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ヴァンパイアハンターエマちゃん

1名無しさん@転載は禁止:2021/03/07(日) 23:23:14 ID:eEEkwSx.
ラブライブ板で書いていたのですが、規制で書き込まなくなりました。
代わりにこちらで投稿させて下さい

136名無しさん@転載は禁止:2021/04/04(日) 01:16:34 ID:LdybtIh.
「詳しい状況は分からないんだけど、侑ちゃんを吸血鬼にしたのは歩夢ちゃんなんだよね」

「……そうです」

「歩夢ちゃんが無理やり襲ったんじゃなくて、侑ちゃんの方から受け入れたんでしょう?」

「……はい」

「それってさ、すごい覚悟だよね。
歩夢ちゃんの両親のご遺体を確認しにいったあと、すぐあなたに会いに行って、下手したら死んじゃうかもしれないのに自分の身体を差し出した。
……こんなこと、歩夢ちゃんに対して深い愛がないと絶対にできないよ」

だから、とエマは続けた。

「歩夢ちゃんが残した侑ちゃんへの心の傷、それが時間で解決できるとは思わないな」

それは紛れもない真実だ。
侑は魔剣として、歩夢は人類悪という人類愛でお互いの極点の愛を証明した。
それは逆に、侑には歩夢の代わりの愛は存在しないということ。
侑の心の中に空いた空白を埋められる者は誰ひとりとしていない。

だからこれは、時間が解決してくれる問題ではない。
歩夢を失えば、侑は世界一の愛の矛先を失って、さかしまにもう誰も愛せなくなってしまうだろう。

今は気丈にふるまっているが、いつかきっと、必ず心折れてしまう時が来るだろう。

「だからさ、侑ちゃんを救えるのは歩夢ちゃん、あなただけなんだよ。
あなたはたしかに数百人を殺してしまった大罪人だけど、それでもたった一人の愛と命と未来を救うことが出来る。
そのために、今は彼女によりそってあげてくれないかな?」

137名無しさん@転載は禁止:2021/04/04(日) 01:17:28 ID:LdybtIh.
「少し考える時間を下さい」

そう言って歩夢は侑と人格を入れ替えた。

「エマさん、私たちを、歩夢を助けてくれて本当にありがとう」

「どういたしまして。
でもね、あなた達が大変なのはここからだよ。
歩夢ちゃんが自分の罪にどう向き合っていくのか、それはあまりに難題だけど、時間をかけて、一緒に探してあげて欲しい」

「まかせて。
世界中が敵に回っても、私は。
私だけは歩夢の味方だから」

「それは頼もしいね。
さてと」

エマは次の戦場に向かうための準備を整える。

「もういっちゃうの?」

「うん。
今度はしずくちゃんを止めないと」

そう言って、エマは次の戦場に旅立った。
その後ろ姿えを見送って、侑は呟く。

「どうか気を付けて」

138名無しさん@転載は禁止:2021/04/04(日) 01:57:51 ID:Jmbw6lYw
まさかこんなすごい純愛展開になるとは。この二人なら形だけじゃなくていつか本当の救済になりそうでよかった。しずくちゃんも何とか救われるといいな…

139名無しさん@転載は禁止:2021/04/04(日) 13:26:19 ID:fvTqXV7w
全員生存してほしい

140名無しさん@転載は禁止:2021/04/04(日) 21:16:40 ID:LdybtIh.
朝焼けに照らされる大地を、エマは歩き続けた。

”私の気持ち、ちゃんと伝わったかな”

侑と歩夢のこれまでと、その先を考える。
歩夢が怪物になってしまったのは偶然で、人殺しになったのも吸血鬼の生態に紐づけられた悲運が原因だ。
彼女は元々善人で、何百人を生贄にする残忍さは元々待ち合わせていない。
全ては間が悪かったのだ。
友人が非業の運命に弄ばれるままこの世を去るのは忍びなかったので、エマはそれを救った。

だが、善人だからこそ。
怪物ではなく只人に戻ったからこそ、人殺しという十字架の重さに歩夢は耐えられない。
歩夢一人を思うのなら、彼女は潔く消え去るのが端的な救いになる人物だ。

だけど歩夢の人生は、もう歩夢だけのものではない。
死の闇に一人で旅立つには、彼女は侑とあまりに多くを分かち合い過ぎた。
歩夢がいなくなってしまえば、侑はその喪失にいつか耐えきれなくなる。
歩夢を見送る時は割に冷静だったが、それも消え去ろうとする彼女を慮って気丈にふるまっていただろうことは容易に予想出来る。

