどんな了見で作ってんだ議長。
 タンホイザーと言えば、ミネルバのカタパルト修復の際に艦長が「大気圏内で陽電子砲なんか使ったら大変だ」という事で、タンホイザーは高出力ビーム砲に換装されている。

「シン。今晩御飯食べてたの?」

 来たのはメイリンにミーア。ミーアは、ようやく変装を解いて元のラクス様モードになっている。

「食いに行く暇なんか無かったからな。」
「駄目だよシン?ご飯は一日の要だってお母さんが…」
「その一日が、もう終わりそうなんだけどな。ていうか、それは朝飯じゃないか?」
「シン…ああ言えばこう言って…心配して下さってるメイリンさんに失礼ですわ。」
「痛い痛い!!飯食ってる時に耳引っ張らないで下さい!!」

 いつもの如く、ミーアに耳を引っ張られる。今回、俺は何か悪い事したのか?してないぞ?
 そういえば…そろそろ出航らしいからな。とりあえず料理を早めにかっ込み、食器を下げる。

「痛たたた…。メイリン、そういえば、出航はそろそろか?」
「うん、そうみたいだよ。何でも…オーブは……。」

 メイリンの言葉を遮る様に、警報が鳴る。いったいどうしたっていうんだ?

『コンディションイエロー発令!コンディションイエロー発令!パイロットは至急、MSに搭乗して下さい!!』

 まさか…連合が攻めて来たってのか?オーブに?いや…いくらなんでもそれは無い…いったい…何がどうなってるんだ?


PHASE10―END

150名無しさんDESTINY:2008/01/23(水) 04:42:16
裏PHASE―もう一つの出会い
#1


「ラクス様…私の服じゃサイズ合ってないんじゃないですか?ごく一部だけ。」
「え?」
「し、失礼だよお姉ちゃん!」

 オーブの街を歩くにあたって、「ラクス様の恰好だと何かとマズいから変装しなさい。」と、シンに言われてルナさんに服を借りている。正直ちょっとキツい。
 何故か私を見ながら「負けた…」と言っているけど、どういう事なのかしら?

「でも…ここまでやると流石にラクス様には見えませんね。あ、そういえば…何て呼んだら良いんですか?ラクス様だとバレちゃいますし…。」
「え?えぇと…ミ、ミーアというのは如何ですか?」

 そう言うと、ルナさんが微かに笑いながら、

「ラクスでミーア…ですか。なかなか良い趣味してますね?」
「え?どういう事なのお姉ちゃん?」
「ググりなさいメイリン。」
「お姉ちゃん…いつもそうやってはぐらかすんだから…。」

 頬を膨らませて怒っているメイリンさんに、それを見て笑っているルナさん。本当に仲が良い姉妹なのね。
 そういえば、シンは「一人で行きたいところがある」なんて言ってたわね。

「何処に行こうかしら?ラクス様…じゃなくてミーアさんは何処が良いですか?」
「そうですわね…オーブの事はよく分かりませんし、ルナさん達にお任せ…」
「ちょっと待って下さい!」
「は、はい。」
「ラクス様…じゃなかったミーアさん。その喋り方だとすぐバレますから、標準語でお願いします!!」
「わ、分かったわ。…この様な感じでよろしいですか?」
「OKです♪さぁ、行くわよ。メイリン、ミーア!!」

 呼び捨てになってる!?別に構わないけれども。かくして、私達三人組はオーブの街に繰り出す事になった。

「ごめんなさい…ごめんなさいラクス様。」
「い、いえ、お気になさら…………。」
「 標 準 語 でお願い♪」

 ペコペコ頭を下げるメイリンさんに、素敵な笑顔が逆に恐怖なルナさん。成る程、シンが言う通り、なんか疲れそうだわ…。

151名無しさんDESTINY:2008/01/24(木) 01:30:38
>>150
#2


 それにしても、二年前に戦火に晒された国だとはとても思えないわね。確か…連合の援助と、セイランの手腕でここまで復興したって議長が仰ってたわね。

「ちょ…ラ…じゃなくてミーアさん。そんなにキョロキョロしてたら怪しいですよ。」
「え?あ、あぁ…ごめんなさい。何だか、綺麗な街並みだったからつい。」

 メイリンさんが眉根を寄せて耳打ちしてくる。確かに…これじゃ不審者だわ。

「それにしても、シンの奴…何してんのかしらね?本当、観光に来た訳でも無いってのに。」
「お姉ちゃん…その手の大量の紙袋は何なの?」
「メイリン…人はね、細かい事は気にしちゃいけないの。長生きする秘訣なのよ?」
「観光気分なのはお姉ちゃんなんじゃ…。」
「メイリン!!あの晴れ渡る空を見なさい。つまらない悩みがスッキリ消えて行くと思わない?」
「残念だけど、生憎の曇りだよお姉ちゃん。つまらない悩みは募るばかりだよ。」
「ああ言えばこう言って!お姉ちゃんはメイリンをそんな子に育てた覚えは無いわ!!」
「そうだね。私を育てたのは、お母さんとお父さんだもの。」

 最早呆れ果てた様子で、メイリンさんが半眼になってる。何だか漫才でも見てるみたい。

「うう…メイリンが反抗期になってしまったわ。お姉ちゃん他所様に顔向け出来ないわ!!」
「あ、あの…。」
「見てよお姉ちゃん。ミーアさんもすっかり呆れちゃってるよ!!」

 ど…どうすれば良いの?お願い…助けてシン…。私の声が天に聞こえたのか、突然…。

「いやああぁぁぁぁあ!!!!」

 え?何なの?何だか良くない予感がするけど…。

「む?争いの匂い…。ルナマリア、行くわよ!!」
「お、お姉ちゃん!!」

 ………首を突っ込まない方が良いと思うけど…。仕方ないわね、私もルナさんを追わなきゃ。

152名無しさんDESTINY:2008/01/24(木) 03:59:47
>>151
>>19
#3


 人混みの中に入ると、一人の女の子が男達に囲まれてる。ルナさんは………。

「げっ!?」
「お姉ちゃん…!?」

 女の子の前に、男達に向かって鋭い視線を送り、仁王立ちしてるわ…。

「何だよテメェ!!」
「ふぅ…アンタ達…女の子一人相手にそんな大勢で…恥ずかしくないの!!」
「……ぅ…嫌っ……死ぬのは嫌……。」

 な…何なのこのシチュエーションは?

「うるせぇ!どけっ!!」

 男の中の一人が、拳を振り上げてルナさんに殴り掛かる。思わず目を閉じてしまったけど、ルナさんの事が気になって目を開けると、殴られてたのはルナさんじゃなく…その男だった。

「ふんっ、私に勝とうなんて、一万年と二千年早いのよ!!」
「つ…強……。」
「な、何だこの女…無駄に強ぇぞ!?囲んで潰せ!!」
「ふふん…見せてあげるわ!ホーク家に四千年伝わる放苦真拳を!!!!」
「お姉ちゃん…何それ?」

 数分後…泣きながら土下座する男達と、今だに泣き止まない女の子を介抱するルナさん。
 そういえば…シンが、ルナさんは何故か肉弾戦が無駄に強くて、レイでも勝てた試しが無いって言ってたっけ?正直、規格外の強さだわ…。

「アンタ達…今回は手加減してあげたけど、次は容赦しないわよ?」
「は、はいぃぃぃぃ!!」

 逃げて行った男達を見て溜め息をついて、女の子にさっきまでとは違う存外に優しい笑みを向けるルナさん。

「もう大丈夫よ?よっぽど怖かったのね。」
「嫌…死ぬのは嫌……。」
「えーと…困ったなぁ…。とりあえず、あなた…名前は?」

 困り果てた顔で…まぁ、周囲の目もあるから当たり前なんだけど…。泣き付いて来る女の子の頭を軽く叩いて、とりあえずその場から連れて行く。

「あ、お姉ちゃん…。」
「とりあえず、私達も行きましょう。メイリンさん。」

 ルナさんと女の子を追って、私達もその場を後にした。

153名無しさんDESTINY:2008/01/24(木) 04:35:30


154名無しさんDESTINY:2008/01/25(金) 02:56:20
>>152
#4


 とりあえず、近くの公園まで来た私達は、ベンチに座ってルナさんと女の子のやり取りを聞く事にした。

「えーと、あなた…名前は?」
「ステラ…ルーシェ……。」
「そっか、ステラね♪あ、とりあえずこれでも飲んで。少しは落ち着くと思うから。」

 女の子…ステラさんに缶のコーンスープを渡した。ステラさんはそれを受け取って、ちびちび飲み始める。

「あ、自己紹介まだだったわね。私はルナマリア。まぁ、ルナで良いわ。で、こっちが妹のメイリンと、ついでにミーア。」
「私はついで?」
「………。」

 何故かメイリンさんは、不機嫌そうにステラさんとルナさんを見つめている。どうしたのかしら?

「ルナ…メイリン…ついでにミーア……。」
「あ…あなたまで…!?」
「そういえば、ステラは何であの人達に因縁こかれてたの?」
「因縁…こかれる…?」

 首を傾げるステラさんに、ルナさんが慌てながら、

「あ、アレ…何で絡まれてたのかな?って。」

 すると、ステラさんが話し始める。どうやら、道を歩いてたらぶつかって、それで絡まれてたみたい。何だかそこいらのドラマみたいだわ。

「そっか…恐かったわね。でも、私が居ればもう安全!ちゃんと守ってあげるわ!!」
「ルナ…守る…?」
「もう…お姉ちゃんってば…」

 何故かガッツポーズを取って立ち上がったルナさんと、それを目を見開いて見つめるステラさん。
 後…さっきから何か呟いているメイリンさん。

「ステラ、お家は何処なの?」
「ステラ…お家無い…。」
「え?えぇと…お父さんとかお母さんは?」
「……知らない…。」
「参ったわね…戦災孤児の子かしら?」

 頭を掻きながら、ルナさんが考え込んでしまった。…確かに困ったわね。これだと、どうすれば良いのか…。

「おーい。ステラー!何処に行ったんだよコラー!」
「ステラー!」

「もしかすると?」
「よし、今こそ行くわよ!メイリン、ステラ!行くわよ!!」
「ルナさん…本当は私の事嫌いなのかしら?」

 泣きたい衝動を抑えて、とりあえず声のする方に私達は走って行った。

155名無しさんDESTINY:2008/01/25(金) 04:28:53
>>21
#5


 声のする方向に行くと、二人の少年が走って来る。

「あ!?居たなステラコノヤロー。ネオが心配してたんだからなー?」
「スティング…アウル……。」
「此処に居たのかステラ。ステラ、この人達は?」
「えーと…ステラ…この人達はステラのお兄さん?」
「こっちは…ルナに…メイリンに…ミーア……。こっちは…スティング…アウル。」

 緑頭の青年、スティングさん?が、困った様に頭を掻きながら私達を見てくる。

「ステラに聞いてたんじゃ埒があかねぇ。済まねぇがアンタ等…何があったか聞かせてくれねぇか?」
「まぁ、良いわよ。」

 そして、ルナさんが事の経緯を話すと、スティングさんは額に手を当ててげんなりしてる。アウル君は爆笑しだした。

「そうか…そいつぁ手間掛けちまったな…。」
「別に良いわよ。そんな事より…女の子から目を離しちゃ駄目じゃないの。この子、何だか凄く怯えてたのよ?」
「あぁ、済まねぇ。以後は気を付ける。」
「ま、ステラの場合だと本当唐突だかんなー。コレはアレだ。不規則生活って言うんだっけ?」
「それを言うなら不可抗力だろ?つーか、今回のは俺等の責任だからな?ネオの奴に絞られちまうぜ…。まぁ、何にせよ助かった。礼を言うぜ。ほら、ステラ。行くぞ?」

