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フレイ様人生劇場SSスレpart5〜黎明〜

1迷子のフレイたま:2004/03/02(火) 22:57
愛しのフレイ・アルスター先生のSSが読めるのはこのスレだけ!
|**** センセイ、          ・創作、予想等多種多様なジャンルをカバー。
|台@) シメキリガ・・・       ・本スレでは長すぎるSSもここではOK。
| 編 )    ヘヘ         ・エロ、グロ、801等の「他人を不快にするSS」は発禁処分。
|_)__)   /〃⌒⌒ヽオリャー     ライトH位なら許してあげる。
|       .〈〈.ノノ^ リ))    ・フレイ先生に信(中国では手紙をこう書く)を書こう。
        |ヽ|| `∀´||.      ・ここで950を踏んだ人は次スレ立てお願いね。
     _φ___⊂)__
   /旦/三/ /|     前スレ:フレイ様人生劇場SSスレpart4〜雪花〜
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|. |    http://jbbs.shitaraba.com/bbs/read.cgi/anime/154/1070633117/
   |オーブみかん|/    
              既刊作品は書庫にあるわ。
             ○フレイスレSS保存庫 ttp://oita.cool.ne.jp/fllay/ss.html

              こっちも新しい書庫よ。
             ○フレイたんSS置き場 ttp://fllaystory.s41.xrea.com/top.html

397散った花、実る果実40:2004/05/05(水) 02:27
「地球の人々と私たちは同胞です。コーディネイターは決して進化した違うものではないのです。婚姻工作を行ってもなお、生まれてこぬ子供達。
すでに未来をつくれぬ私たちの、どこが進化した種だというのでしょう」
スクリーンの中で切々と訴える彼女。その声と顔は覚えのあるものだった。
「愛する人々を失ってもなお、戦いつづけるその未来は、間違いなく待つものなのでしょうか。」
ナチュラルとコーディネイターの併合を説く彼女の演説に対して政治家の反論が入る。
「苦しくとも今を戦い、そして、平和で輝かしい・・・・・」
プツッと言う音を立ててスクリーンのスイッチが切られた。
ラクス・クライン。ザフトの歌姫。
初めて見たとき、なんて不快なコなんだろうって思った。
コーディネイターのくせに、ナチュラルの私たちの艦で馴れ馴れしく近づいてきて。
いかにもお嬢様といった振る舞いでイライラさせられた。
でも、スクリーンの彼女は違う人のように見える。
ぽやぽやして無神経なことを言うばかりだと思っていたけど・・・・このコ、こんな事考えていたのね。
『愛する人々を失ってもなお』・・・・・彼女は愛する誰かを失ったのだろうか。
私は、・・・・これからどうしようと言うのだろう。
今なら彼女と話せる気がした。
彼女は、あの時、あの爆発を見て、何を思っただろう。
あの激しい戦闘の中、静かに歌を歌いながら、何を考えていたんだろう。

「ラクス・クラインには、議長も大分手を焼いておいでのようだ。よもやそれで我等に帰国命令出たわけでもあるまいが。」
嘲笑うようにそう言った仮面の男はモニターのスイッチを切り、こちらを振り返った。
「しかし、私には信じられません。・・・彼女が反逆者などと。」
血気さかんな顔に傷のある少年がその言葉に反発する。
「そう思うものがいるからこそ、彼女を使うのだよ、クライン派は。君たちまで惑わされてどうするね。」
仮面の男はそれに動じることなく諭す様に続ける。それがまるで彼の演説であるかのように。
「様々な思惑がからみあうのが戦争だよ。何と戦わねばならないのか・・・・見誤るなよ」
そう言って去っていく彼の背中を、銀髪の少年はは睨みつけるようにいつまでも見つめていた。

398散った花、実る果実41:2004/05/05(水) 02:28
「あの・・・リスティア。ラクス・クラインって・・・・・」
私の質問に、なんでもない事のように彼女は答える。
「ああ・・・ザフトの歌姫。ちょっと前までは慰問団の中心というか・・・・追悼式で歌を歌ったり、私たちの平和のシンボルとして活躍していたのだけれど・・・・先日、戦艦を奪って離反したらしくてね。」
え・・・・・?
「離反て・・・・・どうして?」
「彼女は・・・・コーディネイターを特別な種だとは考えていないようね。コーディネイターとナチュラルは同じ人間だと・・・・・そう、主張しているわ」
なんで・・・・そう思えるのかしら・・・・・・コーディネイターであることに優越感を持たず?
「それを聞いて・・・・あなたはどう思う?」
「え・・・・どう思うって・・・・・」
リスティアは意外そうに問い返す。
「だって・・・ラクスは今まではむしろコーディネイターの象徴だったわけでしょ・・・?それが・・・・コーディネイターを否定する側にまわっている。それって・・・・コーディネイターの側からすればどう思うものなの?」
「・・・・そうね・・・・・・」
彼女は随分考え込んでいるようだった。
「コーディネイターとして・・・・っていうのはちょっと答えにくい面もあるわね。私個人の意見になっちゃうもの。ただ・・・・彼女の言うことが全部間違ってる、とは・・・思わない・・・・・・・」
「それって・・・・・・」
「誤解しないで、ナチュラルを認めたわけではないわ。でも・・・第二世代、第三世代とコーディネイトを重ねるに従って低下する出生率・・・・不安を覚えるのは確かだわ・・・・・だからこそ・・・皆彼女の言葉に動揺せずにはいられないのでしょうね・・・・・」
「コーディネイター自身も、自分達のありように不安を抱いている・・・・・?」
「ただ、彼女の言うことが全面的に正しい、とも思わないわ。出生率の問題に関しては、これからそれを解消するためのコーディネイトがきっと見つけ出されると思うし・・・・それに・・・・・」
「それに?」
促すと彼女は自分を励ますように一つ頷いて言葉を続けた。
「コーディネイターはやはり優れた種よ。みてごらんなさいよ、ナチュラルとコーディネイターの能力にいかに格差があるか。今更コーディネイターが間違ってました、だなんて・・・現実を見ていないにも程があるわ。」
確かにコーディネイターとナチュラルには歴然とした能力差がある。でもナチュラルにもコーディネイターと比べて能力に遜色のない者もいる。
ナチュラルとコーディネイターに違いがない、とは今の私にも思えない。でも、初めから違う種なのだと、共存できないのだ、と他者を排除しようとする今の戦争は・・・・・・

ラクス・クラインの演説は、やはりザフトの意識にも影響を与えているようだった。
最初の頃のピリピリした空気はなりをひそめ、私と話してナチュラルを知ろうとするものも少なくなかった。
「君、ナチュラルにしては美人だよね。コーディネイターの血は入ってないんだよね?」
「ナチュラルは遺伝子を操作せずに出産するけど、どうなの?例えば遺伝子異常があったりとか、極端に能力の低い子供が産まれて来たり、とか考えて怖くなったりしないの?」
その意見にははっきり言って失礼なものも多かったけど、人間扱いして私と向き合って話してくれる人がいる、というのはいいことに思えた。
「私はコーディネイターではないわ。だから捕虜としてここにいるの。地球軍にはほとんどナチュラルしかいないわよ。美人?ありがと。パパとママからの贈り物ね。私のママ、美人だったんだから。」
「ナチュラル能力が皆低いわけでもないわよ。遺伝子はいじらなければ確率の問題なんだから、コーディネイターより能力的に高い子供が産まれる確率だってあるわ。遺伝子異常は、考えられなくはないけど・・・でも、ナチュラルだって、遺伝子異常の検査はするし、遺伝子異常があって、それで遺伝子操作することまでは否定してないわよ。」
私は知った。コーディネイターとナチュラルの間には大きな誤解があることを。
コーディネイターを生み出した一世代目はどうだかわからない。
でも、2世代目、3世代目になると、ナチュラルに対する知識そのものに偏りがあり、コーディネイトによる能力付加がむしろ標準だと考えられている節があり、ナチュラルに出産するということは遺伝子上欠陥の生じる可能性が高かったり、能力が平均より劣る、というように捉えられているらしかった。

399散った花、実る果実/作者:2004/05/05(水) 02:49
お・・・お久しぶりです。すいません。
ちょっとばかし忙しかったのと鬱入ってたので投下控えてました。
未熟なもので、精神状態が話に影響出やすいのですねえ・・・・

>>過去の傷
み・・・ミリ・・・怖・・・・・・・
なんだかタンクトップフレイ様みたいになってますが・・・・・
しかしアスランにフレイ様が理解してもらえたみたいでよかった。これで嫁姑問題は解決ですねって、あれ?(笑)

>>流離う
セラン、えらい清々しい!ここまで言い切れる彼女は素晴らしい。
まあ、会ったことのない親戚と兄弟のように過ごしてきた親友と比べてしまうのはキラには酷な気もしますが。
放送中「キラ、どうするんだ、はっきりしろ!!」って思った事は確かに一度や二度じゃないですねえ・・・

>>赤毛の虜囚
ミ、ミコトちゃんが!えっらい可愛いんですけど!!!
もうキラとフレイとミコトちゃんで三人で仲良く暮らしましょうよ、そうしましょう。
・・・って血迷ってしまう位、ミコトちゃんに萌えてしまいました。(汗)
幸せになってもらいたいものですねー。

>>明日と終わりの間に
カガリ一人称、中々いいですね。感じ出てます。
いやー、しかし・・・・カガリもですか・・・・そうですか・・・・・(爆笑)
アスランの一言に愛を感じますね。アスランはそれでも食べるのですね。頑張れアスラン!!
>>Last War
キラの成長を感じました。
今までのキラだったら、アスランを止めることまではできず、また苦しんでいたことでしょう。
続きが気になりますね。

>>キラ♀フレイ♂
キラの不信感が育っていると思ったのでほのぼのデート(未遂だけど)は意外でした。
まあまだそこまで不信感を抱いているわけでもないのでしょうか。
しかしカガリのシスコンっぷりは・・・・犯罪に走らないように注意、でしょうか。w

>>へリオポリス
フレイ様はまだキラへの想いに目覚めてはいないのですね。
うーん、ちょっとつらそうな感じ。

>>リヴァオタ
いつもリンクしているイラストや写真はご自分で調達してるんでしょうか。
すごいですね・・・・・

400ザフト・赤毛の虜囚 57:2004/05/05(水) 08:55
10.親友 1/8
[ジェシカとミーシャ]

私の前に座っている二人、ジェシカとミーシャ、二人とも私の親友。

「フレイ、いい加減白状しなさいよ」
「何よ、ジェシカ。何のことよ?」

「とぼけるんじゃないわよ、アンタの彼氏、サイのこと。どこまでいったのよ。もう、したの?」
「ジェシカ、サイとは、そんなんじゃ無いんだから」

「でも、今日会うんでしょ。今夜はホテルかしら」
「ミーシャ、そうだけど、今日はパパのパーティだし、私、パパと泊まるから。サイだって両親来てるし」

「ホントかな、二人抜け出して……」
ジェシカとミーシャが声を揃えて言う言葉に、私は癇癪を起こす。

「いい加減にしてよ、二人とも!」
私は置いてあるパフェをひっくり返さんばかりにテーブルを叩きつける。

ここは、ミナシロ市ショッピングモールの、とある喫茶店。ヘリオポリスの工業カレッジに
在学しているサイが、二週間の休みでオーブに帰って来る。家族ぐるみ、兄妹のように頻繁に
会っていたのに、ヘリオポリスに行ってから、長期の休みにしか会えなくなったサイ。
メールやビデオレターのやりとりはしてるけど、直接、会うのはやっぱり違う。サイに会いたい。
サイの表情を間近で見たい。パパの仕事のパーティが、ここミナシロ市で開かれ、サイも両親と
パーティに来るということで、私はサイと事前に、ミナシロのショッピングモールで待ち合わせをしたのだ。

ところが、それをジェシカとミーシャに気づかれた。結局、朝から呼び出され、買い物に
付き合わされた上に、質問責めにあっている。

私はサイとの約束で、婚約を隠しとかなきゃいけないから、いろいろと突っ込んで来る二人を
かわすのに大わらわ。私とサイとのこと、あること無いこと想像して、もう、なんてやつらよ。

「まったく、のんびりしてるんだからフレイは。ぼやぼやしてると、他に取られるわよ」
「別に、それで一生決める訳じゃなし、他にも男いるんだから、堅苦しく考えないでさ」

「一線越えちゃえば、男なんて変わるから。思い切って、こっちから言っちゃいなよ」
「やってみて気に入らなかったって、平気だから、お試し期間だと思って」

「私の彼なんて、あの後、まるで手のひら返したように態度変えたわよ。今までの奥手は何だったのよ」
「男なんて、いっぱい居るし、フレイなら、ちょっと着飾れば、みんな寄って来るわよ」

「お試しって、人のこと、なんだと思ってるのよ……」
私はミーシャの言葉に、後ればせながら、ぼそっとツッコムけど、まるで気づかないように、
二人はハイペースで、話し続ける。

そりゃいいわよ、二人とも男の子と付き合い上手だし。ジェシカなんて、何度、彼氏の話を聞かされたか。
もう微に入り細に入り、私、顔を真っ赤にして、まともに聞けなかった。ミーシャは、そこまで
いかないけど、結構もてるって。特に、港にあるイベント場では、そうらしい。他人を見る目も特別。
あの人と、あの人はデキてるとか…… 二人とも男なんだけど……

ジェシカとミーシャ、二人との付き合いは長いけど、私はなんとなく距離を感じる。
サイのこと隠していることもあるけど、どうも二人のノリには付いて行けない。基本的に自分が
面白がれば、みんな喜ぶと思っているのよね。要するに自分勝手。私だって、まあ、そんなところあるけど。
人が困ってるの察して話を聞くとかいう訳でも無い。別に、ジェシカとミーシャが嫌いだって訳じゃないけど、
これで親友って言えるのかな。

「もう行くわよ。パーティの前に、パパと待ち合わせしてるし」
「パパとだなんて嘘ばっかり」
「ちょっと、フレイ逃げる気、ちゃんと答えてよ」

サイが待ってるんだから、もう早く行かせてよ、二人とも……

401ザフト・赤毛の虜囚 作者:2004/05/05(水) 08:59
フレイSSの番外的な新章開始します。テーマは親友。さて、うまく書けているでしょうか。

>>過去の傷
ミリィはアスランに標的を変えても、フレイ様への敵視は変わっていないみたい。
アスラン、戦闘訓練では偉そうでしたが、フレイ様を認めてるんですね。よかったです。

>>散った花、実る果実
お久しぶりです。カーペンタリアに着いてからの話ですね。
ザフトのフレイ様に対する接し方も変わって、随分、打ち解けた雰囲気になっていて微笑ましいです。
だけど、ミリアリア・リスティアのように、まだ、戦争の目までは捨て切れていないのでしょうね。

402過去の傷・129:2004/05/05(水) 13:07
「そうなのよ!すごいでしょ、私あのキラと互角だったんだから」
夜の食堂だ、フレイは当然、キラ、カガリ、アサギ、マユラ、そしてラクスがいた。
ジュリはサイの部屋にでもいるのだろう。
それを入り口からミリアリアが見ているのだ。
実戦練習のことを自慢しているフレイを見て、ミリアリアは正直面白くなかった。
ふんなによ、どうせ練習なんでしょ、馬鹿じゃないの?キラが本気で戦うわけないじゃない、手を抜いたに決まってるでしょ、それに機体の性能のおかげに決まってるわ、それなのになんなのよあの女は、そこまでして自慢したいのかしら、まあフレイの思いつくことだわね。
「でもフレイ、君にそんな才能があったなんて」
と、キラがフレイを褒める。
ああ、やだやだ、いやになるわね、恋人同士褒め合っていちゃいちゃしてるわ、このバカップル。
「すごいですわフレイさん」
「ふふ、ありがとうラクス」
今度はラクスだ。
駄目、私はあの中に入ってはいけない、どうせ私が行ってもしらけて暗くなるのは分かってるもの、そしてフレイと喧嘩になるのも。
そう・・・ミリアリアはいつのまにか皆と距離が離れていたのだ。
特に気に入らないのが、フレイが輪の中にいるということ、ア−クエンジェルの頃とは立場が逆になってしまった、あの女がなんで皆と溶け込んでいるのよ、おかしいわ、こんなことがあっていいの?いいわけないわ。
あの女は悪い女なのよ?なのに・・・そうよ、もうここはア−クエンジェルじゃない、ト−ルはいない、去年は楽しかった、もう艦長はマリュ−さんじゃない、歌姫のくせに規則にいちいちうざいくらいうるさいラクス・クライン。
キラだってそう、もうキラはまるで私のことは忘れたみたいにフレイといちゃいちゃしている、少し私に裏切られたからもう私のこと忘れるなんて私に対する気持ちなんてその程度のものだったのよ。
ああ、もうここにいるのもいやになるわ。
私はフレイの顔も見るのがいやで食堂の入り口を後にした。
あいつ等なんか皆いなくなればいいのに・・・。
ト−ルがいないのになんであいつ等がいるのよ・・・。
あ、アスランさんは・・・?
ミリアリアは笑みを浮かべた。

「プロヴィデンスに問題なしと・・・」
コンピュ−タ−を打ち込んでいるアスラン。
「しかし、彼女にあれだけの力があるとは・・・しかしあのキラにな・・・」
そんなとき誰かが入ってきた。
「アスランさん、いたんですか」
ミリアリア・ハウだった。
「あ、ああ・・・」
「お疲れ様でした、疲れたでしょう?」
ミリアリアは座ると微笑んだ。
「いや、そんなに」
「私が癒してあげます・・・」
そして抱きついてきた。
「私を抱いて・・・」

403過去の傷・作者:2004/05/05(水) 13:29
>>散った花 実る果実
ラクス嬢に対してのフレイ様ですね、真実の彼女を見たフレイ様の感想が良かったです、フレイ様も少し見直した感じですね。
嫁姑・・・笑ったです。
>>ザフト・赤毛の捕囚
フレイ様の必死が伝わってきます、これはサイとのことですね、しかし・・・女の子はこんな話題が好きですからね、この頃はフレイ様もサイが好きだったのかもしれませんね。
それから親友をテ−マにした新章も期待させていただきます、これからも頑張ってください。
それにしても作者様は女性同士の会話が上手なんですね。

404散った花、実る果実42:2004/05/05(水) 21:16
隊員のお茶を入れ、洗濯をし、クルーゼ隊長の帰りを待つ毎日。
帰還命令が出たとはいえ、地球での仕事の後始末や、色々片付けなくてはならないことが多く、すぐには宇宙に出発することはできないようだった。
ラクス・クラインの演説により多少軟化された兵士達の反応によって私は救われていた。(主にそれは男性兵士によるものだった。男って、男って・・・ナチュラルもコーディネイターも一緒よね!)
気持ちが落ち着いてくると、周囲に対する好奇心も芽生え、許される範囲で歩き回ったり、クルーゼ隊長のデスクの引出しを見たり・・・ついしてしまっていた。まあ、軍事機密がこんなところに残っているはずもないのだけれど。

この薬・・・・・・一体なんなのだろう。
一日に何度も、彼はこの薬を口に運ぶ。
何か持病でも持っているのだろうか。
遺伝子操作により頑健な体を持っているコーディネイターが、何故・・・・・?
普段は健康を害している様子は見られなかったけど・・・

405散った花、実る果実43:2004/05/05(水) 21:17
プシューッ
無機質な音をたて扉が開く。
私はトレーに薬を乗せ、水差しからコップへと水をうつす。
「・・・・・どうぞ・・・・・・」
クルーゼ隊長の薬の時間はもうすっかり覚えてしまった。
捕虜である私が大して重要な仕事を任せられているはずもないので、薬の時間にはなるべくこの部屋に戻って用意するよう、心がけていた。
「あの・・・・宇宙へは、いつ・・・・・私も一緒に行くのですよね・・・・」
「今すぐというわけにもいくまいよ・・・・私にも、隊にもまだ、片付けねばならない仕事がある・・・・・地球に残る隊に任せられればそれに越したことはないのだが、例のアラスカ戦で大分人数を減らされたからね・・・人手不足は否めない、と言ったところか・・・・・」
捕虜である私に詳細が明かされることはないが、地球である仕事を済ませたら宇宙へ上がるように、との命令が下っているらしかった。
それにしても彼は私に軍の事情をしゃべりすぎている気がする。
私の信用を買うため?それとも逃げられはしないという安心感から・・・・?
「ラクス・クラインの演説は・・・・・皆に不安を与えているようですね・・・・」
「おやおや・・・・この間のテレビ演説だけを見て言っているわけでもなさそうだね・・・・君にそんなことまで言っている兵士がいる、という事かね?」
彼の口調にかすかな不快感が混じる。
「いえ・・・・そういうわけでは・・・・お茶を運んだりした時に噂話を耳にしただけです」
「ほう・・・・そうかね。時に君はどう思うね?」
私は彼の意図が読めず、問い返した。
「どう・・・・とは?」
「ナチュラルとコーディネイターは同じ種なのか。完全に決別すべきか、和解すべきか。まあ、君の父上のことを考えると・・・・おのずと答えが出てくるという気もするが。」
「父のことを・・・・ご存知なのですか」
意外に思ったが、すぐに当然のことだと気がついた。私は名前、所属共に隠してはいないし・・・・事務次官である父の名は、コーディネイターにも知られて不自然でないものであったから。
「ああ・・・・ブルーコスモスの一員としても活躍していた、とか。君もそれで地球軍に志願したのかね?」
・・・ブルーコスモス・・・?
「あの・・・・それはどういう・・・・・?」
すると彼は意外そうに答えた。
「知らなかったのかね。君のお父上はブルーコスモスに所属して、それなりに名をあげた人物だ。」
そう・・・だったの。だから、パパのあれほどまでのコーディネイターへの嫌悪・・・・・
「コーディネイターなんか大嫌いだったわ・・・・皆死んじゃえばいいって思った・・・・・」
気がつくと口をついていた、誰にもいえなかった私の心。
「パパが死んで・・・・守るって言ったキラが、大丈夫だって言ったのに、パパが死んで・・・・・キラは、戦って、戦って、戦って・・・そうやって死んでいくことしか許せないってそう思った・・・・・」
何故だか止まらなかった。パパの知らない面を聞かされたからかもしれない。周りに味方のいないこの状況に疲れてしまったからかもしれない。
何故だか私は言葉を止めることができなかった。
「なのに・・・・キラは優しくて・・・・馬鹿よ、キラは・・・・・・私、キラを許せないのに・・・許しちゃいけないのに・・・・なのに・・・・」
思考がぐるぐるまわっている。私、とっくにキラを許していた。キラにひどいことをした。
「いっぱい傷つけて、泣きながらキラは戦って・・・・守るって、私の言葉なんて嘘なのに・・・・あんなに傷つけたのに笑って、『帰ってから』って・・・それきり・・・・・・・」
ふと気がつくとすぐ目の前に白い軍服があった。次から次へと流れる涙はしみ一つ無いその軍服に吸われて水の跡を作り・・・・私は背中に暖かい腕を感じていた。
「フレイは、パパが死んだから、その復讐で軍に入ったのかね?」
「そうよ・・・・パパが死んだから、コーディネイターのキラのせいでパパが死んだなんて、許せなかった!キラも苦しめばいいってそう思った!私のためにコーディネイターを殺せばいいって・・・・でも・・・・・・・」
「でも?」
やさしく髪をなでながらパパが言う。
「パパ・・・ごめんなさい、私何もできなかった!自分で戦うことも、キラを利用しきることも!何もできなかった!ザフトに連れてこられても結局、死ぬのが怖くてザフト兵一人手にかけることもできなかった。ごめんなさい!ごめんなさい!!」
私は子供のように泣きじゃくり叫んでいた。
思えば軍に志願してからこんな風に心をさらけ出すことはできなかったのだ。
この人は私のパパではない、そんな声が理性の片隅でしたけれども、人の体温と髪を撫でる優しい手つき、そして何より穏やかなパパの声で、すっかり私は緊張の糸が切れてしまっていたのだった。

406散った花、実る果実44:2004/05/05(水) 21:18
────フレイ・・・私の大切なフレイ・・・・
パパの声・・・・一番大好きだった・・・・・・・
────コーディネイターは、極めて不自然な種だ。彼等は人より優れた能力が欲しいがために、利己的な理由で遺伝子操作を繰り返しているのだよ。
でもパパ・・・・子供は自分の産まれ方を選ぶことはできないわ・・・・コーディネイターとして産まれた彼等は・・・・それが彼等自身の責任ではなくても・・・それでも忌避されねばならないものなのかしら・・・・・・
────フレイ、私のフレイ。おまえは騙されているのだよ。みてごらん、コーディネイター達のナチュラルへの蔑視を。そして自らの子供にコーディネイトを繰り返す親のなんと数多いことか。
でもパパ・・・それで苦しんでいる人もいるわ・・・・・
────フレイ・・・・可哀想に・・・・・お前は惑わされているんだよ。可哀想に、こんな所に連れてこられて疲れているのだろう・・・彼等のあの化け物じみた能力を見なさい。あれがなんと不自然な事か。
そんな風に言っちゃいけないわ・・・だって・・・彼等はただ、自分の子供達に能力を、あるいは美しい容姿を与えてあげたかっただけ・・・・彼等も最初から傲慢な思想や欲にまみれてコーディネイトをしているだけではないのよ・・・・・
────フレイ・・・・それでも現状はコーディネイターによるナチュラルへの蔑視に満ちている。あのような不自然な生物に人間の歴史を乗っ取られても良いと言うのかね?否!それは許されるべきことではない。
パパ・・・パパ、やめて。そんな風にどちらかを全否定してはいけない。それじゃこの戦争は終わらない。こんな悲しみを増やしていくのはもうたくさんよ。もう嫌なの。誰かが泣くのは、つらい思いをするのは、もう嫌なの。
────フレイ、何を言っているんだい?誰よりコーディネイターへの嫌悪感を持っていたのは君じゃなかったのかね。ほら・・・・・

────コーディネイターの癖に、馴れ馴れしくしないでっ!!!

