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近畿・大阪の産業世界戦略02
2326
:
名無しさん
:2019/12/11(水) 12:34:01 ID:qyBlkDVA0
>>2325
続き
■環境技術 水都の面目躍如
2019年に大阪市で開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議の主要議題の一つは自然界で分解されないプラスチックごみによる海洋汚染対策だった。関西はプラごみ問題の解決につながる技術を持った企業や水に関するビジネスを展開する企業が集積。こうした企業が国連の定めた持続可能な開発目標「SDGs」の推進に貢献できれば、大阪・関西の都市競争力はさらに高まる。
「5年後までに世界で水不足に悩む30億人にきれいな水を届ける」と水質浄化剤を手がける日本ポリグル(大阪市)の小田兼利会長は話す。約80カ国で1400万人分の水の浄化剤を販売する。
納豆の粘性成分「ポリグルタミン酸」を使った粉状の浄化剤を濁った水に混ぜると、汚れが数分で固まりになり沈殿する。沈殿物をろ過して沸騰させれば飲み水になる。
開発のきっかけは阪神大震災だ。小田会長は神戸市で被災。避難生活が長引き体を洗えない日々が続いた。「近所の池からきれいな水をつくれたらいいのに」。ふと頭をよぎり、学生時代に読んだ論文をヒントに開発。ポリグルタミン酸を大量に生み出す菌を見つけて量産化にこぎつけた。
日本ポリグルは博覧会国際事務局(BIE)総会で社員がプレゼンテーションするなど、25年国際博覧会(大阪・関西万博)の誘致にも貢献。「万博開催時には川で水を浄化するイベントを開き、技術を世界にアピールしたい」と意気込む。
東レ、日東電工、東洋紡の関西ゆかりの3社で世界シェアの半分を握るのが海水を真水に変える「逆浸透膜」。ポンプで海水に圧力をかけながら膜に通し、塩分などを取り除く。東洋紡の膜は塩分濃度が高い中東の海に適している。湾岸諸国で5割のシェアを持ち、世界で640万人分の水を生み出している。
自然界で分解されない微細なプラスチックによる海洋汚染問題の解決でも、関西が強みを持つ繊維技術が注目を集める。帝人の繊維子会社、帝人フロンティア(大阪市)は洗濯くずが出にくい衣料用生地を開発した。
開発した「デルタTL」はポリエステル製の生地。5回洗濯した際に出る洗濯くずの量が一般的なフリース生地の半分程度にとどまる。販売量は19年度でフリース40万着分を超え、前年度より約7割増える見込みだ。
一般的なフリース用生地は柔らかい肌ざわりにするため、生地に別の糸を植え付けている。ただ、洗濯すると糸が抜け落ちやすく、洗濯くずとなる。そこで同社は生地から糸を引っ張り出す製法を採用。生地と糸が一体のため抜け落ちにくい。生地から糸を引っ張り出すのが独自の技術だという。
■内海の水質改善 試行錯誤重ねる
大阪ベイエリアが大きく変わろうとする中、大阪湾など関西の内海の水質にも関心が集まっている。関西の海では近年、様々な魚種で不漁が続く。なかでも瀬戸内に春の訪れを告げるイカナゴ漁は淡路島以東の大阪湾で3月5日の解禁後、3日で休漁。詳しい原因は分かっていないが、海の水がきれいになりすぎているとの指摘がある。
兵庫県は生態系の基盤となる植物プランクトンの生育に不可欠な窒素など栄養分の回復をめざした取り組みを進める。赤潮被害の防止へ窒素量を低く抑えてきたが、県独自の海の水質目標を設定。県内3カ所の下水処理場で2018年秋には排水基準を緩和した。
明石市の二見浄化センターで、年平均で1リットルあたり20ミリグラムとしてきた排水中の全窒素量を11〜4月は平均で40ミリグラム、5〜10月は平均で30ミリグラムに緩めた。水質目標に関しては国の基準で全窒素の上限値は1リットルあたり0.3〜1ミリグラムだが、0.2ミリグラムという下限値を瀬戸内側で設けた。
不漁の原因は海水温の上昇や干潟の減少、取りすぎなどの指摘もある。プラスチックごみによる海洋汚染対策も急務だ。豊かで美しい海を後世に引き継ぐ試行錯誤が続いている。
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