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愛「へー……3人の名前に因んでるのかぁ」

1名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 03:10:35 ID:6SrrO8Rc
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1572862705/

↑これの改造版

基本りなあいだけどモブが喋りまくる
設定もスクスタの遥か前に勝手に組み上げたのほぼそのまま

11名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 03:18:24 ID:6SrrO8Rc

-数日後-

愛 「お、いたいた。璃奈ー、見てこれ」

璃奈「愛先輩……何ですか?」

愛 「じゃじゃーん、名付けて“璃奈ちゃんノート”ぉー♪」

璃奈「…………」

愛 「スゴいっしょ、ページ毎に顔が描いてあるんだ。昔の芸人から着想を得たの」ペラリペラリ

愛 「これ顔に当てて使えば、璃奈も見事に表情豊かな……子に」

璃奈「…………」

愛 「……えーと」

璃奈「…………」

愛 「あ、駄目だった?」

璃奈「そんな事ないですよ(棒)」

璃奈「ありがとうございます。必要になったら使わせて貰いますね」ゴソゴソ

愛 「ち、ちょっとちょっとーん。言った傍から鞄に仕舞ってるじゃーん。絶対一生使わないオチじゃんそれー」

愛 「折角ラブ込めて作ったのにー」

璃奈「大きな御世話です……それでは」スタスタ

愛 「ちぇー」

璃奈「…………」

璃奈(ふんだ。愛先輩のオバカ)

璃奈(これだから素直に尊敬できないんだよなあ)

12名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 03:21:43 ID:6SrrO8Rc

愛 「───という事なんだけど」

愛 「何がいけなかったんだと思う?」

歩夢「分からなくても何かしら回答していく姿勢」

歩夢「以外の全部だと思うよ」

愛 「そっかぁ」シュン…

歩夢「そっかーじゃないよ。頭どう揺らせば璃奈ちゃんノートなんて発想に行き着くの……」

愛 「そ、そんなに駄目? ……なんだよね、はは……。寝る前に思い付いて、よっしゃイケるって思ったのになあ」

歩夢「ほぼ深夜テンションじゃん」

13名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 03:23:01 ID:6SrrO8Rc

───百害あって二利くらいしかない


璃奈「…………」チューチュー

愛 「やっほー璃奈」

璃奈「ん、愛先輩?」

愛 「おっ? 何か飲んでる。璃奈それ何?」

璃奈「これ……モンスター、だけど」

愛 「モンスター」

愛 「あー……知ってるかも。エナドリってやつか」

璃奈「そうだよ。いろいろ種類が有るの」

愛 「え、わざわざストローで飲むの」

璃奈「通の飲み方だよ」

愛 「通? ほーん」

愛 「って事は璃奈、普段からエナドリに頼るほど疲れてたり……」

璃奈「ん……そんな疲れてはないけど」

愛 「え、ないの? じゃあ何で」

璃奈「エナドリって疲れてないと飲んじゃいけない物じゃないよ?」

璃奈「単に美味しいから飲んでるの」

璃奈「ていうか、エナドリに味以外の部分を求めたら損すると思う」

愛 「な、何だ、何か璃奈が凄いこと言いだしたんだけど……」

愛 「────」

愛 「ねえそれ」

璃奈「一口ちょーだい、とか言うんでしょ、どうせ」

愛 「ヒョッ?! な、何で分かった!」

璃奈「分かるよ……」

璃奈(猿も察してエサ隠すレベルだよ)

14名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 03:23:24 ID:6SrrO8Rc

璃奈「いいよ別に。一口ならあげる」

愛 「あら、いいん?」

璃奈「あんな欲しそうな顔されちゃ気まずいもん……」

愛 「えー嬉しいけど……そんな顔してたー?」

璃奈「してたしてた」

璃奈「炭酸は普通に大丈夫だよね。飲んで良いよ、ほら」

愛 「あらまーありがと三角」

璃奈「一口だよ? 本当に一口だからね?」

愛 「信用無い……」チビチビ…

愛 「───」ゴクン…

璃奈「どお?」

愛 「…………」

愛 「あ」

璃奈「?」

15名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 03:23:46 ID:6SrrO8Rc

愛 「あぁんッま……」

璃奈「え?」

愛 「なァーにコレやっばい……マズくはないけど、すっげ甘い」ウゲー…

璃奈「甘い……えぇーそうかな?」

璃奈「糖分量は普通のジュースとそんな変わらないけど……」

愛 「いや甘いよ……最早ドロ甘だよこれは」

愛 「璃奈、大丈夫なんこれ? これ飲み続けたら糖尿病になるんじゃね」

璃奈「と……べ、別に体調崩す量は飲んでないよ」

璃奈「それに今は運動だって沢山してるもん」

愛 「それにしたって、こりゃ世辞にもカラダに良いモンじゃないね……」

愛 「璃奈の好みは否定しないけど、愛さんはチョイ苦味あった方が好きだなー」

璃奈「そんなこと言われても」

愛 「ちょっと緑茶サーバーの御世話になってくるわ……」スタスタ

16名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 03:24:10 ID:6SrrO8Rc

璃奈「行っちゃった……」

璃奈「……」

璃奈(そんなに甘いかなぁ?)

璃奈(こんな美味しいのに……)チューチュー

璃奈「……」

璃奈(あっ)

璃奈「…………」キョロキョロ

璃奈(ま、いっか)チューチュー…

彼方「みーちゃった☆」

璃奈「ひょあっ」

17名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:23:44 ID:6SrrO8Rc

───常備してます


愛 「妙に小腹が空いてくる季節ですね」

愛 「って! そりゃ1年中やないかー↑い!」🍷

璃奈「1人で何してんの……」←ドン引き

愛 「ルネッサンス(挨拶)。そういう訳でボンタン飴あるけど食べる?」

璃奈「どういう訳。てかボンタンあめって何」

愛 「あれま知らない? 日本に鬼が居た頃からあるんだけど」

愛 「まあいいや、とりま1個食べてみ」コロリ

璃奈「……キャラメルみたい」

璃奈「…………」

璃奈「…………」ムキムキ

璃奈「……?」

愛 「どした璃奈。食べないの?」

璃奈「この包み紙、取れないんだけど……」

愛 「え」

愛 「……何それ? は? 可愛いんだけど。可愛いんだけど璃奈」ナデナデ

璃奈「なに、いきなり。触らないで気持ち悪い」ペシッ

18名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:24:22 ID:6SrrO8Rc

───町の空気からして違います


愛 「璃奈ってドコに住んでんの? ってか都内住み、だよね?」

璃奈「……渋谷だけど」

愛 「え渋谷? おおー渋谷? 案外ウチから近いんだ。華やかなトコ住んでんじゃん」

璃奈「華やかって」

璃奈「……別に普通の住宅街だけど」

愛 「えー? まーたまたそんな謙遜しちゃってー」

愛 「実は松濤辺りに住んでたりとか……」

璃奈「え、何で分かったの」

愛 「   」

璃奈「どしたの?」キョト

愛 「……今度お邪魔してもいいですか?」ズイ

璃奈「え、やだ」アトズサリ

愛 「そんなー」

19名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:24:58 ID:6SrrO8Rc

───モンスターのボトル缶を奢ってもらった


愛 「あなたが落としたのは金髪の愛さん? それともクリスタルひとしくん?」

璃奈「落としてません。さようなら」スタスタ

愛 「ごめんなさい待ってください璃奈様」

璃奈「…………」

愛 「そこで立ち止まってくれる璃奈が好き」

璃奈「良いから早く用件言ってくれます? わたしも暇じゃないんですけど」

愛 「待ってマジそろそろ泣くから優しくして本当」

璃奈(優しくされるような振る舞いをすれば良いのに)

愛 「ごほん……実は昨日、おばーちゃんが何と宝くじで20万円を当ててさ」

璃奈「えっ」

愛 「お、興味ある?」

璃奈「突然過ぎて割と湧いた」

愛 「おう。それで早い話アタシに……驚く無かれ5万円の臨時収入が入ったんだよね」

璃奈「おお……」

愛 「だからいま、愛さん超ご機嫌なんだよね! ハグして良い?」

璃奈「…………」

愛 「あはは……」

20名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:25:26 ID:6SrrO8Rc

愛 「そ、そういう訳でね、幸運のお裾分けって言ったらアレだけど、今日は特別に璃奈のお願いを何でも聞いてあげる!」

璃奈「何か変な飛躍した」

璃奈「え、ていうか何でもって……」

愛 「何でもだよ? 昼御飯驕りでも何でも。アタシに出来る範囲でランプの精になってあげる」

愛 「ま! さっきのやつは湖の精だけどね!」ドヤッ

璃奈「何でも……」

愛 (スルーされたよぅ)

璃奈「何でも良いんだよね」

愛 「ど、どんとこい」

璃奈「…………」

璃奈「じゃあ」

愛 「あ、流石に無いだろうけど、璃奈に今日1日は近付かない的なのは駄目だよん」ヘラヘラ

璃奈「は?(威圧)」

愛 「え?(萎縮)」

21名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:25:50 ID:6SrrO8Rc

───当作に百合はありません


愛 「デッドプールフォーエバー! 本日公開ッッ!!」(※そんなものはない)

愛 「歩夢みにいこ♥」

歩夢「嫌です」

愛 「何で?(失意)」

歩夢「前から言ってるでしょ何回も……わたし、ああいう映画は得意じゃないの」

愛 「もー……歩夢まだグロいの駄目なの?」

歩夢「そういうのは時間経過で大丈夫になるものじゃないんだよ……」

愛 「ゲームでは銃ブッパしてるのに?」

歩夢「CGと生身の人間じゃ感じるものが違うのっ!」

愛 (最近の実写も殆どCGアニメみたいなもんだけどなあ)

歩夢「それに、どっちにしろ無理だよ。今日は大事な用事も入ってるから」

愛 「用事? あらまゴメンそうだったの。何どっか行くん?」

歩夢「うん……ちょっと、いろいろね」

愛 「…………」

愛 「あ、デート?」

歩夢「ん゙ッ!(咳き込み)」

愛 「おお当たりか」

22名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:26:24 ID:6SrrO8Rc

歩夢「げほっ……ねえ愛ちゃん」

愛 「おん?」

歩夢「ちょっと殴って良い?」👊

愛 「ふぁっ、いやいやいや良い訳ないっしょ。今更なに恥ずかしがってんのアタシらの仲じゃん……」

歩夢「問題。親しき仲にも?」

愛 「異議あり!」

歩夢「ふざけないでよ!」

愛 「礼儀あり、ね」

歩夢「そういうのは分かってても黙ってるものなの! デリカシー大事だよ!」

愛 「んははは」

歩夢「愛ちゃん!!」😡

愛 「わ、分かってる分かってる。ごめんて」😅

23名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:27:03 ID:6SrrO8Rc

歩夢「とにかく、わたしは行かないよ。出来れば他を当たってください」

愛 「むう、残念……じゃあ良いよ。代わりに今度の日曜ズートピア2見に行こ、あいつも誘って」

歩夢「え? ……ま、まあズートピアなら良いけど……デッドプールさんは観ないの?」

愛 「いや行く。この後、同好会の誰か誘って見てくる」

歩夢「ええー? あらら欲張り愛ちゃんだね。今月の残高ピンチになっちゃうかもよ?」

愛 「だ、大丈夫だよ。まだ余裕あるし。……そもそも、デッドプール見たいのと歩夢と映画見たいのは別の事だから」

歩夢「え?……え、どゆこと?」

愛 「いやだから、何かしら歩夢と外で遊ぶ機会は設けておきたかったんだよ」

歩夢「へ……」

愛 「最近いろいろ忙しくてさ、特に今月は1回も歩夢と街で遊んでなかったじゃん?」

歩夢「……うん」

愛 「でしょ? まあ仕方ない事だけど、そんなんじゃ寂しい気もするでしょ。この頃やっとスケジュールも落ち着いてきたから、ね」

愛 「アタシら、それなり長い付き合いなんだし、そうやって時間作ってでも一緒に……。……歩夢?」

歩夢「ふえ?」ビクッ

愛 「え、どうかした? さっきから何でそっち見てるん」

歩夢「あ、えと……」キョロキョロ

愛 「?」

歩夢「……別に何でもない。愛ちゃんの癖に、そんな嬉しいコト言えるんだなと思って」プイッ

愛 「…………」

愛 「ああ、もしかして」

歩夢「照れてない!」

愛 「ま、まだ何も言ってないじゃん……やっぱ照れ」

歩夢「てないって言ってるでしょ! もう黙って本当に! デリカシーってものを学びなさい!」

24名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:28:33 ID:6SrrO8Rc

───ちなみに、うるさい菜々は出ません


愛 「璃奈はさー」

愛 「同好会の先輩の中で誰が一番好き?」

璃奈「…………」(��_�� )