「嫌あっ!!」
飛び起きると全身にぐっしょり汗をかいていた。
夢・・・・なんてリアルな夢だったんだろう。
今なら分かる、アークエンジェルにいた頃の私がどんなにひどい言葉をキラに投げかけていたのか。
それでもキラは、偽りの私の優しさにすがらずにはいられなかった。
何故ならどんなに誤魔化そうとしても、コーディネイターであるキラの能力への羨望、嫉妬、恐怖・・・それはアークエンジェルの皆に歴然として存在するものだったから。そして、それを認めまいと、隠そうとする心の動きゆえに、彼等は逆に心のうちをキラにさらけ出すことになった。
だから・・・・一番コーディネイターを嫌っていた私の、それでも優しくしてくれる、という偽りの毒に、キラは手を出さずにはいられなかったのだ・・・

407散った花、実る果実/作者:2004/05/05(水) 21:27
こま切れになってしまってすいません。まとめて投下できなかったもので。
もしかして、以前より投下できる容量少なくなってます?

まず一つ、謝らなければならないことがあります。
すいません、昨日投下した分、時間軸を間違えまして、ラクスがまだエターナル手に入れてないのに略奪したことになっちゃってます。
>>398のリスティアのセリフの「戦艦を奪って離反」というのを「機密を奪って離反」という事にしておいて下さい・・・

>>赤毛の虜囚
新章ですね。カレッジ時代のフレイを見るのはほほえましくていいですね。
フレイの男女交際に対しての初々しさがいいですね。

>>過去の傷
ミリィ、本当に一時期のフレイ様のようになってしまっています。
彼女、大丈夫なんでしょうか・・・・・

408流離う翼たち・471:2004/05/05(水) 22:27
 だけど、それでも、この2人は強いとフレイは思った。いつも後ろ向きだったキラ。人に手を引かれなければ歩くことさえ出来なかった自分に較べれば、この2人の強さはフレイには眩しくさえある。差別や迫害を覚悟して何かをするなんて事は、自分には出来ないことだ。

「なんか、2人が羨ましいです」
「はい、何がです?」
「だって、とっても強いじゃないですか。私は弱いから、羨ましいです」

 フレイの言葉にボーマンとセランは顔を見合わせた。そしてセランが兄を指差してフレイに問いかける。

「強いって、この兄さんは少尉にボロ負けしましたよ?」
「ボ、ボロ負けって・・・・・・」
「違います、そういうのじゃないです」

 なんだか楽しそうにクスクスと笑うフレイの2人は顔を見合わせて首を捻っている。きっと2人には分からないのだろう。いや、分かるはずが無いのだ。この2人のほうが普通なのであって、自分やキラのほうがおかしいのだから。
 フレイはどう伝えたらいいのか分からず、自分の語彙の少なさに悩みながらも必死に言葉を探している。だが、フレイが何か言うよりも早く、セランが凄い事を教えてくれた。

「そういえば知ってますか。アルフレット少佐の奥さんもコーディネイターなんですよ」
「ええっ!?」
「あはははは、やっぱり驚きましたね。私も知ったときは驚きましたけど」
「で、でも、どうしてそんな事に!?」
「何でも、プロポーズしたのは少佐だそうですよ。何度も振られたけどしつこく食い下がってOKして貰ったって。奥さんは大西洋連邦に住んでたそうで、今はオーブに移り住んでるそうです」
「そうなんですか。少佐も大変だったでしょうね」
「そうみたいですね。でも、少佐は当時から結構凄い人だったそうで、奥さんの立場を確保する為にブルーコスモスの支部にまで乗り込んで文句を付けたそうです。一時期は命も狙われた事もあったそうですけど、遂に最後まで折れなかったそうで、ブルーコスモスや軍の上官の方が根負けしたって話です。まあ、少佐は軍の優秀なテストパイロットだったそうで、手放したくない上層部が我侭を聞き入れたという事みたいですが。当時はまだ抗争も今ほど酷くは無かったからというのもあるでしょうけど」

 セランの話にフレイは持っているフォークを落としてしまった。何というか、そこまで豪快に我が道を行くような人だったとは。まあ、そんな人だからこそこの2人を庇ったりキースを立ち直らせたりしているのだろう。

「セラン、そういう事は余り言うことじゃないだろ。少佐の奥さんは例外みたいな物なんだからな」
「分かってるわよ。条件を飲まなきゃテストパイロットを降りるなんて言って上層部を脅して、それを上層部が飲んだなんて無茶な事、少佐くらいにしか出来ないって事でしょ」
「いや、それだけじゃあないんだが、まあそういう事だな」

 ボーマンは妹を嗜めると、フレイを見た。

「まあ少尉、こいつの言った事は余り周りには言いふらさないでくれ。少佐もこれに関しては余り喋らないんだ」
「はい、分かってます」
「そうか、なら良い」

 フレイの返事を聞いて、ボーマンは食後のコーヒーを啜った。この話はこれで終わりなのだという意志の表れだろう。
 フレイは、アルフレットが自分をこの2人と引き合わせた訳がやっと分かった。世の中にはこういう奴も居る、という事を私に教えたかったのだろう。いや、自分はお前の悩んでる事をとっくに乗り越えてるんだぞとも言いたかったのかもしれない。それを自分でではなく、この2人に言わせたのも、この2人に言わせた方が私に受け入れ易いと考えてのことに違いない。
 もっとも、自分の考えすぎと言う可能性もあるが。

 だが、2人と話した事で随分気持ちがすっきりしたのは事実であり、アルフレットの計らいにフレイは感謝するしかなかった。だが、フレイの知らない所でアルフレットは更にとんでもない事を進めていたのである。

409流離う翼たち・作者:2004/05/05(水) 22:45
>> 過去の傷
ミリィがどんどん悪人に・・・・・・アスランピンチ?
何気にサイは1人安全圏に居る

>> 散った花、実る果実
お久しぶりです。そろそろカーペンタリアから打ち上げですか。
しかし、男は何処でも一緒なのかw! ある意味正直だ
クルーゼはパパを知ってたんですねえ

>> ザフト・赤毛の虜囚
これは、ミリィの秘蔵の品を拾う前の話ですね
この後サイが心に深い傷を負うシーンが来るのですか

>>

410『明日』と『終わり』の間に・おやつの時間・1/2:2004/05/06(木) 00:17
 その頃宇宙、EYES所属のアークエンジェル級第9番艦セラフィム艦内食堂にて

「あら、美味しい」
「・・・うむ、悪くはないな・・・」
「本当ですね。まるでお店で売ってるやつみたい」
「本当ですか?良かったぁ〜、皆さんのお口にあって!」

 艦のメンバー達は、ユフィーの作ったチーズケーキを頬張りながらその味に舌鼓をうっていた。・・・あ、今回は展開上語り役のカガリさんにはお休みして頂いていますのでご了承下さい。

「それにしても、ユフィーさんにこんな才能があったなんて、知らなかったわ」
「私、コロニーで暮らしてた頃はこうしてよくケーキやお菓子を作ってたんです」
「まぁこいつ、これぐらいしか能がありませんから」
「・・・そう言うお兄ちゃんにはハイこれ。辛子とタバスコと山葵をたっぷり練りこませた特製ケーキを・・・」
「そんなもんよこしてお前は俺をどーするつもりだ!?・・・しっかし、俺達今こんなのんびりしてる暇あるんですかね?ラインザフトやらブルコスとかいるのに・・・」

 こらこらクリス君、今回は番外編だからそーした細かいことは気にしないように!

「・・・今誰か何か言いましたか?」
「・・・さぁ?気のせいじゃないの?それにしてもホントに美味しいわ。ねっ、隊長もそう思いませんか?」
「全くだ。シーナ、お前も武術ばかりしてないで少しは見習ったらどうだ?」
「・・・C.E75、○月×日。隊長のセクハラ発言プラス1。・・・これで三日連続ね。そろそろエザリア様に報告しようかしら?」
「!なっ何メモってんだ貴様ぁ!!というか貴様と母上は一体どーいう間柄だぁっ!?」

 『The Last War』で出番が未だにやってこない二人が何やらもめ始めた頃、マリュ―はあることに気が付いた。

「・・・そういえばザラ大尉、さっきからずっと黙ったままだけど、どうかしたの?」

 そう、実は先ほどから彼らと共にケーキを食べていたアスランだったが、一口食べたっきり下を俯いて一言も喋ろうとはしていなかった。

「・・・あのアスランさん。もしかして私のケーキ、美味しくありませんでしたか?」
「・・・・・・」
「おいアスラン!ユフィーが不安げにしてるぞ。せめて何か一言言ってやれ!・・・って貴様、震えてないか?」

 イザ―クの言葉通り、よく見るとアスランの体は小刻みに震えていた。そのことに気付いたクリスが声を上げた。

「・・・ハッ!まさかユフィーお前、間違えてアスランさんに例の特製ケーキを・・・?なんてことしたんだよ!!」
「そんなのホントに作るわけないでしょ!マタベー、お兄ちゃん噛んじゃって!!」
「ニャ―ッ!!」
「じゃあなんでアスランさんがこんなに震えてるんだよ!?・・・あ、痛い!すっごく痛い!ごめん、謝るから止めさせて!!」
「・・・艦長、これはもしや・・・」
「・・・ええ、まさかと思いたいけど・・・」
「?」

 アスランの様子、そしてその場にいた艦の古参メンバー達の表情に重苦しい雰囲気が漂い始めたことに、ヒースロー兄妹は疑問形で激しく進行中だった。その時、アスランが突然顔を上げた。そして次の瞬間・・・。


「・・・美味い・・・」

411『明日』と『終わり』の間に・おやつの時間・1/2:2004/05/06(木) 00:19
 その頃宇宙、EYES所属のアークエンジェル級第9番艦セラフィム艦内食堂にて

「あら、美味しい」
「・・・うむ、悪くはないな・・・」
「本当ですね。まるでお店で売ってるやつみたい」
「本当ですか?良かったぁ〜、皆さんのお口にあって!」

 艦のメンバー達は、ユフィーの作ったチーズケーキを頬張りながらその味に舌鼓をうっていた。・・・あ、今回は展開上語り役のカガリさんにはお休みして頂いていますのでご了承下さい。

「それにしても、ユフィーさんにこんな才能があったなんて、知らなかったわ」
「私、コロニーで暮らしてた頃はこうしてよくケーキやお菓子を作ってたんです」
「まぁこいつ、これぐらいしか能がありませんから」
「・・・そう言うお兄ちゃんにはハイこれ。辛子とタバスコと山葵をたっぷり練りこませた特製ケーキを・・・」
「そんなもんよこしてお前は俺をどーするつもりだ!?・・・しっかし、俺達今こんなのんびりしてる暇あるんですかね?ラインザフトやらブルコスとかいるのに・・・」

 こらこらクリス君、今回は番外編だからそーした細かいことは気にしないように!

「・・・今誰か何か言いましたか?」
「・・・さぁ?気のせいじゃないの?それにしてもホントに美味しいわ。ねっ、隊長もそう思いませんか?」
「全くだ。シーナ、お前も武術ばかりしてないで少しは見習ったらどうだ?」
「・・・C.E75、○月×日。隊長のセクハラ発言プラス1。・・・これで三日連続ね。そろそろエザリア様に報告しようかしら?」
「!なっ何メモってんだ貴様ぁ!!というか貴様と母上は一体どーいう間柄だぁっ!?」

 『The Last War』で出番が未だにやってこない二人が何やらもめ始めた頃、マリュ―はあることに気が付いた。

「・・・そういえばザラ大尉、さっきからずっと黙ったままだけど、どうかしたの?」

 そう、実は先ほどから彼らと共にケーキを食べていたアスランだったが、一口食べたっきり下を俯いて一言も喋ろうとはしていなかった。

「・・・あのアスランさん。もしかして私のケーキ、美味しくありませんでしたか?」
「・・・・・・」
「おいアスラン!ユフィーが不安げにしてるぞ。せめて何か一言言ってやれ!・・・って貴様、震えてないか?」

 イザ―クの言葉通り、よく見るとアスランの体は小刻みに震えていた。そのことに気付いたクリスが声を上げた。

「・・・ハッ!まさかユフィーお前、間違えてアスランさんに例の特製ケーキを・・・?なんてことしたんだよ!!」
「そんなのホントに作るわけないでしょ!マタベー、お兄ちゃん噛んじゃって!!」
「ニャ―ッ!!」
「じゃあなんでアスランさんがこんなに震えてるんだよ!?・・・あ、痛い!すっごく痛い!ごめん、謝るから止めさせて!!」
「・・・艦長、これはもしや・・・」
「・・・ええ、まさかと思いたいけど・・・」
「?」

 アスランの様子、そしてその場にいた艦の古参メンバー達の表情に重苦しい雰囲気が漂い始めたことに、ヒースロー兄妹は疑問形で激しく進行中だった。その時、アスランが突然顔を上げた。そして次の瞬間・・・。


「・・・美味い・・・」

412『明日』と『終わり』の間に・おやつの時間・2/2:2004/05/06(木) 00:19
「・・・アスランさんが・・・」
「・・・泣いてる・・・」
「・・・やはりな・・・」

 アスランは嗚咽を漏らし、目から涙を流しながらケーキに噛り付いていた。この時ヒースロー兄妹は自分達の思考回路が一瞬ストップしたことを確かに感じたという。そして再び機能が回復した時、二人はデータの解析が間に合わず混乱していた。

「・・・う、美味い。・・・美味い。・・・美味いぃ、うううっ・・・」
「・・・え?・・・えっ!?・・・ええーっ!?」
「これ何!?どーいうこと!?っていうよりもこの人本当にアスランさん!?」
「落ち着け。これはこいつの持病みたいなものだ・・・。シーナ、医務室から鎮静剤を貰って来い」
「了解です」

 明らかにキャラが変わってしまったアスランの様子に戸惑うこともなく、イザ―クは冷静でやけに場慣れしている様子だった。・・・というよりもその場にいた全員がそうだった。

「『持病』ぅ!?これ病気なんですか!?確かにいつものアスランさんじゃないことは見れば分かりますけど・・・」
「医師の診断によると、かなり特殊な味覚障害らしいの。分かりやすく説明するなら、食べ物を口にした際に脳が『美味しい!』と判断した瞬間に彼の理性のリミッタ―が外れるそうよ?」
「・・・はぁ、そうなんですか・・・?」

 説明を受けてもやはりポカーンとしている二人。目の前の現実は、彼らがこれまで築き上げてきたアスラン像をこなごなに破壊するには充分なものだっただけに、無理はない。

「・・・あの、もしかして昔からこうだったんですか?」
「いや、俺達がまだザフトに所属していた頃は、まだ大丈夫だった。だが、俺とシーナがEYESに出向してきた時には既にこうだったな・・・」
「そういえば、彼がこうなり始めたのは確か・・・。そうよ!彼が仕事でオーブに2週間ぐらい滞在して、帰ってきた頃にはもうこんな様子だったわ!」
(・・・いっ、一体その間に何が・・・?)

 その時アスランがどのような食生活を送ってきたかなど、二人には想像もつかなかった。ただ一つ分かることは、その時アスランにとって決して良かったとは言えないような出来事があったということだった。

「・・・だが、これでも随分マシになったほうだ。俺達がセラフィムに合流した頃には何を食わせてもこうなってたからな。だが、まさか再発するとは・・・、っておいアスラン!俺の食いかけを食うなぁ!!」
「!あ、あの!まだたくさんありますから!!」
「よっ、良かったら俺の分もどうぞ!!」
(・・・あの二人が哀れみの視線を送ってるわ。・・・ザラ大尉、貴方それでいいの・・・?)

 理想と現実の間にある冷たさを感じながら、幼い二人はまた一歩大人に近付いていった・・・。

413『明日』と『終わり』の間に・作者:2004/05/06(木) 00:41
 すいません、また不覚にも二重投稿を・・・。
 色々ありましたが、この番外編も次回でラストです。

》赤毛の虜囚
 ジェシカとミーシャ、思い返せばフレイ様はこの二人と一緒に登場したんですよね。何だか懐かしいです。フレイ様を加えた三人の仲の良さが伝わってきました。
 あれから彼女達はどうなったんでしょうか?脱出出来ずに死んじゃったとかいう噂を聞きましたが・・・。

》過去の傷
 ミリィが孤立し始めていますね。周りは全て敵だとか思ってそうです。そして続くアスランへの誘惑。君は負けるなアスラン!

》流離う翼たち
 大切な故郷を守りたいというセランさんとボーマンさんの気持ち、何だか共感できます。フレイ様も彼らから学ぶことは多いのでは?
 それとアルフレット少佐の奥さんはコーディネイターだったんですね。周りから奥さんを守り抜こうとした様子がカッコイイです。

》散った花、実る果実
 お久しぶりです。お待ちしていました。
 実はずっとフレイ様達は宇宙にいると思ってましたので、ラクスが演説していることでまだ地球にいることを知りました。すみません。
 コーディネイターとナチュラル、二つの種の考え方はこうも違うものなんですね。何だかもう一度考えさせられます。それにしてもクルーゼの台詞の表現がお上手ですね。雰囲気がよく出ていると思います。自分はこういった悪役の台詞を考えるのが苦手なもので・・・。

414ザフト・赤毛の虜囚 58:2004/05/06(木) 05:41
10.親友 2/8
[一体、どんな人なんだろう]

その時、喫茶店に、新しい客が入ってきた。私と同じくらいの歳の学生らしい女性。

「待ち合わせで、すぐ出るので、水だけでいいですか」
「そう言う訳には参りません。何か注文してください」

「一番安いのなんですか」
「ブレンドです」

「じゃ、それください」

ウエイトレスとの、やりとりを聞いて、ジェシカとミーシャは興味を示したように囁きだす。
私も、あまりいい気分はしなかったけど、陰口みたいに囁くのは、逆に悪いと思い、わざと
ジェシカとミーシャに話しかける。

「なんか、見てて、いやらしいわね。ああいう言い方」
「ビンボなんだから、悪いわよ。そういうの」とジェシカ。
「そもそも、こんなとこに来るのが悪いんじゃない」とミーシャ。

「まあ、そこまで言うことは無いけど。ちょっと、あまり好ましくないわね」

二人の興味が、この人に移って、私への追求は逃れられた。おかげで助かったのはいいけど、
明らかに悪意のある二人の言い方に、気がとがめて、ちょっと弁護するように話をする。
女性の後ろ姿は、私達の声が少しは聞こえているだろうに、わざと気が付かないかようにしている。

その様子に、私は、別の興味を惹かれていた。私なら、こんなこと言われてたら、すぐに
席を立って逃げて行くだろう。私は、小さい頃からパパに我が侭を聞いてもらって育ったせいか、
自分でも、堪え性が無いと思う。ちょっとでも、辛いことがあると、すぐに逃げ出してしまう。
なのに、この人は、私達の話が聞こえているはずなのに平気な素振りだ。この人って、強いのか。
それとも、単に、ずぶといだけなのか。

やがて、立ち上がろうとするジェシカとミーシャ。

「じゃ、行くわね、フレイ。パフェごちそうさん」
「んじゃ、私も、頼むねフレイ」
「ちょっと、ちょっと、二人とも。私、オゴるなんて一言も……」

「それじゃ、デートがんばってね」
「後で、ホテルの得点聞かせてね」
「ちょっと、そんなんじゃ無いって言ったでしょ。パパの仕事のパーティなんだから」

「分かった、分かった。じゃね」

二人は、誤魔化すように出て行った。あーあ、結局、また、私が払うことになるんだから。
まったく、人の気持ちも知らないで、茶化してばっか。これから会うサイに、どんなこと話そうか、
まだ、何も考えてないのに。どうすれば、サイに自分の気持ちを伝えられるか、相談できる人が
居ればいいのに……

私は、ぼんやりと、背中を向けているさっきの女性に目を向ける。セコイことを言っていたけど、
別に身なりが悪い訳では無い。ファッションセンスはダサいけど、酷いってほどでもない。
ヘアスタイルは、ふわっと広がった感じで、凝ったものでは無いけど、それなりに手入れされている。
男の子にも普通に、もてるだろう。いや、こういった素朴な子の方が、男の子の印象はいいかも
しれないし、自然な付き合い方をしているのかもしれない。

なんだか、その女性に話をしてみたくなる。サイとの付き合い方、サイに何を話したらいいのか、
相談してみたくなってくる。そして、彼女のことも聞きたくなってくる。なんで、わざわざ、
目立つことを言って、平然としていられるのか。何か、心に強いものを持っているのか。
一体、どんな人なんだろう。

415ザフト・赤毛の虜囚 作者:2004/05/06(木) 05:50
今回の話、前作「オーブ……」のころの懐かしい台詞も、ちょこっと入れてます。
連休も終わるというのに、この投下ラッシュに嬉しい悲鳴です。

>>過去の傷
ミリィとフレイ様の立場、あのトール初陣のころの食堂でのやりとりと逆転してますね。辛いです。
さて、ミリィ再びの色気攻撃、アスランに通じるんでしょうか。

>>散った花、実る果実
クルーゼのパパの声、クルーゼの話すパパのブルコスの話が、フレイ様にコーディネータについて、
キラとの関係について考え直させていますね。ドラマが格段に厚みを帯びてきていて凄いです。
私のSSも、後から同じ時点を通るので頑張らないと。

ラクスのこと、訂正了解しました。最初、意図的に順序入れ換えしたのかと思っていましたが、そう言えば変ですね。
私などは、自分の話の都合で、順序入れ換えを結構やっているので、読んでいる方はややこしいかもしれません。