 スティングさんが手を差し述べても、ステラさんはルナさんから離れようとしない。

「ステラ?お兄さん達が困ってるわよ?」
「……行きたくない…。」
「参ったなぁーこりゃ。それにしてもアンタ…初対面でステラに懐かれるなんてなー。やるなー♪」

 困り果てている最中、ふとメイリンさんを見やると…引き吊った顔でステラさんを見てる。正直、少し恐かったわ。

156名無しさんDESTINY:2008/01/25(金) 04:29:57
>>155安価>>154だったorz

157名無しさんDESTINY:2008/01/26(土) 05:19:41
>>155
#6


「ルナさん?そろそろ…。」
「え?あ…そうよね。ほら、早く帰らないと日が暮れちゃうわよ?」
「おい、あんまりこの人達を困らせるな。ステラ。」
「……分かった。」

 渋々離れたステラさんに、安堵するお兄さん(?)達。まぁ、時刻はもう夕方過ぎてるし、また変な人達に目をつけられたら面倒臭そうだものね。

「……また…会える…?」
「大丈夫よ♪きっとすぐにまた会えるわ。それじゃあね、ステラ。」
「うん…また……。」

 笑顔で手を振り、三人を見送って、ルナさんがベンチに座る。

「ふぅ、とりあえず…何とかなって良かったわね。一時はどうなるかと思ったわ。」
「もう…今回はこれで済んだけど、これからは無闇に首を突っ込んじゃ駄目だからね?いつもうまくいく訳でもないんだから。」
「分かった分かった。次はちゃんと気を付けるわよ。」
「メイリンさんの言う通りよ?ルナさんだって女性なんだから…もしも何かあったら大変じゃない。」
「分かったわよ…。まぁ…確かに軽率だったわね…。よし、それじゃこれから気分転換に何処か行きましょ。」

 その時、無線機に連絡が入った。シンからだわ。

「無線…シンからですか?」
「そうみたい……って、あそこに居るのシン?」
「あ…シンだわ。まさかこっちに気付いてないとか?……しっかし、こうやって見てると間抜けよね。」

 シンはバイクの傍らで、無線機を手に握っている。背後に迫る私達に気付いてないのね…。
 あんまり放置するのも悪い気がしたから、私達はシンと合流する事にした。

158名無しさんDESTINY:2008/01/27(日) 03:19:24
>>157
#7


 只今ミネルバへ向かう最中、シンがやや不機嫌なのは、バイクにルナさんの荷物が載せられているから。

「シン?顔…何かちょっと怖くなってるわよ?」
「ちょっとならまだ良いじゃないか。もう少しで、更に怖い顔になるところだったよ。」

 仏頂面で先を歩いているルナさんを睨んでいる。何だか少し気まずいから、話題変えようかしら?

「あ、そうそう…。シン、行きたい所があるって言ってたけど、何処に行ったの?」
「俺の家だよ…。知らない家族が住んでた…。もう…俺には帰る場所が無いんだって、改めて思ったよ。」

 ただ無表情に淡々と呟いて、ハンドルを握る手に力が入った。

「……そっか…。」

 何て言葉を掛けたら良いのかな…。…黙って聞いてた方が良いのかな…?

「でも…いい人に会ったよ。海岸沿いに慰霊碑が在ったんだけどさ?そこでたまたまな。」
「どんな人だったの?」
「世界のあちこちを飛び回って、支援活動してる人だよ。オーブにもあんな人が居るんだって分かって、少し嬉しかったよ。」

 シンの顔が、少し嬉しそうなものに変わった。シンは私に、「ミーアは表情がコロコロ変わるな。」なんて言うけど、そう言うシンも結構表情変わるじゃない。

「そっか…。そんな人がもっと沢山居れば…。」
「あぁ…。そういう人達の為にも、早く戦争なんか終わらせなくちゃいけないな。」

 そんな話をしながら、私達はミネルバに戻った。この時はまだ、誰も知らなかった。自分達の出会った相手が、自分達の敵になる事に。

159名無しさんDESTINY:2008/01/28(月) 02:49:33
>>158
PHASE11― 月下の戦場
#1


 オーブ近海で俺達を待ち受けていたもの。それは、おびただしい数の連合艦だった。夜というせいもあって、目視で確認するのは難しいが、メイリンの話では十隻との事だ。MS舞台もそれは“結構”な数らしい。
 更に追い討ちを掛ける様に、オーブ側から砲撃されている。

『どうやら…私達は連合に売られたみたいね。オーブ側に戻る事は出来ないわ。突っ切るしかないわね…。シン、ルナマリア?今はあなた達しか居ないわ…。頼むわね?』
「了解!メイリン、俺はブラストインパルスで出る!!全艦薙払ってやる!!」
『了解。』
『了解。それにしても…ちょっと突ついたら、うじゃうじゃ出てきそうで嫌だわ。』

 あからさまに不満気にルナがぼやく。確かに…前に戦った時は、戦艦六隻にMS十八機…それでも厳しい戦いだったのに、今回はそれを上回っている。

「それでも…戦艦さえ潰せば!」

 戦艦に向けて、のビーム砲を放つ。しかし、そのビームが戦艦を射抜く事は無かった。

『嘘!?あ…アイツって…この前出てきた……!!』
「あの“カニ野郎”!?また出て来やがったのかよ!!」

 俺達を嘲笑うかの様に、光の盾をかざし…一機のMAが静かに佇む。奴に砲撃戦を挑むのは無謀過ぎる…。しかし、此方は砲撃仕様のブラストインパルスに、ルナのガナーザク…。
 ここはソードシルエットに換装すべきか?
 既に“カニ野郎”が砲撃の準備を始めている。

「クソっ!考えてる暇も無いってのかよ!!メイリン!ソードシルエットだ!!」
『了解。ソードシルエット、射出します!』

 前みたいに…無様にミネルバを撃たせるもんか!アイツを叩き斬ってやる!!

160名無しさんDESTINY:2008/01/29(火) 03:53:12
>>159
#2


『回避!!』

 ミネルバが、MAの砲撃に前もって対処出来た為に今回は避ける事が出来た。
 しかし、MAに接近しようとするも、その周りをしつこく飛び回るMS達の弾幕のせいで、一太刀入れるどころか接近すら出来ない。

「くっ…!?ルナ!援護は頼めるか!!」
『無茶言わないでよ!艦の周りの奴等墜とすだけで此方は精一杯よ!!』

 数機のMSがミネルバの周囲を徘徊し、事有る事にミネルバを狙い撃って来る。
 くっ……!!俺は…どうすれば良いってんだよ!!
 MAにフラッシュエッジを投げるが、弾幕で墜とされる。ビームライフルで射抜こうとしても、狙う前に砲撃を避ける事で手一杯だ。

「一か八か…賭けてみるしか無い…ってか?悪い冗談だ!!」

 しかし、いつまでもこの状態ではミネルバはやがて墜とされてしまう。俺がやるしかない!

『シン!あのMAだけでも何とかして頂戴!!』
「く……っそ…!」

 フルブーストでMAまで突っ込んで行く。装甲が持てば良い…今なら、コオロギがびっしり浮いたプールだろうが何だろうが、飛び込んでやるさ!!
 ビームが何発か被弾する…肩のアーマーが吹き飛び、脚部もビームで切断されるが、それでも俺は“賭け”に勝った。最早、MAは目と鼻の先だ。

「今回は俺の勝ちだ!!!!」

 機体下部から深々とエクスカリバーを突き刺し、ダメージを受けた上半身と下半身を分離する。MAが海中に沈んで行き、爆散する。
 コアスプレンダーは耐久力こそ無いが、的は小さい。むざむざ当てられる事は…多分無い筈だ。

『まさか特攻するなんて…相変わらず無茶するわね?』
「うるせ。メイリン、チェストフライヤー、レッグフライヤー、ブラストシルエットを頼む!ルナは弾幕を張ってくれ!!」
『無茶な注文だわ!』

161名無しさんDESTINY:2008/01/29(火) 22:00:12
>>160
#3


 敵が攻撃の手を緩める事は…期待するだけ無駄か。コアスプレンダーなんていう、インパルスの一番無防備な状態になっちまったからな…。それも、チェストフライヤーやシルエットが来るまでは、バルカン砲しかない。
 更に此方は一発でも当たれば、もれなく撃墜というゾッとしない状況だ。
 なんだか昔、マユと一緒に遊んだ横スクロールのシューティングゲームみたいだな。

「換装するまでが勝負か…!」
『うわっ!?あ、危ないじゃないのっ!』

 ガナーザクのビームがMSを射抜く。ダガーと思わしきMSが爆散し、辺りを照らす。

「ルナ、ザクはまだ持ちそうか?」
『まだ何とかね。ただ…ちょこまかとうざったいわ。アイツ等。…っ!そこっ!!』
『う、うわあぁ―――…』

 鼻を鳴らし、ルナは再度狙撃した。もう一機射抜かれて墜ちて行く。

「それだけ無駄口叩けるなら、まだまだいけそうだな。」
『まぁね。それなりにはしぶといつもりよ?
 シン、アンタこそ気を付けなさい?今撃たれたら、棺桶になっちゃうわよ?』
「ハハっ…洒落にならないな。…っと、そろそろ来るか。」

 ミネルバはまだ装甲が持っているが、それでもそこまで長く耐えれはしないだろう。
 先程から砲撃しようとしている奴には、バルカンを放って牽制してはいるが、大したダメージは与えられない。
 と、ミネルバのカタパルトからブラストシルエット…並びに上半身、下半身が射出される。

『シン!今射出したよ!』
「やれやれ、やっと来たか…。了解!これより薙払う!!」

162名無しさんDESTINY:2008/01/30(水) 01:22:21
>>161
#4

――オーブ首相官邸

「ユウナ!コレはどういうつもりだ!!私はこんな事……」
「カガリ、これはもう決定した事だよ。オーブは連合と同盟を組む事になった。君は、オーブがどうやって此処まで復興したのか…忘れてはいないだろう?」

 カガリとユウナさんが口論している…。とは言っても、カガリがが一方的に非難しているだけだけど。
 アスランはアスランで、何か思い詰めた表情で立ち尽くしている。

「しかし!そのオーブを焼いたのも連合だ!!そんな相手と同盟など…」
「連合が駄目ならザフトかい?ところが…そのザフトだって、ユニウスを墜として来た訳だ。連合はおろか、オーブ諸国にも甚大な被害が出たと報告されているよ。
 それでも連合は支援してくれている。今その支援を切られたら、民はどうなる?僕は、ザフトに支援出来る程の余裕が有るとは思えないけどね?」

 それを言われて、カガリが言葉に詰まる。

「だ…だが!ミネルバはユニウスの破砕作業に貢献してくれたんだ!!それを討つなんて!!」
「それを話して、民は納得するのかな?納得させるだけの証拠も無いじゃないか。
 これが答えだよ。君に覆す事は出来やしない。」

 そうだ。カガリの言う事は、多分本当の事なんだと思う。でも、それだけでオーブの人達を納得させるのは不可能だ。実際に被害を受けて…傷付いた人達には。

「カガリ…感情だけで考えてる様なら、君にこの国を統べる資格は無い。
 僕達の仕事はね?この国の民を守る事だ。その為なら、僕は手段を選ばない。」

 カガリはそのまま黙ってしまった。ユウナさんが僕に歩み寄って来る。

「済まないね。さて、キラ君。君には“少々頼みたい事”があるんだ。来てくれるかい?」
「は、はい…。」

163名無しさんDESTINY:2008/01/31(木) 00:32:40
>>162
#5


 ユウナさんに応接室まで連れて行かれた。いったい、僕に頼みたい事って何だろう?
 応接室の扉が開く。すると、仮面を被った一人の男性が窓の外を眺めていた。

「彼を連れて来たよ?ネオ・ロアノーク大佐。」

 ロアノーク大佐と呼ばれた人が、此方を振り向く。何だ…この人…?まるで………

「あぁ、ご苦労だったな。ユウナ・ロマ・セイラン。
 そして、初めましてかな?スーパーコーディネーター君?」
「なっ……!?」

 どうして僕の事…?それに、今の声は…“あの人”?
 そんな…有り得る筈が無い。“あの人”は…二年前に死んだ筈じゃないか!!