愛 「な、何か言ってよぅ……」

愛 「えーと……じゃあ歩夢のことは?」

璃奈「優しいから好き」

愛 「菜々は?」

璃奈「割と話合う所もから……好きな方」

璃奈(たまに愛先輩よりうるさいけど)

愛 「……」

愛 「アタシのことは? 好き?」

璃奈「…………」プイス

愛 「何か言ってよッ!?」

璃奈「そういうこと聞いてこなければ好き」

璃奈「かも」

愛 「かもって何だよヘイヘイ」ナデナデ

璃奈「気安く触らないで」ペシッ

愛 「ヘーイ……」シューン…

25名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:30:31 ID:oW3lrayM

───ドライな後輩、2人目


愛  「よーう、かすかすー」ナデナデ

かすみ「うげっ愛先輩……」ベシッ

愛  「えー何その反応、ひどくね? 愛さん泣いちゃうんだけど」

かすみ「りな子とのアレ見てれば当然の反応でしょうよ」

かすみ「事ある毎に絡んでくっついて……何です? 今日のエサはかすみですか?」

愛  「愛さんタコちゃんかい。後輩は先輩にとってカワイイもんじゃん」

かすみ「可愛ければ、こちらの意見シカトで絡んでも許されると」

かすみ「はーなるほど感心します。先輩は毎日が楽しそうで良いですね」

愛  「り、璃奈より毒濃度たけぇ……」😰

かすみ「それに愛先輩とりな子だと、遠目で見たらカツアゲにしか見えないんですよ……」

愛  「えー? カツは元から揚がってるでしょー」

かすみ「…………」

愛  「…………」

愛  「あ、えーと今のはね?」

かすみ(うっざ……そういう所が嫌がられるんでしょ)

26名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:30:58 ID:oW3lrayM

かすみ「もういいです。はい、おでん缶あげますから大人しくしててください」スッ

愛  「え……これ、おでん缶……? 何で持ってんのこんなん」🍢

かすみ「先日、パ……父がスーパーの抽選会で大量に当てまして。丁度良いので是非とも消費に御協力を」

愛  「お、おう」

かすみ「はいどうぞ」

愛  (バッチリ冷めてるし……後で食堂のレンジで温めて食べよ)

愛  「…………」

愛  「ねえ、ちょっと訊きたいんだけど」

かすみ「ええ、かなり馴れ馴れしいですね」

愛  「アタシって、そんなに馴れ……」

かすみ「…………」

愛  「あ、そ、そうですか」

かすみ「はい」

愛  「はーあ、そっかぁ。これでも愛情表現のつもりなんだけどなあ……」オチコミ

かすみ「…………」

かすみ「……はあ……世話の焼ける人ですね」タメイキ

かすみ「愛先輩が馴れ馴れしいのは事実ですが、お気になさらず。別に、かすみ達だって本気で嫌ってる訳じゃないですよ」

愛  「んっ?」

かすみ「先輩が優しい人だって事くらい、ちゃんと皆も分かってる……と思います」

27名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:31:58 ID:oW3lrayM

かすみ「愛先輩の事を本気で嫌ってるなら、皆もう同好会に来たりしないでしょ」

かすみ「かすみ達に馴れ馴れしいのは、もう愛先輩の個性みたいなとこありますし」

愛  「かすみ……」

かすみ「確かに先輩は、いろいろアレですけど」

かすみ「いろいろ、アレですけど」

愛  「そんな強調せんでも……」

かすみ「ですけど……でも、かすみ達が学園とか同好会に馴染めたキッカケ作ってくれた所もあります……」

かすみ「りな子もしず子も、先輩の事はどこかで尊敬してますよ。嫌いだなんて思ってません。きっと」

愛  「かすみも?」

かすみ「ノーコメントです」

愛  「……プラスに解釈しておくね」

かすみ「はいはい……かすみも、ちゃんと分かってますから」

かすみ「ちゃんと、そういう程度を考えて後輩と接しましょうね」ポスポス

愛  「…………」ムズッ

愛  「ちょっとチューして良い?」

ガスンッ!

愛  「だばっふ!?」

かすみ「だから!」

かすみ「そこで! 空気読まないから! りな子が怒るんですよ! このオバカ!」

愛  「うごご……」ヒリヒリ

28名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:32:35 ID:oW3lrayM

───菜々はスクスタ前からオタ系だと思ってた


璃奈「意外……歩夢先輩ってゲームとかやる人だったんだね」

歩夢「あはは、お恥ずかしながら」

璃奈「いや本当に意外だよ。コントローラー持ってるイメージ湧かないもん。え、いつからやってるの?」

歩夢「あー確か小さい頃……幼稚園に入るより前だから本当に小さい頃だね」

歩夢「わか……部長のお兄さんがね、やってたのをやらせてもらったのが、わたしの確かゲーム初プレイ」

歩夢「もうタイトルは憶えてないけど、確かマリオさんだったと思う」

璃奈「へえ……そんな感じ全然ないけど、ゲーム歴わたしより長いんだね」

璃奈「わたし、初めてゲームやったの小学校に上がってからだったよ」

歩夢「良かったら対戦してみる? こう見えて強いよ、わたし」💪ムンッ

璃奈「いいね、いま何やってる?」

歩夢「んふふ、今やってるのはね───」

愛 「…………」

29名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:33:05 ID:oW3lrayM

璃奈「わあ……スゴい。これ全部、菜々先輩なの?」

菜々「あ、あはは、そうです。そんなに見られると恥ずかしいですね」

璃奈「カナヲに、こっちはプリキュア。これ八九寺真宵ちゃん……? え、これアスカ……それにティファまでやってるの」

璃奈「うわ、際どいのもある……“本物”だね先輩」

菜々「あああ、そんな見ないでえ……」😵

璃奈「でも先輩、本当に楽しそうに写ってるね」

菜々「……ええ、まあ、数少ない趣味ですよ」

菜々「昔からプリキュアですとか、そういうアニメが好きで、綺麗な衣装に憧れがあったんです」

菜々「小5か……その辺りだったかな、内緒でコスプレした写真を上げたら割と反響があって、そこから調子付いちゃって」

璃奈「小5? かなり早い内から目覚めてたんだね」

菜々「えへへ。それで気付いたら、こんな事になってて……」

菜々「まあ確かに楽しい、ですね。スクドル始める前までは、自分を表現する唯一の場でした。皆さん寛容ですし、居心地良くて」

菜々「……でも親からは、なかなか理解されなかったんですけどね……」

璃奈「そんな落ち込まないで。わたし達だって理解してるよ。素敵な趣味だと思う」

菜々「ありがとうございます。……へへっ、でもやっぱり恥ずかしい」😳

愛 「…………」

30名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:33:49 ID:oW3lrayM

愛 「ヘイヘイ璃奈」✋

璃奈「天王寺璃奈です───え」

愛 「どうよ?」

璃奈「愛先輩、その髪……」

愛 「そ、いつもと変えてみた。前髪は解いて、あとアイライン気持ち丸っぽく控えめにしてね」

愛 「個性そのまま、歩夢みたいな柔らかい感じに寄せてみた!」

愛 「どう? いつもより優しそうな感じするっしょ! ぬへへ」

璃奈「言動が伴ってないけど」

愛 「ぬぐぇ……ま、まあ、要するにメイクは良い感じって事だよね」😅

愛 「で、見たとこ璃奈はさ、あんまそういう、メイクとか拘り無さそうな感じじゃん」

璃奈「う、うん。あんまり時間掛けた事ないよ」

愛 「愛さんね、ノートの件からずーっと考えてさ。まあ結局こんな事しか思い付かなかったんだけど……」

愛 「璃奈さえ良ければ、メイクで印象を変える技……覚えてみない?」

璃奈「えっ」

31名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:34:30 ID:oW3lrayM

愛  「表情が上手く出せなくても、メイクで人からの視線を変える事は出来る」

愛  「アタシには、これが精一杯だけどさ。何かしら璃奈の役には立ちたかったんだ」

愛  「どう? やってみる?」

璃奈 「……」

璃奈 「うん……先輩が良いなら、覚えてみたい」

愛  「勿論だぜ」

璃奈 「…………」

璃奈 (急にそれっぽい事するんだもんなぁ。この人って)

璃奈 (何かズルい気もする)

愛  「よっしゃ! んじゃ早速……」

ガラッ

かすみ「こんにちはー……ってあれ、まだ愛先輩とりな子だけですか?」

璃奈 「あっ……」

しずく「お疲れさまです。2人とも何かしてたんですか?」

愛  「ん、あー2人ともお疲れー。まあちょっとね」

かすみ「ちょっとりな子、アンタまた先輩に何かされて……」

愛  「何もしてねーわ! 人をいじめっ子みたいに」😡

しずく「……あれ? 何か愛先輩いつもと雰囲気が……」

かすみ「ん……言われてみれば髪型が違いますね」

愛  「あーこれね」

愛  「……」チラリ

璃奈 「……」モジモジ

愛  「まあ丁度良いか! 2人ともコッチおいでよ、良いコト教えたげる!」

かすみ「?」

しずく「?」

32名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:35:04 ID:oW3lrayM

───少しだけ2人の距離の近さが羨ましい菜々


歩夢「菜々ちゃん、ところで変なこと訊くんだけどさ」

菜々「……何となく分かりますよ、実は私もなんです」

歩夢「ふふ、そうなんだ……」

歩夢「……」

菜々「……」


2人「愛ちゃん(さん)が、やたらドヤ顔してくる」


歩夢「あははっ」

菜々「えへへっ」

2人「はあー……」😰

33名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:35:32 ID:oW3lrayM

菜々「何なんでしょうね? まあ愛さんが変なのは、いつもの事ですけど」

歩夢「菜々ちゃんも言うようになったね……でも、その通り過ぎて何も言えないや」

菜々「あはは、私もコツが掴めてきたんですね。それで、何だと思います? あの謎ドヤは」

歩夢「うーん……あのパターンだと多分、勝手に1人で、わたし達に対抗心的なもの燃やして、勝手に1人で動いて……」

歩夢「で、勝手に1人で勝った気になってる。これが有力かな」

菜々「……歩夢さんの領域には程遠いですね、私……」

歩夢「何の自慢にもならないけど、愛ちゃん歴5年目ですので」😁

菜々「でも……そんな対抗心なんて燃やされるような事しましたっけ? 私達……」

歩夢「うーん、全く心当たり無い」

菜々「そもそも私、最近あまり愛さんと話してもないですし」

歩夢「……」

菜々「……」

菜々「あ、もしかして璃奈さん関連とか」

歩夢「うわーありそうで困る」

菜々「むーん……でも本当に何なんでしょうね」

歩夢「ま、いっか……暫くすれば自然と治まるでしょ。どうせ愛ちゃんだし」

菜々「そうですね、愛さんですしね」

歩夢「話変わるけど、璃奈ちゃんと言えば最近メイクが……」

34名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:37:01 ID:oW3lrayM
***


愛 「へっきしょい!」

部長「うわっちょ!? あっち向いてやれよ!」


***

35名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:37:39 ID:oW3lrayM

───でも愛先輩になら化けて出てほしい


愛 「テスト明けだー!」

愛 「あーもう何もする気ねー! アイ活やる気すら起きねー!」

歩夢「……とか言っといて、当たり前みたいに人の家来てるじゃん」

愛 「だってゲームやりたいもん。何か新しいのある!?」

歩夢「上原家をプレイスペースか何かだと思わないでほしい」

愛 「ははは……あー、ところで今日あいつはどうしたん? 帰る時も居なかったけど」

歩夢「今日は、学園から直で横浜に行くって言ってたよ」

愛 「横浜……えー何で? 遠いし、ここと反対方向じゃん」

歩夢「うん。ちょっと制作部の人達で大事な話があるんだって。何か新しい機材の調達に関する事みたい」

愛 「ふーん……テスト明けなのに大変だコト。いろいろ御世話になってるし、今度プリンでも奢ってやろうか」

歩夢「良いんじゃない? 意外と甘い物も好きだし、きっと喜ぶよ」

愛 「おう。オススメは、最近出たセブンのデカい抹茶味のやつね、よろしく言っといて♪」

歩夢「いや今のは愛ちゃんが財布を出す流れでしょ」

36名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:38:16 ID:oW3lrayM

愛 「さあてゲームやるぜー! テスト明けだし……こう、癒やし系のやつがやりたいね♪」

愛 「何かある?」

歩夢「愛ちゃんはさあ……」

歩夢「…………」

歩夢「はあ、もういいや……こないだ面白そうだったからダウンロードしたやつならあるよ」

愛 「お、マジでか。良いね、どんなの?」

歩夢「2007年に出たゲームのリマスター版みたい」

愛 「2007……! そりゃまた古い物を」

歩夢「南の島が舞台で、なかなか癒やし系だよ。たまにキャラの挙動が変な所あるけど」

愛 「おおお、パーフェクトだよ歩夢ぅ」

歩夢「待ってて、いま立ち上げるから……」

愛 「ワクワクだぜ」ウキウキ

……………………

……………………

Aztec:Madre Santisima!