投下量の件、私も一度、システム変更の時に、大きいサイズが書込めなくなって、したらばのサポートさんに直していただきました。
その時の話は避難所にも書込んでいます。1レスの最大量については、以前と変わっていないとは思うのですが、HTML化の部分も
変化があるのかもしれません。最近は、2ch で知った kie.exe というアウトライン・プロセッサで
1レスのサイズを計りながら書いています。

>>流離う翼たち
アルフさん、最初、フレイ様を見て突き放すような態度を見せたのは、こんな理由があったからなんですね。
心暖まる話ですが、オルセン兄弟が言うように、あまり、おおっぴらにできない話であるのも事実でしょう。
話してくれたのは、フレイ様が見せた力ゆえですかね。しかし、アルフさん、この上に、まだ奸計をはかっていますか。
フレイ様、自分で言っていますが、手を引かれるのを脱すべき時ですよ。

>>『明日』と『終わり』の間に
アスランの状態に何事かと思ったら、前の話と、そう繋がるのですか。笑いました。
セラフィムのメンバーの、ほのぼのぶりも良かったです。番外編ラストも期待しています。

416過去の傷・130:2004/05/06(木) 09:29
少し見とれるというよりこんな可愛い子に抱きつかれたら男なら誰でもだろうが(イザ−クは分からんが)幸せな気分だろう、しかし・・・(アスランが信じて戦うものはなんですか?軍の勲章ですか?お父様の命令ですか?)
(ラ、ラクス!?)ラクスを思い出し慌ててアスランはミリアリアを離す。
「君はおかしい、なんのつもりか知らないが・・・」
「アスランさん・・・?」
アスランは目を下に向けると告げた。
「俺は・・・君の大切な恋人を・・・知らなかったとはいえ殺した男だ、それなのに君は・・・」
「だからなんです」
「え!?」
アスランが驚いたようにミリアリアを見る。
「アスランさんはト−ルの為にも私を大切にしなきゃいけないと思います、それはアスランさんの義務ではないですか?、私はそう決めましただから・・・」
「義務・・・いやしかし俺には婚約者が!」
「アスランさんは殺した人の恋人を見捨てるんですか?そんなのは不公平だと思います、ラクスさんとは別れるべきです、ラクスさんとは縁を切ってください」
「!」
ミリアリアは笑みを浮かべた、苦しんでよね、そして・・・死んで、結婚して・・・幸せの絶頂のときに殺してあげるわ。
「それは・・・出来ない、ラクスとのことは親が決めたことだ・・・たしかに父上はお亡くなりになられた、しかし意思はそのままだ、だから・・・母上・・・それに俺はラクスが好きだ、愛している・・・だから・・・」
「お母さん?・・・構いません、でも・・・一緒に戦わせてください」
こいつマザコン?フレイはファザコンだけど・・・でもいいなにもかも、この男が苦しんでいるのを見るのは楽しい、私にとっては一番癒されるわ、私この男の涙を見たい。
「アスランさん・・・」
アスランを優しく抱きしめる。
アスランが驚いた顔でミリアリアを見上げる。
「戦うわ・・・」
「戦う・・・?」
「はい、心から・・・貴方と共に・・・私の想いも・・・」
そしてミリアリアの唇がアスランの顔に近づいた。
そしてアスランも無我夢中で、ミリアリアの色気の前に・・・アスランはミリアリアを押し倒した。
これでいいわ、この男に抱かれよう。

フレイはコ−ディネイタ−嫌いが解消しつつあるようだ。
ワガママお嬢様はあいかわらずだがフレイ自身も成長はしつつあるのだろう。
コ−ディネイタ−であるキラを好きになったというのが大きい、ラクスにも打ち解けてきた。
「ラクス♪」
「あ、あの・・・困ります」
「いいじゃない、私達の部屋も大部屋にしてよね、それからシャワ−室もっと大きくならない?それから今日泊まらせてもらうわよ」
キラが慌てる。
「フレイ!?ラクスさんの部屋に泊まるってどういう・・・そんな」
「朝言ったじゃない、私の部屋に戻るのは明日からだって、一日私がいないからって寂しがらないの」

417ザフト・赤毛の虜囚 59:2004/05/07(金) 06:23
10.親友 3/8
[親友なんてとんでもないわ]

ぼうっと考え事をしていた私は、ふと時計を見て、サイとの待ち合わせの時間が近づいて
いることに気がついた。慌てて日焼け対策の帽子とサングラスを掛けて席を立つ。
たくさんある買い物の紙袋を持って、その女性の脇を通り抜ける。
ちょっと、顔を覗きこもうと視線を女性に向ける。その時、……

紙袋がコーヒーカップに触れた。カップが跳ねる。隣の水の入ったコップが倒れる。

「や、何よ!」
コーヒーカップの跳ねた雫が、サイに見せようと着てきた、お気に入りの白い上着に跳ねた。

「ちょっと、上着にコーヒーの雫付いちゃったじゃない。どうしてくれんのよ」
私は、お気に入りを汚されて、ヒステリックに声を上げる。慌てて、ハンカチで雫をふき取ろうとする。

「冗談じゃ無いわよ。こっちこそ、水かけられて、いい迷惑だわ」

その、もの言いに、私は思わず言い返してしまう。
「これ高いのよ。染みになったら、どうすんのよ。ああ時間だ。まったく、何て災難かしら」

私は、女性の顔も見ずに、荷物を拾うと清算に向かった。

「こら、ちょっとくらい謝りなさいよ。ちょっと!!」
その女性は、私に向かって叫んでいる。私は無視して喫茶店を出た。

結局、染みのついた上着は、サイに見せられなくて、帽子とまとめて、コインロッカーに
放り込まざるをえなかった。おかげで、サイとの待ち合わせにも遅刻するし……
何よ! もうちょっと言い方あるじゃない。嫌な子。
サイのこと相談しようとも思ったけど、とんでもないわ。

でも、その子の酷さは、それだけじゃ無かった。間違って持ってきた、その子のものらしい紙袋。
手がかりになるかと思って、包みを開けてみた。その中身は……

いやらしいマンガの本。
まさか、ジェシカの言ってた彼氏とのあれやこれやって、こんなことするの……
ミーシャの言う、あの人と、あの人はデキてるって、こういうことなの?
わー わー わー!!

「フレイって、そういうの趣味だったんだ」
「ちょっとサイ、違うのよ。これは違うの。私、こんなの知らない」

そうなの、私は、もっともっと純粋に…… サイのことが……

「いや、いいんだよ。そういうのよくあるし。別に構わないよ。俺も、まさか、
 フレイがそうだとは思わなかったけど…… ちょっと見せてよ……
 へえ、凄いな…… フレイ、こんなので興奮するんだ」

カチン!!

「サイ〜、私のこと、そんな風に思ってた訳…… サイなんて嫌い!!」

パチン!!

嘘、嘘…… サイに怒っちゃった。喧嘩しちゃった。
もう、何よ、あの女。全部、アイツのせいよ。親友なんてとんでもないわ。嫌いよ嫌い!!
もう思い出したくも無いわ。

* * *

その数日後、ジェシカとミーシャに会ったときの会話。

「どう、フレイ? サイのどうだった。大きかった?」
「今度、港のイベント会場来ない。うちの男共紹介するから、彼氏持参でカラオケ・ハウスに
 篭って、アレコレ騒ごう」

「二人とも、ほっといてよ!」私は大声で怒鳴りちらす。

サイに謝るキッカケに人が悩んでいるのに、こいつらはもう!!
ああ、本当の親友が欲しい。なんでも、私のこと相談できる、本当の親友が……

418ザフト・赤毛の虜囚 作者:2004/05/07(金) 06:26
とりあえず、ミリィSSミナシロ編とのリンクは一段落。この後、もう一回くらい別の箇所をリンクして
使いまわす予定です。

>>過去の傷
ミリィ黒いぞ。そして、とうとうアスランも…… まさか、アスランも、誰かみたいに、マザコン呼ばわりされるとは。
フレイ様は、余裕が出てきてワガママぶりも復活。ラクスと仲が良いのはいいけど、カガリは、ほったらかし? かわいそ。

419過去の傷・131:2004/05/07(金) 10:59
アスランも自分自身が分からなかった、エリ−トだった、ザフトでもクル−ゼ隊に所属し、それなりに成果を上げてきたつもりだ、父上にラクス・クラインとの婚約の話も持ち出されこの17年間いい人生を歩んできた、キラのこと意外は。
それなのに自分は今・・・。
気がついたらミリアリアと寝ていた。
シ−ツの中に自分とミリアリアが二人でいることさえ気がつくのに時間がかかった。
なぜ?初めての体験だ・・・生まれて初めて、なぜ自分はこんなことをしているのか?自分は・・・なぜ?婚約者がいるのに自分はなんで・・・。
ミリアリアがそのアスランの様子を見て笑みを浮かべていることさえ気づかなかった。
成功だわ、この男と寝ることに・・・え!?
「すまない!」
アスランはベッドから起き上がるとミリアリアに頭を下げた。
「黙って出て行ってくれないか、ほんとにすまない!俺はどうかしてて・・・ほんとはキラとラクスとカガリとフレイ・アルスタ−、エザリア・ジュ−ル以外の人間には興味ないんだ」
ミリアリアは黙って起き上がると服を着始めた。
「アスランさん、やめてください・・・私いいかげんな気持ちでアスランさんと・・・だから・・・それにもう私達関係を持ったんですから今更それはないと思います・・・」
「分かるだろ!?ラクスに見つかったら俺だけじゃなく君もただではすまないんだぞ!」
「そんなことは関係ありません」
そう言うと抱きつく。
アスランは絶望する。

「キラ君、このあと予定ある?」
アサギに問われ。
「え・・・?フレイもいないし暇だけど」
「ねえねえ!なら・・・部屋に上がってもいい?」
「え!?それは・・・ひ!?」
答えようとして言葉につまる、フレイが物凄い形相でキラを見ているのだ。
「キラ、浮気は許さないわよ、て・・・なにこの子達となれなれしく話してるのよ!」
フレイの嫉妬深さはある意味異常である、キラが他の女の子と話してるだけですぐ怒り出す、カガリのときもそうだった。

「いままで意地悪したりしてごめんね」
「いえ、いいんです」
一時間後、ラクスの部屋に泊まることになったフレイだが・・・。
「あ、私ちょっとアスランに会いに行きます」
「アスランさん?」
「はい」

420散った花、実る果実45:2004/05/07(金) 22:18
私の悲しみとは別のところで、日々は風のように過ぎ去ってゆく。
「フレイ!あのね、私、今まで程あなたの面倒を見れないかもしれないの」
何故か嬉しそうにリスティアは言う。
「どうしたの?私の面倒見ないことがそんなに嬉しい?」
意地悪な気持ちも手伝ってそう問い返したけれど、今は彼女がそんな冷たい人間ではないということを知っていた。
彼女はナチュラルを知らないだけだ。・・・以前の私がコーディネイターを知らなかったように。
知らないことでナチュラルとコーディネイターへの溝は、なんと深く刻まれたことだろう。
なんて悲しい戦いが、そのせいで起こったのだろう。
「違うわよ!そうじゃなくて!私、実戦に出られることになったの!」
思ったとおり、私の問いを否定して、彼女は全身で喜びを表している、けど・・・実戦って・・・
「嫌だ・・・実戦って・・・危ないじゃないの・・・・・死んじゃったり・・・怪我でもしたらどうするのよ・・・・」
おびえた私に、リスティアは諭す様に続ける。
「いやあね、何言ってるの。コーディネイターである私が、ナチュラルになんて遅れをとるわけないじゃない。それにね、最初だし、そんなに危険な任務ってわけじゃないのよ?地球での小競り合いをある程度鎮めておかないと、宇宙に出るとき、邪魔になるでしょ?それで少し叩いておこう、ってわけ。大した戦闘じゃないのよ」
彼女はそういうけど・・・・・・『帰ってから』そう、何でもない事のように言ってそれきり帰らなかったキラの思い出が胸をつく。
戦場に出るからには確実に無事に帰ってこられる保証なんて誰にもできないのに。
「でも・・・・・・」
「それにね。私は軍人なの。プラントの皆のために戦えるってことを、とても誇りに思っているのよ。あなたはナチュラルだから共感はできないかもしれないけど・・・・でもこれが私の仕事なの」
リスティアは、もう自分のできることが何か、見つけたんだ。
私がまだ、見つけられずにいるもの。自分の存在意義。自分のなすべきこと。
「そう・・・・おめでとうって、言ってあげるべきなのかしらね」
「そうよ!だからあなたももうちょっとしっかりしてね。私が付いていなくても大丈夫なくらいに」
そう言って晴れがましく笑う彼女の顔は生き生きしていて、彼女を応援しなくちゃって、そう思った。
「怪我なんかして帰ってきたら笑ってやるからね。まして、もし帰ってこなかったりしたら、末代まで語ってやるから。だから無事に帰ってきなさいよ。あなたの分まで仕事とっといてあげるから」
そう言って、彼女の無事を祈る。今の私にはその程度のことしかできなかった。
でも彼女には、キラのようにいなくなって欲しくはなかった。どうか彼女に何事もありませんように・・・・

421散った花、実る果実46:2004/05/07(金) 22:19
リスティアを心配する私を気遣ってか、それともナチュラルの捕虜なんて大して意識もされていないのか、私はリスティアの戦闘の様子を時々見せてもらう事ができた。
彼女が「さして危険な戦闘ではない」と言ったのは偽りではないらしく、その多くは小さな小競り合い、といった風情だった。
「ナチュラルも馬鹿だよなあ・・・俺たちに敵うはずも無いのに」
戦闘を見ながら、おそらく私の見張り役を任されているのだろう男性兵士が言った。
目を向けると軽蔑もあらわに言葉を続ける。
「お嬢ちゃんもナチュラルだっけか?わかるだろう。ナチュラルがコーディネイターに敵う訳が無い。産まれ持った能力が違うんだから」
その言葉には反論の余地はなく、私は黙ってモニターへ視線を戻した。
「ミリアリアも隊長も甘い扱いをしているらしいが、これが俺たちの情けだって事を忘れないで貰いたいね。本当ならお前はこんなところで自由に過ごせる身分じゃないんだから。まあ隊長が何を考えているのか知らないが、俺たちはお前を認めたわけじゃないぜ」
反応しない私にかまわず彼はなおも続ける。
「ナチュラルなんか生かしておいても意味はないが、お前一人ここにいても何もできるはずがないからな、だから殺されないだけだ。お前はここにいるべき人間じゃない、そう思っている人間は少なくはないぜ。わかってるんだろう、それくらい」
「だから何よ」
思わず私はそう答えてしまっていた。
「生意気なんだよ、ナチュラル風情が。大きな顔して歩いてるんじゃないよ。少しばかり甘やかされたって、それで認められたと勘違いされたら敵わないからな。何しろナチュラルは馬鹿だから。」
むっとしたが、こんな男をまともに相手にするのも馬鹿馬鹿しいと思い、それ以上相手にする事をやめた。
ただ・・・・今でも私に敵意を持っている人が多いのは、確かにそうかもしれない。最近軟化してきた皆の態度や打ち解けてきたリスティアとのやりとりですっかり油断してしまっていたけれども・・・・・
でも、こうしていて、敵意のこもった視線を向けられることが少なくないのも確かだった。

それでも私の行動が制限されることはあまりなかったし、向けられる敵意も耐えられない程のものではなかった。
たまに話し掛けられてちょっとした会話をすることは私にも慰めになったし、リスティアの仕事ぶりを見ることはやはり励みになったから。
そう、頑張っているリスティアを見ることは楽しかった。
最初の頃の肩に入っていた力が抜けてきて、誇らしげに自分の仕事を語る様子には羨望を覚えた。
でも、プラントからの放送で、ラクス・クラインの叛意が自らの意思ではなく、ナチュラルに騙されてのものだ、という演説が始まってからは、私への視線も少しずつ厳しいものへと変わっていった。
そんな時だった、非常事態を知らせるベルが鳴り響き、リスティアの所属する部隊が帰ってきたのは。

「何があったんですか!?」
その辺にいるザフト兵を捕まえても忙しそうにするばかりで中々教えてもらえない。
「あの・・・・!」
とても仲良くはできそうにないが、いつも私の見張り役としてついていたあのザフト兵の顔を見つけ、私は必死に彼に訊いた。
「何があったの?今帰ってきたのはリスティアのいる部隊でしょう?今の非常ベルは何?」
「うるさいな!」
邪険に扱われたが、ここで頑張らないと事態を把握することができない。私はもう一度必死に彼に詰め寄った。
「お願い、教えて!どうなってるの!?」
「じゃあ教えてやるよ!今回の作戦は何があったのか大きな負傷者が出たんだ。それが誰だか教えてやろうか。お前の面倒を見ていたミリアリアだよ!」
ミリアリア・・・嘘・・・・・・
「まったく、あれだけナチュラルの面倒をみて、それでこんな怪我をして帰ってくるなんざ、ミリアリアもいい面の皮だな。恩をあだで返されるって言うのか・・・・おい!どこ行く気だよ!」
私は思わず駆け出していた。帰還したばかりだということは、きっとまだモビルスーツのデッキにいるか、医務室へと向かう途中に違いない。
ミリアリアの様子を、確かめなくちゃ・・・・・・・
────そうしてモビルスーツデッキへたどり着いた私の見たものは、コックピット周辺が異様に変形しているジンと、そこから運び出されたばかりのぐったりとして生気の無いミリアリアの姿だった。

422散った花、実る果実/作者:2004/05/07(金) 22:34
・・・ちょっととんでもない所で止めてしまったかも・・・・・
週末は外出してますので、週明けに続きを投下します。

>>流離う
アルフレット・・・素敵だ・・・・・・
フレイ様やキラにもこういう図太さがあったらもうちょっと人生楽なんだろうけど、やっぱり彼等はそういう器用な生き方はできないんだろうなあ・・・・

>>明日と終わりの間に
いやー、いいですね!こういうコメディー風の話。
作者さんのつっこみが絶妙で笑えました。
アスラン・・・哀れな・・・・・でもまあ、彼らしいと言えば彼らしいですかねー。

>>赤毛の虜囚
やはりミリィの同人誌を拾ったのはフレイ様だったのですね。
しかしサイ・・・・物には言い様が・・・・(笑)
フレイ様の彼に対する扱いも哀れと言えば哀れですが、まあ自業自得かな。

>>過去の傷
>ほんとはキラとラクスとカガリとフレイ・アルスタ−、エザリア・ジュ−ル以外の人間には興味ないんだ
・・・ええええーー??
ある意味ストライクゾーン広いような気もしますが・・・・アスラン・・・・どの道君は絶対絶命だよ・・・(文字通り)

423散った花、実る果実/作者:2004/05/07(金) 22:36
>>赤毛の虜囚
投下容量の件、ありがとうございました!
新規規格でどの程度か様子をみながら投下量を決めていこうとおもいます。

424流離う翼たち・472:2004/05/07(金) 22:52
 キラとカガリがナタルに呼び出されたのは、その日の昼頃であった。呼び出しを受けた2人はここ最近の行動を思い返し、何か落ち度があっただろうかと首を捻っている。何しろナタルに呼び出されるという事は、何らかのお説教を受けるという事だからだ。
 だが、2人の予想に反してナタルは2人を叱ったりはしなかった。ナタルの家のリビングには何故かキースもおり、入ってきた2人に右手を上げて挨拶してきた。

「よお、来たか2人とも」
「キースさん?」
「何の用なんだ、一体?」

 キラとカガリは良く分からないという顔を向かい合わせながら、勧められるままにナタルの部屋にある椅子に腰掛ける。そしてキースはいつもより少し暗めの表情でキラとカガリを見た。

「さてと、いきなりハードな話になるが、覚悟はいいか? まあ、決まって無くても言うけどな」
「「聞いた意味が無い!!」」

 キースの断りにキラとカガリが同時に突っ込みを入れた。そして言った後に何故かカガリとキースとナタルが驚いた顔でキラを見ている。キラは集まった視線に何だか居心地が悪そうに身動ぎした。

「あ、あの、何か?」
「いや、キラがツッコミ入れたの初めて見たからさ」
「お前にもそんな感性があったんだな。てっきり受け専門かと思ってた」
「いい傾向だ。このまま続けば良いのだが」

 何だかおもいっきりボロクソ言ってくれる3人。キラはキースの話を聞くまでも無くボロボロにされ、早くも肩を落として項垂れてしまっていた。
 キースはそんなキラを一瞥した後、コホンと咳払いを入れて話を切り出した。

「さてと、キラはもう知ってると思うが、アズラエルが言った通り、俺は最高のコーディネイターを殺す為に強化された調整体だ。今は強化人間とか言うらしいな」
「調整体って、何なんだよそれ?」

 カガリがキースに問いかける。彼女はその名に覚えがあった。前に立ち寄ったアティラウの街で、キースの実家で見つけた資料の中に確かにその名があったからだ。そこで見つけた資料から得た情報は自分には理解できなかったが、とんでもない代物だというのは何となく理解できている。

「調整体とは、ナチュラルがコーディネイターと戦うために生み出した戦闘個体だ。まあ、番犬みたいなものだな。ナチュラルの体に手を加えてコーディネイターと戦えるようにしたものだ。まあ、現実はそう都合よくいかなくて、俺たちは想定された敵ほどの能力を得られなかったわけだが」
「その、想定された敵っていうのは、何なんだよ?」

 カガリの問いに、キースは黙ってキラを見た。キースに見られたキラはビクリと肩を震わせ、慌てて顔を逸らせたが、キースはキラを見るのをやめなかった。そのキースの態度が何よりも雄弁に答えを伝えている。
 それに気付いたナタルとカガリは顔を青褪めさせてキースを見た。

「まさか、アズラエル氏の言っていた最高のコーディネイターというのは?」
「キラ、なのか?」

 2人の問いにキースは頷いた。それを見て2人はキラを見やる。確かにそう言われれば納得できない事も無い。これまで、キラはとてつもない強さを自分達に見せ付けてきた。ドゥシャンベで友軍と合流する前に敵と遭遇した時には、たった1機で並み居る敵機を蹴散らしていたし、あの砂漠の虎、バルトフェルドでさえ倒されている。自分達はそのキラの凄まじさに恐れを抱き、彼を避けたのだ。
 あの時感じた恐怖は、余りにも異質すぎる力を持つキラに対する恐れだったのだが、その力が最初からそのように考えて作られた力だとすれば、確かに納得できる。コーディネイターの中でも最強を目指したというのなら、それは確かに最強となりえるだろう。

425流離う翼たち・作者:2004/05/07(金) 23:19
ようやくフレイ様、成長ストーリーがほぼ完結。ここまでフレイ様はキース、マリュー、トール、ナタル、アスラン、カガリに手を引かれ、遂にアルフレットさんまで来ました
実はそれぞれが過ち、母、友情、厳しさ、鏡、絆ときて、最後のアルフレットが父を示してたりします。
一応、まだ最後にもう1つ残っていますが、それもいずれ出ます。
とりあえず次はキラの番、真実は劇薬なのです

>> 『明日』と『終わり』の間に・おやつの時間
シーナさん、貴女は閻魔帳まで付けていたのですか。既にイザークは完全に尻に敷かれてますね
しかしアスラン、お前は苦労したんだな。2週間ずっと食べたんだな。フレイ様は一口持たなかったのにw
ひょっとして、フレイ様もこうなる?