「それでは、僕はこれで…。」
「あぁ、それではまた後程…。」
「ど…どうしてあなたが!どうしてあなたが此処に居るんですか!!ムゥさん!!」

 僕が“彼”の名前を呼ぶと、彼は「何を言ってるんだ?」という様な表情で、

「おいおい、誰だそりゃ?良いか?坊主…俺はネオ・ロアノークだ。誰と勘違いしてるかは知らんが、人の名前は覚えろよ?」

 別人…なのかな?でも、雰囲気も話し方も声も…何もかもが“彼”に重なって見える。

「す、済みません。」
「や、気にしてはいないよ。ところで、君が呼ばれた理由…知りたくはないか?」

 そうだ…僕は何故呼ばれたんだろう?何だか、嫌な胸騒ぎがする。こういう予感だけは絶対に外れない。

「我々に協力してもらう。拒否権は無いけどな。」
「…………。」

 サイ…カズイ…。ごめん、暫く帰れそうにないかもしれない…。

164名無しさんDESTINY:2008/01/31(木) 22:08:57
>>163
#6


――オーブ近海

「クソっ!コレじゃ撃っても撃ってもキリが無い……ぐっ…!?損傷が激しくなってきた…。」
『もう!泣き言なら他所で言いなさいよ!!……っつぅ〜…頭打ったわ……。』

 クソっ!数が多すぎる!!
 戦艦はかれこれ三隻墜とした…だけど、此方も相当な痛手を負ってしまった。

『十二時の方向から熱原感知!距離二万…これは…カオス、アビス、ガイアです!!
 それともう一つ………』
『え?えぇ!?こっちはもう手一杯よ!!』
「なっ…!?奴等…やっぱり地上に降りてやがったのかよ!よりによってこんな時に!!」

 出撃前に、艦長が言っていた事だ。“連合の強奪犯が、地上に降りた。”と、ジュール隊から報告が有ったらしい。

「コイツ等に……!こんな奴等に…!!墜とされてたまるかぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」

 トリガーを引く…しかし、ビームが放たれる事はなかった。バッテリーの残料が、既にギリギリまで減っている。
 そして、その隙につけ込む様にダガーが迫って来た。既にビームサーベルを振り上げている。

『貰った!』
『シン!?』
「しまっ……―――」

 ……?斬られて…ない?
 ダガーの腕の肘から先が折れている。いったい…誰が?

『ふぅー…間に合ったみてーだな。いやー…冷や冷やしたぜ。大丈夫か?インパルスのパイロット。』

 上空から“何か”が、此方をめがけて飛んで来た。そいつは、ミネルバの周りを飛び回るMSを正確に撃ち抜き撃墜した。

「たったの一瞬で…三機も!?」

 いったい…誰なんだ?

165名無しさんDESTINY:2008/02/01(金) 22:37:43
>>164
#7


 空から現れたのは、オレンジ色のやたらめったら目立つ機体だった。

『ほら…そこだっ!』
『な…なんだ奴は!?ぐわあぁぁぁ……―――』
「な…なんなんだよアイツ…。」

 そいつは、既に次の獲物を仕止めていた。そして、次の獲物に狙いを定める。

『シン…あれ誰?』
「今はそんな事気にしてる場合じゃないだろ!今のうちだ…メイリン!デュートリオンビームだ!!」『は…はい!!』

 突然の増援だったが、助かったから今はそれで良い。多分、奴が議長の言っていたフェイスの隊長だろう。

『あのオレンジ野郎…!地上に降りて来やがったのかよ!!』
『へへ…今度こそ潰しちまえば良いじゃんか。』
『………』

 今度はカオス、アビス、ガイアの三機が視界に入るまで迫って来た。チッ…面倒な奴等が来やがった!!

『おい、インパルスにザク。』
「は、はい。」
『雑魚は俺が引き受けた。お前達は、戦艦を墜としてくれ。まぁなんだ…奴等の相手はちょっとばかし慣れてっからな。』

 随分な自信家だな…。でも、今は従った方が良いな…。

「ルナ、戦艦を狙うぞ?雑魚はあの人に任せよう。」
『えっ?でも…まぁ、そうするしかなさそうね…。』

 そして、俺とルナは戦艦を狙う事にした。俺達の砲撃を潜って行く様に、そいつがMSの群れに突っ込んで行った。

『テメェ!この前みたいにいくと思うなよ!!』
『ハッ…嫌だねぇ〜。そんなガツガツしてっとモテねぇぜ?』

 触れ合いそうなくらいまで接近した両者が、剣を交えた。


PHASE11―END

166名無しさんDESTINY:2008/02/02(土) 23:35:41
>>165
PHASE12― 突破
#1


「コイツでっ!」
『墜ちなさい!』

 これで墜とした戦艦は五隻…後半分だ!

『なんだなんだ、良いのは機体だけかよ?』
『この……クソ野郎が!!』

 一方的にカオスが圧されている。圧倒的だ…。海中からカオスが急襲するも、即座に盾で叩き伏せる。

『クソっ…!な…なんだってんだよコイツ!!』
『ハハ…俺の事が気になって仕方ねぇみてぇだな!ま、聞こえてねぇだろうけど、一応名乗っとくか。
 俺はハイネ…ハイネ・ヴェステンフルス…フェイスさ!!』

 ………、やっぱりあの人がフェイスの…。
 右腕から伸びた何か…ワイヤーの様な鞭の様な物が、アビスを拘束する。そのまま振り回し、背後から迫るガイアに投げ付ける。

『随分とでけぇ魚が居たもんだな。おい、インパルス。さっさと戦艦墜としてくれ。……ちょっとノリノリで来たけど、あんまり長いとこ持ちそうはねぇわ。』
「はぁ!?もう少し持たせて下さいよ!」
『うるせぇ!人にはな、可能と不可能があるんだ!!』

 な、なんなんだこの人!?強いけど…強いけどさぁ、何か間違ってないか?
 い、いや…それより次の艦を狙わないといけないな。

『これで七!…そろそろ突っ切って行けるんじゃない?艦長、どうですか?』
『そうね、後は…あの三機さえなんとかすればいけそうだわ。』

 そうなると…俺の出番って訳か。この場合は……

「メイリン!フォースシルエット!!」
『了解!フォースシルエット射出準備開始します。』

167名無しさんDESTINY:2008/02/04(月) 22:44:14
>>166
#2


「ルナ!今の内に飛行可能な装備に換装してくれ!!二人だけじゃ手が足りない。」
『オッケー♪まぁ…格闘はあんまり得意じゃないんだけどね…。』
「言ってる場合か!」
『もー…怒鳴らないでよ。鼓膜破れると思ったわ。メイリン、飛行用のウィザードお願い。』

 ザクがミネルバに入る。それと同時に、フォースシルエットが射出される。

「えーと…ヴェステンフルス隊長。これより援護……」
『おいおい、こんな土壇場でイジメかよ?最近のパイロットは、どんな教育受けてんだよ…まぁ、言ってる場合じゃねぇか!!援護してくれ、インパルス!!』
「了解!」

 アビスが俺に向けて、一斉射撃してきた。翼が若干をかすめるが、ダメージは大した事が無い。
 まぁ、直撃を免れたのは、ヴェステンフルス隊長が事前に妨害してくれたお陰だが…。

『オレンジ野郎!邪魔するんじゃねぇよ!!』
『ハハっ…!良い男はモテてモテてしょうがねぇな!!いいぜ…まとめてテイクアウトしてやるぜ!!』

 ……っ!?アイツ…何処がどうキツいってんだ!!余裕で渡り合ってるじゃないかよ!!
 俺がアビスに斬り掛かる。アビスが放ったビームランスの刃と交わり、火花が散る…。

「……っ!!……はあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」
『このツギハギ野郎!いい加減…墜ちろってんだよ!!』

 すぐさま距離を離したアビスが、海中に潜って行った。水中から狙われるのは厄介だな…。くそっ!どうする…。
 今は構ってる暇は無い…か?放っておきたくは無いけど、手出しが出来ないな…。
 今は押され気味のルナを助けに行くしかないな。

168名無しさんDESTINY:2008/02/04(月) 22:44:52
>>167
#3


 海中から突然アビスが飛び出し、レールガンの砲門が俺に向く。PS装甲なら何とか耐えられるが、中に居る俺にはとんでもない衝撃が襲う。正直、受けたくない攻撃だ。

『させねぇよ!!』

 ヴェステンフルス隊長が、アビスに蹴りを見舞う。アビスの体制が崩れ、レールガンの軌道は俺を反れる。

『ボーっとしてんじゃねぇよインパルス!死にてぇのか!!』
「くっ…分かってるさ!!」

 ガイアが背後から迫って来る。しかし、それを牽制する様にビームが放たれる。飛行用ウィザードに換装したルナのザクだ。

「遅いぞルナ!」
『仕方ないでしょ!飛行用ウィザードなんて、使うの始めてだったのよ!?』

 これで何とか凌げる筈だ。ビームアックスで、ガイアの斬撃を受けるザク。ガイアはルナに任せよう。俺は……。

『僕は此処だよ!大人しく墜ちろっつーの!!』
「しまった……!」

 再度、海中から飛び出して来たアビスの一斉掃射だ。盾で何とか防いだが、左腕もろとも持って行かれた。

「くそっ!お前はっ!!」

 ビームライフルで応戦するも、すぐに海中に潜られて避けられる。ビームじゃ水中迄は届かない…かといって、水中戦に特化したアビスに水中戦を挑むのは自殺行為だ。そもそも、インパルスに水中用の装備なんか無い。
 次に飛び出して来た時に叩く以外は、手段は無いのか。

「ルナ、大丈夫か!」
『あんまり大丈夫じゃない!早く助けて!!』

 ルナの腕が劣っている訳でもなく、ただ単にスペックの差が出てるだけだ。俺が来た事を察知したガイアが、獣型に変形し、ビームの刃を帯びた翼で両断しに掛かって来た。

169名無しさんDESTINY:2008/02/04(月) 22:46:25
>>168
#4


 盾は吹き飛んだし、ビームサーベルで受け切れる様な容易い武装でもない。

『でええぇぇぇぇぇぇえい!!』
「っ…!?分離!」

 間一髪で上半身とレッグフライヤーで分離する。レッグフライヤーが無惨に両断され、爆散した。
 でも、仕止められなかったのは痛かったな!

