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フレイ様人生劇場SSスレpart5〜黎明〜

1迷子のフレイたま:2004/03/02(火) 22:57
愛しのフレイ・アルスター先生のSSが読めるのはこのスレだけ!
|**** センセイ、          ・創作、予想等多種多様なジャンルをカバー。
|台@) シメキリガ・・・       ・本スレでは長すぎるSSもここではOK。
| 編 )    ヘヘ         ・エロ、グロ、801等の「他人を不快にするSS」は発禁処分。
|_)__)   /〃⌒⌒ヽオリャー     ライトH位なら許してあげる。
|       .〈〈.ノノ^ リ))    ・フレイ先生に信(中国では手紙をこう書く)を書こう。
        |ヽ|| `∀´||.      ・ここで950を踏んだ人は次スレ立てお願いね。
     _φ___⊂)__
   /旦/三/ /|     前スレ:フレイ様人生劇場SSスレpart4〜雪花〜
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|. |    http://jbbs.shitaraba.com/bbs/read.cgi/anime/154/1070633117/
   |オーブみかん|/    
              既刊作品は書庫にあるわ。
             ○フレイスレSS保存庫 ttp://oita.cool.ne.jp/fllay/ss.html

              こっちも新しい書庫よ。
             ○フレイたんSS置き場 ttp://fllaystory.s41.xrea.com/top.html

434『明日』と『終わり』の間に・作者:2004/05/08(土) 13:57
 自分もこうした点への配慮に欠けていました。これからは気をつけさせて頂きます。

》赤毛の虜囚
 なるほど、ミリアリアのミナシロでの思い出とこのようにリンクしていたんですね。何だかサイが気の毒でした。
 フレイ様にとっての本当の親友とは誰になるのか、気になりますね。

》散った花、実る果実
 リスティアさんが怪我を!?本人は喜んでいたばかりなのに何てことが・・・。帰還できたのは良いんですが大丈夫なんでしょうか?
 それと彼女がビクトリアに行ったかどうかは自分も気になります。何せあのソードカラミティやらゴールドフレーム・天やらが出撃してたぐらいですし、もしそうだったらよく生きて帰れたと思えます。

》流離う翼たち
 キースさんの口から真実が語られる時が来ましたか・・・。内容が衝撃的なだけにキラが耐えられるかどうか心配です。
 それにしてもキラがツッコミに回るなんて・・・、これも成長ということなんでしょうねw。

》過去の傷
 ま、またミリィが暴走を・・・!あの時の彼女は本当に怖かったです。しかも目の前にいるのは本物の仇ですし。
 それとアスラン、必死に秘密にしようとしてましたが、今回の件で何してたのかラクスにばれちゃったのでは・・・。

435私の想いが名無しを守るわ:2004/05/08(土) 14:02
過去の傷の職人さんはミリが嫌い?

436過去の傷・作者:2004/05/08(土) 15:52
>>435
いえ、そんなことはないですミリィは好きですよ、それにSSに感情を持ち込むことはないです。
それから言われた通りフレイ様以外のキャラに対しても配慮するように心掛けることにしてますので、これから出来ればこんなことはないようにしています。

437流離う翼たち・473:2004/05/08(土) 23:54
 だが、この話で誰よりも衝撃を受けたのはキラだった。まさか、自分がそんな存在だなどと、普通は考えない。

「僕が、最高のコーディネイター?」
「そうだ。お前はこれまで、自分の力に疑問を持った事は無いか? 訓練も無しにMSに乗り、クルーゼ隊の歴戦のパイロットを複数相手取って圧倒したりする。そんな事がありえると思うか?」
「それは・・・・・・・・・無いと思います」
「そう、ありえない筈だ。なのにお前はそれを平然と成し遂げてきた。立ちはだかる全てを薙ぎ倒し、死山血河を築いてきた。普通に考えればありえないはずなのに、お前にはそれが出来た。それはお前が特別な存在だからだ」
「僕が、どうして・・・・・・」

 キラは衝撃の余り焦点のあっていない目でうわ言を事を呟いている。まあ、自分が化け物として作られた、などと聞かされれば大きな衝撃を受けるだろう。だが、キースの話はこれで終わりではなかった。更に酷い話が続くのだ。

「さてと、話の掴みはこれ位で、ここからが本題だ」
「掴みって、あれでか!?」

 カガリが驚愕の声を上げるが、キースはそれにただ頷くだけで返した。

「キラ、まずお前の両親だが、あれはお前の本当の親じゃない」
「・・・・・・え?」
「お前の本当の両親はもう死んでいる。父親はユーレン・ヒビキ、母親はヴィア・ヒビキという。今のお前の母親、カリダ・ヤマトはヴィア・ヒビキの妹だ」
「な、なんで、僕の親は死んだんです?」

 その言葉に、キースは言い難そうに顔色を暗くした。

「お前は、メンデル研究所を知っているか?」
「いえ、知りませんが」

 キラはその名を聞いた事が無かった。カガリはあの資料に載っていた名前に緊張の色を見せている。そんな2人に変わってナタルが答えてくれた。

「確か、バイオハザードで放棄された研究所でしたね。L4にあるコロニーの1つの筈です」
「表向きにはね」
「裏があると?」
「そう、本当はブルーコスモスのテロで破壊されたのさ。遺伝子研究所なんて、ブルーコスモスの良い標的だからな。それに、そこでは最高のコーディネイターや、何と秘密裏に人間のクローンの研究まで行われていた。狙われるのも当然だろうな」
「馬鹿な、人間のクローンの研究は禁止されている筈です!?」

 ナタルがキースの言葉に驚きの声を上げるが、キースはそれを右手で制した。そう、クローンの研究は世界的に研究を禁止され、それを破る科学者はほとんどいないはずだ。だが、それが居たと言うのだ。

「そう、禁止されてる筈だが、ユーレン・ヒビキは自分の研究の資金援助を得る為にそれを行っていた。そして資金を得て最高のコーディネイターを研究し続け、膨大な犠牲の果てに生まれたのがキラ、お前だよ」
「その人は自分の子供まで犠牲に?」
「俺も詳しい事は知らないが、ユーレンは自分の妻から受精卵を取り出して使ったらしい。それがお前になったわけだ」

 それは、キラにとって悪夢とさえいえる話だった。出生を否定されるという事は、それまでの人生の根幹を否定される事にも繋がりかねない問題である。しかもその出生の秘密がここまで狂ったものとなれば、キラの受けた衝撃は生半可なものではあるまい。

438流離う翼たち・473:2004/05/09(日) 00:10
私はベッドシーンが出る事はないですが、戦闘などで酷い目にあうキャラはいるんですよね。こればっかりはちょっとどうにもならないんですが

>> ザフト・赤毛の虜囚
回想シーンですな。ミリアリアサイドのフレイ視点、ですか

>> 過去の傷
完全に医務室の再現ですな。ミリィは何処で銃を手に入れたんでしょう?

439過去の傷・133:2004/05/09(日) 09:15
この事件に関してラクスは非常に責任を感じていた。
「私の配慮が足りませんでした」
とラクスは言う。
もう深夜だ、食堂にフレイ、キラ、アスラン、そしてラクスがいた。
「ラクスは悪くなんかないわよ、自分を責めないの」
フレイが庇う。
「はい・・・すいません」
ラクスには二つの顔がある、一つは天然系・・・というよりプラントの歌姫の頃のラクス、もう一つはエタ−ナルの指揮官としての顔である。
今は歌姫の方だ。
「やっぱりアスランと、ミリィを会わせるのはまずかったかな」
「キラ!そんな言い方はないじゃない!」
「いや、いいんだ」
キラをフレイが叱りつけるがアスランはそれを押さえる。
「俺自身も分かってはいたんだ、俺と彼女が近くにいるのはまずいっては感じてはいたんだ。
そう、やはり少し無理はあったのかもしれない、アスランは言わばミリアリアにとっては恋人の仇である、ディアッカの頃とは違って本物だ、やはりアスランとミリアリアが一緒にいるのはいけなかったのだ。
そのミリアリアはキラと後から来たサイによって部屋に戻された、まだ感情が高ぶり体を震わせ涙を流しながらアスランにつかみかかる勢いだったが部屋に戻ると少し落ち着いたようだ。
「フレイは実際見たんだって?ア−クエンジェル内でも一度そんなことがあったって・・・僕はそのときいなかったし」
「ええ、サイと私とミリアリアと・・・捕虜がいたなんか金髪かしら?そんな髪の男」
「!」(ディアッカか・・・)
フレイは成り行きを説明した。
「そうですか、そんなことが・・・やはり近くに捕虜がいるというのは怖いですわね・・・」
「ラクス、それで彼女のことに関してはどういたしましょう、私と彼女が一緒にいるのはやはり無理があるのでは・・・」
「そうですね・・・やはり・・・」
今日は遅いこともありフレイはラクスの部屋に、キラとアスランはそれぞれ部屋に戻った。

次の日ミリアリアはラクスに呼ばれた、処罰だろうか・・・ラクスの婚約者に襲いかかったことや艦内でラクスの銃を発砲したことに対しての?
「・・・失礼します・・・」
ミリアリアはやつれていた、顔は青白かった。
「昨日はあんな事件を起こしてしまいすいませんでした・・・」
「それについては何も言いません、それより貴女に聞きたいことが」
「?」
「ディアッカさんに会いたいですか?」
「!?ディアッカ!?はい、会いたいです」
「分かりました、ならプラントに行きなさい、彼はいます」
「え・・・!?それって・・・」
「はい・・・ミリアリアさん、貴女は解雇です、艦から降りなさい・・・」

440私の想いが名無しを守るわ:2004/05/09(日) 18:10
ライトHなら〜とあるし、物語の進行上必要ならイイのでは。
自分はエロむしろ歓迎だけどw、エロパロスレになられてもなぁというのはある。
特定キャラが酷い目にあったり、というのも創作なのだから悪意はない、
または仕方ないというのも分かるが、ここはフレイ板であって、管理人さんにお借り
している場所なんだよね。2ちゃんとはまた違う。
本スレと違って、うやむやになってる感があるな。たまに避難所で話題には上るけど。
今はHPも無料で借りれるし、個人サイトを持つという手もあると思うけど。

441SEED if 〜Fllay Selection〜 ①:2004/05/09(日) 23:06
「状況が状況だから家にも帰してあげられないし、短い間だけど軍本部で面会が許可されました。」
マリュー艦長の声はサイ達にはとても優しく聞こえたと思う。
でも、私にはとても残酷だった。



オーブについて少したった日、私達はキラを除いて集められマリュー艦長から告げられた。
キラは何でもMSのOSどうのこうのとオーブの軍の方に行っているから。
キラにはもう伝えられているのか、これから伝えるのかはわからない。
だけど、サイ達と一緒よ。
「わ〜い。」
「うふふふ。」
「やったー。」
ただただ、喜ぶだけ。
マリュー艦長も微笑んでいる。
私だけが違う。
私には何もない。
あの時、パパを失って、サイを切り捨てた私には待つ人はいない。
みんなが喜んでいる中、私はこの場を離れる。
私の場所はもうどこにもない。
それがただただ悔しかった。
悲しかった。



サイ達が家族と会っている間、私は言われた仕事をしていた。
それは艦内の日常生活品の整理、家政婦みたいな仕事。
私にはみんなのようにコンピューターを扱うことができないから、こんな仕事しかなかった。
『何で軍隊なんかにいるんだろう。』
時々、そんな考えが頭に浮かんでくる。
意味のないこと、現に私は軍隊にいるのだから。



私は仕事を終え、艦内をぶらついていた。
ヘリオポリスの時にあった私の場所はどこにもない。
艦内の人たちとはほとんど話をしたことがない。
それは、当たり前のこと。
ずっと部屋に閉じこもっていたから。
だから、どこにいても声をかけられることもない。
廊下を歩いていた時に見てしまった。
なにも変哲もないただの部屋。
だが、私には感じることができない暖かい部屋だと思う場所。
サイ達のベットがある部屋。
気が滅入ってくる。
ため息を吐き、私はその場を離れた。
そこにいたら考えてしまう。
サイ達が家族に会って笑っていることを。

442SEED if 〜Fllay Selection〜 ①:2004/05/09(日) 23:07
どうしょうもなくたどり着いた場所はキラの部屋だった。
そこは私が寝起きをしている部屋。
だけど、つめたい部屋。
でも、なぜかここしかくる場所がなかった。
「おかえり。」
身体がビクッと震えた。
いるはずのないキラの声。
私は思わず振り返った。
『・・・キラ。』
コンピューターに向かって座っているキラがいた。
トリィがじゃれるようにキラの頭の上にのる。
いつもどおり。
『そんなはずない、そんなはずない。』
その思いが、口から漏れた。
「どうして・・・」
私の疑問の答えは返ってこない。
「ああ、ごめん。もう少しで終わるから。それとも先に食堂にいく?」
キラが信じられなかった。
いつもそばにいてくれたままのキラ。
「なんで行かないの?」
感情がコントロールできなくなる。
「ええ?」
キラは画面に向かいながらコンソールを操作する。
「キラも家族が来てるんでしょ?」
一瞬の沈黙の後、キラが言った。
「これ、思ったよりかかりそうでさ。早くやんないと。アークエンジェルの出向までに「うそっ。」」
私は机を叩きつけ、声を荒げた。
「なによ、同情してんの?あんたが、私に。」
目頭があつくなる。
「フ、フレイ・・・」
キラは呆然と見上げる。
当たり前のこと。
こんなにも感情が高ぶったのははじめてのことなんだから。
「私には誰も会いに来てくれないから。だから、可哀想って。」
「フ、フレイ。そんな・・・」
キラは思わず立ち上げる。
「冗談じゃないわよ。やめてよね、そんなこと。なんであたしがあんたなんかに同情されなきゃいけないのよ。
「フレイ・・・」
私は差し出してきたキラの手をはたく。
「辛いのはあんたの方でしょ。」
涙があふれてくる。
キラの同情に対する怒り。
同情される自分の立場への哀しみ。
そして、それでもキラがいてくれたことに対するほんの少しのうれしさ。
それが心の中に渦巻いて、言葉を止めることができない。
「可哀想なキラ。一人ぼっちなキラ。戦って辛くて、守れなくて辛くて、すぐ泣いて、だから。」
私はキラの胸を叩く。
「なのに、なのに何で私が同情されなきゃなんないのよ。」
涙が止まらない。
無力で、すがり泣くしかできない。
「もうやめてよ。・・・違うんだ、同情なんかじゃない。」
「うそよ。うそよ、うそよ、うそよ。」
キラは苦しそうな表情を浮かべる。
そして、私の背中に腕を回して抱きしめた。
「同情なんかじゃない。僕は君の事が好きなんだ。ヘリオポリスにいた時からずっと・・・。君の華やかな笑顔を見るだけで心が熱くなった。」
キラはギュッと腕に力を込めてくる。
「だから、君が傍にいてくれたことはたとえ同情でもうれしかった。」
私は呆然とキラを見上げた。
「だから、守りたかった。でも、僕は君を傷つけてしまった・・・」
キラが私を守ってくるていることは知っている。
そう、私が仕向けたから。
でも、キラの気持ちは知らない。
『キラは私のことがずっと好き・・・』
ぼっと顔が赤くなってくる。
何も考えられない。
「ごめんなさい。」
私はキラを押して、その場から逃げた。
「フレイ。」
キラの声を無視して走る。
キラの胸の中にいてはいけない。
その思いが私の中にあった。

443SEED if 〜Fllay Selection〜 作者:2004/05/09(日) 23:12
皆々様、はじめましてです。
このたび、フレイスキーとしての初めてのSSを書きました。
多々未熟なところがあると思いますので。
存分に指摘してください。
皆様のすばらしい作品はこれからじっくりと読ませていただきます。
後ほど、感想を書きます。
それでは失礼します。。

444流離う翼たち・474:2004/05/10(月) 00:22
 キースは更に話を続けようとしたが、ナタルに止められてしまった。

「大尉、一度休みましょう。既にヤマト少尉は限界です」
「そう、だな。落ち着くための時間を入れるか」

 キースは立ち上がると、ナタルとカガリを連れて部屋の外に出る。カガリが最後にもう一度室内を振り返ると、残されたキラの背中は、まるでこれまでと別人のように小さく、頼りなげに見えた。これがあのキラかとカガリが疑ってしまうほど、その姿は悲しかった。
 リビングを出た3人は、別室に移ると深刻そうな顔を見合わせた。キースは予想通りの結果に、ナタルは衝撃的なキラの過去に、そしてカガリは自分と繋がりがあるらしい数々の単語から導かれる答えにそれぞれ苦々しさを感じ、あるいはショックを隠せない。

「まあ、予想通りではあった」
「当り前ですよ。自分の両親が実は養父母で、本当の両親はテロで死んでいる。しかも実の親に実験動物にされていたなどと言われれば、私だって暫くは立ち直れないでしょう」
「まあそうなんだがな、かくいう俺だって、真実を知った時は流石に世の中が嫌になったもんだ」

 辛いのはキラだけじゃない、という事だ。確かにキラの生い立ちは不幸という言葉だけではすまないほどに悲惨でふざけた物だが、それに対抗するいう目的だけで体を弄繰り回されたキースも負けず劣らず不幸だと言えるだろう。まあ、性格の関係上、キースは余り深刻ではなかったりするが。

「まあ、あっちはもう少し置いておこうか」
「そうですね。それでは、紅茶でも淹れましょう」
「ああ、頼むよ」

 キースはやれやれと椅子に腰掛け、そしてカガリを見た。何故かさっきからカガリがじっとこちらを睨んでいるからだ。

「どうした、カガリ?」
「キース、私は、お前にどうしても聞きたい事が、確かめたい事があるんだ」
「確かめたい事?」

 不思議そうに聞き返すキースに、カガリはポケットから取り出したパスケースのような物から1枚の写真を取り出し、キースに渡した。それを受け取ったキースは写真を見やり、そして顔を驚愕に引き攣らせてしまう。

「・・・・・・どうして、お前がこれを?」
「やっぱり、あんたは知ってるんだな、この写真がなんなのか。私が何者なのかを」

 カガリは、これまでに無い程にきつい視線でキースを睨んでいる。それは、まるで敵を見るかのような眼差しであったが、同時に危うさ、儚さも含んでいる。それは昔の、自分の居場所を見失ったフレイにどこか似ていた。

445流離う翼たち・作者:2004/05/10(月) 00:29
>>440
こっちに載せるのは止めて、個人ページのみにした方が良いですかね

>> 過去の傷
ミ、ミリィが解雇・・・・・・いや、御時世で解雇という言葉はちと怖い
ミリィ、ディアッカに会いにいけるのかな

>> SEED if 〜Fllay Selection
初めまして。オーブでの一幕ですな
キラが本編よりも多く語ってるというシーンですか。続きを期待します

446ザフト・赤毛の虜囚 61:2004/05/10(月) 09:25
10.親友 5/8
[ジェシカとミーシャ side-M]

私の前に座っている二人、ジェシカとミーシャ、二人とも私の親友。

「メルデル、アンタ、ホントに彼氏いないの?」
「ええ、ジェシカ、何か変かな?」

「変って、アンタいくつよ。居て当たり前じゃない」
「でも、女子校だし」

「男子校とのコンパなんて、いくつもあるわよ。なんだったら紹介する?」
「ミーシャありがとう。でも、私、なんか違う気がして」

「何考えてるのよ、メルデル」ジェシカが顔を寄せる。

「なんかね、いつも思うのよ。誰か、私を待ってる人がいるような気がするの。
 もうすぐ会えるんじゃないかって」私は二人に思い切って、自分の想いを話す。

「メルデル、アンタ、まだ白馬の王子様待ってるの」
「いい加減、そんな少女趣味捨てなさいよ」

ジェシカもミーシャも呆れたように声を上げる。

「いいじゃないのよ。私の勝手なんだから」

私は、二人の呆れ顔に、言わなきゃ良かったと後悔する。

ここは、学校からの帰り道にある喫茶店。私は、パパの仕事のパーティで早く帰ろうとしていたところを、
ジェシカとミーシャに引き止められた。そして、いつの間にか、恋愛談義に花を咲かせている。