>> ザフト・赤毛の虜囚
ミリィの視点だった喫茶店のフレイ様バージョンですね。友達2人にたかられていたのか
この後ミリィから発したドタバタ劇が起こるのですね。っと思ってたら、その次であっさり見られてるw
これでサイは一生消えない傷を・・・・・・ジェシカとミーシャは普通の友達ですね

>> 過去の傷
ア、アスラン、君の好みの幅は一体? とりあえず1人に絞りたまえ。
なんかラクスがアスランに会いそうで、ちょっと不安です。

>> 散った花、実る果実
リスティアさん、張り切ってますねえ。まあ、出撃できなかった新兵なら仕方ないですが、戦局傾いた時の初陣は死亡率高いですよ
とか考えてたらいきなり負傷ですか。まあ、生きてただけ良かったですが
これでまたフレイ様と喧嘩、何て事にならなければいいけど。

426私の想いが名無しを守るわ:2004/05/08(土) 00:27
あんまりセックスネタはやめた方がいいと思う
ここがフレイ板でフレイ様はいい立場におかれているものの
他と兼任してる人もいるわけだしね
まあ、創作に余計なお世話だったら流してくれ。

427私の想いが名無しを守るわ:2004/05/08(土) 10:03
どこまでokかどうかが難しいところだよね。
創作の名を借りて他キャラがひどい目にあってるのも…自分はどうかと思う。
他所にも貼られることもあるんだしさ、フレイ板の住民でもここを見てる人は
少ないから誰も気付かないだけかもしれないけど。

428ザフト・赤毛の虜囚 60:2004/05/08(土) 10:42
10.親友 4/8
[ハーイ! ミリアリア]

本当の親友じゃないのかもしれない。だけど、それでもジェシカとミーシャは私の親友。
あれから二人はどうなったんだろう。

ヘリオポリスの襲撃で二人と離れ離れになって、アークエンジェルに乗り込んだ私は、親友どころか、
大好きだったサイとさえ関係を断って、ただ一人孤立した。復讐という暗い想いに囚われて。

私の心を打ち明けられるのは、憎いはずのキラの持つトリィだけだった。

<トリィ?>
「ねえ、トリィ聞いてくれる? 私のこと」
<トリィ……>
「私、キラにうまく話できているかな。また、キラに避けられたら、私、もう、どうしたら……」
<トリ、トリィ!>
「そうね、もう少しキラに優しくしてみる。キラの言うこと、すること、我慢してみる」

トリィは、言葉を話さないから、所詮は、私の独り言に過ぎない。だけど、それでも、トリィには
随分助けられた。

そして、アークエンジェルで旅を続けるうち、少しだけ私の心が他人に溢れた瞬間があった。
あの船酔いと腰痛で、自分の我が侭をキラにぶつけて、私が少し変わり始めた時のこと。

「ハーイ! ミリアリア」
「フレイ。久しぶりね。船酔いとか、腰とか、もういいの?」

「うん! もう大丈夫。これ洗っとくわね」
「どう、仕事」

「ちょっとサボってたんで、仕事たまってて大変。なんか、洗濯とか掃除とか、
 今まで、自分では、あまりやってなかったことだけど。
 私、こんなことくらいしかできないし。キラも、みんなも戦っているのにね」

キラへの復讐を少しだけ忘れて、ハイな気分のまま、なんだか、ミリアリアに昔からの
友達のように親しげに心境を語りかけた。ヘリオポリスの時でも、アークエンジェルに
乗ってからでも、あまり快く思ってなかった相手なのに……

私は、ミリアリアにキラのことを聞いてみる。

「キラは、どうしてる?」
「今、ザフトの機影は見つからないから、とりあえず待機中。
 モビルスーツデッキにいると思う。ストライクのメンテとか、スカイグラスパーとの
 連携シミュレーションとか、やってるんじゃないかな」

「ふうん」

部屋では、ずっと一緒にいるのに、キラが普段の仕事は何をしているのかさえ、よく知らなかった自分に、
今さらのように気がつく。それを教えてくれるミリアリアに親近感を感じる。
そして、ミリアリアに頼み事までしている自分がいる。

「私、夕方、早めに仕事上がるから、もし、話できたらキラに言っといてもらえるかしら」
「うん」

ミリアリアが、私の仕草を覗きこむ用意して聞く。

「どうしたの、まだ腰痛むの ?」
「ん! なんでも無いの。ちょっとね。きつくて…… あ、なんでも無い」

ミリアリアの私の素振りを心配したような言葉に、私は戸惑い、下半身に違和感を感じている、
いやらしい自分が恥ずかしくなった。

ジェシカやミーシャと、こんな話をしたことあったっけ?
自分の想いを話し、共通の人について話を聞き、そして、気づかいの言葉を掛けられる。
この瞬間、ミリアリアは私にとっては親友だったような気がする。
ミリアリアの方は、このとき、どんなことを思ったんだろう。

でも、もうミリアリアと、こんな話をすることなんてありえない。

「ミリアリア、あなたもキラが好きだったの……
 私もそうなの。そんなはず無かったのに、最初、そんなはず無かったのに。私、キラのことが……
 ミリアリア、あなたも同じなのね。私と同じなのね」
「違うわ、あなたがキラのことなんて…… コーディネータが嫌いなあなたが、そんな訳無い」

「変わったの私。変わってしまったの。キラが変わったように。キラと一緒に成長したのよ私……」
「違う! あなたなんか! あなたなんか!
 奪ってやる。キラのことなんか忘れさせてやる……」

* * *

物思いにふけっていた私は、ドアのロックが外れる音に我に返った。コール音が鳴る。
それで、私には誰が来たのか分かる。私は自分が捕虜として囚われている部屋のドアを開けた。

「ミコト……」
「ママ、また、お洗濯物」

「いつもありがとうミコト」
「ううん、こんなの、なんでもないよ。それにアタシ、ママに会えるの、うれしいもの。
 ママ、また髪撫でてちょうだい……」

「うん、いいわよ。泣き虫さん」
「嘘、違うって…… ママ」

はた目には、歳が近くて友達に見えるミコト。だけど、ミコトも、なにか親友とは違う気がする。
私の中に芽生え始めているものが、違うことを私に感じさせる。

親友って、私にできるんだろうか。心の内を少し相談できるだけでいい。本当の親友が……

429ザフト・赤毛の虜囚 作者:2004/05/08(土) 11:00
今回、まるでTV本編のような引用の羅列でした。すんません (汗)。
この時のミリィの心境は、ミリィSSの最初の方にあって、フレイの心境とは、まったくズレてるんですが、
だからこそ、私は面白いと思います。そして、現在の章のテーマと、今後の展開には必要な話でした。

>>過去の傷
アスラン我に返ると、キラよりずっとまともな反応を。しかし、エザリアはOKとは。カナーバは?
ミリィは、とりあえず目的達成だけど、これから、どうする。この話のラクスって、フレイ様以上に
嫉妬深かったような……

>>散った花、実る果実
ミリアリア・リスティアがなんてことに! MSに乗れることを喜んでいただけに、悲劇もひとしお。
フレイ様自身は、大分、ザフトでの身の振り方も身についてきたようですが、この事件に、
どんな想いを抱くのでしょうか。さらなる今後の展開も気になります。
ところで、リスティアが行ったのはビクトリア戦線じゃ無いですよね。

>>流離う翼たち
キースはクルーゼと違って、重大なこと、やけに明るいノリで伝えてますな。まあ、あの時は、
クルーゼもテンパってましたし、最高の…… の以前に、人工子宮がショックだったでしょうし。
後、TV本編も、これが不満だったんですが、最初に、二人がフレイ様を心配していることを、
なにげなく入れてくれると嬉しかったんですが。

フレイ様、成長ストーリーは完結というより、必要な出会いを経て、これから自分で考え、模索することが、
始まりではないかと思います。多分、作者さんも、そのつもりの言葉なのかもしれません。
これも個人的なワガママかもしれませんが、アルフさんが父だとすると、フレイ様の中で、ジョージ・パパとの
比較があると嬉しいです。
そう言えば、私の話でのジョージ・パパは、回想中では、慕いながらも、あまり、いい想いがありませんね。
なにせ、正体が、あの人なもので。

>>426-427
今後にも関係あり、考えさせてもらいます。しばらく小説を読んでいなかったので、もうちょっと、色々な分野の
小説を読んで、それに頼らないストーリー展開を勉強しないと……

430私の想いが名無しを守るわ:2004/05/08(土) 12:26
キャラの兼任もいることを配慮時して欲しい

431過去の傷・132:2004/05/08(土) 12:50
アスランはミリアリアに背を向けた。
今だ、この男がト−ルを・・・こいつが・・・。
ミリアリアはアスランの上着から護身用のナイフを取り出すとアスランを険しく睨みつける。
「ふうう!ふう・・・!」
「!」
「うわあああ!」
ミリアリアはアスランにナイフで襲い掛かった。
それをかわすアスラン、コ−ディネイタ−の反射神経のよさだ、しかしそれすら苛立たしく思える。
(やはりこういうことだったのか)
「馬鹿な真似はやめるんだ!」
馬鹿な真似?どこが馬鹿な真似よ?私をこんなふうにしたのは誰よ!?
「ト−ルの・・・ト−ルの仇!」
起き上がるとナイフを振り上げまた襲う。
「アスランどうしました!?騒がしいようですが」
「ラクス!」
ラクスが物音が聞こえたのかドアの前に立っていた、背後にはフレイも驚愕した表情を浮かべている。
「ミリアリアさん落ち着いてください」
ラクスがミリアリアを押さえつける。
「いやあ!離して!」
ミリアリアは押さえつけられながらも涙を浮かべながらアスランを凄い形相で睨みつける。
「あんたなんか・・・あんたなんか!なんでよ・・・なんでこんな奴が!ト−ルがいないのに・・・なんでこんな奴がいるのよ!ト−ルを返して・・・ト−ルを返してよ!」
ラクスも必死にミリアリアを押さえつけている。
ミリアリアも相当必死だったらしくラクスをなんとか突き放しラクスの衣装から銃を奪い取る。
「ミリアリアさんやめなさい!銃を返すのです!」
ラクスが叫ぶが無視すると銃をアスランに向ける。
「ふう・・・!コ−ディネイタ−なんか・・・皆死んじゃえばいいのよ!」
「駄目!!!」
瞬時にフレイがミリアリアに跳びつき銃声はこだましたが銃口はそらした。
「はあ・・・はあ・・・」
ミリアリアは今度はフレイを睨みつけた、その形相にフレイもたじろぐ。
「なによ・・・なにするのよ!なんで邪魔するのよ!なに正義感ぶってんのよ!あんただって憎かったじゃない!パパを殺したコ−ディネイタ−が!守れなかったキラが!あんただってキラを殺そうとしてたじゃない!それと同じよ!」
「違う・・・違う・・・」
「違わないわ!あんたも私と一緒!だいたいこの男はト−ルを殺しただけじゃなくキラも殺そうとしてたのよ!許せないわよ!こんな奴となんで同じ艦にいるのよ!」
「駄目、コ−ディネイタ−にもいい人いるわ、キラは好きだし、ラクスもアスランさんも・・・だから駄目、殺しちゃ駄目、大事な人達だから・・・」
そう駄目よ私気づいたの、だから駄目、殺しちゃいけないわ、駄目・・・。
「皆・・・どうしたの!?」
ドアの外にキラがいた、そして皆の様子に唖然としている。
「キラ・・・」
フレイはキラの胸に泣きながら飛び込んだ。
「フレイ・・・」
キラは恋人であるフレイを安心させるように抱きしめた。

432私の想いが名無しを守るわ:2004/05/08(土) 12:58
>430
自分も兼任だが、ここはフレイ板だしな。

433過去の傷・作者:2004/05/08(土) 13:01
>>ザフト・赤毛の捕囚
そうですね、フレイ様が他人を触れ合い成長しているところを見ると楽しいですね。
>>426、427、430
そうですね、これから気をつけます、他のキャラも考慮することも忘れないようにしなくては。

434『明日』と『終わり』の間に・作者:2004/05/08(土) 13:57
 自分もこうした点への配慮に欠けていました。これからは気をつけさせて頂きます。

》赤毛の虜囚
 なるほど、ミリアリアのミナシロでの思い出とこのようにリンクしていたんですね。何だかサイが気の毒でした。
 フレイ様にとっての本当の親友とは誰になるのか、気になりますね。

》散った花、実る果実
 リスティアさんが怪我を!?本人は喜んでいたばかりなのに何てことが・・・。帰還できたのは良いんですが大丈夫なんでしょうか?
 それと彼女がビクトリアに行ったかどうかは自分も気になります。何せあのソードカラミティやらゴールドフレーム・天やらが出撃してたぐらいですし、もしそうだったらよく生きて帰れたと思えます。

》流離う翼たち
 キースさんの口から真実が語られる時が来ましたか・・・。内容が衝撃的なだけにキラが耐えられるかどうか心配です。
 それにしてもキラがツッコミに回るなんて・・・、これも成長ということなんでしょうねw。

》過去の傷
 ま、またミリィが暴走を・・・!あの時の彼女は本当に怖かったです。しかも目の前にいるのは本物の仇ですし。
 それとアスラン、必死に秘密にしようとしてましたが、今回の件で何してたのかラクスにばれちゃったのでは・・・。

435私の想いが名無しを守るわ:2004/05/08(土) 14:02
過去の傷の職人さんはミリが嫌い?

436過去の傷・作者:2004/05/08(土) 15:52
>>435
いえ、そんなことはないですミリィは好きですよ、それにSSに感情を持ち込むことはないです。
それから言われた通りフレイ様以外のキャラに対しても配慮するように心掛けることにしてますので、これから出来ればこんなことはないようにしています。

437流離う翼たち・473:2004/05/08(土) 23:54
 だが、この話で誰よりも衝撃を受けたのはキラだった。まさか、自分がそんな存在だなどと、普通は考えない。

「僕が、最高のコーディネイター?」
「そうだ。お前はこれまで、自分の力に疑問を持った事は無いか? 訓練も無しにMSに乗り、クルーゼ隊の歴戦のパイロットを複数相手取って圧倒したりする。そんな事がありえると思うか?」
「それは・・・・・・・・・無いと思います」
「そう、ありえない筈だ。なのにお前はそれを平然と成し遂げてきた。立ちはだかる全てを薙ぎ倒し、死山血河を築いてきた。普通に考えればありえないはずなのに、お前にはそれが出来た。それはお前が特別な存在だからだ」
「僕が、どうして・・・・・・」

 キラは衝撃の余り焦点のあっていない目でうわ言を事を呟いている。まあ、自分が化け物として作られた、などと聞かされれば大きな衝撃を受けるだろう。だが、キースの話はこれで終わりではなかった。更に酷い話が続くのだ。

「さてと、話の掴みはこれ位で、ここからが本題だ」
「掴みって、あれでか!?」

 カガリが驚愕の声を上げるが、キースはそれにただ頷くだけで返した。

「キラ、まずお前の両親だが、あれはお前の本当の親じゃない」
「・・・・・・え?」
「お前の本当の両親はもう死んでいる。父親はユーレン・ヒビキ、母親はヴィア・ヒビキという。今のお前の母親、カリダ・ヤマトはヴィア・ヒビキの妹だ」
「な、なんで、僕の親は死んだんです?」

 その言葉に、キースは言い難そうに顔色を暗くした。

「お前は、メンデル研究所を知っているか?」
「いえ、知りませんが」

 キラはその名を聞いた事が無かった。カガリはあの資料に載っていた名前に緊張の色を見せている。そんな2人に変わってナタルが答えてくれた。

「確か、バイオハザードで放棄された研究所でしたね。L4にあるコロニーの1つの筈です」
「表向きにはね」
「裏があると?」
「そう、本当はブルーコスモスのテロで破壊されたのさ。遺伝子研究所なんて、ブルーコスモスの良い標的だからな。それに、そこでは最高のコーディネイターや、何と秘密裏に人間のクローンの研究まで行われていた。狙われるのも当然だろうな」
「馬鹿な、人間のクローンの研究は禁止されている筈です!?」

 ナタルがキースの言葉に驚きの声を上げるが、キースはそれを右手で制した。そう、クローンの研究は世界的に研究を禁止され、それを破る科学者はほとんどいないはずだ。だが、それが居たと言うのだ。

「そう、禁止されてる筈だが、ユーレン・ヒビキは自分の研究の資金援助を得る為にそれを行っていた。そして資金を得て最高のコーディネイターを研究し続け、膨大な犠牲の果てに生まれたのがキラ、お前だよ」
「その人は自分の子供まで犠牲に?」
「俺も詳しい事は知らないが、ユーレンは自分の妻から受精卵を取り出して使ったらしい。それがお前になったわけだ」

 それは、キラにとって悪夢とさえいえる話だった。出生を否定されるという事は、それまでの人生の根幹を否定される事にも繋がりかねない問題である。しかもその出生の秘密がここまで狂ったものとなれば、キラの受けた衝撃は生半可なものではあるまい。

438流離う翼たち・473:2004/05/09(日) 00:10
私はベッドシーンが出る事はないですが、戦闘などで酷い目にあうキャラはいるんですよね。こればっかりはちょっとどうにもならないんですが

>> ザフト・赤毛の虜囚
回想シーンですな。ミリアリアサイドのフレイ視点、ですか

>> 過去の傷
完全に医務室の再現ですな。ミリィは何処で銃を手に入れたんでしょう?

439過去の傷・133:2004/05/09(日) 09:15
この事件に関してラクスは非常に責任を感じていた。
「私の配慮が足りませんでした」
とラクスは言う。
もう深夜だ、食堂にフレイ、キラ、アスラン、そしてラクスがいた。
「ラクスは悪くなんかないわよ、自分を責めないの」
フレイが庇う。
「はい・・・すいません」
ラクスには二つの顔がある、一つは天然系・・・というよりプラントの歌姫の頃のラクス、もう一つはエタ−ナルの指揮官としての顔である。
今は歌姫の方だ。
「やっぱりアスランと、ミリィを会わせるのはまずかったかな」
「キラ!そんな言い方はないじゃない!」
「いや、いいんだ」
キラをフレイが叱りつけるがアスランはそれを押さえる。
「俺自身も分かってはいたんだ、俺と彼女が近くにいるのはまずいっては感じてはいたんだ。
そう、やはり少し無理はあったのかもしれない、アスランは言わばミリアリアにとっては恋人の仇である、ディアッカの頃とは違って本物だ、やはりアスランとミリアリアが一緒にいるのはいけなかったのだ。
そのミリアリアはキラと後から来たサイによって部屋に戻された、まだ感情が高ぶり体を震わせ涙を流しながらアスランにつかみかかる勢いだったが部屋に戻ると少し落ち着いたようだ。
「フレイは実際見たんだって?ア−クエンジェル内でも一度そんなことがあったって・・・僕はそのときいなかったし」
「ええ、サイと私とミリアリアと・・・捕虜がいたなんか金髪かしら?そんな髪の男」
「!」(ディアッカか・・・)
フレイは成り行きを説明した。
「そうですか、そんなことが・・・やはり近くに捕虜がいるというのは怖いですわね・・・」
「ラクス、それで彼女のことに関してはどういたしましょう、私と彼女が一緒にいるのはやはり無理があるのでは・・・」
「そうですね・・・やはり・・・」
今日は遅いこともありフレイはラクスの部屋に、キラとアスランはそれぞれ部屋に戻った。

次の日ミリアリアはラクスに呼ばれた、処罰だろうか・・・ラクスの婚約者に襲いかかったことや艦内でラクスの銃を発砲したことに対しての?
「・・・失礼します・・・」
ミリアリアはやつれていた、顔は青白かった。
「昨日はあんな事件を起こしてしまいすいませんでした・・・」
「それについては何も言いません、それより貴女に聞きたいことが」
「?」
「ディアッカさんに会いたいですか?」
「!?ディアッカ!?はい、会いたいです」
「分かりました、ならプラントに行きなさい、彼はいます」
「え・・・!?それって・・・」
「はい・・・ミリアリアさん、貴女は解雇です、艦から降りなさい・・・」

440私の想いが名無しを守るわ:2004/05/09(日) 18:10
ライトHなら〜とあるし、物語の進行上必要ならイイのでは。
自分はエロむしろ歓迎だけどw、エロパロスレになられてもなぁというのはある。
特定キャラが酷い目にあったり、というのも創作なのだから悪意はない、
または仕方ないというのも分かるが、ここはフレイ板であって、管理人さんにお借り
している場所なんだよね。2ちゃんとはまた違う。
本スレと違って、うやむやになってる感があるな。たまに避難所で話題には上るけど。
今はHPも無料で借りれるし、個人サイトを持つという手もあると思うけど。

441SEED if 〜Fllay Selection〜 ①:2004/05/09(日) 23:06
「状況が状況だから家にも帰してあげられないし、短い間だけど軍本部で面会が許可されました。」
マリュー艦長の声はサイ達にはとても優しく聞こえたと思う。
でも、私にはとても残酷だった。



オーブについて少したった日、私達はキラを除いて集められマリュー艦長から告げられた。
キラは何でもMSのOSどうのこうのとオーブの軍の方に行っているから。
キラにはもう伝えられているのか、これから伝えるのかはわからない。
だけど、サイ達と一緒よ。
「わ〜い。」
「うふふふ。」
「やったー。」
ただただ、喜ぶだけ。
マリュー艦長も微笑んでいる。
私だけが違う。
私には何もない。
あの時、パパを失って、サイを切り捨てた私には待つ人はいない。
みんなが喜んでいる中、私はこの場を離れる。
私の場所はもうどこにもない。
それがただただ悔しかった。
悲しかった。



サイ達が家族と会っている間、私は言われた仕事をしていた。
それは艦内の日常生活品の整理、家政婦みたいな仕事。
私にはみんなのようにコンピューターを扱うことができないから、こんな仕事しかなかった。
『何で軍隊なんかにいるんだろう。』
時々、そんな考えが頭に浮かんでくる。
意味のないこと、現に私は軍隊にいるのだから。



私は仕事を終え、艦内をぶらついていた。
ヘリオポリスの時にあった私の場所はどこにもない。
艦内の人たちとはほとんど話をしたことがない。
それは、当たり前のこと。
ずっと部屋に閉じこもっていたから。
だから、どこにいても声をかけられることもない。
廊下を歩いていた時に見てしまった。
なにも変哲もないただの部屋。
だが、私には感じることができない暖かい部屋だと思う場所。
サイ達のベットがある部屋。
気が滅入ってくる。
ため息を吐き、私はその場を離れた。
そこにいたら考えてしまう。
サイ達が家族に会って笑っていることを。

442SEED if 〜Fllay Selection〜 ①:2004/05/09(日) 23:07
どうしょうもなくたどり着いた場所はキラの部屋だった。
そこは私が寝起きをしている部屋。
だけど、つめたい部屋。
でも、なぜかここしかくる場所がなかった。
「おかえり。」
身体がビクッと震えた。
いるはずのないキラの声。
私は思わず振り返った。
『・・・キラ。』
コンピューターに向かって座っているキラがいた。
トリィがじゃれるようにキラの頭の上にのる。
いつもどおり。
『そんなはずない、そんなはずない。』
その思いが、口から漏れた。
「どうして・・・」
私の疑問の答えは返ってこない。
「ああ、ごめん。もう少しで終わるから。それとも先に食堂にいく?」
キラが信じられなかった。
いつもそばにいてくれたままのキラ。
「なんで行かないの?」
感情がコントロールできなくなる。
「ええ?」
キラは画面に向かいながらコンソールを操作する。
「キラも家族が来てるんでしょ?」
一瞬の沈黙の後、キラが言った。
「これ、思ったよりかかりそうでさ。早くやんないと。アークエンジェルの出向までに「うそっ。」」
私は机を叩きつけ、声を荒げた。
「なによ、同情してんの?あんたが、私に。」
目頭があつくなる。
「フ、フレイ・・・」
キラは呆然と見上げる。
当たり前のこと。
こんなにも感情が高ぶったのははじめてのことなんだから。
「私には誰も会いに来てくれないから。だから、可哀想って。」
「フ、フレイ。そんな・・・」
キラは思わず立ち上げる。
「冗談じゃないわよ。やめてよね、そんなこと。なんであたしがあんたなんかに同情されなきゃいけないのよ。
「フレイ・・・」
私は差し出してきたキラの手をはたく。
「辛いのはあんたの方でしょ。」
涙があふれてくる。
キラの同情に対する怒り。
同情される自分の立場への哀しみ。
そして、それでもキラがいてくれたことに対するほんの少しのうれしさ。
それが心の中に渦巻いて、言葉を止めることができない。
「可哀想なキラ。一人ぼっちなキラ。戦って辛くて、守れなくて辛くて、すぐ泣いて、だから。」
私はキラの胸を叩く。
「なのに、なのに何で私が同情されなきゃなんないのよ。」
涙が止まらない。
無力で、すがり泣くしかできない。
「もうやめてよ。・・・違うんだ、同情なんかじゃない。」
「うそよ。うそよ、うそよ、うそよ。」
キラは苦しそうな表情を浮かべる。
そして、私の背中に腕を回して抱きしめた。
「同情なんかじゃない。僕は君の事が好きなんだ。ヘリオポリスにいた時からずっと・・・。君の華やかな笑顔を見るだけで心が熱くなった。」
キラはギュッと腕に力を込めてくる。
「だから、君が傍にいてくれたことはたとえ同情でもうれしかった。」
私は呆然とキラを見上げた。
「だから、守りたかった。でも、僕は君を傷つけてしまった・・・」
キラが私を守ってくるていることは知っている。
そう、私が仕向けたから。
でも、キラの気持ちは知らない。
『キラは私のことがずっと好き・・・』
ぼっと顔が赤くなってくる。
何も考えられない。
「ごめんなさい。」
私はキラを押して、その場から逃げた。
「フレイ。」
キラの声を無視して走る。
キラの胸の中にいてはいけない。
その思いが私の中にあった。