「当たれっ!」
『私が…こんなっ!?』

 コクピットは外した。だが、腰の辺り…スラスターを射抜く事は出来た。これで奴のスピードはある程度殺せた筈だ。

『ステラ!…ったく、今行くから待ってろ!!スティング、ガイアはちょっとヤバめだ。退いた方が良いんじゃない?』
『チッ…確かに、数で劣っちまってるからな。艦長、ファントムペイン、これより帰投する!』

 奴等が一斉に此方に背を向けて行く。撤退するつもりか?
 アビスがダメージを受けたガイアを連れて行く。

「逃がすもんか………」
『馬鹿野郎!その状態で深追いするんじゃねぇ!!』
「………っ!?」

 確かに…アイツの言う通りか…。今は突っ切る事が任務だ。
 これ以上は戦闘を続ける必要は無いな。今更気付いた事だが、バッテリーがもう僅かしか残っていない。

『ミネルバより通達、これより戦線を離脱する。MS隊、これより帰投せよ。』
「了解、インパルス…これより帰投します。」

 ひとまず、俺達はミネルバに帰投する事にした。

170名無しさんDESTINY:2008/02/14(木) 22:33:11
2ch書けねぇ…Ⅲorz
いったいどうしたんだろう?

171名無しさんDESTINY:2008/02/15(金) 23:35:33
書けたー
良かったー……

172名無しさんDESTINY:2008/03/18(火) 23:00:55
新シャア、新スレ立てといた

173名無しさんDESTINY:2008/03/26(水) 02:46:55
嘘だろ…また落ちた!?

174名無しさんDESTINY:2008/03/26(水) 09:26:00
スレ乱立の煽り受けた模様
新スレ
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1206491085/

175名無しさんDESTINY:2008/03/27(木) 02:06:35
>>174
あんたって乙はー!

176戦後 シン×ミーア 8:2008/04/07(月) 04:28:53
シンは翌日花を一本買ってから病室に向かった。


女性に花を送るなど、母の誕生日以来でどんな花を選べばいいのか分からなかったが、
何も無い病室には色があった方がいいと思えたのだ。

花の名前はよく知らない。
花屋に入って適当に決めようと思っていたら、案外種類が多くて迷ってしまい、
結局オレンジ色の薔薇を選んだ。

入院中の人に上げるのだと伝えたら切花よりも鉢植えの方がいいと言われて驚いた。
オーブでは鉢植えの方が縁起が悪いといわれていたのだが、プラントでは切花は直ぐに
枯れてしまう事が命の終わりを示唆しているようで縁起が悪いという考え方なのだ。
ものは考えようとはよく言ったものだとシンは思ったが、悩んだ末、結局切花を選んだ。
ミーアはプラント出身の為彼女の常識に合わせるのならば鉢植えの方がいいのだろうが、
一つの花がずっとあるよりも、枯れてしまった時に別の花に変えた方が気が紛れる
ように思ったのだ。

彼女があとどれ位入院の必要があるのかシンにも分からなかったから。



シンが真剣に悩んで一輪を選んだため、店員も気を遣ってくれたのだろう。
丁寧にラッピングされ、更に水色のリボンまでつけて貰えたのを見た時、少し複雑な
心境になった。

一体この店員は俺が誰に渡すつもりで作業してるんだろう・・・・。

勿論、それを尋ねるのはおかしな事なのでシンも何も言わずに花を受け取ると病院に向かった。


ミーアにも何て言われるだろう・・・・・。

177戦後 シン×ミーア 8:2008/04/07(月) 04:30:23
突然の行為に笑われそうで、買ってから病院に到着するまでの間、後悔を繰り返す。
(その前に花はどんな風に持って歩けばいいんだろうと真剣に悩んだが、
結局普通どおりに歩く事にした)

余計な事をしてるかもしれない。
昨日、泣いた事への誤魔化しのように感じられるかもしれない。
(いや、少しはそういう気持ちはあるが)
感謝以上の感情を意識されるかもしれない。


いやいやいやいやいや・・・・。


流石にそれは自分の考えすぎかもしれないと恥ずかしくなりながらノックをし、
病室の扉を開ける。

「おはようございます。シン・アスカです」
「あ、・・・シン」

いつも通り入り口で敬礼してから中に入ると、少しうとうとしていたミーアがはっと
気付いて目覚めてシンを見る。

「・・・寝てたのか?」
「うん・・・。おはよう」

近付いて来たシンが花を持っている事に気付く。
綺麗なリボンまでつけている一輪の薔薇にミーアは小首を傾げた。
シンもミーアの視線を辿り、薔薇を持っていた事を思い出して少し唇を尖らせて口を
開いた。

「・・・・・花くらい、あった方がいいと思って・・・・」

色々と渡す時の言葉を考えていたのだが、結局訳が分からない言い訳じみた物になる。
思わず視線を外してしまうと、ミーアからの返答が無い。

一体何なんだとシンは沈黙に負けてミーアに視線を戻すと、きょとんとした表情を
見せていた。

「な、なんだよ」
「え?」

178戦後 シン×ミーア 8:2008/04/07(月) 04:31:45
ミーアの反応の意味が分からないシンが更に口を尖らせると、ミーアは僅かに首を傾げる。
話が分かっていないようだ。

「あの・・・・」
「シン?」
「・・・・・これ、・・・・俺が買って来たんだよ」
「そうなんだ。誰にあげるの?」


・・・・・・・っ!!!


シンが顔を真っ赤にし、息を呑む。
怒ったような反応にミーアはそこで初めて自分にと、シンが買って来てくれたのだと
気付く。

「え!?あ、あたしに!?」
「他に誰が居るんだよ!!」
「・・・・えっと・・・・病院に綺麗な人が居たとか・・・・?」

このフロア以外動いた事がないミーアには階下がどうなっているのか分からない。
どれくらいの規模の病院なのかは窓からの景色で何となく分かるが、此処が何階の病室
なのかもミーアは知らなかった。

大きな病院であれば綺麗な女の人だって居る事だろう。

シンは心臓を鷲掴みにされたような気分になって奥歯を噛み締める。
昨日の感謝の気持ちだと勘違いされないかと先程まで心配していた自分が馬鹿みたいに
感じた。

どうしてこんなに胸がぎりぎり痛いんだろう。

無性に悔しくなって背を向ける。


「いらないなら・・・・いい」


ゴミ箱にでも捨ててやる。

179戦後 シン×ミーア 8:2008/04/07(月) 04:33:25
ゴミ箱目指して歩き始めたシンにミーアも気付いて慌てて声を上げる。

「ごめんね!貰う!貰うから!」
「いいよ!」

自棄になってゴミ箱の前に立った時、背後で大きな物音がした。
驚いて振り返るとミーアがベッドの脇の椅子にぶつかってから落ちたのか、椅子が変な
方向を向いていて、床にはミーアが倒れていた。
これには流石にぞっとしてシンが駆け寄ると、ミーアは痛みに顔を歪めている。
薔薇を放り出して椅子を動かすと、ミーアを抱き上げる。

「おい!・・・おい!」
「ごめんね・・・?」

シンに抱き上げられた事で気がついたミーアがシンを見上げて謝罪する。

「・・・・・此処までする事ないだろ!」
「此処までしないと止めてくれないでしょ!」

まさか大声で怒られると思っていなかったシンは、うっと言葉に詰まる。
しかし、直ぐにそっぽを向く。
言い返したいが、自分が強引な事をしたのも確かなので何も言えない。

「気付かなかったのは本当にごめんなさい。・・・・でも、それで花を捨てるのは
いけないと思う。シンはずっと地球に居たって言うから知らないかもしれないけど、
プラントで切花って高いんだから!」
「・・・・は?」

なんだか怒っている方向が違うような気がすると、シンは呆気に取られて思わず聞き返すと、
ミーアは怒ったままで話を進める。

「プラントでは道端の花も摘んじゃいけないのは知ってるでしょ?プラントで道端に花が
咲くってすごい事なんだから」

生き物一つ育てる事が難しいプラントで、切花一つ捨てるのがいかに酷い事か。

言われて。

シンはぐっと声を詰まらせてからゆっくりと息を吐き、頭を垂れ、ミーアの肩に頭を乗せる。

180戦後 シン×ミーア 8:2008/04/07(月) 04:35:22
「・・・・ごめん」
「あたしも、ごめんね」
「・・・・・・俺、あんたの護衛なんだけどな・・・・・・」

ベッドから落ちるなんて反則だ。

情けないと弱音を吐きそうになるが、直ぐに気を取り直して顔を上げ、
ミーアを抱き上げてベッドに戻す。
ミーアも手伝ってシーツをかけると、ミーアが「お花、頂戴」と、手を伸ばす。

思い出して放り投げた薔薇を拾うとミーアに渡し、椅子を戻して腰掛ける。

「ありがとう。オレンジの薔薇・・・・・。どういう意味なのかな?」
「・・・・花言葉とかだったら俺知らないよ」
「あたしも。そんなに詳しくないなぁ」

嬉しそうに、じっと薔薇から目を放さずミーアが笑っている姿を見ると、
それだけでシンも嬉しくなった。

暫く薔薇を見つめていたミーアがふと、眉を顰めた。
その変化に気付いたシンも少しだけ首を傾げる。

「どうかしたのか?」
「・・・・・え・・・・。あ、うん・・・・。だ、大丈夫」

戸惑った返事はどう考えても「大丈夫」には聴こえない。
シンは明らかに眉を顰めると、咎める視線をミーアに向ける。

「大丈夫じゃ、ないだろ」

強く断言すると、ミーアは更に動揺して困ったように笑うと、恥ずかしそうに俯いて
口を開いた。

「思い出せないなぁ・・・って、思って。前に月でアスランに貰った花の色が、
思い出せないの。この間は思い出せたのにな・・・。その前にコンサートで貰った花の色は
ピンク色が中心だったなぁって思い出せるのに・・・・。で、でもまた暫くしたら
思い出せると思う!」

でも、今日貰った薔薇の色、忘れたら、ごめんね。

181戦後 シン×ミーア 8:2008/04/07(月) 04:37:02
悲しみを堪えた笑顔で謝罪され、シンは思い出す。
これまでミーアは過去の事、記憶の事に付いて何も言わなかったから。

医師の報告は毎日のように受けていたため、カウンセリング中の話を聴く事はあっても
その時のミーアの様子までは特に気に掛けた事が無かった。
まるで記憶が消えてしまう事など自分は気にしていないと振舞おうとするミーアに、
シンは無言で立ち上がった。

「シン?」
「・・・・・良く考えたら花瓶が無かった。買ってくる」
「うん」

時間を確認して医師や看護士がやってこない時間である事を確認すると、
シンは鍵を掛けて病室を出ると、院内にある小さな店に向かう。
病院内で必要そうな物は大抵揃っている。
勿論、花瓶も此処に売られている事をシンは知っていた。

