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フレイ様人生劇場SSスレpart5〜黎明〜

721キラ(♀)×フレイ(♂)・46−7:2004/06/18(金) 00:59
くっそぉ!!フレイの野郎、アスランから助けてやった恩を忘れやがって!!
殺す、殺す。絶対に殺してやるぅ!!
内心でフレイを呪怨しながら、オーブの王子様とは思えない、情けない格好で、
カガリはスープを啜った。猫舌のカガリが、舌を火傷しかけた刹那、フッと軽い音
がすると、カガリを拘束していたロープが切断された。アスランである。
彼は、キラの顔そのままで、泣きながら犬食いするカガリのあられもない姿を
見てられなくなったのだ。カガリは大慌てで、頭の鬘を外し、地面に叩き付けた。

「考えてみれば、こいつだけ動けるのじゃ不公平だからな。
ただし、銃を奪おうとするなら、その時は、躊躇い無く殺すから覚悟しておけよ」
手持ちのナイフで、カガリを戒めていたロープを切断したアスランは、照れ隠しに、
そう警告すると、無防備にもフレイから手渡されていた、敵の作ったスープを啜る。
重ね重ねのアスランのお人よし度にカガリは呆れたが、今の敵はアスランではない。
実力行使でフレイへの報復を敢行しようとしたが、既にフレイは忽然と姿を消している。
相変わらず要領の良いフレイは、カガリのほとぼりが醒めるまで、怒りをやり過ごす
所存のようだ。仕方無しに復讐のレベルを二段階ほどダウンさせたカガリは、
奴の分は残すまいと、鍋の中の美味のスープを、全部、自分の胃の中に押し込んだ。



あれから、カガリの怒りが静まった頃合いを見計らってフレイは戻ってきた。
洞窟の中で、三人は焚き木を囲んだが、元々彼ら三人は互いを潜在的な敵と見做し
合っていたので、キャンプファイアのような友好的な雰囲気とは無縁だ。
「そういえば、アスラン君。君にはお礼を言わなければならないよね?」
ピリピリとした緊張状態が長く続いたが、まずはフレイが口火を切る。
アスランは煩わしそうに、フレイの方角に振り向いただけで、頷きもしなかった。
あれから三人の間で、様々な貸借関係が発生したので、今更、不必要なオベッカだと
アスランは切り捨てたが、フレイの謝意は、無人島に来る以前の過去に向けられていた。

「今まで、キラが死なないように、それとなく手心を加えていてくれたんだろう?
お陰で、僕らもキラのお零れに与って、今日まで生き延びる事が出来たわけで…」
「ば…馬鹿を言うな。俺はザフトの軍人だ!戦場で私情を織り交ぜるなど有り得ん!」
アスランは内心でキグリとしながらも、大声でフレイの仮説を打ち消した。
今まで、フレイの口車に乗せられ、何枚化けの皮を剥がされたか判らないが、
アスランの立場上、確かにそれだけは認める訳にはいかなかっただろう。
「ふ〜ん。じゃあ、まあ、そういう事にしておこうか」
内心を見透かしたかのようにフレイの視線に、アスランは後ろめたそうに目を逸らす。

「君には色々とお世話になったから、最後に一つだけ忠告しておこうか。
君がこの先も、戦いの中でキラに温情を掛け続けるのは、それは君の勝手だけど、
もうキラの方では、そういう君の想い(馴れ合い)には頓着してくれないと思うよ?」
「な…何!?」
もう、これ以上、このペテン師の言葉に惑わされるのは止そう…と決意した傍から、
ついアスランは反射的にフレイの言葉に反応してしまう。
キラが絡む限り、彼はフレイの言葉の魔力から、自由にはなれないらしい。
「キラは僕と約束してくれたんだ。僕がもう戦わないでも済むように、僕の敵…つまり、
アークエンジェルに襲い掛かってくる君たちを、キラが一人残らず始末してくれるって。
こんな健気な恋人を持って、僕は本当に幸せ者だよ」
フレイはポタポタと涙を流しながら、サドニス島でマイケル君を殺害しかけた際の
キラの宣誓を、故意に拡大解釈した上で、アスランに最後通告として突きつけた。
自然と涙が出てしまう泣き虫のキラと異なり、泣きたい時に自由に嘘涙を流せるのが、
極上の詐欺師たるフレイお得意の御家芸の一つだ。


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