「今は、そんなの流行らないわ。いい男がいたら、こっちからモノにしないと」
「男なんて掃いて捨てるほどいるし、どんどん付き合わないと」

「そうそう、私の彼氏だってね。こっちから押さないと手も握れないような情けない男で……」
「ちょっと、ツボを擽るファッションで迫れば、男なんて向こうから寄って来るわ。よりどりみどり」

「ところが、ちょっと許した途端、その気になってもう…… 男なんて所詮こんなもんよ」
「一人の男なんて、堅苦しく考えないほうがいいよ。失望するのがオチ。もっと楽しまなきゃ」

「もう、いい加減にしてよ。二人とも!」
私は癇癪を起こして、私は置いてあるパフェをひっくり返さんばかりにテーブルを叩きつける。

ジェシカもミーシャも、勝手なことばかり言ってる。自分がどうだからって、人のことまで、
構うことないじゃない。さすがに、白馬の王子様は恥ずかしいけど、私には理想があるんだもの。

そりゃいいわよ、二人とも男の子と付き合い上手だし。ジェシカなんて、何度、彼氏の話を聞かされたか。
もう微に入り細に入り、私、顔を真っ赤にして、まともに聞けなかった。ミーシャは、そこまで
いかないけど、結構もてるって。男友達一杯いて、意外とみんな仲良くしているらしい。

ジェシカとミーシャ、二人との付き合いは長いけど、私はなんとなく距離を感じる。
男性感が違うのがあるんだけど、どうも二人のノリには付いて行けない。基本的に自分が面白がれば、
みんな喜ぶと思っているのよね。要するに自分勝手。私だって、まあ、そんなところあるけど。
人が困ってるの察して話を聞くとかいう訳でも無い。別に、ジェシカとミーシャが嫌いだって訳じゃないけど、
これで親友って言えるのかな。

「今日は、もう帰るわ。パパのパーティだし、フラガ叔父様も来るし」
「フラガ叔父様って、どんなの? カッコイイ人?」
「年上の叔父さんっていうのもツボよ。メルデル、ちょっとコナかけてみれば?」

私は、怒って叫ぶ。
「フラガ叔父様は、20歳以上離れてるのよ。そんな訳無いでしょ!」

私は、パフェを掻き込むと、レシートを持って席を立った。ちなみに、今日の払いは、
最初のジャンケンに負けた結果で私持ち。こんなこと言われると知ってりゃ、
素直に払うなんて言わなかったのに。

447ザフト・赤毛の虜囚 作者:2004/05/10(月) 09:27
私も個人サイトはありますが、数年間更新していませんし。著作権の関係から、創作系の模型を
謳っているので、SSは載せられません。人にすれば新規開設など、簡単にできると言われるかも
しれませんけど。とにかく、当初目的としていた一区切りまでは、ここでやらせていただきたいと思います。
そのために、投下方法の変更もあるかもしれません。

>>過去の傷
ううむ、この展開、私も失念してました。勘違いな感想付けてて済みません。
いろいろありましたが、ミリィは、これでディアッカと会えるようですね。良かったです。
話からは抜けることになりそうなのが残念ではありますけど。

ミリィがアスランと向き合う展開は、私のSSでも大きなテーマとして予定していました。
さて、そこまでできるでしょうか。

>>SEED if 〜Fllay Selection〜
オーブの、このシーン。私も、これをメインにして40数話のSSを書きました。
結果的に行動は変わらなくても、フレイ様は、キラのこんな言葉が欲しかったのかもしれませんね。
後、タイトルだけ見ると、今度出るゲームに関連した話かと思うのですが、違うのですよね。

>>流離う翼たち
螺旋の回廊始まりましたね。この時点のキラは、オーブ面会で両親を避ける気持ちになって
いないでしょうから、まさに寝耳に水の展開でショックだと思います。キースが大丈夫なのは、
性格以上に、それを乗り越える時間があったからでしょうね。単純に比較してはダメですよ。
とにかく、次はカガリですね。TV本編ではスルーされたので期待しています。
でも、フレイ様も、一緒に聞いて欲しかったですね。受け入れるために、まだ、大きな試練が必要だとしても。

個人サイトありますね。知りませんでした。章ごとにまとめられているので、話を追い易くはあります。
だけど、ほとんど、毎日のように更新され、リアルタイムで感想のやりとりがある、このスレは
楽しくもありますので、できれば、もう少し、こちらでも続けて欲しいと思っています。

448440:2004/05/10(月) 09:47
なんだか「投下やめろ」というふうに聞こえてしまったのなら申し訳ない。
自分も楽しみにしている作品もありますし、そういうつもりではないです。
ただ過度の性描写や、特定キャラが酷い目にあう、という場合、
カットするかしないで迷ったらそこは個人サイトに載せるというテもあるかなと。

ただたまに、こういう議論もすべきだとは思います。無法地帯にならんように。
では。

>>IF
面白そうですね。楽しみだー。

449私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 13:49
でも、過去の傷、はミリイをどうしたいのかわからん。
一人だけあんなポジションにおいてミリイを嫌いじゃないといわれても
信じられないというか。
実際どういうつもりで書いているのか知らないけど
フレイ板住人っってこんなやつばかり、て感じでコピぺられるのもいやなんだよな。
中の事は職人しかわからないんだから、最後まで読ませてもらってどういうつもりだったのか
見届けさせてもらおうと思う。
実際フレイ様マンセーは嬉しいけど、他のキャラを普通に好きな人間にとっては
ここで落とさなくても良いんじゃないの?とまで思えてくる。
そういうとここフレイ板だから、とかいう奴が出てくると思うが。
マンセー意見だけが欲しくて落としているわけでもないんでしょ?

450私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 14:41
ミリスレによく貼られてるのを見て、両スレの仲が悪くなるものはな、
と思う時もある。
貼るやつが悪いのは当たり前なんだけど。

451私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 16:47
その作品はミリィもフレイも酷い目にあってるけどね。
どっちかっていうとキラマンセーなのかなとすら思うよ。

452過去の傷・134:2004/05/10(月) 17:33
「いやあ!なんで私だけ!私残りたい!」
その数時間後のことだ。
ミリアリアは解雇という現実を付きつけられショックを受けていた、そしてアスランに連れられている、艦の外に出たとしても宇宙だ、乱暴だが脱出ポットに乗せることにした、ラクスにオ−ブに戻るかプラントに行きディアッカを探すか決めさせられ迷った結果プラントに行くことに渋々決めたのだが実際なってみると嫌になり駄々をこめているのだ。
「嫌です!なんで解雇なんて・・・クビなんて嫌です!」
「いいかげんにしろ!」
アスランに怒鳴られミリアリアは黙り込む。
「君はラクスによって解雇されたんだ、それだけのことをしたんだ君は!現実を見ろ!ラクスの命令なんだ、君はそれに従わなければならない!」
「そんな・・・」
「どうしてもというなら・・・ラクスさんに僕から取り下げるように頼み込んでもいいけど・・・」
キラが言うが。
「意思の固い彼女が許すと思うか?そもそも俺達が口出すことじゃないだろ」
アスランが否定した。
そうだ、ラクス・クラインという女性は一度決めたことはまげない、そもそも彼女は指揮官だ、部下のキラ達が口を挿むことはできない、それは婚約者のアスランも同様だ、それにいくらキラやアスランが頼み込んでもラクスは否定するだろう、それ以前に指揮官の命令だ、背くなど問題外である、例を上げればラウ・ル・クル−ゼにアスランが任務を受けそれを断ると同じである。
「キラ・・・サイ・・・」
悲しそうにキラと遠くから見ているサイに助けを求めるように見つめる、しかし彼らにはどうすることも出来ないのだ。
フレイもキラに寄り添い複雑そうな表情で見ている。
「それになんの不満がある?軍から抜けられるんだぞ、それともまさかア−クエンジェルに転属したいなどと言うつもりか?」
ミリアリアは諦めたのか小さく呟いた。
「・・・分かりました・・・艦から降ります」
「当然だ、君に選択の余地はない、では行くぞ・・・付いて来い、こっちだ」
「ミリィ・・・」
キラは悲しそうな表情で見ている。
ミリアリアはキラ達に頭を下げた。
「皆・・・さようなら・・・元気でね・・・フレイもサイも・・・」
「ミリアリア・・・」
フレイは悲しそうに呟く。
「それから・・・キラ」
「ミリィ・・・?」
「ごめんね・・・」
そう言うとアスランを追った。

一時間後。
ミリアリアの乗った脱出ポットが発射された。

453私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 19:45
これって本編のフレイ様にされて悔しかった扱いを全てミリイに押し付けてるかんじ。
フレイ様だけ凄くいい感じに扱われていて最高に気分はいいんだが。

454私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 19:56
>>453
う〜ん、フレイ様前半は酷いこといっぱいしているし、凄くいい扱い
って訳じゃないと思うけどね。とにかく最後まで読んでみないと作者さんの
意図もわからないしさ、しばらくは見守る方向で。

455私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 21:25
まあまあ皆、過去の傷の職人さんだって頑張ってるんだろうから・・・。
そう言わなくても・・・。
序盤は・・・だけどなんだかんだいってこのところはフレイ様いい感じに扱われてるし俺は応援するけどね。

456私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 21:31
このスレ、こんなに読んでる人がいたのか。
普段は死んだようなスレだし、みんな無視してると思ってたけど。

457私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 21:34
何を書くかは作者の自由、何を読むかは読者の自由のはず
でも無造作なコピペができるからネットは厄介なんだろうな

スレ間の諍いや軋轢までは知ったことじゃないが、比較的ノンポリな俺でも
創作中での扱いをそのままキャラヘイトに利用するのはどうかとは思う

458私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 21:42
あんまり言うとさ、作者さんがショック受けて投下やめる可能性もあるから少しくらいは褒めてもいいんじゃないかな。

459私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 21:42
ミリィの性格変わってるし。
カガフレもどうかと思った。

460私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 21:45
とりあえず、SSもしくは感想以外の書き込みは
本スレか避難所でやろう。以下何事もなかったかのようにどうぞ。

461私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 21:46
本気で対処したければ、「二次創作一切禁止、スレ閉鎖」これしかない。
要するに、余所にコピペするような厨に対処する方法は無いってことだ。
どうせ何がどうなっても厨は馬鹿なことをするのだし。
何も言わずに放置するのが一番です。

462『明日』と『終わり』の間に・作者:2004/05/10(月) 21:57
 この前は場の空気を読まない書きこみ、申し訳ありませんでした。ですがこの機会に皆さんにお知らせさせていただきます。
 かつて早まって連載休止を宣言してしまった時その理由に『自信を無くした』とお知らせしましたが、実はあの時自分のSSがこのスレに相応しいものではなく、単なる自己満足ではないかと思ったからです。
 皆さんもご承知の通り、自分のSSは既に『SEED』本編とかけ離れたものになっており、フレイ様SSとは名ばかりのものになりつつあります。そういう意味ではこの先の展開もまた皆さんのご期待に添えられるものでは無いのかもしれません。
 今話題に登っている個人サイトに掲載するという手も考えましたが、根気も無い自分にサイトの経営が務まるかどうかという不安もあります。このまま続けるかどうか、正直悩んでいます。
 そこでお手数ですが、もし宜しければ皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

》過去の傷
 解雇、ですか・・・。何だかそこまでしなくてもとも思いますが、あれだけやってしまうと仕方が無いんでしょうか?ミリィがディアッカに会えることを願います。 
 そしてこうなると次回から新展開でしょうか?期待させて頂きます。

》赤毛の虜囚
 なんと、メルデルさんの場合ですか。これは以外でした。彼女もこの頃はフレイ様と同じく恋愛に初々しいですね。
 しかし、真実を知らないというのは時として恐ろしくもあります。

》SEED if
 新作ですね。とても面白かったです。このようにキラも、あの時もう少しフレイ様のことを気にかけてあげれば良かったと思いました。
 これからも応援させて頂きます。

》流離う翼たち
 この場面はキラだけでもなくカガリにとっても辛いところでありますね。二人はこの試練を乗り越えることが出来るのでしょうか?
 作者様のサイト、自分も拝見させて頂きました。ですが自分もこのスレで『流離う翼たち』を楽しく拝見させて頂いているので、出来ればこれからもこちらで続けて頂きたいと思っています。

463散った花、実る果実47:2004/05/10(月) 22:01
嘘でしょう・・・・・?
「ミリアリア!ミリアリア、しっかりしてよ!!」
必死で呼びかけた声に彼女はうっすらと目を開いた。
「・・・まったく・・・その呼び方で呼ぶなって、言ってるでしょう・・・」
語調は弱いものの、いつもの調子でやり返してくる彼女に少しだけ安心したら、涙が出てきた。
「ごめん・・・・リスティア・・・・・」
「大体、それ、ナチュラルの友達の名前なんでしょう・・・同じ様に呼ばれるなんて嫌よ・・・・」
「うん、ごめん、ごめん、リスティア・・・・・・」
一度流れ始めたら涙は止まらない。
「泣かないで・・・あんた馬鹿だから、また間違えるといけないから、私のこと、リアって呼んで。傷が痛くて、怒ったりするの、気合いるのよ・・?」
「うん、ごめん、ごめんね、リア・・・・・」
もう、それしか言葉が出てこなかった。
腰から下が、真っ赤な血に染まっている。
それに、脚の形が・・・・・・・・・・・
顔色も、元々透き通るような肌だったのが、今は青ざめてまるで蝋細工のようだ。
「リア・・・・・」

「そこどいて!病室に運びます!」
ばたばたと騒々しく医師たちが駆け込み、リアを運んでいった。
私もそれに付いて行ったけれど、病室の中に入れるはずもなく、ただ待つしかなかった。
「おまえらがやったんだ」
後ろから憎憎しげなつぶやきが洩れる。
振り向くと2,3人の男達が私を睨みつけている。
「ミリアリアにあんなひどい怪我させたのは、ナチュラルどもじゃないか。なのになんでおまえがそんな所にいるんだよ。」
「そんな・・・」
私、そんなつもりじゃなかった。ただリアが心配で・・・・・
私はリアを傷つけたいなんて思ったことないのに・・・・
「見たところ、相当ひどい怪我だった。あれじゃ、完全に元に戻るかどうかあやしいよ。おまえ等ナチュラルが、俺達の将来を奪っていくんだ」
「そんなつもり・・・!!」
私は叫んでいた。
「私はリアを傷つけるつもりなんかない、リアが怪我して悲しいのは、心配なのは私も一緒よ!」
「どうだかな!」
叩き付けるような叫びと共に鋭い視線がつきささる。
「所詮おまえはナチュラルだろう。俺達コーディネイターとは違うんだ。親切面して誤魔化そうったってそうはいくかよ!」
「だから私は・・・・」
「おまえがナチュラルだって事は事実なんだ。目障りなんだよ!俺達が誰と戦争してると思ってるんだ?」
ナチュラルってだけで、私の言葉はもう聞いてもらえないの?どんなに私がリアを思っても、それとは関係ないところでしか見てもらえないの?
その瞬間、私は気づいた。
私、アークエンジェルにいたとき、この人たちと同じ事してた。
キラに、ラクスに、コーディネイターだからって、だから利用していいんだって。

464散った花、実る果実48:2004/05/10(月) 22:02
結局私はその場から追い出されてしまって、リアが意識を取り戻すまで会わせてもらえなかった。
私が認められた、というより・・・リアの言葉があって、私がリアの面会に行くことが許可されたようだった。

「遅いわよ」
部屋に入るなり、リアはそう言った。
「ごめんなさい、もっと早く来たかったんだけど、その・・・」
言葉につまっていると、リアは怒っている振りをやめ、軽く微笑んで、
「嘘よ。聞いているわ。・・・ごめんなさいね。彼等も悪気はないのよ。」
「いいの・・・無理もないから。」
「何よ、今日は随分殊勝じゃないの。どうしたのよ。」
なんでリアはこんなに優しいんだろう。何故こんなに何もかも許して見えるの?
「リアこそ・・今日は随分やさしいじゃないの。どうしたのよ。」
リアは微笑を崩さなかった。
「あのね、私の脚・・・・治らないかもしれないんだって。」
治らないって・・・・・
「あ、もちろん、歩けなくなるってわけじゃないのよ。コーディネイターは医療もナチュラルより進んでるんだから。でも・・・・でも、歩き方に癖が残ったり、傷が残ったりは・・・するかも知れないって・・・・・」
微笑を崩さないまま、リアはぽろぽろ泣いていた。
「リア・・・・・・」
そっと抱きしめて頭をなでてあげると、彼女はしゃくりあげて泣き始めた。
「・・・・っく・・・・せっかく、コーディネイターに、生まれたのにね・・・・・ひっ・・・・きれいにな娘に・・・生まれますようにって・・・お母さんが・・・・ぅっく・・・せっかく・・・・・・」
私は彼女のやわらかい、触り心地のいい髪の毛をいつまでもなでていた。
「そう・・・そうね、両親からの何よりの贈り物だったんだものね・・・・・・リア・・・・可哀想に・・・・・・」
「フレイ・・・・どうしよう、私・・・・!どうしよう・・・・・」
今までなんでも完璧にこなしてきたリアは、きっとこんな挫折を知らなかったんだろう。
「リア。まず、怪我を治そう。ご飯食べて、よく眠って、まず怪我を治そう。コーディネイターの医療はすごいんでしょ。きっといいお医者様がいるよ。ほら、ここ、軍艦だから、きっと整形の方はそんなにお医者様そろってないのよ。怪我を治していいお医者様探しに行こう?ね?」
「でも、でも、フレイ・・・・・」
「大丈夫だから。ね?大丈夫よ・・・・・」
そんな言葉しか出なかったけど、その言葉と、人の暖かさが与える安心感を、私はとてもよく知っていたから、リアを抱きしめて繰り返した。
「大丈夫、大丈夫よ・・・・・」


私は、クルーゼ隊長の帰りを、ただ待った。
リアの負傷によって神経をささくれ立たせている艦内で、ちゃんと話をしてくれるのは彼だけだと思えたから。
「クルーゼ隊長!」
少し疲れた感じではあったが彼は私に向き直った。
「どうしたね、フレイ。」
「リアが・・・リスティアが・・・・!」
知らず瞳からは涙があふれてくる。
「ああ・・・・ミリアリアの件か・・・・・彼女も優秀な軍人だったのだが・・・・・・」
「リアは・・・・ミリアリア、どうなるんですか・・・?ひどい怪我だった・・・・・・ちゃんと治るの・・・・?」
不安が昂じて次々問いかける私に、落ち着けるように彼は肩に手を置いた。
「彼女は・・・・・完全にはよくはならないようだ・・・・報告によると、リハビリをすれば歩行には問題は残らないが・・・・今までと同じ運動能力は保証できないし・・・・傷が残る可能性も、否定できないと・・・・・・」
「そんな・・・・!なんとかならないんですか?ねえ・・・・・!」
焦れたように問い掛ける私を、彼は抱きしめた。
彼の胸に包まれて、視界が塞がる。白い軍服も涙でにじんでよく見えない。
「落ち着きなさい・・・・フレイ。」
そう言って頭をなでてくれる・・・そしてパパの声・・・・・・
「何も見なくていい。目を閉じて、ゆっくり息を吸ってごらん。大丈夫だから・・・・・」
深呼吸するように息を吸うと、鼻腔にパパと同じコロンの香り。
・・・大丈夫?本当に・・・・・・?パパ・・・・・
「リアが・・・・リアが・・・・・本当に、大丈夫・・・・?」
少し落ち着いてきた私を彼も感じ取ったようで、優しく髪を撫でる手の動きも少しゆっくりになった。
「大丈夫だ・・・・・・私にまかせなさい・・・フレイは、私の言うことを聞いていればいいんだよ・・・・・・」
パパの香りと声に包まれて、私の意識は深い闇に落ちていった・・・・・・・