購入する物は花瓶も勿論だが、店内をざっと見渡して他にも必要な物を集める。
帰り道は携帯である場所に電話をしながら戻る。

ミーアはてっきり花瓶のみ買ってくるかと思っていたので、ベッドの上のテーブルに
色々物が置かれていく事に驚く。

「これは・・・・・?」
「日記帳。・・・・・・・・忘れたくなければ、書いて置かばいいだろ。それと・・・」

シンは自分の携帯付属のカメラを構えてミーアと薔薇を一緒に撮影する。

「へ!?」
「俺が撮るなら、写真は撮って良いって上に連絡したから」

カメラをミーアに渡す事は出来ないが、ミーアの代わりに撮影する事は出来る。

これで今日の薔薇の色をミーアは忘れない。

シンの言葉の裏に隠された意味に、ミーアはくしゃりと顔を顰め、嬉しそうに、
困ったように笑った。
一瞬泣かれるかと思ったが、それは堪えたようだ。

ミーアは替わりに掠れた声で小さく「ありがとう」と、搾り出すように呟き、
シンはその表情がとても可愛らしく思えて、もう一度、写真に収めた。



<続>

182戦後 シン×ミーア 8:2008/04/07(月) 04:44:35
前回もGJありがとうございました。

本スレが人多すぎ状態に2週間なっているのですが(現在進行形)
これは自分のPCに問題があるのか・・・・。

遅くなりまして申し訳ありません。
今後の流れを考えていて、暫く悩んでました。

出すメンバーはアスラン、ラクス、メイリン、ルナマリア、イザーク、ディアッカ、シホになりそうです。
(まだ迷ってますが)
レイは生きてるのか死んでるのか考えてません。どっちでもいいです。

そしてまとめサイトに自分の話が追加されるのを見るとどきどきします。
ありがとうございます。

183名無しさんDESTINY:2008/04/08(火) 23:23:30
GJ!!
続きを期待してます

184戦中 シン×ミーア:2008/04/09(水) 00:04:19
注)ラクス=ミーアとして読んで下さい。


ミネルバにラクス・クラインがやって来た。

アスランが所属する艦に暫く滞在したいという我侭を言った彼女の願いは最高評議会議
長の快諾によって実現された。
この決定に最初に抗議の声を上げたのはアスランだったが、アスラン以外の皆は歓迎し
たので彼の反論の声は大きな歓声によって掻き消されてしまった。

それから毎日のようにアスランはラクスに振り回され、次第に疲れた表情を見せ始める。
ラクスは何かと「アスラン、アスラン」と、まるで親鳥にくっつく雛鳥のように後ろを
離れず、仕事の話をしていても途中で邪魔されること等いつものようにあるのだ。

時々そんな様子を見かけたシンは「婚約者を持つって大変なんだな」と、思いつつ我関
せずの態度をとっていた。
実際、アスランに近付きたいと思わないし、アスランに近付かなければあの大胆で元気
なお姫様にも気に掛けられる事はない。

しかしシン以外には被害者が多く居るようで、食事の度にルナマリアが「ラクス様って、
こんなに非常識な方だと思ってなかった!」と、頬を膨らませていて、隣のメイリンが
「お姉ちゃん、アスランさんと打ち合わせしてたの邪魔されて機嫌悪いの」と、
こっそり耳打ちしてくれた。
アスランの機体も担当しているヴィーノとヨウランは喜んでいたが。

とんでもない事になったのは確かかもしれないとシンも漸く思い始めた時に、今日も疲
れたアスランに呼び止められた。
隣にはアスランの腕にしっかりとしがみ付いたラクス・クライン。

185戦中 シン×ミーア:2008/04/09(水) 00:06:57
近くで見ると確かに可愛いと思う。
健康そうな笑顔を向けられると恥ずかしくなってどういう表情を返せばいいのか悩んで
しまう。


「なんスか?」


なるべく素っ気無く応えると、アスランが自分の腕にしがみ付いているラクスを引き剥
がし、申し訳なさそうにシンを見た。

「今夜、ミ・・ラクスの相手をしてやってくれないか?タリア艦長には話を付けている
から」
「は!?」
「えー!!」

驚いたシンに、不満そうなラクス。
本当に困った表情のアスランは更に眉尻を下げてラクスを見る。

「ミ・・・い、いやラクス。今夜中に仕上げなければならない書類がありますから。話
し相手にはシンがなってくれます」
「ちょ・・・!何勝手に決めてるんだよ!」

ラクスには丁寧な態度のアスランに不満そうにシンが声を上げると、アスランはシンに
も申し訳なさそうに目を伏せる。

「本当に悪いと思っている。しかし、ラクスを一人にする訳にも行かないだろう?勝手
にふらふら歩き回って迷子になられても困る。機密区域に迷い込まれても困る。更に変
な事態になっても困る。お前なら、信用出来ると思って」

信用されていると言われると嬉しくなるのは当然の反応か。

日頃アスランとは対立する事が多いが、素直に、恐縮そうに頼みごとをされ、更には
「信用している」といわれれば悪い気はしない。
確かにラクス・クラインが艦内にいるという事で、日頃は口に出さないような下世話な
会話をする人間も出てきているような気がする。
そんな原因の彼女を一人にする訳にもいかず、だからといって仕事も疎かに出来ないの
だろう。

186戦中 シン×ミーア:2008/04/09(水) 00:09:05
少し浮き上がった気持ちを抑えるようにそっぽを向くと、ちらりと横目でラクスの様子
を確認する。



目が合った。



ラクスはじっとシンを見つめていたかと思うと、アスランの傍から離れ、シンを髪の毛
の先から爪先までじっくりと観察すると、シンの真正面に回ってにっこりと笑い、アス
ランを振り返った。

「アスラン。この子とっても綺麗ですわね☆」
「・ラ・・ラクス・・・・それは彼にとって褒め言葉ではないと思います」
「そう?でも彼だったら話し相手でもいいですわ☆」

アスランはラクスが納得した事に安心したのか、ほっと息を吐く。

「ちょっと!」
「えっと・・・シン?わたくしがお話し相手では・・・・ダメ?」

左手を両手で掴まれ(更に指まで絡めてきた)見上げられるとシンは真っ赤になって思
わず後退りする。

「アスラン!あんたの婚約者でしょ!この人!」
「・・・・・すまん。ミ・・・ラクスが迷惑を掛けると思うが、今晩だけの辛抱だと
思って耐えてくれ」

俺は本当に仕事があるから!

アスランが逃げるようにその場から立ち去り、ラクスはそんなアスランの背に手を振って
見送る。

いきなり渡された荷物(それも強制的に)の大きさに驚き、固まったシンがラクスを
見下ろす。
シンの視線に気付いたラクスがシンを見上げる。

目が合うと、また、彼女は笑う。

187戦中 シン×ミーア:2008/04/09(水) 00:10:37
「あの・・・ラクス・・・様?」
「はい?」
「これから何処に行くつもりですか?」
「わたくしのお部屋に行きましょう」
「は!?」
「人が多いところでは目立ってしまいますもの」


さぁさぁと、シンはラクスに手を引かれ、半ば強引に彼女の部屋に招待された。
士官クラスの部屋が彼女には与えられていて、部屋全体の広さ自体がシンとレイの部屋
よりも大きい。
応接セットの二人がけのソファに座るように言われて座ると、ラクスが飲み物を用意し
(どうやら彼女の部屋には冷蔵庫まであるらしい)シンに渡すと直ぐ隣に座る。

てっきり向かいに座ると思っていたシンは彼女のこの行動に硬直し、「あ、あの!」と、
声を上げるが彼女は気にした風も無かった。

「いいんですか!?婚約者が居るでしょう!?」
「ねぇ、シン。話し方フランクにしてもいい?」
「・・・いいですけど・・・」

話が噛み合わないとヤキモキしているとラクスは「ありがとう」とにっこりと笑うと更
に身を乗り出してシンに顔を近付ける。
女性の顔がこんなに接近してきた事など初めてなシンは、ソファの上ギリギリまで逃げ
るように背を逸らすと、次第に顔を真っ赤にさせていく。

「な、なんですか!」
「シンの瞳の赤が綺麗だなぁと思って。どんな風になってるんだろう・・・・・」

赤い瞳の子は初めて見るの。

じっと覗き込む視線にシンは耐えられない。
僅かでも動くと二の腕にラクスの豊潤な胸が触れる。
彼女が僅かでも顔を動かせば、甘い香りが鼻腔をくすぐる。

女の子特有の。
甘くて溶けてしまいそうな、香り。

188戦中 シン×ミーア:2008/04/09(水) 00:12:40
シンにしてみれば、ラクスの深い蒼の方がずっと綺麗に見える。
透き通った深海に眠るサファイアのような瞳。
シンの左右の瞳を見るたびに動く瞳が光彩を変えて揺れる。

潤んで見える瞳はキラキラとしていてシンは息を呑むしかなかった。

この人はアスランの婚約者、この人はアスランの婚約者、この人はアスランの婚約者・・・・。

念じる事でこの甘い匂いと魅惑的な瞳から逃れようとするが、鼓動までは抑えきれない。
口から音が漏れそうな程どきどきしていると、彼女がふっと笑ってシンにだけ聴こえる
ように(二人しかこの部屋には居ないのに、だ)小さく口を開く。

「・・・・・・・まるで、キスする直前みたい」
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

もうこの人どうにかしてくれ!!!!

きっと彼女は無意識なのだろう。
言葉の後の唇が少し開いていて、まるで誘っているようにも見えるのも、きっと無意識。

シンはただじっとラクスを見つめ返し、しかし彼女の無意識の誘惑に堪え切れずに
コクリ・・・と、喉を鳴らした。

「シンは・・・・キス、したことある?」
「へぇ!?」
「無いの?」
「な、何で答えなきゃならないんですか!」
「どんな感じなのかなぁと思って」

考え事をし始めた彼女はそこでシンへの興味が薄くなったのか、前のめりになっていた
体勢を戻す。
シンもそれにより漸く普通どおりに腰掛けると、ほっと安心する。

そして隣をそっと盗み見ると、ラクスがシンを上目がちに見つめている。


女の子のこの仕草は本当に反則だと思う。
そのままでも可愛い女の子が、更に甘えるような視線で見上げてくるのだ。


どきどきが、止まらない・・・・!!!

189戦中 シン×ミーア:2008/04/09(水) 00:14:34
シンはこの無言の空気に堪えられず、思わず反射的に口を開く。

「・・・・キスくらい、してるでしょ?婚約者なんだし・・・・」

アスランと。

こんな事聞いてどうするんだろうと思いながら、発した言葉は戻せない。
これからの話の展開に少し後悔しつつ返事を待つと、ラクスはシンの予想とは違って
ぷっくりと頬を膨らませた。

「したこと無いわ。アスランってばお固いんだもの。頑張って、せいぜいハグくらい」
「・・・・そ、そうなんですか?」

こんなに可愛い婚約者が、四六時中あれだけくっついているというのに、キスの一つも
していないとなると、余程アスランの頭が固いのか、それとも不能のどちらかとしか考
えられない。

「ねぇ、どうしたらキスして貰えると思う?」
「・・・・・・・さ、さぁ」

経験のないシンとしては、聞かれても困る。

「じゃあ、シンだったら、女の子のどういう仕草を見たらキスしたくなる?」
「自分は・・・・・」
「自分は・・・?」

聞かれている内容が内容のため、シンも恥ずかしさで赤くなる。
体温は急上昇しっぱなしで心臓は落ち着く暇も無い。
男同士で聞かれているのとは訳が違う。
日頃ありえないような状況を冗談で語って、笑い飛ばすような雰囲気でもない。

どう逃げ切ればいいんだろうと、ラクスを振り返った時。



彼女は、目を閉じて顎を少し上げ、唇を強調する仕草をしていた。

190戦中 シン×ミーア:2008/04/09(水) 00:16:16
そう。

キスを催促するような、仕草。



「あ、あの!?」
「キス、して?」

胸を撃ち抜かれたような衝撃が心臓に走り、シンの体中の血液が沸騰しているのかと
勘違いするほど体が熱くなる。


プラント中の人間が認めるアイドルが。
自分の目の前で目を閉じて唇を差し出している。

おまけに「キス、して?」だ。

甘ったるくゆったりと響いたその声で。
プラント中の人間が癒されるその声で。

自分にだけ囁く響きで。




催促されて、断れる男が居るかコノヤロ―――――――――――――!!!
アスランあんた馬鹿ですか!
こんな可愛い催促されてなんでやってないんですか!
アンタがキスしてないから俺が今こんな事言われてるんですよ!
いいんですか!
問題じゃないんですか!?
アンタがこの人の欲求不満解消しなくてどうするんですか!!!