ならば、歩夢を死によって救済することは、侑を絶望の彼方へ見殺しにすることと同義だ。
癒えない悲しみの傷を背負って人生を終えるのかもしれないし、本当に命を絶ってしまうかもしれない。
どちらにせよ、侑の人生は歩夢がいなくては台無しになってしまう。
簡潔に、短絡的にまとめれば、自死を選ぶことで歩夢は侑を殺してしまうのだ。

歩夢は数百人を殺した大罪人で、大災害だ。
そう、だからこそ。
”人食いのあなたにこれ以上の罪の上塗りは許されない。
まして、最愛の者を見殺しにするなどと____”

エマの言葉の裏には、そんな厳しさが込められていた。

141名無しさん@転載は禁止:2021/04/04(日) 21:17:22 ID:LdybtIh.
それは友人への励ましで、咎人への判決。
どちらにせよ、救い上げた彼女の生きる理由になることを願うばかりだ。

本当はちゃんと口にして、伝えたかったのだが。

”喉が、痛い”

法外な奇蹟にはいつだって、帳尻合わせの代償が付き纏うものだ。
詠唱によってこの世の理をねじ伏せたつけは、エマの声帯に直接跳ね返る。
第三魔法の限定的行使に対する、”抑止力(ガイアとアラヤ)”からのカウンター。
エマの喉はズタボロに破壊されていた。

本当は会話するどころか、呼吸するだけで咽喉に激痛が走っている。
この傷は生涯をかけても、どんな魔術的な処置を施しても癒えることはないだろう。

それはエマにとってあらゆる意味で致命的だった。
吸血鬼狩りとしても、スクールアイドルとしても声は必要不可欠だ。
声を発するたびに痛みが襲うのでは、生業としてとても成立しない。

けれどエマはその苦痛を黙って受け入れた。
これが己のエゴで殺人鬼を身勝手に救った自分への罰なのだと信じて。

”歩夢ちゃんと侑ちゃんにはばれてないよね……?”

142名無しさん@転載は禁止:2021/04/04(日) 21:17:56 ID:LdybtIh.
こんな状態がばれてしまえば、侑と歩夢の心はさらに曇ってしまう。
彼女たちは十分に罪の意識がある。
これ以上の罪悪感を上乗せするのは避けたかった。

「……っ」

エマの身体が倒れる。
喉だけじゃない。
そもそも歩夢との戦闘で全身に重傷を負っている。
出血多量と内臓のシェイクでいつ死んでもおかしくなかった。

”まだ死んじゃ、ダメ。
歩夢ちゃんの罪がまた一つ増えちゃう。
しずくちゃんもどうにかしないといけない”

だけど、どうしても瞼が重い。
少しだけ、ほんの少しだけ休んでいきたかった。

”私が、なんと…か……”

最後の意識が流れる。
エマは静かに、瞳を閉じた。

143名無しさん@転載は禁止:2021/04/04(日) 22:21:40 ID:Jmbw6lYw
エマさん負傷は大丈夫そうかと思ってたら大変なことになってたんだな。エマさんも癒されて欲しい

144名無しさん@転載は禁止:2021/04/05(月) 18:31:05 ID:DKDoqavQ
しずく倒せるのかこれで

145名無しさん@転載は禁止:2021/04/05(月) 23:01:40 ID:MPdfdtMg
エマさん頑張れ

146名無しさん@転載は禁止:2021/04/07(水) 01:27:50 ID:QQjsDlvI
爪先から冷えていく感覚、朧げにかすむ視界、流れ落ちて止まらない血流。
否応なく感じさせられる。
これが死なのだと。

”……す”

その中で誰かの声がした。

”死ん……す……!”