443SEED if 〜Fllay Selection〜 作者:2004/05/09(日) 23:12
皆々様、はじめましてです。
このたび、フレイスキーとしての初めてのSSを書きました。
多々未熟なところがあると思いますので。
存分に指摘してください。
皆様のすばらしい作品はこれからじっくりと読ませていただきます。
後ほど、感想を書きます。
それでは失礼します。。

444流離う翼たち・474:2004/05/10(月) 00:22
 キースは更に話を続けようとしたが、ナタルに止められてしまった。

「大尉、一度休みましょう。既にヤマト少尉は限界です」
「そう、だな。落ち着くための時間を入れるか」

 キースは立ち上がると、ナタルとカガリを連れて部屋の外に出る。カガリが最後にもう一度室内を振り返ると、残されたキラの背中は、まるでこれまでと別人のように小さく、頼りなげに見えた。これがあのキラかとカガリが疑ってしまうほど、その姿は悲しかった。
 リビングを出た3人は、別室に移ると深刻そうな顔を見合わせた。キースは予想通りの結果に、ナタルは衝撃的なキラの過去に、そしてカガリは自分と繋がりがあるらしい数々の単語から導かれる答えにそれぞれ苦々しさを感じ、あるいはショックを隠せない。

「まあ、予想通りではあった」
「当り前ですよ。自分の両親が実は養父母で、本当の両親はテロで死んでいる。しかも実の親に実験動物にされていたなどと言われれば、私だって暫くは立ち直れないでしょう」
「まあそうなんだがな、かくいう俺だって、真実を知った時は流石に世の中が嫌になったもんだ」

 辛いのはキラだけじゃない、という事だ。確かにキラの生い立ちは不幸という言葉だけではすまないほどに悲惨でふざけた物だが、それに対抗するいう目的だけで体を弄繰り回されたキースも負けず劣らず不幸だと言えるだろう。まあ、性格の関係上、キースは余り深刻ではなかったりするが。

「まあ、あっちはもう少し置いておこうか」
「そうですね。それでは、紅茶でも淹れましょう」
「ああ、頼むよ」

 キースはやれやれと椅子に腰掛け、そしてカガリを見た。何故かさっきからカガリがじっとこちらを睨んでいるからだ。

「どうした、カガリ?」
「キース、私は、お前にどうしても聞きたい事が、確かめたい事があるんだ」
「確かめたい事?」

 不思議そうに聞き返すキースに、カガリはポケットから取り出したパスケースのような物から1枚の写真を取り出し、キースに渡した。それを受け取ったキースは写真を見やり、そして顔を驚愕に引き攣らせてしまう。

「・・・・・・どうして、お前がこれを?」
「やっぱり、あんたは知ってるんだな、この写真がなんなのか。私が何者なのかを」

 カガリは、これまでに無い程にきつい視線でキースを睨んでいる。それは、まるで敵を見るかのような眼差しであったが、同時に危うさ、儚さも含んでいる。それは昔の、自分の居場所を見失ったフレイにどこか似ていた。

445流離う翼たち・作者:2004/05/10(月) 00:29
>>440
こっちに載せるのは止めて、個人ページのみにした方が良いですかね

>> 過去の傷
ミ、ミリィが解雇・・・・・・いや、御時世で解雇という言葉はちと怖い
ミリィ、ディアッカに会いにいけるのかな

>> SEED if 〜Fllay Selection
初めまして。オーブでの一幕ですな
キラが本編よりも多く語ってるというシーンですか。続きを期待します

446ザフト・赤毛の虜囚 61:2004/05/10(月) 09:25
10.親友 5/8
[ジェシカとミーシャ side-M]

私の前に座っている二人、ジェシカとミーシャ、二人とも私の親友。

「メルデル、アンタ、ホントに彼氏いないの?」
「ええ、ジェシカ、何か変かな?」

「変って、アンタいくつよ。居て当たり前じゃない」
「でも、女子校だし」

「男子校とのコンパなんて、いくつもあるわよ。なんだったら紹介する?」
「ミーシャありがとう。でも、私、なんか違う気がして」

「何考えてるのよ、メルデル」ジェシカが顔を寄せる。

「なんかね、いつも思うのよ。誰か、私を待ってる人がいるような気がするの。
 もうすぐ会えるんじゃないかって」私は二人に思い切って、自分の想いを話す。

「メルデル、アンタ、まだ白馬の王子様待ってるの」
「いい加減、そんな少女趣味捨てなさいよ」

ジェシカもミーシャも呆れたように声を上げる。

「いいじゃないのよ。私の勝手なんだから」

私は、二人の呆れ顔に、言わなきゃ良かったと後悔する。

ここは、学校からの帰り道にある喫茶店。私は、パパの仕事のパーティで早く帰ろうとしていたところを、
ジェシカとミーシャに引き止められた。そして、いつの間にか、恋愛談義に花を咲かせている。

「今は、そんなの流行らないわ。いい男がいたら、こっちからモノにしないと」
「男なんて掃いて捨てるほどいるし、どんどん付き合わないと」

「そうそう、私の彼氏だってね。こっちから押さないと手も握れないような情けない男で……」
「ちょっと、ツボを擽るファッションで迫れば、男なんて向こうから寄って来るわ。よりどりみどり」

「ところが、ちょっと許した途端、その気になってもう…… 男なんて所詮こんなもんよ」
「一人の男なんて、堅苦しく考えないほうがいいよ。失望するのがオチ。もっと楽しまなきゃ」

「もう、いい加減にしてよ。二人とも!」
私は癇癪を起こして、私は置いてあるパフェをひっくり返さんばかりにテーブルを叩きつける。

ジェシカもミーシャも、勝手なことばかり言ってる。自分がどうだからって、人のことまで、
構うことないじゃない。さすがに、白馬の王子様は恥ずかしいけど、私には理想があるんだもの。

そりゃいいわよ、二人とも男の子と付き合い上手だし。ジェシカなんて、何度、彼氏の話を聞かされたか。
もう微に入り細に入り、私、顔を真っ赤にして、まともに聞けなかった。ミーシャは、そこまで
いかないけど、結構もてるって。男友達一杯いて、意外とみんな仲良くしているらしい。

ジェシカとミーシャ、二人との付き合いは長いけど、私はなんとなく距離を感じる。
男性感が違うのがあるんだけど、どうも二人のノリには付いて行けない。基本的に自分が面白がれば、
みんな喜ぶと思っているのよね。要するに自分勝手。私だって、まあ、そんなところあるけど。
人が困ってるの察して話を聞くとかいう訳でも無い。別に、ジェシカとミーシャが嫌いだって訳じゃないけど、
これで親友って言えるのかな。

「今日は、もう帰るわ。パパのパーティだし、フラガ叔父様も来るし」
「フラガ叔父様って、どんなの? カッコイイ人?」
「年上の叔父さんっていうのもツボよ。メルデル、ちょっとコナかけてみれば?」

私は、怒って叫ぶ。
「フラガ叔父様は、20歳以上離れてるのよ。そんな訳無いでしょ!」

私は、パフェを掻き込むと、レシートを持って席を立った。ちなみに、今日の払いは、
最初のジャンケンに負けた結果で私持ち。こんなこと言われると知ってりゃ、
素直に払うなんて言わなかったのに。

447ザフト・赤毛の虜囚 作者:2004/05/10(月) 09:27
私も個人サイトはありますが、数年間更新していませんし。著作権の関係から、創作系の模型を
謳っているので、SSは載せられません。人にすれば新規開設など、簡単にできると言われるかも
しれませんけど。とにかく、当初目的としていた一区切りまでは、ここでやらせていただきたいと思います。
そのために、投下方法の変更もあるかもしれません。

>>過去の傷
ううむ、この展開、私も失念してました。勘違いな感想付けてて済みません。
いろいろありましたが、ミリィは、これでディアッカと会えるようですね。良かったです。
話からは抜けることになりそうなのが残念ではありますけど。

ミリィがアスランと向き合う展開は、私のSSでも大きなテーマとして予定していました。
さて、そこまでできるでしょうか。

>>SEED if 〜Fllay Selection〜
オーブの、このシーン。私も、これをメインにして40数話のSSを書きました。
結果的に行動は変わらなくても、フレイ様は、キラのこんな言葉が欲しかったのかもしれませんね。
後、タイトルだけ見ると、今度出るゲームに関連した話かと思うのですが、違うのですよね。

>>流離う翼たち
螺旋の回廊始まりましたね。この時点のキラは、オーブ面会で両親を避ける気持ちになって
いないでしょうから、まさに寝耳に水の展開でショックだと思います。キースが大丈夫なのは、
性格以上に、それを乗り越える時間があったからでしょうね。単純に比較してはダメですよ。
とにかく、次はカガリですね。TV本編ではスルーされたので期待しています。
でも、フレイ様も、一緒に聞いて欲しかったですね。受け入れるために、まだ、大きな試練が必要だとしても。

個人サイトありますね。知りませんでした。章ごとにまとめられているので、話を追い易くはあります。
だけど、ほとんど、毎日のように更新され、リアルタイムで感想のやりとりがある、このスレは
楽しくもありますので、できれば、もう少し、こちらでも続けて欲しいと思っています。

448440:2004/05/10(月) 09:47
なんだか「投下やめろ」というふうに聞こえてしまったのなら申し訳ない。
自分も楽しみにしている作品もありますし、そういうつもりではないです。
ただ過度の性描写や、特定キャラが酷い目にあう、という場合、
カットするかしないで迷ったらそこは個人サイトに載せるというテもあるかなと。

ただたまに、こういう議論もすべきだとは思います。無法地帯にならんように。
では。

>>IF
面白そうですね。楽しみだー。

449私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 13:49
でも、過去の傷、はミリイをどうしたいのかわからん。
一人だけあんなポジションにおいてミリイを嫌いじゃないといわれても
信じられないというか。
実際どういうつもりで書いているのか知らないけど
フレイ板住人っってこんなやつばかり、て感じでコピぺられるのもいやなんだよな。
中の事は職人しかわからないんだから、最後まで読ませてもらってどういうつもりだったのか
見届けさせてもらおうと思う。
実際フレイ様マンセーは嬉しいけど、他のキャラを普通に好きな人間にとっては
ここで落とさなくても良いんじゃないの?とまで思えてくる。
そういうとここフレイ板だから、とかいう奴が出てくると思うが。
マンセー意見だけが欲しくて落としているわけでもないんでしょ?

450私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 14:41
ミリスレによく貼られてるのを見て、両スレの仲が悪くなるものはな、
と思う時もある。
貼るやつが悪いのは当たり前なんだけど。

451私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 16:47
その作品はミリィもフレイも酷い目にあってるけどね。
どっちかっていうとキラマンセーなのかなとすら思うよ。

452過去の傷・134:2004/05/10(月) 17:33
「いやあ!なんで私だけ!私残りたい!」
その数時間後のことだ。
ミリアリアは解雇という現実を付きつけられショックを受けていた、そしてアスランに連れられている、艦の外に出たとしても宇宙だ、乱暴だが脱出ポットに乗せることにした、ラクスにオ−ブに戻るかプラントに行きディアッカを探すか決めさせられ迷った結果プラントに行くことに渋々決めたのだが実際なってみると嫌になり駄々をこめているのだ。
「嫌です!なんで解雇なんて・・・クビなんて嫌です!」
「いいかげんにしろ!」
アスランに怒鳴られミリアリアは黙り込む。
「君はラクスによって解雇されたんだ、それだけのことをしたんだ君は!現実を見ろ!ラクスの命令なんだ、君はそれに従わなければならない!」
「そんな・・・」
「どうしてもというなら・・・ラクスさんに僕から取り下げるように頼み込んでもいいけど・・・」
キラが言うが。
「意思の固い彼女が許すと思うか?そもそも俺達が口出すことじゃないだろ」
アスランが否定した。
そうだ、ラクス・クラインという女性は一度決めたことはまげない、そもそも彼女は指揮官だ、部下のキラ達が口を挿むことはできない、それは婚約者のアスランも同様だ、それにいくらキラやアスランが頼み込んでもラクスは否定するだろう、それ以前に指揮官の命令だ、背くなど問題外である、例を上げればラウ・ル・クル−ゼにアスランが任務を受けそれを断ると同じである。
「キラ・・・サイ・・・」
悲しそうにキラと遠くから見ているサイに助けを求めるように見つめる、しかし彼らにはどうすることも出来ないのだ。
フレイもキラに寄り添い複雑そうな表情で見ている。
「それになんの不満がある?軍から抜けられるんだぞ、それともまさかア−クエンジェルに転属したいなどと言うつもりか?」
ミリアリアは諦めたのか小さく呟いた。
「・・・分かりました・・・艦から降ります」
「当然だ、君に選択の余地はない、では行くぞ・・・付いて来い、こっちだ」
「ミリィ・・・」
キラは悲しそうな表情で見ている。
ミリアリアはキラ達に頭を下げた。
「皆・・・さようなら・・・元気でね・・・フレイもサイも・・・」
「ミリアリア・・・」
フレイは悲しそうに呟く。
「それから・・・キラ」
「ミリィ・・・?」
「ごめんね・・・」
そう言うとアスランを追った。

一時間後。
ミリアリアの乗った脱出ポットが発射された。

453私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 19:45
これって本編のフレイ様にされて悔しかった扱いを全てミリイに押し付けてるかんじ。
フレイ様だけ凄くいい感じに扱われていて最高に気分はいいんだが。

454私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 19:56
>>453
う〜ん、フレイ様前半は酷いこといっぱいしているし、凄くいい扱い
って訳じゃないと思うけどね。とにかく最後まで読んでみないと作者さんの
意図もわからないしさ、しばらくは見守る方向で。

455私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 21:25
まあまあ皆、過去の傷の職人さんだって頑張ってるんだろうから・・・。
そう言わなくても・・・。
序盤は・・・だけどなんだかんだいってこのところはフレイ様いい感じに扱われてるし俺は応援するけどね。

456私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 21:31
このスレ、こんなに読んでる人がいたのか。
普段は死んだようなスレだし、みんな無視してると思ってたけど。

457私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 21:34
何を書くかは作者の自由、何を読むかは読者の自由のはず
でも無造作なコピペができるからネットは厄介なんだろうな

スレ間の諍いや軋轢までは知ったことじゃないが、比較的ノンポリな俺でも
創作中での扱いをそのままキャラヘイトに利用するのはどうかとは思う

458私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 21:42
あんまり言うとさ、作者さんがショック受けて投下やめる可能性もあるから少しくらいは褒めてもいいんじゃないかな。

459私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 21:42
ミリィの性格変わってるし。
カガフレもどうかと思った。

460私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 21:45
とりあえず、SSもしくは感想以外の書き込みは
本スレか避難所でやろう。以下何事もなかったかのようにどうぞ。

461私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 21:46
本気で対処したければ、「二次創作一切禁止、スレ閉鎖」これしかない。
要するに、余所にコピペするような厨に対処する方法は無いってことだ。
どうせ何がどうなっても厨は馬鹿なことをするのだし。
何も言わずに放置するのが一番です。

462『明日』と『終わり』の間に・作者:2004/05/10(月) 21:57
 この前は場の空気を読まない書きこみ、申し訳ありませんでした。ですがこの機会に皆さんにお知らせさせていただきます。
 かつて早まって連載休止を宣言してしまった時その理由に『自信を無くした』とお知らせしましたが、実はあの時自分のSSがこのスレに相応しいものではなく、単なる自己満足ではないかと思ったからです。
 皆さんもご承知の通り、自分のSSは既に『SEED』本編とかけ離れたものになっており、フレイ様SSとは名ばかりのものになりつつあります。そういう意味ではこの先の展開もまた皆さんのご期待に添えられるものでは無いのかもしれません。
 今話題に登っている個人サイトに掲載するという手も考えましたが、根気も無い自分にサイトの経営が務まるかどうかという不安もあります。このまま続けるかどうか、正直悩んでいます。
 そこでお手数ですが、もし宜しければ皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

》過去の傷
 解雇、ですか・・・。何だかそこまでしなくてもとも思いますが、あれだけやってしまうと仕方が無いんでしょうか?ミリィがディアッカに会えることを願います。 
 そしてこうなると次回から新展開でしょうか?期待させて頂きます。

》赤毛の虜囚
 なんと、メルデルさんの場合ですか。これは以外でした。彼女もこの頃はフレイ様と同じく恋愛に初々しいですね。
 しかし、真実を知らないというのは時として恐ろしくもあります。

》SEED if
 新作ですね。とても面白かったです。このようにキラも、あの時もう少しフレイ様のことを気にかけてあげれば良かったと思いました。
 これからも応援させて頂きます。

》流離う翼たち
 この場面はキラだけでもなくカガリにとっても辛いところでありますね。二人はこの試練を乗り越えることが出来るのでしょうか?
 作者様のサイト、自分も拝見させて頂きました。ですが自分もこのスレで『流離う翼たち』を楽しく拝見させて頂いているので、出来ればこれからもこちらで続けて頂きたいと思っています。

463散った花、実る果実47:2004/05/10(月) 22:01
嘘でしょう・・・・・?
「ミリアリア!ミリアリア、しっかりしてよ!!」
必死で呼びかけた声に彼女はうっすらと目を開いた。
「・・・まったく・・・その呼び方で呼ぶなって、言ってるでしょう・・・」
語調は弱いものの、いつもの調子でやり返してくる彼女に少しだけ安心したら、涙が出てきた。
「ごめん・・・・リスティア・・・・・」
「大体、それ、ナチュラルの友達の名前なんでしょう・・・同じ様に呼ばれるなんて嫌よ・・・・」
「うん、ごめん、ごめん、リスティア・・・・・・」
一度流れ始めたら涙は止まらない。
「泣かないで・・・あんた馬鹿だから、また間違えるといけないから、私のこと、リアって呼んで。傷が痛くて、怒ったりするの、気合いるのよ・・?」
「うん、ごめん、ごめんね、リア・・・・・」
もう、それしか言葉が出てこなかった。
腰から下が、真っ赤な血に染まっている。
それに、脚の形が・・・・・・・・・・・
顔色も、元々透き通るような肌だったのが、今は青ざめてまるで蝋細工のようだ。
「リア・・・・・」

「そこどいて!病室に運びます!」
ばたばたと騒々しく医師たちが駆け込み、リアを運んでいった。
私もそれに付いて行ったけれど、病室の中に入れるはずもなく、ただ待つしかなかった。
「おまえらがやったんだ」
後ろから憎憎しげなつぶやきが洩れる。
振り向くと2,3人の男達が私を睨みつけている。
「ミリアリアにあんなひどい怪我させたのは、ナチュラルどもじゃないか。なのになんでおまえがそんな所にいるんだよ。」
「そんな・・・」
私、そんなつもりじゃなかった。ただリアが心配で・・・・・
私はリアを傷つけたいなんて思ったことないのに・・・・
「見たところ、相当ひどい怪我だった。あれじゃ、完全に元に戻るかどうかあやしいよ。おまえ等ナチュラルが、俺達の将来を奪っていくんだ」
「そんなつもり・・・!!」
私は叫んでいた。
「私はリアを傷つけるつもりなんかない、リアが怪我して悲しいのは、心配なのは私も一緒よ!」
「どうだかな!」
叩き付けるような叫びと共に鋭い視線がつきささる。
「所詮おまえはナチュラルだろう。俺達コーディネイターとは違うんだ。親切面して誤魔化そうったってそうはいくかよ!」
「だから私は・・・・」
「おまえがナチュラルだって事は事実なんだ。目障りなんだよ!俺達が誰と戦争してると思ってるんだ?」
ナチュラルってだけで、私の言葉はもう聞いてもらえないの?どんなに私がリアを思っても、それとは関係ないところでしか見てもらえないの?
その瞬間、私は気づいた。
私、アークエンジェルにいたとき、この人たちと同じ事してた。
キラに、ラクスに、コーディネイターだからって、だから利用していいんだって。

464散った花、実る果実48:2004/05/10(月) 22:02
結局私はその場から追い出されてしまって、リアが意識を取り戻すまで会わせてもらえなかった。
私が認められた、というより・・・リアの言葉があって、私がリアの面会に行くことが許可されたようだった。

「遅いわよ」
部屋に入るなり、リアはそう言った。
「ごめんなさい、もっと早く来たかったんだけど、その・・・」
言葉につまっていると、リアは怒っている振りをやめ、軽く微笑んで、
「嘘よ。聞いているわ。・・・ごめんなさいね。彼等も悪気はないのよ。」
「いいの・・・無理もないから。」
「何よ、今日は随分殊勝じゃないの。どうしたのよ。」
なんでリアはこんなに優しいんだろう。何故こんなに何もかも許して見えるの?
「リアこそ・・今日は随分やさしいじゃないの。どうしたのよ。」
リアは微笑を崩さなかった。
「あのね、私の脚・・・・治らないかもしれないんだって。」
治らないって・・・・・
「あ、もちろん、歩けなくなるってわけじゃないのよ。コーディネイターは医療もナチュラルより進んでるんだから。でも・・・・でも、歩き方に癖が残ったり、傷が残ったりは・・・するかも知れないって・・・・・」
微笑を崩さないまま、リアはぽろぽろ泣いていた。
「リア・・・・・・」
そっと抱きしめて頭をなでてあげると、彼女はしゃくりあげて泣き始めた。
「・・・・っく・・・・せっかく、コーディネイターに、生まれたのにね・・・・・ひっ・・・・きれいにな娘に・・・生まれますようにって・・・お母さんが・・・・ぅっく・・・せっかく・・・・・・」
私は彼女のやわらかい、触り心地のいい髪の毛をいつまでもなでていた。
「そう・・・そうね、両親からの何よりの贈り物だったんだものね・・・・・・リア・・・・可哀想に・・・・・・」
「フレイ・・・・どうしよう、私・・・・!どうしよう・・・・・」
今までなんでも完璧にこなしてきたリアは、きっとこんな挫折を知らなかったんだろう。
「リア。まず、怪我を治そう。ご飯食べて、よく眠って、まず怪我を治そう。コーディネイターの医療はすごいんでしょ。きっといいお医者様がいるよ。ほら、ここ、軍艦だから、きっと整形の方はそんなにお医者様そろってないのよ。怪我を治していいお医者様探しに行こう?ね?」
「でも、でも、フレイ・・・・・」
「大丈夫だから。ね?大丈夫よ・・・・・」
そんな言葉しか出なかったけど、その言葉と、人の暖かさが与える安心感を、私はとてもよく知っていたから、リアを抱きしめて繰り返した。
「大丈夫、大丈夫よ・・・・・」