愛 「…………」

Aztec:Prophet! Help me!!

愛 「…………」

37名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:38:44 ID:oW3lrayM

愛 「歩夢……騙したな?」

歩夢「ほらほら、早くアズテックさん助けに行かなきゃ」ニヤニヤ

愛 「何が癒やし系だよオイ!? 確かに南の島だけど、バチクソのドンパチゲーじゃねえかい!」

愛 「南の島って言ったら普通スポーツ系とか爽やかな感じのやつかと思うじゃん!? 実銃片手に血ヘド吐いて全力疾走だよ!!」

愛 「のっけからパワードスーツのゴツいブラザー出てきた時点で、何か変だなって思ってたわ!」

Jester:Shit! Son of a bitch!!

歩夢「あー、アズテックさん死んじゃってる……かわいそう……」

愛 「白々しい事この上ねえ!」

愛 「歩夢オメー恨むぞヘイ! 憶えとけよヘイ! 枕元で出てやるからな!」カチカチ

歩夢「でも続けるんだね……」

愛 「当たり前だい! ここでやめるとか有り得ねーし! アズテックの敵討ちだオラッ!」

歩夢「でも、この後そのジェスターさんも」

愛 「それ以上言ったら化けて出るだけじゃ済まさんからなヘイ!」

Jester:Adios, amigo...

38名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:39:42 ID:oW3lrayM

───難関校は入ってからが難関


-スクールアイドル同好会 部室-

愛 「…………」カリカリ

璃奈「愛先輩?」

愛 「ん? あ、璃奈。おつかれ」

璃奈「うん」

璃奈「それ、勉強してるの? 部室で……」

愛 「そーだよ?」

愛 「うちのクラス、明後日に英語の小テストがあるんだ」

愛 「しかも論述問題付き。いくつかの課題からランダム出題のね」

愛 「事前通知される分は、今の内に書けるようにしときたいんだよ」

璃奈「そ、そうなんだ……」

愛 「別に気は遣わなくても良いからねー。うるさくしても大丈夫だよ」ヘラヘラ

璃奈「はあ、しないけど」

39名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:40:11 ID:oW3lrayM

愛 「…………」カリカリ

璃奈「…………」

璃奈(先輩が勉強に集中してる所……初めて見た)

愛 「…………」カリカリ

璃奈(こうして見ると……本当に格好良い人だなぁ)ジー

璃奈(普段のアレさえ無ければなー)ジー

璃奈(……考えてみれば、先輩だって、この学園に入学出来た1人なんだ)

璃奈(難関な入学試験に、厳しい人格適性検査。入学してからも続く高難度、高密度の授業内容)

璃奈(毎日の予習復習程度に集中出来ないようじゃ、ここには居ないよね。そもそも)ジー…

愛 「……」カリカリ

愛 「……」

愛 (すっげー見られてんだけど)カリカリ

愛 (アタシ何かしたっけか今日)カリ…カリ…

40名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:41:58 ID:oW3lrayM

───果林「ある日ふと悟るのよ。考えるだけ無駄って」


彼方「おい後輩、何か寄越せ」

愛 「…………」🎧♪

彼方「おーい」

愛 「……♪♪」

彼方「むかっ」

彼方「ヘイ!」バッ

愛 「っどぅおぁあー!?!」ビクゥ!!

彼方「彼方ちゃん先輩のお呼びだぜ?」

愛 「何すんじゃビビるわ! 心臓いま移動したわ何センチか!」

彼方「叩けば直るさ。……んー相変わらずゴキゲンなの聴いてるね」キャプテンデェーップゥー♪

愛 「その通りだよ聴いてたんだよ音楽! アタシが婆さんだったら死んでたからな!」

愛 「返せそれ!」

41名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:42:22 ID:oW3lrayM

愛 「それで何な訳? アタシだって暇じゃないんだけど?」

彼方「いや、思いっきしリラックスしとったやん自分……」

彼方「まあ率直に言うと、何かちょーだいって話なんだけど」

愛 「……何かとは?」

彼方「お菓子だよ、お菓子。キミいつも持ってんだろ、何かしら」

愛 「アタシがデップーだったら、何も言わず頭ブチ抜いてる所だね」

彼方「悪いが、彼方ちゃんアニメとか見ないのよん」

愛 「洋画だっつの。はあ……ならボンタン飴どーぞ(投げやり)」

彼方「それは飽きたー。他に何か無いの?」

愛 「注文多いな。後は黒飴に……あ、きなこ餅と品川巻もありますけど」ゴソゴソ

彼方「相変わらずシブいもんばっか持ってんな君……もう思考は婆さんだろ」

愛 「何だと」

彼方「まあ貰う身で文句は言うめえ。じゃ、きなこ餅ちょーだい」

愛 「はいはい……ったく何様なんだろうね、この先輩は」

彼方「彼方ちゃん様だぜ」モグモグ

彼方「うんめー!」😋

42名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:42:44 ID:oW3lrayM

愛 「アンタ本当に自由だね。悩みとか無いっしょ?」

彼方「1年通して悩み通しさ。彼方ちゃん思慮深い姉だからね」

愛 「どーだかね」

彼方「君に彼方おねーちゃんの苦労は分からんよん。毎日、九州にリモート授業をお届けする大変さはね」

愛 「何だそら」

愛 「…………」

愛 (まったく……あいつが連れて来るからどんな逸材かと思えば、文字通り逸脱したのが来たわ)

愛 (副部長も頭抱えてたし、大体どんな人なのか察しは付いてたけど、こりゃ慣れるのに苦労しそうだね)

愛 (でも来年! 後輩が来るまでの我慢だ! いーっぱい可愛がって癒やされるぞ!)

愛 (アタシは後輩から愛される先輩になるぜ! パパに貰った名前の通りな!)

43名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:43:40 ID:oW3lrayM

───愛先輩の悪い癖


璃奈「いたた……うう」ヨタヨタ

  ヒソヒソ… ネーミテアレ…

      ウワッイタソー… コロンダノカナ…

璃奈「…………」

璃奈(早く行こ)

……………………

……………………


愛 「あれ、璃奈?」

璃奈「あ、愛先輩」ヨタヨタ

愛 「どしたの、何かヨタヨタ歩いて……って」

愛 「!?」

璃奈「あ、ええと」

愛 「璃奈その脚……! 血だらけじゃん?!」

璃奈「あー……」

愛 「ソックスまで破けて……どうしたの転んだの!?」

璃奈「ちょっと来る途中でイロイロ……」

璃奈「もう学校着くし、すぐ保健室行くから」ヨタヨタ

愛 「……」

44名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:44:03 ID:oW3lrayM

愛 「璃奈、ちょっと待って」

璃奈「んっ?」

愛 「背中、乗って」

璃奈「え」

愛 「アタシの背中に乗って。保健室まで連れて行くから」

璃奈「へ……へ?」

愛 「その怪我じゃ、歩くのも億劫でしょ。ほら」シャガミ

璃奈「で、でも……その」

愛 「なに見てんの! 見世物じゃないよ!」

璃奈「!」

通行人A「……」ソソクサ

通行人B「……」メソラシ

璃奈「あ……」

愛 「さ、気にしないで。早く行こ」ニコ

璃奈「…………」

璃奈「ありがと……」

45名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:44:41 ID:oW3lrayM

璃奈(愛先輩、こういう時は本当に格好良い……)

愛 「よっ……おおう、璃奈ってば軽いね」オンブ

愛 「でも、こういう時は、ちゃんと誰かに頼らなきゃ駄目だよ」

愛 「女の怪我は重大な事なんだからね」

璃奈「うん」

愛 「それじゃなくても、アタシらカラダが資本なんだから……」

愛 「じゃ、行くよー」

璃奈「うん……」

璃奈「…………」

璃奈(先輩……)

璃奈(わたし、普段はああ接してるけど……先輩のこと別に……)

愛 「…………」ムズッ

愛 「それに早く消毒しないと、傷にバイ菌が入って……」

璃奈(嫌いなんかじゃ───)

愛 「そのまま化膿する可能性もあるんだからね!」ドヤ

璃奈「…………」

46名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:45:02 ID:oW3lrayM

愛 「…………」

愛 「…………」

愛 「あ、えーと今のはね……」

璃奈「ねえ」

愛 「ひっ」

璃奈「 怪 我 人 」←耳元で低音

愛 「ハイ…スンマセン…」

璃奈「愛先輩のオバカ」

璃奈(やっぱり嫌い)

47名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:45:48 ID:oW3lrayM

───父親は鬼籍に入ってる設定ですが活かされる事は恐らく無い


-巣鴨 宮下家-

ジリリリリン ジリリリリン

ガチャン…

愛「ハイ、宮下で御座います…」

愛「はあ……」

愛「あー、申し訳ありません、母は只今、海外に居りまして……」

愛「言伝でしたら私の方で承りますが……ハイ」ガサガサ

愛「ハイ……あ、少々お待ちください」チキチキ

愛「……ハイ、大丈夫です」

愛「……ハイ、○○高校バレー部、同窓会の××様ですね」メモメモ

愛「再来月の……第一土曜日……ハイ」メモメモ

愛「銀座の○○○にて、16:00……現地集合……ハイ」メモメモ

愛「21:00、現地解散……分かりました」メモメモ

愛「ハイ、確かに承りました。必ず伝えますので……」

愛「え、私ですか? ああ、申し遅れました、わたし娘の愛と申します……ええ」

愛「え、そうですか?」

愛「あはは……いえいえ、そんなことは……」テレテレ

愛「あはは……はい、はい……では、失礼しまーす」

愛「はい……はい」

ガチャン……

愛「フヒー」

48名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:46:12 ID:oW3lrayM

愛「あ、もしもし璃奈? ゴメンね待たせて」スマホ

愛「いやー何か知らないけどさ、ママの高校時代の同級生みたい」

愛「うん、同窓会のお誘いだって……あ、聞こえてたの?」

愛「アッハハ、アタシのママ、今ヨーロッパに居るし、行けるか分かんないのにさ♪」

愛「てゆーか、ママがバレー部に居たことすら初耳だよアタシ」ケラケラ

愛「…………」

愛「璃奈? どしたん?」

愛「ん……え、ここに? いやアタシ以外居ないよ? 飼猫なら居るけど。ハーイ半蔵」

猫「ニャー」

愛「おばーちゃんは買い物に行ってるし……うん、アタシだけ」

愛「アッハハ、急にどーしたん? 変な璃奈だなあ」ヘラヘラ

愛「……」

愛「え、ちょ待ってよ。マジでアタシ以外いないよね? 怖くなってきたんだけど」

<ガタッ

愛「のあっひょっわっ!?!」ビクッ

49名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:55:37 ID:oW3lrayM

───愛先輩、渾身の作


璃奈「…………」パクパク

愛 「うーん」

愛 「毎回思うんだけどさー」

璃奈「?」

愛 「いや、璃奈の昼御飯が少なくないかなって」

璃奈「そう?」

愛 「少ないよー……煮豆の缶詰とサンドイッチ2個だけじゃん」

愛 「女子高生の食事じゃないねそりゃ。ガチサバイバル生活でなら豪華かもだけど」

璃奈「んー……実際、毎日これで足りてるし、問題は無いと思うよ」

愛 「…………」

50名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:56:05 ID:oW3lrayM

-次の日-

璃奈「…………」

璃奈「先輩、なにこれ」

愛 「璃奈の弁当だよん」

璃奈「私の……って」

愛 「作ってきた」

璃奈「あ、愛先輩のは?」

愛 「あるよ?」

璃奈「…………」

璃奈「いや、でも悪い……」

愛 「悪くない」

璃奈「え」

璃奈「で、でも」

愛 「いいから」

愛 「食べな」

璃奈「……」

璃奈「……いただきます」

愛 「ハイハイ、召し上がってちょーだい」

愛 「弁当箱は放課後に返してねー」スタスタ

璃奈「あ……」

璃奈「…………」

璃奈(お母さんみたい……)