呼びかける声は懸命で、エマのことを心から案じているようだった。
出来ればその声に応えてあげたいが、もうエマには欠片程の余力も残されていない。

”まだ死んじゃだめです‼”

そうだ。
その通りだ。
エマには生きる理由がある。
まだ死んではいけない訳がある。

それなのに、どうしたってこの身体は言うことを聞いてくれない。
誰かの必死な呼び声を聞きながら、エマの意識は闇に沈んだ。

147名無しさん@転載は禁止:2021/04/07(水) 01:29:28 ID:QQjsDlvI
こんな夢を見た。
夕焼けの差し込む教室に、二人の少女が向き合う。
少女らの他に人らしい人はおらず、その場は二人だけの密室だ。

長い髪の少女が、静かな声で好きですと云う。

色白な頬の底に温かな血のいろが程よくさして、薄紅に染めている。
唇も無論赤い。

私も、と短髪の少女が受け入れた。
お互いの気持ちを確かめ、分かち合い、深めていく。

長い髪の少女の身体が揺れた。
短髪の少女の方へ向かっていったからだ。
そのまま彼女は愛しの少女の元へ行き、息遣いの分かる位置までその顔を近付けた。

長い髪の少女はぱっちりと大きな瞳を開けた。
眼には潤いがあり、長いまつ毛に包まれた中は一面の青いしずくが広がる。

それはだめ、と短髪の少女は云った。
少女は長い髪の彼女を押しのけ、教室を出ていく。

「どうして?」

彼女はその場に座り込み、瞳から夕立を流した。

「……本当の私を見て」

148名無しさん@転載は禁止:2021/04/07(水) 01:31:18 ID:QQjsDlvI
目を覚ますと、広い洋室の中にいた。
天蓋つきのベッドの上で寝かされており、毛布のしたは衣類の類は纏っておらず生まれたままの姿だった。

”何とも…ない……?”

目を覚ました少女、エマ・ヴェルデは己の状態の把握に努める。
不思議なことにあれだけの重傷を負って死にかけていたというのに、身体に傷跡は一切なかった。

ただ一つ。
首筋に噛み後以外には。

”まさか……⁉”

エマは急いでベッドを飛び降りる。
それと同時に、部屋の扉が開いた。

「おはようございます、エマさん。
いい朝ですね」

エマの宿敵、もう一人の魔王がそこにはいた。

149名無しさん@転載は禁止:2021/04/07(水) 02:43:47 ID:zeCy/JKU
しずくの部屋かな。せつ菜との戦いはどうなったんだろう。というかエマさん噛まれちゃってるのか。色々予想外な展開だ

150名無しさん@転載は禁止:2021/04/08(木) 01:15:47 ID:6Hqg6JW2
「寝覚めが悪いのか、どうにもご機嫌ななめですね

右手で胸を、左手で秘所を隠しながら、エマはしずくを睨みつけた。

「……何のつもり?」

エマが尋ねる。
恐ろしき魔王を相手に丸腰でありながら、この聖女は猛々しかった。
うなりのような低い声で質問はしずくに伝わる。

それを受けてもなお、しずくは飄々とした態度を崩さない。

「せっかく拾った命ですもの。
もっと存分に生を謳歌しては?」

「質問に答えて。
私の身体に何をしたの?」

「別になにも。
ただ魔術で身体を治してあげただけです」

「じゃあこの首筋の傷はなに?」

それは確かに血を吸われた跡だった。
この少女は同好会のメンバー全員を吸血鬼にしたいとのたまっていた。
そんな彼女に吸血されたということは恐らく。

しかししずくの返答はエマにとって予想外のものだった。

「私は先輩を吸血鬼にしてません。
……声出すの、つらくないでしょう?」

151名無しさん@転載は禁止:2021/04/08(木) 01:16:25 ID:6Hqg6JW2
「あ」

言われてみれば不思議なほど流ちょうに会話が出来ている。
魔法を使った反動でエマの喉は、どんな医学的、魔術的手法を用いても治癒不可能に破壊されていた。
そんな彼女がこうして自然に言葉を口に出来ているのは、おかしなことだった。

「勘違いしないでくださいね?
エマさんの喉は治せてません。
ただ痛みをごまかしているだけです。
吸血の作用によって」

「……そうか。
死徒の吸血は吸うもの、吸われる者両名に性感を与えると聞く。
それは本質的に愛欲からの衝動だから。
しずくちゃんは麻酔代わりとして、私の血を吸って痛みを和らげてくれたんだ」

「まあそんなところです。
吸血鬼にしてないってのも本当ですよ。
証拠に、心臓の鼓動はまだ止まっていないでしょう?」

エマは自分の胸に手を当てる。
確かに生きている証、鼓動を感じられた。

「でも、ますます分からない。
どうしてしずくちゃんは私を助けてくれたの?」

152名無しさん@転載は禁止:2021/04/08(木) 01:18:12 ID:6Hqg6JW2
うまくかけませんでしたが、しずくはエマを吸血鬼にしない程度に痛みを和らげるために血を吸ったって感じです