私は、クルーゼ隊長の帰りを、ただ待った。
リアの負傷によって神経をささくれ立たせている艦内で、ちゃんと話をしてくれるのは彼だけだと思えたから。
「クルーゼ隊長!」
少し疲れた感じではあったが彼は私に向き直った。
「どうしたね、フレイ。」
「リアが・・・リスティアが・・・・!」
知らず瞳からは涙があふれてくる。
「ああ・・・・ミリアリアの件か・・・・・彼女も優秀な軍人だったのだが・・・・・・」
「リアは・・・・ミリアリア、どうなるんですか・・・?ひどい怪我だった・・・・・・ちゃんと治るの・・・・?」
不安が昂じて次々問いかける私に、落ち着けるように彼は肩に手を置いた。
「彼女は・・・・・完全にはよくはならないようだ・・・・報告によると、リハビリをすれば歩行には問題は残らないが・・・・今までと同じ運動能力は保証できないし・・・・傷が残る可能性も、否定できないと・・・・・・」
「そんな・・・・!なんとかならないんですか?ねえ・・・・・!」
焦れたように問い掛ける私を、彼は抱きしめた。
彼の胸に包まれて、視界が塞がる。白い軍服も涙でにじんでよく見えない。
「落ち着きなさい・・・・フレイ。」
そう言って頭をなでてくれる・・・そしてパパの声・・・・・・
「何も見なくていい。目を閉じて、ゆっくり息を吸ってごらん。大丈夫だから・・・・・」
深呼吸するように息を吸うと、鼻腔にパパと同じコロンの香り。
・・・大丈夫?本当に・・・・・・?パパ・・・・・
「リアが・・・・リアが・・・・・本当に、大丈夫・・・・?」
少し落ち着いてきた私を彼も感じ取ったようで、優しく髪を撫でる手の動きも少しゆっくりになった。
「大丈夫だ・・・・・・私にまかせなさい・・・フレイは、私の言うことを聞いていればいいんだよ・・・・・・」
パパの香りと声に包まれて、私の意識は深い闇に落ちていった・・・・・・・

465私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 22:14
創作の合間に失礼します。

>>462
基本的に創作は自己満足ありきです。
他人がどう思うかよりもまず、自分が満足できるもの、自分が納得できるものでなければ書きたくないでしょう?
二次創作は何かの作品の設定を借りるから"二次"創作なんです。Ifの程度で気に病んでいても仕方ありません。
誰がどう受け取るかなんて事を不安に考えてたら筆は進まないですよ。
やりたいようにできる自由と、やりたいようにされるリスクを持っているのがインターネットです。
作品に愛着があるのなら、作品を載せているサイトの運営だってできるはず。

冷たい言い方かもしれませんが、自分に自信が無ければ今すぐ止めた方がよいです。
誰かに背を押してほしい気持ちもわかりますが、まずは自分の本音を考え直しましょう。

それでも続けたいと思うのなら、どうぞ頑張ってください。影ながら応援します。

466私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 22:22
皆さん見守ってあげましょうよ、普通に感想書いてあげませんか?でないとすぐいろんなこと言われると作者さんも投下しにくいじゃないですか。
作者さんだって皆さんに楽しく読んでもらいたいでしょうし、苦労して投下してるでしょうから。

467散った花、実る果実/作者:2004/05/10(月) 22:42
話を作る時になるべく人に不快感を与えないように気をつけてはいるのですが、とりあえず酷い目にあっているキャラは今日一名・・・・話の進行上避けがたい進行だったため、修正せずに投下させていただきました。
個人サイトで書いてもいいのですが、できればたくさんのフレイが好きな人たちのいるここで書いていきたいと思います。
力不足で読んでいてはがゆい面もあるかもしれませんが、少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
一読者としては、楽しみにしている話がたくさんあるので、連載中のSSが中断されてしまうのは悲しいです・・・・お互い頑張りましょう。

>>流離う
おお、ちゃんとキャラとテーマが考えられているのですね。
アルフレットは父ですか。フレイ様にとってやっぱり父というのは大きな存在だったと思うので、どんな係わり合い方になっていくのか楽しみです。

>>赤毛の虜囚
ミリィSSとのリンク、ずれがあるからこそ面白い、というのは私もそう思います。
とても人間らしいやりとりですよね。でも確かに、フレイ様と「親友」と言うのは本編では描写はありませんでした。
これからのテーマは親友のようなので、フレイ様にどんな親友ができるのか、楽しみに待っていますね。

>>SEED if 〜Fllay Selection〜
初投稿ですね。期待しています。
本編ではもうすぐキラとの別れが待っているシーンなので、キラとフレイのやりとりがこれからどんな風になっていくのかドキドキしてます。
ifだから本編とは違う舞台設定で関わりあうのでしょうか。それとも・・・・

>>過去の傷
ミリィの最後の言葉「ごめんね・・・・」が胸に響きます。
できればミリィも幸せをつかんで欲しいですね。

468私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 22:47
>466
色んな意見があっていいと思うけどな。

469私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 22:48
>>466
少し強い言い方かも知れませんが
多人数に見てもらう=ほめてもらう
を期待しているんですが職人さんは?
確かに楽しんでもらおうという気持ちはあるのかもしれませんが、
ベースは「自分の作品を見てもらいたい」だと思います。
その結果、さまざまな反響があるのはある程度覚悟の上での投下だと思います。
ここはフレイ板だし、自分の中にあるフレイ像を通して表現したいという人がSSを書いて投下するのでしょうが、
同じキャラを好きだから、という条件に甘えてほめ事場だけを求めるのであれば
>>465
の言うとおり、自分でサイトを作ってそこでご自分のSSを大好きな人のみに読んでもらうほうがいいのでは?
>>466
の言う普通の感想がただ面白かったです〜
でいいのであればそれが正しいのでしょう。
私もSSじゃなく投下して、いい感想だけもらえない事も経験していますが
少々風当たりがきつくても、キャラへの愛(ここがポイント)あれば
次はもっと良いものを、とかもっとニーズにあったものを、とか奮起すると思うんですが・・・

470散った花、実る果実/作者:2004/05/10(月) 23:23
>>469
「誉め言葉だけを求める」という事と 「同じキャラを好きだから」という事とは同一視される事柄ではないと思いますが・・・
もし私の書き込みを読んでそのように誤解されてしまったのだとすればすみません。
個人的には、批判も含めて感想を書いていただければそれが一番嬉しいです。

471私の想いが名無しを守るわ:2004/05/11(火) 00:40
>>460
ここでやるべき。以前避難所や本スレで取沙汰されたこともあったが、
「SSスレのことはSSスレで〜」で片付けられた、ということで。

472流離う翼たち・475:2004/05/11(火) 00:44
「何処で、それを手に入れた。ウズミ氏はお前にその事を話しているのか?」
「・・・・・・いや、この写真は、あんたの家から、無断で持ち出したものだよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 それを聞いたキースは目を見開いたが、別に怒鳴りつけたりはしなかった。むしろ怒鳴られるのを覚悟して身を竦めたカガリにしてみれば拍子抜けであり、恐る恐るキースの顔色を伺っている。

「お、怒らないのか?」
「連れて行った俺のミスだ。お前を怒鳴りつけても仕方ないだろう。それに、どうせいつかはばれる事だ」

 しかし、それでもどうしてこんな時にとは思ってしまう。本当はキラが落ち着いてからカガリたちに話そうと思っていたのだが、まさか当のカガリが自分の知らない内に自分の手元から情報を掠め取っていたとは。

「まあ、誤魔化してもしょうがないな」
「じゃあ?」
「ああ、お前もそれを見たなら想像が付いてるだろうが、キラとお前は双子だよ」

 キースの言葉を聞いて、カガリはようやく胸の痞えが取れたような気分になった。何となくこの答えは予想できていたので、思っていたほどの衝撃は無かったのだ。ただ、それが事実ならばどうしても確かめなくてはいけない事がある。

「なあ、どうして私はナチュラルなんだ?」
「そこまでは流石に俺も知らん。双子だったから片方だけ使ったとかだろう」
「じゃあ、あんたは何処まで知ってるんだ。どうして私はアスハ家いるんだ。キラとはどうして離れ離れになったんだよ!?」

 興奮して自制が効かなくなってきたのか、カガリはキラの胸倉を掴みあげてキースの喉を締め上げている。勿論カガリの力ではキースを絞め落とす事などはできないのだが、キースは苦しそうに顔を顰めて右手でカガリを腕を掴んだ。

「ま、待て、落ち着けカガリ!」
「これが落ちついてられるか。私はカガリ・ユラ・アスハじゃなく、カガリ・ヒビキなんだ。それじゃあ、これまでの私は何だったんだよ!?」
「わ、分かった、話す、その辺りも全部話すから手を放せって!」

 キースの降参を聞いてカガリはようやく手を放した。だが、開放されたキースがやれやれと首周りを緩めて一息つこうとした時、何故か視線の先には吃驚しているナタルの顔があった。

「バ、バジルール大尉」
「カガリ・ユラ・・・・・・アスハ?」

 ナタルがカガリの名を呟く。それを聞いたキースは頭が痛そうに右手で顔を押さえ、カガリはまともに顔色を蒼くしている。これまで秘密にしてきたのに、自分のミスで正体がばれてしまったのでは流石に冗談にも出来ない。
 ナタルは驚愕から立ち直ったのか、厳しい目でキースとカガリを睨み付けた。

「どういう事です、アスハとはまさか!?」
「ああ、まあ落ち着いて大尉、そっちも纏めて話すから」

 もうヤケクソ気味にナタルを宥めるキース。カガリが何だか嫌そうな顔をしたが、流石に文句を言う事は無かった。何しろあのナタルが逆らったら噛み付かれそうなほどに険悪な表情をしているのだから。

473流離う翼たち・作者:2004/05/11(火) 01:05
>>471
そうだったんですか。内容が避難所向きだと思ったので、あっちに意見を書いてしまいました

>>465
二次創作への考えは同意しますが、個人サイトの運営は真面目にやると結構疲れますよ。ウィルスメールも増えますし。まあ、昔に較べれば作るのも楽になりましたけど


>> ザフト・赤毛の虜囚
はて、前にフレイ様がやったやり取りのメルデルバージョン?
これは一体どういうことでしょう。ちょっと今回は分からないので次回以降の結果を待たせて頂きます

>> 過去の傷
ミリィが退艦ですか。戦争終わったのだから軍を抜けるのは志願兵の常ですけどね
アスランは珍しく軍人口調ですね

>> 散った花、実る果実
リスティア、後遺症が残る怪我を負いましたか。生き残っただけマシとはいえ、辛いですね
フレイ様はなにやらクルーゼに頼ってますな。先行きが不安です・・・・・・

474ザフト・赤毛の虜囚 62:2004/05/11(火) 03:24
10.親友 6/8
[お願い、ジェシカ、ミーシャ話を聞いて!]

フラガ叔父様は、私と20歳以上離れている。もう数年で40に手が届く。私が叔父様と、
どうにかなる訳が無いと思っていた。

だけど、パパ、ママの死とともに、私はフラガ叔父様に囚われた。私を閉じ込めて、そして……
いや、もうフラガと呼ぶ。なんて酷い男。フラガ、許さない。許さない!!

助けて、誰か私を助けて。だけど、誰も助けに来ない。ジェシカとミーシャ、私を助けに来て。
フラガのところへ来て。私に会いに来て。会いに来てくれるだけでもいい。でないと、
私、壊れてしまう。毎日辛いの、辛くて堪らないの。でも、逃げることもできないの。
お願い、ジェシカ、ミーシャ話を聞いて!

私が、フラガに婚約させられて学校を退学する時、少しだけ、学校に来たことがあった。
その時、学校の理事長室をフラガより先に出た私は、ジェシカとミーシャと偶然再会した。

「メルデル、あなた……」
「ジェシカ…… ミーシャも。会いたかった」

「会いたかった?」
「うん、話したくてたまらなかった。一度も来てくれないんだもの」

「当たり前でしょ」
「え、ジェシカ、どうしたの」

「どうしたのは無いでしょ。あんなこと言ってて、叔父さんと婚約したって本気?」
「ミーシャ、それは違う」

「本気でも無いなら、よけい不潔だわ」
「そうそう、アンタ、叔父さんの何を狙ってるの? 財産?」
「違う、違う……」

「だったら、さっさと断って逃げりゃいいじゃない」
「そうそう」

私は、勝手なことを言う二人に怒りが込み上げる。
「逃げられるものならそうしてる。ダメなの。逃げることもできないの。どうすることもできないの!」

その時、フラガが理事長室から出てきた。

「メルデル、友達か。行くぞ、早く来い」
「ハイ、フラガ……叔父様…… あの、もう少し友達と……」

「メルデル、どう呼べばいいか教えたはずだ。呼ばないのなら今夜は、お仕置きだ」
「ハイ、済みません。ア、アル…… すぐに行きます。先に行っておいてください」

「うむ、さっさとしろ」

フラガは先に行った。ジェシカとミーシャは、そんな私を見て、避けるような目付きで言った。

「アンタって奴隷?」
「気持ち悪い…… 近寄らないで」

「ジェシカ、ミーシャ!」
二人は、私から去って行った。私は、友達を失った。フラガのせいで……
もう二度と友達なんてできない。私は一人フラガに囚われて……

ただひとつ私の救いとなる人。囚われている時、ときどき、私と体の感覚が入れ代わる人。
不思議な体験。名も知らぬ男性。白馬の王子様。

ああ、私の心を救ってくれるのは、あなたへの微かな想いしか無いの?

475ザフト・赤毛の虜囚 作者:2004/05/11(火) 03:38
ここに投下していて、いろいろな感想のリアクションが楽しいというのはあります。
特に普通の感想でも、こちらの意図が伝わっていなくて反省させられたこと多いです。
自分も勘違い感想は結構ありますし、それで荒らしたこともあって反省してます。
それはSSにも、投下のナンバリングにも反映してはいます。

キャラへの愛というか、このキャラに、こうさせたい。報われるようにしたい、というのは
大いにあります。そして、SS連載復活してから、まだ、それは完全に達成していません。
そこまでは続けるつもりで日々努力しています。

>>過去の傷
とりあえず、プラントに行けることになったミリィですが、脱出ポッドは、ちょっと……
でも、連絡艇にしても、SEEDでは前科がありありですからね。一番、安心なのは
キラがフリーダムに一緒に乗せて送ることでしょうが、フレイ様が許す訳ないか。

>>散った花、実る果実
ミリアリア・リスティアの中でフレイ様の存在は大きくなっていたようですね。フレイ様を
呼びかける言葉に心の繋がりを感じました。再び、辛く当たって来る周りにクルーゼを頼るフレイ様。
このSSでは、パパの声が前面に押し出されていますね。私は、この声を説明するために、
クローン・フレイの設定を創ったのですが、結局、うまく使えずにいるので羨ましいです。
ただ、私だと変な方向に話が進みそうなので、このまま使うことはないでしょう。

>>流離う翼たち
結構、マイペースだと思ったら、カガリが先に情報掴んでいると、不機嫌になるキース。
実際は、傲慢なタイプだったのですね。でないと、SSの進行を牛耳れないか。

避難所での書込みですが、ここのSSスレは伝統的に戦記物っぽいものが歓迎されていた
みたいなので、かえって、ふさわしい気がしてますよ。

>>『明日』と『終わり』の間に
作者さんのSSは、抜群のネーミングセンスと迫力ある戦闘シーン、それと、ラストシーンの
締めのうまさで、とても楽しませてもらっています。個人的な難を言えば、オリキャラのみ話が
続く場合、以前の話を前提にして進めるため、見逃していると、とっつき難いことがあるかも
しれません。ただ、それに気を使って、極力、フレイ様を話に加えているのは分かります。
決して、ここにふさわしくないとは思っていません。特に、今いる作者さん達は、戦闘シーンが
少なめの方が多いので、貴重だと思っています。以前、ちょっとペースが早くて大変だろうと
思ったことはありますので、無理をなさらないでいいと思いますから、できれば続けて欲しいと
思っています。

476過去の傷・135:2004/05/11(火) 08:27
一時間後の食堂。
「ミリィ・・・行っちゃったね」
キラが呟く。
「そうね」
フレイも少し寂しそうだ。
「寂しくなるね」
「そうね」
「これで・・・ヘリオポリスの知り合いっていったら僕達とサイだけに・・・」
「ええ、ねえ最後のミリアリアのごめんねってどんな意味なのかしら」
ごめんね・・・キラを騙していたことに対しての?分からないがまあそうだろう。
「脱出ポット、無事だといいわね」
「大丈夫だよ、モビルス−ツなんていないよ、それにいまは戦闘中でもないし」
「そうね・・・」
ほんと寂しくなるわ・・・喧嘩相手もいなくなったし、ミリアリア・・・あんたとは軍に入ってからは喧嘩ばっかりしてたけど・・・それでも、友達だって思ってたのよ私。
「ミリアリアさんは行きましたか」
ラクスとアスランがフレイに歩み寄ってきた。
「ラクス・・・アスランさん」
「少し冷たい言い方だったが彼女のためだ」
「はい、私も・・・ところでアスラン」
「はい?」
「なぜミリアリアさんが貴方の部屋にいらしたのですか?」
アスランさんの顔が凍りつくのが私には分かった。

その頃ミリアリアの乗った脱出ポットは一機のモビルス−ツと遭遇していた。
「あれって・・・デュエル!?」
<お前はディアッカの!?>
とイザ−ク・ジュ−ルは言った。

477『明日』と『終わり』の間に(終)・夕方:2004/05/11(火) 08:36
「うわぁーーー!?フッ、フレイ!しっかりしろぉっ!!」
「・・・・・・」
 
 いきなり倒れるなんて、一体どうしたっていうんだ?何だか私の料理を口にした瞬間こうなったような・・・?まさか・・・、食中毒!?いや、それはないな。食材は全て昨日仕入れたものばかりだ。それとも、私が半ば強引に病院から連れ出したから、そのストレスで?でもあれだけ楽しそうだったんだし、それもどうかなぁ?・・・てそんなことのん気に考えてる場合じゃないだろ!!

「・・・カ、ガリ・・・」
「!フレイ、気が付いたのか!?」
「大丈・・・夫、よ・・・。私・・・は・・・」
「今の状態からはどー見ても説得力無いぞその台詞!無理して喋るな!」
「平気よ。私の想いが・・・キラを守ってるように、キラの想いが・・・私を守ってくれてるから・・・」
「・・・言ってる意味がよくわかんないぞ?」
「・・・ねぇ、カガリ。いつか、聞こうと思ってたんだけど・・・」
「何をだ?」
「・・・私、知ってたの。本当のことを・・・。でも、本当はカガリの口から聞きたかったの・・・」
「!それって・・・!?」

 こいつ、もしかして記憶が戻ったっていうのか!?まさかこんな時に!どうしよう?キラからは本当のことは言うなって言われてるし・・・。

「だから今、本当のことを教えて・・・。本当は・・・」
 
 ・・・ゴクッ!

「・・・カガリ、彼氏なんていないんでしょ?」

 ・・・え?

「いいのよカガリ。私と話を合わせようとして今まで無理してたんでしょ?でも気にしないで。私はそんなことでカガリを笑ったりはしないから・・・」
「・・・・・・」
「さぁカガリ、今貴女の口から本当のことを教えて・・・」
「・・・だよ・・・」
「えっ?何?」
「本当のことだよ!!お前まさかずーっと疑ってたのか!?」
「・・・ガクッ」
「ってオイ!都合良く気を失うなぁ、しっかりしろ!!」

 こいつ、今までそんなこと考えてたのか?・・・正直ショックだったよ、今の・・・。とにかく救急車を・・・。!んっ、指がかすかに動いてる?それも零れたソースをつけて。ひょっとして、何かを伝えようとしてるのか?一体何を・・・?・・・『カ』・・・、・・・『ガ』・・・。ってそれ私の名前かよ!?まさかダイイングメッセージのつもりか!?止めろ!!

 あーもう、どうすりゃいいんだ!?キラ、アスラン!!どっちでもいいから早く帰って来てくれぇーーー!!!

 次回予告
『始まりはただ純粋な想いから。大切な者の笑顔が見たいという切なる願いは悲しい結末を呼ぶ。それでも想いは潰えることなく、新たな可能性へと向かい羽ばたく。次回、「『明日』と『終わり』の間に」、『編物編』。立ちはだかる試練に、立ち向かえ!ガンダム!!』

 !えっ、予告!?これ続くのかよ!?

 ・・・嘘です。

478『明日』と『終わり』の間に(終)・夕方:2004/05/11(火) 08:57
 様々なご意見、有難うございました。自分がいかに甘ったれた考え方を持っていたか分かりました。取り敢えずしばらくはもう一度じっくり考えてみるつもりです。お騒がせしました。

》散った花、実る果実
 リスティアさん、足を・・・。ようやくフレイ様と分かり合えてきたというのに悲しすぎます。フレイ様も根拠の無い敵意を向けられていますし・・・。
 何だかまたクルーゼが目立ち始めましたね。悪い方向に進まなければいいんですが。

》過去の傷
 アスラン、やはりピンチを迎えましたね。これからは何となく彼とラクスが中心になりそうな気がします。この二人の喧嘩ってどんなでしょう?
 ミリィはイザークに保護され一安心ですね。やっぱり脱出ポッドじゃ心持たないですし。

》赤毛の虜囚
 メルデルさん、まるで手のひらをひっくり返されるように・・・。悲しいですね。悪いのは全部アル・ダ・フラガなんですが。そしてこれから彼女を待つのはあの波乱万丈な人生なんですね。
 
》流離う翼たち
 カガリ、ナタルさんに正体を知られてしまいましたか。彼女はよくこうした重要な場面に登場していますが、今回も何らかの役割があるんでしょうね。果たして彼女やキースさんはこれからどうするんでしょう?