51名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 04:58:38 ID:oW3lrayM

璃奈(手作り……なんだよね)

璃奈「……」パカ…

璃奈「あ、美味しそ」

璃奈(あれ? 何か紙が入ってる……)

璃奈(…………)



“ 愛さんの愛妻弁当! たんと食べんとー! ”



璃奈「…………」

璃奈「…………」

璃奈「…………」クシャクシャ……ポイ

璃奈「いただきます」

52名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 05:00:27 ID:oW3lrayM

───本国版はやめとけ


璃奈「あれ、愛先輩それって……」

愛 「んー?」ゴクゴク…

愛 「あーその通り。レッドブルだよ」

璃奈「あまり好きじゃなかったんじゃないの、エナドリ」

愛 「いやー最初はそうだったんだけど、アタシ璃奈に影響されたんだね」

愛 「あの後、何だかんだ興味が湧いちゃって、イロイロ調べたんだよグーグル先生で」

愛 「で、そういや知ってたけど飲んだことはないなーって思ってさ」

璃奈「レッドブルってモンスターより人を選ぶ味だと思うけど……」

愛 「まあね、最初は何か薬っぽいなって思ったんだけど、飲んでる内に楽しみ方が分かってきて」

愛 「甘過ぎずビターな感じがアタシ的にヒット賞でさ。何となく見掛けたら買ってる内に、いつの間にかファンに」エヘ

璃奈「……」

愛 「アタシらエナドリコンビだね♪」

璃奈「……糖尿病がどーとか言ってたクセに」ジト

愛 「あっ」

愛 「ご、ゴメンよー……食わず嫌いしちゃったんだよ愛さん。特例で許しとくれー」←

璃奈「一口飲んだし食わず嫌いじゃないじゃん……」プイス

愛 「り、璃奈ー……」

璃奈「ふんだ。本国版モンスター飲んで出直してきて」

53名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 05:19:48 ID:oW3lrayM

───普通の会話


璃奈 「かすみ……何かイライラしてるの?」

かすみ「あ、分かる?」

璃奈 「何か雰囲気がね。歩き方からしてそうだった」

かすみ「りな子アンタ、案外よく人のこと見てるね……」

かすみ「あー実は、朝から嫌なのに遭遇してさあ」

璃奈 「嫌なの?」

かすみ「そ、いわゆる厄介なファン。朝の駅で呼び止め、からのサインだの握手だの、しつこく強請られて」

かすみ「こっちは急いでるってのに、超ウザかったわ……」

璃奈 「うわ、悲惨」

璃奈 「え? ていうか……そもそもウチ、そういうのイベント以外では全部NGって規約にあるよね?」

かすみ「先輩も言ってたよね。そういうのは全部断れって」

かすみ「でも、分かってても来るよ、ああいう人は。欲のためなら規約なんて平気でポイだよ」

璃奈 「……仕方ないとは思うけど、そういう人達もファンに居るって考えると正直イヤだなぁ……」

かすみ「分かる分かる。普段は考えないようにしてるけどね」

かすみ「で、朝テンションもあって余計に頭きてさー……ちょっとキレて、最後は駅員さんの御世話になっちゃった」

かすみ「いま考えると、駅員さんも忙しい時間帯だったのに申し訳ない事したかも」

璃奈 「いやいや、それは流石に仕方ない……かすみ正しい対応したよ」

54名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 05:20:23 ID:oW3lrayM

璃奈 「部長先輩も危険を感じたら迷うなって言ってたじゃん。変な事にならなくて済んだし結果オーライだよ」

かすみ「まあねー。アイドルは楽しいけど、ああいうイラつかせられるのは2度とゴメンだなぁ。こっちも気分沈むし」

かすみ「りな子は何か無い? そういう本気でイラついた事とか」

璃奈 「愛先輩と会ってから、イラついてない日の方が少ないよ」

かすみ「……ふっ、あっははは! りな子も言うじゃん」

璃奈 「……まあ、それは冗談として(あんま冗談でもないけど)、イラつく事なら普通にある」

璃奈 「予想付くよね、わたしの“表情の事”だよ」

かすみ「あっ……」

かすみ「あー、その……それって」

璃奈 「別に気は使わなくていいよ。大丈夫だから」

かすみ「や、やっぱあるんだね、そういうの。昔から?」

璃奈 「割とね。もう最近は、何か言われても何とも思わなくなってきてるくらい」

かすみ「ふーん……」

璃奈 「中でも一番ムカついたのは……やっぱアレかな? 中1くらいの頃に言われたやつ」

璃奈 「虹ヶ咲の中等部って……何て言うか、ちょっと多くて。そういう自分の家柄とか裕福さに酔ってるみたいな人」

かすみ「あっ、何かそれだけで察せる。中学生に全能感を与えるのって絶対に良い事ない」

璃奈 「うん。その手の人達がグループになってね、何か色々と威張り散らしてたりしたの」

璃奈 「で、わたしなんだけど、一時期そのグループから……何か目付けられちゃって」

かすみ「……」

璃奈 「多分、良いターゲットが出来たと思ったんだろうね。毎日のように顔の事で嫌味とか言われてさ」

かすみ「なるほど……厄介な事に巻き込まれたね」

55名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 05:20:44 ID:oW3lrayM

璃奈 「それで、いい加減どうにかしようって思い始めた頃、昼御飯を食べてる時に言われたんだよね」

かすみ「な、なんて?」

璃奈 「何か主犯みたいな人の取り巻き1人から……顔筋も無いのにどうやって食べてるのって」

かすみ「うーわ……」

璃奈 「普通に泣いたよ。そんな事を平気で言える人が居るっていうのがムカつくし悲し過ぎて」

璃奈 「でも問題なのはそこからでさ……」

かすみ「え、もしかして本格的に虐めが始まったりとか」

璃奈 「その逆」

かすみ「?」

璃奈 「そういう嫌な人が多いのは本当なんだけど、まあ腐っても難関の名門校って事なんだろうね」

璃奈 「学校って勉強する場じゃん? そこで虐めなんてものが起こってる事が許せない層っていうのも、一定数いてさ」

かすみ「…………」

璃奈 「イメージつかない?」

かすみ「あんまり……」

璃奈 「まあ簡単に言うと、お前らが気分悪い事してるせいで勉強に集中出来ないだろ! っていう主張の人達」

かすみ「え! そ、そんなの居るの!?」

璃奈 「うん。将来のために命掛けて来てる人達も居るからね、虹ヶ咲」

璃奈 「そういう人達と、わたしに突っ掛かってきてたグループで……何か最終的に、学年全体巻き込んで冷戦みたいな状態になって」

かすみ「えええ!?」

璃奈 「うん、それで真面目に学校生活送らない奴と一緒の授業は嫌だって……信じられる? 集団ボイコット起こったの」

かすみ「ぼいこッ」

56名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 05:30:48 ID:oW3lrayM

かすみ「えマジで!? 中学で!? そんな事あるの!?」

璃奈 「あったんだよ、それが。最終的に都教委まで動いて……わたしが発端みたいなものだし、本当どうしたら良いやらだったよね」

璃奈 「ちょっとだけど、ニュースでも取り上げられてたよ」

かすみ「はー……壮絶じゃん。この平和な学園でそんな事があったとか、想像つかないわ……」

かすみ「で、どうなったの最終的に」

璃奈 「20人かそのくらい厳重注意。4、5人は謹慎。1人は暴力行為と喫煙がバレて退学」

璃奈 「結局そういうのが1ヶ月は続いて、もう気まずいったら無かったよね」

璃奈 「話が逸れたけど、以上わたしのムカついたエピソードでした」

かすみ「何か半分以上、虹ヶ咲の黒歴史って感じだったけど」

璃奈 「まあね。でもまあ今はムカつく事も無く、楽しくやれてるよ。良い感じに」

かすみ「……その楽しいに、愛先輩は入ってる?」

璃奈 「それコメントしなきゃ駄目?」

57名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 06:04:15 ID:ESrnzrwE

───副部長と愛先輩


-スクールアイドル同好会 部室-


果林「はいこれ。急がなくて良いけど、協力よろしくね」ピラリ

愛 「何これ? “ファッションと心境に関するアンケート”……?」

果林「ちょっといま、卒論のデータ用にアンケート取ってるの」

愛 「卒論って……え、卒業論文!? あんのウチ!?」

果林「普通科は無いんじゃなかった? あるのは確かLD科と芸術科だけよ」

愛 「な、なーんだ……一瞬ガチでビビったわ」

果林「ふふ、なかなか苦行よ。大学ほど本格的じゃないけど」😏

愛 「はえー……ただでさえアタシら忙しいのにねぇ」

果林「本当よね。最低でも2万字は書けって。あー気が遠くなるわ……」

愛 「ほほう」

58名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 06:04:43 ID:ESrnzrwE

愛 「ちなみにテーマは?」

果林「主に中高生の期間における服飾嗜好と、社会流行の変化に関する心理的影響および───」

愛 「あ、ゴメン。愛さんついて行けそうにない……」

果林「でしょうね。専門的だもの」フフフ

愛 「にしてもアンケートって、何人くらいに取るん?」

果林「最低でも100人、理想としてはその10倍くらいは取りたいけど無理よね。まあ出来るなら2、300程度には」

愛 「ひゃく! お、多いね……アタシで何人目?」

果林「昨日に始めたばかりだから、あなたで12人目よ……」

愛 「ははは、先の長い道のりだねぇ」

果林「そうね……えっちらおっちらって感じよ」

愛 「……」

愛 「あっそうだ。良かったら、アタシのツテで100人チョイ助けてあげよっか?」

果林「えっ!?」

59名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 06:05:38 ID:ESrnzrwE

果林「ちょ、な」

果林「え、マジ? マジで言ってる?」

愛 「対象者の条件は何かある? ツテって言っても友達から友達に伝っていく感じだから未成年ばっかだけど」

果林「クリティカルよクリティカル! 対象は主に中学〜大学生くらいの男女!」

愛 「良いね」

愛 「なら多分……そうだね、多くなれば200人くらいはイケると思うよ。期待してくれて大丈夫」スマホポチポチ…

果林「え、何ホント? 良いの? そんなの頼んで大丈夫なの?」

愛 「良いの良いの。気の良い連中だし、まあ果林の頼みなら喜んで飛び付くって」ポチポチ…

果林「…………」

愛 「で、今からちょっと呼び掛けてみるけど、どう? やる?」

果林「…………」

果林「あなた、最高よ」

愛 「はいはい。愛さん超サイコー」ポチッ

果林「やっぱり持つものは信頼し合える友達ね!」💪イエスッ!