153名無しさん@転載は禁止:2021/04/08(木) 09:56:54 ID:suAaSdg.
しずくちゃんの意図はわからないけどすごい吸血鬼だから痛みだけ消すこともできるんだろう、くらいに思って読んでたら大丈夫
それにしてもエマさんは喉のダメージは残ったままなのか。アイドルなのに

154名無しさん@転載は禁止:2021/04/08(木) 18:20:12 ID:fNPtAaFg
せっつー負けちゃったのかな

155名無しさん@転載は禁止:2021/04/08(木) 21:18:46 ID:70dHq.c6
他のメンバーも戦闘力持ちでないと…いやでも覚醒歩夢はポテンシャルで言えばしずくと同等なのかな

156名無しさん@転載は禁止:2021/04/11(日) 23:49:04 ID:dAeDEY7k
新学期のゴタゴタで投稿ちょっと遅れます

157名無しさん@転載は禁止:2021/04/12(月) 00:12:16 ID:673M1lcs
忙しい時期ですしね。楽しみに待ってます

158名無しさん@転載は禁止:2021/04/12(月) 00:27:01 ID:R7jOTWIg
新生活頑張れ

159名無しさん@転載は禁止:2021/04/12(月) 21:15:11 ID:PfD0dHIA
楽しみにしてるぜ

160名無しさん@転載は禁止:2021/04/14(水) 23:15:12 ID:D3sPRfgs
「以前お話しした通りなんですけどね?」

「同好会のみんなを吸血鬼にしたいって言ってたよね。
でもそれならどうして私が眠っている間にやらなかったの?」

「やって欲しかったんですか?」

「それはあり得ないけど」

やれやれ、というようにしずくは肩をすくめ、修道服と下着を投げてよこした。

「洗ってあります。
細かい話はそれを着てからでも遅くないでしょう?」

161名無しさん@転載は禁止:2021/04/14(水) 23:15:42 ID:D3sPRfgs
「単純なことです。
エマさんを吸血鬼にするのに、合意がないまま血を啜っては可哀想だと思ったんです。
吸血衝動(愛欲)を相手の許しなしにぶつけるなんて、それこそ凌辱と変わらないでしょう?
これは私の"在り方"の問題なんです」

服を着たエマに、しずくはそう言った。

「それは嘘だよ。
しずくちゃんは歩夢ちゃんを襲って吸血鬼にしてる。
あの娘がしずくちゃんの誘いに乗ったとは思えない」

「……昨日エマさんに魔眼を発動した時のように、歩夢さんを魅了していうことを聞かせたとしたら?」

エマは暫く思案する。
だが答えは変わらなかった。

「あの子の愛は普通のそれよりも遥かに大きい。
魅了の魔眼は通用しなかったんじゃないの?
魔術とは言え、歩夢ちゃんがしずくちゃんに浮気をして、言うことを聞くなんて信じられないな」

それが、昨夜歩夢と死闘を繰り広げ、その結末を観た者の結論だった。

「流石の慧眼ですね。
その通りです。
歩夢さんと侑さんに私の力は通用しませんでした」

「だったらしずくちゃんは、歩夢ちゃんを強引に吸血鬼にしたことになる。
状況証拠からの推測だけど、そうとしか思えないよ」

「はぐらかしても無駄ですね。
はい、そうです。
私は歩夢さんの意思を聞かず、無理矢理吸血鬼にしました」

ですが、としずくは続ける。

「エマさんに対しては合意を得ようとすること、歩夢さんには蹂躙すること。
奇妙に思うかもしれませんが、私の中では矛盾しないんです。
それも」

「あなたの"在り方"の問題なんだね?」

162名無しさん@転載は禁止:2021/04/14(水) 23:16:06 ID:D3sPRfgs
エマにはしずくが、どうしてか己の"在り方"を強く拘っているように見えた。
いや、この場合縛られているというべきか。

思えば、この少女は昨日からずっと、歩夢のマンションで出会った時からエマに対して攻撃らしい攻撃はしていない。

罠に嵌められ結界の中に閉じ込められたり、魔眼による精神への干渉は受けているが、少なくとも肉体面を損傷させるような暴行は受けていない。

それどころか今日に至っては、致命傷を癒やし、喉の痛みを和らげてくれている。
驚くことに、彼女は敵として振る舞うどころか、甲斐甲斐しく看病さえしているのだ。

吸血鬼の中には、ある種のパラノイアで己の持つ性質や本性に基づく秩序だった行動を取る者がいると聞く。
例えば上原歩夢は、高咲侑を守ることに固執し、最後には自分の命を投げ出してまで助け出そうとした。