465私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 22:14
創作の合間に失礼します。

>>462
基本的に創作は自己満足ありきです。
他人がどう思うかよりもまず、自分が満足できるもの、自分が納得できるものでなければ書きたくないでしょう?
二次創作は何かの作品の設定を借りるから"二次"創作なんです。Ifの程度で気に病んでいても仕方ありません。
誰がどう受け取るかなんて事を不安に考えてたら筆は進まないですよ。
やりたいようにできる自由と、やりたいようにされるリスクを持っているのがインターネットです。
作品に愛着があるのなら、作品を載せているサイトの運営だってできるはず。

冷たい言い方かもしれませんが、自分に自信が無ければ今すぐ止めた方がよいです。
誰かに背を押してほしい気持ちもわかりますが、まずは自分の本音を考え直しましょう。

それでも続けたいと思うのなら、どうぞ頑張ってください。影ながら応援します。

466私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 22:22
皆さん見守ってあげましょうよ、普通に感想書いてあげませんか?でないとすぐいろんなこと言われると作者さんも投下しにくいじゃないですか。
作者さんだって皆さんに楽しく読んでもらいたいでしょうし、苦労して投下してるでしょうから。

467散った花、実る果実/作者:2004/05/10(月) 22:42
話を作る時になるべく人に不快感を与えないように気をつけてはいるのですが、とりあえず酷い目にあっているキャラは今日一名・・・・話の進行上避けがたい進行だったため、修正せずに投下させていただきました。
個人サイトで書いてもいいのですが、できればたくさんのフレイが好きな人たちのいるここで書いていきたいと思います。
力不足で読んでいてはがゆい面もあるかもしれませんが、少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
一読者としては、楽しみにしている話がたくさんあるので、連載中のSSが中断されてしまうのは悲しいです・・・・お互い頑張りましょう。

>>流離う
おお、ちゃんとキャラとテーマが考えられているのですね。
アルフレットは父ですか。フレイ様にとってやっぱり父というのは大きな存在だったと思うので、どんな係わり合い方になっていくのか楽しみです。

>>赤毛の虜囚
ミリィSSとのリンク、ずれがあるからこそ面白い、というのは私もそう思います。
とても人間らしいやりとりですよね。でも確かに、フレイ様と「親友」と言うのは本編では描写はありませんでした。
これからのテーマは親友のようなので、フレイ様にどんな親友ができるのか、楽しみに待っていますね。

>>SEED if 〜Fllay Selection〜
初投稿ですね。期待しています。
本編ではもうすぐキラとの別れが待っているシーンなので、キラとフレイのやりとりがこれからどんな風になっていくのかドキドキしてます。
ifだから本編とは違う舞台設定で関わりあうのでしょうか。それとも・・・・

>>過去の傷
ミリィの最後の言葉「ごめんね・・・・」が胸に響きます。
できればミリィも幸せをつかんで欲しいですね。

468私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 22:47
>466
色んな意見があっていいと思うけどな。

469私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 22:48
>>466
少し強い言い方かも知れませんが
多人数に見てもらう=ほめてもらう
を期待しているんですが職人さんは?
確かに楽しんでもらおうという気持ちはあるのかもしれませんが、
ベースは「自分の作品を見てもらいたい」だと思います。
その結果、さまざまな反響があるのはある程度覚悟の上での投下だと思います。
ここはフレイ板だし、自分の中にあるフレイ像を通して表現したいという人がSSを書いて投下するのでしょうが、
同じキャラを好きだから、という条件に甘えてほめ事場だけを求めるのであれば
>>465
の言うとおり、自分でサイトを作ってそこでご自分のSSを大好きな人のみに読んでもらうほうがいいのでは?
>>466
の言う普通の感想がただ面白かったです〜
でいいのであればそれが正しいのでしょう。
私もSSじゃなく投下して、いい感想だけもらえない事も経験していますが
少々風当たりがきつくても、キャラへの愛(ここがポイント)あれば
次はもっと良いものを、とかもっとニーズにあったものを、とか奮起すると思うんですが・・・

470散った花、実る果実/作者:2004/05/10(月) 23:23
>>469
「誉め言葉だけを求める」という事と 「同じキャラを好きだから」という事とは同一視される事柄ではないと思いますが・・・
もし私の書き込みを読んでそのように誤解されてしまったのだとすればすみません。
個人的には、批判も含めて感想を書いていただければそれが一番嬉しいです。

471私の想いが名無しを守るわ:2004/05/11(火) 00:40
>>460
ここでやるべき。以前避難所や本スレで取沙汰されたこともあったが、
「SSスレのことはSSスレで〜」で片付けられた、ということで。

472流離う翼たち・475:2004/05/11(火) 00:44
「何処で、それを手に入れた。ウズミ氏はお前にその事を話しているのか?」
「・・・・・・いや、この写真は、あんたの家から、無断で持ち出したものだよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 それを聞いたキースは目を見開いたが、別に怒鳴りつけたりはしなかった。むしろ怒鳴られるのを覚悟して身を竦めたカガリにしてみれば拍子抜けであり、恐る恐るキースの顔色を伺っている。

「お、怒らないのか?」
「連れて行った俺のミスだ。お前を怒鳴りつけても仕方ないだろう。それに、どうせいつかはばれる事だ」

 しかし、それでもどうしてこんな時にとは思ってしまう。本当はキラが落ち着いてからカガリたちに話そうと思っていたのだが、まさか当のカガリが自分の知らない内に自分の手元から情報を掠め取っていたとは。

「まあ、誤魔化してもしょうがないな」
「じゃあ?」
「ああ、お前もそれを見たなら想像が付いてるだろうが、キラとお前は双子だよ」

 キースの言葉を聞いて、カガリはようやく胸の痞えが取れたような気分になった。何となくこの答えは予想できていたので、思っていたほどの衝撃は無かったのだ。ただ、それが事実ならばどうしても確かめなくてはいけない事がある。

「なあ、どうして私はナチュラルなんだ?」
「そこまでは流石に俺も知らん。双子だったから片方だけ使ったとかだろう」
「じゃあ、あんたは何処まで知ってるんだ。どうして私はアスハ家いるんだ。キラとはどうして離れ離れになったんだよ!?」

 興奮して自制が効かなくなってきたのか、カガリはキラの胸倉を掴みあげてキースの喉を締め上げている。勿論カガリの力ではキースを絞め落とす事などはできないのだが、キースは苦しそうに顔を顰めて右手でカガリを腕を掴んだ。

「ま、待て、落ち着けカガリ!」
「これが落ちついてられるか。私はカガリ・ユラ・アスハじゃなく、カガリ・ヒビキなんだ。それじゃあ、これまでの私は何だったんだよ!?」
「わ、分かった、話す、その辺りも全部話すから手を放せって!」

 キースの降参を聞いてカガリはようやく手を放した。だが、開放されたキースがやれやれと首周りを緩めて一息つこうとした時、何故か視線の先には吃驚しているナタルの顔があった。

「バ、バジルール大尉」
「カガリ・ユラ・・・・・・アスハ?」

 ナタルがカガリの名を呟く。それを聞いたキースは頭が痛そうに右手で顔を押さえ、カガリはまともに顔色を蒼くしている。これまで秘密にしてきたのに、自分のミスで正体がばれてしまったのでは流石に冗談にも出来ない。
 ナタルは驚愕から立ち直ったのか、厳しい目でキースとカガリを睨み付けた。

「どういう事です、アスハとはまさか!?」
「ああ、まあ落ち着いて大尉、そっちも纏めて話すから」

 もうヤケクソ気味にナタルを宥めるキース。カガリが何だか嫌そうな顔をしたが、流石に文句を言う事は無かった。何しろあのナタルが逆らったら噛み付かれそうなほどに険悪な表情をしているのだから。

473流離う翼たち・作者:2004/05/11(火) 01:05
>>471
そうだったんですか。内容が避難所向きだと思ったので、あっちに意見を書いてしまいました

>>465
二次創作への考えは同意しますが、個人サイトの運営は真面目にやると結構疲れますよ。ウィルスメールも増えますし。まあ、昔に較べれば作るのも楽になりましたけど


>> ザフト・赤毛の虜囚
はて、前にフレイ様がやったやり取りのメルデルバージョン?
これは一体どういうことでしょう。ちょっと今回は分からないので次回以降の結果を待たせて頂きます

>> 過去の傷
ミリィが退艦ですか。戦争終わったのだから軍を抜けるのは志願兵の常ですけどね
アスランは珍しく軍人口調ですね

>> 散った花、実る果実
リスティア、後遺症が残る怪我を負いましたか。生き残っただけマシとはいえ、辛いですね
フレイ様はなにやらクルーゼに頼ってますな。先行きが不安です・・・・・・

474ザフト・赤毛の虜囚 62:2004/05/11(火) 03:24
10.親友 6/8
[お願い、ジェシカ、ミーシャ話を聞いて!]

フラガ叔父様は、私と20歳以上離れている。もう数年で40に手が届く。私が叔父様と、
どうにかなる訳が無いと思っていた。

だけど、パパ、ママの死とともに、私はフラガ叔父様に囚われた。私を閉じ込めて、そして……
いや、もうフラガと呼ぶ。なんて酷い男。フラガ、許さない。許さない!!

助けて、誰か私を助けて。だけど、誰も助けに来ない。ジェシカとミーシャ、私を助けに来て。
フラガのところへ来て。私に会いに来て。会いに来てくれるだけでもいい。でないと、
私、壊れてしまう。毎日辛いの、辛くて堪らないの。でも、逃げることもできないの。
お願い、ジェシカ、ミーシャ話を聞いて!

私が、フラガに婚約させられて学校を退学する時、少しだけ、学校に来たことがあった。
その時、学校の理事長室をフラガより先に出た私は、ジェシカとミーシャと偶然再会した。

「メルデル、あなた……」
「ジェシカ…… ミーシャも。会いたかった」

「会いたかった?」
「うん、話したくてたまらなかった。一度も来てくれないんだもの」

「当たり前でしょ」
「え、ジェシカ、どうしたの」

「どうしたのは無いでしょ。あんなこと言ってて、叔父さんと婚約したって本気?」
「ミーシャ、それは違う」

「本気でも無いなら、よけい不潔だわ」
「そうそう、アンタ、叔父さんの何を狙ってるの? 財産?」
「違う、違う……」

「だったら、さっさと断って逃げりゃいいじゃない」
「そうそう」

私は、勝手なことを言う二人に怒りが込み上げる。
「逃げられるものならそうしてる。ダメなの。逃げることもできないの。どうすることもできないの!」

その時、フラガが理事長室から出てきた。

「メルデル、友達か。行くぞ、早く来い」
「ハイ、フラガ……叔父様…… あの、もう少し友達と……」

「メルデル、どう呼べばいいか教えたはずだ。呼ばないのなら今夜は、お仕置きだ」
「ハイ、済みません。ア、アル…… すぐに行きます。先に行っておいてください」

「うむ、さっさとしろ」

フラガは先に行った。ジェシカとミーシャは、そんな私を見て、避けるような目付きで言った。

「アンタって奴隷?」
「気持ち悪い…… 近寄らないで」

「ジェシカ、ミーシャ!」
二人は、私から去って行った。私は、友達を失った。フラガのせいで……
もう二度と友達なんてできない。私は一人フラガに囚われて……

ただひとつ私の救いとなる人。囚われている時、ときどき、私と体の感覚が入れ代わる人。
不思議な体験。名も知らぬ男性。白馬の王子様。

ああ、私の心を救ってくれるのは、あなたへの微かな想いしか無いの?

475ザフト・赤毛の虜囚 作者:2004/05/11(火) 03:38
ここに投下していて、いろいろな感想のリアクションが楽しいというのはあります。
特に普通の感想でも、こちらの意図が伝わっていなくて反省させられたこと多いです。
自分も勘違い感想は結構ありますし、それで荒らしたこともあって反省してます。
それはSSにも、投下のナンバリングにも反映してはいます。

キャラへの愛というか、このキャラに、こうさせたい。報われるようにしたい、というのは
大いにあります。そして、SS連載復活してから、まだ、それは完全に達成していません。
そこまでは続けるつもりで日々努力しています。

>>過去の傷
とりあえず、プラントに行けることになったミリィですが、脱出ポッドは、ちょっと……
でも、連絡艇にしても、SEEDでは前科がありありですからね。一番、安心なのは
キラがフリーダムに一緒に乗せて送ることでしょうが、フレイ様が許す訳ないか。

>>散った花、実る果実
ミリアリア・リスティアの中でフレイ様の存在は大きくなっていたようですね。フレイ様を
呼びかける言葉に心の繋がりを感じました。再び、辛く当たって来る周りにクルーゼを頼るフレイ様。
このSSでは、パパの声が前面に押し出されていますね。私は、この声を説明するために、
クローン・フレイの設定を創ったのですが、結局、うまく使えずにいるので羨ましいです。
ただ、私だと変な方向に話が進みそうなので、このまま使うことはないでしょう。

>>流離う翼たち
結構、マイペースだと思ったら、カガリが先に情報掴んでいると、不機嫌になるキース。
実際は、傲慢なタイプだったのですね。でないと、SSの進行を牛耳れないか。

避難所での書込みですが、ここのSSスレは伝統的に戦記物っぽいものが歓迎されていた
みたいなので、かえって、ふさわしい気がしてますよ。

>>『明日』と『終わり』の間に
作者さんのSSは、抜群のネーミングセンスと迫力ある戦闘シーン、それと、ラストシーンの
締めのうまさで、とても楽しませてもらっています。個人的な難を言えば、オリキャラのみ話が
続く場合、以前の話を前提にして進めるため、見逃していると、とっつき難いことがあるかも
しれません。ただ、それに気を使って、極力、フレイ様を話に加えているのは分かります。
決して、ここにふさわしくないとは思っていません。特に、今いる作者さん達は、戦闘シーンが
少なめの方が多いので、貴重だと思っています。以前、ちょっとペースが早くて大変だろうと
思ったことはありますので、無理をなさらないでいいと思いますから、できれば続けて欲しいと
思っています。

476過去の傷・135:2004/05/11(火) 08:27
一時間後の食堂。
「ミリィ・・・行っちゃったね」
キラが呟く。
「そうね」
フレイも少し寂しそうだ。
「寂しくなるね」
「そうね」
「これで・・・ヘリオポリスの知り合いっていったら僕達とサイだけに・・・」
「ええ、ねえ最後のミリアリアのごめんねってどんな意味なのかしら」
ごめんね・・・キラを騙していたことに対しての?分からないがまあそうだろう。
「脱出ポット、無事だといいわね」
「大丈夫だよ、モビルス−ツなんていないよ、それにいまは戦闘中でもないし」
「そうね・・・」
ほんと寂しくなるわ・・・喧嘩相手もいなくなったし、ミリアリア・・・あんたとは軍に入ってからは喧嘩ばっかりしてたけど・・・それでも、友達だって思ってたのよ私。
「ミリアリアさんは行きましたか」
ラクスとアスランがフレイに歩み寄ってきた。
「ラクス・・・アスランさん」
「少し冷たい言い方だったが彼女のためだ」
「はい、私も・・・ところでアスラン」
「はい?」
「なぜミリアリアさんが貴方の部屋にいらしたのですか?」
アスランさんの顔が凍りつくのが私には分かった。

その頃ミリアリアの乗った脱出ポットは一機のモビルス−ツと遭遇していた。
「あれって・・・デュエル!?」
<お前はディアッカの!?>
とイザ−ク・ジュ−ルは言った。

477『明日』と『終わり』の間に(終)・夕方:2004/05/11(火) 08:36
「うわぁーーー!?フッ、フレイ!しっかりしろぉっ!!」
「・・・・・・」
 
 いきなり倒れるなんて、一体どうしたっていうんだ?何だか私の料理を口にした瞬間こうなったような・・・?まさか・・・、食中毒!?いや、それはないな。食材は全て昨日仕入れたものばかりだ。それとも、私が半ば強引に病院から連れ出したから、そのストレスで?でもあれだけ楽しそうだったんだし、それもどうかなぁ?・・・てそんなことのん気に考えてる場合じゃないだろ!!

「・・・カ、ガリ・・・」
「!フレイ、気が付いたのか!?」
「大丈・・・夫、よ・・・。私・・・は・・・」
「今の状態からはどー見ても説得力無いぞその台詞!無理して喋るな!」
「平気よ。私の想いが・・・キラを守ってるように、キラの想いが・・・私を守ってくれてるから・・・」
「・・・言ってる意味がよくわかんないぞ?」
「・・・ねぇ、カガリ。いつか、聞こうと思ってたんだけど・・・」
「何をだ?」
「・・・私、知ってたの。本当のことを・・・。でも、本当はカガリの口から聞きたかったの・・・」
「!それって・・・!?」

 こいつ、もしかして記憶が戻ったっていうのか!?まさかこんな時に!どうしよう?キラからは本当のことは言うなって言われてるし・・・。

「だから今、本当のことを教えて・・・。本当は・・・」
 
 ・・・ゴクッ!

「・・・カガリ、彼氏なんていないんでしょ?」

 ・・・え?

「いいのよカガリ。私と話を合わせようとして今まで無理してたんでしょ?でも気にしないで。私はそんなことでカガリを笑ったりはしないから・・・」
「・・・・・・」
「さぁカガリ、今貴女の口から本当のことを教えて・・・」
「・・・だよ・・・」
「えっ?何?」
「本当のことだよ!!お前まさかずーっと疑ってたのか!?」
「・・・ガクッ」
「ってオイ!都合良く気を失うなぁ、しっかりしろ!!」

 こいつ、今までそんなこと考えてたのか?・・・正直ショックだったよ、今の・・・。とにかく救急車を・・・。!んっ、指がかすかに動いてる?それも零れたソースをつけて。ひょっとして、何かを伝えようとしてるのか?一体何を・・・?・・・『カ』・・・、・・・『ガ』・・・。ってそれ私の名前かよ!?まさかダイイングメッセージのつもりか!?止めろ!!

 あーもう、どうすりゃいいんだ!?キラ、アスラン!!どっちでもいいから早く帰って来てくれぇーーー!!!

 次回予告
『始まりはただ純粋な想いから。大切な者の笑顔が見たいという切なる願いは悲しい結末を呼ぶ。それでも想いは潰えることなく、新たな可能性へと向かい羽ばたく。次回、「『明日』と『終わり』の間に」、『編物編』。立ちはだかる試練に、立ち向かえ!ガンダム!!』

 !えっ、予告!?これ続くのかよ!?

 ・・・嘘です。

478『明日』と『終わり』の間に(終)・夕方:2004/05/11(火) 08:57
 様々なご意見、有難うございました。自分がいかに甘ったれた考え方を持っていたか分かりました。取り敢えずしばらくはもう一度じっくり考えてみるつもりです。お騒がせしました。

》散った花、実る果実
 リスティアさん、足を・・・。ようやくフレイ様と分かり合えてきたというのに悲しすぎます。フレイ様も根拠の無い敵意を向けられていますし・・・。
 何だかまたクルーゼが目立ち始めましたね。悪い方向に進まなければいいんですが。

》過去の傷
 アスラン、やはりピンチを迎えましたね。これからは何となく彼とラクスが中心になりそうな気がします。この二人の喧嘩ってどんなでしょう?
 ミリィはイザークに保護され一安心ですね。やっぱり脱出ポッドじゃ心持たないですし。

》赤毛の虜囚
 メルデルさん、まるで手のひらをひっくり返されるように・・・。悲しいですね。悪いのは全部アル・ダ・フラガなんですが。そしてこれから彼女を待つのはあの波乱万丈な人生なんですね。
 
》流離う翼たち
 カガリ、ナタルさんに正体を知られてしまいましたか。彼女はよくこうした重要な場面に登場していますが、今回も何らかの役割があるんでしょうね。果たして彼女やキースさんはこれからどうするんでしょう?