思い切りアスランに対する暴言を心の中で駆け巡らせ、シンは恐る恐る彼女の肩に手を
置く。

細い肩。
強く握り締めたら折れそうで思わず触れた手を引いてしまいそうになる。
しかし、完全に離すには勿体無くて。

191戦中 シン×ミーア:2008/04/09(水) 00:18:04
シンもまた目を閉じ、僅かに顔を傾け、近付き・・・・・・・。



ラクスの体を押すことで引き離した。



「シン?」
「か・・・・かなりぐらぐら来ました。・・・・それでアスランに迫ればいいんじゃ
ないですか・・・・・?」


自分の理性の辛勝に、シンは心の中で涙した。
安堵の涙でもあり、悔し涙でもある。
今の顔だけはどうしても彼女に見られたくなくて俯いて告げると、ラクスからの返答が
無い。

笑われるかもしれない。
怒るかもしれない。

ラクスが何を思ってそんな事をしているのかよく分からないシンには返事が怖い。

沈黙が続いても顔だけは上げられない。
もう肩に置いた手は放した方がいいだろうかと、恐る恐る手を放して自分の膝の上に
置くと、空気が動いたのを感じた。


視界が陰り、頬に、何かが触れた。


思わず反射的に顔を上げると、ラクスの笑顔がすぐ近くにあって、無意識に頬に手を
当てると、ラクスは更に小首を傾げて微笑んだ。

「ありがとう。シン」

ソレは、お礼。

シンが押さえている頬を指で差しラクスが微笑むが、シンは直ぐには反応できなかった。

192戦中 シン×ミーア:2008/04/09(水) 00:19:13
やはり、先程頬に触れたのは彼女の唇だったのだ。


「・・・・・え?」
「偉いなぁと思って。手が汗で濡れてたから。・・・緊張した?」
「・・・・・かなり」
「ごめんね。困らせるような事して。凄い悩んでくれたんだって分かったから、
嬉しかった」
「いえ・・・」

恥ずかしさで目を伏せると、軽やかなラクスの笑い声。
思い切り自分に経験が無いのだと教えてしまったシンは今すぐにでも帰りたかった。
しかし、シンの考えとは別に、ラクスがシンに抱き付いてきた。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「シンってば、可愛い♪」


キスをしなかった事で彼女の信頼を勝ち取ってしまったシンは、すっかり彼女に気に入
られ、振り回される一人となるようになるのは、この直ぐ後の話である。



<終>

193戦中 シン×ミーア:2008/04/09(水) 00:27:51
いつもGJありがとうございます。
まずは前回の訂正

>>181
 ×「日記帳。・・・・・・・・忘れたくなければ、書いて置かばいいだろ。それと・・・」
 ○「日記帳。・・・・・・・・忘れたくなければ、書いて置けばいいだろ。それと・・・」

 ×「俺が撮るなら、写真は撮って良いって上に連絡したから」
 ○「俺が撮るなら、写真は撮って良いって上に連絡して許可貰ったから」

いつも以上に間違えが激しかったので・・・。

今回は戦中です。
シンがラクスをミーアが演じているという事が分からない設定だった為、
文章が面倒な事になってしまいました。
読みにくくてスミマセン。

これは戦後の話とは関係ないです。
単発で書きたかったので書きました。

ミーアが攻めの方が書きたかったんです。


まとめもすぐに更新されていて驚きました。
掲載ありがとうございます。

194名無しさんDESTINY:2008/04/09(水) 01:51:54
GJ!
シンすげぇ頑張ったなwww

195名無しさんDESTINY:2008/04/09(水) 07:34:02
GJ!!

196名無しさんDESTINY:2008/06/05(木) 15:58:30
本スレどうにかならんかねぇ

197名無しさんDESTINY:2008/06/07(土) 18:44:05
戦後読みたいなぁ(´・ω・`)

198戦後 シン×ミーア 20:2008/06/12(木) 23:36:18
イザークはずっと窓の外を眺めていた。
まるでミーアを見ないその姿は彼女を拒絶しているようにも見えて、ミーアから話しか
けるのは少々憚られた。
その為イザークからの言葉を待っていたのだが、いつまでも彼からの言葉は無い。
イザークが暇ではない事もミーアは何となく予想はつくので思い切って声を掛けてみた。

「・・・・あの。アスランとは・・・お話しできたんですか?」

変な質問をしているという自覚はあったが、だからといって他の質問も思い浮かばない。
振り返ってくれるかと思ったが、イザークは依然窓の外を見たままだ。

自分の声が聴こえたのだろうかと、不安に思う頃になってイザークが一度眉間の皺を深
くして口を開いた。

「貴女の事は、家族だと思っていると言っていた」

苦々しいその声音に、イザークもまたアスランとミーアの関係を理解していないのだと
示されていてミーアは何となく俯いた。
アスランとの関係は誰かに認められたいと思っている訳ではない。
そもそもアスランとも自分たちの関係を確認した訳ではない。
「こうであればいい」という願望を、アスランもまた同じように持ってくれていた、と
いうだけなのだ。
それをたった今イザークの言葉によって確認できたというのに、他人にどう思われるの
か、という事にまで気を配る事など出来ない。

ミーアはそのまま顔を上げずに頬を膨らませた。
密かなイザークへの対抗心だが、口に出すつもりは無いらしい。

再び訪れる沈黙。

忙しいのではなかったのか。と、ミーアが不平を漏らそうかと思ったその時、イザーク
が再び口を開いた。


「悪いが、気を配るような言葉は思い浮かばん。遠回しに尋ねるのも性に合わん。だか
ら率直に尋ねる」

199戦後 シン×ミーア 20:2008/06/12(木) 23:38:01
此処で一度言葉は切られ、一呼吸置いてからイザークは再び口を開いた。

「貴女は何を企んでいる?」

話しかけられている最中からイザークを見上げていたミーアは、思いつめたように吐き
出された最後の一言を聞いて、頭の中で反芻し、眉間に皺を寄せて小首を傾げてから徐
に笑い始めた。

「笑うな!」
「だ、だ、だって・・・!それって、貴方が何かを企んでいるって言ってるのと一緒で
しょう?」

いきなりイザークが己の手の内を一部晒して来るとは思っていなかったミーアは、その
率直さが可愛らしく感じて笑いが止まらない。
しかしひとしきり笑うと、窓に向けたイザークの雰囲気が若干柔らかくなっているのを
感じる。
ギルバートの背中ばかりを見つめ、そして背中の様子でその心を探っていた頃を思い出
し、ミーアは少し懐かしく思う。

ギルバートは中々振り返ってくれなかった。

ミーアを見つめてくれる時は真っ直ぐに見つめてくれたが、自分が必要無い時には一切
振り返らず、他の者と話していた。
それだけ忙しかったのも事実だが、後で思えば自分はたったそれだけの「駒」だったの
だろう。
いつの間にか人の背中で雰囲気を読む術を覚えてしまっていたなぁと、ミーアはとうと
う笑うのを止めて再びじっとイザークの背中を見た。

もしかすると、今の言葉はイザークなりの気遣いだったのかもしれない。
恐らくイザークが何かを企んでいる、というのは間違いない。
この時期に、それも昨日はディアッカで、続けて病院に訪れるのが不自然だからといっ
てイザークが時間を割いてやって来るにはそれだけの理由が必要だ。
ある程度問わなくても分かりそうな情報を先に提示し、場を和ませるという彼の戦略に
はまったかもしれないとミーアは困ったと思いつつ、楽しくなる。

200戦後 シン×ミーア 20:2008/06/12(木) 23:39:27
ミーアがこう思えるだけの心の余裕があるのには理由がある。

大してミーアには隠し事は無いのだ。
企みと言ってもミーアが行いたい事はアスランに会って話したいという願望のみで、そ
の意向は既にイザークも知るところである。
後、イザークが知りたい内容としては「アスランと会って何を話すのか」という内容く
らいだろう。
それを何が起きたのか、と、更に深く勘繰っている時点でイザークはこの状況を深く考
えている、という事である。
流石にそれが何かを推測するには情報が足りなさ過ぎるが、ミーアはミーアが持ってい
てイザークが知らない情報を渡すか渡さないかだけを考えればいい。
逆にミーアがイザークから情報が貰えれば儲け物だと思うが、そこまで口が達者ではな
い自覚があるので、余り欲張らない方がいいだろう。


「なにも、企んでいないわ」
「・・・そのようだな。アスランは今回貴女との対面の日時を決めなかった。日時が決
まるのは明後日」
「アスランが?」


てっきり日時が決まったからこそイザークが訪れたのかと思えば、決まっていないとい
う。
これに驚いてミーアがイザークの背中を見たが、そこに何の感情も無かった。
ただ事実を告げている雰囲気にミーアは伏せ目がちになる。

「らしくないだろう?」
「え、えぇ・・・」

動揺が明らかに音になってしまったことも気にせず、ミーアは眉間に皺を寄せる。
そしてその音を聴いてイザークは一瞬背後のミーアに視線を向けようとして直ぐに窓の
外に視線を戻す。
此処でイザークは一つの確信を得て更に言葉を続ける。

「貴女はアスランが今何をしているのかご存知か?」
「何を・・・って?」
「オーブでの活動内容」

201戦後 シン×ミーア 20:2008/06/12(木) 23:41:22
ミーアは言われて記憶を辿る。
しかし、自分の記憶は色々と欠陥があり、今思い出せる範囲の記憶が正しいとも言えない。
それでも思い出せる範囲では何も知らない。

「あたしの記憶は・・・・・」
「・・・そうだったな。今は、分かるか?」

ミーアは直ぐに首を左右に振り、その後イザークはこちらを見ていないのだと思い出し
て声に出して「いいえ」と、否定した。
そして次の瞬間には顔を上げ、イザークの背中をひたと見る。

「あたしの言葉を信じていいの?」
「貴女が心配する事ではない。それを判断するのが俺の仕事だ」

ミーアの言葉が正しいか、正しくないか、嘘をついていないか本当の事を語っているのか。
それは全てイザーク自身で判断する事なのだと言われ、ミーアは軽く目を見張る。

「・・・だから、さっきから窓の外を見ているの?」

言葉、声音でミーアの言葉の正否を判断する為に。
彼女の言葉を聞いて、イザークは眉間の皺を深くし、小さく舌打ちをした。
その声を聞いて自分の想像が正しいのだと気付いたミーアは困ったように微笑んだ。