彼方「呼んだ?」

果林「寝てろ」

60名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 06:07:02 ID:ESrnzrwE

───愛ちゃん歴5年の貫禄


愛 「今度、うちの地元で大きな清掃活動イベントがあるんだけどさー」

愛 「友達を3人以上誘うと、全員に商品券2000円分が貰えるんだよ。23区内で使えるやつ」

璃奈「ふーん」

愛 「菜々とエマっちも来るって言ってたから、よかったら璃奈も一緒に」

璃奈「うん、行くよ」

愛 「なーんでさー」

愛 「…………」

愛 「……ん、あれ?」

璃奈「どしたの、テスト明けの部長先輩みたいな顔して」

愛 「え、来るの? 璃奈?」

璃奈「うん、商品券は欲しいし」

璃奈「……どうかしたの?」

愛 「いや……うん、うん分かった。じゃあチラシあげるね」ピラリ

璃奈「うん」

愛 「それに日時は書いてあるから、巣鴨駅の近くのセブンに集合で……」

璃奈「はいはい」

果林「2人とも、そろそろ練習始めるよ」

璃奈「はーい」

璃奈「行こ、先輩」

愛 「あ、うん……」

愛 「…………」

愛 (無意識に拒否られるの前提で考えてたわアタシ。普通の清掃活動なのに)

愛 (ちょっと考え直した方が良いのかな。自分の振る舞い)

61名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 06:07:23 ID:ESrnzrwE

愛 「───って事があってさ」

歩夢「ふーん、珍しい事もあるんだね」

愛 「……ど、どういう意味で御座いましょう」

歩夢「愛ちゃんが、ちゃんと自分のオバカさを振り返られる人だって分かって嬉しくて」

愛 「うん、あのね」

愛 「愛さんね、歩夢がそうやってアタシにだけ無駄に辛辣なの、マジで辛いんだからね本当」

歩夢「愛ちゃんと長く深い関係やってると大抵こうなるんだよ」

歩夢「この人の事は、あれこれ考えるだけ余計な労力だなって、ある時ふと悟るの」

愛 「泣いていいスか?」

歩夢(遠くから眺めてるだけならカッコいいんだけどね)

歩夢(どうせなら、もっと中身も真面目に振舞うようにすればいいのに。きっと、そうすれば璃奈ちゃん達の対応も変わるよ)

歩夢「まあ何にしろ、そうして気付けたなら救いはあるよ。これからは気を付けるようにしようね」

愛 「むう……」

62名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 06:18:34 ID:ESrnzrwE
また今度ね

63名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 13:42:02 ID:WCXBfAF2
もとのやつ読んだことないけどこっちだけでいい?

64名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 14:28:40 ID:wprXlVds
>>63
大丈夫だけど>>1の通り勝手に組み上げた設定ばかりなんで、呼称違いも駄目な人は控えた方が良いかも

65名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 14:29:52 ID:wprXlVds

───残念ながら恵まれた方ではありませんでした


愛 「そーいや璃奈ってさ、中等部から虹ヶ咲に居たんだよね」

璃奈「……内部進学」

愛 「だよね! 知り合いにも1人いるよ内進生。中等部の制服カワイイよねー」

璃奈「そう?」

愛 「丁度いま中等部の制服あるから、ちょっと着てみて……」ガサゴソ

璃奈「ヴェルデ先輩たすけて!!!」ダッ

愛 「ちょ、冗談だって……てか久々に聞いたわ璃奈の大声」

……………………

……………………

愛 「ところで、中等部で部活は何やってたん璃奈。……ちなみにアタシは中学時代バスケ部♪」

愛 「僭越ながら青春というものに興じておりまして候」ドヤ

璃奈「あ、あっそう……」ヒキ…

愛 「璃奈は? 何部で青春?」

璃奈「別に青春じゃないけど……ユーチュー部ってとこ」

愛 「……」

愛 「何て?」

璃奈「ユーチュー部」

愛 「……」

愛 「You……Tube……?」

66名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 14:30:24 ID:wprXlVds

璃奈「YouTubeは知ってるでしょ流石に」

愛 「それはまあ……」

愛 「字面的に動画作って投稿する感じの?」

璃奈「そう。部活全体でユーチューバーするの」

愛 「へー!」

愛 「そんなんあるんだ!」

璃奈「うん」

璃奈「私の代は映画のレビュー動画とかを投稿してたよ」

愛 「え、なにそれ見たい。それ超見たいんだけど」

愛 「璃奈のレビューもあったんでしょ?」

璃奈「あ、あったけど……卒部したから削除してるよ?」

愛 「…………」

愛 「えー」

璃奈「ろ、露骨に残念そうな顔しないでよ……」

璃奈「それに、残ってたとしても見せないからね」

璃奈「顔は出してないけど恥ずかしいもん」

愛 「なんだよー……見たかったのに」シューン…

璃奈(…………)

璃奈(本当は幽霊部員で、一度も撮ったこと無いんだけどね)

67名無しさん@転載は禁止:2021/06/16(水) 14:30:52 ID:wprXlVds

───おや? 愛先輩の様子が……


-山手線 品川・東京方面行き車内-

───間もなく 新宿 新宿 お出口は……

愛  (が、ガチで眠い……瞼が言うこと聞かない)ウツラウツラ

愛  (周りがおじさんの背中だらけで良い感じに寄り掛かれちゃうし、しかも揺れが揺籠的に……)ガタンガタン

愛  (こ、このままじゃ愛さん立ったまま寝落ちしてしまう……ぐぬぬ)

愛  (この状況じゃスマホ出したら迷惑だし、何か気を紛らわせるもの無いか……)

男子C「子どもっていや知ってるか? 1年生の女子でさぁ」

男子D「1年生女子? あーもしかして情報科の……」

男子C「あ、やっぱ知ってるか」

愛  (ぬ? ……情報科? もしかして虹ヶ咲の男子かな)

男子C「スゲーよなマジで。トラックに轢かれそうになってるトコなんてさぁ……」

男子D「俺ン友達でそこ見た奴居てさ。ガチで漫画のワンシーンみたいだったってよ」

男子D「でも脚が血だらけになってたみたいだけど……」

男子C「血? うわ……女子でそれはキッツいな」

男子C「でも虹学の誇りだわな。人命助けた訳だし、後で表彰とかされるんじゃね」

男子D「な、本当にな。寧ろされて然るべきだと思うけど」

愛  「──────」

愛  「──────」

気を抜けば1秒後には意識を失うかもしれない程キツい睡魔だった

でも、意識を向けられる場所が出来た途端、それは呆気なく吹き飛んだ

68名無しさん@転載は禁止:2021/06/17(木) 01:19:36 ID:9EV17tXc

───翌日


-虹ヶ咲学園 第一教務室-

愛 「はい失礼しまーす」ガラリラ

愛 「数学の小泉先生いらっしゃいますかー?」

先生「いるよー。どうした宮下、珍しいな」

愛 「あ、センセー。おっはよーん」ガサリ

先生「ん、おはよう」

先生「……で、何だ。その袋」

愛 「うん、ちょっと折り入って頼みがあるんだけどさぁ」

先生「お、おう……」

愛 「数学準備室の冷蔵庫、昼休みまでで良いから使わせてくーださい」

先生「冷蔵庫ォ? 何でまた急に」

愛 「んふふ、ちょっとねー」

69名無しさん@転載は禁止:2021/06/17(木) 01:20:18 ID:9EV17tXc

───国交科はレポート課題あり(日本人生徒は全文英語で)


果林「そういえば、そろそろ1年生は修学旅行の時期よね」

璃奈「うん……」

愛 「2年もねー」ヒョコ

果林「いいわねえ2人とも……今年は何処にしたの、旅先」

璃奈「遥が誘ってきて、ホノルルになった」

愛 「遥が?」

璃奈「うん、かすみとしずくも一緒。あと……何か生徒会の人が居た」

愛 「へえ……アタシは去年ロンドンだったから、今年は香港にしたよ」

愛 「美味しい物たーくさん食べるんだー」

果林「あら、偶然ね」

璃奈「何が?」

果林「私1年の時に香港で、2年はホノルルだったのよ」

璃奈「ああ……」

愛 「へーぇ! どっちも経験者だったんだ」

璃奈「銃声とか聞こえたりした? ホノルル」

果林「それはファイブオーの中だけよ……」

果林「でも、美味しいトンカツ屋さんはあったわ」

璃奈「え……ハワイまで行ってトンカツ?」

70名無しさん@転載は禁止:2021/06/17(木) 01:20:56 ID:9EV17tXc

果林「まあ、どっちも良い所よ。期待して損は無いかな」

愛 「おぉー今から楽しみだぜ」

愛 「……ぬふっ、それはそーと璃奈ァ(ねっとり)」

璃奈「(ゾワッ)ちょっと御手洗いに……」

愛 「このパターン前もやったぞー?」ガシッ

璃奈「ふぎっ」

果林(あ、まーたいつものが始まったわ)

愛 「いつの間にか遥とも仲良くなってんじゃーん? 学科も違うのにぃ」

璃奈「だ、だからなに。良いでしょ、わたしが誰と仲良くたって」

愛 「そーなんだけどさあ」

愛 「こうね? 璃奈に友達が出来ていくのは、まあ嬉しいんだけどね? まあ、なんつか……」

璃奈「…………」

愛 「何か寂しいぢゃん♥」クネクネ

璃奈「気持ち悪い」ズバッ

愛 「ぐうぅッ!?」

果林(無様ね)

71名無しさん@転載は禁止:2021/06/17(木) 01:26:11 ID:9EV17tXc

愛 「そ、それでさ、璃奈的には───」

果林「どうせ自分と遥ちゃんどっちが好き、とか言うんでしょ?」

愛 「……ねえ、アタシそんな分かりやすい?」

果林「少しは自分の言動を顧みなさい」

愛 「果林先輩にそれを言われるとは」

果林「何ですって」

璃奈「…………」ジトッ

愛 「あっ」

璃奈「…………」

愛 「…………」

愛 「どっちが好き?」シレッ

璃奈「遥」

愛 「ほげっ」ガーン

果林「見えてる地雷に突き進むのね……」

愛 「さ、寂しくなったら香港まで電話してイイヨー」グイグイ

璃奈「大きな御世話です」グググ…

72名無しさん@転載は禁止:2021/06/17(木) 01:26:42 ID:9EV17tXc

───同好会の健康優良児3人組


-月曜日-

しずく「あ、愛先輩! おはようございます」

愛  「ん? あ、おっはとぅーす」

しずく「はい! こんな所で会うのは珍しいですね」

しずく「……あれ、でも今日は朝練ありませんよね? 先輩も、この時間に登校するんですか?」

愛  「いや、いつもは今より遅いよ……それがさ」

愛  「昨日、都心全域で濃い霧が発生したでしょ?」

しずく「? ですね」

愛  「それの湿気で関節とか内臓が潤ったから、目覚めも動きもスムーズでさ」

愛  「もうギュインギュインって感じ」

しずく「───」

しずく「あ、そうなんですね」ニコッ

愛  「遠慮せずツッコんで良いんだよ」ニヤリ

しずく「そういうノリは誰にでも通じる訳じゃないんです」ニコッッッ

愛  「こわいっス……」

愛  (クソッ! アタシの後輩こんなんばっかだぜ!)

愛  (いや原因ほぼアタシだけども! だけどもだけど!)

73名無しさん@転載は禁止:2021/06/17(木) 01:27:05 ID:9EV17tXc

愛  「そういうシズは、いつもこの時間に来てるん?」

しずく「はい! わたし朝の4時半くらいには起きてますので……」

愛  「え……」

しずく「住んでる所が都心から距離あって……余裕を持って登校したいので、毎日その時間に」

愛  「───」

愛  「ねえシズって……いつも何時に寝てらっしゃるん」

しずく「え? ええと……基本、21時半過ぎるくらいには布団に入っちゃいますね」

愛  「おお」

しずく「それくらいが一番良い眠り方出来るので」

愛  「ひょええ、今時レアリティ高いこと。規則正しさの見本みたい」

しずく「……」ムッ

愛  「?」

しずく「御心配なさらずっ! 自分が古臭い事くらい分かってますよーだ! へっ」😠

愛  「え、な、何でお怒りなさるの……良い事じゃんそれは」

愛  「アタシなんか、いつも11時くらいだもん、寝るの」

しずく「先輩は逆に不健康過ぎます!」

愛  「へっ」😏

74名無しさん@転載は禁止:2021/06/17(木) 01:27:46 ID:9EV17tXc

菜々 「…………」

璃奈 「…………」

愛  「ところで、何でそこの2人そんな微妙な空気してんの?」

しずく「?」

璃奈 「いや……別に」

菜々 「誰か早くツッコんでくれないかなと……」

愛  「???」

しずく「???」

菜々 「天王寺さん見ました? マジなのですか2人は……」

璃奈 「……もうメンドい。わたしから行く」

璃奈 「あのね、2人とも」

愛  「おう?」

璃奈 「今どき高校生にもなって、12時までに布団入ってる方が珍しいよ」

菜々 「その通りです」

愛  「…………」

しずく「…………」

愛  「ええええええええ……? まぁーたまたー(笑)」

しずく「信じられない……璃奈さんが、そんな御冗談を……」

璃奈 「ねえ交代しようよ菜々先輩。無駄に腹立つんだけどこれ」

菜々 「も、もうちょっと頑張ってください……」

75名無しさん@転載は禁止:2021/06/17(木) 01:28:06 ID:9EV17tXc

愛  「え、なに? マジの本気で言ってんの?」

璃奈 「大マジだよ」

璃奈 「知らないけど、昭和の女子高生でも2人よりは遅く寝てたと思う」

愛  「うそお」

しずく「え、じゃ、じゃあ……一体2人は何時に……」

菜々 「普通は明けて半、特に遅い時だと2時近くに」

璃奈 「いつも1時過ぎ、遅くて2時くらい」

愛  「…………」←頭押さえてる

しずく「冗談ですよね……?」

愛  「いや……まあ、それが本当だとしてね? うん」

愛  「2人とも、そんなに遅くまで何してんの一体」

璃奈 「それは言えない」

菜々 「右に同じです」

愛  「何なんだようっ!」

しずく「私たちをからかって楽しいんですか!」

璃奈 「大真面目なんだけど……」

菜々 (世間的に見れば我々の方が不健康なのは間違い無いんですけどね、まあ)