479過去の傷・作者:2004/05/11(火) 09:41
ミリィのことに対してなんですが、これからはこんなことはほとんどないですが、少しは・・・でないと物語が狭まれてくるんです・・・すいません、でもミリィはほんとに好きなんですよ、ただ皆さんに不満を持たれあまりいい印象を受けなかったことに対しては作者として反省すべきことかもしれません、すいませんでした。

>>478
もっと自身もってください、お上手なんですから、私なんてとても。
>>翼たち
こ、これは凄い修羅場に・・・正体ばれましたか、怖いです・・・。
>>ザフト・赤毛の捕囚
メンデルさん可哀相です、悲しい運命に振り回されてますね・・・。

480過去の傷・136:2004/05/11(火) 12:31
「は・・・?」
「いえ、ですからなぜミリアリアさんが貴方の部屋にいたのか気になりまして、どうなんですか!?」
「そういえばそうよね、どうしてなんですかアスランさん?」
「ア、アルスタ−二等兵まで・・・」
これで分かる、いや前々から分かってはいたがアスランはラクスには頭が上がらない、尻に敷かれているのだ。
というわけで・・・。
「ラクス・・・その・・・申し訳ありませんでした」
そしてラクスに頭を下げた。
「謝るということはやましいことがおありなのですね?」
流石に鋭いわねこの女。
「ではお部屋でじっくりとお話を聞かせていただきます」
「あ、あの・・・これからキラと実戦練習が」
「そうですか、ではそれが終わりになられましたら私のお部屋に来てくださいね」
「は、はい了解しましたラクス・クライン、では!」
そして逃げるようにアスランさんは去って行った。
「じゃあ僕も・・・」
そしてキラもそのままアスランさんを追った。
残った私とラクスは・・・。
「ラクス、お互い大変よね・・・」
「はい・・・」

その一時間後。
「え!?」
通路を歩いていたフレイはアサギとマユラに会い話を聞いていた。
「また昨日みたいにキラさんと語りあいたいよね」
キラと語り合う?なんのこと言ってるのかしら・・・。
そして私は二人に声をかけた。
「あの・・・なんのこと話してるの?」
「いえ、昨日私達キラ君と話したくて夜部屋に誘ったんです、そしてら来てくれて、それからお菓子食べながらいろんな話を・・・」
な、なんですって!?あれだけ他の子とは話すなって言っておいうたのに・・・あの馬鹿!もう許さない!部屋に上がったですって!?他の女の子の部屋に!?
そしてフレイはパイロットロッカ−に急いで走っていった。

481SEED if 〜Fllay Selection〜 ②:2004/05/11(火) 22:50
キラを拒絶した私には往く当てがなく、とぼとぼと廊下を歩いていた。
途中、誰かとすれ違ったが誰も気に留めることはない。
当たり前のことだった。
私を見てくれる人もうはいない。
最初はサイが私を見てくれていた。
でも、それが邪魔になって私はサイを傷つけた。
そして、キラ。
私だけを見るように、そして私の思うとおりにするために関係をもった。
それだけを、パパの復讐だけを考えていた。
でも、キラは違った。
『キラは・・・』



立ち止まって、キラのことを思い浮かべる。
『コーディネーターなキラ、泣き虫なキラ、怖いキラ、苦しんでいるキラ、優しいキラ。』
いろんなキラが浮かんでは消えていく。
心がチクチクと痛む。
どうして?
キラを、コーディネーターを怨んでるはずなのに。
自問自答をしていた時、通路の先から明るい声が聞こえた。




「お父さん達、元気でよかった。」
「ああ、ほんとな。」
サイたちだ。
声にはうれしさがあふれている。
私とは対極な存在。
『どうして、私だけ・・・』
私はサイ達とは逆のほうに走り出す。
私には誰もいない。
どこにも場所がない。
私にはアークエンジェルが出口のない迷路に思えた。



迷路を彷徨いながら、何度もキラの部屋の前に着く。
キラに会いたくないのに、心のどこかでキラが気になる。
ここにはキラはいない。
オーブに出向している。
この部屋は私がいた部屋。
でも、私の部屋じゃない。
キラの部屋。
来てはいけない場所。
時間的に、キラが帰ってくる。
だから、ここから一番離れたところにいこう。
私は何度も振り向きながらキラの部屋から離れる。
たどり着いた場所は。
誰も使っていない、冷たい部屋。
私は毛布で身体をくるみ、部屋の隅でひざを丸めた。
『寒い・・・』
誰の匂いもしない部屋はとても寒かった。

482SEED if 〜Fllay Selection〜 作者:2004/05/11(火) 23:07
この話は基本的にフレイ様視点で進むので独白が多いです。
とりあえずIFな話を目指します。

〉〉赤毛
  メルデルさんは、波乱万丈の人生へと急転直下ですね。
  辛い道ですな。
  アルダ・フラガ、やばすぎですよ。

〉〉過去の傷
  ミリアリアはひとまずイザークに保護されたみたいでほっとしてます。
  だけど、すぐさま修羅場2連発。
  休まることなくどきどきです。

〉〉流離う
  カガリ自身の正体とカガリの正体がいっぺんに語られるといううまい展開ですね。
  キースの話に二人は納得できるのでしょうか。

〉〉『明日』と『終わり』
  壊滅的な料理を食べて都合よく気絶するフレイ様が素敵です。
  ダイイングメッセージに語られる真実はいかにって感じですね。
  応援してます。

483キラ(♀)×フレイ(♂)・43−1:2004/05/11(火) 23:44
サドニス島で最も忙しい一日。
一月に一度、悪魔の壁(デーモン・ウォール)が開放される時間帯を、サドニスでは
そう呼んでいる。禁断の開かずの扉が開いてから、再び門(ゲート)が閉じるまでの
凡そ十八時間以内に、物資の流入や、入国または出国手続きを全て果たさねばならない。
遅延は一ヶ月の島内封印で済めばまだマシな方で、場合によっては生命に関わるケース
も十分に有り得るので、この日は一日中、島全体が緊迫感に包まれている。
まあ中には、この機に入国し、用件を済ませたら、再び壁が閉じる前にとんぼ返りで
出国を果たすタフなビジネスマンの兵(つわもの)もいたりするが…。
出国用に使用される北岸部の港に、様々な大きさの船が団子状態でひしめき合っている中、
航路局からの指示により、本来なら入国に使われる南岸部の港に、まるで貸し切り状態
のように、悠々と一隻の大型船が停泊している。
“足付き”のコードネームでザフトから追われている、地球連合軍の強襲機動特装艦
アークエンジェル(大天使)だ。一見、VIP待遇を受けたかのように見えるが、
実は揉め事(戦争)に他の民間船を巻き込まない為の単なる隔離処置である。


「どうやら何とかなりそうね」
マードック軍曹からの報告書を読み上げたマリューはホッと安堵する。
この二日間の滞在中に、AAの外装修理はほぼ完了し、緊急(スクランブル)発進
の準備も整っている。ただし、修理の方はあくまで応急的なモノでしかなかったが、
この廃棄されたドック内では設備も資材も不十分だったので、致し方ないだろう。
「これでも、以ってあと一・二回の戦闘ってところかしら。やっぱり、一度は本格的
な修理をする必要性があるわね。となると、どうしてもオーブ本国に寄港…」
「あんまり難しく考えるなって、マリューさん」
元整備兵の視点から艦の耐久度を皮算用して、気難しそうに唸っている彼女に、
何時の間にか艦長室に入室してきたフラガがコーヒーを運んできた。
「ムウ…」
彼から珈琲のカップを受け取ったマリューは、頼もしそうにフラガを見上げる。
この二人は、既にプライベートではお互いを名前で呼び合う仲になっている。
「サドニスに寄ったのは正解だったみたいだな。艦の修理もそうだけど、クルー連中や、
とくにキラ達ヘリオポリス組にとっては、良いリフレッシュ休暇になったみたいだぜ」
「そうであってくれれば良いのだけど…。キラさんには色々と酷い事をしちゃったしね」
マリューは例の一件を未だに気にしているみたいだ。尚、二人は、フレイの匙加減一つで、
危うくキラがザフト兵に拉致され掛けた事実を知らない。
「まあ、その分は、俺ら(幹部)が割りを喰う羽目になっちまったけどな」
フラガは軽く両肩を竦め、マリューは少しだけ申し訳なさそうに俯いた。
「それは仕方ないわよね。私たちは「死ね」「殺せ」と命令する立場なんだから。
一度、戦闘が始まったら、あの子達には何もしてあげられないしね」
個としては極めて善良な領域に属するマリューを、フラガは擽ったそうな表情で見つめる。
戦術判断能力に関しては、フラガでさえも疑問符を付けざるを得ない艦長さんだが、
下々の労働の成果を不当に搾取する上役が多い中で、職権を乱用することなく、
自ら貧乏籤を引こうとする彼女の姿勢は、指揮官として高く評価出来ると思う。
あとは、彼女に欠けている能力(戦術眼)を補ってくれる有能な副長(ナタル)と、
もう少し折り合いをつけてくれれば…と考えたが、これが一筋縄ではいかない難事だ。

「…で、ここからは仕事の話なんだ。先程、バジルール中尉とも話し合ったんだが」
再びフラガは、精神のチャンネルを戦闘用へと切り替える。ナタルの名前を聞いた瞬間、
マリューな眉がピクリと動いたが、フラガは敢えて無視する事にする。
「じきに悪魔の壁が消えそうなので、航路局から出港をせっつかれているだろう?
なら、発進と同時に、戦闘準備を整えておいた方が良いぜ」
「えっ!?」
「今、俺達を躍起になって捜索している敵さんも、まさか俺達がデーモン・ウォールの中
から出てくるとは思ってないだろ?何時もは襲撃に脅える側だったけど、上手く機先を
先んずれば、今度はこっち側から奇襲を仕掛けられるかも知れないぜ」
狐につままれたような顔のマリューに、フラガはウインクしながら手順を説明した。

484キラ(♀)×フレイ(♂)・43−2:2004/05/11(火) 23:45
まるでサドニス島を外敵から守るかのように島外を取り囲む磁気嵐が消失し、この海域
一帯は穏やかな晴れ模様に包まれる。ホバークラフトのように海水を巻き揚げながら
海上を移動するアークエンジェルの艦内に、第一級戦闘配備の警報が鳴り響いた。
「おいおい、もうドンパチをおっぱじめるつもりかよ!?」
サドニスでのバカンス気分に幾分緊張感が薄らいでいた艦内のクルーは、大わらわで
自分達の持ち場へと走っていく。カガリもそんな中の一人で、他のクルーに紛れ込み
ながら、慌ててスカイグラスパーの格納庫へと向かっていたが、人の流れに逆流する
かのように反対側から歩いてきた人物と肩をぶつけ合ってしまう。
「あっ…悪い…って、お前!?」
反射的に謝罪しかけたカガリの瞳に隠しようのない敵意が浮かんだ。
「これは、これは、カガリ君じゃないか。昨日は僕のキラがお世話になったみたいだね」
何とまあ、カガリが衝突した相手は、彼がAA内で最も嫌っている人物だ。


淀んだ空気が二人の間を覆った。良くしたもので、フレイの方でもカガリを疎ましく
思っているようで、非好意的な視線でカガリを見下ろしていたが、第一級戦闘配備が発令
されている緊急時を考慮してか、そのまま大人しくカガリの脇を通り過ぎようとしたが、
「おい、待てよ。どこへ行くんだ?この警報が聞こえないのかよ!?」
これから戦闘が始まろうとする時に、非戦闘区域に向かおうとするフレイの行動を
訝しんだカガリに呼び止められ肩を掴まれた。
「どこって、自分の部屋へ戻るんだよ。これから昼寝をするつもりなんでね」
「はあっ!?」
あまりにピントぼけした回答にカガリは唖然とする。ドンパチの最中に仮眠を取ろう
とするフレイの胆力(能天気さ)には、感心するよりも、呆れ返る他ないだろう。
「そんなわけで、邪魔しないでくれないかな。最近、キラがどんどん手強くなってきて、
中々満足してくれなくなったから、ここのところ、少し寝不足なんだ」
カガリのキラへの想いを知ってか知らずか、わざわざ彼の神経を逆撫でするような台詞を
平気で吐き、カガリは必死に歯軋りを堪えたが、それ以上にカガリの勘に触ったのは、
戦時中に安全な場所へ逃げ隠れしようとするフレイの軟弱な態度そのものだ。


「お前、本気で言ってるのか!?皆がこれから生命を賭けて戦おうって時に、
一人だけ安全な所から高みの見物を気取るつもりかよ!?」
「おいおい、あまり人聞きの悪い事を言わないでくれよ。単なる役割分担の違いだろ?
非常(戦闘)時だけ活躍すればよい助っ人の傭兵君と違って、朝昼晩とクルー全員の食事
を毎日作り続けている僕は、多分、AAで一番の働き者なんだぜ」
フレイはさり気無く、短時間で美味しい所だけを総取りしている分際で、手前勝手な理論
を振り翳すカガリに、労働基準法違反オーバーの自分の実労働時間の長さをアピールする。
「確かに君達戦闘パイロットはエースかも知れない。けど、華やかなスポットライトを
浴びるF1ドライバーも、それを支えるメカニック無しでは存在しえないのと同じように、
君の機体を整備するクルー達や、さらにその下で、クルーの健康基盤を支える僕のような
下積みがいなければ、軍隊そのものが成り立たないのだよ。判るかい、エース君?」

そうだよ。僕がその気になれば、ザフトに対して難攻不落を誇っているこの不沈艦を、
内側から壊滅させることも十分に可能なんだぜ?
フレイは子供をあやすような穏やかな口調の裏側で、相当に悪魔的な考えを閃かす。
極めて性質(たち)の悪い事に、このフレイの宣言は虐められっ子の誇大妄想ではなく、
現実的に具現化可能な事象だ。彼の部屋には、クルー全員を毒殺可能な分量の無味無臭
の強力な毒物がストックされている。フレイには、毒殺を実現する立場と手段と、
何よりも、本当に大量殺戮をやってのけられるだけの覚悟(狂気)を保持していた。

485キラ(♀)×フレイ(♂)・43−3:2004/05/11(火) 23:45
「判ったかい、君達が忙しい時(戦闘中)こそが、僕に許された唯一の休憩時間なんだ。
それに、何ら専門的な技術も持っていない素人の僕が、戦意だけを空回りさせて、
戦闘部署間をノコノコとうろつかれるよりも、部屋に篭もって、枕を抱え込んでガタガタ
震えて大人しくしている方が、各部署にとっても有り難い話しだと思うけどね?」
実に分を弁えた発言ではある。確かに、世の中には『有り難迷惑』という諺があり、
ヤル気多寡、能力不明な人間の参入ほど、修羅場で足を引っ張る存在は他にない。
(例:一レジスタンス(明けの砂漠)の、正規軍同士の戦闘への強引な介入など)
カガリもその辺りの理屈が判らない程、もう子供(世間知らず)ではなかったが、
それがフレイの口から出ると妙に白々しい響きを帯びるは何故だろうと不思議に思った。


「キラは…お前の彼女は、お前を守る為に危険な戦場で必死に戦っているんだぞ。
それでも、お前は何とも思わないのか!?」
フレイの本音は別の所にあるのではないかと当たりをつけたカガリは、今度は別口から
攻めてみる。だが、キラの名前にも、フレイはさしたる感銘を受けた様子はなかった。
「だからって、今の無力な僕に一体何が出来るというんだい?
僕に可能なのは、彼女が無事に僕の元へと戻って来てくれるように祈る事だけさ。
ああ、キラ。愛しき殉教者よ。君の涙を思うと、僕の心は張り裂けそうだ」
両掌を胸に当てる大仰な仕草で、キラの身を案じる振りをしながらも、大きな欠伸を
噛み殺そうとするフレイの不誠実な態度に、プツンとカガリの中で何かが切れた。
カガリは改めて、自分が滅ぼさねばならない本当の敵は、これから戦うザフト軍など
ではなく、目の前のこの悪魔(フレイ)であることを、本能的に確信する。
傍から見ればカガリの思考は、シスコン全開の理不尽な言い掛かりそのものでしかないが、
結果的には、彼は偏見の密林を強引に突破して、真実の城に辿り着いた事になる。

「…じゃ、そういうわけで!?」
いい加減にこの場を去ろうとしていたフレイの腕を、カガリは強く掴んだ。
「おいおい、何のつもりだい、カガリ君?僕にそっちの趣味はないと…」
フレイは冗談っぽく軽口を叩いたが、カガリは乗ってこなかった。
「……来い!」
「はぁ!?どこへ連れてくつもりだい?」
「いいから、黙ってついてこい!」
困惑した表情のフレイの質問を無視すると、カガリは強引にフレイを引き摺り出した。
何時もキラばかりを危険な戦場で矢面に立たせて、自分は安全な処で、涼しい顔して
大物風を吹かしやがって…。お前にも、戦場の本当の恐怖をたっぷりと味合わせてやる。

486キラ(♀)×フレイ(♂)・43−4:2004/05/11(火) 23:46
その頃、不眠不休で哨戒を続けていたザフト軍の二隻の潜水母艦は、捜し求めていた標的
(足付き)を突如発見したことで、反ってパニック状態に陥っていた。
「レーダーに機影あり。足付きです!
出現ポイントからすると、どうやら今までサドニスに潜伏していたものと思われます」
「何だと!?どうやって悪魔の壁(デーモン・ウォール)を突破していたというのだ!?」
クストーの艦長が大声でオペレーターに問い掛けたが、当然満足する解答は得られない。
本来なら探し物を見つけた事を喜ぶべきだが、甚だ不味い事に、MSの半数以上は哨戒
の為に遠出で出払っていたのだ。このままでは各個撃破の格好の餌食である。
「モラシム隊長に連絡しろ!哨戒中のMS隊をすぐに呼び戻せ!」
クストーの艦橋内は大慌てだ。そうこうしている間に、アークエンジェルから出撃した
二機のスカイグラスパーに、自分達の位置を捕捉されてしまった。

「見つけたぞ。ドンピシャみたいだな」
レーダー内に、ボズゴロフ級二隻の機影を発見したフラガは軽く口笛を吹く。
今回はフラガは、海中の潜水艦を攻撃するケースを視野に入れている為に、
お気に入りのソードパックではなく、狙撃用のランチャーパックで出陣している。
スカイグラスパーを海上すれすれの位置に低空飛行させたフラガは、この高度を維持
しながら、320mm超高インパルス砲アグニを発射する。かつてヘリオポリスのコロニー
の外壁を一撃で貫通したゴッドフリートに匹敵する高密度のエネルギーの塊は、海壁を
薄紙のように貫き、ボズゴロフ級の一隻に直撃し海の藻屑にした。

「クッ!、海上に浮上しろ!ディンを射出して撃退させろ!」
カーペンタリア基地からの増援である僚艦を失い、さらには惜しみなくアグニ砲を
連射するグラスパーの猛撃に恐れをなしたクストーは慌てて浮上を開始する。
だが、その行動はフラガの想定範囲内でしかなく、敢えてクストーがディンを打ち上げ
ようとする瞬間を狙って、再度アグニの照準をボズゴロフ級のMSハッチに定めた。
「残念だが、一歩遅い。悪く思わないでくれよ」
火神(アグニ)の鎚が一振りする。派手な水飛沫と共に、艦は爆発炎上し、クストー内
のMS隊は、戦死する機会すら与えられないまま母艦共々消失した。


「これで仕事の半分は終了だな」
ここまでの戦闘経過は、呆れるほどワンサイドにAA側のペースで推移している。
敵母艦二隻撃墜という偉業を成し遂げたフラガだが、その成果に奢ることなく、既に
心は次の標的を定めている。そろそろ、敵の哨戒部隊が戻ってくる頃である。
「カガリ、今回はお前が囮役だが、出来るか?」
レーダー内にディン数機の機影を発見したフラガは、ソードストライカーパックで
出撃したカガリに是非を問い掛ける。若輩のカガリにフラガの真似事(戦闘機での接近戦)
をしろなどとは結構無茶な要求ではあるが、フラガの見立てでは、彼の本来の適正は
アグレシッブな性格に由来する攻撃力でなく、野生本能的な防御勘の方だと見ているので、
撃破は無理でも、敵を撹乱するぐらいの芸当はしてくれるだろうと期待していた。
「任せてくれよ、兄貴。ディンを十七個に分解してやるよ」
そのフラガの期待に応えてか、極めて頼もしい返事が通信機から聞こえてきた。
「だといいんだけどね…」
…続けて、カガリ以外の男性の声が聞こえたような気がしたフラガは軽く小首を傾げる。
「んっ!?今、何か言ったか、カガリ?」
その回答を得るよりも先に、母艦を沈められて怒り心頭のディン部隊が接近してきた。
兄弟鷹は、前回の役割を変更した上で、再びディン隊と激突する。