「随分信頼されてないね、あたし」
「されていると思うほうがおかしい」
「・・・そうね」

自分の現在の立場を考えたら信頼して欲しいという言葉はなんとも空々しく聞こえる事
だろう。
でも本当に嘘はついていないんだけどなと、思うと少し悲しい。


しかしきっと、これが現実。


シンは本物のラクス・クラインを知らずに居た人だからミーアを直ぐに受け入れた。
イザークがラクスをどれだけ知っているかは分からないが、プラント育ちの人であれば、
黒髪に変わったとはいえ、ミーアの姿を見れば戸惑って当然。
そして偽物だといわれれば、反感があって当然。

202戦後 シン×ミーア 20:2008/06/12(木) 23:43:07
これが、自分の現実なのだと突きつけられたような気がしてミーアは思わず息を殺しつ
つ吐き出す。


「信頼されるように、頑張る」
「・・・・」


イザークはミーアの小さな小さな呟きを背中で受け止め、居心地が悪そうに肩を揺らした。

「まるで俺は悪役だな」
「えっ!別に・・・・!」

その先の言葉が続かなかったのは、イザークが振り返ったからだ。
まさか此処で振り返られるとは思っていなかった為、ミーアは戸惑いで何度も瞬きを繰
り返した。
イザークはじっと見つめられる視線に耐えられず、ミーアを視界から外すようにそっぽ
を向いてしまう。

「これは俺の推測だ。アスランは現在いまだオーブに軍籍を置いているが、公の場には
出ていない。その代わり、オーブのある人物の下に着いて行動している可能性がある」
「ある・・人物?」
「心当たりが無いのなら貴女が知る必要は無い。とにかく、相変わらずあいつはオーブ
の飼い犬だ」


そしてその飼い犬が執着しているのが、ミーア・キャンベルだ。


段々イザークの言わんとしているところが分からなくなってきたミーアは視線を逸らし
たままのイザークをじっと見つめる。
返す言葉が見つからないからだ。
いや、今言葉を発するには情報が少なすぎるというのもある。

「ラクス・クラインの発言力があるにしても、アスランの一存で貴女をオーブに連れ戻
すなどという事は出来ないだろう。・・・という事は、アスランの上司と思われる人物
が貴女を欲しているという事になる」


だからこそ、今回ミーアの進言に直ぐに日時を決める事が出来なかった。
貴女に、何が出来る? ミーア・キャンベル。

203戦後 シン×ミーア 20:2008/06/12(木) 23:44:51
何を言われているのか、分からない。
言葉の最後、名前を呼ぶ時にはひたと自分を見つめてきたイザークのアイスブルーの瞳
がミーアを射抜く。

ただ、アスランに会いたいだけだった。
そして、今の自分の想いを直接伝えたいだけだった。

今このような状況ではどのような手段でアスランに自分の言葉を伝えようと、アスラン
はきっと疑ってしまうと思ったから。
イザークの瞳の左右を確認する。
言葉の先を促されているように見えるが、何が言えるだろう。

何も知らないのに。

まるでイザークからの言葉を求めるように不安げなミーアの視線に、イザークは一瞬だ
けミーアに視線を向けて直ぐにまた逸らし、間を稼ぐように腕を組んだ。

「・・・貴女がアスランに会って何を言うかは知らない。本当は聞きだそうと思って来
たんだが・・・その必要はなさそうだ。ただ、貴女はどの記憶を無くしても、これだけ
は覚えておく必要がある」



オーブには行くな。



イザークの事を信じていいのかミーアには直ぐに判断できない。
何を考えてイザークが今日顔を出したのかも、その理由がミーアの真意を計るためだけ
と断言していいのかも分からない。

ただ事実は、アスランは日時の即決をしなかった。
改めて時間の猶予を求めるにしても3日は長すぎる。
この時間の長さがあっても改めて計画を実行出来るだけの力はアスランには恐らく無い。

それだけ時間を費やしてでもアスランがミーアを求める理由があるのか。


「あたし・・・・あたしには、何も持ってないの・・・・。あたしが、上げられるのは、
本当にこの体と・・・・・歌だけ」

204戦後 シン×ミーア 20:2008/06/12(木) 23:47:27
しかし、歌ならラクスがいる。
ミーアでなくても良い筈だ。

「・・・・・オーブの鳥は鳴いていない。それも理由にあるかもしれないな」
「え・・・・?」
「推測だ。オーブにもし行ったとしても、待っているのはまた『ラクス・クライン』と
いう器かもしれない」

それは考えられなくも無いと思える自分が居て、それが悲しかった。

この姿がある限り、ミーアは常にラクス・クラインという名前の影に隠れなければなら
ない。
そして、もう元の姿には戻せない程、ミーアは「ミーア・キャンベル」を捨ててしまっ
ていた。

残された道は、贖罪の道、ただ一つ。

それなのに、アスランが用意したもう一つの道が・・・・・。


『ラクス・クライン』という器に再びなる道だとしたら・・・・・・・・。


ミーアは声を立てずに涙を流した。
声を殺す為に体が大きく震える。
全身の力を入れて、ベッドのシーツを強く握り締める。

一瞬は思い浮かんだ言葉を、ミーアは必死に首を左右に振って否定する。

「アスランは・・・!そんな事言わない・・・・・!!」
「言わないだろうな、あいつなら。・・・しかし、生真面目なアイツを『ミーア嬢の救済』
という言葉で操る事はできる。何も全てをアスランが背負っているとは言わない」

ミーアの考えの及ばないところもイザークが考えて話をしているのだという事は分かる
が、ミーアにとっては話が突飛過ぎて、大きくなりすぎていて何処から考えればいいの
か分からなくなっていた。

「あたし・・・最初からオーブには行くつもりなくて・・・・アスランには・・・」

続きは唇の前に翳された掌によって遮られた。

はっと顔を上げると心底嫌そうな顔をしてイザークがミーアにハンカチを差し出していた。

205戦後 シン×ミーア 20:2008/06/12(木) 23:49:34
相変わらずミーアと会わせようとしない目元が赤いのは照れている為なのかもしれない。
受け取れとばかりにハンカチが上下に揺れた。

ミーアは戸惑い、ハンカチを受け取り、目元を、涙を拭う。
ぱりっとしっかりと糊付けされたハンカチは、まるでイザークの性格を現しているよう
で、それが不謹慎ながら少しおかしかった。

「今聞くつもりはない。貴女の想いに応える動きを取るつもりが無いからな」
「・・・あたし、貴方の事嫌いじゃないかも」
「・・・突然何を。理解できんな」

ミーアの脈略の無い言葉にイザークは不審げに眉を寄せたが、ミーアは構わず泣き笑い
を見せた。



生きている世界は・・・・・自分がどんな境遇であろうと、とても、優しい。



ミーアの涙が収まった事を確認してからイザークは「帰る」と短く告げた。
余りのタイミングの良さに待ってくれたのだろうかと思ったが、それを本人には尋ねら
れなかった。
好きなように解釈した方が良さそうだと判断したのだ。

「あの、ハンカチは・・・!」
「捨てろ」
「え・・!だって!」

涙が収まってから確認したら有名ブランドの上質な仕立ての物だ。
ミーアがこれまで持った事の無い物で、捨てるなんてミーアの考えには全く無い代物だ。
もう帰るつもりで半身を翻していたイザークは面倒なのか、振り返りもしない。

「返す機会が無いだろう。必要ない」
「・・・そういう勿体無い事言うの、駄目だと思う。値段なんて分からないけど、これ
が凄い高い物だっていうのは分かるもの。貴方が働いて買ったものでしょう?大切にし
なきゃ」
「それくらいの物、戻ればまだある」
「替えがあればいいなんて考えは良くない!ちゃんと返すから!」

206戦後 シン×ミーア 20:2008/06/12(木) 23:50:33
しつこく食い下がるミーアに、イザークは心底面倒そうに髪を乱雑に掻き毟り、ミーア
に向き直り、吐き捨てるように怒鳴り声を上げた。

「勝手にしろ!」

それから直ぐに踵を返し、僅かに肩を怒らせてイザークは部屋を出て行った。
アスランの友達は優しい人ばかりだという事が分かって、ミーアは声を殺して笑った。

そして、イザークが出て行った事でシンが戻ってくるのを待っていると、かなりの時間
が経ってから再び病室のドアが開いた。


てっきりシン一人が戻って来ると思っていたのだが、入ってきたのは、二人。


シンと・・・・シホ。


シホはイザークと共に帰ったのだと思っていたミーアはきょとん、と、小首を傾げる。
シンの不機嫌な顔の理由がよく分からない。


シホが敬礼した。



「本日より暫くの間、シン・アスカの代わりに貴女の警護を務めさせて頂きます」




<続>

207戦後 シン×ミーア 20:2008/06/12(木) 23:58:09
大変お久し振りです。
大した長さではないのですが、時間が掛かってしまいました。

本当は駆け引きをするつもりが、互いに手の内をばらし合ってしまいました。
ミーアはその場の感情に流され、イザークもまたミーアの生真面目さに引き摺られてしまいました。
勿論、イザークは全てを語った訳では無いですが。

そしてシンとミーアは引き離される事となります。

シン、ミーア、イザークとディアッカ、アスランが色々動く展開になれば・・・と、考えていますが、
大したものは書けないので出来る範囲で頑張ります。

208名無しさんDESTINY:2008/06/13(金) 07:13:19
GJです!
つづきを書いてくれて本当にうれしいです。
これからもがんばってください。

209名無しさんDESTINY:2008/06/13(金) 22:17:42
続き来てるー!GJ!

210名無しさんDESTINY:2008/06/14(土) 00:27:32
ttp://img281.auctions.yahoo.co.jp/users/7/1/3/3/a100510130-img474x600-1209692183ganndamu1.jpg
ちょっとーお?
よおーやくうー本スレがあー使えなくなってーえ安心したと思ったらあー!
こーんなとこでえーコソコソ続けてたのねーえ?
あーんなションベン臭あーいお子ちゃまとなんかあー嫌だってえー言ってるでしょ!
ttp://img281.auctions.yahoo.co.jp/users/7/1/3/3/a100510130-img600x588-1209692196ganndamu3.jpg
こんなとこおー!即、刻、たたんでちょうだい!

211名無しさんDESTINY:2008/06/14(土) 00:36:17
いーい?二度とおーこおーんなあーキモSSなんかあー書かないでよねえー!
ttp://blog-imgs-11.fc2.com/z/a/m/zamuzazar/20070815185046.jpg
もしいーまた勝手にいー書いたりしたらあーこの酒瓶でえー頭カチ割るわよおー?
ttp://img247.auctions.yahoo.co.jp/users/7/2/4/4/styletire-img575x576-1208327162p1010112-1.jpg
いいことーお?わかったわねえー!