76名無しさん@転載は禁止:2021/06/17(木) 01:28:31 ID:9EV17tXc

……………………

……………………

愛  「歩夢と部長に訊いてみたけど……2人とも12時過ぎだった……」

しずく「彼方先輩に訊いたら1時頃って返ってきた……ショックです……」

菜々 「かすみさんも1時頃ですって!」ドヤッ

璃奈 「果林先輩は早めだけど12時くらいには寝るって言ってる」

璃奈 「ほらね、これで証明された」

璃奈 「高校生にもなって、そんな規則正しい生活してる人は天然記念物なんだよ」

菜々 「そうですそうです!」

愛  「そうかなあ……」

しずく「納得いきません……うぅ」

菜々 「ね! エマ先輩もそう思いますよね!!」

エマ 「?」←8時半就寝

77名無しさん@転載は禁止:2021/06/17(木) 01:28:57 ID:9EV17tXc
今更だけどMate推奨

78名無しさん@転載は禁止:2021/06/18(金) 07:39:26 ID:OI.vAxxA
スレタイどゆこと?

79名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 04:21:02 ID:2KBBvsEU
>>78
最後の方に持ってくるつもりのネタに関することとだけ

80名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 04:21:17 ID:2KBBvsEU

───後日、栗原はるみのレシピ本あげた


愛 「あ」

璃奈「どしたの」

愛 「いやね? アタシ、料理出来るんだよ」

璃奈「……はあ」

璃奈(また何か始まったよ)

愛 「そんでさ、歩夢も菜々も一通り作れはする訳ね、料理」

璃奈「…………」

愛 「見たトコ、シズもかすみも出来そうだし───」

愛 「果林先輩もエマっちも出来る……意外や意外、カナ先輩は料理上手」

愛 「そんで部長も、何ならカナ先輩級に上手いっぽい」

璃奈「……御手洗い行ってくるね」スタスタ

愛 「さっき行ってたっしょー?」ガッシ

璃奈「は、離して痴漢! 良いじゃん別に! 1週間ピザ出前してたって!!」バタバタ

愛 「はっ?」

璃奈「はっ?」

愛 「ちょっと待てコラ思いもしない新情報来たんだけど?!」

璃奈「はっ!」

81名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 04:21:50 ID:2KBBvsEU

愛 「え、なに? 璃奈ん家、御両親が殆ど帰らないのは知ってたけど……」

璃奈「…………」

愛 「まさかガチで毎日ピザーラお届けな訳?」🍕💨

璃奈「ピザハットだし……だって料理なんてワケ分かんないんだもん」🍕🎩

愛 「マージか」

愛 「こないだのアレ(>>22)で何となくそーじゃないかって思ってたけど……」

璃奈「料理なんて出来なくたっていいもん……」

愛 「ふむ……」

愛 「よし、わかった」←矢部警部補のポーズ

璃奈「あ、結構です」

愛 「アタシ教えに行くから璃奈ん家の住所……ちょっと」

愛 「ねえ前から皆に言おうと思ってたんだけど、アタシのセリフ先回りするのやめよ?」

璃奈「やだよ(低音)。愛先輩にプライベート知られるなんて」ジト

愛 「そ、そんなストーカーに向けたみたいな声を……」

愛 「んーじゃあ璃奈がウチに……」

璃奈「わざわざ渋谷を通り越して巣鴨まで来いって?」

愛 「ぐぬぬ」

82訂正:2021/06/22(火) 04:23:49 ID:2KBBvsEU

愛 「え、なに? 璃奈ん家、御両親が殆ど帰らないのは知ってたけど……」

璃奈「…………」

愛 「まさかガチで毎日ピザーラお届けな訳?」🍕💨

璃奈「ピザハットだし……だって料理なんてワケ分かんないんだもん」🍕🎩

愛 「マージか」

愛 「こないだのアレ(>>49)で何となくそーじゃないかって思ってたけど……」

璃奈「料理なんて出来なくたっていいもん……」

愛 「ふむ……」

愛 「よし、わかった」←矢部警部補のポーズ

璃奈「あ、結構です」

愛 「アタシ教えに行くから璃奈ん家の住所……ちょっと」

愛 「ねえ前から皆に言おうと思ってたんだけど、アタシのセリフ先回りするのやめよ?」

璃奈「やだよ(低音)。愛先輩にプライベート知られるなんて」ジト

愛 「そ、そんなストーカーに向けたみたいな声を……」

愛 「んーじゃあ璃奈がウチに……」

璃奈「わざわざ渋谷を通り越して巣鴨まで来いって?」

愛 「ぐぬぬ」

83名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 04:26:53 ID:2KBBvsEU

───わたしは知ってる


男子A「うちの女子って、マジでレベル高いの多いよなぁ」

男子B「まあな。それに性格も良い人ばっかりだし……」

男子A「そこはまあ、あの人格適性検査の結果だからな」

男子A「俺達も一応、そこパスしてきた人間だぜ?」

男子B「はは、まあそうなんだけど」

男子A「俺が知ってるのだと……2年の宮下先輩なんか最高だな」

男子B「あー俺も知ってる。あんな外見でスッゲぇ優しくて、友達も多いらしいな」

璃奈 「…………」

男子A「良いよなーギャップあるってのは。まず人として憧れるわー」

男子B「人から聞いた話だけど、何か女子人気もエグいらしい。あの人」

男子A「あー解るかも、それ。男から見てもカッコいいもんな、シッカリしてるし」

男子A「俺も、もーちょいイケメンに生まれてたらなぁ……あんな人と飯食いに行きてぇわ」

男子B「な。でも宮下先輩も良いけど、俺は3年の───」

璃奈 「…………」

84名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 04:27:21 ID:2KBBvsEU

……………………

……………………

璃奈「こんにちはー」ガラリラ

璃奈「……って」

愛 「ゲッホゴホ、うおぇ……」🌈

璃奈「ちょ、何してんの先輩」

菜々「あ、天王寺さん」

璃奈「菜々先輩……なにこれ。何があったの」

菜々「わ、分かんないんです。ジュース飲んだと思ったら急に……」

璃奈「……」チラリ

コーラの缶「どーも」

璃奈「それってまさか……」

愛 「ちょっと前……メントス食べ、たの……忘れてた」

愛 「げほっ、えぼふっ」オエー

璃奈「やっぱり……愛先輩のオバカ」

菜々「え、え、どういう事ですか?」

璃奈「これはメントスガイザーって言ってね……」

愛 「説明は、いい、から……みず」ゲホッ

……………………

……………………

85名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 04:30:20 ID:2KBBvsEU

璃奈 「…………」ピクッ

璃奈 「…………」

男子A「?……な、なあオイ」

男子B「どした?」

男子A「何か……天王寺さん笑ってないか?」

男子B「は? 天王寺さんが?」

男子B「…………」チラッ

璃奈 「…………」

男子B「そうか? 別にいつも通り無表情だけど」

男子A「あれー……? 確かに笑ってたと思ったんだけどな」

男子B「気のせいだろ、きっと。あんま触れてやるなよ、気にしてるみたいなんだから」

男子A「わ、分かってるよ。んー……でもなぁ」

男子B「まあ良いじゃん。それより、朝香先輩と近江先輩が昨日さ……」

86名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 04:32:00 ID:2KBBvsEU

───初期の彼女はウィスパーボイス


-スクールアイドル同好会 部室-

愛 「こーんちはー! 歩夢もう来て……」

愛 「る……」

璃奈「?」

果林「あら、愛じゃない」

果林「あっそうそう、グッドニュースよ。ついさっき、部長君が1年生の子をスカウトしてきたの」

果林「こちら、情報科の璃奈ちゃん。割と入部に乗り気な感じよ」

璃奈「えと……こんにちは」ポソポソ

璃奈「1年の……てんのうじ、です」ポソポソ

果林「見て、可愛いわよね。まだ正式に入るかは分からないけど───」

愛 「…………」

愛 「…………」カタカタ

果林「……愛? どうかした?」

璃奈「?」オドオド

愛 「…………」カタカタカタカタ



愛 「 こ れ ア タ シ の ー ー ー ッ ! ! 」

 ガ バ ァ ッ !



璃奈「─────────」

果林「ちょ」

87名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 04:33:00 ID:2KBBvsEU
.



───キャアアアアアアアアアアアアアアアアアァ?!?!



.

88名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 04:34:28 ID:2KBBvsEU
愛 「ごめん、マジごめんて」ヒリヒリ…

璃奈「…………」←果林の背後に隠れてる

果林「あなた……どういうつもりよ。まして初対面の子に」

愛 「あんまり可愛くて……その、美味しそうだったもんで……」

璃奈「!?」ササッ

果林「愛!」

愛 「いや、ホントホント! 美味しそうは流石に冗談だけど、マジ反射的なの……」

愛 「こうね? 守ってあげたいなーと! そう背筋にビビッときてさ! 気付いたら身体が勝手に……ね?」

果林「ね、じゃないわよ。……アンタとは1年やってきたけど、付き合い方を改めるべきかしら」

愛 「ちょ! 悪気は無いんだって! ゴメンね? えーと、てんのうじ? さん?」

璃奈「……」[果林] _・`)チラッ

璃奈「てんのうじ……りな、です……」

愛 「リナね、おっけ。アタシ宮下愛、さっきは脅かして本当に……」

璃奈「へんなこと……しない?」ポソポソ

愛 (かっわ)

果林「愛!!」グアッ

愛 「まだアクションすら取ってないんだけど!?」

89名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 04:36:18 ID:2KBBvsEU

愛 「うーん……よし、もう決めた! 即決で決めた!」

果林「……一応、訊いておくわ。なにを?」ゴゴゴ

愛 「ごめん副部長、ちょっと声と顔と身長が怖いんだけど」

果林「身長は関係無いわよ。暫く私からアンタへの信頼は地の底だから、そのつもりで」

愛 「厳し過ぎる……」

愛 「と、とりあえず、決めたってのはね……璃奈のこと」

璃奈「ふぇ」ビクッ

愛 「そ、そんな怖がんないで……単に、アタシが璃奈の1番のファンになるって事だから」

璃奈「へ?」

愛 「璃奈の良さに最初に気付いたって事と、あと1番に熱心なファンって2つの意味でね」

愛 「そういう事だから! それに部員同士って意味でも、これからヨロシクね!」

璃奈「…………」

璃奈「よろしく……おねがいします」ポソポソ

愛 「おう!」

果林「……まあ、良しとするわ」

果林「でも言っとくけど、最初に璃奈ちゃんの良さに気付いたのは部長君よ」

愛 「……」ガクッ

果林「ちなみに2番目は部長君と一緒だった歩夢。私が3番目」

果林「あなた4番目よ」

愛 「う、うっせーやい! 話の腰を折るなし!」

璃奈(へんなひと……)

90名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 04:36:53 ID:2KBBvsEU

───そんなの憶えてなかったんだもん(璃奈談)