487キラ(♀)×フレイ(♂)・43−5:2004/05/11(火) 23:46
「ええい、一体全体どうなっておるのだ!?」
モラシム隊長は不機嫌さを隠せなかった。足付き発見の報を受けて、慌てて戻ってきた
のは良いが、クストーからは一向に続報はない。海中にはボズゴロフ級の外壁と思わしき
残片が多数浮遊しており、何が起きたかの大凡の推測はつくが、彼の理性がその現実を
認めるのを躊躇わせていた。確かに、この短時間に、ザフト軍の潜水母艦二隻が、
たかだが数機の戦闘機に沈められたなど、在ってはならない由々しき事態だ。
本来、寡兵で数倍の敵と渡り合えるのが、コーディネイターとナチュラル間の正しい
キルレシオなのであり、実際、クルーゼ隊は、足付きを逃し続けているとはいえ、
ハルバートン提督率いる第八艦隊の十倍近い戦力を壊滅させているのだ。
このままオメオメと帰参する事は出来ない。何としても、足付きを沈めなければ…。


モラシムが苦悩している間に、エールモードのストライクが、海中に飛び込んできた。
ストライクを迎撃しようと、周りのグーンが前腕部のミサイルを向けかけたが、
悪戯に交戦させても、反って被害が増すばかりだと判断したモラシムは部下達を制した。
「お前達の敵う相手ではない。奴は私が引き受けるから、その間に、足付きを撃破しろ」
その隊長のお言葉にパイロット達のプライドが傷ついたが、ストライクの手強さは前回の
戦闘で身に染みているし、PS装甲を短時間で突破する有効な武装がグーンには装備
されていないのも事実だ。渋々ではあるが、モラシムの命令を受け入れたグーンの群れは、
標的をストライクから足付きに変えて、次々と海上へと浮上していく。

「行くぞ、ストライクめ。モラシム隊の底力を見せてくれるわ!」
PS装甲に唯一有効なフォノンメーザー砲で牽制しながら、ゾノはヒット&アウェイ
を繰り返して、少しずつ戦場を移動させ、ストライクを足付きから引き離した。
部下たちに豪語したモラシムだが、実は彼にもキラと互角に渡り合う自信はない。
隊長自身が囮となり、手負いの足付きを仕留めるまでの時間を稼ぐつもりである。
ストライクの攻撃を必死で避けながら、部下達が凱歌を挙げるのを待ち続けていたが、
グーンの集中砲火を浴びながらも、何故か一向に沈む気配を見せない足付きのしぶとさ
にモラシムは次第にイラつき始める。
モラシムの一連の状況判断自体はそれほど戦理から外れたものではなかったが、
彼にとって不幸なことに、足付きはサドニスでの応急修理により、前回の戦闘終了時
のモラシムの見立てよりも、艦の耐久力を大幅に回復させていたのだ。
遣る事成す事、全てが裏目裏目にと出ており、彼は今年、相当な厄年のようだ。


グーンの絶え間ない波状攻撃によりアークエンジェルの艦橋は揺れ続けている。
軍事上の通念を大幅に凌駕する艦の異常な耐久力により何とか持ち堪えてはいるが、
物理的法則に従って運用されている以上、ラミネート装甲にも何時かは限界が訪れる。
だが、ヘルダートでは、海中と海上を行き来するグーンに決定的なダメージは与えらない。
ここで、艦長のマリューは常人には及びもつかないとんでもない奇策に出た。
バレルロール(180度の宙返り)である。
常識人のナタルの反論を一蹴して、艦長権限で自分の意見を押し通したマリューは、
艦橋のクルー全員にシートベルトを付けさせて、艦内放送でその旨の警告を流すと、
その奇抜なアイデアを実行へと移した。

「な…何だ!?」
ラッコのように海中に仰向けにプカプカと浮かんでいたグーンのパイロット達は、突然
バレルロールを敢行し、船腹と艦首の位置をそっくり入れ換えた足付きにパニクった。
さらに不味いことに、今まで死角に潜り込んで、好き放題に一方的な攻撃を繰り返して
いたというのに、今では自分達はゴッドフリートの射角に入り込んでしまっているのだ。
彼らがその事に気付いた瞬間、ゴッドフリードが火を噴いた。アークエンジェルの下に、
水柱が連続して炸裂し、グーン隊は一瞬にして壊滅した。

488キラ(♀)×フレイ(♂)・43−6:2004/05/11(火) 23:47
アークエンジェルは、そのままクルリと一回転して、艦首を正常な位置へと戻した。
「良し良し、上手くいったわね」
自ら発案した戦術で、はじめて成果を収めたマリューはホクホク顔である。
「指揮官が局地的な戦況に一喜一憂していてどうする!?」
クルーにシートベルトの着脱を指示していたナタルは天邪鬼にそう考えたが、
大人気ない発想だし、今の彼女に忠告しても効果はないだろうから沈黙を守った。
それよりも、今回の奇手に支払った代償への後始末の方が大変そうである。
自分達の部屋がどんな状態になっているか考えただけでナタルは憂鬱になった。
ただ、副産物的に一つだけ良いことも存在している。
何故か宿主不在のフレイの部屋で、彼の机の引き出しの中に隠されていた毒物の瓶が、
バレルロール敢行時に、床下に投げ出されて、内容物が溢れ出たのだ。
今、フレイの部屋はバイオハザードに汚染されたL4コロニーのような惨状になっており、
これはこれで、後始末が面倒そうではあるが、結果としては、マリューはAA内に内包
されていた潜在的な危機を意図せずに取り除いたことになる。


「何たる様か…」
海中へと沈んでいくグーンの残骸をモラシムは呆然として見下ろす。
クストーはおろか、空中に展開するはずのディン部隊からも応答はない。
どうやらこの戦場で生き残っているのは隊長である彼自身のみのようだ。
「お…おのれぇ、ナチュラル共めぇ〜!!かくなる上は…」
既にこの戦闘の勝敗は決している。ただ、隊を全滅させた上で、自分一人が逃げ戻るなど、
出来よう筈がない。余裕を失ったモラシムは血走った目をストライクに向けると、ゾノを
水中モードに変形させて突進してきた。キラはミサイルで迎撃しようとしたが、何故か
モラシムは避けようともせずに、被弾しながらも、最短距離を突っ切ってきた。
「よ…避けない!?」
モラシムの神風特攻にキラは唖然とする。PSで守られていないゾノはかなりのダメージ
を負ったが、機体の損傷を無視して、そのままストライクに体当たりを敢行する。
「貴様も道連れだ、ストライク!一緒に地獄に堕ちろ〜!!」
ストライクに抱きついたゾノは、スクリューをフル回転させて、7000m級の深度を
誇るジャワ海溝へとストライク共々沈んでいく。

「こ…この人、まさか私と一緒に…」
モラシムの意図を悟ったキラはサーッと表情を青ざめさせる。冗談ではない。
無意識のうちに地獄逝きの相棒を探していたキラだったが、フレイやアスランなら
ともかく、顔も知らないムサイおっさんと心中するなどゴメンだった。
キラはゾノを振りほどこうと必死にもがいたが、モラシムの執念が憑りついたかの
ように手負いのゾノはビクともせず、あまりに懐深くに潜りこまれて拘束されている
為に、アサルトナイフの一撃も空を切るばかりで、ゾノの背中まで届かない。
その間にも、深度はどんどん深まっており、コックピット内もミシミシと嫌な音を
立てながら軋み始めた。何かこの状況でも使える武装は…。追い詰められたキラの
視界に、メインスクリーン上のゾノの赤色のモノアイが映し出された。

次の瞬間、ストライク頭部のイーゲルシュテルンが火を噴き、モノアイを直撃する。
「な…何だ!?」
メインカメラを潰され、視力を失ってモラシムが混乱した隙を逃さずに、キラは
ゾノの拘束を振る解くと、そのままゾノを踏み台のように蹴って、海上へ浮かび
上がるための浮力(推進力)を確保する。
「ぐおおぉおお!!!!!」
ストライクに蹴落とされ、さらなる奈落の底へと落下していったゾノはとうとう水圧に
耐え切れずにペシャンコに潰れ始めた。モラシム隊長の最期を見届けながら、ゆっくりと
海上に浮上していくキラの瞳からは涙が溢れ出して止まらなかった。

489キラ(♀)×フレイ(♂)・43−7:2004/05/11(火) 23:47
キラがモラシムと交戦し始めたのと時を同じくして、敵母艦を撃破したフラガとカガリ
の二人は、そのままディンの群れを相手に延長戦を行っていた。
戦況は、ナチュラル、コーディ間のキルレシオを無視したフラガの異常な活躍で、
敵ディンの残数は既に残り一機まで減らされている。囮役のカガリも、良く役割を
果たしていたが何故か不機嫌だ。それは、目に見える類の派手な武勲を挙げられないが
故ではなく、彼の後ろにいる男性の存在に起因していた。スカイグラスパー二号
の後部座席には何故かフレイが乗っていて、退屈そうに欠伸を噛み殺している。

「おい、フレイ…」
ディンの機関銃の連射を避けながら、カガリが忌々しそうに声を掛ける。
「何だい、エースパイロット君?」
「もっと焦れよな、お前。もし被弾したら、この瞬間にも俺達はそれでお陀仏なんだぞ」
カガリはそれとなく脅しを掛けたが、フレイは何ら危機感を覚えた様子はない。
「ナンセンスだね。僕が慌てた所でどうしようもないだろう?
この機体の命運は、君の意思と力量のみで成り立っているんだからね」
涼しげな表情で実に可愛げのない口を叩くフレイにカガリは舌打ちする。
実際、当てが外れた気分だ。こんな筈ではなかった。あいつのようなタイプは、
自分が安全圏にいられることを前提にしているからこそ、大物ぶっていられるのだ。
ちょっと危険区域に放り込んでやれば、直ぐに本性を現して醜態を晒すものと思い、
わざわざここまで拉致してきたというのに、一向に堪えている様子がない。
どうやらフレイは悪い意味で、口先だけの凡人とは一線を画する存在らしい。

これだけじゃ、まだ、恐怖心が足りないのか?
そう思い込んだカガリは、ソードを展開すると左舷方向からディンに近接戦闘を
挑んでいく。接近し、どんどん大きくなっていくディンの迫力に流石のカガリも
生唾を飲み込んだ。ディンがサーベルを大きく振りかぶった。左か?右か?
カガリはヤマ勘で、ディンのサーベルの軌道を先読みして空中旋回を行う。
ヤマは見事に命中し、ディンの斬撃を紙一重で回避したカガリは、そのまま
ビームソードの一撃でディンを真っ二つに切り裂いた。


「ははっ…。どうだ見たか、フレイ?流石にビビっただろ?」
カガリの心臓はまだドキドキいっている。もう一度やれと云われても多分出来ないだろう。
「これは、君が女装していた時の鬘じゃないか?そうか、前回の戦闘中に脱げたんだね?」
…どうやら全く正面を見ていなかったようだ。フレイは実に興味深そうに小脇に落ちて
いた焦茶色の鬘を拾い上げた。
「お…お前なぁ………!?」
一世一代の清水の舞台を物の見事にスルーされて切れたカガリは、怒りと共に後ろを
振り返ったが、途中でその表情が凍りついた。戦場でも飄々としたポーズを維持
しながらも、フレイの瞳が灰色に濁っている事実に気付いたからだ。
こ…こいつ、壊れてやがる!?
カガリは戦場で、こんな目をした人間を幾人か見たことがあった。常軌を逸した戦闘で
精神に異常をきたした者、大切な人間を失って心を閉ざした者は皆、ああいう濁った瞳の
色をしていたのだ。どうやらフレイは何らかの要因で既に魔に憑りつかれていたらしい。
じょ…冗談じゃない、こんな奴にキラを…。
カガリがフレイの危険度を再認識した刹那、そのキチガイ(フレイ)の口元が動いた。

490キラ(♀)×フレイ(♂)・43−8:2004/05/11(火) 23:48
「カガリ君。前、前…」
フレイはそう呟きながら、前方を指差している。慌てて正面を振り向いたカガリの視界に
ザフトの輸送機の姿が映った。どうやら、カガリがフレイに気を取られていた一瞬の間に、
機体はアークエンジェルへの帰還コースから外れて、とんでもない場所に迷い込んで
しまったみたいだ。
「な…何い!?」
カガリは反射的に機銃の引き金を絞ったが、同時に輸送機側からの反撃も行われた。
グラスパーと輸送機との短い交戦は、痛み分けという形を取り、共に推進部に被弾して、
黒煙を吐き出しながら、そのまますれ違った。

「クッ!両足しっかり踏ん張ってろよ、フレイ!このまま不時着する!」
機体の制御が効かなくなったカガリは、グラスパーをそのまま無人島の近くの海域
に強行着陸させる。グラスパーは派手な水飛沫を上げながら、辛うじて陸地に乗り上げ
る地点でストップした。

二人はまだ知らなかった。先程カガリが相打ちで仕留めた輸送機には、イージスと
そのパイロットであるアスランが搭乗しており、その機体をパイロットごと、
カガリ達が不時着した無人島へと落下させていた事実を…。

キラの初恋の君であり、現在キラと敵対しているアスラン・ザラ。
キラの双子の兄であり、キラの身を案じているカガリ・ユラ。
キラとの肉体関係を持ちながらも、キラを母の仇と付け狙うフレイ・アルスター。

キラを巡る三人の男性が、狭い無人島の中で、仲良く(?)呉越同舟する羽目となった。




次回偽予告「黒フレイ VS 純情アスラン」

「君がアスラン君かい?」
「何だ、お前は?」
「キラの最初(はじめて)の男かな?」
「なっ!?」

「『もう戦いたくない』、『これ以上、誰も殺したくない』、『まだ死にたくない』とか、
泣き言ばかり抜かす軟弱なキラを、宥め、賺し、時に抱き締めたりキスしたりして、
再び戦場へと送り込むのが、アークエンジェルでの僕の役目さ。
まっ、言ってみれば、キラ専属のメンタル・カウンセラーってところかな」

「き…貴様、貴様はキラを利用し…」

「おいおい、アスラン君。あまり人聞きの悪いことを言わないでくれよ。
これでも、僕はキラを愛しているんだぜ?
飴と鞭の理論で、ちょっと彼女の居場所に危機感を与えてやれば、
僕の大嫌いなコーディネイターを泣きながら殺し尽してきてくれるし、
人を殺して傷心の晩に、甘い言葉を耳元で囁いてやれば、夜伽の相手だって務めてくれる。
こんな素敵な恋人が他にいるかい? くっくっく…」

「殺す!殺す!殺してやる!お前だけは絶対に許さねえ!!」


「……おい、お前ら。本編(オリジナル)での主役だった俺の立場は?」

491ザフト・赤毛の虜囚 63:2004/05/12(水) 08:12
10.親友 7/8
[そう、メルデル。メルでもいい?]

親友だったジェシカとミーシャに絶交された。私を軽蔑している。

誰もが、私を、こんな目で見る。フラガと婚約させられてから、誰と紹介されても、いつも、
気持ち悪いと引いた目で見られる。そうじゃなきゃ、私を珍しいものを見るようにする。
フラガに連れられて、コーディネータの出産に関することを聞きにL4コロニー・メンデルの
研究所に行った時もそう。フラガは仕事があると早々に退散し、私一人残されて、担当医の
好奇の目にさらされた。担当医は、いやらしい目で私を見て、変なことばかり聞く。

その時、書類を取りに来た若い女医が、私の担当医に言葉をかけた。

「何、変なこと聞いてるのよ。この人、嫌がってるじゃない」
「なんだよ、必要事項だろ」

「どう見ても、そうは見えないわ。興味本意で聞いてるようにしか思えない。
 別に関係ないじゃない、これから結婚する人との歳が多少離れてたって」
「だけど、この二人は異常だぞ。なにか不穏な関係の匂いがする」

「どこが、異常だ! そういうアンタの方が、よっぽど異常で、無神経だ。いい加減にしろ!」
「なんだ、年上に向かって。お前、入ったばかりの新人だろ。自分の立場って言うものを」

「年上でもなんでも、間違っている事は許さない。アンタ謝んな。でないと、私が相手になってやる」

「あの、私、こんなの慣れてるから、もういいから、こんなこと……」私はさすがに女性を止めに入る。

「心配しなくていいよ。こんなのって、私は許さない。謝れ、このヤロウ!」
「なんだと! 所長に言って、お前なんぞ、やめさせてやる。覚えてろ!」

捨て台詞を残して、担当医は診察室を出て行った。私は、その女医と二人残された。

「フン!勝手に言ってな。間違ってるのはアンタの方なんだから」

「あの、ホントに大丈夫なの。あなた?」 私は問いかける。
「平気、平気。あんな女の敵のセクハラ医師許せないから」

私は、この女性を見つめた。
「あなた、名前は?」
「ヴィア・ヒビキ。あなたは?」

「メルデル、メルデル・シェトランド……」

だけど、私は、もうすぐシェトランドの名前さえ奪われることになる。私もフラガになってしまう。
私は辛い想いに目を伏せる。

「そう、メルデル。メルでもいい? なんか、呼びやすいし」

その言葉に、私は懐かしくなった。ママを始め、小さい時はいつも『メル』と呼ばれた。
フラガになることで感じていた辛い想いが、ヴィアに『メル』と呼ばれることで癒された気がした。

「いいわ。ヴィア、よろしく」
「メル、よろしく。彼氏と歳が離れているからって、色眼鏡で見られても、くじけちゃダメよ。
 愛してるんだったら胸を張って」

「うん…… ありがとう、でも、私……」チクリと胸が痛む。否定しようとして言葉を濁す。

でも、その前にヴィアは大きな声を上げた。
「あ、いっけない!」

「どうしたのヴィア?」
「ユーレンに止められてたんだった、こういうの。また、怒られる。ヤッバー!」

「え、え、ユーレンって誰?」
「私の旦那。私の言葉づかい荒くて、すぐ喧嘩するの直すように言われてたんだった」

「あなた、結婚してるの?」
「そう、あなたも若いけど、こっちも研究所に入って、すぐ結婚したもんだから。色々言われて」

「旦那さんって年上?」
「私はタメ歳。でもね、結構、頼れるんだ。あんま考えてること言わないけど」

「ヴィア、愛してるんだ旦那さんのこと。羨ましい……」

私の見つめる目に、さっきまで男言葉で威勢の良かったヴィアは、真っ赤になって黙り込んだ。
そして、照れ臭い顔で話す。

「いや、そんなんじゃ。やめてよ。そんなこと言うの……」

なおも、羨望の眼差しで見つめる私に、ヴィアは真っ赤な顔のまま、ポツリ、ポツリと自分のことを話しだした。

「ユーレンとは、小さい頃からの幼馴染よ。それで、いつの間にかズルズルと。こんなのありふれてるよね」
「いえ、全然、そんなことない。幼馴染って素敵だわ」

「そうね、ユーレン、私のこと、いつも、気にかけてて。私が両親と喧嘩して家出同然で飛び出した時も、
 いろいろ助けてくれた」
「それで、旦那さんと結ばれて…… ヴィア幸せそうね」

自分の恋愛を、大切なもののように話すヴィアに、私は、心が暖かくなり、もう忘れてしまったかと
思っていた笑顔を見せている自分に驚いた。

492ザフト・赤毛の虜囚 作者:2004/05/12(水) 08:22
>>『明日』と『終わり』の間に
ネメシス・フレイ様、記憶が戻ったかと焦りましたが、カガリへの勘違いで済んで良かったです。
カガリもくじけることは無いぞ、コーディネータのアスランは、きっと料理も、すぐにうまくなるでしょう。ん?
という訳でおもしろかったです。また、「The Last War」の再開を楽しみにしています。

