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【分野】おすすめの本を書くスレ【不問】

131よしはら ◆7lqX359TUk:2011/07/22(金) 20:28:19
(2)内容
ここからは、本論文に刺激を受けた私見、という形でコメントします。
裁判所の判断過程審査の手法を、立法府に対する敬譲の観点から分析すると、おもしろいかもしれません。
本論文では、行政裁量統制に関する手法を、そのまま立法裁量統制にスライドさせることに対しては、慎重な態度がとられています。
これは、非常に重要なことです。
ア、一般論としての立法裁量の尊重
まずは、憲法上の人権の具体化という面をさておいて、一般論として、裁判所は、行政裁量よりも立法裁量に対して、より敬譲的であるべきだということを述べます(以前に作成していた文章をコピー・ペーストするので、少し長くなることを、ご了承ください)。
裁判所は、立法裁量について、行政裁量と同様に、判断過程審査をすべきである、と安易にいうことはできません。
行政裁量統制における判断過程審査の手法は、裁判所が、行政府の判断過程の合理性を審査しようとするものです。
そのため、判断過程統制を徹底させると、次第に裁判所による判断代置に接近していくことになります。
そうなると、行政府の判断に裁量を認めた趣旨が、失われていくことになります。
ところで、裁判所による行政裁量の尊重は、三権分立のほか、司法審査の民主的正統性の観点からも、根拠づけることができます。
すなわち、裁判官は国民に選挙によって直接選出されるわけではありませんから、裁判所の民主的正統性の基盤は脆弱です。
一方、行政府(さしあたり中央政府を念頭に置きます)の構成員のうち、圧倒的多数は、国民が選挙によって選出するわけではありません。
しかし、国会議員は国民が直接選挙で選出するため、国会の民主的正統性は強固であるところ、内閣の首長である内閣総理大臣は、国会議員のなかから国会が指名するため(憲法67条1項前段)、民主的正統性は強いです。
また、内閣は議院内閣制の下、国会に対して連帯して責任を負います(憲法66条3項)。
そのため内閣は、国会に準ずる民主的正統性を有しているということができます。
さらに行政各部は、内閣の下位に組織され、また内閣総理大臣の指揮監督を受けます(憲法72条後段)。
したがって行政各部は、強固とまでは言いがたいものの、民主的正統性を、一定程度備えています。
ここで話を初めに戻すと、裁判所による行政裁量の尊重は、民主的正統性の脆弱な裁判所が、民主的正統性を一定程度備えた行政府(内閣総理大臣あるいは内閣の場合は、民主的正統性は相当強固です)の判断を尊重するためのものである、と根拠づけることができます。
一方国会は、前述のように、行政府に比べて、民主的正統性が非常に強固です。
裁判所が、行政裁量統制に際して判断過程審査をすることが許容されるとしても、立法裁量統制に際してまで判断過程審査をした場合、ややもすると裁判所による判断代置に接近し、立法裁量を無に帰する危険性があります。
それゆえ、民主的正統性の微弱な裁判所は、民主的正統性の強固な立法府の裁量的判断を尊重するため、判断過程審査を控えるべきである、との議論がありえます。
少なくとも裁判所は、行政裁量の場合と比べて、立法裁量統制の場合には、判断過程審査をするに当たって、立法府の裁量的判断に、より敬譲的でなければなりません。
ゆえに、行政裁量統制における判断過程審査の手法を、安易に立法裁量統制の場面へスライドさせることはできません。


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