-豊島区巣鴨 和菓子屋美舟庵-

愛 「こんちはー! いつもの豆大福と月餅……を」

遥 「いらっしゃいま───」

遥 「…………」

愛 「…………」

愛 「んん、遥?」

遥 「え……あれ、愛先輩だ」

愛 「ん、んー? ここ美舟庵で合ってる? よね?」

遥 「ですけど……愛先輩もしかして、御実家は巣鴨に?」

愛 「う、うん。てか、何で遥がココに」

栞子「近江さん? お客さん来たの?」ガタ

栞子「って、ああ、愛さんですか。いらっしゃい」

愛 「栞子ちゃん……」

遥 「え、え? お2人お知り合い?」

愛 「え?」

栞子「え?」

遥 「え?」

愛 「…………」

愛 「……うん」

愛 「状況整理、開始!」✋

……………………

……………………

91名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 04:41:22 ID:2KBBvsEU

愛 「栞子ちゃんがウチの内部進学生で生徒会にいるのは知ってたけど……」

愛 「まさか遥まで生徒会に居たなんて知らなかったわー。彼方先輩ってば何も言わないんだもん」

栞子「ね、こんな所で繋がってるなんて思わなかった」

愛 「遥は今日どうして?」

遥 「あー、恥ずかしい話なんですけど、私ちょっと成績に不安があって」

栞子「“ちょっと”?」

遥 「あはは……それで、今日は昼前から明日の朝まで、ここで三船さんと勉強する事に」

愛 「明日の朝!? え、徹夜すんの!?」

栞子「徹夜は近江さんが言い出したの。私は反対したんだけど、聞かなくて」

愛 「大丈夫なんそれ……やる気あるのは良いけど、身体に悪くない?」

遥 「大丈夫ですよ! 徹夜は流石に今回だけのつもりです!」

遥 「それに、友達の家に来て勉強するのって何か楽しいですもん。きっと寝ようとしても眠れませんから」

栞子「……そう浮かれ気分じゃ勉強しても頭に入らないでしょ」

遥 「そ、そんな事ないよお。明日には一気に優等生だよ、わたし!」

愛 「まあ、本気でやるなら、後で少し昼寝でもしといた方が良いかもね」

92名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 04:42:53 ID:2KBBvsEU

愛 「で、いまは何してんの? 遥が店番してたけど」

栞子「いまは、お昼御飯が食べ終わったから少し休憩中」

遥 「三船さんのおじいさんが店の奥に居るんですけど、何か忙しいみたいで……」

遥 「折角だから、勉強見てくれる御礼で私が店番しよっかなーって!」

栞子「ほとんど立ってるだけだから私はいいって言ったんだけど」

愛 「へー感心だね」

愛 (何か理由つけて休憩にしたかったんだろうなあ)

栞子「愛さんは? 部活の帰り?」

愛 「今日は休み。実は一昨日、長野の親戚から桃が送られてきてさ」

栞子「桃?」

愛 「そーそー。で渋谷に住んでる別の親戚と、あと知り合いの所にお裾分けして……そんで帰ってきたとこ」

愛 「おばーちゃんも朝から人使いが荒いよね」

遥 「え、朝から渋谷に行って今まで……? 長くないですか?」

愛 「ちょっと、いろいろ手間取ってさ。思ってたより掛かっちゃった」

遥 「……?」

93名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 06:11:00 ID:EeysCLwI
栞子「まあいいじゃない。豆大福と月餅だよね、ちょっと待ってて♪」

栞子「ええと、何個ずつ?」

愛 「あー……いつもと同じ分と、あと月餅の方は余分に2個ちょうだい。あと供え物用の落雁も貰える?」

栞子「はーい(高音)。……近江さん、その棚にある“落雁”って書かれた箱1つ取って(低音)」

遥 「あ、うん……」ゴトゴト

遥 「らくがん……コレだよね。はい」

栞子「ありがと(低音)。じゃあ愛さん御会計しちゃうね(高音)?」

愛 「はいよー」

……………………

……………………

栞子「はいっ! 50円お釣りね(高音)」

愛 「はい、ありがとー」

遥 「……うーん」ジロジロ

栞子「……近江さん、さっきからどうしたの? ジロジロ見て」

遥 「え、あ、ごめん……」

遥 「いや気のせいかもしれないけど何か……三船さん声が」

栞子「は?」

遥 「その……話す時ね、私と愛先輩とで声の感じが違うなあ、って思って」

愛 「あ、それアタシも思ったわ」

遥 「ですよね!」

栞子「…………」

栞子「何の事か全然……」

遥 「Oh, 無自覚!」

愛 「ははは」

栞子「?」

94名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 06:11:34 ID:EeysCLwI

愛 「アタシと話す時と、遥と話す時とで、栞子ちゃんの声の高さが微妙に違うって話だよね」

遥 「そうです! そうなんですよ!」

遥 「愛先輩と話す時、三船さん何か優しそうな話し方だよ! わたしと話す時つっけんどんな感じなのに!」

遥 「何でなの三船さん!」

栞子「……」

栞子「ああ……そういう。やっと分かった」

栞子「別に、近江さんを軽んじてるつもりはないの。単に付き合いの長さの差が表れただけでしょ」

遥 「えー! なにそれぇ!?」

栞子「うるさいんだけど……」

愛 (何か、普段の果林先輩とカナ先輩のノリに似てる気がするなぁ)

愛 (……何だろ、この違和感)

遥 「ぬぎぎ……何か悔しいぞ。わたし三船さんの一番の友達のつもりだったのに」

愛 「あっはは、まあ栞子ちゃんと遥も、暫く付き合ってれば自然と柔らかい感じになれるよ」

遥 「で、ですよね! きっと三船さん、わたしにも柔らかくなってくれますよね!」

栞子「そのためにも早く成績で私を安心させて。虹学の生徒会が、その辺り厳しいの知ってるでしょ」

遥 「くぅーん……」🐶

愛 「大丈夫だって。栞子ちゃん案外、人見知りが長いタイプだからね。時間が解決してくれるよ」

栞子「人見知りなんかしてない!」

95名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 06:12:46 ID:EeysCLwI

愛 「で、そもそも2人が知り合ったのって?」

遥 「三船さんと初めて会ったのは入会面接の時ですね」

愛 「あ、そっか。うちの生徒会、面接に通らないと入れないんだっけ」

栞子「はい。でも本当、何であの体たらくで2人とも受かったのか不思議で不思議で……」

愛 「え、どゆこと?」

遥 「入会希望者同士でグループディスカッションもするんですけど、その時にちょっと」

栞子「近江さん、最初から最後までトンチンカンな事ばっかり言ってて、私ずっとフォローに回る羽目になって」

遥 「だ、だってー……わたしサンドイッチの話だとばかり……」

愛 「サンドイッチ????」

栞子「それは“BLT”でしょ!! “LGBT”も知らなくて、よく虹学に受かったわね本当!」

愛 「……遥ぁ、もしかして入学試験から燃え尽きてない?」

遥 「そ、そんな事ないですぅー!」

栞子「それだけじゃない! 活動始めてからも、あなたパソコンすら碌に使えなくて、結局は私が教える事になって!」

遥 「す、スマホで事足りてたんだもーん!」

愛 「大丈夫かよ遥ぁ? これはカナ先輩に報告案件かな」

遥 「やめてくださーい!」

96名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 06:13:49 ID:EeysCLwI

愛 「はは、何か2人の新しい一面がザクザク出てくるなぁ」

愛 「でもアタシ的には、遥ちゃんが採用された理由も分からなくないけどね」

栞子「何でですか……」

愛 「組織には必要なんだよ。そういう、ムードメーカーっていうか……空気を堅くなり過ぎないように出来る人が」

遥 「そ、そうだよ三船さん! わたし生徒会に欠かせない要素なんだからね!」

栞子「そのムードメーカーさんは、エクセルのショートカット一覧そろそろ覚えられた?」

遥 「ぱ、パソコンの話はヒキョーだぞ!」

愛 「あははっ! まあ何にせよ、あの栞子ちゃんにも良い友達が出来て嬉しいよ愛さん……」

栞子「“あの”って……」

愛 「よっしゃ、そんなの見せられたら、これをあげない訳にいかない!」ガサッ

愛 「頑張る2人に翼を授ける!」🐥

遥 「へ?」

97名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 06:14:53 ID:EeysCLwI

遥 「な、何ですかこの袋」

愛 「差し入れ! 本当は自分用に買った物だけど、特別に2人にあげちゃうぜ!」

栞子「あー……」

遥 「え!? い、いいですよぉ! 先輩にそんな……」

栞子「近江さん、気にしないで。ありがたく貰っておきましょ」

遥 「ほえ?」

栞子「愛さん、昔からそう。……何かあると、すぐ食べ物とか渡してくる癖があるの。親戚のおじさんみたいでしょ」

遥 「へ、へえ……」

愛 「ひでぇ言われようだな。まあそーゆーことだから、遠慮せず受け取りなはれ」

愛 「はいどーぞ! エナドリと、少ないけどお菓子が入ってるよ! 駅前のセブンで帰りに買ってきたんだ!」

遥 「じゃ、じゃあ甘えさせてもらって」

愛 「おう! あ、見てみ? 偶然だけど栞子ちゃんの大好きなやつ入ってるよ!」

栞子「えっ�� なになに?」ガサガサ

遥 (いまの三船さん、生徒会の皆に見せてみたい……)

愛 「あ、レッドブル3本入ってるから1本返してね。2人で1本ずつ飲んで」

栞子「うん」ガサガサ

栞子「それで他には……」

栞子「え」

遥 「何なの? 三船さんの好きなの、って」

遥 「え」

98名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 06:20:44 ID:4lkEG.iQ
遥 「こ、これは……」

栞子「あ……あ」


https://i.imgur.com/hUk3WRd.jpg


遥 (〇ン〇ン〇ンの……ペロペロチョコ……)

愛 「どやっ」

栞子「な……なぁ……」アワアワ

愛 「いやあ、たまたまコンビニで見掛けて、つい懐かしくなっちゃってさあ」

愛 「栞子ちゃん、前それあげたら凄い喜んでたし、好きだよね!」

栞子「……は、はい」ヒキツリ

栞子(それ年長の頃の話ィイイイ!!)

愛 「うん! 何本かあるから、良ければ遥も食べてねー」

遥 「は、はーい……」←苦笑い

遥 (どう反応すれば模範解答なのこれ)

愛 「あっと、そろそろ時間かな……」

愛 「じゃ、また学園でね。ティ・アーモ♪」

……………………

……………………

99名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 06:21:23 ID:4lkEG.iQ

遥 「ありがとうございましたー」

遥 「えーっと」チラッ

栞子「……」

遥 「その、何て言えば良いか……愛先輩ってスゴい人だよね、いろんな意味で」

栞子「……うん」💀

遥 「…………」

遥 「にしても……三船さん、これ好きだったんだ。意外かも」

栞子「い、いいでしょ! それ5歳の頃の話だもん!!」カァァ

遥 「悪いなんて言ってないよお。三船さんの新しい一面じゃん、良いと思うよ」

栞子「もおおおぉ恥ずかしいぃぃ! 何であんな、おばあちゃんみたいな事するのっ! 愛さんのバカ!」

遥 「三船さん可愛いよー」

栞子「可愛くないっ!」

遥 「あははっ、可愛い可愛い」

栞子「ああいう唐突に変なことするの昔から変わらないんだからっ! ほんと勘弁してほしいんだけどっ!」

遥 (ふふ……そう言ってても、何か嬉しそうなのは気のせいかな)

遥 (にしても三船さん、学校でもそんな感じでいればいいのに。きっと今の比じゃないくらいモテ始めるよ)

遥 「あ、美味しい……」ペロペロ

栞子「もうっ!」

100名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 06:22:11 ID:4lkEG.iQ

愛 (ふっふーん♪ 今日は気分良いぜ)

愛 (にしても意外な組み合わせがあるもんだ。彼方先輩、遥の事ちょっと心配してたけど上手くやれてるじゃん。良かった良かった)

愛 (いやあ、それにしても璃奈ん家はデカかったなー)

愛 (近所の人に訊いて回って、見つけるの随分掛かったけど……へへっ! 璃奈、喜んでくれてるかな)

愛 (さーて、帰ってゲームしよ。昨日は少佐が死んじゃってヘコんだけど……今日こそ全クリアするぞー!)

愛 (……)

愛 (分かった、さっきの違和感の正体。デジャブだ)

果林先輩とカナ先輩

栞子ちゃんと遥

歩夢とアタシ───

愛 (似てるんだわ。この3組の関係性)





.