>>過去の傷
ミリィはイザークに助けられたことで、どうやら早くディアッカと会えそうですね。良かったです。
しかし、その後、ラクスとフレイの修羅場が。アスランはともかく、キラは自業自得でしょう。

>>SEED if 〜Fllay Selection〜
しばらく、この時点で話が進むのですね。抜け殻状態のフレイ様。しばらくは一人寂しい部屋で
今の自分を見つめ直し、どんな結論を出すのでしょうか。

>>キラ(♀)×フレイ(♂)
エール・ストライカーが水中で使えたりと、モラシム艦長もとい下村さん、大喜びの内容でしたね。
バレルロールもやってましたし。ということは船酔いはスルー? って、フレイ(♂)様じゃ無理ですな。
ところで、潜水母艦のクストーって、アラスカの後、クルーゼが乗るやつじゃなかったかな。
あっさり沈んでしまったけど、この辺も変わるんでしょうね。
次は、フレイ(♂)様も加えて、野郎ばかりの運命の出会いですか。助けに来たキラ(♀)が
誰に抱きつくのかが楽しみだったりします。

493過去の傷・137:2004/05/12(水) 09:58
フリ−ダムとジャスティスは壮絶な戦いを繰り広げていた。
といっても実際は練習なので当然だが両者とも本気ではなかった。
フリ−ダムが斬りつける、しかしジャスティスは回避するとビ−ムを叩き込む、そんな練習が繰り返されていた、そんな時。
<キラ、ちょっと待ちなさい!>
プロヴィデンスが接近してきた。
<フレイ!?なんで?君は今日は休みの日じゃ・・・>
<そうだ、アルスタ−二等兵、君は・・・>
<アスランさんは黙っててください、こんな浮気者・・・許さないんだから!>
プロヴィデンスはフリ−ダムに向けてドラグ−ン・システムを発射すると同時に斬りかかった。
<フレイ!落ち着いて!>
<私を好きとか言いながら・・・この・・・浮気者!!!>
<フレイごめん!仕方なかったんだ!誘われて・・・>
<なによ!私のことは遊びだったの!?>
そう言いながらプロヴィデンスは斬りつけるがそれをフリ−ダムは全て回避する、このあたりは流石である、というよりコ−ディネイタ−にナチュラルが敵うはずはないのだが、フレイの戦闘能力は凄まじい。
<フレイ、早とちりしないで!君のことは好きだよ!だいたい守ってくれるって言ってたじゃないか!>
<なんで避けるわけ!?>
<だって損傷するだろ!痛いし!>
<知ったことじゃないわ!>
そしてプロヴィデンスはジャスティスを見た。
<アスランさんも手伝ってよ!>
<手伝うってなにを・・・>
<この浮気者の緩んだ心を叩きなのすのよ!この男は私という女がいながら・・・>
<・・・・・・>
<アスランさんは私とキラいえこの浮気者のどっちの味方なのよ!?>
<俺は・・・アルスタ−二等兵の味方だ、浮気など許せるものか・・・!>
と自分のことを100%棚に上げアスランは言った。
そしてこれからプロヴィデンス、ジャスティスとフリ−ダムの戦いが始まる。

494過去の傷・138:2004/05/12(水) 10:16
「おかえりなさい、イザ−ク」
「ただいま戻りました、それより母上も戻っておられたのですか!?」
「ええ、でもまたでかけなきゃならないのよ、だから後は頼みますね・・・」
「はい・・・」
「ところでそちらは?」
と、隣にいる少女を見る。
まだ幼く年齢的にも17くらいだろうか・・・なかなかの美少女である。
「始めまして・・・ミリアリア・ハウです」
と、その少女は言った。
「イザ−ク、男女交際は私認めてませんが・・・?」
「いえ違いますこの女はディアッカの・・・」
ミリアリアは一瞬思った、この男もアスランと同じくマザコンかもしれない・・・と。

その頃。
「「キラぁぁぁぁ!!!」」
プロヴィデンスとジャスティスはフリ−ダムに襲いかかっていた。

495過去の傷・作者:2004/05/12(水) 10:36
今回はフレイ様の嫉妬を中心に書き込んでます、これからも頑張ります、最後は少ななってしまいました、このところ変わってますので戸惑ってしまってこんなことになってしまいました。
>>SEEDif〜Fllay
この頃のフレイ様ですか、だんだんとキラの優しさに惹かれ始めた頃ですよね、ただ実際優しくされて素直になれない頃ですよね、これからも期待してます。

>>キラ(♀)
とにかくフレイ(♂)様頑張れ!そしてキラはどうするんでしょうか?抱きつくのか?

>>メンデルさん、可哀相そうに、でもヴィアさんのおかげで元気になれてよかったです、でもヴィアさんカガリにピッタリですね、でもメンデルさんこのところ可哀相でしたからほんとによかったです。

496ザフト・赤毛の虜囚 64:2004/05/13(木) 03:56
10.親友 8/8
[私は、本当の親友を見つけた]

「メルの方は?」

明るく自分のことを話し、私のことも聞いて来るヴィアに、私も、つい、おどけて心境を話しだす。
かつて、恋に憧れていたころのことを……

「私は…… 白馬の王子様……」

「え、彼って、そうなの」
「嘘、違うけど…… でもね、そんなのに憧れてたのよ。私って少女趣味かな」

「いや、そんなこと無い。そういうのって素敵よ。メルが憧れてても不思議は無いわ」

ヴィアの言葉に、私は心が暖かくなった。ヴィアには、私のこと、なんでも相談できると思った。
私は、ヴィアに、自分の不安を打ち明けた。

「ねえ、聞いてくれるヴィア? コーディネータのこと。私、不安なの」
「ああ、まかせといて、私、専門だし。なんならユーレンと一緒に相談に乗るよ」

「ええ、お願い」
「メル、彼氏のこと思ってるのね。コーディネータって彼の希望?」

ヴィアは、無邪気に私のことを聞いて来る。本当は私にとって辛いことを。

フラガは、離婚した前の妻との間に、子供ができなかった。それで、私の間に子供をもうけようと
している。名家シェトランドの血を引き、かつ、若くして聡明で、やり手で、自分の築いた資産を
狙っている他の親戚に奪われず、自分の生きている間でも、さらに富を大きくするような、そんな息子を……
それで、ビジネスに関連する能力を強化したコーディネータを望んでいる。娘なんて眼中に無い。
私は、そんなフラガの考え方は馬鹿らしいと思う。そんなのに私が突き合わされるなんて考えたく無い。
だけど、私は、いずれにしろフラガに逆らうことはできない。逆らえば、また、虜囚生活に逆戻りするだけだ。

私は、こんな自分の暗い想いをヴィアに告げるのは躊躇われた。せっかく友達になれそうな彼女に
最初から話すのは辛い。どうせ逆らえない運命なら、精一杯前向きに、フラガの考えを理解しようとした。

「そう……、彼、優れた子が欲しいと言うの。賢くて、安心して自分の仕事を継がせられるような……
 そんな自慢できるような男の子を…… コーディネータって、こういうのできるんでしょ」
「そうね、産み分けは完璧だし、他の親御さんも、みんな同じような想いを託しているわ。
 メル、大丈夫…… きっと望みは叶うわ」

そのヴィアの言葉に、私のコーディネータへの、そして運命への不安が少し和らいだ。

「ありがとう、ヴィア。お願い、もっと、いろいろ教えて」
「オッケー」
ヴィアは、親指を立てて、ニコリと笑う。

私は、本当の親友を見つけた。今は、フラガのこと言えないけど。いつか、きっと、みんな話す。
そして、ヴィア、私の心の鎖を解放して……

私の担当医と起こした一件に関して、特にヴィアに、お咎めはなかった。ヴィアは「正義は勝つ」とか、
言っていたけど、後で聞いた話だと、所長さんの力添えがあったらしい。

そして、ヴィアが、私の担当医になってしばらくしてから……

「メル、紹介する。私の旦那、ユーレン」
「初めまして、ユーレン・ヒビキです」
「え!? 嘘……」

私はビックリした。そして改めてヴィアを見た。気がつかなかった。そうだ、私が、フラガの
家で閉じ込められている間に不思議な感覚で見た時は、ほとんど裸で、顔を真っ赤に上気させてたから。
そうだ、ヴィアって、そうだ。そして、その旦那さんって……

嘘、嘘…… 私が、待ってた人。白馬の王子様?

ジェシカとミーシャの言葉が蘇る。

── メルデル、アンタ、まだ白馬の王子様待ってるの
── いい加減、そんな少女趣味捨てなさいよ

そう、白馬の王子様は、すでに人のもの。それも、本当に心を許せると思った親友のもの。
私は、どうすれば、どうすれば……

* * *

「ヴィア、ごめん……」私はポツリと呟いた。

「どうしたの、メルデル」カリダが覗きこむように見ている。

「え、え、何?カリダ、アレ、アレ?」
「メルデル、また、ぼうっとしてる。育児疲れってヤツ?」

「そんなんじゃないけど」
「ねえ、ねえ、メルデル。それより、また、ムウ抱かせて、抱かせて」

すっかり、私になつくようになったカリダは、頻繁にムウを抱かせてと、ねだって来る。

「ええ、いいわよカリダ。泣かせないでね。さっき、やっと泣きやませたんだから」
「オッケー」

私は、にこやかに微笑むカリダを、親友を見るように、暖かく見つめた。

497ザフト・赤毛の虜囚 作者:2004/05/13(木) 04:00
今回は番外的な章で、親友というテーマで、フレイとメルデルを比較してみました。
二つの時代のジェシカとミーシャは、そのための鍵で、名前と性格が同じ以外は、おそらく容姿も
違う別人のつもりです。ミリィSSのミナシロ編とのリンクは、たまたまジェシカ・ミーシャを
絡ませるのに都合が良いシチュエーションだったからで、リンクする出来事もテーマに添った
部分のみに絞っていました。

次は、ミリィSSの予定ですが、もう少し各所の調整が必要なので、しばらく時間をください。

>>過去の傷
NJC搭載MSの一大決戦が始まりましたね。動機が嫉妬というのはアレなんですが……
エザリアさんのミリィを見る目が恐いです。17歳で幼いって……

498私の想いが名無しを守るわ:2004/05/13(木) 04:34
>>過去の傷
㍉が出てくるだけでハラハラします。フレイ様はラムちゃんみたい。
あまりにも怖い予測なのですが、作者様、次の㍉のターゲットはこの
母子なのでしょうか。その展開は「悪夢は再び」という感じなので……
くれぐれも御身をご自愛ください。

499私の想いが名無しを守るわ:2004/05/13(木) 11:36
>>過去の傷
とりあえず他キャラにも配慮を。
貴方の職人としての意識を最後まで見届けさせていただきます。
全ヒロインファンとして。

500過去の傷・139:2004/05/13(木) 12:49
<フレイ、機体を傷つけないで!>
<傷ついたのは私の心よ!>
プロヴィデンスの攻撃を必死にかわすフリ−ダム。
<反省しなさいよ!少しは謝ったら!?>
<ご、ごめん・・・>
<心がこもってない!!!>
<心から誓う、ほんとにごめん・・・フレイ・・・ごめん・・・」
<まあ・・・いいわ、ならもうやめるわね、他の女の子とは喋らないのと、部屋には絶対に行かない>
<はい、もう行きません・・・>

一時間後。
「ではアスラン、お部屋にお上がりください」
「はい・・・」
顔を青ざめたアスランさんが部屋に入って行くのに私は気づいた。
私とキラも部屋に入った。
「アスラン・・・では全てをお話ください・・・」

「あの・・・ミリアリアさん?少しこちらに・・・」
エザリアに呼ばれミリアリアは付いて行く。
「どういうつもりか知りませんが・・・あまりイザ−クと仲良くしないでください、あの子の交際相手も結婚相手も私が決めますから、いままであの子に近づいた女は私が全て退けてますから・・・」
「はい・・・分かってます」
どうやらこの人、息子を溺愛しているようだ、それにしても綺麗な人。
「ではイザ−ク、後は頼みますね」
「はい・・・」

501私の想いが名無しを守るわ:2004/05/13(木) 13:28
そうです、配慮です・・・まあこれは別に過去の傷の職人様だけに言えたことじゃないですけどね。

502散った花、実る果実49:2004/05/13(木) 23:24
リアの怪我は、すぐに動かせる程軽い怪我ではなかった。
戦艦の中で治療を済ませる、というわけにもいかないらしく、程なくしてリアは地球にあるザフトの保有する病院に転院することになった。

「リア・・・・・」
転院の準備を手伝おうとリアのいる病室を訪ねると、リアは半身を起こして私に微笑みかけた。
「フレイ、いらっしゃい。聞いたでしょ?私、病院にうつることになったの。クルーゼ隊長のお計らいで、ちょっと腕のいい先生のところにまわしてもらえるらしいわよ。もちろん、ある程度以上回復したら、本国でもっとちゃんとした治療を受けることになると思うけど」
つらいだろうに、微笑を絶やさないリア。
彼女が取り乱した様子を見せたのは、最初のあの時だけだった。
「なんて顔してるのよ。あなたのせいで怪我したわけじゃないでしょう。きっと治るわよ。ううん、治してみせる。だって私はコーディネイターだもん、あなたたちナチュラルとは体の出来が違うのよ」
「リア・・・その冗談、面白くないわよ・・・・・」
私はちょっと泣きそうになりながら、そう返していた。
リアが頑張っているのに、私が弱音を吐くわけにはいかなかった。
「治療に専念しなくちゃいけないから、あなたについて宇宙に上がるわけにはいかないけど。大丈夫よ、私も除隊になったわけじゃないし、また会えるわよ。怪我を治して、きっと戻ってくるから。その頃にはこんな戦争、終わってるかもしれないけどね。まあ、この調子だとクルーゼ隊長があなたのこと手放すようにも思えないし、大丈夫、大丈夫。」
きっと実際にはここで別れたら二度と会えない可能性の方が高いのだろう。
戦争が長引けば、いつまでも捕虜を連れまわすわけにもいかないのだろうし、戦争が終わったのであれば尚更クルーゼ隊長が私を連れて歩く意味は無い。
おそらく、これが最後のリアとの別れになることだろう。
「リア・・・・私頑張るから・・・・・元気で・・・・・・」
「何言ってるのよ、こんな怪我人つかまえて。元気で、も何もないでしょう?」
苦くわらってリアは私の手をとる。
彼女にもわかっているのだろう、これがおそらく最後になると。そう思うと、我慢しきれずに涙が一つ落ちた。
「いやだ、泣かないで。私だって、寂しくなっちゃうじゃないの。それより、もう、しっかりしてよね。フレイってば、私より年上の癖に、てんで頼りないんだもの。それに・・・・」
そこで彼女の声が真剣みをおびた
顔を上げると、思いつめたような顔でリアがこちらを見ている。
「もう、私がフォローしてあげることは出来ないわ。フレイ、あなた・・・気をつけて。今回の事で、ナチュラルへの反感はまた大きく育ってしまった。私、あなたが激情したザフト兵に害されました、なんてニュース聞くの、嫌だからね。」
「わかった、気をつける・・・・・ねえ、ナチュラルとコーディネイターがわかりあえる時代って、こないのかしらね・・・私、リアと会えて、コーディネイターに対して一杯誤解していたって、気がついたの。リアと会えてよかった。こんな風に、皆わかりあえたらいいのに。戦争は、どうしたら終わるのかしら・・・・・」
「私もよ」
リアは優しく頷いた。
「私もフレイに会えてよかった。・・・大きな声では言えないけど、ナチュラルもそう捨てたもんじゃないって、思うことができたわ。それでも私はコーディネイターである自分に誇りを持っているし、体が治ったらやっぱりコーディネイターのためにザフトで働くと思うけど・・・それは今までのナチュラルを否定する気持ちからじゃない。守りたいものがあるから、守るための力がある限り、私にできる事をすると言うことよ。」
「戦争が、終わるといいわね。そしてリアの体が早く治るといい。リア・・・本当に、どうか元気で。私リアの事忘れないわ・・・・」

503散った花、実る果実50:2004/05/13(木) 23:27
「本国は久しぶりだろう、イザーク。家族に顔を見せて、安心させてやるといい」
「は!ありがとうございます。・・・・・早く座れよ!」
クルーゼ隊長への誇らしげな応対とは対象的に、私に侮蔑するような視線と言葉をなげかけるイザーク。
私は彼のことが怖かった。彼のナチュラルへの蔑視は終始変わらぬものとしてそこにあるように思えたから。
ザフトのナチュラルに対する反感を、彼は代表しているように思えたのだ。
「ふんっ」
怯えた様子でクルーゼ隊長の横に座った私をみて、彼は軽蔑するように息を吐いた。
ここにはもう、リアはいない・・・・・・敵意に囲まれたこの状態でどうやってすごしていけばいいのだろう。
宇宙には・・・・これから戻る、この広い宇宙(そら)には、何が待っているのだろう。
「怖がることはない、私のそばにいれば安全だよ。私がちゃんと君を守る。だから安心したまえ、フレイ」
その声に、パパの優しい声が重なった。
「大丈夫だよ、フレイ」
パパ・・・・・
いつでも私を守ってくれていたパパ。
この人に従っていれば、本当に大丈夫かもしれない・・・・・
パパの声で、パパの言葉で私を包んでくれる人。
目をつぶればほら、パパの香り・・・・パパの声しか聞こえない・・・・・
パパといれば、大丈夫。昔からそうだったじゃない・・・・・
民間機とは違い、ひどく揺れる機体に恐れをなして目をつぶってしがみついている私の腕を、彼の手が優しく押さえた。

504散った花、実る果実/作者:2004/05/13(木) 23:48
とりあえずミリアリア・リスティアとはここでお別れ。
フレイ様にミリィを思い出させるために引っ張り出してきた彼女ですが、彼女自身は思ったより生き生きと動いてくれました。
ミリィとの関連性はあまり使えませんでしたけどね・・・ちょっと反省。

>>過去の傷
逆上フレイ様、実は結構好きだったりします。
ちょっとすっきり・・・・なーんて。

>>流離う
うーん、だんだん情報が拡散してきましたね・・・
あの状態のあの面子に納得させなきゃならないなんて、キースさんも可哀想に・・・・

>>赤毛の虜囚
そうだったのですね。すいません、最初、メルデル、ジェシカ、ミーシャ?と、ちょっと迷ってしまいました。
にしても、ヴィア格好いいですね!メルデルが惚れるのもわかります。
しかし、親しい友人の旦那さんを好きになってしまうというのは・・・そしてこの後は・・・って事を考えると中々つらいですね・・・・

>>キラ♀フレイ♂
なんとなくフレイ様動じはしないかなー、とは思ってたのですが、予想より状態やばめな感じがします。
しかし、アスランvsフレイ様って・・・・・アスラン勝ち目ないような・・・・・
予告素直に笑いました。

>>SEED if
ここは辛いところなんですよね・・・・
フレイ一人称、情報量が少ないのが大変なんですよね。私も苦労しました。

505散った花、実る果実/作者:2004/05/14(金) 01:31
>>明日と終わりの間に
面白かったです!パロディもお上手ですね。
きっとアスランはカガリの料理をこれからも食べつづけていくことでしょう。
そしてキラも赤いカレーを食べてくれる・・・・・かな?