479過去の傷・作者:2004/05/11(火) 09:41
ミリィのことに対してなんですが、これからはこんなことはほとんどないですが、少しは・・・でないと物語が狭まれてくるんです・・・すいません、でもミリィはほんとに好きなんですよ、ただ皆さんに不満を持たれあまりいい印象を受けなかったことに対しては作者として反省すべきことかもしれません、すいませんでした。

>>478
もっと自身もってください、お上手なんですから、私なんてとても。
>>翼たち
こ、これは凄い修羅場に・・・正体ばれましたか、怖いです・・・。
>>ザフト・赤毛の捕囚
メンデルさん可哀相です、悲しい運命に振り回されてますね・・・。

480過去の傷・136:2004/05/11(火) 12:31
「は・・・?」
「いえ、ですからなぜミリアリアさんが貴方の部屋にいたのか気になりまして、どうなんですか!?」
「そういえばそうよね、どうしてなんですかアスランさん?」
「ア、アルスタ−二等兵まで・・・」
これで分かる、いや前々から分かってはいたがアスランはラクスには頭が上がらない、尻に敷かれているのだ。
というわけで・・・。
「ラクス・・・その・・・申し訳ありませんでした」
そしてラクスに頭を下げた。
「謝るということはやましいことがおありなのですね?」
流石に鋭いわねこの女。
「ではお部屋でじっくりとお話を聞かせていただきます」
「あ、あの・・・これからキラと実戦練習が」
「そうですか、ではそれが終わりになられましたら私のお部屋に来てくださいね」
「は、はい了解しましたラクス・クライン、では!」
そして逃げるようにアスランさんは去って行った。
「じゃあ僕も・・・」
そしてキラもそのままアスランさんを追った。
残った私とラクスは・・・。
「ラクス、お互い大変よね・・・」
「はい・・・」

その一時間後。
「え!?」
通路を歩いていたフレイはアサギとマユラに会い話を聞いていた。
「また昨日みたいにキラさんと語りあいたいよね」
キラと語り合う?なんのこと言ってるのかしら・・・。
そして私は二人に声をかけた。
「あの・・・なんのこと話してるの?」
「いえ、昨日私達キラ君と話したくて夜部屋に誘ったんです、そしてら来てくれて、それからお菓子食べながらいろんな話を・・・」
な、なんですって!?あれだけ他の子とは話すなって言っておいうたのに・・・あの馬鹿!もう許さない!部屋に上がったですって!?他の女の子の部屋に!?
そしてフレイはパイロットロッカ−に急いで走っていった。

481SEED if 〜Fllay Selection〜 ②:2004/05/11(火) 22:50
キラを拒絶した私には往く当てがなく、とぼとぼと廊下を歩いていた。
途中、誰かとすれ違ったが誰も気に留めることはない。
当たり前のことだった。
私を見てくれる人もうはいない。
最初はサイが私を見てくれていた。
でも、それが邪魔になって私はサイを傷つけた。
そして、キラ。
私だけを見るように、そして私の思うとおりにするために関係をもった。
それだけを、パパの復讐だけを考えていた。
でも、キラは違った。
『キラは・・・』



立ち止まって、キラのことを思い浮かべる。
『コーディネーターなキラ、泣き虫なキラ、怖いキラ、苦しんでいるキラ、優しいキラ。』
いろんなキラが浮かんでは消えていく。
心がチクチクと痛む。
どうして?
キラを、コーディネーターを怨んでるはずなのに。
自問自答をしていた時、通路の先から明るい声が聞こえた。




「お父さん達、元気でよかった。」
「ああ、ほんとな。」
サイたちだ。
声にはうれしさがあふれている。
私とは対極な存在。
『どうして、私だけ・・・』
私はサイ達とは逆のほうに走り出す。
私には誰もいない。
どこにも場所がない。
私にはアークエンジェルが出口のない迷路に思えた。



迷路を彷徨いながら、何度もキラの部屋の前に着く。
キラに会いたくないのに、心のどこかでキラが気になる。
ここにはキラはいない。
オーブに出向している。
この部屋は私がいた部屋。
でも、私の部屋じゃない。
キラの部屋。
来てはいけない場所。
時間的に、キラが帰ってくる。
だから、ここから一番離れたところにいこう。
私は何度も振り向きながらキラの部屋から離れる。
たどり着いた場所は。
誰も使っていない、冷たい部屋。
私は毛布で身体をくるみ、部屋の隅でひざを丸めた。
『寒い・・・』
誰の匂いもしない部屋はとても寒かった。

482SEED if 〜Fllay Selection〜 作者:2004/05/11(火) 23:07
この話は基本的にフレイ様視点で進むので独白が多いです。
とりあえずIFな話を目指します。

〉〉赤毛
  メルデルさんは、波乱万丈の人生へと急転直下ですね。
  辛い道ですな。
  アルダ・フラガ、やばすぎですよ。

〉〉過去の傷
  ミリアリアはひとまずイザークに保護されたみたいでほっとしてます。
  だけど、すぐさま修羅場2連発。
  休まることなくどきどきです。

〉〉流離う
  カガリ自身の正体とカガリの正体がいっぺんに語られるといううまい展開ですね。
  キースの話に二人は納得できるのでしょうか。

〉〉『明日』と『終わり』
  壊滅的な料理を食べて都合よく気絶するフレイ様が素敵です。
  ダイイングメッセージに語られる真実はいかにって感じですね。
  応援してます。

483キラ(♀)×フレイ(♂)・43−1:2004/05/11(火) 23:44
サドニス島で最も忙しい一日。
一月に一度、悪魔の壁(デーモン・ウォール)が開放される時間帯を、サドニスでは
そう呼んでいる。禁断の開かずの扉が開いてから、再び門(ゲート)が閉じるまでの
凡そ十八時間以内に、物資の流入や、入国または出国手続きを全て果たさねばならない。
遅延は一ヶ月の島内封印で済めばまだマシな方で、場合によっては生命に関わるケース
も十分に有り得るので、この日は一日中、島全体が緊迫感に包まれている。
まあ中には、この機に入国し、用件を済ませたら、再び壁が閉じる前にとんぼ返りで
出国を果たすタフなビジネスマンの兵(つわもの)もいたりするが…。
出国用に使用される北岸部の港に、様々な大きさの船が団子状態でひしめき合っている中、
航路局からの指示により、本来なら入国に使われる南岸部の港に、まるで貸し切り状態
のように、悠々と一隻の大型船が停泊している。
“足付き”のコードネームでザフトから追われている、地球連合軍の強襲機動特装艦
アークエンジェル(大天使)だ。一見、VIP待遇を受けたかのように見えるが、
実は揉め事(戦争)に他の民間船を巻き込まない為の単なる隔離処置である。


「どうやら何とかなりそうね」
マードック軍曹からの報告書を読み上げたマリューはホッと安堵する。
この二日間の滞在中に、AAの外装修理はほぼ完了し、緊急(スクランブル)発進
の準備も整っている。ただし、修理の方はあくまで応急的なモノでしかなかったが、
この廃棄されたドック内では設備も資材も不十分だったので、致し方ないだろう。
「これでも、以ってあと一・二回の戦闘ってところかしら。やっぱり、一度は本格的
な修理をする必要性があるわね。となると、どうしてもオーブ本国に寄港…」
「あんまり難しく考えるなって、マリューさん」
元整備兵の視点から艦の耐久度を皮算用して、気難しそうに唸っている彼女に、
何時の間にか艦長室に入室してきたフラガがコーヒーを運んできた。
「ムウ…」
彼から珈琲のカップを受け取ったマリューは、頼もしそうにフラガを見上げる。
この二人は、既にプライベートではお互いを名前で呼び合う仲になっている。
「サドニスに寄ったのは正解だったみたいだな。艦の修理もそうだけど、クルー連中や、
とくにキラ達ヘリオポリス組にとっては、良いリフレッシュ休暇になったみたいだぜ」
「そうであってくれれば良いのだけど…。キラさんには色々と酷い事をしちゃったしね」
マリューは例の一件を未だに気にしているみたいだ。尚、二人は、フレイの匙加減一つで、
危うくキラがザフト兵に拉致され掛けた事実を知らない。
「まあ、その分は、俺ら(幹部)が割りを喰う羽目になっちまったけどな」
フラガは軽く両肩を竦め、マリューは少しだけ申し訳なさそうに俯いた。
「それは仕方ないわよね。私たちは「死ね」「殺せ」と命令する立場なんだから。
一度、戦闘が始まったら、あの子達には何もしてあげられないしね」
個としては極めて善良な領域に属するマリューを、フラガは擽ったそうな表情で見つめる。
戦術判断能力に関しては、フラガでさえも疑問符を付けざるを得ない艦長さんだが、
下々の労働の成果を不当に搾取する上役が多い中で、職権を乱用することなく、
自ら貧乏籤を引こうとする彼女の姿勢は、指揮官として高く評価出来ると思う。
あとは、彼女に欠けている能力(戦術眼)を補ってくれる有能な副長(ナタル)と、
もう少し折り合いをつけてくれれば…と考えたが、これが一筋縄ではいかない難事だ。

「…で、ここからは仕事の話なんだ。先程、バジルール中尉とも話し合ったんだが」
再びフラガは、精神のチャンネルを戦闘用へと切り替える。ナタルの名前を聞いた瞬間、
マリューな眉がピクリと動いたが、フラガは敢えて無視する事にする。
「じきに悪魔の壁が消えそうなので、航路局から出港をせっつかれているだろう?
なら、発進と同時に、戦闘準備を整えておいた方が良いぜ」
「えっ!?」
「今、俺達を躍起になって捜索している敵さんも、まさか俺達がデーモン・ウォールの中
から出てくるとは思ってないだろ?何時もは襲撃に脅える側だったけど、上手く機先を
先んずれば、今度はこっち側から奇襲を仕掛けられるかも知れないぜ」
狐につままれたような顔のマリューに、フラガはウインクしながら手順を説明した。

484キラ(♀)×フレイ(♂)・43−2:2004/05/11(火) 23:45
まるでサドニス島を外敵から守るかのように島外を取り囲む磁気嵐が消失し、この海域
一帯は穏やかな晴れ模様に包まれる。ホバークラフトのように海水を巻き揚げながら
海上を移動するアークエンジェルの艦内に、第一級戦闘配備の警報が鳴り響いた。
「おいおい、もうドンパチをおっぱじめるつもりかよ!?」
サドニスでのバカンス気分に幾分緊張感が薄らいでいた艦内のクルーは、大わらわで
自分達の持ち場へと走っていく。カガリもそんな中の一人で、他のクルーに紛れ込み
ながら、慌ててスカイグラスパーの格納庫へと向かっていたが、人の流れに逆流する
かのように反対側から歩いてきた人物と肩をぶつけ合ってしまう。
「あっ…悪い…って、お前!?」
反射的に謝罪しかけたカガリの瞳に隠しようのない敵意が浮かんだ。
「これは、これは、カガリ君じゃないか。昨日は僕のキラがお世話になったみたいだね」
何とまあ、カガリが衝突した相手は、彼がAA内で最も嫌っている人物だ。


淀んだ空気が二人の間を覆った。良くしたもので、フレイの方でもカガリを疎ましく
思っているようで、非好意的な視線でカガリを見下ろしていたが、第一級戦闘配備が発令
されている緊急時を考慮してか、そのまま大人しくカガリの脇を通り過ぎようとしたが、
「おい、待てよ。どこへ行くんだ?この警報が聞こえないのかよ!?」
これから戦闘が始まろうとする時に、非戦闘区域に向かおうとするフレイの行動を
訝しんだカガリに呼び止められ肩を掴まれた。
「どこって、自分の部屋へ戻るんだよ。これから昼寝をするつもりなんでね」
「はあっ!?」
あまりにピントぼけした回答にカガリは唖然とする。ドンパチの最中に仮眠を取ろう
とするフレイの胆力(能天気さ)には、感心するよりも、呆れ返る他ないだろう。
「そんなわけで、邪魔しないでくれないかな。最近、キラがどんどん手強くなってきて、
中々満足してくれなくなったから、ここのところ、少し寝不足なんだ」
カガリのキラへの想いを知ってか知らずか、わざわざ彼の神経を逆撫でするような台詞を
平気で吐き、カガリは必死に歯軋りを堪えたが、それ以上にカガリの勘に触ったのは、
戦時中に安全な場所へ逃げ隠れしようとするフレイの軟弱な態度そのものだ。


「お前、本気で言ってるのか!?皆がこれから生命を賭けて戦おうって時に、
一人だけ安全な所から高みの見物を気取るつもりかよ!?」
「おいおい、あまり人聞きの悪い事を言わないでくれよ。単なる役割分担の違いだろ?
非常(戦闘)時だけ活躍すればよい助っ人の傭兵君と違って、朝昼晩とクルー全員の食事
を毎日作り続けている僕は、多分、AAで一番の働き者なんだぜ」
フレイはさり気無く、短時間で美味しい所だけを総取りしている分際で、手前勝手な理論
を振り翳すカガリに、労働基準法違反オーバーの自分の実労働時間の長さをアピールする。
「確かに君達戦闘パイロットはエースかも知れない。けど、華やかなスポットライトを
浴びるF1ドライバーも、それを支えるメカニック無しでは存在しえないのと同じように、
君の機体を整備するクルー達や、さらにその下で、クルーの健康基盤を支える僕のような
下積みがいなければ、軍隊そのものが成り立たないのだよ。判るかい、エース君?」

そうだよ。僕がその気になれば、ザフトに対して難攻不落を誇っているこの不沈艦を、
内側から壊滅させることも十分に可能なんだぜ?
フレイは子供をあやすような穏やかな口調の裏側で、相当に悪魔的な考えを閃かす。
極めて性質(たち)の悪い事に、このフレイの宣言は虐められっ子の誇大妄想ではなく、
現実的に具現化可能な事象だ。彼の部屋には、クルー全員を毒殺可能な分量の無味無臭
の強力な毒物がストックされている。フレイには、毒殺を実現する立場と手段と、
何よりも、本当に大量殺戮をやってのけられるだけの覚悟(狂気)を保持していた。

485キラ(♀)×フレイ(♂)・43−3:2004/05/11(火) 23:45
「判ったかい、君達が忙しい時(戦闘中)こそが、僕に許された唯一の休憩時間なんだ。
それに、何ら専門的な技術も持っていない素人の僕が、戦意だけを空回りさせて、
戦闘部署間をノコノコとうろつかれるよりも、部屋に篭もって、枕を抱え込んでガタガタ
震えて大人しくしている方が、各部署にとっても有り難い話しだと思うけどね?」
実に分を弁えた発言ではある。確かに、世の中には『有り難迷惑』という諺があり、
ヤル気多寡、能力不明な人間の参入ほど、修羅場で足を引っ張る存在は他にない。
(例:一レジスタンス(明けの砂漠)の、正規軍同士の戦闘への強引な介入など)
カガリもその辺りの理屈が判らない程、もう子供(世間知らず)ではなかったが、
それがフレイの口から出ると妙に白々しい響きを帯びるは何故だろうと不思議に思った。


「キラは…お前の彼女は、お前を守る為に危険な戦場で必死に戦っているんだぞ。
それでも、お前は何とも思わないのか!?」
フレイの本音は別の所にあるのではないかと当たりをつけたカガリは、今度は別口から
攻めてみる。だが、キラの名前にも、フレイはさしたる感銘を受けた様子はなかった。
「だからって、今の無力な僕に一体何が出来るというんだい?
僕に可能なのは、彼女が無事に僕の元へと戻って来てくれるように祈る事だけさ。
ああ、キラ。愛しき殉教者よ。君の涙を思うと、僕の心は張り裂けそうだ」
両掌を胸に当てる大仰な仕草で、キラの身を案じる振りをしながらも、大きな欠伸を
噛み殺そうとするフレイの不誠実な態度に、プツンとカガリの中で何かが切れた。
カガリは改めて、自分が滅ぼさねばならない本当の敵は、これから戦うザフト軍など
ではなく、目の前のこの悪魔(フレイ)であることを、本能的に確信する。
傍から見ればカガリの思考は、シスコン全開の理不尽な言い掛かりそのものでしかないが、
結果的には、彼は偏見の密林を強引に突破して、真実の城に辿り着いた事になる。

「…じゃ、そういうわけで!?」
いい加減にこの場を去ろうとしていたフレイの腕を、カガリは強く掴んだ。
「おいおい、何のつもりだい、カガリ君?僕にそっちの趣味はないと…」
フレイは冗談っぽく軽口を叩いたが、カガリは乗ってこなかった。
「……来い!」
「はぁ!?どこへ連れてくつもりだい?」
「いいから、黙ってついてこい!」
困惑した表情のフレイの質問を無視すると、カガリは強引にフレイを引き摺り出した。
何時もキラばかりを危険な戦場で矢面に立たせて、自分は安全な処で、涼しい顔して
大物風を吹かしやがって…。お前にも、戦場の本当の恐怖をたっぷりと味合わせてやる。

486キラ(♀)×フレイ(♂)・43−4:2004/05/11(火) 23:46
その頃、不眠不休で哨戒を続けていたザフト軍の二隻の潜水母艦は、捜し求めていた標的
(足付き)を突如発見したことで、反ってパニック状態に陥っていた。
「レーダーに機影あり。足付きです!
出現ポイントからすると、どうやら今までサドニスに潜伏していたものと思われます」
「何だと!?どうやって悪魔の壁(デーモン・ウォール)を突破していたというのだ!?」
クストーの艦長が大声でオペレーターに問い掛けたが、当然満足する解答は得られない。
本来なら探し物を見つけた事を喜ぶべきだが、甚だ不味い事に、MSの半数以上は哨戒
の為に遠出で出払っていたのだ。このままでは各個撃破の格好の餌食である。
「モラシム隊長に連絡しろ!哨戒中のMS隊をすぐに呼び戻せ!」
クストーの艦橋内は大慌てだ。そうこうしている間に、アークエンジェルから出撃した
二機のスカイグラスパーに、自分達の位置を捕捉されてしまった。

「見つけたぞ。ドンピシャみたいだな」
レーダー内に、ボズゴロフ級二隻の機影を発見したフラガは軽く口笛を吹く。
今回はフラガは、海中の潜水艦を攻撃するケースを視野に入れている為に、
お気に入りのソードパックではなく、狙撃用のランチャーパックで出陣している。
スカイグラスパーを海上すれすれの位置に低空飛行させたフラガは、この高度を維持
しながら、320mm超高インパルス砲アグニを発射する。かつてヘリオポリスのコロニー
の外壁を一撃で貫通したゴッドフリートに匹敵する高密度のエネルギーの塊は、海壁を
薄紙のように貫き、ボズゴロフ級の一隻に直撃し海の藻屑にした。

「クッ!、海上に浮上しろ!ディンを射出して撃退させろ!」
カーペンタリア基地からの増援である僚艦を失い、さらには惜しみなくアグニ砲を
連射するグラスパーの猛撃に恐れをなしたクストーは慌てて浮上を開始する。
だが、その行動はフラガの想定範囲内でしかなく、敢えてクストーがディンを打ち上げ
ようとする瞬間を狙って、再度アグニの照準をボズゴロフ級のMSハッチに定めた。
「残念だが、一歩遅い。悪く思わないでくれよ」
火神(アグニ)の鎚が一振りする。派手な水飛沫と共に、艦は爆発炎上し、クストー内
のMS隊は、戦死する機会すら与えられないまま母艦共々消失した。


「これで仕事の半分は終了だな」
ここまでの戦闘経過は、呆れるほどワンサイドにAA側のペースで推移している。
敵母艦二隻撃墜という偉業を成し遂げたフラガだが、その成果に奢ることなく、既に
心は次の標的を定めている。そろそろ、敵の哨戒部隊が戻ってくる頃である。
「カガリ、今回はお前が囮役だが、出来るか?」
レーダー内にディン数機の機影を発見したフラガは、ソードストライカーパックで
出撃したカガリに是非を問い掛ける。若輩のカガリにフラガの真似事(戦闘機での接近戦)
をしろなどとは結構無茶な要求ではあるが、フラガの見立てでは、彼の本来の適正は
アグレシッブな性格に由来する攻撃力でなく、野生本能的な防御勘の方だと見ているので、
撃破は無理でも、敵を撹乱するぐらいの芸当はしてくれるだろうと期待していた。
「任せてくれよ、兄貴。ディンを十七個に分解してやるよ」
そのフラガの期待に応えてか、極めて頼もしい返事が通信機から聞こえてきた。
「だといいんだけどね…」
…続けて、カガリ以外の男性の声が聞こえたような気がしたフラガは軽く小首を傾げる。
「んっ!?今、何か言ったか、カガリ?」
その回答を得るよりも先に、母艦を沈められて怒り心頭のディン部隊が接近してきた。
兄弟鷹は、前回の役割を変更した上で、再びディン隊と激突する。

487キラ(♀)×フレイ(♂)・43−5:2004/05/11(火) 23:46
「ええい、一体全体どうなっておるのだ!?」
モラシム隊長は不機嫌さを隠せなかった。足付き発見の報を受けて、慌てて戻ってきた
のは良いが、クストーからは一向に続報はない。海中にはボズゴロフ級の外壁と思わしき
残片が多数浮遊しており、何が起きたかの大凡の推測はつくが、彼の理性がその現実を
認めるのを躊躇わせていた。確かに、この短時間に、ザフト軍の潜水母艦二隻が、
たかだが数機の戦闘機に沈められたなど、在ってはならない由々しき事態だ。
本来、寡兵で数倍の敵と渡り合えるのが、コーディネイターとナチュラル間の正しい
キルレシオなのであり、実際、クルーゼ隊は、足付きを逃し続けているとはいえ、
ハルバートン提督率いる第八艦隊の十倍近い戦力を壊滅させているのだ。
このままオメオメと帰参する事は出来ない。何としても、足付きを沈めなければ…。


モラシムが苦悩している間に、エールモードのストライクが、海中に飛び込んできた。
ストライクを迎撃しようと、周りのグーンが前腕部のミサイルを向けかけたが、
悪戯に交戦させても、反って被害が増すばかりだと判断したモラシムは部下達を制した。
「お前達の敵う相手ではない。奴は私が引き受けるから、その間に、足付きを撃破しろ」
その隊長のお言葉にパイロット達のプライドが傷ついたが、ストライクの手強さは前回の
戦闘で身に染みているし、PS装甲を短時間で突破する有効な武装がグーンには装備
されていないのも事実だ。渋々ではあるが、モラシムの命令を受け入れたグーンの群れは、
標的をストライクから足付きに変えて、次々と海上へと浮上していく。

「行くぞ、ストライクめ。モラシム隊の底力を見せてくれるわ!」
PS装甲に唯一有効なフォノンメーザー砲で牽制しながら、ゾノはヒット&アウェイ
を繰り返して、少しずつ戦場を移動させ、ストライクを足付きから引き離した。
部下たちに豪語したモラシムだが、実は彼にもキラと互角に渡り合う自信はない。
隊長自身が囮となり、手負いの足付きを仕留めるまでの時間を稼ぐつもりである。
ストライクの攻撃を必死で避けながら、部下達が凱歌を挙げるのを待ち続けていたが、
グーンの集中砲火を浴びながらも、何故か一向に沈む気配を見せない足付きのしぶとさ
にモラシムは次第にイラつき始める。
モラシムの一連の状況判断自体はそれほど戦理から外れたものではなかったが、
彼にとって不幸なことに、足付きはサドニスでの応急修理により、前回の戦闘終了時
のモラシムの見立てよりも、艦の耐久力を大幅に回復させていたのだ。
遣る事成す事、全てが裏目裏目にと出ており、彼は今年、相当な厄年のようだ。


グーンの絶え間ない波状攻撃によりアークエンジェルの艦橋は揺れ続けている。
軍事上の通念を大幅に凌駕する艦の異常な耐久力により何とか持ち堪えてはいるが、
物理的法則に従って運用されている以上、ラミネート装甲にも何時かは限界が訪れる。
だが、ヘルダートでは、海中と海上を行き来するグーンに決定的なダメージは与えらない。
ここで、艦長のマリューは常人には及びもつかないとんでもない奇策に出た。
バレルロール(180度の宙返り)である。
常識人のナタルの反論を一蹴して、艦長権限で自分の意見を押し通したマリューは、
艦橋のクルー全員にシートベルトを付けさせて、艦内放送でその旨の警告を流すと、
その奇抜なアイデアを実行へと移した。

「な…何だ!?」
ラッコのように海中に仰向けにプカプカと浮かんでいたグーンのパイロット達は、突然
バレルロールを敢行し、船腹と艦首の位置をそっくり入れ換えた足付きにパニクった。
さらに不味いことに、今まで死角に潜り込んで、好き放題に一方的な攻撃を繰り返して
いたというのに、今では自分達はゴッドフリートの射角に入り込んでしまっているのだ。
彼らがその事に気付いた瞬間、ゴッドフリードが火を噴いた。アークエンジェルの下に、
水柱が連続して炸裂し、グーン隊は一瞬にして壊滅した。

488キラ(♀)×フレイ(♂)・43−6:2004/05/11(火) 23:47
アークエンジェルは、そのままクルリと一回転して、艦首を正常な位置へと戻した。
「良し良し、上手くいったわね」
自ら発案した戦術で、はじめて成果を収めたマリューはホクホク顔である。
「指揮官が局地的な戦況に一喜一憂していてどうする!?」
クルーにシートベルトの着脱を指示していたナタルは天邪鬼にそう考えたが、
大人気ない発想だし、今の彼女に忠告しても効果はないだろうから沈黙を守った。
それよりも、今回の奇手に支払った代償への後始末の方が大変そうである。
自分達の部屋がどんな状態になっているか考えただけでナタルは憂鬱になった。
ただ、副産物的に一つだけ良いことも存在している。
何故か宿主不在のフレイの部屋で、彼の机の引き出しの中に隠されていた毒物の瓶が、
バレルロール敢行時に、床下に投げ出されて、内容物が溢れ出たのだ。
今、フレイの部屋はバイオハザードに汚染されたL4コロニーのような惨状になっており、
これはこれで、後始末が面倒そうではあるが、結果としては、マリューはAA内に内包
されていた潜在的な危機を意図せずに取り除いたことになる。