212名無しさんDESTINY:2008/06/14(土) 00:41:07
ttp://img131.auctions.yahoo.co.jp/users/3/6/5/3/vmax001zc-img451x600-1210165003rakusu001.jpg
ミーアがあーさ、あ、び、す、するのはーあアスランだけよお!
ttp://img131.auctions.yahoo.co.jp/users/3/6/5/3/vmax001zc-img450x600-1210164945d1000081.jpg
シンとかいう餓鬼はあー精々いーアホ毛赤牝犬のおールナマリア?とか
いうのとおーイチャイチャしてなさあい?クッフフフ

213名無しさんDESTINY:2008/06/14(土) 01:03:29
どうせ書くならあー濃うー厚なあーアスミア話書きなさいよおー!
ttp://img293.auctions.yahoo.co.jp/users/5/6/3/7/himimamirukara-img600x443-1211093496p1whmm45573.jpg
そしたらあーちょっとはあー見直してあげてもおー良いけどおー?
ttp://blog18.fc2.com/s/shibainuhonpo/file/mi007w.jpg

214名無しさんDESTINY:2008/06/14(土) 01:08:28
良いことお!分かったわねえー?
ttp://img281.auctions.yahoo.co.jp/users/7/1/3/3/a100510130-img474x600-1209692183ganndamu1.jpg
折角うーミーアってえー超お良いーいキャラをおー登場させるんだからあ!
ttp://img281.auctions.yahoo.co.jp/users/7/1/3/3/a100510130-img600x588-1209692196ganndamu3.jpg
お相手もおー相応の殿方にいーしてほしいものだわあ!

215名無しさんDESTINY:2008/06/14(土) 01:11:09
全くうーちーっとも分かってないんだからあー!
ttp://img301.auctions.yahoo.co.jp/users/7/2/4/4/styletire-img600x527-1208748217p1010013-1.jpg
ホおントおー腹立たしいしーい困っちゃうわあー!

216名無しさんDESTINY:2008/06/14(土) 01:15:59
確認しておくけどおー!アスミアじゃなきゃあー許さないからあ!
ttp://img295.auctions.yahoo.co.jp/users/7/1/3/3/a100510130-img484x600-1212031794se1xem59696.jpg
解ってるでしょうねえー?ア、ス、ミ、ア、よおー?
ttp://img241.auctions.yahoo.co.jp/users/7/2/4/4/styletire-img600x510-1205716843p1010089-1.jpg

217名無しさんDESTINY:2008/06/14(土) 01:20:07
シンミアなんてえー某パイ兵のおーオナ馬鹿笑い話とおー同レベルよおー!
ttp://blog-imgs-11.fc2.com/z/a/m/zamuzazar/20070815185046.jpg
そんなもん書かれたらあー飲まなきゃあーやってらんないわあー!

218名無しさんDESTINY:2008/06/14(土) 01:24:21
いくらネタだってねえー?ミーアにもおー
許せるものとおー許せないものがあるわあー!
ttp://img135.auctions.yahoo.co.jp/users/6/9/0/0/suika678-img450x600-1212127530rijxf028718.jpg
シンミアなんてえー生ごみとおー一緒にいーペッペッぽい!よおー!
ttp://img279.auctions.yahoo.co.jp/users/8/1/5/1/crcmb647-img408x600-1211987758nxx7xg79695.jpg

219名無しさんDESTINY:2008/06/14(土) 01:29:27
と、に、か、くう!アンタ達はあーアスランミーアのおー
ラブラブちゅっちゅなあー話をおー書いてれば良いのおー!
ttp://img131.auctions.yahoo.co.jp/users/3/6/5/3/vmax001zc-img451x600-1210165003rakusu001.jpg
ttp://img131.auctions.yahoo.co.jp/users/3/6/5/3/vmax001zc-img450x600-1210164945d1000081.jpg
シンミアなんてえーアンモニア臭あーいのはあーお、断、りいー!フンっ!

221名無しさんDESTINY:2008/06/14(土) 21:15:14
>>207
続きGJ!!

222名無しさんDESTINY:2008/06/15(日) 01:03:06
>>207
投下乙です!
今回もGJです!

223名無しさんDESTINY:2008/06/30(月) 10:30:57
いつの間にか新シャアのほう落ちてるしorz
荒らしもいるからこっちでやるのがいいのかな?

224名無しさんDESTINY:2008/06/30(月) 22:03:42
そうだと思うよ。

225名無しさんDESTINY:2008/07/06(日) 21:28:32
ここでやるのがイイと思う

226名無しさんDESTINY:2008/07/08(火) 19:00:29
ここの方がいいんじゃないかな?

227名無しさんDESTINY:2008/08/06(水) 21:26:18
アゲ

228名無しさんDESTINY:2008/09/09(火) 19:44:47
久しぶりに来てみたが人がいないな

229名無しさんDESTINY:2008/10/10(金) 19:21:54
上げ

230名無しさんDESTINY:2008/12/07(日) 16:55:35
人いない

231名無しさんDESTINY:2009/01/01(木) 11:26:35
今日は正月

232名無しさんDESTINY:2009/01/28(水) 08:54:18
ここも終わりだな

233名無しさんDESTINY:2009/02/13(金) 07:54:59
職人、帰ってこないな……

234名無しさんDESTINY:2009/02/28(土) 20:32:49
そもそも人がいない

235名無しさんDESTINY:2009/03/15(日) 18:02:23
俺がいる

236名無しさんDESTINY:2009/03/17(火) 07:41:37
俺もいる

237名無しさんDESTINY:2009/04/24(金) 18:53:14
上げ

238名無しさんDESTINY:2009/04/27(月) 20:41:03
俺が住人だ

239名無しさんDESTINY:2009/05/04(月) 21:39:02
俺も住人だ

240名無しさんDESTINY:2009/05/25(月) 22:59:42
興味本位でまとめサイト除いたら
寝取られあったりでハートブレイクした

241名無しさんDESTINY:2009/08/14(金) 13:34:17
過疎

242名無しさんDESTINY:2009/08/17(月) 11:38:07


243ゆり♪:2009/10/23(金) 16:51:48
潮吹きはコツさえ掴めば簡単♪
↓    ↓    ↓
http://shio-splash.com/aab/?sk4

ユリはコツ掴みました。

244名無しさんDESTINY:2009/12/01(火) 20:00:30
上げ

245名無しさんDESTINY:2009/12/06(日) 18:39:28


246名無しさんDESTINY:2010/05/14(金) 20:35:55
シン

247名無しさんDESTINY:2010/06/18(金) 22:22:13
ミーア・・・

248戦後 シン×ミーア 21:2010/11/12(金) 02:41:03

「どうして?」


ミーアはまずそう尋ねた。
状況が全く掴めない。
シンが不機嫌な表情をしているのなら、彼は納得していないという事になるだろう。

ミーアの動揺を余所に、シホはきっちりとした動きで敬礼を解いた。

「最高評議会の決定です。理由を貴女にお教えする必要はありません」
「そ、そうかもしれないけど・・・。シンはいいの?」

ミーアが直ぐにシンに視線を向けると、一瞬シンは息を詰まらせたが、仕方ないという様子で姿勢を正した。

「FAITHはある程度の権限は持っていますが、最終的に最高評議会の決定に逆らう事は出来ません。・・・ただ、宇宙で俺にしか出来ない仕事が出来たってだけだから」
「余計な事を言わないで下さい」
「・・・失礼しました」

シホは私服だったが、彼女がFAITHではない事は以前FAITHをギルバートから紹介されて知っている。
しかしシンはシホに頭が上がらない様子で、その理由もミーアには分からない。
そしてシンは此処で嘘を吐いた。
先程渡されたのは出撃命令ではなく、休暇申請だったのだから。

「待って、待って!あたし命令とかそういうの良く分からない。うぅん、ラクス様だった時ZAFTの人とか結構見て来たから知ってる部分もあるけど、納得できなくて。シンは命令に従うって事で良いの?」
「・・・あのなぁ。命令に従わない軍人なんて軍人じゃないだろ」

シンが呆れて思わず砕けた口調になる。
シホが直ぐにシンを睨んだが、それくらいの事で目くじらをたてられても困るのでシンは気付かなかった振りを決め込んだ。
ミーアはシンが不機嫌なりにこの命令を受け入れるつもりがあるのだと判断して、ゆっくりと頷いた。

「シンが納得してるなら、いいわ。・・・・いってらっしゃい。身体には気を付けて」
「ありがとう」
「あ。あと、怪我しないようにね」
「・・・あぁ」

249戦後 シン×ミーア 21:2010/11/12(金) 02:42:28
シンはミーアを真っ直ぐに見つめてゆっくりと頷くと、すっと息を吸って姿勢を正し、再び敬礼する。

「では、失礼致します」

ミーアは頷くと、シンは模範的な動きで踵を返すと振り返らず病室を出た。
シホはシンの退室を確認すると、内側から鍵を掛けた。

その音が妙に室内に響き、ミーアはシンの影が見えなくなるまで扉を見つめていたが、
彼の足音も聴こえなくなると視線を落とした。
初対面のシホの目にも落胆しているミーアの姿を遠くでじっと見つめていたのだが、
ハンドバックから再びトランプを取りだした。
別にトランプが得意という訳ではない。
ただ、シホは時間の潰し方というのが良く分からなかったのだ。
トランプであれば色んな遊び方があるので丁度良いと思っただけだった。

ハンドバックをロッカーに仕舞うとトランプをケースから出して手の中でシャッフルし始める。
ミーアがその音に気付いて顔を上げる。

シホは年相応の女の子らしく柔らかく微笑み、その表情にミーアは瞬きを繰り返した。
先程シンを咎めた時とは別人のように見えたのかもしれない。
シホは何度もそう評価された過去をかすめる程度に思い出し、苦笑に変える。

「シン・アスカの報告書に、貴女は堅苦しい事は苦手だとありましたが」

なるべく優しく話しかけると、ミーアは戸惑いつつも頷いた。

「うん。・・・出来ればそんな堅苦しい言葉は止めて欲しいんだけど。駄目?」
「構いません。可能な限り貴女の意向に沿うよう言われてますので」
「ほら、また」

ミーアは素早く注意をすると、シホは一度は目を見開いたが、直ぐに苦笑する。

「分かった」
「良かった。それじゃあ」

ミーアが手を差し出した。
シンが初めて来た時のように、握手を求めて。

シホも直ぐにその意味を察し、トランプをシャッフルしていた手を止めてミーアの握手に応えた。


「よろしく」
「えぇ」


ミーアはシホと握手が出来た事にほっとした表情を見せた。
そして安心する心の片隅で、シンの事を気にかけていた。

イザークがミーアに会いに来た事。
そのタイミングで護衛が交代になった事。

それが何を示すのかが分からなくて、しかし何かを意味しているような気がして仕方なかった。



<続>

250戦後 シン×ミーア 21:2010/11/12(金) 02:47:57
大変お久しぶりです。
投下する時の改行位置も忘れてしまって読みにくくなってすみません。
SSを語ろうスレで、一人の方がこの小説の続きを気にされていたという事を見て、
久し振りに続きを書こうという気持ちになれました。

かなり以前の書き込みでしたが、この場を借りてお礼を申し上げます。
嬉しかったです。ありがとうございました。

251名無しさんDESTINY:2010/11/12(金) 18:28:59
再開キターー!!
続きを楽しみにお待ちしています

252名無しさんDESTINY:2010/11/13(土) 00:25:07
GJ!!

253名無しさんDESTINY:2011/03/04(金) 17:11:28
3Dカメラで撮ったおっぱいエロすぎw
すれ違いおっぱい@ともも
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254名無しさんDESTINY:2011/05/10(火) 11:03:44
今日初めてこのスレの存在を知って戦後さんのSS読んだGJ!
頻繁じゃなくてもいいので続き待ってます。

255名無しさんDESTINY:2011/07/08(金) 16:32:58
私も最近このスレの存在を知った者です。
続き待ってますー。

256名無し:2012/06/11(月) 16:47:37
続きはぁ〜まぁだかなぁ〜♩

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