506私の想いが名無しを守るわ:2004/05/14(金) 03:31
>>過去の傷
フレイ様コワッ。<フレイ、機体を傷つけないで!>
<傷ついたのは私の心よ!>←間の抜けた会話ですが笑えました。
会話中心の展開は、イマイチキャラの心情が分らなくて、他の職人さん
みたいにキャラに自分の心情を語らせるとか、作者がキャラのとりまく状況を説明
するといった作業の比重を増やさないと、あるいは台詞が過激なもの多いだけに
色々誤解を招くかもしれませんね。とりわけ本編の過激なフレイ様の台詞を他キャラ
が言う場合特に、強く感じました。しかし、こればかりは職人さんのスタイルもある
でしょうし、えらそうに書きましたが私自身SSを書いたことないので、なんともいえ
ないところですが。読み手の側からの一意見として聞き流してください。
昨日は言い忘れましたが私も作品完結まで応援してます。

>> 散った花、実る果実
リア篇、面白かったです。個人的には交換留学で整形云々の話が面白かった
です。ザフトの4人組ではなく、平凡な感じのコーディの女の子との出会い
というのは良かったと思います。しかしこれから宇宙に上がるのかあ…
かなりブルー入りますね。

507ザフト・赤毛の虜囚 作者:2004/05/14(金) 07:48
SS調整遅れてますが、一区切りついた話もありますので、感想だけ上げさせてもらいます。

>>過去の傷
フリーダム対プロヴィデンス、キラは完全にフレイ様に陥落ですか。
アスランは、こちらはこちらで修羅場のようで……
今度は、エザリアさんが…… いや、TV本編も、そうだったかな?

>>散った花、実る果実
ついに 50話まで行きましたね。リアとフレイ様の語らい、互いにコーディネータとナチュラルの
意識の変化が見えて心が癒されました。こんな二人なら、もっと、身近な女の子らしい趣味の会話とかが
あっても良かったとさえ思います。
クルーゼには心を許しているフレイ様ですが、イザークとは、あまり絡んでいないようですね。
次の舞台は宇宙、プラント。どういう話が補完されるか楽しみです。

>>506
私のSSは一人称で心情語りがありますが、これはこれで状況説明が一面的になるので、
逆に会話を増やさないと話が進展しないです。少なくとも、私のスタイルはそうですね。
三人称で各キャラの心情を客観的に説明するのはいいんですが、作者の立場で説明しすぎる
小説スタイルは、個人的には、あまり歓迎しません。作者自身が読み手の感じ方を制限するみたいで。
まあ、うまく話が構成できなかった場合は、私もやってしまいますけど。

他キャラの台詞やシチュエーションの流用はSSの醍醐味で、書く方からすると知らずに
使っていることがあります。ですが、私、以前のスレで読み手としては拒否反応起こしたことが
ありました。あの時のことは反省してます。それで、流用は本当に難しいことだと実感しています。
やはり、書いた後、できるだけ時間を置いて、読み手の立場でチェックを入れることが必要なんでしょうね。

508過去の傷・140:2004/05/14(金) 11:54
私だって興味津々だった、アスランさんとミリアリアにあの夜、一体何があったのか・・・。
まずアスランさんの顔を伺った、いつも冷静そうに見えたアスランさんがオドオドとしているのが私には分かる。
ラクスというと落ち着いている、いつものラクス・・・私と同じくらいの年にしてはこの子いつも大人びて見える。
「とりあえずコ−ヒ−でもお飲みください」
そう言うと沸騰していたお湯をコ−ヒ−カップに注ぎアスランさんと自分の席に・・・そして私とキラにも注いでくれた。
「ありがたくいただきます」
ため息をついたラクスが席に座ると口を開いた。
「アスラン・・・ではお願いします」
「・・・・・・」
アスランが戸惑っているのに気づいたラクスは微笑んだ。
「アスラン・・・正直に全てをお話ください、私は怒ったりしません、ですから・・・クライン邸でも言ったことがありましたが、私達に隠し事は無しですわ」
きりっとした口調で言うラクス、やっぱりこの女は強いわ。
アスランさんがゆっくりと話しはじめた。
ラクスの顔が少しずつ引きつってきた、珍しいことよね、この子が。
「ラクス・・・落ち着いて」
私はラクスの肩に手をかけて優しく言った。
「は、はい・・・分かってます」
そして・・・全て・・・一部始終を全て話した。
「ほ、本当なのですか!?そ、その話は全て・・・」
「は・・・はい、申し訳ありませんでした!」
ラクスはもはや放心状態だ。
「そ、そんな・・・アスラン・・・貴方は浮気を・・・」
「も、申し訳ありません、私もどうかしてて・・・」
ラクスはほんとに信じられないという顔をしていた。
私だって信じられなかった、アスランさんがミリアリアと・・・。
「アスラン、君がミリィと・・・君がラクスさんを裏切るなんて・・・」
キラも戸惑う。

その頃プラントでは。
イザ−クさんに留守番を頼まれ残っていた私は・・・。
なんで?なんでイザ−クさんは私をここに置いてくれているのだろうか、怖そうな人だけどほんとは優しい人なのかもしれない。
そしてイザ−クさんの部屋を整理していた私はある写真に目が行く。
ディアッカにアスランさんにイザ−クさんに・・・ええと・・・名前が書いてるので読んでみるけど・・・ミゲルって人とニコルって人が一緒に写っている。
この人達皆仲間なのね・・・。
それから引き出しに手紙が置いてある、ええと・・・ラクス嬢への手紙?読んでみると・・・。

509私の想いが名無しを守るわ:2004/05/14(金) 13:52
>>過去の傷。
一人称の変化にとまどいます。
誰のモノローグか時々ついていけない自分は修行がたりないようですねw

510流離う翼たち・476:2004/05/15(土) 00:35
 キースはナタルが運んできた紅茶を一口啜りながら、内心ではどうしたものかと必死に悩んでいた。話すとは言ったものの、実は2人を満足させられるような答えなどキースには無かったのだ。かといって今更誤魔化しも効くとは思えない。何より既にこの状況が自分の退路を断っている。
何しろ自分の前には不機嫌さと困惑を同時に浮かべるカガリと、黙ってじっと自分を見続けているナタルがいるのだ。

「ああ、その、なんだ、怒らない?」

 表面冷静に、内心では混乱気味だったキースは、ポロリと不味い事を口走ってしまった。古今東西、こういう事を聞かれて怒らない奴はいないのだ。

「何だ、何か都合の悪い事でも隠してるのか!?」
「事と次第によりますね」

 いきり立って飛び掛ってきそうなカガリと、もうその辺のマフィアが逃げ出しそうな目で睨んでいるナタル。どっちかというとナタルの方が怖い。

「い、いや、そういう訳じゃなくて、多分期待には答えられないと言ってるんだ」
「どういう事だよ!?」
「つまりだな、俺はお前がどうやってアスハ家に渡ったのかは知らないんだよ。何しろヘリオポリス崩壊後にアークエンジェルでキラを見るまで、2人とも死んだと考えていたんだからな」

 キースの言い訳じみた答えにカガリは顔を赤くしたが、すぐにガクリと肩を落としてその場に崩れ落ちるように膝を付いてしまった。その表情は衝撃に打ちのめされているようにも見えるが、不安も見て取れる。
 キースはそんなカガリの姿に罪悪感さえ抱いてしまった。本当はこのまま墓場まで持って行く気だった事実であり、知らせれば平静ではいられない事くらいは想像が付いていたのだから。自分も真実を知った時には暫く塞ぎこんだのだ。
 だから、キースにはカガリにただ謝る事しか出来なかった。

「すまん、カガリ」
「・・・・・・なんで、あんたが謝るんだよ。別にあんたのせいじゃないだろ」

 カガリはキースに謝って欲しくなどは無かった。いや、同情などされたくないだけかもしれない。子供っぽい意地と言われるかもしれないが、これは子供だろうと大人だろうと変わらないだろう。
 そして、それが分かるだけにキースもそれ以上は何も言わず、ただ頷くだけでカガリに答えた。カガリも立ち上がり、自分の席に戻って紅茶を手に取り、音を立ててそれを飲み干してしまう。
 そしてそれをソーサーに戻したのを見計らって、キースは自分の知っている事を話し出した。

「・・・・・・カガリ、お前の過去の経緯だが、知っていそうな人間を俺は知っている」
「本当か!?」
「ああ、一人はお前の育ての親、ウズミ氏だ。そしてもう1人はカリダ・ヤマト。キラの育ての母親だ」
「お父様とキラの母さんか。でも、何でキラの母さんが知ってるんだ?」
「カリダ・ヤマトはキラの叔母、つまりお前達の母、ヴィアの妹だからだ。どういう経緯かは知らないが、カリダ・ヤマトがお前たちを何とか脱出させたんだろうな」

 キースも全てを知っているわけではない。全てを知っているであろう者達は多くがメンデル研究所と共に死んでいるし、僅かに断片を知る者たちは世界中に散ってしまっている。その知っている者がキースの育ての親やアズラエル、サザーランド、パトリック、ウズミ、マルキオたちであり、キースの知識は研究所での教育と育ての両親から聞かされた話でしかない。
 そして、彼らでさえメンデルの全てを知っている訳ではない。それぞれが断片を知っているだけで、実際にメンデルで何が行われていたのかは謎に包まれている。その中でカガリとキラのことを知るのは3人に限られてしまうのだ。そうでなければ2人どころかヤマト夫妻は生きてはいないだろう。特にキラはブルーコスモスの最優先抹殺対象だったのだから。

511流離う翼たち・作者:2004/05/15(土) 01:04
忙しい間に随分進んでいる。頑張らねば
ちなみにキースは今回で引き出しの中身を大体出してしまいました。

>> ザフト・赤毛の虜囚
メルデルさんも大変ですねえ。ヴィアさんとの出会いはまるで熱血青春物ですな
しかし、兄貴もこれから大変でしょうなあ

>> 過去の傷
ラクスとフレイ様も大変そうだけど、キラとアスランも大変そう。男は自由を求める生き物です!
ミリィはちゃんとディアッカの所に行けるんですかね。なんか迷子になりそうな気が

>> 『明日』と『終わり』の間
ダイビングメッセージって、発見されたらカガリは逮捕w?
帰ってきたキラの運命や如何に

>> キラ(♀)×フレイ(♂)
アークエンジェル隊強い。でもカガリ、なんだか道無き道を突っ切ってゴールに行っちゃった様な
でも、この2人とアスラン、出会ったら常識人なアスランはついていけない気がw

512過去の傷・141:2004/05/15(土) 10:10
その昼。
プラントの歌姫、ラクス・クラインが低気圧を頭の上に漂わせながら、通路を歩いていた。足取りは荒く、目つきもあまりよろしくない。
明らかに「私は今、とても機嫌が悪いです」といった様子だ、こんな彼女は見たことがない、いつもプラントでは笑顔を絶やさず誰にも微笑んでいた彼女が・・・。
アスラン・ザラはその後ろを、こそこそと歩いていた。
ラクスはアスランの方を見ようともしない、アスランは仕方なくついていった。
誰もいなくなったところでアスランは思いきって声をかけた。
「あ、あのーラクス」
「・・・・・・」
返事はない。
「ラクス・・・その・・・」
歩みがぴたりと止まった、ぐるんとこちらを向く。
「なんでしょうか?」
恐ろしげな視線と共に彼女は返事をした、それも敬語だはあるが明らかに冷たい言い方で怒った口調だ。
「その・・・なにかあったのですか・・・?」
「・・・・・・」
「い、いえその、ずっと口を聞いていただけませんし、話かけようとして無視されますし、そのわりには私を刺すように睨みますし、なにか嫌なことでもあったのかなと・・・思いまして」
アスランはつっかえながら話した、対するラクスは冷たく冷え切った口調で。
「・・・・・・ご自分の胸に手を当てて考えてみたらいかがですか・・・?」
アスランは言う通りにした。
「あの・・・覚えがないんですが・・・」
「覚えがないとはなにごとですか!!!」
突然ラクスに大声を出されアスランは仰天した。
「先程のことです!私の部屋!アスランはあのときなんとおっしゃったかお分かりですか!?貴方は婚約者がいながらミリアリアさんと・・・」
「で、ですからあれはですね・・・」
「よくもぬけぬけと・・・この浮気者!!!」

その頃フレイとキラは。
「なんだかいまごろ修羅場になってるんじゃないかな・・・」
「そうね・・・」
そい言いながら歩いていた二人は腕を組んだサイとジュリに会う。
「サイ・・・」
フレイが寂しそうに呟いた。

513私の想いが名無しを守るわ:2004/05/15(土) 23:54
>>過去の傷
色々粘着レスしてすみませんでした。つい上の議論が色々
考えさせられる内容だったので、自分も意見を書いてみた
のですが、どうも他人様の尻馬に乗って追い討ちかけてしまっ
た気がします。また何か書くかもしれませんが、批判なり意見を
書くにしてももそっと気をつけたいと思います。
>>ザフト・赤毛の虜囚
色々教えていただきありがとうございました。どうも会話中心の
SSは音声や画像の無いTVや映画の脚本をそのまま見せられている
ような気分がして、文字媒体のメリットを全然生かしていないよう
に思っておりました。これではキャラの心情が伝わらんなどと思い、
先日書いて見たのですが、ご意見を読んでみると、どうも、そう
単純な話ではないようで、いろいろ学ぶこと多かったです。あと
他キャラ台詞流用の件はちょっと読み手オンリーの側からでは分
らない心理で面白かったです。

全ての職人の皆様、これからも投下期待しております。

514私の想いが名無しを守るわ:2004/05/18(火) 22:51
職人の皆様、避難所で問題が起きていますが気にしないでSS続けて結構です、応援する人達だっているんですから。

515私の想いが名無しを守るわ:2004/05/19(水) 07:22
問題自体は避難所で起きたのではなくここが発火点だと思います。

ですので概要をご存じない職人さんたちも、今後のために一応目を通してみてください。
作品発表をされていらっしゃる方々なら、読後の感想(辛口のものもありますが)
知っておかれるほうが良いかと思います。
もちろん、今のところは何か方針が決定しているわけではありません。
とりあえず何も無かった事では議論した意味が無いと思います。
批判だとの声もありますが、あくまで議論だと私は思います。

516私の想いが名無しを守るわ:2004/05/19(水) 08:39
過去の傷の作者様と他の作者様、もし議論や批判のせいで投下が進んでないなら、すいません、住人の一人として謝ります。

517私の想いが名無しを守るわ:2004/05/19(水) 09:45
投下する、しないは厳しいようだがもう本人の裁量だろうね。
とりあえずはこっちに持ってくるのをやめようって事で
あちらに移動したんだからこの話はあちらで。

518注意書き:2004/05/20(木) 00:46
他のキャラへの配慮を忘れずにお願いします。キャラへイト・他キャラへの配慮が足りない、と思われるSSはこちらではなく個人サイトでどうぞ。SS職人さん、投下をどうぞ再開してください。

519キラ(♀)×フレイ(♂)・44−1:2004/05/20(木) 02:47
「カガリが行方不明!?」
「らしいぜ。俺も最後のディンをあいつが撃墜した所までは確認したんだが、
あの後、何があったのやら…」
モラシム隊長からの熱烈なラブコール(無理心中宣言)を跳ね除けて、命辛々AA
に帰還したキラは、パイロットルームへ着替えに行く途中で合流したフラガから、
二号機がロストしたという情報を聞かされ息を呑んだ。
「それと、これはまだ未確認情報なんだが…」
そこでフラガは言い難そうに口篭もる。カガリ失踪事件にはさらなるオマケがついていた。
「フ…フレイが、カガリと一緒に!?ど…どうして!?」
「俺にもさっぱり判らねえよ。マードック軍曹が、フレイが二号機に乗り込んだのを
目撃したらしいんだけど、どうすりゃ、そういう事態になるのやら見当もつかねえよ。
まあ、ガセネタの可能性…というか、こんな支離滅裂な話しは多分デマだと思うけどな」
キラだけでなく、フラガも困惑している。正規軍人である彼には、シスコン的な動機から、
非戦闘員のクルーを拉致したカガリの思惑など永遠に解けない謎だろう。
カガリにフレイという、彼女の両翼を担う男性を立て続けに失ったキラは唖然とする。
しばらく茫然自失状態だったキラだったが、意を決したように頷くと、突然駆け出した。
「おっ…おい、キラ!?」
「私、確認してくる」
キラは着替えを後回しにして、フレイの不在を確かめるつもりみたいだ。
フラガも、事の仔細が気になったので、キラの後を追うことにした。


「おい、何の騒ぎだ?」
前方の居住区域に人だかりの山を発見したフラガは不審そうな表情を啓かす。
良く見ると、フレイの部屋の前で、SF映画に出てきそうな白い防護服を着たクルーが、
シュー、シューと派手な音を立てながら、消毒液を撒布している。
「何でも、ここら付近一帯で毒物が検出されて、今、衛生兵が掃除している所みたいです。
少し前に異臭が発生して、調べてみたら、どうやらフレイの部屋が震源地みたいで…」
野次馬の一人として見物に来ていたカズイが、フラガ達に気付いて簡単に状況を説明した。
「はぁっ!?一体、何がどうなっているんだよ!?」
フレイがカガリと一緒に行方不明になったと思ったら、そのフレイの部屋から毒物が
発生したという。せっかく、無傷に近い状態で敵を撃破したというのに、次から次へと、
彼の常識からは想定不可能なトラブルが続出し、フラガの頭はパニックになりそうだ。

「けど、これでフレイが本当にカガリと一緒に消えたのは確かみたいだな」
事態の真相究明にはしばらく時間がかかりそうだが、未確認情報の一つは確定したらしい。
ふと、不安そうに俯いているキラの様子に気付いたフラガは、軽く彼女の肩を叩いた。
「心配すんな、キラ。カガリもフレイもそう簡単にくたばるような柔な玉じゃないだろ?
超過勤務手当てはつかないだろうけど、一緒に探しにいくか?」
「は…はい!」
フラガの暖かさに絆されたキラは、太陽のように表情を輝かせて大声で返事をする。
普段はおちゃらけているが、彼は緊急時には極めて頼りになる兄貴分だった。

「フレイが行方不明か…」
ミリアリアと一緒に野次馬の中に紛れ込んでいたトールはボソッと呟いた。
ほんの一瞬だが、「あいつを、このままMIA扱いして先に進めないだろうか」
などという考えが頭を掠めてしまい、その発想の卑しさに軽く自己嫌悪する。
ふと、隣にいるミリアリアと目が合った。トールの視線に気付いたミリィは何故か
後ろめたそうに顔を背ける。トールは多分、彼女が自分と似たような邪な考えを
巡らせて、同じように良心を咎めさせているんだろうなと思った。

520キラ(♀)×フレイ(♂)・44−2:2004/05/20(木) 02:47
「まさか、こんな所でザフトと遭遇するとはな…」
フレイと一緒に匍匐前進の姿勢で、崖下に仰向け状態で安置されているザフトのMS
を発見したカガリは瞳に好戦的な色を浮かべる。ザフトの輸送機との予期せぬ邂逅で
無人島に不時着した二人は、無線が一切通じないのを確認すると、島内探索へと出掛け、
そこで運よくザフト側よりも早く敵(エネミー)の存在を把握した。
MSの胸元のコックピット部分が開く。すると中から赤いパイロットスーツを着込んだ
男性のパイロットが出現した。
「あれは、イージス。とすると、今のがアスラン君か?」
赤服のザフト兵(アスラン)に対して強い敵意を発散するカガリとは逆に、彼を見つめる
フレイの視線には、新しい玩具を見つけた幼児のような無邪気な好奇心に溢れている。
フレイが騒ぎ一つ起こさず、カガリに拉致されるに任せて素直に同行したのは、
何となく面白そうなイベントに遭遇しそうな予感がしていたからだ。どうやら危険覚悟で、
わざわざカガリ君についてきた甲斐があったみたいだ。フレイは密かにほそく笑む。

「おい、やるぞ。フレイ」
カガリはフレイの心中の思惑を無視すると、ガサゴソと懐の脇のリュックを漁って、
中から取り出した拳銃をフレイの掌に差し出した。
「やるって、何をだい?」
「決まってるだろ、アイツをやっつけるんだよ。あの敵兵を殺すか拿捕するかして、
ザフトに奪われたMSを再び奪い返せれば、大手柄だろ?」
カガリは何を今更当たり前の事を…と言いたげな表情で逆に問い返してきた。
狭い無人島内で、敵同士で仲良くするのも叶わない以上は、まあ妥当な判断ではある。
「おいおい、ちょっと待ってくれよ。君は僕に何を期待しているんだい?」
有り難くもド素人のフレイを戦力の頭数に加えた上で、アタックを仕掛けようとする
カガリの暴挙に、フレイは待ったを掛ける。彼は至近距離から四発ぶっ放しても、
一発当てられるかどうかという腕前なのだ。ましてや、あのザフト兵が本当にアスラン君
だとしたら、彼がサドニス島で手玉に取った間抜けなコーディの兵士とは訳が違うだろう。
二対一(フレイは戦力とは換算できないので、実質一対一だが)でも到底勝ち目はない。