もしかしたら、マザーハーロットを名乗る彼女も、その類の存在なのかもしれない。
エマはそう思った。

163名無しさん@転載は禁止:2021/04/14(水) 23:16:38 ID:D3sPRfgs
「私をどうしても吸血鬼にしたいんだね?」

「はい」

「嫌だと言ったら?」

「はいと言ってくれるまで、いつまでも待ちます。良いと言ってくれるまで、最大限努力します」

まただ。
この少女はどうしてか、エマには優しい。
人や動物を虫けら以下に惨殺し、歩夢を人外にしたケダモノとはどうしても人物像が合わない。
寧ろ、同好会でいつも接しているしずくとなんら変わりないように見えた。

「……私が、今直接、あなたを封印ないしは滅ぼすと言ったら?」

「今のエマさんの状態ではとても無理だと思いますけど、お好きにどうぞ?
せつ菜さんの時と同じように、流石に私も反撃しなくてはいけませんが」

「……ちょっと待って。
今、せつ菜ちゃんって言った?」

エマの顔色が青くなる。

「せつ菜ちゃんをどうしたの?」

「殺し合いました。
その果てに、彼女も私に魅了されて、今は土の中で身体を作り替えてる真っ最中です」

「……このお馬鹿!」

エマは急いで洋室を出て、屋敷を飛び出した。

164名無しさん@転載は禁止:2021/04/15(木) 01:50:57 ID:jeBNbE4c
せつ菜大丈夫か?

165名無しさん@転載は禁止:2021/04/15(木) 07:28:49 ID:MQhOPFjg
続きが来てた。しずくちゃんの考えや行動の基準みたいなのがまだよくわからないね。せつ菜ちゃんを倒してしもべ?にすることには躊躇いなさそうだし

166名無しさん@転載は禁止:2021/04/17(土) 18:02:23 ID:T5ISQaTc
扉を開けたその瞬間、エマは息を呑んだ。

しずくの屋敷は鎌倉の沿岸沿いにあり、海と陸が隣接している。
邸宅といっても良い立派な佇まいだ。

だが、エマが驚いたのは屋敷の壮麗さ故ではない。
世界を支配する無音、無動という名の異常に気がついたからだ。

潮騒はなく、空は凪ぎ、陸を行き交う人々はそのままの姿勢を保って立ち止まっている。

「時間、停止……?」

まるで世界そのものが歩みを忘れてしまったかのような静寂に、エマは心当たりがあった。
こんな異常現象を起こせるのはたった一人しかいない。
しずくだ。

だが彼女の魔眼は瞬きする間にしか世界を止めることは出来なかった筈だ。
これ程長時間、いや手を加えなければこの先の未来永劫まで、この世の理をねじ伏せる時間停止を行えるはずがない。

筈なのに。

「歩夢さんはよく働いてくれました」

エマの後ろで、悪魔の声がした。

167名無しさん@転載は禁止:2021/04/17(土) 18:02:54 ID:T5ISQaTc
「死徒には吸った者、吸われた者で親子の関係があり、子の集めた血肉や力を親は取り立てる事が出来る。
聖堂教会の代行者たるエマさんなら当然ご存知の知識ですよね?」

「……それとこの異常事態にどんな関係が?」

「気付いていませんでしたか?
歩夢さんたら、"人類悪"に目覚めかけてたんです。
人類のルールを汚すために存在する死徒が、一個人を究極的に愛してしまった結果です。
彼女はその愛の本性と所業を持って、この世に現界する筈でした。
結局、その力を手放してしまいましたが」

人類悪、その単語を聞いてエマの背筋が凍りつく。
それは亡霊や吸血鬼などとは比較にならない、ワールドエンド級の大災害だからだ。
エマはその忌み名を知識として知っていた。

人類悪はクラス・ビーストの席を以ってサーヴァントとしてこの世界に単独で顕現し、各々が持つ性質や本性、"愛"に従ってこの世界を滅ぼすという。

例えばこの世界は、原種のビーストたる魔神王によって2016年に人類史を焼却されているし、終局のⅦによってそれ以降の未来を一度白紙化されている。
そのどちらも人理継続保障機関フィニス・カルデアの働きによって無事解決され、人類は正常な歴史を取り戻していたが、魔術世界においてこの大災害の存在を知らぬ者はいない。
一般人には徹底的に秘匿されたが、世界は2度滅ぼされかけているのだ。