101名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 06:24:06 ID:4lkEG.iQ

プルルルルルル……ガチャ

部長「はい制作部……あ、天王寺さん? 珍しいじゃん、この番号に」

部長「え? ……うん、どした?」

部長「……は? 帰ってきたら玄関に……変な袋?」

部長「ちょ、ちょっと待って」ガタッ…ゴソゴソ…

部長「はい、いいよ。うん……宛名は無し……“1番のファン”とだけ(……ええ、ヤバ)……うん」メモメモ

部長「宅配便の伝票も無く、ドアの前に……筆跡は男か女か分かり辛い……うん」メモメモ

部長「見るからに怪しいな……ちなみにだけど、同好会で天王寺さんの住所を知ってるのは……」

部長「あ、今んとこ誰にも教えた憶え無い……? そう、か」

部長「……」

部長(自宅が特定されてる……? 考え過ぎて悪い事は無い、よな)

部長「とりあえず、一応これから部員に確認するから。絶対に触らないで、そこに放置ね」

部長「うん、大丈夫。怖いと思うけど、危ない目には遭わせないから安心して」

部長「じゃあ、暫く家の中で動かないでね。もし何かあったら躊躇わず通報して。また後で掛ける」

ガチャン……





───このあと愛先輩は、事情を知った歩夢先輩から絞られた

102名無しさん@転載は禁止:2021/06/22(火) 06:28:01 ID:4lkEG.iQ
また今度ね

103名無しさん@転載は禁止:2021/08/20(金) 23:17:18 ID:r.At8cz6

───当作に百合はありません


歩夢「愛ちゃんが本気で怒ったこと?」

歩夢「あー……そういえば無いなあ全然」

歩夢「まあ、わたしが憶えてる限り、1度だけあるにはあるんだけどね」

菜々「え、たった1度だけですか?」

歩夢「うん、性格通りというか、怒ったり人と喧嘩したりするの苦手みたいで」

菜々「性格通り……?」

歩夢「普段ああだけど、繊細な所もあるんだよ」

菜々「……こないだ、教室に出たカナブン素手で外に放り投げてましたよ?」

歩夢「“たまには”繊細な所もあるんだよ」😅

菜々「愛さんって中学時代からああいう……その、豪快というか、空気読めないというか、みたいな感じだったんですか?」

歩夢「そうだね。わたしも中学より前の愛ちゃんは知らないけど、まあノリで生きてるのはその時からそうだったよ」

歩夢「……あーでもまあ、前の方が、ある種の落ち着きはあった方だと思うけどなあ」

菜々「そうなんですか? こ、高校に上がって悪化してると」

歩夢「思春期補正(?)じゃないかな」

.

104名無しさん@転載は禁止:2021/08/20(金) 23:19:21 ID:r.At8cz6

歩夢「昔と変わったのは、愛ちゃんより寧ろわたしの方なんだよね」

菜々「歩夢さんが?」

菜々「あれ、そういえばなんですけど、歩夢さんって中学の頃は何部に入ってたんですか?」

歩夢「わたし? あー……わたしはね」

菜々「部長さんは確かダンス部で……愛さんはバスケ部でしたっけ? 歩夢さんだけ聞いてなかったですね」

歩夢「……わたしね。それが……書類上は料理部にいたんだけど」

菜々「おお料理部! 良いですね、イメージぴったりですよ。お似合いじゃないですか」

歩夢「ありがと。でも、ぶっちゃけ殆ど幽霊部員みたいなものでさ」

菜々「えっ? ゆ、ゆーれい……何ですか?」👀❓

歩夢「籍だけ置いてて、普段は活動に来ない人の事をそう言うの」

菜々「そ、それって要するに……」

菜々「うん。驚くかもしれないけど、わたし3年間で部活動に参加した事なんて、片手の指で数えられるくらいしか無いんだ」

菜々「───ええっ!? まさかの歩夢さん不良路線ですか!?」

歩夢「ち、違う違う。まあ先生達からしたら不良に見られてたかもしれないけど……」

菜々「いや驚きました。どうしてそんな……」

歩夢「実は、ね、わたし……簡単に言うなら対人恐怖症みたいな感じで」

菜々「は?」

歩夢「昔は本当に人と話せなかったんだ。家族とか昔から知ってる人以外だと、同性とも」

菜々「えええ!? 嘘ですよ!」

.

105名無しさん@転載は禁止:2021/08/20(金) 23:19:54 ID:r.At8cz6

.


先生「じゃあ、次の段落を始めから“兵十がひとりごとをいいました”の所まで……」

先生「あー、上原」

歩夢(片目隠れ)「!!」ビクッ

先生「どうだ、読んでみるか?」

歩夢「あ、え、そ……えと」

部長「歩夢、無理そう?」ヒソヒソ

歩夢「! う、……が、ん、ばる……って、みる」ヒソヒソ

歩夢「大丈夫です……よみ、ます」ガタリ

先生「! そうか!」

  ざわ… ざわ…

    ざわ… ざわ…

先生「静かに! じゃあ上原、落ち着いて読んでくれ」

先生「もし駄目そうなら、無理する事はないからな」

歩夢「はい……」


.

106名無しさん@転載は禁止:2021/08/20(金) 23:20:42 ID:r.At8cz6

.


女子「上原さ───」

歩夢(片目隠れ)「ッアい!? あ、」ビクビクッ

女子「……大丈夫?」

歩夢「あ、ふぇ……は、い」

女子「…………」

女子「えーと、ね。今度、インフルの予防接種あるじゃん? その問診票なんだけど」

女子「上原さん、まだ提出してないでしょ?」

歩夢「あえ」

歩夢「あっ、……あ、うあああ!?」ガタッ

女子「待った落ち着いて別に怒ってるワケじゃないから」

歩夢「ごっ、ご、ごめ、なさ」オロオロオロオロ

女子「大丈夫だから! あーも……新しい用紙もあるから! 明後日までに書けば大丈夫なの!」

歩夢「あ、あえあ……ちが、あわあ……ご、ごめんなさい違うんですごめんなさい───」

女子「あーもー……ごめん五十嵐ちょっと来て!」


.

107名無しさん@転載は禁止:2021/08/20(金) 23:22:20 ID:r.At8cz6

菜々「いや誰ですか今の」👆😓

歩夢「わたしわたし」👈😁

歩夢「ちなみに確か小4くらいの頃ね。教科書の時は、最後まで噛まずに読めて、拍手起こったよ」

菜々「そっ、え、嘘でしょ!? そんな高レベルな対人恐怖症ですか!?」

歩夢「ふっふ、ビックリするでしょ」

菜々「何でちょっと誇らしそうなんですか……」

歩夢「幸い、理解ある人も沢山いたから、嫌な事されたりはなかったけど、本当に仲の良い友達は殆ど出来なかったなぁ」

歩夢「流石に中学上がる頃には大分マシになったんだけどね。それでも先輩後輩の関係は荷が重くて……」

菜々「な、なるほど……で、良いんですかね? まあ中学の上下関係がキツいのは分かりますが」

歩夢「だから、出来れば帰宅部になりたかったんだけど、校則で部活は何かしら入らないといけないから───」

歩夢「うん、とりあえずで入部届を書いただけっていうか……えへへ」

菜々「可愛く言ってますけど何か不良の気配を感じますよ!」

歩夢「違うもんわたし不良じゃないもん……成績は良い方だったもん」

菜々「えええー、でも意外ですね。歩夢さんの新しいキャラ発掘しちゃいました」

歩夢「黒歴史ですー」

菜々「あ、そうだ。歩夢さんが良いなら、今度の生放送でカミングアウトするのどうです? ファン増えるんじゃないですかね!」

歩夢「あざと過ぎてウケないよ、きっと……」

菜々「そうですか?」

歩夢「そうだよ……」

.

108名無しさん@転載は禁止:2021/08/20(金) 23:23:10 ID:r.At8cz6

歩夢「で、中学に上がって、最初の頃の璃奈ちゃんくらいまで改善したんだけど」

菜々「それ大幅改善じゃないですか」

歩夢「成長だよ成長。ココロもカラダも健やかに」😏

歩夢「愛ちゃんと仲良くなったのは丁度その頃だったね」

菜々「ここで愛さんですか……」

歩夢「うん」

歩夢「わたし達の通ってた私立中学なんだけどね、評判は都内でも良い方なんだけど……わたし達が入った年は、そういう、ちょっと嫌な人達のグループが一緒に入ってきてて」

菜々「…………」

歩夢「その人達、よりによってわたし達のクラスにいてね……」

歩夢「“わたしは幸い大丈夫だったんだけど”、そういう気弱な人とかを脅したり意地悪したりしてたの」

菜々「! ……虐め、ですか」

歩夢「うん、簡単に言えばね。菜々ちゃんごめん、これあんまり人に言わないでくれると嬉しいかも」

菜々「い、言いませんよ絶対! 約束です!」

歩夢「ふふ、ありがとっ。……だからね、入学してから暫く空気の悪い時間が続いたんだ」

歩夢「そんな時に、同じクラスにいた愛ちゃんが……ふふ、あの時の愛ちゃん、本当にカッコ良かったなぁ」

菜々「本気で怒った、と」

歩夢「そういう事」

.

109名無しさん@転載は禁止:2021/08/20(金) 23:24:05 ID:r.At8cz6
歩夢「愛ちゃん、その虐めの主犯の人達とも仲良い方だったんだけど……」

歩夢「だからこそね、自分と交流ある人達が、そういうヒドい事をしてるのが、悲しくて、許せなかったんだと思う」

菜々「……それで、どうなったんです? クラスは」

歩夢「もう最悪。それまでクラスの中心に近かったのに、今度は愛ちゃんが仲間外れみたいになるし、クラス内の会話も激減するし」

菜々「学級崩壊って感じですか……」

歩夢「そこまでじゃなかったけど、まあ崩壊始まりくらいには」

歩夢「それでも愛ちゃんのおかげで、クラスの実態とかが先生達にも知れ渡って、とりあえず虐め自体は治まったけど……」

歩夢「その1年間は、もう最高に空気悪かったよね。先生も、わたし達を腫れ物みたいに扱ってた」

菜々「そう、ですか……それで、お2人はそこから、どうやって愛さんと?」

歩夢「ふふん……実はね、孤立し掛けてた愛ちゃんに、わたしの方から話し掛けたんだ」

菜々「!?」

菜々「えっ、あ、歩夢さんの方から!?」

歩夢「正確には、わたしが言い出して、それに賛成してくれた彼と一緒に、だけどね」

菜々「いや、いやいや! それでも凄いんじゃないですか!? 大成長ですよ歩夢さん!」

歩夢「えへ、彼にも驚かれちゃった。話し掛けてみようよって言ったら、目まん丸にしてたなぁ」

菜々「いやあ、それはそうなりますよ……だって小学生の頃と比べたら……」

歩夢「まーね」ドヤッ

.

110名無しさん@転載は禁止:2021/08/20(金) 23:25:13 ID:r.At8cz6

歩夢「仲間外れにされてから、ちょっとだけ愛ちゃんも腐り掛けてる感じだったんだけど、わたし達と話し始めてから暫くしたら、またいつもの調子を取り戻せてたみたいだった」

菜々「歩夢さんのおかげ、という事ですね」

歩夢「そんなそんな」😳

歩夢「わたし最初、愛ちゃんを見てね、本当にビックリしたんだ。いまの世の中に、こんな人前で堂々と物を言える子が居たんだなって」

歩夢「わたしみたいに会話にも苦労する人がいる中で、あんな立派な事が出来る人もいる。それが……何か悔しい気がして」

菜々「そこで尻込みしない所、歩夢さんの良い所だと思いますよ」

歩夢「あはは……そう考えてたら、何となくわたしも、愛ちゃんみたいな人に近付いてみたいなって自然と思えたの」

菜々「良い話ですね……」

歩夢「まあ実際に付き合ってみたら、知っての通り大概オバカだったんだけどね」

菜々「ま、まあまあ、この際それは置いておきましょう」😅

菜々「愛さん、確かに変な部分もありますけど……そういう熱い所は変わってないんですね」

歩夢「……うん。あの時の愛ちゃん、本当にカッコ良かった」

歩夢「もし男の子だったら……ちょっと良いかもって思っちゃうくらい」

菜々「ええー(笑) それ部長さんが聞いたら泣いちゃいますよ……」

歩夢「大丈夫だよ(笑) 彼、案外そういうの気にしないから」

歩夢「わたし最初、愛ちゃんの事は、誰にでも馴れ馴れしい人くらいにしか思ってなかったけど、付き合ってみると、人として大切な事っていうのかな。そういうのを、よく知ってる印象が出てくるの」

歩夢「だから……そういう所は、わたし尊敬してる。愛ちゃんの事」

菜々「───」

.


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