それでも、あの時のように、敵の不意をつければ、話しは別か…。
フレイは、自分には役に立たないであろう拳銃をカガリに返すと、小声で囁いた。
「良く聞けよ、カガリ君。僕が今から囮になって、彼の注意を惹きつけるから、
その隙に、君は彼の後方に回りこんで、後ろから敵を撃つんだ。いいね?」
「お…お前、何、勝手な事を言って……」
「それじゃ、任せたよ」
「お…おい!?」
フレイはカガリの抗議を無視すると、派手に土煙を上げながら、崖下へ滑り降りていった。


「何だ?」
コックピットのハッチを閉めようとしていたアスランの眼前で、地球軍の軍服を着た
少年が、崖の上から滑り落ちてきた。彼は崖下まで辿り着くと、軽く両腕を挙げたまま、
堂々とこちらに向かって歩いてくる。
「動くな!それ以上近づくと撃つぞ!」
あまりに無防備な敵兵の大胆さに幾分戸惑いながらも、アスランはMSから飛び降りると、
ホルスターから銃を取り出して、解剖学的な正確さで、銃口をフレイの心臓に定めた。
その威嚇命令に従い、フレイはその場に足を止めたが、臆した様子は見られない。
「君がアスラン君かい?」
ピクリとアスランの眉が動く。己の姓名をピタリと言い当てた初対面の敵兵の存在に、
アスランの瞳に強い警戒心が浮かんだ。
「何者だ、お前は?」
「キラが君を敵に回してでも守ろうとしていたお友達の一人かな?」
フレイは薄い笑いを浮かべて、口元を皮肉に歪めながら、自身の正体を明かした。

521キラ(♀)×フレイ(♂)・44−3:2004/05/20(木) 02:48
「な…何?」
キラの名前を聞いたアスランの心に動揺が走る。しばらくの間、迂闊にもアスランの
意識は目の前にいるキラの知人を名乗る男(フレイ)一人に集中された。

「動くな!銃を捨てろ!」
フレイが生命賭けで作った隙を逃さずに、崖を大きく迂回して、アスラン達の後方に
回り込んだカガリは、数メートルの至近距離から銃を突きつけた。予期せぬ事態の連続に、
一瞬、呆然としたアスランだが、直ぐに意識を回復すると、冷静に状況判断に努める。
どうやら、自分は地球軍兵士の連携プレイに見事に嵌められたらしい。背中にヒシヒシと
突き刺さってくる殺気は確かな敵兵の存在を感じさせる。いくらアスランが銃の名手でも、
流石にこの状態だと、振り返るよりも早く、敵の弾丸が彼の背中を貫くだろう。
「もう一度だけ言う。その姿勢のまま銃をこちらに向かって放り投げろ!でないと撃つ!」
カガリが威嚇するかのように撃鉄を鳴らす。敵を可能な限り生かしたまま捕虜にしようと
するカガリの人道的な処置(騎士道精神)に、フレイは内心で舌打ちした。
何をやっている!?警告なんかしている暇があったら、何故さっさと撃たない!?
フレイはコーディネイターを嫌っていたが、その能力を過小評価してはいなかった。

アスランは最後通告に従い、カガリに背を向けたまま、銃をカガリの目の前に放り捨てた。
カガリの意識が、一瞬、銃に集中した刹那を見逃さずに、アスランは行動を開始する。
電光石火。アスランはまるでワープしたかのようにフレイの後方に一瞬で回り込むと、
後ろから彼を羽交い絞めにしながら、フレイの頚動脈に軍用ナイフを押し当てた。
「形勢逆転だな。仲間の命が惜しければ、お前の方こそ銃を捨てるんだな」
フレイの悪い予感は物の見事に的中した。オセロの白黒セルのように優劣は引っ繰り返り、
彼はアスランを守る為の盾にされてしまった。アスランは鋼のような強力(ごうりき)で、
フレイの身体を押さえつけて、フレイを金縛りにする。どうやら、MS戦ならともかく、
生身の白兵戦では、アスラン君の戦闘能力はキラをはるかに凌駕するらしい。

フレイを人質に取られて投降を迫られたカガリは、最初、軽く舌打ちし、次に、頭の上に
ピカリと豆電球を灯らせると、最後は、凶悪な肉食獣の笑顔でニヤリと微笑んだ。
微速度撮影の画面のような速さで、カガリの一連の顔面の筋肉の変化をリアルタイムに
見せつけられたフレイの頬から、流石に冷や汗を滲み出てきた。
「だ…駄目だ、アスラン君。彼は僕ごと君を撃つつもりだ」
「ふん、何を馬鹿な事を…」
アスランはフレイの世迷言を無視したが、次の瞬間、カガリは何の躊躇いもなく、
本当に発砲した。島内に銃声が連続して木霊し、森の中にいた鳥達は銃声に驚いて、
悲鳴を上げながら、蜘蛛の子を散らすように、彼方此方に飛び去った。

「何い!?」
コーディ特有の驚異的な動体視力で、カガリの指先が動くのを視認出来たアスランは、
反射的に地面に仰け反って銃弾を回避する。弾丸は、少し前まで彼らがいた空間を
貫いて、そのまま崖に減り込んだ後に、ポロリと地面に落ちた。

「ふ〜う。危なかった」
アスランの拘束が解除されたと同時に、彼と同じく地面に寝転がって、銃弾を回避した
フレイは安堵の溜息を吐く。そのフレイと低い位置で目が合ったアスランは、地面に両手
を着くと、忌々しそうにフレイを睨んだ。
「一体何なんだ、お前らは!?」
アスランは自分の精神がどんどん失調していくのを感じた。ザフトのエリート部隊
(クルーゼ隊)の一員として、数多の戦場を駆け抜けてきたアスランだが、こんな
ふざけた敵に出会った体験はない。もしかして、自分はドッキリカメラにでも出演
させられているのではないか…などという現実逃避的な考えが頭の中を過ぎった。

522キラ(♀)×フレイ(♂)・44−4:2004/05/20(木) 02:48
「ちぃっ!!」
フレイとアスランの位置が大きくばらけてしまい、敵ごと撃ち殺すという大義名分(口実)
を失ったカガリは、大きく舌打ちすると、仕方なくアスランの方に銃火を集中させる。
こいつ等の本当の正体は、軍人ではなくコメディアンではないかと疑ったアスランだが、
使われている銃器が本物である以上は、不本意だが真面目に戦わざるを得ない。
アスランは、再びカガリの銃撃を避けると、山猿のような身軽さで、崖から崖へと跳躍を
繰り返し、10m近くはある崖の上を飛び越えて姿を消した。

「全く、世話が焼ける…」
奇襲に失敗した地点で、フレイはこの戦闘そのものを見限った。カガリも一廉の戦士
ではあるが、アスランの今の忍者染みた身体能力といい、敵の力量はそれをはるかに
上回ると思われ、こうして一から仕切り直されてしまった以上、勝敗の帰趨は明らかだ。
だとすれば、この場はフレイが何とか収めるしかないだろう。現場(戦場)の軍人の
失態を上手く取り繕うのが、外交家の本来の責務なのだろうから。そう思い込んだフレイ
はMSの上に攀じ登ると、何故か、イージスのコックピット内部に潜り込んでいった。



フレイの推測通り、アスランとカガリのバトルは瞬く間に勝敗が決した。襲撃を警戒する
カガリを尻目に、逆側の崖に回りこんだアスランは大きく跳躍して、カガリの懐に一気に
潜り込むと、銃を構えたカガリの利き腕を掴んで、そのまま柔道の一本背負いの要領で
カガリを投げ飛ばした。
「女を殺すのは気が引けるが、売られた喧嘩だしな…」
背中を強く打った呼吸困難を堪えて、必死に銃に手を伸ばそうとしたカガリを嘲笑うかの
ように、銃を遠くに蹴飛ばしたアスランは、そのままカガリに馬乗りになる。
「ふざけんな、俺は男だ!いい加減にしろよな、お前ら!!」
カガリの告白に、軽く瞬きしたアスランだが、すぐに眼を細めると殺意を漲らせる。
「そうか…。それなら、何の気兼ねもなく殺せるな」
アスランは大きく軍用ナイフを振り被る。いっそ、芸風を広げて、女の振りをして悲鳴
の一つでもあげて見せれば、アスランも躊躇したかも知れないのだが、生命よりも
男のプライドの方が大事そうな彼に、そういう類の副芸を期待するのは無理だろう。
カガリは死を覚悟して歯を食い縛ったが、意外な人物がカガリの窮地を救った。


「おっと、そこまでだ、アスラン君」
その声にナイフを振り下ろそうとしていたアスランの動きがピタリと止まった。
反射的に二人が振り返った声の先には、アスランもカガリも一時的にその存在を失念
していたフレイが、イージスのコックピットから丸腰のまま這い出しきた。
「イージスの内部にプラスチック爆弾を仕掛けた。この時計の数値がゼロになる
前に特定の解除コードを打ち込まない限り、君の愛機は木っ端微塵だよ」
フレイはそのままMSの上から飛び降りると、これ見よがしに、彼の左腕に巻かれた
腕時計を模した起爆装置の存在をアピールする。デジタル数値は刻一刻と値を
減らしており、爆発まで既に二分(120秒)を切っている。
「フェイズシフト装甲とやらも、内側から爆発されたら一溜まりもないだろ?
尤も、今はPSは展開されていないみたいだけどね。さて、どうする、アスラン君?」
「き…貴様!?」
アスランは慎重にカガリの首元にナイフを押し当てて威嚇したまま、フレイを睨んだ。
とんでもない失態だ。彼が任された大事な機体の命運を敵の手に委ねてしまうとは…。

523キラ(♀)×フレイ(♂)・44−5:2004/05/20(木) 02:49
一見、形勢は最逆転したかのように見えたが、このままイージスを爆発させても、
二人ともアスランに殺されるだけだ。ここからが、フレイ(交渉人)の真骨頂だ。
「取引といかないか、アスラン君?こちらから仕掛けておいて何だけど、この無人島に
いる間は、お互いに一時休戦としないか?そうすれば、こちらも起爆を解除するよ」
フレイからの予期せぬ停戦案にアスランは眉を顰める。この不愉快な長舌族(フレイ)
は今度は一体、何を企んでいるのか。だが、迷っている時間はあまり無い。この間にも、
爆破時刻はどんどん迫っており、フレイの腕時計の数値は既に三桁を下回っている。

「やれ!、いいから爆発させろ、フレイ!」
アスランが答えるよりも先に、真下にいるカガリが、自分の立場も弁えずに大声で喚いた。
「このまま放っておけば、あのMSはまた地球の人間を大勢殺すんだろ!?
それに起爆コードを解除したら、どのみち俺達は殺されるぞ。ビクトリアのナチュラルの
捕虜は全員虐殺されたって聞いた。ザフトがナチュラルとの約束なんて守る筈がない!」
平和的な解決手段(?)を模索するフレイと異なり、カガリは玉砕の道を選んだようだ。

おいおい、命乞いをしないのは立派だけど、何、いきなり仲間意識で訴えているんだよ。
君はついさっき、僕に何をしようとしたか、すっかり忘れたのかい?
都合の悪い記憶(現実)は、直ぐに脳内から消去されるのが、性格が天と地ほど離れた
この兄妹(カガリ&キラ)に共通する数少ない特徴の一つであるらしい。
フレイは内心でそう呆れながらも、交渉成功の為に、敢えて私心を抑える事にする。
「心配いらないよ、カガリ君。キラの話によると、アスラン君は一度交わした約束を
破るような卑劣漢ではないらしい。キラが恥知らずの嘘吐きなのか、それとも、
長年、キラがアスラン君に騙されていたのでない限りは、僕らは助かるよ」
フレイは巧みに、キラの存在を盾に取り、アスランのキラへの想いそのものを
人質にすることによって、交渉をリードしようと試みた。
「どうする、アスラン君?もう、ほとんど時間はないよ。ストライクのパイロット(キラ)
ならともかく、どこの馬の骨とも判らないナチュラルの雑魚二人の首を持ち帰った所で、
イージスを失った君を、君の仲間や上官は暖かく迎えてくれるとは思えないけどね」
フレイは敢えて自分達の存在を卑下し、そう謙遜してみせる。フレイ自身は、連邦の亡き
外務次官の子息で、カガリはオーブの王子様(これはフレイもまだ知らないことだが)だ。
彼ら本人の価値はともかく、彼ら二人に付随する政治的価値はそれほど見下したもので
はないが、そんな事は、彼らと初対面のアスランに判るはずは無く、彼の脳内では、
勝ち誇った表情で、自分の失態を弾劾するイザークの様子が映し出された。
時間は既に残り一分を切っている。確かに、フレイの言う通り、このお笑い芸人達の
生命と、虎の子のイージスを引き換えにする価値はないようにアスランには思えた。


「良いだろう、取引に応じよう」
こいつら二人を取り逃がした所で、戦線には何の影響も無い筈だ。アスランはそう
自分に言い聞かせながら、忌々しさを押し殺して、敢えてフレイの手に乗ることにする。
「ザフト兵士の名誉に賭けて誓う。この島にいる間は、お前たちには、手は出さない。
だから、早く解除コードを打ち込んで、起爆を解除しろ!」
キラの名誉に賭けて誓う…と宣誓してくれた方が、僕としては安心できるんだけどな…
とフレイは思ったが、あまり図に乗って要求を上乗せし、相手の気分を害するのは得策
ではない。彼の気が変わらない内に、さっさと交渉を終結させてしまおう。
そう考えたフレイは、「了解した」と呟いてから、腕時計のパネル部分を開いて、
解除コードを入力しようとしたが、その瞬間、とんでもない邪魔が入った。
「止めろ、フレイ!」
フレイに気を取られて、隙だらけのアスランの拘束を跳ね除けたカガリが、そう叫び
ながら、フレイに体当たりを敢行してきた。どうやら彼は敵のお情けに縋る不確実な
未来よりも、確実に敵の主力MSを道連れにする現在(いま)を選んだらしい。
「き…貴様ら!?」
契約を不履行されたアスランは怒りと共に、拾った銃をフレイ達に突きつけた。
その間にも、二桁を切った起爆時間は刻一刻と減少(カウントダウン)を続け、
とうとう時計の数値はゼロ(タイムリミット)に達してしまった。

524キラ(♀)×フレイ(♂)・44−6:2004/05/20(木) 02:49
アスランは爆発に備えて反射的に身構えたが、衝撃は来なかった。

「起きなさい、私の可愛い、フレイ。早く起きないとお目覚めのキスをしちゃうわよ」

………………………………………………………………………………………………
………その代わりというわけではないだろうが、フレイの腕時計から、甘ったるい
女性の声が聞こえてきた。あまりに常軌を逸した現象にアスランもカガリも、
敵と交戦中であるという現実を忘れて暫し呆然としている。
「いやいや、こいつは恥ずかしい物を聞かれてしまったな」
傍若無人なフレイも流石に赤面して、照れ隠しに軽く頭を掻いた。
どうやら、あのカウントダウンは爆弾の起爆時間ではなく、音声入力式の目覚まし時計
のアラームらしい。この声の持ち主の女性が誰であるかは、今更、言うまでもない。

「お…お前…」
フレイに覆いかぶさったカガリは、信じられないという表情でフレイを見下ろしている。
「ハッタリだよ。君に拉致同然でここまで連れてこられた僕が、プラスチック爆弾なんて、
便利な代物を携帯しているわけはないだろ?
まあ、良く考えれば、ブラフだって簡単に判りそうなもんだけど、思考する時間を
与えなければ、ああいう荒唐無稽な脅迫もけっこう有効だったりするんだ。
君が余計な真似をしなければ、交渉(詐欺)は上手くいったんだけどね」
フレイは大きく溜息を吐き出しながら、カガリの後方を見上げている。
カガリが振り返ると、アスランがワナワナと肩を震わせながら、彼らを見下ろしていた。



「酷いな、アスラン君。何も縛ることはないだろ?武器さえ取り上げておけば、
僕たちは二人掛かりでも、君に敵わないのは実証済みじゃないか?」
「煩い!この、ペテン師が!殺されなかっただけでも、有り難く思え!」
アスランは殺意の篭もった視線で、フレイの主張を一蹴した。
フレイとカガリの二人は後ろ手に縛られて上で、仲良く彼の前に並べられている。
アスランはフレイを詐欺師扱いしたが、実際、性質(タチ)の悪い悪質な詐欺に
騙されて、不渡りの手形を掴まされたような嫌な気分だ。
こういう時、イザークだったら、衝動のままに、さっさとこの不愉快な奴らを
撃ち殺して、それで何もかも終わりにしているんだろうな。
そう考えたアスランは、一度誓約してしまった事だと…律儀に契約内容を履行しようと
する自身の御目出度さに呆れ、産まれてはじめて、自分の生真面目な性格を恨んだ。

イライラした表情で、フレイ達を見下ろしているアスラン。
不貞腐れたような表情で、ソッポを向いているカガリ。
アスランに生殺与奪の全てを握られているのに、そんな事はまるで意に介さずに、
今度はどう攻めようかと内心で密かに思案中のフレイ。

この男三人の潤いのない無人島での長い一日は、まだ始まったばかりである。

525私の想いが名無しを守るわ:2004/05/20(木) 05:07
おおお投下されてる。ちょっと感動した。ボリュームあるから
じっくり読ませてもらいます。

526私の想いが名無しを守るわ:2004/05/20(木) 08:20
久しぶりの投下ですね♪
でも・・・他はまだか・・・過去の傷の職人さんなんてひどいくらい叩かれてたからな・・・。
少し可哀相なくらい・・・。

527私の想いが名無しを守るわ:2004/05/20(木) 09:14
>>526
いい加減あんたもしつこい。
テンプレも出来たんだからそれに沿ったSSにしているのかもしれないだろ?

つーか、
>>524 名前: キラ(♀)×フレイ(♂)
実はすごく続きが読みたかったのは貴殿のSSです!
これからもがんばってください。

528私の想いが名無しを守るわ:2004/05/20(木) 09:26
>>526
投下すれば?
待ってるよ。

529過去の傷・作者:2004/05/20(木) 10:10
・・・私のSSがこれほどまでに皆様にご迷惑をかけてしまって誠に申し訳ありませんで
した・・・。
それからミリィをわざと痛めつけたいだけなのではという意見を見ましたがそんな考えは絶対にありませんので。
ただそういうふうに見られるということはそれだけ私に力がないということかもしれません。
SSの方はもう少し休ませていただきたいと思います。

530私の想いが名無しを守るわ:2004/05/20(木) 12:14
>>529
今回の事はきつかったかもしれないけど、
へこまずに創作活動頑張ってください。
>>526さんのように、貴方の作品を愛してくれている人もいますし。
落ち着かれたら又投下なさってください。

531私の想いが名無しを守るわ:2004/05/20(木) 18:16
>>529
考えがあろうが無かろうが、そう思われた時点で貴方の落ち度ですから。
言われる通り力が無かったのでしょう。出直して下さい。

532私の想いが名無しを守るわ:2004/05/20(木) 18:32
>>531
反省している職人さんに対してその言い方はないよ・・・。
大人げない発言よそう!!

533私の想いが名無しを守るわ:2004/05/20(木) 18:45
>>532
>>531の出直して来いは確かに無いと思うな。
が、意図したにせよしないにせよ、不特定多数が読無場所に投下した以上、
賛辞と批判は覚悟しないと。
>>526や貴方のように過去の傷が大好きな人もいれば、そうでない人もいる。
職人冥利に尽きると思いますよ。
批判意見と絶大な賛辞を両方聞けたんだから。
>>524 男フレイ待ってました!
フレイイラストが描きたくなるような内容でいつも楽しみにしています。
新規投下してくださって本当にありがとうございました。
続きも期待しております。


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