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仮投下用スレ
55
:
◆2dNHP51a3Y
:2022/12/11(日) 10:33:22 ID:???
◆
「……永……。岩永……起きろっ!」
「……リュージ、さん?」
叫び声と共に、岩永琴子の意識が目覚める。
リュージに体を支えられ起き上がり上空を見れば、その視界には異様な光景が広がっている。
「……どういうことですか、これは。」
目を見開き、それを視認する。それは罅だ、空間に刻まれた黒い罅の数々。
それは地面や建物に発生したとかではなく、文字通り何もない空中に発生した罅。
大きな割れ目。断崖絶壁に発生した地割れの影響に酷似したそれがあった。
さらに言えば、自分たちを包み込むように展開されている緑色の幕のようなものも視認できる。
「……俺にも分からねぇ。さっき目覚めて広がってた光景がこれだ。……それに。」
リュージが視線を上に向ければ、銅鑼の如くけたたましく空気が弾け、吹き飛ぶ音。
ソニックブームよって発生した大轟音が何度も何度も鳴り響いている。
それは、2つの何かがぶつかり合って発生した、衝突の余波。
余波にしては、余りにも絶大な、人智を超えた戦いの残響。
再び、空気が割れ、大轟音が鳴り響く。同時に、空間に黒い割れ目が出来る。
「……一体、誰が戦ってやがるんだ………?」
それが、リュージにとっての疑問であった。
人智どころか化け物同士が戦っているようにしか見えない異常な光景。
空間にすら影響を及ぼす超越者の黄昏。
「……あかりさん。あの怪物と互角に戦ってる……」
「あんたはたしか……。生きてたのか。」
「ええ。なんとか。」
そんなリュージの疑問を返すように現れたのはメアリ・ハント。
今魔王と戦っているのは間宮あかりである。
自分と同じ、理由は分からないが『覚醒』し、あの魔王と戦えている。
「……。」
魔王の言っていた事が岩永の頭の中で反芻する。
『覚醒者』の増加が、楽園の成立に関わるならば、それこそ主催の思う壺ではないかと。
魔王の権能は穢れ。そして捕食による異能の蒐集。所々の魔王の発言の違和感は感じ取っていた。
『……煩わしい。何故、消えない。』
あの時の言葉。間違いなく"別の誰か"が喋っていたような感覚。
魔王の中身はベルベットではなく、全く別のなにか。
"鋼人七瀬"のように誰かの想像力が生み出した怪物。
――ではその怪物の目的は何だ?
蒐集の異能、覚醒者の誕生。それを食らって、その果てに―――。
まだ、答えには足りず。だが、今わかることは。
「……あかりさん。」
彼女が、最後の希望。自分たちの未来を繋ぐ境界線。
藁にもすがる思いで、間宮あかりに願いを託すことだけが、今の三人に出来ることだ。
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