「何たる様か…」
海中へと沈んでいくグーンの残骸をモラシムは呆然として見下ろす。
クストーはおろか、空中に展開するはずのディン部隊からも応答はない。
どうやらこの戦場で生き残っているのは隊長である彼自身のみのようだ。
「お…おのれぇ、ナチュラル共めぇ〜!!かくなる上は…」
既にこの戦闘の勝敗は決している。ただ、隊を全滅させた上で、自分一人が逃げ戻るなど、
出来よう筈がない。余裕を失ったモラシムは血走った目をストライクに向けると、ゾノを
水中モードに変形させて突進してきた。キラはミサイルで迎撃しようとしたが、何故か
モラシムは避けようともせずに、被弾しながらも、最短距離を突っ切ってきた。
「よ…避けない!?」
モラシムの神風特攻にキラは唖然とする。PSで守られていないゾノはかなりのダメージ
を負ったが、機体の損傷を無視して、そのままストライクに体当たりを敢行する。
「貴様も道連れだ、ストライク!一緒に地獄に堕ちろ〜!!」
ストライクに抱きついたゾノは、スクリューをフル回転させて、7000m級の深度を
誇るジャワ海溝へとストライク共々沈んでいく。

「こ…この人、まさか私と一緒に…」
モラシムの意図を悟ったキラはサーッと表情を青ざめさせる。冗談ではない。
無意識のうちに地獄逝きの相棒を探していたキラだったが、フレイやアスランなら
ともかく、顔も知らないムサイおっさんと心中するなどゴメンだった。
キラはゾノを振りほどこうと必死にもがいたが、モラシムの執念が憑りついたかの
ように手負いのゾノはビクともせず、あまりに懐深くに潜りこまれて拘束されている
為に、アサルトナイフの一撃も空を切るばかりで、ゾノの背中まで届かない。
その間にも、深度はどんどん深まっており、コックピット内もミシミシと嫌な音を
立てながら軋み始めた。何かこの状況でも使える武装は…。追い詰められたキラの
視界に、メインスクリーン上のゾノの赤色のモノアイが映し出された。

次の瞬間、ストライク頭部のイーゲルシュテルンが火を噴き、モノアイを直撃する。
「な…何だ!?」
メインカメラを潰され、視力を失ってモラシムが混乱した隙を逃さずに、キラは
ゾノの拘束を振る解くと、そのままゾノを踏み台のように蹴って、海上へ浮かび
上がるための浮力(推進力)を確保する。
「ぐおおぉおお!!!!!」
ストライクに蹴落とされ、さらなる奈落の底へと落下していったゾノはとうとう水圧に
耐え切れずにペシャンコに潰れ始めた。モラシム隊長の最期を見届けながら、ゆっくりと
海上に浮上していくキラの瞳からは涙が溢れ出して止まらなかった。

489キラ(♀)×フレイ(♂)・43−7:2004/05/11(火) 23:47
キラがモラシムと交戦し始めたのと時を同じくして、敵母艦を撃破したフラガとカガリ
の二人は、そのままディンの群れを相手に延長戦を行っていた。
戦況は、ナチュラル、コーディ間のキルレシオを無視したフラガの異常な活躍で、
敵ディンの残数は既に残り一機まで減らされている。囮役のカガリも、良く役割を
果たしていたが何故か不機嫌だ。それは、目に見える類の派手な武勲を挙げられないが
故ではなく、彼の後ろにいる男性の存在に起因していた。スカイグラスパー二号
の後部座席には何故かフレイが乗っていて、退屈そうに欠伸を噛み殺している。

「おい、フレイ…」
ディンの機関銃の連射を避けながら、カガリが忌々しそうに声を掛ける。
「何だい、エースパイロット君?」
「もっと焦れよな、お前。もし被弾したら、この瞬間にも俺達はそれでお陀仏なんだぞ」
カガリはそれとなく脅しを掛けたが、フレイは何ら危機感を覚えた様子はない。
「ナンセンスだね。僕が慌てた所でどうしようもないだろう?
この機体の命運は、君の意思と力量のみで成り立っているんだからね」
涼しげな表情で実に可愛げのない口を叩くフレイにカガリは舌打ちする。
実際、当てが外れた気分だ。こんな筈ではなかった。あいつのようなタイプは、
自分が安全圏にいられることを前提にしているからこそ、大物ぶっていられるのだ。
ちょっと危険区域に放り込んでやれば、直ぐに本性を現して醜態を晒すものと思い、
わざわざここまで拉致してきたというのに、一向に堪えている様子がない。
どうやらフレイは悪い意味で、口先だけの凡人とは一線を画する存在らしい。

これだけじゃ、まだ、恐怖心が足りないのか?
そう思い込んだカガリは、ソードを展開すると左舷方向からディンに近接戦闘を
挑んでいく。接近し、どんどん大きくなっていくディンの迫力に流石のカガリも
生唾を飲み込んだ。ディンがサーベルを大きく振りかぶった。左か?右か?
カガリはヤマ勘で、ディンのサーベルの軌道を先読みして空中旋回を行う。
ヤマは見事に命中し、ディンの斬撃を紙一重で回避したカガリは、そのまま
ビームソードの一撃でディンを真っ二つに切り裂いた。


「ははっ…。どうだ見たか、フレイ?流石にビビっただろ?」
カガリの心臓はまだドキドキいっている。もう一度やれと云われても多分出来ないだろう。
「これは、君が女装していた時の鬘じゃないか?そうか、前回の戦闘中に脱げたんだね?」
…どうやら全く正面を見ていなかったようだ。フレイは実に興味深そうに小脇に落ちて
いた焦茶色の鬘を拾い上げた。
「お…お前なぁ………!?」
一世一代の清水の舞台を物の見事にスルーされて切れたカガリは、怒りと共に後ろを
振り返ったが、途中でその表情が凍りついた。戦場でも飄々としたポーズを維持
しながらも、フレイの瞳が灰色に濁っている事実に気付いたからだ。
こ…こいつ、壊れてやがる!?
カガリは戦場で、こんな目をした人間を幾人か見たことがあった。常軌を逸した戦闘で
精神に異常をきたした者、大切な人間を失って心を閉ざした者は皆、ああいう濁った瞳の
色をしていたのだ。どうやらフレイは何らかの要因で既に魔に憑りつかれていたらしい。
じょ…冗談じゃない、こんな奴にキラを…。
カガリがフレイの危険度を再認識した刹那、そのキチガイ(フレイ)の口元が動いた。

490キラ(♀)×フレイ(♂)・43−8:2004/05/11(火) 23:48
「カガリ君。前、前…」
フレイはそう呟きながら、前方を指差している。慌てて正面を振り向いたカガリの視界に
ザフトの輸送機の姿が映った。どうやら、カガリがフレイに気を取られていた一瞬の間に、
機体はアークエンジェルへの帰還コースから外れて、とんでもない場所に迷い込んで
しまったみたいだ。
「な…何い!?」
カガリは反射的に機銃の引き金を絞ったが、同時に輸送機側からの反撃も行われた。
グラスパーと輸送機との短い交戦は、痛み分けという形を取り、共に推進部に被弾して、
黒煙を吐き出しながら、そのまますれ違った。

「クッ!両足しっかり踏ん張ってろよ、フレイ!このまま不時着する!」
機体の制御が効かなくなったカガリは、グラスパーをそのまま無人島の近くの海域
に強行着陸させる。グラスパーは派手な水飛沫を上げながら、辛うじて陸地に乗り上げ
る地点でストップした。

二人はまだ知らなかった。先程カガリが相打ちで仕留めた輸送機には、イージスと
そのパイロットであるアスランが搭乗しており、その機体をパイロットごと、
カガリ達が不時着した無人島へと落下させていた事実を…。

キラの初恋の君であり、現在キラと敵対しているアスラン・ザラ。
キラの双子の兄であり、キラの身を案じているカガリ・ユラ。
キラとの肉体関係を持ちながらも、キラを母の仇と付け狙うフレイ・アルスター。

キラを巡る三人の男性が、狭い無人島の中で、仲良く(?)呉越同舟する羽目となった。




次回偽予告「黒フレイ VS 純情アスラン」

「君がアスラン君かい?」
「何だ、お前は?」
「キラの最初(はじめて)の男かな?」
「なっ!?」

「『もう戦いたくない』、『これ以上、誰も殺したくない』、『まだ死にたくない』とか、
泣き言ばかり抜かす軟弱なキラを、宥め、賺し、時に抱き締めたりキスしたりして、
再び戦場へと送り込むのが、アークエンジェルでの僕の役目さ。
まっ、言ってみれば、キラ専属のメンタル・カウンセラーってところかな」

「き…貴様、貴様はキラを利用し…」

「おいおい、アスラン君。あまり人聞きの悪いことを言わないでくれよ。
これでも、僕はキラを愛しているんだぜ?
飴と鞭の理論で、ちょっと彼女の居場所に危機感を与えてやれば、
僕の大嫌いなコーディネイターを泣きながら殺し尽してきてくれるし、
人を殺して傷心の晩に、甘い言葉を耳元で囁いてやれば、夜伽の相手だって務めてくれる。
こんな素敵な恋人が他にいるかい? くっくっく…」

「殺す!殺す!殺してやる!お前だけは絶対に許さねえ!!」


「……おい、お前ら。本編(オリジナル)での主役だった俺の立場は?」

491ザフト・赤毛の虜囚 63:2004/05/12(水) 08:12
10.親友 7/8
[そう、メルデル。メルでもいい?]

親友だったジェシカとミーシャに絶交された。私を軽蔑している。

誰もが、私を、こんな目で見る。フラガと婚約させられてから、誰と紹介されても、いつも、
気持ち悪いと引いた目で見られる。そうじゃなきゃ、私を珍しいものを見るようにする。
フラガに連れられて、コーディネータの出産に関することを聞きにL4コロニー・メンデルの
研究所に行った時もそう。フラガは仕事があると早々に退散し、私一人残されて、担当医の
好奇の目にさらされた。担当医は、いやらしい目で私を見て、変なことばかり聞く。

その時、書類を取りに来た若い女医が、私の担当医に言葉をかけた。

「何、変なこと聞いてるのよ。この人、嫌がってるじゃない」
「なんだよ、必要事項だろ」

「どう見ても、そうは見えないわ。興味本意で聞いてるようにしか思えない。
 別に関係ないじゃない、これから結婚する人との歳が多少離れてたって」
「だけど、この二人は異常だぞ。なにか不穏な関係の匂いがする」

「どこが、異常だ! そういうアンタの方が、よっぽど異常で、無神経だ。いい加減にしろ!」
「なんだ、年上に向かって。お前、入ったばかりの新人だろ。自分の立場って言うものを」

「年上でもなんでも、間違っている事は許さない。アンタ謝んな。でないと、私が相手になってやる」

「あの、私、こんなの慣れてるから、もういいから、こんなこと……」私はさすがに女性を止めに入る。

「心配しなくていいよ。こんなのって、私は許さない。謝れ、このヤロウ!」
「なんだと! 所長に言って、お前なんぞ、やめさせてやる。覚えてろ!」

捨て台詞を残して、担当医は診察室を出て行った。私は、その女医と二人残された。

「フン!勝手に言ってな。間違ってるのはアンタの方なんだから」

「あの、ホントに大丈夫なの。あなた?」 私は問いかける。
「平気、平気。あんな女の敵のセクハラ医師許せないから」

私は、この女性を見つめた。
「あなた、名前は?」
「ヴィア・ヒビキ。あなたは?」

「メルデル、メルデル・シェトランド……」

だけど、私は、もうすぐシェトランドの名前さえ奪われることになる。私もフラガになってしまう。
私は辛い想いに目を伏せる。

「そう、メルデル。メルでもいい? なんか、呼びやすいし」

その言葉に、私は懐かしくなった。ママを始め、小さい時はいつも『メル』と呼ばれた。
フラガになることで感じていた辛い想いが、ヴィアに『メル』と呼ばれることで癒された気がした。

「いいわ。ヴィア、よろしく」
「メル、よろしく。彼氏と歳が離れているからって、色眼鏡で見られても、くじけちゃダメよ。
 愛してるんだったら胸を張って」

「うん…… ありがとう、でも、私……」チクリと胸が痛む。否定しようとして言葉を濁す。

でも、その前にヴィアは大きな声を上げた。
「あ、いっけない!」

「どうしたのヴィア?」
「ユーレンに止められてたんだった、こういうの。また、怒られる。ヤッバー!」

「え、え、ユーレンって誰?」
「私の旦那。私の言葉づかい荒くて、すぐ喧嘩するの直すように言われてたんだった」

「あなた、結婚してるの?」
「そう、あなたも若いけど、こっちも研究所に入って、すぐ結婚したもんだから。色々言われて」

「旦那さんって年上?」
「私はタメ歳。でもね、結構、頼れるんだ。あんま考えてること言わないけど」

「ヴィア、愛してるんだ旦那さんのこと。羨ましい……」

私の見つめる目に、さっきまで男言葉で威勢の良かったヴィアは、真っ赤になって黙り込んだ。
そして、照れ臭い顔で話す。

「いや、そんなんじゃ。やめてよ。そんなこと言うの……」

なおも、羨望の眼差しで見つめる私に、ヴィアは真っ赤な顔のまま、ポツリ、ポツリと自分のことを話しだした。

「ユーレンとは、小さい頃からの幼馴染よ。それで、いつの間にかズルズルと。こんなのありふれてるよね」
「いえ、全然、そんなことない。幼馴染って素敵だわ」

「そうね、ユーレン、私のこと、いつも、気にかけてて。私が両親と喧嘩して家出同然で飛び出した時も、
 いろいろ助けてくれた」
「それで、旦那さんと結ばれて…… ヴィア幸せそうね」

自分の恋愛を、大切なもののように話すヴィアに、私は、心が暖かくなり、もう忘れてしまったかと
思っていた笑顔を見せている自分に驚いた。

492ザフト・赤毛の虜囚 作者:2004/05/12(水) 08:22
>>『明日』と『終わり』の間に
ネメシス・フレイ様、記憶が戻ったかと焦りましたが、カガリへの勘違いで済んで良かったです。
カガリもくじけることは無いぞ、コーディネータのアスランは、きっと料理も、すぐにうまくなるでしょう。ん?
という訳でおもしろかったです。また、「The Last War」の再開を楽しみにしています。

>>過去の傷
ミリィはイザークに助けられたことで、どうやら早くディアッカと会えそうですね。良かったです。
しかし、その後、ラクスとフレイの修羅場が。アスランはともかく、キラは自業自得でしょう。

>>SEED if 〜Fllay Selection〜
しばらく、この時点で話が進むのですね。抜け殻状態のフレイ様。しばらくは一人寂しい部屋で
今の自分を見つめ直し、どんな結論を出すのでしょうか。

>>キラ(♀)×フレイ(♂)
エール・ストライカーが水中で使えたりと、モラシム艦長もとい下村さん、大喜びの内容でしたね。
バレルロールもやってましたし。ということは船酔いはスルー? って、フレイ(♂)様じゃ無理ですな。
ところで、潜水母艦のクストーって、アラスカの後、クルーゼが乗るやつじゃなかったかな。
あっさり沈んでしまったけど、この辺も変わるんでしょうね。
次は、フレイ(♂)様も加えて、野郎ばかりの運命の出会いですか。助けに来たキラ(♀)が
誰に抱きつくのかが楽しみだったりします。

493過去の傷・137:2004/05/12(水) 09:58
フリ−ダムとジャスティスは壮絶な戦いを繰り広げていた。
といっても実際は練習なので当然だが両者とも本気ではなかった。
フリ−ダムが斬りつける、しかしジャスティスは回避するとビ−ムを叩き込む、そんな練習が繰り返されていた、そんな時。
<キラ、ちょっと待ちなさい!>
プロヴィデンスが接近してきた。
<フレイ!?なんで?君は今日は休みの日じゃ・・・>
<そうだ、アルスタ−二等兵、君は・・・>
<アスランさんは黙っててください、こんな浮気者・・・許さないんだから!>
プロヴィデンスはフリ−ダムに向けてドラグ−ン・システムを発射すると同時に斬りかかった。
<フレイ!落ち着いて!>
<私を好きとか言いながら・・・この・・・浮気者!!!>
<フレイごめん!仕方なかったんだ!誘われて・・・>
<なによ!私のことは遊びだったの!?>
そう言いながらプロヴィデンスは斬りつけるがそれをフリ−ダムは全て回避する、このあたりは流石である、というよりコ−ディネイタ−にナチュラルが敵うはずはないのだが、フレイの戦闘能力は凄まじい。
<フレイ、早とちりしないで!君のことは好きだよ!だいたい守ってくれるって言ってたじゃないか!>
<なんで避けるわけ!?>
<だって損傷するだろ!痛いし!>
<知ったことじゃないわ!>
そしてプロヴィデンスはジャスティスを見た。
<アスランさんも手伝ってよ!>
<手伝うってなにを・・・>
<この浮気者の緩んだ心を叩きなのすのよ!この男は私という女がいながら・・・>
<・・・・・・>
<アスランさんは私とキラいえこの浮気者のどっちの味方なのよ!?>
<俺は・・・アルスタ−二等兵の味方だ、浮気など許せるものか・・・!>
と自分のことを100%棚に上げアスランは言った。
そしてこれからプロヴィデンス、ジャスティスとフリ−ダムの戦いが始まる。

494過去の傷・138:2004/05/12(水) 10:16
「おかえりなさい、イザ−ク」
「ただいま戻りました、それより母上も戻っておられたのですか!?」
「ええ、でもまたでかけなきゃならないのよ、だから後は頼みますね・・・」
「はい・・・」
「ところでそちらは?」
と、隣にいる少女を見る。
まだ幼く年齢的にも17くらいだろうか・・・なかなかの美少女である。
「始めまして・・・ミリアリア・ハウです」
と、その少女は言った。
「イザ−ク、男女交際は私認めてませんが・・・?」
「いえ違いますこの女はディアッカの・・・」
ミリアリアは一瞬思った、この男もアスランと同じくマザコンかもしれない・・・と。

その頃。
「「キラぁぁぁぁ!!!」」
プロヴィデンスとジャスティスはフリ−ダムに襲いかかっていた。

495過去の傷・作者:2004/05/12(水) 10:36
今回はフレイ様の嫉妬を中心に書き込んでます、これからも頑張ります、最後は少ななってしまいました、このところ変わってますので戸惑ってしまってこんなことになってしまいました。
>>SEEDif〜Fllay
この頃のフレイ様ですか、だんだんとキラの優しさに惹かれ始めた頃ですよね、ただ実際優しくされて素直になれない頃ですよね、これからも期待してます。

>>キラ(♀)
とにかくフレイ(♂)様頑張れ!そしてキラはどうするんでしょうか?抱きつくのか?

>>メンデルさん、可哀相そうに、でもヴィアさんのおかげで元気になれてよかったです、でもヴィアさんカガリにピッタリですね、でもメンデルさんこのところ可哀相でしたからほんとによかったです。

496ザフト・赤毛の虜囚 64:2004/05/13(木) 03:56
10.親友 8/8
[私は、本当の親友を見つけた]

「メルの方は?」

明るく自分のことを話し、私のことも聞いて来るヴィアに、私も、つい、おどけて心境を話しだす。
かつて、恋に憧れていたころのことを……

「私は…… 白馬の王子様……」

「え、彼って、そうなの」
「嘘、違うけど…… でもね、そんなのに憧れてたのよ。私って少女趣味かな」

「いや、そんなこと無い。そういうのって素敵よ。メルが憧れてても不思議は無いわ」

ヴィアの言葉に、私は心が暖かくなった。ヴィアには、私のこと、なんでも相談できると思った。
私は、ヴィアに、自分の不安を打ち明けた。

「ねえ、聞いてくれるヴィア? コーディネータのこと。私、不安なの」
「ああ、まかせといて、私、専門だし。なんならユーレンと一緒に相談に乗るよ」

「ええ、お願い」
「メル、彼氏のこと思ってるのね。コーディネータって彼の希望?」

ヴィアは、無邪気に私のことを聞いて来る。本当は私にとって辛いことを。

フラガは、離婚した前の妻との間に、子供ができなかった。それで、私の間に子供をもうけようと
している。名家シェトランドの血を引き、かつ、若くして聡明で、やり手で、自分の築いた資産を
狙っている他の親戚に奪われず、自分の生きている間でも、さらに富を大きくするような、そんな息子を……
それで、ビジネスに関連する能力を強化したコーディネータを望んでいる。娘なんて眼中に無い。
私は、そんなフラガの考え方は馬鹿らしいと思う。そんなのに私が突き合わされるなんて考えたく無い。
だけど、私は、いずれにしろフラガに逆らうことはできない。逆らえば、また、虜囚生活に逆戻りするだけだ。

私は、こんな自分の暗い想いをヴィアに告げるのは躊躇われた。せっかく友達になれそうな彼女に
最初から話すのは辛い。どうせ逆らえない運命なら、精一杯前向きに、フラガの考えを理解しようとした。

「そう……、彼、優れた子が欲しいと言うの。賢くて、安心して自分の仕事を継がせられるような……
 そんな自慢できるような男の子を…… コーディネータって、こういうのできるんでしょ」
「そうね、産み分けは完璧だし、他の親御さんも、みんな同じような想いを託しているわ。
 メル、大丈夫…… きっと望みは叶うわ」

そのヴィアの言葉に、私のコーディネータへの、そして運命への不安が少し和らいだ。

「ありがとう、ヴィア。お願い、もっと、いろいろ教えて」
「オッケー」
ヴィアは、親指を立てて、ニコリと笑う。

私は、本当の親友を見つけた。今は、フラガのこと言えないけど。いつか、きっと、みんな話す。
そして、ヴィア、私の心の鎖を解放して……

私の担当医と起こした一件に関して、特にヴィアに、お咎めはなかった。ヴィアは「正義は勝つ」とか、
言っていたけど、後で聞いた話だと、所長さんの力添えがあったらしい。

そして、ヴィアが、私の担当医になってしばらくしてから……

「メル、紹介する。私の旦那、ユーレン」
「初めまして、ユーレン・ヒビキです」
「え!? 嘘……」

私はビックリした。そして改めてヴィアを見た。気がつかなかった。そうだ、私が、フラガの
家で閉じ込められている間に不思議な感覚で見た時は、ほとんど裸で、顔を真っ赤に上気させてたから。
そうだ、ヴィアって、そうだ。そして、その旦那さんって……

嘘、嘘…… 私が、待ってた人。白馬の王子様?

ジェシカとミーシャの言葉が蘇る。

── メルデル、アンタ、まだ白馬の王子様待ってるの
── いい加減、そんな少女趣味捨てなさいよ

そう、白馬の王子様は、すでに人のもの。それも、本当に心を許せると思った親友のもの。
私は、どうすれば、どうすれば……

* * *

「ヴィア、ごめん……」私はポツリと呟いた。

「どうしたの、メルデル」カリダが覗きこむように見ている。

「え、え、何?カリダ、アレ、アレ?」
「メルデル、また、ぼうっとしてる。育児疲れってヤツ?」

「そんなんじゃないけど」
「ねえ、ねえ、メルデル。それより、また、ムウ抱かせて、抱かせて」

すっかり、私になつくようになったカリダは、頻繁にムウを抱かせてと、ねだって来る。

「ええ、いいわよカリダ。泣かせないでね。さっき、やっと泣きやませたんだから」
「オッケー」

私は、にこやかに微笑むカリダを、親友を見るように、暖かく見つめた。


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