歩夢は彼らと同規模の存在になりかけていたのだ。
しかし______。

「歩夢ちゃんは罪を認めて、自分から首を差し出した。
人の世を滅ぼす災害になる一線を越える前に、愛故に愛する者との訣別を選んだんだ」

"人類悪"としての上原歩夢は誕生する前に、破滅を選んだ。
世界を滅ぼす彼女の"愛"は一切の矛盾なく、その"愛"のルールに従って己の理想、願望、存在さえも打ち砕いて見せたのだ。

その在り方は尊く純粋で、同時に哀しくエマは思った。

168名無しさん@転載は禁止:2021/04/17(土) 18:07:57 ID:T5ISQaTc
「事のあらましが漸く見えてきたよ。
歩夢ちゃんは"人類悪"としての力を手放した。
行き場を失った力は、歩夢ちゃんの"親"に当たるあなたを選び、集まった。
その結果が、しずくちゃん。
あなたという、全く新しい"人類悪"(世界を滅ぼす愛)を呼び覚ましたんだ」

「ご名答。
以前は大淫婦を名乗るには、未熟な部分が多すぎて気恥ずかしかったのですけど。
今なら何の迷いもありません」

しずくは恭しくドレスの裾を上げ、一礼してみせた。

「ご無沙汰しております、エマ・ヴェルデ様。
我が名は桜坂しずく、マザー・ハーロットの完全なる再演者。
かつて27祖の13位にあって、今は6番目の獣(ビースト)に位置する者。
どうかご贔屓にお願いします」

単純な事。
これは一番目の獣・ゲーティア、七番目の獣・異星の神に並ぶ大偉業。

何のことはない。
エマが目覚めたこの世界は、しずくにとっくに滅ぼされた後だったのだ。

169名無しさん@転載は禁止:2021/04/17(土) 18:34:46 ID:LOiekFHs
やばいしずくちゃん強すぎるな。というか歩夢達も一歩間違ってたらこうなってたのか。エマさんどうにかできるんだろうか

170名無しさん@転載は禁止:2021/04/17(土) 22:25:36 ID:HUqhuPsM
戦力になりそうなほかメンバー頼るか歩夢の再起か…

171名無しさん@転載は禁止:2021/04/18(日) 00:29:26 ID:r4ldISR6
しずくは歩夢の力を吸収して強くなったみたいだから、もう歩夢を頼るのは無理そう。せつ菜もやられちゃったみたいだから、他に誰かいれば

172名無しさん@転載は禁止:2021/04/20(火) 21:44:46 ID:lbjtJtqE
しずくつよい

173名無しさん@転載は禁止:2021/04/24(土) 16:36:52 ID:KdwFbqJI
すみません
今日か明日には投稿します

174名無しさん@転載は禁止:2021/04/24(土) 18:05:31 ID:jg1s6i76
楽しみ

175名無しさん@転載は禁止:2021/04/25(日) 20:34:34 ID:BRGcxZsY
期待

176名無しさん@転載は禁止:2021/04/30(金) 21:22:45 ID:OlZtKI7o
待ってる

177名無しさん@転載は禁止:2021/05/02(日) 00:13:59 ID:Kv6du7SY
待つぜよ

178名無しさん@転載は禁止:2021/05/04(火) 00:16:39 ID:pYKUqSgc
待つわ

179名無しさん@転載は禁止:2021/05/04(火) 00:44:32 ID:R0pBG.P.
忙しい時期だろうからのんびり待つよ

180名無しさん@転載は禁止:2021/05/08(土) 22:23:12 ID:jJWKIp7A
気になるところで切れてるから、余裕できたらぜひ続いて欲しいな

181名無しさん@転載は禁止:2021/05/12(水) 21:12:02 ID:MJCDbu3U
待ってるぞ

182名無しさん@転載は禁止:2021/05/17(月) 07:41:33 ID:zWP3d39M
一か月だけど、諦めずに待ってる

183名無しさん@転載は禁止:2021/06/03(木) 01:30:46 ID:c5GEaO2k
逃げたか

184名無しさん@転載は禁止:2021/06/07(月) 21:41:25 ID:eFBJB/cc
まつわ

185名無しさん@転載は禁止:2021/07/02(金) 23:12:52 ID:wX8ltZHE
待ってるぞ


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