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@@@プリキュアオールスターズ小説を綴るスレ・5@@@

154ふたりは名無しさん:2013/12/24(火) 06:56:19 ID:VDXHwtM.0
    「薫と満・夜はやさしく4」

辺りを探し回ったが薫は見つからない。(恥しがり屋の舞はそれどころではなかったが)
咲達の住む街は大きくはないがそれでもささやかにイルミネーションが通りを彩り、
賑々しい雰囲気が街中に溢れていた。しかし、今そんなこの時期ならでは喧騒を楽しむ余裕は三人にはなかった。
しかも咲を見かける近所の人がパン屋のキャンペーンかと声をかけてくるのだ。
「すいません!!この辺りでもう一人サンタの格好をした背の高い髪の長い女の子を見ませんでしたか?
あ、来年もウチの店をよろしく!」
(咲ってしっかりしてるのね・・・)ちゃっかりと宣伝する咲を舞はある意味頼もしく思った。
「薫!薫!!」満だけがあくまで必死に薫を探すがどこにも見当たらない。
不安に潰れそうな満を慰め、三人は一旦帰る事にした、薫は戻ってるかも知れない。

店からは賑わう声が大きく響いて来た。「あ、みんな来たんだ」咲は気付いた。
そう、今日はクリスマスパーティーの日、野球部のみんなクラスのみんなを呼んでいたのだった。
「あら」玄関に沙織が出てきた。
「どこ行っていたの咲?」「えー、薫が・・・」「薫さんならみのりといるわよ」「え!」満の目が輝く。
「か、薫は・・・!」「うん、さっきみのりと帰ってきたのよ。もうみんなと楽しんでるわ、満ちゃん達も行きなさい」
「満!」「うん!」三人は駆け出す。
ちゃんと謝るのだ。こんな聖なる日にケンカなんて・・・。薫、大切な私の薫!きっとまだ泣いてるわ。
満は騒がしいみんなのいる部屋のドアを勢いよく開けた。


 「メリークリスマスナリーッッ!!薫お姉さんおめでとーっ!」「ありがとう!みのりちゃん」
 「はいっっ。薫おねえさぁぁぁん。みのりんの作ったケーキだよ!」「まあ、とっても上手ね」
 「はいっ!あーんしてして?」「え、恥しいわ・・・」
 「食べてくれないの?みのりんのケーキ・・・。ぐすん、めそめそ」「た、食べるわ!あーーーん!ぱくっ」
 「お・い・し・い??」「ええ!とっても!ありがとう。みのりんちゃん」
 「わーい。みのりにも食べさせてぇ?あーん」「は、はいっ!」
 「もぐもぐ。うん、美味しく出来たみたい。薫お姉さんの為に作ったんだよ?てへっ」「本当に!?うっ・・・」
 「いやっっ!薫お姉さん、どうして泣くの!?」「みのサンタさんのプレゼントなんて嬉しくて・・・」
 「薫お姉さん!」「みのりちゃん!」
 「キャー!」「キャー!」

その光景を満は無言で見ていたが部屋のドアノブを握る手に恐ろしい力が込められているのを咲は見逃さなかった。
「みみみ満・・・あの」「か、薫さんが立ち直って良かったわ、ね・・・」咲と舞は生きた気がしなかった。
「あ、おねーちゃーん」「あら」にこやかにみのりと薫が手を振る。サンタのペアルックで実に楽しそうだ。
満の口はさっきの薫よりも、への字に曲がり怒りの炎が瞳を焦がしていた。何かを予感して咲舞が耳を塞いだ瞬間、
「薫の大ばかっっっっ!!」
聖なる夜に満の絶叫が木魂したのであった。


帰り道、薫と満は無言で歩いていた。
街灯に風が吹き抜ける中、人々は気ぜわしく道を行く。派手なクリスマスの装いももうすぐ終わり、その後は地味な、
そして厳かな年の瀬の気配が街に漂うのだろう。・・・そう今年も終わるのだ。

あの後で咲と舞はくってかかる満をパーティーだからと何とか落ち着かせ 驚くみんなを取り直し、
やっとの事で今夜を乗り切ったのだった。
(な、なんでクリスマスなのにわたし達こんな気を使ってるんだろ・・・)それが二人の共通の思いであった。

「あの・・・ごめんなさい」歩きながらそう切り出したのは薫だった。「悪気はなかったけど満を怒らせて・・・」
「もう良いのよ。私もひどい事言ったわ。それにもう怒ってないし」満は言った。
実際、みのりと笑顔でケーキを食べていた薫を見て毒気を抜かれたのは確かだった。(怒鳴ってしまったが)
「あのね、私が外で泣いてたら、みのりちゃんが丁度帰って来るところでね、みのりちゃんに優しくされたら、
すごく嬉しくなったの。あとケーキも食べたかったし・・・。でもほんとにごめん。満に嫌な思いさせて・・・」
どこまで正直に言うのよ・・・。満は呆れた。
でも自分に素直な薫だからこそ、こうして謝ってるのは偽りのない気持ちからなのだろう、そうも思った。


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